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特開2023-1207ガラスセラミック製品のためのリチウムアルミノケイ酸塩ガラス製品製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001207
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】ガラスセラミック製品のためのリチウムアルミノケイ酸塩ガラス製品製造方法
(51)【国際特許分類】
   C03C 1/02 20060101AFI20221222BHJP
   C03C 10/12 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
C03C1/02
C03C10/12
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022172370
(22)【出願日】2022-10-27
(62)【分割の表示】P 2019563738の分割
【原出願日】2018-05-16
(31)【優先権主張番号】1754385
(32)【優先日】2017-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】504374919
【氏名又は名称】ユーロケラ ソシエテ オン ノーム コレクティフ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-パトリック コシャール
(72)【発明者】
【氏名】シモンピエートロ ディ ピエロ
(72)【発明者】
【氏名】エマニュエル ルコント
(57)【要約】
【課題】ガラスセラミック製品の製造に適したリチウムアルミノケイ酸塩ガラス製品を製造するための方法を提供する。
【解決手段】本発明は、ガラスセラミック製品の製造に適したリチウムアルミノケイ酸塩ガラス製品を製造するための方法に関する。この方法は、a.不可避の痕跡分を除いて、ヒ素酸化物及びアンチモン酸化物を含まない原材料のバッチ配合物を溶融させる工程、b.溶融物を清澄させる工程、c.前記溶融物を冷却してガラスを作る工程、d.前記ガラスを成形する工程、を含む方法であって、原材料のバッチ配合物が、Feとして表して200ppm以下の全鉄分の質量割合を有するペタライトを含むことを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の工程を含む、リチウムアルミノケイ酸塩ガラス製品を製造する方法であって:
a.原材料のガラス化可能な混合物を溶融させること、
b.溶融した材料を清澄させること、
c.前記溶融した材料を冷却して、それによりガラスを作ること、
d.前記ガラスを成形すること、
前記方法は、原材料の前記ガラス化可能な混合物が、Feとして表して200ppm以下の全鉄分の重量割合を有するペタライトを含むことを特徴とする、リチウムアルミノケイ酸塩ガラス製品の製造方法。
【請求項2】
ガラス化可能な材料の前記混合物が、不可避の痕跡分を除いて、ヒ素酸化物及びアンチモン酸化物を含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程bにおける清澄温度が、最高で1700℃、特に最高で1600℃、好ましくは最高で1550℃である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
原材料の前記ガラス化可能な混合物中の前記ペタライトの重量割合が、少なくとも50%、とりわけ少なくとも70%、特に少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ペタライトが、90%以上の重量割合でペタライト鉱物を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ペタライトが、Feとして表して100ppm以下、好ましくは50ppm以下の全鉄分の重量割合を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ペタライトが、0.10%以上のフッ素の重量割合を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
原材料の前記混合物が、最大で4%の重量割合のアルカリ金属の硝酸塩又はアルカリ土類の硝酸塩を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
原材料の前記ガラス化可能な混合物が、SnO、CeO、MnO、フッ化物及び塩化物から選ばれる1種以上の清澄剤を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記清澄剤がSnOであり、最終のガラス中の前記SnOの重量割合が0.5%未満、特に0.4%と0.1%の間である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
原材料の前記ガラス化可能な混合物中の、Feとして表した全鉄分の重量割合が、4ppmと200ppmの間である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
得られるガラスが、下記の成分を重量割合で表される下記に規定した範囲内で含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
SiO 52~75%
Al 12~27%
LiO 2~5.5%
NaO 0~3%
O 0~3%
CaO 0~5%
MgO 0~5%
SrO 0~5%
BaO 0~5%
ZnO 0~5%
TiO 1~6%
ZrO 0~3%
0~8%
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の方法により得られるガラス製品。
【請求項14】
セラミック化する工程e)を更に含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法により得られるガラスセラミック製品。
【請求項16】
CoO、Cr、MnO、NiO、V及びCeOから選ばれる1種以上の酸化物を使って着色されている、請求項15に記載のガラスセラミック製品。
【請求項17】
請求項15又は16に記載のガラスセラミック製品を含む、調理機器、暖炉インサート、又は防火用グレージング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスセラミック製品を作るのに好適なリチウムアルミノケイ酸塩ガラス製品の製造方法に関する。この方法は、原材料の混合物のより良好な可融性及びより良好な清澄を可能にする。
【背景技術】
【0002】
ガラスセラミックは、結晶相又は結晶が分散した非晶質相を含む複合材料である。それは、一般に、バルクの結晶の管理された結晶化のためのガラス、いわゆる「グリーンガラス」の熱処理により得られる。ガラスを部分的に結晶化させるこの処理は、「セラミック化処理」又は単に「セラミック化」と呼ばれている。ガラスセラミックの最終的な物理化学的性質は、グリーンガラスの組成及びセラミック化処理に依存する。
【0003】
Al-SiO-LiO系をベースとしたガラスセラミックは、主要な結晶相としてβ-石英及び/又はβ-リシア輝石の固溶体を含有する。これらのガラスセラミックは、それらの物理化学的性質のために、特にそれらの熱膨張率のために、多くの分野で評価されている。それらは、特に、調理機器においてホットプレート、オーブンドアガラスとして、あるいは暖炉のインサートとして使用されている。
【0004】
Al-SiO-LiO系をベースとしたガラスセラミック製品の製造には、一般に次の4つの一連の工程が含まれる:
a.原材料のガラス化可能な混合物を溶融させること、
b.溶融した材料を清澄させること、
c.溶融した材料を冷却し、そして成形されたグリーンガラスを作ること、
d.グリーンガラスを適切な熱処理によりセラミック化すること。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ガラスセラミック製品の品質は、溶融工程及び清澄工程後に得られるグリーンガラスの品質に依存する。特に、このグリーンガラスには、セラミック化工程後のガラスセラミック製品の物理化学的性質及び美的品質を低下させかねない欠陥があってはならない。その結果として、溶融及び清澄のこれら2つの工程は、注意深く行われなくてはならない。原材料の混合物も配合しなければならず、また、生じる欠陥の数を最小限にするように清澄剤を選定しなければならない。更に、それらは、製造製品を生産するための方法に関連する温室効果ガスの排出及びエネルギー消費量を低減すること、及びそれらの成分の毒性を低下させることを目的とする欧州指令(欧州議会及び協議会の決議第406/2009/EC、及び欧州議会及び協議会の規則第1272/2008/EC)に規定された基準を満たすことを可能にしなければならない。
【0006】
溶融工程は、原材料の混合物を高温に加熱する工程である。この混合物は、酸化物の重量割合で表される組成が製造しようとするガラスのそれに一致するように設定された比率で組み合わされた複数の化合物を含む。これらの化合物は、ほとんどの場合、酸化物、炭酸塩、硫酸塩及び硝酸塩である。1700℃に達し得る温度まで加熱されると、このような混合物は、一定数の反応のサイトとなり、その最終生成物がガラスの組成を有する液となる。その反応というのは、原材料の脱水、固-固反応によるケイ酸塩の生成、炭酸塩の液化とその後のケイ酸塩との反応、気泡の形でのガス(CO、NO、O、SO)の放出を伴う化合物の分解、液の生成、及びなおも存在する化合物のこの液中への溶解である。
【0007】
リチウムアルミノケイ酸塩グリーンガラスは、55~75wt%のSiO、12~25wt%のAl、及び2~5wt%のLiOを含むことができる。これらの3つの酸化物が通常供給される天然の原材料は、それぞれ、石英(ケイ砂)、アルミナ、及び炭酸リチウム(LiCO)である。アルミナと石英は、それらの高い融点(石英については1670℃(β-トリジマイト)又は1713℃(β-クリストバライト)、アルミナについては2054℃)のために、原材料の混合物を加熱するために比較的高い温度を必要とし、したがって大量の燃料を必要とする。更に、それらの耐熱性が、最終のガラスにおいてそれらを、多くの場合溶解していない粒子の形をしたいくつもの欠陥源とする。炭酸リチウムは、天然鉱床が希少なことによる高いコストに加えて、二酸化炭素の重大な発生源となる。
【0008】
清澄工程は、液体表面への気泡の上昇を促進し、そして液体に含まれるガスを抜くことからなる。気泡が移動することから、それは液を混合することを可能にし、それによりその組成を均一にするとともに、溶融していない残留化合物の溶解を促進する。このために、「清澄剤」又は「清澄薬剤」と呼ばれる化合物が、原材料の混合物に加えられる。それは、ガスを放出する性質又はそれを放出させる性質を有しており、これが気泡に入ることによって、それらの大きさを増加させ、それらの液体表面への上昇を促進するようにする。リチウムアルミノケイ酸塩グリーンガラスのために以前から使用されている清澄剤は、ヒ素酸化物とアンチモン酸化物である。しかし、それらの毒性のために、それらを取り替えるための方法がいくつか開発されており、あるいは開発されつつある。
【0009】
これらの方法の大部分は、酸化スズの使用をベースとしている。現在、この酸化物には2つの欠点がある。それは、十分な量の酸素を高温(>1600℃)で放出するに過ぎず、且つAl-SiO-LiO系をベースとしたガラスへの溶解度が小さい(<約0.6wt%)。この小さい溶解度は、1600℃未満の温度で放出される酸素が不十分であるのを補償することができない。その結果、酸化スズは、多くの場合、酸素の放出を促進するためにその他の化合物と一緒にして使用される。これらの化合物は、例えば、塩化物(日本国特許第4120897号公報、米国特許第6698244号明細書)、フッ化物(欧州特許第1899276号明細書、米国特許第6698244号明細書)又は臭化物(米国特許第7456121号明細書)などのハロゲン化物、セリウム及び/又はマンガンの酸化物(国際公開第2007/065910号、米国特許第6698244号明細書)などの遷移金属酸化物、あるいは硫酸塩(米国特許第6698244号明細書)又は硝酸塩でよい。しかし、それらの使用が必ずしも満足な結果をもたらすとは限らない。それらは、揮発性、有毒、及び耐火性の構成要素に対して腐食性である可能性があり、また、それらは十分な気泡を発生させない可能性があり、及び/又はグリーンガラス又はセラミック化処理後に得られるガラスセラミックの望ましくない着色の原因となる可能性がある。
【0010】
従来技術では、Al-SiO-LiO系をベースとしたグリーンガラスを作るために通常使用される原材料、すなわち炭酸リチウム、石英及びアルミナの全部又は一部を、リチウムアルミノケイ酸塩、例えばペタライト(理論式LiAlSi10を有する長石)又はリシア輝石(理論式LiAl(SiOを有する輝石)などとうまく取り替えることができることが教示されている(Haigh & Kingsnortk, The Lithium Minerals Industry, Glass, 1989; Yuan et al. Preparation of spodumene-derived low expansion coefficient glass ceramic in the system LiO-Al-SiO, Journal of Wuhan University of Technology, 12(4): 18-24, 1997; EP2226303)。
【0011】
これらの2つの原材料を使用することにより、特に、二酸化炭素の放出を低減すること、及び原材料の混合物の可融性をよくすることが可能である。可融性のこの改善は、特に、リシア輝石及びペタライトのより低い融点(ペタライト及びリシア輝石について、それぞれ約1350℃及び約1423℃)のために原材料の混合物を加熱するための温度が低下すること、溶解していない粒子の数が減少すること、及び組成物又は液のより速い均一化でもって明らかにされる。ペタライト及びリシア輝石を酸化スズとともに使用する例は、欧州特許第2226303号明細書に記載されている。
【0012】
当該技術分野において、「リシア輝石」及び「ペタライト」という用語は、一般に、それぞれリシア輝石及びペタライトの部類の鉱物の全てを意味するために使用される。それらはまた、多くの場合、拡大解釈されて、それらを主に含有している岩石も意味する。様々な地質で形成された天然の不均一な鉱床から得られるこれらの岩石は、それらから実際のペタライト及びリシア輝石鉱物を取り出すために幾度かの変換と幾つかの反応を受ける。その後、これらの鉱物は、ガラス製品及びガラスセラミック製品を作るための混合物において原材料の形で使用される。したがって、それらの起源に応じて、これらの原材料は完全に化学量論的ではなく、それらは様々な構造的特徴を有することができ、且つ少量の又は痕跡物としてのその他の元素を含有し得ることが明らかである。これが、それらが、含有する様々な酸化物及び微量鉱物の含有量に従って一般的に記述及び分類される理由である。「グレード」という用語が、記述及び分類のために一般に使用される。
【0013】
従来技術では、材料のグレードは、一般的に詳しくは示されていない。「リシア輝石」及び「ペタライト」という用語が総称的に使用されている。特に、欧州特許第2226303号明細書では、ペタライトと2つのリシア輝石に言及しているが、それらのグレードは記載されていない。それらは、清澄剤として酸化スズを用いてSiO-Al-LiO系をベースとするガラスを作るために使用されている。しかしながら、清澄工程を実施する温度は、なおも高く(≧1600℃)、溶解しない粒子の数は、普通の原材料の混合物についてよりも少ないとは言え、なおも多い(10~50%)。
【課題を解決するための手段】
【0014】
ここで、SiO-Al-LiO系のグリーンガラスを作るための溶融材料の可融性及び清澄の研究との関連において、他の条件が同じならば、ペタライトを含有している原材料の混合物の可融性及び清澄は、それが採掘された鉱床に応じて様々であるということが見いだされた。詳しく言えば、溶融及び清澄にとっては、ペタライトの特定のグレードが有利である。
【0015】
したがって、本発明は、原材料の混合物のより良好な可融性及びより良好な清澄をもたらす、リチウムアルミノケイ酸塩ガラス製品の製造方法に関する。この方法は、次の工程:
a.不可避の痕跡分を除いて、ヒ素酸化物及びアンチモン酸化物を含まない原材料のガラス化可能な混合物を溶融させること、
b.溶融した材料を清澄させること、
c.溶融した材料を冷却し、それによりガラスを作ること、
d.上記のガラスを成形すること、
を含み、そしてこの方法は、原材料の上記のガラス化可能な混合物が、Feとして表して200ppm以下の全鉄分の重量割合を有することを特徴とする。
【0016】
本発明の意義において、不可避的な痕跡分を除いてヒ素酸化物及びアンチモン酸化物を含まない原材料のガラス化可能な混合物は、ヒ素酸化物及び/又はアンチモン酸化物が故意に導入されていない原材料のガラス化可能な混合物に相当する。しかしながら、その他の原材料中には、これらのヒ素酸化物及び/又はアンチモン酸化物が、例えばガラス化可能な混合物のその他の構成成分のためのキャリアとして働くカレット中におけるように、痕跡分として必然的に存在することがある。好ましくは、原材料のガラス化可能な混合物から得られるガラスの組成中におけるヒ素酸化物及びアンチモン酸化物の重量割合の合計は、1000ppm以下である。
【0017】
「ペタライト」という用語は、原材料の上記のガラス化可能な混合物を作るために使用することができ、且つペタライト鉱物そのものが圧倒的に多い、すなわち重量割合が50%以上である、天然のままの又は処理された、任意の原材料を意味する。
【0018】
ペタライト鉱物は、LiAlSi10の理論的化学式を有する。しかし、ごく当たり前に、天然のペタライト鉱物はこの理論式によって完全に表すことはできない。とりわけそれが天然由来である場合には、当該材料を形成する元素Li、Al、Si及びOの含有量は、わずかに変動することがある。更に、それは微量のその他の元素を含有することがある。その結果、一般に鉱物は、前記元素Li、Al、Si及びOの相対的含有量が理論式LiAlSi10で表されるそれらに似通っている場合、且つその結晶学的特性がDana classificationのグループ72.06.01.01で定義されたそれらを満足する場合、すなわちその結晶系が単斜晶系であり、ヘルマン-モーガンの記号によるその空間群がP2/aであり、その点対称群が2/mである場合に、ペタライト鉱物と見なすことができる。例えば、天然鉱物のLi0,92Ai0.99Si3.9910は、ペタライト鉱物である(Anthony J W, Bideaux R.A., Bladh K.W., and Nichols M.C. (1990) Handbook of Mineralogy, Mineral Data Publishing, USA)。したがって、理論式LiAlSi10又は「ペタライト鉱物」という表現は、上記の定義にとらわれないペタライト鉱物を意味する。
【0019】
原材料のガラス化可能な混合物中におけるペタライトの重量割合は、有利には少なくとも50%、特に少なくとも70%、とりわけ少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%である。この重量割合が増加すればするほど、原材料の混合物の可融性及び清澄が改善される。これは、特に、溶解しない粒子の数の減少、及び液組成のより速い均一化で明らかになる。
【0020】
更に、上述のペタライトは、90%以上の重量割合のペタライト鉱物を含むことができる。ペタライト鉱物中のペタライト原材料が多くなればなるほど、それが過度に高い融点のために本発明の方法を実施する温度での完全な溶融を可能にしない不所望の元素及び鉱物相の潜在的な発生源となることが少なくなる。こうして、原材料の混合物の可融性及び清澄が改善される。
【0021】
原材料のガラス化可能な混合物のペタライト含有量に依存して、本発明の方法の工程bにおける清澄温度は、最高で1700℃、特に最高で1600℃、好ましくは最高で1550℃でよい。清澄温度の低下は、本発明の方法のエネルギー消費量を低減することを可能にし、したがってこのエネルギーを発生させるために必要とされる燃料の量を低減することを可能にする。
【0022】
原材料のガラス化可能な混合物の可融性及び清澄は、ペタライトのうちのFeとして表される全鉄分の重量割合が低下するにつれて改善される。それは、特に200ppm以下でよく、とりわけ100ppm以下、好ましくは50ppm以下でよい。
【0023】
それは、10ppm以上、とりわけ20ppm以上であることができる。原材料のガラス化可能な混合物のうちのFeとして表される全鉄分の重量割合は、4ppmと200ppmの間であるのが有利である。
【0024】
原材料のガラス化可能な混合物の清澄を改善することを更なる目的として、当該混合物は、SnO、CeO、MnO、フッ化物及び塩化物から選ばれる1種以上の清澄剤を含むことができる。それらの含有量は、ガラス化可能な混合物が含むペタライトの量に応じて、及び当該ペタライトのうちのFeとして表される鉄分含有量に応じて適合させることができる。清澄剤が酸化スズSnOである場合には、最終ガラス中のその重量割合は、0.5%未満、特に0.1%と0.4%の間でよい。同じ理由から、原材料の混合物は、ガラス化可能な混合物中の重量割合が最高で4%であるアルカリ金属又はアルカリ土類の硝酸塩を含むことができる。
【0025】
ペタライトは、天然では一定量のフッ素を含有することもある。その場合、ペタライト中に含まれるフッ素の重量割合は、0.10%以上である。ペタライトがフッ素を含有する場合、原材料のガラス化可能な混合物の清澄は、ペタライトがフッ素を含有しておらず且つ当該フッ素が別の原材料により供給されたガラス化可能な混合物と比べて改善される、ということが見いだされた。
【0026】
本発明の方法によりガラスを製造するためには、ガラス化可能な混合物に含まれる種々の原材料の比率を、酸化物の重量割合で表される組成が製造するのに必要とされるガラスのそれに対応するように設定する必要がある。得られるガラスは、好ましくは、下記の成分を重量割合で表される下記に規定される範囲内で含む。
SiO 52~75%
Al 12~27%
LiO 2~6%
NaO 0~3%
O 0~3%
CaO 0~5%
MgO 0~5%
SrO 0~5%
BaO 0~5%
ZnO 0~5%
TiO 1~6%
ZrO 0~3%
0~8%
【0027】
酸化物のおのおのの比率は、グリーンガラス及びそれから出発して製造することができるガラスセラミック製品のために必要とされる物理化学的性質に応じて調整する必要がある。上述のガラスセラミック製品を製造するために、本発明の方法は、セラミック化工程を更に含むことができる。
【0028】
上記のとおりの組成を有するガラスに施すことができるセラミック化工程は、主要結晶相としてのβ-石英及び/又はβ-リシア輝石の固溶体を生成するために必要とされる。この工程は、温度を異にし時間を異にする幾つかの一連の熱処理を含む。これらの熱処理は、一般に、
・上記結晶相の核形成のために、650℃と850℃の間で、15分~4時間、及び
・上記結晶相の成長のために、860℃と950℃の間で、10分~2時間、
行われる。
【0029】
ガラスセラミック製品の最終の物理化学的及び光学的性質は、グリーンガラスの組成とセラミック化工程のパラメーターに依存する。したがって、この組成及びこれらのパラメーターを、ガラスセラミック製品の所望の用途に応じて適合させる必要がある。
【0030】
本発明の方法は、着色したガラスセラミック製品の製造に有利に利用することもできる。その場合、これらの製品は、CoO、Cr、MnO、NiO、V及びCeOから選ばれる1種以上の酸化物を使って着色してもよい。
【0031】
本発明の方法がセラミック化工程を更に含む場合に、その方法により得ることができるガラスセラミック製品は、調理機器、例えばホットプレート、オーブンドアガラスなどで、あるいは暖炉インサート、又は防火用のグレージングとして使用することができる。
【実施例0032】
(例1)
1つは本発明の方法の実施形態に従って製造され、他の2つは従来技術の方法に従って製造された、同じ公称化学組成を有する3つのグリーンガラスを比較する、以下に記載の第1の限定しない例によって、本発明の方法の利点が完全に説明される。
【0033】
従来技術の第1の方法は、酸化物LiO、SiO及びAlがそれぞれ炭酸リチウム、シリカ及びアルミナの形で原材料の混合物に供給される対照の方法である。本発明の方法の上記実施形態では、これらの3つの酸化物はアルミナ及びペタライトQ1の形で供給される。従来技術の第2の方法では、それらは、アルミナ及びペタライトQ2の形で供給される。下記の表1は、これらの方法のおのおのによる3つのガラス化可能な混合物M1、M2、M3をそれぞれ構成する原材料の重量を示している。各混合物は、清澄剤として酸化スズを同じ比率で含有している。これらの3つのガラス化可能な混合物から得られるグリーンガラスの公称化学組成を、下記の表2に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
酸化物の重量割合で表されるペタライトQ1及びQ2の化学組成、及びこれら2つのペタライトが含有する鉱物相の重量割合で表される比率を、それぞれ表3及び表4に示す。化学組成は、湿式法による化学分析により得た。鉱物相の比率は、X線回折により得られた回折パターンをリートベルト法で定量化することにより計算した。
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
ペタライトQ1とペタライトQ2は、組成の点では非常によく似ている。石英と曹長石の含有量は、エラーバーで類似している(±1%)。従って、これら2つのペタライトは、Feとして表される、ペタライトQ1については0.009%(90ppm)、ペタライトQ2については0.071%(710ppm)の鉄の全量で、本質的に異なっている。
【0040】
表1の3つのガラス化可能な混合物の可融性及び清澄を比較するために、それらに対して次の手順による可融性及び清澄の試験を行った。
【0041】
白金るつぼにそれぞれ入れた後に、混合物を1550℃又は1500℃で4時間加熱し、そして750℃で2時間保持しながら空気中で冷却した。その後、各ガラス化可能な混合物に対応する溶融させてから冷却した材料を抜き取り、厚さ4mmのプレートの形に切り取った。各プレートの2つの面を、機械的に研磨した。こうして、各温度について3つの、6枚の研摩プレート試料を得た。
【0042】
上記のプレートのおのおのに存在する欠陥(気泡及び溶解していない粒子)の面積割合を測定することにより、可融性及び清澄を評価した。このために、適当な光学顕微鏡を使って、6枚のプレートのおのおの光学顕微鏡写真を得た。グレースケールの顕微鏡写真では、欠陥は溶融した材料よりも暗く見え、したがって二値化による画像解析の方法を使ってそれらを識別することができる。その後、それらの面積割合を、上述の画像技術により変換された顕微鏡写真における欠陥の面積を測定し、そしてこの面積を全面積と比べることによって計算する。結果を下記の表5に提示する。
【0043】
【表5】
【0044】
炭酸リチウム、アルミナ及びシリカを使用する従来技術の対照方法及びペタライトQ1を使用する本発明の方法にそれぞれ対応するガラス化可能な混合物M1及びM2について表5のデータを比較すると、欠陥の比率は、1550℃で得られたグリーンガラスについてはほぼ同等であること、及び1500℃では、本発明の方法により得られたグリーンガラスにおける欠陥の比率の方がわずかに大きい、ということが分かる。ペタライトQ2を使用した従来技術の第2の方法に対応する混合物M3と比べると、この比率は、1500℃で1/2~1/5である。その結果として、これらの結果は、本発明の方法が、それから出発してガラスセラミック製品を得ることができるガラス製品を製造するための原材料のガラス化可能な混合物の可融性及び清澄を改善することを明らかに実証している。
【0045】
(例2)
一方は本発明の方法の実施形態に従って製造され、他方は従来技術の方法に従って製造された、同じ公称化学組成を有する2つのグリーンガラスを比較する、以下に記載の第2の限定しない例によって、本発明の方法の利点が完全に説明される。
【0046】
従来技術の方法は、酸化物LiO、SiO及びAlがアルミナ、シリカ及びペタライトQ2の形で原材料の混合物に供給される対照の方法である。本発明の方法の実施形態では、これらの3つの酸化物はアルミナ及びペタライトQ3の形で供給される。下記の表6は、これら2つの方法のおのおのによる2つのガラス化可能な混合物M4及びM5をそれぞれ構成する原材料の重量を示している。ガラス化可能な混合物M4及びM5のおのおのにおけるペタライトの重量割合は、80%を上回っている。各混合物は、清澄剤として酸化スズを同じ比率で含有している。これらの2つのガラス化可能な混合物から得られるグリーンガラスの公称化学組成を、下記の表7に示す。
【0047】
【表6】
【0048】
【表7】
【0049】
酸化物の重量割合で表したペタライトQ2及びペタライトQ3の化学組成を、下記の表8に示す。これらの化学組成は、湿式法による化学分析によって得られた。
【0050】
【表8】
【0051】
ペタライトQ2とペタライトQ3は、組成の点では非常によく似ており、そしてFeとして表される、ペタライトQ3については0.007%(70ppm)、ペタライトQ2については0.071%(710ppm)の鉄の全量の差で本質的に異なっている。
【0052】
表6の2つのガラス化可能な混合物の清澄を比較するために、それらに対して次の手順による製造及び清澄の試験を行った。
【0053】
白金るつぼにそれぞれ入れた後に、混合物を1500℃と1600℃の間の温度で2時間と4時間の間の時間加熱し、710℃で1時間保持しながら空気中で冷却した。その後、各ガラス化可能な混合物に対応する溶融させてから冷却した材料を取り出し、直径2cm及び高さ約2cmの円筒の形に切り取った。こうして、各混合物及び各製造サイクルについて1つずつの、6個の円筒状試料を得た。
【0054】
各円筒に存在する気泡の体積割合及び大きさの分布を測定することにより、清澄を評価した。このために、EasyTom 150断層撮影装置を使用するX線断層撮影法により、各円筒を分析した。X線発生装置のパワーは、8Wに固定した。取得速度は、1秒当たり3画像に固定した。ボクセルサイズとも呼ばれる横方向分解能は、13μmに固定した。体積は、FEI/Thermo Scientific社から提供されるAvizoソフトウェアを使って放射線検査断面から推測した。気泡の体積割合及び気泡の大きさの分布は、同じAvisoソフトウェアを使って二値法により計算した。
【0055】
各円筒に存在する気泡の体積割合の値を、下記の表9に示す。各円筒に存在する気泡の大きさの分布を、下記の表10に示す。
【0056】
【表9】
【0057】
【表10】
【0058】
ガラス化可能な混合物M4及びM5について表9のデータを比較すると、気泡の体積比率は本発明の方法で得られた円筒でより小さいということが明らかに分かる。更に、表10のデータは、より大きな気泡の比率が本発明の方法を使って得られた円筒でより大きいということを示している。大きな気泡の大きな比率は、清澄がより進んだ状態に対応している。したがって、本発明の方法は、ガラスセラミック製品をそれから出発して得ることができるガラス製品を製造するための原材料のガラス化可能な混合物のより迅速な清澄をもたらす。
【0059】
(例3)
一方は本発明の方法の実施形態に従って製造され、他方は従来技術の方法に従って製造された、同じ公称化学組成を有する2つのグリーンガラスを比較する、以下に記載の第3の限定しない例によって、本発明の方法の利点が完全に説明される。
【0060】
従来技術の方法は、酸化物LiO、SiO及びAlがアルミナ、シリカ及びペタライトQ2の形の原材料の混合でもって供給される対照の方法である。本発明の方法の実施形態では、これらの3つの酸化物はアルミナ、シリカ及びペタライトQ1の形で供給される。下記の表11は、これら2つの方法のおのおのによる2つのガラス化可能な混合物M6及びM7をそれぞれ構成する原材料の重量を示している。ガラス化可能な混合物M6及びM7のおのおのにおけるペタライトの重量割合は、50%である。各混合物は、清澄剤として酸化スズを同じ比率で含有している。これらの2つのガラス化可能な混合物から得られるグリーンガラスの公称化学組成を、下記の表12に示す。
【0061】
【表11】
【0062】
【表12】
【0063】
酸化物の重量割合で表したペタライトQ1及びペタライトQ2の化学組成は、表3に示した例1のものと同じである。
【0064】
表11の2つのガラス化可能な混合物の清澄を比較するために、それらに対して次の手順による製造及び清澄試験を行った。
【0065】
それぞれ白金るつぼに入れた後に、混合物を1500℃と1650℃の間の温度で1時間と4時間の間の時間加熱し、710℃で1時間保持しながら空気中で冷却した。その後、各ガラス化可能な混合物に対応する溶融させてから冷却した材料を取り出し、直径2cm及び高さ約2cmの円筒の形に切り取った。こうして、各混合物及び各製造サイクルについて1つずつの、6個の円筒状試料を得た。
【0066】
各円筒に存在する気泡の体積割合を測定することにより、清澄を評価した。このために、EasyTom 150断層撮影装置を使用するX線断層撮影法により、各円筒を分析した。X線発生装置のパワーは、8Wに固定した。取得速度は、1秒当たり3画像に固定した。ボクセルサイズとも呼ばれる横方向分解能は、13μmに固定した。体積は、FEI/Thermo Scientific社から提供されるAvizoソフトウェアを使って放射線検査断面から推測した。気泡の体積割合は、同じAvisoソフトウェアを使って二値法により計算した。
【0067】
各円筒に存在する気泡の体積割合の値を、下記の表13に示す。
【0068】
【表13】
【0069】
ガラス化可能な混合物M6及びM7について表13のデータを比べると、本発明の方法を用いて得られた円筒で気泡の体積割合がより小さいことが分かる。これらの結果は、本発明の方法が、それから出発してガラスセラミック製品を得ることができるガラス製品を製造するための原材料のガラス化可能な混合物の清澄を改善するということを実証している。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0069】
ガラス化可能な混合物M6及びM7について表13のデータを比べると、本発明の方法を用いて得られた円筒で気泡の体積割合がより小さいことが分かる。これらの結果は、本発明の方法が、それから出発してガラスセラミック製品を得ることができるガラス製品を製造するための原材料のガラス化可能な混合物の清澄を改善するということを実証している。
本発明の実施態様の一部を以下の項目1~17に記載する。
《項目1》
次の工程を含む、リチウムアルミノケイ酸塩ガラス製品を製造する方法であって:
a.原材料のガラス化可能な混合物を溶融させること、
b.溶融した材料を清澄させること、
c.前記溶融した材料を冷却して、それによりガラスを作ること、
d.前記ガラスを成形すること、
前記方法は、原材料の前記ガラス化可能な混合物が、Fe として表して200ppm以下の全鉄分の重量割合を有するペタライトを含むことを特徴とする、リチウムアルミノケイ酸塩ガラス製品の製造方法。
《項目2》
ガラス化可能な材料の前記混合物が、不可避の痕跡分を除いて、ヒ素酸化物及びアンチモン酸化物を含まない、項目1に記載の方法。
《項目3》
工程bにおける清澄温度が、最高で1700℃、特に最高で1600℃、好ましくは最高で1550℃である、項目1又は2に記載の方法。
《項目4》
原材料の前記ガラス化可能な混合物中の前記ペタライトの重量割合が、少なくとも50%、とりわけ少なくとも70%、特に少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%である、項目1~3のいずれか一項に記載の方法。
《項目5》
前記ペタライトが、90%以上の重量割合でペタライト鉱物を含む、項目1~4のいずれか一項に記載の方法。
《項目6》
前記ペタライトが、Fe として表して100ppm以下、好ましくは50ppm以下の全鉄分の重量割合を有する、項目1~5のいずれか一項に記載の方法。
《項目7》
前記ペタライトが、0.10%以上のフッ素の重量割合を有する、項目1~6のいずれか一項に記載の方法。
《項目8》
原材料の前記混合物が、最大で4%の重量割合のアルカリ金属の硝酸塩又はアルカリ土類の硝酸塩を含む、項目1~7のいずれか一項に記載の方法。
《項目9》
原材料の前記ガラス化可能な混合物が、SnO 、CeO 、MnO 、フッ化物及び塩化物から選ばれる1種以上の清澄剤を含む、項目1~8のいずれか一項に記載の方法。
《項目10》
前記清澄剤がSnO であり、最終のガラス中の前記SnO の重量割合が0.5%未満、特に0.4%と0.1%の間である、項目9に記載の方法。
《項目11》
原材料の前記ガラス化可能な混合物中の、Fe として表した全鉄分の重量割合が、4ppmと200ppmの間である、項目1~10のいずれか一項に記載の方法。
《項目12》
得られるガラスが、下記の成分を重量割合で表される下記に規定した範囲内で含む、項目1~11のいずれか一項に記載の方法。
SiO 52~75%
Al 12~27%
Li O 2~5.5%
Na O 0~3%
O 0~3%
CaO 0~5%
MgO 0~5%
SrO 0~5%
BaO 0~5%
ZnO 0~5%
TiO 1~6%
ZrO 0~3%
0~8%
《項目13》
項目1~12のいずれか一項に記載の方法により得られるガラス製品。
《項目14》
セラミック化する工程e)を更に含む、項目1~12のいずれか一項に記載の方法。
《項目15》
項目14に記載の方法により得られるガラスセラミック製品。
《項目16》
CoO、Cr 、MnO 、NiO、V 及びCeO から選ばれる1種以上の酸化物を使って着色されている、項目15に記載のガラスセラミック製品。
《項目17》
項目15又は16に記載のガラスセラミック製品を含む、調理機器、暖炉インサート、又は防火用グレージング。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の工程を含む、リチウムアルミノケイ酸塩ガラス製品を製造する方法であって:
a.原材料のガラス化可能な混合物を溶融させること、
b.溶融した材料を清澄させること、
c.前記溶融した材料を冷却して、それによりガラスを作ること、
d.前記ガラスを成形すること、
前記方法は、原材料の前記ガラス化可能な混合物が、Feとして表して200ppm以下の全鉄分の重量割合を有するペタライトを含むこと、及び
原材料の前記ガラス化可能な混合物中の前記ペタライトの重量割合が、少なくとも50%であること
を特徴とする、リチウムアルミノケイ酸塩ガラス製品の製造方法。
【請求項2】
ガラス化可能な材料の前記混合物が、不可避の痕跡分を除いて、ヒ素酸化物及びアンチモン酸化物を含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程bにおける清澄温度が、最高で1700℃、特に最高で1600℃、好ましくは最高で1550℃である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
原材料の前記ガラス化可能な混合物中の前記ペタライトの重量割合が、少なくとも70%、特に少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ペタライトが、90%以上の重量割合でペタライト鉱物を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ペタライトが、Feとして表して100ppm以下、好ましくは50ppm以下の全鉄分の重量割合を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ペタライトが、0.10%以上のフッ素の重量割合を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
原材料の前記混合物が、最大で4%の重量割合のアルカリ金属の硝酸塩又はアルカリ土類の硝酸塩を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
原材料の前記ガラス化可能な混合物が、SnO、CeO、MnO、フッ化物及び塩化物から選ばれる1種以上の清澄剤を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記清澄剤がSnOであり、最終のガラス中の前記SnOの重量割合が0.5%未満、特に0.4%と0.1%の間である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
原材料の前記ガラス化可能な混合物中の、Feとして表した全鉄分の重量割合が、4ppmと200ppmの間である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
得られるガラスが、下記の成分を重量割合で表される下記に規定した範囲内で含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
SiO 52~75%
Al 12~27%
LiO 2~5.5%
NaO 0~3%
O 0~3%
CaO 0~5%
MgO 0~5%
SrO 0~5%
BaO 0~5%
ZnO 0~5%
TiO 1~6%
ZrO 0~3%
0~8%
【請求項13】
セラミック化する工程e)を更に含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【外国語明細書】