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  • 特開-圧縮逆洗方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120703
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】圧縮逆洗方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 27/00 20060101AFI20230823BHJP
【FI】
B01D27/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023704
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】597078466
【氏名又は名称】株式会社 三進ろ過工業
(74)【代理人】
【識別番号】100124419
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 敬也
(74)【代理人】
【識別番号】100162293
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 久生
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 信男
【テーマコード(参考)】
4D116
【Fターム(参考)】
4D116AA07
4D116BB01
4D116KK04
4D116QB41
4D116QC29D
4D116QC36D
4D116RR01
4D116RR05
4D116RR07
4D116RR12
4D116RR16
4D116TT05
4D116TT06
4D116UU14
4D116UU15
4D116VV07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】カートリッジ式濾過装置に取り付けたカートリッジフィルターの濾過機能の衰退を防止する、具体的には、カートリッジフィルターの寿命を3倍程度引き延ばすことができる、カートリッジフィルターの逆洗方法を提供すること。
【解決手段】カートリッジ式濾過装置のカートリッジフィルターを逆洗する圧縮逆洗方法であって、濾過タンク(3A,3B)内、及び濾過タンク(3A,3B)に水を送るための配管2内の水を抜いて空の状態にする排水ステップと、濾過タンク(3A,3B)の出口弁(4A,4B)を閉じた状態で逆洗を行う圧縮逆洗ステップと、濾過タンク(3A,3B)の出口弁(4A,4B)を開けた状態で逆洗する逆洗ステップを備えることを特徴とする圧縮逆洗方法とした。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジ式濾過装置のカートリッジフィルターを逆洗する圧縮逆洗方法であって、
濾過タンク内、及び前記濾過タンクに水を送るための配管内の水を抜いて空の状態にする排水ステップと、
前記濾過タンクの出口弁を閉じた状態で逆洗を行う圧縮逆洗ステップと、
前記濾過タンクの出口弁を開けた状態で逆洗する逆洗ステップを備えることを特徴とする圧縮逆洗方法。
【請求項2】
前記排水ステップに費やす時間は30秒から120秒であり、前記圧縮逆洗ステップに費やす時間は2秒から4秒であり、前記逆洗ステップに費やす時間は5秒から10秒であることを特徴とする請求項1に記載の圧縮逆洗方法。
【請求項3】
前記排水ステップと前記圧縮逆洗ステップと前記逆洗ステップを3回繰り返すことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧縮逆洗方法。
【請求項4】
濾過タンクが2台(A、B)設置されたカートリッジ式濾過装置のカートリッジフィルターを逆洗する圧縮逆洗方法であって、
濾過タンクA内、及び前記濾過タンクAに水を送るための配管内の水を抜いて空の状態にする排水ステップAと、
前記濾過タンクAの出口弁を閉じた状態で逆洗を行う圧縮逆洗ステップAと、
前記濾過タンクAの出口弁を開けた状態で逆洗する逆洗ステップAと、
濾過タンクB内、及び前記濾過タンクBに水を送るための配管内の水を抜いて空の状態にする排水ステップBと、
前記濾過タンクBの出口弁を閉じた状態で逆洗を行う圧縮逆洗ステップBと、
前記濾過タンクBの出口弁を開けた状態で逆洗する逆洗ステップBを備えることを特徴とする圧縮逆洗方法。
【請求項5】
前記排水ステップ(A,B)に費やす時間は、それぞれ、30秒から120秒であり、前記圧縮逆洗ステップ(A,B)に費やす時間は、それぞれ、2秒から4秒であり、前記逆洗ステップ(A,B)に費やす時間は、それぞれ、5秒から10秒であることを特徴とする請求項4に記載の圧縮逆洗方法。
【請求項6】
前記排水ステップ(A,B)と前記圧縮逆洗ステップ(A,B)と前記逆洗ステップ(A,B)を3回繰り返すことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の圧縮逆洗方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジ式濾過装置に取り付けたフィルターの濾過機能の衰退を防止するために行う、フィルター内部の蓄積物による汚れを除去する圧縮逆洗方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水泳プール、浴場等の水質を維持するための循環型のカートリッジ式濾過装置には、交換可能な(複数本の)カートリッジフィルターが取り付けられている。濾過処理を継続して行うと、カートリッジフィルター内部に(汚れ:濁質、髪の毛等)が徐々に蓄積し、カートリッジフィルターが目詰まりするため、濾過能力の低下、濾過圧力の上昇等の現象が生じ、濾過機能の減退をきたしてしまう。そのため、目詰まりしたタイミングで(複数本の)カートリッジフィルターを交換する必要がある。カートリッジフィルターの目詰まりを除去してカートリッジフィルターを交換する時期を少しでも遅らせようとする試みとして、カートリッジフィルター内部の蓄積物による汚れを除去するため、カートリッジフィルター内部に水や圧縮空気を逆流させる(逆洗という)ことでフィルター性能を回復させることも一般的に行われている。
【0003】
現状行われている逆流方法は、コンプレッサー等の圧縮空気供給源から圧縮空気をカートリッジフィルター内に送ることで、フィルター奥の汚れを表面に押し出し、その後、水流で逆洗を行う方法、或いは、水流と圧縮空気を同時にカートリッジフィルター内部に送り込む等の方法が採られている。しかしながら、現状の逆洗方法ではカートリッジフィルター内の蓄積物による汚れを十分に除去することができないため、(所定の期間経過後)カートリッジフィルターを交換する必要があった。このような現状において、廃棄コストを軽減させるため、カートリッジフィルターを長持ちさせて交換サイクルを延長するような、即ち、一度セットしたカートリッジフィルターで長期に亘る繰り返しの濾過処理が可能となるような優れた逆洗方法の開発、及び実用化が望まれていた。
【0004】
特許文献1には、「中空糸膜からなるフィルターで産業排水、家庭排水、これらの活性汚泥処理液、などの排水をケーク濾過(懸濁物を含む液を濾材で濾過したときに、濾材の表面にケーク(かす)が堆積する濾過方法をいい、表面濾過ともいう)する場合の濾過性能を回復させるための簡便な逆洗方法を提供する(特許文献1:要約より)」ことを課題として、中空糸膜フィルターによる排水の濾過において、ケーク濾過の範囲で、水道圧を利用して、水道水をろ過方向と反対の方向から流す(逆洗時に水道水を中空糸膜の内側から外側へ流すことが好ましい)中空糸膜フィルターの逆洗方法(特許文献1:発明の名称)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-033364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に係る中空糸膜フィルターの逆洗方法(特許文献1:発明の名称)は、排水の濾過に用いる中空糸膜フィルターの逆洗手段として水道水をそのまま利用する簡便な中空糸膜フィルターの逆洗方法である。逆洗手段として水道水を利用するので、逆洗ポンプ等を含む特別な逆洗回路が不要になり、設備が簡単になるだけでなく、経済的でもあるので、ろ過液として水道水以上の水質が要求されない用途にはきわめて効果的に利用できる。しかしながら、水圧が水道水の圧力までしか上がらないので、完全にフィルター内部の蓄積物(汚れ)を除去することができないものと思われる。さらに、水道水以上の水質が要求されるような場合には不向きであると言える。
【0007】
本発明の目的は、カートリッジ式濾過装置に取り付けたカートリッジフィルターの濾過機能の衰退を防止する、具体的には、カートリッジフィルターの寿命を3倍程度引き延ばすことができる、カートリッジフィルターの逆洗方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、カートリッジ式濾過装置のカートリッジフィルターを逆洗する圧縮逆洗方法であって、濾過タンク内、及び前記濾過タンクに水を送るための配管内の水を抜いて空の状態にする排水ステップと、前記濾過タンクの出口弁を閉じた状態で逆洗を行う圧縮逆洗ステップと、前記濾過タンクの出口弁を開けた状態で逆洗する逆洗ステップを備えることを特徴とする圧縮逆洗方法であることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2に記載された発明は、請求項1において、前記排水ステップに費やす時間は30秒から120秒であり、前記圧縮逆洗ステップに費やす時間は2秒から4秒であり、前記逆洗ステップに費やす時間は5秒から10秒である圧縮逆洗方法であることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に記載された発明は、請求項1または請求項2において、前記排水ステップと前記圧縮逆洗ステップと前記逆洗ステップを3回繰り返す圧縮逆洗方法であることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4に記載された発明は、濾過タンクが2台(A、B)設置されたカートリッジ式濾過装置のカートリッジフィルターを逆洗する圧縮逆洗方法であって、濾過タンクA内、及び前記濾過タンクAに水を送るための配管内の水を抜いて空の状態にする排水ステップAと、前記濾過タンクAの出口弁を閉じた状態で逆洗を行う圧縮逆洗ステップAと、前記濾過タンクAの出口弁を開けた状態で逆洗する逆洗ステップAと、濾過タンクB内、及び前記濾過タンクBに水を送るための配管内の水を抜いて空の状態にする排水ステップBと、前記濾過タンクBの出口弁を閉じた状態で逆洗を行う圧縮逆洗ステップBと、前記濾過タンクBの出口弁を開けた状態で逆洗する逆洗ステップBを備えることを特徴とする圧縮逆洗方法であることを特徴とするものである。
【0012】
請求項5に記載された発明は、請求項4において、前記排水ステップ(A,B)に費やす時間は、それぞれ、30秒から120秒であり、前記圧縮逆洗ステップ(A,B)に費やす時間は、それぞれ、2秒から4秒であり、前記逆洗ステップ(A,B)に費やす時間は、それぞれ、5秒から10秒である圧縮逆洗方法であることを特徴とするものである。
【0013】
請求項6に記載された発明は、請求項4または請求項5において、前記排水ステップ(A,B)と前記圧縮逆洗ステップ(A,B)と前記逆洗ステップ(A,B)を3回繰り返す圧縮逆洗方法であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る圧縮逆洗方法は、カートリッジ式濾過装置のカートリッジフィルターを逆洗する(圧縮逆洗)方法である。濾過タンク内、及び濾過タンクに水を送るための配管内の水を抜いて空の状態にする排水ステップと、濾過タンクの出口弁を閉じた状態で逆洗を行う圧縮逆洗ステップと、濾過タンクの出口弁を開けた状態で逆洗する逆洗ステップを備えている。排水ステップにて濾過タンク内、及び濾過タンクに水を送るための配管内を空にした状態で、一定の時間(2秒~4秒)圧縮逆洗を行うので、濾過タンクの内圧が上昇することになる。即ち、濾過タンク内の空気が圧縮されることになる。その効果として、(コンプレッサー等の圧縮空気発生源無しで)フィルター内に溜まった汚れを逆洗にて従来よりも効果的に除去することができる。本発明のポイントは、圧縮逆洗ステップにて圧縮された空気の(高い)圧力により洗浄効果を向上させることにある。
【0015】
さらに、濾過タンクを2台並列(A系統、B系統)に配置することにより、通常(濾過)運転時には、水をA系統、B系統の両方に流していたのを、(A系統、B系統を別個に行う)逆洗時には、水をA系統、又はB系統のいずれかのみに流すことになり、その分、洗浄に要する単位時間当たりの水量が増すので、濾過タンク内の空気の圧力が増強されることになる。そのため、増強された空気圧により洗浄効果が増強されることになる。それらの効果として、フィルター内に溜まった汚れを逆洗にて従来よりも効果的に除去することができるようになるため、カートリッジフィルターの交換サイクルを従来の3倍程度まで延ばすことができるようになった。さらに言えば、逆洗時間を低減し、逆洗に使用する水量を減らすことができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】カートリッジ式濾過装置における通常(濾過)運転時における水流を説明するための図である。
図2】A系統における排水ステップを説明するための図である。
図3】A系統における圧縮逆洗ステップ、及び逆洗ステップを説明するための図である。
図4】B系統における排水ステップを説明するための図である。
図5】B系統における圧縮逆洗ステップ、及び逆洗ステップを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る圧縮逆洗方法の一実施形態について、濾過タンクが2台(A系統、B系統)設置されたカートリッジ式濾過装置のカートリッジフィルターを逆洗する圧縮逆洗方法を中心に、図1図5に基づいて詳細に説明する。尚、本発明に係る圧縮逆洗方法は濾過タンクが1台設置されたカートリッジ濾過装置の場合であっても有効な方法であることは言うまでも無い。
【0018】
本発明に係る圧縮逆洗方法の一実施形態を説明する前に、濾過装置の通常(濾過)運転時における濾過フローについて説明する。図1は、カートリッジ式濾過装置における通常(濾過)運転時における水流を説明するための図である。図1に記載したように、原水1(プール等から来た浄化処理される前の水)は、配管2を通って、濾過装置内の濾材の入った濾過タンク(3A、3B)を通過し、処理水5として再びプール等に戻される。(この時、矢印は濾過タンク(3A、3B)手前側から向こう側に向かっていることに留意されたい(図1参照)。逆洗時(圧縮逆洗ステップ、逆洗ステップ)においては水流方向が逆になる。)圧縮逆洗方法は、通常(濾過)運転により、徐々に蓄積するカートリッジフィルター内部の蓄積物による汚れを除去するため、カートリッジフィルター内に水や(コンプレッサー等を使用すること無く)圧縮された空気を逆流させる(逆洗という)方法に関する発明である。
【0019】
圧縮逆洗方法は、濾過タンク(3A、3B)内部、及び濾過タンク(3A、3B)に水を送るための配管2内部の水を抜いて空の状態にする排水ステップ(30秒~120秒)と、濾過タンク(3A、3B)の(逆洗・洗浄排水側6に排水する際の)出口弁(4A,4B)を閉じた状態で、逆洗を行う圧縮逆洗ステップ(2秒~4秒程度)と、濾過タンク(3A、3B)の(逆洗・洗浄排水側6に排水する際の)出口弁(4A,4B)を開けた状態で逆洗する逆洗ステップ(5秒~10秒程度)を備えている。排水ステップから逆洗ステップに移行する間に、濾過タンク(3A、3B)の(逆洗・洗浄排水側6に排水する際の)出口弁(4A,4B)を閉じた状態で、水を逆流(通常運転とは逆の方向に水を流す)することで濾過タンク(3A、3B)の内圧を上げる圧縮逆洗ステップを設けたことに特徴がある。
【0020】
排水ステップでは、濾過タンク(3A、3B)内のみならず、濾過タンク(3A、3B)に水を送るための配管2内(原水側1から濾過タンク(3A、3B)に到達するまで全ての配管2内)の水を抜いてしまうことに特徴がある。図2は、本発明に係る(圧縮逆洗方法における)A系統における排水ステップを説明するための図である。
【0021】
図2に記載したように、排水ステップでは、先ず、濾過タンク3A、及び濾過タンク3Aに水を送るための配管2内(原水側1から濾過タンク3Aに到達するまでの全ての配管2内)の水を逆洗・洗浄排水側6に放流することで抜くことになる。即ち、排水ステップにて、濾過タンク3Aと配管2(原水側1から濾過タンク3Aに到達するまで全ての配管2内の水を抜いて空にする。言い換えれば、濾過タンク3Aと配管2(原水側1から濾過タンク3Aに到達するまでの全ての配管2)内が圧縮されていない空気に満たされた状態になる。
【0022】
図3は、A系統における圧縮逆洗ステップ、及び逆洗ステップを説明するための図である。圧縮逆洗ステップでは、濾過タンク3Aの(逆洗・洗浄排水側6に排水する際の)出口弁4Aを閉じた状態で(通常運転とは逆流になる方向に:図1、及び図3参照)水を送り込むことで、濾過タンク3Aの内圧を上昇させることに特徴がある。即ち、排水ステップから逆洗ステップに移行する間に、2~4秒程度濾過タンク3Aの(逆洗・洗浄排水側6に排水する際の)出口弁4Aを閉じた状態にして、濾過タンク3A内に水を流入させる圧縮逆洗ステップを加えることで、濾過タンク3A内圧を、コンプレッサー等を使用すること無く上昇させることが本発明の特徴である。
【0023】
即ち、排水ステップから逆洗ステップに移行する間に、(圧縮逆洗ステップにて)2~4秒程度(逆洗・洗浄排水側6に排水する際の)出口弁4Aを閉じた状態にして、濾過タンク3A内の圧力を上昇させているので、(逆流ステップにおいて、逆洗・洗浄排水側6に排水する際の)出口弁4Aを開放すると、濾過タンク3A内の圧縮された空気で、先ず濾過タンク3Aに設置されたフィルターの奥の汚れをフィルター表面に押し出し、その後、(逆流ステップにおいて)逆流させた水によりフィルターの汚れを洗い流すことになる。
【0024】
本発明に係る圧縮逆洗方法においては、基本的には、排水ステップと圧縮逆洗ステップと逆洗ステップを3回繰り返すことになるが、繰り返し回数における限定は無いので、排水ステップと圧縮逆洗ステップと逆洗ステップを行っていれば、本発明に含まれるものであることは言うまでもない。
【0025】
図2図3に記載したように)排水ステップと圧縮逆洗ステップと逆洗ステップにおいては、濾過タンク(濾過装置)をA系統とB系統に分割してそれぞれ別個に行っている(但し、濾過タンク(濾過装置)をA系統とB系統に分割しないで逆洗を行う場合であっても、本発明に係る圧縮逆洗方法に含まれることは言うまでもない)。濾過タンク(濾過装置)をA系統とB系統に分割することで、逆洗する際に水を片側(A系統、B系統のいずれか一方)に送るため、通常運転時の水量が単位時間当たり2倍となる。
【0026】
従って、圧縮逆洗ステップ時に濾過タンク3A内で(通常運転時との比較において約2倍の水量で圧縮された)空気が、逆洗ステップ時に作用するので、フィルター奥の汚れをフィルター表面に押し出す際の圧力が増加するので、より洗浄効果が向上するものである。即ち、通常運転時の約2倍の水量が流れることになるので、その分、フィルターの汚れを洗い流す効果が向上することになる。逆洗ステップ完了後、A系統、B系統同時に30秒~60秒程度洗浄を行い、濾過した水を逆洗・洗浄排水側6に排出する。即ち、フィルター表面に残った汚れを逆洗・洗浄排水側6に排出する。その後、通常(濾過)運転に移行することになる。
【0027】
図4は、本発明に係る(圧縮逆洗方法における)B系統における排水ステップを説明するための図である。排水ステップでは、先ず、濾過タンク3B、及び濾過タンク3Bに水を送るための配管2内(原水側1から濾過タンク3Bに到達するまでの全ての配管2内部)の水を逆洗・洗浄排水側6に放流することで抜くことになる。排水ステップにて、濾過タンク3Bと配管2(原水側1から濾過タンク3Bに到達するまで全ての配管2内の水を抜いて空にする。言い換えれば、濾過タンク3Bと配管2(原水側1から濾過タンク3Bに到達するまでの全ての配管2)内が圧縮されていない空気に満たされた状態になる。
【0028】
図5は、B系統における圧縮逆洗ステップ、及び逆洗ステップを説明するための図である。圧縮逆洗ステップでは、濾過タンク3Bの(逆洗・洗浄排水側6に排水する際の)出口弁4Bを閉じた状態で(通常運転とは逆流になる方向に:図1図5参照)水を送り込むことで、濾過タンク3Bの内圧を上昇させることに特徴がある。即ち、排水ステップから逆洗ステップに移行する間に、2~4秒程度濾過タンク3Bの(逆洗・洗浄排水側6に排水する際の)出口弁4Bを閉じた状態にして、濾過タンク3B内に水を流入させる圧縮逆洗ステップを挿入することで、濾過タンク3Bの内圧を上昇させることが本発明の特徴である。
【0029】
即ち、逆洗ステップに移行する前に、(圧縮逆洗ステップにて)2~4秒程度(逆洗・洗浄排水側6に排水する際の)出口弁4Bを閉じた状態にして濾過タンク3B内の圧力を上昇させているので、(逆洗・洗浄排水側6に排水する際の)出口弁4Bを開放すると、圧縮された空気で、先ずフィルターの奥の汚れを表面に押し出し、その後、逆流させた水によりフィルターの汚れを洗い流すことになる。
【0030】
上記に記載したように、排水ステップ、圧縮逆洗ステップ、逆洗ステップでは、先ず、A系統において、(排水ステップ30秒~120秒、圧縮逆洗ステップ2秒~4秒、逆洗ステップ5秒~10秒)×3回を行い(図2図3参照)、その後、B系統において、(排水ステップ30秒~120秒、圧縮逆洗ステップ2秒~4秒、逆洗ステップ5秒~10秒)×3回を行う(図4図5参照)ことになる。
<圧縮逆洗方法の効果>
【0031】
本発明に係る圧縮逆洗方法は、排水ステップにて濾過タンク(3A、3B)内、及び濾過タンク(3A、3B)に水を送るための配管内を空にした状態で、濾過タンク(3A、3B)の(逆洗・洗浄排水側6に排水する際の)出口弁(4A、4B)を閉じた状態で圧縮逆洗を行うことに特徴がある。排水ステップにて濾過タンク(3A、3B)内、及び濾過タンク(3A、3B)に水を送るための配管内を空にした状態で、濾過タンク(3A、3B)の(逆洗・洗浄排水側6に排水する際の)出口弁(4A、4B)を閉じた状態で圧縮逆洗(2秒~4秒)を行うので、ポンプで濾過タンク(3A、3B)に吸水する際、濾過タンク(3A、3B)の内圧が上昇することになる。即ち、濾過タンク(3A、3B)内の空気が圧縮されることになる。
【0032】
圧縮洗浄方法は、圧縮された空気の圧力により洗浄効果が上がることになる。即ち、圧縮逆洗ステップで、圧縮された空気の圧力でフィルターの(奥の)汚れを表面に押し出し、その直後、逆流水の水圧により、フィルター内の汚れを流すことができる。従来であれば、圧縮空気を発生させるためのコンプレッサーを別途設置する必要があったが、本発明においてはコンプレッサー等の圧縮空気発生源を必要としないことが特徴である。
【0033】
しかも、従来のコンプレッサー等の圧縮空気発生源を使用した逆洗方法よりも、逆洗効果が優れているのは、排水ステップにて、濾過タンク(3A、3B)内のみならず、濾過タンク(3A、3B)に水を送るための配管2内(原水1の侵入口から濾過タンク(3A、3B)に到達するまで全ての配管2内)の水を抜いてしまうので、その分、圧縮される空気量が増えるので、(圧縮逆洗ステップで発生させる)圧縮空気の圧力が、コンプレッサー等の圧縮空気供給源から発生させた場合よりも(大量に流すことができるため)高い圧力を得ることができるからである。
【0034】
さらに、濾過タンク(3A、3B)を2台並列に配置することにより、圧縮された空気の圧力が増強され、増強された空気圧により洗浄効果が増強されることになる。それらの効果として、フィルター内に溜まった汚れを、逆洗にて従来よりも効果的に除去することができるようになった。従って、カートリッジフィルターの交換サイクルを従来の3倍程度まで延ばすことができるようになった。さらに、逆洗時間を低減し、逆洗に使用する水量を(極端に)減らすことができるようになった。
【0035】
<圧縮逆洗方法の変更例>
本発明に係る圧縮逆洗方法は、上記した各実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、排水ステップ、圧縮逆洗ステップ、逆洗ステップ等の方法を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明に係る圧縮逆洗方法は、上記の如く優れた効果を奏するものであるので、カートリッジ式濾過装置のカートリッジフィルターを逆洗する圧縮逆洗方法として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0037】
1・・原水(側)
2・・配管
3A・・濾過タンク
3B・・濾過タンク
4A・・出口弁
4B・・出口弁
5・・処理水(側)
6・・逆洗・洗浄排水(側)
図1
図2
図3
図4
図5