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特開2023-12071閉塞部材の設置方法及びこれに用いられる作動流体装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012071
(43)【公開日】2023-01-25
(54)【発明の名称】閉塞部材の設置方法及びこれに用いられる作動流体装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/00 20060101AFI20230118BHJP
   F16L 41/16 20060101ALI20230118BHJP
【FI】
F16L55/00 C
F16L41/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115492
(22)【出願日】2021-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000105556
【氏名又は名称】コスモ工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】高橋 伸司
【テーマコード(参考)】
3H019
【Fターム(参考)】
3H019DA01
3H019DA03
3H019DA19
(57)【要約】
【課題】流体管に不断流状態で安全に閉塞部材を設置可能な閉塞部材の設置方法、及びこれに用いられる作動流体装置を提供する。
【解決手段】作動流体回路100を備えた作動流体装置90のポンプ120からアクチュエータ110に閉塞部材84の流体管1内への挿入方向に作動流体を送出する送出工程と、送出工程において、流体管1内の圧力が変化してアクチュエータ110に対して閉塞部材84の挿入方向とは逆方向の衝撃圧が発生した際に、アクチュエータ110から逆流する作動流体が流体制御手段150によって規制される規制工程と、規制工程の後に、送出工程に復帰する復帰工程と、閉塞部材84が設置位置に到達した際に、ポンプ120からアクチュエータ110への作動流体の供給を停止する停止工程と、を備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉塞部材を不断流状態の流体管の分岐部に密封状に設置するための方法であって、
作動流体回路を備えた作動流体装置のポンプからアクチュエータに前記閉塞部材の流体管内への挿入方向に作動流体を送出する送出工程と、
前記送出工程において、前記流体管内の圧力が変化して前記アクチュエータに対して前記閉塞部材の挿入方向とは逆方向の衝撃圧が発生した際に、前記アクチュエータから逆流する作動流体が流体制御手段によって規制される規制工程と、
前記規制工程の後に、前記送出工程に復帰する復帰工程と、
前記閉塞部材が設置位置に到達した際に、前記ポンプから前記アクチュエータへの作動流体の供給を停止する停止工程と、を備えることを特徴とする閉塞部材の設置方法。
【請求項2】
前記流体管の本管部と前記分岐部との流路を開閉可能な流路開閉弁を備え、前記流路開閉弁の外側の前記分岐部に、密封部材による密封状態で前記閉塞部材が挿入されることを特徴とする請求項1に記載の閉塞部材の設置方法。
【請求項3】
前記密封部材は、前記閉塞部材の挿入方向に複数設けられ、該複数の密封部材が密封した状態で前記流路開閉弁を開放することを特徴とする請求項2に記載の閉塞部材の設置方法。
【請求項4】
前記閉塞部材の先端側の前記密封部材が、前記分岐部に形成された前記流路開閉弁用の開口を通過した位置で密封することを特徴とする請求項3に記載の閉塞部材の設置方法。
【請求項5】
前記流路開閉弁と前記閉塞部材との間に空気を介在させた状態で該閉塞部材が挿入されることを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の閉塞部材の設置方法。
【請求項6】
前記閉塞部材は、開閉弁体付きの閉塞部材であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の閉塞部材の設置方法。
【請求項7】
前記流体制御手段は、カウンタバランス弁であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の閉塞部材の設置方法。
【請求項8】
閉塞部材を不断流状態の流体管の分岐部に密封状に設置するための作動流体装置であって、
作動流体を送出するポンプと、作動流体により動作するアクチュエータと、作動流体を貯留するタンクと、前記アクチュエータから前記タンクへの作動流体の移動を規制可能な流体制御手段と、からなる作動流体回路を備え、
前記流体制御手段は、前記アクチュエータと前記流体制御手段との間の作動流体の逆流を防止する逆止弁を少なくとも有することを特徴とする作動流体装置。
【請求項9】
前記流体制御手段は、前記逆止弁に併設してリリーフ弁を有するカウンタバランス弁であることを特徴とする請求項8に記載の作動流体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体管に不断流状態で安全に閉塞部材を設置可能な閉塞部材の設置方法及びこれに用いられる作動流体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水やガス等が流れる既設の管路を構成する流体管は、経年劣化や新たな分岐路を形成する際に、既設の流体管の一部を新たな流体管に変更する場合がある。このような場合、例えば、既設の流体管の管軸方向に離間して2つの制流弁を取付け、各制流弁の弁体により流体管の所定区間の流体の流れを遮断するとともに、所定区間をバイパス管で迂回して連通させ、バイパス管により流体管内の流体の流れを止めずに、所定区間の一部を新たな流体管に交換する不断流工法が一般的に行われている。
【0003】
また、不断流工法においてバイパス管が取付けられることを想定して、流体が流れる管路部から分岐して延びる首部を有する流体管も知られている。バイパス管を使用しない通常の使用状況では、首部の端部は閉塞部材により閉塞されており、バイパス管を装着する状況では、首部の端部は閉塞部材が取外されて開放され、バイパス管との間に配置される開閉弁体付き閉塞部材の設置が可能となる。このような開閉弁体付き閉塞部材(以下、単に閉塞部材と称する)を不断流状態にて設置可能な方法が知られている。
【0004】
例えば、特許文献1における閉塞部材の設置方法は、首部の管軸方向中央の開口部に取付けられた弁装置が、首部を閉止する位置にある状態において、閉塞部材を首部の所定位置まで挿入した後、弁装置を首部が開放する位置まで開き、閉塞部材をさらに首部に挿入して首部に設置するようになっている。所定位置についてより詳しくは、閉塞部材の挿入方向側に設けられた密封部材が、首部の弁装置用の開口部を超えて、首部の内周面に圧着されて閉塞部材と首部との間を密封可能な位置である。このように、密封部材及び弁装置によって首部の流路を閉塞可能であるため、不断流状態のまま閉塞部材を首部に設置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-132270号(第6~8頁、第6図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような特許文献1の閉塞部材の設置方法では、ボルト・ナットから構成されるスライダ治具を用いて閉塞部材を首部に対して挿入している。より詳しくは、流体管内の流体圧によって挿入方向とは逆方向の抜出方向に押される閉塞部材を、スライダ治具によってその抜出しを規制しつつ、流体圧に抗して閉塞部材をさらに挿入することにより設置している。
【0007】
一方で、流体管及び閉塞部材が大口径である場合、これら流体管及び閉塞部材にかかる押圧力が大きくなり、閉塞部材の挿入に対する抵抗力が増すため、スライダ治具を用いて閉塞部材を設置することが困難となる。そこで、油圧等のポンプやアクチュエータを用いた作動流体装置を用いて閉塞部材を取付けたいという要望があった。
【0008】
しかしながら、アクチュエータのロッドとシリンダが相対移動して閉塞部材を挿入するとき、例えば首部の管軸方向中央の開口部に取付けられた流路開閉弁の開閉等による内部圧力の変化に伴い、閉塞部材にかかる圧力が急激に高まると、アクチュエータに対して逆方向の力を及ぼすことにより、アクチュエータが閉塞部材の挿入方向とは逆方向に動作し、閉塞部材が挿入方向とは逆方向に不測に移動することで、流体管内の流体の漏出や、閉塞部材の急激な抜け出し等の不測の事態が生じる虞があった。このことから、作動流体装置を用いた閉塞部材の挿入は、実用化が困難であった。
【0009】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、流体管に不断流状態で安全に閉塞部材を設置可能な閉塞部材の設置方法、及びこれに用いられる作動流体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明の不断流状態での閉塞部材の設置方法は、
閉塞部材を不断流状態の流体管の分岐部に密封状に設置するための方法であって、
作動流体回路を備えた作動流体装置のポンプからアクチュエータに前記閉塞部材の流体管内への挿入方向に作動流体を送出する送出工程と、
前記送出工程において、前記流体管内の圧力が変化して前記アクチュエータに対して前記閉塞部材の挿入方向とは逆方向の衝撃圧が発生した際に、前記アクチュエータから逆流する作動流体が流体制御手段によって規制される規制工程と、
前記規制工程の後に、前記送出工程に復帰する復帰工程と、
前記閉塞部材が設置位置に到達した際に、前記ポンプから前記アクチュエータへの作動流体の供給を停止する停止工程と、を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、ポンプからアクチュエータに作動流体が送出されることでアクチュエータが作動して閉塞部材を挿入する際に、流体管内の管内流体がアクチュエータに対して挿入方向とは逆方向に及ぼす衝撃圧に対して、アクチュエータから逆流する作動流体が流体制御手段によって規制され、アクチュエータの逆方向への位置変化をさせずに安定して閉塞部材を押し込むことができ、またはその位置を保持することができる。
【0011】
前記流体管の本管部と前記分岐部との流路を開閉可能な流路開閉弁を備え、前記流路開閉弁の外側の前記分岐部に、密封部材による密封状態で前記閉塞部材が挿入されることを特徴としている。
この特徴によれば、本管部の不断流状態を維持したまま、閉塞した流路開閉弁の外側に密封状態で閉塞部材を挿入できる。
【0012】
前記密封部材は、前記閉塞部材の挿入方向に複数設けられ、該複数の密封部材が密封した状態で前記流路開閉弁を開放することを特徴としている。
この特徴によれば、開閉弁の開放による衝撃圧に対する密封性を高めることができる。
【0013】
前記閉塞部材の先端側の前記密封部材が、前記分岐部に形成された前記流路開閉弁用の開口を通過した位置で密封することを特徴としている。
この特徴によれば、閉塞部材の設置後に開閉弁を取り外すことができる。
【0014】
前記流路開閉弁と前記閉塞部材との間に空気を介在させた状態で該閉塞部材が挿入されることを特徴としている。
この特徴によれば、開閉弁を開けた状態で介在した空気を圧縮させながらアクチュエータを作動させることができる。
【0015】
前記閉塞部材は、開閉弁体付きの閉塞部材であることを特徴としている。
この特徴によれば、閉塞部材が流体の流れを制御する機能を有しているので、流体管に対するバイパス管の取付や、流体管自身への開閉部材の取付に利用できる。
【0016】
前記流体制御手段は、カウンタバランス弁であることを特徴としている。
この特徴によれば、逆止弁とリリーフ弁からなるカウンタバランス弁は、一方向の流れに設定した流量制限を与え、逆方向の流れは自由に流れさせるので、アクチュエータから逆流する作動流体を規制することができ、アクチュエータから逆流する作動流体が異常に高圧となった場合には安全弁として機能し開放することができる。
【0017】
本発明の作動流体装置は、
閉塞部材を不断流状態の流体管の分岐部に密封状に設置するための作動流体装置であって、
作動流体を送出するポンプと、作動流体により動作するアクチュエータと、作動流体を貯留するタンクと、前記アクチュエータから前記タンクへの作動流体の移動を規制可能な流体制御手段と、からなる作動流体回路を備え、
前記流体制御手段は、前記アクチュエータと前記流体制御手段との間の作動流体の逆流を防止する逆止弁を少なくとも有することを特徴としている。
この特徴によれば、ポンプからアクチュエータに作動流体が送出されることでアクチュエータが作動して閉塞部材を挿入する際に、流体管内の管内流体がアクチュエータに対して挿入方向とは逆方向に及ぼす衝撃圧に対して、アクチュエータから逆流する作動流体が流体制御手段によって規制され、アクチュエータの逆方向への位置変化をさせずに安定して閉塞部材を押し込むことができ、またはその位置を保持することができる。
【0018】
前記流体制御手段は、前記逆止弁に併設してリリーフ弁を有するカウンタバランス弁であることを特徴としている。
この特徴によれば、作動流体の異常高圧発生時に前記アクチュエータと前記流体制御手段との間の作動流体をリリーフ弁により通過させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(a)は、実施例における敷設状態の管体を示す一部断面の平面図、(b)は、同じく一部断面の側面図である。
図2】首部に弁装置を取付けた状態を示す斜視図である。
図3】閉塞部材にアクチュエータを取付けた状態を示す斜視図である。
図4図3における一部断面平面図である。
図5】作動流体回路の平面図である。
図6】閉塞部材の抜出し時の作動流体回路を示す概要図である。
図7】閉塞部材を所定位置まで抜出した状態を示す一部断面平面図である。
図8】開閉弁体付き閉塞装置の挿入を開始可能な状態を示す斜視図である。
図9】開閉弁体付き閉塞部材の挿入時の作動流体回路を示す概要図である。
図10】開閉弁体付き閉塞装置を所定位置まで挿入した状態を示す斜視図である。
図11図10における一部断面平面図である。
図12】開閉弁体付き閉塞装置を首部に挿入した状態を示す斜視図である。
図13図12における一部断面平面図である。
図14】開閉弁体付き閉塞装置を首部に取付け、弁装置を外した状態を示す斜視図である。
図15】流体管に開閉弁体付き閉塞装置及びバイパス管を取付けた状態を示す一部断面の平面図である。
図16】(a)は流体管を外嵌した筐体を示す一部断面正面図であり、(b)は同じく側面断面図である。
図17】筐体に組付けた作業弁装置を示す斜視図である。
図18】筐体に組付けた穿孔機を示す一部断面正面図である。
図19】作業弁装置に組付けた実施例における挿入手段であるアクチュエータを示す一部断面正面図である。
図20図19と同じく一部断面斜視図である。
図21】アクチュエータに組付けた制流弁を示す一部断面正面図である。
図22】アクチュエータにより制流弁を挿入している途中の状況を示す一部断面斜視図である。
図23】アクチュエータによる制流弁の設置が完了した状況を示す一部断面斜視図である。
図24】筐体に固定された制流弁を示す一部断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る不断流状態での閉塞部材の設置方法及びこれに用いられる作動流体装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0021】
実施例1に係る不断流状態での閉塞部材の設置方法及びこれに用いられる作動流体装置につき、図1から図15を参照して説明する。
【0022】
本実施例の流体管1は、地中に埋設される比較的大口径のダクタイル鋳鉄管である。尚、本発明に係る流体管1は、その他鋳鉄、鋼等の金属製、あるいはコンクリート製、塩化ビニール製、ポリエチレン製若しくはポリオレフィン製等であってもよい。さらに尚、流体管の内周面はエポキシ樹脂層、モルタル、めっき等により被覆されてもよく、若しくは適宜の材料を粉体塗装により流体管の内周面に被覆してもよい。また、本実施例では流体管1内の流体は、本実施例の上水に限らず、例えば工業用水や農業用水、下水等の他、ガスやガスと液体との気液混合体であっても構わない。尚、図1図15において紙面右側を流体管1の上流側として説明する。
【0023】
図1に示されるように、本実施例の流体管1は、上流側及び下流側の端部のいずれもが挿口部2,3となっている。そして、それぞれの挿口部2,3が地中に略水平方向に埋設される流体管路を構成する流体管4,5の受口部6,7に接続される。また、本実施例における流体管1は、流体が流れる管路部8を有し、管路部8の管軸線と異なる方向に突出し、水平方向に分岐された首部41、該首部41よりも若干下流側の部位には、管路部8の管軸線と異なる方向に突出し、垂直方向に分岐された首部11が設けられている。流体管1が敷設された通常の状態では、首部11の開放端部13は栓体21により、首部41の開放端部43は栓体51によりそれぞれ閉塞されている。また、本実施例の首部11,41は、比較的大口径(本実施例では首部11が口径300mm、首部41が口径200mm)である。
【0024】
尚、後述するように、本実施例の流体管1は、その分岐部としての首部41に、本発明の閉塞部材としての開閉弁84及びバイパス管85を取付けて流体の迂回経路を確保することで(図15参照)、迂回経路にて流体を流し続けるとともに、流体管1の下流側の流体管4,5にて工事を行えるようになっており、不断流状態での施工に適した流体管1となっている。さらに、首部11は、管路部8を仕切るための後述する仕切弁本体190(図15参照)が着脱されるようになっている。
【0025】
本発明に係る不断流状態での首部41への開閉弁84の設置について説明する前に、先ず、首部11,41からの栓体21,51(閉塞部材)の取外しについて説明する。図1の首部11、41並びに栓体21,51は、その断面形状が異なっているが、構成は同一であるため、主に、首部41及び栓体51の構成について説明する。図1に示されるように、管路部8には、管路部8に形成された孔部42を取り囲むように筒状の首部41が形成され、首部41は、孔部42に連通する開放端部43、該開放端部43に連なるフランジ47及び後述する流路開閉弁としての作業弁76が取付け可能な開口部44を有している。尚、図1の首部41の断面形状は、略円形であるが、図1の首部11のように略楕円であってもよいし、略小判形、略矩形等であってもよい。
【0026】
また、フランジ47には、ボルト・ナット49によって栓体51のフランジ54が着脱可能に固定されている。尚、フランジ47と栓体51との間に図示しないパッキンを挿入して密封性を高めてもよい。栓体51は、首部41の内周に沿って挿入される筒部51aを有し、この筒部51aの外周の環状の溝に嵌め込まれて、筒部51aの軸方向に所定間隔を離間して保持される密封部材52,53を有している。栓体51が、フランジ47に固定された状態で、密封部材52は、開口部44より管路部8側の内周面45に接し、首部41と栓体51との隙間が密封され、開放端部43及び開口部44から管路部8の流体が漏洩することが防止される。同じく、栓体51が、フランジ47に固定された状態で、密封部材53は、開口部44より開放端部43側の内周面46に接し、首部41と栓体51との隙間が密封されて、開放端部43から管路部8の流体が漏洩することが防止される。
【0027】
このように、栓体51は、開口部44及び開放端部43を同時に密封する機能を有している。尚、密封部材として、断面が円形の丸ゴムパッキン、略C字状または方形状または、リップ付きのゴムパッキンを使用することができる。尚、嵌め込み式の密封部材ではなくライニング式の密封部材でもよい。
【0028】
また、密封部材52,53は、首部41の管路部8側の内周面45及び開放端部43側の内周面46を首部41の管軸方向に摺動可能となっている。図1(a)において、ボルト・ナット49を外し、後述する作動流体装置90を用いてフランジ47から離間するように栓体51を抜出して、密封部材52が開口部44の位置に達すると、密封部材52が開口部44に面する側は、首部41の内周面と密着しなくなるため、密封部材52は一時的に密封機能を失う。しかし、密封部材52が開口部44に位置したとき、密封部材53は、首部41の開放端部43側の内周面46に接して、首部41と栓体51との隙間を密封しているので、開放端部43から管路部8の流体の漏洩が依然として防止される。そして、さらに、栓体51を抜出すと、栓体51は更にフランジ47から離間するように移動し、密封部材52は、首部41の開放端部43側の内周面46に接して、首部41と栓体51との隙間を密封するようになる。すなわち、開放端部43からの管路部8の流体の漏洩が常に防止される。
【0029】
このように、栓体51は、筒部51aの外周面に、首部41の内周面を首部41の管軸方向に摺動可能な密封部材52,53を備えているので、密封状態を保ちつつ、栓体51を首部41に対してその管軸方向に移動できる。また、栓体51が、フランジ47に固定された状態で、密封部材53の上端から開放端部43までの寸法は、栓体51に設けられた密封部材52と密封部材53との間の寸法よりも大きく設定されている。したがって、栓体51がフランジ47から離間しながら抜出する際には、密封部材52及び密封部材53のうち少なくとも一方は、必ず同時に開放端部43側の内周面46に接する状態を形成できるので、首部41に開口部44が存在していても、栓体51は、その挿入位置に関わらず確実に密封状態を保つことができる。
【0030】
次に、不断流状態でバイパス管85及び仕切弁本体190を装着するまでの手順について説明する。不断流状態で工事を行う場合に、最初の手順として、首部41の開口部44よりカバー56(図1参照)を取外す。
【0031】
図2に示されるように、首部41の開口部44(図14参照)に作業弁本体77を取付け、ボルト・ナットを規定のトルクで締付け、作業弁本体77と保持具78とを首部41に取付ける。これによって作業弁76は開口部44に取付けられる。
【0032】
次に、図3,4に示されるように、首部41のフランジ47(図4参照)と栓体51の外周縁に構成されるフランジ54(図4参照)に、作動流体装置90(図4参照)を取付ける。作動流体装置90は、2つの油圧式のアクチュエータ110が固定される第1保持具91,92(図3参照)と、第1保持具91,92にボルト・ナットにより固定される第2保持具93,94(図3参照)と、2つの油圧式のアクチュエータ110を含む油圧回路100(作動流体回路)(図5,6参照)と、から主に構成されている。尚、保持具91~94のうち、首部41のフランジ47に取付けられる支持側の保持具として、支持側の第1保持具91及び支持側の第2保持具93と記載し、栓体51のフランジ54側に取付けられる移動側の保持具として、移動側の第1保持具92及び移動側の第2保持具94と記載する場合もある。
【0033】
支持側の第1保持具91には、各アクチュエータ110のロッド112(図4参照)の先端部が固定され、移動側の第1保持具92には、各アクチュエータ110のシリンダ111の先端部が固定されている。また、2つのアクチュエータ110は、栓体51の径方向(本実施例では左右方向)に対向するように第1保持具91,92に固定されている。
【0034】
これら第1保持具91,92は、フランジ47,54の本実施例では上側の外径側端部に外嵌されている。
【0035】
また、第2保持具93,94は、フランジ47,54の本実施例では下側の外径側端部に外嵌されている。第1保持具91,92をそれぞれフランジ47,54の外径側端部に外嵌した後、第1保持具91,92に径方向に対向配置した状態で第2保持具93,94をそれぞれフランジ47,54の外径側端部に外嵌し、第1保持具91と第2保持具93とをネジ等で組付けるとともに、第1保持具92と第2保持具94とを同様に組付ける。これにより、首部41及び栓体51に2つのアクチュエータ110を装着することができる。
【0036】
ここで、作動流体装置90の油圧回路100について説明する。図5,6に示されるように、油圧回路100は、2つのアクチュエータ110L,110Rと、石油系作動油等の作動流体を送出するポンプ120と、作動流体を貯留するタンク130と、切換弁140と、流体制御手段150と、複数のゴム製の各チューブ162,166,167,168,170,171(作動流体管)と、から主に構成されている。このように、各チューブがゴム製であるため、アクチュエータ110L,110Rを装着するにあたって取扱いがし易く配管構成が容易良好である。
【0037】
図6に示されるように、アクチュエータ110L,110Rは、シリンダ111と、シリンダ111内に挿通され軸方向に移動可能に設けられたロッド112と、ロッド112の端に固定され、シリンダ111の内周面に摺接しながら軸方向に移動可能に設けられたピストン113と、から主に構成されている。
【0038】
シリンダ111の内部は、ピストン113によってヘッド室114と、ロッド室115とに密封状に区画されている。尚、シリンダ111内のロッド112が配置されている側がロッド室115であり、その反対側がヘッド室114である。
【0039】
また、図5に示されるように、シリンダ111には、ヘッド室114に連通可能なニップル116と、ロッド室115に連通可能なニップル117が設けられ、各チューブのコネクタと脱着可能に構成されている。各ニップル116,117は、チューブのコネクタが外されている状態では図示しない弁が閉塞状態となるため、各室114,115から作動流体が漏出することを防止する。一方、コネクタが連結されている状態では弁が開放状態となるため、各室114,115に作動流体が流出入することを可能とする。これは、各チューブのコネクタ、このコネクタが連結されるポンプ120、切換弁140等の各ニップルについても、同様である。
【0040】
次いで、油圧回路100の構成について詳しく説明する。ポンプ120は、本実施例では手動式であり、タンク130から主管路160に作動流体を送出するためのものである。尚、ポンプは、手動式に限られず、モータ式やエンジン式であってもよく、適宜変更されてもよい。
【0041】
図6に示されるように、ポンプ120から送出された作動流体は、主管路160を通って切換弁140に流入する(図6黒塗矢印参照)。
【0042】
切換弁140は、6ポート3位置タイプのオープンセンタ型であり、本実施例では手動式である。切換弁140が中立位置にあるときには、主管路160がタンク側管路161を通じてタンク130に接続されている。尚、切換弁140は、手動式に限られず、スイッチ式やリモコン式であってもよく、適宜変更されてもよい。
【0043】
切換弁140は、図6に示すように、押側位置Bにあっては、主管路160をヘッド室114に連通接続するとともに、ロッド室115をタンク側管路161に連通接続する。また、切換弁140は、図9に示すように、引側位置Aにあっては、主管路160をロッド室115に連通接続するとともに、ヘッド室114をタンク側管路161に連通接続する。
【0044】
ここで、切換弁140と各アクチュエータ110L,110Rとの接続について詳しく説明する。切換弁140と各アクチュエータ110L,110Rのヘッド室114は、第3ヘッド室側チューブ162、ブランチ163、シャットオフ弁164,165、チューブ166,167によって接続される。第1ヘッド室側シャットオフ弁164が接続された第1ヘッド室側チューブ166は、第1アクチュエータ110Lのニップル116(図5参照)に接続され、第2ヘッド室側シャットオフ弁165が接続された第2ヘッド室側チューブ167は、第2アクチュエータ110Rのニップル116(図5参照)に接続される。
【0045】
また、チューブ166,167は、ブランチ163によって切換弁140から分岐され並列に接続されている。さらに、チューブ166,167は、同じ種類のチューブであり、その軸長は略同一となっている。これらにより、ポンプ120からブランチ163に流入した行きの作動流体は、ブランチ163内にて略等分に各アクチュエータ110L,110Rに分配されるため、各アクチュエータ110L,110Rを同じ伸縮量で動作させることができるようになっている。なお、各アクチュエータ110L,110Rからブランチ163に流入した戻りの作動流体は、ブランチ163内にて合流して、タンク130に流出される。
【0046】
一方、切換弁140と各アクチュエータ110L,110Rのロッド室115は、第3ロッド室側チューブ168、流体制御手段150、高圧チーズ169、チューブ170,171によって接続される。第1ロッド室側チューブ170は、第1アクチュエータ110Lのニップル117(図5参照)に接続され、第2ロッド室側チューブ171は、第2アクチュエータ110Rのニップル117(図5参照)に接続される。
【0047】
流体制御手段150は、第3ロッド室側チューブ168と高圧チーズ169に連通可能な主流路151と、主流路151の途中に設けられた逆止弁152と、主流路151における逆止弁152よりも高圧チーズ169側の作動流体の作動流体圧に応じて開閉可能なリリーフ弁153と、を備えている。なお、流体制御手段150として、カウンタバランス弁を適用すると好ましい。
【0048】
逆止弁152は、主流路151を第3ロッド室側チューブ168から高圧チーズ169に向かって移動する行きの作動流体に対しては開放される一方、高圧チーズ169から第3ロッド室側チューブ168に向かって移動する行きの作動流体に対しては閉塞される。
【0049】
リリーフ弁153は、所定圧以上で開放するが、その開放時には、主流路151における逆止弁152よりも高圧チーズ169側から、主流路151における逆止弁152よりも第3ロッド室側チューブ168に作動流体を流出させる。また、リリーフ弁153は、図示しない調整手段によって、開放可能な流体圧を調整可能となっているため、流体管1内の管内流体圧に応じて調整することができる。
【0050】
また、チューブ170,171は、高圧チーズ169によって流体制御手段150に対して並列に接続されている。さらに、チューブ170,171は、同じ種類のチューブであり、その軸長は略同一となっている。これらにより、ポンプ120から高圧チーズ169に流入した行きの作動流体は、高圧チーズ169内にて略等分に各アクチュエータ110に分配されるため、各アクチュエータ110L,110Rを同じ伸縮量で動作させることができるようになっている。なお、各アクチュエータ110から高圧チーズ169に流入した戻りの作動流体は、高圧チーズ169内にて合流して、タンク130に流出される。
【0051】
不断流状態でバイパス管85及び仕切弁本体190を装着するまでの手順についての説明に戻って、油圧回路100の切換弁140を押側位置Bに切り替えた後、首部41のフランジ47および栓体51のフランジ54に取り付けられているボルト・ナット49(図3,4参照)全数を取外す。ここで、本実施例では、首部41及び栓体51は比較的大口径であり、経年劣化により栓体51の密封部材52,53(図4参照)は首部41の内周面に固着しているため、流体管1内の管内流体圧だけでは栓体51が抜出さない状態にある。
【0052】
尚、管内流体圧だけで栓体51が抜出せるような状態であっても、作動流体装置90によって栓体51を現状の閉塞位置に維持することができる。より詳しくは、流体制御手段150のリリーフ弁153を調整手段により、リリーフ弁153が開放される圧力値を、流体管1内の管内流体圧よりも高い圧力に事前に調整することによって、栓体51を介してアクチュエータ110のシリンダ111に流体管1内の管内流体圧が作用して、ロッド112に対してシリンダ111が離間方向に移動しようとしてロッド室115内の作動流体圧が高められても、流体制御手段150によってロッド室115から戻りの作動流体の移動が規制されるため、栓体51を現状の閉塞位置に維持することができる。
【0053】
次に、ボルト・ナット49を取外したボルト孔のうち2か所に、抜出し防止用ボルト95・ナット96を取付ける。また、支持側の第1保持具91に固定され、移動側の第1保持具92に対して相対移動可能に挿通されているストッパ取付けロッド97の栓体51の抜出方向側にストッパ98を装着する。そして、ストッパ98の首部41側の縁と略同一直線上に抜出し防止用ナット96の位置を調整する。
【0054】
次に、図6を参照して、作動流体装置90のポンプ120を操作する。この際、切換弁140は、前述したように押側位置Bに切り替えられている。これにより、ポンプ120から送出された行きの作動流体が、切換弁140、第3ヘッド室側チューブ162、ブランチ163、シャットオフ弁164,165、チューブ166,167を通過して、各アクチュエータ110のヘッド室114に流入し、ヘッド室114内の作動流体圧を高める。これにより、ピストン113がロッド室115側に移動しようとしてロッド室115と、流体制御手段150におけるリリーフ弁153との間の作動流体圧が高められる。
【0055】
リリーフ弁153の上流側の作動流体圧がリリーフ弁153を開放可能な圧力以上となると、リリーフ弁153が開放されて、各ロッド室115からチューブ170,171、高圧チーズ169、リリーフ弁153、第3ロッド室側チューブ168、切換弁140を通過して、戻りの作動流体がタンク130に排出されるとともに、ロッド112が伸出されることで、シリンダ111がピストン113及びロッド112に対して離間方向、すなわち栓体51の抜出方向に移動する。これにより、移動側の保持具92,94を介して栓体51を抜出方向に移動させる。
【0056】
また、作動流体は、非圧縮性の油であるため、リリーフ弁153が開放されることによって作動流体が通過するとともに、即座にリリーフ弁153の上流側の作動流体圧もリリーフ弁153を開放させるに足る圧力を下回ると、リリーフ弁153の付勢手段によってその弁体が閉塞方向に移動する。一方で、手動式のポンプ120から順次送出された作動流体によって、リリーフ弁153を開放させるための圧力が再び高まる。
【0057】
このように、作動流体がリリーフ弁153を通過することによる圧力低下、そして手動式のポンプ120による作動流体の圧力増進を連続的に繰り返すことによって、図7に示されるように、移動側の第1保持具92がストッパ98に当接する直前または当接する所定位置まで栓体51を抜出す。この所定位置では、上述したように密封部材52が首部41の内周面46に密着して、首部41と栓体51との間が密封されている。
【0058】
また、栓体51の抜出しを開始してから、所定位置に移動させるまでの間に、密封部材52,53が首部11の内周面に固着した状態から栓体51の移動によって剥がされ密封力が低下することや、密封部材52が開口部44の位置に達して密封力が低下することがある。
【0059】
このような場合には、流体管1の管内流体圧によるシリンダ111をロッド112及びピストン113に対して離間方向に移動させようとする力が相対的に増し、リリーフ弁153の上流側の作動流体圧が増加することがあるものの、リリーフ弁153を開放させるに足る圧力は、流体管1の管内流体圧よりも高い圧力に設定されているため、リリーフ弁153は閉塞したままである。これにより、ロッド室115から送出される戻りの作動流体がリリーフ弁153によって規制されるため、意図せずロッド112がロッド112及びピストン113に対して離間方向に移動することを防止することができる。
【0060】
また、流体管1の管内流体圧によるシリンダ111をロッド112及びピストン113に対して離間方向に移動させようとする力が相対的に増し、リリーフ弁153の上流側の作動流体圧が増加することによって、栓体51の抜出しを開始したときよりも相対的にリリーフ弁153の上流側の作動流体圧及びヘッド室114内の作動流体圧も増加する。これにより、リリーフ弁153を開放させるために必要な作動流体の作動流体圧に到達するまでのポンプ120の操作回数が低減されることとなる。
【0061】
所定位置まで栓体51を抜出したら、作業弁76の操作軸80を回動させて、図示しない弁体を弁座に当接させて、首部41を閉塞する。作業弁76によって首部41が閉塞されるまでの間、上述したように密封部材52によって、流体管1内の管内流体の漏出が防止されている。
【0062】
また、上述したように、流体管1の管内流体圧によるシリンダ111をロッド112及びピストン113に対して離間方向に移動させようとする力が変化しても、栓体51の位置を維持することができるため、作業弁76によって首部41が閉塞されるまでの間に亘って、流体管1内の管内流体の漏出を安定して防止することができる。
【0063】
次に、各抜出し防止用ボルト95に対して、栓体51を抜出し可能な位置まで抜出し防止用ナット96の位置を調整し、各ストッパ98をストッパ取付けロッド97から取外し、作動流体装置90を用いて首部41を閉塞した状態で当該首部41から栓体51全体を抜出す。最後に、首部41のフランジ47から支持側の保持具91,93を取外し、栓体51を取外す。
【0064】
次に、本発明に係る不断流状態での首部41への開閉弁84の設置について説明する。開閉弁84は、栓体51の筒部51aと略同一の筒部84aを有し、この筒部84aには、栓体51の密封部材52,53と同様に、筒部84aの軸方向に離間して2つの密封部材132,133が取付けられているため、栓体51と同様に首部41を閉塞することができるようになっている。尚、以下の説明において、栓体51の取外方法と略同一の説明については省略する。
【0065】
最初に、図8を参照して、移動側の保持具92,94を栓体51から取外し、開閉弁84のフランジ86に固定し、支持側の保持具91,93を首部41のフランジ47に取付ける。このとき、開閉弁84は閉塞状態となっている。
【0066】
次に、図8,9に示されるように、油圧回路100の切換弁140を引側位置Aに切り替えた後、再び抜出し防止用ボルト95・ナット96を取付け、支持側の第1保持具91に固定され、移動側の第1保持具92に対して相対移動可能に挿通されているストッパ取付けロッド97の開閉弁84の挿入方向側にストッパ98を装着する。
【0067】
次に、作動流体装置90のポンプ120を操作する。この際、切換弁140は、引側位置Aに切り替えられているため、ポンプ120から送出された行きの作動流体が、切換弁140、第3ロッド室側チューブ168、流体制御手段150の逆止弁152、高圧チーズ169、チューブ170,171を通過して、各アクチュエータ110のロッド室115に流入し、ロッド室115内の作動流体圧を高める。これにより、ピストン113がヘッド室114側に移動して、各ヘッド室114内の作動流体が開放されたシャットオフ弁164,165を通過し、各ヘッド室114からチューブ166,167、シャットオフ弁164,165、ブランチ163、第3ヘッド室側チューブ162、切換弁140を通過して、戻りの作動流体がタンク130に排出される。すなわち、ロッド112が収縮されることで、シリンダ111がピストン113及びロッド112に対して近接方向に移動する。これにより、移動側の保持具92,94を介して開閉弁84を挿入方向に従動させ、開閉弁84の筒部を首部41内に挿入する(送出工程)。
【0068】
開閉弁84の挿入において、流体管1の管内流体圧によるシリンダ111をロッド112及びピストン113に対して離間方向に移動させようとする力が変化して、ロッド室115内の作動流体圧が高められたとしても、ロッド室115にはポンプ120から送出された行きの作動流体が流入可能となっている一方、ポンプ120側への逆流が流体制御手段150の逆止弁152及びリリーフ弁153によって規制されているため、シリンダ111がロッド112及びピストン113に対して離間方向に移動することが防止されている。特に、リリーフ弁153は、流体管1の管内流体圧よりも高く設定された所定圧以上で開放するので、上記したように管内流体圧に対する作動流体の逆流を規制することができ、且つアクチュエータから逆流する作動流体が異常に高圧となった場合には安全弁として機能し開放することができる。
【0069】
図10,11に示されるように、開閉弁84を首部41内に挿入するときには、作業弁76の弁体83が首部41を閉鎖している。開閉弁84の筒部84aには、2つの密封部材132,133が取付けられており、先ずは前方の密封部材132、続けて後方の密封部材133が首部41を密封するので、開閉弁84と弁体83との間の首部41内には空気が内在しており、開閉弁84はアクチュエータにより内在する空気を圧縮し、更にこの圧縮空気の圧力に抗しながら密封状態で挿入することができる。
【0070】
次に、第1保持具91,92がストッパ98に当接する直前または当接する所定位置まで開閉弁84を挿入すると、ロッド112の収縮により首部41内に挿入された開閉弁84は、少なくとも前方の密封部材132が首部41の開口部44よりも開放端部43側の内周面46に密接することで密封状態が保たれる。そして、この密封状態にて、作業弁76の操作軸80を回動させて、弁体83を作業弁本体77内に収納させ、首部41を開放する。
【0071】
このとき、首部41内に内在する圧縮空気と、管内圧の液体(管内流体)とが首部41内で急激に合流し、瞬間的に大きな圧力変動(衝撃圧)が発生する場合がある。しかしながら、首部41の開放により流体管1内の管内流体圧が開閉弁84に作用しても、上述したように流体制御手段150がアクチュエータから逆流する作動流体の流れを規制するので、シリンダ111がロッド112及びピストン113に対して現状の位置を保持し、離間方向に移動することが防止されているため、流体管1内の管内流体の漏出を防止することができる(規制工程)。また、開閉弁84の筒部84aには、2つの密封部材132,133が取付けられているので、作業弁76の開放による衝撃圧に対する密封性を高めることができる。
【0072】
流体制御手段150がアクチュエータから逆流する作動流体の流れを規制した後に、開閉弁84が首部41の管路部8側に移動するに際し、首部41の開放端部43側の内周面46を密封していた密封部材132が、首部41の作業弁76の取付用の開口部44を通過するとき、首部41の開放端部43側の内周面46から離間するため一時的に密封状態を維持できなくなるが、このとき開放端部43側の密封部材133が首部41の開放端部43側の内周面46を密封している。すなわち筒部84aの軸方向に離間したこれら密封部材132,133により、開閉弁84を設置するまで密封状態は常に維持され、流体漏洩を防止することができる。次に、図12,13に示されるように、各ストッパ98を取外し、作動流体装置90を用いて開閉弁84の筒部84a全体を挿入する(復帰工程)。このとき、開閉弁84の先端側の密封部材132が、首部41に形成された作業弁76の取付用の開口部44を通過した位置で密封するので、開閉弁84の設置後に作業弁76を取り外すことができる。
【0073】
そして、各抜出し防止用ボルト95・ナット96を取外し(図8,10参照)、ボルト・ナット49全数を用いて首部41のフランジ47と、開閉弁84のフランジ86とを固定し、ポンプ120からアクチュエータ110への作動流体の供給を停止する。これにより、首部41(不断流状態の流体管の分岐部)に開閉弁84を密封状に設置する工程が完了する(停止工程)。最後に、図14に示されるように、作業弁76を首部41の開口部44から取外し、カバー56にて開口部44を閉塞する。その後、開閉弁84にボルト・ナットを用いてバイパス管85を固定する(図15参照)。
【0074】
次に、図示しない弁挿入装置を使用して、管路部8を仕切るための仕切弁本体190を首部11に設置する。
【0075】
これらのようにして、図15に示すように、首部11への仕切弁本体190の設置、首部41への開閉弁84の設置及びバイパス管85の取付けが完了する。流体管4,5を敷設替えする際には、首部41に取付けた開閉弁84を上流側及び下流側ともに開いて、バイパス管85に流体を流すとともに、管路部8に設けられた上流側及び下流側の仕切弁本体190を閉止する。すると、2つの仕切弁本体190の間に挟まれた流体管4,5を不断流状態で工事を行えるようになる。
【0076】
また、不断流状態での工事が終了して流体管1が長期間設置される敷設状態に戻す際には、先ず管路部8の仕切弁本体190を引き上げて筐体192内に収容して管路部8を開放し、下流側の流体管4,5に流体が流れるようにした状態にする。次に、首部41に取付けた開閉弁84を閉塞し、迂回用のバイパス管85を取外し、作動流体装置90を用いて栓体51の取外方法と同様の手順にて開閉弁84を首部41から取外す。そして、作動流体装置90を用いて開閉弁84の設置方法と同様の手順にて栓体51により首部41の開放端部43を閉塞し、ボルト・ナット49を用いて首部41のフランジ47と、栓体51のフランジ54を固定する。
【0077】
仕切弁本体190は、図示しない弁挿入装置を用いて作業弁の弁体を閉止できる位置まで、仕切弁本体190を引上げた後、作業弁の弁体を首部11に挿入して、首部11を閉止する。そして、仕切弁本体190及び弁挿入装置を取外し、作動流体装置90を用いて開閉弁84の取付方法と同様の手順にて栓体21により首部11の開放端部13を閉塞し、ボルト・ナット19を用いて首部11のフランジ17と、栓体21のフランジを固定する。また、開口部14をバックアップリング26により閉塞する。
【0078】
このように本発明によれば、作動流体装置90のポンプ120からアクチュエータ110に作動流体が送出されることでアクチュエータ110が作動して閉塞部材としての開閉弁84を挿入する際に、流体管1内の管内流体がアクチュエータ110に対して挿入方向とは逆方向に及ぼす衝撃圧に対して、アクチュエータ110から逆流する作動流体が流体制御手段150によって規制され、アクチュエータ110の逆方向への位置変化をさせずに安定して開閉弁84を押し込むことができ、またはその位置を保持することができる。
【実施例0079】
実施例2に係る不断流状態での閉塞部材の設置方法及びこれに用いられる作動流体装置につき、図16から図24を参照して説明する。本実施例では、不断流状態で、管路構成部材である既設の流体管501の所定箇所に筐体505内にて穿孔した後、筐体505の首部505dの開放端部505cに、管内流体を制御するための制流弁510を接続する方法について説明する。
【0080】
先ず、図16,17に示されるように、流体管501の外面を清掃した後、この流体管1の後述する穿孔部分を密封するためのシール部材504を介し、筐体505を密封状に外嵌する。筐体505は、複数分割構造であり、本実施例では、上部側を構成する第1分割体551と、下部側を構成する第2分割体552とから主に構成されている。尚、筐体505の分割構造は、本実施例に限らず例えば、水平方向に分割されてもよいし、また、分割数も3分割以上の所定数に分割されてもよい。また、分割筐体同士は、本実施例では、ボルト・ナットからなる締結部材502により密封状態で接合されるものであるが、これに限らず例えば、溶接接合であっても構わない。
【0081】
図16に示されるように、筐体505の第1分割体551は、流体管501に沿って管路方向に延設される管路筐体部505aと、管路筐体部505aの略中央で上下方向に分岐して延設され、上方に開口する開放端部505c、及び側方に開口する開口部505bを有する筒状であって、流体管501の分岐部としての首部505dとから構成され、正面視逆T字状に形成されている。
【0082】
更に首部505dの開放端部505cは、流体管501の管路方向に向けて一対に外径方向に突出したフランジ状の鍔部505e、505eと、この鍔部505eの周方向の中央位置にて内径方向に凹設された係合部としての切欠部505f、505fとを有している。
【0083】
この首部505dは、その筒状の周側部に、外面が径方向に突出した管厚部505gを備え、この管厚部505gに、流体管501の管路方向の一方に向けて開口する開口部505bを有している。開口部505bは側面視で横長の略長方形に開口しており、後述するように流路開閉弁としての作業弁装置503の作業弁体531が挿通可能に形成されている。
【0084】
また図16(a)に示されるように、首部505dの内周部は、平面視略円形の曲面且つ上下方向に直線状に形成された内周面505hと、開口部505bと同じ高さ位置にて外径方向に凹設された凹設部505iと、この凹設部505iよりも下方に形成され、上方の内周面505hと上下方向に略面一に形成された内周面505jと、この内周面505jの下端に連なり内径方向に突出した段部505kとを備えている。
【0085】
次に、図17に示されるように、この首部505dの開口部505bに対し作業弁装置503を密封状に接続する。作業弁装置503は、筐体505内を開閉可能にスライドする作業弁体531と、この作業弁体531を水平方向にスライド可能に収容する収容内部532a、及びその側方の一端が開放された開放部532bを有する作業弁筐体としての収容部材532と、この収容部材532とともに首部505dに外嵌可能に、曲面状の内周面を有する取付部材533とから主として構成される。
【0086】
図17に示されるように、収容部材532は、回転可能で且つ進退不能に枢支され、水平方向に延設された軸部材534を備え、この軸部材534に作業弁体531が螺合しており、この収容部材532の外方に突出した軸部材534の先端部534aに取り付けた操作部材535を回転操作することで、作業弁体531が収容部材532に対しスライド可能に構成されている。また収容部材532の上面及び取付部材533の上面には、後述するアクチュエータ560を支持するための支持部536,536が設けられている。
【0087】
また図18に示されるように、作業弁体531の上面には板状のシール部材531aが被覆されており、このシール部材531aによって筐体505内を密封状に閉塞可能に構成される。
【0088】
作業弁装置503の取付手順について詳しくは、先ず収容部材532を、その開放部532bが首部505dの開口部505bに連通する位置にて首部505dの外面に配置する。次に取付部材533を、首部505dを挟んで収容部材532の反対側の位置にて首部505dの外面に配置する。
【0089】
次に図17に示されるように、これら収容部材532及び取付部材533を締結する。本実施例では、取付部材533の両端部にボルト537の基端537aがヒンジ状に接続されており、当該ボルト537を収容部材532に向けて回動して、収容部材532の係合部533aの外周部に形成された隙間部532dに挿入し、更にこのボルト537の先端にナット538を螺合することで締結している。
【0090】
次に図18に示されるように、首部505dの開放端部505cに対し穿孔機507を密封状に接続する。穿孔機507は、取付フランジ筒571と、流体管501を穿孔するためのカッタ572と、取付フランジ筒571内においてカッタ572を回転させるための駆動モータ574と、カッタ572を上下方向に進行・退避させるための進退機構573と、から主に構成されている。カッタ572は、流体管501よりも小径の有底筒状に形成され、その先端に周方向に沿って切断刃を備えたホールソー572aと、該ホールソー572aの回転軸と同軸に配設され切断刃よりも先方に突出したセンタードリル572bとから構成されている。尚、カッタ572は、筐体505の首部505dの開放端部505cと同心円状に配設され、開放端部505c側から筐体505の首部505d内に挿入され、少なくとも流体管501の管頂部の管壁を貫通する位置まで進行可能となっている。
【0091】
次に、図18に示されるように、穿孔機507による流体管501の穿孔工程を説明すると、先ず、作業弁装置503の作業弁体531を収容部材532の収容内部532aに配置させ筐体505内を開放した状態において、穿孔機507の駆動モータ574によりカッタ572を回転させるとともに、進退機構573を構成するハンドル573aを回転操作することでカッタ572を下方に進行させ、流体管501の管頂部の管壁を不断流状態で穿孔する。
【0092】
また、カッタ572により流体管501が切断されると、流体管501から分断された管頂部の切片(図示略)がホールソー572a内に保持された状態となる。そして、カッタ572を切片とともに取付フランジ筒571の内部に引き上げ、作業弁装置503の作業弁体531により筐体505内部を閉塞することで、流体管501の穿孔作業が完了する。
【0093】
次に、作業弁装置503の作業弁体531により筐体505内部を密封状に閉塞した状態で、穿孔機507の撤去作業を行い、この穿孔機507に替えて首部505dの開放端部505cに、穿孔の際に生じた切り粉を排出するための図示しない排出機を接続する。
【0094】
次に、作業弁装置503の作業弁体531により筐体505内部を閉塞した状態で、図示しない排出機の撤去作業を行い、この排出機に替えて首部505dの開放端部505cに、管内流体を制御するための制流弁510を接続する。この制流弁510が本実施例の閉塞部材を構成する。
【0095】
この制流弁510の取付けに先立ち、図19、20に示されるように、まず作業弁装置503の支持部536,536に、制流弁510を筐体505に挿入するための挿入手段として、一対のアクチュエータ560を上下方向に立設する。アクチュエータ560は、作業弁装置503の支持部536に接続される支持プレート561と、この支持プレート561に固定支持された内空構造のシリンダ562と、このシリンダ562内に一端が嵌挿されたピストンロッド563とから主として構成されている。アクチュエータ560は、上述した実施例1の作動流体装置90の油圧回路100のアクチュエータ110に換えて、特に図示しないが実施例1と同様の作動流体装置の油圧回路を構成するものであり、このシリンダ562の内部に供給口562a,562aに接続される図示しない作動液ホースを介し、油等の作動液を供給ポンプ等により供給することで、その液圧によりピストンロッド563を上下に押圧しながら伸縮可能となっている。また一対のアクチュエータ560、560は、それぞれのピストンロッド563,563が同期して伸縮し、その上端が常に同じ位置に配置されるように構成されている。
【0096】
図21に示されるように、制流弁510は、流体管501の穿孔された孔部501bを通過し管内を開閉可能に上下動する栓体511(弁体)と、この栓体511を上下方向に移動可能に収容し、且つ下端が開放された周側部513を有する弁筐体512とから主として構成される。弁筐体512は、回転可能で且つ進退不能に枢支された状態で上下方向に延設された軸部材514を備え、この軸部材514に栓体511が螺合しており、この弁筐体512の外方に突出した軸部材514の上端の操作部514aを回転操作することで、栓体511が弁筐体512に対し上下動可能に構成されている。
【0097】
より詳しくは栓体511は、軸部材514に螺合した雌ネジを備えた雌ネジ片511aと、この雌ネジ片511aに係合して追従動作する芯部511bと、この芯部511bの全外面に亘って被覆した弾性材からなる栓部511cと、から主として構成されている。栓体511は、上記した軸部材514の回転により下方の流体管501の孔部501bを通じて管内に移動して、栓部511cが流体管501の孔部501bと内周面501cに全周に亘って密接することで、管内の流路を完全に遮断し、または栓部511cの移動量に応じて管内の流路を一部遮断して流量を制御可能に構成されている。
【0098】
また制流弁510の弁筐体512は、その上端側に周側部513を側方に貫通し、常時は閉状態の開閉プラグ515が螺合する雌ネジ部を備えた空気抜き孔513aが形成されるとともに、周側部513の下端側の外周面に全周に亘る凹部513b、513bが、上下に離間して2条形成され、それぞれの凹部513bに密封部材521、522が設けられている。以下、弁筐体512の下端側(先端側)を第1の密封部材521と称し、この第1の密封部材521よりも上側(基端側)を第2の密封部材522と称して説明する。
【0099】
また第1の密封部材521と第2の密封部材522との上下方向の離間距離は、首部505dの開口部505bの上下方向の開口幅よりも大きく構成されている。
【0100】
次に、制流弁510の設置工程について説明すると、図21に示されるように、アクチュエータ560のピストンロッド563,563を伸長させるとともに、これらの上端に制流弁510を押圧するための押圧部材564を架設し、ナット565で締結する。更に、この押圧部材564の略中央に貫通形成された嵌合部564aに、制流弁510の弁筐体512の上端周縁を嵌合させた状態とし、ピストンロッド563,563を液圧により下方に作動させることで、押圧部材564の底面である押圧面564bを介して制流弁510に下方に押圧力を付与し、この制流弁510を首部505d内にて漸次下方に移動させる。
【0101】
次に、本実施例の作動流体装置90のポンプ120の操作について説明するが、実施例1と同様である(図9参照)。この際、切換弁140は、引側位置Aに切り替えられている。これにより、ポンプ120から送出された行きの作動流体が、切換弁140、第3ロッド室側チューブ168、流体制御手段150の逆止弁152、高圧チーズ169、チューブ170,171を通過して、各アクチュエータ560のロッド室115に流入し、ロッド室115内の作動流体圧を高める。これにより、ピストンロッド563がヘッド室114側に移動して、各ヘッド室114と、シャットオフ弁164,165との間の作動流体圧が高められる。
【0102】
シャットオフ弁164,165は開放されているので、各ヘッド室114からチューブ166,167、シャットオフ弁164,165、ブランチ163、第3ヘッド室側チューブ162、切換弁140を通過して、戻りの作動流体がタンク130に排出される。すなわち、ピストンロッド563が収縮されることで、シリンダ562がピストンロッド563に対して近接方向に移動する。これにより、移動側の押圧部材564を介して制流弁10を挿入方向に従動させ、制流弁510の筒部を首部505d内に挿入する(送出工程)。
【0103】
制流弁510の挿入において、流体管1の管内流体圧によるシリンダ562をピストンロッド563に対して離間方向に移動させようとする力が変化して、ロッド室115内の作動流体圧が高められたとしても、ロッド室115にはポンプ120から送出された作動流体が流入可能となっている一方、ポンプ120側への逆流が流体制御手段150の逆止弁152及びリリーフ弁153によって規制されているため、シリンダ562がピストンロッド563に対して離間方向に移動することが防止されている。特に、リリーフ弁153は、所定圧以上で開放するので、アクチュエータから逆流する作動流体が異常に高圧となった場合には安全弁として機能し開放することができる。
【0104】
制流弁510を首部505d内に挿入するときには、作業弁装置503の作業弁体531が首部505dを閉鎖している。制流弁510の周側部513には、2つの密封部材521,522が取付けられているので、制流弁510と作業弁体531との間には空気が内在しており、制流弁510はアクチュエータにより内在する空気を圧縮させながら密封状態で挿入することができる。
【0105】
図22に示されるように、アクチュエータ560により首部505d内に挿入された制流弁510は、少なくとも密封部材521が首部505dの開口部505bよりも上方の内周面505hに密接することで密封状態が保たれる。この密封状態にて、作業弁装置503の作業弁体531を開放する。
【0106】
このとき、首部505d内に内在する圧縮空気と、管内圧の液体(管内流体)とが首部505d内で急激に合流し、瞬間的に大きな圧力変動(衝撃圧)が発生する場合がある。しかしながら、首部505dの開放により流体管1内の管内流体圧が制流弁510に作用しても、上述したように流体制御手段150がアクチュエータから逆流する作動流体の流れを規制するので、シリンダ562がピストンロッド563に対して離間方向に移動することが防止されているため、現状の位置を保持し、流体管1内の管内流体の漏出を防止することができる(規制工程)。また、制流弁510の周側部513には、2つの密封部材521,522が取付けられているので、作業弁装置503の作業弁体531の開放による衝撃圧に対する密封性を高めることができる。
【0107】
流体制御手段150がアクチュエータから逆流する作動流体の流れを規制した後に、制流弁510が首部505dの流体管501の本管側に移動するに際し、首部505dの開放端部505c側の内周面を密封していた密封部材521が、首部505dの作業弁体531の取付用の開口部505bを通過するとき、首部505dの開放端部505c側の内周面から離間するため一時的に密封状態を維持できなくなるが、このとき開放端部505c側の密封部材522が首部505dの開放端部505c側の内周面を密封している。すなわち離間したこれら密封部材521,522により、制流弁510を設置するまで密封状態は常に維持され、流体漏洩を防止することができる。次に、図23に示されるように、制流弁510は、第1の密封部材521が開口部505bよりも下方に超えて首部505dの内周面505jに密接し、且つ第2の密封部材522が開口部505bよりも上方の内周面505hに密接する設置位置まで押圧される(復帰工程)。このとき、制流弁510の先端側の密封部材521が、首部505dに形成された作業弁体531の取付用の開口部505bを通過した位置で密封するので、制流弁510の設置後に作業弁装置503を取り外すことができる。
【0108】
この設置位置にて、弁筐体512の周側部513の外径側に張り出す張出部513dから更に下方に延びる鉤部513e,513eが、筐体505の首部505dの開放端部505cに形成された係合部としての切欠部505fに嵌合され、制流弁510は筐体505に対し周方向の移動を規制できるため、制流弁510が管内流体の流動により動いてしまう虞を回避できる。
【0109】
次に、筐体505の開放端部505cの鍔部505e、及びこれに重合した制流弁510の張出部513dを、断面視略U字状に形成された分割構造の嵌合部材519によって嵌合することで、制流弁510は筐体505に対し上方向の抜け出しが規制される。
【0110】
また、制流弁510の設置位置にて、開閉プラグ515を螺出して空気抜き孔513aを開状態とすることで、密封状態の制流弁510の弁筐体512内に残留する空気を外部に放出する。より詳しくは開閉プラグ515は、その先端から基端側の周面に架けて連通路515cが形成された雄ネジ部材515aと、この雄ネジ部材515aの座金部に設けられ弁筐体512の外面を密封するOリング515bと、から構成されている。この開閉プラグ515を僅かに螺出すると、弁筐体512内の空気が連通路515c、更にOリング515bと弁筐体512の外面との隙間を通じて外部に放出される。ここで空気抜き孔513aが弁筐体512の上端近傍に形成されており、弁筐体512内の空気を残さず略全量を外部に放出することができるため、弁筐体512内の空気が圧縮されて不測の事故を起こす虞を回避できるばかりか、弁筐体512の腐食を抑制できる。なお、空気の放出は、例えば制流弁510の挿入中に随時行ってもよいし、あるいは密封部材521が筐体505の開放端部505cを密封し、開閉バルブ532fと筐体505の雌ネジ孔505pに取り付けたボールバルブとをホースで接続して、充水する際に行ってもよい。
【0111】
上記したように制流弁510を設置した後、ポンプ120からアクチュエータ110への作動流体の供給を停止する。これにより、首部505dに制流弁510を密封状に設置する工程が完了する(停止工程)。図24に示されるように、この制流弁510に組付けていた押圧部材564及びアクチュエータ560を取外し、さらに筐体505の開口部505bに取り付けていた作業弁装置503を順次取外す。このとき、首部505dの開口部505bよりも下方の内周面505jを第1の密封部材521が密封しているため、開口部505bを開放しても内部流体の漏洩は防止されている。そのため栓体511による密封を行うことなく作業弁装置503を取外すことができ、作業弁装置503の老朽化の虞もない。図24に示されるように、作業弁装置503を取外した後の開口部505bに閉塞蓋509を密封状に取付ける。
【0112】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0113】
例えば、前記実施例では、作動流体装置の作動流体回路は、油圧式アクチュエータを備える油圧回路である構成として説明したが、これに限られず、空気圧式アクチュエータを備える空気圧回路であってもよく、適宜変更されてもよい。
【0114】
また、前記実施例では、アクチュエータは流体管1,501と閉塞部材としての開閉弁84、制流弁510とに取付けられる構成として説明したが、これに限られず特に図示しないが、閉塞部材と流体管以外の剛性を有する基材とに固定される構成であってもよい。
【0115】
また、前記実施例では、栓体の取外し、閉塞部材の設置共に同じ作動流体装置を使用する構成として説明したが、これに限られず、栓体の取外し、閉塞部材の設置とでそれぞれ異なる作動流体装置を使用してもよい。
【0116】
また、前記実施例では、アクチュエータは、切換弁によってアクチュエータを伸長させるか収縮させるかが切り換えられる複動式であると説明したが、これに限られず、単動式であってもよい。アクチュエータが単動式であっても、戻りの作動流体を流体制御手段により規制することにより、意図しないアクチュエータの作動を防止することができる。
【0117】
また、前記実施例では、作動流体管は、ゴム製であるとして説明したが、これに限られず、金属製や樹脂製であってもよく、ゴム製に限定されるものではない。
【0118】
また、前記実施例では、流体制御手段は、カウンタバランス弁であるとして説明したが、これに限られず、逆止弁を有する作動流体管によってアクチュエータとポンプ側とが接続され、リリーフ弁を有する作動流体管によってアクチュエータとタンク側とが接続されている構成であってもよく、適宜変更することができる。
【0119】
また、前記実施例では、リリーフ弁の上流側の作動流体圧に応じて開閉可能なリリーフ弁を用いて戻りの作動流体の通過の可否が制御されていたが、これに限られず、アクチュエータとポンプとの間の作動流体圧に応じて開閉可能なリリーフ弁であってもよく、作業弁の操作者が任意に開放可能な弁であってもよく、適宜変更されてもよい。
【符号の説明】
【0120】
1 流体管
8 管路部
41 首部(分岐部)
51 栓体
52,53 密封部材
76 作業弁(流路開閉弁)
84 開閉弁(閉塞部材)
85 バイパス管
90 作動流体装置
100 油圧回路(作動流体回路)
110,560 アクチュエータ
111,562 シリンダ
112,563 ロッド
120 ポンプ
130 タンク
132,133 密封部材
140 切換弁
150 流体制御手段
152 逆止弁
153 リリーフ弁
166,167 チューブ(作動流体管)
170,171 チューブ(作動流体管)
501 流体管
503 作業弁装置(流路開閉弁)
505d 首部(分岐部)
図1
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