(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120713
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】製氷器具
(51)【国際特許分類】
F25C 1/24 20180101AFI20230823BHJP
【FI】
F25C1/24 306C
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023717
(22)【出願日】2022-02-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000109325
【氏名又は名称】株式会社ツインバード
(72)【発明者】
【氏名】原 清胤
(72)【発明者】
【氏名】本田 貴司
(57)【要約】
【課題】適量の水で容易に製氷でき、水を飛び散らせたり溢したりしにくく、且つ、できた氷塊を容易に取り出すことができる製氷器具を提供すること。
【解決手段】水平方向に長寸Y1方向と短寸X1方向を有する容器2の上方開口部6から容器2内に着脱可能に収容される、水平方向に長寸Y2方向と短寸X2方向を有する区画体3を有する製氷器具1において、区画体3が、容器2の短寸X1方向の中央部で且つ長寸Y1方向に延びるように設けられる幹壁部9と、幹壁部9から長寸Y1方向と直交する方向に延びるように設けられる複数の枝壁部10と、これらの幹壁部9と枝壁部10の上部を繋ぐ複数の天面部11とを有し、各枝壁部10同士が、幹壁部9側の基端部から側方先端部である端面壁10Dに向かって間隔Sが広くなるように構成されると共に、端面壁10D同士の間に側方開口部12が形成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に長寸方向と短寸方向を有する上方開口の容器と、この容器内に上方から着脱可能に収容される区画体とを有する製氷器具において、
前記区画体が、前記容器の短寸方向の中央部で且つ長寸方向に延びるように設けられる幹壁部と、この幹壁部から長寸方向と交差する方向に延びるように設けられる複数の枝壁部と、これらの幹壁部と枝壁部の上部を繋ぐ複数の天面部とを有し、前記枝壁部同士が、幹壁部側の基端部から側方先端部に向かって間隔が広くなるように構成されると共に、前記側方先端部同士の間に側方開口部が形成されることを特徴とする製氷器具。
【請求項2】
前記容器に最高水位線が設けられ、この最高水位線まで水を入れた状態で前記区画体を前記容器に入れた際の水位よりも高い位置まで前記側方開口部が形成されることを特徴とする請求項1記載の製氷器具。
【請求項3】
前記側方先端部全体の間に側方開口部が形成されることを特徴とする請求項2記載の製氷器具。
【請求項4】
複数の前記枝壁部が、前記幹壁部を挟んで一方側に設けられた第一枝壁部と他方側に設けられた第二枝壁部とを有し、第一枝壁部と第二枝壁部が長寸方向にずらして設けられることを特徴とする請求項1記載の製氷器具。
【請求項5】
前記幹壁部がジグザグに形成されると共に、前記幹壁部の一方側突出部に前記第一枝壁部の基端部が設けられ、前記幹壁部の他方側突出部に前記第二枝壁部の基端部が設けられることを特徴とする請求項4記載の製氷器具。
【請求項6】
前記幹壁部が波線状に形成されると共に、前記幹壁部の一方側突出部に前記第一枝壁部の基端部が設けられ、前記幹壁部の他方側突出部に前記第二枝壁部の基端部が設けられることを特徴とする請求項4記載の製氷器具。
【請求項7】
水平方向に長寸方向と短寸方向を有する上方開口の容器と、この容器内に上方から着脱可能に収容される区画体とを有する製氷器具において、
前記区画体が、短寸方向一方端から他方端に延びる複数の壁部と、これらの壁部の上部同士を繋ぐ複数の天面部とを有し、前記各壁部の隣接する組み合わせが、短寸方向一方端側から他方端側に向かって間隔が広くなるように構成される組み合わせと、短寸方向他方端側から一方端側に向かって間隔が広くなるように構成される組み合わせを有すると共に、前記壁部同士の間隔が広がった側の端部間に側方開口部が形成されることを特徴とする製氷器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍冷蔵庫の冷凍室等に収容して氷を作るための製氷器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の製氷器具としては、上方が開口した矩形状の製氷皿であって、この製氷皿内を格子状仕切で仕切ることで、この格子状仕切によって囲まれた形状の氷塊を作ることができる製氷皿が知られている(例えば、特許文献1参照。)。そして、このような製氷皿で作られた氷塊は、製氷皿を捻ることで製氷皿から取り出すことができる。即ち、製氷皿を捻ることで格子状仕切が弾性変形するのに対し、この格子状仕切内で作られた氷塊が殆ど弾性変形しないため、氷塊が格子状仕切の広口側へ押し出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような製氷器具には幾つかの問題があった。まず、水を貯めて氷塊を作るための区画室が独立しているため、水道水等を区画室に注ぐ場合、各区画室に貯められる水の量が不均一になりがちであるという問題があった。一般的には、水が区画室から溢れ且つ製氷皿から溢れない程度に注いだ後で製氷皿を揺すって、水が均一に区画室に溜まるようにしていたが、この行為は面倒であった。次に、どの程度の水を製氷皿に注げば良いのか分かりにくいので、水量が多すぎたり少なすぎたりするという問題があった。水が少なければ出来上がる氷塊が小さいだけで済むが、水が多ければ各区画室で作られる氷塊同士が繋がって一つの大きな氷塊になってしまう。このような場合、大きな氷塊を割る必要があった。次に、水を貯めて氷塊を作るための区画室が独立して複数設けられているため、水道水等を勢いよく区画室に注ぐと、注がれた水が格子状仕切りに当たったり、狭い区画室に注がれた水が前記格子状仕切りに沿って上昇したりすることで、水が飛び散りやすいという問題があった。このため、前記製氷器具には、水を静かに注ぐ必要があった。次に、水を区画室に貯めた状態で製氷皿を冷凍冷蔵庫の冷凍室等に収納する際に、床や冷凍室内に水を溢しやすいという問題があった。更に、各区画室を構成する格子状仕切りが文字通り格子状に形成されているため、捻るのに強い力が必要であるという問題があった。シリコンゴムのような柔軟な材質で製氷皿を形成すれば、容易に製氷皿を捻ることができるが、この場合、製氷皿を捻っても氷塊を広口側へ押し出す力が働かない。また、格子状仕切りの肉厚を薄くするという方法もあるが、この場合、製氷皿を捻ることでこの製氷皿が破損する虞がある。
【0005】
本発明は以上の問題点を解決し、適量の水で容易に製氷でき、水を飛び散らせたり溢したりしにくく、且つ、できた氷塊を容易に取り出すことができる製氷器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の製氷器具は、水平方向に長寸方向と短寸方向を有する上方開口の容器と、この容器内に上方から着脱可能に収容される区画体とを有する製氷器具において、前記区画体が、前記容器の短寸方向の中央部で且つ長寸方向に延びるように設けられる幹壁部と、この幹壁部から長寸方向と交差する方向に延びるように設けられる複数の枝壁部と、これらの幹壁部と枝壁部の上部を繋ぐ複数の天面部とを有し、前記枝壁部同士が、幹壁部側の基端部から側方先端部に向かって間隔が広くなるように構成されると共に、前記側方先端部同士の間に側方開口部が形成されるものである。
【0007】
また、本発明の請求項2に記載の製氷器具は、請求項1において、前記容器に最高水位線が設けられ、この最高水位線まで水を入れた状態で前記区画体を前記容器に入れた際の水位よりも高い位置まで前記側方開口部が形成されるものである。
【0008】
また、本発明の請求項3に記載の製氷器具は、請求項2において、前記側方先端部全体の間に側方開口部が形成されるものである。
【0009】
また、本発明の請求項4に記載の製氷器具は、請求項1において、複数の前記枝壁部が、前記幹壁部を挟んで一方側に設けられた第一枝壁部と他方側に設けられた第二枝壁部とを有し、第一枝壁部と第二枝壁部が長寸方向にずらして設けられるものである。
【0010】
また、本発明の請求項5に記載の製氷器具は、請求項4において、前記幹壁部がジグザグに形成されると共に、前記幹壁部の一方側突出部に前記第一枝壁部の基端部が設けられ、前記幹壁部の他方側突出部に前記第二枝壁部の基端部が設けられるものである。
【0011】
また、本発明の請求項6に記載の製氷器具は、請求項4において、前記幹壁部が波線状に形成されると共に、前記幹壁部の一方側突出部に前記第一枝壁部の基端部が設けられ、前記幹壁部の他方側突出部に前記第二枝壁部の基端部が設けられるものである。
【0012】
更に、本発明の請求項7に記載の製氷器具は、水平方向に長寸方向と短寸方向を有する上方開口の容器と、この容器内に上方から着脱可能に収容される区画体とを有する製氷器具において、前記区画体が、短寸方向一方端から他方端に延びる複数の壁部と、これらの壁部の上部同士を繋ぐ複数の天面部とを有し、前記各壁部の隣接する組み合わせが、短寸方向一方端側から他方端側に向かって間隔が広くなるように構成される組み合わせと、短寸方向他方端側から一方端側に向かって間隔が広くなるように構成される組み合わせを有すると共に、前記壁部同士の間隔が広がった側の端部間に側方開口部が形成されるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1に記載の製氷器具は、以上のように構成することにより、前記容器に水を貯め、この上から前記区画体を収容することで、水を飛び散らせたり溢したりせずに製氷器具を冷凍室に収容することができるばかりでなく、前記容器ごと前記区画体を捻ることで、氷塊が広口側である前記側方開口部の方向に押し出されて前記区画体から外れるようにすることができる。また、前記区画体の清掃をしやすくすることができる。
【0014】
なお、前記容器に最高水位線を設け、この最高水位線まで水を入れた状態で前記区画体を前記容器に入れた際の水位よりも高い位置まで前記側方開口部を形成することにより、氷塊が前記側方開口部の方向に移動するのを妨げないようにすることができる。
【0015】
また、前記側方先端部全体の間に側方開口部を形成することにより、軽い力で前記区画体を捻ることができる。
【0016】
また、複数の前記枝壁部が、前記幹壁部を挟んで一方側に設けられた第一枝壁部と他方側に設けられた第二枝壁部とを有し、第一枝壁部と第二枝壁部を長寸方向にずらして設けることにより、軽い力で前記区画体を捻ることができる。
【0017】
また、前記幹壁部をジグザグに形成すると共に、前記幹壁部の一方側突出部に前記第一枝壁部の基端部を設け、前記幹壁部の他方側突出部に前記第二枝壁部の基端部を設けることにより、前記区画体を捻った際にジグザグ状の幹壁部の変形によっても前記氷塊が前記側方開口部の方向に押し出されるので、より容易に前記氷塊を前記区画体から外れるようにすることができる。
【0018】
また、前記幹壁部を波線状に形成すると共に、前記幹壁部の一方側突出部に前記第一枝壁部の基端部を設け、前記幹壁部の他方側突出部に前記第二枝壁部の基端部を設けることにより、前記区画体を捻った際に波線状の幹壁部の変形によっても前記氷塊が前記側方開口部の方向に押し出されるので、より容易に前記氷塊を前記区画体から外れるようにすることができる。
【0019】
更に、本発明の請求項7に記載の製氷器具は、以上のように構成することにより、前記容器に水を貯め、この上から前記区画体を収容することで、水を飛び散らせたり溢したりせずに製氷器具を冷凍室に収容することができるばかりでなく、前記容器ごと前記区画体を捻ることで、氷塊が広口側である前記側方開口部の方向に押し出されて前記区画体から外れるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第一の実施形態を示す製氷器具の平面図である。
【
図2】同、製氷器具の断面図であり、(a)はA-A断面図、(b)はB-B断面図である。
【
図4】同、容器の図であり、(a)は平面図、(b)はC-C断面図である。
【
図5】同、製氷器具内に水を入れた状態を示す断面図であり、(a)は容器に水を貯めた状態、(b)はそこに区画体を挿入した状態を示す。
【
図6】同、製氷器具を捻った際の歪みを示す説明図である。
【
図7】本発明の第二の実施形態を示す製氷器具の区画体の底面図である。
【
図8】本発明の第三の実施形態を示す製氷器具の区画体の底面図である。
【
図9】本発明の第四の実施形態を示す製氷器具の区画体の底面図である。
【
図10】本発明の第五の実施形態を示す製氷器具の区画体の底面図である。
【
図11】同、断面図であり、(a)は容器に水を貯めた状態、(b)はそこに区画体を挿入した状態を示す。
【
図12】本発明の第六の実施形態を示す製氷器具の区画体の底面図である。
【
図13】本発明の第七の実施形態を示す製氷器具の区画体の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の第一の実施形態について、
図1乃至
図6に基づいて説明する。1は、本発明の製氷器具である。この製氷器具1は、容器2と区画体3とを有して構成される。前記容器2は、平面視が角丸の矩形であり、水平方向に長寸Y1方向と短寸X1方向を有する。そして、これら長寸Y1方向と短寸X1方向は直交する。また、前記容器2は、上方が開口する。即ち、前記容器2は、底部4と、この底部4の外周部から起立する周壁部5とを有する。そして、これら底部4と周壁部5は、一体に形成される。また、前記周壁部5の上部には、角丸矩形状の開口部6が形成される。更に、前記周壁部5には、規定水位L0を示す最高水位線である指示部7が設けられる。本実施形態では、この指示部7は、印刷や刻印により形成されるが、段差などにより形成しても良い。また、前記周壁部5の上部には、複数の嵌合受部8が形成される。
【0022】
前記区画体3は、前記容器2と同様に、平面視が角丸の矩形であり、水平方向に長寸Y2方向と短寸X2方向を有する。そして、これら長寸Y2方向と短寸X2方向は直交する。また、前記区画体3は、前記容器2の上方の開口部6から前記容器2内に着脱可能に収容される。なお、前記区画体3を前記容器2に収容した状態で、長寸Y1方向と長寸Y2方向、短寸X1方向と短寸X2方向は一致する。
【0023】
前記区画体3の構造について詳述する。この区画体3は、その短寸X2方向の中央部において、長寸Y2方向に延びるように形成される幹壁部9と、この幹壁部9の折れ曲がった部分から短寸X2方向、即ち長寸Y2方向と直交する方向に延びる複数の枝壁部10と、これら幹壁部9の上部と枝壁部10の上部とを繋ぐ複数の天面部11とを有する。前記枝壁部10の短寸X2方向の側方先端部である後述する端面壁10Dは、前記天面部11によって繋がる上部を除いて、隣接する前記枝壁部10の短寸X2方向の側方先端部である端面壁10Dと離間する。このため、前記枝壁部10の端面壁10D同士の間には、側方開口部12が形成される。
【0024】
前記幹壁部9は、長寸Y2方向にジグザグ状に延びるように形成される。そして、前記枝壁部10は、前記幹壁部9を挟んで短寸X2方向の一方X2+側に設けられる複数の第一枝壁部13と、前記幹壁部9を挟んで短寸X2方向の他方X2-側に設けられる複数の第二枝壁部14とを有する。前記各第一枝壁部13は、前記幹壁部9における一方X2+側に凸となる一方側突出部15から一方X2+側に突出する。同様に、前記各第二枝壁部14は、前記幹壁部9における他方X2-側に凸となる他方側突出部16から他方X2-側に突出する。なお、前記幹壁部9がY2方向にジグザグ状に延びる、即ち前記一方側突出部15と他方側突出部16が交互に設けられることから、前記一方側突出部15から突出する前記第一枝壁部13と前記他方側突出部16から突出する前記第二枝壁部14とが、長寸Y2方向にずれて交互に設けられる。
【0025】
前記幹壁部9と枝壁部10は、上方が開放した中空状に形成される。即ち、前記幹壁部9は、一方X2+側の側面壁9Aと、他方X2-側の側面壁9Bと、底面壁9Cと、長寸Y2方向の両端となる端面壁9Dとを有して構成される。なお、前記一方側突出部15は前記側面壁9Aに形成されると共に、前記一方側突出部15に対応して、対向する前記側面壁9Bに凹部17が形成される。同様に、前記他方側突出部16は前記側面壁9Bに形成されると共に、前記他方側突出部16に対応して、対向する前記側面壁9Aに凹部18が形成される。また、前記枝壁部10は、一対の側面壁10Aと、底面壁10Cと、短寸X2方向の端部に設けられた端面壁10Dとを有して構成される。なお、一の枝壁部10における一対の前記側面壁10A同士の間隔は、前記幹壁部9側となる基端部から側方先端部である前記端面壁10Dに向かって狭くなると共に、一の枝壁部10を構成する一対の側面壁10A,10Aの長寸Y2方向及び短寸X2方向と成す角度の絶対値は等しい。これによって、複数の前記枝壁部10は、前記幹壁部9側となる基端部から側方先端部である前記端面壁10Dに向かってそれらの間隔Sが広くなるように構成される。なお、これらの間隔Sは、前記側方開口部12において最大となる。また、前記幹壁部9は、その側面壁9Aと側面壁9Bの間隔が下方に向かうに従って狭くなる。同様に、前記枝壁部10は、その側面壁10A同士の間隔が下方に向かうに従って狭くなる。なお、前記天面部11は、前記幹壁部9の側面壁9Aの上部と前記第一枝壁部13の側面壁10Aの上部を繋ぐように形成されると共に、前記幹壁部9の側面壁9Bの上部と前記第二枝壁部14の側面壁10Aの上部を繋ぐように形成される。そして、前記幹壁部9の底面壁9Cと前記枝壁部10の底面壁10Cは、自然状態で同一平面状であると共に、前記区画体3を前記容器2に収容した状態で、この容器2の底部4の内面と僅かな間隔をおいて近接するか又は全面接触する。また、前記幹壁部9の端面壁9D及び前記各枝壁部10の端面壁10Dは、前記区画体3を前記容器2に収容した状態で、この容器2の周壁部5の内面と僅かな間隔をおいて近接するか又は全面接触する。なお、一つの前記枝壁部10を構成する一対の前記側面壁10A同士は、それぞれ補強リブ19によって連結される。これらの補強リブ19は、前記枝壁部10の側面壁10Aにおける前記短寸X2方向の中央部同士を連結するように一体に形成される。
【0026】
そして、前記枝壁部10の端面壁10Dと天面部11の側方端部11Aから上方に延びるように、角丸矩形状の環状リブ20が一体に形成される。この環状リブ20は、前記区画体3を前記容器2に収容した状態で、その高さと同じ高さにある前記周壁部5の内面形状とほぼ同じ形状に形成される。また、前記環状リブ20には、前記嵌合受部8に対応して、これらと同数の嵌合突部21が形成される。更に、前記環状リブ20の短寸X2方向の両端で且つ前記長寸Y2方向の中央部には、一対の把持部22が形成される。
【0027】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず使用者は、前記容器2内に水Wを入れる。この際、この容器2が、その内部に区画のための壁のような複数の凹凸を有さないので、勢いよく水Wを注いでも、この水Wが跳ねて飛び散るのを抑制することができる。なお、水Wは規定水位L0を示す前記指示部7よりも高くならないようにする。そして、前記容器2内に水Wを入れた後、使用者は、前記把持部22を把持し、前記容器2の上方の開口部6から前記区画体3を前記容器2内に収容する。この際、前記容器2内の空気は、前記周壁部5と環状リブ20との間の隙間から前記製氷器具1外に流出する。このように、前記容器2内に前記区画体3を収容すると、この区画体3に形成された各嵌合突部21が、前記容器2の対応する各嵌合受部8に嵌合する。この状態で、前記幹壁部9の底面壁9Cと前記枝壁部10の底面壁10Cは、全体的に、前記容器2の底部4の内面と僅かな間隔を開けて近接するか、又は全面接触する。同様に、前記幹壁部9の端面壁9Dと前記枝壁部10の端面壁10Dは、全体的に、前記容器2の周壁部5の内面と僅かな間隔を開けて近接するか、又は全面接触する。これによって、前記第一枝壁部13同士又は前記第二枝壁部14同士における隣り合う前記枝壁部10,10と、前記幹壁部9と、前記天面部11と、前記底部4と前記周壁部5で囲まれる空間が形成される。そして、このようにして形成される複数の各空間同士は、互いに殆ど独立する。
【0028】
なお、前記容器2内に前記区画体3を収容すると、
図5に示すように、水位はL0からL1に上昇する。また、前記各空間の水位は、前記容器2を水平な面上に置いて前記区画体3を収容すれば、ほぼ等しくL1である。
【0029】
このように、水Wが入れられた前記製氷器具1を、図示しない冷凍冷蔵庫の冷凍室又は冷凍庫に収容する。そして、前記容器2の上部の開口部6が前記区画体3によって覆われているので、前記製氷器具1を水回りから冷凍室又は冷凍庫に運ぶ際、前記容器2内の水Wは前記製氷器具1から溢れにくい。なお、前記製氷器具1が置かれる面が水平であれば、各空間の水位はL1のままである。そして、前記製氷器具1内の水Wは前記冷凍室又は冷凍庫内で冷却され、氷塊となる。水Wは凍結により膨張する(0℃の水は0℃の氷よりも約9%体積が大きい)ので、氷面の高さL2は水位L1よりも高くなる。しかしながら、前記水位L0は、氷面L2の高さを考慮して設定される。即ち、氷面L2が前記天面部11の下面よりも低くなるように、前記水位L0が設定され、指示部7が設けられる。これによって、前記水Wが凍結しても、氷面L2と前記天面部11の下面との間に空間が残る。このため、前記水Wが凍結して膨張しても、前記区画体3が上方に押し上げられるのを抑制することができる。また、前記区画体3が押し上げられて各空間同士が下方で繋がってしまい、氷塊が下方で繋がってしまうということも抑制することができる。更に、このように氷面L2と前記天面部11の下面との間に間隙があることで、前記区画体3を捻るのを容易にすることができる。
【0030】
このようにして前記製氷器具1内で作られた氷塊は、そのままでは使用できないので、前記区画体3から取り出す必要がある。氷塊の取り出しは、前記製氷器具1の一の対角組を相対的に上に、他の対角組を相対的に下に動かすように捻ることで行われる。即ち、
図1において、角C1,C4を下方に、角C2,C3を上方に動かすように捻るか、又は角C1,C4を上方に、角C2,C3を下方に動かすように捻る。この際、前記幹壁部9がジグザグ状に形成されるので、この幹壁部9は弾性変形しやすい。また、前述したように、前記幹壁部9が、側面壁9A,9Bと、底面壁9Cと、端面壁9Dとを有して構成される上方開口の中空状に形成されることで、より変形しやすい。一方、前記枝壁部10は、前記幹壁部9と同様に、側面壁10Aと底面壁10Cと端面壁10Dを有して構成されるものの、前記補強リブ19によって補強されているため、歪みにくい。更に、前記幹壁部9から突出する前記各枝壁部10が、前記第一枝壁部13と第二枝壁部14とで長寸Y2方向にずらして形成されるので、より捻りやすい。即ち、本実施形態では、ジグザグに形成された前記幹壁部9の一方側突出部15と他方側突出部16に、それぞれ第一枝壁部13及び第二枝壁部14が形成されるので、これらの第一枝壁部13及び第二枝壁部14は、区画体の短寸方向の中央に直線状に幹壁部が形成される構造(後述する第三の実施形態)に比べて短い。従って、端面壁10Dの幅が同じであり、側面壁10A同士のなす角度が同じであれば、本実施形態の前記枝壁部10は、その基端の太さが、前述した、区画体の短寸方向の中央に直線状に幹壁部が形成される構造に比べて細くなる。このため、本実施例の前記区画体3は、前記幹壁部9と枝壁部10とが接続される部位の剛性が相対的に低く、従って、捻りにより変形しやすい。
【0031】
これら幹壁部9と枝壁部10と天面部11の歪みについて詳述する。対角である角C1と角C4を相対的に下方に、他の対角である角C2と角C3を相対的に上方に動かすように前記製氷器具1を捻ると、
図6に白抜き矢印で示すように、前記各第一枝壁部13及びこれらを繋ぐ天面部11は
図6の上方に、前記各第二枝壁部14及びこれらを繋ぐ天面部11は
図6の下方に、僅かに移動するよう変形する。この捻り動作により、前記幹壁部9は、その側面壁9Aと側面壁9Bの間隔が広がる部位と狭まる部位が生じる。即ち、前記幹壁部9は、厚さが厚くなる部位と薄くなる部位が生じるように歪む。また、前記幹壁部9が捻れるように歪むことで、前記凹部17,18の内角が僅かに小さくなる。
【0032】
一方、前述したように、前記枝壁部10は、前記補強リブ19によって補強されるため、殆ど歪まない。また、前記補強リブ19によって側面壁10Aが同じ枝壁部10を構成する他の側面壁10Aと連結され、更に前記側面壁10Aが同じ空間を画定する他の側面壁10Aと前記天面部11によって連結されることで、前記各第一枝壁部13は、捻り動作により、連動して同じ方向に移動する。同様に、前記各第二枝壁部14も、捻り動作により、連動して同じ方向に移動する。なお、前記各枝壁部10は、前述したように、それらの端面壁10D同士が前記天面部11の側方端部11Aを除いて接続されずに前記側方開口部12が形成される。このため、前記各第一枝壁部13同士、各第二枝壁部14同士は、捻り方向に僅かにずれるように位置関係が変化する。なお、前記各枝壁部10自体は殆ど歪まないので、この位置関係の変化は、各枝壁部10と天面部11との交差角度の変化や前記天面部11の撓み等によって起きる。
【0033】
このように、前記製氷器具1を捻ることで生じる歪みにより、製氷のための空間を画定する一対の枝壁部10同士の間隔Sが僅かに小さくなる。一方で、製氷のための空間でできた氷塊は、殆ど弾性変形しないので、前記製氷器具1の区画体3の歪みによって前記空間の広口側である前記側方開口部12側へ押し出される。この際、前述したように、氷面L2よりも前記天面部11の下面が高い、即ち氷面L2よりも前記側方開口部12の上端が高いので、氷塊の前記側方開口部12側への移動が妨げられることがない。同時に、前記空間を画定する一対の枝壁部10同士の間隔が下方に向かって広がるので、氷塊は広口側である下方に向かっても押し出される。更に、前記幹壁部9の凹部17,18の内角が僅かに小さくなることによっても、氷塊は広口側である前記側方開口部12側へ押し出される。このように、氷塊に広口側である前記側方開口部12側及び下方へ押し出す力が働くので、前記製氷器具1を捻ることで氷塊を容易に前記区画体3から取り出すことができる。なお、前記製氷器具1の長寸Y1,Y2方向端部において作られた氷塊は、前記製氷器具1を捻った際に前記容器2の周壁部5と前記区画体3の枝壁部10との位置関係が変動することによって、前記区画体3から取り出される。
【0034】
なお、前記製氷器具1全体を捻ることで前記区画体3から取り出された氷塊は、前記容器2内に留まる。従って、氷塊を取り出す際に、この氷塊を床や流し台等に落としてしまう可能性を減ずることができる。また、氷塊をそのまま前記容器2内に貯めておくこともできる。
【0035】
以上のように本発明の製氷器具1は、水平方向に長寸Y1方向と短寸X1方向を有する上方に開口部6が形成された容器2と、この容器2内に上方開口部6から着脱可能に収容される、水平方向に長寸Y2方向と短寸X2方向を有する区画体3とを有する製氷器具1において、前記区画体3が、前記容器2の短寸X1方向の中央部で且つ長寸Y1方向に延びるように設けられる幹壁部9と、この幹壁部9から長寸Y1方向と直交、即ち交差する方向に延びるように設けられる複数の枝壁部10と、これらの幹壁部9と枝壁部10の上部を繋ぐ複数の天面部11とを有し、前記各枝壁部10同士が、幹壁部9側の基端部から側方先端部である端面壁10Dに向かって間隔Sが広くなるように構成されると共に、前記端面壁10D同士の間に側方開口部12が形成されることで、前記容器2に水Wを貯め、この上から前記区画体3を収容することで、水Wを飛び散らせたり溢したりせずに製氷器具1を冷凍室に収容することができるばかりでなく、前記容器2ごと前記区画体3を捻ることで、氷塊が広口側である前記側方開口部12の方向に押し出されて前記区画体3から外れるようにすることができるものである。また、前記区画体3の枝壁部10の端面壁10D同士の間に前記側方開口部12を設けることにより、前記区画体3の清掃がしやすくなり衛生的にすることができるものである。
【0036】
また、本発明の製氷器具1は、前記容器2に最高水位線となる指示部7を設け、この指示部7まで水を入れた状態で前記区画体3を前記容器2に入れた際の水位L1よりも高い位置まで前記側方開口部12を形成することにより、氷塊を取り出す際に、氷塊が前記側方開口部12の方向に移動するのを妨げないようにすることができるものである。
【0037】
また、本発明の製氷器具1は、前記枝壁部10の側方先端部である端面壁10D全体の間に前記側方開口部12を形成することにより、軽い力で前記区画体3を捻ることができるものである。
【0038】
また、本発明の製氷器具1は、複数の前記枝壁部10が、前記幹壁部9を挟んで一方X2+側に設けられた第一枝壁部13と他方X2-側に設けられた第二枝壁部14とを有し、第一枝壁部13と第二枝壁部14を長寸Y2方向にずらして設けることにより、軽い力で前記区画体3を捻ることができるものである。
【0039】
更に、本発明の製氷器具1は、前記幹壁部9をジグザグに形成すると共に、前記幹壁部9の一方側突出部15に前記第一枝壁部13の基端部を設け、前記幹壁部9の他方側突出部16に前記第二枝壁部14の基端部を設けることにより、前記区画体3を捻った際にジグザグ状の幹壁部9の変形によっても前記氷塊が前記側方開口部12の方向に押し出されるので、より容易に前記氷塊を前記区画体3から外れるようにすることができるものである。
【0040】
次に、本発明の第二の実施形態について、
図7に基づいて説明する。なお、容器2の構造は第一の実施形態と同一である。従って、容器2の構造についての説明は、第一の実施形態の
図4を援用する。本実施形態の製氷器具は、容器2と区画体31とを有して構成される。前記容器2は、平面視が角丸の矩形であり、水平方向に長寸Y1方向と短寸X1方向を有する。そして、これら長寸Y1方向と短寸X1方向は直交する。また、前記容器2は、上方が開口する。即ち、前記容器2は、底部4と、この底部4の外周部から起立する周壁部5とを有する。そして、これら底部4と周壁部5は、一体に形成される。また、前記周壁部5の上部には、角丸矩形状の開口部6が形成される。更に、前記周壁部5には、規定水位を示す最高水位線である指示部7が設けられる。本実施形態では、この指示部7は、印刷や刻印により形成されるが、段差などにより形成しても良い。また、前記周壁部5の上部には、複数の嵌合受部8が形成される。
【0041】
前記区画体31は、前記容器2と同様に、平面視が角丸の矩形であり、水平方向に長寸Y2方向と短寸X2方向を有する。そして、これら長寸Y2方向と短寸X2方向は直交する。また、前記区画体31は、前記容器2の上方の開口部6から前記容器2内に着脱可能に収容される。なお、前記区画体31を前記容器2に収容した状態で、長寸Y1方向と長寸Y2方向、短寸X1方向と短寸X2方向は一致する。
【0042】
前記区画体31の構造について詳述する。この区画体31は、その短寸X2方向の中央部において、長寸Y2方向に延びるように形成される幹壁部32と、この幹壁部32の湾曲した部分から短寸X2方向、即ち長寸Y2方向と直交する方向に延びる複数の枝壁部33と、これら幹壁部32の上部と枝壁部33の上部とを繋ぐ複数の天面部34とを有する。前記枝壁部33の短寸X2方向の側方先端部である後述する端面壁33Dは、前記天面部34によって繋がる上部を除いて、隣接する前記枝壁部33の短寸X2方向の側方先端部である端面壁33Dと離間する。このため、前記枝壁部33の端面壁33D同士の間には、側方開口部35が形成される。
【0043】
前記幹壁部32は、長寸Y2方向に波線状に延びるように形成される。そして、前記枝壁部33は、前記幹壁部32を挟んで短寸X2方向の一方X2+側に設けられる複数の第一枝壁部36と、前記幹壁部32を挟んで短寸X2方向の他方X2-側に設けられる複数の第二枝壁部37とを有する。前記各第一枝壁部36は、前記幹壁部32における一方X2+側に凸となる一方側突出部38から一方X2+側に突出する。同様に、前記各第二枝壁部37は、前記幹壁部32における他方X2-側に凸となる他方側突出部39から他方X2-側に突出する。なお、前記幹壁部32がY2方向に波線状に延びる、即ち前記一方側突出部38と他方側突出部39が交互に設けられることから、前記一方側突出部38から突出する前記第一枝壁部36と前記他方側突出部39から突出する前記第二枝壁部37とが、長寸Y2方向にずれて交互に設けられる。
【0044】
前記幹壁部32と枝壁部33は、上方が開放した中空状に形成される。即ち、前記幹壁部32は、一方X2+側の側面壁32Aと、他方X2-側の側面壁32Bと、底面壁32Cと、長寸Y2方向の両端となる端面壁32Dとを有して構成される。なお、前記一方側突出部38は前記側面壁32Aに形成されると共に、前記一方側突出部38に対応して、対向する前記側面壁32Bに凹部40が形成される。同様に、前記他方側突出部39は前記側面壁32Bに形成されると共に、前記他方側突出部39に対応して、対向する前記側面壁32Aに凹部41が形成される。また、前記枝壁部33は、一対の側面壁33Aと、底面壁33Cと、短寸X2方向の端部に設けられた端面壁33Dとを有して構成される。なお、前記側面壁33Aのうち、長寸Y2方向の端部に設けられた枝壁部33の外側面壁33Eは、前記容器2の周壁部5の内面に沿った形状に形成される。そして、一の枝壁部33における一対の前記側面壁33A同士の間隔は、前記幹壁部32側となる基端部から側方先端部である前記端面壁33Dに向かって狭くなると共に、一の枝壁部33を構成する一対の側面壁33A,33Aの長寸Y2方向及び短寸X2方向と成す角度の絶対値は等しい。これによって、複数の前記枝壁部33は、前記幹壁部32側となる基端部から側方先端部である前記端面壁33Dに向かってそれらの間隔Sが広くなるように構成される。なお、これらの間隔Sは、前記側方開口部35において最大となる。また、前記幹壁部32は、その側面壁32Aと側面壁32Bの間隔が下方に向かうに従って狭くなる。同様に、前記枝壁部33は、その側面壁33A同士の間隔が下方に向かうに従って狭くなる。更に、前記幹壁部32の側面壁32Aと第一枝壁部36の側面壁33Aは、滑らかに連続的に接続される。同様に、前記幹壁部32の側面壁32Bと第二枝壁部37の側面壁33Aは、滑らかに連続的に接続される。なお、前記天面部34は、前記幹壁部32の側面壁32Aの上部と前記第一枝壁部36の側面壁33Aの上部を繋ぐように形成されると共に、前記幹壁部32の側面壁32Bの上部と前記第二枝壁部37の側面壁33Aの上部を繋ぐように形成される。そして、前記幹壁部32の底面壁32Cと前記枝壁部33の底面壁33Cは、自然状態で同一平面状であると共に、前記区画体31を前記容器2に収容した状態で、この容器2の底部4の内面と僅かな間隔をおいて近接するか又は全面接触する。また、前記幹壁部32の端面壁32Dと前記各枝壁部33の外側面壁31E及び端面壁33Dは、前記区画体31を前記容器2に収容した状態で、この容器2の周壁部5の内面と僅かな間隔をおいて近接するか又は全面接触する。なお、一つの前記枝壁部33を構成する一対の前記側面壁33A同士は、それぞれ図示しない補強リブによって連結される。これらの補強リブは、前記枝壁部33の側面壁33Aにおける前記短寸X2方向の中央部同士を連結するように一体に形成される。
【0045】
そして、前記枝壁部33の端面壁33Dと天面部34の側方端部34Aから上方に延びるように、角丸矩形状の図示しない環状リブが一体に形成される。この環状リブは、前記区画体31を前記容器2に収容した状態で、その高さと同じ高さにある前記周壁部5の内面形状とほぼ同じ形状に形成される。また、前記環状リブには、前記嵌合受部8に対応して、これらと同数の嵌合突部42が形成される。更に、前記環状リブの短寸X2方向の両端で且つ前記長寸Y2方向の中央部には、一対の把持部43が形成される。
【0046】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず使用者は、前記容器2内に水を入れる。この際、この容器2が、その内部に区画のための壁のような複数の凹凸を有さないので、勢いよく水を注いでも、この水が跳ねて飛び散るのを抑制することができる。なお、水は規定水位を示す前記指示部7よりも高くならないようにする。そして、前記容器2内に水を入れた後、使用者は、前記把持部43を把持し、前記容器2の上方の開口部6から前記区画体31を前記容器2内に収容する。この際、前記容器2内の空気は、前記周壁部5と環状リブとの間の隙間から前記製氷器具外に流出する。このように、前記容器2内に前記区画体31を収容すると、この区画体31に形成された各嵌合突部42が、前記容器2の対応する各嵌合受部8に嵌合する。この状態で、前記幹壁部32の底面壁32Cと前記枝壁部33の底面壁33Cは、全体的に、前記容器2の底部4の内面と僅かな間隔を開けて近接するか、又は全面接触する。同様に、前記幹壁部32の端面壁32Dと前記枝壁部33の外側壁部32E及び端面壁33Dは、全体的に、前記容器2の周壁部5の内面と僅かな間隔を開けて近接するか、又は全面接触する。これによって、前記第一枝壁部36同士又は前記第二枝壁部37同士における隣り合う前記枝壁部33,32と、前記幹壁部32と、前記天面部34と、前記底部4と前記周壁部5で囲まれる空間が形成される。そして、このようにして形成される複数の各空間同士は、互いに殆ど独立する。
【0047】
なお、前記容器2内に前記区画体31を収容すると、水位は規定水位から上昇する。また、前記各空間の水位は、前記容器2を水平な面上に置いて前記区画体31を収容すれば、ほぼ等しくなる。
【0048】
このように、水が入れられた前記製氷器具を、図示しない冷凍冷蔵庫の冷凍室又は冷凍庫に収容する。そして、前記容器2の上部の開口部6が前記区画体31によって覆われているので、前記製氷器具を水回りから冷凍室又は冷凍庫に運ぶ際、前記容器2内の水は前記製氷器具から溢れにくい。なお、前記製氷器具が置かれる面が水平であれば、各空間の水位は変化しない。そして、前記製氷器具内の水は前記冷凍室又は冷凍庫内で冷却され、氷塊となる。水は凍結により膨張する(0℃の水は0℃の氷よりも約9%体積が大きい)ので、氷面の高さは凍結前の水位よりも高くなる。しかしながら、前記規定水位は、氷面の高さを考慮して設定される。即ち、氷面が前記天面部34の下面よりも低くなるように、前記規定水位が設定され、指示部7が設けられる。これによって、前記水が凍結しても、氷面と前記天面部34の下面との間に空間が残る。このため、前記水が凍結して膨張しても、前記区画体31が上方に押し上げられるのを抑制することができる。また、前記区画体31が押し上げられて各空間同士が下方で繋がってしまい、氷塊が下方で繋がってしまうということも抑制することができる。更に、このように氷面と前記天面部34の下面との間に間隙があることで、前記区画体31を捻るのを容易にすることができる。
【0049】
このようにして前記製氷器具内で作られた氷塊は、そのままでは使用できないので、前記区画体31から取り出す必要がある。氷塊の取り出しは、前記製氷器具の一の対角組を相対的に上に、他の対角組を相対的に下に動かすように捻ることで行われる。即ち、角C1,C4を下方に、角C2,C3を上方に動かすように捻るか、又は角C1,C4を上方に、角C2,C3を下方に動かすように捻る。この際、前記幹壁部32が波線状に形成されるので、この幹壁部32は弾性変形しやすい。また、前述したように、前記幹壁部32が、側面壁32A,32Bと、底面壁32Cと、端面壁32Dとを有して構成される上方開口の中空状に形成されることで、より変形しやすい。一方、前記枝壁部33は、前記幹壁部32と同様に、側面壁33Aと底面壁33Cと端面壁33Dを有して構成されるものの、前記補強リブによって補強されているため、歪みにくい。更に、前記幹壁部32から突出する前記各枝壁部33が、前記第一枝壁部36と第二枝壁部37とで長寸Y2方向にずらして形成されるので、より捻りやすい。即ち、本実施形態では、波線状に形成された前記幹壁部32の一方側突出部38と他方側突出部39に、それぞれ第一枝壁部36及び第二枝壁部37が形成されるので、これらの第一枝壁部36及び第二枝壁部37は、区画体の短寸方向の中央に直線状に幹壁部が形成される構造(後述する第三の実施形態)に比べて短い。従って、端面壁33Dの幅が同じであり、側面壁33A同士のなす角度が同じであれば、本実施形態の前記枝壁部33は、その基端の太さが、前述した、区画体の短寸方向の中央に直線状に幹壁部が形成される構造に比べて細くなる。このため、本実施例の前記区画体31は、前記幹壁部32と枝壁部33とが接続される部位の剛性が相対的に低く、従って、捻りにより変形しやすい。
【0050】
これら幹壁部32と枝壁部33と天面部34の歪みについて詳述する。対角である角C1と角C4を相対的に下方に、他の対角である角C2と角C3を相対的に上方に動かすように前記製氷器具を捻ると、前記各第一枝壁部36及びこれらを繋ぐ天面部34は
図7の上方に、前記各第二枝壁部37及びこれらを繋ぐ天面部34は
図7の下方に、僅かに移動するよう変形する。この捻り動作により、前記幹壁部32は、その側面壁32Aと側面壁32Bの間隔が広がる部位と狭まる部位が生じる。即ち、前記幹壁部32は、厚さが厚くなる部位と薄くなる部位が生じるように歪む。また、前記幹壁部32が捻れるように歪むことで、前記凹部40,41の端部同士の間隔が僅かに小さくなる。
【0051】
一方、前述したように、前記枝壁部33は、前記補強リブによって補強されるため、殆ど歪まない。また、前記補強リブによって側面壁33Aが同じ枝壁部33を構成する他の側面壁33Aと連結され、更に前記側面壁33Aが同じ空間を画定する他の側面壁33Aと前記天面部34によって連結されることで、前記各第一枝壁部36は、捻り動作により、連動して同じ方向に移動する。同様に、前記各第二枝壁部37も、捻り動作により、連動して同じ方向に移動する。なお、前記各枝壁部33は、前述したように、それらの端面壁33D同士が前記天面部34の側方端部34Aを除いて接続されずに前記側方開口部35が形成される。このため、前記各第一枝壁部36同士、各第二枝壁部37同士は、捻り方向に僅かにずれるように位置関係が変化する。なお、前記各枝壁部33自体は殆ど歪まないので、この位置関係の変化は、各枝壁部33と天面部34との交差角度の変化や前記天面部34の撓み等によって起きる。
【0052】
このように、前記製氷器具を捻ることで生じる歪みにより、製氷のための空間を画定する一対の枝壁部33同士の間隔Sが僅かに小さくなる。一方で、製氷のための空間でできた氷塊は、殆ど弾性変形しないので、前記製氷器具の区画体31の歪みによって前記空間の広口側である前記側方開口部35側へ押し出される。この際、前述したように、氷面よりも前記天面部34の下面が高い、即ち氷面よりも前記側方開口部35の上端が高いので、氷塊の前記側方開口部35側への移動が妨げられることがない。同時に、前記空間を画定する一対の枝壁部33同士の間隔が下方に向かって広がるので、氷塊は広口側である下方に向かっても押し出される。更に、前記幹壁部32の凹部40,41の端部同士の間隔が僅かに小さくなることによっても、氷塊は広口側である前記側方開口部35側へ押し出される。このように、氷塊に広口側である前記側方開口部35側及び下方へ押し出す力が働くので、前記製氷器具を捻ることで氷塊を容易に前記区画体31から取り出すことができる。なお、前記製氷器具の長寸Y1,Y2方向端部において作られた氷塊は、前記製氷器具を捻った際に前記容器2の周壁部5と前記区画体31の枝壁部33との位置関係が変動することによって、前記区画体31から取り出される。
【0053】
なお、前記製氷器具全体を捻ることで前記区画体31から取り出された氷塊は、前記容器2内に留まる。従って、氷塊を取り出す際に、この氷塊を床や流し台等に落としてしまう可能性を減ずることができる。また、氷塊をそのまま前記容器2内に貯めておくこともできる。
【0054】
以上のように本発明の製氷器具は、水平方向に長寸Y1方向と短寸X1方向を有する上方に開口部6が形成された容器2と、この容器2内に上方開口部6から着脱可能に収容される、水平方向に長寸Y2方向と短寸X2方向を有する区画体31とを有する製氷器具において、前記区画体31が、前記容器2の短寸X1方向の中央部で且つ長寸Y1方向に延びるように設けられる幹壁部32と、この幹壁部32から長寸Y1方向と直交、即ち交差する方向に延びるように設けられる複数の枝壁部33と、これらの幹壁部32と枝壁部33の上部を繋ぐ複数の天面部34とを有し、前記各枝壁部33同士が、幹壁部32側の基端部から側方先端部である端面壁33Dに向かって間隔Sが広くなるように構成されると共に、前記端面壁33D同士の間に側方開口部35が形成されることで、前記容器2に水を貯め、この上から前記区画体31を収容することで、水を飛び散らせたり溢したりせずに製氷器具を冷凍室に収容することができるばかりでなく、前記容器2ごと前記区画体31を捻ることで、氷塊が広口側である前記側方開口部35の方向に押し出されて前記区画体31から外れるようにすることができるものである。また、前記区画体31の枝壁部33の端面壁33D同士の間に前記側方開口部35を設けることにより、前記区画体31の清掃がしやすくなり衛生的にすることができるものである。
【0055】
また、本発明の製氷器具は、前記容器2に最高水位線となる指示部7を設け、この指示部7まで水を入れた状態で前記区画体31を前記容器2に入れた際の水位よりも高い位置まで前記側方開口部35を形成することにより、氷塊を取り出す際に、氷塊が前記側方開口部35の方向に移動するのを妨げないようにすることができるものである。
【0056】
また、本発明の製氷器具は、前記枝壁部33の側方先端部である端面壁33D全体の間に前記側方開口部35を形成することにより、軽い力で前記区画体31を捻ることができるものである。
【0057】
また、本発明の製氷器具は、複数の前記枝壁部33が、前記幹壁部32を挟んで一方X2+側に設けられた第一枝壁部36と他方X2-側に設けられた第二枝壁部37とを有し、第一枝壁部36と第二枝壁部37を長寸Y2方向にずらして設けることにより、軽い力で前記区画体31を捻ることができるものである。
【0058】
更に、本発明の製氷器具は、前記幹壁部33を波線状に形成すると共に、前記幹壁部32の一方側突出部38に前記第一枝壁部36の基端部を設け、前記幹壁部32の他方側突出部39に前記第二枝壁部37の基端部を設けることにより、前記区画体31を捻った際に波線状の幹壁部32の変形によっても前記氷塊が前記側方開口部35の方向に押し出されるので、より容易に前記氷塊を前記区画体31から外れるようにすることができるものである。
【0059】
次に、本発明の第三の実施形態について、
図8に基づいて説明する。なお、容器2の構造は第一の実施形態と同一である。従って、容器2の構造についての説明は、第二の実施形態と同様に、第一の実施形態の
図4を援用する。本実施形態の製氷器具は、容器2と区画体51とを有して構成される。前記容器2は、平面視が角丸の矩形であり、水平方向に長寸Y1方向と短寸X1方向を有する。そして、これら長寸Y1方向と短寸X1方向は直交する。また、前記容器2は、上方が開口する。即ち、前記容器2は、底部4と、この底部4の外周部から起立する周壁部5とを有する。そして、これら底部4と周壁部5は、一体に形成される。また、前記周壁部5の上部には、角丸矩形状の開口部6が形成される。更に、前記周壁部5には、規定水位を示す最高水位線である指示部7が設けられる。本実施形態では、この指示部7は、印刷や刻印により形成されるが、段差などにより形成しても良い。また、前記周壁部5の上部には、複数の嵌合受部8が形成される。
【0060】
前記区画体51は、前記容器2と同様に、平面視が角丸の矩形であり、水平方向に長寸Y2方向と短寸X2方向を有する。そして、これら長寸Y2方向と短寸X2方向は直交する。また、前記区画体51は、前記容器2の上方の開口部6から前記容器2内に着脱可能に収容される。なお、前記区画体51を前記容器2に収容した状態で、長寸Y1方向と長寸Y2方向、短寸X1方向と短寸X2方向は一致する。
【0061】
前記区画体51の構造について詳述する。この区画体51は、その短寸X2方向の中央部において、長寸Y2方向に延びるように形成される幹壁部52と、この幹壁部52から短寸X2方向、即ち長寸Y2方向と直交する方向に延びる複数の枝壁部53と、これら幹壁部52の上部と枝壁部53の上部とを繋ぐ複数の天面部54とを有する。前記枝壁部53の短寸X2方向の側方先端部である後述する端面壁53Dは、前記天面部54によって繋がる上部を除いて、隣接する前記枝壁部53の短寸X2方向の側方先端部である端面壁53Dと離間する。このため、前記枝壁部53の端面壁53D同士の間には、側方開口部55が形成される。
【0062】
前記幹壁部52は、長寸Y2方向に直線状に延びるように形成される。そして、前記枝壁部53は、前記幹壁部52を挟んで短寸X2方向の一方X2+側に設けられる複数の第一枝壁部56と、前記幹壁部52を挟んで短寸X2方向の他方X2-側に設けられる複数の第二枝壁部57とを有する。なお、前記第一枝壁部56と第二枝壁部57は、長寸Y2方向にずれて交互に設けられる。
【0063】
前記幹壁部52と枝壁部53は、上方が開放した中空状に形成される。即ち、前記幹壁部52は、一方X2+側の側面壁52Aと、他方X2-側の側面壁52Bと、底面壁52Cと、長寸Y2方向の両端となる端面壁52Dとを有して構成される。また、前記枝壁部53は、一対の側面壁53Aと、底面壁53Cと、短寸X2方向の端部に設けられた端面壁53Dとを有して構成される。なお、前記側面壁53Aのうち、長寸Y2方向の端部に設けられた枝壁部53の外側面壁53Eは、前記容器2の周壁部5の内面に沿った形状に形成される。そして、一の枝壁部53における一対の前記側面壁53A同士の間隔は、前記幹壁部52側となる基端部から側方先端部である前記端面壁53Dに向かって狭くなると共に、一の枝壁部53を構成する一対の側面壁53A,53Aの長寸Y2方向及び短寸X2方向と成す角度の絶対値は等しい。これによって、複数の前記枝壁部53は、前記幹壁部52側となる基端部から側方先端部である前記端面壁53Dに向かってそれらの間隔Sが広くなるように構成される。なお、これらの間隔Sは、前記側方開口部55において最大となる。また、前記幹壁部52は、その側面壁52Aと側面壁52Bの間隔が下方に向かうに従って狭くなる。同様に、前記枝壁部53は、その側面壁53A同士の間隔が下方に向かうに従って狭くなる。なお、前記天面部54は、前記幹壁部52の側面壁52Aの上部と前記第一枝壁部56の側面壁53Aの上部を繋ぐように形成されると共に、前記幹壁部52の側面壁52Bの上部と前記第二枝壁部57の側面壁53Aの上部を繋ぐように形成される。そして、前記幹壁部52の底面壁52Cと前記枝壁部53の底面壁53Cは、自然状態で同一平面状であると共に、前記区画体51を前記容器2に収容した状態で、この容器2の底部4の内面と僅かな間隔をおいて近接するか又は全面接触する。また、前記幹壁部52の端面壁52Dと前記各枝壁部53の外側面壁53E及び端面壁53Dは、前記区画体51を前記容器2に収容した状態で、この容器2の周壁部5の内面と僅かな間隔をおいて近接するか又は全面接触する。なお、一つの前記枝壁部53を構成する一対の前記側面壁53A同士は、それぞれ図示しない補強リブによって連結される。これらの補強リブは、前記枝壁部53の側面壁53Aにおける前記短寸X2方向の中央部同士を連結するように一体に形成される。
【0064】
そして、前記枝壁部53の端面壁53Dと天面部54の側方端部54Aから上方に延びるように、角丸矩形状の図示しない環状リブが一体に形成される。この環状リブは、前記区画体51を前記容器2に収容した状態で、その高さと同じ高さにある前記周壁部5の内面形状とほぼ同じ形状に形成される。また、前記環状リブには、前記嵌合受部8に対応して、これらと同数の嵌合突部58が形成される。更に、前記環状リブの短寸X2方向の両端で且つ前記長寸Y2方向の中央部には、一対の把持部59が形成される。
【0065】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず使用者は、前記容器2内に水を入れる。この際、この容器2が、その内部に区画のための壁のような複数の凹凸を有さないので、勢いよく水を注いでも、この水が跳ねて飛び散るのを抑制することができる。なお、水は規定水位を示す前記指示部7よりも高くならないようにする。そして、前記容器2内に水を入れた後、使用者は、前記把持部59を把持し、前記容器2の上方の開口部6から前記区画体51を前記容器2内に収容する。この際、前記容器2内の空気は、前記周壁部5と環状リブとの間の隙間から前記製氷器具外に流出する。このように、前記容器2内に前記区画体51を収容すると、この区画体51に形成された各嵌合突部58が、前記容器2の対応する各嵌合受部8に嵌合する。この状態で、前記幹壁部52の底面壁52Cと前記枝壁部53の底面壁53Cは、全体的に、前記容器2の底部4の内面と僅かな間隔を開けて近接するか、又は全面接触する。同様に、前記幹壁部52の端面壁52Dと前記枝壁部53の外側壁部53E及び端面壁53Dは、全体的に、前記容器2の周壁部5の内面と僅かな間隔を開けて近接するか、又は全面接触する。これによって、前記第一枝壁部56同士又は前記第二枝壁部57同士における隣り合う前記枝壁部53,52と、前記幹壁部52と、前記天面部54と、前記底部4と前記周壁部5で囲まれる空間が形成される。そして、このようにして形成される複数の各空間同士は、互いに殆ど独立する。
【0066】
なお、前記容器2内に前記区画体51を収容すると、水位は規定水位から上昇する。また、前記各空間の水位は、前記容器2を水平な面上に置いて前記区画体51を収容すれば、ほぼ等しくなる。
【0067】
このように、水が入れられた前記製氷器具を、図示しない冷凍冷蔵庫の冷凍室又は冷凍庫に収容する。そして、前記容器2の上部の開口部6が前記区画体51によって覆われているので、前記製氷器具を水回りから冷凍室又は冷凍庫に運ぶ際、前記容器2内の水は前記製氷器具から溢れにくい。なお、前記製氷器具が置かれる面が水平であれば、各空間の水位は変化しない。そして、前記製氷器具内の水は前記冷凍室又は冷凍庫内で冷却され、氷塊となる。水は凍結により膨張する(0℃の水は0℃の氷よりも約9%体積が大きい)ので、氷面の高さは凍結前の水位よりも高くなる。しかしながら、前記規定水位は、氷面の高さを考慮して設定される。即ち、氷面が前記天面部54の下面よりも低くなるように、前記規定水位が設定され、指示部7が設けられる。これによって、前記水が凍結しても、氷面と前記天面部54の下面との間に空間が残る。このため、前記水が凍結して膨張しても、前記区画体51が上方に押し上げられるのを抑制することができる。また、前記区画体51が押し上げられて各空間同士が下方で繋がってしまい、氷塊が下方で繋がってしまうということも抑制することができる。更に、このように氷面と前記天面部54の下面との間に間隙があることで、前記区画体51を捻るのを容易にすることができる。
【0068】
このようにして前記製氷器具内で作られた氷塊は、そのままでは使用できないので、前記区画体51から取り出す必要がある。氷塊の取り出しは、前記製氷器具の一の対角組を相対的に上に、他の対角組を相対的に下に動かすように捻ることで行われる。即ち、角C1,C4を下方に、角C2,C3を上方に動かすように捻るか、又は角C1,C4を上方に、角C2,C3を下方に動かすように捻る。この際、前述したように、前記幹壁部52が、側面壁52A,52Bと、底面壁52Cと、端面壁52Dとを有して構成される上方開口の中空状に形成されることで、変形しやすい。一方、前記枝壁部53は、前記幹壁部52と同様に、側面壁53Aと底面壁53Cと端面壁53Dを有して構成されるものの、前記補強リブによって補強されているため、歪みにくい。そして、前記幹壁部52から突出する前記各枝壁部53が、前記第一枝壁部56と第二枝壁部57とで長寸Y2方向にずらして形成されるので、より捻りやすい。なお、第一及び第二の実施形態で説明したように、これら第一及び第二の実施形態の構造に比較すると、本実施形態の構造は、幹壁部52と枝壁部53が接続される部分の剛性が高い。従って、第一及び第二の実施形態の構造に比較すると、本実施形態の構造は、捩りにより変形しにくい。一方、中央の幹壁部の同じ位置から短寸方向の両方に枝壁部が延びる構造(後述する第四の実施形態)に比べると、本実施形態の構造は、幹壁部52と枝壁部53が接続される部分の剛性が低い。従って、中央の幹壁部の同じ位置から短寸方向の両方に枝壁部が延びる構造に比較すると、本実施形態の構造は、捩りにより変形しやすい。
【0069】
これら幹壁部52と枝壁部53と天面部54の歪みについて詳述する。対角である角C1と角C4を相対的に下方に、他の対角である角C2と角C3を相対的に上方に動かすように前記製氷器具を捻ると、前記各第一枝壁部56及びこれらを繋ぐ天面部54は
図7の上方に、前記各第二枝壁部57及びこれらを繋ぐ天面部54は
図7の下方に、僅かに移動するよう変形する。この捻り動作により、前記幹壁部52は、その側面壁52A,52Bが捻れるように歪む。即ち、これらの側面壁52A,52Bは、ほぼ平面状態から捻れた曲面状に変形する。
【0070】
一方、前述したように、前記枝壁部53は、前記補強リブによって補強されるため、殆ど歪まない。また、前記補強リブによって側面壁53Aが同じ枝壁部53を構成する他の側面壁53Aと連結され、更に前記側面壁53Aが同じ空間を画定する他の側面壁53Aと前記天面部54によって連結されることで、前記各第一枝壁部56は、捻り動作により、連動して同じ方向に移動する。同様に、前記各第二枝壁部57も、捻り動作により、連動して同じ方向に移動する。なお、前記各枝壁部53は、前述したように、それらの端面壁53D同士が前記天面部54の側方端部54Aを除いて接続されずに前記側方開口部55が形成される。このため、前記各第一枝壁部56同士、各第二枝壁部57同士は、捻り方向に僅かにずれるように位置関係が変化する。なお、前記各枝壁部53自体は殆ど歪まないので、この位置関係の変化は、各枝壁部53と天面部54との交差角度の変化や前記天面部54の撓み等によって起きる。
【0071】
このように、前記製氷器具を捻ることで生じる歪みにより、製氷のための空間を画定する一対の枝壁部53同士の間隔Sが僅かに小さくなる。一方で、製氷のための空間でできた氷塊は、殆ど弾性変形しないので、前記製氷器具の区画体51の歪みによって前記空間の広口側である前記側方開口部55側へ押し出される。この際、前述したように、氷面よりも前記天面部54の下面が高い、即ち氷面よりも前記側方開口部55の上端が高いので、氷塊の前記側方開口部55側への移動が妨げられることがない。同時に、前記空間を画定する一対の枝壁部53同士の間隔が下方に向かって広がるので、氷塊は広口側である下方に向かっても押し出される。更に、前記幹壁部52が捻れるように歪むことで、この幹壁部52に氷塊から離れるように動く部分と氷塊を押し出そうとする部分が生じるので、氷塊は広口側である前記側方開口部55側へ押し出される。このように、氷塊に広口側である前記側方開口部55側及び下方へ押し出す力が働くので、前記製氷器具を捻ることで氷塊を容易に前記区画体51から取り出すことができる。なお、前記製氷器具の長寸Y1,Y2方向端部において作られた氷塊は、前記製氷器具を捻った際に前記容器2の周壁部5と前記区画体51の枝壁部53との位置関係が変動することによって、前記区画体51から取り出される。
【0072】
なお、前記製氷器具全体を捻ることで前記区画体51から取り出された氷塊は、前記容器2内に留まる。従って、氷塊を取り出す際に、この氷塊を床や流し台等に落としてしまう可能性を減ずることができる。また、氷塊をそのまま前記容器2内に貯めておくこともできる。
【0073】
以上のように本発明の製氷器具は、水平方向に長寸Y1方向と短寸X1方向を有する上方に開口部6が形成された容器2と、この容器2内に上方開口部6から着脱可能に収容される、水平方向に長寸Y2方向と短寸X2方向を有する区画体51とを有する製氷器具において、前記区画体51が、前記容器2の短寸X1方向の中央部で且つ長寸Y1方向に延びるように設けられる幹壁部52と、この幹壁部52から長寸Y1方向と直交、即ち交差する方向に延びるように設けられる複数の枝壁部53と、これらの幹壁部52と枝壁部53の上部を繋ぐ複数の天面部54とを有し、前記各枝壁部53同士が、幹壁部52側の基端部から側方先端部である端面壁53Dに向かって間隔Sが広くなるように構成されると共に、前記端面壁53D同士の間に側方開口部55が形成されることで、前記容器2に水を貯め、この上から前記区画体51を収容することで、水を飛び散らせたり溢したりせずに製氷器具を冷凍室に収容することができるばかりでなく、前記容器2ごと前記区画体51を捻ることで、氷塊が広口側である前記側方開口部55の方向に押し出されて前記区画体51から外れるようにすることができるものである。また、前記区画体51の枝壁部53の端面壁53D同士の間に前記側方開口部55を設けることにより、前記区画体51の清掃がしやすくなり衛生的にすることができるものである。
【0074】
また、本発明の製氷器具は、前記容器2に最高水位線となる指示部7を設け、この指示部7まで水を入れた状態で前記区画体51を前記容器2に入れた際の水位よりも高い位置まで前記側方開口部55を形成することにより、氷塊を取り出す際に、氷塊が前記側方開口部55の方向に移動するのを妨げないようにすることができるものである。
【0075】
また、本発明の製氷器具は、前記枝壁部53の側方先端部である端面壁53D全体の間に前記側方開口部55を形成することにより、軽い力で前記区画体51を捻ることができるものである。
【0076】
更に、本発明の製氷器具は、複数の前記枝壁部53が、前記幹壁部52を挟んで一方X2+側に設けられた第一枝壁部56と他方X2-側に設けられた第二枝壁部57とを有し、第一枝壁部56と第二枝壁部57を長寸Y2方向にずらして設けることにより、軽い力で前記区画体51を捻ることができるものである。
【0077】
次に、本発明の第四の実施形態について、
図9に基づいて説明する。なお、容器2の構造は第一の実施形態と同一である。従って、容器2の構造についての説明は、第二,第三の実施形態と同様に、第一の実施形態の
図4を援用する。本実施形態の製氷器具は、容器2と区画体61とを有して構成される。前記容器2は、平面視が角丸の矩形であり、水平方向に長寸Y1方向と短寸X1方向を有する。そして、これら長寸Y1方向と短寸X1方向は直交する。また、前記容器2は、上方が開口する。即ち、前記容器2は、底部4と、この底部4の外周部から起立する周壁部5とを有する。そして、これら底部4と周壁部5は、一体に形成される。また、前記周壁部5の上部には、角丸矩形状の開口部6が形成される。更に、前記周壁部5には、規定水位を示す最高水位線である指示部7が設けられる。本実施形態では、この指示部7は、印刷や刻印により形成されるが、段差などにより形成しても良い。また、前記周壁部5の上部には、複数の嵌合受部8が形成される。
【0078】
前記区画体61は、前記容器2と同様に、平面視が角丸の矩形であり、水平方向に長寸Y2方向と短寸X2方向を有する。そして、これら長寸Y2方向と短寸X2方向は直交する。また、前記区画体61は、前記容器2の上方の開口部6から前記容器2内に着脱可能に収容される。なお、前記区画体61を前記容器2に収容した状態で、長寸Y1方向と長寸Y2方向、短寸X1方向と短寸X2方向は一致する。
【0079】
前記区画体61の構造について詳述する。この区画体61は、その短寸X2方向の中央部において、長寸Y2方向に延びるように形成される幹壁部62と、この幹壁部62から短寸X2方向、即ち長寸Y2方向と直交する方向に延びる複数の枝壁部63と、これら幹壁部62の上部と枝壁部63の上部とを繋ぐ複数の天面部64とを有する。前記枝壁部63の短寸X2方向の側方先端部である後述する端面壁63Dは、前記天面部64によって繋がる上部を除いて、隣接する前記枝壁部63の短寸X2方向の側方先端部である端面壁63Dと離間する。このため、前記枝壁部63の端面壁63D同士の間には、側方開口部65が形成される。
【0080】
前記幹壁部62は、長寸Y2方向に直線状に延びるように形成される。そして、前記枝壁部63は、前記幹壁部62を挟んで短寸X2方向の一方X2+側に設けられる複数の第一枝壁部66と、前記幹壁部62を挟んで短寸X2方向の他方X2-側に設けられる複数の第二枝壁部67とを有する。なお、前記第一枝壁部66と第二枝壁部67は、長寸Y2方向の同じ位置から、それぞれ一方X2+側及び他方X2-側に突出して設けられる。
【0081】
前記幹壁部62と枝壁部63は、上方が開放した中空状に形成される。即ち、前記幹壁部62は、一方X2+側の側面壁62Aと、他方X2-側の側面壁62Bと、底面壁62Cと、長寸Y2方向の両端となる端面壁62Dとを有して構成される。また、前記枝壁部63は、一対の側面壁63Aと、底面壁63Cと、短寸X2方向の端部に設けられた端面壁63Dとを有して構成される。そして、一の枝壁部63における一対の前記側面壁63A同士の間隔は、前記幹壁部62側となる基端部から側方先端部である前記端面壁63Dに向かって狭くなると共に、一の枝壁部63を構成する一対の側面壁63A,63Aの長寸Y2方向及び短寸X2方向と成す角度の絶対値は等しい。これによって、複数の前記枝壁部63は、前記幹壁部62側となる基端部から側方先端部である前記端面壁63Dに向かってそれらの間隔Sが広くなるように構成される。なお、これらの間隔Sは、前記側方開口部65において最大となる。また、前記幹壁部62は、その側面壁62Aと側面壁62Bの間隔が下方に向かうに従って狭くなる。同様に、前記枝壁部63は、その側面壁63A同士の間隔が下方に向かうに従って狭くなる。なお、前記天面部64は、前記幹壁部62の側面壁62Aの上部と前記第一枝壁部66の側面壁63Aの上部を繋ぐように形成されると共に、前記幹壁部62の側面壁62Bの上部と前記第二枝壁部67の側面壁63Aの上部を繋ぐように形成される。そして、前記幹壁部62の底面壁62Cと前記枝壁部63の底面壁63Cは、自然状態で同一平面状であると共に、前記区画体61を前記容器2に収容した状態で、この容器2の底部4の内面と僅かな間隔をおいて近接するか又は全面接触する。また、前記幹壁部62の端面壁62Dと前記各枝壁部63の端面壁63Dは、前記区画体61を前記容器2に収容した状態で、この容器2の周壁部5の内面と僅かな間隔をおいて近接するか又は全面接触する。なお、一つの前記枝壁部63を構成する一対の前記側面壁63A同士は、それぞれ図示しない補強リブによって連結される。これらの補強リブは、前記枝壁部63の側面壁63Aにおける前記短寸X2方向の中央部同士を連結するように一体に形成される。
【0082】
そして、前記枝壁部63の端面壁63Dと天面部64の側方端部64Aから上方に延びるように、角丸矩形状の図示しない環状リブが一体に形成される。この環状リブは、前記区画体61を前記容器2に収容した状態で、その高さと同じ高さにある前記周壁部5の内面形状とほぼ同じ形状に形成される。また、前記環状リブには、前記嵌合受部8に対応して、これらと同数の嵌合突部68が形成される。更に、前記環状リブの短寸X2方向の両端で且つ前記長寸Y2方向の中央部には、一対の把持部69が形成される。
【0083】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず使用者は、前記容器2内に水を入れる。この際、この容器2が、その内部に区画のための壁のような複数の凹凸を有さないので、勢いよく水を注いでも、この水が跳ねて飛び散るのを抑制することができる。なお、水は規定水位を示す前記指示部7よりも高くならないようにする。そして、前記容器2内に水を入れた後、使用者は、前記把持部69を把持し、前記容器2の上方の開口部6から前記区画体61を前記容器2内に収容する。この際、前記容器2内の空気は、前記周壁部5と環状リブとの間の隙間から前記製氷器具外に流出する。このように、前記容器2内に前記区画体61を収容すると、この区画体61に形成された各嵌合突部68が、前記容器2の対応する各嵌合受部8に嵌合する。この状態で、前記幹壁部62の底面壁62Cと前記枝壁部63の底面壁63Cは、全体的に、前記容器2の底部4の内面と僅かな間隔を開けて近接するか、又は全面接触する。同様に、前記幹壁部62の端面壁62Dと前記枝壁部63の端面壁63Dは、全体的に、前記容器2の周壁部5の内面と僅かな間隔を開けて近接するか、又は全面接触する。これによって、前記第一枝壁部66同士又は前記第二枝壁部67同士における隣り合う前記枝壁部63,62と、前記幹壁部62と、前記天面部64と、前記底部4と前記周壁部5で囲まれる空間が形成される。そして、このようにして形成される複数の各空間同士は、互いに殆ど独立する。
【0084】
なお、前記容器2内に前記区画体61を収容すると、水位は規定水位から上昇する。また、前記各空間の水位は、前記容器2を水平な面上に置いて前記区画体61を収容すれば、ほぼ等しくなる。
【0085】
このように、水が入れられた前記製氷器具を、図示しない冷凍冷蔵庫の冷凍室又は冷凍庫に収容する。そして、前記容器2の上部の開口部6が前記区画体61によって覆われているので、前記製氷器具を水回りから冷凍室又は冷凍庫に運ぶ際、前記容器2内の水は前記製氷器具から溢れにくい。なお、前記製氷器具が置かれる面が水平であれば、各空間の水位は変化しない。そして、前記製氷器具内の水は前記冷凍室又は冷凍庫内で冷却され、氷塊となる。水は凍結により膨張する(0℃の水は0℃の氷よりも約9%体積が大きい)ので、氷面の高さは凍結前の水位よりも高くなる。しかしながら、前記規定水位は、氷面の高さを考慮して設定される。即ち、氷面が前記天面部64の下面よりも低くなるように、前記規定水位が設定され、指示部7が設けられる。これによって、前記水が凍結しても、氷面と前記天面部64の下面との間に空間が残る。このため、前記水が凍結して膨張しても、前記区画体61が上方に押し上げられるのを抑制することができる。また、前記区画体61が押し上げられて各空間同士が下方で繋がってしまい、氷塊が下方で繋がってしまうということも抑制することができる。更に、このように氷面と前記天面部64の下面との間に間隙があることで、前記区画体61を捻るのを容易にすることができる。
【0086】
このようにして前記製氷器具内で作られた氷塊は、そのままでは使用できないので、前記区画体61から取り出す必要がある。氷塊の取り出しは、前記製氷器具の一の対角組を相対的に上に、他の対角組を相対的に下に動かすように捻ることで行われる。即ち、角C1,C4を下方に、角C2,C3を上方に動かすように捻るか、又は角C1,C4を上方に、角C2,C3を下方に動かすように捻る。この際、前述したように、前記幹壁部62が、側面壁62A,62Bと、底面壁62Cと、端面壁62Dとを有して構成される上方開口の中空状に形成されることで、変形しやすい。一方、前記枝壁部63は、前記幹壁部62と同様に、側面壁63Aと底面壁63Cと端面壁63Dを有して構成されるものの、前記補強リブによって補強されているため、歪みにくい。なお、第三の実施形態で説明したように、この第三の実施形態の構造に比較すると、本実施形態の構造は、幹壁部62と枝壁部63が接続される部分の剛性が高い。従って、第三の実施形態の構造に比較すると、本実施形態の構造は、捩りにより変形しにくい。
【0087】
これら幹壁部62と枝壁部63と天面部64の歪みについて詳述する。対角である角C1と角C4を相対的に下方に、他の対角である角C2と角C3を相対的に上方に動かすように前記製氷器具を捻ると、前記各第一枝壁部66及びこれらを繋ぐ天面部54は
図8の上方に、前記各第二枝壁部67及びこれらを繋ぐ天面部64は
図8の下方に、僅かに移動するよう変形する。この捻り動作により、前記幹壁部62は、その側面壁62A,62Bが捻れるように歪む。即ち、これらの側面壁62A,62Bは、ほぼ平面状態から捻れた曲面状に変形する。
【0088】
一方、前述したように、前記枝壁部63は、前記補強リブによって補強されるため、殆ど歪まない。また、前記補強リブによって側面壁63Aが同じ枝壁部63を構成する他の側面壁63Aと連結され、更に前記側面壁63Aが同じ空間を画定する他の側面壁63Aと前記天面部64によって連結されることで、前記各第一枝壁部66は、捻り動作により、連動して同じ方向に移動する。同様に、前記各第二枝壁部67も、捻り動作により、連動して同じ方向に移動する。なお、前記各枝壁部63は、前述したように、それらの端面壁63D同士が前記天面部64の側方端部64Aを除いて接続されずに前記側方開口部65が形成される。このため、前記各第一枝壁部66同士、各第二枝壁部67同士は、捻り方向に僅かにずれるように位置関係が変化する。なお、前記各枝壁部63自体は殆ど歪まないので、この位置関係の変化は、各枝壁部63と天面部64との交差角度の変化や前記天面部64の撓み等によって起きる。
【0089】
このように、前記製氷器具を捻ることで生じる歪みにより、製氷のための空間を画定する一対の枝壁部63同士の間隔Sが僅かに小さくなる。一方で、製氷のための空間でできた氷塊は、殆ど弾性変形しないので、前記製氷器具の区画体61の歪みによって前記空間の広口側である前記側方開口部65側へ押し出される。この際、前述したように、氷面よりも前記天面部64の下面が高い、即ち氷面よりも前記側方開口部65の上端が高いので、氷塊の前記側方開口部65側への移動が妨げられることがない。同時に、前記空間を画定する一対の枝壁部63同士の間隔が下方に向かって広がるので、氷塊は広口側である下方に向かっても押し出される。更に、前記幹壁部62が捻れるように歪むことで、この幹壁部62に氷塊から離れるように動く部分と氷塊を押し出そうとする部分が生じるので、氷塊は広口側である前記側方開口部65側へ押し出される。このように、氷塊に広口側である前記側方開口部65側及び下方へ押し出す力が働くので、前記製氷器具を捻ることで氷塊を容易に前記区画体61から取り出すことができる。なお、前記製氷器具の長寸Y1,Y2方向端部において作られた氷塊は、前記製氷器具を捻った際に前記容器2の周壁部5と前記区画体61の枝壁部63との位置関係が変動することによって、前記区画体61から取り出される。
【0090】
なお、前記製氷器具全体を捻ることで前記区画体61から取り出された氷塊は、前記容器2内に留まる。従って、氷塊を取り出す際に、この氷塊を床や流し台等に落としてしまう可能性を減ずることができる。また、氷塊をそのまま前記容器2内に貯めておくこともできる。
【0091】
以上のように本発明の製氷器具は、水平方向に長寸Y1方向と短寸X1方向を有する上方に開口部6が形成された容器2と、この容器2内に上方開口部6から着脱可能に収容される、水平方向に長寸Y2方向と短寸X2方向を有する区画体61とを有する製氷器具において、前記区画体61が、前記容器2の短寸X1方向の中央部で且つ長寸Y1方向に延びるように設けられる幹壁部62と、この幹壁部62から長寸Y1方向と直交、即ち交差する方向に延びるように設けられる複数の枝壁部63と、これらの幹壁部62と枝壁部63の上部を繋ぐ複数の天面部64とを有し、これらの枝壁部63同士が、幹壁部62側の基端部から側方先端部である端面壁63Dに向かって間隔Sが広くなるように構成されると共に、前記端面壁63D同士の間に側方開口部65が形成されることで、前記容器2に水を貯め、この上から前記区画体61を収容することで、水を飛び散らせたり溢したりせずに製氷器具を冷凍室に収容することができるばかりでなく、前記容器2ごと前記区画体61を捻ることで、氷塊が広口側である前記側方開口部65の方向に押し出されて前記区画体61から外れるようにすることができるものである。また、前記区画体61の枝壁部63の端面壁63D同士の間に前記側方開口部65を設けることにより、前記区画体61の清掃がしやすくなり衛生的にすることができるものである。
【0092】
また、本発明の製氷器具は、前記容器2に最高水位線となる指示部7を設け、この指示部7まで水を入れた状態で前記区画体61を前記容器2に入れた際の水位よりも高い位置まで前記側方開口部65を形成することにより、氷塊を取り出す際に、氷塊が前記側方開口部65の方向に移動するのを妨げないようにすることができるものである。
【0093】
更に、本発明の製氷器具は、前記枝壁部63の側方先端部である端面壁63D全体の間に前記側方開口部65を形成することにより、軽い力で前記区画体61を捻ることができるものである。
【0094】
次に、本発明の第五の実施形態について、
図10及び
図11に基づいて説明する。なお、容器2の構造は第一の実施形態と同一である。従って、容器2の構造についての説明は、第二乃至第四の実施形態と同様に、第一の実施形態の
図4を援用する。70は本発明の製氷器具である。この製氷器具70は、容器2と区画体71とを有して構成される。前記容器2は、平面視が角丸の矩形であり、水平方向に長寸Y1方向と短寸X1方向を有する。そして、これら長寸Y1方向と短寸X1方向は直交する。また、前記容器2は、上方が開口する。即ち、前記容器2は、底部4と、この底部4の外周部から起立する周壁部5とを有する。そして、これら底部4と周壁部5は、一体に形成される。また、前記周壁部5の上部には、角丸矩形状の開口部6が形成される。更に、前記周壁部5には、規定水位を示す最高水位線である指示部7が設けられる。本実施形態では、この指示部7は、印刷や刻印により形成されるが、段差などにより形成しても良い。また、前記周壁部5の上部には、複数の嵌合受部8が形成される。
【0095】
前記区画体71は、前記容器2と同様に、平面視が角丸の矩形であり、水平方向に長寸Y2方向と短寸X2方向を有する。そして、これら長寸Y2方向と短寸X2方向は直交する。また、前記区画体71は、前記容器2の上方の開口部6から前記容器2内に着脱可能に収容される。なお、前記区画体71を前記容器2に収容した状態で、長寸Y1方向と長寸Y2方向、短寸X1方向と短寸X2方向は一致する。
【0096】
前記区画体71の構造について詳述する。この区画体71は、その短寸X2方向の中央部において、長寸Y2方向に延びるように形成される幹壁部72と、この幹壁部72の折れ曲がった部分から短寸X2方向、即ち長寸Y2方向と直交する方向に延びる複数の枝壁部73と、これら幹壁部72の上部と枝壁部73の上部とを繋ぐ複数の天面部74とを有する。前記枝壁部73の短寸X2方向の側方先端部である後述する端面壁73Dは、前記天面部74及び後述する下環状リブ83によって繋がる上部を除いて、隣接する前記枝壁部73の短寸X2方向の側方先端部である端面壁73Dと離間する。このため、前記枝壁部73の端面壁73D同士の間には、側方開口部75が形成される。
【0097】
前記幹壁部72は、長寸Y2方向にジグザグ状に延びるように形成される。そして、前記枝壁部73は、前記幹壁部72を挟んで短寸X2方向の一方X2+側に設けられる複数の第一枝壁部76と、前記幹壁部72を挟んで短寸X2方向の他方X2-側に設けられる複数の第二枝壁部77とを有する。前記各第一枝壁部76は、前記幹壁部72における一方X2+側に凸となる一方側突出部78から一方X2+側に突出する。同様に、前記各第二枝壁部77は、前記幹壁部72における他方X2-側に凸となる他方側突出部79から他方X2-側に突出する。なお、前記幹壁部72がY2方向にジグザグ状に延びる、即ち前記一方側突出部78と他方側突出部79が交互に設けられることから、前記一方側突出部78から突出する前記第一枝壁部76と前記他方側突出部79から突出する前記第二枝壁部77とが、長寸Y2方向にずれて交互に設けられる。
【0098】
前記幹壁部72と枝壁部73は、上方が開放した中空状に形成される。即ち、前記幹壁部72は、一方X2+側の側面壁72Aと、他方X2-側の側面壁72Bと、底面壁72Cと、長寸Y2方向の両端となる端面壁72Dとを有して構成される。なお、前記一方側突出部78は前記側面壁72Aに形成されると共に、前記一方側突出部78に対応して、対向する前記側面壁72Bに凹部80が形成される。同様に、前記他方側突出部79は前記側面壁72Bに形成されると共に、前記他方側突出部79に対応して、対向する前記側面壁72Aに凹部81が形成される。また、前記枝壁部73は、一対の側面壁73Aと、底面壁73Cと、短寸X2方向の端部に設けられた端面壁73Dとを有して構成される。なお、一の枝壁部73における一対の前記側面壁73A同士の間隔は、前記幹壁部72側となる基端部から側方先端部である前記端面壁73Dに向かって狭くなると共に、一の枝壁部73を構成する一対の側面壁73A,73Aの長寸Y2方向及び短寸X2方向と成す角度の絶対値は等しい。これによって、複数の前記枝壁部73は、前記幹壁部72側となる基端部から側方先端部である前記端面壁73Dに向かってそれらの間隔Sが広くなるように構成される。なお、これらの間隔Sは、前記側方開口部75において最大となる。また、前記幹壁部72は、その側面壁72Aと側面壁72Bの間隔が下方に向かうに従って狭くなる。同様に、前記枝壁部73は、その側面壁73A同士の間隔が下方に向かうに従って狭くなる。なお、前記天面部74は、前記幹壁部72の側面壁72Aの上部と前記第一枝壁部76の側面壁73Aの上部を繋ぐように形成されると共に、前記幹壁部72の側面壁72Bの上部と前記第二枝壁部77の側面壁73Aの上部を繋ぐように形成される。そして、前記幹壁部72の底面壁72Cと前記枝壁部73の底面壁73Cは、自然状態で同一平面状であると共に、前記区画体71を前記容器2に収容した状態で、この容器2の底部4の内面と僅かな間隔をおいて近接するか又は全面接触する。また、前記幹壁部72の端面壁72D及び前記各枝壁部73の端面壁73Dは、前記区画体71を前記容器2に収容した状態で、この容器2の周壁部5の内面と僅かな間隔をおいて近接するか又は全面接触する。なお、一つの前記枝壁部73を構成する一対の前記側面壁73A同士は、それぞれ補強リブによって連結される。これらの補強リブは、前記枝壁部73の側面壁73Aにおける前記短寸X2方向の中央部同士を連結するように一体に形成される。
【0099】
そして、前記枝壁部73の端面壁73Dと天面部74の側方端部74Aから上方に延びるように、角丸矩形状の環状リブ82が一体に形成される。また、前記天面部74の側方端部74Aから下方に延びるように、角丸矩形状の下環状リブ83が一体に形成される。これらの環状リブ82及び下環状リブ83は、前記区画体71を前記容器2に収容した状態で、その高さと同じ高さにある前記周壁部5の内面形状とほぼ同じ形状に形成される。また、前記環状リブ82には、前記嵌合受部8に対応して、これらと同数の嵌合突部84が形成される。更に、前記環状リブ82の短寸X2方向の両端で且つ前記長寸Y2方向の中央部には、一対の把持部85が形成される。
【0100】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず使用者は、前記容器2内に水Wを入れる。この際、この容器2が、その内部に区画のための壁のような複数の凹凸を有さないので、勢いよく水Wを注いでも、この水Wが跳ねて飛び散るのを抑制することができる。なお、水Wは規定水位L0を示す前記指示部7よりも高くならないようにする。そして、前記容器2内に水Wを入れた後、使用者は、前記把持部85を把持し、前記容器2の上方の開口部6から前記区画体71を前記容器2内に収容する。この際、前記容器2内の空気は、前記周壁部5と環状リブ82及び下環状リブ83との間の隙間から前記製氷器具70外に流出する。このように、前記容器2内に前記区画体71を収容すると、この区画体71に形成された各嵌合突部84が、前記容器2の対応する各嵌合受部8に嵌合する。この状態で、前記幹壁部72の底面壁72Cと前記枝壁部73の底面壁73Cは、全体的に、前記容器2の底部4の内面と僅かな間隔を開けて近接するか、又は全面接触する。同様に、前記幹壁部72の端面壁72Dと前記枝壁部73の端面壁73Dは、全体的に、前記容器2の周壁部5の内面と僅かな間隔を開けて近接するか、又は全面接触する。これによって、前記第一枝壁部76同士又は前記第二枝壁部77同士における隣り合う前記枝壁部73,73と、前記幹壁部72と、前記天面部74と、前記底部4と前記周壁部5で囲まれる空間が形成される。そして、このようにして形成される複数の各空間同士は、互いに殆ど独立する。
【0101】
なお、前記容器2内に前記区画体71を収容すると、
図11に示すように、水位はL0からL1に上昇する。また、前記各空間の水位は、前記容器2を水平な面上に置いて前記区画体71を収容すれば、ほぼ等しくL1である。
【0102】
このように、水Wが入れられた前記製氷器具70を、図示しない冷凍冷蔵庫の冷凍室又は冷凍庫に収容する。そして、前記容器2の上部の開口部6が前記区画体71によって覆われているので、前記製氷器具70を水回りから冷凍室又は冷凍庫に運ぶ際、前記容器2内の水Wは前記製氷器具70から溢れにくい。なお、前記製氷器具70が置かれる面が水平であれば、各空間の水位はL1のままである。そして、前記製氷器具70内の水Wは前記冷凍室又は冷凍庫内で冷却され、氷塊となる。水Wは凍結により膨張する(0℃の水は0℃の氷よりも約9%体積が大きい)ので、氷面の高さL2は水位L1よりも高くなる。しかしながら、前記水位L0は、氷面L2の高さを考慮して設定される。即ち、氷面L2が前記下環状リブ83の下端よりも低くなるように、前記水位L0が設定され、指示部7が設けられる。これによって、前記水Wが凍結しても、氷面L2と前記天面部74の下面との間に空間が残る。このため、前記水Wが凍結して膨張しても、前記区画体71が上方に押し上げられるのを抑制することができる。また、前記区画体71が押し上げられて各空間同士が下方で繋がってしまい、氷塊が下方で繋がってしまうということも抑制することができる。更に、このように氷面L2と前記天面部74の下面との間に間隙があることで、前記区画体71を捻るのを容易にすることができる。
【0103】
このようにして前記製氷器具70内で作られた氷塊は、そのままでは使用できないので、前記区画体71から取り出す必要がある。氷塊の取り出しは、前記製氷器具70の一の対角組を相対的に上に、他の対角組を相対的に下に動かすように捻ることで行われる。即ち、
図10において、角C1,C4を下方に、角C2,C3を上方に動かすように捻るか、又は角C1,C4を上方に、角C2,C3を下方に動かすように捻る。この際、前記幹壁部72がジグザグ状に形成されるので、この幹壁部72は弾性変形しやすい。また、前述したように、前記幹壁部72が、側面壁72A,72Bと、底面壁72Cと、端面壁72Dとを有して構成される上方開口の中空状に形成されることで、より変形しやすい。一方、前記枝壁部73は、前記幹壁部72と同様に、側面壁73Aと底面壁73Cと端面壁73Dを有して構成されるものの、前記補強リブによって補強されているため、歪みにくい。更に、前記幹壁部72から突出する前記各枝壁部73が、前記第一枝壁部76と第二枝壁部77とで長寸Y2方向にずらして形成されるので、より捻りやすい。即ち、本実施形態では、ジグザグに形成された前記幹壁部72の一方側突出部78と他方側突出部79に、それぞれ第一枝壁部76及び第二枝壁部77が形成されるので、これらの第一枝壁部76及び第二枝壁部77は、区画体の短寸方向の中央に直線状に幹壁部が形成される構造(第三の実施形態等)に比べて短い。従って、端面壁73Dの幅が同じであり、側面壁73A同士のなす角度が同じであれば、本実施形態の前記枝壁部73は、その基端の太さが、前述した、区画体の短寸方向の中央に直線状に幹壁部が形成される構造に比べて細くなる。このため、本実施例の前記区画体71は、前記幹壁部72と枝壁部73とが接続される部位の剛性が相対的に低く、従って、捻りにより変形しやすい。
【0104】
これら幹壁部72と枝壁部73と天面部74の歪みについて詳述する。対角である角C1と角C4を相対的に下方に、他の対角である角C2と角C3を相対的に上方に動かすように前記製氷器具70を捻ると、前記各第一枝壁部76及びこれらを繋ぐ天面部74は
図10の上方に、前記各第二枝壁部77及びこれらを繋ぐ天面部74は
図10の下方に、僅かに移動するよう変形する。この捻り動作により、前記幹壁部72は、その側面壁72Aと側面壁72Bの間隔が広がる部位と狭まる部位が生じる。即ち、前記幹壁部72は、厚さが厚くなる部位と薄くなる部位が生じるように歪む。また、前記幹壁部72が捻れるように歪むことで、前記凹部80,81の内角が僅かに小さくなる。
【0105】
一方、前述したように、前記枝壁部73は、前記補強リブによって補強されるため、殆ど歪まない。また、前記補強リブによって側面壁73Aが同じ枝壁部73を構成する他の側面壁73Aと連結され、更に前記側面壁73Aが同じ空間を画定する他の側面壁73Aと前記天面部74によって連結されることで、前記各第一枝壁部76は、捻り動作により、連動して同じ方向に移動する。同様に、前記各第二枝壁部77も、捻り動作により、連動して同じ方向に移動する。なお、前記各枝壁部73は、前述したように、それらの端面壁73D同士が前記天面部74の側方端部74A及び下環状リブ83を除いて接続されずに前記側方開口部75が形成される。このため、前記各第一枝壁部76同士、各第二枝壁部77同士は、捻り方向に僅かにずれるように位置関係が変化する。なお、前記各枝壁部73自体は殆ど歪まないので、この位置関係の変化は、各枝壁部73と天面部74との交差角度の変化や前記天面部74の撓み等によって起きる。
【0106】
このように、前記製氷器具70を捻ることで生じる歪みにより、製氷のための空間を画定する一対の枝壁部73同士の間隔Sが僅かに小さくなる。一方で、製氷のための空間でできた氷塊は、殆ど弾性変形しないので、前記製氷器具70の区画体71の歪みによって前記空間の広口側である前記側方開口部75側へ押し出される。この際、前述したように、氷面L2よりも前記下環状リブ83の下端が高い、即ち氷面L2よりも前記側方開口部75の上端が高いので、氷塊の前記側方開口部75側への移動が妨げられることがない。なお、前記下環状リブ83は、前記区画体71の剛性を調整する等の目的で、氷塊の押し出しの邪魔にならない範囲で高さを任意に調整することができる。同時に、前記空間を画定する一対の枝壁部73同士の間隔が下方に向かって広がるので、氷塊は広口側である下方に向かっても押し出される。更に、前記幹壁部72の凹部80,81の内角が僅かに小さくなることによっても、氷塊は広口側である前記側方開口部75側へ押し出される。このように、氷塊に広口側である前記側方開口部75側及び下方へ押し出す力が働くので、前記製氷器具70を捻ることで氷塊を容易に前記区画体71から取り出すことができる。なお、前記製氷器具70の長寸Y1,Y2方向端部において作られた氷塊は、前記製氷器具70を捻った際に前記容器2の周壁部5と前記区画体71の枝壁部73との位置関係が変動することによって、前記区画体71から取り出される。
【0107】
なお、前記製氷器具70全体を捻ることで前記区画体71から取り出された氷塊は、前記容器2内に留まる。従って、氷塊を取り出す際に、この氷塊を床や流し台等に落としてしまう可能性を減ずることができる。また、氷塊をそのまま前記容器2内に貯めておくこともできる。
【0108】
以上のように本発明の製氷器具70は、水平方向に長寸Y1方向と短寸X1方向を有する上方に開口部6が形成された容器2と、この容器2内に上方開口部6から着脱可能に収容される、水平方向に長寸Y2方向と短寸X2方向を有する区画体71とを有する製氷器具70において、前記区画体71が、前記容器2の短寸X1方向の中央部で且つ長寸Y1方向に延びるように設けられる幹壁部72と、この幹壁部72から長寸Y1方向と直交、即ち交差する方向に延びるように設けられる複数の枝壁部73と、これらの幹壁部72と枝壁部73の上部を繋ぐ複数の天面部74とを有し、前記各枝壁部73同士が、幹壁部72側の基端部から側方先端部である端面壁73Dに向かって間隔Sが広くなるように構成されると共に、前記端面壁73D同士の間に側方開口部75が形成されることで、前記容器2に水Wを貯め、この上から前記区画体71を収容することで、水Wを飛び散らせたり溢したりせずに製氷器具70を冷凍室に収容することができるばかりでなく、前記容器2ごと前記区画体71を捻ることで、氷塊が広口側である前記側方開口部75の方向に押し出されて前記区画体71から外れるようにすることができるものである。また、前記区画体71の枝壁部73の端面壁73D同士の間に前記側方開口部75を設けることにより、前記区画体71の清掃がしやすくなり衛生的にすることができるものである。
【0109】
また、本発明の製氷器具70は、前記容器2に最高水位線となる指示部7を設け、この指示部7まで水を入れた状態で前記区画体71を前記容器2に入れた際の水位L1よりも高い位置まで前記側方開口部75を形成することにより、氷塊を取り出す際に、氷塊が前記側方開口部75の方向に移動するのを妨げないようにすることができるものである。
【0110】
また、本発明の製氷器具70は、複数の前記枝壁部73が、前記幹壁部72を挟んで一方X2+側に設けられた第一枝壁部76と他方X2-側に設けられた第二枝壁部77とを有し、第一枝壁部76と第二枝壁部77を長寸Y2方向にずらして設けることにより、軽い力で前記区画体71を捻ることができるものである。
【0111】
更に、本発明の製氷器具70は、前記幹壁部72をジグザグに形成すると共に、前記幹壁部72の一方側突出部78に前記第一枝壁部76の基端部を設け、前記幹壁部72の他方側突出部79に前記第二枝壁部77の基端部を設けることにより、前記区画体71を捻った際にジグザグ状の幹壁部72の変形によっても前記氷塊が前記側方開口部75の方向に押し出されるので、より容易に前記氷塊を前記区画体71から外れるようにすることができるものである。
【0112】
次に、本発明の第六の実施形態について、
図12に基づいて説明する。なお、容器2の構造は第一の実施形態と同一である。従って、容器2の構造についての説明は、第二乃至第五の実施形態と同様に、第一の実施形態の
図4を援用する。本実施形態の製氷器具は、容器2と区画体91とを有して構成される。前記容器2は、平面視が角丸の矩形であり、水平方向に長寸Y1方向と短寸X1方向を有する。そして、これら長寸Y1方向と短寸X1方向は直交する。また、前記容器2は、上方が開口する。即ち、前記容器2は、底部4と、この底部4の外周部から起立する周壁部5とを有する。そして、これら底部4と周壁部5は、一体に形成される。また、前記周壁部5の上部には、角丸矩形状の開口部6が形成される。更に、前記周壁部5には、規定水位を示す最高水位線である指示部7が設けられる。本実施形態では、この指示部7は、印刷や刻印により形成されるが、段差などにより形成しても良い。また、前記周壁部5の上部には、複数の嵌合受部8が形成される。
【0113】
前記区画体91は、前記容器2と同様に、平面視が角丸の矩形であり、水平方向に長寸Y2方向と短寸X2方向を有する。そして、これら長寸Y2方向と短寸X2方向は直交する。また、前記区画体91は、前記容器2の上方の開口部6から前記容器2内に着脱可能に収容される。なお、前記区画体91を前記容器2に収容した状態で、長寸Y1方向と長寸Y2方向、短寸X1方向と短寸X2方向は一致する。
【0114】
前記区画体91の構造について詳述する。この区画体91は、その短寸X2方向の中央部において、長寸Y2方向に延びるように形成される幹壁部92と、この幹壁部92の折れ曲がった部分から短寸X2方向及び長寸Y2方向と交差する方向に延びる複数の枝壁部93と、これら幹壁部92の上部と枝壁部93の上部とを繋ぐ複数の天面部94とを有する。前記枝壁部93の短寸X2方向の側方先端部である後述する端面壁93Dは、前記天面部94によって繋がる上部を除いて、隣接する前記枝壁部93の短寸X2方向の側方先端部である端面壁93Dと離間する。このため、前記枝壁部93の端面壁93D同士の間には、側方開口部95が形成される。
【0115】
前記幹壁部92は、長寸Y2方向にジグザグ状に延びるように形成される。そして、前記枝壁部93は、前記幹壁部92を挟んで短寸X2方向の一方X2+側に設けられる複数の第一枝壁部96と、前記幹壁部92を挟んで短寸X2方向の他方X2-側に設けられる複数の第二枝壁部97とを有する。前記各第一枝壁部96は、前記幹壁部92における一方X2+側に凸となる一方側突出部98から一方X2+側に突出する。同様に、前記各第二枝壁部97は、前記幹壁部92における他方X2-側に凸となる他方側突出部99から他方X2-側に突出する。なお、前記幹壁部92がY2方向にジグザグ状に延びる、即ち前記一方側突出部98と他方側突出部99が交互に設けられることから、前記一方側突出部98から突出する前記第一枝壁部96と前記他方側突出部99から突出する前記第二枝壁部97とが、長寸Y2方向にずれて交互に設けられる。
【0116】
前記幹壁部92と枝壁部93は、上方が開放した中空状に形成される。即ち、前記幹壁部92は、一方X2+側の側面壁92Aと、他方X2-側の側面壁92Bと、底面壁92Cと、長寸Y2方向の両端となる端面壁92Dとを有して構成される。なお、前記一方側突出部98は前記側面壁92Aに形成されると共に、前記一方側突出部98に対応して、対向する前記側面壁92Bに凹部100が形成される。同様に、前記他方側突出部99は前記側面壁92Bに形成されると共に、前記他方側突出部99に対応して、対向する前記側面壁92Aに凹部101が形成される。また、前記枝壁部93は、一対の側面壁93A,93Bと、底面壁93Cと、短寸X2方向の端部に設けられた端面壁93Dとを有して構成される。なお、一の枝壁部93における一対の前記側面壁93A,93Bの間隔は、前記幹壁部92側となる基端部から側方先端部である前記端面壁93Dに向かって狭くなる。これによって、複数の前記枝壁部93は、前記幹壁部92側となる基端部から側方先端部である前記端面壁93Dに向かってそれらの間隔Sが広くなるように構成される。なお、これらの間隔Sは、前記側方開口部95において最大となる。そして、前記側面壁93Aと側面壁93Bは、長寸Y2方向及び短寸X2方向とのなす角度が異なる。本実施形態では、前記側面壁93Aが前記短寸X2方向と平行なのに対し、前記側面壁93Bが前記短寸X2方向に対し斜めに交差する。また、前記幹壁部92は、その側面壁92Aと側面壁92Bの間隔が下方に向かうに従って狭くなる。同様に、前記枝壁部93は、その側面壁93Aと側面壁93Bの間隔が下方に向かうに従って狭くなる。なお、前記天面部94は、前記幹壁部92の側面壁92Aの上部と、前記第一枝壁部96の側面壁93Aの上部と、他の隣接する前記第一枝壁部96の側面壁93Bの上部とを繋ぐように形成されると共に、前記幹壁部92の側面壁92Bの上部と、前記第二枝壁部97の側面壁93Aの上部と、他の隣接する前記第二枝壁部97の側面壁93Bの上部とを繋ぐように形成される。そして、前記幹壁部92の底面壁92Cと前記枝壁部93の底面壁93Cは、自然状態で同一平面状であると共に、前記区画体91を前記容器2に収容した状態で、この容器2の底部4の内面と僅かな間隔をおいて近接するか又は全面接触する。また、前記幹壁部92の端面壁92D及び前記各枝壁部93の端面壁93Dは、前記区画体91を前記容器2に収容した状態で、この容器2の周壁部5の内面と僅かな間隔をおいて近接するか又は全面接触する。なお、一つの前記枝壁部93を構成する一対の前記側面壁93A,93Bは、それぞれ補強リブによって連結される。これらの補強リブは、前記枝壁部93の側面壁93A,93Bにおける前記短寸X2方向の中央部同士を連結するように一体に形成される。
【0117】
そして、前記枝壁部93の端面壁93Dと天面部94の側方端部94Aから上方に延びるように、角丸矩形状の環状リブが一体に形成される。この環状リブは、前記区画体91を前記容器2に収容した状態で、その高さと同じ高さにある前記周壁部5の内面形状とほぼ同じ形状に形成される。また、前記環状リブには、前記嵌合受部8に対応して、これらと同数の嵌合突部102が形成される。更に、前記環状リブの短寸X2方向の両端で且つ前記長寸Y2方向の中央部には、一対の把持部103が形成される。
【0118】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず使用者は、前記容器2内に水を入れる。この際、この容器2が、その内部に区画のための壁のような複数の凹凸を有さないので、勢いよく水を注いでも、この水が跳ねて飛び散るのを抑制することができる。なお、水は規定水位を示す前記指示部7よりも高くならないようにする。そして、前記容器2内に水を入れた後、使用者は、前記把持部103を把持し、前記容器2の上方の開口部6から前記区画体91を前記容器2内に収容する。この際、前記容器2内の空気は、前記周壁部5と環状リブとの間の隙間から前記製氷器具外に流出する。このように、前記容器2内に前記区画体91を収容すると、この区画体91に形成された各嵌合突部102が、前記容器2の対応する各嵌合受部8に嵌合する。この状態で、前記幹壁部92の底面壁92Cと前記枝壁部93の底面壁93Cは、全体的に、前記容器2の底部4の内面と僅かな間隔を開けて近接するか、又は全面接触する。同様に、前記幹壁部92の端面壁92Dと前記枝壁部93の端面壁93Dは、全体的に、前記容器2の周壁部5の内面と僅かな間隔を開けて近接するか、又は全面接触する。これによって、前記第一枝壁部96同士又は前記第二枝壁部97同士における隣り合う前記枝壁部93,93と、前記幹壁部92と、前記天面部94と、前記底部4と前記周壁部5で囲まれる空間が形成される。そして、このようにして形成される複数の各空間同士は、互いに殆ど独立する。
【0119】
なお、前記容器2内に前記区画体91を収容すると、水位は規定水位から上昇する。また、前記各空間の水位は、前記容器2を水平な面上に置いて前記区画体91を収容すれば、ほぼ等しくなる。
【0120】
このように、水が入れられた前記製氷器具を、図示しない冷凍冷蔵庫の冷凍室又は冷凍庫に収容する。そして、前記容器2の上部の開口部6が前記区画体91によって覆われているので、前記製氷器具を水回りから冷凍室又は冷凍庫に運ぶ際、前記容器2内の水は前記製氷器具から溢れにくい。なお、前記製氷器具が置かれる面が水平であれば、各空間の水位は変化しない。そして、前記製氷器具内の水は前記冷凍室又は冷凍庫内で冷却され、氷塊となる。水は凍結により膨張する(0℃の水は0℃の氷よりも約9%体積が大きい)ので、氷面の高さは凍結前の水位よりも高くなる。しかしながら、前記規定水位は、氷面の高さを考慮して設定される。即ち、氷面が前記天面部94の下面よりも低くなるように、前記規定水位が設定され、指示部7が設けられる。これによって、前記水が凍結しても、氷面と前記天面部94の下面との間に空間が残る。このため、前記水が凍結して膨張しても、前記区画体91が上方に押し上げられるのを抑制することができる。また、前記区画体91が押し上げられて各空間同士が下方で繋がってしまい、氷塊が下方で繋がってしまうということも抑制することができる。更に、このように氷面と前記天面部94の下面との間に間隙があることで、前記区画体91を捻るのを容易にすることができる。
【0121】
このようにして前記製氷器具内で作られた氷塊は、そのままでは使用できないので、前記区画体91から取り出す必要がある。氷塊の取り出しは、前記製氷器具の一の対角組を相対的に上に、他の対角組を相対的に下に動かすように捻ることで行われる。即ち、
図12において、角C1,C4を下方に、角C2,C3を上方に動かすように捻るか、又は角C1,C4を上方に、角C2,C3を下方に動かすように捻る。この際、前記幹壁部92がジグザグ状に形成されるので、この幹壁部92は弾性変形しやすい。また、前述したように、前記幹壁部92が、側面壁92A,92Bと、底面壁92Cと、端面壁92Dとを有して構成される上方開口の中空状に形成されることで、より変形しやすい。一方、前記枝壁部93は、前記幹壁部92と同様に、側面壁93A,93Bと底面壁93Cと端面壁93Dを有して構成されるものの、前記補強リブによって補強されているため、歪みにくい。更に、前記幹壁部92から突出する前記各枝壁部93が、前記第一枝壁部96と第二枝壁部97とで長寸Y2方向にずらして形成されるので、より捻りやすい。即ち、本実施形態では、ジグザグに形成された前記幹壁部92の一方側突出部98と他方側突出部99に、それぞれ第一枝壁部96及び第二枝壁部97が形成されるので、これらの第一枝壁部96及び第二枝壁部97は、区画体の短寸方向の中央に直線状に幹壁部が形成される構造(第三の実施形態等)に比べて短い。従って、端面壁93Dの幅が同じであり、側面壁93A,93Bのなす角度が同じであれば、本実施形態の前記枝壁部93は、その基端の太さが、前述した、区画体の短寸方向の中央に直線状に幹壁部が形成される構造に比べて細くなる。このため、本実施例の前記区画体91は、前記幹壁部92と枝壁部93とが接続される部位の剛性が相対的に低く、従って、捻りにより変形しやすい。
【0122】
これら幹壁部92と枝壁部93と天面部94の歪みについて詳述する。対角である角C1と角C4を相対的に下方に、他の対角である角C2と角C3を相対的に上方に動かすように前記製氷器具を捻ると、前記各第一枝壁部96及びこれらを繋ぐ天面部94は
図12の上方に、前記各第二枝壁部97及びこれらを繋ぐ天面部94は
図10の下方に、僅かに移動するよう変形する。この捻り動作により、前記幹壁部92は、その側面壁92Aと側面壁92Bの間隔が広がる部位と狭まる部位が生じる。即ち、前記幹壁部92は、厚さが厚くなる部位と薄くなる部位が生じるように歪む。また、前記幹壁部92が捻れるように歪むことで、前記凹部100,101の内角が僅かに小さくなる。
【0123】
一方、前述したように、前記枝壁部93は、前記補強リブによって補強されるため、殆ど歪まない。また、前記補強リブによって側面壁93Aが同じ枝壁部93を構成する側面壁93Bと連結され、更に前記側面壁93Aが同じ空間を画定する側面壁93Bと前記天面部94によって連結されることで、前記各第一枝壁部96は、捻り動作により、連動して同じ方向に移動する。同様に、前記各第二枝壁部97も、捻り動作により、連動して同じ方向に移動する。なお、前記各枝壁部93は、前述したように、それらの端面壁93D同士が前記天面部94の側方端部94Aを除いて接続されずに前記側方開口部95が形成される。このため、前記各第一枝壁部96同士、各第二枝壁部97同士は、捻り方向に僅かにずれるように位置関係が変化する。なお、前記各枝壁部93自体は殆ど歪まないので、この位置関係の変化は、各枝壁部93と天面部94との交差角度の変化や前記天面部94の撓み等によって起きる。
【0124】
このように、前記製氷器具を捻ることで生じる歪みにより、製氷のための空間を画定する一対の枝壁部93同士の間隔Sが僅かに小さくなる。一方で、製氷のための空間でできた氷塊は、殆ど弾性変形しないので、前記製氷器具の区画体91の歪みによって前記空間の広口側である前記側方開口部95側へ押し出される。この際、前述したように、氷面よりも前記天面部94の下面が高い、即ち氷面よりも前記側方開口部95の上端が高いので、氷塊の前記側方開口部95側への移動が妨げられることがない。同時に、前記空間を画定する一対の枝壁部93同士の間隔が下方に向かって広がるので、氷塊は広口側である下方に向かっても押し出される。更に、前記幹壁部92の凹部100,101の内角が僅かに小さくなることによっても、氷塊は広口側である前記側方開口部95側へ押し出される。このように、氷塊に広口側である前記側方開口部95側及び下方へ押し出す力が働くので、前記製氷器具を捻ることで氷塊を容易に前記区画体91から取り出すことができる。なお、前記製氷器具の長寸Y1,Y2方向端部において作られた氷塊は、前記製氷器具を捻った際に前記容器2の周壁部5と前記区画体91の枝壁部93との位置関係が変動することによって、前記区画体91から取り出される。
【0125】
なお、本実施形態において、
図12のように前記枝壁部93の突出方向を短寸X2方向に対し傾けることで、第一の実施形態の構造に比べ、長寸Y2方向の端部で作られる氷の大きさの差を縮小することができる。また、前記製氷器具全体を捻ることで前記区画体91から取り出された氷塊は、前記容器2内に留まる。従って、氷塊を取り出す際に、この氷塊を床や流し台等に落としてしまう可能性を減ずることができる。また、氷塊をそのまま前記容器2内に貯めておくこともできる。
【0126】
以上のように本発明の製氷器具は、水平方向に長寸Y1方向と短寸X1方向を有する上方に開口部6が形成された容器2と、この容器2内に上方開口部6から着脱可能に収容される、水平方向に長寸Y2方向と短寸X2方向を有する区画体91とを有する製氷器具において、前記区画体91が、前記容器2の短寸X1方向の中央部で且つ長寸Y1方向に延びるように設けられる幹壁部92と、この幹壁部92から長寸Y1方向と交差する方向に延びるように設けられる複数の枝壁部93と、これらの幹壁部92と枝壁部93の上部を繋ぐ複数の天面部94とを有し、前記各枝壁部93同士が、幹壁部92側の基端部から側方先端部である端面壁93Dに向かって間隔Sが広くなるように構成されると共に、前記端面壁93D同士の間に側方開口部95が形成されることで、前記容器2に水を貯め、この上から前記区画体91を収容することで、水を飛び散らせたり溢したりせずに製氷器具を冷凍室に収容することができるばかりでなく、前記容器2ごと前記区画体91を捻ることで、氷塊が広口側である前記側方開口部95の方向に押し出されて前記区画体91から外れるようにすることができるものである。また、前記区画体91の枝壁部93の端面壁93D同士の間に前記側方開口部95を設けることにより、前記区画体91の清掃がしやすくなり衛生的にすることができるものである。
【0127】
また、本発明の製氷器具は、前記容器2に最高水位線となる指示部7を設け、この指示部7まで水を入れた状態で前記区画体91を前記容器2に入れた際の水位よりも高い位置まで前記側方開口部95を形成することにより、氷塊を取り出す際に、氷塊が前記側方開口部95の方向に移動するのを妨げないようにすることができるものである。
【0128】
また、本発明の製氷器具は、前記枝壁部93の側方先端部である端面壁93D全体の間に前記側方開口部95を形成することにより、軽い力で前記区画体91を捻ることができるものである。
【0129】
また、本発明の製氷器具は、複数の前記枝壁部93が、前記幹壁部92を挟んで一方X2+側に設けられた第一枝壁部96と他方X2-側に設けられた第二枝壁部97とを有し、第一枝壁部96と第二枝壁部97を長寸Y2方向にずらして設けることにより、軽い力で前記区画体91を捻ることができるものである。
【0130】
更に、本発明の製氷器具は、前記幹壁部92をジグザグに形成すると共に、前記幹壁部92の一方側突出部98に前記第一枝壁部96の基端部を設け、前記幹壁部92の他方側突出部99に前記第二枝壁部97の基端部を設けることにより、前記区画体91を捻った際にジグザグ状の幹壁部92の変形によっても前記氷塊が前記側方開口部95の方向に押し出されるので、より容易に前記氷塊を前記区画体91から外れるようにすることができるものである。
【0131】
次に、本発明の第七の実施形態について、
図13に基づいて説明する。なお、容器2の構造は第一の実施形態と同一である。従って、容器2の構造についての説明は、第二乃至第六の実施形態と同様に、第一の実施形態の
図4を援用する。本実施形態の製氷器具は、容器2と区画体111とを有して構成される。前記容器2は、平面視が角丸の矩形であり、水平方向に長寸Y1方向と短寸X1方向を有する。そして、これら長寸Y1方向と短寸X1方向は直交する。また、前記容器2は、上方が開口する。即ち、前記容器2は、底部4と、この底部4の外周部から起立する周壁部5とを有する。そして、これら底部4と周壁部5は、一体に形成される。また、前記周壁部5の上部には、角丸矩形状の開口部6が形成される。更に、前記周壁部5には、規定水位を示す最高水位線である指示部7が設けられる。本実施形態では、この指示部7は、印刷や刻印により形成されるが、段差などにより形成しても良い。また、前記周壁部5の上部には、複数の嵌合受部8が形成される。
【0132】
前記区画体111は、前記容器2と同様に、平面視が角丸の矩形であり、水平方向に長寸Y2方向と短寸X2方向を有する。そして、これら長寸Y2方向と短寸X2方向は直交する。また、前記区画体111は、前記容器2の上方の開口部6から前記容器2内に着脱可能に収容される。なお、前記区画体111を前記容器2に収容した状態で、長寸Y1方向と長寸Y2方向、短寸X1方向と短寸X2方向は一致する。
【0133】
前記区画体111の構造について詳述する。この区画体111は、その短寸X2方向の一方X2+側端部から他方X2-側端部に延びるように形成される壁部112と、この壁部112の上部を繋ぐ複数の天面部113とを有する。なお、前記壁部112は、
図13の姿勢において、一方X2+側から他方X2-側に向かって低くなる第一壁部114と、他方X2-側から一方X2+側に向かって低くなる第二壁部115とを交互に設けることで、長寸Y2方向にジグザグ状に形成される。そして、前記壁部112の短寸X2方向の側方先端部である後述する端面壁112Dは、前記天面部113によって繋がる上部を除いて、隣接する端面壁112Dと離間する。このため、前記壁部112の端面壁112D同士の間には、側方開口部116が形成される。
【0134】
前記壁部112は、上方が開放した中空状に形成される。即ち、前記壁部112は、一方X2+側の側面壁112Aと、他方X2-側の側面壁112Bと、底面壁112Cと、短寸X2方向の端部となる端面壁112Dとを有して構成される。そして、前記壁部112の一方X2+側は、
図13の上方から下方に向かって、前記第一壁部114の側面壁112A、前記第二壁部115の側面壁112A、前記端面壁112D、前記第一壁部114の側面壁112A、前記第二壁部115の側面壁112A、前記端面壁112D、…の順に形成される。同様に、前記壁部112の他方X2-側は、
図13の上方から下方に向かって、前記第一壁部114の側面壁112B、前記第二壁部115の側面壁112B、前記端面壁112D、前記第一壁部114の側面壁112B、前記第二壁部115の側面壁112B、前記端面壁112D、…の順に形成される。そして、前記天面部113は、前記第一壁部114の側面壁112Aの上部と前記第二壁部115の側面壁112Aの上部を繋ぐように形成されると共に、前記第一壁部114の側面壁112Bの上部と前記第二壁部115の側面壁112Bの上部を繋ぐように形成される。なお、隣接する前記第一壁部114の側面壁112Aと前記第二壁部115の側面壁112Aの間隔Sは、一方X2+側に向かって広くなるように構成される。一方、隣接する前記第一壁部114の側面壁112Bと前記第二壁部115の側面壁112Bの間隔Sは、他方X2-側に向かって広くなるように構成される。なお、これらの間隔Sは、前記側方開口部116において最大となる。また、前記壁部112は、その側面壁112Aと側面壁112Bの間隔が下方に向かうに従って狭くなる。そして、前記壁部112の底面壁112Cは、自然状態で同一平面状であると共に、前記区画体111を前記容器2に収容した状態で、この容器2の底部4の内面と僅かな間隔をおいて近接するか又は全面接触する。また、前記壁部112の端面壁112Dは、前記区画体111を前記容器2に収容した状態で、この容器2の周壁部5の内面と僅かな間隔をおいて近接するか又は全面接触する。
【0135】
そして、前記壁部112の端面壁112Dと天面部113の側方端部113Aから上方に延びるように、角丸矩形状の環状リブが一体に形成される。この環状リブは、前記区画体111を前記容器2に収容した状態で、その高さと同じ高さにある前記周壁部5の内面形状とほぼ同じ形状に形成される。また、前記環状リブには、前記嵌合受部8に対応して、これらと同数の嵌合突部117が形成される。更に、前記環状リブの短寸X2方向の両端で且つ前記長寸Y2方向の中央部には、一対の把持部118が形成される。
【0136】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず使用者は、前記容器2内に水を入れる。この際、この容器2が、その内部に区画のための壁のような複数の凹凸を有さないので、勢いよく水を注いでも、この水が跳ねて飛び散るのを抑制することができる。なお、水は規定水位を示す前記指示部7よりも高くならないようにする。そして、前記容器2内に水を入れた後、使用者は、前記把持部118を把持し、前記容器2の上方の開口部6から前記区画体111を前記容器2内に収容する。この際、前記容器2内の空気は、前記周壁部5と環状リブとの間の隙間から前記製氷器具外に流出する。このように、前記容器2内に前記区画体111を収容すると、この区画体111に形成された各嵌合突部117が、前記容器2の対応する各嵌合受部8に嵌合する。この状態で、前記壁部112Cは、全体的に、前記容器2の底部4の内面と僅かな間隔を開けて近接するか、又は全面接触する。同様に、前記壁部112の端面壁112Dは、全体的に、前記容器2の周壁部5の内面と僅かな間隔を開けて近接するか、又は全面接触する。これによって、前記第一壁部114の側面壁112Aと、隣接する第二壁部115の側面壁112Aと、これらを繋ぐ天面部113と、前記底部4と、前記周壁部5とで囲まれる空間、及び、前記第一壁部114の側面壁112Bと、隣接する第二壁部115の側面壁112Bと、これらを繋ぐ天面部113と、前記底部4と、前記周壁部5とで囲まれる空間が形成される。そして、このようにして形成される複数の各空間同士は、互いに殆ど独立する。
【0137】
なお、前記容器2内に前記区画体111を収容すると、水位は規定水位から上昇する。また、前記各空間の水位は、前記容器2を水平な面上に置いて前記区画体111を収容すれば、ほぼ等しくなる。
【0138】
このように、水が入れられた前記製氷器具を、図示しない冷凍冷蔵庫の冷凍室又は冷凍庫に収容する。そして、前記容器2の上部の開口部6が前記区画体111によって覆われているので、前記製氷器具を水回りから冷凍室又は冷凍庫に運ぶ際、前記容器2内の水は前記製氷器具から溢れにくい。なお、前記製氷器具が置かれる面が水平であれば、各空間の水位は変化しない。そして、前記製氷器具内の水は前記冷凍室又は冷凍庫内で冷却され、氷塊となる。水は凍結により膨張する(0℃の水は0℃の氷よりも約9%体積が大きい)ので、氷面の高さは凍結前の水位よりも高くなる。しかしながら、前記規定水位は、氷面の高さを考慮して設定される。即ち、氷面が前記天面部113の下面よりも低くなるように、前記規定水位が設定され、指示部7が設けられる。これによって、前記水が凍結しても、氷面と前記天面部113の下面との間に空間が残る。このため、前記水が凍結して膨張しても、前記区画体111が上方に押し上げられるのを抑制することができる。また、前記区画体111が押し上げられて各空間同士が下方で繋がってしまい、氷塊が下方で繋がってしまうということも抑制することができる。更に、このように氷面と前記天面部113の下面との間に間隙があることで、前記区画体111を捻るのを容易にすることができる。
【0139】
このようにして前記製氷器具内で作られた氷塊は、そのままでは使用できないので、前記区画体111から取り出す必要がある。氷塊の取り出しは、前記製氷器具の一の対角組を相対的に上に、他の対角組を相対的に下に動かすように捻ることで行われる。即ち、
図13において、角C1,C4を下方に、角C2,C3を上方に動かすように捻るか、又は角C1,C4を上方に、角C2,C3を下方に動かすように捻る。この際、前記壁部112がジグザグ状に形成されるので、この壁部112は弾性変形しやすい。また、前述したように、前記壁部112が、側面壁112A,112Bと、底面壁112Cと、端面壁112Dとを有して構成される上方開口の中空状に形成されることで、より変形しやすい。
【0140】
これら壁部112と天面部113の歪みについて詳述する。対角である角C1と角C4を相対的に下方に、他の対角である角C2と角C3を相対的に上方に動かすように前記製氷器具を捻ると、一方X2+側が広くなる空間を画定する側面壁112A及びこれらを繋ぐ天面部113は
図13の下方に、他方X2-側が広くなる空間を画定する側面壁112B及びこれらを繋ぐ天面部113は
図13の上方に、僅かに移動するよう変形する。この捻り動作により、前記壁部112は、その側面壁112Aと側面壁112Bの間隔が広がる部位と狭まる部位が生じる。即ち、前記壁部112は、厚さが厚くなる部位と薄くなる部位が生じるように歪む。また、前記壁部112が捻れるように歪むことで、前記第一壁部113と第二壁部114のなす角度が僅かに小さくなる。
【0141】
なお、前記壁部112は、前述したように、それらの端面壁112D同士が前記天面部113の側方端部113Aを除いて接続されずに前記側方開口部116が形成される。このため、前記各第一壁部114、第二壁部115は、捻り方向に僅かにずれるように位置関係が変化する。
【0142】
このように、前記製氷器具を捻ることで生じる歪みにより、製氷のための空間を画定する、隣接する前記第一壁部114と第二壁部115の間隔Sが僅かに小さくなる。一方で、製氷のための空間でできた氷塊は、殆ど弾性変形しないので、前記製氷器具の区画体111の歪みによって前記空間の広口側である前記側方開口部116側へ押し出される。この際、前述したように、氷面よりも前記天面部113の下面が高い、即ち氷面よりも前記側方開口部116の上端が高いので、氷塊の前記側方開口部116側への移動が妨げられることがない。同時に、前記空間を画定する、隣接する前記第一壁部114と第二壁部115の間隔が、下方に向かって広がるので、氷塊は広口側である下方に向かっても押し出される。このように、氷塊に広口側である前記側方開口部116側及び下方へ押し出す力が働くので、前記製氷器具を捻ることで氷塊を容易に前記区画体111から取り出すことができる。なお、前記製氷器具の長寸Y1,Y2方向端部において作られた氷塊は、前記製氷器具を捻った際に前記容器2の周壁部5と前記区画体111の壁部112との位置関係が変動することによって、前記区画体111から取り出される。
【0143】
なお、前記製氷器具全体を捻ることで前記区画体111から取り出された氷塊は、前記容器2内に留まる。従って、氷塊を取り出す際に、この氷塊を床や流し台等に落としてしまう可能性を減ずることができる。また、氷塊をそのまま前記容器2内に貯めておくこともできる。
【0144】
以上のように本発明の製氷器具は、水平方向に長寸Y1方向と短寸X1方向を有する上方に開口部6が形成された容器2と、この容器2内に上方開口部6から着脱可能に収容される、水平方向に長寸Y2方向と短寸X2方向を有する区画体111とを有する製氷器具において、前記区画体111が、短寸方向X2の一方X2+端から他方X2-端に延びる複数の第一壁部114及び複数の第二壁部115を交互に有し、これらの第一壁部114と第二壁部115の上部同士を繋ぐ複数の天面部113を有し、前記第一壁部114と第二壁部115の隣接する組み合わせが、短寸X2方向の一方X2+端側から他方X2-端側に向かって間隔Sが広くなるように構成される組み合わせと、短寸X2方向の他方X2-端側から一方X2+端側に向かって間隔Sが広くなるように構成される組み合わせを有すると共に、前記第一壁部114と第二壁部115の間隔Sが広がった側の端部である端面壁112D間に側方開口部116が形成されることにより、前記容器2に水を貯め、この上から前記区画体111を収容することで、水を飛び散らせたり溢したりせずに製氷器具を冷凍室に収容することができるばかりでなく、前記容器2ごと前記区画体111を捻ることで、氷塊が広口側である前記側方開口部116の方向に押し出されて前記区画体111から外れるようにすることができるものである。また、前記区画体111の壁部112の端面壁112D同士の間に前記側方開口部116を設けることにより、前記区画体111の清掃がしやすくなり衛生的にすることができるものである。
【0145】
また、本発明の製氷器具は、前記容器2に最高水位線となる指示部7を設け、この指示部7まで水を入れた状態で前記区画体111を前記容器2に入れた際の規定水位よりも高い位置まで前記側方開口部116を形成することにより、氷塊を取り出す際に、氷塊が前記側方開口部116の方向に移動するのを妨げないようにすることができるものである。
【0146】
更に、本発明の製氷器具は、前記壁部112の側方先端部である端面壁112D全体の間に前記側方開口部116を形成することにより、軽い力で前記区画体111を捻ることができるものである。
【0147】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上記各実施形態では、各天面部には穴が形成されていないが、水が溢れない範囲で区画体の剛性調整や空気抜きの目的で穴を開けても良い。また、第一乃至第六の実施形態において、枝壁部の短寸X2方向の端部が端面壁、即ち面状に形成されるが、端面壁を設けず線状に形成しても良い。同様に、第七の実施形態において、壁部の短寸X2方向の端部に端面壁を設けず、線状に形成しても良い。更に、第七の実施形態において、第一壁部と第二壁部を一体に形成したが、これらを離間して設けても良い。
【符号の説明】
【0148】
1,70 製氷器具
2 容器
3,31,51,61,71,91,111 区画体
6 開口部
7 指示部(最高水位線)
9,32,52,62,72,92 幹壁部
10,33,53,63,73,93 枝壁部
10D,33D,53D,63D,73D,93D 端面壁(側方先端部)
11,34,54,64,74,94,113 天面部
12,35,55,65,75,95,116 側方開口部
13,36,56,66,76,96 第一枝壁部
14,37,57,67,77,97 第二枝壁部
15,38,78,98 一方側突出部
16,39,79,99 他方側突出部
17,18,40,41,80,81,100,101 凹部
112 壁部
112D 端面壁(側方先端部)
114 第一壁部
115 第二壁部
L0 規定水位
L1 水位
L2 氷面
S 間隔
W 水
Y1 長寸
X1 短寸
Y2 長寸
X2 短寸
X2+ 一方
X2- 他方
【手続補正書】
【提出日】2022-07-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に長寸方向と短寸方向を有する上方開口の容器と、この容器内に上方から着脱可能に収容される区画体とを有する製氷器具において、
前記区画体が、前記容器の短寸方向の中央部で且つ長寸方向に延びるように設けられる、短寸方向一方側の側面壁と短寸方向他方側の側面壁と底面壁と端面壁とを有して上方が開放した中空状の幹壁部と、この幹壁部から長寸方向と交差する方向に延びるように設けられる複数の枝壁部と、これらの幹壁部と枝壁部の上部を繋ぐ複数の天面部とを有し、前記枝壁部同士が、幹壁部側の基端部から側方先端部に向かって間隔が広くなるように構成されると共に、前記側方先端部同士の間に側方開口部が形成されることを特徴とする製氷器具。
【請求項2】
前記容器に最高水位線が設けられ、この最高水位線まで水を入れた状態で前記区画体を前記容器に入れた際の水位よりも高く且つこの水が凍結した際の氷面よりも高い位置まで前記側方開口部が形成されることを特徴とする請求項1記載の製氷器具。
【請求項3】
前記側方先端部全体の間に側方開口部が形成されることを特徴とする請求項2記載の製氷器具。
【請求項4】
複数の前記枝壁部が、前記幹壁部を挟んで一方側に設けられた第一枝壁部と他方側に設けられた第二枝壁部とを有し、第一枝壁部と第二枝壁部が長寸方向にずらして設けられることを特徴とする請求項1記載の製氷器具。
【請求項5】
前記幹壁部がジグザグに形成されると共に、前記幹壁部の一方側突出部に前記第一枝壁部の基端部が設けられ、前記幹壁部の他方側突出部に前記第二枝壁部の基端部が設けられることを特徴とする請求項4記載の製氷器具。
【請求項6】
前記幹壁部が波線状に形成されると共に、前記幹壁部の一方側突出部に前記第一枝壁部の基端部が設けられ、前記幹壁部の他方側突出部に前記第二枝壁部の基端部が設けられることを特徴とする請求項4記載の製氷器具。
【請求項7】
水平方向に長寸方向と短寸方向を有する上方開口の容器と、この容器内に上方から着脱可能に収容される区画体とを有する製氷器具において、
前記区画体が、短寸方向一方端から他方端に延びる、短寸方向一方側の側面壁と短寸方向他方側の側面壁と底面壁と端面壁とを有して上方が開放した中空状の複数の壁部と、これらの壁部の上部同士を繋ぐ複数の天面部とを有し、前記各壁部の隣接する組み合わせが、短寸方向一方端側から他方端側に向かって間隔が広くなるように構成される組み合わせと、短寸方向他方端側から一方端側に向かって間隔が広くなるように構成される組み合わせを有すると共に、前記壁部同士の間隔が広がった側の端部間に側方開口部が形成されることを特徴とする製氷器具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明の請求項1に記載の製氷器具は、水平方向に長寸方向と短寸方向を有する上方開口の容器と、この容器内に上方から着脱可能に収容される区画体とを有する製氷器具において、前記区画体が、前記容器の短寸方向の中央部で且つ長寸方向に延びるように設けられる、短寸方向一方側の側面壁と短寸方向他方側の側面壁と底面壁と端面壁とを有して上方が開放した中空状の幹壁部と、この幹壁部から長寸方向と交差する方向に延びるように設けられる複数の枝壁部と、これらの幹壁部と枝壁部の上部を繋ぐ複数の天面部とを有し、前記枝壁部同士が、幹壁部側の基端部から側方先端部に向かって間隔が広くなるように構成されると共に、前記側方先端部同士の間に側方開口部が形成されるものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
また、本発明の請求項2に記載の製氷器具は、請求項1において、前記容器に最高水位線が設けられ、この最高水位線まで水を入れた状態で前記区画体を前記容器に入れた際の水位よりも高く且つこの水が凍結した際の氷面よりも高い位置まで前記側方開口部が形成されるものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
更に、本発明の請求項7に記載の製氷器具は、水平方向に長寸方向と短寸方向を有する上方開口の容器と、この容器内に上方から着脱可能に収容される区画体とを有する製氷器具において、前記区画体が、短寸方向一方端から他方端に延びる、短寸方向一方側の側面壁と短寸方向他方側の側面壁と底面壁と端面壁とを有して上方が開放した中空状の複数の壁部と、これらの壁部の上部同士を繋ぐ複数の天面部とを有し、前記各壁部の隣接する組み合わせが、短寸方向一方端側から他方端側に向かって間隔が広くなるように構成される組み合わせと、短寸方向他方端側から一方端側に向かって間隔が広くなるように構成される組み合わせを有すると共に、前記壁部同士の間隔が広がった側の端部間に側方開口部が形成されるものである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本発明の請求項1に記載の製氷器具は、以上のように構成することにより、前記容器に水を貯め、この上から前記区画体を収容することで、水を飛び散らせたり溢したりせずに製氷器具を冷凍室に収容することができるばかりでなく、前記容器ごと前記区画体を捻ることで、氷塊が広口側である前記側方開口部の方向に押し出されて前記区画体から外れるようにすることができる。また、前記区画体の清掃をしやすくすることができる。更に、前記幹壁部が弾性変形しやすくなるので、氷塊を取り出すために前記区画体を捻りやすくすることができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
なお、前記容器に最高水位線を設け、この最高水位線まで水を入れた状態で前記区画体を前記容器に入れた際の水位よりも高く且つこの水が凍結した際の氷面よりも高い位置まで前記側方開口部を形成することにより、氷塊が前記側方開口部の方向に移動するのを妨げないようにすることができる。また、氷面と天面部の下面との間に間隙があることで、前記区画体を捻るのを容易にすることができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
更に、本発明の請求項7に記載の製氷器具は、以上のように構成することにより、前記容器に水を貯め、この上から前記区画体を収容することで、水を飛び散らせたり溢したりせずに製氷器具を冷凍室に収容することができるばかりでなく、前記容器ごと前記区画体を捻ることで、氷塊が広口側である前記側方開口部の方向に押し出されて前記区画体から外れるようにすることができる。また、前記壁部が弾性変形しやすくなるので、氷塊を取り出すために前記区画体を捻りやすくすることができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-01-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に長寸方向と短寸方向を有する上方開口の容器と、この容器内に上方から着脱可能に収容される区画体とを有する製氷器具において、
前記区画体が、前記容器の短寸方向の中央部で且つ長寸方向に延びるように設けられる、短寸方向一方側の側面壁と短寸方向他方側の側面壁と底面壁と端面壁とを有して上方が開放した中空状の幹壁部と、この幹壁部から長寸方向と交差する方向に延びるように設けられる、一対の側面壁と底面壁と短寸方向の端部に設けられた端面壁とを有する複数の枝壁部と、これらの幹壁部と枝壁部の上部を繋ぐ複数の天面部とを有し、複数の前記枝壁部
が、前記幹壁部を挟んで一方側に設けられた第一枝壁部と他方側に設けられた第二枝壁部
とを有し、前記枝壁部の側面壁同士が補強リブによって連結され、前記枝壁部同士が、幹壁部側の基端部から側方先端部に向かって間隔が広くなるように構成されると共に、前記側方先端部同士の間に側方開口部が形成されることを特徴とする製氷器具。
【請求項2】
前記容器に最高水位線が設けられ、この最高水位線まで水を入れた状態で前記区画体を前記容器に入れた際の水位よりも高く且つこの水が凍結した際の氷面よりも高い位置まで前記側方開口部が形成されることを特徴とする請求項1記載の製氷器具。
【請求項3】
前記側方先端部全体の間に側方開口部が形成されることを特徴とする請求項2記載の製氷器具。
【請求項4】
第一枝壁部と第二枝壁部が長寸方向にずらして設けられることを特徴とする請求項1記載の製氷器具。
【請求項5】
前記幹壁部がジグザグに形成されると共に、前記幹壁部の一方側突出部に前記第一枝壁部の基端部が設けられ、前記幹壁部の他方側突出部に前記第二枝壁部の基端部が設けられることを特徴とする請求項4記載の製氷器具。
【請求項6】
前記幹壁部が波線状に形成されると共に、前記幹壁部の一方側突出部に前記第一枝壁部の基端部が設けられ、前記幹壁部の他方側突出部に前記第二枝壁部の基端部が設けられることを特徴とする請求項4記載の製氷器具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍冷蔵庫の冷凍室等に収容して氷を作るための製氷器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の製氷器具としては、上方が開口した矩形状の製氷皿であって、この製氷皿内を格子状仕切で仕切ることで、この格子状仕切によって囲まれた形状の氷塊を作ることができる製氷皿が知られている(例えば、特許文献1参照。)。そして、このような製氷皿で作られた氷塊は、製氷皿を捻ることで製氷皿から取り出すことができる。即ち、製氷皿を捻ることで格子状仕切が弾性変形するのに対し、この格子状仕切内で作られた氷塊が殆ど弾性変形しないため、氷塊が格子状仕切の広口側へ押し出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような製氷器具には幾つかの問題があった。まず、水を貯めて氷塊を作るための区画室が独立しているため、水道水等を区画室に注ぐ場合、各区画室に貯められる水の量が不均一になりがちであるという問題があった。一般的には、水が区画室から溢れ且つ製氷皿から溢れない程度に注いだ後で製氷皿を揺すって、水が均一に区画室に溜まるようにしていたが、この行為は面倒であった。次に、どの程度の水を製氷皿に注げば良いのか分かりにくいので、水量が多すぎたり少なすぎたりするという問題があった。水が少なければ出来上がる氷塊が小さいだけで済むが、水が多ければ各区画室で作られる氷塊同士が繋がって一つの大きな氷塊になってしまう。このような場合、大きな氷塊を割る必要があった。次に、水を貯めて氷塊を作るための区画室が独立して複数設けられているため、水道水等を勢いよく区画室に注ぐと、注がれた水が格子状仕切りに当たったり、狭い区画室に注がれた水が前記格子状仕切りに沿って上昇したりすることで、水が飛び散りやすいという問題があった。このため、前記製氷器具には、水を静かに注ぐ必要があった。次に、水を区画室に貯めた状態で製氷皿を冷凍冷蔵庫の冷凍室等に収納する際に、床や冷凍室内に水を溢しやすいという問題があった。更に、各区画室を構成する格子状仕切りが文字通り格子状に形成されているため、捻るのに強い力が必要であるという問題があった。シリコンゴムのような柔軟な材質で製氷皿を形成すれば、容易に製氷皿を捻ることができるが、この場合、製氷皿を捻っても氷塊を広口側へ押し出す力が働かない。また、格子状仕切りの肉厚を薄くするという方法もあるが、この場合、製氷皿を捻ることでこの製氷皿が破損する虞がある。
【0005】
本発明は以上の問題点を解決し、適量の水で容易に製氷でき、水を飛び散らせたり溢したりしにくく、且つ、できた氷塊を容易に取り出すことができる製氷器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の製氷器具は、水平方向に長寸方向と短寸方向を有する上方開口の容器と、この容器内に上方から着脱可能に収容される区画体とを有する製氷器具において、前記区画体が、前記容器の短寸方向の中央部で且つ長寸方向に延びるように設けられる、短寸方向一方側の側面壁と短寸方向他方側の側面壁と底面壁と端面壁とを有して上方が開放した中空状の幹壁部と、この幹壁部から長寸方向と交差する方向に延びるように設けられる、一対の側面壁と底面壁と短寸方向の端部に設けられた端面壁とを有する複数の枝壁部と、これらの幹壁部と枝壁部の上部を繋ぐ複数の天面部とを有し、複数の前記枝
壁部が、前記幹壁部を挟んで一方側に設けられた第一枝壁部と他方側に設けられた第二枝
壁部とを有し、前記枝壁部の側面壁同士が補強リブによって連結され、前記枝壁部同士が、幹壁部側の基端部から側方先端部に向かって間隔が広くなるように構成されると共に、前記側方先端部同士の間に側方開口部が形成されるものである。
【0007】
また、本発明の請求項2に記載の製氷器具は、請求項1において、前記容器に最高水位線が設けられ、この最高水位線まで水を入れた状態で前記区画体を前記容器に入れた際の水位よりも高い位置まで前記側方開口部が形成されるものである。
【0008】
また、本発明の請求項3に記載の製氷器具は、請求項2において、前記側方先端部全体の間に側方開口部が形成されるものである。
【0009】
また、本発明の請求項4に記載の製氷器具は、請求項1において、第一枝壁部と第二枝壁部が長寸方向にずらして設けられるものである。
【0010】
また、本発明の請求項5に記載の製氷器具は、請求項4において、前記幹壁部がジグザグに形成されると共に、前記幹壁部の一方側突出部に前記第一枝壁部の基端部が設けられ、前記幹壁部の他方側突出部に前記第二枝壁部の基端部が設けられるものである。
【0011】
また、本発明の請求項6に記載の製氷器具は、請求項4において、前記幹壁部が波線状に形成されると共に、前記幹壁部の一方側突出部に前記第一枝壁部の基端部が設けられ、前記幹壁部の他方側突出部に前記第二枝壁部の基端部が設けられるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に記載の製氷器具は、以上のように構成することにより、前記容器に水を貯め、この上から前記区画体を収容することで、水を飛び散らせたり溢したりせずに製氷器具を冷凍室に収容することができるばかりでなく、前記容器ごと前記区画体を捻ることで、氷塊が広口側である前記側方開口部の方向に押し出されて前記区画体から外れるようにすることができる。また、前記区画体の清掃をしやすくすることができる。更に、前記幹壁部が弾性変形しやすくなるので、氷塊を取り出すために前記区画体を捻りやすくすることができる。そして、枝壁部を変形しにくく、また、捩り動作により第一枝壁部が
連動して同じ方向に移動させ、且つ、第二枝壁部が連動して同じ方向に移動させることが
できる。
【0013】
なお、前記容器に最高水位線を設け、この最高水位線まで水を入れた状態で前記区画体を前記容器に入れた際の水位よりも高い位置まで前記側方開口部を形成することにより、氷塊が前記側方開口部の方向に移動するのを妨げないようにすることができる。
【0014】
また、前記側方先端部全体の間に側方開口部を形成することにより、軽い力で前記区画体を捻ることができる。
【0015】
また、第一枝壁部と第二枝壁部を長寸方向にずらして設けることにより、軽い力で前記区画体を捻ることができる。
【0016】
また、前記幹壁部をジグザグに形成すると共に、前記幹壁部の一方側突出部に前記第一枝壁部の基端部を設け、前記幹壁部の他方側突出部に前記第二枝壁部の基端部を設けることにより、前記区画体を捻った際にジグザグ状の幹壁部の変形によっても前記氷塊が前記側方開口部の方向に押し出されるので、より容易に前記氷塊を前記区画体から外れるようにすることができる。
【0017】
また、前記幹壁部を波線状に形成すると共に、前記幹壁部の一方側突出部に前記第一枝壁部の基端部を設け、前記幹壁部の他方側突出部に前記第二枝壁部の基端部を設けることにより、前記区画体を捻った際に波線状の幹壁部の変形によっても前記氷塊が前記側方開口部の方向に押し出されるので、より容易に前記氷塊を前記区画体から外れるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第一の実施形態を示す製氷器具の平面図である。
【
図2】同、製氷器具の断面図であり、(a)はA-A断面図、(b)はB-B断面図である。
【
図4】同、容器の図であり、(a)は平面図、(b)はC-C断面図である。
【
図5】同、製氷器具内に水を入れた状態を示す断面図であり、(a)は容器に水を貯めた状態、(b)はそこに区画体を挿入した状態を示す。
【
図6】同、製氷器具を捻った際の歪みを示す説明図である。
【
図7】本発明の第二の実施形態を示す製氷器具の区画体の底面図である。
【
図8】本発明の第三の実施形態を示す製氷器具の区画体の底面図である。
【
図9】本発明の第四の実施形態を示す製氷器具の区画体の底面図である。
【
図10】本発明の第五の実施形態を示す製氷器具の区画体の底面図である。
【
図11】同、断面図であり、(a)は容器に水を貯めた状態、(b)はそこに区画体を挿入した状態を示す。
【
図12】本発明の第六の実施形態を示す製氷器具の区画体の底面図である。
【
図13】本発明の
参考例を示す製氷器具の区画体の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の第一の実施形態について、
図1乃至
図6に基づいて説明する。1は、本発明の製氷器具である。この製氷器具1は、容器2と区画体3とを有して構成される。前記容器2は、平面視が角丸の矩形であり、水平方向に長寸Y1方向と短寸X1方向を有する。そして、これら長寸Y1方向と短寸X1方向は直交する。また、前記容器2は、上方が開口する。即ち、前記容器2は、底部4と、この底部4の外周部から起立する周壁部5とを有する。そして、これら底部4と周壁部5は、一体に形成される。また、前記周壁部5の上部には、角丸矩形状の開口部6が形成される。更に、前記周壁部5には、規定水位L0を示す最高水位線である指示部7が設けられる。本実施形態では、この指示部7は、印刷や刻印により形成されるが、段差などにより形成しても良い。また、前記周壁部5の上部には、複数の嵌合受部8が形成される。
【0020】
前記区画体3は、前記容器2と同様に、平面視が角丸の矩形であり、水平方向に長寸Y2方向と短寸X2方向を有する。そして、これら長寸Y2方向と短寸X2方向は直交する。また、前記区画体3は、前記容器2の上方の開口部6から前記容器2内に着脱可能に収容される。なお、前記区画体3を前記容器2に収容した状態で、長寸Y1方向と長寸Y2方向、短寸X1方向と短寸X2方向は一致する。
【0021】
前記区画体3の構造について詳述する。この区画体3は、その短寸X2方向の中央部において、長寸Y2方向に延びるように形成される幹壁部9と、この幹壁部9の折れ曲がった部分から短寸X2方向、即ち長寸Y2方向と直交する方向に延びる複数の枝壁部10と、これら幹壁部9の上部と枝壁部10の上部とを繋ぐ複数の天面部11とを有する。前記枝壁部10の短寸X2方向の側方先端部である後述する端面壁10Dは、前記天面部11によって繋がる上部を除いて、隣接する前記枝壁部10の短寸X2方向の側方先端部である端面壁10Dと離間する。このため、前記枝壁部10の端面壁10D同士の間には、側方開口部12が形成される。
【0022】
前記幹壁部9は、長寸Y2方向にジグザグ状に延びるように形成される。そして、前記枝壁部10は、前記幹壁部9を挟んで短寸X2方向の一方X2+側に設けられる複数の第一枝壁部13と、前記幹壁部9を挟んで短寸X2方向の他方X2-側に設けられる複数の第二枝壁部14とを有する。前記各第一枝壁部13は、前記幹壁部9における一方X2+側に凸となる一方側突出部15から一方X2+側に突出する。同様に、前記各第二枝壁部14は、前記幹壁部9における他方X2-側に凸となる他方側突出部16から他方X2-側に突出する。なお、前記幹壁部9がY2方向にジグザグ状に延びる、即ち前記一方側突出部15と他方側突出部16が交互に設けられることから、前記一方側突出部15から突出する前記第一枝壁部13と前記他方側突出部16から突出する前記第二枝壁部14とが、長寸Y2方向にずれて交互に設けられる。
【0023】
前記幹壁部9と枝壁部10は、上方が開放した中空状に形成される。即ち、前記幹壁部9は、一方X2+側の側面壁9Aと、他方X2-側の側面壁9Bと、底面壁9Cと、長寸Y2方向の両端となる端面壁9Dとを有して構成される。なお、前記一方側突出部15は前記側面壁9Aに形成されると共に、前記一方側突出部15に対応して、対向する前記側面壁9Bに凹部17が形成される。同様に、前記他方側突出部16は前記側面壁9Bに形成されると共に、前記他方側突出部16に対応して、対向する前記側面壁9Aに凹部18が形成される。また、前記枝壁部10は、一対の側面壁10Aと、底面壁10Cと、短寸X2方向の端部に設けられた端面壁10Dとを有して構成される。なお、一の枝壁部10における一対の前記側面壁10A同士の間隔は、前記幹壁部9側となる基端部から側方先端部である前記端面壁10Dに向かって狭くなると共に、一の枝壁部10を構成する一対の側面壁10A,10Aの長寸Y2方向及び短寸X2方向と成す角度の絶対値は等しい。これによって、複数の前記枝壁部10は、前記幹壁部9側となる基端部から側方先端部である前記端面壁10Dに向かってそれらの間隔Sが広くなるように構成される。なお、これらの間隔Sは、前記側方開口部12において最大となる。また、前記幹壁部9は、その側面壁9Aと側面壁9Bの間隔が下方に向かうに従って狭くなる。同様に、前記枝壁部10は、その側面壁10A同士の間隔が下方に向かうに従って狭くなる。なお、前記天面部11は、前記幹壁部9の側面壁9Aの上部と前記第一枝壁部13の側面壁10Aの上部を繋ぐように形成されると共に、前記幹壁部9の側面壁9Bの上部と前記第二枝壁部14の側面壁10Aの上部を繋ぐように形成される。そして、前記幹壁部9の底面壁9Cと前記枝壁部10の底面壁10Cは、自然状態で同一平面状であると共に、前記区画体3を前記容器2に収容した状態で、この容器2の底部4の内面と僅かな間隔をおいて近接するか又は全面接触する。また、前記幹壁部9の端面壁9D及び前記各枝壁部10の端面壁10Dは、前記区画体3を前記容器2に収容した状態で、この容器2の周壁部5の内面と僅かな間隔をおいて近接するか又は全面接触する。なお、一つの前記枝壁部10を構成する一対の前記側面壁10A同士は、それぞれ補強リブ19によって連結される。これらの補強リブ19は、前記枝壁部10の側面壁10Aにおける前記短寸X2方向の中央部同士を連結するように一体に形成される。
【0024】
そして、前記枝壁部10の端面壁10Dと天面部11の側方端部11Aから上方に延びるように、角丸矩形状の環状リブ20が一体に形成される。この環状リブ20は、前記区画体3を前記容器2に収容した状態で、その高さと同じ高さにある前記周壁部5の内面形状とほぼ同じ形状に形成される。また、前記環状リブ20には、前記嵌合受部8に対応して、これらと同数の嵌合突部21が形成される。更に、前記環状リブ20の短寸X2方向の両端で且つ前記長寸Y2方向の中央部には、一対の把持部22が形成される。
【0025】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず使用者は、前記容器2内に水Wを入れる。この際、この容器2が、その内部に区画のための壁のような複数の凹凸を有さないので、勢いよく水Wを注いでも、この水Wが跳ねて飛び散るのを抑制することができる。なお、水Wは規定水位L0を示す前記指示部7よりも高くならないようにする。そして、前記容器2内に水Wを入れた後、使用者は、前記把持部22を把持し、前記容器2の上方の開口部6から前記区画体3を前記容器2内に収容する。この際、前記容器2内の空気は、前記周壁部5と環状リブ20との間の隙間から前記製氷器具1外に流出する。このように、前記容器2内に前記区画体3を収容すると、この区画体3に形成された各嵌合突部21が、前記容器2の対応する各嵌合受部8に嵌合する。この状態で、前記幹壁部9の底面壁9Cと前記枝壁部10の底面壁10Cは、全体的に、前記容器2の底部4の内面と僅かな間隔を開けて近接するか、又は全面接触する。同様に、前記幹壁部9の端面壁9Dと前記枝壁部10の端面壁10Dは、全体的に、前記容器2の周壁部5の内面と僅かな間隔を開けて近接するか、又は全面接触する。これによって、前記第一枝壁部13同士又は前記第二枝壁部14同士における隣り合う前記枝壁部10,10と、前記幹壁部9と、前記天面部11と、前記底部4と前記周壁部5で囲まれる空間が形成される。そして、このようにして形成される複数の各空間同士は、互いに殆ど独立する。
【0026】
なお、前記容器2内に前記区画体3を収容すると、
図5に示すように、水位はL0からL1に上昇する。また、前記各空間の水位は、前記容器2を水平な面上に置いて前記区画体3を収容すれば、ほぼ等しくL1である。
【0027】
このように、水Wが入れられた前記製氷器具1を、図示しない冷凍冷蔵庫の冷凍室又は冷凍庫に収容する。そして、前記容器2の上部の開口部6が前記区画体3によって覆われているので、前記製氷器具1を水回りから冷凍室又は冷凍庫に運ぶ際、前記容器2内の水Wは前記製氷器具1から溢れにくい。なお、前記製氷器具1が置かれる面が水平であれば、各空間の水位はL1のままである。そして、前記製氷器具1内の水Wは前記冷凍室又は冷凍庫内で冷却され、氷塊となる。水Wは凍結により膨張する(0℃の水は0℃の氷よりも約9%体積が大きい)ので、氷面の高さL2は水位L1よりも高くなる。しかしながら、前記水位L0は、氷面L2の高さを考慮して設定される。即ち、氷面L2が前記天面部11の下面よりも低くなるように、前記水位L0が設定され、指示部7が設けられる。これによって、前記水Wが凍結しても、氷面L2と前記天面部11の下面との間に空間が残る。このため、前記水Wが凍結して膨張しても、前記区画体3が上方に押し上げられるのを抑制することができる。また、前記区画体3が押し上げられて各空間同士が下方で繋がってしまい、氷塊が下方で繋がってしまうということも抑制することができる。更に、このように氷面L2と前記天面部11の下面との間に間隙があることで、前記区画体3を捻るのを容易にすることができる。
【0028】
このようにして前記製氷器具1内で作られた氷塊は、そのままでは使用できないので、前記区画体3から取り出す必要がある。氷塊の取り出しは、前記製氷器具1の一の対角組を相対的に上に、他の対角組を相対的に下に動かすように捻ることで行われる。即ち、
図1において、角C1,C4を下方に、角C2,C3を上方に動かすように捻るか、又は角C1,C4を上方に、角C2,C3を下方に動かすように捻る。この際、前記幹壁部9がジグザグ状に形成されるので、この幹壁部9は弾性変形しやすい。また、前述したように、前記幹壁部9が、側面壁9A,9Bと、底面壁9Cと、端面壁9Dとを有して構成される上方開口の中空状に形成されることで、より変形しやすい。一方、前記枝壁部10は、前記幹壁部9と同様に、側面壁10Aと底面壁10Cと端面壁10Dを有して構成されるものの、前記補強リブ19によって補強されているため、歪みにくい。更に、前記幹壁部9から突出する前記各枝壁部10が、前記第一枝壁部13と第二枝壁部14とで長寸Y2方向にずらして形成されるので、より捻りやすい。即ち、本実施形態では、ジグザグに形成された前記幹壁部9の一方側突出部15と他方側突出部16に、それぞれ第一枝壁部13及び第二枝壁部14が形成されるので、これらの第一枝壁部13及び第二枝壁部14は、区画体の短寸方向の中央に直線状に幹壁部が形成される構造(後述する第三の実施形態)に比べて短い。従って、端面壁10Dの幅が同じであり、側面壁10A同士のなす角度が同じであれば、本実施形態の前記枝壁部10は、その基端の太さが、前述した、区画体の短寸方向の中央に直線状に幹壁部が形成される構造に比べて細くなる。このため、本実施例の前記区画体3は、前記幹壁部9と枝壁部10とが接続される部位の剛性が相対的に低く、従って、捻りにより変形しやすい。
【0029】
これら幹壁部9と枝壁部10と天面部11の歪みについて詳述する。対角である角C1と角C4を相対的に下方に、他の対角である角C2と角C3を相対的に上方に動かすように前記製氷器具1を捻ると、
図6に白抜き矢印で示すように、前記各第一枝壁部13及びこれらを繋ぐ天面部11は
図6の上方に、前記各第二枝壁部14及びこれらを繋ぐ天面部11は
図6の下方に、僅かに移動するよう変形する。この捻り動作により、前記幹壁部9は、その側面壁9Aと側面壁9Bの間隔が広がる部位と狭まる部位が生じる。即ち、前記幹壁部9は、厚さが厚くなる部位と薄くなる部位が生じるように歪む。また、前記幹壁部9が捻れるように歪むことで、前記凹部17,18の内角が僅かに小さくなる。
【0030】
一方、前述したように、前記枝壁部10は、前記補強リブ19によって補強されるため、殆ど歪まない。また、前記補強リブ19によって側面壁10Aが同じ枝壁部10を構成する他の側面壁10Aと連結され、更に前記側面壁10Aが同じ空間を画定する他の側面壁10Aと前記天面部11によって連結されることで、前記各第一枝壁部13は、捻り動作により、連動して同じ方向に移動する。同様に、前記各第二枝壁部14も、捻り動作により、連動して同じ方向に移動する。なお、前記各枝壁部10は、前述したように、それらの端面壁10D同士が前記天面部11の側方端部11Aを除いて接続されずに前記側方開口部12が形成される。このため、前記各第一枝壁部13同士、各第二枝壁部14同士は、捻り方向に僅かにずれるように位置関係が変化する。なお、前記各枝壁部10自体は殆ど歪まないので、この位置関係の変化は、各枝壁部10と天面部11との交差角度の変化や前記天面部11の撓み等によって起きる。
【0031】
このように、前記製氷器具1を捻ることで生じる歪みにより、製氷のための空間を画定する一対の枝壁部10同士の間隔Sが僅かに小さくなる。一方で、製氷のための空間でできた氷塊は、殆ど弾性変形しないので、前記製氷器具1の区画体3の歪みによって前記空間の広口側である前記側方開口部12側へ押し出される。この際、前述したように、氷面L2よりも前記天面部11の下面が高い、即ち氷面L2よりも前記側方開口部12の上端が高いので、氷塊の前記側方開口部12側への移動が妨げられることがない。同時に、前記空間を画定する一対の枝壁部10同士の間隔が下方に向かって広がるので、氷塊は広口側である下方に向かっても押し出される。更に、前記幹壁部9の凹部17,18の内角が僅かに小さくなることによっても、氷塊は広口側である前記側方開口部12側へ押し出される。このように、氷塊に広口側である前記側方開口部12側及び下方へ押し出す力が働くので、前記製氷器具1を捻ることで氷塊を容易に前記区画体3から取り出すことができる。なお、前記製氷器具1の長寸Y1,Y2方向端部において作られた氷塊は、前記製氷器具1を捻った際に前記容器2の周壁部5と前記区画体3の枝壁部10との位置関係が変動することによって、前記区画体3から取り出される。
【0032】
なお、前記製氷器具1全体を捻ることで前記区画体3から取り出された氷塊は、前記容器2内に留まる。従って、氷塊を取り出す際に、この氷塊を床や流し台等に落としてしまう可能性を減ずることができる。また、氷塊をそのまま前記容器2内に貯めておくこともできる。
【0033】
以上のように本発明の製氷器具1は、水平方向に長寸Y1方向と短寸X1方向を有する上方に開口部6が形成された容器2と、この容器2内に上方開口部6から着脱可能に収容される、水平方向に長寸Y2方向と短寸X2方向を有する区画体3とを有する製氷器具1において、前記区画体3が、前記容器2の短寸X1方向の中央部で且つ長寸Y1方向に延びるように設けられる幹壁部9と、この幹壁部9から長寸Y1方向と直交、即ち交差する方向に延びるように設けられる複数の枝壁部10と、これらの幹壁部9と枝壁部10の上部を繋ぐ複数の天面部11とを有し、前記各枝壁部10同士が、幹壁部9側の基端部から側方先端部である端面壁10Dに向かって間隔Sが広くなるように構成されると共に、前記端面壁10D同士の間に側方開口部12が形成されることで、前記容器2に水Wを貯め、この上から前記区画体3を収容することで、水Wを飛び散らせたり溢したりせずに製氷器具1を冷凍室に収容することができるばかりでなく、前記容器2ごと前記区画体3を捻ることで、氷塊が広口側である前記側方開口部12の方向に押し出されて前記区画体3から外れるようにすることができるものである。また、前記区画体3の枝壁部10の端面壁10D同士の間に前記側方開口部12を設けることにより、前記区画体3の清掃がしやすくなり衛生的にすることができるものである。
【0034】
また、本発明の製氷器具1は、前記容器2に最高水位線となる指示部7を設け、この指示部7まで水を入れた状態で前記区画体3を前記容器2に入れた際の水位L1よりも高い位置まで前記側方開口部12を形成することにより、氷塊を取り出す際に、氷塊が前記側方開口部12の方向に移動するのを妨げないようにすることができるものである。
【0035】
また、本発明の製氷器具1は、前記枝壁部10の側方先端部である端面壁10D全体の間に前記側方開口部12を形成することにより、軽い力で前記区画体3を捻ることができるものである。
【0036】
また、本発明の製氷器具1は、複数の前記枝壁部10が、前記幹壁部9を挟んで一方X2+側に設けられた第一枝壁部13と他方X2-側に設けられた第二枝壁部14とを有し、第一枝壁部13と第二枝壁部14を長寸Y2方向にずらして設けることにより、軽い力で前記区画体3を捻ることができるものである。
【0037】
更に、本発明の製氷器具1は、前記幹壁部9をジグザグに形成すると共に、前記幹壁部9の一方側突出部15に前記第一枝壁部13の基端部を設け、前記幹壁部9の他方側突出部16に前記第二枝壁部14の基端部を設けることにより、前記区画体3を捻った際にジグザグ状の幹壁部9の変形によっても前記氷塊が前記側方開口部12の方向に押し出されるので、より容易に前記氷塊を前記区画体3から外れるようにすることができるものである。
【0038】
次に、本発明の第二の実施形態について、
図7に基づいて説明する。なお、容器2の構造は第一の実施形態と同一である。従って、容器2の構造についての説明は、第一の実施形態の
図4を援用する。本実施形態の製氷器具は、容器2と区画体31とを有して構成される。前記容器2は、平面視が角丸の矩形であり、水平方向に長寸Y1方向と短寸X1方向を有する。そして、これら長寸Y1方向と短寸X1方向は直交する。また、前記容器2は、上方が開口する。即ち、前記容器2は、底部4と、この底部4の外周部から起立する周壁部5とを有する。そして、これら底部4と周壁部5は、一体に形成される。また、前記周壁部5の上部には、角丸矩形状の開口部6が形成される。更に、前記周壁部5には、規定水位を示す最高水位線である指示部7が設けられる。本実施形態では、この指示部7は、印刷や刻印により形成されるが、段差などにより形成しても良い。また、前記周壁部5の上部には、複数の嵌合受部8が形成される。
【0039】
前記区画体31は、前記容器2と同様に、平面視が角丸の矩形であり、水平方向に長寸Y2方向と短寸X2方向を有する。そして、これら長寸Y2方向と短寸X2方向は直交する。また、前記区画体31は、前記容器2の上方の開口部6から前記容器2内に着脱可能に収容される。なお、前記区画体31を前記容器2に収容した状態で、長寸Y1方向と長寸Y2方向、短寸X1方向と短寸X2方向は一致する。
【0040】
前記区画体31の構造について詳述する。この区画体31は、その短寸X2方向の中央部において、長寸Y2方向に延びるように形成される幹壁部32と、この幹壁部32の湾曲した部分から短寸X2方向、即ち長寸Y2方向と直交する方向に延びる複数の枝壁部33と、これら幹壁部32の上部と枝壁部33の上部とを繋ぐ複数の天面部34とを有する。前記枝壁部33の短寸X2方向の側方先端部である後述する端面壁33Dは、前記天面部34によって繋がる上部を除いて、隣接する前記枝壁部33の短寸X2方向の側方先端部である端面壁33Dと離間する。このため、前記枝壁部33の端面壁33D同士の間には、側方開口部35が形成される。
【0041】
前記幹壁部32は、長寸Y2方向に波線状に延びるように形成される。そして、前記枝壁部33は、前記幹壁部32を挟んで短寸X2方向の一方X2+側に設けられる複数の第一枝壁部36と、前記幹壁部32を挟んで短寸X2方向の他方X2-側に設けられる複数の第二枝壁部37とを有する。前記各第一枝壁部36は、前記幹壁部32における一方X2+側に凸となる一方側突出部38から一方X2+側に突出する。同様に、前記各第二枝壁部37は、前記幹壁部32における他方X2-側に凸となる他方側突出部39から他方X2-側に突出する。なお、前記幹壁部32がY2方向に波線状に延びる、即ち前記一方側突出部38と他方側突出部39が交互に設けられることから、前記一方側突出部38から突出する前記第一枝壁部36と前記他方側突出部39から突出する前記第二枝壁部37とが、長寸Y2方向にずれて交互に設けられる。
【0042】
前記幹壁部32と枝壁部33は、上方が開放した中空状に形成される。即ち、前記幹壁部32は、一方X2+側の側面壁32Aと、他方X2-側の側面壁32Bと、底面壁32Cと、長寸Y2方向の両端となる端面壁32Dとを有して構成される。なお、前記一方側突出部38は前記側面壁32Aに形成されると共に、前記一方側突出部38に対応して、対向する前記側面壁32Bに凹部40が形成される。同様に、前記他方側突出部39は前記側面壁32Bに形成されると共に、前記他方側突出部39に対応して、対向する前記側面壁32Aに凹部41が形成される。また、前記枝壁部33は、一対の側面壁33Aと、底面壁33Cと、短寸X2方向の端部に設けられた端面壁33Dとを有して構成される。なお、前記側面壁33Aのうち、長寸Y2方向の端部に設けられた枝壁部33の外側面壁33Eは、前記容器2の周壁部5の内面に沿った形状に形成される。そして、一の枝壁部33における一対の前記側面壁33A同士の間隔は、前記幹壁部32側となる基端部から側方先端部である前記端面壁33Dに向かって狭くなると共に、一の枝壁部33を構成する一対の側面壁33A,33Aの長寸Y2方向及び短寸X2方向と成す角度の絶対値は等しい。これによって、複数の前記枝壁部33は、前記幹壁部32側となる基端部から側方先端部である前記端面壁33Dに向かってそれらの間隔Sが広くなるように構成される。なお、これらの間隔Sは、前記側方開口部35において最大となる。また、前記幹壁部32は、その側面壁32Aと側面壁32Bの間隔が下方に向かうに従って狭くなる。同様に、前記枝壁部33は、その側面壁33A同士の間隔が下方に向かうに従って狭くなる。更に、前記幹壁部32の側面壁32Aと第一枝壁部36の側面壁33Aは、滑らかに連続的に接続される。同様に、前記幹壁部32の側面壁32Bと第二枝壁部37の側面壁33Aは、滑らかに連続的に接続される。なお、前記天面部34は、前記幹壁部32の側面壁32Aの上部と前記第一枝壁部36の側面壁33Aの上部を繋ぐように形成されると共に、前記幹壁部32の側面壁32Bの上部と前記第二枝壁部37の側面壁33Aの上部を繋ぐように形成される。そして、前記幹壁部32の底面壁32Cと前記枝壁部33の底面壁33Cは、自然状態で同一平面状であると共に、前記区画体31を前記容器2に収容した状態で、この容器2の底部4の内面と僅かな間隔をおいて近接するか又は全面接触する。また、前記幹壁部32の端面壁32Dと前記各枝壁部33の外側面壁31E及び端面壁33Dは、前記区画体31を前記容器2に収容した状態で、この容器2の周壁部5の内面と僅かな間隔をおいて近接するか又は全面接触する。なお、一つの前記枝壁部33を構成する一対の前記側面壁33A同士は、それぞれ図示しない補強リブによって連結される。これらの補強リブは、前記枝壁部33の側面壁33Aにおける前記短寸X2方向の中央部同士を連結するように一体に形成される。
【0043】
そして、前記枝壁部33の端面壁33Dと天面部34の側方端部34Aから上方に延びるように、角丸矩形状の図示しない環状リブが一体に形成される。この環状リブは、前記区画体31を前記容器2に収容した状態で、その高さと同じ高さにある前記周壁部5の内面形状とほぼ同じ形状に形成される。また、前記環状リブには、前記嵌合受部8に対応して、これらと同数の嵌合突部42が形成される。更に、前記環状リブの短寸X2方向の両端で且つ前記長寸Y2方向の中央部には、一対の把持部43が形成される。
【0044】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず使用者は、前記容器2内に水を入れる。この際、この容器2が、その内部に区画のための壁のような複数の凹凸を有さないので、勢いよく水を注いでも、この水が跳ねて飛び散るのを抑制することができる。なお、水は規定水位を示す前記指示部7よりも高くならないようにする。そして、前記容器2内に水を入れた後、使用者は、前記把持部43を把持し、前記容器2の上方の開口部6から前記区画体31を前記容器2内に収容する。この際、前記容器2内の空気は、前記周壁部5と環状リブとの間の隙間から前記製氷器具外に流出する。このように、前記容器2内に前記区画体31を収容すると、この区画体31に形成された各嵌合突部42が、前記容器2の対応する各嵌合受部8に嵌合する。この状態で、前記幹壁部32の底面壁32Cと前記枝壁部33の底面壁33Cは、全体的に、前記容器2の底部4の内面と僅かな間隔を開けて近接するか、又は全面接触する。同様に、前記幹壁部32の端面壁32Dと前記枝壁部33の外側壁部32E及び端面壁33Dは、全体的に、前記容器2の周壁部5の内面と僅かな間隔を開けて近接するか、又は全面接触する。これによって、前記第一枝壁部36同士又は前記第二枝壁部37同士における隣り合う前記枝壁部33,32と、前記幹壁部32と、前記天面部34と、前記底部4と前記周壁部5で囲まれる空間が形成される。そして、このようにして形成される複数の各空間同士は、互いに殆ど独立する。
【0045】
なお、前記容器2内に前記区画体31を収容すると、水位は規定水位から上昇する。また、前記各空間の水位は、前記容器2を水平な面上に置いて前記区画体31を収容すれば、ほぼ等しくなる。
【0046】
このように、水が入れられた前記製氷器具を、図示しない冷凍冷蔵庫の冷凍室又は冷凍庫に収容する。そして、前記容器2の上部の開口部6が前記区画体31によって覆われているので、前記製氷器具を水回りから冷凍室又は冷凍庫に運ぶ際、前記容器2内の水は前記製氷器具から溢れにくい。なお、前記製氷器具が置かれる面が水平であれば、各空間の水位は変化しない。そして、前記製氷器具内の水は前記冷凍室又は冷凍庫内で冷却され、氷塊となる。水は凍結により膨張する(0℃の水は0℃の氷よりも約9%体積が大きい)ので、氷面の高さは凍結前の水位よりも高くなる。しかしながら、前記規定水位は、氷面の高さを考慮して設定される。即ち、氷面が前記天面部34の下面よりも低くなるように、前記規定水位が設定され、指示部7が設けられる。これによって、前記水が凍結しても、氷面と前記天面部34の下面との間に空間が残る。このため、前記水が凍結して膨張しても、前記区画体31が上方に押し上げられるのを抑制することができる。また、前記区画体31が押し上げられて各空間同士が下方で繋がってしまい、氷塊が下方で繋がってしまうということも抑制することができる。更に、このように氷面と前記天面部34の下面との間に間隙があることで、前記区画体31を捻るのを容易にすることができる。
【0047】
このようにして前記製氷器具内で作られた氷塊は、そのままでは使用できないので、前記区画体31から取り出す必要がある。氷塊の取り出しは、前記製氷器具の一の対角組を相対的に上に、他の対角組を相対的に下に動かすように捻ることで行われる。即ち、角C1,C4を下方に、角C2,C3を上方に動かすように捻るか、又は角C1,C4を上方に、角C2,C3を下方に動かすように捻る。この際、前記幹壁部32が波線状に形成されるので、この幹壁部32は弾性変形しやすい。また、前述したように、前記幹壁部32が、側面壁32A,32Bと、底面壁32Cと、端面壁32Dとを有して構成される上方開口の中空状に形成されることで、より変形しやすい。一方、前記枝壁部33は、前記幹壁部32と同様に、側面壁33Aと底面壁33Cと端面壁33Dを有して構成されるものの、前記補強リブによって補強されているため、歪みにくい。更に、前記幹壁部32から突出する前記各枝壁部33が、前記第一枝壁部36と第二枝壁部37とで長寸Y2方向にずらして形成されるので、より捻りやすい。即ち、本実施形態では、波線状に形成された前記幹壁部32の一方側突出部38と他方側突出部39に、それぞれ第一枝壁部36及び第二枝壁部37が形成されるので、これらの第一枝壁部36及び第二枝壁部37は、区画体の短寸方向の中央に直線状に幹壁部が形成される構造(後述する第三の実施形態)に比べて短い。従って、端面壁33Dの幅が同じであり、側面壁33A同士のなす角度が同じであれば、本実施形態の前記枝壁部33は、その基端の太さが、前述した、区画体の短寸方向の中央に直線状に幹壁部が形成される構造に比べて細くなる。このため、本実施例の前記区画体31は、前記幹壁部32と枝壁部33とが接続される部位の剛性が相対的に低く、従って、捻りにより変形しやすい。
【0048】
これら幹壁部32と枝壁部33と天面部34の歪みについて詳述する。対角である角C1と角C4を相対的に下方に、他の対角である角C2と角C3を相対的に上方に動かすように前記製氷器具を捻ると、前記各第一枝壁部36及びこれらを繋ぐ天面部34は
図7の上方に、前記各第二枝壁部37及びこれらを繋ぐ天面部34は
図7の下方に、僅かに移動するよう変形する。この捻り動作により、前記幹壁部32は、その側面壁32Aと側面壁32Bの間隔が広がる部位と狭まる部位が生じる。即ち、前記幹壁部32は、厚さが厚くなる部位と薄くなる部位が生じるように歪む。また、前記幹壁部32が捻れるように歪むことで、前記凹部40,41の端部同士の間隔が僅かに小さくなる。
【0049】
一方、前述したように、前記枝壁部33は、前記補強リブによって補強されるため、殆ど歪まない。また、前記補強リブによって側面壁33Aが同じ枝壁部33を構成する他の側面壁33Aと連結され、更に前記側面壁33Aが同じ空間を画定する他の側面壁33Aと前記天面部34によって連結されることで、前記各第一枝壁部36は、捻り動作により、連動して同じ方向に移動する。同様に、前記各第二枝壁部37も、捻り動作により、連動して同じ方向に移動する。なお、前記各枝壁部33は、前述したように、それらの端面壁33D同士が前記天面部34の側方端部34Aを除いて接続されずに前記側方開口部35が形成される。このため、前記各第一枝壁部36同士、各第二枝壁部37同士は、捻り方向に僅かにずれるように位置関係が変化する。なお、前記各枝壁部33自体は殆ど歪まないので、この位置関係の変化は、各枝壁部33と天面部34との交差角度の変化や前記天面部34の撓み等によって起きる。
【0050】
このように、前記製氷器具を捻ることで生じる歪みにより、製氷のための空間を画定する一対の枝壁部33同士の間隔Sが僅かに小さくなる。一方で、製氷のための空間でできた氷塊は、殆ど弾性変形しないので、前記製氷器具の区画体31の歪みによって前記空間の広口側である前記側方開口部35側へ押し出される。この際、前述したように、氷面よりも前記天面部34の下面が高い、即ち氷面よりも前記側方開口部35の上端が高いので、氷塊の前記側方開口部35側への移動が妨げられることがない。同時に、前記空間を画定する一対の枝壁部33同士の間隔が下方に向かって広がるので、氷塊は広口側である下方に向かっても押し出される。更に、前記幹壁部32の凹部40,41の端部同士の間隔が僅かに小さくなることによっても、氷塊は広口側である前記側方開口部35側へ押し出される。このように、氷塊に広口側である前記側方開口部35側及び下方へ押し出す力が働くので、前記製氷器具を捻ることで氷塊を容易に前記区画体31から取り出すことができる。なお、前記製氷器具の長寸Y1,Y2方向端部において作られた氷塊は、前記製氷器具を捻った際に前記容器2の周壁部5と前記区画体31の枝壁部33との位置関係が変動することによって、前記区画体31から取り出される。
【0051】
なお、前記製氷器具全体を捻ることで前記区画体31から取り出された氷塊は、前記容器2内に留まる。従って、氷塊を取り出す際に、この氷塊を床や流し台等に落としてしまう可能性を減ずることができる。また、氷塊をそのまま前記容器2内に貯めておくこともできる。
【0052】
以上のように本発明の製氷器具は、水平方向に長寸Y1方向と短寸X1方向を有する上方に開口部6が形成された容器2と、この容器2内に上方開口部6から着脱可能に収容される、水平方向に長寸Y2方向と短寸X2方向を有する区画体31とを有する製氷器具において、前記区画体31が、前記容器2の短寸X1方向の中央部で且つ長寸Y1方向に延びるように設けられる幹壁部32と、この幹壁部32から長寸Y1方向と直交、即ち交差する方向に延びるように設けられる複数の枝壁部33と、これらの幹壁部32と枝壁部33の上部を繋ぐ複数の天面部34とを有し、前記各枝壁部33同士が、幹壁部32側の基端部から側方先端部である端面壁33Dに向かって間隔Sが広くなるように構成されると共に、前記端面壁33D同士の間に側方開口部35が形成されることで、前記容器2に水を貯め、この上から前記区画体31を収容することで、水を飛び散らせたり溢したりせずに製氷器具を冷凍室に収容することができるばかりでなく、前記容器2ごと前記区画体31を捻ることで、氷塊が広口側である前記側方開口部35の方向に押し出されて前記区画体31から外れるようにすることができるものである。また、前記区画体31の枝壁部33の端面壁33D同士の間に前記側方開口部35を設けることにより、前記区画体31の清掃がしやすくなり衛生的にすることができるものである。
【0053】
また、本発明の製氷器具は、前記容器2に最高水位線となる指示部7を設け、この指示部7まで水を入れた状態で前記区画体31を前記容器2に入れた際の水位よりも高い位置まで前記側方開口部35を形成することにより、氷塊を取り出す際に、氷塊が前記側方開口部35の方向に移動するのを妨げないようにすることができるものである。
【0054】
また、本発明の製氷器具は、前記枝壁部33の側方先端部である端面壁33D全体の間に前記側方開口部35を形成することにより、軽い力で前記区画体31を捻ることができるものである。
【0055】
また、本発明の製氷器具は、複数の前記枝壁部33が、前記幹壁部32を挟んで一方X2+側に設けられた第一枝壁部36と他方X2-側に設けられた第二枝壁部37とを有し、第一枝壁部36と第二枝壁部37を長寸Y2方向にずらして設けることにより、軽い力で前記区画体31を捻ることができるものである。
【0056】
更に、本発明の製氷器具は、前記幹壁部33を波線状に形成すると共に、前記幹壁部32の一方側突出部38に前記第一枝壁部36の基端部を設け、前記幹壁部32の他方側突出部39に前記第二枝壁部37の基端部を設けることにより、前記区画体31を捻った際に波線状の幹壁部32の変形によっても前記氷塊が前記側方開口部35の方向に押し出されるので、より容易に前記氷塊を前記区画体31から外れるようにすることができるものである。
【0057】
次に、本発明の第三の実施形態について、
図8に基づいて説明する。なお、容器2の構造は第一の実施形態と同一である。従って、容器2の構造についての説明は、第二の実施形態と同様に、第一の実施形態の
図4を援用する。本実施形態の製氷器具は、容器2と区画体51とを有して構成される。前記容器2は、平面視が角丸の矩形であり、水平方向に長寸Y1方向と短寸X1方向を有する。そして、これら長寸Y1方向と短寸X1方向は直交する。また、前記容器2は、上方が開口する。即ち、前記容器2は、底部4と、この底部4の外周部から起立する周壁部5とを有する。そして、これら底部4と周壁部5は、一体に形成される。また、前記周壁部5の上部には、角丸矩形状の開口部6が形成される。更に、前記周壁部5には、規定水位を示す最高水位線である指示部7が設けられる。本実施形態では、この指示部7は、印刷や刻印により形成されるが、段差などにより形成しても良い。また、前記周壁部5の上部には、複数の嵌合受部8が形成される。
【0058】
前記区画体51は、前記容器2と同様に、平面視が角丸の矩形であり、水平方向に長寸Y2方向と短寸X2方向を有する。そして、これら長寸Y2方向と短寸X2方向は直交する。また、前記区画体51は、前記容器2の上方の開口部6から前記容器2内に着脱可能に収容される。なお、前記区画体51を前記容器2に収容した状態で、長寸Y1方向と長寸Y2方向、短寸X1方向と短寸X2方向は一致する。
【0059】
前記区画体51の構造について詳述する。この区画体51は、その短寸X2方向の中央部において、長寸Y2方向に延びるように形成される幹壁部52と、この幹壁部52から短寸X2方向、即ち長寸Y2方向と直交する方向に延びる複数の枝壁部53と、これら幹壁部52の上部と枝壁部53の上部とを繋ぐ複数の天面部54とを有する。前記枝壁部53の短寸X2方向の側方先端部である後述する端面壁53Dは、前記天面部54によって繋がる上部を除いて、隣接する前記枝壁部53の短寸X2方向の側方先端部である端面壁53Dと離間する。このため、前記枝壁部53の端面壁53D同士の間には、側方開口部55が形成される。
【0060】
前記幹壁部52は、長寸Y2方向に直線状に延びるように形成される。そして、前記枝壁部53は、前記幹壁部52を挟んで短寸X2方向の一方X2+側に設けられる複数の第一枝壁部56と、前記幹壁部52を挟んで短寸X2方向の他方X2-側に設けられる複数の第二枝壁部57とを有する。なお、前記第一枝壁部56と第二枝壁部57は、長寸Y2方向にずれて交互に設けられる。
【0061】
前記幹壁部52と枝壁部53は、上方が開放した中空状に形成される。即ち、前記幹壁部52は、一方X2+側の側面壁52Aと、他方X2-側の側面壁52Bと、底面壁52Cと、長寸Y2方向の両端となる端面壁52Dとを有して構成される。また、前記枝壁部53は、一対の側面壁53Aと、底面壁53Cと、短寸X2方向の端部に設けられた端面壁53Dとを有して構成される。なお、前記側面壁53Aのうち、長寸Y2方向の端部に設けられた枝壁部53の外側面壁53Eは、前記容器2の周壁部5の内面に沿った形状に形成される。そして、一の枝壁部53における一対の前記側面壁53A同士の間隔は、前記幹壁部52側となる基端部から側方先端部である前記端面壁53Dに向かって狭くなると共に、一の枝壁部53を構成する一対の側面壁53A,53Aの長寸Y2方向及び短寸X2方向と成す角度の絶対値は等しい。これによって、複数の前記枝壁部53は、前記幹壁部52側となる基端部から側方先端部である前記端面壁53Dに向かってそれらの間隔Sが広くなるように構成される。なお、これらの間隔Sは、前記側方開口部55において最大となる。また、前記幹壁部52は、その側面壁52Aと側面壁52Bの間隔が下方に向かうに従って狭くなる。同様に、前記枝壁部53は、その側面壁53A同士の間隔が下方に向かうに従って狭くなる。なお、前記天面部54は、前記幹壁部52の側面壁52Aの上部と前記第一枝壁部56の側面壁53Aの上部を繋ぐように形成されると共に、前記幹壁部52の側面壁52Bの上部と前記第二枝壁部57の側面壁53Aの上部を繋ぐように形成される。そして、前記幹壁部52の底面壁52Cと前記枝壁部53の底面壁53Cは、自然状態で同一平面状であると共に、前記区画体51を前記容器2に収容した状態で、この容器2の底部4の内面と僅かな間隔をおいて近接するか又は全面接触する。また、前記幹壁部52の端面壁52Dと前記各枝壁部53の外側面壁53E及び端面壁53Dは、前記区画体51を前記容器2に収容した状態で、この容器2の周壁部5の内面と僅かな間隔をおいて近接するか又は全面接触する。なお、一つの前記枝壁部53を構成する一対の前記側面壁53A同士は、それぞれ図示しない補強リブによって連結される。これらの補強リブは、前記枝壁部53の側面壁53Aにおける前記短寸X2方向の中央部同士を連結するように一体に形成される。
【0062】
そして、前記枝壁部53の端面壁53Dと天面部54の側方端部54Aから上方に延びるように、角丸矩形状の図示しない環状リブが一体に形成される。この環状リブは、前記区画体51を前記容器2に収容した状態で、その高さと同じ高さにある前記周壁部5の内面形状とほぼ同じ形状に形成される。また、前記環状リブには、前記嵌合受部8に対応して、これらと同数の嵌合突部58が形成される。更に、前記環状リブの短寸X2方向の両端で且つ前記長寸Y2方向の中央部には、一対の把持部59が形成される。
【0063】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず使用者は、前記容器2内に水を入れる。この際、この容器2が、その内部に区画のための壁のような複数の凹凸を有さないので、勢いよく水を注いでも、この水が跳ねて飛び散るのを抑制することができる。なお、水は規定水位を示す前記指示部7よりも高くならないようにする。そして、前記容器2内に水を入れた後、使用者は、前記把持部59を把持し、前記容器2の上方の開口部6から前記区画体51を前記容器2内に収容する。この際、前記容器2内の空気は、前記周壁部5と環状リブとの間の隙間から前記製氷器具外に流出する。このように、前記容器2内に前記区画体51を収容すると、この区画体51に形成された各嵌合突部58が、前記容器2の対応する各嵌合受部8に嵌合する。この状態で、前記幹壁部52の底面壁52Cと前記枝壁部53の底面壁53Cは、全体的に、前記容器2の底部4の内面と僅かな間隔を開けて近接するか、又は全面接触する。同様に、前記幹壁部52の端面壁52Dと前記枝壁部53の外側壁部53E及び端面壁53Dは、全体的に、前記容器2の周壁部5の内面と僅かな間隔を開けて近接するか、又は全面接触する。これによって、前記第一枝壁部56同士又は前記第二枝壁部57同士における隣り合う前記枝壁部53,52と、前記幹壁部52と、前記天面部54と、前記底部4と前記周壁部5で囲まれる空間が形成される。そして、このようにして形成される複数の各空間同士は、互いに殆ど独立する。
【0064】
なお、前記容器2内に前記区画体51を収容すると、水位は規定水位から上昇する。また、前記各空間の水位は、前記容器2を水平な面上に置いて前記区画体51を収容すれば、ほぼ等しくなる。
【0065】
このように、水が入れられた前記製氷器具を、図示しない冷凍冷蔵庫の冷凍室又は冷凍庫に収容する。そして、前記容器2の上部の開口部6が前記区画体51によって覆われているので、前記製氷器具を水回りから冷凍室又は冷凍庫に運ぶ際、前記容器2内の水は前記製氷器具から溢れにくい。なお、前記製氷器具が置かれる面が水平であれば、各空間の水位は変化しない。そして、前記製氷器具内の水は前記冷凍室又は冷凍庫内で冷却され、氷塊となる。水は凍結により膨張する(0℃の水は0℃の氷よりも約9%体積が大きい)ので、氷面の高さは凍結前の水位よりも高くなる。しかしながら、前記規定水位は、氷面の高さを考慮して設定される。即ち、氷面が前記天面部54の下面よりも低くなるように、前記規定水位が設定され、指示部7が設けられる。これによって、前記水が凍結しても、氷面と前記天面部54の下面との間に空間が残る。このため、前記水が凍結して膨張しても、前記区画体51が上方に押し上げられるのを抑制することができる。また、前記区画体51が押し上げられて各空間同士が下方で繋がってしまい、氷塊が下方で繋がってしまうということも抑制することができる。更に、このように氷面と前記天面部54の下面との間に間隙があることで、前記区画体51を捻るのを容易にすることができる。
【0066】
このようにして前記製氷器具内で作られた氷塊は、そのままでは使用できないので、前記区画体51から取り出す必要がある。氷塊の取り出しは、前記製氷器具の一の対角組を相対的に上に、他の対角組を相対的に下に動かすように捻ることで行われる。即ち、角C1,C4を下方に、角C2,C3を上方に動かすように捻るか、又は角C1,C4を上方に、角C2,C3を下方に動かすように捻る。この際、前述したように、前記幹壁部52が、側面壁52A,52Bと、底面壁52Cと、端面壁52Dとを有して構成される上方開口の中空状に形成されることで、変形しやすい。一方、前記枝壁部53は、前記幹壁部52と同様に、側面壁53Aと底面壁53Cと端面壁53Dを有して構成されるものの、前記補強リブによって補強されているため、歪みにくい。そして、前記幹壁部52から突出する前記各枝壁部53が、前記第一枝壁部56と第二枝壁部57とで長寸Y2方向にずらして形成されるので、より捻りやすい。なお、第一及び第二の実施形態で説明したように、これら第一及び第二の実施形態の構造に比較すると、本実施形態の構造は、幹壁部52と枝壁部53が接続される部分の剛性が高い。従って、第一及び第二の実施形態の構造に比較すると、本実施形態の構造は、捩りにより変形しにくい。一方、中央の幹壁部の同じ位置から短寸方向の両方に枝壁部が延びる構造(後述する第四の実施形態)に比べると、本実施形態の構造は、幹壁部52と枝壁部53が接続される部分の剛性が低い。従って、中央の幹壁部の同じ位置から短寸方向の両方に枝壁部が延びる構造に比較すると、本実施形態の構造は、捩りにより変形しやすい。
【0067】
これら幹壁部52と枝壁部53と天面部54の歪みについて詳述する。対角である角C1と角C4を相対的に下方に、他の対角である角C2と角C3を相対的に上方に動かすように前記製氷器具を捻ると、前記各第一枝壁部56及びこれらを繋ぐ天面部54は
図7の上方に、前記各第二枝壁部57及びこれらを繋ぐ天面部54は
図7の下方に、僅かに移動するよう変形する。この捻り動作により、前記幹壁部52は、その側面壁52A,52Bが捻れるように歪む。即ち、これらの側面壁52A,52Bは、ほぼ平面状態から捻れた曲面状に変形する。
【0068】
一方、前述したように、前記枝壁部53は、前記補強リブによって補強されるため、殆ど歪まない。また、前記補強リブによって側面壁53Aが同じ枝壁部53を構成する他の側面壁53Aと連結され、更に前記側面壁53Aが同じ空間を画定する他の側面壁53Aと前記天面部54によって連結されることで、前記各第一枝壁部56は、捻り動作により、連動して同じ方向に移動する。同様に、前記各第二枝壁部57も、捻り動作により、連動して同じ方向に移動する。なお、前記各枝壁部53は、前述したように、それらの端面壁53D同士が前記天面部54の側方端部54Aを除いて接続されずに前記側方開口部55が形成される。このため、前記各第一枝壁部56同士、各第二枝壁部57同士は、捻り方向に僅かにずれるように位置関係が変化する。なお、前記各枝壁部53自体は殆ど歪まないので、この位置関係の変化は、各枝壁部53と天面部54との交差角度の変化や前記天面部54の撓み等によって起きる。
【0069】
このように、前記製氷器具を捻ることで生じる歪みにより、製氷のための空間を画定する一対の枝壁部53同士の間隔Sが僅かに小さくなる。一方で、製氷のための空間でできた氷塊は、殆ど弾性変形しないので、前記製氷器具の区画体51の歪みによって前記空間の広口側である前記側方開口部55側へ押し出される。この際、前述したように、氷面よりも前記天面部54の下面が高い、即ち氷面よりも前記側方開口部55の上端が高いので、氷塊の前記側方開口部55側への移動が妨げられることがない。同時に、前記空間を画定する一対の枝壁部53同士の間隔が下方に向かって広がるので、氷塊は広口側である下方に向かっても押し出される。更に、前記幹壁部52が捻れるように歪むことで、この幹壁部52に氷塊から離れるように動く部分と氷塊を押し出そうとする部分が生じるので、氷塊は広口側である前記側方開口部55側へ押し出される。このように、氷塊に広口側である前記側方開口部55側及び下方へ押し出す力が働くので、前記製氷器具を捻ることで氷塊を容易に前記区画体51から取り出すことができる。なお、前記製氷器具の長寸Y1,Y2方向端部において作られた氷塊は、前記製氷器具を捻った際に前記容器2の周壁部5と前記区画体51の枝壁部53との位置関係が変動することによって、前記区画体51から取り出される。
【0070】
なお、前記製氷器具全体を捻ることで前記区画体51から取り出された氷塊は、前記容器2内に留まる。従って、氷塊を取り出す際に、この氷塊を床や流し台等に落としてしまう可能性を減ずることができる。また、氷塊をそのまま前記容器2内に貯めておくこともできる。
【0071】
以上のように本発明の製氷器具は、水平方向に長寸Y1方向と短寸X1方向を有する上方に開口部6が形成された容器2と、この容器2内に上方開口部6から着脱可能に収容される、水平方向に長寸Y2方向と短寸X2方向を有する区画体51とを有する製氷器具において、前記区画体51が、前記容器2の短寸X1方向の中央部で且つ長寸Y1方向に延びるように設けられる幹壁部52と、この幹壁部52から長寸Y1方向と直交、即ち交差する方向に延びるように設けられる複数の枝壁部53と、これらの幹壁部52と枝壁部53の上部を繋ぐ複数の天面部54とを有し、前記各枝壁部53同士が、幹壁部52側の基端部から側方先端部である端面壁53Dに向かって間隔Sが広くなるように構成されると共に、前記端面壁53D同士の間に側方開口部55が形成されることで、前記容器2に水を貯め、この上から前記区画体51を収容することで、水を飛び散らせたり溢したりせずに製氷器具を冷凍室に収容することができるばかりでなく、前記容器2ごと前記区画体51を捻ることで、氷塊が広口側である前記側方開口部55の方向に押し出されて前記区画体51から外れるようにすることができるものである。また、前記区画体51の枝壁部53の端面壁53D同士の間に前記側方開口部55を設けることにより、前記区画体51の清掃がしやすくなり衛生的にすることができるものである。
【0072】
また、本発明の製氷器具は、前記容器2に最高水位線となる指示部7を設け、この指示部7まで水を入れた状態で前記区画体51を前記容器2に入れた際の水位よりも高い位置まで前記側方開口部55を形成することにより、氷塊を取り出す際に、氷塊が前記側方開口部55の方向に移動するのを妨げないようにすることができるものである。
【0073】
また、本発明の製氷器具は、前記枝壁部53の側方先端部である端面壁53D全体の間に前記側方開口部55を形成することにより、軽い力で前記区画体51を捻ることができるものである。
【0074】
更に、本発明の製氷器具は、複数の前記枝壁部53が、前記幹壁部52を挟んで一方X2+側に設けられた第一枝壁部56と他方X2-側に設けられた第二枝壁部57とを有し、第一枝壁部56と第二枝壁部57を長寸Y2方向にずらして設けることにより、軽い力で前記区画体51を捻ることができるものである。
【0075】
次に、本発明の第四の実施形態について、
図9に基づいて説明する。なお、容器2の構造は第一の実施形態と同一である。従って、容器2の構造についての説明は、第二,第三の実施形態と同様に、第一の実施形態の
図4を援用する。本実施形態の製氷器具は、容器2と区画体61とを有して構成される。前記容器2は、平面視が角丸の矩形であり、水平方向に長寸Y1方向と短寸X1方向を有する。そして、これら長寸Y1方向と短寸X1方向は直交する。また、前記容器2は、上方が開口する。即ち、前記容器2は、底部4と、この底部4の外周部から起立する周壁部5とを有する。そして、これら底部4と周壁部5は、一体に形成される。また、前記周壁部5の上部には、角丸矩形状の開口部6が形成される。更に、前記周壁部5には、規定水位を示す最高水位線である指示部7が設けられる。本実施形態では、この指示部7は、印刷や刻印により形成されるが、段差などにより形成しても良い。また、前記周壁部5の上部には、複数の嵌合受部8が形成される。
【0076】
前記区画体61は、前記容器2と同様に、平面視が角丸の矩形であり、水平方向に長寸Y2方向と短寸X2方向を有する。そして、これら長寸Y2方向と短寸X2方向は直交する。また、前記区画体61は、前記容器2の上方の開口部6から前記容器2内に着脱可能に収容される。なお、前記区画体61を前記容器2に収容した状態で、長寸Y1方向と長寸Y2方向、短寸X1方向と短寸X2方向は一致する。
【0077】
前記区画体61の構造について詳述する。この区画体61は、その短寸X2方向の中央部において、長寸Y2方向に延びるように形成される幹壁部62と、この幹壁部62から短寸X2方向、即ち長寸Y2方向と直交する方向に延びる複数の枝壁部63と、これら幹壁部62の上部と枝壁部63の上部とを繋ぐ複数の天面部64とを有する。前記枝壁部63の短寸X2方向の側方先端部である後述する端面壁63Dは、前記天面部64によって繋がる上部を除いて、隣接する前記枝壁部63の短寸X2方向の側方先端部である端面壁63Dと離間する。このため、前記枝壁部63の端面壁63D同士の間には、側方開口部65が形成される。
【0078】
前記幹壁部62は、長寸Y2方向に直線状に延びるように形成される。そして、前記枝壁部63は、前記幹壁部62を挟んで短寸X2方向の一方X2+側に設けられる複数の第一枝壁部66と、前記幹壁部62を挟んで短寸X2方向の他方X2-側に設けられる複数の第二枝壁部67とを有する。なお、前記第一枝壁部66と第二枝壁部67は、長寸Y2方向の同じ位置から、それぞれ一方X2+側及び他方X2-側に突出して設けられる。
【0079】
前記幹壁部62と枝壁部63は、上方が開放した中空状に形成される。即ち、前記幹壁部62は、一方X2+側の側面壁62Aと、他方X2-側の側面壁62Bと、底面壁62Cと、長寸Y2方向の両端となる端面壁62Dとを有して構成される。また、前記枝壁部63は、一対の側面壁63Aと、底面壁63Cと、短寸X2方向の端部に設けられた端面壁63Dとを有して構成される。そして、一の枝壁部63における一対の前記側面壁63A同士の間隔は、前記幹壁部62側となる基端部から側方先端部である前記端面壁63Dに向かって狭くなると共に、一の枝壁部63を構成する一対の側面壁63A,63Aの長寸Y2方向及び短寸X2方向と成す角度の絶対値は等しい。これによって、複数の前記枝壁部63は、前記幹壁部62側となる基端部から側方先端部である前記端面壁63Dに向かってそれらの間隔Sが広くなるように構成される。なお、これらの間隔Sは、前記側方開口部65において最大となる。また、前記幹壁部62は、その側面壁62Aと側面壁62Bの間隔が下方に向かうに従って狭くなる。同様に、前記枝壁部63は、その側面壁63A同士の間隔が下方に向かうに従って狭くなる。なお、前記天面部64は、前記幹壁部62の側面壁62Aの上部と前記第一枝壁部66の側面壁63Aの上部を繋ぐように形成されると共に、前記幹壁部62の側面壁62Bの上部と前記第二枝壁部67の側面壁63Aの上部を繋ぐように形成される。そして、前記幹壁部62の底面壁62Cと前記枝壁部63の底面壁63Cは、自然状態で同一平面状であると共に、前記区画体61を前記容器2に収容した状態で、この容器2の底部4の内面と僅かな間隔をおいて近接するか又は全面接触する。また、前記幹壁部62の端面壁62Dと前記各枝壁部63の端面壁63Dは、前記区画体61を前記容器2に収容した状態で、この容器2の周壁部5の内面と僅かな間隔をおいて近接するか又は全面接触する。なお、一つの前記枝壁部63を構成する一対の前記側面壁63A同士は、それぞれ図示しない補強リブによって連結される。これらの補強リブは、前記枝壁部63の側面壁63Aにおける前記短寸X2方向の中央部同士を連結するように一体に形成される。
【0080】
そして、前記枝壁部63の端面壁63Dと天面部64の側方端部64Aから上方に延びるように、角丸矩形状の図示しない環状リブが一体に形成される。この環状リブは、前記区画体61を前記容器2に収容した状態で、その高さと同じ高さにある前記周壁部5の内面形状とほぼ同じ形状に形成される。また、前記環状リブには、前記嵌合受部8に対応して、これらと同数の嵌合突部68が形成される。更に、前記環状リブの短寸X2方向の両端で且つ前記長寸Y2方向の中央部には、一対の把持部69が形成される。
【0081】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず使用者は、前記容器2内に水を入れる。この際、この容器2が、その内部に区画のための壁のような複数の凹凸を有さないので、勢いよく水を注いでも、この水が跳ねて飛び散るのを抑制することができる。なお、水は規定水位を示す前記指示部7よりも高くならないようにする。そして、前記容器2内に水を入れた後、使用者は、前記把持部69を把持し、前記容器2の上方の開口部6から前記区画体61を前記容器2内に収容する。この際、前記容器2内の空気は、前記周壁部5と環状リブとの間の隙間から前記製氷器具外に流出する。このように、前記容器2内に前記区画体61を収容すると、この区画体61に形成された各嵌合突部68が、前記容器2の対応する各嵌合受部8に嵌合する。この状態で、前記幹壁部62の底面壁62Cと前記枝壁部63の底面壁63Cは、全体的に、前記容器2の底部4の内面と僅かな間隔を開けて近接するか、又は全面接触する。同様に、前記幹壁部62の端面壁62Dと前記枝壁部63の端面壁63Dは、全体的に、前記容器2の周壁部5の内面と僅かな間隔を開けて近接するか、又は全面接触する。これによって、前記第一枝壁部66同士又は前記第二枝壁部67同士における隣り合う前記枝壁部63,62と、前記幹壁部62と、前記天面部64と、前記底部4と前記周壁部5で囲まれる空間が形成される。そして、このようにして形成される複数の各空間同士は、互いに殆ど独立する。
【0082】
なお、前記容器2内に前記区画体61を収容すると、水位は規定水位から上昇する。また、前記各空間の水位は、前記容器2を水平な面上に置いて前記区画体61を収容すれば、ほぼ等しくなる。
【0083】
このように、水が入れられた前記製氷器具を、図示しない冷凍冷蔵庫の冷凍室又は冷凍庫に収容する。そして、前記容器2の上部の開口部6が前記区画体61によって覆われているので、前記製氷器具を水回りから冷凍室又は冷凍庫に運ぶ際、前記容器2内の水は前記製氷器具から溢れにくい。なお、前記製氷器具が置かれる面が水平であれば、各空間の水位は変化しない。そして、前記製氷器具内の水は前記冷凍室又は冷凍庫内で冷却され、氷塊となる。水は凍結により膨張する(0℃の水は0℃の氷よりも約9%体積が大きい)ので、氷面の高さは凍結前の水位よりも高くなる。しかしながら、前記規定水位は、氷面の高さを考慮して設定される。即ち、氷面が前記天面部64の下面よりも低くなるように、前記規定水位が設定され、指示部7が設けられる。これによって、前記水が凍結しても、氷面と前記天面部64の下面との間に空間が残る。このため、前記水が凍結して膨張しても、前記区画体61が上方に押し上げられるのを抑制することができる。また、前記区画体61が押し上げられて各空間同士が下方で繋がってしまい、氷塊が下方で繋がってしまうということも抑制することができる。更に、このように氷面と前記天面部64の下面との間に間隙があることで、前記区画体61を捻るのを容易にすることができる。
【0084】
このようにして前記製氷器具内で作られた氷塊は、そのままでは使用できないので、前記区画体61から取り出す必要がある。氷塊の取り出しは、前記製氷器具の一の対角組を相対的に上に、他の対角組を相対的に下に動かすように捻ることで行われる。即ち、角C1,C4を下方に、角C2,C3を上方に動かすように捻るか、又は角C1,C4を上方に、角C2,C3を下方に動かすように捻る。この際、前述したように、前記幹壁部62が、側面壁62A,62Bと、底面壁62Cと、端面壁62Dとを有して構成される上方開口の中空状に形成されることで、変形しやすい。一方、前記枝壁部63は、前記幹壁部62と同様に、側面壁63Aと底面壁63Cと端面壁63Dを有して構成されるものの、前記補強リブによって補強されているため、歪みにくい。なお、第三の実施形態で説明したように、この第三の実施形態の構造に比較すると、本実施形態の構造は、幹壁部62と枝壁部63が接続される部分の剛性が高い。従って、第三の実施形態の構造に比較すると、本実施形態の構造は、捩りにより変形しにくい。
【0085】
これら幹壁部62と枝壁部63と天面部64の歪みについて詳述する。対角である角C1と角C4を相対的に下方に、他の対角である角C2と角C3を相対的に上方に動かすように前記製氷器具を捻ると、前記各第一枝壁部66及びこれらを繋ぐ天面部54は
図8の上方に、前記各第二枝壁部67及びこれらを繋ぐ天面部64は
図8の下方に、僅かに移動するよう変形する。この捻り動作により、前記幹壁部62は、その側面壁62A,62Bが捻れるように歪む。即ち、これらの側面壁62A,62Bは、ほぼ平面状態から捻れた曲面状に変形する。
【0086】
一方、前述したように、前記枝壁部63は、前記補強リブによって補強されるため、殆ど歪まない。また、前記補強リブによって側面壁63Aが同じ枝壁部63を構成する他の側面壁63Aと連結され、更に前記側面壁63Aが同じ空間を画定する他の側面壁63Aと前記天面部64によって連結されることで、前記各第一枝壁部66は、捻り動作により、連動して同じ方向に移動する。同様に、前記各第二枝壁部67も、捻り動作により、連動して同じ方向に移動する。なお、前記各枝壁部63は、前述したように、それらの端面壁63D同士が前記天面部64の側方端部64Aを除いて接続されずに前記側方開口部65が形成される。このため、前記各第一枝壁部66同士、各第二枝壁部67同士は、捻り方向に僅かにずれるように位置関係が変化する。なお、前記各枝壁部63自体は殆ど歪まないので、この位置関係の変化は、各枝壁部63と天面部64との交差角度の変化や前記天面部64の撓み等によって起きる。
【0087】
このように、前記製氷器具を捻ることで生じる歪みにより、製氷のための空間を画定する一対の枝壁部63同士の間隔Sが僅かに小さくなる。一方で、製氷のための空間でできた氷塊は、殆ど弾性変形しないので、前記製氷器具の区画体61の歪みによって前記空間の広口側である前記側方開口部65側へ押し出される。この際、前述したように、氷面よりも前記天面部64の下面が高い、即ち氷面よりも前記側方開口部65の上端が高いので、氷塊の前記側方開口部65側への移動が妨げられることがない。同時に、前記空間を画定する一対の枝壁部63同士の間隔が下方に向かって広がるので、氷塊は広口側である下方に向かっても押し出される。更に、前記幹壁部62が捻れるように歪むことで、この幹壁部62に氷塊から離れるように動く部分と氷塊を押し出そうとする部分が生じるので、氷塊は広口側である前記側方開口部65側へ押し出される。このように、氷塊に広口側である前記側方開口部65側及び下方へ押し出す力が働くので、前記製氷器具を捻ることで氷塊を容易に前記区画体61から取り出すことができる。なお、前記製氷器具の長寸Y1,Y2方向端部において作られた氷塊は、前記製氷器具を捻った際に前記容器2の周壁部5と前記区画体61の枝壁部63との位置関係が変動することによって、前記区画体61から取り出される。
【0088】
なお、前記製氷器具全体を捻ることで前記区画体61から取り出された氷塊は、前記容器2内に留まる。従って、氷塊を取り出す際に、この氷塊を床や流し台等に落としてしまう可能性を減ずることができる。また、氷塊をそのまま前記容器2内に貯めておくこともできる。
【0089】
以上のように本発明の製氷器具は、水平方向に長寸Y1方向と短寸X1方向を有する上方に開口部6が形成された容器2と、この容器2内に上方開口部6から着脱可能に収容される、水平方向に長寸Y2方向と短寸X2方向を有する区画体61とを有する製氷器具において、前記区画体61が、前記容器2の短寸X1方向の中央部で且つ長寸Y1方向に延びるように設けられる幹壁部62と、この幹壁部62から長寸Y1方向と直交、即ち交差する方向に延びるように設けられる複数の枝壁部63と、これらの幹壁部62と枝壁部63の上部を繋ぐ複数の天面部64とを有し、これらの枝壁部63同士が、幹壁部62側の基端部から側方先端部である端面壁63Dに向かって間隔Sが広くなるように構成されると共に、前記端面壁63D同士の間に側方開口部65が形成されることで、前記容器2に水を貯め、この上から前記区画体61を収容することで、水を飛び散らせたり溢したりせずに製氷器具を冷凍室に収容することができるばかりでなく、前記容器2ごと前記区画体61を捻ることで、氷塊が広口側である前記側方開口部65の方向に押し出されて前記区画体61から外れるようにすることができるものである。また、前記区画体61の枝壁部63の端面壁63D同士の間に前記側方開口部65を設けることにより、前記区画体61の清掃がしやすくなり衛生的にすることができるものである。
【0090】
また、本発明の製氷器具は、前記容器2に最高水位線となる指示部7を設け、この指示部7まで水を入れた状態で前記区画体61を前記容器2に入れた際の水位よりも高い位置まで前記側方開口部65を形成することにより、氷塊を取り出す際に、氷塊が前記側方開口部65の方向に移動するのを妨げないようにすることができるものである。
【0091】
更に、本発明の製氷器具は、前記枝壁部63の側方先端部である端面壁63D全体の間に前記側方開口部65を形成することにより、軽い力で前記区画体61を捻ることができるものである。
【0092】
次に、本発明の第五の実施形態について、
図10及び
図11に基づいて説明する。なお、容器2の構造は第一の実施形態と同一である。従って、容器2の構造についての説明は、第二乃至第四の実施形態と同様に、第一の実施形態の
図4を援用する。70は本発明の製氷器具である。この製氷器具70は、容器2と区画体71とを有して構成される。前記容器2は、平面視が角丸の矩形であり、水平方向に長寸Y1方向と短寸X1方向を有する。そして、これら長寸Y1方向と短寸X1方向は直交する。また、前記容器2は、上方が開口する。即ち、前記容器2は、底部4と、この底部4の外周部から起立する周壁部5とを有する。そして、これら底部4と周壁部5は、一体に形成される。また、前記周壁部5の上部には、角丸矩形状の開口部6が形成される。更に、前記周壁部5には、規定水位を示す最高水位線である指示部7が設けられる。本実施形態では、この指示部7は、印刷や刻印により形成されるが、段差などにより形成しても良い。また、前記周壁部5の上部には、複数の嵌合受部8が形成される。
【0093】
前記区画体71は、前記容器2と同様に、平面視が角丸の矩形であり、水平方向に長寸Y2方向と短寸X2方向を有する。そして、これら長寸Y2方向と短寸X2方向は直交する。また、前記区画体71は、前記容器2の上方の開口部6から前記容器2内に着脱可能に収容される。なお、前記区画体71を前記容器2に収容した状態で、長寸Y1方向と長寸Y2方向、短寸X1方向と短寸X2方向は一致する。
【0094】
前記区画体71の構造について詳述する。この区画体71は、その短寸X2方向の中央部において、長寸Y2方向に延びるように形成される幹壁部72と、この幹壁部72の折れ曲がった部分から短寸X2方向、即ち長寸Y2方向と直交する方向に延びる複数の枝壁部73と、これら幹壁部72の上部と枝壁部73の上部とを繋ぐ複数の天面部74とを有する。前記枝壁部73の短寸X2方向の側方先端部である後述する端面壁73Dは、前記天面部74及び後述する下環状リブ83によって繋がる上部を除いて、隣接する前記枝壁部73の短寸X2方向の側方先端部である端面壁73Dと離間する。このため、前記枝壁部73の端面壁73D同士の間には、側方開口部75が形成される。
【0095】
前記幹壁部72は、長寸Y2方向にジグザグ状に延びるように形成される。そして、前記枝壁部73は、前記幹壁部72を挟んで短寸X2方向の一方X2+側に設けられる複数の第一枝壁部76と、前記幹壁部72を挟んで短寸X2方向の他方X2-側に設けられる複数の第二枝壁部77とを有する。前記各第一枝壁部76は、前記幹壁部72における一方X2+側に凸となる一方側突出部78から一方X2+側に突出する。同様に、前記各第二枝壁部77は、前記幹壁部72における他方X2-側に凸となる他方側突出部79から他方X2-側に突出する。なお、前記幹壁部72がY2方向にジグザグ状に延びる、即ち前記一方側突出部78と他方側突出部79が交互に設けられることから、前記一方側突出部78から突出する前記第一枝壁部76と前記他方側突出部79から突出する前記第二枝壁部77とが、長寸Y2方向にずれて交互に設けられる。
【0096】
前記幹壁部72と枝壁部73は、上方が開放した中空状に形成される。即ち、前記幹壁部72は、一方X2+側の側面壁72Aと、他方X2-側の側面壁72Bと、底面壁72Cと、長寸Y2方向の両端となる端面壁72Dとを有して構成される。なお、前記一方側突出部78は前記側面壁72Aに形成されると共に、前記一方側突出部78に対応して、対向する前記側面壁72Bに凹部80が形成される。同様に、前記他方側突出部79は前記側面壁72Bに形成されると共に、前記他方側突出部79に対応して、対向する前記側面壁72Aに凹部81が形成される。また、前記枝壁部73は、一対の側面壁73Aと、底面壁73Cと、短寸X2方向の端部に設けられた端面壁73Dとを有して構成される。なお、一の枝壁部73における一対の前記側面壁73A同士の間隔は、前記幹壁部72側となる基端部から側方先端部である前記端面壁73Dに向かって狭くなると共に、一の枝壁部73を構成する一対の側面壁73A,73Aの長寸Y2方向及び短寸X2方向と成す角度の絶対値は等しい。これによって、複数の前記枝壁部73は、前記幹壁部72側となる基端部から側方先端部である前記端面壁73Dに向かってそれらの間隔Sが広くなるように構成される。なお、これらの間隔Sは、前記側方開口部75において最大となる。また、前記幹壁部72は、その側面壁72Aと側面壁72Bの間隔が下方に向かうに従って狭くなる。同様に、前記枝壁部73は、その側面壁73A同士の間隔が下方に向かうに従って狭くなる。なお、前記天面部74は、前記幹壁部72の側面壁72Aの上部と前記第一枝壁部76の側面壁73Aの上部を繋ぐように形成されると共に、前記幹壁部72の側面壁72Bの上部と前記第二枝壁部77の側面壁73Aの上部を繋ぐように形成される。そして、前記幹壁部72の底面壁72Cと前記枝壁部73の底面壁73Cは、自然状態で同一平面状であると共に、前記区画体71を前記容器2に収容した状態で、この容器2の底部4の内面と僅かな間隔をおいて近接するか又は全面接触する。また、前記幹壁部72の端面壁72D及び前記各枝壁部73の端面壁73Dは、前記区画体71を前記容器2に収容した状態で、この容器2の周壁部5の内面と僅かな間隔をおいて近接するか又は全面接触する。なお、一つの前記枝壁部73を構成する一対の前記側面壁73A同士は、それぞれ補強リブによって連結される。これらの補強リブは、前記枝壁部73の側面壁73Aにおける前記短寸X2方向の中央部同士を連結するように一体に形成される。
【0097】
そして、前記枝壁部73の端面壁73Dと天面部74の側方端部74Aから上方に延びるように、角丸矩形状の環状リブ82が一体に形成される。また、前記天面部74の側方端部74Aから下方に延びるように、角丸矩形状の下環状リブ83が一体に形成される。これらの環状リブ82及び下環状リブ83は、前記区画体71を前記容器2に収容した状態で、その高さと同じ高さにある前記周壁部5の内面形状とほぼ同じ形状に形成される。また、前記環状リブ82には、前記嵌合受部8に対応して、これらと同数の嵌合突部84が形成される。更に、前記環状リブ82の短寸X2方向の両端で且つ前記長寸Y2方向の中央部には、一対の把持部85が形成される。
【0098】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず使用者は、前記容器2内に水Wを入れる。この際、この容器2が、その内部に区画のための壁のような複数の凹凸を有さないので、勢いよく水Wを注いでも、この水Wが跳ねて飛び散るのを抑制することができる。なお、水Wは規定水位L0を示す前記指示部7よりも高くならないようにする。そして、前記容器2内に水Wを入れた後、使用者は、前記把持部85を把持し、前記容器2の上方の開口部6から前記区画体71を前記容器2内に収容する。この際、前記容器2内の空気は、前記周壁部5と環状リブ82及び下環状リブ83との間の隙間から前記製氷器具70外に流出する。このように、前記容器2内に前記区画体71を収容すると、この区画体71に形成された各嵌合突部84が、前記容器2の対応する各嵌合受部8に嵌合する。この状態で、前記幹壁部72の底面壁72Cと前記枝壁部73の底面壁73Cは、全体的に、前記容器2の底部4の内面と僅かな間隔を開けて近接するか、又は全面接触する。同様に、前記幹壁部72の端面壁72Dと前記枝壁部73の端面壁73Dは、全体的に、前記容器2の周壁部5の内面と僅かな間隔を開けて近接するか、又は全面接触する。これによって、前記第一枝壁部76同士又は前記第二枝壁部77同士における隣り合う前記枝壁部73,73と、前記幹壁部72と、前記天面部74と、前記底部4と前記周壁部5で囲まれる空間が形成される。そして、このようにして形成される複数の各空間同士は、互いに殆ど独立する。
【0099】
なお、前記容器2内に前記区画体71を収容すると、
図11に示すように、水位はL0からL1に上昇する。また、前記各空間の水位は、前記容器2を水平な面上に置いて前記区画体71を収容すれば、ほぼ等しくL1である。
【0100】
このように、水Wが入れられた前記製氷器具70を、図示しない冷凍冷蔵庫の冷凍室又は冷凍庫に収容する。そして、前記容器2の上部の開口部6が前記区画体71によって覆われているので、前記製氷器具70を水回りから冷凍室又は冷凍庫に運ぶ際、前記容器2内の水Wは前記製氷器具70から溢れにくい。なお、前記製氷器具70が置かれる面が水平であれば、各空間の水位はL1のままである。そして、前記製氷器具70内の水Wは前記冷凍室又は冷凍庫内で冷却され、氷塊となる。水Wは凍結により膨張する(0℃の水は0℃の氷よりも約9%体積が大きい)ので、氷面の高さL2は水位L1よりも高くなる。しかしながら、前記水位L0は、氷面L2の高さを考慮して設定される。即ち、氷面L2が前記下環状リブ83の下端よりも低くなるように、前記水位L0が設定され、指示部7が設けられる。これによって、前記水Wが凍結しても、氷面L2と前記天面部74の下面との間に空間が残る。このため、前記水Wが凍結して膨張しても、前記区画体71が上方に押し上げられるのを抑制することができる。また、前記区画体71が押し上げられて各空間同士が下方で繋がってしまい、氷塊が下方で繋がってしまうということも抑制することができる。更に、このように氷面L2と前記天面部74の下面との間に間隙があることで、前記区画体71を捻るのを容易にすることができる。
【0101】
このようにして前記製氷器具70内で作られた氷塊は、そのままでは使用できないので、前記区画体71から取り出す必要がある。氷塊の取り出しは、前記製氷器具70の一の対角組を相対的に上に、他の対角組を相対的に下に動かすように捻ることで行われる。即ち、
図10において、角C1,C4を下方に、角C2,C3を上方に動かすように捻るか、又は角C1,C4を上方に、角C2,C3を下方に動かすように捻る。この際、前記幹壁部72がジグザグ状に形成されるので、この幹壁部72は弾性変形しやすい。また、前述したように、前記幹壁部72が、側面壁72A,72Bと、底面壁72Cと、端面壁72Dとを有して構成される上方開口の中空状に形成されることで、より変形しやすい。一方、前記枝壁部73は、前記幹壁部72と同様に、側面壁73Aと底面壁73Cと端面壁73Dを有して構成されるものの、前記補強リブによって補強されているため、歪みにくい。更に、前記幹壁部72から突出する前記各枝壁部73が、前記第一枝壁部76と第二枝壁部77とで長寸Y2方向にずらして形成されるので、より捻りやすい。即ち、本実施形態では、ジグザグに形成された前記幹壁部72の一方側突出部78と他方側突出部79に、それぞれ第一枝壁部76及び第二枝壁部77が形成されるので、これらの第一枝壁部76及び第二枝壁部77は、区画体の短寸方向の中央に直線状に幹壁部が形成される構造(第三の実施形態等)に比べて短い。従って、端面壁73Dの幅が同じであり、側面壁73A同士のなす角度が同じであれば、本実施形態の前記枝壁部73は、その基端の太さが、前述した、区画体の短寸方向の中央に直線状に幹壁部が形成される構造に比べて細くなる。このため、本実施例の前記区画体71は、前記幹壁部72と枝壁部73とが接続される部位の剛性が相対的に低く、従って、捻りにより変形しやすい。
【0102】
これら幹壁部72と枝壁部73と天面部74の歪みについて詳述する。対角である角C1と角C4を相対的に下方に、他の対角である角C2と角C3を相対的に上方に動かすように前記製氷器具70を捻ると、前記各第一枝壁部76及びこれらを繋ぐ天面部74は
図10の上方に、前記各第二枝壁部77及びこれらを繋ぐ天面部74は
図10の下方に、僅かに移動するよう変形する。この捻り動作により、前記幹壁部72は、その側面壁72Aと側面壁72Bの間隔が広がる部位と狭まる部位が生じる。即ち、前記幹壁部72は、厚さが厚くなる部位と薄くなる部位が生じるように歪む。また、前記幹壁部72が捻れるように歪むことで、前記凹部80,81の内角が僅かに小さくなる。
【0103】
一方、前述したように、前記枝壁部73は、前記補強リブによって補強されるため、殆ど歪まない。また、前記補強リブによって側面壁73Aが同じ枝壁部73を構成する他の側面壁73Aと連結され、更に前記側面壁73Aが同じ空間を画定する他の側面壁73Aと前記天面部74によって連結されることで、前記各第一枝壁部76は、捻り動作により、連動して同じ方向に移動する。同様に、前記各第二枝壁部77も、捻り動作により、連動して同じ方向に移動する。なお、前記各枝壁部73は、前述したように、それらの端面壁73D同士が前記天面部74の側方端部74A及び下環状リブ83を除いて接続されずに前記側方開口部75が形成される。このため、前記各第一枝壁部76同士、各第二枝壁部77同士は、捻り方向に僅かにずれるように位置関係が変化する。なお、前記各枝壁部73自体は殆ど歪まないので、この位置関係の変化は、各枝壁部73と天面部74との交差角度の変化や前記天面部74の撓み等によって起きる。
【0104】
このように、前記製氷器具70を捻ることで生じる歪みにより、製氷のための空間を画定する一対の枝壁部73同士の間隔Sが僅かに小さくなる。一方で、製氷のための空間でできた氷塊は、殆ど弾性変形しないので、前記製氷器具70の区画体71の歪みによって前記空間の広口側である前記側方開口部75側へ押し出される。この際、前述したように、氷面L2よりも前記下環状リブ83の下端が高い、即ち氷面L2よりも前記側方開口部75の上端が高いので、氷塊の前記側方開口部75側への移動が妨げられることがない。なお、前記下環状リブ83は、前記区画体71の剛性を調整する等の目的で、氷塊の押し出しの邪魔にならない範囲で高さを任意に調整することができる。同時に、前記空間を画定する一対の枝壁部73同士の間隔が下方に向かって広がるので、氷塊は広口側である下方に向かっても押し出される。更に、前記幹壁部72の凹部80,81の内角が僅かに小さくなることによっても、氷塊は広口側である前記側方開口部75側へ押し出される。このように、氷塊に広口側である前記側方開口部75側及び下方へ押し出す力が働くので、前記製氷器具70を捻ることで氷塊を容易に前記区画体71から取り出すことができる。なお、前記製氷器具70の長寸Y1,Y2方向端部において作られた氷塊は、前記製氷器具70を捻った際に前記容器2の周壁部5と前記区画体71の枝壁部73との位置関係が変動することによって、前記区画体71から取り出される。
【0105】
なお、前記製氷器具70全体を捻ることで前記区画体71から取り出された氷塊は、前記容器2内に留まる。従って、氷塊を取り出す際に、この氷塊を床や流し台等に落としてしまう可能性を減ずることができる。また、氷塊をそのまま前記容器2内に貯めておくこともできる。
【0106】
以上のように本発明の製氷器具70は、水平方向に長寸Y1方向と短寸X1方向を有する上方に開口部6が形成された容器2と、この容器2内に上方開口部6から着脱可能に収容される、水平方向に長寸Y2方向と短寸X2方向を有する区画体71とを有する製氷器具70において、前記区画体71が、前記容器2の短寸X1方向の中央部で且つ長寸Y1方向に延びるように設けられる幹壁部72と、この幹壁部72から長寸Y1方向と直交、即ち交差する方向に延びるように設けられる複数の枝壁部73と、これらの幹壁部72と枝壁部73の上部を繋ぐ複数の天面部74とを有し、前記各枝壁部73同士が、幹壁部72側の基端部から側方先端部である端面壁73Dに向かって間隔Sが広くなるように構成されると共に、前記端面壁73D同士の間に側方開口部75が形成されることで、前記容器2に水Wを貯め、この上から前記区画体71を収容することで、水Wを飛び散らせたり溢したりせずに製氷器具70を冷凍室に収容することができるばかりでなく、前記容器2ごと前記区画体71を捻ることで、氷塊が広口側である前記側方開口部75の方向に押し出されて前記区画体71から外れるようにすることができるものである。また、前記区画体71の枝壁部73の端面壁73D同士の間に前記側方開口部75を設けることにより、前記区画体71の清掃がしやすくなり衛生的にすることができるものである。
【0107】
また、本発明の製氷器具70は、前記容器2に最高水位線となる指示部7を設け、この指示部7まで水を入れた状態で前記区画体71を前記容器2に入れた際の水位L1よりも高い位置まで前記側方開口部75を形成することにより、氷塊を取り出す際に、氷塊が前記側方開口部75の方向に移動するのを妨げないようにすることができるものである。
【0108】
また、本発明の製氷器具70は、複数の前記枝壁部73が、前記幹壁部72を挟んで一方X2+側に設けられた第一枝壁部76と他方X2-側に設けられた第二枝壁部77とを有し、第一枝壁部76と第二枝壁部77を長寸Y2方向にずらして設けることにより、軽い力で前記区画体71を捻ることができるものである。
【0109】
更に、本発明の製氷器具70は、前記幹壁部72をジグザグに形成すると共に、前記幹壁部72の一方側突出部78に前記第一枝壁部76の基端部を設け、前記幹壁部72の他方側突出部79に前記第二枝壁部77の基端部を設けることにより、前記区画体71を捻った際にジグザグ状の幹壁部72の変形によっても前記氷塊が前記側方開口部75の方向に押し出されるので、より容易に前記氷塊を前記区画体71から外れるようにすることができるものである。
【0110】
次に、本発明の第六の実施形態について、
図12に基づいて説明する。なお、容器2の構造は第一の実施形態と同一である。従って、容器2の構造についての説明は、第二乃至第五の実施形態と同様に、第一の実施形態の
図4を援用する。本実施形態の製氷器具は、容器2と区画体91とを有して構成される。前記容器2は、平面視が角丸の矩形であり、水平方向に長寸Y1方向と短寸X1方向を有する。そして、これら長寸Y1方向と短寸X1方向は直交する。また、前記容器2は、上方が開口する。即ち、前記容器2は、底部4と、この底部4の外周部から起立する周壁部5とを有する。そして、これら底部4と周壁部5は、一体に形成される。また、前記周壁部5の上部には、角丸矩形状の開口部6が形成される。更に、前記周壁部5には、規定水位を示す最高水位線である指示部7が設けられる。本実施形態では、この指示部7は、印刷や刻印により形成されるが、段差などにより形成しても良い。また、前記周壁部5の上部には、複数の嵌合受部8が形成される。
【0111】
前記区画体91は、前記容器2と同様に、平面視が角丸の矩形であり、水平方向に長寸Y2方向と短寸X2方向を有する。そして、これら長寸Y2方向と短寸X2方向は直交する。また、前記区画体91は、前記容器2の上方の開口部6から前記容器2内に着脱可能に収容される。なお、前記区画体91を前記容器2に収容した状態で、長寸Y1方向と長寸Y2方向、短寸X1方向と短寸X2方向は一致する。
【0112】
前記区画体91の構造について詳述する。この区画体91は、その短寸X2方向の中央部において、長寸Y2方向に延びるように形成される幹壁部92と、この幹壁部92の折れ曲がった部分から短寸X2方向及び長寸Y2方向と交差する方向に延びる複数の枝壁部93と、これら幹壁部92の上部と枝壁部93の上部とを繋ぐ複数の天面部94とを有する。前記枝壁部93の短寸X2方向の側方先端部である後述する端面壁93Dは、前記天面部94によって繋がる上部を除いて、隣接する前記枝壁部93の短寸X2方向の側方先端部である端面壁93Dと離間する。このため、前記枝壁部93の端面壁93D同士の間には、側方開口部95が形成される。
【0113】
前記幹壁部92は、長寸Y2方向にジグザグ状に延びるように形成される。そして、前記枝壁部93は、前記幹壁部92を挟んで短寸X2方向の一方X2+側に設けられる複数の第一枝壁部96と、前記幹壁部92を挟んで短寸X2方向の他方X2-側に設けられる複数の第二枝壁部97とを有する。前記各第一枝壁部96は、前記幹壁部92における一方X2+側に凸となる一方側突出部98から一方X2+側に突出する。同様に、前記各第二枝壁部97は、前記幹壁部92における他方X2-側に凸となる他方側突出部99から他方X2-側に突出する。なお、前記幹壁部92がY2方向にジグザグ状に延びる、即ち前記一方側突出部98と他方側突出部99が交互に設けられることから、前記一方側突出部98から突出する前記第一枝壁部96と前記他方側突出部99から突出する前記第二枝壁部97とが、長寸Y2方向にずれて交互に設けられる。
【0114】
前記幹壁部92と枝壁部93は、上方が開放した中空状に形成される。即ち、前記幹壁部92は、一方X2+側の側面壁92Aと、他方X2-側の側面壁92Bと、底面壁92Cと、長寸Y2方向の両端となる端面壁92Dとを有して構成される。なお、前記一方側突出部98は前記側面壁92Aに形成されると共に、前記一方側突出部98に対応して、対向する前記側面壁92Bに凹部100が形成される。同様に、前記他方側突出部99は前記側面壁92Bに形成されると共に、前記他方側突出部99に対応して、対向する前記側面壁92Aに凹部101が形成される。また、前記枝壁部93は、一対の側面壁93A,93Bと、底面壁93Cと、短寸X2方向の端部に設けられた端面壁93Dとを有して構成される。なお、一の枝壁部93における一対の前記側面壁93A,93Bの間隔は、前記幹壁部92側となる基端部から側方先端部である前記端面壁93Dに向かって狭くなる。これによって、複数の前記枝壁部93は、前記幹壁部92側となる基端部から側方先端部である前記端面壁93Dに向かってそれらの間隔Sが広くなるように構成される。なお、これらの間隔Sは、前記側方開口部95において最大となる。そして、前記側面壁93Aと側面壁93Bは、長寸Y2方向及び短寸X2方向とのなす角度が異なる。本実施形態では、前記側面壁93Aが前記短寸X2方向と平行なのに対し、前記側面壁93Bが前記短寸X2方向に対し斜めに交差する。また、前記幹壁部92は、その側面壁92Aと側面壁92Bの間隔が下方に向かうに従って狭くなる。同様に、前記枝壁部93は、その側面壁93Aと側面壁93Bの間隔が下方に向かうに従って狭くなる。なお、前記天面部94は、前記幹壁部92の側面壁92Aの上部と、前記第一枝壁部96の側面壁93Aの上部と、他の隣接する前記第一枝壁部96の側面壁93Bの上部とを繋ぐように形成されると共に、前記幹壁部92の側面壁92Bの上部と、前記第二枝壁部97の側面壁93Aの上部と、他の隣接する前記第二枝壁部97の側面壁93Bの上部とを繋ぐように形成される。そして、前記幹壁部92の底面壁92Cと前記枝壁部93の底面壁93Cは、自然状態で同一平面状であると共に、前記区画体91を前記容器2に収容した状態で、この容器2の底部4の内面と僅かな間隔をおいて近接するか又は全面接触する。また、前記幹壁部92の端面壁92D及び前記各枝壁部93の端面壁93Dは、前記区画体91を前記容器2に収容した状態で、この容器2の周壁部5の内面と僅かな間隔をおいて近接するか又は全面接触する。なお、一つの前記枝壁部93を構成する一対の前記側面壁93A,93Bは、それぞれ補強リブによって連結される。これらの補強リブは、前記枝壁部93の側面壁93A,93Bにおける前記短寸X2方向の中央部同士を連結するように一体に形成される。
【0115】
そして、前記枝壁部93の端面壁93Dと天面部94の側方端部94Aから上方に延びるように、角丸矩形状の環状リブが一体に形成される。この環状リブは、前記区画体91を前記容器2に収容した状態で、その高さと同じ高さにある前記周壁部5の内面形状とほぼ同じ形状に形成される。また、前記環状リブには、前記嵌合受部8に対応して、これらと同数の嵌合突部102が形成される。更に、前記環状リブの短寸X2方向の両端で且つ前記長寸Y2方向の中央部には、一対の把持部103が形成される。
【0116】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず使用者は、前記容器2内に水を入れる。この際、この容器2が、その内部に区画のための壁のような複数の凹凸を有さないので、勢いよく水を注いでも、この水が跳ねて飛び散るのを抑制することができる。なお、水は規定水位を示す前記指示部7よりも高くならないようにする。そして、前記容器2内に水を入れた後、使用者は、前記把持部103を把持し、前記容器2の上方の開口部6から前記区画体91を前記容器2内に収容する。この際、前記容器2内の空気は、前記周壁部5と環状リブとの間の隙間から前記製氷器具外に流出する。このように、前記容器2内に前記区画体91を収容すると、この区画体91に形成された各嵌合突部102が、前記容器2の対応する各嵌合受部8に嵌合する。この状態で、前記幹壁部92の底面壁92Cと前記枝壁部93の底面壁93Cは、全体的に、前記容器2の底部4の内面と僅かな間隔を開けて近接するか、又は全面接触する。同様に、前記幹壁部92の端面壁92Dと前記枝壁部93の端面壁93Dは、全体的に、前記容器2の周壁部5の内面と僅かな間隔を開けて近接するか、又は全面接触する。これによって、前記第一枝壁部96同士又は前記第二枝壁部97同士における隣り合う前記枝壁部93,93と、前記幹壁部92と、前記天面部94と、前記底部4と前記周壁部5で囲まれる空間が形成される。そして、このようにして形成される複数の各空間同士は、互いに殆ど独立する。
【0117】
なお、前記容器2内に前記区画体91を収容すると、水位は規定水位から上昇する。また、前記各空間の水位は、前記容器2を水平な面上に置いて前記区画体91を収容すれば、ほぼ等しくなる。
【0118】
このように、水が入れられた前記製氷器具を、図示しない冷凍冷蔵庫の冷凍室又は冷凍庫に収容する。そして、前記容器2の上部の開口部6が前記区画体91によって覆われているので、前記製氷器具を水回りから冷凍室又は冷凍庫に運ぶ際、前記容器2内の水は前記製氷器具から溢れにくい。なお、前記製氷器具が置かれる面が水平であれば、各空間の水位は変化しない。そして、前記製氷器具内の水は前記冷凍室又は冷凍庫内で冷却され、氷塊となる。水は凍結により膨張する(0℃の水は0℃の氷よりも約9%体積が大きい)ので、氷面の高さは凍結前の水位よりも高くなる。しかしながら、前記規定水位は、氷面の高さを考慮して設定される。即ち、氷面が前記天面部94の下面よりも低くなるように、前記規定水位が設定され、指示部7が設けられる。これによって、前記水が凍結しても、氷面と前記天面部94の下面との間に空間が残る。このため、前記水が凍結して膨張しても、前記区画体91が上方に押し上げられるのを抑制することができる。また、前記区画体91が押し上げられて各空間同士が下方で繋がってしまい、氷塊が下方で繋がってしまうということも抑制することができる。更に、このように氷面と前記天面部94の下面との間に間隙があることで、前記区画体91を捻るのを容易にすることができる。
【0119】
このようにして前記製氷器具内で作られた氷塊は、そのままでは使用できないので、前記区画体91から取り出す必要がある。氷塊の取り出しは、前記製氷器具の一の対角組を相対的に上に、他の対角組を相対的に下に動かすように捻ることで行われる。即ち、
図12において、角C1,C4を下方に、角C2,C3を上方に動かすように捻るか、又は角C1,C4を上方に、角C2,C3を下方に動かすように捻る。この際、前記幹壁部92がジグザグ状に形成されるので、この幹壁部92は弾性変形しやすい。また、前述したように、前記幹壁部92が、側面壁92A,92Bと、底面壁92Cと、端面壁92Dとを有して構成される上方開口の中空状に形成されることで、より変形しやすい。一方、前記枝壁部93は、前記幹壁部92と同様に、側面壁93A,93Bと底面壁93Cと端面壁93Dを有して構成されるものの、前記補強リブによって補強されているため、歪みにくい。更に、前記幹壁部92から突出する前記各枝壁部93が、前記第一枝壁部96と第二枝壁部97とで長寸Y2方向にずらして形成されるので、より捻りやすい。即ち、本実施形態では、ジグザグに形成された前記幹壁部92の一方側突出部98と他方側突出部99に、それぞれ第一枝壁部96及び第二枝壁部97が形成されるので、これらの第一枝壁部96及び第二枝壁部97は、区画体の短寸方向の中央に直線状に幹壁部が形成される構造(第三の実施形態等)に比べて短い。従って、端面壁93Dの幅が同じであり、側面壁93A,93Bのなす角度が同じであれば、本実施形態の前記枝壁部93は、その基端の太さが、前述した、区画体の短寸方向の中央に直線状に幹壁部が形成される構造に比べて細くなる。このため、本実施例の前記区画体91は、前記幹壁部92と枝壁部93とが接続される部位の剛性が相対的に低く、従って、捻りにより変形しやすい。
【0120】
これら幹壁部92と枝壁部93と天面部94の歪みについて詳述する。対角である角C1と角C4を相対的に下方に、他の対角である角C2と角C3を相対的に上方に動かすように前記製氷器具を捻ると、前記各第一枝壁部96及びこれらを繋ぐ天面部94は
図12の上方に、前記各第二枝壁部97及びこれらを繋ぐ天面部94は
図10の下方に、僅かに移動するよう変形する。この捻り動作により、前記幹壁部92は、その側面壁92Aと側面壁92Bの間隔が広がる部位と狭まる部位が生じる。即ち、前記幹壁部92は、厚さが厚くなる部位と薄くなる部位が生じるように歪む。また、前記幹壁部92が捻れるように歪むことで、前記凹部100,101の内角が僅かに小さくなる。
【0121】
一方、前述したように、前記枝壁部93は、前記補強リブによって補強されるため、殆ど歪まない。また、前記補強リブによって側面壁93Aが同じ枝壁部93を構成する側面壁93Bと連結され、更に前記側面壁93Aが同じ空間を画定する側面壁93Bと前記天面部94によって連結されることで、前記各第一枝壁部96は、捻り動作により、連動して同じ方向に移動する。同様に、前記各第二枝壁部97も、捻り動作により、連動して同じ方向に移動する。なお、前記各枝壁部93は、前述したように、それらの端面壁93D同士が前記天面部94の側方端部94Aを除いて接続されずに前記側方開口部95が形成される。このため、前記各第一枝壁部96同士、各第二枝壁部97同士は、捻り方向に僅かにずれるように位置関係が変化する。なお、前記各枝壁部93自体は殆ど歪まないので、この位置関係の変化は、各枝壁部93と天面部94との交差角度の変化や前記天面部94の撓み等によって起きる。
【0122】
このように、前記製氷器具を捻ることで生じる歪みにより、製氷のための空間を画定する一対の枝壁部93同士の間隔Sが僅かに小さくなる。一方で、製氷のための空間でできた氷塊は、殆ど弾性変形しないので、前記製氷器具の区画体91の歪みによって前記空間の広口側である前記側方開口部95側へ押し出される。この際、前述したように、氷面よりも前記天面部94の下面が高い、即ち氷面よりも前記側方開口部95の上端が高いので、氷塊の前記側方開口部95側への移動が妨げられることがない。同時に、前記空間を画定する一対の枝壁部93同士の間隔が下方に向かって広がるので、氷塊は広口側である下方に向かっても押し出される。更に、前記幹壁部92の凹部100,101の内角が僅かに小さくなることによっても、氷塊は広口側である前記側方開口部95側へ押し出される。このように、氷塊に広口側である前記側方開口部95側及び下方へ押し出す力が働くので、前記製氷器具を捻ることで氷塊を容易に前記区画体91から取り出すことができる。なお、前記製氷器具の長寸Y1,Y2方向端部において作られた氷塊は、前記製氷器具を捻った際に前記容器2の周壁部5と前記区画体91の枝壁部93との位置関係が変動することによって、前記区画体91から取り出される。
【0123】
なお、本実施形態において、
図12のように前記枝壁部93の突出方向を短寸X2方向に対し傾けることで、第一の実施形態の構造に比べ、長寸Y2方向の端部で作られる氷の大きさの差を縮小することができる。また、前記製氷器具全体を捻ることで前記区画体91から取り出された氷塊は、前記容器2内に留まる。従って、氷塊を取り出す際に、この氷塊を床や流し台等に落としてしまう可能性を減ずることができる。また、氷塊をそのまま前記容器2内に貯めておくこともできる。
【0124】
以上のように本発明の製氷器具は、水平方向に長寸Y1方向と短寸X1方向を有する上方に開口部6が形成された容器2と、この容器2内に上方開口部6から着脱可能に収容される、水平方向に長寸Y2方向と短寸X2方向を有する区画体91とを有する製氷器具において、前記区画体91が、前記容器2の短寸X1方向の中央部で且つ長寸Y1方向に延びるように設けられる幹壁部92と、この幹壁部92から長寸Y1方向と交差する方向に延びるように設けられる複数の枝壁部93と、これらの幹壁部92と枝壁部93の上部を繋ぐ複数の天面部94とを有し、前記各枝壁部93同士が、幹壁部92側の基端部から側方先端部である端面壁93Dに向かって間隔Sが広くなるように構成されると共に、前記端面壁93D同士の間に側方開口部95が形成されることで、前記容器2に水を貯め、この上から前記区画体91を収容することで、水を飛び散らせたり溢したりせずに製氷器具を冷凍室に収容することができるばかりでなく、前記容器2ごと前記区画体91を捻ることで、氷塊が広口側である前記側方開口部95の方向に押し出されて前記区画体91から外れるようにすることができるものである。また、前記区画体91の枝壁部93の端面壁93D同士の間に前記側方開口部95を設けることにより、前記区画体91の清掃がしやすくなり衛生的にすることができるものである。
【0125】
また、本発明の製氷器具は、前記容器2に最高水位線となる指示部7を設け、この指示部7まで水を入れた状態で前記区画体91を前記容器2に入れた際の水位よりも高い位置まで前記側方開口部95を形成することにより、氷塊を取り出す際に、氷塊が前記側方開口部95の方向に移動するのを妨げないようにすることができるものである。
【0126】
また、本発明の製氷器具は、前記枝壁部93の側方先端部である端面壁93D全体の間に前記側方開口部95を形成することにより、軽い力で前記区画体91を捻ることができるものである。
【0127】
また、本発明の製氷器具は、複数の前記枝壁部93が、前記幹壁部92を挟んで一方X2+側に設けられた第一枝壁部96と他方X2-側に設けられた第二枝壁部97とを有し、第一枝壁部96と第二枝壁部97を長寸Y2方向にずらして設けることにより、軽い力で前記区画体91を捻ることができるものである。
【0128】
更に、本発明の製氷器具は、前記幹壁部92をジグザグに形成すると共に、前記幹壁部92の一方側突出部98に前記第一枝壁部96の基端部を設け、前記幹壁部92の他方側突出部99に前記第二枝壁部97の基端部を設けることにより、前記区画体91を捻った際にジグザグ状の幹壁部92の変形によっても前記氷塊が前記側方開口部95の方向に押し出されるので、より容易に前記氷塊を前記区画体91から外れるようにすることができるものである。
【0129】
次に、本発明の
参考例について、
図13に基づいて説明する。なお、容器2の構造は第一の実施形態と同一である。従って、容器2の構造についての説明は、第二乃至第六の実施形態と同様に、第一の実施形態の
図4を援用する。本実施形態の製氷器具は、容器2と区画体111とを有して構成される。前記容器2は、平面視が角丸の矩形であり、水平方向に長寸Y1方向と短寸X1方向を有する。そして、これら長寸Y1方向と短寸X1方向は直交する。また、前記容器2は、上方が開口する。即ち、前記容器2は、底部4と、この底部4の外周部から起立する周壁部5とを有する。そして、これら底部4と周壁部5は、一体に形成される。また、前記周壁部5の上部には、角丸矩形状の開口部6が形成される。更に、前記周壁部5には、規定水位を示す最高水位線である指示部7が設けられる。本実施形態では、この指示部7は、印刷や刻印により形成されるが、段差などにより形成しても良い。また、前記周壁部5の上部には、複数の嵌合受部8が形成される。
【0130】
前記区画体111は、前記容器2と同様に、平面視が角丸の矩形であり、水平方向に長寸Y2方向と短寸X2方向を有する。そして、これら長寸Y2方向と短寸X2方向は直交する。また、前記区画体111は、前記容器2の上方の開口部6から前記容器2内に着脱可能に収容される。なお、前記区画体111を前記容器2に収容した状態で、長寸Y1方向と長寸Y2方向、短寸X1方向と短寸X2方向は一致する。
【0131】
前記区画体111の構造について詳述する。この区画体111は、その短寸X2方向の一方X2+側端部から他方X2-側端部に延びるように形成される壁部112と、この壁部112の上部を繋ぐ複数の天面部113とを有する。なお、前記壁部112は、
図13の姿勢において、一方X2+側から他方X2-側に向かって低くなる第一壁部114と、他方X2-側から一方X2+側に向かって低くなる第二壁部115とを交互に設けることで、長寸Y2方向にジグザグ状に形成される。そして、前記壁部112の短寸X2方向の側方先端部である後述する端面壁112Dは、前記天面部113によって繋がる上部を除いて、隣接する端面壁112Dと離間する。このため、前記壁部112の端面壁112D同士の間には、側方開口部116が形成される。
【0132】
前記壁部112は、上方が開放した中空状に形成される。即ち、前記壁部112は、一方X2+側の側面壁112Aと、他方X2-側の側面壁112Bと、底面壁112Cと、短寸X2方向の端部となる端面壁112Dとを有して構成される。そして、前記壁部112の一方X2+側は、
図13の上方から下方に向かって、前記第一壁部114の側面壁112A、前記第二壁部115の側面壁112A、前記端面壁112D、前記第一壁部114の側面壁112A、前記第二壁部115の側面壁112A、前記端面壁112D、…の順に形成される。同様に、前記壁部112の他方X2-側は、
図13の上方から下方に向かって、前記第一壁部114の側面壁112B、前記第二壁部115の側面壁112B、前記端面壁112D、前記第一壁部114の側面壁112B、前記第二壁部115の側面壁112B、前記端面壁112D、…の順に形成される。そして、前記天面部113は、前記第一壁部114の側面壁112Aの上部と前記第二壁部115の側面壁112Aの上部を繋ぐように形成されると共に、前記第一壁部114の側面壁112Bの上部と前記第二壁部115の側面壁112Bの上部を繋ぐように形成される。なお、隣接する前記第一壁部114の側面壁112Aと前記第二壁部115の側面壁112Aの間隔Sは、一方X2+側に向かって広くなるように構成される。一方、隣接する前記第一壁部114の側面壁112Bと前記第二壁部115の側面壁112Bの間隔Sは、他方X2-側に向かって広くなるように構成される。なお、これらの間隔Sは、前記側方開口部116において最大となる。また、前記壁部112は、その側面壁112Aと側面壁112Bの間隔が下方に向かうに従って狭くなる。そして、前記壁部112の底面壁112Cは、自然状態で同一平面状であると共に、前記区画体111を前記容器2に収容した状態で、この容器2の底部4の内面と僅かな間隔をおいて近接するか又は全面接触する。また、前記壁部112の端面壁112Dは、前記区画体111を前記容器2に収容した状態で、この容器2の周壁部5の内面と僅かな間隔をおいて近接するか又は全面接触する。
【0133】
そして、前記壁部112の端面壁112Dと天面部113の側方端部113Aから上方に延びるように、角丸矩形状の環状リブが一体に形成される。この環状リブは、前記区画体111を前記容器2に収容した状態で、その高さと同じ高さにある前記周壁部5の内面形状とほぼ同じ形状に形成される。また、前記環状リブには、前記嵌合受部8に対応して、これらと同数の嵌合突部117が形成される。更に、前記環状リブの短寸X2方向の両端で且つ前記長寸Y2方向の中央部には、一対の把持部118が形成される。
【0134】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず使用者は、前記容器2内に水を入れる。この際、この容器2が、その内部に区画のための壁のような複数の凹凸を有さないので、勢いよく水を注いでも、この水が跳ねて飛び散るのを抑制することができる。なお、水は規定水位を示す前記指示部7よりも高くならないようにする。そして、前記容器2内に水を入れた後、使用者は、前記把持部118を把持し、前記容器2の上方の開口部6から前記区画体111を前記容器2内に収容する。この際、前記容器2内の空気は、前記周壁部5と環状リブとの間の隙間から前記製氷器具外に流出する。このように、前記容器2内に前記区画体111を収容すると、この区画体111に形成された各嵌合突部117が、前記容器2の対応する各嵌合受部8に嵌合する。この状態で、前記壁部112Cは、全体的に、前記容器2の底部4の内面と僅かな間隔を開けて近接するか、又は全面接触する。同様に、前記壁部112の端面壁112Dは、全体的に、前記容器2の周壁部5の内面と僅かな間隔を開けて近接するか、又は全面接触する。これによって、前記第一壁部114の側面壁112Aと、隣接する第二壁部115の側面壁112Aと、これらを繋ぐ天面部113と、前記底部4と、前記周壁部5とで囲まれる空間、及び、前記第一壁部114の側面壁112Bと、隣接する第二壁部115の側面壁112Bと、これらを繋ぐ天面部113と、前記底部4と、前記周壁部5とで囲まれる空間が形成される。そして、このようにして形成される複数の各空間同士は、互いに殆ど独立する。
【0135】
なお、前記容器2内に前記区画体111を収容すると、水位は規定水位から上昇する。また、前記各空間の水位は、前記容器2を水平な面上に置いて前記区画体111を収容すれば、ほぼ等しくなる。
【0136】
このように、水が入れられた前記製氷器具を、図示しない冷凍冷蔵庫の冷凍室又は冷凍庫に収容する。そして、前記容器2の上部の開口部6が前記区画体111によって覆われているので、前記製氷器具を水回りから冷凍室又は冷凍庫に運ぶ際、前記容器2内の水は前記製氷器具から溢れにくい。なお、前記製氷器具が置かれる面が水平であれば、各空間の水位は変化しない。そして、前記製氷器具内の水は前記冷凍室又は冷凍庫内で冷却され、氷塊となる。水は凍結により膨張する(0℃の水は0℃の氷よりも約9%体積が大きい)ので、氷面の高さは凍結前の水位よりも高くなる。しかしながら、前記規定水位は、氷面の高さを考慮して設定される。即ち、氷面が前記天面部113の下面よりも低くなるように、前記規定水位が設定され、指示部7が設けられる。これによって、前記水が凍結しても、氷面と前記天面部113の下面との間に空間が残る。このため、前記水が凍結して膨張しても、前記区画体111が上方に押し上げられるのを抑制することができる。また、前記区画体111が押し上げられて各空間同士が下方で繋がってしまい、氷塊が下方で繋がってしまうということも抑制することができる。更に、このように氷面と前記天面部113の下面との間に間隙があることで、前記区画体111を捻るのを容易にすることができる。
【0137】
このようにして前記製氷器具内で作られた氷塊は、そのままでは使用できないので、前記区画体111から取り出す必要がある。氷塊の取り出しは、前記製氷器具の一の対角組を相対的に上に、他の対角組を相対的に下に動かすように捻ることで行われる。即ち、
図13において、角C1,C4を下方に、角C2,C3を上方に動かすように捻るか、又は角C1,C4を上方に、角C2,C3を下方に動かすように捻る。この際、前記壁部112がジグザグ状に形成されるので、この壁部112は弾性変形しやすい。また、前述したように、前記壁部112が、側面壁112A,112Bと、底面壁112Cと、端面壁112Dとを有して構成される上方開口の中空状に形成されることで、より変形しやすい。
【0138】
これら壁部112と天面部113の歪みについて詳述する。対角である角C1と角C4を相対的に下方に、他の対角である角C2と角C3を相対的に上方に動かすように前記製氷器具を捻ると、一方X2+側が広くなる空間を画定する側面壁112A及びこれらを繋ぐ天面部113は
図13の下方に、他方X2-側が広くなる空間を画定する側面壁112B及びこれらを繋ぐ天面部113は
図13の上方に、僅かに移動するよう変形する。この捻り動作により、前記壁部112は、その側面壁112Aと側面壁112Bの間隔が広がる部位と狭まる部位が生じる。即ち、前記壁部112は、厚さが厚くなる部位と薄くなる部位が生じるように歪む。また、前記壁部112が捻れるように歪むことで、前記第一壁部113と第二壁部114のなす角度が僅かに小さくなる。
【0139】
なお、前記壁部112は、前述したように、それらの端面壁112D同士が前記天面部113の側方端部113Aを除いて接続されずに前記側方開口部116が形成される。このため、前記各第一壁部114、第二壁部115は、捻り方向に僅かにずれるように位置関係が変化する。
【0140】
このように、前記製氷器具を捻ることで生じる歪みにより、製氷のための空間を画定する、隣接する前記第一壁部114と第二壁部115の間隔Sが僅かに小さくなる。一方で、製氷のための空間でできた氷塊は、殆ど弾性変形しないので、前記製氷器具の区画体111の歪みによって前記空間の広口側である前記側方開口部116側へ押し出される。この際、前述したように、氷面よりも前記天面部113の下面が高い、即ち氷面よりも前記側方開口部116の上端が高いので、氷塊の前記側方開口部116側への移動が妨げられることがない。同時に、前記空間を画定する、隣接する前記第一壁部114と第二壁部115の間隔が、下方に向かって広がるので、氷塊は広口側である下方に向かっても押し出される。このように、氷塊に広口側である前記側方開口部116側及び下方へ押し出す力が働くので、前記製氷器具を捻ることで氷塊を容易に前記区画体111から取り出すことができる。なお、前記製氷器具の長寸Y1,Y2方向端部において作られた氷塊は、前記製氷器具を捻った際に前記容器2の周壁部5と前記区画体111の壁部112との位置関係が変動することによって、前記区画体111から取り出される。
【0141】
なお、前記製氷器具全体を捻ることで前記区画体111から取り出された氷塊は、前記容器2内に留まる。従って、氷塊を取り出す際に、この氷塊を床や流し台等に落としてしまう可能性を減ずることができる。また、氷塊をそのまま前記容器2内に貯めておくこともできる。
【0142】
以上のように本発明の製氷器具は、水平方向に長寸Y1方向と短寸X1方向を有する上方に開口部6が形成された容器2と、この容器2内に上方開口部6から着脱可能に収容される、水平方向に長寸Y2方向と短寸X2方向を有する区画体111とを有する製氷器具において、前記区画体111が、短寸方向X2の一方X2+端から他方X2-端に延びる複数の第一壁部114及び複数の第二壁部115を交互に有し、これらの第一壁部114と第二壁部115の上部同士を繋ぐ複数の天面部113を有し、前記第一壁部114と第二壁部115の隣接する組み合わせが、短寸X2方向の一方X2+端側から他方X2-端側に向かって間隔Sが広くなるように構成される組み合わせと、短寸X2方向の他方X2-端側から一方X2+端側に向かって間隔Sが広くなるように構成される組み合わせを有すると共に、前記第一壁部114と第二壁部115の間隔Sが広がった側の端部である端面壁112D間に側方開口部116が形成されることにより、前記容器2に水を貯め、この上から前記区画体111を収容することで、水を飛び散らせたり溢したりせずに製氷器具を冷凍室に収容することができるばかりでなく、前記容器2ごと前記区画体111を捻ることで、氷塊が広口側である前記側方開口部116の方向に押し出されて前記区画体111から外れるようにすることができるものである。また、前記区画体111の壁部112の端面壁112D同士の間に前記側方開口部116を設けることにより、前記区画体111の清掃がしやすくなり衛生的にすることができるものである。
【0143】
また、本発明の製氷器具は、前記容器2に最高水位線となる指示部7を設け、この指示部7まで水を入れた状態で前記区画体111を前記容器2に入れた際の規定水位よりも高い位置まで前記側方開口部116を形成することにより、氷塊を取り出す際に、氷塊が前記側方開口部116の方向に移動するのを妨げないようにすることができるものである。
【0144】
更に、本発明の製氷器具は、前記壁部112の側方先端部である端面壁112D全体の間に前記側方開口部116を形成することにより、軽い力で前記区画体111を捻ることができるものである。
【0145】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上記各実施形態では、各天面部には穴が形成されていないが、水が溢れない範囲で区画体の剛性調整や空気抜きの目的で穴を開けても良い。また、第一乃至第六の実施形態において、枝壁部の短寸X2方向の端部が端面壁、即ち面状に形成されるが、端面壁を設けず線状に形成しても良い。
【符号の説明】
【0146】
1,70 製氷器具
2 容器
3,31,51,61,71,91,111 区画体
6 開口部
7 指示部(最高水位線)
9,32,52,62,72,92 幹壁部
10,33,53,63,73,93 枝壁部
10A,33A,53A,63A,73A,93A,93B 側面壁
10C,33C,53C,63C,73C,93C 底面壁
10D,33D,53D,63D,73D,93D 端面壁(側方先端部)
11,34,54,64,74,94 天面部
12,35,55,65,75,95 側方開口部
13,36,56,66,76,96 第一枝壁部
14,37,57,67,77,97 第二枝壁部
15,38,78,98 一方側突出部
16,39,79,99 他方側突出部
17,18,40,41,80,81,100,101 凹部
19 補強リブ
L0 規定水位
L1 水位
L2 氷面
S 間隔
W 水
Y1 長寸
X1 短寸
Y2 長寸
X2 短寸
X2+ 一方
X2- 他方