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特開2023-12072バッグスパイクおよびケモカバーならびにこれらを備えた輸液システム
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  • 特開-バッグスパイクおよびケモカバーならびにこれらを備えた輸液システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012072
(43)【公開日】2023-01-25
(54)【発明の名称】バッグスパイクおよびケモカバーならびにこれらを備えた輸液システム
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/14 20230101AFI20230118BHJP
【FI】
A61J1/14 390B
A61J1/14 390T
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115493
(22)【出願日】2021-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】392035721
【氏名又は名称】株式会社パルメディカル
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】小野 慶一
(72)【発明者】
【氏名】関 和治
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047AA05
4C047AA11
4C047AA31
4C047AA40
4C047BB11
4C047CC05
4C047DD03
4C047DD12
4C047DD22
4C047DD32
4C047EE05
4C047HH01
4C047HH04
(57)【要約】
【課題】 調剤室および病室における薬液の暴露を可及的に防止する。
【解決手段】 穿刺ポート3を備えた輸液バッグ2と、上記穿刺ポート3に接続されるバッグスパイク4と、上記バッグスパイク4の輸液ポート13に接続される輸液ライン6と、上記輸液バッグ2を収容する収容袋7とを備えた輸液システム1に関する。
上記バッグスパイク4を接続した輸液バッグ2を上記収容袋7に収容すると、上記輸液バッグ2がバッグ側空間S1に位置し、上記バッグスパイク4が上記スパイク側空間S2に位置する。
また上記脱落防止フランジ16がスパイク側空間S2に形成した調剤ポート側空間S2aから第2区画部24に当接することで、上記バッグスパイク4の調剤ポート14が上記調剤ポート側空間S2aに位置し、上記輸液ポート13が上記第2区画部24の挿通口24aを通過して輸液ポート側空間S2bに位置するようになっている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸液バッグの穿刺ポートに穿刺される穿刺部と、輸液ラインが接続される輸液ポートとを備え、内部に上記穿刺部と輸液ポートとを連通させる輸液用流路が形成されたバッグスパイクにおいて、
上記穿刺部と輸液ポートとの間に、薬液を輸液バッグに供給するための調剤ポートを設けるとともに、上記穿刺部と調剤ポートとを連通させる調剤用流路を上記輸液用流路とは独立して形成し、
さらに上記輸液ポートと上記調剤ポートとの間に、収容袋からの脱落防止フランジを設けたことを特徴とするバッグスパイク。
【請求項2】
両端に開閉可能なシール手段を備えた袋状を有し、内部空間が輸液バッグを収容するバッグ側空間と、上記輸液バッグの穿刺ポートに接続されたバッグスパイクを収容するスパイク側空間とに区画された収容袋において、
上記バッグスパイクは、上記穿刺ポートに穿刺される穿刺部と、輸液ラインが接続される輸液ポートと、上記穿刺部と上記輸液ポートとの間に設けられた調剤ポートとを備え、
上記スパイク側空間に、上記バッグスパイクの調剤ポートを収容する調剤ポート側空間と、上記シール手段が形成されるとともに上記輸液ポートを収容する輸液ポート側空間とに区画する区画部と、上記区画部に形成されて上記輸液ポートを通過させる挿通口とを設けたことを特徴とする収容袋。
【請求項3】
内部に薬液を収容するとともに穿刺ポートを備えた輸液バッグと、当該輸液バッグの穿刺ポートに接続されるバッグスパイクと、上記バッグスパイクの輸液ポートに接続される輸液ラインと、両端に開閉可能なシール手段を備えるとともに、内部空間が上記輸液バッグを収容するバッグ側空間と上記バッグスパイクを収容するスパイク側空間とに区画された収容袋とを備えた輸液システムにおいて、
上記バッグスパイクは、請求項1に記載された構成を有するとともに、上記収容袋は請求項2に記載された構成を有しており、
上記バッグスパイクを接続した輸液バッグを上記収容袋に収容すると、上記輸液バッグが上記バッグ側空間に位置し、上記バッグスパイクが上記スパイク側空間に位置し、
さらに上記脱落防止フランジが上記調剤ポート側空間から上記区画部に当接することで、上記バッグスパイクの調剤ポートが上記調剤ポート側空間に位置し、上記輸液ポートが上記区画部の挿通口を通過して輸液ポート側空間に位置するようにしたことを特徴とする輸液システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバッグスパイクおよびケモカバーならびにこれらを備えた輸液システムに関し、詳しくは輸液バッグの穿刺ポートに接続されるバックスパイクと、上記輸液バッグを収容する収容袋と、これらを備えた輸液システムとに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、輸液バッグに収容した薬液を患者に輸液して治療を行う方法が知られ、例えば上記輸液バッグに設けた穿刺ポートにバッグスパイクを装着し、当該バッグスパイクに輸液ラインを接続して患者に輸液する方法が知られている。
このような輸液による治療を行う際には、最初に病院の調剤室であらかじめ生理食塩水を収容した輸液バッグに薬液の原液を追加して薬液を調剤し、その後上記輸液バッグを患者のいる病室まで運んでから、輸液バッグに輸液ラインを装着して、患者に輸液を行うことが行われている。
ここで、上記薬液には抗がん剤などの正常細胞にも作用し得る効果の強い薬液があることから、患者や医療従事者がこのような薬液に暴露してしまわないようにする必要がある。
そこで、調剤室において薬液を調剤したら輸液バッグを収容袋に収容し、収容袋に収容した状態で輸液バッグを調剤室から病室へと運搬し、病室でも輸液バッグを収容袋に収容したまま患者への輸液を行うことが行われている(特許文献1)。
上記特許文献1に記載された収容袋は、内部空間が上記輸液バッグを収容するバッグ側空間と、上記バッグスパイクが収容されるスパイク側空間とに区画されており、病室においてバッグスパイクの輸液ポートに輸液ラインを接続する際に、輸液バッグに付着した薬液が患者や医療従事者に暴露しないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/099195号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された輸液システムにおいても、いまだに薬液の暴露の恐れが残っている。
まず調剤室において調剤を行う際、輸液バッグにシリンジ等を接続して薬液の供給を行うが、上記輸液バッグの穿刺ポートまたはバッグスパイクの輸液ポートにシリンジを接続する場合、薬液の供給後にシリンジを離脱させると、接続していた部分から微量の薬液が漏れ出てしまうおそれがあり、調剤を行う医療従事者に薬液が暴露してしまう恐れがあった。
したがって、この輸液バッグを収容袋に収容した状態で病室に搬送しても、上述したように上記穿刺ポートや輸液ポートから漏れ出た薬液が医療従事者や患者に暴露してしまうという恐れがあった。
このような問題に鑑み、本発明は調剤室および病室における医療従事者や患者への薬液の暴露を可及的に防止する輸液システムを提供するとともに、当該輸液システムに好適なバッグスパイクおよび収容袋を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち請求項1の発明にかかるバッグスパイクは、輸液バッグの穿刺ポートに穿刺される穿刺部と、輸液ラインが接続される輸液ポートとを備え、内部に上記穿刺部と輸液ポートとを連通させる輸液用流路が形成されたバッグスパイクにおいて、
上記穿刺部と輸液ポートとの間に、薬液を輸液バッグに供給するための調剤ポートを設けるとともに、上記穿刺部と調剤ポートとを連通させる調剤用流路を上記輸液用流路とは独立して形成し、
さらに上記輸液ポートと上記調剤ポートとの間に、収容袋からの脱落防止フランジを設けたことを特徴としている。
また請求項2の発明にかかる収容袋は、両端に開閉可能なシール手段を備えた袋状を有し、内部空間が輸液バッグを収容するバッグ側空間と、上記輸液バッグの穿刺ポートに接続されたバッグスパイクを収容するスパイク側空間とに区画された収容袋において、
上記バッグスパイクは、上記穿刺ポートに穿刺される穿刺部と、輸液ラインが接続される輸液ポートと、上記穿刺部と上記輸液ポートとの間に設けられた調剤ポートとを備え、
上記スパイク側空間に、上記バッグスパイクの調剤ポートを収容する調剤ポート側空間と、上記シール手段が形成されるとともに上記輸液ポートを収容する輸液ポート側空間とに区画する区画部と、上記区画部に形成されて上記輸液ポートを通過させる挿通口とを設けたことを特徴としている。
さらに請求項3の発明にかかる輸液システムは、内部に薬液を収容するとともに穿刺ポートを備えた輸液バッグと、当該輸液バッグの穿刺ポートに接続されるバッグスパイクと、上記バッグスパイクの輸液ポートに接続される輸液ラインと、両端に開閉可能なシール手段を備えるとともに、内部空間が上記輸液バッグを収容するバッグ側空間と上記バッグスパイクを収容するスパイク側空間とに区画された収容袋とを備えた輸液システムにおいて、
上記バッグスパイクは、請求項1に記載された構成を有するとともに、上記収容袋は請求項2に記載された構成を有しており、
上記バッグスパイクを接続した輸液バッグを上記収容袋に収容すると、上記輸液バッグが上記バッグ側空間に位置し、上記バッグスパイクが上記スパイク側空間に位置し、
さらに上記脱落防止フランジが上記調剤ポート側空間から上記区画部に当接することで、上記バッグスパイクの調剤ポートが上記調剤ポート側空間に位置し、上記輸液ポートが上記区画部の挿通口を通過して輸液ポート側空間に位置するようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
上記請求項1の発明にかかるバッグスパイクによれば、輸液ラインを接続する輸液ポートに追加して、調剤時に用いる調剤ポートを備えていることから、調剤時に薬液が調剤ポートに付着しても、病室において輸液ポートに輸液ラインを装着する際の薬液の暴露を防止することができる。
さらに、輸液ポートと調剤ポートとの間に脱落防止フランジを設けたことで、輸液ラインに接続した輸液ラインが引っ張られても、当該脱落防止フランジが収容袋の区画部に当接することで、バッグフランジが輸液バッグから脱落しないようにすることができる。
さらには、上記脱落防止フランジが収容袋の区画部に当接することで、調剤ポートを収容袋の内部に位置させることができ、仮に調剤室で調剤ポートに薬液が付着しても、病室で使用する際の暴露を防止することができる。
次に、上記請求項2の発明にかかる収容袋によれば、病室で輸液ポートに輸液ラインを接続する際には、上記調剤ポートは輸液ポート側空間から区画された調剤ポート側空間に位置させることができ、調剤時に調剤ポートに付着してしまった薬液が輸液ポート側空間に暴露しないことから、病室で輸液ポートに操作を行う際の薬液の暴露を防止することができる。
そして上記請求項3の発明にかかる輸液システムによれば、上記バッグスパイクが装着された輸液バッグを上記収容袋に収容すると、上記バッグスパイクの調剤ポートが上記調剤ポート側空間に位置するため、上述したように病室で輸液ポートに輸液ラインを接続する際には、調剤時に調剤ポートに付着してしまった薬液が輸液ポート側空間に移動しないようにすることができる。
また、バッグスパイクの脱落防止フランジが上記調剤ポート側空間から上記区画部に当接するため、挿通口が閉鎖されて調剤ポート側空間から輸液ポート側空間への薬液の暴露を防止することができる。
さらに、輸液ラインがバッグスパイクごと引っ張られても、バッグスパイクが輸液バッグから脱落しないようにすることができ、仮に脱落してしまった場合であっても、薬液は上記収容袋の調剤ポート側空間の内部で飛散することから、外部への薬液の暴露を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施例にかかる輸液システムの構成図
図2】バッグスパイクの構成図
図3】バッグスパイクの断面図
図4】輸液システムの使用方法を説明する図
図5】調剤室における使用方法を説明する図
図6】病室における使用方法を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図示実施例について説明すると、図1は本発明にかかる輸液システム1の構成図を示し、より具体的には輸液バッグ2に収容した薬液を患者に輸液するために使用する輸液システム1を示している。
上記輸液システム1は、内部に薬液が収容された輸液バッグ2と、輸液バッグ2に設けられた穿刺ポート3に接続されるバッグスパイク4と、調剤時にバッグスパイク4に接続される調剤用コネクタ5と、上記輸液時にバッグスパイク4に接続される輸液ライン6と、上記輸液バッグ2およびバッグスパイク4を収容する収容袋7とから構成されている。
ここで、本実施例の輸液システム1では、薬液を患者に輸液する際には図1の図示上方が鉛直上方に位置するよう、病室に備えられたバッグスタンドのフック8に吊り下げるようになっており、以下の説明においてはこの図1の上下方向を用いて各部材の位置関係を説明する。
【0009】
上記輸液バッグ2としては、樹脂製の硬質な輸液バックのほか、軟質な材料からなる輸液ボトルを含むものとし、上記穿刺ポート3を備えたものであれば、既存の一般的な市販のものを使用することが可能である。
上記輸液バッグ2は、例えば2枚の樹脂製のシートを重合させ、その外周縁をヒートシール等の手段によって密着させて袋状に形成したものとなっており、その下端部には上記穿刺ポート3が2枚のシートの間に挟持された状態で設けられている。
上記穿刺ポート3は、樹脂製の筒状部材の下端部に弾性を有する樹脂によって構成された被穿刺部を備えており、従来公知の構成を有したものとなっている。
本実施例では、上記輸液バッグ2には予め生理食塩水が収容されており、薬液を調剤する際には、当該輸液バッグ2の生理食塩水に濃縮された薬液の原液を供給して、輸液バッグ2の内部で薬液の原液を生理食塩水によって希釈することにより調剤するようになっている。
【0010】
図2図3は上記バッグスパイク4の拡大図と断面図とを示しており、図2は上記調剤用コネクタ5および輸液ライン6が接続されている状態を、図3はこれらが接続されていない状態の断面図を示している。
バッグスパイク4は、筒状を有する本体部11と、当該本体部11の一端に設けられて輸液バッグ2の穿刺ポート3に穿刺される穿刺部12と、上記本体部11の他端に設けられて輸液ライン6が接続される輸液ポート13と、上記本体部11の側部に設けられて薬液を輸液バッグ2に供給するための調剤ポート14とを備えている。
上記そしてバッグスパイク4の内部には、上記穿刺部12の先端部から上記輸液ポート13にかけて輸液用流路4aが形成され、上記穿刺部12の先端部から上記調剤ポート14にかけて調剤用流路4bとが形成されている。
【0011】
上記本体部11は直管状に形成され、両端に設けられた上記穿刺部12と上記輸液ポート13とが同一軸線上に位置するようになっている。このような構成により、上記輸液用流路4aが直線状に形成されることとなり、輸液バッグ2から患者に輸液を行う際、輸液バッグ2の薬液が輸液ポート13に向けて真下に流通するようになっている。
これに対し、上記調剤ポート14は上記本体部11の側面から軸方向に直交する方向に突出して設けられ、上記調剤用流路4bはバッグスパイク4の内部で直角に折れ曲がった流路を形成するようになっている。
ここで上記輸液用流路4aおよび調剤用流路4bは相互に連通しないように独立して形成され、バッグスパイク4の内部において調剤ポート14から供給された薬液が直接輸液用流路4aに流通しないような構成となっている。
【0012】
上記穿刺部12は上記輸液バッグ2の上記穿刺ポート3の被穿刺部を貫通するように先端部が円錐状に形成され、また当該穿刺部12の先端には上記輸液用流路4aおよび調剤用流路4bの端部が開口している。
輸液バッグ2にバッグスパイク4を接続する際、上記穿刺部12によって輸液ポート13の被穿刺部を穿刺すると、当該穿刺部12の先端部が輸液バッグ2の内部に露出し、これにより上記輸液用流路4aおよび調剤用流路4bが輸液バッグ2の内部空間に連通するようになっている。
また上記穿刺部12の基部にはフランジ状のストッパ15が設けられており、輸液バッグ2の上記穿刺ポート3にバッグスパイク4の穿刺部12を穿刺する際の指係りとなっている。
【0013】
上記輸液ポート13は、本体部11の端部に形成された収容凹部13aと、当該収容凹部13aに収容されるゴム製のキャップ13bと、上記収容凹部13aに収容されたキャップ13bを覆うカバー13cとによって構成されている。
上記キャップ13bは弾性変形可能な素材によって構成されるとともに、先端部にはスリットが形成された薄肉部が形成されている。また上記カバー13cの
外周には環状の係合突起13dが形成されている。
一方、上記輸液ポート13に接続される輸液ライン6は、樹脂製のチューブの端部に設けられたコネクタ6aと、当該コネクタ6aの外部に設けられて上記輸液ポート13の係合突起13dに係合する係合突起6bとを備え、上記コネクタ6aの内部には、上記輸液ポート13の上記キャップ13bの薄肉部を圧迫して変形させ、上記スリットを押し広げる図示しない樹脂製の管が設けられている。
このような構成により、病室で輸液ライン6をバッグスパイク4に装着する際には、上記輸液ライン6のコネクタ6aを輸液ポート13に装着すればよく、このとき上記管が上記キャップ13bの薄肉部を圧迫して変形させ、上記スリットを押し広げることにより、バッグスパイク4の輸液用流路4aと輸液ライン6とが連通するようになっている。
また、上記コネクタ6aを輸液ポート13に装着すると、上記コネクタ6aに設けた係合突起6bが上記カバー13cの係合突起13dに係合し、上記コネクタ6aがバッグスパイク4から離脱しないように係止されるようになっている。
本実施例の輸液ライン6の上記コネクタ6aには、上記係合突起6bと輸液ポート13の係合突起13dとの係合状態を解除する解除手段は設けられておらず、一度輸液ライン6をバッグスパイク4の輸液ポート13に接続すると、その後の取り外しが困難となるように構成されている。
【0014】
上記調剤ポート14は、上記本体部11の側面から当該本体部11の軸方向に対して直交する方向に設けられ、ゴム製のキャップ14bを収容する収容凹部14aと、上記キャップ14bを覆うカバー14cとによって構成されており、上記輸液ポート13と同様の構成を有している。
本実施例の調剤ポート14には、薬液を輸液バッグ2に供給するための器具、例えばシリンジを接続するようになっており、このシリンジから供給された原液は上記調剤ポート14に設けられた上記調剤用流路4bを流通して輸液バッグ2に流入するようになっている。
そして本実施例では、上記調剤ポート14と上記シリンジとを暴露防止機構を備えた上記調剤用コネクタ5によって接続するようになっており、当該調剤用コネクタ5はシリンジ等に装着される図示しないオスルアーと、調剤ポート14に接続されるメスルアーとから構成され、図2は調剤ポート14に上記メスルアーだけが接続された状態を示している。
上記調剤用コネクタ5には市販のものを使用することができ、上記シリンジと調剤ポート14とを上記調剤用コネクタ5によって接続し、上記シリンジから薬液を輸液バッグ2に供給し終わったら、上記調剤用コネクタ5を上記オスルアーとメスルアーとに分離する。
このとき、調剤用コネクタ5に備えられた暴露防止機構によって、分離したオスルアーおよびメスルアーの外部には薬液が露出しないようになっており、医療従事者等への暴露が可及的に防止されるようになっている。
これに対し、上記調剤ポート14から上記調剤用コネクタ5のメスルアーを離脱させてしまうと、接続部から外部に薬液が露出してしまう恐れがあるため、薬液の供給後は調剤ポート14に調剤用コネクタ5を接続したままにする必要がある。
【0015】
本実施例のバッグスパイク4には、上記本体部11における上記輸液ポート13と調剤ポート14との間に、上記本体部11の軸方向に対して直交する方向に形成された(略円盤状の)脱落防止フランジ16が設けられている。
この脱落防止フランジ16は、後述するように上記収容袋7に形成したスパイク側空間S2の調剤ポート側空間S2aと輸液ポート側空間S2bとを区画する第2区画部24に上方から当接するようになっている。
これにより、バッグスパイク4および当該バッグスパイク4の接続された輸液バッグ2が収容袋7から脱落しないように保持され、またバッグスパイク4が輸液バッグ2から脱落しないようにするものとなっている。
また、脱落防止フランジ16によって第2区画部24に形成された挿通口24aを調剤ポート側空間S2a側から塞ぐため、上記調剤ポート側空間S2aと輸液ポート側空間S2bとが区画されるようになっている。
なお、上記脱落防止フランジ16は、上記収容袋7の第2区画部24に形成した第2挿通口24aよりも大径であればよく、円形であっても、収容袋7の幅方向に長軸を有した楕円形であってもよい。
【0016】
次に上記収容袋7について説明すると、上記収容袋7は透明な樹脂からなる袋状の部材となっており、図1において収容袋7の上端および下端にはそれぞれ開閉可能に構成されたシール手段21、22が設けられ、また収容袋7の内部空間は輸液バッグ2を収容するバッグ側空間S1と、上記輸液バッグ2に装着されたバッグスパイク4を収容するスパイク側空間S2とに区画されている。
上記収容袋7は2枚の樹脂製のシートを重ね合わせ、その外周部分をヒートシールなどの手段によって密着させたものとなっており、図1ではハッチングで示した部分がヒートシールによる密着部分を示している。
また本実施例の収容袋7は、上記スパイク側空間S2の形成された部分の幅を、バッグ側空間S1が形成された部分の幅よりも幅狭に設定しており、収容袋7を病室で使用する際、医療従事者がバッグスパイク4を操作する際、上記スパイク側空間S2の外側から握って操作を行うことから、操作性を向上させるものとなっている。
【0017】
上記収容袋7の上端および下端に設けたシール手段21、22には従来公知の構成を採用することができ、例えば一方のシートに形成した突条部と、他方のシートに形成した凹条部とによって構成したファスナー構造を採用することができ、そのほかにも面ファスナーなどの内部空間を密閉可能な構造を採用することが可能である。
そして本実施例の収容袋7のバッグ側空間S1を開閉するシール手段21の上方には、病室において収容袋7をバッグスタンドのフック8に吊り下げるための吊り下げ孔7aが設けられている。
吊り下げ孔7aをシール手段21の上方に穿設したことにより、シール手段21によって上記バッグ側空間S1の密閉状態を維持したまま収容袋7を吊り下げることが可能となっている。
【0018】
上記収容袋7の内部空間には上記バッグ側空間S1とスパイク側空間S2とが形成され、これらの間には上記2枚のシートをヒートシールなどの手段によって部分的に密着させた第1区画部23が形成されている。
上記第1区画部23には上記輸液バッグ2に接続した上記バッグスパイク4の通過を許容する第1挿通口23aが形成され、また第1挿通口23aの幅は上記輸液バッグ2の幅よりも狭く、かつ上記輸液バッグ2に接続したバッグスパイク4および、上記調剤ポート14に接続した調剤用コネクタ5を通過させる程度の大きさに設定されている。
このような構成により、調剤が済んだ輸液バッグ2を収容袋7に収容する際、上記バッグスパイク4および上記調剤用コネクタ5については上記第1挿通口23aを通過させてスパイク側空間S2に収容することができる。
また病室での輸液時に上記収容袋7をバッグスタンドのフック8に吊り下げる際には、バッグ側空間S1に収容された輸液バッグ2が重力によって下方に移動するか、輸液バッグ2が上記第1区画部23に上方から当接するため、輸液バッグ2は上記第1挿通口23aを通過できず、輸液バッグ2をフックによって吊り下げなくても、輸液バッグ2とバッグスパイク4との折れ曲がりが防止されるようになっている。
【0019】
次に、本実施例の収容袋7における上記スパイク側空間S2は、上記バッグスパイク4の調剤ポート14を収容する調剤ポート側空間S2aと、上記シール手段22が形成されるとともに上記輸液ポート13を収容する輸液ポート側空間S2bとに区画されている。
これら調剤ポート側空間S2aと輸液ポート側空間S2bとの間には、上記2枚のシートをヒートシールなどの手段によって部分的に密着させた第2区画部24形成され、当該第2区画部24には上記バッグスパイク4の輸液ポート13の通過を許容する第2挿通口24aが形成されている。
上記第2挿通口24aは上記バッグスパイク4の上記輸液ポート13が通過できる程度の大きさに設定され、かつ上記脱落防止フランジ16は通過できないような大きさに設定されている。
また上記輸液ポート側空間S2bの上下方向の長さは、上記バッグスパイク4に設けた脱落防止フランジ16から上記輸液ポート13の下方部までの距離に応じて設定すればよい。
つまり、上記第2挿通口24aを通過して輸液ポート側空間S2bに突出した輸液ポート13の下方で上記シール手段22を閉鎖できる程度の寸法が設定されていればよい。
【0020】
図4は上記輸液システム1の使用方法の一例を示し、病室において患者に輸液を行う際の状態を示している。
ここでは、生理食塩水や制吐剤を収容した主の輸液バッグ31に対し、収容袋7に収容した輸液バッグ2から薬液を追加して輸液するものとなっている。
上記主の輸液バッグ31および収容袋7は例えば一つのバッグスタンドに吊り下げることが可能となっており、また上記輸液ライン6は、上記主の輸液バッグ31に接続される主ライン6Aと、上記主ライン6Aから従来公知の分岐手段を介して上記収容袋7に収容された輸液バッグ2に接続される複数の副ライン6Bとを備えている。
なお、上記主ライン6Aおよび副ライン6Bには、図示しないがそれぞれ従来公知のドリップチャンバや送液量を調整するクランプなどが設けられている。
【0021】
この図4に示すように、上記主の輸液バッグ31には強い作用を有する薬液が収容されていないため、露出した状態でバッグスタンドに吊り下げることが可能であるのに対し、強い作用を有する薬液を収容した輸液バッグ2は上述した収容袋7に収容した状態でバッグスタンドに吊り下げるようになっている。
また本実施例では、患者に投与する薬液の数に合わせて、上記主ライン6Aから副ライン6Bを分岐させており、各副ライン6Bに薬液を収容した輸液バッグ2を接続するようになっている。
これにより、複数の薬液を患者に輸液する際に、輸液バッグ2と輸液ライン6とのつなぎ替え作業が不要となり、医療従事者への薬液の暴露の危険性を低減することができる。
つまり、病室において一つの輸液ライン6を複数の輸液バッグ2に接続して輸液を行うと、輸液ライン6の繋ぎ変えの際にバッグスパイク4の輸液ポート13と輸液ライン6のコネクタ6aとの接続部で薬液が漏れ出す恐れがあった。
ここで本実施例では、上記バッグスパイク4の輸液ポート13と輸液ライン6のコネクタ6aとを係合突起6b、13dによって係合させることで、輸液ライン6の脱落を防止しているが、当該構成は輸液ライン6のつなぎ替えを防止するという観点においても効果を奏するものとなっている。
なお、図4に示すように一つの主の輸液バッグ31に対して複数の輸液バッグ2から薬液を追加するのに対し、輸液ライン6を主ライン6Aのみで構成して、収容袋7に収容した輸液バッグ2から直接患者に薬液を輸液するようにしてもよい。
【0022】
以下、図5図6を用いて上記構成を有する輸液システム1の使用方法について説明する。図5は病院の調剤室における使用方法を説明する図となっている。
図5図6において、上記収容袋7の上下に設けたシール手段21、22については、ハッチングを付した状態を閉鎖状態として表し、ハッチングが付されていない状態を開放状態として表すものとする。
まず図5(a)は薬液の調剤を行っている状態を示しており、医療従事者は、生理食塩水等が予め収容された輸液バッグ2と、上記バッグスパイク4と、薬液を収容した図示しないシリンジと、上記バッグスパイク4とシリンジとを接続する調剤用コネクタ5とを準備する。
医療従事者は、上記バッグスパイク4を輸液バッグ2の穿刺ポート3に穿刺し、さらにバッグスパイク4の調剤ポート14に上記調剤用コネクタ5を介して上記シリンジを接続する。
この状態で医療従事者はシリンジを操作し、これによりシリンジ内の薬液が上記調剤用コネクタ5を介してバッグスパイク4の調剤ポート14に流入し、上記調剤用流路4bを流通して上記輸液バッグ2内に供給される。
薬液の供給が終了すると、医療従事者は上記シリンジをバッグスパイク4から離脱させる。このとき、上記調剤用コネクタ5のオスルアーとメスルアーとを分離させ、メスルアーは上記バッグスパイク4の調剤ポート14に接続したままとする(図5(a)の状態)。
ここで、上記調剤用コネクタ5は暴露防止対策が施されているため、オスルアーとメスルアーとに分離しても、メスルアーの外部に薬液が極力漏れ出ないようになっており、調剤室で作業する医療従事者への薬液の暴露が防止されている。
【0023】
図5(b)は、上記薬液を収容した輸液バッグ2を上記収容袋7に収容する作業を示している。
医療従事者は、上記収容袋7におけるバッグ側空間S1のシール手段21を開放し、輸液バッグ2を収容袋7のバッグ側空間S1側から収容する。
このとき上記バッグスパイク4を輸液バッグ2に装着したままとし、またバッグスパイク4を上記スパイク側空間S2に向けた状態で収容袋7に挿入する。
ここで上記スパイク側空間S2のシール手段22は閉鎖された状態となっている。
【0024】
そして図5(c)は、上記薬液を収容した輸液バッグ2が上記収容袋7に収容された状態を示している。
医療従事者は、輸液バッグ2上記収容袋7に収容しながら、上記バッグスパイク4を上記バッグ側空間S1とスパイク側空間S2との間に形成した第1区画部23の第1挿通口23aを通過させ、バッグスパイク4をスパイク側空間S2に収容する。
さらに、上記バッグスパイク4の輸液ポート13を、上記調剤ポート側空間S2aと輸液ポート側空間S2bとの間に形成した第2区画部24の第2挿通口24aを通過させ、輸液ポート13を輸液ポート側空間S2bに露出させる。
このようにして輸液バッグ2を収容袋7に収容すると、医療従事者はバッグ側空間S1のシール手段21を閉鎖し、これにより輸液バッグ2は収容袋7の内部に密閉される。
【0025】
次に、図6は病室における輸液システム1の使用方法を説明する図となっている。
図6(a)は、上記図5(c)と同じ、輸液バッグ2が収容袋7に収容された状態を示しており、調剤室から病室へと輸液バッグ2ごと収容袋7を搬送している状態を示している。
ここでも、輸液バッグ2は収容袋7の内部に密閉されていることから、調剤室から病室への搬送中における薬液の暴露が防止されるようになっている。
【0026】
図6(b)は、輸液システム1を用いて輸液バッグ2の薬液を患者に輸液している状態を示している。
まず、医療従事者は上記収容袋7の上部に設けた吊り下げ孔7aを用いて、収容袋7を病室に設けられたバッグスタンドのフック8に吊り下げる。この時、吊り下げ孔7aはシール手段21の上方に設けられていることから、収容袋7の密閉状態は維持されるようになっている。
収容袋7を吊り下げると、収容袋7の内部では輸液バッグ2が自重によって下方に移動しようとするが、上記収容袋7の内部に形成した第1区画部23には輸液バッグ2よりも幅の狭い第1挿通口23aが形成されているため、輸液バッグ2はこの第1挿通口23aを通過することができず。上記第1区画部23によってバッグ側空間S1からの落下が阻止される。
一方、スパイク側空間S2では、上記バッグスパイク4に設けた脱落防止フランジ16が上記調剤ポート側空間S2a側から第2区画部24に上方から当接し、これにより調剤ポート14は調剤ポート側空間S2aに留まり、輸液ポート13だけが第2区画部24の第2挿通口24aを通過して輸液ポート側空間S2bに露出する。
このようにバッグスパイク4に設けた脱落防止フランジ16が上記第2区画部24に対して上方から当接することで、上記第2区画部24の挿通口24aが脱落防止フランジ16によって閉鎖されるため、調剤ポート側空間S2aと輸液ポート側空間S2bとが区画され、輸液ポート側空間S2bへの薬液の暴露が防止されている。
【0027】
この状態となったら、医療従事者は収容袋7の下側のシール手段22を開放状態とし、バッグスパイク4の輸液ポート13に輸液ライン6のコネクタ6aを接続する。
この時、輸液ポート13に接続される輸液ライン6としては、図4に示すような副ライン6Bであってもよく、直接患者に輸液を行う場合には単独の輸液ライン6であってもよい。
輸液ポート13に輸液ライン6を接続する際、上記調剤ポート14は輸液ポート側空間S2bに露出しておらず、上記第2区画部24によって区画された調剤ポート側空間S2aに収容された状態を維持している。
このため、仮に調剤室での調剤時や搬送時に調剤ポート14から薬液が漏れ出たとしても、当該薬液が輸液ポート側空間S2bに流出しないようになっており、医療従事者への薬液の暴露を防止することができる。
【0028】
また患者への輸液中、何らかの理由によって輸液ライン6が引っ張られた場合であっても、輸液ライン6のコネクタ6aに設けた係合突起6bがバッグスパイク4の輸液ポート13の係合突起13dに係合しているため、輸液ライン6は輸液ポート13から脱落しないようになっている。
一方、輸液ライン6とともにバッグスパイク4も引っ張られるが、バッグスパイク4に設けた脱落防止フランジ16が上記第2区画部24に対して上方から当接しているため、バッグスパイク4が輸液バッグ2から脱落することはない。
このように、本実施例の輸液システム1によれば、輸液ライン6が引っ張られることによる輸液ライン6の脱落やバッグスパイク4の脱落が防止され、輸液バッグ2内の薬液の漏れ出しを防止して、医療従事者や患者への薬液の暴露を防止することができる。
【0029】
そして図6(c)は、患者への輸液が終了した後に、輸液システム1を廃棄処理する際の作業を示している。
患者への輸液が終了すると、医療従事者は患者から輸液ライン6を取り外し、取り外した輸液ライン6の全体を、上記輸液バッグ2を収容した収容袋7ごと廃棄用の袋に回収し、さらに当該排気用の袋を密閉する。その後は医療廃棄物として廃棄することができる。
なお、上記収容袋7における輸液ポート側空間S2bを十分に大きく形成すれば、当該輸液ポート側空間S2bに使用済みの輸液ライン6を収容して、上記シール手段22によりこれを密閉することができる。
【0030】
上記実施例による輸液システム1によれば、上述したように調剤時、搬送時、そして輸液時における医療従事者や患者への薬液の暴露を可及的に防止することができるものとなっている。
まず本実施例のバッグスパイク4は、穿刺部12と輸液ポート13との間に、薬液を輸液バッグ2に供給するための調剤ポート14を備えるとともに、上記穿刺部12と調剤ポート14とを連通させる調剤用流路4bを、上記輸液用流路4aとは独立して形成したことを特徴としている。
上記特徴によれば、輸液バッグ2にバッグスパイク4を装着した後、調剤室では調剤ポート14を使用して薬液を輸液バッグ2に供給し、病室では輸液ポート13を使用して患者への輸液をすることができる。
つまり、調剤や輸液のために、上記バッグスパイク4へのシリンジや輸液ライン6のつなぎ替えが不要となり、つなぎ替えの際に調剤ポートから薬液が漏れ出てしまうのを防止することができる。
また上記特許文献1のように、バッグスパイク4に一つしか調剤ポートが設けられていない場合、調剤室で上述したような調剤用コネクタ5を用いて薬液を輸液バッグ2に供給すれば、調剤室での薬液の暴露は防止される。
しかしながら、当該ポートには調剤用コネクタ5のメスルアーを接続したままにしなければならいため、患者に輸液を行う輸液ライン6には、当該調剤用コネクタ5のオスルアーを装着しなければならなくなる。
この調剤用コネクタ5は構造が複雑であるため高額であり、また病室で輸液ライン6を操作する医療従事者も特殊な操作を習得しなければならないため、操作ミスによる薬液の暴露の恐れがあった。
これに対し、本実施例のバッグスパイク4を用いれば、調剤室では調剤用コネクタ5を調剤ポート14に接続することができ、より危険性の高い薬液を安全に取り扱うことができる。
一方患者に輸液を行う病室では、調剤時に使用していない輸液ポート13に輸液ライン6を接続すればよいため、安価で操作性の良好なコネクタ6aを使用しつつ、薬液を安全に取り扱うことが可能となっている。
【0031】
また本実施例のバッグスパイク4は、輸液ポート13と調剤ポート14との間に脱落防止フランジ16を設けたことを特徴としている。
上記特徴によれば、輸液ライン6に接続した輸液ライン6が引っ張られても、当該脱落防止フランジ16が収容袋7の第2区画部23に当接するため、バッグスパイク4が輸液バッグ2から脱落しないようにし、脱落による薬液の漏れを防止することができる。
また上記脱落防止フランジ16が第2区画部23に当接することで、調剤ポート14は収容袋7の内部に形成された調剤ポート側空間S2aに収容された状態となるため、仮に調剤時に調剤ポート14に薬液が付着しても、病室で使用する際に医療従事者や患者に暴露しないようにすることができる。
さらに、上記脱落防止フランジ16は第2区画部24の挿通口24aを閉鎖するため、調剤ポート側空間S2aと輸液ポート側空間S2bとが区画され、輸液ポート側空間S2bへの薬液の暴露を防止するようになっている。
【0032】
次に、本実施例の収容袋7は、内部に形成されたスパイク側空間S2を、上記バッグスパイク4の調剤ポート14を収容する調剤ポート側空間S2aと、上記シール手段22が形成されるとともに上記輸液ポート13を収容する輸液ポート側空間S2bとに区画したことを特徴としている。
上記特徴によれば、病室で輸液ポート13に輸液ライン6を接続する際には、上記調剤ポート14を輸液ポート側空間S2bから区画された調剤ポート側空間S2aに位置させることができ、仮に調剤時に調剤ポート14に薬液が付着しても、病室で使用する際に医療従事者や患者に暴露しないようにすることができる。
【0033】
そして本実施例の輸液システム1によれば、上記バッグスパイク4および収容袋7を備えることにより、上記バッグスパイク4が装着された輸液バッグ2を上記収容袋7の上記バッグ側空間S1に収容し、当該輸液バッグ2に装着されたバッグスパイク4を上記スパイク側空間S2に収容すれば、上記バッグスパイク4の調剤ポート14が上記調剤ポート側空間S2aに位置するとともに、上記輸液ポート13が上記第2区画部24の第2挿通口24aを通過して輸液ポート側空間S2bに位置し、さらに上記脱落防止フランジ16が上記調剤ポート側空間S2aから上記第2区画部24に当接するようになっている。
上記特徴によれば、上記バッグスパイク4が装着された輸液バッグ2を上記収容袋7に収容することで、上記バッグスパイク4の調剤ポート14を上記調剤ポート側空間S2aに位置させることができ、仮に調剤時に調剤ポート14に薬液が付着しても、病室で使用する際に医療従事者や患者に暴露しないようにすることができる。
また、バッグスパイク4の脱落防止フランジ16が上記調剤ポート側空間S2aから上記区画部に当接するため、輸液ライン6がバッグスパイク4ごと引っ張られても、バッグスパイク4が輸液バッグ2から脱落しないようにすることができ、輸液中における薬液の暴露事故を防止することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 輸液システム 2 輸液バッグ
3 穿刺ポート 4 バッグスパイク
4a 輸液用流路 4b 調剤用流路
5 調剤用コネクタ 6 輸液ライン
6a コネクタ 7 収容袋
12 穿刺部 13 輸液ポート
14 調剤ポート 16 脱落防止フランジ
24 第2区画部(区画部) 24a 第2挿通口
S1 バッグ側空間 S2 スパイク側空間
S2a 調剤ポート側空間 S2b 輸液ポート側空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6