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  • 特開-ユニットの取り付け構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120732
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】ユニットの取り付け構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20230823BHJP
【FI】
B60R16/02 610J
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023744
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】又井 直紀
(57)【要約】
【課題】ユニットの取り付け用ブラケットとフレーム部材を適切に固定する。
【解決手段】ブラケット30は、ユニット20を支持して前クロスメンバ11に取り付けるための前ブラケット32を備える。前ブラケット32は、ベース部41の一端側から曲げられ、ユニット20の側面21に締結部材61によって固定されている第1固定部43と、ベース部41の他端側から締結部材62が露出するように曲げられ、前クロスメンバ11に締結部材63のボルト及びナットに挟まれて固定されている第2固定部45を有する。第2固定部45には、締結部材63のボルトが挿通する挿通孔47が形成されており、挿通孔47は、ベース部41と第2固定部65のコーナ部42まで延びている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体のフレーム部材と、
ユニットを支持して前記フレーム部材に取り付けるためのブラケットと、
を備え、
前記ブラケットは、
ベース部の一端側から曲げられ、前記ユニットの側面に第1締結部材によって固定されている第1固定部と、
前記ベース部の他端側から前記第1締結部材が露出するように曲げられ、前記フレーム部材に第2締結部材のボルト及びナットに挟まれて固定されている第2固定部と、を有し、
前記第2固定部には、前記第2締結部材の前記ボルトが挿通する挿通孔が形成されており、
前記挿通孔は、前記ベース部と前記第2固定部のコーナ部まで延びている、
ユニットの取り付け構造。
【請求項2】
前記第2固定部は、前記ボルト及び六角ナットに挟まれて前記フレーム部材と固定されており、
前記六角ナットの一の頂点が、前記挿通孔から露出している、
請求項1に記載のユニットの取り付け構造。
【請求項3】
前記六角ナットの一の頂点は、上下方向において前記ベース部の他端側の上面よりも下方に位置している、
請求項2に記載のユニットの取り付け構造。
【請求項4】
前記ボルトと螺合しているナットは、前記第2固定部の内側の面に予め溶接されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載のユニットの取り付け構造。
【請求項5】
前記第2固定部は、前記コーナ部がコ字形状の前記フレーム部材のコーナ部に重なるように固定されている、
請求項1から4のいずれか1項に記載のユニットの取り付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体フレームにユニットを取り付ける取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
トラック等のフレーム構造の車両においては、各種のユニットがブラケットによって車体フレームに取り付けられている。例えば、車体の一対のクロスメンバ(以下、フレーム部材とも呼ぶ)に、ユニットを支持するブラケットが締結部材であるボルト及びナットで固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-54212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユニットもブラケットに締結部材によって固定されており、当該締結部材との干渉を回避するために、ブラケットをフレーム部材に固定するボルト及びナットの位置に制約が発生し、この結果、ブラケットをフレーム部材に適切に固定できないおそれがある。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ユニットの取り付け用ブラケットとフレーム部材を適切に固定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様においては、車体のフレーム部材と、ユニットを支持して前記フレーム部材に取り付けるためのブラケットと、を備え、前記ブラケットは、ベース部の一端側から曲げられ、前記ユニットの側面に第1締結部材によって固定されている第1固定部と、前記ベース部の他端側から前記第1締結部材が露出するように曲げられ、前記フレーム部材に第2締結部材のボルト及びナットに挟まれて固定されている第2固定部と、を有し、前記第2固定部には、前記第2締結部材の前記ボルトが挿通する挿通孔が形成されており、前記挿通孔は、前記ベース部と前記第2固定部のコーナ部まで延びている、ユニットの取り付け構造を提供する。
【0007】
また、前記第2固定部は、前記ボルト及び六角ナットに挟まれて前記フレーム部材と固定されており、前記六角ナットの一の頂点が、前記挿通孔から露出していることとしてもよい。
【0008】
また、前記六角ナットの一の頂点は、上下方向において前記ベース部の他端側の上面よりも下方に位置していることとしてもよい。
【0009】
また、前記ボルトと螺合しているナットは、前記第2固定部の内側の面に予め溶接されていることとしてもよい。
【0010】
また、前記第2固定部は、前記コーナ部がコ字形状の前記フレーム部材のコーナ部に重なるように固定されていることとしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ユニットの取り付け用ブラケットとフレーム部材を適切に固定できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一の実施形態に係る車両のユニットの取り付け構造の概要を説明するための模式図である。
図2】前ブラケット32とユニット20の関係を説明するための模式図である。
図3】前ブラケット32の第2固定部45の構成を説明するための模式図である。
図4図3のB-B断面図である。
図5】前ブラケット32と前クロスメンバ11の固定作業の流れを説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<ユニットの取り付け構造の概要>
一の実施形態に係る車両のユニットの取り付け構造について、図1を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、一の実施形態に係る車両のユニットの取り付け構造の概要を説明するための模式図である。
車両は、例えばフレーム構造のトラックである。車両は、車体フレームとして、車両の前後方向に沿って配置された一対のサイドフレーム(不図示)と、車両の車幅方向に沿って配置され一対のサイドフレームに連結されている前クロスメンバ11及び後クロスメンバ12とを有する。前クロスメンバ11は、前後方向の前側に位置するフレーム部材であり、後クロスメンバ12は、前後方向の後側に位置するフレーム部材である。前クロスメンバ11及び後クロスメンバ12は、コ字形状に形成されている。
【0015】
ユニット20は、一例として車両のエンジンの動作を制御する制御ユニットであるが、これに限定されず、車体フレームに取り付けられる他のユニットであってもよい。ユニット20は、前後方向において前クロスメンバ11と後クロスメンバ12の間に位置しており、ブラケット30を介して前クロスメンバ11及び後クロスメンバ12に取り付けられている。
【0016】
ブラケット30は、前クロスメンバ11と後クロスメンバ12の間に位置し、ユニット20を支持している。ユニット20は、ブラケット30に固定されている。また、ブラケット30は、前クロスメンバ11及び後クロスメンバ12に固定されていることで、ユニット20が前クロスメンバ11、後クロスメンバ12の間に取り付けられることになる。
【0017】
ブラケット30は、支持ブラケット31と、前ブラケット32と、後ブラケット33を有する。ここでは、支持ブラケット31、前ブラケット32及び後ブラケット33は、一体化した構造となっている。ブラケット30に対して、ユニット20を車幅方向に沿ってスライドしながら取り付ける。
【0018】
支持ブラケット31は、ユニット20の下側に配置しており、ユニット20を支持している。支持ブラケット31の前後方向前側の一端部は、前ブラケット32と溶接されており、支持ブラケット31の前後方向後側の他端部は、後ブラケット33と溶接されている。
【0019】
前ブラケット32は、ユニット20の側面21と複数の締結部材61によって固定されている(図2参照)。また、前ブラケット32は、前クロスメンバ11の内側面11aに締結部材62、63によって固定されている。
【0020】
後ブラケット33は、ユニット20の側面21とは反対側の側面22と複数の締結部材61によって固定されている。また、後ブラケット33は、後クロスメンバ12の上面12aに複数の締結部材64によって固定されている。
【0021】
ところで、締結部材61、62、63は、図1の矢印方向Aから締結される。このように同じ方向から締結されるため、締結時の障害とならないように、締結部材61に対して締結部材62、63の位置が調整されている。
【0022】
図2は、前ブラケット32とユニット20の関係を説明するための模式図である。図2では、説明の便宜上、前クロスメンバ11及び後ブラケット33を省略している。締結部材62、63は、図2に示すように締結部材61から離した位置となっており、前ブラケット32は、上記の位置関係が可能な構成を採用している。
【0023】
<前ブラケットの詳細構成>
前ブラケット32の詳細構成について、図1図4を参照しながら説明する。
図3は、前ブラケット32の第2固定部45の構成を説明するための模式図である。図4は、図3のB-B断面図である。
【0024】
前ブラケット32は、図1及び図2に示すように、ベース部41と、第1固定部43と、第2固定部45を有する。
ベース部41は、支持ブラケット31と接合されている。ベース部41は、段差を有する形状となっている。
【0025】
第1固定部43は、図1に示すように、ベース部41の上平板部41aから直角に曲げられた部分であり、ユニット20の側面21に締結部材61によって固定されている。第1固定部43には、2つの締結部材61(図2参照)のボルトが挿通する挿通孔が形成されている。
【0026】
第2固定部45は、図1に示すように、ベース部41の下平板部41bから直角に曲げられた部分であり、第1固定部43よりも鉛直方向の下側に位置する。第2固定部45は、図2に示すように、締結部材61が露出するように設けられている。これにより、締結部材61を締結する際に、第2固定部45が障害となることを防止できる。また、第2固定部45は、前クロスメンバ11のコーナ部11b(図1)に重なるように固定されている。これにより、第2固定部45の高さ方向の長さを小さくできる。
【0027】
第2固定部45は、図1に示すように、前クロスメンバ11に締結部材62、63によって固定されている。具体的には、第2固定部45は、締結部材62のボルト62a及びナット62bと、締結部材63のボルト63a及びナット63bとによって、前クロスメンバ11に固定されている。締結部材62のボルト62aは、第2固定部45の内側の面45aに位置するナット62bと螺合している。同様に、締結部材63のボルト63aも、面45aに位置するナット63bと螺合している。
【0028】
ナット62b及びナット63bは、六角ナットである。また、ナット62b及びナット63bは、予め面45aに溶接されている(図3及び図4参照)。これにより、締結部材62、63の締結作業の作業性が向上する。ただし、これに限定されず、ナット62b及びナット63bは面45aに溶接されていなくてもよい。
【0029】
第2固定部45には、図3に示すように、挿通孔46と挿通孔47が形成されている。挿通孔46には、締結部材62のボルト62aが挿通し、挿通孔47には、締結部材63のボルト63aが挿通する。挿通孔47は、上下方向において挿通孔46よりも下方に位置する。
【0030】
本実施形態では、挿通孔46が丸孔になっているのに対して、挿通孔47が長孔になっている。また、挿通孔47は、図3及び図4に示すように、ベース部41と第2固定部45のコーナ部42まで延びている。具体的には、挿通孔47は、図4に示すように、ベース部41の下平板部41bの途中まで延びている。このため、ナット63bの一部(具体的には、六角ナットであるナット63bの一の頂点63c)が、図3に示すように、挿通孔47から露出している。また、露出しているナット63bの頂点63cは、図4に示すように、ベース部41の下平板部41bの上面41cよりも下側に位置している。すなわち、ナット63bの頂点63c側の一部が、挿通孔47に位置している。これにより、ナット63bをコーナ部42のより近くに配置させることができる。
【0031】
上記のように挿通孔47がコーナ部42まで延びていることで、締結部材63のナット63bがコーナ部42と干渉することを防止できる。すなわち、ナット63bがコーナ部42の近くに配置しても、ボルト63a及びナット63bによって前ブラケット32及び前クロスメンバ11を固定させることができる。
【0032】
以下では、ユニット20がブラケット30に締結部材61によって固定された後の、前ブラケット32と前クロスメンバ11の固定作業の流れについて、図5を参照しながら説明する。
【0033】
図5は、前ブラケット32と前クロスメンバ11の固定作業の流れを説明するための模式図である。ここでは、前ブラケット32に、図5(a)に示すように、ナット63bが溶接で予め固定されているものとする。次に、作業者は、図5(b)に示すように前ブラケット32が前クロスメンバ11のコーナ部11bに重なるように、ブラケット30の位置を調整する。次に、作業者は、図5(c)に示すように、前ブラケット32と前クロスメンバ11を挟んだ状態で締結部材63のボルト63aとナット63bを螺合させる。これにより、前ブラケット32が前クロスメンバ11に固定される。後ブラケット33も後クロスメンバ12に締結部材64によって固定させることで、ユニット20の取り付けが完了する。
【0034】
上記では、ナット63bが六角ナットであることとしたが、これに限定されない。例えば、ナット63bは、フランジ付きのナットであってもよい。この場合、挿通孔47を大きくすることで、ナット63bのフランジが接触することを防止できる。
【0035】
<本実施形態における効果>
上述した実施形態のブラケット30は、前クロスメンバ11に締結部材63のボルト63a及びナット63bによって固定されている第2固定部45を有する。第2固定部45には、ボルト63aが挿通する挿通孔47が形成されており、挿通孔47は、第2固定部45とベース部41のコーナ部42まで延びている。
これにより、締結部材63のナット63bを、締結部材61から離すためにコーナ部42の近くに配置させても、ナット63bの周面の一部が挿通孔47に位置するので、ナット63bがコーナ部42と干渉しない。この結果、締結部材61、63を同じ方向から締結する場合でも、前ブラケット32を前クロスメンバ11に適切に固定することができる。
【0036】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0037】
11 前クロスメンバ
20 ユニット
30 ブラケット
32 前ブラケット
41 ベース部
42 コーナ部
43 第1固定部
45 第2固定部
46 挿通孔
61 締結部材
63 締結部材
63a ボルト
63b ナット
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-07-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体のフレーム部材と、
ユニットを支持して前記フレーム部材に取り付けるためのブラケットと、
を備え、
前記ブラケットは、
ベース部の一端側から曲げられ、前記ユニットの側面に第1締結部材によって固定されている第1固定部と、
前記ベース部の他端側から前記第1締結部材が露出するように曲げられ、前記フレーム部材に第2締結部材のボルト及びナットに挟まれて固定されている第2固定部と、を有し、
前記第2固定部には、前記第1締結部材と同一方向に締結される前記第2締結部材の前記ボルトが挿通する挿通孔が形成されており、
前記挿通孔は、前記ベース部と前記第2固定部のコーナ部まで延びている、
ユニットの取り付け構造。
【請求項2】
前記第2固定部は、前記ボルト及び六角ナットに挟まれて前記フレーム部材と固定されており、
前記六角ナットの一の頂点が、前記挿通孔から露出している、
請求項1に記載のユニットの取り付け構造。
【請求項3】
前記六角ナットの一の頂点は、上下方向において前記ベース部の他端側の上面よりも下方に位置している、
請求項2に記載のユニットの取り付け構造。
【請求項4】
前記ボルトと螺合しているナットは、前記第2固定部の内側の面に予め溶接されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載のユニットの取り付け構造。
【請求項5】
前記第2固定部は、前記コーナ部がコ字形状の前記フレーム部材のコーナ部に重なるように固定されている、
請求項1から4のいずれか1項に記載のユニットの取り付け構造。