(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120733
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】ネットワーク管理装置、及びネットワーク管理方法
(51)【国際特許分類】
H04W 28/24 20090101AFI20230823BHJP
【FI】
H04W28/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023745
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000233295
【氏名又は名称】株式会社日立情報通信エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】増田 千絵
(72)【発明者】
【氏名】神崎 元
(72)【発明者】
【氏名】柴田 剛志
(72)【発明者】
【氏名】三村 和
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 利行
(72)【発明者】
【氏名】林 慎一郎
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067BB21
5K067DD20
5K067DD43
5K067DD45
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
(57)【要約】
【課題】無線方式の切替後の通信品質を制御する。
【解決手段】ネットワーク管理装置であって、所定の演算処理を実行する演算装置と、前記演算装置に接続された記憶デバイスとを有する計算機によって構成され、前記演算装置が、ネットワークにおける通信品質を管理するQoS管理部を有し、前記記憶デバイスは、第1の無線通信方式の無線品質クラスと、前記第2の無線通信方式の無線品質クラスの対応関係を記録する通信品質対応情報を格納し、前記QoS管理部は、端末の無線接続先の第1の無線通信方式から第2の無線通信方式への変化を検知すると、前記通信品質対応情報を参照して、第2の無線通信方式における無線品質クラスを設定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク管理装置であって、
所定の演算処理を実行する演算装置と、前記演算装置に接続された記憶デバイスとを有する計算機によって構成され、
前記演算装置が、ネットワークにおける通信品質を管理するQoS管理部を有し、
前記記憶デバイスは、第1の無線通信方式の無線品質クラスと、前記第2の無線通信方式の無線品質クラスの対応関係を記録する通信品質対応情報を格納し、
前記QoS管理部は、端末の無線接続先の第1の無線通信方式から第2の無線通信方式への変化を検知すると、前記通信品質対応情報を参照して、第2の無線通信方式における無線品質クラスを設定することを特徴とするネットワーク管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のネットワーク管理装置であって、
前記演算装置が、前記ネットワークにおけるデータフローを計測する計測部を有し、
前記記憶デバイスは、端末の通信履歴が記録される通信履歴情報を格納し、
前記計測部は、前記ネットワークにおけるデータフローを所定のタイミングで繰り返し収集して、前記通信履歴情報を更新し、前記端末の無線通信方式の変化を検知することを特徴とするネットワーク管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載のネットワーク管理装置であって、
前記通信履歴情報は、前記端末の接続先のアクセスポイントの情報を記録し、
前記計測部は、前記通信履歴情報を参照して前記端末の接続先のアクセスポイントを特定することを特徴とするネットワーク管理装置。
【請求項4】
請求項3に記載のネットワーク管理装置であって、
前記通信履歴情報は、前記アクセスポイントの設置場所を記録し、
前記計測部は、前記通信履歴情報を参照して前記端末の接続先のアクセスポイントの設置位置を特定することを特徴とするネットワーク管理装置。
【請求項5】
請求項1に記載のネットワーク管理装置であって、
前記記憶デバイスは、前記端末と前記通信方式の組み合わせに適用される無線品質クラスを定めた端末別無線品質情報を格納し、
前記QoS管理部は、
前記端末別無線品質情報を参照して、第1の無線通信方式における当該端末の第1の無線品質クラスを特定し、
前記通信品質対応情報を参照して、第2の無線通信方式における当該端末の第2の無線品質クラスを特定し、
前記特定された前記第2の無線品質クラスを、前記第2の無線通信方式による通信経路の通信機器に設定することを特徴とするネットワーク管理装置。
【請求項6】
請求項1に記載のネットワーク管理装置であって、
前記QoS管理部は、当該端末の前記第1の無線通信方式における通信量に基づいて、前記第2の無線通信方式の帯域を設定することを特徴とするネットワーク管理装置。
【請求項7】
請求項1に記載のネットワーク管理装置であって、
前記演算装置が、前記ネットワークの通信品質状況を管理者に通知する通知部を有し、
前記通知部は、通信品質の変化の原因となった前記第1の無線通信方式のアクセスポイントを特定することを特徴とするネットワーク管理装置。
【請求項8】
請求項7に記載のネットワーク管理装置であって、
前記通知部は、前記第2の無線通信方式におけるトラフィックの状況によって前記管理者への通知の緊急度を決定することを特徴とするネットワーク管理装置。
【請求項9】
ネットワーク管理装置が実行するネットワーク管理方法であって、
前記ネットワーク管理装置は、所定の演算処理を実行する演算装置と、前記演算装置に接続された記憶デバイスとを有する計算機によって構成され、
前記記憶デバイスは、第1の無線通信方式の無線品質クラスと、前記第2の無線通信方式の無線品質クラスの対応関係を記録する通信品質対応情報を格納し、
前記ネットワーク管理方法は、
前記演算装置が、端末の無線接続先の第1の無線通信方式から第2の無線通信方式への変化を検知すると、前記通信品質対応情報を参照して、第2の無線通信方式における無線品質クラスを設定することを特徴とするネットワーク管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今後、、Local5GとWiFiや、sXGPとWiFiを組み合わせたマルチ無線ネットワークが増加すると考えられる。マルチ無線ネットワークは、無線方式ごとの特性を活かしたシステムが構築できると期待されており、例えば、メイン系は高性能なLocal5GやsXGP、障害時に切り替わるバックアップ系は安価なWiFiという組み合わせは、コストと性能面のバランスが良い。
【0003】
本技術分野の背景技術として、以下の先行技術がある。特許文献1(特開2004-297157号公報)には、複数の異なる無線システムが混在する無線統合システムにおいて使用され、前記複数の無線システムと通信するインタフェースを有する無線端末装置において、前記各無線システムについて共通の通信品質あるいは通信能力のクラス分けが設定され、このクラス分けに基づいて前記異なる無線システム間の通信中のハンドオーバーまたは発呼を行うことを特徴とする無線端末装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のマルチ無線ネットワークは、通信品質を補償するために、端末毎にQoS制御する機能を実装するが、以下の課題がある。QoSは端末毎に設定されるため、ネットワーク全体のQoSの最適化が困難である。また、端末とエリアの状況の一括管理が困難であるため、無線ネットワーク運用管理情報としての活用が困難であり、リソース不足などの帯域状況の把握が困難であり、端末間でQoSの調整が困難である。このため、マルチ無線ネットワークの運用・保守コストを低減が求められている。
【0006】
さらに、高品質が必要なメイン系の無線ネットワークにおいて、電波遮蔽物の設置、人流変化、アクセスポイント障害等により、一部端末の通信品質が劣化しバックアップ系の無線ネットワークに接続される場合、各無線ネットワークのQoSは独自であり、メイン系の通信品質をバックアップ系に適用する仕組みがない。このため、バックアップ系に切り替わった端末が、メイン系接続時と同じ通信品質を維持することが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、ネットワーク管理装置であって、所定の演算処理を実行する演算装置と、前記演算装置に接続された記憶デバイスとを有する計算機によって構成され、前記演算装置が、ネットワークにおける通信品質を管理するQoS管理部を有し、前記記憶デバイスは、第1の無線通信方式の無線品質クラスと、前記第2の無線通信方式の無線品質クラスの対応関係を記録する通信品質対応情報を格納し、前記QoS管理部は、端末の無線接続先の第1の無線通信方式から第2の無線通信方式への変化を検知すると、前記通信品質対応情報を参照して、第2の無線通信方式における無線品質クラスを設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、ネットワーク側で無線方式の切替後の通信品質を制御でき、ネットワーク全体のQoSを最適化できる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例のネットワーク管理サーバの構成を示す図である。
【
図3】フロー履歴テーブルの構成例を示す図である。
【
図4】端末通信履歴テーブルの構成例を示す図である。
【
図6】端末別無線品質テーブルの構成例を示す図である。
【
図7】通信品質対応テーブルの構成例を示す図である。
【
図8】QoS設定テーブルの構成例を示す図である。
【
図9】ネットワーク管理サーバが実行する処理のフローチャートである。
【
図10】通信方式切替検知処理のフローチャートである。
【
図11】切替後QoS設定処理のフローチャートである。
【
図12】未使用QoS設定削除処理のフローチャートである。
【
図13】QoS帯域設定調整処理のフローチャートである。
【
図14】QoS設定必要性判定処理のフローチャートである。
【
図16】ネットワーク通信品質状況表示画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明のネットワーク管理装置の一例であるネットワーク管理サーバ101の実施例の構成を示す図であり、ネットワーク管理サーバ101が管理する監視対象システム100の構成も示す。
【0011】
本実施例のネットワーク管理サーバ101は、プロセッサ(CPU)120、メモリ119、補助記憶装置117及び通信インターフェース118を有する計算機によって構成される。ネットワーク管理サーバ101は、図示を省略する入力インターフェース及び出力インターフェースを有してもよい。
【0012】
プロセッサ120は、メモリ119に格納されたプログラムを実行する演算装置である。プロセッサ120が、各種プログラム(フロー計測プログラム128、QoS管理プログラム129、通知プログラム130)を実行することによって、ネットワーク管理サーバ101が提供する機能が実現される。なお、プロセッサ120がプログラムを実行して行う処理の一部を、他の演算装置(例えば、ASIC、FPGA等のハードウェア)で実行してもよい。
【0013】
メモリ119は、不揮発性の記憶素子であるROM及び揮発性の記憶素子であるRAMを含む。ROMは、不変のプログラム(例えば、BIOS)などを格納する。RAMは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)のような高速かつ揮発性の記憶素子であり、プロセッサ120が実行するプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータを一時的に格納する。
【0014】
補助記憶装置117は、例えば、磁気記憶装置(HDD)、フラッシュメモリ(SSD)等の大容量かつ不揮発性の記憶装置である。また、補助記憶装置117は、プロセッサ120がプログラムの実行時に使用するデータ(例えば、端末管理テーブル121、フロー履歴テーブル122、端末通信履歴テーブル123、通信機器テーブル124、QoS設定テーブル125、端末別無線品質テーブル126、通信品質対応テーブル127など)、及びプロセッサ120が実行するプログラムを格納する。すなわち、プログラムは、補助記憶装置117から読み出されて、メモリ119にロードされて、プロセッサ120によって実行されることによって、ネットワーク管理サーバ101の各機能を実現する。
【0015】
通信インターフェース118は、所定のプロトコルに従って、他の装置(例えば、監視対象システム100内の通信機器)との通信を制御するネットワークインターフェース装置である。
【0016】
入力インターフェースは、キーボードやマウスなどの入力装置が接続され、オペレータからの入力を受けるインターフェースである。出力インターフェースは、ディスプレイ装置やプリンタなどの出力装置が接続され、プログラムの実行結果をオペレータが視認可能な形式で出力するインターフェースである。なお、ネットワーク管理サーバ101にネットワークを介して接続されたユーザ端末が入力装置及び出力装置を提供してもよい。この場合、ネットワーク管理サーバ101がウェブサーバの機能を有し、ユーザ端末がネットワーク管理サーバ101に所定のプロトコル(例えばhttp)でアクセスしてもよい。
【0017】
プロセッサ120が実行するプログラムは、リムーバブルメディア(CD-ROM、フラッシュメモリなど)又はネットワークを介してネットワーク管理サーバ101に提供され、非一時的記憶媒体である不揮発性の補助記憶装置117に格納される。このため、ネットワーク管理サーバ101は、リムーバブルメディアからデータを読み込むインターフェースを有するとよい。
【0018】
ネットワーク管理サーバ101は、物理的に一つの計算機上で、又は、論理的又は物理的に構成された複数の計算機上で構成される計算機システムであり、複数の物理的計算機資源上に構築された仮想計算機上で動作してもよい。例えば、フロー計測プログラム128、QoS管理プログラム129、及び通知プログラム130は、各々別個の物理的又は論理的計算機上で動作するものでも、複数が組み合わされて一つの物理的又は論理的計算機上で動作するものでもよい。
【0019】
端末管理テーブル121は、端末102の情報が登録されるテーブルであり、その詳細は
図2を参照して説明する。フロー履歴テーブル122は、ネットワークを転送されるデータフローの情報が登録されるテーブルであり、その詳細は
図3を参照して説明する。端末通信履歴テーブル123は、端末102の通信履歴が記録されるテーブルであり、その詳細は
図4を参照して説明する。通信機器テーブル124は、監視対象システム100に設置される通信機器の情報が記録されるテーブルであり、その詳細は
図5を参照して説明する。QoS設定テーブル125は、監視対象システム100内の通信機器に設定されるQoSの情報が記録されるテーブルであり、その詳細は
図8を参照して説明する。端末別無線品質テーブル126は、端末102の各通信方式における品質の情報が記録されるテーブルであり、その詳細は
図6を参照して説明する。通信品質対応テーブル127は、通信方式切替前後の品質クラスの対応が記録されるテーブルであり、その詳細は
図7を参照して説明する。これらのテーブルは、
図2から
図8に示すようにテーブル形式のデータでも、他の形式でデータを格納してもよい。
【0020】
フロー計測プログラム128は、監視対象システム100内の通信機器から転送されるデータフローを収集し、フロー履歴テーブル122及び端末通信履歴テーブル123を作成して、端末102の通信方式切替を検知する(
図10参照)。QoS管理プログラム129は、監視対象システム100全体のQoSを管理する(
図11、
図12、
図13、
図14参照)。通知プログラム130は、監視対象システム100のネットワーク通信品質状況を管理者に通知する(
図15、
図16参照)。
【0021】
監視対象システム100では、複数のスイッチ111~114及びルータ110によって、アクセスポイント103~107、EPC108、ファイアーウォール109及び業務システムサーバ115~116が通信可能に接続される。業務システムサーバ115及び116は、端末102から送信されたデータを収集し、及び/又は端末102にデータを送信することによって、端末102に業務を提供する。ファイアーウォール109は、監視対象システム100外部との境界に設けられ、監視対象システム100外部の装置(例えばネットワーク管理サーバ101)と接続する。ルータ110は、業務システムサーバ115及び116が送受信するパケットの転送経路を提供する。アクセスポイントは、5Gシステムのアクセスポイント103、WiFiシステムのアクセスポイント104~107がある。各アクセスポイント103~107は、所定の無線通信方式によって端末102と通信する。アクセスポイントは、図が煩雑にならない数を図示したが、実際はより多くのアクセスポイントが設置される。EPC108は、5Gネットワークのコアネットワークである。
【0022】
監視対象システム100には、端末102が接続される。説明の便宜上、1台の端末102を図示するが、通常、複数の端末102が監視対象システム100に接続される。
【0023】
端末102は、複数の通信方式(例えば、5G、WiFiなどの無線通信方式)を使用して、予め定められたアクセスポイント又は複数のアクセスポイントの各々から送信される電波の受信電界強度(RSSI)が強いアクセスポイントを選択して通信する。端末102には通信先切替アプリが実装されており、この通信先切替アプリはアクセスポイントとの通信品質劣化(通信断、エラー率の上昇など)を検知して、接続先を他のアクセスポイントに切り替えて通信を継続する。通常、高品質が必要なメイン系の無線ネットワークを5Gによって構成し、バックアップ系の無線ネットワークをWiFiによって構成する。
【0024】
図2は、端末管理テーブル121の構成例を示す図である。
【0025】
端末管理テーブル121は、端末102の情報が記録されるテーブルであり、端末ID200、通信方式201、メイン通信方式フラグ202、及び最終利用日時203のデータを含む。端末ID200は、端末102に一意に付与される識別情報である。通信方式201は、端末102と監視対象システム100とが無線通信する方式であり、例えば、5G、WiFiなどである。メイン通信方式フラグ202は、通信方式が各端末で主に使用される通信方式であるかを示す情報であり、各端末で主に使用されるメイン通信方式であればY、副次的に使用されるサブ通信方式であればNが記録される。最終利用日時203は、当該端末が当該通信方式を最後に利用した日時であり、フロー履歴テーブル122(
図3)から取得できる。なお、当該端末が当該通信方式を利用したことがない場合、最終利用日時203にはn/aが記録される。
【0026】
図3は、フロー履歴テーブル122の構成例を示す図である。
【0027】
フロー履歴テーブル122は、監視対象システム100を転送されるデータフローの情報が記録されるテーブルであり、通信機器300、計測時刻301、継続時間302、ソース303、デスティネーション304、パケット数305、及びデータ転送量306のデータを含む。通信機器300は、当該データフローを転送したネットワーク機器(例えばアクセスポイント)の識別情報である。計測時刻301は、当該データフローを転送した時刻であり、継続時間302は、当該データフローの転送に要した時間である。ソース303は、当該データフローの送信元の機器であり、デスティネーション304は、当該データフローの送信宛先の機器である。パケット数305は、当該データフローで転送されたパケットの数であり、データ転送量306は、当該データフローで転送されたデータ量である。
【0028】
図4は、端末通信履歴テーブル123の構成例を示す図である。
【0029】
端末通信履歴テーブル123は、端末102の通信履歴が記録されるテーブルであり、計測時刻400、端末ID401、アクセスポイント402、通信方式403、転送量404、及び切替フラグ405のデータを含む。計測時刻400は、当該通信が計測された時刻である。端末ID401は、当該通信を行った端末102の識別情報である。アクセスポイント402は、当該通信を行ったアクセスポイント103~107の識別情報である。通信方式403は、当該通信が行われた通信方式である。転送量404は、当該通信で転送されたデータ量である。切替フラグ405は、端末102の通信方式切り替えが検出された場合に設定されるデータである。
【0030】
図5は、通信機器テーブル124の構成例を示す図である。
【0031】
通信機器テーブル124は、監視対象システム100に設置される通信機器の情報が記録されるテーブルであり、通信方式500、ネットワーク機器501、位置情報502、最大帯域503、及びルート情報504のデータを含む。通信方式500は、当該通信機器が通信に使用する方式である。ネットワーク機器501は、当該通信機器の識別情報である。位置情報502は、当該通信機器の設置位置である。最大帯域503は、当該通信機器が通信に提供可能な帯域である。ルート情報504は、当該ネットワーク機器と業務システムサーバ115、116との通信経路、すなわち、業務システムサーバ115、116との通信が経由する通信機器の情報である。ルート情報504は、業務システムサーバ115、116毎に定められるとよい。
【0032】
図6は、端末別無線品質テーブル126の構成例を示す図である。
【0033】
端末別無線品質テーブル126は、端末102の各通信方式における品質の情報が記録されるテーブルであり、端末ID600、通信方式601、及び品質クラス602のデータを含む。端末ID600は、端末102の識別情報である。通信方式601は、端末102が通信に使用する方式である。品質クラス602は、当該端末102が当該通信方式におけるデータ転送優先度の情報であり、例えば、WMM-EDCA(Wi-Fi Multimedia Enhanched Distributed Channel Access)、ToS(Type of Service)、QCI(Quality of Service)などを使用できる。
【0034】
図7は、通信品質対応テーブル127の構成例を示す図である。
【0035】
通信品質対応テーブル127は、通信方式切替前後の品質クラスの対応が記録されるテーブルであり、通信方式1(700)、品質クラス1(QCI)701、通信方式2(702)、及び品質クラス2(WMM-ECA、Tos)703のデータを含む。通信方式1(700)は、切替前の通信方式である。品質クラス1(QCI)701は、切替前に端末102に提供されるデータ転送優先度である。通信方式2(702)は、切換後の通信方式である。品質クラス2(WMM-ECA、Tos)703は、切換後の通信優先度であり、切換後のアクセスポイントに設定される。品質クラスには、前述したように、WMM-ECA、Tos、QCIなどが使用できるが、品質クラス1には、5G通信で使用されるQCIが適し、品質クラス2には、WiFiで使用されるWMM-ECA、Tosなどが適する。
【0036】
図8は、QoS設定テーブル125の構成例を示す図である。
【0037】
QoS設定テーブル125は、監視対象システム100内の通信機器に設定されるQoSの情報が記録されるテーブルであり、通信機器800、端末801、品質クラス(WMM-EDCA、Tos)802、帯域設定803、及び調整倍率804のデータを含む。通信機器800は、監視対象システム100に設置される通信機器の識別情報である。端末801は当該通信機器に設定されるQoSが適用される端末の識別情報である。品質クラス(WMM-EDCA、Tos)802は、QoSを実現するために当該通信機器に設定されるデータ転送優先度である。帯域設定803は、QoSを実現するために当該通信機器に設定される帯域である。調整倍率804は、端末が多く帯域保証が困難な場合に低減された帯域を計算するための係数である。低減された帯域は、帯域設定803に調整倍率を乗じて計算される。
【0038】
次に、本実施例のネットワーク管理サーバ101が監視対象システム100に対して実行する処理の概要及び適用されるシーンを説明する。
【0039】
まず、端末102は、5Gでアクセスポイント1(103)と通信している。端末102の通信先切替アプリは、アクセスポイント1(103)との通信品質の劣化を検知して、5Gのアクセスポイント1(103)からWiFiのアクセスポイント2(104)へ通信先を切り替える。例えば、通信品質の劣化は、レイアウト変更による電波遮蔽物の設置、伝搬経路を車両が横断、人流の変化、アクセスポイントの障害等によって生じる。
【0040】
ネットワーク管理サーバ101は、所定のタイミングで繰り返し(例えば定期的に)管理下のアクセスポイントから通信中の端末102の情報を収集し、端末通信履歴テーブル123を更新する。端末102の情報の収集は、後述するように、アクセスポイントから収集してもよいし、他の通信装置(経路上のSW1、SW2など)からフロー情報を取得してもよい。端末102の情報の収集は、ネットワーク管理サーバ101からの問い合わせ(ポーリング)に応答する形でも、アクセスポイントやスイッチが所定のタイミングで報告しても、監視対象システム100内で検知された所定のイベントをトリガにしてもよい。
【0041】
ネットワーク管理サーバ101は、端末102の情報の変化から端末102が使用する通信方式の切替を認識する。例えば、端末通信履歴テーブル123に5Gのレコードがある端末102が、WiFiで通信しているレコードに新規に記録されたことから、5GからWiFiへ切り替えが発生したことを認識する。
【0042】
ネットワーク管理サーバ101は、端末別無線品質テーブル126と、通信品質対応テーブル127とを参照し、端末102のWiFiにおける品質クラスと、有線の品質クラスを取得し、WiFiの品質クラスをWiFiのアクセスポイント2(104)に設定し、有線の品質クラスを有線の通信機器(SW、ルータ、FWなど)に設定する。このとき、ネットワーク管理サーバ101は、QoS設定テーブル125に、端末102の通信が通過する通信機器のレコードを記録する。
【0043】
ネットワーク管理サーバ101は、端末102が5Gで通信していたときの平均トラフィック量を保証帯域として、QoS設定テーブル125の帯域設定803に設定するとよい。平均トラフィック量は、アクセスポイントが接続された通信機器(SW等)が収集したフロー情報から算出できる。
【0044】
ネットワーク管理サーバ101は、端末102が新たに接続したWiFiのAP2(104)のトラフィック量の最大帯域に対する割合によって、どの程度に迅速な対応が必要かについて管理者へ通知を送る。通知は、例えば、早急な対応が必要であることや、定期巡回時の対応でよいことなどである。例えば、管理者は、監視対象システム100を現地調査して、アクセスポイント1(103)と端末102との間に電波遮蔽物が置かれたことを見つけると、端末102やアクセスポイント1(103)の設置場所を変更する。
【0045】
ネットワーク管理サーバ101は、端末通信履歴テーブル123を参照して、端末102の接続先がアクセスポイント2(104)からアクセスポイント1(103)へ戻ったことを検知すると、ネットワーク管理サーバ101はアクセスポイント2(104)に設定された端末102のQoS設定を削除する。
【0046】
図9は、ネットワーク管理サーバ101が実行する処理のフローチャートである。
【0047】
まず、プロセッサ120は、処理対象期間を受領する(S900)。処理対象期間は、例えば、T0からT1の時間(T0<処理対象期間≦T1)であり、この処理対象期間内に1回以上データフローを計測するために、フロー計測の間隔はT1からT0を減じた値に0.5~1の係数を乗じた時間(T1-T0)×0.5~1にするとよい。処理対象期間は、ネットワーク管理者から入力されても、定期的に実行するようにネットワーク監視機能から入力されてもよい。
【0048】
次に、フロー計測プログラム128は、通信方式が切り替わった端末を検知する(S901)。通信方式切替検知処理は
図10を参照して説明する。
【0049】
次に、プロセッサ120は、端末通信履歴テーブル123の切替フラグ405を参照し、通信方式を切り替えた端末があるかを判定する(S902)。通信方式を切り替えた端末がなければ、QoS管理プログラム129が未使用のQoS設定を削除し(S907)、処理を終了する。未使用QoS設定削除処理は
図12を参照して説明する。
【0050】
一方、通信方式を切り替えた端末があれば、QoS管理プログラム129が、切替後の通信方式でデータを中継する通信機器へQoSを設定する(S903)。切替後QoS設定処理は
図11を参照して説明する。
【0051】
次に、QoS管理プログラム129は、未使用のQoS設定を削除する(S904)。ステップS904の処理は、ステップS907の処理と同じである。
【0052】
次に、QoS管理プログラム129は、QoS帯域設定を調整する(S905)。QoS帯域設定調整処理は
図13を参照して説明する。
【0053】
次に、プロセッサ120は、通信方式の切り替え状況を管理者へ通知し、処理を終了する(S906)。通知処理は
図15を参照して説明する。
【0054】
図10は、通信方式切替検知処理(S901)のフローチャートである。
【0055】
まず、フロー計測プログラム128は、フロー履歴テーブル122を参照し、計測時刻301が処理時間(T0<T≦T1)のレコードを取得する(S1000)。
【0056】
次に、フロー計測プログラム128は、ステップS1000で取得したレコードを、時刻と端末とアクセスポイントの組み合わせが同じレコードを集計して履歴レコードを作成し、作成された履歴レコードを端末通信履歴テーブル123に新規レコードとして記録する(S1001)。履歴レコードは、記録時点では、通信方式403及び切替フラグ405に値が記録されていない。
【0057】
次に、フロー計測プログラム128は、端末通信履歴テーブル123のアクセスポイント402をキーとして通信機器テーブル124を参照して通信方式500を取得し、端末通信履歴テーブル123の当該レコードの通信方式403に設定する(S1002)。
【0058】
次に、フロー計測プログラム128は、端末通信履歴テーブル123に記録された履歴レコードのうち、切替フラグ405に値が記録されていない未処理のレコードを一つ選択する(S1003)。
【0059】
次に、フロー計測プログラム128は、選択された未処理のレコードの端末ID401及び通信方式403の組み合わせをキーとして端末管理テーブル121を参照してメイン通信方式フラグ202を取得する(S1004)。
【0060】
次に、フロー計測プログラム128は、取得したメイン通信方式フラグがYであるかを判定する(S1005)。ステップS1004で取得したメイン通信方式フラグがYである場合、主に使用されるメイン通信方式を使用中であるため、選択された未処理レコードの切替フラグにNを設定して(S1008)、ステップS1009に進む。
【0061】
一方、ステップS1004で取得したメイン通信方式フラグがNである場合、副次的に使用されるサブ通信方式へ切り替わった可能性があるので、当該端末の当該通信方式の最終利用日時203からの経過時間が所定の閾値以上であるかを判定する(S1006)。例えば、端末管理テーブル121の当該端末の当該通信方式の最終利用日時203を参照して、最終利用日時203からの経過時間を計算する。そして、計算された経過時間が閾値より小さければ、一時的にサブ通信方式に切り替わっただけであり、通信方式は切り替わっておらず、メイン通信方式を継続して利用していると判定して、ステップS1008へ進む。
【0062】
一方、計算された経過時間が閾値以上であれば、サブ通信方式へ切り替わったと判定して、選択された未処理レコードの切替フラグ405にNを設定して(S1007)、ステップS1009に進む。
【0063】
次に、フロー計測プログラム128は、端末管理テーブル121の当該端末の当該通信方式の最終利用日時203を現在時刻に更新する(S1009)。
【0064】
次に、フロー計測プログラム128は、未処理の履歴レコードあるかを判定し(S1010)、未処理の履歴レコードがあれば、ステップS1003に戻り、未処理の履歴レコードについて処理を続ける。一方、全ての履歴レコードの通信方式の処理が終わっていれば、通信方式切替検知処理を終了する。
【0065】
図11は、切替後QoS設定処理(S903)のフローチャートである。
【0066】
まず、QoS管理プログラム129は、端末通信履歴テーブル123を参照し、処理期間T0~T1で切替フラグ405がYである履歴レコードを取得し(S1100)、未処理の履歴レコードを一つ選択する(S1101)。
【0067】
次に、QoS管理プログラム129は、履歴レコードの端末IDを対象端末に設定し、端末レコードの通信方式を切替後の通信方式に設定し(S1102)、対象端末の切替後の通信方式について、有線と切替後の通信方式の組を対象通信方式リストに設定する(S1103)。例えば、通信機器テーブル124のルート情報504を参照して、当該アクセスポイントに関する有線側の通信機器の情報を取得できる。
【0068】
次に、QoS管理プログラム129は、対象通信方式リストから一つの対象通信方式を選択する(S1104)。
【0069】
次に、QoS管理プログラム129は、端末別無線品質テーブル126を参照し、対象端末の品質レコードを取得する(S1105)。
【0070】
次に、QoS管理プログラム129は、通信品質対応テーブル127を参照し、通信方式1(700)と品質クラス1(701)が対象端末の品質対応レコードと一致する品質対応レコードを取得する(S1106)。
【0071】
次に、QoS管理プログラム129は、通信機器テーブル124を参照し、取得した品質対応レコードの通信方式2(702)と通信方式が一致する通信機器レコードを取得する(S1107)。
【0072】
次に、QoS管理プログラム129は、取得した通信機器レコードの各々の品質クラス2(703)をQoS設定テーブル125に作成する(S1108)。
【0073】
次に、QoS管理プログラム129は、端末通信履歴テーブル123を参照し、対象端末の切替前通信方式における1日の平均データ転送量を計算し、QoS設定テーブル125の帯域設定803に保証帯域として設定する(S1109)。計算される平均データ転送量は、1日の平均データ転送量ではなく、1時間の平均データ転送量など他の時間の平均でもよい。また、1日の平均データ転送量は曜日毎の平均でもよい。さらに、計算される統計値は平均値ではなく、最大値でもよい。
【0074】
次に、QoS管理プログラム129は、対象端末に対するQoS設定として、取得した品質対応レコードの品質クラス2(703)と、保証帯域に調整倍率を乗算した値を保証帯域として、通信機器レコードの全機器へ設定する(S1110)。
【0075】
次に、QoS管理プログラム129は、未処理の通信方式があるかを判定し(S1111)、未処理の通信方式があれば、ステップS1104に戻り、未処理の通信方式について処理を続ける。一方、当該履歴レコードの全ての通信方式の処理が終わっていれば、QoS管理プログラム129は、未処理の履歴レコードあるかを判定し(S1112)、未処理の履歴レコードがあれば、ステップS1101に戻り、未処理の履歴レコードについて処理を続ける。一方、全ての履歴レコードの処理が終われば、切替後QoS設定処理を終了する。
【0076】
図12は、未使用QoS設定削除処理(S904、S907)のフローチャートである。
【0077】
次に、QoS管理プログラム129は、端末管理テーブル121を参照し、メイン通信方式フラグ202がNであり、かつ現在時刻と最終利用時刻との差が閾値以上である未使用レコードを取得し(S1200)、未処理の未使用レコードを一つ選択する(S1201)。
【0078】
次に、QoS管理プログラム129は、QoS設定テーブル125を参照し、選択された未使用レコードの端末のQoS設定レコードを取得し(S1202)、取得したQoS設定レコードの全ての通信機器にアクセスし、QoS設定を削除する(S1203)。
【0079】
次に、QoS管理プログラム129は、取得したQoS設定レコードの全てを削除する(S1204)。
【0080】
次に、QoS管理プログラム129は、未処理の未使用レコードがあるかを判定し(S1205)、未処理の通信方式があれば、ステップS1201に戻り、未処理の未使用レコードについて処理を続ける。一方、全ての未使用レコードの処理が終われば、未使用QoS設定削除処理を終了する。
【0081】
図13は、QoS帯域設定調整処理(S905)のフローチャートである。
【0082】
まず、QoS管理プログラム129は、QoS調整が必要かを判定する(S1300)。そして、QoS調整が不要であれば、QoS帯域設定調整処理を終了する。一方、QoS調整が必要であれば、QoS管理プログラム129は、QoS調整が必要な各通信機器に以降の処理を実行する(S1301)。
【0083】
具体的には、QoS管理プログラム129は、QoS設定テーブル125から当該通信機器のレコードを取得し(S1302)、取得したレコードを品質クラス別にグループ化し、品質クラス別の平均保証帯域を計算する(S1303)。
【0084】
次に、QoS管理プログラム129は、品質クラスが下位の順、かつ保証帯域が大きい順にレコードを一つ選択し(S1304)、選択されたレコードの保証帯域が一つ上位の品質クラスの平均保証帯域以上であるかを判定する(S1305)。当該レコードの保証帯域が一つ上位の品質クラスの平均保証帯域より小さければステップS1309に進む。
【0085】
一方、当該レコードの保証帯域が一つ上位の品質クラスの平均保証帯域以上であれば、QoS管理プログラム129は、一つ上位の品質クラスの平均保証帯域を当該レコードの保証帯域に設定し、上位の品質クラスの平均保証帯域を当該レコードの保証帯域で除した値を調整倍率に設定する(S1306)。
【0086】
次に、QoS管理プログラム129は、調整後の保証帯域を当該通信機器に設定し(S1307)、QoS調整が必要かを判定する(S1308)。そして、QoS調整が不要であれば、QoS帯域設定調整処理を終了する。一方、QoS調整が必要であれば、QoS管理プログラム129は、未処理のレコードがあるかを判定し(S1309)、未処理の通信方式があれば、ステップS1304に戻り、未処理のレコードについて処理を続ける。
【0087】
一方、全てのレコードの処理が終われば、QoS管理プログラム129は、品質クラスが下位の順、かつ保証帯域が大きい順にレコードを一つ選択し(S1310)、当該レコードの調整倍率に0.9を乗じて調整し(S1311)、当該レコードの通信機器に調整後の保証帯域を設定する(S1312)。
【0088】
次に、QoS管理プログラム129は、QoS調整が必要かを判定し(S1313)、QoS調整が必要であれば、ステップS1310に戻り処理を続ける。QoS調整が不要であれば、QoS帯域設定調整処理を終了する。
【0089】
図14は、QoS設定必要性判定処理(S1300、S1308、S1313)のフローチャートである。
【0090】
まず、QoS管理プログラム129は、QoS設定テーブル125を参照し、各通信機器の帯域設定の保証帯域に調整倍率を乗算した値を合計し(S1400)、合計値が通信機器テーブル124の当該通信機器の最大帯域503に所定値を乗じた値以上であるかを判定する(S1401)。この所定値は、例えば0.7とするとよいが、ネットワークの余裕度によっては他の値を設定するとよい。
【0091】
合計値が通信機器テーブル124の当該通信機器の最大帯域503に所定値を乗じた値以上であれば、ネットワークに余裕がないので、QoS設定が必要であると判定する。一方、合計値が通信機器テーブル124の当該通信機器の最大帯域503に所定値を乗じた値より小さければ、ネットワークに余裕があるので、QoS設定が不要であると判定する。
【0092】
図15は、通知処理(S906)のフローチャートである。
【0093】
まず、通知プログラム130は、QoS設定テーブル125を参照し、調整倍率が1.0より小さいレコードを取得する(S1500)。
【0094】
次に、通知プログラム130は、調整倍率が1.0より小さいレコードあるかを判定する(S1501)。そして、調整倍率が1.0より小さいレコードは、必要な帯域が満たされていないので、緊急度が高く、即時の対応が必要なものに分類する(S1504)。
【0095】
次に、通知プログラム130は、QoS設定テーブル125を参照し、帯域設定803の保証帯域に調整倍率804を乗算した値を通信機器ごとに合計する(S1502)。そして、通知プログラム130は、計算された合計値が通信機器テーブル124の当該通信機器の最大帯域503に所定値を乗じたた値より大きいかを判定する(S1503)。この所定値は、例えば0.4とするとよいが、ネットワークの特性や利用状況によっては他の値を設定するとよい。
【0096】
通知プログラム130は、合計値が通信機器テーブル124の当該通信機器の最大帯域503に所定値を乗じたた値より大きいレコードは、緊急度が中程度で、数日以内の対応が必要なものに分類する(S1505)。一方、合計値が通信機器テーブル124の当該通信機器の最大帯域503に所定値を乗じたた値より大きいレコードは、緊急度が低く、2週間以内の対応が必要なものに分類する(S1506)。
【0097】
次に、通知プログラム130は、処理対象期間において端末通信履歴テーブル123の切替フラグ405がYであるアクセスポイントを、近くで電波劣化が起きた可能性があるアクセスポイントに選択して(S1507)、近くで電波劣化が起きた可能性があるアクセスポイントと、分類された緊急度を管理者へ通知する(S1508)。
【0098】
図16は、管理者へ通知するネットワーク通信品質状況表示画面の例を示す図である。
【0099】
ネットワーク通信品質状況表示画面は、顧客毎の通信品質状況表示領域1610、及び顧客毎の詳細状況表示領域1620を含む。
【0100】
通信品質状況表示領域1610は、顧客名と緊急度(高、中、低)毎の件数が表示される。アクション領域の「訪問日入力」ボタンの操作によって、当該顧客の通信品質劣化へ対応する訪問予定を入力する画面を表示できる。
【0101】
詳細状況表示領域1620は、通信品質状況表示領域1610で選択された顧客の通信装置毎の通信方式切替状況が表示される。詳細状況表示領域1620は、緊急度(高、中、低)毎に緊急事案が生じる日及び入力された訪問対応期間を時系列に表示する。
【0102】
図16に示す詳細状況表示領域1620では、顧客Aの通信方式切替状況が表示されており、AP2及びAP10が本日、緊急度高くなる予定で、AP11が3日前に緊急度中となった。また、本日を含む前後2日の計5日間に訪問対応期間が設定されていることが表示される。
【0103】
以上に説明したように、本発明のネットワーク管理装置の実施例であるネットワーク管理サーバ10では、QoS管理プログラム129が、端末102の無線接続先の通信方式1から通信方式2への変化を検知すると、通信品質対応テーブル127を参照して、通信方式2における品質クラスを設定するので、監視対象システム100(ネットワーク)側で無線方式の切替後の通信品質を制御でき、ネットワーク全体のQoSを最適化できる。また、端末の状況と監視対象システム100の状況を一括で管理でき、例えばリソース不足のような帯域の状況を把握でき、ネットワーク管理者へ対策の緊急度を示唆できる。
【0104】
また、フロー計測プログラム128は、監視対象システム100におけるデータフローを所定のタイミングで繰り返し収集して、端末通信履歴テーブル122を更新し、端末102の通信方式の変化を検知するので、端末102に特別なアプリケーションを実装せずに、ネットワーク側から取得可能な情報によって端末102の状態を把握できる。
【0105】
また、フロー計測プログラム128は、端末通信履歴テーブル122を参照して端末102の接続先のアクセスポイントを特定するので、アクセスポイントの特定によって、無線品質が劣化した箇所を判定でき、管理者による保守時に必要な情報を提供できる。
【0106】
また、フロー計測プログラムは、端末通信履歴テーブル122を参照して、端末102の接続先のアクセスポイントの設置位置を特定するので、アクセスポイントの位置の特定によって、無線品質が劣化した箇所を判定でき、管理者が保守時に必要な情報を提供できる。
【0107】
また、QoS管理プログラム129は、端末別無線品質テーブル126を参照して、通信方式1における端末102の品質クラスを特定し、通信品質対応テーブル127を参照して、通信方式2における端末102の品質クラスを特定し、通信方式2の無線品質クラスを、通信方式2による通信経路の通信機器に設定するので、通信方式切替前と同等の通信品質を確保できる。
【0108】
また、QoS管理プログラム129は、端末102の通信方式1における通信量に基づいて、通信方式2の帯域を設定するので、通信方式切替前と同等の通信品質を確保して、通信方式切換後も利用者が不便を感じない通信環境を提供できる。
【0109】
また、通知プログラム130は、通信品質の変化の原因となった通信方式1のアクセスポイントを特定するので、無線品質が劣化した原因箇所を判定でき、管理者による保守時に必要な情報を提供できる。
【0110】
また、通知プログラムは、通信方式2におけるトラフィックの状況によって管理者への通知の緊急度を決定するので、対応の優先度によって保守作業の効率を向上できる。
【0111】
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。例えば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えてもよい。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えてもよい。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をしてもよい。
【0112】
また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
【0113】
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に格納することができる。
【0114】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【符号の説明】
【0115】
100 監視対象システム
101 ネットワーク管理サーバ
102 端末
103 アクセスポイント(5G)
104、105、106、107 アクセスポイント(WiFi)
108 EPC
109 ファイアーウォール
110 ルータ
111、112、113、114 スイッチ
115、116 業務システムサーバ
117 補助記憶装置
118 通信インターフェース
119 メモリ
120 プロセッサ
121 端末管理テーブル
122 フロー履歴テーブル
123 端末通信履歴テーブル
124 通信機器テーブル
125 QoS設定テーブル
126 端末別無線品質テーブル
127 通信品質対応テーブル
128 フロー計測プログラム
129 QoS管理プログラム
130 通知プログラム