(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012074
(43)【公開日】2023-01-25
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 39/02 20060101AFI20230118BHJP
【FI】
D06F39/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115498
(22)【出願日】2021-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】高野 優介
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
(72)【発明者】
【氏名】黒田 隆
(72)【発明者】
【氏名】野上 洋登
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AA02
3B166AA05
3B166AB24
3B166AE01
3B166AE02
3B166AE07
3B166BA52
3B166BA82
3B166BA84
3B166CA01
3B166CA02
3B166CA04
3B166CA11
3B166CA15
3B166CB01
3B166CB11
3B166CB13
3B166CC02
3B166DC32
3B166DC47
3B166EA03
3B166EA11
3B166FB01
3B166FB02
(57)【要約】
【課題】洗剤ボックスの高さ方向の大型化を招くことなく、粉末洗剤の溶け残りが発生し易い場所に洗剤が飛散することを抑制する。
【解決手段】洗濯機100は、洗剤が収容される1乃至複数の収容部を有する洗剤ケース51と、洗剤ケースの任意の収容部に水を供給するシャワーケース32と、水が供給された収容部から水と一緒に落下する洗剤を受け止めて、外部から供給された水と一緒に洗剤を外部に流出させる洗剤ボックス53と、備えている。洗剤ボックスは、洗剤ケースの収容部(手動投入洗剤収容部51c)に設けられた出口OUT51cが洗剤ボックスの底面に形成された水を流すための流路部53bの上に配置されるように、洗剤ケースの下に配置されており、さらに、流路部上における収容部の出口直下の場所よりも高い場所に、下流側から上流側に向かって洗剤ボックスの底面の勾配角度よりも大きな角度で傾斜する傾斜部53cが部分的に設けられている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗剤が収容される1乃至複数の収容部を有する洗剤ケースと、
前記洗剤ケースの任意の収容部に水を供給するシャワーケースと、
水が供給された収容部から水と一緒に落下する洗剤を受け止めて、外部から供給された水と一緒に当該洗剤を外部に流出させる洗剤ボックスと、備え、
前記洗剤ボックスは、
前記洗剤ケースの前記収容部に設けられた出口が当該洗剤ボックスの底面に形成された水を流すための流路部の上に配置されるように、前記洗剤ケースの下に配置されており、
さらに、前記流路部上における前記収容部の出口直下の場所よりも高い場所に、下流側から上流側に向かって当該洗剤ボックスの底面の勾配角度よりも大きな角度で傾斜する傾斜部が部分的に設けられている
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯機において、
前記洗剤ケースと前記洗剤ボックスは、前部が上流側となり、後部が下流側となるように配置され、かつ、それぞれの底面が前部から後部に向けて高さが低くなるように形成されている
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の洗濯機において、
前記洗剤ボックスは、
前部の一方の側面に外部から供給される水が流れ込む側面流入部を有するとともに、
後部の他方の側面の近傍に水が外部に流出される流出部を有する
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項4】
請求項3に記載の洗濯機において、
前記洗剤ボックスは、
前記側面流入部から前記傾斜部に向けて水の流れを誘導する壁面部を有する
ことを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗濯機において、洗剤(柔軟剤を含む)を洗濯槽に自動投入する機能を有するものが普及している(例えば、特許文献1参照)。この種の洗濯機の中には、洗剤(柔軟剤を含む)が収容される収容部を有する洗剤ケースの下に、洗剤ケースの収容部から落下する洗剤を受け止める洗剤ボックスを配置した構成になっているものがある。洗剤ボックスの底面全体は、上流側から下流側に洗剤が流れるように、勾配が設けられた構成になっている。この構成の洗濯機は、外部から洗剤ケースと洗剤ボックスとに水が供給されるようになっており、洗剤ケースと洗剤ボックスとに供給される水に洗剤を溶け込ませながら、水と一緒に洗剤を洗剤ボックスから洗濯槽に流出させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許出願公開第107385800号明細書(
図6及び
図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された従来の洗濯機は、洗剤ケースの収容部に粉末洗剤が収容されている場合に、収容部に設けられた出口から洗剤ボックスの底面の上に粉末洗剤が落下すると、落下場所の周囲に粉末洗剤が飛散する。落下場所の周囲の場所の中でも、特に洗剤ケースの収容部の出口直下の場所よりも高い場所は、洗剤ボックスに供給される水が粉末洗剤に触れ難く、洗剤ボックスの底面上に落下した粉末洗剤が残存し易い場所になっている。そのため、洗剤ケースの収容部の出口直下の場所よりも高い場所は、粉末洗剤の溶け残りが発生し易い場所になっている。従来の洗濯機は、このような場所に粉末洗剤が飛散すると、粉末洗剤の溶け残りが発生する可能性があった。そして、従来の洗濯機は、粉末洗剤の溶け残りが発生した場合に、規定量の洗剤が洗濯槽内に供給されないため、洗浄能力の低下が発生する、という課題があった。
【0005】
この課題を解決するために、従来の洗濯機は、洗剤ボックスの底面全体の勾配を大きくして(つまり、洗剤ボックスの底面の急勾配を確保して)、粉末洗剤の溶け残りが発生し易い場所から粉末洗剤を落下させ易くすることが検討されている。しかしながら、このように構成すると、洗剤ボックスが高さ方向に大型化してしまう。洗剤ボックスが高さ方向に大型化すると、洗濯機も高さ方向に大型化してしまう。そのため、従来の洗濯機は、洗濯機の寸法の制約により、洗剤ボックスの底面全体の勾配を大きくすること(つまり、洗剤ボックスの底面の急勾配を確保すること)を実現し難い場合がある、という課題があった。
【0006】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、洗剤ボックスの高さ方向の大型化を招くことなく、粉末洗剤の溶け残りが発生し易い場所に洗剤が飛散することを抑制した洗濯機を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、洗濯機であって、洗剤が収容される1乃至複数の収容部を有する洗剤ケースと、前記洗剤ケースの任意の収容部に水を供給するシャワーケースと、水が供給された収容部から水と一緒に落下する洗剤を受け止めて、外部から供給された水と一緒に当該洗剤を外部に流出させる洗剤ボックスと、備え、前記洗剤ボックスは、前記洗剤ケースの前記収容部に設けられた出口が当該洗剤ボックスの底面に形成された水を流すための流路部の上に配置されるように、前記洗剤ケースの下に配置されており、さらに、前記流路部上における前記収容部の出口直下の場所よりも高い場所に、下流側から上流側に向かって当該洗剤ボックスの底面の勾配角度よりも大きな角度で傾斜する傾斜部が部分的に設けられている構成とする。
その他の手段は、後記する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、洗剤ボックスの高さ方向の大型化を招くことなく、粉末洗剤の溶け残りが発生し易い場所に洗剤が飛散することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】実施形態に係る洗濯機の内部構成の斜視図である。
【
図4】実施形態に係る洗濯機に搭載された給水ユニットの上面図である。
【
図5】実施形態に係る洗濯機に搭載された給水ユニットの内部構成図である。
【
図6】給水ユニットに用いられている洗剤投入部の分解斜視図である。
【
図7】洗剤投入部の下部を構成する洗剤ボックスの斜視図である。
【
図8】洗剤投入部の下部を構成する洗剤ボックスの上面図である。
【
図10】洗剤投入部の内部を流れる洗剤等の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)について詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示しているに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0011】
なお、特許文献1に記載された従来の洗濯機は、洗剤ケースにおける洗剤や水の進行方向と洗剤ボックスにおける洗剤や水の進行方向とが逆方向になっている。このような特許文献1に記載された従来の洗濯機は、洗剤ケースから洗剤ボックスに落下した直後の洗剤や水の流動速度を低下させてしまう。そのため、特許文献1に記載された従来の洗濯機は、洗剤ケースから洗剤ボックスに落下した洗剤や水を下流側に円滑に流動させることができず、洗剤ボックスの底面に粉末洗剤が残存してしまい、粉末洗剤の溶け残りが発生する可能性がある。このような特許文献1に記載された従来の洗濯機は、洗剤ボックスの底面全体の勾配を大きくしなければ、洗剤ケースから洗剤ボックスに落下した洗剤や水を下流側に円滑に流動させることができない。つまり、特許文献1に記載された従来の洗濯機は、洗剤ボックスの底面の急勾配を確保しなければ、洗剤ケースから洗剤ボックスに落下した洗剤や水を下流側に円滑に流動させることができない。そのため、このような要因によっても、特許文献1に記載された従来の洗濯機は、洗剤ボックスが高さ方向に大型化し易かった。
【0012】
そこで、本実施形態では、洗剤ケースにおける洗剤や水の進行方向と洗剤ボックスにおける洗剤や水の進行方向とが同じ方向になるように構成することで、洗剤ボックスの高さ方向の小型化を実現可能な洗濯機100を提供することも意図している。
【0013】
<洗濯機の全体構成>
以下、
図1乃至
図3を参照して、本実施形態に係る洗濯機100の全体構成について説明する。ここでは、洗濯機100がグローバル・スタンダード・ドラム式の洗濯機である場合を想定して説明する。グローバル・スタンダード・ドラム式の洗濯機は、洗面台等に組み込み可能な形態になっている洗濯機である。
図1は、本実施形態に係る洗濯機100の外観斜視図である。
図2は、洗濯機100の内部構成図である。
図2は、上面カバー11cとドア12とを取り外した洗濯機100の内部構成を示している。
図3は、洗濯機100の内部構成の斜視図である。
図3は、筐体11を取り外した洗濯機100の左斜め上から見た内部構成を示している。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る洗濯機100は、筐体11と、筐体11の前面に取り付けられたドア12と、を備えている。
筐体11は、前面カバー11aと、筐体本体11bと、上面カバー11cと、を有している。
ドア12は、上部にドア開放取っ手12aが設けられ、前面に操作部13が設けられている。
【0015】
図2に示すように、洗濯機100は、筐体11の内部の略中央にドラム14を備え、ドラム14の上方に制御ユニット20と給水ユニット30とを備え、ドラム14の側部から上方にかけて乾燥ユニット40を備えている。
【0016】
ドラム14は、洗濯物の収容部である。ドラム14は、水槽として機能する外槽17(
図3参照)に内包されている。ドラム14の内部には、ドラム14に収容された洗濯物をかき上げるためのバッフル15が設けられている。筐体11の前面側には、開閉自在な前面カバー11aが設けられている。外槽17(
図3参照)の前面部と前面カバー11aとの間は、ベロース16で封止されている。
【0017】
制御ユニット20は、洗濯機100の全体の動作を制御する。制御ユニット20は、ドラム14の上方に配置されたケース体21に取り付けられている。給水ユニット30は、給水を制御する給水弁31を有している。給水ユニット30は、給水弁31を介して図示せぬ給水機構に接続されている。制御ユニット20は、給水弁31を制御することで、外部から供給される水の取り込み及び取り込みの停止を行う。
【0018】
乾燥ユニット40は、空気を加熱しながら、ドラム14との間で空気を循環させる構成になっている。乾燥ユニット40は、加熱部41と、送風ファン42と、を有している。乾燥ユニット40は、送風ファン42を駆動させることで乾燥ユニット40とドラム14との間で空気を循環させるとともに、加熱部41を加熱させることで空気を加熱させて、ドラム14に収容された洗濯物を乾燥させる。
【0019】
図3に示すように、給水ユニット30は、シャワーケース32と、シャワーケースカバー33と、洗剤投入部50と、を備えている。
【0020】
シャワーケース32は、洗剤投入部50に内蔵された洗剤ケース51に水を供給するためのケースである。シャワーケース32の内部には、洗剤ケース51に設けられた洗剤等の収容部に水を供給するための流路が形成されている。シャワーケース32は、洗剤ケース51に設けられた洗剤等の収容部に対して上から水を降り注ぐ。シャワーケース32の上部には、シャワーケースカバー33が取り付けられており、シャワーケースカバー33によってシャワーケース32の流路が密封されている。
【0021】
<給水ユニットの構成>
以下、
図4及び
図5を参照して、給水ユニット30の構成について説明する。
図4は、給水ユニット30の上面図である。
図5は、給水ユニット30の内部構成図である。なお、
図5は、シャワーケースカバー33を取り外した状態の給水ユニット30の構成を示している。なお、以下の説明では、「上流」及び「下流」は、水や洗剤等の流れる方向を基準にしている。
【0022】
図4に示すように、給水ユニット30は、給水弁31を介して図示せぬ給水機構に接続されている。給水ユニット30は、シャワーケース32と、洗剤投入部50と、を備えている。
【0023】
シャワーケース32は、洗剤投入部50に内蔵された洗剤ケース51に水を供給するためのケースである。シャワーケース32の内部には、洗剤ケース51に設けられた洗剤等の収容部(具体的には、後記する自動投入洗剤収容部51a、自動投入柔軟剤収容部51b、手動投入洗剤収容部51c、手動投入柔軟剤収容部51d)に水を供給するための流路が形成されている。シャワーケース32は、洗剤ケース51の任意の収容部に対して上から水を降り注ぐ。シャワーケース32の上部には、シャワーケースカバー33が取り付けられており、シャワーケースカバー33によってシャワーケース32の流路が密封されている。
【0024】
図5に示すように、洗剤投入部50は、洗剤ケース51と、洗剤ケースカバー52と、洗剤ボックス53と、を有している。
【0025】
洗剤ケース51は、洗剤が収容される1乃至複数の収容部を有する部材である。
洗剤ケースカバー52は、洗剤ケース51の上面に取り付けられる部材である。
洗剤ボックス53は、水が供給された洗剤ケース51から水と一緒に落下する洗剤を受け止める部材である。
【0026】
洗剤ケース51は、自動投入洗剤収容部51aと、自動投入柔軟剤収容部51bと、手動投入洗剤収容部51cと、手動投入柔軟剤収容部51dと、を有している。
【0027】
自動投入洗剤収容部51aは、自動投入用の洗剤が収容される部位である。自動投入柔軟剤収容部51bは、自動投入用の柔軟剤(仕上剤)が収容される部位である。手動投入洗剤収容部51cは、手動投入用の洗剤が収容される部位である。手動投入洗剤収容部51cには、液体洗剤又は粉末洗剤が投入される。手動投入柔軟剤収容部51dは、手動投入用の柔軟剤(仕上剤)が収容される部位である。
【0028】
<洗剤投入部の構成>
以下、
図6乃至
図10を参照して、洗剤投入部50の構成について説明する。
図6は、洗剤投入部50の分解斜視図である。なお、
図6は、洗剤ボックス53(
図5参照)を取り外した状態の洗剤投入部50の構成を示している。
図7は、洗剤ボックス53の斜視図である。
図8は、洗剤ボックス53の上面図である。
図9は、洗剤投入部50の側断面図である。
図10は、洗剤投入部50の内部を流れる洗剤等の説明図である。
【0029】
図6に示すように、洗剤投入部50は、右側の前方に自動投入洗剤収容部51aを有しており、自動投入洗剤収容部51aの後方に自動投入柔軟剤収容部51bを有している。また、洗剤投入部50は、左側の前方に手動投入洗剤収容部51cを有しており、手動投入洗剤収容部51cの後方(具体的には、後部上方)に手動投入柔軟剤収容部51dを有している。
【0030】
図6に示すように、洗剤投入部50は、洗剤ケース51の上に、洗剤ケースカバー52が配置された構成になっている。
【0031】
洗剤ケース51は、自動投入洗剤収容部51aと、自動投入柔軟剤収容部51bと、手動投入洗剤収容部51cと、を有している。自動投入洗剤収容部51aと自動投入柔軟剤収容部51bと手動投入洗剤収容部51cの各底面は、前方から後方に向けて高さが低くなるように傾斜した傾斜面になっている。
【0032】
自動投入洗剤収容部51aは、自動投入柔軟剤収容部51bと手動投入洗剤収容部51cとの間を通って、手動投入洗剤収容部51cの後方に後部が回り込むように形成されている。自動投入洗剤収容部51aの後部には、フロート61aが配置されており、フロート61aの上にはフロートカバー62aが配置されている。本実施形態では、フロート61aは、下側に向けて径が小さくなる円錐の形状(円錐台の形状を含む)を呈しているものとして説明する。フロート61aの周囲には、フロート61aを上下動可能に支持する3つ以上(図示例では、3つ)のガイド部59aが配置されている。
【0033】
自動投入柔軟剤収容部51bは、後方に延在するように形成されている。自動投入柔軟剤収容部51bの後部には、フロート61bが配置されており、フロート61bの上にはフロートカバー62bが配置されている。以下、フロート61aとフロート61bとを総称する場合に「フロート61」と称し、フロートカバー62aとフロートカバー62bとを総称する場合に「フロートカバー62」と称する。本実施形態では、フロート61bは、フロート61aと同様に、下側に向けて径が小さくなる円錐の形状(円錐台の形状を含む)を呈しているものとして説明する。フロート61bの周囲には、フロート61bを上下動可能に支持する3つ以上(図示例では、3つ)のガイド部59bが配置されている。以下、ガイド部59aとガイド部59bとを総称する場合に「ガイド部59」と称する。本実施形態では、ガイド部59が洗剤ケース51の底面部に一体成型されているものとして説明する。ただし、ガイド部59は洗剤ケース51とは別部品として構成して洗剤ケース51の底面部に接着剤等で固定するようにしてもよい。
【0034】
手動投入洗剤収容部51cは、後方に延在するように形成されている。手動投入洗剤収容部51cの後部上方には、手動投入柔軟剤収容部51dが配置される。
【0035】
洗剤ケースカバー52は、自動投入洗剤収容部51aに通じる開口部OP51aと、自動投入柔軟剤収容部51bに通じる開口部OP51bと、手動投入洗剤収容部51cに通じる開口部OP51cと、手動投入柔軟剤収容部51dと、を有している。
【0036】
開口部OP51aの上には、開閉自在な蓋CP51aが取り付けられている。また、開口部OP51bの上には、開閉自在な蓋CP51bが取り付けられている。手動投入柔軟剤収容部51dは、洗剤ケース51に形成された手動投入洗剤収容部51cの上に積層して配置される。手動投入柔軟剤収容部51dの底面は、前方から後方に向けて高さが低くなるように傾斜した傾斜面になっている。手動投入柔軟剤収容部51dの内部には、手動投入用の柔軟剤を手動投入洗剤収容部51cに導くための筒体TU51dが設けられている。筒体TU51dの上には蓋CP51dが取り付けられる。
【0037】
図7及び
図8に示すように、洗剤ボックス53は、側面に側面流入部53aを有するとともに、底面に、流路部53bと、傾斜部53cと、流出部53dと、壁面部53eと、を有している。
【0038】
側面流入部53aは、外部から供給される水が流れ込む部位である。側面流入部53aは、洗剤ボックス53の前部における一方の側面(図示例では、右側面)に設けられている。
【0039】
流路部53bは、水を流す流路として機能する部位である。流路部53bは、洗剤ボックス53の底面に形成されている。
【0040】
傾斜部53cは、粉末洗剤の飛散を防止するために傾斜して形成された部位である。傾斜部53cは、流路部53b上における洗剤ケース51の手動投入洗剤収容部51cの出口OUT51c直下の場所よりも高い場所に部分的に設けられている。なお、流路部53b上における洗剤ケース51の手動投入洗剤収容部51cの出口OUT51c直下の場所よりも高い場所は、粉末洗剤の溶け残りが発生し易い場所になっている。傾斜部53cは、下流側から上流側に向かって洗剤ボックス53の底面の勾配角度よりも大きな角度で傾斜するように設けられている。
【0041】
流出部53dは、洗剤ボックス53内の水を外部に流出させる部位である。流出部53dは、洗剤ボックス53の後部における他方の側面(図示例では、左側面)の近傍に設けられている。
【0042】
壁面部53eは、水の流れを誘導する壁面が形成された部位である。壁面部53eは、側面流入部53aから傾斜部53cに向けて水の流れを誘導する。
【0043】
側面流入部53aから洗剤ボックス53内に流れ込んだ水は、流路部53bや傾斜部53cを通って流出部53dに到達する。その際に、洗剤ケース51から洗剤ボックス53に落下した洗剤(柔軟剤を含む)が水に溶け込む。洗剤は、液体洗剤の場合もあれば、粉末洗剤の場合もある。洗剤が溶け込んだ水は、流出部53dから図示せぬ経路を経て洗濯槽(外槽17)に送られる。
【0044】
図9に示すように、洗剤ケース51の手動投入洗剤収容部51cの後端部(最下流部)には、出口OUT51cが設けられている。出口OUT51cは、洗剤ボックス53の流路部53b上に洗剤を落下させるための開口部である。出口OUT51c直下の場所は、傾斜部53cよりも若干下流側の場所になっている。換言すると、傾斜部53cが形成されている場所は、出口OUT51c直下の場所よりも若干上流側の場所になっている。
【0045】
図10に示すように、手動投入洗剤収容部51cに収容された洗剤は、シャワーケース32から降り注がれる(供給される)水に流されて、出口OUT51cの方向に移動する(矢印A11参照)。この後、洗剤は、水と一緒に出口OUT51cから排出されて洗剤ボックス53の流路部53b上に落下する(矢印A12参照)。このとき、洗剤は、洗剤ボックス53の流路部53bに衝突することで飛散するが、出口OUT51c直下の場所よりも上流側の場所に飛散することを傾斜部53cによって抑制されるとともに、流路部53bの勾配によって下流側に流れるように誘導される(矢印A12a参照)。この後、洗剤は、流路部53b上を水と一緒に流れて流出部53dの方向に移動する(矢印A13参照)。
【0046】
なお、手動投入柔軟剤収容部51dに収容された柔軟剤は、筒体TU51dに吸い上げられ、筒体TU51dの内部を通って手動投入洗剤収容部51cに送られ、手動投入洗剤収容部51cを通って洗剤ボックス53に送られる。
【0047】
係る構成において、洗濯機100は、手動投入洗剤収容部51cの出口OUT51c直下の場所よりも若干高い場所に部分的に形成された急勾配形状の傾斜部53cを有している。このような洗濯機100は、手動投入洗剤収容部51cに粉末洗剤が投入された場合において、洗剤ケース51から洗剤ボックス53に落下した粉末洗剤が溶け残りが発生し易い場所に飛散することを物理的に防いで、粉末洗剤の溶け残りの発生を抑制することができる。これにより、洗濯機100は、洗浄能力の低下を防ぐことができる。
【0048】
また、洗濯機100は、洗剤ボックス53の高さを低くすることができるため、洗剤ボックス53を小型化することができる。そのため、洗濯機100は、洗濯機100の寸法の制約により、洗剤ボックス53の底面全体に一律で急勾配を設けることが厳しい場合であっても、洗剤ケース51から洗剤ボックス53に落下した粉末洗剤が溶け残りが発生し易い場所に飛散することを抑制することができる。しかも、洗濯機100は、設計の自由度を向上させることができる。
【0049】
<洗濯機の主な特徴>
(1)
図9に示すように、本実施形態に係る洗濯機100は、洗剤が収容される1乃至複数の収容部を有する洗剤ケース51と、洗剤ケース51の任意の収容部に水を供給するシャワーケース32と、水が供給された収容部から水と一緒に落下する洗剤を受け止めて、外部から供給された水と一緒に洗剤を外部に流出させる洗剤ボックス53と、備えている。洗剤ボックス53は、洗剤ケース51の収容部(手動投入洗剤収容部51c)に設けられた出口OUT51cが洗剤ボックス53の底面に形成された水を流すための流路部53bの上に配置されるように、洗剤ケース51の下に配置されている。さらに、洗剤ボックス53は、流路部53b上における収容部の出口OUT51c直下の場所よりも高い場所に、下流側から上流側に向かって洗剤ボックス53の底面の勾配角度よりも大きな角度で傾斜する傾斜部53cが部分的に設けられている。
【0050】
このような本実施形態に係る洗濯機100は、洗剤ボックス53の底面に傾斜部53cが部分的に設けられている。そのため、本実施形態に係る洗濯機100は、粉末洗剤の溶け残りが発生し易い場所である流路部53b上における収容部の出口OUT51c直下の場所よりも高い場所に洗剤が飛散することを抑制することができる。しかも、本実施形態に係る洗濯機100は、洗剤ボックス53の底面全体の勾配を大きくすることなく(つまり、洗剤ボックス53の底面の急勾配を確保することなく)、粉末洗剤の溶け残りが発生し易い場所に洗剤が飛散することを抑制することができる。そのため、本実施形態に係る洗濯機100は、洗剤ボックス53の高さ方向の大型化を招かないようにすることができる。
【0051】
(2)
図9に示すように、本実施形態に係る洗濯機100の洗剤ケース51と洗剤ボックス53は、前部が上流側となり、後部が下流側となるように配置され、かつ、それぞれの底面が前部から後部に向けて高さが低くなるように形成されている。つまり、本実施形態に係る洗濯機100は、洗剤ケース51における洗剤や水の進行方向と洗剤ボックス53における洗剤や水の進行方向とが同じ方向になるように構成されているとよい。
【0052】
このような本実施形態に係る洗濯機100は、洗剤ボックス53の底面全体の勾配を大きくすることなく、つまり、洗剤ボックス53の底面の急勾配を確保することなく、洗剤ケース51から洗剤ボックス53に落下した直後の洗剤や水の流動速度を低下させないようにすることができる。このような本実施形態に係る洗濯機100は、洗剤ボックス53の高さ方向の小型化を実現することができる。
【0053】
(3)
図7及び
図8に示すように、本実施形態に係る洗濯機100の洗剤ボックス53は、前部の一方の側面に外部から供給される水が流れ込む側面流入部53aを有するとともに、後部の他方の側面の近傍に水が外部に流出される流出部53dを有する。
【0054】
このような本実施形態に係る洗濯機100は、前部に設けられた側面流入部53aから後部に設けられた流出部53dに向けて水や洗剤を円滑に流動させることができる。このような本実施形態に係る洗濯機100は、粉末洗剤の溶け残りが発生し易い場所に付着した粉末洗剤を水と一緒に下流側に良好に流動させることができる。
【0055】
(4)
図7及び
図8に示すように、本実施形態に係る洗濯機100の洗剤ボックス53は、側面流入部53aから傾斜部53cに向けて水の流れを誘導する壁面部53eを有する。
【0056】
このような本実施形態に係る洗濯機100は、比較的速い流動速度を維持した状態で、側面流入部53aから傾斜部53cに向けて水を流動させることができる。そのため、本実施形態に係る洗濯機100は、粉末洗剤の溶け残りが発生し易い場所である傾斜部53cに一時的に付着した粉末洗剤を水と一緒に下流側に良好に流動させることができる。
【0057】
以上の通り、本実施形態に係る洗濯機100によれば、洗剤ボックス53の高さ方向の大型化を招くことなく、粉末洗剤の溶け残りが発生し易い場所に洗剤が飛散することを抑制することができる。
【0058】
本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の構成を加えることも可能である。また、各構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0059】
例えば、前記した実施形態では、洗濯機100が乾燥ユニット40を備えているものとして説明したが、洗濯機100は乾燥ユニット40を備えない構成、つまり、乾燥機能を有さない洗濯機能のみの洗濯機にすることができる。
【0060】
また、例えば、洗濯機100は、縦型等の、ドラム式以外の形態の洗濯機であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
11 筐体
11a 前面カバー
11b 筐体本体
11c 上面カバー
12 ドア
12a ドア開放取っ手
13 操作部
14 ドラム
15 バッフル
16 ベロース
20 制御ユニット
21 ケース体
30 給水ユニット
31 給水弁
32 シャワーケース
33 シャワーケースカバー
40 乾燥ユニット
41 加熱部
42 送風ファン
50 洗剤投入部
51 洗剤ケース
51a 自動投入洗剤収容部
51b 自動投入柔軟剤収容部
51c 手動投入洗剤収容部(収容部)
51d 手動投入柔軟剤収容部
52 洗剤ケースカバー
53 洗剤ボックス
53a 側面流入部
53b 流路部
53c 傾斜部
53d 流出部
53e 壁面部
59(59a,59b) ガイド部
61(61a,61b),161(161a,161b) フロート
62(62a,62b) フロートカバー
100 洗濯機
CP51a,CP51b,CP51d 蓋
OP51a,OP51b,OP51c 開口部
OUT51c 出口
TU51d 筒体