IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立製作所の特許一覧

特開2023-120742計算機システム、施策の定義の評価方法、及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120742
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】計算機システム、施策の定義の評価方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0201 20230101AFI20230823BHJP
【FI】
G06Q30/02 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023762
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リョウ ウシン
(72)【発明者】
【氏名】恵木 正史
(72)【発明者】
【氏名】高橋 正和
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB02
(57)【要約】
【課題】要素の母集団に対する、比較グループに含まれる要素のバイアスを評価する。
【解決手段】計算機システムは、施策の効果の評価に用いる、前記施策の要素の集合である比較グループを生成するための割当条件を含む施策定義データを格納する施策定義管理情報を保持し、施策定義データに基づいて生成された比較グループと、施策定義データに含まれる割当条件に合致する要素の母集団とを特定し、比較グループに含まれる要素の属性の分布と、母集団に含まれる要素の属性の分布とに基づいて、比較グループにおける要素のバイアスが発生しているか否かを判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサ及び前記プロセッサに接続される記憶装置を有する計算機を少なくとも一つ含む計算機システムであって、
施策の効果の評価に用いる、前記施策の要素の集合である比較グループを生成するための割当条件を含む施策定義データを格納する施策定義管理情報を保持し、
前記少なくとも一つの計算機は、
前記施策定義データに基づいて生成された前記比較グループと、前記施策定義データに含まれる前記割当条件に合致する前記要素の母集団とを特定し、
前記比較グループに含まれる前記要素の属性の分布と、前記母集団に含まれる前記要素の属性の分布とに基づいて、前記比較グループにおける前記要素のバイアスが発生しているか否かを判定することを特徴とする計算機システム。
【請求項2】
請求項1に記載の計算機システムであって、
前記少なくとも一つの計算機は、
前記比較グループに含まれる前記要素の属性の分布と、前記母集団に含まれる前記要素の属性の分布との類似度を算出し、
前記類似度に基づいて、前記バイアスが発生しているか否かを判定することを特徴とする計算機システム。
【請求項3】
請求項1に記載の計算機システムであって、
前記施策定義管理情報は、第1割当条件を含む、第1施策の第1施策定義データと、第2割当条件を含む、第2施策の第2施策定義データと、を格納し、
前記少なくとも一つの計算機は、
前記第1割当条件に合致する要素の集合と、前記第1割当条件及び前記第2割当条件に合致する要素の集合とに基づいて、前記第1施策定義データに基づいて生成される前記比較グループにおける前記バイアスの発生に対する、前記第1割当条件及び前記第2割当条件の組合せの影響の程度を示すスコアを算出し、
前記スコアに基づいて、前記第1割当条件及び前記第2割当条件の組合せが前記第1施策定義データに基づいて生成される前記比較グループにおける前記バイアスの発生要因であるか否かを判定することを特徴とする計算機システム。
【請求項4】
請求項1に記載の計算機システムであって、
前記少なくとも一つの計算機は、
第3割当条件を含む、第3施策の第3施策定義データの登録要求を受け付けた場合、前記施策定義管理情報に格納される前記施策定義データを取得し、
前記第3施策定義データに基づいて生成される前記比較グループにおける前記バイアスの発生に対する、前記第3割当条件及び取得した前記施策定義管理情報に含まれる前記割当条件の組合せの影響の程度を示すスコアを算出し、
前記スコアに基づいて、前記第3割当条件及び取得された前記施策定義管理情報に含まれる前記割当条件の組合せが前記第3施策定義データに基づいて生成される前記比較グループにおける前記バイアスの発生要因であるか否かを判定することを特徴とする計算機システム。
【請求項5】
請求項1に記載の計算機システムであって、
前記少なくとも一つの計算機は、前記施策定義管理情報から一つの前記施策定義データを取得し、取得した前記施策定義データに含まれる前記割当条件に基づいて一つの前記要素を選択する処理を繰り返し実行することによって、前記施策定義管理情報に格納される複数の前記施策定義データに対応する前記施策の前記比較グループを生成することを特徴とする計算機システム。
【請求項6】
計算機システムが実行する施策の定義の評価方法であって、
前記計算機システムは、
プロセッサ及び前記プロセッサに接続される記憶装置を有する計算機を少なくとも一つ含み、
施策の効果の評価に用いる、前記施策の要素の集合である比較グループを生成するための割当条件を含む施策定義データを格納する施策定義管理情報を保持し、
前記施策の定義の評価方法は、
前記少なくとも一つの計算機が、前記施策定義データに基づいて生成された前記比較グループと、前記施策定義データに含まれる前記割当条件に合致する前記要素の母集団とを特定する第1のステップと、
前記少なくとも一つの計算機が、前記比較グループに含まれる前記要素の属性の分布と、前記母集団に含まれる前記要素の属性の分布とに基づいて、前記比較グループにおける前記要素のバイアスが発生しているか否かを判定する第2のステップと、を含むことを特徴とする施策の定義の評価方法。
【請求項7】
請求項6に記載の施策の定義の評価方法であって、
前記第2のステップは、
前記少なくとも一つの計算機が、前記比較グループに含まれる前記要素の属性の分布と、前記母集団に含まれる前記要素の属性の分布との類似度を算出するステップと、
前記少なくとも一つの計算機が、前記類似度に基づいて、前記バイアスが発生しているか否かを判定するステップと、を含むことを特徴とする施策の定義の評価方法。
【請求項8】
請求項6に記載の施策の定義の評価方法であって、
前記施策定義管理情報は、第1割当条件を含む、第1施策の第1施策定義データと、第2割当条件を含む、第2施策の第2施策定義データと、を格納し、
前記施策の定義の評価方法は、
前記少なくとも一つの計算機が、前記第1割当条件に合致する要素の集合と、前記第1割当条件及び前記第2割当条件に合致する要素の集合とに基づいて、前記第1施策定義データに基づいて生成される前記比較グループにおける前記バイアスの発生に対する、前記第1割当条件及び前記第2割当条件の組合せの影響の程度を示すスコアを算出するステップと、
前記少なくとも一つの計算機が、前記スコアに基づいて、前記第1割当条件及び前記第2割当条件の組合せが前記第1施策定義データに基づいて生成される前記比較グループにおける前記バイアスの発生要因であるか否かを判定するステップと、を含むことを特徴とする施策の定義の評価方法。
【請求項9】
請求項6に記載の施策の定義の評価方法であって、
前記少なくとも一つの計算機が、第3割当条件を含む、第3施策の第3施策定義データの登録要求を受け付けた場合、前記施策定義管理情報に格納される前記施策定義データを取得するステップと、
前記少なくとも一つの計算機が、前記第3施策定義データに基づいて生成される前記比較グループにおける前記バイアスの発生に対する、前記第3割当条件及び取得した前記施策定義管理情報に含まれる前記割当条件の組合せの影響の程度を示すスコアを算出するステップと、
前記少なくとも一つの計算機が、前記スコアに基づいて、前記第3割当条件及び取得された前記施策定義管理情報に含まれる前記割当条件の組合せが前記第3施策定義データに基づいて生成される前記比較グループにおける前記バイアスの発生要因であるか否かを判定するステップと、を含むことを特徴とする施策の定義の評価方法。
【請求項10】
請求項6に記載の施策の定義の評価方法であって、
前記少なくとも一つの計算機が、前記施策定義管理情報から一つの前記施策定義データを取得し、取得した前記施策定義データに含まれる前記割当条件に基づいて一つの前記要素を選択する処理を繰り返し実行することによって、前記施策定義管理情報に格納される複数の前記施策定義データに対応する前記施策の前記比較グループを生成するステップを含むことを特徴とする施策の定義の評価方法。
【請求項11】
プロセッサ及び前記プロセッサに接続される記憶装置を有し、施策の効果の評価に用いる、前記施策の要素の集合である比較グループを生成するための割当条件を含む施策定義データを格納する施策定義管理情報を保持する計算機に手順を実行させるためのプログラムであって、
前記施策定義データに基づいて生成された前記比較グループと、前記施策定義データに含まれる前記割当条件に合致する前記要素の母集団とを特定する第1の手順と、
前記少なくとも一つの計算機が、前記比較グループに含まれる前記要素の属性の分布と、前記母集団に含まれる前記要素の属性の分布とに基づいて、前記比較グループにおける前記要素のバイアスが発生しているか否かを判定する第2の手順と、を前記計算機に実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムであって、
前記第2の手順は、
前記比較グループに含まれる前記要素の属性の分布と、前記母集団に含まれる前記要素の属性の分布との類似度を算出する手順と、
前記類似度に基づいて、前記バイアスが発生しているか否かを判定する手順と、を含むことを特徴とするプログラム。
【請求項13】
請求項11に記載のプログラムであって、
前記施策定義管理情報は、第1割当条件を含む、第1施策の第1施策定義データと、第2割当条件を含む、第2施策の第2施策定義データと、を格納し、
前記プログラムは、
前記第1割当条件に合致する要素の集合と、前記第1割当条件及び前記第2割当条件に合致する要素の集合とに基づいて、前記第1施策定義データに基づいて生成される前記比較グループにおける前記バイアスの発生に対する、前記第1割当条件及び前記第2割当条件の組合せの影響の程度を示すスコアを算出する手順と、
前記スコアに基づいて、前記第1割当条件及び前記第2割当条件の組合せが前記第1施策定義データに基づいて生成される前記比較グループにおける前記バイアスの発生要因であるか否かを判定する手順と、を前記計算機に実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項14】
請求項11に記載のプログラムであって、
第3割当条件を含む、第3施策の第3施策定義データの登録要求を受け付けた場合、前記施策定義管理情報に格納される前記施策定義データを取得する手順と、
前記第3施策定義データに基づいて生成される前記比較グループにおける前記バイアスの発生に対する、前記第3割当条件及び取得した前記施策定義管理情報に含まれる前記割当条件の組合せの影響の程度を示すスコアを算出する手順と、
前記スコアに基づいて、前記第3割当条件及び取得された前記施策定義管理情報に含まれる前記割当条件の組合せが前記第3施策定義データに基づいて生成される前記比較グループにおける前記バイアスの発生要因であるか否かを判定する手順と、を前記計算機に実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項15】
請求項11に記載のプログラムであって、
前記施策定義管理情報から一つの前記施策定義データを取得し、取得した前記施策定義データに含まれる前記割当条件に基づいて一つの前記要素を選択する処理を繰り返し実行することによって、前記施策定義管理情報に格納される複数の前記施策定義データに対応する前記施策の前記比較グループを生成する手順を前記計算機に実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施策の評価に用いる比較グループに含まれる要素のバイアスの評価技術に関する。
【背景技術】
【0002】
業務効率、生産性、及び売上げ等の指標を改善させるために様々な施策が実施される。本明細書の「施策」は、施策の実施対象にリソースを用いて、ある作用を目的とした行為を行うこと、と定義する。
【0003】
施策を評価する方法としてABテストが知られている。ABテストは、A群及びB群の二つの比較グループに分けて、A群及びB群に異なる行為を行い、A群及びB群における行為の結果を比較し、施策の効果及び因果関係を評価する手法である。
【0004】
ABテストでは比較グループに対する要素の割当てが重要である。本明細書の施策では、対象及びリソースの各々を適切に割り当てる必要がある。これに対して、分割対象の属性に基づく比較グループの割当方法が知られている(例えば、特許文献1の段落[0046]、[0047])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-89485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術では、比較グループ間の要素の属性のバイアスに着目しているが、選択対象となる要素の集合(母集団)と、比較グループに含まれる要素群との間の属性のバイアスは着目されていない。比較グループに含まれる要素の属性の分布は、母集団に含まれる要素の属性の分布と類似していることが望ましい。二つの分布が異なる場合、バイアスが発生していることを示す。
【0007】
本発明は、要素の母集団に対する、比較グループに含まれる要素のバイアスを評価するシステム及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、プロセッサ及び前記プロセッサに接続される記憶装置を有する計算機を少なくとも一つ含む計算機システムであって、施策の効果の評価に用いる、前記施策の要素の集合である比較グループを生成するための割当条件を含む施策定義データを格納する施策定義管理情報を保持し、前記少なくとも一つの計算機は、前記施策定義データに基づいて生成された前記比較グループと、前記施策定義データに含まれる前記割当条件に合致する前記要素の母集団とを特定し、前記比較グループに含まれる前記要素の属性の分布と、前記母集団に含まれる前記要素の属性の分布とに基づいて、前記比較グループにおける前記要素のバイアスが発生しているか否かを判定する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、計算機システムは、要素の母集団に対する、比較グループに含まれる要素のバイアスを評価し、提示することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1の計算機システムの構成の一例を示す図である。
図2】実施例1の施策評価システムに含まれる計算機のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】実施例1の施策定義管理情報の一例を示す図である。
図4】実施例1のリソース管理情報の一例を示す図である。
図5】実施例1の施策対象管理情報一例を示す図である。
図6】実施例1の施策実施計画管理情報の一例を示す図である。
図7A】実施例1のバイアス分析結果管理情報の一例を示す図である。
図7B】実施例1のバイアス分析結果管理情報の一例を示す図である。
図8】実施例1の端末が表示する画面の一例を示す図である。
図9】実施例1の施策評価システムが実行する施策実施計画生成処理の一例を説明するフローチャートである。
図10A】実施例1の施策評価システムが実行するバイアス評価指標算出処理の一例を説明するフローチャートである。
図10B】実施例1の施策評価システムが実行するバイアス評価指標算出処理の一例を説明するフローチャートである。
図11】実施例2の第2バイアス分析情報の一例を示す図である。
図12】実施例1の端末が表示する画面の一例を示す図である。
図13】実施例2の施策評価システムが実行する要因分析処理の一例を説明するフローチャートである。
図14】実施例2の端末が表示する画面の一例を示す図である。
図15】実施例3の端末が表示する画面の一例を示す図である。
図16】実施例3の施策評価システムが実行する施策定義評価処理の一例を説明するフローチャートである。
図17】従来の課題を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を、図面を用いて説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし趣旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
【0012】
以下に説明する発明の構成において、同一又は類似する構成又は機能には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」等の表記は、構成要素を識別するために付するものであり、必ずしも、数又は順序を限定するものではない。
【0014】
本明細書では、施策を評価するための比較グループをA群及びB群と定義する。また、対象及びリソースを区別しない場合、要素と記載する。
【実施例0015】
図1は、実施例1の計算機システムの構成の一例を示す図である。図2は、実施例1の施策評価システムに含まれる計算機のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0016】
計算機システムは、施策評価システム100及び端末101から構成される。施策評価システム100及び端末101は、WAN(Wide Area Network)及びLAN(Local Area Network)等のネットワーク102を介して互いに接続される。ネットワーク102の接続方式は、有線及び無線のいずれでもよい。
【0017】
施策評価システム100は施策の実施計画を生成し、また、施策の評価に用いる比較グループのバイアスを評価するシステムであり、図2に示すような計算機200から構成される。
【0018】
計算機200は、プロセッサ201、主記憶装置202、副記憶装置203、及びネットワークインタフェース204を有する。各ハードウェア要素はバスを介して互いに接続される。なお、計算機200は、キーボード、マウス、及びタッチパネル等の入力装置を有してもよいし、ディスプレイ及びプリンタ等の出力装置を有してもよい。
【0019】
プロセッサ201は、主記憶装置202に格納されるプログラムを実行する。プロセッサ201がプログラムにしたがって処理を実行することによって、特定の機能を実現する機能部(モジュール)として動作する。以下の説明では、機能部を主語に処理を説明する場合、プロセッサ201が当該機能部を実現するプログラムを実行していることを示す。
【0020】
主記憶装置202は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の記憶装置であり、プロセッサ201が実行するプログラム及びプログラム使用するデータを格納する。主記憶装置202はワークエリアとしても用いられる。副記憶装置203は、HDD(Hard Disk Drive)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶装置であり、データを永続的に格納する。
【0021】
なお、主記憶装置202に格納されるプログラム及びデータは、副記憶装置203に格納されてもよい。この場合、プロセッサ201は、副記憶装置203からプログラム及びデータを読み出し、主記憶装置202にロードする。
【0022】
施策評価システム100は、施策計画部110、バイアス分析部111、及び施策定義評価部112を有する。また、施策評価システム100は、施策定義管理情報120、リソース管理情報121、施策対象管理情報122、施策実施計画管理情報123、及びバイアス分析結果管理情報124を保持する。
【0023】
施策定義管理情報120は、施策の定義を含むデータ(施策定義データ)を管理するための情報である。ここで、施策の定義とは、施策の具体内容及び施策を評価するための比較グループの割当条件を含む概念である。リソース管理情報121は、施策で用いるリソースを管理するための情報である。施策対象管理情報122、施策の対象を管理するための情報である。施策実施計画管理情報123は、施策の実施計画を管理するための情報である。バイアス分析結果管理情報124は、比較グループのバイアスの分析結果を管理するための情報である。
【0024】
施策計画部110は、施策定義データに基づいて実施計画を生成し、生成した実施計画を施策実施計画管理情報123に登録する。本実施例の施策計画部110は、複数の施策の実施計画を生成する場合に、A群及びB群における要素のバイアスと、比較グループの割当条件に合致する要素の集合(母集団)に対する比較グループに含まれる要素のバイアスとの発生を抑止するように比較グループへの要素の割当を行う。詳細については後述する。
【0025】
以下の説明では、A群及びB群における要素のバイアスを第1バイアスと記載し、比較グループの割当条件に合致する要素の集合に対する比較グループに含まれる要素のバイアスを第2バイアスと記載する。
【0026】
バイアス分析部111は、比較グループの各種バイアスを分析する。バイアス分析部111は、評価指標算出部130及び要因分析部131を含む。評価指標算出部130は、第1バイアス及び第2バイアスの各々の発生強度を表す指標を算出する。要因分析部131は、第2バイアスが発生している要因を分析する。なお、要因分析部131の詳細は実施例2で説明する。
【0027】
施策定義評価部112は、新たな施策の施策定義データに基づいて、新たな施策の第2バイアスの発生のしやすさを評価する。なお、施策定義評価部112の詳細は実施例3で説明する。
【0028】
なお、施策評価システム100が有する各機能部については、複数の機能部を一つの機能部にまとめてもよいし、一つの機能部を機能毎に複数の機能部に分けてもよい。
【0029】
端末101は、施策評価システム100を利用するユーザが操作する端末である。端末101は、図示しないプロセッサ、主記憶装置、ネットワークインタフェース、入力装置、及び出力装置を有する。端末101は、データ受付部140及び表示部141を有する。データ受付部140は、ユーザからのデータの入力を受け付ける。表示部141は、各種表示を行う。
【0030】
第2バイアスは、複数の施策を同時に実行する場合に顕著に発生する。図17は、従来の課題を説明する図である。ここでは、コールセンタの業務における従業員(リソース)のグループ分けを例に説明する。図17において丸は従業員を示す。次のような施策1及び施策2におけるリソースのグループ分けを考える。
施策1 A群:女性
施策1 B群:男性
施策2 A群:30代
施策2 B群:20代
【0031】
図17に示すように、施策1及び施策2の順に各施策のグループ分けが行われた場合、施策2のB群には女性の従業員しか含まれていない。しかし、施策2のB群の割当条件に合致する要素の集合(母集団)には男性が含まれている。したがって、施策2のB群では、第2バイアスが発生していると判断できる。
【0032】
図3は、実施例1の施策定義管理情報120の一例を示す図である。施策定義管理情報120は、施策ID301、行為302、顧客割当条件303、及びリソース割当条件304を含むエントリを格納する。一つの施策に対して一つのエントリが存在する。
【0033】
施策ID301は、施策を一意に識別するための識別情報を格納するフィールドである。行為302は、施策の行為を格納するフィールドである。顧客割当条件303は、施策の実施対象である顧客に関する比較グループの割当条件を格納するフィールド群である。顧客割当条件303にはA群及びB群のそれぞれの割当条件が格納される。リソース割当条件304は、リソースに関する比較グループの割当条件を格納するフィールド群である。リソース割当条件304にはA群及びB群のそれぞれの割当条件が格納される。
【0034】
図4は、実施例1のリソース管理情報121の一例を示す図である。リソース管理情報121は、リソースID401及び属性402を含むエントリを格納する。一つのリソースに対して一つのエントリが存在する。
【0035】
リソースID401は、リソースを一意に識別するための識別情報を格納するフィールドである。属性402は、リソースの属性を格納するフィールド群である。リソースが従業員である場合、属性402には、スタッフID、年齢、性別、及び勤務時間等のフィールドが格納される。なお、本発明は、属性402に含まれるフィールドに限定されない。
【0036】
図5は、実施例1の施策対象管理情報122一例を示す図である。施策対象管理情報122は、対象ID501及び属性502を含むエントリを格納する。一つの対象に対して一つのエントリが存在する。
【0037】
対象ID501は、対象を一意に識別するための識別情報を格納するフィールドである。属性502は、対象の属性を格納するフィールド群である。対象が顧客である場合、属性502には、年齢、性別、及び年収等のフィールドが格納される。なお、本発明は、属性502に含まれるフィールドに限定されない。
【0038】
図6は、実施例1の施策実施計画管理情報123の一例を示す図である。施策実施計画管理情報123は、施策ID601、AB種別602、対象リスト603、及びリソースリスト604を含むエントリを格納する。施策及び比較グループの種別の組合せに対して一つのエントリが存在する。
【0039】
施策ID601は施策ID301と同一のフィールドである。AB種別602は、比較グループの種別を格納するフィールドである。AB種別602にはA群を表す「A」及びB群を表す「B」のいずれかが格納される。対象リスト603は、施策の比較グループに割り当てられた対象のリストを格納するフィールドである。リソースリスト604は、施策の比較グループに割り当てられたリソースのリストを格納するフィールドである。
【0040】
図7A及び図7Bは、実施例1のバイアス分析結果管理情報124の一例を示す図である。バイアス分析結果管理情報124は、第1バイアス分析情報700及び第2バイアス分析情報710を含む。
【0041】
第1バイアス分析情報700は、施策ID701及びAB群バイアス702を含むエントリを格納する。一つの施策に対して一つのエントリが存在する。
【0042】
施策ID701は施策ID301と同一のフィールドである。AB群バイアス702は、第1バイアスの発生強度を表す指標(第1バイアス指標)を格納するフィールドである。
【0043】
第2バイアス分析情報710は、施策ID711、AB種別712、及び分布バイアス713を含むエントリを格納する。施策及び比較グループの種別の組合せに対して一つのエントリが存在する。
【0044】
施策ID711は施策ID301と同一のフィールドである。AB種別712はAB種別602と同一のフィールドである。分布バイアス713は、第2バイアスの発生強度を表す指標(第2バイアス指標)を格納するフィールド群である。分布バイアス713には、対象の各属性の第2バイアスの発生強度を格納するフィールド群と、リソースの各属性の第2バイアスの発生強度を格納するフィールド群とが含まれる。
【0045】
図8は、実施例1の端末101が表示する画面の一例を示す図である。端末101の表示部141は、施策定義データを登録するための画面800を表示する。
【0046】
画面800は、A群設定領域810、B群設定領域820、マニュアル条件設定領域830、施策ID設定欄840、及び登録ボタン850を含む。
【0047】
A群設定領域810は、A群のリソース及び対象の割当条件及びA群における行為を設定するための欄を含む。B群設定領域820は、B群のリソース及び対象の割当条件及びB群における行為を設定するための欄を含む。マニュアル条件設定領域830は、その他の条件を設定するための欄を含む。追加ボタンを押下することによって欄が追加される。施策ID設定欄840は、施策の識別情報を設定する欄である。登録ボタン850は、施策定義データを登録するための操作ボタンである。
【0048】
ユーザは、画面800に対して各種設定を行い、登録ボタン850を押下する。端末101のデータ受付部140は、画面800に対する各種設定を含む施策定義のデータを施策評価システム100に送信する。施策評価システム100は、施策定義のデータを施策定義管理情報120に登録する。
【0049】
図9は、実施例1の施策評価システム100が実行する施策実施計画生成処理の一例を説明するフローチャートである。
【0050】
施策評価システム100は、端末101から施策実施計画の生成指示を受信した場合、以下で説明する処理を開始する。
【0051】
施策計画部110は、施策定義管理情報120を参照して実施する施策を特定する(ステップS101)。具体的には、施策計画部110は、施策定義管理情報120の各エントリを取得し、施策のリストを生成する。また、施策計画部110は、施策実施計画管理情報123に、各施策についてA群及びB群のエントリを追加する。
【0052】
施策計画部110は、各施策について、A群及びB群の対象の割当条件に合致する対象の集合(対象母集団)を抽出し、A群及びB群のリソースの割当条件に合致するリソースの集合(リソース母集団)を抽出する(ステップS102)。ここでは、各施策について、A群の対象母集団、B群の対象母集団、A群のリソース母集団、及びB群のリソース母集団が抽出される。
【0053】
施策計画部110は、施策のループ処理を開始する(ステップS103)。具体的には、施策計画部110は施策のリストから一つの施策を選択する。
【0054】
施策計画部110は、選択した施策の対象母集団からA群に割り当てる対象及びB群に割り当てる対象を選択し、選択した施策のリソース母集団からA群に割り当てるリソース及びB群に割り当てるリソースを選択する(ステップS104)。対象及びリソースは各母集団からランダムに選択されるものとする。施策計画部110は、施策実施計画管理情報123の各エントリの対象リスト603及びリソースリスト604に対象及びリソースの識別情報を設定する。
【0055】
施策計画部110は、全ての施策について処理が完了したか否かを判定する(ステップS105)。全ての施策について処理が完了していない場合、施策計画部110は、新たな施策を選択し、ステップS104に戻る。
【0056】
このように、各施策について母集団から要素を一つ選択することによって、一度に要素を選択することによる第2バイアスの発生を抑制することができる。また、要素をランダムに選択することによって第1バイアスの発生を抑制することができる。
【0057】
施策計画部110は、比較グループへの要素の割当が完了した施策が存在するか否かを判定する(ステップS106)。例えば、A群及びB群の各々の要素の数が閾値より大きい場合、又は、母集団が枯渇した場合、比較グループへの要素の割当が完了した施策が存在すると判定される。
【0058】
比較グループへの要素の割当が完了した施策が存在しない場合、施策計画部110は、施策のループ処理を再度実行する。
【0059】
比較グループへの要素の割当が完了した施策が存在する場合、施策計画部110は、当該施策を選択対象から除外する(ステップS107)。具体的には、施策計画部110は、施策のリストから当該施策のエントリを削除する。
【0060】
施策計画部110は、全ての施策の要素の割当が完了したか否かを判定する(ステップS108)。
【0061】
全ての施策の要素の割当が完了していない場合、施策計画部110は、ステップS103に戻り、施策のループ処理を再度実行する。
【0062】
全ての施策の要素の割当が完了した場合、施策計画部110は施策実施計画生成処理を終了する。
【0063】
図10A及び図10Bは、実施例1の施策評価システム100が実行するバイアス評価指標算出処理の一例を説明するフローチャートである。
【0064】
バイアス分析部111の評価指標算出部130は、施策実施計画生成処理が終了した後、以下で説明する処理を開始する。なお、処理の実行契機はこれに限定されない。例えば、端末101から実行指示を受け付けた場合に施策実施計画生成処理が実行されてもよい。
【0065】
評価指標算出部130は、施策実施計画管理情報123を参照して施策を特定し、施策のループ処理を開始する(ステップS201)。具体的には、評価指標算出部130は、施策実施計画管理情報123を参照して施策のリストを生成し、施策のリストから一つの施策を選択する。
【0066】
評価指標算出部130は、選択した施策の第1バイアス指標を算出する(ステップS202)。
【0067】
例えば、評価指標算出部130は、A群及びB群の間の対象の属性のばらつきを示す指標と、A群及びB群の間の対象のリソースの属性のばらつきを示す指標とを用いて施策の第1バイアス指標を算出する。
【0068】
評価指標算出部130は、第1バイアス分析情報700にエントリを追加し、施策ID701に選択した施策の識別情報を設定し、AB群バイアス702に第1バイアス指標を設定する。
【0069】
評価指標算出部130は、比較グループのループ処理を開始する(ステップS203)。ここでは、A群及びB群の順に比較グループが選択されるものとする。このとき、評価指標算出部130は、第2バイアス分析情報710にエントリを追加し、エントリの施策ID711に選択した施策の識別情報を設定し、AB種別712に選択した比較グループの種別を設定する。
【0070】
評価指標算出部130は、選択した施策について、比較グループの対象の割当条件に合致する対象の集合(対象母集団)を抽出し、比較グループのリソースの割当条件に合致するリソースの集合(リソース母集団)を抽出する(ステップS204)。
【0071】
評価指標算出部130は、対象の属性のループ処理を開始する(ステップS205)。具体的には、評価指標算出部130は対象の属性群の中から一つの属性を選択する。
【0072】
評価指標算出部130は、対象の属性の第2バイアス指標を算出する(ステップS206)。具体的には、評価指標算出部130は、比較グループ及び母集団の属性分布の類似度を第2バイアス指標として算出する。例えば、Jaccard係数が類似度として算出される。このとき、評価指標算出部130は、ステップS203で追加されたエントリの分布バイアス713の選択した対象の属性に対応するフィールドに類似度を設定する。
【0073】
評価指標算出部130は、第2バイアス指標が閾値以下である否かを判定する(ステップS207)。本実施例では、比較グループの属性の分布が母集団の属性の分布と類似していない場合、すなわち、第2バイアス指標が閾値以下である場合、第2バイアスが発生している可能性があるものと判定する。
【0074】
第2バイアス指標が閾値より大きい場合、評価指標算出部130はステップS209に進む。
【0075】
第2バイアス指標が閾値以下である場合、評価指標算出部130は、アラートを設定し(ステップS208)、その後、ステップS209に進む。
【0076】
ステップS209では、評価指標算出部130は、対象の全ての属性について処理が完了したか否かを判定する(ステップS209)。
【0077】
対象の全ての属性について処理が完了していない場合、評価指標算出部130は、新たな対象の属性を選択し、S206に戻る。
【0078】
対象の全ての属性について処理が完了した場合、評価指標算出部130は、リソースの属性のループ処理を開始する(ステップS210)。具体的には、評価指標算出部130はリソースの属性群の中から一つの属性を選択する。
【0079】
評価指標算出部130は、リソースの属性の第2バイアス指標を算出する(ステップS211)。具体的には、評価指標算出部130は、比較グループ及び母集団の属性分布の類似度を第2バイアス指標として算出する。例えば、Jaccard係数が類似度として算出される。このとき、評価指標算出部130は、ステップS203で追加されたエントリの分布バイアス713の選択したリソースの属性に対応するフィールドに類似度を設定する。
【0080】
評価指標算出部130は、第2バイアス指標が閾値以下である否かを判定する(ステップS212)。
【0081】
第2バイアス指標が閾値より大きい場合、評価指標算出部130はステップS214に進む。
【0082】
第2バイアス指標が閾値以下である場合、評価指標算出部130は、アラートを設定し(ステップS213)、その後、ステップS214に進む。
【0083】
ステップS214では、評価指標算出部130は、リソースの全ての属性について処理が完了したか否かを判定する(ステップS214)。
【0084】
リソースの全ての属性について処理が完了していない場合、評価指標算出部130は、新たなリソースの属性を選択し、S211に戻る。
【0085】
リソースの全ての属性について処理が完了した場合、評価指標算出部130は、各比較グループの処理が完了したか否かを判定する(ステップS215)。
【0086】
各比較グループの処理が完了していない場合、評価指標算出部130は、新たな比較グループを選択し、ステップS204に戻る。
【0087】
各比較グループの処理が完了した場合、評価指標算出部130は、全ての施策について処理が完了したか否かを判定する(ステップS216)。
【0088】
全ての施策について処理が完了していない場合、評価指標算出部130は、新たな施策を選択し、ステップS202に戻る。
【0089】
全ての施策について処理が完了した場合、評価指標算出部130はバイアス評価指標算出処理を終了する。バイアス分析部111は、アラートが設定されたエントリを端末101に表示する。
【0090】
なお、ステップS204において、評価指標算出部130は、対象母集団からランダムに所定数の対象を選択して処理用の対象集合を生成し、また、リソース母集団からランダムに所定数の対象を選択して処理用のリソース集合を生成してもよい。この場合、ステップS206では、比較グループ及び処理用集合の属性の分布の類似度が算出される。
【0091】
実施例1によれば、施策評価システム100は、第2バイアスの発生の強度を定量的に評価し、評価結果を提示することができる。これによって、ユーザは、施策定義の検討及び設定変更等を行うことができる。
【実施例0092】
実施例2の施策評価システム100は第2バイアスが発生した要因を分析する。以下、実施例1との差異を中心に実施例2について説明する。
【0093】
実施例2の計算機システムの構成は実施例1と同一である。実施例2の施策定義管理情報120、リソース管理情報121、施策対象管理情報122、及び施策実施計画管理情報123は実施例1と同一である。実施例2のバイアス分析結果管理情報124の第1バイアス分析情報700は実施例1と同一である。
【0094】
実施例2では、第2バイアス分析情報710が異なる。図11は、実施例2の第2バイアス分析情報710の一例を示す図である。
【0095】
第2バイアス分析情報710のエントリは、バイアス要因スコア714を含む。バイアス要因スコア714は、第2バイアスの発生に対する、エントリに対応する施策(ターゲット施策)の対象及びリソースの割当条件と、他の施策(対比施策)の対象及びリソースの割当条件との組合せの影響の程度を示すスコアを格納するフィールド群である。本実施例のバイアス要因スコア714には、式(1)に示すように、ターゲット施策の割当条件に合致する要素の母集団と対比施策の割当条件に合致する要素の母集団との間の重複度がスコアとして格納される。
【0096】
【数1】
【0097】
図12は、実施例1の端末101が表示する画面の一例を示す図である。
【0098】
端末101の表示部141は、施策定義を入力するための画面900を表示する。
【0099】
画面1200は、A群設定領域1210、B群設定領域1220、施策ID設定欄1230、及び登録ボタン1240を含む。
【0100】
A群設定領域1210は、A群のリソース及び対象の割当条件及びA群における行為を設定するための欄を含む。B群設定領域1220は、B群のリソース及び対象の割当条件及びB群における行為を設定するための欄を含む。施策ID設定欄1230は、施策の識別情報を設定する欄である。登録ボタン1240は、施策定義を登録するための操作ボタンである。
【0101】
実施例2では、表示部141は、施策定義データの登録前に、A群設定領域1210及びB群設定領域1220の内容を問い合わせて、リソース及び対象の占有数を表示する。占有数の分母は割当条件に合致する要素の数であり、分子は比較グループに割り当てる要素の数である。
【0102】
図13は、実施例2の施策評価システム100が実行する要因分析処理の一例を説明するフローチャートである。図14は、実施例2の端末101が表示する画面の一例を示す図である。
【0103】
バイアス分析部111の要因分析部131は、施策実施計画生成処理が終了した後、以下で説明する処理を開始する。なお、処理の実行契機はこれに限定されない。例えば、端末101から実行指示を受け付けた場合に要因分析処理が実行されてもよい。
【0104】
要因分析部131は、施策のループ処理(1)を開始する(ステップS301)。具体的には、要因分析部131は、施策実施計画管理情報123を参照して、一つの施策を選択する。以下の説明では、選択された施策をターゲット施策と記載する。
【0105】
要因分析部131は、ターゲット施策の比較グループのループ処理(1)を開始する(ステップS302)。ここでは、A群及びB群の順に比較グループが選択されるものとする。
【0106】
要因分析部131は、ターゲット施策について、比較グループの対象の割当条件に合致する対象の集合(対象母集団)を抽出し、比較グループのリソースの割当条件に合致するリソースの集合(リソース母集団)を抽出する(ステップS303)。
【0107】
要因分析部131は、施策のループ処理(2)を開始する(ステップS304)。具体的には、要因分析部131は、施策実施計画管理情報123を参照して、一つの施策を選択する。なお、ターゲット施策は選択対象から除外されている。以下の説明では、選択された施策を対比施策と記載する。
【0108】
要因分析部131は、対比施策の比較グループのループ処理(2)を開始する(ステップS305)。ここでは、A群及びB群の順に比較グループが選択されるものとする。
【0109】
要因分析部131は、対比施策について、比較グループの対象の割当条件に合致する対象の集合(対象母集団)を抽出し、比較グループのリソースの割当条件に基づいてリソースの集合(リソース母集団)を抽出する(ステップS306)。
【0110】
要因分析部131は、スコア(対象)及びスコア(リソース)を算出する(ステップS307)。具体的には、式(1)を用いてスコア(対象)及びスコア(リソース)が算出される。
【0111】
要因分析部131は、第2バイアス分析情報710を参照して、施策ID711にターゲット施策の識別情報が格納され、かつ、AB種別712にステップS302で選択した比較グループの種別が格納されるエントリを検索する。要因分析部131は、検索されたエントリのバイアス要因スコア714を参照し、対比施策及びステップS305で選択した比較グループの種別の組合せに一致するフィールドに算出されたスコア(対象)及びスコア(リソース)を設定する。
【0112】
なお、要因分析部131は、占有数を算出し、フィールドに設定してもよい。
【0113】
要因分析部131は、判定式(1)及び判定式(2)の少なくともいずれかを満たすか否かを判定する(ステップS308)。
判定式(1):スコア(対象)が閾値以上
判定式(2):スコア(リソース)が閾値以上
【0114】
判定式(1)及び判定式(2)の少なくともいずれかを満たす場合、ターゲット施策の割当条件及び対比施策の割当条件の組合せが、ターゲット施策の比較グループにおける第2バイアスの発生要因であると判定される。
【0115】
判定式(1)及び判定式(2)のいずれも満たさない場合、要因分析部131はステップS310に進む。
【0116】
判定式(1)及び判定式(2)の少なくともいずれかを満たす場合、要因分析部131はアラートを設定し(ステップS309)、ステップS310に進む。
【0117】
ステップS310では、要因分析部131は、対比施策の各比較グループの処理が完了したか否かを判定する(ステップS310)。
【0118】
対比施策の各比較グループの処理が完了していない場合、要因分析部131は、新たな比較グループを選択し、ステップS306に戻る。
【0119】
対比施策の各比較グループの処理が完了した場合、要因分析部131は、ターゲット施策を除く全ての施策について処理が完了したか否かを判定する(ステップS311)。
【0120】
ターゲット施策を除く全ての施策について処理が完了していない場合、要因分析部131は、新たな対比施策を選択し、ステップS305に戻る。
【0121】
ターゲット施策を除く全ての施策について処理が完了した場合、要因分析部131は、ターゲット施策の各比較グループの処理が完了したか否かを判定する(ステップS312)。
【0122】
ターゲット施策の各比較グループの処理が完了していない場合、要因分析部131は、新たな比較グループを選択し、ステップS303に戻る。
【0123】
ターゲット施策の各比較グループの処理が完了した場合、要因分析部131は、全ての施策について処理が完了したか否かを判定する(ステップS313)。
【0124】
全ての施策について処理が完了していない場合、要因分析部131は、新たなターゲット施策を選択し、ステップS302に戻る。
【0125】
全ての施策について処理が完了した場合、要因分析部131は要因分析処理を終了する。バイアス分析部111は、アラートが設定されたエントリを端末101に表示する。例えば、端末101には図14に示すような画面1400が表示される。画面1400は、施策選択欄1410、アラート情報1420、1430を含む。
【0126】
施策選択欄1410は、アラートが設定された施策を選択するための欄であり、プルダウン形式でアラートが設定された施策が表示される。
【0127】
アラート情報1420は、アラートが設定された対比施策及び比較グループの組合せとスコア(対象)とを示す情報である。アラート情報1430は、アラートが設定された対比施策及び比較グループの組合せとスコア(リソース)とを示す情報である。
【0128】
実施例2によれば、施策評価システム100は、第2バイアスの発生の要因となっている要素の割当条件の組合せをユーザに提示することができる。これによって、ユーザは、より詳細に、施策定義の検討及び設定変更等を行うことができる。
【実施例0129】
実施例3の施策評価システム100は、新たに施策定義データを登録する場合に、既存の施策定義データとの間の関係で第2バイアスが発生するか否かを判定し、判定結果を出力する。以下、実施例1との差異を中心に実施例3について説明する。
【0130】
実施例3の計算機システムの構成は実施例1と同一である。実施例3の施策定義管理情報120、リソース管理情報121、施策対象管理情報122、及び施策実施計画管理情報123は実施例1と同一である。実施例3のバイアス分析結果管理情報124の第1バイアス分析情報700は実施例1と同一である。実施例3の第2バイアス分析情報710は実施例2と同一である。
【0131】
図15は、実施例3の端末101が表示する画面の一例を示す図である。図16は、実施例3の施策評価システム100が実行する施策定義評価処理の一例を説明するフローチャートである。
【0132】
端末101の表示部141は、施策定義を入力するための画面800を表示する。A群設定領域810、B群設定領域820、マニュアル条件設定領域830、施策ID設定欄840、及び登録ボタン850は実施例1と同一である。A群設定領域810、B群設定領域820、及びマニュアル条件設定領域830は、具体的な項目は省略している。実施例3では、画面800は、新たに、バイアス評価結果表示領域860及び評価ボタン870を含む。
【0133】
ユーザは、A群設定領域810、B群設定領域820、マニュアル条件設定領域830、施策ID設定欄840に各種入力を行った後、評価ボタン870を押下する。端末101は、施策評価システム100に、施策定義評価指示を送信する。施策評価システム100の施策定義評価部112は、施策定義評価指示を受信した場合、施策定義評価処理を開始する。
【0134】
施策定義評価部112は、要因分析部131に要因分析処理の実行を指示する(ステップS401)。このとき、施策定義評価部112は、新たな施策の施策定義データを要因分析部131に入力する。
【0135】
要因分析部131は、ターゲット施策を固定した要因分析処理を実行する。すなわち、施策のループ処理(1)は実行されない。要因分析部131は、要因分析部131は、第2バイアス分析情報710へのデータの登録は行わず、処理結果をワークエリアに格納する。要因分析部131は、要因分析処理が終了した場合、ワークエリアに格納される処理結果を施策定義評価部112に出力する。
【0136】
施策定義評価部112は、要因分析部131から取得した処理結果に基づいて、評価表示情報を生成し、端末101に送信する(ステップS402)。その後、施策定義評価部112は処理を終了する。
【0137】
端末101は、評価表示情報に基づいてバイアス評価結果表示領域860への表示を行う。
【0138】
実施例3によれば、施策評価システム100は、施策定義の設定時に、第2バイアスの発生を抑止した施策定義の設定を支援できる。これによって、ユーザは、施策定義データの登録時に第2バイアスの発生を抑止した設定を行うことができる。
【0139】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。また、例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために構成を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成に追加、削除、置換することが可能である。
【0140】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、本発明は、実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードによっても実現できる。この場合、プログラムコードを記録した記憶媒体をコンピュータに提供し、そのコンピュータが備えるプロセッサが記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施例の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそれを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、光ディスク、光磁気ディスク、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどが用いられる。
【0141】
また、本実施例に記載の機能を実現するプログラムコードは、例えば、アセンブラ、C/C++、perl、Shell、PHP、Python、Java(登録商標)等の広範囲のプログラム又はスクリプト言語で実装できる。
【0142】
さらに、実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを、ネットワークを介して配信することによって、それをコンピュータのハードディスクやメモリ等の記憶手段又はCD-RW、CD-R等の記憶媒体に格納し、コンピュータが備えるプロセッサが当該記憶手段や当該記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行するようにしてもよい。
【0143】
上述の実施例において、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。全ての構成が相互に接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0144】
100 施策評価システム
101 端末
102 ネットワーク
110 施策計画部
111 バイアス分析部
112 施策定義評価部
120 施策定義管理情報
121 リソース管理情報
122 施策対象管理情報
123 施策実施計画管理情報
124 バイアス分析結果管理情報
130 評価指標算出部
131 要因分析部
140 データ受付部
141 表示部
200 計算機
201 プロセッサ
202 主記憶装置
203 副記憶装置
204 ネットワークインタフェース
710 第2バイアス分析情報
800、900、1200、1400 画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17