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特開2023-120748インダクタ、及びインダクタの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120748
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】インダクタ、及びインダクタの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/04 20060101AFI20230823BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20230823BHJP
   H01F 41/04 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
H01F17/04 A
H01F17/04 F
H01F27/29 123
H01F41/04 B
H01F27/29 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023772
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000134257
【氏名又は名称】株式会社トーキン
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】関口 竣也
(72)【発明者】
【氏名】安倍 知宏
【テーマコード(参考)】
5E043
5E062
5E070
【Fターム(参考)】
5E043AB02
5E043EA01
5E043EB05
5E062FG11
5E070AA01
5E070AB10
5E070BA11
5E070EA01
5E070EB04
(57)【要約】
【課題】接続品質を確保しつつ、及び電力密度の向上を図ることができるインダクタ及びインダクタの製造方法の提供。
【解決手段】インダクタ100は、コア10と、コイル20とを備える。コイル20は、コア10に埋設されたものである。コア10は、研削されたコア研削面11を有する。コイル20は、研削されたコイル研削面21を有する。コイル研削面21は、コア研削面11から露出し、かつ、コア研削面11と面一である。コイル20は、絶縁被膜1と、絶縁被膜1に覆われた導体2とを備えてもよい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアと、
コイルと、を備え、
前記コイルは、前記コアに埋設されたものであり、
前記コアは、研削されたコア研削面を有し、
前記コイルは、研削されたコイル研削面を有し、
前記コイル研削面は、前記コア研削面から露出し、かつ、前記コア研削面と面一である、
インダクタ。
【請求項2】
前記コイルは、絶縁被膜と、前記絶縁被膜に覆われた導体とを備え、
前記コイルは、前記コイル研削面における前記絶縁被膜と前記導体とがさらに研削され、前記コイル研削面から凹んだコイル凹面を少なくとも一つ備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のインダクタ。
【請求項3】
前記コイル凹面は、前記コイル研削面よりも深い導体研削面と、前記コイル研削面と前記導体研削面とをつなぐ導体壁面と、を備える、
ことを特徴とする請求項2に記載のインダクタ。
【請求項4】
前記コイルの前記導体は、平角線であり、
前記導体壁面は、前記平角線の断面形状における長手方向に延びた平面である、
ことを特徴とする請求項3に記載のインダクタ。
【請求項5】
前記コイルの前記導体は、平角線であり、
前記導体壁面は、前記平角線の断面形状における長手方向に連続して並んだ複数の円筒外周面に倣い、
前記複数の円筒外周面は、それぞれ、前記コイル研削面側に張り出る、
ことを特徴とする請求項3に記載のインダクタ。
【請求項6】
前記コイルの前記導体は、平角線であり、
前記コイルは、前記平角線の断面形状における長手方向に所定の間隔を空けて配列された複数の前記コイル凹面を備える、
ことを特徴とする請求項3に記載のインダクタ。
【請求項7】
前記コイル凹面は、前記導体壁面を複数備え、
前記導体壁面同士は、互いに対向した、
ことを特徴とする請求項3に記載のインダクタ。
【請求項8】
前記コア研削面上に設けられた印刷電極をさらに備え、
前記コイル研削面において、前記コイルと前記印刷電極とが電気的に接続する、
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のインダクタ。
【請求項9】
コイルをコアに埋設させる工程と、
前記コア及び前記コイルを研削することによって、コア研削面及びコイル研削面を形成する工程と、を備え、
前記コイル研削面は前記コア研削面から露出し、かつ、前記コア研削面と面一である、
インダクタの製造方法。
【請求項10】
前記コイルは、絶縁被膜と、前記絶縁被膜に覆われた導体とを備え、
前記コイル研削面における前記絶縁被膜と前記導体とを研削し、前記コイル研削面から凹んだコイル凹面を形成する工程を備える、
ことを特徴とする請求項9にインダクタの製造方法。
【請求項11】
導電性ペーストを前記コア研削面から前記コイル凹面及び前記コイル研削面に向かってスキージングすることによって、前記コア研削面、前記コイル凹面、及び前記コイル研削面に前記導電性ペーストを印刷し印刷電極を生成する工程を備える、
ことを特徴とする請求項10にインダクタの製造方法。
【請求項12】
導電性ペーストを前記コイル凹面上に吐出した後、前記導電性ペーストを前記コア研削面及び前記コイル研削面に向かってスキージングすることによって、前記コア研削面、前記コイル凹面、及び前記コイル研削面に前記導電性ペーストを印刷し印刷電極を生成する工程を備える、
ことを特徴とする請求項10に記載のインダクタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクタ、及びインダクタの製造方法に関し、特にコイルがコアに埋設されたインダクタ、及びインダクタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示のインダクタ素子は、磁性部材と、導電性部材と、導電性の接続端部とを備える。導電性部材は、コイル形状の部分を有し、当該コイル形状の部分は、磁性部材の内部に位置する。導電性の接続端部は、導電性部材に対して電気的に接続された状態で磁性部材の表面上に形成されたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-076559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者等は、以下の課題を発見した。
モバイル製品の小型薄型化に伴い、インダクタの小型化及び高電力密度化が要求されている。高電力密度化を図るため、コイルをコアに埋設することによって、一体成形されたインダクタがある。更なる高電力密度化を図るため、インダクタの接続端子のスペースを縮小する構成を想起検討したが、インダクタの接続端子と電極との接続品質が低下するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上述した課題を鑑み、接続品質を確保しつつ、及び電力密度の向上を図ることができるインダクタ及びインダクタの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施の一態様に係るインダクタは、
コアと、
コイルと、を備え、
前記コイルは、前記コアに埋設されたものであり、
前記コアは、研削されたコア研削面を有し、
前記コイルは、研削されたコイル研削面を有し、
前記コイル研削面は、前記コア研削面から露出し、かつ、前記コア研削面と面一である。
【0007】
このような構成によれば、コイル研削面がコア研削面から露出し、かつ、コア研削面と面一である。そのため、コイル研削面は研削されたものであることから、面精度が高く、コイル研削面におけるコイルと電極との電気的な接続が安定する。また、コイル研削面がコア研削面と面一であることから、コアの体積を確保し、電力密度の向上に寄与する。よって、接続品質を確保しつつ、及び電力密度の向上を図ることができる。
【0008】
また、前記コイルは、絶縁被膜と、前記絶縁被膜に覆われた導体とを備え、
前記コイルは、前記コイル研削面における前記絶縁被膜と前記導体とがさらに研削され、前記コイル研削面から凹んだコイル凹面を少なくとも一つ備えることを特徴としてもよい。
【0009】
このような構成によれば、コイル研削面に加えて、コイル凹面においてコイルと電極とが電気的に接続する。そのため、コイルと電極との接触面積を増大させて、接続品質を高める。
【0010】
また、前記コイル凹面は、前記コイル研削面よりも深い導体研削面と、前記コイル研削面と前記導体研削面とをつなぐ導体壁面と、を備えることを特徴としてもよい。
【0011】
このような構成によれば、導体研削面と導体壁面においてコイルと電極とが電気的に接続する。そのため、コイルと電極との接触面積を増大させて、接続品質を高める。
【0012】
また、前記コイルの前記導体は、平角線であり、
前記導体壁面は、前記平角線の断面形状における長手方向に延びた平面であることを特徴としてもよい。
また、前記コイルの前記導体は、平角線であり、
前記導体壁面は、前記平角線の断面形状における長手方向に連続して並んだ複数の円筒外周面に倣い、
前記複数の円筒外周面は、それぞれ、前記コイル研削面側に張り出ることを特徴としてもよい。
【0013】
このような構成によれば、導体壁面の面積を増加させて、導体壁面におけるコイルと電極との接触面積をさらに増加させる。そのため、接続品質を高めることができる。
【0014】
また、前記コイルの前記導体は、平角線であり、
前記コイルは、前記平角線の断面形状における長手方向に所定の間隔を空けて配列された複数の前記コイル凹面を備えることを特徴としてもよい。
また、前記コイル凹面は、前記導体壁面を複数備え、
前記導体壁面同士は、互いに対向したことを特徴としてもよい。
【0015】
このような構成によれば、導体壁面の面積を増加させて、導体壁面におけるコイルと電極との接触面積をさらに増加させる。そのため、接続品質を高めることができる。また、薄い導体であっても加工が容易である。
【0016】
また、前記コア研削面上に設けられた印刷電極をさらに備え、
前記コイル研削面において、前記コイルと前記印刷電極とが電気的に接続することを特徴としてもよい。
【0017】
このような構成によれば、面精度の高いコイル研削面においてコイルと印刷電極とが電気的に接続する。そのため、コイルと印刷電極とを高い接続品質で電気的に接続することができる。
【0018】
本発明の実施の一態様に係るインダクタの製造方法は、
コイルをコアに埋設させる工程と、
前記コア及び前記コイルを研削することによって、コア研削面及びコイル研削面を形成する工程と、を備え、
前記コイル研削面は前記コア研削面から露出し、かつ、前記コア研削面と面一である。
【0019】
このような構成によれば、コア研削面から露出し、かつ、コア研削面と面一であるコイル研削面を形成することができる。コイル研削面は研削されたものであることから、面精度が高い。よって、コイル研削面におけるコイルと電極との電気的な接続が安定する。また、コイル研削面がコア研削面と面一であることから、コアの体積を確保することができる。これによって、電力密度の向上に寄与する。よって、接続品質を確保しつつ、及び電力密度の向上を図るインダクタを製造することができる。
【0020】
また、前記コイルは、絶縁被膜と、前記絶縁被膜に覆われた導体とを備え、
前記コイル研削面における前記絶縁被膜と前記導体とを研削し、前記コイル研削面から凹んだコイル凹面を形成する工程を備えることを特徴としてもよい。
【0021】
このような構成によれば、コイル研削面から凹んだコイル凹面を形成することができる。インダクタにおいて、コイル研削面に加えて、コイル凹面においてコイルと電極とが電気的に接続する。そのため、コイルと電極との接触面積を増大させて、接続品質を高めたインダクタを製造することができる。
【0022】
また、導電性ペーストを前記コア研削面から前記コイル凹面及び前記コイル研削面に向かってスキージングすることによって、前記コア研削面、前記コイル凹面、及び前記コイル研削面に前記導電性ペーストを印刷し印刷電極を生成する工程を備えることを特徴としてもよい。
また、導電性ペーストを前記コイル凹面上に吐出した後、前記導電性ペーストを前記コア研削面及び前記コイル研削面に向かってスキージングすることによって、前記コア研削面、前記コイル凹面、及び前記コイル研削面に前記導電性ペーストを印刷し印刷電極を生成する工程を備えることを特徴としてもよい。
【0023】
このような構成によれば、コア研削面、コイル研削面、及びコイル凹面に印刷電極を生成することができる。コイル研削面、及びコイル凹面においてコイルと印刷電極とが電気的に接続したインダクタを製造することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、接続品質を確保しつつ、及び電力密度の向上を図ることができるインダクタ及びインダクタの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施の形態1に係るインダクタを示す斜視図である。
図2】実施の形態1に係るインダクタの要部を示す斜視図である。
図3】実施の形態1に係るインダクタの要部を示す拡大斜視図である。
図4】実施の形態1に係るインダクタの切断線IV-IVにおける断面図である。
図5】実施の形態1に係るインダクタの切断線V-Vにおける要部の断面図である。
図6】実施の形態1に係るインダクタの一変形例の要部を示す拡大斜視図である。
図7】実施の形態1に係るインダクタの製造方法を示すフローチャートである。
図8】実施の形態1に係るインダクタの一具体例の上面を示す斜視図である。
図9】実施の形態1に係るインダクタの一具体例の底面を示す斜視図である。
図10】実施の形態2に係るインダクタを示す斜視図である。
図11】実施の形態2に係るインダクタの要部を示す斜視図である。
図12】実施の形態2に係るインダクタの切断線XII-XIIにおける断面図である。
図13】実施の形態2に係るインダクタの要部の切断線XIII-XIIIにおける断面図である。
図14】実施の形態2に係るインダクタの第1の変形例の要部を示す斜視図である。
図15】実施の形態2に係るインダクタの第2の変形例の要部を示す斜視図である。
図16】実施の形態2に係るインダクタの第3の変形例の要部を示す斜視図である。
図17】実施の形態2に係るインダクタの第4の変形例の要部を示す斜視図である。
図18】実施の形態2に係るインダクタの第5の変形例の要部を示す斜視図である。
図19】実施の形態2に係るインダクタの第6の変形例の要部を示す斜視図である。
図20】実施の形態2に係るインダクタの第7の変形例の要部を示す斜視図である。
図21】実施の形態2に係るインダクタの製造方法を示すフローチャートである。
図22】実施の形態2に係るインダクタの製造方法の一工程を示す模式図である。
図23】関連する技術に係るインダクタの構成を示す断面図である。
図24】関連する技術に係るインダクタの別の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(関連する技術)
実施の形態の説明に先立って、図23、及び図24を参照して、関連する技術について説明する。
【0027】
図23に示すインダクタ800は、コア810に埋設されたコイル820を備える。コイル820の接続端子820aは、コア810の底面において引き回されている。コイルの導体の厚みt8の大きさに応じて、コア810の体積が毀損する。これによって、インダクタ800の電力密度が低下するおそれがある。
【0028】
図24に示すインダクタ900は、コア910に埋設されたコイル920を備える。コイル920の接続端子920aは、コア910の底面から下方(ここでは、Z軸方向負側)に突き出ている。接続端子920aの外周は、図示しない絶縁被膜に覆われている。そのため、インダクタ900の接続端子920aの端面のみと、図示しない印刷電極とが電気的に接続する。これによって、接続端子920aと、当該印刷電極との接続品質が低い。
【0029】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0030】
(実施の形態1)
図1図5を参照して実施の形態1に係るインダクタの構成について説明する。図1は、実施の形態1に係るインダクタを示す斜視図である。図2は、図1に示すインダクタの要部を示す斜視図である。図3は、図1に示すインダクタの要部を示す拡大斜視図である。図4は、図2に示すインダクタの切断線IV-IVにおける断面図である。図5は、図3に示すインダクタの要部の切断線V-Vにおける断面図である。
【0031】
なお、当然のことながら、図1及びその他の図面に示した右手系XYZ座標は、構成要素の位置関係を説明するための便宜的なものである。通常、Z軸方向正側が鉛直上向き、XY平面が水平面であり、図面間で共通である。
【0032】
図1及び図2に示すように、インダクタ100は、コア10と、コイル20と、印刷電極30と、半田メッキ層40とを備える。なお、図2図4では、分かり易さのため、印刷電極30と、半田メッキ層40との図示を省略した。
【0033】
コア10は、コア研削面11を有する。コア研削面11は、研削されることによって形成されたものである。コア研削面11は、コア10におけるコア研削面11の他の部位の表面と比較して高い面精度を有するとよい。図1に示すコア10の一例は、板状体であり、当該板状体は、略四角形状である。図1に示すコア10の一例は、上面10aと、底面10bと、前面10cと、後面10dと、右側面10eと、左側面10fとを有する。図1に示すコア10の一例では、底面10bが研削されて、コア研削面11が形成されたものであり、底面10bがコア研削面11である。コア研削面11は、底面10b以外のコア10の表面に形成されていてもよい。コア研削面11は、例えば、上面10a、底面10b、前面10c、後面10d、右側面10e、及び左側面10fの少なくとも一つに形成されていてもよい。
【0034】
コイル20は、コア10に埋設されたものである。コイル20は、コイル研削面21を有する。コイル研削面21は研削されたものであり、コア研削面11から露出し、かつ、コア研削面11と面一である。なお、コイル20は、導電性を有する紐状体を備え、コイル研削面21は、当該紐状体の両端に形成されているとよい。また、コイル20は、導電性を有する紐状体と、当該紐状体の少なくとも一方の端部に設けられた接続端子とを備え、コイル研削面21は、当該接続端子に形成されていてもよい。コア研削面11及びコイル研削面21は、同一の工程において並行して研削されたものであるとよい。図2及び図3に示すコイル20の導体の一例は、平角線である。コイル研削面21において当該平角線は、コア10の左右方向(ここでは、Y軸方向)に延びる。当該平角線は、エッジワイズ方向に巻き回されてもよく、フラットワイズ方向に巻き回されていてもよい。当該平角線は、所定の厚みt1を有する。
【0035】
なお、コイル20の導体の断面形状は、特に限定されず、多種多様な形状を採り得る。コイル20は、例えば、丸線であってもよい。図6に示すように、コイル20の一変形であるコイル20aは、丸線である。コア研削面11において、コイル20aのコイル研削面21aの断面形状は、略円形である。
【0036】
印刷電極30は、導電性材料を含む。当該導電性材料は、例えば、Ag、Pd、Ni、Au等である。印刷電極30は、例えば、Ag焼結体層である。印刷電極30は、コア研削面11及びコイル研削面21の少なくとも一部を覆い、面接触する。コイル研削面21において、コイル20と印刷電極30とは電気的に接続されている。印刷電極30は、例えば、導電性ペーストをコア研削面11及びコイル研削面21に印刷することによって、生成される。導電性ペーストは、導電性材料を含むペースト状体であればよく、例えば、Agペーストである。印刷電極30の厚みは、例えば、10~100μm程度であるとよい。
【0037】
半田メッキ層40は、半田合金を含む。当該半田合金は、例えば、SnCu系合金、Ni-Sn合金、SnAgCu系合金等である。半田メッキ層40は、印刷電極30の少なくとも一部を覆う。半田メッキ層40は、印刷電極30上に半田ペーストを供給することによって、生成するとよい。また、半田メッキ層40は、電解メッキまたは無電解メッキを施して、印刷電極30上に生成してもよい。また、さらに電解メッキ又は無電解メッキを施すことによって、別の層を半田メッキ層40の上に生成してもよい。また、当該別の層は、例えば、Niを下地としてSnメッキを施して生成してもよい。また、当該別の層は、半田メッキ層40の少なくとも一部を覆う。
【0038】
以上、インダクタ100の構成によれば、コイル研削面21がコア研削面11から露出し、かつ、コア研削面11と面一である。そのため、コイル研削面21は研削されたものであることから、面精度が高く、コイル研削面21におけるコイル20と印刷電極30との電気的な接続が安定する。また、コイル研削面21がコア研削面11と面一であることから、コア10の体積を確保し、電力密度の向上に寄与する。よって、接続品質を確保しつつ、及び電力密度の向上を図ることができる。
【0039】
また、インダクタ100は、図23に示すインダクタ800と異なり、コイル20の導体の厚みの大きさに応じて、コア10の体積が毀損しない。そのため、インダクタ100の電力密度が低下しない。
【0040】
また、インダクタ100は、図24に示すインダクタ900と異なり、コイル研削面21は、面精度が高く、コイル研削面21におけるコイルと電極との接続品質が高い。
また、上記したように、コイル研削面21がコア研削面11から露出し、かつ、コア研削面11と面一である。よって、インダクタ100は、図23図24に示すインダクタ800、900と異なり、コア10の表面からコイル20の一部が突出することがないため、インダクタの低背化に寄与する。
【0041】
(製造方法)
次に、図7を参照して、実施の形態1に係るインダクタの製造方法について説明する。図7は、実施の形態1に係るインダクタの製造方法を示すフローチャートである。
【0042】
コイル20をコア10に埋設する(コア埋設工程ST1)。具体的には、コイル20を磁性粉に埋める。金型を用いて、当該磁性粉を成形することによって、コア10を形成する。
【0043】
続いて、コア10及びコイル20を研削し、コア研削面11及びコイル研削面21を形成する(コア研削面形成工程ST2)。具体的には、コイル研削面21はコア研削面11から露出し、かつ、コア研削面11と面一であるように、コア10及びコイル20を研削する。本工程では、コア10及びコイル20を研削、切削又は切断する事によって加工すればよく、例えば、チップソー等の回転刃による加工やフライス加工等によりコア10及びコイル20を研削してもよい。
【0044】
続いて、導電性ペーストをコア研削面11及びコイル研削面21に印刷して、印刷電極30を生成する(印刷電極生成工程ST3)。本工程では、例えば、スキージ、電解メッキ、スパッタ等の工法を適宜用いて、印刷電極30を生成することができる。
【0045】
最後に、半田ペーストを用いて印刷電極30に溶融メッキを施し、半田メッキ層40を印刷電極30上に生成する(半田メッキ層生成工程ST4)。なお、電解メッキ又は無電解メッキを施して、半田メッキ層40を印刷電極30上に生成してもよい。
【0046】
以上より、インダクタ100を製造することができる。
【0047】
(一具体例)
次に、図8及び図9を参照して、実施の形態1に係るインダクタ100の一具体例について説明する。図8は、実施の形態1に係るインダクタの一具体例の上面を示す斜視図である。図9は、図8に示すインダクタの一具体例の底面を示す斜視図である。
【0048】
図8及び図9に示すインダクタ101は、インダクタ100の一具体例である。インダクタ101は、コイル20の一具体例であるコイル20bを備える。コイル20bは、エッジワイズ方向に巻き回された平角線である。
【0049】
(実施の形態2)
次に、図10図13を参照して実施の形態2に係るインダクタの構成について説明する。図10は、実施の形態2に係るインダクタを示す斜視図である。図11は、図10に示すインダクタの要部を示す斜視図である。図12は、図10に示すインダクタの切断線XII-XIIにおける断面図である。図13は、図11に示すインダクタの要部の切断線XIII-XIIIにおける断面図である。なお、図10図12では、分かり易さのため、印刷電極30と、半田メッキ層40との図示を省略した。
【0050】
インダクタ200は、コイル20cを備えるところを除いて、図1に示すインダクタ100と同じ構成を備える。コイル20cは、コイル凹面22を備えるところを除いて、図1に示すコイル20と同じ構成を備える。
【0051】
図10図12に示すように、コイル20cは、コイル研削面21から凹んだコイル凹面22を少なくとも一つ備える。コイル凹面22は、コイル研削面21における絶縁被膜1と導体2とがさらに研削されたものである。コイル凹面22は、導体研削面23と、導体壁面24とを備える。導体研削面23は、コイル研削面21よりも深い。導体壁面24は、コイル研削面21と導体研削面23とをつなぐ。
【0052】
図13に示すように、コイル20cは、絶縁被膜1と、導体2とを備える。絶縁被膜1が導体2の外周を覆う。導体2は、平角線である。導体壁面24は、当該平角線の断面形状における長手方向(ここでは、Y軸方向)に延びた平面である。後述するコイル凹面形成工程ST21(図21参照)において、導体2が薄くても、研削が容易である。本工程では、例えば、チップソー等の回転刃による加工やドリルによる加工、フライス加工等により研削すればよい。例えば、コイル20cの導体2の厚みが0.05~0.08mm程度である場合、刃の厚さが0.1mm以上である切削加工刃を使用することができる。また、刃の厚さがコイル20cの導体2の厚みよりも小さい切削加工刃を用いると、導体に対して水平に研削した場合における導体研削のリスク低減を図ることができて、さらに望ましい。
【0053】
なお、コア10は、コア研削面11から凹んだコア凹面12を備えてもよい。コア凹面12は、コイル研削面21における絶縁被膜1と導体2とを研削してコイル凹面22を形成した際に、コイル凹面22近傍のコア10の部位が研削されたものである。コア凹面12とコイル凹面22とは、面一である。具体的には、コア凹面12と導体研削面23とは、面一である。コア凹面12は、コイル研削面21よりも深い。
【0054】
以上、インダクタ200の構成によれば、コイル20cは、コイル凹面22を備える。これによって、コイル研削面21に加えて、コイル凹面22においても、コイル20cと、図1に示す印刷電極30とが電気的に接続する。そのため、コイル20cと印刷電極30との接触面積を増大させて、接続品質を高める。
【0055】
また、本実施の形態にかかるインダクタ200の構成によれば、導体2は、平角線であり、導体壁面24は、当該平角線の断面形状における長手方向に延びた平面である。そのため、導体壁面24の面積を増加させて、導体壁面24におけるコイル20cと印刷電極30との接触面積をさらに増加させる。そのため、接続品質のさらなる向上を図ることができる。
【0056】
(各変形例)
次に、図14図20を参照して、実施の形態2に係るインダクタの第1~7の変形例について説明する。図14図20は、それぞれ、図10に示すインダクタ200の第1~7の変形例の要部を示す斜視図である。
【0057】
(第1の変形例)
図14に示すインダクタ201は、図11に示すインダクタ200の一変形例である。インダクタ201は、コイル20dを除いて、インダクタ200と同じ構成を備える。
【0058】
インダクタ201は、コイル20dを備え、コイル20dは、コイル凹面22aを除いて、コイル20cと同じ構成を備える。コイル20cの導体2(図13参照)は、平角線である。コイル20dは、コイル研削面21から凹んだコイル凹面22aを少なくとも一つ備える。コイル凹面22aは、コイル研削面21における絶縁被膜1と導体2とがさらに研削され、形成したものである。コイル凹面22aは、導体研削面23と、導体壁面24aとを備える。導体壁面24aは、コイル研削面21と導体研削面23とをつなぐ。導体壁面24aは、当該平角線の断面形状における長手方向に連続して並んだ複数の円筒外周面に倣う。当該複数の円筒外周面は、それぞれ、コイル研削面21側に張り出る。
【0059】
以上より、インダクタ201の構成によれば、導体壁面24aの面積を増加させて、導体壁面24aにおけるコイル20dと印刷電極30との接触面積をさらに増加させる。そのため、接続品質のさらなる向上を図ることができる。また、導体壁面24aの形状は、図21で示すインダクタの製造方法で用いた工法に依存することなく、導体2と印刷電極30との密着性に寄与する。
【0060】
(第2の変形例)
図15に示すインダクタ202は、図11に示すインダクタ200の一変形例である。インダクタ202は、コイル20eを除いて、インダクタ200と同じ構成を備える。
【0061】
インダクタ202は、コイル20eを備え、コイル20eは、コイル凹面22bを除いて、コイル20cと同じ構成を備える。コイル20eの導体2(図13参照)は、平角線である。コイル20eは、コイル研削面21から凹んだコイル凹面22bを少なくとも一つ備える。コイル凹面22bは、コイル研削面21における絶縁被膜1と導体2とがさらに研削されて、形成したものである。コイル凹面22bは、導体研削面23と、導体壁面24bとを備える。導体壁面24bは、コイル研削面21と導体研削面23とをつなぐ。導体壁面24bは、当該平角線の断面形状における長手方向に連続して並んだ複数の三角楔に倣う。当該複数の三角楔は、それぞれ、コイル研削面21側に突き出る。
【0062】
以上より、インダクタ202の構成によれば、導体壁面24bの面積を増加させて、導体壁面24bにおけるコイル20eと印刷電極30との接触面積をさらに増加させる。そのため、接続品質のさらなる向上を図ることができる。また、導体壁面24bの形状は、導体壁面24aの形状と同様に、図21で示すインダクタの製造方法で用いた工法に依存することなく、導体2と印刷電極30との密着性に寄与する。
【0063】
(第3の変形例)
図16に示すインダクタ203は、図11に示すインダクタ200の一変形例である。インダクタ203は、コイル20fを除いて、インダクタ200と同じ構成を備える。
【0064】
インダクタ203は、コイル20fを備え、コイル20fは、コイル凹面22cを除いて、図11に示すコイル20cと同じ構成を備える。コイル20fの導体2(図13参照)は、平角線である。コイル20fは、複数のコイル凹面22cを備え、複数のコイル凹面22cは、当該平角線の断面形状における長手方向(ここでは、Y軸方向)に所定の間隔を空けて配列されている。図16に示すコイル20fの一例は、3つのコイル凹面22cを備える。コイル凹面22cは、コイル研削面21における絶縁被膜1と導体2とがさらに研削され、形成したものである。複数のコイル凹面22cは、それぞれ、当該平角線の断面形状における長手方向に対して垂直な方向(ここでは、X軸方向)に延びる。コイル凹面22cは、導体研削面23cと、導体壁面24cと、導体壁面24dとを備える。導体壁面24cと、導体壁面24dとは、互いに対向している。導体壁面24cと、導体壁面24dとは、コイル研削面21上において、当該平角線の断面形状における長手方向に対して垂直な方向に延びる。後述するコイル凹面形成工程ST21(図21参照)において、導体2が薄くても、研削が容易である。上述した切削加工刃等を用いて、当該平角線の断面形状における長手方向に対して垂直な方向に導体2を研削するからである。
【0065】
以上より、インダクタ203の構成によれば、コイル20fは、複数のコイル凹面22cを備える。さらに、複数のコイル凹面22cは、それぞれ、互いに対向した導体壁面24c、及び導体壁面24dを備える。そのため、導体壁面24c等の数や総面積を増加させて、導体壁面24c、及び導体壁面24dにおけるコイル20fと印刷電極30との接触面積をさらに増加させる。そのため、接続品質のさらなる向上を図ることができる。また、導体壁面24c、及び導体壁面24dの形状は、導体壁面24aの形状と同様に、図21で示すインダクタの製造方法で用いた工法に依存することなく、導体2と印刷電極30との密着性に寄与する。
【0066】
(第4の変形例)
図17に示すインダクタ204は、図11に示すインダクタ200の一変形例である。インダクタ204は、コイル20gを除いて、インダクタ200と同じ構成を備える。
【0067】
インダクタ204は、コイル20gを備え、コイル20gは、コイル凹面22cを除いて、図11に示すコイル20cと同じ構成を備える。コイル20gの導体2(図13参照)は、平角線である。コイル20gは、複数のコイル凹面22dを備え、複数のコイル凹面22dは、当該平角線の断面形状における長手方向(ここでは、Y軸方向)に所定の間隔を空けて配列されている。図17に示すコイル20gの一例は、3つのコイル凹面22dを備える。コイル凹面22dは、コイル研削面21における絶縁被膜1と導体2とがさらに研削され、形成したものである。複数のコイル凹面22dは、それぞれ、当該平角線の断面形状における長手方向に対して交差する方向(ここでは、XY平面に延びる方向X1)に延びる。コイル凹面22dは、導体研削面23cと、導体壁面24eと、導体壁面24fとを備える。導体壁面24eと、導体壁面24fとは、互いに対向している。導体壁面24eと、導体壁面24fとは、コイル研削面21上において、当該平角線の断面形状における長手方向に対して交差する方向に延びる。後述するコイル凹面形成工程ST21(図21参照)において、導体2が薄くても、研削が容易である。上述した切削加工刃等を用いて、当該平角線の断面形状における長手方向に対して交差する方向に導体2を研削するからである。
【0068】
以上より、インダクタ204の構成によれば、コイル20gは、複数のコイル凹面22dを備える。さらに、複数のコイル凹面22dは、それぞれ、互いに対向した導体壁面24e、及び導体壁面24fを備える。そのため、導体壁面24e、及び導体壁面24fの数や総面積を増加させて、導体壁面24e、及び導体壁面24fにおけるコイル20gと印刷電極30との接触面積をさらに増加させる。そのため、接続品質のさらなる向上を図ることができる。また、導体壁面24e、及び導体壁面24fの形状は、導体壁面24aの形状と同様に、図21で示すインダクタの製造方法で用いた工法に依存することなく、導体2と印刷電極30との密着性に寄与する。
【0069】
(第5の変形例)
図18に示すインダクタ205は、図11に示すインダクタ200の一変形例である。インダクタ205は、コイル20hを除いて、インダクタ200と同じ構成を備える。
【0070】
インダクタ205は、コイル20hを備え、コイル20hは、コイル凹面22hを有するところを除いて、図6に示すコイル20aと同じ構成を備える。コイル凹面22hは、コイル研削面21aにおける絶縁被膜1(図5参照)と導体2とがさらに研削されたものである。コイル20hの導体2は、丸線である。コイル凹面22hは、導体研削面23hと、導体壁面24hとを備える。導体研削面23hは、コイル研削面21aよりも深い。導体壁面24hは、コイル研削面21aと導体研削面23hとをつなぐ。導体壁面24hは、コア研削面11に対して垂直な方向(ここでは、Z軸方向)、又はコア研削面11と交差する方向に延びた平面である。
【0071】
以上、インダクタ205の構成によれば、コイル20hは、コイル凹面22hを備える。これによって、コイル研削面21aに加えて、コイル凹面22hにおいても、コイル20hと、図1に示す印刷電極30とが電気的に接続する。そのため、コイル20hと印刷電極30との接触面積を増大させて、接続品質を高める。また、導体壁面24hの形状は、導体壁面24aの形状と同様に、図21で示すインダクタの製造方法で用いた工法に依存することなく、導体2と印刷電極30との密着性に寄与する。
【0072】
(第6の変形例)
図19に示すインダクタ206は、図11に示すインダクタ200の一変形例である。インダクタ206は、コイル20iを除いて、インダクタ200と同じ構成を備える。
【0073】
インダクタ206は、コイル20iを備え、コイル20iは、コイル凹面22iを有するところを除いて、図6に示すコイル20aと同じ構成を備える。コイル凹面22iは、コイル研削面21aにおける絶縁被膜1(図5参照)と導体2とがさらに研削されたものである。コイル20iの導体2は、丸線である。コイル凹面22iは、導体研削面23iと、導体壁面24iと、導体壁面24jとを備える。導体研削面23iは、コイル研削面21aよりも深い。導体壁面24i、及び導体壁面24jは、いずれもコイル研削面21aと導体研削面23iとをつなぐ。導体壁面24i、及び導体壁面24jは、コア研削面11に対して垂直な方向(ここでは、Z軸方向)、又はコア研削面11と交差する方向に延びた平面である。導体壁面24i、及び導体壁面24jは、互いに対向する。
【0074】
以上、インダクタ206の構成によれば、コイル20iは、コイル凹面22iを備える。コイル凹面22iは、それぞれ、互いに対向した導体壁面24i、及び導体壁面24jを備える。そのため、導体壁面24i等の数を増加させて、導体壁面24i、及び導体壁面24jにおけるコイル20iと、図1に示す印刷電極30とが電気的に接続する。そのため、コイル20iと印刷電極30との接触面積を増大させて、接続品質を高める。また、導体壁面24i、及び導体壁面24jの形状は、導体壁面24aの形状と同様に、図21で示すインダクタの製造方法で用いた工法に依存することなく、導体2と印刷電極30との密着性に寄与する。
【0075】
(第7の変形例)
図20に示すインダクタ207は、図11に示すインダクタ200の一変形例である。インダクタ207は、コイル20jを除いて、インダクタ200と同じ構成を備える。
【0076】
インダクタ207は、コイル20jを備え、コイル20jは、コイル凹面22k、及びコイル凹面22mを有するところを除いて、図6に示すコイル20aと同じ構成を備える。コイル凹面22k、及びコイル凹面22mは、コイル研削面21aにおける絶縁被膜1(図5参照)と導体2とがさらに研削されたものである。コイル20jの導体2は、丸線である。コイル凹面22kは、導体研削面23kと、導体壁面24kとを備える。導体研削面23kは、コイル研削面21aよりも深い。導体壁面24kは、コイル研削面21aと導体研削面23kとをつなぐ。コイル凹面22mは、導体研削面23mと、導体壁面24mとを備える。導体研削面23mは、コイル研削面21aよりも深い。導体壁面24mは、コイル研削面21aと導体研削面23mとをつなぐ。導体壁面24k、及び導体壁面24mは、コア研削面11に対して垂直な方向(ここでは、Z軸方向)、又はコア研削面11と交差する方向に延びた平面である。
【0077】
以上、インダクタ207の構成によれば、コイル20jは、コイル凹面22k、及びコイル凹面22mを備える。そのため、導体壁面24m等の数を増加させて、導体壁面24m、及び導体壁面24kにおけるコイル20jと、図1に示す印刷電極30とが電気的に接続する。そのため、コイル20jと印刷電極30との接触面積を増大させて、接続品質を高める。また、導体壁面24k、及び導体壁面24mの形状は、導体壁面24aの形状と同様に、図21で示すインダクタの製造方法で用いた工法に依存することなく、導体2と印刷電極30との密着性に寄与する。
【0078】
(製造方法)
次に、図21、及び図22を参照して、実施の形態2に係るインダクタ200の製造方法について説明する。図21は、実施の形態2に係るインダクタの製造方法を示すフローチャートである。図22は、図21に示すインダクタの製造方法の一工程を示す模式図である。
【0079】
実施の形態2に係るインダクタ200の製造方法は、コイル凹面形成工程ST21を除いて、図7に示す実施の形態1に係るインダクタの製造方法と同じ工程を備える。まず、実施の形態1に係るインダクタ100の製造方法と同様に、コア埋設工程ST1を実施する。続いてコア研削面形成工程ST2を実施する。
【0080】
続いて、図11図13に示すように、コイル研削面21におけるコイル20の絶縁被膜1と導体2とを研削し、コイル凹面22を形成する(コイル凹面形成工程ST21)。
なお、コイル凹面22を形成すると同時に、コア凹面12を形成してもよい。コア凹面12は、導体2の寸法、及び切削加工刃の寸法に応じて、コア10に形成するか否かを決めるとよい。導体2の厚みは、例えば、0.01~1.00mmである。切削加工刃の加工範囲は、例えば、0.1~10mmである。
【0081】
続いて、実施の形態1に係るインダクタの製造方法と同様に、印刷電極生成工程ST3を実施する。
【0082】
具体的には、印刷電極生成工程ST3において、図22に示すように、導電性ペーストW30をコア研削面11からコイル凹面22及びコイル研削面21に向かってスキージングすることによって、コア研削面11、コイル凹面22、及びコイル研削面21に導電性ペーストW30を印刷するとよい。より具体的には、導電性ペーストW30をコア研削面11に吐出する。スキージSK1を用いて、導電性ペーストW30をコア研削面11からコイル凹面22に向かって押し出し、均等に広げる。導電性ペーストW30からなる層を少なくともコア研削面11、コイル凹面22、及びコイル研削面21上に生成する。これによって、図1に示す印刷電極30をコア研削面11及びコイル凹面22に生成する。なお、コイル20と同様に、コイル20a~20jに導電性ペーストW30を印刷することができる。また、特に、コイル20、コイル20a~20e、コイル20g、コイル20hについて、図22に示す導電性ペーストW30の印刷は好適である。図22のスキージング方向は-X軸方向であり、導電性ペーストW30が導体壁面24に向かって押し出されるため、効率的かつ確実に印刷電極30をコイル凹面22上に生成できる。コイル凹面22におけるコイル20、コイル20a~20e、コイル20g、コイル20hと、印刷電極30とを密着させて、接続品質を高める。
【0083】
また、印刷電極生成工程ST3において、導電性ペーストW30をコイル凹面22上に吐出した後、導電性ペーストW30をコア研削面11及びコイル研削面21に向かってスキージングすることによって、コア研削面11、コイル凹面22、及びコイル研削面21に導電性ペーストを印刷してもよい。より具体的には、導電性ペーストW30をコイル凹面22上に吐出する。スキージSK1を用いて、導電性ペーストW30をコイル凹面22からコア研削面11及びコイル研削面21に向かって押し出し、均等に広げる。導電性ペーストW30からなる層をコア研削面11、コイル凹面22、及びコイル研削面21上に生成する。同様に、図1に示す印刷電極30をコア研削面11及びコイル凹面22に生成することができる。
【0084】
続いて、実施の形態1に係るインダクタの製造方法と同様に、半田メッキ層生成工程ST4を実施する。
【0085】
以上より、インダクタ200を製造することができる。
【0086】
以上より、上記した製造方法によれば、コイル凹面形成工程ST21において、コイル研削面21から凹んだコイル凹面22を形成する。これによって、インダクタ200において、コイル研削面21に加えて、コイル凹面22においてコイル20cと印刷電極30とが電気的に接続する。そのため、コイル20cと印刷電極30との接触面積を増大させて、接続品質を高めたインダクタ200を製造することができる。
【0087】
また、本実施の形態に係る製造方法によれば、導電性ペーストW30をコア研削面11からコイル凹面22に向かってスキージングすることによって、コア研削面11、コイル凹面22、及びコイル研削面21に導電性ペーストW30を印刷する。若しくは、導電性ペーストW30をコイル凹面22上に吐出した後、導電性ペーストW30をコア研削面11全体に向かってスキージングすることによって、コア研削面11に導電性ペーストを印刷する。これらによって、コア研削面11、コイル研削面21、及びコイル凹面22に印刷電極30を生成することができる。コイル研削面21、及びコイル凹面22においてコイル20cと印刷電極30とが電気的に接続したインダクタ200を製造することができる。
【0088】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本発明は、上記実施の形態やその一例を適宜組み合わせて実施してもよい。例えば、実施の形態1及び2に係るインダクタの製造方法において、導体2を巻き回す、又は、曲げることによって、コイル20を形成した後、コア埋設工程ST1を実施してもよい。また、コア埋設工程ST1において、金型を用いて、コイル20が埋められた磁性粉を圧縮成型することによって、一体化した複数のインダクタ100を形成してもよい。また、この一体化した複数のインダクタ100を形成し、印刷電極生成工程ST3及び半田メッキ層生成工程ST4を経た後、一体化した複数のインダクタ100を切断し、各インダクタ100を取得してもよい。さらに、インダクタ100がインダクタとして必要な機能を確保しているか否かを判定するため、検査するとよい。
【符号の説明】
【0089】
100、101、200、201、202、203、204、205、206、207、800、900 インダクタ
1 絶縁被膜
2 導体
10、810、910 コア
10a 上面 10b 底面
10c 前面 10d 後面
10e 右側面 10f 左側面
11 コア研削面 12 コア凹面
20、20a、20b、20c、20d、20e、20f、20g、20h、20i、20j、920 コイル
21、21a コイル研削面
22、22a、22b、22c、22d、22h、22i、22k、22m コイル凹面
23、23c、23h、23i、23k、23m 導体研削面
24、24a、24b、24c、24d、24e、24f、24h、24i、24j、24k、24m 導体壁面
30 印刷電極 40 半田メッキ層
820a、920a 接続端子
X1 方向
SK1 スキージ W30 導電性ペースト
ST1 コア埋設工程 ST2 コア研削面形成工程
ST21 コイル凹面形成工程 ST3 印刷電極生成工程
ST4 半田メッキ層生成工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24