(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120765
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】エレベータの隙間閉塞装置
(51)【国際特許分類】
B66B 13/28 20060101AFI20230823BHJP
【FI】
B66B13/28 B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023800
(22)【出願日】2022-02-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】宮川 行宏
【テーマコード(参考)】
3F307
【Fターム(参考)】
3F307BA03
3F307CD01
3F307CD33
3F307EA41
(57)【要約】
【課題】着床誤差によって生じるエプロンと乗り場床との間の隙間から物などが昇降路内に落下することを防止できる。
【解決手段】昇降路を昇降方向に昇降する乗りかごが備えるかご床に設けられ、前記乗りかごが停止する乗場が備える乗場床と前記かご床との間における、前記乗りかごの出入り方向での隙間を塞ぐ隙間閉塞部と、昇降方向に延びるエプロンと、前記エプロンが前記隙間閉塞部から下側に延設するように、前記隙間閉塞部と前記エプロンとを接続するリンク部とを備え、前記エプロンは、前記かご床が前記乗場床よりも上側に配置されるように前記乗りかごが停止した状態で、前記出入り方向において、該エプロンと前記乗場床との隙間を塞ぐ。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路を昇降する乗りかごのかご床に設けられ、前記乗りかごが停止する乗場の乗場床と前記かご床との隙間を塞ぐ隙間閉塞部と、
該隙間閉塞部から下方に延びるエプロンと、
前記エプロンを、前記隙間閉塞部の前記乗場側の端部に接続するリンク部とを備えることを特徴とするエレベータの隙間閉塞装置。
【請求項2】
前記隙間閉塞部は、前記乗場床と前記かご床との隙間を塞ぐ閉塞状態と、前記乗場床と前記かご床との隙間を開放する開放状態とに切替可能に構成される、請求項1に記載のエレベータの隙間閉塞装置。
【請求項3】
前記乗りかごに設けられるかごドアを開閉駆動するための駆動力を発生させる駆動源と、
前記駆動力を前記隙間閉塞部に伝達する駆動伝達部とを備え、
前記隙間閉塞部は、前記駆動伝達部から伝達された前記駆動力を用いて、前記閉塞状態と前記開放状態とを切替可能に構成される、請求項2に記載のエレベータの隙間閉塞装置。
【請求項4】
前記駆動伝達部は、前記駆動源で発生した前記駆動力のうち、一部の駆動力を前記隙間閉塞部に伝達することを特徴とする請求項3に記載のエレベータの隙間閉塞装置。
【請求項5】
前記エプロンは、前記昇降路の壁面に当接する当接部を備え、
該当接部は、前記乗りかごの幅方向に延びる支持軸を中心に回転可能に構成される、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のエレベータの隙間閉塞装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、かご床と乗場床との間の隙間を塞ぐエレベータの隙間閉塞装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来公知のエレベータとして、特許文献1記載のものが存在している。このエレベータは、建物に設けられた昇降路の内部を上下に昇降するかごを備え、該かごは、下部にかご床を備え、前記かご床には、上部にかごシルが、下方にエプロンが取り付けられている。また、前記かご床の側面には、前記かごが停止する各床階の床面に取り付けられる乗場シルと前記かごシルとの間の隙間を塞ぐ閉塞具が設けられ、該閉塞具は、前記かごが各階床に停止しているときに前記かご床から前記乗場シルに向かう方向へ突出する閉塞部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、停電や地震などの異常事態が発生した場合は、各階に到着した前記かごが、各階床よりも上側にずれた位置に停止することがあり、このとき、各階床と前記かご床との間には、上下方向でずれが生じてしまう。
【0005】
そのため、上記特許文献1記載のエレベータ装置では、上述した上下方向でのずれが生じた場合に、前記閉塞部が突出する方向で、前記かご床の下部に取り付けられた前記エプロンと各階床の側面とが向かい合う状態となる。よって、前記エプロンと各階床との間に隙間が発生してしまい、該隙間から物が昇降路内に落下するおそれがあった。なお、このような問題は、停電や地震などの異常事態が発生した場合に限らず、前記かご床が前記各階床よりも上側に配置される着床誤差が生じた場合全般において生じていた。
【0006】
そこで、本発明は、着床誤差によって生じるエプロンと乗場床との間の隙間から昇降路内に物が落下することを抑制できるエレベータの隙間閉塞装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、昇降路を昇降する乗りかごのかご床に設けられ、前記乗りかごが停止する乗場の乗場床と前記かご床との隙間を塞ぐ隙間閉塞部と、該隙間閉塞部から下方に延びるエプロンと、前記エプロンを、前記隙間閉塞部の前記乗場側の端部に接続するリンク部とを備えることを特徴とするエレベータの隙間閉塞装置である。
【0008】
前記構成によれば、前記隙間閉塞部が前記乗場床と前記かご床との隙間を塞ぎ、前記リンク部が、前記隙間閉塞部から下方に延びる前記エプロンを、前記隙間閉塞部の前記乗場側の端部に接続するため、例えば、着床誤差により、前記かご床が前記乗場床よりも上側に配置された状態で前記乗りかごが停止したときは、前記エプロンと前記乗場床との隙間を小さくできる。
【0009】
また、本発明では、前記隙間閉塞部は、前記乗場床と前記かご床との隙間を塞ぐ閉塞状態と、前記乗場床と前記かご床との隙間を開放する開放状態とに切替可能に構成されていてもよい。
【0010】
前記構成によれば、前記隙間閉塞部は、前記閉塞状態と前記開放状態とに切替可能に構成されるため、例えば、前記乗りかごが前記乗場に到着した際には、前記隙間閉塞部を前記閉塞状態にすることで、前記エプロンと前記乗場床との隙間を小さくして前記隙間から物が落下することを抑制でき、前記乗りかごが昇降する際には、前記隙間閉塞部を前記開放状態にすることにより、前記エプロンと前記乗場床との隙間を大きくして、前記隙間閉塞部や前記エプロンが前記昇降路の壁面に当たることを防止できる。
【0011】
また、本発明は、前記乗りかごに設けられるかごドアを開閉駆動するための駆動力を発生させる駆動源と、前記駆動力を前記隙間閉塞部に伝達する駆動伝達部とを備え、前記隙間閉塞部は、前記駆動伝達部から伝達された前記駆動力を用いて、前記閉塞状態と前記開放状態とを切替可能に構成されていてもよい。
【0012】
前記構成によれば、前記隙間閉塞部は、前記かごドアを開閉駆動するための前記駆動力で前記閉塞状態と前記開放状態とを切り替えるため、前記かごドアの開閉駆動と連動して、前記閉塞状態と前記開放状態とを切り替えることができる。
【0013】
また、本発明では、前記駆動伝達部は、前記駆動源で発生した前記駆動力のうち、一部の駆動力を前記隙間閉塞部に伝達してもよい。
【0014】
前記構成によれば、前記駆動伝達部は、前記駆動源で発生した前記駆動力のうち、一部の駆動力を前記隙間閉塞部に伝達するため、前記隙間閉塞部は、前記一部の駆動力を用いて、前記閉塞状態と前記開放状態とを切り替えることができる。
【0015】
また、本発明では、前記エプロンは、前記昇降路の壁面に当接する当接部を備え、該当接部は、前記乗りかごの幅方向に延びる支持軸を中心に回転可能に構成されてもよい。
【0016】
前記構成によれば、前記当接部が前記壁面に当接することにより、前記エプロンと前記乗場との隙間をなくすことができ、また、前記当接部は、前記乗りかごの幅方向に延びる支持軸を中心に回転可能に構成されるから、例えば、前記隙間閉塞部が前記乗場床と前記かご床との隙間を塞ぐ閉塞状態で、前記乗りかごが前記昇降路内を昇降する際には、前記当接部は前記壁面に当接しながら前記支持軸まわりに回転するため、前記エプロンが損傷することを防止できる。
【発明の効果】
【0017】
以上、本発明によれば、前記エプロンと前記乗場床との隙間を小さくでき、前記昇降路内に物などが落下することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、かごドアが開いている状態における、エレベータの隙間閉塞装置の構成を説明するための図である。
【
図2】
図2は、かごドアが閉じられている状態における、前記隙間閉塞装置の構成を説明するための図である。
【
図4】
図4は、ロック機構の拡大図であり、ラッチボルトを断面とした図である。
【
図5】
図5は、隙間閉塞装置を出入り方向の乗場側から見た図であり、(a)はかごドアが閉じている状態を示し、(b)はかごドアが開いている状態を示す。
【
図6】
図6は、乗りかごが乗場敷居よりも上側で停止した場合において、かごドアが開いている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係るエレベータ1の隙間閉塞装置5について、図面を参照しながら説明する。エレベータ1の隙間閉塞装置5は、例えば、建物内の各階に設けられる乗場3と、昇降路2内を昇降する乗りかご4との間の隙間Sを閉塞するためのものである。説明の便宜のため、まずはじめに、エレベータ1について説明する。
【0020】
以下の説明に際しては、乗りかご4が昇降する方向を「昇降方向Y」と、かご側出入口や乗場側出入口を介して、人や物が乗りかご4に出入りする方向を「出入り方向X」と、乗場ドアやかごドアが開閉する方向を「幅方向Z」と称する。ここで、本実施形態の乗りかご4は、昇降路内を上下方向に昇降するため、昇降方向Yとは上下方向のことである。また、昇降方向Yと出入り方向Xと幅方向Zとは直交する。
【0021】
エレベータ1は、
図1に示すように、上下方向に延びて建物内で壁により規定される昇降路2と、建物の所定の階に設けられる乗場3と、昇降路2内を昇降する乗りかご4とを備える。なお、図面では、乗場3が一つしか示されていないが、実際には、エレベータ1は複数の乗場3を備える。
【0022】
乗場3は、乗場側出入口(採番しない)を開閉する乗場ドア(図示しない)を有する。また、乗場3は、乗場3を規定する乗場床30を有する。なお、乗場床30には、乗場側出入口の下端において乗場側出入口の幅方向Zに延び、且つ乗場ドアを案内する案内溝(図示しない)を有する乗場側敷居31が含まれる。
【0023】
乗場ドアは、昇降方向Yに長尺な矩形状であり、乗場側出入口に配置されている。この乗場ドアは、いわゆるセンターオープン式(両開き式)のドアであり、乗場側出入口の幅方向Zに開閉する。すなわち、乗場ドアは、乗場側敷居31に載置され、案内溝に案内された状態で幅方向Zに動くことによって、乗場側出入口を開閉する。なお、本実施形態の乗場ドアは、後述するかごドア41の開閉と連動して、開閉するように構成されている。
【0024】
本実施形態の乗りかご4は、昇降路2内を昇降方向Yに昇降する。乗りかご4は、かご本体40と、該かご本体40に取り付けられるかごドア41とを有する。
【0025】
かご本体40は、かご側出入口(図示しない)から該かご本体40内に入ってきた人や物を所定の階に運ぶためのものである。本実施形態のかご本体40は、直方体状に構成される。具体的に、かご本体40は、昇降方向Yと幅方向Zにおける両側が閉じられ、出入り方向Xで、乗場3側の一部が開口することでかご側出入口が形成され、かご側出入口とは反対側が閉じられている。そのため、かご本体40は、幅方向Zにおける両側にかご側面部400を有し、昇降方向Yの下側にかご床401を有する。また、かご本体40のうち、かご側出入口の上方には、昇降方向Y及び幅方向Zに広がる板状のフレーム部402が設けられている。
【0026】
かご床401は、後述するかごドア41を案合するかご側敷居403を有する。
図2に示すように、かご側敷居403は、乗りかご4が乗場3に到着したときに、乗場側敷居31と出入り方向Xで間隔をあけた状態で対向するために、かご本体40におけるかご側出入口の下端に配置されている。かご側敷居403は、かごドア41を案内するべく、幅方向Zに延びる案内溝(図示しない)を有する。かご側敷居403の幅方向Zの寸法は、乗場側敷居31の幅方向Zの寸法と略同一である。また、かご側敷居403の出入り方向Xの長さは、乗場側敷居31と間隔をあけるように設定されている。そのため、
図2に示すように、本実施形態では、乗りかご4が乗場3に到着したとき、かご側敷居403と乗場側敷居31との間に、隙間Sが形成される。なお、この隙間Sは、出入り方向Xで、5~10mmの隙間である。
【0027】
図1、2に示すように、フレーム部402には、出入り方向Xに延びる支持軸Aまわりに回転自在な状態で取り付けられるプーリ部404と、駆動力を発生させるモータ(図示しない)とが設けられている。本実施形態のモータは、出入り方向Xまわりに動く回転駆動力を発生させる。プーリ部404は、かごドア41を開閉するために用いられる。すなわち、プーリ部404は、モータからの駆動力を受けて支持軸Aまわりで回転し、図示しない無端環状ベルト(図示しない)を動かすことで、かごドア41を開閉駆動させる。本実施形態のプーリ部404は、かごドア41を開閉駆動するための無端環状ベルトが巻き掛けられるかごプーリ部405と、モータからの回転駆動力を、後述する隙間閉塞装置5に伝達するために用いられる伝達プーリ部406を有する、いわゆる二段プーリである。
【0028】
図5(a)(b)に示すように、かごドア41は、昇降方向Yに長尺の矩形状であり、かご側出入口に複数(本実施形態では、二つ)配置されている。また、本実施形態のかごドア41は、乗場ドアと同様に、いわゆるセンターオープン式(両開き式)のドアであり、乗りかご4の幅方向Zにおいて、接離可能な二つのドアを有する。かごドア41は、モータからの駆動力を受けて、かご側敷居403の案内溝に沿って幅方向Zで往復移動を行う。
【0029】
続いて、隙間閉塞装置5について説明する。
図1,2,6に示すように、隙間閉塞装置5は、乗りかご4に設けられている。隙間閉塞装置5は、かご床401と乗場床30との隙間Sを塞ぐ隙間閉塞部500aを含む閉塞具50と、隙間閉塞部500aを駆動する駆動機構51と、隙間閉塞部500aの駆動を制限する駆動規制部52とを備える。乗りかご4から人が乗降する場合には、
図1に示すように、閉塞具50に含まれる隙間閉塞部500aでかご床401と乗場床30との隙間Sを塞ぐように駆動機構51が隙間閉塞部500aを駆動し、乗りかご4が昇降する場合には、
図2に示すように、駆動規制部52が隙間閉塞部500aの駆動を規制して、隙間閉塞部500aでかご床401と乗場床30との隙間Sを塞ぐことを防ぐ。
【0030】
閉塞具50は、かご床401の下側に配置されている。この閉塞具50は、隙間閉塞部500aを有する敷居部500と、敷居部500に設けられるリンク部501と、乗場床30よりもかご床401が上方にずれて乗りかご4が停止した場合にかご床401と乗場床30との昇降方向Yの隙間Sを塞ぐエプロン502と、エプロン502を動かすエプロン可動部503を備える。敷居部500は、隙間閉塞部500aで隙間Sを塞ぐ状態と隙間閉塞部500aで隙間Sを開放する状態とを切り替え、エプロン502が隙間閉塞部500aから下方に延び、リンク部501が隙間閉塞部500aとエプロン502とを接続している。
【0031】
図1に示すように、敷居部500は、隙間閉塞部500aと、該隙間閉塞部500aが隙間Sを塞ぐ状態(閉塞状態)と前記隙間閉塞部500aが隙間Sを開放する状態(開放状態)とを切り替える状態切替部500dとを備える。
【0032】
隙間閉塞部500aは、幅方向Zと出入り方向Xに延びる板状である。この隙間閉塞部500aは、乗場床30とかご床401との隙間Sを塞ぐべく、出入り方向Xで隙間Sを塞ぐ長さに設定されている。具体的に、本実施形態では、隙間閉塞部500aの出入り方向Xの長さは5~10mmである。また、隙間閉塞部500aは、幅方向Zで乗場側敷居31と略同一の長さに設定されている。本実施形態の隙間閉塞部500aは、出入り方向Xでかご床401と乗場床30とに当接し、かご床401と乗場床30との隙間Sを埋めることで隙間Sを塞いでいる。そのため、隙間閉塞部500aは、かご床401よりも乗場3側に配置されている。さらに、本実施形態の隙間閉塞部500aは、閉塞状態と開放状態とを切替可能である。
【0033】
本実施形態の隙間閉塞部500aには、後述するエプロン502の幅方向Zまわりの回動を規制する回転規制部が設けられている。この回転規制部は、エプロン502に当たることでエプロン502の回動を規制している。本実施形態の回転規制部は、隙間Sを塞ぐ状態(閉塞状態)の隙間閉塞部500aの下側に設けられる第一ストッパー500bと、該隙間閉塞部500aから乗場3側に設けられる第二ストッパー500cとを有する。
【0034】
状態切替部500dは、幅方向Zまわりに回動する回動部500fと、該回動部500fと隙間閉塞部500aとを接続する接続部500eと、隙間閉塞部500aを閉塞状態にする場合に補助する閉塞補助部500gとを備える。
【0035】
回動部500fは、後述する駆動機構51から伝達された駆動力で幅方向Zまわりに回動する。この回動部500fは、かご床401の下側に設けられ、且つ幅方向Zに延びる支持軸Bまわりに回動するプーリによって構成されている。具体的に、回動部500fは、外周に歯面が形成された歯Fと二段プーリとが一体化されたギヤプーリである。
【0036】
接続部500eは、隙間閉塞部500aと回動部500fとを接続している。接続部500eは、回動部500fの幅方向Zまわりの回動と連動して出入り方向Xに延びる状態と昇降方向Yで下側に延びる状態との間で動く。そのため、本実施形態では、回動部500fの回動により接続部500eを介して隙間閉塞部500aが動く。よって、本実施形態の状態切替部500dは、回動によって隙間閉塞部500aを閉塞状態と開放状態とに切り替えている。また、
図1に示すように、本実施形態の接続部500eは、出入り方向Xに延びて隙間閉塞部500aを閉塞状態にしたときに、かご床401の下面に当接する。
【0037】
ところで、例えば、人の所持していた物が閉塞状態の隙間閉塞部500aの上に当たって、隙間閉塞部500aが下方向に沈もうとする場合がある。そのため、隙間Sの発生を防止するため、閉塞状態の隙間閉塞部500aを昇降方向Yの下側に沈ませないようにする必要がある。よって、本実施形態では閉塞補助部500gが備わっている。具体的に、閉塞補助部500gは、隙間閉塞部500aが閉塞状態で回動部500fから下側に延びるレバー部500hと、該レバー部500hに設けられる重り500iとで構成される。レバー部500hが幅方向Zまわりに動くことで、閉塞補助部500gは回動部500fを支持軸Bまわりに回動させる。また、重り500iは、物の落下衝撃力よりも重く設定されている。そのため、本実施形態では閉塞補助部500gによって、落下した物が閉塞状態の隙間閉塞部500aに当たった場合でも、物の落下衝撃力で回動部500fが支持軸Bまわりに回動しないため、閉塞状態の隙間閉塞部500aが昇降方向Yの下側に沈むことが防止される。
【0038】
また、本実施形態の閉塞補助部500gは、隙間閉塞部500aを開放状態から閉塞状態に切り替える際に、回動部500fを支持軸Bまわりに回動させる。具体的には、重り500iが隙間閉塞部500aを閉塞状態にするように回動部500fを回動させるよう機能する。さらに、閉塞補助部500gは、隙間閉塞部500aが開放状態となった場合にかご床401の下面に当接する。
【0039】
リンク部501は、後述するエプロン502を隙間閉塞部500aに接続するためのものである。
図5(a)(b)に示すように、このリンク部501は、隙間閉塞部500aの幅方向Zの両側に設けられた軸受として構成されている。そのため、リンク部501は、隙間閉塞部500aに対してエプロン502が回転可能となるように構成されている。また、リンク部501は、隙間閉塞部500aの乗場側の端部に配置されている。
【0040】
図1,2,5,6に示すように、エプロン502は、隙間閉塞部500aから下方に延びる。このエプロン502は、エプロン本体502aと、エプロン本体502aを隙間閉塞部500aに取り付けるエプロン取付部502bと、昇降路2の壁面に当接する当接部502cとを備える。
【0041】
図5(a)(b)に示すように、エプロン本体502aは、昇降方向Yと幅方向Zに延びる板である。本実施形態のエプロン本体502aは、幅方向Zで、かご側出入口と略同一の長さを有するように構成されている。また、エプロン本体502aは、昇降方向Yの長さが600~800mmである。
【0042】
図5(a)(b)に示すように、エプロン取付部502bは、エプロン本体502aの幅方向Zの両側に設けられている。また、エプロン取付部502bは、リンク部501に支持されて幅方向Zまわりで回動可能に構成されている。そのため、本実施形態のエプロン502は、エプロン取付部502bがリンク部501に対して回動することにより、閉塞状態の隙間閉塞部500aから下側に延びる状態と、開放状態の隙間閉塞部500aから下側に延びる状態とに切り替わることが可能である。よって、本実施形態のエプロン502は、隙間閉塞部500aが閉塞状態で隙間Sを塞ぐように配置され、隙間閉塞部500aが開放状態で隙間Sよりもかご床401側に配置されることで隙間Sを開放する。なお、本実施形態のエプロン502は、隙間閉塞部500aが閉塞状態において、第一ストッパー500bに当接することにより、出入り方向Xで乗りかご4側に回動することが規制され、隙間閉塞部500aが開放状態において、第二ストッパー500cに当接することにより、出入り方向Xで乗場3側に回動することが規制されている。
【0043】
当接部502cは、昇降路2の壁面に当接することでエプロン502と昇降路2の壁面との隙間Sの形成を防止している。この当接部502cは、隙間閉塞部500aが閉塞状態で昇降路2の壁面に当接する。本実施形態の当接部502cは、エプロン本体502aよりも下側に配置されている。そのため、本実施形態のエプロン502は、下端側が昇降路2の壁面に当接している。
【0044】
また、当接部502cは、エプロン取付部502bの間を幅方向Zに延びる支持軸(採番しない)まわりで回転可能に構成されている。本実施形態の当接部502cは、幅方向Zに延びる支持軸を中心とする円形状に構成される。そのため、例えば、隙間閉塞部500aが閉塞状態で、乗りかご4から人が乗降することで乗りかご4が昇降方向Yに動くとき、当接部502cは昇降路2に当接しながら回転する。
【0045】
開放状態で下側に延びる隙間閉塞部500aを閉塞状態で出入り方向Xに延びるように切り替える際に、エプロン可動部503は、隙間閉塞部500aに対してエプロン502を回動させる。そのため、隙間閉塞部500aが開閉状態と閉塞状態とを切り替えることに連動して、エプロン可動部503は、隙間閉塞部500aから下側に延びるエプロン502を同じ姿勢に保つように構成される。具体的に、本実施形態のエプロン可動部503は、両端が隙間閉塞部500aとエプロン502とに固定された引張ばねである。そのため、隙間閉塞部500aが開放状態から閉塞状態に切り替わるにつれて、エプロン可動部503としての引張ばねが縮むことで、エプロン502を隙間閉塞部500aに対して回動させる。
【0046】
上述した通り、本実施形態の隙間閉塞部500aには回転規制部としての第一ストッパー500bと第二ストッパー500cとが設けられている。そのため、本実施形態では、隙間閉塞部500aが閉塞状態から開放状態に切り替わった場合、エプロン502が第二ストッパー500cに当たり、エプロン502の乗りかご4側への動きは規制され、隙間閉塞部500aが開放状態から閉塞状態に切り替わった場合、エプロン可動部503の弾性力でエプロン502を隙間閉塞部500aに対して回動させると、エプロン502が第一ストッパー500bに当たり、エプロン502の乗りかご4側への動きが規制される。
【0047】
駆動機構51は、閉塞状態と開放状態とを切り替えるべく、隙間閉塞部500aを駆動させるものためのものである。駆動機構51は、駆動力を発生させる駆動源と、該駆動源で発生した駆動力を隙間閉塞部500aに伝達する駆動伝達部(採番しない)とを備える。
【0048】
駆動源は、フレーム部402に設けられたモータである。上述した通り、本実施形態では、モータの駆動力はかごドア41を開閉するために用いられる。そのため、本実施形態では、隙間閉塞装置5以外の構成であって、乗りかご4に設けられた構成であるかごドア41を開閉させるための駆動力を用いて隙間閉塞部500aを駆動させる。よって、本実施形態の駆動機構51は、かごドア41の開閉に連動して、閉塞状態と開放状態とを切り替えるように隙間閉塞部500aを駆動する。
【0049】
駆動伝達部は、回転駆動する上方駆動伝達部511及び下方駆動伝達部512と、上方駆動伝達部511と下方駆動伝達部512とを中継する駆動中継部513とを備える。即ち、駆動伝達部では、上方駆動伝達部511、駆動中継部513及び下方駆動伝達部512を介して、駆動力を隙間閉塞部500aに伝達している。
【0050】
上方駆動伝達部511は、昇降方向Yに間隔をあけて配置される伝達プーリ部406及び接続プーリ部511aと、伝達プーリ部406と接続プーリ部511aとに巻き掛けられた無端環状のベルト体511bと、を有する。上述した通り、伝達プーリ部406は二段プーリであるプーリ部404に含まれている。そのため、駆動源からの駆動力を受けてかごプーリ部405が支持軸Aまわりで回転することにより、伝達プーリ部406が回転して、上方駆動伝達部511は、出入り方向Xまわりに回転駆動する。
【0051】
図1,3に示すように、駆動中継部513は、上方駆動伝達部511から伝わった出入り方向Xまわりの駆動力を幅方向Zまわりの駆動力に変換して、下方駆動伝達部512に伝えるものである。この駆動中継部513は、ウォームギヤを構成するためにウォーム部513a及びウォームホイール部512aと、ウォーム部513aに含まれるウォーム筒部513cを出入り方向Xの両側から押す付勢部材513dとを備える。即ち、ウォームギヤを構成するためにウォーム部513a及びウォームホイール部512aにより、出入り方向Xまわりの駆動力を幅方向Zまわりの駆動力に変換している。
【0052】
ウォーム部513aは、上方駆動伝達部511から伝達された駆動力で出入り方向Xまわりに回転する。ウォーム部513aは、出入り方向Xに延びるウォーム軸部513bと、該ウォーム軸部513bに挿通されたウォーム筒部513cとを備える。
【0053】
ウォーム軸部513bは、出入り方向Xに延びる軸部材である。ウォーム軸部513bは、ウォーム筒部513cと連動して回転するべく、外面上にスプラインが形成されている。そのため、ウォーム軸部513bは、スプラインシャフトである。また、ウォーム軸部513bは、接続プーリ部511aの回転によって出入り方向Xまわりに回転できるように、出入り方向Xの一端側が接続プーリ部511aに接続している。そのため、接続プーリ部511aが回転すると、上方駆動伝達部511から駆動中継部513に駆動力が伝達される。
【0054】
ウォーム筒部513cは、筒内にウォーム軸部513bのスプラインに沿うスプライン溝が形成された筒状に構成される。また、ウォーム筒部513cは、ウォーム軸部513bに挿通されている。そのため、ウォーム筒部513cは、ウォーム軸部513bに沿わせてウォーム軸部513bの軸方向での移動が可能で、且つウォーム軸部513bと共にウォーム軸部513bの軸方向まわりに回転可能に構成されている。さらに、ウォーム筒部513cの外周面には、螺旋状のねじ山Dが形成されている。
【0055】
図3に示すように、付勢部材513dは、出入り方向Xでウォーム筒部513cを挟むように配置されている。この付勢部材513dは、ウォーム筒部513cを出入り方向Xの両側から押すことで、ウォーム筒部513cによるウォーム軸部513bの軸方向での自由な移動を制限している。具体的に、本実施形態の付勢部材513dは、ウォーム軸部513bを出入り方向Xに回動可能な状態で乗りかご4の側面に固定する二つの軸受部(
図3にて採番及び図示しない)と、軸受部とウォーム筒部513cとの間に配置される圧縮ばねとしての弾性体513fである。よって、本実施形態では、弾性体513fの弾性力により、ウォーム筒部513cの自由な移動を制限している。
【0056】
ウォームホイール部512aは、幅方向Zまわりに回転するギヤプーリ512aである。このウォームホイール部512aは、外周に複数の歯面が形成された歯Cを有する。そして、この歯Cは、ウォーム筒部513cの外面上に設けられたねじ山Dと噛合っている。そのため、ウォーム筒部513cがウォーム軸部513bの軸方向まわりに回転することで、ねじ山Dと噛合う歯Cが動き、ウォームホイール部512aは幅方向Zまわりに回転する。
【0057】
下方駆動伝達部512は、昇降方向Yに間隔をあけて配置される二つのプーリ部500f,512aと、該二つのプーリ部500f,512aに巻き掛けられた無端環状のベルト体512bとを有する。ここで、二つのプーリ部500f,512aのうち、一方のプーリ部500fは、隙間閉塞部500aに接続する回動部500fである。そのため、下方駆動伝達部512は、駆動によって回動部500fを回動させることで隙間閉塞部500aの状態を切り替える。また、二つのプーリ部500f,512aのうち、他方のプーリ部512aは、外周に複数の歯面が形成された歯Cを有するギヤプーリ512aである。
【0058】
ところで、上述したように、本実施形態では隙間閉塞部500aが閉塞状態になった場合に、接続部500eがかご床401の下面に当接することで、これ以上、隙間閉塞部500aを閉塞状態とするように回動部500fが幅方向Zまわりで回転することが規制される。また、隙間閉塞部500aが開放状態になった場合には、閉塞補助部500gがかご床401の下面に当接することで、これ以上、隙間閉塞部500aを開放状態とするように回動部500fが幅方向Zまわりで回動することが規制される。よって、隙間閉塞部500aが閉塞状態又は開放状態になり、回動部500fの回動が規制されると、下方駆動伝達部512が有する他方のプーリ部512aの回転も規制され、下方駆動伝達部512は回転駆動できなくなる。
【0059】
一方で、ウォーム筒部513cは、ウォーム軸部513bの回転に伴って出入り方向Xまわりに回転する。そのため、ウォーム筒部513cは、螺旋状のねじ山Dが回転しないウォームホイール部512aの歯Cから抗力を受けながら回転することにより、弾性体513fの弾性力に抗いつつ、スプラインに沿って出入り方向Xの一方へ動く。よって、駆動源で発生した駆動力のうち、閉塞状態と開放状態とを切り替えるために必要な分を越える駆動力は、下方駆動伝達部512には伝達されず、ウォーム部513aとウォームホイール部512aと付勢部材513dとにより、ウォーム筒部513cを出入り方向Xにスライドすることに用いられて逃がされる。
【0060】
このように、本実施形態の隙間閉塞装置5では、駆動源で発生した駆動力のうち、閉塞状態と開放状態とを切り替えるために、一部の駆動力だけが、下方駆動伝達部512を介して隙間閉塞部500aに伝達されるように構成される。
【0061】
駆動規制部52は、隙間閉塞部500aが開放状態から閉塞状態に切り替わるように駆動することを規制する。ここで、本実施形態では、隙間閉塞部500aが開放状態になると、閉塞補助部500gが重り500iの自重によって回動部500fを回動させることにより、再び、隙間閉塞部500aを開放状態から閉塞状態に切り替えるように作用する。そのため、隙間閉塞部500aが開放状態になった場合、再び、隙間閉塞部500aが開放状態から閉塞状態に切り替わることを規制するべく、回動部500fの回動を規制する必要がある。そこで、本実施形態の駆動規制部52は、回動部500fの回動を規制する回動規制部として機能する。
図1,2,6に示すように、この回動規制部は、互いに係合する係合部52bと被係合部52aとを備える。本実施形態の回動規制部は、隙間閉塞部500aが開放状態に切り替わった場合に、係合部52bと被係合部52aとの係合を利用して、回動部500fの回動を規制している。
【0062】
被係合部52aは、回動部500fの外周に形成された歯Fである。
【0063】
係合部52bは、被係合部52aと係合することにより、回動部500fの幅方向Zまわりの回動を規制する。また、この係合部52bは、被係合部52aとの係合を解消することで回動部500fの回動を許容する。そのため、
図4に示すように、係合部52bは、二つの歯F,Fの隙間に前進する先端部52fを有するラッチ52cと、該ラッチ52cを二つの歯F,Fの隙間へ前進し、又は該隙間から後退するように駆動するラッチ駆動部52lとを備える。
【0064】
本実施形態のラッチ52cは、出入り方向Xに動くラッチボルト52dと、該ラッチボルト52dが出没されるラッチケース52jとを備える。
【0065】
ラッチボルト52dは、二つの歯F,Fの隙間に向かって進出する進出位置と、二つの歯F,Fの隙間から後退する後退位置との間を直線方向に往復する。本実施形態では、
図4に示すように、ラッチボルト52dの進出方向は右方向、後退方向は左方向に相当する。本実施形態のラッチボルト52dは、先端が三角ラッチ形に形成された先端部52fを有し、ラッチケース52jから出没するラッチ本体52eと、ラッチケース52jに収納されるシャフト52iとを有する。本実施形態のラッチ本体52eでは、先端部52fがラッチケース52jから出入り方向Xで前進することになる。また、ラッチ本体52eには、出入り方向Xに複数のピニオン52gが設けられている。シャフト52iは、ラッチ本体52eに連結している。このシャフト52iは、ラッチケース52jの筒底部に貫通して後退方向に延びている。また、シャフト52iには、ラッチボルト52dを進出位置に動かすように弾性変形するコイルばねである弾性体Gが挿通されている。
【0066】
図4に示すように、ラッチケース52jは、弾性体Gを受ける筒底部を有する有底筒状に構成されている。また、ラッチケース52jには、後述する歯52zを有するウォームホイール部52yが該ラッチケース52j内に挿入されている。
【0067】
ラッチ駆動部52lは、隙間閉塞部500aを閉塞状態と開放状態とに切り替えるための駆動力を用いて、ラッチ52cの先端部52fを二つの歯F,Fの隙間に前進し、又は該隙間から後退するように動かす。
図1,2,4,6に示すように、ラッチ駆動部52lは、駆動力を伝達する駆動伝達部52mと、幅方向Zまわりの駆動力を出入り方向Xの駆動力に変換する駆動変換部52qとを備える。
【0068】
駆動伝達部52mは、昇降方向Yに間隔をあけて配置されるプーリ部及びプーリ部52nと、該プーリ部及びプーリ部52nに巻き掛けられた無端環状のベルト体52pとを有する。ここで、プーリ部及びプーリ部52nのうち、一方のプーリ部は、前述した回動部500fである。そのため、駆動伝達部52mは、回動部500fを回動させることで、ラッチボルト52dを進出位置と後退位置とに切り替える。また、プーリ部及びプーリ部52nのうち、他方のプーリ部52nは、後述する歯車部52vと交差した状態で互いに噛合することにより、まがりばかさ歯車を構成する歯車部である。
【0069】
本実施形態の駆動変換部52qは、幅方向Zまわりの駆動力を出入り方向Xまわりの駆動力に変換した後、該出入り方向Xまわりの駆動力を出入り方向Xの駆動力に変換する。この駆動変換部52qは、幅方向Zまわりの駆動力を出入り方向Xまわりの駆動力に変えるウォーム部52rと、出入り方向Xまわりの駆動力を出入り方向Xの駆動力に変えるウォームホイール部52yとを備える。
【0070】
ウォーム部52rは、出入り方向Xに延びるウォーム軸部52sと、該ウォーム軸部52sに挿通されるウォーム筒部52tと、該ウォーム筒部52tを出入り方向Xの両側から押す加圧部52uとを備える。
【0071】
ウォーム軸部52sは、出入り方向Xに延びる軸部材である。このウォーム軸部52sは、ウォーム筒部52tと連動して出入り方向Xまわりに回転するべく、外面上にスプラインが形成されている。そのため、ウォーム軸部52sは、スプラインシャフトである。ウォーム軸部52sの軸方向の一端には、プーリ部52nと噛合することでまがりばかさ歯車を構成する歯車部52vが設けられている。
【0072】
ウォーム筒部52tは、筒状に構成されている。このウォーム筒部52tは、筒内にウォーム軸部52sのスプラインに沿うスプライン溝が形成されている。また、本実施形態のウォーム筒部52tは、ウォーム軸部52sに挿通されている。そのため、ウォーム筒部52tは、ウォーム軸部52sに沿わせてウォーム軸部52sの延びる方向への移動が可能で、且つウォーム軸部52sと共にウォーム軸部52sの延びる方向まわりに回転可能に構成されている。さらに、ウォーム筒部52tの外周面には、該ウォーム筒部52tの延びる方向まわりに螺旋状のねじ山Eが形成されている。
【0073】
加圧部52uは、出入り方向Xでウォーム筒部52tを挟むように配置されている。この加圧部52uは、ウォーム軸部52sを出入り方向Xまわりに回動可能な状態で乗りかご4の側面に固定する二つの軸受52w,52wと、ウォーム筒部52tと軸受52w,52wとの間に配置される弾性体52xとを備える。二つの軸受52w,52wは、ウォーム筒部52tを間に配置するように配置される。弾性体52xは、軸受52wとウォーム筒部52tとの間で圧縮された圧縮ばねである。本実施形態の弾性体52xは、ウォーム筒部52tを挟むように二つ配置されている。そのため、弾性体52xそれぞれは、反対の弾性体側にウォーム筒部52tを押すように弾性変形する。
【0074】
ウォームホイール部52yは、幅方向Zまわりに回転し、外面に複数の歯52zが設けられた歯車である。このウォームホイール部52yは、歯52zがウォーム筒部52tの外面上のねじ山Eと噛合うとともに、ラッチ本体52eの平坦面に設けられる複数のピニオン52gと噛合っている。そのため、ウォーム筒部52tが出入り方向Xまわりに回転することで、ねじ山Eと噛合う歯52zを介して、ウォームホイール部52yが回転すると共に、歯52zがピニオン52gを介して、ラッチ52cを出入り方向Xである進出方向又は後退方向に動かす。
【0075】
ところで、ラッチ52cが進出位置に移動することでラッチ本体52eの先端部52fが出入り方向Xでラッチケース52jから突出して二つの歯F,Fの隙間に係合すると、ラッチ52cはこれ以上、進出方向に動かない。また、ラッチ52cが後退位置に移動して先端部52fがラッチケース52j内に収納されると、ラッチ52cはこれ以上、後退方向に動かない。そのため、ラッチ52cが進出位置又は後退位置にある場合には、ウォームホイール部52yも幅方向Zまわりに回転できなくなる。よって、この場合、駆動伝達部52mから伝達された駆動力により、ウォーム軸部52sが出入り方向Xまわりで回転すると、ウォーム筒部52tは、螺旋状のねじ山Eが回転しないウォームホイール部52yの歯52zから抗力を受けることにより、弾性体52xの弾性力に抗いつつ、スプラインに沿って出入り方向Xの一方へ動く。よって、回動部500fに伝達された駆動力のうち、ラッチ52cを進出位置又は後退位置に切り替えるのに必要な分を越える駆動力は、ウォームホイール部52yには伝わらず、ウォーム部52rとウォームホイール部52yとにより、ウォーム筒部52tを出入り方向Xにスライドするために用いられて逃がされる。
【0076】
以上、本実施形態によれば、隙間閉塞部500aが乗場床30とかご床401との隙間Sを塞ぎ、リンク部501が、隙間閉塞部500aから下方に延びるエプロン502を、隙間閉塞部500aの乗場3側の端部に接続するため、例えば、着床誤差により、かご床401が乗場床30よりも上側に配置された状態で乗りかご4が停止したときは、エプロン502と乗場床30との隙間を小さくできる。
【0077】
また、本実施形態では、隙間閉塞部500aは、閉塞状態と開放状態とに切替可能に構成されるため、例えば、乗りかご4が乗場に到着した際には、隙間閉塞部500aを閉塞状態にすることで、エプロン502と乗場床30との隙間を小さくして隙間から物が落下することを抑制でき、乗りかご4が昇降する際には、隙間閉塞部500aを開放状態にすることにより、エプロン502と乗場床30との隙間を大きくして、隙間閉塞部500aやエプロン502が昇降路2の壁面に当たることを防止できる。
【0078】
また、本実施形態では、エプロン502は、隙間閉塞部500aが閉塞状態でエプロン502と乗場床30との隙間に配置されることで該隙間を塞ぎ、隙間閉塞部500aが開放状態で隙間Sを開放している。そのため、隙間閉塞部500aが閉塞状態と開放状態とを切り替えることによって、エプロン502が該エプロン502と乗場床30との隙間Sを塞ぐか開放するかを切り替えることができる。具体的には、エプロン502は、隙間閉塞部500aが閉塞状態で隙間Sに配置され、隙間閉塞部500aが開放状態で隙間Sからかご床401の下側に配置されるように移動するため、乗りかご4から人や物が乗降する際には、昇降路2と乗場とが連通することを防ぎ、乗りかご4が昇降路2を昇降する際には、エプロン502が昇降の妨げになることを防止できる。
【0079】
また、本実施形態によれば、駆動伝達部は、駆動源で発生した駆動力のうち、一部の駆動力を隙間閉塞部500aに伝達するため、隙間閉塞部500aは、前記一部の駆動力を用いて、前記閉塞状態と前記開放状態とを切り替えることができる。
【0080】
また、本実施形態によれば、駆動伝達部は、閉塞状態と開放状態とを切り替えるのに必要な分の駆動力を隙間閉塞部500aに伝達するため、切り替えに必要な分を越えて、駆動力が隙間閉塞部500aに伝達されることで、隙間閉塞部500aに負荷がかかることを防止できる。
【0081】
具体的に、本実施形態では、隙間閉塞部500aが閉塞状態又は開放状態になり、回動部500fの回動が規制されると、下方駆動伝達部は回転駆動しないようになる。そして、ウォーム筒部513cは、螺旋状のねじ山Dが回転しないウォームホイール部512aの歯Cの間を通りながら回転することにより、他方の弾性体513fの弾性力に抗いつつ、スプラインに沿って出入り方向Xの一方へ動く。よって、駆動源で発生した駆動力のうち、閉塞状態と開放状態とを切り替えるのに必要な分を越える駆動力は、下方駆動伝達部512には伝わらず、閉塞状態又は開放状態への切り替えに必要な分を越えて、駆動力が隙間閉塞部500aに伝達されることで、隙間閉塞部500aに負荷がかかることを防止できる。
【0082】
また、本実施形態の隙間閉塞装置5では、エプロン502が当接部502cを備え、隙間閉塞部500aが閉塞状態で、該当接部502cが昇降路の壁面に当接しているため、エプロン502と昇降路2の壁面との隙間がなくなり、昇降路2に物が落ちることを防止できる。
【0083】
また、本実施形態によれば、当接部502cが昇降路の壁面に当接することにより、エプロン502と乗場3との隙間をなくすことができ、また、当接部502cは、乗りかご4の幅方向Zに延びる支持軸を中心に回転可能に構成されるから、乗りかご4が昇降路2内を移動する際には、当接部502cと壁面とが擦れて、エプロン502が損傷することを防止できる。
【0084】
また、本実施形態によれば、隙間閉塞部500aにはエプロン502に当たることでエプロン502の回動を規制する回動規制部が設けられているため、隙間閉塞部500aが開放状態から閉塞状態に切り替わった状態で、回動するエプロンが、第一ストッパー500bに当接することによって、エプロン502のかご側への動きが規制できる。よって、例えば、
図6に示すように、かご床401が乗場床30よりも上側に配置された状態において、乗場3側から人や物がエプロンにぶつかっても、エプロン502が乗りかご4側へ動くことがないため、昇降路2内に人や物が落下するといったことを防止できる。
【0085】
また、本実施形態では、
図2に示すように、隙間閉塞部500aが下側に延びる状態において、エプロン502が第二ストッパー500cに当接することで、エプロン502の乗場3側への回動を規制できる。
【0086】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものでなく、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0087】
上記実施形態では、フレーム部402に設けられたモータで発生し、かごドア41を開閉するために用いられる駆動力で隙間閉塞部500aを駆動させることにより、かご床401と乗場床30との隙間Sを閉塞するように構成されていた。しかし、これに限らず、例えば、乗りかご4に前記モータとは別で、隙間閉塞部500aを駆動させるだけの駆動源を設け、該駆動源で隙間閉塞部500aを動かすようにしてもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、回動部500fが支持軸Bまわりに回動することで、隙間閉塞部500aが開放状態と閉塞状態とに切り替わるように構成されていたが、例えば、常に、隙間閉塞部500aが閉塞状態になっていてもよい。また、隙間閉塞部500aを出入り方向Xに動かすことで、隙間を塞ぐ閉塞状態と隙間を開放する開放状態とに切り替えるように構成されていてもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、駆動中継部513が駆動力のうち、隙間閉塞部500aを開放状態又は閉塞状態に切り替えるのに一部の駆動力だけを下方駆動伝達部512に伝達するように構成されていたが、これに限らず、例えば、駆動中継部513が回転駆動力のすべてを下方駆動伝達部512に伝達するようにしてもよい。この場合、隙間閉塞部500aは、駆動中継部513から伝達された駆動力のすべてを用いて、閉塞状態と開放状態とに切り替わることが考えられる。
【0090】
本実施形態の隙間閉塞部500aは、乗場床30とかご床401との間の隙間を閉塞するべく、かご床401と乗場床30との出入り方向Xの隙間Sに進入して埋めるように構成されていたが、これに限らず、例えば、隙間閉塞部500aはかご床401と乗場床30との上下のどちらか一方から隙間Sを覆うことで、隙間Sを閉塞してもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、隙間閉塞部500aは、出入り方向Xでかご床401と乗場床30とに当接し、かご床401と乗場床30との隙間Sを埋めることで隙間Sを塞いでいる場合について説明したが、例えば、隙間閉塞部500aは、出入り方向Xでかご床401と乗場床30とに当接していなくてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1:エレベータ、2:昇降路、3:乗場、30:乗場床、31:乗場側敷居、4:乗りかご、40:かご本体、400:かご側面部、401:かご床、402:フレーム部、403:かご側敷居、404:プーリ部、405:かごプーリ部、406:伝達プーリ部、5:隙間閉塞装置、50:閉塞具、500:敷居部、500a:隙間閉塞部、501:リンク部、502:エプロン、502a:エプロン本体、502b:エプロン取付部、502c:当接部、503:エプロン可動部、51:駆動機構、52:駆動規制部、501:リンク部、502:エプロン
【手続補正書】
【提出日】2023-04-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路を昇降する乗りかごのかご床に設けられ、前記乗りかごが停止する乗場の乗場床と前記かご床との隙間を塞ぐ隙間閉塞部と、
該隙間閉塞部から下方に延びるエプロンと、
前記エプロンを、前記隙間閉塞部の前記乗場側の端部に接続するリンク部とを備え、
前記隙間閉塞部は、前記乗場床と前記かご床との隙間を塞ぐ閉塞状態と、前記乗場床と前記かご床との隙間を開放する開放状態とに切替可能に構成され、
前記乗りかごに設けられるかごドアを開閉駆動するための駆動力を発生させる駆動源と、
前記駆動力を前記隙間閉塞部に伝達する駆動伝達部とを備え、
前記隙間閉塞部は、前記駆動伝達部から伝達された前記駆動力を用いて、前記閉塞状態と前記開放状態とを切替可能に構成される、エレベータの隙間閉塞装置。
【請求項2】
前記駆動伝達部は、前記駆動源で発生した前記駆動力のうち、一部の駆動力を前記隙間閉塞部に伝達することを特徴とする請求項1に記載のエレベータの隙間閉塞装置。
【請求項3】
昇降路を昇降する乗りかごのかご床に設けられ、前記乗りかごが停止する乗場の乗場床と前記かご床との隙間を塞ぐ隙間閉塞部と、
該隙間閉塞部から下方に延びるエプロンと、
前記エプロンを、前記隙間閉塞部の前記乗場側の端部に接続するリンク部であって、前記隙間閉塞部に対して前記エプロンが前記乗りかごの幅方向まわりで回動可能となるように構成されるリンク部と、を備え、
前記隙間閉塞部は、前記幅方向まわりの回動により、前記乗場床と前記かご床との隙間を塞ぐ閉塞状態と、前記乗場床と前記かご床との隙間を開放する開放状態とに切替可能に構成され、
前記エプロンは、前記隙間閉塞部が前記閉塞状態で前記前記隙間に配置される前記隙間閉塞部から下方に延び、前記隙間閉塞部が開放状態で前記隙間よりもかご床側に配置される前記隙間閉塞部から下方に延びる、エレベータの隙間閉塞装置。
【請求項4】
前記エプロンの回動を規制する回転規制部を備え、
前記回転規制部は、少なくとも前記隙間閉塞部が前記開放状態から前記閉塞状態に切り替わった状態で、前記隙間閉塞部に対して回動したエプロンの前記乗りかご側への回動を規制する、請求項3に記載のエレベータの隙間閉塞装置。
【請求項5】
前記エプロンは、前記昇降路の壁面に当接する当接部を備え、
該当接部は、前記乗りかごの幅方向に延びる支持軸を中心に回転可能に構成される、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のエレベータの隙間閉塞装置。