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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120773
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】サウンドデザインシステム
(51)【国際特許分類】
   G10L 25/51 20130101AFI20230823BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20230823BHJP
   G06Q 30/0203 20230101ALI20230823BHJP
   G01H 17/00 20060101ALI20230823BHJP
   G10L 25/18 20130101ALI20230823BHJP
【FI】
G10L25/51
G06Q50/04
G06Q30/02 312
G01H17/00 Z
G10L25/18
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023813
(22)【出願日】2022-02-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000145806
【氏名又は名称】株式会社小野測器
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】楠美 貴大
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 宏知
【テーマコード(参考)】
2G064
5L049
【Fターム(参考)】
2G064AB13
2G064CC29
2G064DD08
2G064DD14
5L049BB02
5L049CC03
(57)【要約】
【課題】対象音について人間の感性を特定するサウンドデザインシステムを提供する。
【解決手段】サウンドデザインシステム1は、聴感印象を特定したいユーザーから送信された音21の物理量22を算出する算出部11と、音21の物理量22と当該音21を聞いた人間の聴感印象による感性データ23との相関を示す相関情報24を備え、算出部11が算出した物理量22に相関情報24を適用することによって、ユーザーから送信された音21について人間の聴感印象を特定する特定部12と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
聴感印象を特定したいユーザーから送信された対象音の物理量を算出する算出部と、
音の物理量と当該音を聞いた人間の聴感印象による感性データとの相関を示す相関情報を備え、前記算出部が算出した物理量に相関情報を適用することによって、前記ユーザーから送信された対象音について人間の聴感印象を特定する特定部と、を備える
サウンドデザインシステム。
【請求項2】
前記特定部は、前記ユーザーから送信された複数の対象音について人間の聴感印象をそれぞれ特定し、前記複数の対象音のなかから、前記ユーザーの指定した聴感印象に適合する対象音を決定する
請求項1に記載のサウンドデザインシステム。
【請求項3】
試聴者に試聴音を提供する提供部と、
前記試聴音を聞いた試聴者の聴感印象による感性データを試聴者から取得する取得部と、
前記算出部が算出した前記試聴音の物理量と前記取得部が取得した感性データとの関係を相関情報に反映させて相関情報を更新する更新部と、を備える
請求項1又は2に記載のサウンドデザインシステム。
【請求項4】
前記提供部は、ウェブアプリケーションにより同時に複数の試聴者に試聴音を提供し、
前記取得部は、前記ウェブアプリケーションにより同時に前記試聴音を聞いた複数の試聴者の聴感印象を取得する
請求項3に記載のサウンドデザインシステム。
【請求項5】
音の収録を依頼する依頼者がウェブアプリケーションのアカウントを、音を収録する収録者に送信し、
前記取得部は、前記収録者が受信した前記アカウントで前記ウェブアプリケーションを用いて収録した音を取得する
請求項3又は4に記載のサウンドデザインシステム。
【請求項6】
前記音を聞いた前記試聴者の聴感印象による感性データに基づいて前記音を分析する分析部を備え、
前記分析部は、前記音に対する複数の聴感印象から選択した2つの聴感印象の相関係数を算出する
請求項3~5のいずれか一項に記載のサウンドデザインシステム。
【請求項7】
前記分析部は、前記音に対する複数の聴感印象と前記音に含まれる周波数毎の大きさとの相関係数を算出する
請求項6に記載のサウンドデザインシステム。
【請求項8】
前記収録した音を分析する分析部と、
前記分析部が分析した分析結果を前記アカウントに紐づけて記憶する記憶部と、を備え、
前記取得部は、前記ウェブアプリケーションにより前記収録した音を聞いた前記試聴者の聴感印象による感性データを取得し、
前記分析部は、前記収録した音を聞いた前記試聴者の聴感印象による感性データに基づいて前記収録した音を分析し、
前記依頼者が前記ウェブアプリケーションを実行させて前記アカウントに紐づけられた前記分析結果を取得する
請求項5に記載のサウンドデザインシステム。
【請求項9】
ユーザー端末は、ウェブアプリケーションの実行によって前記対象音の収録、及びサウンドデザインシステムへの前記対象音の送信を行い、
前記ユーザー端末による前記ウェブアプリケーションの使用可否を管理する管理部を備える
請求項1~8のいずれか一項に記載のサウンドデザインシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サウンドデザインシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の官能評価装置は、被評価体の発生音の時間軸波形を取得し、この時間軸波形に基づいて定量データを取得する。定量データは、発生音から切り出される特定成分の定量的な値である。発生音から切り出される特定成分は、発生音の官能的な評価に影響を与える成分である。そして、官能評価装置は、時間軸波形を再生装置で再生させた音に基づく官能評価結果と、切り出された特定成分の定量データとの相関関係を求め、これにより官能評価結果の定量化を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1-260327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、上記特許文献1に記載の官能評価装置は、発生音の官能評価結果を客観的な定量データに変える。そして、回転機等の被評価体が発する騒音や振動の評価のように、発生音の評価に熟練を要する官能評価に代えて、発生音の特定成分から算出される定量データを用いることは、熟練を要しない観点において有益である。
【0005】
近年、装置が発する音のデザインは、装置の需要を増大させる重要な役割を担っている。装置の需要を増大させる音の種類は、心地よい音、高級感のある音、厚みのある音、潤いのある音、バランスの良い音などのように、少なくとも人間が音から感じる聴感印象の数だけ存在する。この点、対象音の官能評価結果を定量化する技術は、心地よい音であり、かつ潤いのある音でもある、という評価のように、対象音から感じる人間の聴感印象を特定するには至らない。そして、多数の聴感印象のなかから対象音に該当する聴感印象を特定可能にする技術は、対象音を発する装置の需要増大に大きく寄与する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するサウンドデザインシステムは、聴感印象を特定したいユーザーから送信された対象音の物理量を算出する算出部と、音の物理量と当該音を聞いた人間の聴感印象による感性データとの相関を示す相関情報を備え、前記算出部が算出した物理量に相関情報を適用することによって、前記ユーザーから送信された対象音について人間の聴感印象を特定する特定部と、を備える。
【0007】
上記構成によれば、サウンドデザインシステムは音の物理量と人間の聴感印象による感性データとの相関情報を備えている。そして、ユーザーから送信された対象音の物理量を算出部が算出することで対象音の物理量を取得し、特定部が音の物理量と人間の聴感印象による感性データとの相関情報を適用することによってユーザーから送信された対象音について人間の聴感印象を特定することができる。よって、聴感印象(感性データ)に寄与する音(物理量)を特定することで、装置の需要を増大させる音をデザインすることができる。
【0008】
上記サウンドデザインシステムについて、前記特定部は、前記ユーザーから送信された複数の対象音について人間の聴感印象をそれぞれ特定し、前記複数の対象音のなかから、前記ユーザーの指定した聴感印象に適合する対象音を決定することが好ましい。
【0009】
上記構成によれば、音の物理量と人間の聴感印象による感性データとの相関情報を適用することによって特定部がユーザーから送信された複数の対象音について人間の聴感印象をそれぞれ特定することができる。そして、複数の対象音について人間の聴感印象をそれぞれ特定したことで、特定部が複数の対象音のなかからユーザーの指定した聴感印象に適合する対象音を決定することができる。
【0010】
上記サウンドデザインシステムについて、試聴者に試聴音を提供する提供部と、前記試聴音を聞いた試聴者の聴感印象による感性データを試聴者から取得する取得部と、前記算出部が算出した前記試聴音の物理量と前記取得部が取得した感性データとの関係を相関情報に反映させて相関情報を更新する更新部と、を備えることが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、提供部から提供された試聴音を聞いた試聴者の聴感印象による感性データを取得部が取得し、音の物理量と取得部が取得した感性データとの関係を相関情報に反映させて相関情報を更新部が更新する。このため、試聴者の聴感印象を、音の物理量と人間の聴感印象による感性データとの相関情報に反映させることができる。
【0012】
上記サウンドデザインシステムについて、前記提供部は、ウェブアプリケーションにより同時に複数の試聴者に試聴音を提供し、前記取得部は、前記ウェブアプリケーションにより同時に前記試聴音を聞いた複数の試聴者の聴感印象を取得することが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、ウェブアプリケーションによって提供部から同時に提供された試聴音を聞いた試聴者の聴感印象による感性データを取得部が取得することができる。このため、試験会場に試聴者を集めることなく複数の試聴者から聴感印象による感性データを同時に取得することができる。よって、聴感印象による感性データを収集するための時間と労力を削減することができる。
【0014】
上記サウンドデザインシステムについて、音の収録を依頼する依頼者がウェブアプリケーションのアカウントを、音を収録する収録者に送信し、前記取得部は、前記収録者が受信した前記アカウントで前記ウェブアプリケーションを用いて収録した音を取得することが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、音を収録する収録者が依頼者からウェブアプリケーションのアカウントを受信することにより、収録者がウェブアプリケーションのアカウントを持っていなくてもその場でウェブアプリケーションによって音を収録し、取得部が音を取得することができる。
【0016】
上記サウンドデザインシステムについて、前記音を聞いた前記試聴者の聴感印象による感性データに基づいて前記音を分析する分析部を備え、前記分析部は、前記音に対する複数の聴感印象から選択した2つの聴感印象の相関係数を算出することが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、音に対する複数の聴感印象から選択した2つの聴感印象の相関係数を分析部が算出する。このため、依頼者等のユーザーは、2つの聴感印象の相関を把握することができる。
【0018】
上記サウンドデザインシステムについて、前記分析部は、前記音に対する複数の聴感印象と前記音に含まれる周波数毎の大きさとの相関係数を算出することが好ましい。
上記構成によれば、音に対する複数の聴感印象と音に含まれる周波数毎の大きさとの相関係数を分析部が算出する。このため、依頼者等のユーザーは、聴感印象と周波数との相関を把握することができる。
【0019】
上記サウンドデザインシステムについて、前記収録した音を分析する分析部と、前記分析部が分析した分析結果を前記アカウントに紐づけて記憶する記憶部と、を備え、前記取得部は、前記ウェブアプリケーションにより前記収録した音を聞いた前記試聴者の聴感印象による感性データを取得し、前記分析部は、前記収録した音を聞いた前記試聴者の聴感印象による感性データに基づいて前記収録した音を分析し、前記依頼者が前記ウェブアプリケーションを実行させて前記アカウントに紐づけられた前記分析結果を取得することが好ましい。
【0020】
上記構成によれば、取得部が取得した収録した音を感性データに基づいて分析部が分析し、この分析結果を記憶部がアカウントに紐づけて記憶することで、依頼者がウェブアプリケーションにより分析結果を取得することができる。
【0021】
上記サウンドデザインシステムについて、ユーザー端末は、ウェブアプリケーションの実行によって前記対象音の収録、及びサウンドデザインシステムへの前記対象音の送信を行い、前記ユーザー端末による前記ウェブアプリケーションの使用可否を管理する管理部を備えることが好ましい。
【0022】
上記構成によれば、管理部がユーザー端末によるウェブアプリケーションの使用可否を管理することで、ユーザー端末による対象音の収録や収録した対象音をサウンドデザインシステムに送信することを管理することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、対象音について人間の聴感印象を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】サウンドデザインシステムの一実施形態の概略構成を示すブロック図。
図2】同実施形態のサウンドデザインシステムの聴感印象評価を示す図。
図3】同実施形態のサウンドデザインシステムの聴感印象評価を示す図。
図4】同実施形態のサウンドデザインシステムの感性データの散布図。
図5】同実施形態のサウンドデザインシステムの音の分析表示を示す図。
図6】同実施形態のサウンドデザインシステムによる聴感印象の特定処理を示すフローチャート。
図7】同実施形態のサウンドデザインシステムによる聴感印象に適合する音の決定処理を示すフローチャート。
図8】同実施形態のサウンドデザインシステムによる相関情報の更新処理を示すフローチャート。
図9】同実施形態のサウンドデザインシステムによる音の分析処理を示すシーケンスチャート。
図10】サウンドデザインシステムによる音の分析処理の変形例を示すシーケンスチャート。
図11】サウンドデザインシステムによる音の分析処理の変形例を示すシーケンスチャート。
図12】サウンドデザインシステムによる音の分析処理の変形例を示すシーケンスチャート。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図1図9を参照して、サウンドデザインシステムの一実施形態について説明する。
図1に示すように、サウンドデザインシステム1は、サーバー2と、パーソナルコンピュータ(PC)3や携帯端末4とを備えている。サーバー2と、パーソナルコンピュータ(PC)3や携帯端末4とは、ネットワークNWを介して接続されている。試聴者、依頼者、収録者、分析者等のユーザーは、PC3及び携帯端末4の少なくとも一方を用いてサーバー2に接続することで、サウンドデザインシステム1を利用する。ユーザーは、PC3又は携帯端末4においてウェブアプリケーションの実行によりサウンドデザインシステム1のサーバー2と情報を交換する。なお、PC3又は携帯端末4がユーザー端末に相当する。
【0026】
サーバー2は、演算部10、記憶部20、通信インターフェース部(図示略)を備えている。演算部10は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサとして構成し得る。なお、サーバー2は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する、特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路、またはそれらの組み合わせを含む回路(circuitry)として構成してもよい。プロセッサは、CPU及び、RAM並びにROM等のメモリを含む。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセス可能なあらゆる利用媒体を含む。
【0027】
演算部10には、算出部11、特定部12、提供部13、取得部14、更新部15、管理部16、分析部17を備えている。記憶部20には、音21、音21の物理量22、音21に対する感性データ23、音21の物理量22と感性データ23との相関情報24、ID25、分析結果26が保存されている。音21の物理量22は、音圧、周波数、振幅、及びこれらの時間変化を示す値、周波数スペクトル、パワースペクトルである。物理量22は、任意に選択可能である。音21に対する感性データ23は、音21に対する人の聴感印象に基づく評価値である。相関情報24は、音21の物理量22と当該音21を聞いた人間の聴感印象による感性データ23との相関を示す情報である。音21、物理量22、感性データ23、及び相関情報24は、記憶部20に保存されている。
【0028】
記憶部20に保存される音21は、デバイスの操作音や反応音、機械に起因する音、自然由来の音、スピーカー等の電気由来の音、自律感覚絶頂反応を促す音、聴覚の刺激によって主観的な聴感印象を誘起する音、等である。
【0029】
ここで、図2に示すように、感性データ23の指標31は、例えば、音21の好き嫌いを評価する評価値であって、嫌いの「-2」から好きの「2」までの5段階の評価値である。なお、5段階に限らず、任意の段階に設定してもよい。
【0030】
また、図3に示すように、感性データ23の指標32は、例えば、音21の高級か低級かを評価する評価値であって、低級の「-2」から高級の「2」までの5段階の評価値である。なお、5段階に限らず、任意の段階に設定してもよい。
【0031】
上記感性データ23の評価語は一例であって、音21から感じるイメージを言語化したものを採用してもよい。イメージは、心地よい・心地悪い、厚みある・薄い、潤いがある・潤いがない、バランスがよい・バランスが悪い、明るい・暗い、強い・弱い、きれい・汚い、速い・遅い、重い・軽い、等である。また、感性データ23の評価語は、音を人間の言語でそれらしく表した言葉であるオノマトペを採用してもよい。
【0032】
また、図4に示すように、音21の異なる評価値同士を組み合わせた感性データ23の散布図としてもよい。例えば、感性データ23の散布図40は、音21の好き嫌いの評価値と高級低級の評価値とを組み合わせた散布図である。感性データ23の散布図40は、横軸を好き嫌い、縦軸を高級低級とする2次元上に評価値がプロットされた図である。このように2次元上にプロットすることで2つの評価値の相関関係を把握することができるようになる。なお、各評価値のデータから相関係数を算出してもよい。なお、感性データ23の散布図は、音21の異なる2つの評価値同士を組み合わせた2次元の散布図に限らず、音21の異なる3つの評価値同士を組み合わせた3次元の散布図としてもよい。また、音21の異なる4つ以上の評価値同士を組み合わせた多次元の散布図としてもよい。なお、散布図にカラーマップ等を組み合わせてもよいし、散布図以外の表示方法を用いてもよい。
【0033】
さらに、図5に示すように、サウンドデザインシステム1は、音の分析を行い、分析結果26を表示する。分析結果26は、感性データ23の2つの評価語の相関係数、音データ、散布図を含む。なお、相関係数は、相関情報に相当し、音データに含まれる各周波数のレベル(dB)と評価語との相関係数であってもよい。この場合、音21の周波数を調整することで求める音を探し出すことができる。図5の散布図は、横軸(X軸)が評価語1であって、縦軸(Y軸)が31.5Hzのレベルにおける散布図である。相関係数は、「-0.62」である。散布図の表示は、相関係数のY軸及びX軸の組み合わせをラジオボタンで選択することで切り替えることができる。散布図に表示された丸数字は、音データ(評価車両)を表し、散布図上のそれぞれの位置が各音データの評価値を示している。
【0034】
図1に示すように、算出部11は、ウェブアプリケーションによりサウンドデザインシステム1のユーザーからサーバー2に送信された音21(対象音21A)の物理量22を算出する。特定部12は、算出部11が算出した物理量22に相関情報24を適用することによって、ユーザーからサーバー2に送信された対象音21Aについて人間の聴感印象を特定する。
【0035】
特定部12は、ウェブアプリケーションによりユーザーからサーバー2に送信された複数の対象音21Aについて人間の聴感印象をそれぞれ特定する。そして、特定部12は、複数の対象音21Aのなかから、ユーザーの指定した聴感印象に適合する対象音21Aを決定する。提供部13は、ウェブアプリケーションによりユーザーに対象音21Aの聴感印象による感性データ23を提供する。
【0036】
提供部13は、ウェブアプリケーションにより試聴者に試聴してほしい音21(試聴音21B)を提供する。取得部14は、ウェブアプリケーションにより試聴音21Bを聞いた試聴者の聴感印象による感性データ23を試聴者から取得する。更新部15は、算出部11が算出した試聴音21Bの物理量22と取得部14が取得した聴感印象による感性データ23との関係を記憶部20の相関情報24に反映させて相関情報24を更新する。
【0037】
提供部13は、ウェブアプリケーションにより同時に複数の試聴者に試聴音21Bを提供する。取得部14は、ウェブアプリケーションにより同時に試聴音21Bを聞いた複数の試聴者の聴感印象による感性データ23を取得する。更新部15は、算出部11が算出した試聴音21Bの物理量22と取得部14が取得した聴感印象による感性データ23との関係を記憶部20の相関情報24に反映させて相関情報24を更新する。
【0038】
PC3又は携帯端末4は、ウェブアプリケーションの実行によって音21を収録し、収録した音21(収録音21C)をウェブアプリケーションによりサウンドデザインシステム1のサーバー2に送信する。
【0039】
管理部16は、PC3又は携帯端末4によるウェブアプリケーションの使用可否を管理する。管理部16に使用を許可されたPC3又は携帯端末4は、ウェブアプリケーションを使用することができる。また、管理部16に使用を拒否されたPC3又は携帯端末4は、ウェブアプリケーションを使用することができない。
【0040】
音21の収録を依頼する依頼者は、ウェブアプリケーションのアカウントであるID25を、音21を収録する収録者にメール等で送信する。このため、突発的に発生した音を収録する機会損失を削減することができる。取得部14は、収録者が受信したID25でウェブアプリケーションを用いて収録音21Cを取得する。なお、依頼者自身がウェブアプリケーションを用いて音21を収録してもよい。
【0041】
分析部17は、音21を聞いた試聴者の聴感印象による感性データ23に基づいて音21を分析する。分析部17は、音21に対する複数の聴感印象から選択した2つの聴感印象の相関係数を算出する。
【0042】
記憶部20は、取得部14が取得した収録音21Cの分析結果26をID25に紐づけて記憶する。取得部14は、ウェブアプリケーションにより収録音21Cを聞いた試聴者の聴感印象による感性データ23を取得する。分析部17は、収録音21Cを聞いた試聴者の聴感印象による感性データ23に基づいて収録音21Cを分析する。依頼者は、ウェブアプリケーションを実行させてID25に紐づけられた分析結果26をサーバー2から取得する。
【0043】
次に、図6を併せ参照して、上記サウンドデザインシステム1による音21の感性を特定する処理について説明する。
図6に示すように、サウンドデザインシステム1のサーバー2は、音21を取得する(ステップS11)。すなわち、音21の聴感印象を知りたいユーザーがPC3又は携帯端末4を用いてウェブアプリケーションを実行して聴感印象を知りたい音21をサーバー2に送信する。そして、サーバー2の取得部14は、ユーザーから送信された音21を取得する。
【0044】
続いて、サーバー2は、音21の物理量22を算出する(ステップS12)。すなわち、算出部11は、ユーザーから取得した音21を、音圧、周波数、振幅、及びこれらの時間変化を示す値、周波数スペクトル、パワースペクトルを算出して、音21を数値化する。
【0045】
続いて、サーバー2は、音21の聴感印象を特定する(ステップS13)。すなわち、特定部12は、算出部11が算出した物理量22に記憶部20の相関情報24を適用することによって、ユーザーから取得した音について聴感印象を特定する。
【0046】
続いて、サーバー2は、音21の聴感印象を出力する(ステップS14)。すなわち、提供部13は、特定部12が特定した聴感印象による感性データ23をユーザーのPC3又は携帯端末4へ送信する。ユーザーは、サウンドデザインシステム1によって音21の聴感印象を取得することができる。
【0047】
次に、図7を併せ参照して、上記サウンドデザインシステム1によって複数の音21の聴感印象を特定し、聴感印象に適合する音21を決定する処理について説明する。
図7に示すように、サウンドデザインシステム1のサーバー2は、複数の音21を取得する(ステップS21)。すなわち、複数の音21から聴感印象に適合する音21を知りたいユーザーがPC3又は携帯端末4を用いてウェブアプリケーションを実行して複数の音21をサーバー2に送信する。そして、サーバー2の取得部14は、ユーザーから送信された複数の音21を取得する。
【0048】
続いて、サーバー2は、複数の音21の物理量22をそれぞれ算出する(ステップS22)。すなわち、算出部11は、ユーザーから取得した音21を、音圧、周波数、振幅、及びこれらの時間変化を示す値、周波数スペクトル、パワースペクトルを算出して、音21を数値化する。
【0049】
続いて、サーバー2は、複数の音21の聴感印象を特定する(ステップS23)。すなわち、特定部12は、算出部11が算出した物理量22に記憶部20の相関情報24を適用することによって、ユーザーから取得した複数の音21について聴感印象を特定する。
【0050】
続いて、サーバー2は、ユーザーが求める聴感印象に適合する音21を決定する(ステップS24)。すなわち、特定部12は、特定した聴感印象からユーザーが求める聴感印象に適合するもの、言い換えれば一致するもの又は近いものを決定する。
【0051】
続いて、サーバー2は、聴感印象に適合する音21を出力する(ステップS25)。すなわち、提供部13は、特定部12が特定した聴感印象に適合する音21をユーザーのPC3又は携帯端末4へ送信する。ユーザーは、サウンドデザインシステム1によって求める聴感印象に適合する音21を取得することができる。
【0052】
次に、図8を併せ参照して、上記サウンドデザインシステム1による音21と聴感印象による感性データ23との相関情報24を更新する処理について説明する。
図8に示すように、サウンドデザインシステム1のサーバー2は、試聴音21Bを試聴者に提供する(ステップS31)。すなわち、提供部13は、音21について聴感印象の評価をしてくれる試聴者のPC3又は携帯端末4に評価してほしい音21を送信する。試聴者は、PC3又は携帯端末4においてウェブアプリケーションを実行することでサーバー2から試聴音21Bを取得する。
【0053】
続いて、サーバー2は、試聴者の感性データ23を取得する(ステップS32)。すなわち、試聴者は、ウェブアプリケーションの実行によって試聴音21Bに対する聴感印象による感性データ23を登録する。取得部14は、試聴者がウェブアプリケーションに登録した試聴音21Bに対する感性データ23を取得する。
【0054】
続いて、サーバー2は、音21と聴感印象による感性データ23との相関情報24を更新する(ステップS33)。すなわち、更新部15は、試聴音21Bの物理量22と取得部14が取得した感性データ23との関係を記憶部20の相関情報24に反映させて相関情報24を更新する。
【0055】
次に、図9を併せ参照して、上記サウンドデザインシステム1による音21の収録と分析とを行う処理について説明する。このような処理を行うのは、例えば、いろいろな車のドアを閉める音21を収録して分析する場合である。車の所有者が音21を収録する収録者に相当し、車メーカーの企画担当者等が音21の収録を依頼する依頼者に相当する。なお、車のドアに限らず、音を発生するものであれば、同様に音の収録と分析とを行うことができる。
【0056】
図9に示すように、まず、依頼者は、サウンドデザインシステム1のサーバー2に招待ID25の発行を依頼する(ステップS41)。すなわち、サーバー2に招待ID25を発行してもらうことで、招待ID25をアカウントとして利用することができるようになる。
【0057】
続いて、サーバー2は、招待ID25を依頼者に発行する(ステップS42)。すなわち、管理部16は、発行した招待ID25があれば、PC3又は携帯端末4によるウェブアプリケーションの使用を許可する。
【0058】
続いて、依頼者は、招待ID25を収録者に送信する(ステップS43)。すなわち、依頼者は、依頼者のPC3又は携帯端末4からメールを利用して、収録者のPC3又は携帯端末4に招待ID25を送信する。
【0059】
続いて、収録者は、依頼者から招待ID25を取得する(ステップS44)。すなわち、収録者は、収録者のPC3又は携帯端末4にて招待ID25のメールを受信することで招待ID25を取得する。よって、収録者は、招待ID25を用いてウェブアプリケーションを実行することができるようになる。
【0060】
続いて、収録者は、音21を収録する(ステップS45)。すなわち、収録者は、PC3又は携帯端末4を用いてウェブアプリケーションを実行することによって車のドアを閉める音21を収録する。なお、レコーダー等で音21を収録して、収録した音をレコーダー等からPC3又は携帯端末4に読み込ませてもよい。
【0061】
続いて、収録者は、収録した音21をサーバー2に送信する(ステップS46)。すなわち、収録者は、PC3又は携帯端末4からウェブアプリケーションを実行することによって車のドアを閉める音21をサーバー2に送信する。
【0062】
続いて、サーバー2は、音21を取得する(ステップS47)。すなわち、取得部14は、ウェブアプリケーションの実行によって収録者から送信された、収録者が収録した音21を取得する。サーバー2は、取得した音21を招待ID25と紐づけて記憶部20に保存する。収録者は、収録したい車毎に音21を収録する。
【0063】
続いて、サウンドデザインシステム1のサーバー2は、音21を試聴者に提供する(ステップS51)。すなわち、提供部13は、音21について聴感印象の評価をしてくれる試聴者のPC3又は携帯端末4に評価してほしい音21を送信する。試聴者は、PC3又は携帯端末4においてウェブアプリケーションを実行することでサーバー2から音21を取得する。
【0064】
続いて、試聴者は、受信した音21に対して聴感印象を選択する(ステップS52)。すなわち、試聴者は、PC3又は携帯端末4においてウェブアプリケーションの実行によって音21に対する複数の評価語の評価値を選択する。そして、PC3又は携帯端末4は、聴感印象による感性データ23をサーバー2に送信する(ステップS53)。
【0065】
続いて、サーバー2は、試聴者の感性データ23を取得する(ステップS54)。すなわち、試聴者は、試聴音21Bに対する聴感印象による感性データ23を登録する。取得部14は、試聴者がウェブアプリケーションに登録した試聴音21Bに対する感性データ23を取得する。サーバー2は、感性データ23を取得したい音21毎に試聴者に依頼する。また、サーバー2は、依頼したい試聴者毎に聴感印象の評価を依頼する。
【0066】
続いて、依頼者は、サウンドデザインシステム1に保存した音21の分析をサーバー2に依頼する(ステップS61)。すなわち、依頼者は、依頼者のPC3又は携帯端末4においてウェブアプリケーションの実行によってサーバー2に依頼する。
【0067】
続いて、サーバー2は、音21を分析する(ステップS62)。すなわち、分析部17は、音21に対する複数の評価語同士の相関係数や、音21に対する評価語と周波数との相関係数を算出し、分析結果26を生成する。
【0068】
続いて、依頼者は、サーバー2が分析した音21の分析結果26を確認する(ステップS63)。すなわち、依頼者は、ウェブアプリケーションの実行によってサーバー2から図5に示すような分析結果26を取得する。依頼者は、車のドアを閉める音21の分析結果26を確認する。そして、所望の聴感印象の音21を開発で扱えるパラメータである物理量として特定することができ、車の企画及び開発に活かすことができる。さらに、音21の周波数を調整することで、さらに所望の聴感印象に近い音21を生成することができる。
【0069】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)サウンドデザインシステム1は音21の物理量22と人間の聴感印象による感性データ23との相関情報24を備えている。そして、ユーザーから送信された対象音21Aの物理量22を算出部11が算出することで対象音21Aの物理量22を取得し、音21の物理量22と人間の聴感印象による感性データ23との相関情報24を適用することによって特定部12がユーザーから送信された対象音21Aについて人間の聴感印象を特定することができる。よって、聴感印象(感性データ23)に寄与する音(物理量22)を特定することで、装置の需要を増大させる音をデザインすることができる。
【0070】
(2)音21の物理量22と人間の聴感印象による感性データ23との相関情報24を適用することによって特定部12がユーザーから送信された複数の対象音21Aについて人間の聴感印象をそれぞれ特定することができる。そして、複数の対象音21Aについて人間の聴感印象をそれぞれ特定したことで、特定部12が複数の対象音21Aのなかからユーザーの指定した聴感印象に適合する対象音21Aを決定することができる。
【0071】
(3)提供部13から提供された試聴音21Bを聞いた試聴者の聴感印象による感性データ23を取得部14が取得し、音21の物理量22と取得部14が取得した感性データ23との関係を相関情報24に反映させて相関情報24を更新部15が更新する。このため、試聴者の聴感印象を、音21の物理量22と人間の聴感印象による感性データ23との相関情報24に反映させることができる。
【0072】
(4)ウェブアプリケーションによって提供部13から同時に提供された試聴音21Bを聞いた試聴者の聴感印象による感性データ23を取得部14が取得することができる。このため、試験会場に試聴者を集めることなく複数の試聴者から聴感印象による感性データ23を同時に取得することができる。よって、聴感印象による感性データ23を収集するための時間と労力とを削減することができる。
【0073】
(5)音21を収録する収録者が依頼者からウェブアプリケーションのアカウントとして招待ID25を受信することにより、収録者がウェブアプリケーションのアカウントを持っていなくてもその場でウェブアプリケーションによって音を収録し、取得部が音を取得することができる。また、突発的に発生した音を収録する機会損失を削減することができる。
【0074】
(6)音21に対する複数の聴感印象から選択した2つの聴感印象の相関係数を分析部17が算出する。このため、依頼者等のユーザーは、2つの聴感印象の相関を把握することができる。
【0075】
(7)収録した音21に対する複数の聴感印象と収録した音に含まれる周波数毎の大きさとの相関係数を分析部17が算出する。このため、依頼者等のユーザーは、聴感印象と周波数との相関を把握することができる。
【0076】
(8)取得部14が取得した音21の分析結果26を記憶部20が招待ID25に紐づけて記憶することで、依頼者がウェブアプリケーションにより分析結果26を取得することができる。よって、収録者がウェブアプリケーションのアカウントを持っていなくてもウェブアプリケーションで音21を収録することができ、依頼者が収録された音21の分析結果26を取得することができる。
【0077】
(9)管理部16がユーザーのPC3又は携帯端末4によるウェブアプリケーションの使用可否を管理することで、ユーザーのPC3又は携帯端末4による音21の収録や収録した音21をサウンドデザインシステム1に送信することを管理することができる。
【0078】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0079】
・上記実施形態では、サーバー2の分析部17が音21の分析を行った。しかしながら、図10に示すように、分析者が音21の分析を行い、分析者が分析結果26をサーバー2に送ってもよい。ステップS54までは図9と同様なので説明を割愛し、ステップS71から説明する。
【0080】
依頼者は、サウンドデザインシステム1に保存した音21の分析を分析者に依頼する(ステップS71)。すなわち、依頼者は、依頼者のPC3又は携帯端末4から分析者のPC3又は携帯端末4に分析依頼のメールを送信する。メールに限らず、依頼者から分析者に分析を依頼できれば他の通信手段で依頼してもよい。
【0081】
続いて、分析者は、サーバー2から音21及び感性データ23を取得する(ステップS72)。分析者は、ウェブアプリケーションを実行することで、招待ID25に紐づけられた音21をサーバー2から取得する。
【0082】
続いて、分析者は、音21を分析する(ステップS73)。すなわち、分析者は、音21に対する複数の評価語同士の相関係数や評価語と周波数との相関係数を算出し、分析結果26を生成する。
【0083】
続いて、分析者は、分析結果26をサーバー2に送信する(ステップS74)。すなわち、分析者は、ウェブアプリケーションを実行することで、分析結果26をサーバー2に送信する。
【0084】
続いて、サーバー2は、分析者が分析した音21の分析結果26を取得する(ステップS75)。すなわち、取得部14は、ウェブアプリケーションの実行によって分析者から送信された、分析者が分析した音21の分析結果26を取得する。サーバー2は、取得した音21の分析結果26を招待ID25と紐づけて記憶部20に保存する。
【0085】
続いて、依頼者は、分析者が分析した音21の分析結果26を確認する(ステップS76)。すなわち、依頼者は、ウェブアプリケーションの実行によってサーバー2から招待ID25に紐づけられた分析結果26を取得する。
【0086】
・上記実施形態では、依頼者が招待IDを収録者に送信した。しかしながら、依頼者からサーバー2を介して収録者に招待IDを送信してもよい。すなわち、図11に示すように、依頼者は、サウンドデザインシステム1のサーバー2に招待ID25の発行を依頼する(ステップS41)。続いて、サーバー2は、招待ID25を発行して(ステップS42)、招待IDを収録者に送信する。そして、収録者は、サーバー2から招待ID25を取得する(ステップS44)。
【0087】
・上記実施形態では、依頼者が招待IDを収録者に送信した。しかしながら、サーバー2が招待の可否を判断して、サーバー2から収録者に招待IDを送信してもよい。すなわち、サーバー2は、収録者の入力情報に基づいて招待の可否を判断して、条件が合っていれば招待IDを送信する。入力情報として収録予定の車両情報を収録者に入力してもらってもよい。
【0088】
・上記実施形態において、収録者を募集してもよい。すなわち、図12に示すように、依頼者は、サウンドデザインシステム1のサーバー2に音21のサンプル情報を登録する(ステップS81)。サーバー2は、サンプルの収録者を募集する(ステップS82)。応募したい収録者は、収録希望をサーバー2に登録する(ステップS83)。サーバー2は収録希望者をリストに登録する(ステップS84)。依頼者は、収録を依頼する収録依頼者(収録者)をリストから選定する(ステップS85)。以下ステップS41以降は、上記と同様である。
【0089】
・上記実施形態において、PC3又は携帯端末4をユーザー端末としたが、ネットワークに接続可能な計測器をユーザー端末としてもよい。
・上記実施形態では、ユーザーのPC3又は携帯端末4によるウェブアプリケーションの使用可否を管理する管理部16を備えた。しかしながら、ユーザーのPC3又は携帯端末4によるウェブアプリケーションの使用を制限せず、ユーザーに応じて使用範囲を制限してもよい。また、管理部16を省略してもよい。
【0090】
・上記実施形態では、提供部がウェブアプリケーションにより同時に複数の試聴者に試聴音を提供し、取得部14がウェブアプリケーションにより同時に試聴音を聞いた複数の試聴者の感性を取得した。しかしながら、提供部がウェブアプリケーションにより複数の試聴者に試聴音を異なるタイミングで提供し、取得部14がウェブアプリケーションにより試聴音を聞いた複数の試聴者の感性を異なるタイミングで取得してもよい。
【0091】
・上記実施形態において、試聴者に試聴音21Bを提供する提供部13と、試聴者から感性データ23を取得する取得部14と、音21と聴感印象による感性データ23との相関情報24を更新する更新部15とを省略してもよい。
【0092】
・上記実施形態において、複数の対象音21Aのなかからユーザーの指定した聴感印象に適合する対象音21Aを決定する処理を省略してもよい。
・上記実施形態では、ウェブアプリケーションを実行することによってサウンドデザインシステム1を利用した。しかしながら、アプリケーションは、ユーザーのPC3又は携帯端末4にインストールされたアプリケーションでもよいし、ウェブブラウザを用いて表示されるウェブページでもよいし、アプリ内ブラウザでウェブページを表示するハイブリッドアプリケーションでもよい。
【0093】
・上記実施形態における「音」は、主に空気を振動させて、鼓膜を通して伝達させる「気導音」として説明した。しかしながら、「音」は、「気導音」と置き換えて、頭蓋骨などの骨を振動させて、聴覚神経に伝達させる「骨導音」としてもよい。このようにすれば、サウンドデザインシステムによって、気導音として音を聞く人と同様に、骨導音として音を聞く人の聴感印象を特定することができる。
【符号の説明】
【0094】
1…サウンドデザインシステム
2…サーバー
3…パーソナルコンピュータ(PC)
4…携帯端末
10…演算部
11…算出部
12…特定部
13…提供部
14…取得部
15…更新部
16…管理部
17…分析部
20…記憶部
21…音
22…物理量
23…感性データ
24…相関情報
25…ID
26…分析結果
31,32…感性データの指標
40…感性データの散布図
NW…ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-04-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
聴感印象を特定したいユーザーから送信された対象音の物理量を算出する算出部と、
音の物理量と当該音を聞いた人間の聴感印象による感性データとの相関を示す相関情報とを備え、前記算出部が算出した物理量に予め取得した前記相関情報を適用することによって、前記ユーザーから送信された対象音について前記相関情報に含まれる聴感印象の相関係数に基づいて人間の聴感印象を特定する特定部と、
前記感性データと前記相関情報とを記憶する記憶部と、を備え
前記感性データは、相互に異なる複数の聴感印象の評価値を組み合わせた多次元のデータである
サウンドデザインシステム。
【請求項2】
前記特定部は、前記ユーザーから送信された複数の対象音について前記相関情報に含まれる聴感印象の相関係数に基づいて人間の聴感印象をそれぞれ特定し、前記複数の対象音のなかから、前記ユーザーの指定した聴感印象に適合する対象音を決定する
請求項1に記載のサウンドデザインシステム。
【請求項3】
試聴者に試聴音を提供する提供部と、
前記試聴音を聞いた試聴者の聴感印象による感性データを試聴者から取得する取得部と、
前記算出部が算出した前記試聴音の物理量と前記取得部が取得した感性データとの関係を相関情報に反映させて相関情報を更新する更新部と、を備える
請求項1又は2に記載のサウンドデザインシステム。
【請求項4】
前記提供部は、ウェブアプリケーションにより同時に複数の試聴者に試聴音を提供し、
前記取得部は、前記ウェブアプリケーションにより同時に前記試聴音を聞いた複数の試聴者の聴感印象を取得する
請求項3に記載のサウンドデザインシステム。
【請求項5】
音の収録を依頼する依頼者がウェブアプリケーションのアカウントを、音を収録する収録者に送信し、
前記取得部は、前記収録者が受信した前記アカウントで前記ウェブアプリケーションを用いて収録した音を取得する
請求項3又は4に記載のサウンドデザインシステム。
【請求項6】
前記音を聞いた前記試聴者の聴感印象による感性データに基づいて前記音を分析する分析部を備え、
前記分析部は、前記音に対する複数の聴感印象から選択した2つの聴感印象の相関係数を算出する
請求項3~5のいずれか一項に記載のサウンドデザインシステム。
【請求項7】
前記分析部は、前記音に対する複数の聴感印象と前記音に含まれる周波数毎の大きさとの相関係数を算出する
請求項6に記載のサウンドデザインシステム。
【請求項8】
前記収録した音を分析する分析部と、
前記分析部が分析した分析結果を前記アカウントに紐づけて記憶する前記記憶部と、を備え、
前記取得部は、前記ウェブアプリケーションにより前記収録した音を聞いた前記試聴者の聴感印象による感性データを取得し、
前記分析部は、前記収録した音を聞いた前記試聴者の聴感印象による感性データに基づいて前記収録した音を分析し、
前記依頼者が前記ウェブアプリケーションを実行させて前記アカウントに紐づけられた前記分析結果を取得する
請求項5に記載のサウンドデザインシステム。
【請求項9】
ユーザー端末は、ウェブアプリケーションの実行によって前記対象音の収録、及びサウンドデザインシステムへの前記対象音の送信を行い、
前記ユーザー端末による前記ウェブアプリケーションの使用可否を管理する管理部を備える
請求項1~8のいずれか一項に記載のサウンドデザインシステム。