(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120778
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】医用情報処理装置、医用情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 50/00 20180101AFI20230823BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
G16H50/00
A61B5/00 102A
A61B5/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023821
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平野 亮
【テーマコード(参考)】
4C117
5L099
【Fターム(参考)】
4C117XB09
4C117XB17
4C117XC15
4C117XE05
4C117XE13
4C117XE15
4C117XE17
4C117XE24
4C117XE38
4C117XE44
4C117XE45
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4C117XH02
4C117XH16
4C117XJ13
4C117XJ42
5L099AA04
(57)【要約】
【課題】診断の精度向上に寄与することが可能な医用情報処理装置、医用情報処理方法、およびプログラムを提供すること。
【解決手段】実施形態の医用情報処理装置は、第1の取得部と、第2の取得部とを持つ。第1の取得部は、被検体の第1の疾患に関する第1のリスク情報を取得する。第2の取得部は、取得された第1のリスク情報が所定条件を満たしている場合、被検体の第1の疾患とは異なる第2の疾患に関する第2のリスク情報を取得する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の第1の疾患に関する第1のリスク情報を取得する第1の取得部と、
取得された前記第1のリスク情報が所定条件を満たしている場合、前記被検体の前記第1の疾患とは異なる第2の疾患に関する第2のリスク情報を取得する第2の取得部と、
を備える医用情報処理装置。
【請求項2】
取得された前記第1のリスク情報が所定条件を満たしているか否かに基づいて、前記第2の疾患に関する解析を行うか否かを判定する判定部をさらに備える、
請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項3】
前記判定部により前記第2の疾患に関する解析を行うと判定された場合、前記被検体に関する診断情報を用いた前記第2の疾患の解析を指示する指示情報を外部の解析装置に出力する出力部をさらに備え、
前記第2の取得部は、前記解析装置から、前記第2の疾患の解析結果である前記第2のリスク情報を取得する、
請求項2に記載の医用情報処理装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記第1のリスク情報と、予め定められた閾値との比較に基づいて、前記第2の疾患に関する解析を行うか否かを判定する、
請求項2または3に記載の医用情報処理装置。
【請求項5】
前記第2の取得部は、前記被検体に関する過去の診断情報を取得し、前記過去の診断情報を解析することで得られる前記第2のリスク情報を取得する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の医用情報処理装置。
【請求項6】
取得された前記第1または第2のリスク情報に基づいて、前記第1または第2の疾患に関する支援情報を通知する通知部をさらに備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の医用情報処理装置。
【請求項7】
前記通知部は、取得された前記第2のリスク情報に基づいて、前記第2の疾患の治療の開始を指示する前記支援情報を通知する、
請求項6に記載の医用情報処理装置。
【請求項8】
前記第1の取得部は、前記被検体をモニタリングすることにより得られるモニタリングデータを取得し、
取得された前記モニタリングデータに基づいて、前記第1の疾患に関する指標値である前記第1のリスク情報を算出する指標値算出部をさらに備える、
請求項1から7のいずれか一項に記載の医用情報処理装置。
【請求項9】
前記第2の疾患は、前記第1の疾患の治療の阻害要因となる疾患である、
請求項1から8のいずれか一項に記載の医用情報処理装置。
【請求項10】
医用情報処理装置のコンピュータが、
被検体の第1の疾患に関する第1のリスク情報を取得し、
取得された前記第1のリスク情報が所定条件を満たしている場合、前記被検体の前記第1の疾患とは異なる第2の疾患に関する第2のリスク情報を取得する、
医用情報処理方法。
【請求項11】
医用情報処理装置のコンピュータに、
被検体の第1の疾患に関する第1のリスク情報を取得させ、
取得された前記第1のリスク情報が所定条件を満たしている場合、前記被検体の前記第1の疾患とは異なる第2の疾患に関する第2のリスク情報を取得させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用情報処理装置、医用情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医用画像データやバイタルデータ等の医用データを解析することで、検査目的とする特定の疾患の診断を自動で行う技術が知られている。また、検査目的とする疾患の診断のために取得された医用データの付帯情報(患者情報など)を用いることで、検査目的外の疾患に関する診断結果を提示する技術も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
異常症例の数に対して正常症例の数が極めて多い状況下において、全ての医用データに対して自動診断を適用すると、実際は正常であるにもかかわらず異常と診断されてしまうケース(偽陽性)が許容できない数となる場合がある。この結果、自動診断の信頼性が低下し、医師や患者が診断結果を信用できなくなる事態が生じうる。このような事態を避けるためには、自動診断の対象とする患者を絞り込むことが望ましい。
【0005】
また、従来の医用データの付帯情報を用いて検査目的外の疾患の自動診断を行う場合、この付帯情報に各疾患の罹患リスクが必ずしも反映されているとは限らない。このため、この従来の手法では、自動診断の対象とする患者をその疾患の高リスク群に絞ることには必ずしもつながらず、結果として、偽陽性の数を増大させる要因となりうる。
【0006】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題は、診断の精度向上に寄与することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の医用情報処理装置は、第1の取得部と、第2の取得部とを持つ。第1の取得部は、被検体の第1の疾患に関する第1のリスク情報を取得する。第2の取得部は、取得された第1のリスク情報が所定条件を満たしている場合、被検体の第1の疾患とは異なる第2の疾患に関する第2のリスク情報を取得する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係る医用情報処理装置1の利用環境および機能ブロックの一例を示す図。
【
図2】第1の実施形態に係る医用情報処理装置1を診断フローに適用した場合の一例を説明する図。
【
図3】第1の実施形態に係る医用情報処理装置1の処理の流れの一例を示すフローチャート。
【
図4】第2の実施形態に係る医用情報処理装置1を診断フローに適用した場合の一例を説明する図。
【
図5】第2の実施形態に係る医用情報処理装置1の処理の流れの一例を示すフローチャート。
【
図6】変形例に係る端末装置5の利用環境および機能ブロックの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、実施形態の医用情報処理装置、医用情報処理方法、およびプログラムについて説明する。実施形態の医用情報処理装置は、患者(被検体)の第1の疾患に関する第1のリスク情報を取得し、取得された第1のリスク情報が所定条件を満たしている場合、被検体の第1の疾患とは異なる第2の疾患に関する第2のリスク情報を取得する。本実施形態において、疾患とは、糖尿病、肝線維化、肝硬変、がん、心筋梗塞、脳卒中などの特定の病気を言う。また、この疾患には、発病済みの病気に加えて、発病には至らないものの健康な状態ではない未病が含まれていてもよい。リスク情報とは、疾患の有無、疾患の程度、疾患の発症時期などの疾患に関連する情報を言う。リスク情報には、計測装置を用いて測定された測定データそのもの、測定データに基づいて算出された指標値、測定データに基づく診断結果などが含まれる。
【0010】
実施形態において、第1の疾患と、第2の疾患とは、所定の関係性を有する。例えば、第2の疾患は、第1の疾患の治療の阻害要因となる疾患である。例えば、第2の疾患は、肝機能障害(肝線維化、肝硬変など)であり、第1の疾患は、糖尿病である。糖尿病の一部の治療方法(例えば、トルブタミドを用いた治療方法)は、肝機能を低下させることが知られている。このため、糖尿病(第2の疾患)の治療を行う際に、患者が肝機能障害(第1の疾患)を患っていると、肝機能を低下させるおそれがある治療方法は適用することができない。このように、第1の疾患と、第2の疾患とは、例えば、治療方法に関する関係性を有する。
【0011】
医用情報処理装置は、第1のリスク情報が所定条件を満たしている場合にのみ、第2のリスク情報を取得する構成とすることで、第2のリスク情報の取得の対象を絞りこむことができる。これにより、偽陽性の数を減らすことができる。また、第1の疾患が悪化して治療が必要になる前の段階で第2の疾患の治療を行っておくことで、第1の疾患に対して適切な治療法を適用できる可能性を高めることができる。
【0012】
(第1の実施形態)
[医用情報処理装置の構成]
図1は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置1の利用環境および機能ブロックの一例を示す図である。医用情報処理装置1は、例えば、病院等の医療機関に配置される。医用情報処理装置1は、例えば、医師などの操作者により操作される。医用情報処理装置1は、例えば、ワークステーション、サーバ、医用画像診断装置のコンソール装置等でもよい。医用情報処理装置1は、例えば、通信ネットワークNWを介して、少なくとも1つのモニタリング装置3、端末装置5、解析装置7、診断情報データベースDB等と、データ送受信可能に接続されている。医用情報処理装置1および端末装置5の一方、または、両者の組み合わせは、「医用情報処理装置」の一例である。
【0013】
通信ネットワークNWは、電気通信技術を利用した情報通信網全般を示す。通信ネットワークNWは、病院基幹LAN(Local Area Network)等の無線/有線LANやインターネット網のほか、電話通信回線網、光ファイバ通信ネットワーク、ケーブル通信ネットワークおよび衛星通信ネットワーク等を含む。
【0014】
モニタリング装置3は、患者から疾患に関するモニタリングデータを定期的に計測する。モニタリング装置3は、例えば、病院等の医療機関、患者の自宅等に配置される。モニタリング装置3は、患者に定常的に装着されて計測を行うものであってもよい。モニタリング装置3は、例えば、患者から第1の疾患に関するモニタリングデータを定期的に計測する。モニタリングデータの項目には、疾患と関連があり、疾患の状況を確認するために定期的に計測することが望ましい項目が少なくとも1つ以上含まれる。例えば、第1の疾患を糖尿病とすると、モニタリングデータの項目には、体重、BMI(Body Mass Index)、運動習慣に関する指標値(歩数、消費カロリー等)、血圧、血液検査データ等が含まれる。モニタリング装置には、例えば、体重計、心電計、心拍計、歩数計、血液検査装置等が含まれる。モニタリング装置3は、例えば、スマートウォッチ等の複数の項目の計測機能を備えた一つの装置であってもよい。
【0015】
モニタリング装置3は、計測した計測データ(以下、「モニタリングデータ」と言う)を、通信ネットワークNWを介して、医用情報処理装置1、端末装置5などに送信する。モニタリングデータは、各装置の任意の記憶装置において、任意の形式で保存される。モニタリングデータは、数値データ、画像データ、テキストデータ、音声データ、患者自身が紙に手書きしたものを画像化した画像データなどである。
【0016】
モニタリング装置3による計測頻度は、第1の疾患に関する各モニタリング項目について推奨されている頻度と同等またはそれ以上の頻度としてよい。また、第1の疾患に関するモニタリング項目が複数ある場合、各モニタリング項目の計測頻度がそれぞれ異なっていてもよい。この場合、計測頻度が低い計測項目に対して補間処理やフィルタ処理を加えて、計測頻度が高い計測項目とデータ間隔やデータ数を整合させてもよい。また、計測頻度が高い計測項目に対して、データを間引いたりフィルタ処理を適用したりすることで、計測頻度が低い計測項目とデータ間隔やデータ数を整合させてもよい。取得された計測値が、前回までの計測結果と大きくかけ離れて場合や、生理学的または物理的にあり得ない値である場合など、異常値と判断される計測値を除外または補正する処理が適用さてもよい。なお、モニタリングの実施方法は限定しない。モニタリング装置3を患者に与えて患者自身に計測および記録させてもよい。或いは、定期健康診断のように医療機関またはそれに相当する設備がある空間に患者を呼び、医者、技師等によりモニタリングデータが計測および記録されるようにしてもよい。
【0017】
端末装置5は、例えば、患者が所有するタブレットやスマートフォンなどの携帯端末、パーソナルコンピュータなどである。端末装置5は、例えば、モニタリングの対象となる患者や介助者などにより操作される。端末装置5は、モニタリング装置3により計測されたモニタリングデータを記憶したり、モニタリングデータを医用情報処理装置1に送信したりする。また、端末装置5は、専用のアプリケーションプログラムあるいはブラウザなどが起動し、医用情報処理装置1により提供される各種情報を患者に通知する。
【0018】
解析装置7は、診断情報を用いて特定の疾患の解析を自動で行い、解析結果を出力する。解析装置7は、例えば、診断情報データベースDBに記憶された医用画像データを用いて、第2の疾患の解析を行う。なお、解析装置7の各機能は、医用情報処理装置1に組み込まれていてもよい。
【0019】
診断情報データベースDBは、複数の患者の診断情報を記憶する。診断情報には、例えば、患者の識別情報(患者ID)に対して、過去に撮像された医用画像データ、電子カルテ、疾患情報、年齢、性別などの患者情報、生体情報等が対応付けられている。医用画像データには、例えば、CT(Computed Tomography)画像、超音波診断画像、MR(Magnetic Resonance)画像、レントゲン画像等が含まれる。生体情報には、例えば、血圧値、脈拍数、呼吸数等が含まれる。診断情報データベースDBは、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスクによって実現される。
【0020】
医用情報処理装置1は、例えば、処理回路100と、通信インターフェース110と、入力インターフェース120と、ディスプレイ130と、メモリ140とを備える。通信インターフェース110は、通信ネットワークNWを介して、モニタリング装置3、端末装置5、解析装置7、診断情報データベースDB等の外部装置と通信する。通信インターフェース110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等の通信インターフェースを含む。
【0021】
入力インターフェース120は、医用情報処理装置1の操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路100に出力する。例えば、入力インターフェース120は、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパネル等を含む。入力インターフェース120は、例えば、マイク等の音声入力を受け付けるユーザインターフェースであってもよい。
【0022】
なお、本明細書において入力インターフェースはマウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェースの例に含まれる。
【0023】
ディスプレイ130は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ130は、処理回路100によって生成された画像や、操作者からの各種の入力操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を表示する。例えば、ディスプレイ130は、LCD(Liquid Crystal Display)や、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等である。入力インターフェース120がタッチパネルである場合、ディスプレイ130の表示機能は、入力インターフェース120に組み込まれても良い。
【0024】
処理回路100は、例えば、第1の取得機能101と、第2の取得機能102と、指標値算出機能103と、判定機能104と、出力機能105と、表示制御機能106と、通知機能107とを備える。処理回路100は、例えば、ハードウェアプロセッサ(コンピュータ)がメモリ140(記憶回路)に記憶されたプログラムを実行することにより、これらの機能を実現するものである。
【0025】
ハードウェアプロセッサとは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit; ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device; SPLD)または複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device; CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array; FPGA))等の回路(circuitry)を意味する。メモリ140にプログラムを記憶させる代わりに、ハードウェアプロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、ハードウェアプロセッサは、回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。上記のプログラムは、予めメモリ140に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の非一時的記憶媒体に格納されており、非一時的記憶媒体が医用情報処理装置1のドライブ装置(不図示)に装着されることで非一時的記憶媒体からメモリ140にインストールされてもよい。ハードウェアプロセッサは、単一の回路として構成されるものに限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのハードウェアプロセッサとして構成され、各機能を実現するようにしてもよい。また、複数の構成要素を1つのハードウェアプロセッサに統合して各機能を実現するようにしてもよい。
【0026】
第1の取得機能101は、通信ネットワークNWを介して、モニタリング装置3、端末装置5、または診断情報データベースDBから、第1の疾患に関するモニタリングデータを取得する。また、第1の取得機能101は、指標値算出機能103から出力される第1の疾患のリスク指標値(第1のリスク指標値)を取得し、判定機能104に出力する。第1の取得機能101は、診断対象とする患者の第1のリスク指標値が保存されているメモリ140を検索して取得してもよいし、医師、患者やその関係者により入力インターフェース120を介して手動で入力されたものを取得してもよい。第1の取得機能101は、第1のリスク指標値に対してフィルタ処理や補正などを行ってもよい。例えば、診断対象とする患者に対して第1のリスク指標値の算出が既に複数回行われ、第1のリスク指標値の経時変化がメモリ140に記憶されているとする。この場合、第1の取得機能101は、この第1の疾患Bのリスク指標値の経時変化に対して移動平均フィルタを適用することで、モニタリング装置3の計測誤差やその誤差伝搬などによって生じる外れ値の影響を低減できる。モニタリングデータまたは第1のリスク指標値は、「第1のリスク情報」の一例である。第1の取得機能101は、「第1の取得部」の一例である。すなわち、第1の取得機能101は、被検体の第1の疾患に関する第1のリスク情報を取得する。第1の取得機能101は、被検体をモニタリングすることにより得られるモニタリングデータを取得する。
【0027】
第2の取得機能102は、通信ネットワークNWを介して、診断情報データベースDBから、第2の疾患に関する診断情報を取得し、メモリ140に記憶させる。第2の取得機能102は、医師、患者やその関係者により入力インターフェース120を介して手動で入力された診断情報を取得してもよい。また、第2の取得機能102は、第1のリスク情報が所定条件を満たしている場合、ネットワークNWを介して、解析装置7による第2の疾患に関する診断情報に基づく解析結果を取得する。第2の疾患に関する診断情報または第2の疾患に関する診断情報に基づく解析結果は、「第2のリスク情報」の一例である。第2の取得機能102は、「第2の取得部」の一例である。すなわち、第2の取得機能102は、取得された第1のリスク情報が所定条件を満たしている場合、被検体の第1の疾患とは異なる第2の疾患に関する第2のリスク情報を取得する。第2の取得機能102は、解析装置7から、第2の疾患の解析結果である第2のリスク情報を取得する。第2の取得機能102は、被検体に関する過去の診断情報を取得し、過去の診断情報を解析することで得られる第2のリスク情報を取得する。
【0028】
指標値算出機能103は、第1の取得機能101により取得された第1の疾患に関するモニタリングデータに基づいて、第1のリスク指標値を算出する。指標値算出機能103は、複数の第1のリスク指標値を算出してもよい。指標値算出機能103は、医用情報処理装置1とは別体の処理装置に設けられてもよい。第1のリスク指標値の種類は、モニタリング装置3により計測された第1の疾患に関するモニタリングデータに基づいて算出された指標値であれば何でもよい。第1のリスク指標値には、例えば、第1の疾患を将来発症する確率、重症度、緊急度、治療優先度、一定期間内の生存率、全生存期間等が含まれる。指標値算出機能103は、任意の手法を用いて、第1のリスク指標値を算出する。指標値算出機能103は、例えば、複数のモニタリング項目の計測値を入力として、回帰分析、ニューラルネットワーク、決定木、単純Bayes分類器などを用いて、リスク指標値を予測してもよい。また、指標値算出機能103は、第1のリスク指標値の計算に1つのモニタリング項目のみを用いてもよい。例えば、あるモニタリング項目が第1のリスク指標値の少なくとも1つと強く相関している場合、指標値算出機能103は、そのモニタリング項目の計測値そのものを第1のリスク指標値として用いてもよい。また、指標値算出機能103は、そのモニタリング項目の計測値に係数をかけて正規化するなどして第1のリスク指標値を算出してもよい。第1のリスク指標値は、連続値であってもよい。また、第1のリスク指標値は、第1の疾患のリスク指標値を、大きさ別に分類した値でもよい。例えば、第1のリスク指標値は、「低」「中」「高」といったリスクの程度を表す文字や、「+」「―」、「▲」「▼」といった記号、不連続な値で表現されていてもよい。指標値算出機能103は、「指標値算出部」の一例である。すなわち、指標値算出機能103は、取得されたモニタリングデータに基づいて、第1の疾患に関する指標値である第1のリスク情報を算出する。
【0029】
判定機能104は、指標値算出機能103により算出された第1のリスク指標値に基づいて、第2の疾患の解析を実行するか否かを判定する。判定機能104は、例えば、第1のリスク指標値に対して閾値を設定し、第1のリスク指標値と閾値との比較に基づいて(例えば、第1のリスク指標値が閾値以上あるいは閾値を超えているか否かに基づいて)、第2の疾患の解析を実行するか否かを判定する。また、第1のリスク指標値が複数種類ある場合、判定機能104は、回帰分析や畳み込みニューラルネットワーク、決定木、単純Bayes分類器などを用いて、第2の疾患の解析を実行するか否かを判定してもよい。判定機能104は、「判定部」の一例である。すなわち、判定機能104は、取得された第1のリスク情報が所定条件を満たしているか否かに基づいて、第2の疾患に関する解析を行うか否かを判定する。判定機能104は、第1のリスク情報と、予め定められた閾値との比較に基づいて、第2の疾患に関する解析を行うか否かを判定する。
【0030】
出力機能105は、第2の取得機能102により取得された第2の疾患に関する診断情報を、解析装置7に出力する。解析装置7は、出力機能105から取得した診断情報を用いて、第2の疾患の解析を行い、解析結果を、医用情報処理装置1、診断情報データベースDB等に出力する。出力機能105は、「出力部」の一例である。すなわち、出力機能105は、判定機能104により第2の疾患に関する解析を行うと判定された場合、被検体に関する診断情報を用いた第2の疾患の解析を指示する指示情報を外部の解析装置7に出力する。
【0031】
表示制御機能106は、モニタリングデータ、第1の指標値、第2の疾患に関する診断情報、解析装置7による解析結果、操作者からの各種の入力操作を受け付けるためのGUI等の各種の情報を、ディスプレイ130に表示させる制御を行う。
【0032】
通知機能107は、解析装置7により出力された第2の疾患に関する解析結果や、第2の疾患の治療の開始を指示する指示情報(支援情報)を、通信ネットワークNWを介して、患者が所有する端末装置5やスマートウォッチ等に通知する。通知機能107は、「通知部」の一例である。すなわち、通知機能107は、取得された第1または第2のリスク情報に基づいて、第1または第2の疾患に関する支援情報を通知する。通知機能107は、取得された第2のリスク情報に基づいて、第2の疾患の治療の開始を指示する支援情報を通知する。
【0033】
メモリ140は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスクによって実現される。これらの非一過性の記憶媒体は、NAS(Network Attached Storage)や外部ストレージサーバ装置といった通信ネットワークNWを介して接続される他の記憶装置によって実現されてもよい。また、メモリ140には、ROM(Read Only Memory)やレジスタ等の非一過性の記憶媒体が含まれてもよい。メモリ140は、例えば、モニタリングデータ、第1の指標値、第2の疾患に関する診断情報、第2の疾患に関する解析結果等を記憶する。その他、メモリ140は、処理回路100が利用するプログラムやパラメータデータやその他のデータを記憶する。
【0034】
[処理フロー]
次に、第1の実施形態に係る医用情報処理装置1の処理フローの一例を説明する。
図2は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置1を診断フローに適用した場合の一例を説明する図である。
図3は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置1の処理の流れの一例を示すフローチャートである。以下の説明においては、第1の疾患を「糖尿病」とし、第2の疾患を「肝線維化」とした場合を例に挙げて説明する。また、診断対象とする患者は、例えば、過去1年以内に肝臓周辺の臓器のCT検査(例えば肺炎の検査)を受けており、その時のCT画像が診断情報データベースDBに保存されているとする。また、このCT検査を受けた時点で、肝臓に軽度の肝線維化が見られるが、患者には自覚覚症状がなく、また肝硬変は発症していないため肝線維化の検査や解析がオーダされていないこととする。また、患者の肝線維化の異常が、日に日に悪化していく状況を想定する。
【0035】
図2に示すように、患者は、糖尿病に関するモニタリングを定期的に(毎日~毎月程度の頻度で)受けている。例えば、患者は、モニタリング装置3を用いて自ら計測したモニタリングデータを、医用情報処理装置1に毎日送信し、医用情報処理装置1から糖尿病の指標値(第1の指標値)に関する情報を、端末装置5等を介して受け取っている。糖尿病の指標値が異常を示していない間(リスク「低」)は特段の治療は必要無いため、このモニタリングが継続して実行されることとなる。肝線維化の進行度は、例えば、F0からF4までの5段階の指標(F0からF4に向かって線維化が進行していることを示す)で定義されており、この間、当該患者の肝線維化の進行度はF1で維持されていることを想定する。
【0036】
一方、年月が進み、糖尿病の指標値が異常の傾向(リスク「中」)を示したタイミングで、肝線維化の解析処理が初めて行われる。肝線維化の解析処理では、診断情報データベースDBに保存されている患者の過去のCT画像に基づく解析が行われる。この解析の結果、肝線維化の進行が見られた場合(例えば、肝線維化の程度がF2となっていた場合)、肝線維化の進行をコントロールする(肝線維化の進行を防ぐ或いは遅らせる)治療が患者に対して行われる。その後さらに年月が進み、糖尿病の指標値が異常(リスク「高」)を示したタイミングで、糖尿病に関する診断が開始される。この診断の結果、糖尿病であると認められた場合、糖尿病の治療が患者に対して行われる。糖尿病の治療に先立って肝線維化のコントロールを実施して肝線維化の進行を防いだ結果、肝機能を低下させることが懸念される治療方法(例えば、トルブタミドを用いた治療方法)であっても、糖尿病の治療に利用することができる。すなわち、糖尿病が悪化して治療が必要になる前の段階で肝線維化の治療を行っておくことで、糖尿病に対してよりよい治療法を適用できる可能性を高めることができる。
【0037】
次に、
図2において想定した条件下における医用情報処理装置1の処理フローを、
図3を用いて説明する。
図3に示すフローチャートは、モニタリングの条件等に基づいて予め定められたタイミング(例えば1日/1回)で実施される。まず、医用情報処理装置1の第1の取得機能101は、通信ネットワークNWを介して、モニタリング装置3または端末装置5から、診断対象の患者の糖尿病に関するモニタリングデータを取得する(ステップS101)。
【0038】
次に、指標値算出機能103は、第1の取得機能101により取得された糖尿病に関するモニタリングデータに基づいて、診断対象の患者の糖尿病のリスク指標値を算出する(ステップS103)。
【0039】
次に、判定機能104は、診断対象の患者に関して、既に肝線維化の解析が実施済みであるか否かを判定する(ステップS105)。判定機能104は、例えば、診断情報データベースDBに肝線維化の解析結果が保存されているか否かに基づいて、既に肝線維化の解析が実施済みであるか否かを判定する。既に肝線維化の解析が実施済みであると判定された場合(ステップS105;YES)、本フローチャートの処理は終了する。
【0040】
一方、肝線維化の解析が実施済みではないと判定された場合(ステップS105;NO)、判定機能104は、糖尿病のリスク指標値と閾値との比較に基づいて、肝線維化の解析を実行するか否かを判定する(ステップS107)。判定機能104は、例えば、糖尿病のリスク指標値が閾値以上であるか否かに基づいて、肝線維化の解析を実行するか否かを判定する。例えば、糖尿病のリスク指標値が「低」の場合、肝線維化の解析は実行されない。一方、例えば、糖尿病のリスク指標値が「中」または「高」の場合、肝線維化の解析が実行される。肝線維化の解析を実行しないと判定された場合(ステップS107;NO)、本フローチャートの処理は終了する。
【0041】
一方、肝線維化の解析を実行すると判定された場合(ステップS107;YES)、第2の取得機能102は、通信ネットワークNWを介して、診断情報データベースDBから、診断対象の患者の診断情報(CT画像)を取得する(ステップS109)。
【0042】
次に、出力機能105は、第2の取得機能102により取得された診断対象の患者の診断情報(CT画像)を、解析装置7に出力する(ステップS111)。これにより、解析装置7は、出力機能105から取得した診断情報を用いて肝臓領域の自動解析を開始し、その解析結果を、患者、または患者の関係者(医師など)に通知する。肝線維化があることを通知された患者は、医療機関で受診して肝線維化の治療を開始する。以上により、本フローチャートの処理が完了する。
【0043】
以上説明した第1の実施形態によれば、第2の疾患の診断対象の絞り込みを行うことで、解析装置7による解析および診断の精度を向上させることができる。また、第1の疾患が悪化して治療が必要になる前の段階で第2の疾患の治療を行っておき、第1の疾患に対してよりよい治療法を適用できる可能性を高めることができる。例えば、第1の疾患(例えば、糖尿病)のリスク指標値が閾値以上(例えば、「中」)となった時点で、患者の過去に撮像された診断情報(例えば、CT画像)に基づいた第2の疾患(例えば、肝線維化)の解析が実行される。これにより、患者が過去にCT検査を受けた時点で第2の疾患を発症していれば、第1の疾患の治療を開始する前に第2の疾患の存在に気づき、第2の疾患の治療を早期に開始することができる。第1の疾患の治療薬の一部には第2の疾患が生じている機能(例えば、肝機能)に影響を与えるものもあり、重度の肝疾患(進行した肝線維化、肝硬変なども含む)で肝機能障害がある患者には禁忌とされるものも存在する。そのため、第1の疾患の治療が必要になる前に、第2の疾患の治療を開始できれば、他機能に影響を与えるような第1の疾患の治療法の適用も検討できるようになり、治療の幅を広げることができる。この結果、患者は最適な治療方法で第1の疾患の治療を進めることができるようになる。第2の疾患(肝線維化)の治療(肝線維化コントロール)には運動指導や食事指導が含まれる。これらの治療方法は、第1の疾患(糖尿病)の予防にも効果がある。結果として、患者が糖尿病を発症する可能性や、糖尿病が重症化するリスクを低減できるという副次的な効果も期待できる。
【0044】
第1の実施形態では、第2の疾患(例えば、肝線維化)の解析を過去に取得した診断情報に基づいて自動的に実施することを想定している。患者は、肝線維化の診断のための新たな診断(CT撮像など)を受ける必要はない。また、解析装置7により自動的に解析が実施されるため、医師が検査をオーダすることや、画像を選択する手間も発生しない。一方、肝臓周辺の臓器のCT検査を受けた時点の肝線維化進行度と糖尿病のリスク指標値が「中」となった時点の肝線維化進行度が異なる場合も考えられる。そのため、肝臓周辺の臓器のCT検査を受けた時点の肝線維化進行度と糖尿病のリスク指標値が「中」となった時点の時間間隔に応じて、解析装置7で肝線維化の解析を行う際の重みなどのパラメータを調整して診断結果を調整してもよい。
【0045】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について説明する。上述した第1の実施形態との相違点は、診断対象の患者について、過去に取得済みの診断情報(例えば、CT画像)が存在しない条件下で処理が行われるという点である。以下の説明では、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態と共通する点については説明を省略する。第2の実施形態の説明において、第1の実施形態と同じ部分については同一符号を付して説明する。
【0046】
[処理フロー]
第2の実施形態に係る医用情報処理装置1の処理フローの一例を説明する。
図4は、第2の実施形態に係る医用情報処理装置1を診断フローに適用した場合の一例を説明する図である。
図5は、第2の実施形態に係る医用情報処理装置1の処理の流れの一例を示すフローチャートである。上記の第1の実施形態における処理フローの説明と同様に、以下の説明においては、第1の疾患を「糖尿病」とし、第2の疾患を「肝線維化」とした場合を例に挙げて説明する。尚、診断対象とする患者は、例えば、過去1年以内に肝臓周辺の臓器の検査(例えば肺炎の検査)を受けておらず、診断情報データベースDBには診断情報が保存されていないものとする。或いは、診断情報データベースDBには診断情報が保存されているが、保存された診断情報が解析装置7の入力条件に合致せず解析に利用できないものとする。
【0047】
図4に示すように、患者は、糖尿病に関するモニタリングを定期的に(毎日~毎月程度の頻度で)受けている。糖尿病の指標値が異常を示していない間(リスク「低」)は特段の治療は必要無いため、このモニタリングのみが継続して実行されることとなる。そして、年月が進み、糖尿病の指標値が異常の傾向(リスク「中」)を示したタイミングで、肝線維化の解析処理が初めて行われる。この肝線維化の解析処理では、診断情報データベースDBに患者の過去のCT画像等が保存されていないため、新たにCT画像を取得する必要がある。このため、患者または患者の関係者(ここでは患者の主治医)に肝線維化の検査が必要である旨が通知される。通知を受け取った患者は、例えば、肝線維化の簡易検査を受け、簡易検査が陽性であった場合には、肝線維化の精密検査が行われる。或いは、通知を受け取った主治医は、患者に対して肝線維化の検査を勧めたり、肝線維化の検査をオーダしたりし、患者は主治医の指示に従って、肝線維化の簡易検査、精密検査を受ける。検査で取得された肝線維化の検査データが解析装置7で解析され、患者等に対して解析結果が通知される。
【0048】
上記の解析の結果、肝線維化の進行が見られた場合(例えば、肝線維化の程度がF2となっていた場合)、肝線維化の進行をコントロールする(肝線維化の進行を防ぐ)治療が患者に対して行われる。その後さらに年月が進み、糖尿病の指標値が異常(リスク「高」)を示したタイミングで、糖尿病に関する診断が開始される。この診断の結果、糖尿病であると認められた場合、糖尿病の治療が患者に対して行われる。糖尿病の治療に先立って肝線維化のコントロールを実施して肝線維化の進行を防いだ結果、肝機能を低下させることが懸念される治療方法(例えば、トルブタミドを用いた治療方法)であっても、糖尿病の治療に利用することができる。
【0049】
次に、
図4において想定した条件下における医用情報処理装置1の処理フローを、
図5を用いて説明する。
図5に示すフローチャートは、モニタリングの条件等に基づいて予め定められたタイミング(例えば1日/1回)で実施される。まず、医用情報処理装置1の第1の取得機能101は、通信ネットワークNWを介して、モニタリング装置3または端末装置5から、糖尿病に関するモニタリングデータを取得する(ステップS201)。
【0050】
次に、指標値算出機能103は、第1の取得機能101により取得された糖尿病に関するモニタリングデータに基づいて、糖尿病のリスク指標値を算出する(ステップS203)。
【0051】
次に、判定機能104は、診断対象の患者に関して、既に肝線維化の解析が実施済みであるか否かを判定する(ステップS205)。既に肝線維化の解析が実施済みであると判定された場合(ステップS205;YES)、本フローチャートの処理は終了する。
【0052】
一方、肝線維化の解析が実施済みではないと判定された場合(ステップS205;NO)、判定機能104は、糖尿病のリスク指標値と閾値との比較に基づいて、肝線維化の解析を実行するか否かを判定する(ステップS207)。肝線維化の解析を実行しないと判定された場合(ステップS207;NO)、本フローチャートの処理は終了する。
【0053】
一方、肝線維化の解析を実行すると判定された場合(ステップS207;YES)、通知機能107は、通信ネットワークNWを介して、肝線維化の検査が必要である旨を患者の患者が所有する端末装置5、スマートウォッチ等に通知する(ステップS209)。患者への通知に加えてまたは代えて、通知機能107は、表示制御機能106の制御下において、ディスプレイ130に肝線維化の検査が必要である旨を表示させることで、医師等への通知を行う。例えば、通知を受け取った患者は、肝線維化の検査を受ける。検査で取得された肝線維化の検査データが解析装置7で解析され、患者等に対して解析結果が通知される。その後、患者に対して、必要に応じて肝線維化の進行のコントロール処理が行われる。以上により、本フローチャートの処理が完了する。
【0054】
以上説明した第2の実施形態によれば、第2の疾患の診断対象の絞り込みを行うことで、解析装置7による解析および診断の精度を向上させることができる。また、第1の疾患が悪化して治療が必要になる前の段階で第2の疾患の治療を行っておき、第1の疾患に対してよりよい治療法を適用できる可能性を高めることができる。さらに、医用情報処理装置1からの通知を受けてオーダされる検査は、第2の疾患(例えば、肝線維化)診断のための検査であるため、第1の実施形態のように別の疾患の診断目的で撮像された診断情報を二次利用するよりも第2の疾患の解析精度を向上させることができる。
【0055】
(変形例)
図6は、変形例に係る端末装置5の利用環境および機能ブロックの一例を示す図である。
図6に示すように、上述した第1および第2の実施形態との相違点は、医用情報処理装置1の処理回路100における各機能が、患者が所有する端末装置5において実現されている点のみである。このような構成とすることで、患者の自宅内の設備のみで、診断処理を行うことが可能となる。
【0056】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、被検体の第1の疾患に関する第1のリスク情報を取得する第1の取得部と、取得された前記第1のリスク情報が所定条件を満たしている場合、前記被検体の前記第1の疾患とは異なる第2の疾患に関する第2のリスク情報を取得する第2の取得部と、を備えることで、診断の精度向上に寄与することができる。
【0057】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
処理回路(processing circuitry)を備え、
前記処理回路は、
被検体の第1の疾患に関する第1のリスク情報を取得し、
取得された前記第1のリスク情報が所定条件を満たしている場合、前記被検体の前記第1の疾患とは異なる第2の疾患に関する第2のリスク情報を取得する、
医用情報処理装置。
【0058】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0059】
1 医用情報処理装置
3 モニタリング装置
5 端末装置
7 解析装置
DB 診断情報データベース
100,50 処理回路
110,60 通信インターフェース
120,70 入力インターフェース
130,80 ディスプレイ
140,90 メモリ
101,51 第1の取得機能
102,52 第2の取得機能
103,53 指標値算出機能
104,54 判定機能
105,55 出力機能
106,56 表示制御機能
107,57 通知機能