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  • 特開-操作装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120787
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 9/18 20060101AFI20230823BHJP
   H01H 3/02 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
H01H9/18 B
H01H3/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023842
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 伸介
【テーマコード(参考)】
5G052
【Fターム(参考)】
5G052AA22
5G052AA35
5G052BB01
5G052BB02
5G052JA08
5G052JB05
5G052JB08
5G052JC09
5G052JC10
(57)【要約】
【課題】外から光の反射による幻惑を抑制する操作装置を提供する。
【解決手段】中央に向かって低くなる形状を有する上面と、前記上面と向かい合う平面状の底面と、前記上面の端部と前記底面の端部とを接続する側面とを有する導光部と、前記導光部の底面側に配置され、前記導光部に光を出射する発光部とを備え、前記上面には、ハーフミラーを含み、光を拡散する拡散層が設けられ、前記底面には、フルミラーを含む底面反射層が設けられる、操作装置とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央に向かって低くなる形状を有する上面と、前記上面と向かい合う平面状の底面と、前記上面の端部と前記底面の端部とを接続する側面とを有する導光部と、
前記導光部の底面側に配置され、前記導光部に光を出射する発光部とを備え、
前記上面には、ハーフミラーを含み、光を拡散する拡散層が設けられ、
前記底面には、フルミラーを含む底面反射層が設けられる、
操作装置。
【請求項2】
前記拡散層は、シボ加工処理により成形される、
請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記拡散層は、スモーク塗装処理により成形される、
請求項1または2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記拡散層は、反射防止フィルムにより成形される、
請求項1に記載の操作装置。
【請求項5】
前記側面には、前記フルミラーを含む側面反射層が設けられる、
請求項1から4のいずれか1項に記載の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両内において、各種スイッチ等の操作部を光らせることで、車両の乗員が夜間等の暗い時間帯でも操作部を容易に視認できる操作装置がある。当該操作装置の操作部では、鏡面加工されたハーフミラーの凹面とフルミラー(全反射ミラー)の平面との間で光を反射させることで、凹面側から見た乗員に操作部の内部に奥行きを感じさせるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-125352号公報
【特許文献2】特開2002-310787号公報
【特許文献3】特開平8-16984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
当該操作装置の操作部では、凹面が鏡面加工されているため、太陽光などの外からの光が凹面で反射すると、眩しさで乗員が幻惑することがあった。
【0005】
本件開示の技術は、外から光の反射による幻惑を抑制する操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、以下の手段を採用する。
即ち、第1の態様は、
中央に向かって低くなる形状を有する上面と、前記上面と向かい合う平面状の底面と、前記上面の端部と前記底面の端部とを接続する側面とを有する導光部と、
前記導光部の底面側に配置され、前記導光部に光を出射する発光部とを備え、
前記上面には、ハーフミラーを含み、光を拡散する拡散層が設けられ、
前記底面には、フルミラーを含む底面反射層が設けられる、
操作装置である。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、外から光の反射による幻惑を抑制する操作装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態の操作装置10の正面図の例を示す図である。
図2図2は、操作部100の構成例を示す図である。
図3図3は、本体部111を底面側から見た図である。
図4図4は、本体部111に入射される光を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。実施形態の構成は例示であり、発明の構成は、開示の実施形態の具体的構成に限定されない。発明の実施にあたって、実施形
態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0010】
〔実施形態〕
図1は、本実施形態の操作装置10の正面図の例を示す図である。図1の操作装置10は、操作部100、表示部200、フレーム部300を備える。操作装置10は、例えば、自動車等の車両に搭載されるナビゲーション装置、オーディオ装置である。操作装置10は、車両に搭載されるものに限定されず、他の装置であってもよい。
【0011】
操作部100は、例えば、ダイヤル式や押下式等のスイッチ(操作ノブ)であり、操作装置10の各種機能を操作するための部材である。操作部100は、操作装置10の入力手段である。また、操作部100は、奥行き感のある発光態様となる部材を含む。操作部100自体を操作装置ともいう。
【0012】
表示部200は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどによる表示パネルである。表示部200は、各種情報を表示することができる。表示部200は、操作装置10の出力手段である。
【0013】
フレーム部300は、操作部100及び表示部200を支持し、表示パネル200のカバーとして機能する。
【0014】
図2は、操作部100の構成例を示す図である。図2は、操作部100の斜視図を示す。操作装置10の操作部100は、導光部110、発光部120を有する。操作部100は、導光部110等の側面を覆うカバー部材を備えてもよい。
【0015】
導光部110は、発光部120から出射される光を外部に導く。導光部110は、本体部111、本体部111の上面に拡散層112、本体部111の底面に底面反射層113、本体部111の側面に側面反射層114を有する。本体部111の底面側には、発光部120が配置される。
【0016】
本体部111は、上面、底面、側面を有する円柱状の部材である。本体部111の上面は、外周(端部)から中央に向かって低くなる湾曲した曲面である。また、本体部111の上面は、底面側に凹んだ形状の曲面である。本体部111の上面と本体部111の底面との距離は、外周から中心に向かうほど短くなる。本体部111の底面は、円柱の軸に直交する平面状の円形の平面である。本体部111の側面は、本体部111の上面の端部と、底面の端部とを接続する曲面である。本体部111は、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの透明樹脂、ガラスなどの光を透過する透明部材である。本体部111は、半透明の部材であってもよい。導光部110の本体部111は、発光部120からの光を透過する。ここで、本体部111の上面は、本体部111の底面に対する相対的な方向(図2において、本体部111の底面の上方向)にある面を便宜的に示すものであり、本体部111の底面に対して絶対的な方向(例えば、鉛直上方向など)にある面を示すものではない。また、操作装置10は、鉛直方向に対していかなる方向にも向いて置かれて使用され得る。
【0017】
拡散層112は、本体部111からの光や外部からの光を、拡散する拡散層である。拡散層112は、例えば、本体部111の上面をシボ加工(シボ加工処理)することにより設けられる。拡散層112は、シボ加工処理により成形される。シボ加工は、表面に細かい凹凸を付けて、すりガラスのようにする加工である。また、拡散層112は、シボ加工に加えて、インジウム蒸着などの金属蒸着によるハーフミラーを含む。ハーフミラーは、入射される光のうち一部の光を透過し、他の光を反射するミラーである。拡散層112では、本体部111からの光のうち一部が拡散されて外部に出射され、また、本体部111
からの光のうち残りが、本体部111に向けて反射される。
【0018】
底面反射層113は、本体部111からの光を反射する反射層である。底面反射層113は、インジウム蒸着などの金属蒸着などによるフルミラー(全反射ミラー)を含む。底面反射層113では、本体部111からの光を全反射する。ここで、フルミラーは、上記のハーフミラーよりも光の透過率が低い(光の反射率が高い)ものであればよく、光を100%反射するミラーでなくてもよい。
【0019】
図3は、本体部111を底面側から見た図である。本体部111の底面には、底面反射層113が形成される。また、本体部111の底面には、外周の内側にリング状の開口部113aが形成される。開口部113aは、例えば、金属蒸着された本体部111の底面から、開口部113aの部分をレーザ光によりカットすることで、形成される。また、開口部113aは、例えば、開口部113aの部分をあらかじめマスキングしておき、本体部111の底面を金属蒸着することにより形成されてもよい。開口部113aは、白色インク等によりベタ印刷されてもよい。発光部120からの光は、開口部113aを介して、本体部111に入射される。
【0020】
側面反射層114は、本体部111からの光を反射する反射層である。側面反射層114は、インジウム蒸着などの金属蒸着などによるフルミラー(全反射ミラー)を含む。側面反射層114では、本体部111からの光を全反射する。本体部111の側面には、開口部は設けられない。ここで、フルミラーは、上記のハーフミラーよりも光の透過率が低い(光の反射率が高い)ものであればよく、光を100%反射するミラーでなくてもよい。
【0021】
発光部120は、例えば、LED(Light Emitting Diode)、有機ELなどによる発光部材である。発光部120は、導光部110の底面側に配置され、導光部110に向けて光を出射する。ここでは、発光部120は、導光部110の底面に配置されることを例示したが、これに限定されるものではなく、導光部110から離間した場所に配置されてもよい。
【0022】
操作部100は、導光部110の本体部111の上面側が外側を向き、発光部120側でフレーム部300に支持される。
【0023】
図4は、本体部111に入射される光を説明する図である。図4は、本体部111の中心軸を通り底面に直交する面の断面図である。発光部120からの光は、拡散層112、底面反射層113、側面反射層114で反射される。
【0024】
発光部120からの光は、開口部113aを介して本体部111に入射される。入射された光は、本体部111の上面に設けられる拡散層112に当たる。本体部111の上面は外周から中心に向かって低くなるように湾曲しているため、拡散層112に当たった光は、本体部111の側面に向かって反射する。拡散層112で反射した光は、側面反射層114で、本体部111の底面に向かって反射する。側面反射層114からの光は、底面反射層113で、上面に向かって反射する。底面反射層113からの光は、拡散層112で、底面に向かって反射する。以後、同様に、本体部111内の光は、拡散層112と底面反射層113とで反射を繰り返す。また、拡散層112に当たった光の一部は、透過して、本体部111の外側に出射される(光L1、光L2、光L3、・・・)。本体部111の上面が外周から中心に向かって低くなるように湾曲していることで、拡散層112で反射した光は、本体部111の中央に向かいながら、拡散層112と底面反射層113との間で繰り返し反射する。このため、外部に出射される光(光L1、光L2、光L3、・・・)は、徐々に本体部111の上面の中央に寄ることになる。中央に位置する光ほど、
拡散層112および底面反射層113での、拡散層112から出射するまでの反射回数が多くなる。このため、合わせ鏡の原理により、中央に位置する光ほど、奥側に位置するように錯覚して見える。これらの光は、外部から見たときに、直径が異なる複数のリングに見える。
【0025】
ここで、本体部111の上面に太陽光などの外部から光が入射した場合、本体部111の上面に拡散層112が存在するため、光は拡散層112で拡散され、乗員等の利用者の眼に強い光(反射光)が入りにくくなる。
【0026】
拡散層112のシボ加工の直線反射率は、例えば、60%以上75%以下であることが望ましい。直線反射率が75%超であると、外部からの光による反射光が強くなり、乗員等の利用者の幻惑の原因となり得る。また、直線反射率が60%未満であると、本体部111からの光が拡散されすぎて、利用者が本体部111からの光を認識しにくくなる。また、シボ加工のヘイズ(ヘーズ)は、例えば、3.0%以上18.7%以下であることが望ましい。ヘイズは、拡散の度合いを示す。
【0027】
(変形例)
上記の例では、本体部111の上面にシボ加工を施して拡散層112としたが、シボ加工の代わりにスモーク塗装(スモーク塗装処理)が施されてもよい。即ち、拡散層112は、スモーク塗装処理により成形されてもよい。スモーク塗装を施した拡散層112は、外部からの光を吸収することで、反射光を低減する。反射光を低減することで、乗員等の利用者の幻惑を抑制することができる。スモーク塗装の光の吸収率は17%以上であることが望ましい。光の吸収率が17%未満では、外部からの光による反射光が強くなり、乗員等の利用者の幻惑の原因となり得る。スモーク塗装の光の透過率は75%以上であることが望ましい。光の透過率が75%未満であると、利用者が本体部111からの光を認識しにくくなる。また、本体部111の上面にシボ加工及びスモーク塗装を施して拡散層112としてもよい。
【0028】
また、拡散層112として、反射防止フィルムが使用されてもよい。即ち、拡散層112は、反射防止フィルムにより成形されてもよい。このとき、本体部111の上面を鏡面加工し、当該上面に反射防止フィルムを張り付ける。反射防止フィルムは、外部からの光を拡散し、反射光を低減する。反射光を低減することで、乗員等の利用者の幻惑を抑制することができる。
【0029】
(実施形態の作用、効果)
操作装置10の操作部100は、導光部110、発光部120を備える。導光部110は、本体部111、本体部111の上面に拡散層112、本体部111の底面に底面反射層113、本体部111の側面に側面反射層114を備える。拡散層112は、中心に向かった凹んだ形状を有し、底面反射層113と向かい合う。発光部120から本体部111に入射される光は、拡散層112と底面反射層113との間で反射する。また、拡散層112に当たる光の一部は、外部に出射される。拡散層112から出射される光により、奥行きを感じさせることができる。
【0030】
本体部111の上面に設けられる拡散層112は、太陽光などの外部からの光を拡散、又は、吸収することにより、外部からの光の反射を抑制する。これにより、乗員等の利用者の幻惑を抑制できる。これにより、操作部100が視認されやすくなる。操作部100が視認されやすくなることで、乗員等の利用者が操作部100を操作しやすくなる。操作部100によれば、ハーフミラーの反射率を下げることなく、外部からの光を拡散させて幻惑を抑制できる。
【0031】
以上の各実施形態は、可能な限りこれらを組み合わせて実施され得る。
【符号の説明】
【0032】
10 操作装置
100 操作部
110 導光部
111 本体部
112 拡散層
113 底面反射層
113a 開口部
114 側面反射層
120 発光部
200 表示部
300 フレーム部
図1
図2
図3
図4