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特開2023-120819回動機構及びそれを備えた乗降遮断装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120819
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】回動機構及びそれを備えた乗降遮断装置
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/16 20060101AFI20230823BHJP
   E02F 9/24 20060101ALI20230823BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20230823BHJP
   G05G 5/08 20060101ALI20230823BHJP
   B60K 23/00 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
E02F9/16 G
E02F9/24 F
E02F9/20 E
G05G5/08
B60K23/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023892
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】安永 賢一
【テーマコード(参考)】
2D003
2D015
3D036
3J070
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003BA07
2D003CA02
2D003EA00
2D015EA02
2D015GA01
2D015GB02
3D036GD01
3D036GF02
3D036GH06
3D036GJ08
3J070AA03
3J070BA02
3J070BA41
3J070CB02
3J070CC03
3J070DA03
(57)【要約】
【課題】第一回動部材及び第二回動部材が意図せずに姿勢変化することを防ぎながら、第一回動部材及び第二回動部材に加わる衝撃を和らげることができる回動機構を提供する。
【解決手段】回動機構21であって、基材22には、第一回動部材29及び第二回動部材32が第一姿勢である場合に第一回動部材29及び第二回動部材32の少なくとも何れか一つが直接的又は間接的に押し当てられる第一規制部37aと、第一回動部材29及び第二回動部材32が第二姿勢である場合に第一回動部材29及び第二回動部材32の少なくとも何れか一つが直接的又は間接的に押し当てられる第二規制部38aとが設けられ、第一規制部37a及び第二規制部38aの少なくとも一方は、付勢部材28の付勢力によって第一回動部材29及び第二回動部材32の少なくとも何れか一つが直接的又は間接的に押し当てられる方向である押当て方向に沿って弾性変形可能に構成されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材に対して第一回動軸を中心にして回動可能に軸支される第一回動部材と、
前記基材に対して第二回動軸を中心にして回動可能に軸支される第二回動部材と、
付勢部材と、を備え、
前記第一回動部材は前記第一回動軸から離れた位置に設けられた嵌合軸を有し、前記第二回動部材は前記嵌合軸が嵌め込まれた遊嵌孔を有し、
前記嵌合軸が前記遊嵌孔内を移動しながら前記第一回動部材と前記第二回動部材とが連動して前記基材に対して回動することで、前記第一回動部材及び前記第二回動部材が第一姿勢と第二姿勢とに姿勢変化する回動機構であって、
前記付勢部材は、前記第一回動部材及び前記第二回動部材を、前記第一姿勢と前記第二姿勢との間の中間姿勢から前記第一姿勢と前記第二姿勢とのそれぞれに向かう側に付勢するように構成され、
前記基材には、前記第一回動部材及び前記第二回動部材が前記第一姿勢である場合に、前記付勢部材の付勢力によって前記第一回動部材及び前記第二回動部材の少なくとも何れか一つが直接的又は間接的に押し当てられる第一規制部と、前記第一回動部材及び前記第二回動部材が前記第二姿勢である場合に、前記付勢部材の付勢力によって前記第一回動部材及び前記第二回動部材の少なくとも何れか一つが直接的又は間接的に押し当てられる第二規制部とが設けられ、
前記第一規制部及び前記第二規制部の少なくとも一方は、前記付勢部材の付勢力によって前記第一回動部材及び前記第二回動部材の少なくとも何れか一つが直接的又は間接的に押し当てられる方向である押当て方向に沿って弾性変形可能に構成されている回動機構。
【請求項2】
前記第一規制部及び前記第二規制部の少なくとも一方は、前記第一回動部材及び前記第二回動部材の少なくとも何れか一つが直接的又は間接的に押し当てられる位置に配置され、前記押当て方向に沿って弾性変形可能な板状に形成されている請求項1に記載の回動機構。
【請求項3】
一枚の板状部材を用いて形成された板ばね部材を備え、
前記板ばね部材は、前記基材の本体部に固定される固定部と、前記固定部から第一方向に延出すると共に先端が自由端とされた第一延出部と、前記固定部から前記第一方向とは反対側を向く第二方向に延出すると共に先端が自由端とされた第二延出部と、を備え、
前記第一延出部に前記第一規制部が設けられ、前記第二延出部に前記第二規制部が設けられている請求項1又は2に記載の回動機構。
【請求項4】
作業用機械の座席に至る通路の周囲に設けられる乗降遮断装置であって、
請求項1~3の何れか一項に記載の回動機構と、
前記第一回動部材及び前記第二回動部材の一方に設けられた遮断棒と、
前記第一回動部材及び前記第二回動部材の他方に設けられ、前記作業用機械の操縦者に操作される操作部と、
前記第一回動部材及び前記第二回動部材が前記第一姿勢である場合に、前記遮断棒は前記通路に張り出して前記通路を遮断する遮断位置に配置され、
前記第一回動部材及び前記第二回動部材が前記第二姿勢である場合に、前記遮断棒は前記通路から退避した退避位置に配置される乗降遮断装置。
【請求項5】
前記基材に取り付けられ、前記第一回動部材及び前記第二回動部材が前記第一姿勢であるか否かを検出する検出装置を備え、
前記検出装置が前記第一姿勢であることを検出している場合にのみ、前記作業用機械に設けられる油圧アクチュエータの油圧系が作動状態となる請求項4に記載の乗降遮断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一回動部材と第二回動部材とが連動して基材に対して回動する回動機構及びそれを備えた乗降遮断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
以下、背景技術について説明する。以下の説明において、かっこ書きの符号等は先行技術文献における符号等である。
特許文献1(特開2015-68009号公報)には、作業用機械に設けられる油圧アクチュエータの油圧系を作動状態及び非作動状態の間で切り替えるために用いる回動機構が記載されている。この回動機構は、基板(3)と、基板(3)に対して第一回動軸(41)を中心にして回動可能に軸支される第一回動部材(4)と、基板(3)に対して第二回動軸(52)を中心にして回動可能に軸支される第二回動部材(5)とを備えている。この回動機構は、作業用機械の座席に至る通路の周囲に設けられ、第一回動部材(4)にはグリップ(42)が装着され、第二回動部材(5)には遮断棒(51)が装着されている。第一回動部材(4)及び第二回動部材(5)が回動して第一姿勢にある場合に、遮断棒は通路に張り出して通路を遮断する遮断位置に位置し、第一回動部材(4)及び第二回動部材(5)が回動して第二姿勢にある場合に、遮断棒(51)は通路から退避して通路を遮断しない退避位置に位置する。つまり、操縦者は、グリップ(42)を操作して遮断棒(51)を遮断位置に移動させること、及び、グリップ(42)を操作して遮断棒(51)を退避位置に移動させることができる。
【0003】
基板(3)には、第一回動部材(4)及び第二回動部材(5)が回動して第一姿勢にある場合に、作業用機械に設けられる油圧アクチュエータの油圧系を作動状態に切り替え、第一回動部材(4)及び第二回動部材(5)が回動して第二姿勢にある場合に、油圧アクチュエータの油圧系を非作動状態に切り替えるために用いられるリミットスイッチ(9)が設けられる。つまり、操縦者が座席に座って遮断棒(51)を遮断位置に移動させた場合に、油圧アクチュエータの油圧系は作動状態になる。この状態では遮断棒(51)は遮断位置に移動しているため、操縦者は座席に至る通路を通行すること、即ち、座席から離れることが許容されない状態になる。それに対して、操縦者が作業用機械の操作を終了して遮断棒(51)を退避位置に移動させた場合に、油圧アクチュエータの油圧系は非作動状態になる。この状態では遮断棒は退避位置に移動しているため、操縦者は座席に至る通路を通行すること、即ち、座席から離れることが許容される状態になる。
【0004】
このように、作業用機械に上述したような回動機構を設置することで、油圧アクチュエータの油圧系が作動状態になっている間は、操縦者が座席から離れないようにして、且つ、操縦者が座席から離れることが許容される間は、油圧アクチュエータの油圧系が非作動状態になるようにできる。
【0005】
このような回動機構では、操縦者によって操作されない限りは上述したような第一姿勢及び第二姿勢の状態が維持されることが必要である。そのために、従来から、第一回動部材及び第二回動部材を勝手に回動させないための付勢部材が設けられている。例えば、特許文献1に記載の回動機構では、付勢部材(6)としての引っ張りコイルばねを用いて、上述したような第一姿勢及び第二姿勢の状態を維持しようとしている。また、特許文献2(特開平9-25650号公報)では、第一回動部材(第1のレバー26)及び第二回動部材(第2のレバー30)が勝手に回動しないように、付勢部材としてのばね(33)の弾性作用が利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-68009号公報
【特許文献2】特開平9-25650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
回動機構が設置される作業用機械には強い振動が加わることが想定される。従って、そのような振動によって第一回動部材及び第二回動部材が勝手に回動しないように、上述した付勢部材によって加えられる付勢力を大きくすることが好ましい。つまり、第一姿勢に至る際に第一回動部材及び第二回動部材に加わる付勢力を大きくしてその状態が確実に維持され、第二姿勢に至る際に第一回動部材及び第二回動部材に加わる付勢力を大きくしてその状態が確実に維持されることが好ましい。
【0008】
但し、付勢部材による付勢力を大きくすると、第一回動部材及び第二回動部材が回動して第一姿勢で停止する際、及び、第一回動部材及び第二回動部材が回動して第二姿勢で停止する際に第一回動部材及び第二回動部材に加わる衝撃が大きくなる。このような衝撃が繰り返し作用することを考慮すると、第一回動部材及び第二回動部材の破損を回避して耐久性を確保するために各部材の強度を必要以上に高めることが求められる。特に、第一回動部材及び第二回動部材が平坦ではなく、折れ曲がりやねじれ等の応力が集中し得る箇所を有している場合、そのような箇所の強度を必要以上に高めることが求められる。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、第一回動部材及び第二回動部材が意図せずに姿勢変化することを防ぎながら、第一回動部材及び第二回動部材に加わる衝撃を和らげることができる回動機構及びそれを備えた乗降遮断装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る回動機構の特徴構成は、基材と、前記基材に対して第一回動軸を中心にして回動可能に軸支される第一回動部材と、前記基材に対して第二回動軸を中心にして回動可能に軸支される第二回動部材と、付勢部材と、を備え、前記第一回動部材は前記第一回動軸から離れた位置に設けられた嵌合軸を有し、前記第二回動部材は前記嵌合軸が嵌め込まれた遊嵌孔を有し、前記嵌合軸が前記遊嵌孔内を移動しながら前記第一回動部材と前記第二回動部材とが連動して前記基材に対して回動することで、前記第一回動部材及び前記第二回動部材が第一姿勢と第二姿勢とに姿勢変化する回動機構であって、
前記付勢部材は、前記第一回動部材及び前記第二回動部材を、前記第一姿勢と前記第二姿勢との間の中間姿勢から前記第一姿勢と前記第二姿勢とのそれぞれに向かう側に付勢するように構成され、
前記基材には、前記第一回動部材及び前記第二回動部材が前記第一姿勢である場合に、前記付勢部材の付勢力によって前記第一回動部材及び前記第二回動部材の少なくとも何れか一つが直接的又は間接的に押し当てられる第一規制部と、前記第一回動部材及び前記第二回動部材が前記第二姿勢である場合に、前記付勢部材の付勢力によって前記第一回動部材及び前記第二回動部材の少なくとも何れか一つが直接的又は間接的に押し当てられる第二規制部とが設けられ、
前記第一規制部及び前記第二規制部の少なくとも一方は、前記付勢部材の付勢力によって前記第一回動部材及び前記第二回動部材の少なくとも何れか一つが直接的又は間接的に押し当てられる方向である押当て方向に沿って弾性変形可能に構成されている点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、第一規制部が上記押当て方向に沿って弾性変形可能に構成されていれば、第一回動部材及び第二回動部材が回動して第一姿勢にある場合、第一回動部材及び第二回動部材の少なくとも何れか一つは、付勢部材によって、第一規制部を上記押当て方向に沿って弾性変形させながら直接的又は間接的に第一規制部に押し当てられる。これにより、第一回動部材及び第二回動部材の回動が規制される。更に、第一回動部材及び第二回動部材が回動して第一姿勢で停止する際に付勢部材によって第一回動部材及び第二回動部材に加わる衝撃が、第一規制部の弾性変形により緩和される。そのため、第一回動部材及び第二回動部材の強度を必要以上に高めることなく耐久性を確保できる。加えて、第一回動部材及び第二回動部材に加わる衝撃が第一規制部で緩和されるため、振動などによって第一回動部材及び第二回動部材が第一姿勢から勝手に回動することを防止するために、付勢部材による付勢力を大きくすることができる。
【0012】
同様に、第二規制部が上記押当て方向に沿って弾性変形可能に構成されていれば、第一回動部材及び第二回動部材が回動して第二姿勢にある場合、第一回動部材及び第二回動部材の少なくとも何れか一つは、付勢部材によって、第二規制部を上記押当て方向に沿って弾性変形させながら直接的又は間接的に第二規制部に押し当てられる。これにより、第一回動部材及び第二回動部材の回動が規制される。更に、第一回動部材及び第二回動部材が回動して第二姿勢で停止する際に付勢部材によって第一回動部材及び第二回動部材に加わる衝撃が、第二規制部の弾性変形により緩和される。そのため、第一回動部材及び第二回動部材の強度を必要以上に高めることなく耐久性を確保できる。加えて、第一回動部材及び第二回動部材に加わる衝撃が第二規制部で緩和されるため、振動などによって第一回動部材及び第二回動部材が第二姿勢から勝手に回動することを防止するために、付勢部材による付勢力を大きくすることができる。
【0013】
本発明に係る回動機構の別の特徴構成は、前記第一規制部及び前記第二規制部の少なくとも一方は、前記第一回動部材及び前記第二回動部材の少なくとも何れか一つが直接的又は間接的に押し当てられる位置に配置され、前記押当て方向に沿って弾性変形可能な板状に形成されている点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、第一規制部が上記押当て方向に沿って弾性変形可能な板状に形成されていれば、第一回動部材及び第二回動部材が回動して第一姿勢にある場合、第一回動部材及び第二回動部材の少なくとも何れか一つは、直接的又は間接的に板状の第一規制部に当たる。つまり、第一規制部は、広い領域で、第一回動部材及び第二回動部材の少なくとも何れか一つを直接的又は間接的に確実に受けて、衝撃を緩和できる。
【0015】
同様に、第二規制部が上記押当て方向に沿って弾性変形可能な板状に形成されていれば、第一回動部材及び第二回動部材が回動して第二姿勢にある場合、第一回動部材及び第二回動部材の少なくとも何れか一つは、直接的又は間接的に板状の第二規制部に当たる。つまり、第二規制部は、広い領域で、第一回動部材及び第二回動部材の少なくとも何れか一つを直接的又は間接的に確実に受けて、衝撃を緩和できる。
【0016】
本発明に係る回動機構の更に別の特徴構成は、一枚の板状部材を用いて形成された板ばね部材を備え、前記板ばね部材は、前記基材の本体部に固定される固定部と、前記固定部から第一方向に延出すると共に先端が自由端とされた第一延出部と、前記固定部から前記第一方向とは反対側を向く第二方向に延出すると共に先端が自由端とされた第二延出部と、を備え、前記第一延出部に前記第一規制部が設けられ、前記第二延出部に前記第二規制部が設けられている点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、板ばね部材が備える第一延出部は先端が自由端とされているため、第一延出部に設けられる第一規制部は弾性変形可能な状態で位置を変えることができる。そして、第一回動部材及び第二回動部材が回動して第一姿勢にある場合、第一回動部材及び第二回動部材の少なくとも何れか一つは、第一規制部を構成する板ばね部材の板面に直接的又は間接的に当たる。つまり、第一規制部は、広い領域で、第一回動部材及び第二回動部材の少なくとも何れか一つを直接的又は間接的に確実に受けて、衝撃を緩和できる。
【0018】
同様に、板ばね部材が備える第二延出部は先端が自由端とされているため、第二延出部に設けられる第二規制部は弾性変形可能な状態で位置を変えることができる。そして、第一回動部材及び第二回動部材が回動して第二姿勢にある場合、第一回動部材及び第二回動部材の少なくとも何れか一つは、第二規制部を構成する板ばね部材の板面に直接的又は間接的に当たる。つまり、第二規制部は、広い領域で、第一回動部材及び第二回動部材の少なくとも何れか一つを直接的又は間接的に確実に受けて、衝撃を緩和できる。
【0019】
加えて、上記特徴構成によれば、一枚の板ばね部材を用いて、当該板ばね部材を基材の本体部に固定するだけで、弾性変形可能な第一規制部及び第二規制部を設けることができる。
【0020】
本発明に係る乗降遮断装置の特徴構成は、作業用機械の座席に至る通路の周囲に設けられる乗降遮断装置であって、
上記回動機構と、
前記第一回動部材及び前記第二回動部材の一方に設けられた遮断棒と、
前記第一回動部材及び前記第二回動部材の他方に設けられ、前記作業用機械の操縦者に操作される操作部と、
前記第一回動部材及び前記第二回動部材が前記第一姿勢である場合に、前記遮断棒は前記通路に張り出して前記通路を遮断する遮断位置に配置され、
前記第一回動部材及び前記第二回動部材が前記第二姿勢である場合に、前記遮断棒は前記通路から退避した退避位置に配置される点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、遮断棒は、操縦者が操作部を動かすことで第一回動部材及び第二回動部材が回動して第一姿勢にある場合に、作業用機械の座席に至る通路に張り出してその通路を遮断する遮断位置に位置する。つまり、遮断棒により、座席に居る操縦者が座席から離れることが阻止される。また、遮断棒は、操縦者が操作部を動かすことで第一回動部材及び第二回動部材が回動して第二姿勢にある場合に、通路から退避して通路を遮断しない退避位置に位置する。つまり、操縦者が座席から離れることが許容される。更に、上記回動機構を用いることで、遮断棒が遮断位置にある状態及び退避位置にある状態のそれぞれが確実に維持される。
【0022】
本発明に係る乗降遮断装置の別の特徴構成は、前記基材に取り付けられ、前記第一回動部材及び前記第二回動部材が前記第一姿勢であるか否かを検出する検出装置を備え、
前記検出装置が前記第一姿勢であることを検出している場合にのみ、前記作業用機械に設けられる油圧アクチュエータの油圧系が作動状態となる点にある。
【0023】
上記特徴構成によれば、検出装置が、第一回動部材及び第二回動部材が第一姿勢であることを検出している場合にのみ、即ち、遮断棒が遮断位置に位置している場合にのみ、作業用機械に設けられる油圧アクチュエータの油圧系が作動状態になる。その結果、作業用機械が動作可能になる。それに対して、検出装置が、第一回動部材及び第二回動部材が第一姿勢であることを検出していない場合、例えば、遮断棒が遮断位置に位置しておらず、操縦者が座席から離れている場合などには、作業用機械に設けられる油圧アクチュエータの油圧系が作動状態にならない。その結果、作業用機械が動作不能になる。つまり、油圧アクチュエータの油圧系が作動状態になっている間は、操縦者が座席から離れないようにして、且つ、操縦者が座席から離れることが許容される間は、油圧アクチュエータの油圧系が作動状態にならないようにできる。また、上記のとおり、付勢部材による付勢力を大きくして振動などによって第一回動部材及び第二回動部材が第一姿勢から勝手に回動することを防止できるため、このような検出装置の構成であっても、作業用機械の使用中に誤って油圧アクチュエータの油圧系が非作動状態になることを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】乗降遮断装置が作業用機械の座席に設けられている状態を示す図である。
図2】乗降遮断装置が備える回動機構の構成を示す図である。
図3】乗降遮断装置が備える回動機構の構成を示す図である。
図4】回動機構の分解斜視図である。
図5】板ばね部材の形状を説明する図である。
図6】回動機構が第一姿勢にある状態での板ばね部材を拡大した図である。
図7】回動機構が第二姿勢にある状態での板ばね部材を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に図面を参照して本発明の実施形態に係る回動機構21及び乗降遮断装置20について説明する。
図1は、乗降遮断装置20が作業用機械1の座席7に設けられている状態を示す図である。油圧ショベル等の作業用機械1の運転室2の床6には、操縦者が作業用機械1を操縦する際に着座する座席7が設けられる。操縦者は、出入口4の通路8を通って運転室2に出入りできる。作業用機械1には、複数の油圧アクチュエータ13が設けられると共に、それら油圧アクチュエータ13を作動させるための操縦レバー9が設けられている。操縦者が操縦レバー9を操作することで、作業用機械1の操縦を行うことができる。油圧アクチュエータ13へ圧油を供給する油圧系11には、油圧アクチュエータ13への圧油供給を停止可能な油圧ロック機構12が設けられている。
【0026】
乗降遮断装置20は、作業用機械1の座席7に至る通路8の周囲に設けられる。図1に示す例では、乗降遮断装置20は、カバー10に覆われた状態で座席7の側部に設けられている。尚、乗降遮断装置20に設けられる遮断棒15及び操作レバー16は、カバー10の外部に突出している。後述するように、操縦者は、操作部としての操作レバー16を操作して、遮断棒15が通路8を遮断する遮断位置に配置される状態と、遮断棒15が通路8から退避した退避位置に配置される状態とを切り替えることができる。
【0027】
図2及び図3は、乗降遮断装置20が備える回動機構21の構成を示す図である。具体的には、図2は回動機構21が第一姿勢にある状態を示し、図3は回動機構21が第二姿勢にある状態を示す。図4は、回動機構21の分解斜視図である。乗降遮断装置20は、回動機構21と、遮断棒15と、操作レバー16とを備える。回動機構21は、基材22と、基材22に対して第一回動軸25を中心にして回動可能に軸支される第一回動部材29と、基材22に対して第二回動軸26を中心にして回動可能に軸支される第二回動部材32と、付勢部材28とを備える。
【0028】
遮断棒15は第一回動部材29及び第二回動部材32の一方に設けられ、操作レバー16は第一回動部材29及び第二回動部材32の他方に設けられて、作業用機械1の操縦者に操作される。尚、本実施形態では、遮断棒15が第二回動部材32に設けられ、操作レバー16が第一回動部材29に設けられる例を示す。
【0029】
図1及び図2に示すように、遮断棒15は、操縦者が操作レバー16を動かすことで第一回動部材29及び第二回動部材32が回動して第一姿勢にある場合に、作業用機械1の座席7に至る通路8に張り出してその通路8を遮断する遮断位置に位置する。その場合、遮断棒15により、座席7に居る操縦者が座席7から離れることが阻止される。また、図1及び図3に示すように、遮断棒15は、操縦者が操作レバー16を動かすことで第一回動部材29及び第二回動部材32が回動して第二姿勢にある場合に、通路8から退避した退避位置に位置する。その場合、操縦者が座席7から離れることが許容される。
【0030】
基材22及び第一回動部材29及び第二回動部材32は、例えば金属製の板状の部材を用いて形成される。基材22の本体部22aの一方の面上には、第一回動軸25及び第二回動軸26が設けられる。第一回動部材29が有する平坦な第一本体部29aには、その第一本体部29aを貫通する第一孔30が設けられ、その第一孔30に基材22の第一回動軸25が通された状態で、第一回動部材29と基材22とがプッシュナット46及びワッシャ47を用いて組み付けられる。その結果、第一回動部材29が第一回動軸25を中心にして基材22に対して回転可能になる。同様に、第二回動部材32には、その第二回動部材32を貫通する第二孔45が設けられ、その第二孔45に基材22の第二回動軸26が通された状態で、第二回動部材32と基材22とがプッシュナット51及びワッシャ52を用いて組み付けられる。その結果、第二回動部材32が第二回動軸26を中心にして基材22に対して回転可能になる。
【0031】
第一回動部材29は、第一回動軸25及び第一孔30から離れた位置に設けられた嵌合軸31を有する。嵌合軸31は、第一回動部材29の第一本体部29aの両面側、即ち、基材22と相対する側及びそれとは反対側に突出する形状である。第二回動部材32は遊嵌孔33を有する。第一回動部材29と第二回動部材32とは、第一回動部材29の嵌合軸31が第二回動部材32の遊嵌孔33に嵌め込まれた状態で、第二回動部材32が第一回動部材29から離れないように止め輪48及びワッシャ49、50を用いて組み付けられている。そして、第一回動部材29の嵌合軸31が第二回動部材32の遊嵌孔33内を相対的に移動しながら第一回動部材29と第二回動部材32とが連動して基材22に対して回動することで、第一回動部材29及び第二回動部材32が、図1に示す第一姿勢と図2に示す第二姿勢との間で姿勢変化する。
【0032】
第一回動部材29の形状について説明すると、本実施形態では、第一回動部材29を構成する板状の部材のうち、第一孔30が設けられる部位から見て一方の方向に延びた部分の先端に嵌合軸31が設けられ、第一孔30が設けられる部位から見て別の方向に延びた部分の先端に操作レバー16が設けられる。そして、嵌合軸31及び操作レバー16が設けられる第一回動部材29は、基材22の第一回動軸25が通される第一孔30を中心にして基材22に対して回転可能になる。
【0033】
同様に、第二回動部材32の形状について説明すると、本実施形態では、第二回動部材32の構成する板状の部材のうち、第二孔45が設けられる部位から見て一方の方向に遊嵌孔33が設けられ、第二孔45が設けられる部位から見て別の方向に遮断棒15が設けられる。そして、遊嵌孔33及び遮断棒15が設けられる第二回動部材32は、基材22の第二回動軸26が通される第二孔45を中心にして基材22に対して回転可能になる。
【0034】
基材22の本体部22aには、第一回動部材29及び第二回動部材32が第一姿勢であるか否かを検出する検出装置39がねじ43、44を用いて取り付けられる。検出装置39は、基材22の本体部22aに対する第一回動部材29の位置に基づいて、第一回動部材29及び第二回動部材32が第一姿勢であるか否かを検出し、その検出結果を配線40を介して制御部14に伝達する。配線40は結束バンド41を用いて基材22に固定される。そして、制御部14は、油圧ロック機構12の動作を制御して、検出装置39が第一姿勢であることを検出している場合にのみ、油圧アクチュエータ13への圧油供給を行って、作業用機械1に設けられる油圧アクチュエータ13の油圧系11が作動状態にさせる。
【0035】
このように、乗降遮断装置20は、遮断棒15が通路8を遮断する遮断位置に配置される状態にある場合にのみ、油圧アクチュエータ13の油圧系11が作動状態となる。具体的に説明すると、乗降遮断装置20は、検出装置39が、第一回動部材29及び第二回動部材32が第一姿勢であることを検出している場合にのみ、即ち、遮断棒15が通路8を遮断する遮断位置に位置している場合にのみ、油圧アクチュエータ13への圧油供給を行うことで、作業用機械1に設けられる油圧アクチュエータ13の油圧系11を作動状態にさせる。それに対して、乗降遮断装置20は、検出装置39が、第一回動部材29及び第二回動部材32が第一姿勢であることを検出していない場合、例えば、遮断棒15が遮断位置に位置しておらず、操縦者が座席7から離れている場合などには、油圧アクチュエータ13への圧油供給を停止することで、作業用機械1に設けられる油圧アクチュエータ13の油圧系11を作動状態にさせない。
【0036】
つまり、油圧アクチュエータ13の油圧系11が作動状態になっている間は、通路8を遮断棒15で遮断することで操縦者が座席7から離れないようにし、通路8が遮断棒15に遮断されていないことで操縦者が座席7から離れることが許容される間は、油圧アクチュエータ13の油圧系11が作動状態にならないようにできる。
【0037】
第一回動部材29及び第二回動部材32が配置されるのと同じ側の基材22の一方の面上には、付勢部材支持部27が設けられる。そして、付勢部材支持部27と第一回動部材29の嵌合軸31とを連結する付勢部材28が設けられる。付勢部材28は、弾性変形可能な細長い板状の部材を用いて構成される。付勢部材28の両端は折り曲げられてU字型になっている。付勢部材28は、一方の端部のU字部分が付勢部材支持部27に巻き付く形態で、付勢部材支持部27を中心に回転可能な状態で基材22に装着される。また、付勢部材28は、他方の端部のU字部分が嵌合軸31に巻き付く形態で、嵌合軸31を中心に回転可能な状態で第一回動部材29に装着される。
【0038】
付勢部材28は、その弾性力により、第一回動部材29及び第二回動部材32を、第一姿勢と第二姿勢との間の中間姿勢から第一姿勢と第二姿勢とのそれぞれに向かう側に付勢する。例えば、付勢部材28は、第一回動部材29及び第二回動部材32が回動して第一姿勢に近い姿勢にある場合には、その弾性力により、第一回動部材29及び第二回動部材32が第一姿勢になるように付勢する。また、付勢部材28は、第一回動部材29及び第二回動部材32が回動して第二姿勢に近い姿勢にある場合には、その弾性力により、第一回動部材29及び第二回動部材32が第二姿勢になるように付勢する。つまり、操縦者が、第一回動部材29及び第二回動部材32が、図2に示す第一姿勢と図3に示す第二姿勢との間の中間姿勢にある状態で操作レバー16の操作を止めたとしても、付勢部材28の付勢力によって、第一回動部材29及び第二回動部材32は第一姿勢又は第二姿勢の何れか一方になる。そして、操縦者が操作レバー16を操作して第一回動部材29及び第二回動部材32を第一姿勢又は第二姿勢にさせると、その後は、振動などによって第一回動部材29及び第二回動部材32が勝手に回動することが防止される。そして、第一回動部材29及び第二回動部材32が第一姿勢から勝手に回動することを防止できるため、上述したような検出装置39の構成において、作業用機械1の使用中に誤って油圧アクチュエータ13の油圧系11が非作動状態になることを回避できる。
【0039】
第一回動部材29及び第二回動部材32が配置されるのと同じ側の基材22の一方の面上には、板ばね支持部23が設けられる。図5は、板ばね支持部23に設けられる板ばね部材34の形状を説明する図である。板ばね支持部23は、基材22の本体部22aの面から垂直に立ち上がった形状になっている。板ばね部材34は、一枚の板状部材を用いて形成される。板ばね部材34は、基材22の本体部22aに固定される固定部35と、固定部35から第一方向D1に延出すると共に先端が自由端とされた第一延出部37と、固定部35から第一方向D1とは反対側を向く第二方向D2に延出すると共に先端が自由端とされた第二延出部38とを備える。固定部35には貫通孔36が設けられ、ねじ42が貫通孔36を通って板ばね支持部23のねじ孔24に固定されることで、板ばね部材34の固定部35の面と板ばね支持部23の面とが相対した状態で、板ばね部材34が板ばね支持部23に固定される。図5に示す例では、第一方向D1と第二方向D2とのなす角は180°になっている。尚、第一方向D1と第二方向D2とは図示するような180°の関係でなくても良く、おおよそ反対側を向いていれば良い。例えば、第一方向D1と第二方向D2とのなす角が120°から240°の範囲であればよい。
【0040】
第一方向D1及び第二方向D2と直交する方向での板ばね部材34の幅は一様ではない。例えば、第一延出部37の幅W3は固定部35の幅W1と同じであるが、第二延出部38の幅W2は、W1及びW3よりも狭い。
【0041】
第一延出部37に第一規制部37aが設けられ、第二延出部38に第二規制部38aが設けられる。板ばね部材34が備える第一延出部37は先端が自由端とされているため、第一延出部37に設けられる第一規制部37aは弾性変形可能な状態で位置を変えることができる。同様に、板ばね部材34が備える第二延出部38は先端が自由端とされているため、第二延出部38に設けられる第二規制部38aは弾性変形可能な状態で位置を変えることができる。このように、弾性変形可能な第一規制部37a及び第二規制部38aが基材22に設けられる。
【0042】
第一規制部37a及び第二規制部38aは、第一回動部材29及び第二回動部材32の少なくとも何れか一つが直接的又は間接的に押し当てられる位置に配置される。そして、第一規制部37aには、第一回動部材29及び第二回動部材32が第一姿勢である場合に、付勢部材28の付勢力によって第一回動部材29及び第二回動部材32の少なくとも何れか一つが直接的又は間接的に押し当てられる。また、第一規制部37a及び第二規制部38aは、付勢部材28の付勢力によって第一回動部材29及び第二回動部材32の少なくとも何れか一つが直接的又は間接的に押し当てられる方向である押当て方向に沿って弾性変形可能に構成されている。そして、第二規制部38aには、第一回動部材29及び第二回動部材32が第二姿勢である場合に、付勢部材28の付勢力によって第一回動部材29及び第二回動部材32の少なくとも何れか一つが直接的又は間接的に押し当てられる。
【0043】
第一規制部37aは上記押当て方向に沿って弾性変形可能な板状に形成されているため、第一回動部材29及び第二回動部材32が回動して第一姿勢にある場合、第一回動部材29及び第二回動部材32の少なくとも何れか一つは、板ばね部材34の一部である第一規制部37aの板面に直接的又は間接的に当たる。つまり、第一規制部37aは、広い領域で、第一回動部材29及び第二回動部材32の少なくとも何れか一つを直接的又は間接的に確実に受けて、衝撃を緩和できる。
【0044】
同様に、第二規制部38aは上記押当て方向に沿って弾性変形可能な板状に形成されているため、第一回動部材29及び第二回動部材32が回動して第二姿勢にある場合、第一回動部材29及び第二回動部材32の少なくとも何れか一つは、板ばね部材34の一部である第二規制部38aの板面に直接的又は間接的に当たる。つまり、第二規制部38aは、広い領域で、第一回動部材29及び第二回動部材32の少なくとも何れか一つを直接的又は間接的に確実に受けて、衝撃を緩和できる。
【0045】
図6は、回動機構21が第一姿勢にある状態での板ばね部材34を拡大した図である。基材22の本体部22aから離れる方向に向かって、第一回動部材29と第二回動部材32とが順に位置している。また、板ばね部材34が板ばね支持部23に取り付けられた状態では、板ばね部材34の第一規制部37aの幅W3は、第二回動部材32が位置している範囲まで広がっている。その結果、回動機構21が第一姿勢にある場合、付勢部材28によって第二回動部材32が、幅W3を有する板ばね部材34の第一規制部37aに直接的に押し当てられている。
【0046】
第一規制部37aは上記押当て方向に沿って弾性変形可能に構成されているため、第一回動部材29及び第二回動部材32が回動して第一姿勢にある場合、第二回動部材32の端部は、付勢部材28によって第一規制部37aを上記押当て方向に沿って弾性変形させながら第一規制部37aに直接的に当たる。これにより、第一回動部材29及び第二回動部材32の回動が規制される。更に、第一回動部材29及び第二回動部材32が回動して第一姿勢で停止する際に付勢部材28によって第一回動部材29及び第二回動部材32に加わる衝撃が、第一規制部37aの弾性変形により緩和される。そのため、第一回動部材29及び第二回動部材32の強度を必要以上に高めることなく耐久性を確保できる。加えて、第一回動部材29及び第二回動部材32に加わる衝撃が第一規制部37aで緩和されるため、振動などによって第一回動部材29及び第二回動部材32が第一姿勢から勝手に回動することを防止するために、付勢部材28による付勢力を大きくすることができる。加えて、第一規制部37aが弾性変形可能なため、第二回動部材32が第一規制部37aに当たる際の音が比較的小さくなる。
【0047】
図7は、回動機構21が第二姿勢にある状態での板ばね部材34を拡大した図である。基材22の本体部22aから離れる方向に向かって、第一回動部材29の嵌合軸31に巻き付く付勢部材28と、第一回動部材29の第一本体部29aと、第二回動部材32とが順に位置している。また、板ばね部材34が板ばね支持部23に取り付けられた状態では、板ばね部材34の第二規制部38aの幅W2は、第一回動部材29の嵌合軸31に巻き付く付勢部材28が位置している範囲まで広がっているが、第一回動部材29の第一本体部29a及び第二回動部材32が位置している範囲までは広がっていない。その結果、回動機構21が第二姿勢にある場合、第一回動部材29の嵌合軸31に巻き付く付勢部材28が幅W2を有する第二規制部38aに押し当てられる。つまり、付勢部材28によって、第一回動部材29が、幅W2を有する第二規制部38aに間接的に(即ち、付勢部材28を間に介して)押し当てられている。
【0048】
第二規制部38aは上記押当て方向に沿って弾性変形可能に構成されているため、第一回動部材29及び第二回動部材32が回動して第二姿勢にある場合、第一回動部材29は、付勢部材28によって第二規制部38aを上記押当て方向に沿って弾性変形させながら第二規制部38aに間接的に当たる。これにより、第一回動部材29及び第二回動部材32の回動が規制される。更に、第一回動部材29及び第二回動部材32が回動して第二姿勢で停止する際に付勢部材28によって第一回動部材29及び第二回動部材32に加わる衝撃が、第二規制部38aの弾性変形により緩和される。そのため、第一回動部材29及び第二回動部材32の強度を必要以上に高めることなく耐久性を確保できる。加えて、第一回動部材29及び第二回動部材32に加わる衝撃が第二規制部38aで緩和されるため、振動などによって第一回動部材29及び第二回動部材32が第二姿勢から勝手に回動することを防止するために、付勢部材28による付勢力を大きくすることができる。加えて、第二規制部38aが弾性変形可能なため、付勢部材28が第二規制部38aに当たる際の音が比較的小さくなる。
【0049】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、付勢部材28が弾性変形可能な板状の部材を用いて形成される例を説明したが、付勢部材28の材質及び形状は適宜変更可能である。例えば弾性変形可能なスプリング等を用いて付勢部材28を形成してもよい。
【0050】
<2>
上記実施形態では、第一規制部37a及び第二規制部38aが板ばね部材34を用いて実現される例を説明したが、第一規制部37a及び第二規制部38aの材質及び形状は適宜変更可能である。例えば、ゴム、樹脂などの弾性変形可能な部材を板ばね支持部23に固定することで第一規制部37a及び第二規制部38aを形成してもよい。
【0051】
<3>
上記実施形態では、第一規制部37a及び第二規制部38aが一つの板ばね部材34を用いて実現される例を説明したが、第一規制部37a及び第二規制部38aのそれぞれが別の部材を用いて形成されてもよい。
また、第一規制部37a及び第二規制部38aのそれぞれが基材22のどの位置に設けられるのかは適宜変更可能である。その際も、第一回動部材29及び第二回動部材32が第一姿勢である場合には、付勢部材28の付勢力によって第一回動部材29及び第二回動部材32の少なくとも何れか一つが第一規制部37aに対して直接的又は間接的に押し当てられ、第一回動部材29及び第二回動部材32が第二姿勢である場合には、付勢部材28の付勢力によって第一回動部材29及び第二回動部材32の少なくとも何れか一つが第二規制部38aに対して直接的又は間接的に押し当てられる。
【0052】
<4>
上記実施形態では、第一規制部37a及び第二規制部38aの両方が、付勢部材28の付勢力によって第一回動部材29及び第二回動部材32の少なくとも何れか一つが直接的又は間接的に押し当てられる方向である押当て方向に沿って弾性変形可能に構成されている場合について説明したが、第一規制部37a及び第二規制部38aの少なくとも一方がそのように弾性変形可能に構成されていればよい。
【0053】
<5>
上記実施形態では、第一回動部材29及び第二回動部材32が第一姿勢であることを検出装置39が検出している場合にのみ作業用機械1に設けられる油圧アクチュエータ13の油圧系11が作動状態となる場合について説明したが、第一回動部材29及び第二回動部材32がどのような姿勢にあるかを示す情報と、油圧アクチュエータ13の油圧系11が作動状態及び非作動状態の何れになるかとを連動させなくてもよい。
【0054】
<6>
上記実施形態では、板ばね部材34の第二延出部38に設けられる第二規制部38aの幅W2を狭く形成することで、第二規制部38aが第一回動部材29の第一本体部29a及び第二回動部材32には当たらないようにした例を説明したが、第一規制部37a及び第二規制部38aの形状は適宜変更可能である。つまり、第一規制部37a及び第二規制部38aをどの部材に当てるかに応じてそれらの形状を設定すればよい。
【0055】
<7>
上記実施形態において、操作レバー16は、第一回動部材29と一体で形成されてもよいし、第一回動部材29と別体で形成された後で第一回動部材29に装着されてもよい。
上記実施形態において、遮断棒15は、第二回動部材32と一体で形成されてもよいし、第二回動部材32と別体で形成された後で第二回動部材32に装着されてもよい。
【0056】
<8>
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用でき、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変できる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、第一回動部材及び第二回動部材が意図せずに姿勢変化することを防ぎながら、第一回動部材及び第二回動部材に加わる衝撃を和らげることができる回動機構及びそれを備えた乗降遮断装置に利用できる。
【符号の説明】
【0058】
1 :作業用機械
7 :座席
8 :通路
11 :油圧系
13 :油圧アクチュエータ
15 :遮断棒
16 :操作レバー(操作部)
20 :乗降遮断装置
21 :回動機構
22 :基材
22a :本体部
25 :第一回動軸
26 :第二回動軸
28 :付勢部材
29 :第一回動部材
31 :嵌合軸
32 :第二回動部材
33 :遊嵌孔
34 :板ばね部材
35 :固定部
37 :第一延出部
37a :第一規制部
38 :第二延出部
38a :第二規制部
39 :検出装置
D1 :第一方向
D2 :第二方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7