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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120821
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】巻取収納式標識
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/662 20160101AFI20230823BHJP
【FI】
E01F9/662
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023897
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】504415223
【氏名又は名称】株式会社ツール・ディポ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】小椋 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】石関 明宏
(72)【発明者】
【氏名】野口 新一
【テーマコード(参考)】
2D064
【Fターム(参考)】
2D064AA30
2D064BA03
2D064DA03
2D064DA05
2D064EA02
2D064EA04
(57)【要約】
【課題】車両に対して容易に取り付けることができると共に、保管時、搬送時に場所をとらない巻取収納式標識を提供する。
【解決手段】巻取収納式標識1は、シート状の標識部10と、標識部10を巻き取って収納するケース20と、ケース20から引き出される標識部10の先端に取り付けられたバー30とを備える。また、巻取収納式標識1は、ケース20を車両2に対して止着するためにケース20に設けられ、吸盤41を有する止着部40を備える。さらに、巻取収納式標識1は、標識部10をケース20から引き出した状態でバー30を車両2に対して係止するためにバー30に設けられた係止部50を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の標識部と、
前記標識部を巻き取って収納するケースと、
前記ケースから引き出される前記標識部の先端に取り付けられたバーと、
前記ケースを車両に対して止着するために前記ケースに設けられ、吸盤を有する止着部と、
前記標識部を前記ケースから引き出した状態で前記バーを前記車両に対して係止するために前記バーに設けられた係止部と、を備える、
巻取収納式標識。
【請求項2】
前記バーには、コードが接続されており、
前記係止部は、前記コードの長さ方向に対して位置調整可能に前記コードに配置されている、
請求項1に記載の巻取収納式標識。
【請求項3】
前記ケースは、間隔をおいて配置される複数のケース側突起部を有する、
請求項1又は2に記載の巻取収納式標識。
【請求項4】
前記吸盤は、前記ケースの長手方向に関し、前記ケースの長手方向に隣接する前記ケース側突起部の間に配置されている、
請求項3に記載の巻取収納式標識。
【請求項5】
前記バーは、間隔をおいて配置される複数のバー側突起部を有する、
請求項1~4のうちいずれか1項に記載の巻取収納式標識。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻取収納式標識に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路上で作業を行う際に作業車両の前面又は後面等に取り付けて使用する工事標識がある。例えば特許文献1には、車両に取り付ける車載工事標識であって、車両の車幅方向に取り付けられるフレームと、フレームに取り付けられ、巻取り収納可能なロールスクリーンを備える車載工事標識が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-70944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の車載工事標識は、車両に取り付けるフレームが必要であるため、車両によってはフレームを取り付けられないことがあり、また、フレームが大きいために、保管時、搬送時に場所をとり得る。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、車両に対して容易に取り付けることができると共に、保管時、搬送時に場所をとらない巻取収納式標識を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る巻取収納式標識は、シート状の標識部と、標識部を巻き取って収納するケースと、ケースから引き出される標識部の先端に取り付けられたバーとを備える。また、巻取収納式標識は、ケースを車両に対して止着するためにケースに設けられ、吸盤を有する止着部を備える。さらに、巻取収納式標識は、標識部をケースから引き出した状態でバーを車両に対して係止するためにバーに設けられた係止部を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両に対して容易に取り付けることができると共に、保管時、搬送時に場所をとらない巻取収納式標識を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】巻取収納式標識をケース背面部側から見た斜視図である。
図2】巻取収納式標識をケースカバー部側から見た正面図である。
図3】巻取収納式標識をケース背面部側から見た背面図である。
図4】巻取収納式標識を上方から見た平面図である。
図5】巻取収納式標識を横方向から見た側面図である。
図6図2のA-A線による矢視断面図である。
図7】巻取収納式標識を車両に取り付けた状態を示す車両後部の平面図である。
図8】巻取収納式標識を車両に取り付けた状態を示す車両後部の側面図である。
図9】巻取収納式標識を車両に取り付けた状態を示す車両後部の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本実施形態に係る巻取収納式標識について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0010】
[巻取収納式標識の全体構成]
本実施形態に係る巻取収納式標識1は、ロール看板とも称するものである。なお、以下の説明で、「上下」は巻取収納式標識1を車両2に取り付けた状態を基準とした上下方向である。
【0011】
図1は、巻取収納式標識1をケース20の背面部21側から見た斜視図である。図2は、巻取収納式標識1をケース20のカバー部24側から見た正面図である。図3は、巻取収納式標識1をケース20の背面部21側から見た背面図である。図4は、巻取収納式標識1を上方から見た平面図である。図5は、巻取収納式標識1を横方向から見た側面図である。図6は、図2のA-A線による矢視断面図である。
【0012】
図1から図6に示すように、巻取収納式標識1は、標識部10と、ケース20と、バー30と、止着部40と、係止部50とを備える。
【0013】
標識部10は、標識シートとも称するものである。標識部10は、シート状に形成されており、車両の運転者等に工事中であることを知らせるための工事標識である。標識部10の表示面には、例えば、「工事中」、「ご迷惑をおかけします」、「注意」等との文字、通行可能な方向を示す矢印B等が記載される(図9参照)。標識部10の表示面における背景を黄色等の蛍光色とし、「注意」との文字の色、及び矢印Bの色を赤色に着色することにより、車両の運転者等に注意を喚起することができる。また、標識部10の表示面に反射素材を用いることにより、夜間、降雨時及び降雪時でも標識部10が目立つようにすることができる。
【0014】
ケース20は、シート状の標識部10を巻き取って収納するためのものであり、左右方向に延在して正面視において長方形状に形成されている。ケース20は、例えば、背面部21と、背面部21の下端から前方へ突出する下面部22と、背面部21の左右両端部にそれぞれ装着される一対の側面部23,23と、背面部21を前方側から覆うカバー部24とを有して構成される。本実施形態では、一対の側面部23,23は合成樹脂材料により形成されており、一対の側面部23,23の左右外側には、補剛又は補強のために、金属材料により形成される補強部25が取り付けられている。
【0015】
ケース20の下面には、標識部10を引き出すことができるように開口部26が設けられている。具体的には、開口部26は、ケース20における下面部22の前端部と、カバー部24の下端部との間に開口形成されている。開口部26の幅は、標識部10の下端に装着されたバー30がケース20の内部にまで引き込まれないように、バー30の幅よりも狭く設定されている。さらに、ケース20における一対の側面部23,23の下面にはそれぞれ、標識部10を巻き取り収納した状態においてバー30が係合可能な凹部27が形成されている。
【0016】
その一方、ケース20の内部には、標識部10を巻き取るための巻取パイプ28と、標識部10を巻取パイプ28に自動で巻き取られるようにするための巻取手段としてのスプリング(図示せず)とが設けられている。
【0017】
バー30は、ウエイトバーとも称されるものである。バー30は、ケース20から引き出される標識部10の先端(下端)に取り付けられており、ケース20と同様に、左右方向に延在している。バー30の幅は、バー30がケース20の下面に設けられた開口部26からケース20の内部にまで引き込まれないように、開口部26の幅よりも広く設定されている。
【0018】
バー30は、例えば、中空状のバー本体31と、バー本体31の左右両端部にそれぞれ装着される一対のキャップ部材32,32とを有して構成される。その一方、バー本体31の内部には、標識部10の先端(下端)が接続される棒状部材33が設けられている。
【0019】
止着部40は、ケース20を車両2に対して止着するためにケース20に設けられている。止着部40は、車両2の車体3、フロントガラス及びリアガラス4等(図7から図9参照)に吸着可能な吸盤41を有する。本実施形態の吸盤41は、レバー式吸盤とも称され、強力な吸着力を持つものである。吸盤41は、吸盤本体42と、吸盤本体42を保持するためのホルダー43と、ホルダー43に回動操作可能に取り付けられたレバー44とを有して構成されている。
【0020】
ケース20の背面部21には、リベット45等の締結部材を用いて、上方に向けて延在する取付ブラケット46が締結されており、取付ブラケット46の先端部(上端部)に、止着部40を構成する吸盤41が接続されている。このため、本実施形態では、止着部40は、ケース20を車両2に対して止着させた状態において、ケース20よりも高い位置にある。
【0021】
本実施形態では、吸盤41は、ケース20の長手方向に関し、ケース20の長手方向の中間部に1つ配置されている。しかしながら、これに限定はされず、吸盤41が、ケース20に対して複数配置されていてもよい。
【0022】
また、本実施形態では、止着部40を取付ブラケット46を介してケース20に接続しているが、これに限定はされず、止着部40を、着脱可能な着脱可能部を介してケース20に接続するようにしてもよい。
【0023】
止着部40により車両2に止着されたケース20が車両2に接触することを抑制するために、ケース20の背面部21には、ケース20の長手方向(左右方向)に間隔をおいて複数(本実施形態では、2つ)のケース側突起部61,61が配置される。吸盤41は、ケース20の長手方向に関し、ケース20の長手方向に隣接するケース側突起部61,61の間に配置されている。ケース側突起部61は、例えば、いわゆるゴム足により構成される。
【0024】
本実施形態では、止着部40と、2つのケース側突起部61,61とで、背面視において三角形Tを形成するように配置されている(図3参照)。また、本実施形態では、ケース20を車両2のフロントガラス又はリアガラス4に対して止着することを考慮して、2つのケース側突起部61,61の方が所定長さLだけより突出するようにしてある(図4参照)。
【0025】
係止部50は、標識部10をケース20から引き出した状態でバー30を車両2に対して係止するためにバー30に設けられている。本実施形態では、係止部50は、車両2の車体3下端部又はナンバープレート5等(図9参照)に係合可能なフック部51を有する。また、本実施形態では、バー30には、コード52が接続されており、係止部50のフック部51は、コード52の長さ方向に対して位置調整可能にコード52に配置されている。
【0026】
本実施形態では、フック部51は、バー30の長手方向に関し、バー30の長手方向の中間部に1つ配置されている。しかしながら、これに限定はされず、フック部51が、バー30に対して複数配置されていてもよい。
【0027】
また、本実施形態では、係止部50はフック部51を有して構成されているが、これに限定はされず、係止部50が、例えば磁石などの他の係止手段を有して構成されていてもよい。
【0028】
係止部50によって車両2に対して係止されたバー30が車両2に接触することを抑制するために、バー30の背面部には、バー30の長手方向(左右方向)に間隔をおいて複数(本実施形態では、2つ)のバー側突起部62,62が配置される。バー側突起部62は、例えば、いわゆるゴム足により構成される。
【0029】
本実施形態では、2つのバー側突起部62,62の左右方向の相互間の間隔は、2つのケース側突起部61,61の左右方向の相互間の間隔よりも広く設定されている(図3参照)。このため、2つのバー側突起部62,62はそれぞれ、2つのケース側突起部61,61よりも左右外側に位置している(図3参照)。
【0030】
[巻取収納式標識の使用方法の一例]
次に、本実施形態に係る巻取収納式標識1の使用方法の一例を説明する。
【0031】
図7は、巻取収納式標識1を車両2に取り付けた状態を示す車両2の後部の平面図である。図8は、巻取収納式標識1を車両2に取り付けた状態を示す車両2の後部の側面図である。図9は、巻取収納式標識1を車両2に取り付けた状態を示す車両2の後部の背面図である。
【0032】
巻取収納式標識1は、車両2の停車時にのみ使用するものとし、車両2の走行時には必ず車両2から巻取収納式標識1を取り外すものとする。
【0033】
先ず、巻取収納式標識1を車両2に取り付ける前に、車両2における吸盤取付部分(図示例では、リアガラス4)の埃、汚れ等を落としておく。
【0034】
次いで、止着部40の吸盤41を車両2における吸盤取付部分であるリアガラス4に吸着させることにより、ケース20を車両2に対して止着する。
【0035】
止着部40によってケース20を車両2に対して止着した状態で、バー30を把持して、シート状の標識部10をケース20から引き出す。
【0036】
そして、標識部10をケース20から引き出した状態で、係止部50のフック部51を車体3下端部(図示例では、ナンバープレート5)に引掛けることにより、バー30を車両2に対して係止する。
【0037】
このように、本実施形態に係る巻取収納式標識1は、車両2に対して容易に取り付けることが可能である。
【0038】
[作用効果等]
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0039】
(1)本実施形態に係る巻取収納式標識1は、シート状の標識部10と、標識部10を巻き取って収納するケース20と、ケース20から引き出される標識部10の先端に取り付けられたバー30とを備える。また、巻取収納式標識1は、ケース20を車両2に対して止着するためにケース20に設けられ、吸盤41を有する止着部40を備える。さらに、巻取収納式標識1は、標識部10をケース20から引き出した状態でバー30を車両2に対して係止するためにバー30に設けられた係止部50を備える。
【0040】
本実施形態に係る巻取収納式標識1は、吸盤41を有する止着部40によって、ケース20を車両2に対して止着する構成であるため、車両2に対して容易に取り付けることが可能である。また、本実施形態に係る巻取収納式標識1は、吸盤41を有する止着部40によって、ケース20を車両2に対して止着するため、車両の種類によっては吸盤41を取り付けられないということは殆どない。このため、巻取収納式標識1を種々の車両において使用することができる。さらに、本実施形態に係る巻取収納式標識1の止着部40(吸盤41)は、大きさが大きくなくとも強力な吸着力を発揮できるため、巻取収納式標識1全体としても、保管時、搬送時に場所をとることがない。
【0041】
(2)バー30には、コード52が接続されており、係止部50は、コード52の長さ方向に対して位置調整可能にコード52に配置されている。
【0042】
本実施形態によれば、係止部50はコード52の長さ方向に対して位置調整可能にコード52に配置されていることにより、車両2における吸盤取付部分から車両2の車体3下端部までの距離に応じて、係止部50の位置調整を行うことができる。このため、巻取収納式標識1を種々の車両において使用することができる。
【0043】
(3)ケース20が、間隔をおいて配置される複数のケース側突起部61,61を有する。
【0044】
本実施形態によれば、巻取収納式標識1がケース側突起部61(いわゆるゴム足)を備えることにより、止着部40によって車両2に対して止着されたケース20が車両2に接触することを抑制することができる。
【0045】
また、複数のケース側突起部61,61をケース20の長手方向に間隔をおいて配置することにより、強風等によって、ケース20に左右方向にひねる力が作用しても、ケース20を安定して保持でき、ケース20が車両2に接触するのが抑制される。
【0046】
(4)吸盤41は、ケース20の長手方向に関し、ケース20の長手方向に隣接するケース側突起部61,61の間に配置されている。
【0047】
このように吸盤41とケース側突起部61とを配置することにより、標識部10をケース20から引き出す力又は強風等によって、ケース20に左右方向にひねる力が作用しても、ケース20を安定して保持でき、ケース20が車両2に接触するのが抑制される。
【0048】
(5)バー30が、間隔をおいて配置される複数のバー側突起部62,62を有する。
【0049】
巻取収納式標識1がバー側突起部62(いわゆるゴム足)を備えることにより、係止部50によって車両2に対して係止されたバー30が車両2に接触することを抑制することができる。
【0050】
また、複数のバー側突起部62,62をバー30の長手方向に間隔をおいて配置することにより、強風等によって、ケース20に左右方向にひねる力が作用しても、ケース20を安定して保持でき、ケース20が車両2に接触するのが抑制される。
【0051】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 巻取収納式標識
2 車両
10 標識部
20 ケース
30 バー
40 止着部
41 吸盤
50 係止部
52 コード
61 ケース側突起部
62 バー側突起部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9