(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120830
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】電子機器及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G06F 9/445 20180101AFI20230823BHJP
【FI】
G06F9/445
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023911
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】勅使河原 優里
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376AE03
5B376AE39
5B376AE62
5B376GA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】メインプログラムの信頼性を確保しつつ、メインプログラムの起動までの待ち時間を短縮するとともに、記憶部の使用領域を削減することが可能な電子機器及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】制御部101は、画像形成装置1の電源が投入された場合には、予め定められた第1チェック処理を実行することでメインプログラムのチェックを行ない、省電力モードからの復帰指示を受付けた場合であって、フラッシュメモリ102の製造日からの経過期間が予め定められた期間以上である場合には、第1チェック処理よりも簡略化された予め定められた第2チェック処理を実行することでメインプログラムのチェックを行ない、復帰指示を受付けた場合であって、経過期間が予め定められた期間未満である場合には、メインプログラムのチェックを行なうことなくメインプログラムを起動する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーの指示が入力される操作部と、
電子機器の動作を制御するためのメインプログラムと、前記メインプログラムのチェックを行なうためのブートプログラムとを記憶する記憶部と、
前記電子機器の電源が投入されるか、又は、前記操作部を介して省電力モードからの復帰指示を受付けると、前記ブートプログラムを起動して前記メインプログラムのチェックを行ない、前記メインプログラムに異常がない場合には前記メインプログラムを起動し、前記異常がある場合には前記メインプログラムを起動しない制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記電子機器の電源が投入された場合、予め定められた第1チェック処理を実行することで前記メインプログラムのチェックを行ない、
前記復帰指示を受付けた場合、前記第1チェック処理よりも簡略化された予め定められた第2チェック処理を実行することで前記メインプログラムのチェックを行なう、電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1チェック処理において、前記メインプログラム構成しているバイナリデータを予め定められた単位の複数の領域に分割し、前記複数の領域の全てを用いて第1チェックサム値を算出し、前記第1チェックサム値と予め定められた第1の値とが一致する場合に、前記異常がないと判定し、前記第1チェックサム値と前記第1の値とが一致しない場合に、前記異常があると判定し、
前記制御部は、前記第2チェック処理において、前記バイナリデータを前記予め定められた単位の前記複数の領域に分割し、前記複数の領域よりも少ない予め定められた少なくとも1つの領域を用いて第2チェックサム値を算出し、前記第2チェックサム値と予め定められた第2の値とが一致する場合に、前記異常がないと判定し、前記第2チェックサム値と前記第2の値とが一致しない場合に、前記異常があると判定する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、
前記復帰指示を受付けた時点の日付が、前記記憶部の製造日から予め定められた期間以上経過している日付である場合にのみ、前記第2チェック処理を実行し、
前記復帰指示を受付けた時点の日付が、前記記憶部の製造日から前記予め定められた期間未満の日付である場合には、前記メインプログラムに対して前記第1チェック処理及び前記第2チェック処理のいずれも実行することなく、前記メインプログラムを起動する、請求項1又は請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記制御部は、前記メインプログラムに対して前記第1チェック処理及び前記第2チェック処理のいずれも実行することなく前記メインプログラムを起動した場合に、前記メインプログラムに従った動作に異常が発生した場合には、前記異常の発生以降は、前記復帰指示を受付けた時点の日付が、前記記憶部の製造日から前記予め定められた期間未満の日付である場合であっても、前記第2チェック処理を実行する、請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の電子機器と、
画像を記録媒体に形成する画像形成部と、を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器及び画像形成装置に関し、特に、メインプログラムのチェックを行なうための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の動作を制御するメインプログラムのチェックを行なうための技術が知られている。例えば、特許文献1は、電源投入時又はスリープモードからの復帰時において、ブートプログラムを起動してシステムを構成するメインプログラムのチェックを行ない、次いで、複合機が有する複数の機能のうち、ユーザーによって選択された機能に対応するメインプログラムを優先的に起動する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている技術では、電源投入時及びスリープモードからの復帰時のいずれの場合においても、プログラムのチェックを詳細に行なうため、メインプログラムの起動までの待ち時間が長いという問題がある。また、特許文献1に開示されている技術を実現するためには、多くのプログラムを必要とするため、メモリーの使用領域が多くなるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、メインプログラムの信頼性を確保しつつ、メインプログラムの起動までの待ち時間を短縮するとともに、記憶部の使用領域を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面に係る電子機器は、ユーザーの指示が入力される操作部と、電子機器の動作を制御するためのメインプログラムと、メインプログラムのチェックを行なうためのブートプログラムとを記憶する記憶部と、電子機器の電源が投入されるか、又は、操作部を介して省電力モードからの復帰指示を受付けると、ブートプログラムを起動してメインプログラムのチェックを行ない、メインプログラムに異常がない場合にはメインプログラムを起動し、異常がある場合にはメインプログラムを起動しない制御部と、を備える。制御部は、電子機器の電源が投入された場合、予め定められた第1チェック処理を実行することでメインプログラムのチェックを行ない、復帰指示を受付けた場合、第1チェック処理よりも簡略化された予め定められた第2チェック処理を実行することでメインプログラムのチェックを行なう。
【0007】
本発明の一局面に係る画像形成装置は、上記電子機器と、画像を記録媒体に形成する画像形成部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電源投入時及び省電力モードからの復帰時のいずれにおいても第1チェック処理を実行する場合と比較して、メインプログラムの信頼性を確保しつつ、省電力モードからの復帰時におけるメインプログラムの起動までの待ち時間を短縮できる。また、メインプログラムのチェックに用いるブートプログラムは1つで済むため、複数のブートプログラムを必要とする場合と比較して、記憶部の使用領域を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構造を示す正面断面図である。
【
図2】画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】メインプログラムチェック処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る電子機器を備える画像形成装置について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の構造を示す正面断面図である。
図2は、画像形成装置1の構成を示すブロック図である。
【0011】
[装置構成]
図1及び
図2を参照して、画像形成装置1は、コピー機能、送信機能、プリンター機能、及びファクシミリ機能等の複数の機能を備えている複合機である。画像形成装置1の筐体には、画像形成装置1の様々な機能を実現するための複数の機器が収容されている。例えば、筐体には、画像読取部11、画像形成部12、定着部13、及び給紙部14等が収容されている。
【0012】
画像形成装置1は、制御ユニット100を含む。制御ユニット100は、制御部101、フラッシュメモリ102、及びRAM(Random Access Memory)等を含む。制御部101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のプロセッサーである。
【0013】
フラッシュメモリ102は、画像形成装置1の各部の動作を制御するためのメインプログラムと、メインプログラムのチェックを行なうためのブートプログラムとを記憶している。フラッシュメモリ102はまた、フラッシュメモリ102の製造日と、メインプログラムのチェックに用いるための予め定められた第1の値及び第2の値とを記憶している。フラッシュメモリ102は、特許請求の範囲における記憶部の一例である。
【0014】
制御部101は、メインプログラムにしたがって動作することにより、画像形成装置1の全体制御を行なう。より詳細には、制御部101は、画像形成装置1の各部の動作、及び、ネットワークを介して接続されているPC(Personal Computer)23等の外部装置との通信を制御する。
【0015】
本実施形態において、制御部101は、ブートプログラムにしたがって動作することにより、画像形成装置1の電源が投入された場合には、予め定められた第1チェック処理を実行することでメインプログラムのチェックを行ない、省電力モードからの復帰指示を受付けた場合には、第1チェック処理よりも簡略化された予め定められた第2チェック処理を実行することでメインプログラムのチェックを行なうメインプログラムチェック処理を実行する。
【0016】
制御ユニット100は、原稿搬送部6、画像読取部11、画像形成部12、定着部13、給紙部14、表示部15、操作部16、搬送部17、HDD18、画像処理部19、画像メモリー20、ファクシミリ通信部21、及び通信部22等と電気的に接続されている。制御ユニット100及び操作部16は、特許請求の範囲における電子機器を構成する。
【0017】
画像読取部11は、原稿台に載置されている原稿を搬送する原稿搬送部6と、原稿搬送部6によって搬送されてくる原稿又はプラテンガラス7に載置されている原稿を光学的に読み取るスキャナーと、を含むADF(Auto Document Feeder)である。画像読取部11は、光照射部により原稿を照射し、その反射光をCCD(Charge-Coupled Device)センサーで受光することによって、原稿の画像を読取って画像データを生成する。
【0018】
画像形成部12は、感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、及び転写装置を含む。画像形成部12は、画像読取部11によって生成された画像データ、又は、通信部22を介して入力された画像データ等に基づいて、搬送部17によって搬送路Tに沿って搬送されてくる記録紙Pに、トナー像によって構成されている画像を形成する。
【0019】
定着部13は、画像形成部12によってトナー像が形成された記録紙Pを加熱及び加圧することによってトナー像を記録紙Pに定着させる。定着部13によってトナー像が定着された記録紙Pは、排出トレイ8に排出される。
【0020】
給紙部14は、手差しトレイ、及び複数の給紙カセットを備える。給紙部14は、複数の給紙カセットのいずれかに収容されている記録紙P、又は手差しトレイに載置されている記録紙を、ピックアップローラーによって一枚ずつ引出して、搬送路Tに給紙する。
【0021】
表示部15は、液晶ディスプレイ又は有機EL(Organic Light-Emitting Diode)ディスプレイ等によって構成されている表示機器である。表示部15は、画像形成装置1によって実行可能な各機能についての各種の画面を表示する。
【0022】
操作部16は、例えば、省電力モードからの復帰指示を入力するための電源ボタン16A等の複数のハードキーを含む。操作部16はまた、表示部15に重ねて配置されているタッチパネル16Bを含む。ユーザーは、操作部16を介して、画像形成装置1によって実行可能な各機能についての指示等の各種の情報を入力する。
【0023】
搬送部17は、搬送ローラー対17A及び排出ローラー対17B等と、搬送ローラー対17A及び排出ローラー対17B等に接続されている搬送モーターとを備える。制御部101は、搬送モーターを駆動させて搬送ローラー対17A及び排出ローラー対17B等を回転させることによって、画像形成部12及び排出トレイ8に向けて、給紙部14によって給紙された記録紙Pを搬送路Tに沿って搬送させる。
【0024】
HDD18は、画像読取部11によって生成された画像データ等の各種データを記憶するための大容量の記憶装置である。画像処理部19は、画像読取部11によって生成された画像データに対して、必要に応じて画像処理を実行する。画像メモリー20は、画像読取部11によって生成された画像データを一時的に記憶する領域を含む。ファクシミリ通信部21は、公衆回線への接続を行ない、公衆回線を介して画像データの送受信を行なう。
【0025】
通信部22は、LAN(Local Area Network)ボード等の通信モジュールを含む。制御部101は、通信部22を介して、ネットワークを介して接続されているPC23等の外部装置とデータ通信を行なう。
【0026】
画像形成装置1の各部には電源が接続されている。ユーザーによって、電源スイッチがONにされると、画像形成装置1の各部に電源から電力が供給される。
【0027】
[動作]
図3は、メインプログラムチェック処理を示すフローチャートである。以下、
図3等を参照して、メインプログラムチェック処理の実行時における画像形成装置1の動作について説明する。
【0028】
ユーザーによって電源スイッチがONにされることで画像形成装置1の電源が投入されるか、又は、ユーザーによって操作部16の電源ボタン16Aが押下されることで省電力モードからの復帰指示が入力されると、制御部101は、フラッシュメモリ102に記憶されているブートプログラムを読出して起動することにより、
図3に示すメインプログラムチェック処理の実行を開始する。
【0029】
(1)画像形成装置1の電源が投入された場合
メインプログラムチェック処理の実行を開始すると、制御部101は、省電力モードからの復帰指示を受付けているか否かを判定する(ステップS10)。メインプログラムチェック処理の実行開始が電源投入に起因する場合、制御部101は、復帰指示を受付けていないと判定し(ステップS10にてNO)、予め定められた第1チェック処理を実行する(ステップS11)。
【0030】
第1チェック処理において、制御部101はまず、フラッシュメモリ102に記憶されているメインプログラム構成しているバイナリデータを、例えば1バイトを単位とする複数の領域に分割し、分割された全ての領域の論理和を用いて第1チェックサム値を算出する。制御部101は、第1チェックサム値と、フラッシュメモリ102に予め記憶されている第1の値とが一致するか否かを判定することにより、メインプログラムのチェックを行なう。
【0031】
ステップS11の処理後、制御部101は、メインプログラムに異常があるか否かを判定する(ステップS12)。制御部101は、第1チェックサム値と第1の値とが一致すると判定した場合、メインプログラムに異常がないと判定し(ステップS12にてNO)、フラッシュメモリ102からメインプログラムを読出して起動する(ステップS13)。ステップS13の処理後、制御部101は、メインプログラムチェック処理を終了する。
【0032】
一方、制御部101は、第1チェックサム値と、第1の値とが一致しないと判定した場合、メインプログラムに異常があると判定し(ステップS12にてYES)、メインプログラムを起動することなく、例えば「メインプログラムを起動できません」というエラーメッセージを表示部15に表示させる(ステップS14)。ステップS14の処理後、制御部101は、メインプログラムチェック処理を終了する。
【0033】
(2)省電力モードからの復帰指示が入力された場合
一方、メインプログラムチェック処理の実行開始が復帰指示に起因する場合、制御部101は、復帰指示を受付けていると判定し(ステップS10にてYES)、一般的な時計機能を用いて復帰指示を受付けた時点の日付を取得し、取得された日付及びフラッシュメモリ102に記憶されているフラッシュメモリ102の製造日に基づいて、製造日からの経過期間が予め定められた期間(この場合、「3年」)以上であるか否かを判定する(ステップS15)。
【0034】
(2-1)予め定められた期間以上である場合
復帰指示を受付けた時点の日付が、フラッシュメモリ102の製造日から3年以上経過している日付である場合、制御部101は、製造日からの経過期間が予め定められた期間以上であると判定し(ステップS15にてYES)、第1チェック処理よりも簡略化された予め定められた第2チェック処理を実行する(ステップS16)。
【0035】
第2チェック処理において、制御部101はまず、フラッシュメモリ102に記憶されているメインプログラム構成しているバイナリデータを、例えば1バイトを単位とする複数の領域に分割し、分割された複数の領域よりも少ない予め定められた少なくとも1つの領域の論理和を用いて第2チェックサム値を算出する。制御部101は、第2チェックサム値と、フラッシュメモリ102に予め記憶されている第2の値とが一致するか否かを判定することにより、メインプログラムのチェックを行なう。
【0036】
ステップS16の処理後、制御部101は、ステップS12の処理を実行して、メインプログラムに異常があるか否かを判定する。制御部101は、第2チェックサム値と第2の値とが一致すると判定した場合、メインプログラムに異常がないと判定し(ステップS12にてNO)、上記と同様にして、ステップS13の処理を実行する。ステップS13の処理後、制御部101は、メインプログラムチェック処理を終了する。
【0037】
一方、制御部101は、第2チェックサム値と、第2の値とが一致しないと判定した場合、メインプログラムに異常があると判定し(ステップS12にてYES)、上記と同様にして、ステップS14の処理を実行する。ステップS14の処理後、制御部101は、メインプログラムチェック処理を終了する。
【0038】
(2-2)予め定められた期間未満である場合
一方、復帰指示を受付けた時点の日付が、フラッシュメモリ102の製造日から3年未満の日付である場合、制御部101は、製造日からの経過期間が予め定められた期間未満であると判定し(ステップS15にてNO)、メインプログラムに対して第1チェック処理及び第2チェック処理のいずれも実行することなく、ステップS13の処理を実行する。ステップS13の処理後、制御部101は、メインプログラムチェック処理を終了する。
【0039】
ところで、一般的に、画像形成装置1の電源が切断されている状態では、メインプログラムの書換えは可能であり、電源が投入されている状態では、メインプログラムの書換えは不可能である。また、フラッシュメモリ102の製造日からの経過期間が長くなるほど、メインプログラムの異常が発生しやすくなる。
【0040】
上記実施形態によれば、制御部101は、メインプログラムが書換えられている可能性のある電源投入時には、第1チェック処理を実行する。一方、制御部101は、メインプログラムが書換えられている可能性のない省電力モードからの復帰時には、簡略化された第2チェック処理を実行する。
【0041】
その結果、電源投入時及び省電力モードからの復帰時のいずれにおいても第1チェック処理を実行する場合と比較して、メインプログラムの信頼性を確保しつつ、省電力モードからの復帰時におけるメインプログラムの起動までの待ち時間を短縮できる。また、メインプログラムのチェックに用いるブートプログラムは1つで済むため、複数のブートプログラムを必要とする場合と比較して、フラッシュメモリ102の使用領域を削減できる。
【0042】
制御部101はまた、復帰指示を受付けた時点の日付が、フラッシュメモリ102の製造日から予め定められた期間以上経過している日付である場合にのみ、第2チェック処理を実行し、復帰指示を受付けた時点の日付が、フラッシュメモリ102の製造日から予め定められた期間未満の日付である場合には、メインプログラムのチェックを行なうことなくメインプログラムを起動する。
【0043】
その結果、フラッシュメモリ102の製造日からの経過時間の長さに関わらず第2チェック処理を実行する場合と比較して、メインプログラムの信頼性を確保しつつ、省電力モードからの復帰時におけるメインプログラムの起動までの待ち時間を更に短縮できる。
【0044】
また上記実施形態によれば、制御部101は、第1チェック処理において、メインプログラム構成しているバイナリデータを予め定められた単位の複数の領域に分割し、複数の領域の全てを用いて第1チェックサム値を算出し、第1チェックサム値と予め定められた第1の値とが一致する場合には異常がないと判定し、一致しない場合には異常があると判定する。制御部101は、第2チェック処理において、バイナリデータを予め定められた単位の複数の領域に分割し、複数の領域よりも少ない予め定められた少なくとも1つの領域を用いて第2チェックサム値を算出し、第2チェックサム値と予め定められた第2の値とが一致する場合には異常がないと判定し、第2チェックサム値と第2の値とが一致しない場合には異常があると判定する。
【0045】
これによって、第2チェック処理に要する時間を、第1チェック処理に要する時間よりも確実に減らすことができるので、省電力モードからの復帰時におけるメインプログラムの起動までの待ち時間をより一層確実に短縮できる。
【0046】
(その他の変形例)
上記実施形態では、制御部101は、予め定められた期間として「3年」を設定していたが、本発明はそのような実施形態に限定されない。制御部101は、例えば、予め定められた期間として「2年」又は「5年」等を設定していてもよい。予め定められた期間は、電子機器の耐用年数の三分の一程度の長さが好ましい。
【0047】
また上記実施形態では、制御部101は、第1チェック処理及び第2チェック処理において、論理和を用いてチェックサム値を算出したが、本発明はそのような実施形態に限定されない。例えば、制御部101は、排他的論理和を用いてチェックサム値を算出してもよい。
【0048】
また上記実施形態では、制御部101は、復帰指示を受付けた時点の日付が、フラッシュメモリ102の製造日から予め定められた期間以上経過している日付である場合にのみ第2チェック処理を実行したが、本発明はそのような実施形態に限定されない。例えば、制御部101は、復帰指示を受付けた場合には、製造日からの経過時間の長さにかかわらず、第2チェック処理を実行してもよい。
【0049】
また上記実施形態では、制御部101は、復帰指示を受付けた時点の日付が、フラッシュメモリ102の製造日から予め定められた期間未満の日付である場合には、メインプログラムに対して第1チェック処理及び第2チェック処理のいずれも実行することなくメインプログラムを起動したが、本発明はそのような実施形態に限定されない。例えば、制御部101は、メインプログラムに対して第1チェック処理及び第2チェック処理のいずれも実行することなくメインプログラムを起動した場合に、メインプログラムに従った各部の動作に異常が発生した場合には、当該異常の発生以降は、復帰指示を受付けた時点の日付が、フラッシュメモリ102の製造日から予め定められた期間未満の日付である場合であっても、第2チェック処理を実行してもよい。
【0050】
また上記実施形態では、画像形成部12等は、記録紙Pに画像を形成したが、本発明はそのような実施形態に限定されない。画像形成部12等は、記録紙に限らず、他の記録媒体に画像を形成してもよい。他の記録媒体としては、例えば、OHP(Overhead Projector)シートを例示できる。
【0051】
なお、本発明は上記実施形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、画像形成装置として、カラー複合機を用いているが、これは一例に過ぎず、モノクロ複合機、コピー機、又はファクシミリ装置等の他の画像形成装置が用いられてもよい。
【0052】
図1乃至
図3を用いて示した上記実施形態の構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0053】
1 画像形成装置
12 画像形成部
16 操作部
101 制御部
102 フラッシュメモリ