IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 沖電気工業株式会社の特許一覧

特開2023-120833硬貨処理装置、精算システム、および現金処理装置
<>
  • 特開-硬貨処理装置、精算システム、および現金処理装置 図1
  • 特開-硬貨処理装置、精算システム、および現金処理装置 図2
  • 特開-硬貨処理装置、精算システム、および現金処理装置 図3
  • 特開-硬貨処理装置、精算システム、および現金処理装置 図4
  • 特開-硬貨処理装置、精算システム、および現金処理装置 図5
  • 特開-硬貨処理装置、精算システム、および現金処理装置 図6
  • 特開-硬貨処理装置、精算システム、および現金処理装置 図7
  • 特開-硬貨処理装置、精算システム、および現金処理装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120833
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】硬貨処理装置、精算システム、および現金処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 1/00 20060101AFI20230823BHJP
   G07D 9/00 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
G07D1/00 A
G07D9/00 481A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023917
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 良憲
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA08
3E141GA06
3E141GB01
3E141HA06
3E141JA20
3E141KC02
3E141LA06
3E141LA11
3E141LA15
3E141LA23
(57)【要約】
【課題】硬貨の出金における煩わしさを軽減することを可能とする。
【解決手段】硬貨を金種別に収納する複数の収納部と、前記複数の収納部から繰り出される硬貨を保留する一時保留部と、操作者に対して払い出す前記硬貨を収容する部分が装置外に露出して設けられる出金トレイと、前記一時保留部に保留された前記硬貨を、前記出金トレイへ搬送する搬送部と、前記操作者に対して払い出す前記硬貨を金種別に収容し、装置外に引き出し可能に設けられる出金箱と、を備え、前記一時保留部は、保留した前記硬貨を前記搬送部に搬送し、当該搬送部により前記出金トレイへ搬送するための第1ポジションと、前記出金箱に搬送するための第2ポジションとに移動可能である、硬貨処理装置。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨を金種別に収納する複数の収納部と、
前記複数の収納部から繰り出される硬貨を保留する一時保留部と、
前記硬貨を収容する部分が装置外に露出して設けられる出金トレイと、
前記一時保留部に保留された前記硬貨を、前記出金トレイへ搬送する搬送部と、
前記硬貨を金種別に収容し、装置外に引き出し可能に設けられる出金箱と、
を備え、
前記一時保留部は、保留した前記硬貨を前記搬送部に搬送し、当該搬送部により前記出金トレイへ搬送するための第1ポジションと、前記出金箱に搬送するための第2ポジションとに移動可能である、
硬貨処理装置。
【請求項2】
前記硬貨処理装置は、装置から回収される硬貨を収納する回収庫をさらに備え、
前記一時保留部は、前記第1ポジションと、前記第2ポジションと、保留した前記硬貨を前記回収庫に搬送するための第3ポジションとに移動可能である、
請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項3】
前記一時保留部は、
前記硬貨を保留する保留空間を形成する壁部と、
前記保留空間の底面を成し、当該底面上に前記硬貨が集積される底面部と、
を有する、
請求項2に記載の硬貨処理装置。
【請求項4】
前記一時保留部は、前記壁部の水平方向への移動、または前記底面部の開放により、前記第1ポジション、前記第2ポジション、前記第3ポジションのいずれかに移動する、請求項3に記載の硬貨処理装置。
【請求項5】
前記搬送部、前記出金箱、および前記回収庫は、前記一時保留部よりも下方に設けられ、
前記第1ポジションは、保留した前記硬貨を前記搬送部に落下させる位置であり、
前記第2ポジションは、保留した前記硬貨を前記出金箱に落下させる位置であり、
前記第3ポジションは、保留した前記硬貨を前記回収庫に落下させる位置である、
請求項4に記載の硬貨処理装置。
【請求項6】
前記一時保留部は、前記壁部が前記第3ポジションから前記第1ポジションへ移動することにより前記底面部が開放され、前記底面上に集積された硬貨が前記搬送部に落下する、請求項5に記載の硬貨処理装置。
【請求項7】
前記一時保留部は、前記第3ポジションにおいて、前記複数の収納部から繰り出された硬貨を前記底面上に集積する、請求項3~6のいずれか1項に記載の硬貨処理装置。
【請求項8】
前記一時保留部は、前記第3ポジションにおいて、前記壁部は移動せず、前記底面部が開放されることで、前記底面上に集積された硬貨が前記回収庫に落下する、請求項7に記載の硬貨処理装置。
【請求項9】
前記一時保留部は、前記壁部が前記第1ポジションを経由して前記第3ポジションから前記第2ポジションに移動する際、前記壁部と共に前記底面部が移動し、前記壁部が前記第1ポジションに到達すると前記底面部の移動が停止することで当該底面部が開放し、前記底面上に集積された硬貨が前記出金箱に落下する、請求項6~8のいずれか1項に記載の硬貨処理装置。
【請求項10】
操作者からの操作を受け付ける操作部と、
前記操作に基づいて所定の処理を実行する制御部をさらに備え、
前記制御部は、
前記操作者により選択された取引に対応付けられた前記硬貨の排出先に応じて、前記一時保留部を制御する、
請求項2~9のいずれか1項に記載の硬貨処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記操作者が所定の権限を有さない顧客である場合は、前記一時保留部を第1ポジションに移動させ、前記顧客に対して払い出す硬貨を前記出金トレイから排出させ、
前記操作者が所定の権限を有する権限者である場合は、前記一時保留部を当該操作者により選択された取引に応じて前記第1ポジション、前記第2ポジション、前記第3ポジションのいずれかのポジションに移動させる、
請求項10に記載の硬貨処理装置。
【請求項12】
購入商品の情報を管理する情報管理装置および硬貨処理装置を備え、
前記情報管理装置は、前記購入商品の精算に用いられる精算用情報を前記硬貨処理装置に送信する送信部を備え、
前記硬貨処理装置は、
操作者からの操作を受け付ける操作部と、
硬貨を金種別に収納する複数の収納部と、
前記複数の収納部から繰り出される硬貨を保留する一時保留部と、
前記硬貨を収容する部分が装置外に露出して設けられる出金トレイと、
前記一時保留部に保留された前記硬貨を、前記出金トレイへ搬送する搬送部と、
前記硬貨を金種別に収容し、装置外に引き出し可能に設けられる出金箱と、
前記精算用情報を受信する受信部と、
制御部と、
を備え、
前記一時保留部は、保留した前記硬貨を前記搬送部に搬送し、当該搬送部により前記出金トレイへ搬送するための第1ポジションと、前記出金箱に搬送するための第2ポジションとに移動可能であり、
前記制御部は、
所定の権限を有さない顧客により操作が行われる場合は、前記受信部により受信した前記精算用情報に基づいて精算を行い、釣銭としての前記硬貨を前記出金トレイから排出するよう前記一時保留部を前記第1ポジションに移動させ、
所定の権限を有する権限者により操作が行われる場合は、選択された出金取引に応じて前記第1ポジションまたは前記第2ポジションに前記一時保留部を移動させる、
精算システム。
【請求項13】
紙幣の入出金を行う紙幣処理装置と、硬貨処理装置と、を備え、
前記硬貨処理装置は、
硬貨を金種別に収納する複数の収納部と、
前記複数の収納部から繰り出される硬貨を保留する一時保留部と、
前記硬貨を収容する部分が装置外に露出して設けられる出金トレイと、
前記一時保留部に保留された前記硬貨を、前記出金トレイへ搬送する搬送部と、
前記硬貨を金種別に収容し、装置外に引き出し可能に設けられる出金箱と、
を有し、
前記一時保留部は、保留した前記硬貨を前記搬送部に搬送し、当該搬送部により前記出金トレイへ搬送するための第1ポジションと、前記出金箱に搬送するための第2ポジションとに移動可能である、
現金処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨処理装置、精算システム、および現金処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、店舗等に設置されたレジスターの硬貨を管理する硬貨処理装置が利用されている。硬貨処理装置は、下記特許文献1で記載されているように、店員がレジスターから運んで投入した硬貨を金種別の収納部に収納する入金処理と、収納部の硬貨をレジスターの釣銭準備金として出金する出金処理とを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-49533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、硬貨処理装置から硬貨を出金する場面では、収納部から繰り出された硬貨が金種別に収納される出金箱を装置外に引き出して取り出す必要がある。このため、例えば少量枚数の硬貨の出金の場合であっても出金箱を装置から引き出す作業が必要となり、煩わしさが生じていた。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、硬貨の出金における煩わしさを軽減することが可能な、新規かつ改良された硬貨処理装置、精算システム、および現金処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、硬貨を金種別に収納する複数の収納部と、前記複数の収納部から繰り出される硬貨を保留する一時保留部と、前記硬貨を収容する部分が装置外に露出して設けられる出金トレイと、前記一時保留部に保留された前記硬貨を、前記出金トレイへ搬送する搬送部と、前記硬貨を金種別に収容し、装置外に引き出し可能に設けられる出金箱と、を備え、前記一時保留部は、保留した前記硬貨を前記搬送部に搬送し、当該搬送部により前記出金トレイへ搬送するための第1ポジションと、前記出金箱に搬送するための第2ポジションとに移動可能である、硬貨処理装置が提供される。
【0007】
前記硬貨処理装置は、装置から回収される硬貨を収納する回収庫をさらに備え、前記一時保留部は、前記第1ポジションと、前記第2ポジションと、保留した前記硬貨を前記回収庫に搬送するための第3ポジションとに移動可能であってもよい。
【0008】
前記一時保留部は、前記硬貨を保留する保留空間を形成する壁部と、前記保留空間の底面を成し、当該底面上に前記硬貨が集積される底面部と、を有してもよい。
【0009】
前記一時保留部は、前記壁部の水平方向への移動、または前記底面部の開放により、前記第1ポジション、前記第2ポジション、前記第3ポジションのいずれかに移動してもよい。
【0010】
前記搬送部、前記出金箱、および前記回収庫は、前記一時保留部よりも下方に設けられ、前記第1ポジションは、保留した前記硬貨を前記搬送部に落下させる位置であり、前記第2ポジションは、保留した前記硬貨を前記出金箱に落下させる位置であり、前記第3ポジションは、保留した前記硬貨を前記回収庫に落下させる位置であってもよい。
【0011】
前記一時保留部は、前記壁部が前記第3ポジションから前記第1ポジション移動することにより前記底面部が開放され、前記底面上に集積された硬貨が前記搬送部に落下してもよい。
【0012】
前記一時保留部は、前記第3ポジションにおいて、前記複数の収納部から繰り出された硬貨を前記底面上に集積してもよい。
【0013】
前記一時保留部は、前記第3ポジションにおいて、前記壁部は移動せず、前記底面部が開放されることで、前記底面上に集積された硬貨が前記回収庫に落下してもよい。
【0014】
前記一時保留部は、前記壁部が前記第1ポジションを経由して前記第3ポジションから前記第2ポジションに移動する際、前記壁部と共に前記底面部が移動し、前記壁部が前記第1ポジションに到達すると前記底面部の移動が停止することで当該底面部が開放し、前記底面上に集積された硬貨が前記出金箱に落下してもよい。
【0015】
操作者からの操作を受け付ける操作部と、前記操作に基づいて所定の処理を実行する制御部をさらに備え、前記制御部は、前記操作者により選択された取引に対応付けられた前記硬貨の排出先に応じて、前記一時保留部を制御してもよい。
【0016】
前記制御部は、前記操作者が所定の権限を有さない顧客である場合は、前記一時保留部を第1ポジションに移動させ、前記顧客に対して払い出す硬貨を前記出金トレイから排出させ、前記操作者が所定の権限を有する権限者である場合は、前記一時保留部を当該操作者により選択された取引に応じて前記第1ポジション、前記第2ポジション、前記第3ポジションのいずれかのポジションに移動させてもよい。
【0017】
上記課題を解決するために、本発明の他の観点によれば、購入商品の情報を管理する情報管理装置および硬貨処理装置を備え、前記情報管理装置は、前記購入商品の精算に用いられる精算用情報を前記硬貨処理装置に送信する送信部を備え、前記硬貨処理装置は、操作者からの操作を受け付ける操作部と、硬貨を金種別に収納する複数の収納部と、前記複数の収納部から繰り出される硬貨を保留する一時保留部と、前記硬貨を収容する部分が装置外に露出して設けられる出金トレイと、前記一時保留部に保留された前記硬貨を、前記出金トレイへ搬送する搬送部と、前記硬貨を金種別に収容し、装置外に引き出し可能に設けられる出金箱と、前記精算用情報を受信する受信部と、制御部と、を備え、前記一時保留部は、保留した前記硬貨を前記搬送部に搬送し、当該搬送部により前記出金トレイへ搬送するための第1ポジションと、前記出金箱に搬送するための第2ポジションとに移動可能であり、前記制御部は、所定の権限を有さない顧客により操作が行われる場合は、前記受信部により受信した前記精算用情報に基づいて精算を行い、釣銭として前記硬貨を前記出金トレイから排出するよう前記一時保留部を前記第1ポジションに移動させ、所定の権限を有する権限者により操作が行われる場合は、選択された出金取引に応じて前記第1ポジションまたは前記第2ポジションに前記一時保留部を移動させる、精算システムが提供される。
【0018】
上記課題を解決するために、本発明の他の観点によれば、紙幣の入出金を行う紙幣処理装置と、硬貨処理装置と、を備え、前記硬貨処理装置は、硬貨を金種別に収納する複数の収納部と、前記複数の収納部から繰り出される硬貨を保留する一時保留部と、前記硬貨を収容する部分が装置外に露出して設けられる出金トレイと、前記一時保留部に保留された前記硬貨を、前記出金トレイへ搬送する搬送部と、前記硬貨を金種別に収容し、装置外に引き出し可能に設けられる出金箱と、を有し、前記一時保留部は、保留した前記硬貨を前記搬送部に搬送し、当該搬送部により前記出金トレイへ搬送するための第1ポジションと、前記出金箱に搬送するための第2ポジションとに移動可能である、現金処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、硬貨の出金における煩わしさを軽減することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る硬貨処理装置の内部構成の一例を示す正面図である。
図2】本実施形態に係る硬貨処理装置の内部構成の一例を示す右側面側図である。
図3】本実施形態に係る出金一時保留部の移動形態の一例(第1ポジション)を説明するための図である。
図4】本実施形態に係る出金一時保留部の移動形態の一例(第2ポジション)を説明するための図である。
図5】本実施形態に係る出金一時保留部の移動形態の一例(第3ポジション)を説明するための図である。
図6】本実施形態に係る硬貨に関する取引処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7】本実施形態の応用例に係る硬貨処理装置を含む精算システムについて説明する図である。
図8】本実施形態の応用例に係る硬貨の出金処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0022】
<1.硬貨処理装置の構成>
図1および図2は、本発明の実施形態に係る硬貨処理装置1の内部構成の一例を示す概略図である。なお、図1は硬貨処理装置1を正面側から見た図であり、図2は硬貨処理装置を右側面側から見た図である。
【0023】
硬貨処理装置1は、店舗等に設置されたレジスターで取り扱われる硬貨を管理する。例えば、硬貨処理装置1は、店舗の店員がレジスターから運んできた硬貨の入金処理や計数処理を行う。また、硬貨処理装置1は、レジスターで使用する釣銭準備金としての硬貨の出金や両替等での硬貨の出金処理を行う。硬貨処理装置1を操作する主な操作者は、例えば店舗の店員や警備会社の警送員が想定される。
【0024】
図1に示すように、本実施形態に係る硬貨処理装置1は、硬貨受領部10と、硬貨繰り出し部12と、硬貨認識部14と、選別搬送部20と、リジェクト硬貨収容部26と、入金一時保留部30と、入金ガイド32と、返却箱34と、金種別ホッパ36と、出金一時保留部42と、出金ガイド44と、出金箱50と、出金トレイ54と、回収庫58と、制御ユニット90とを有する。また、出金一時保留部42(および出金ガイド44)と出金トレイ54の間には、前方搬送部52が設けられている。本実施形態では、金種別ホッパ36が硬貨の収納部に該当し、出金一時保留部42が硬貨を保留する一時保留部に該当し、出金ガイド44が一時保留部の底面部に該当する。
【0025】
硬貨受領部10は、投入される硬貨Cを受ける部分である。硬貨受領部10は、硬貨処理装置1の上方、かつ前面側に位置する。硬貨受領部10は、硬貨が投入される投入口11を有する。投入口11は、硬貨を一括して投入し易いように、上方が広く開口している。硬貨受領部10に投入された硬貨は、硬貨繰り出し部12に落下する。
【0026】
硬貨繰り出し部12は、硬貨受領部10の下方に位置し、硬貨受領部10から落下した硬貨を一枚ずつ繰り出す。硬貨繰り出し部12内には、例えば回転円盤(不図示)が設けられている。硬貨繰り出し部12内の硬貨は、回転円盤が回転する際の遠心力により移動して、一枚ずつ硬貨認識部14へ繰り出される。
【0027】
硬貨認識部14は、硬貨繰り出し部12から繰り出された硬貨の正損の状態や真偽、金種等の判別を行う。硬貨認識部14は、硬貨を認識するセンサを有し、センサで検出した硬貨の特徴に基づいて、硬貨の正損の状態や真偽、金種等を判別する。硬貨認識部14は、判別した硬貨を選別搬送部20に搬送する。
【0028】
選別搬送部20は、硬貨認識部14による判別結果に基づいて、硬貨を金種別に選別して搬送するための搬送部である。選別搬送部20は、図2に示すように、リジェクト口21と、金種別排出口22a~22fとを有する。硬貨認識部14において正常な真貨で無いと判別された硬貨は、返却すべきリジェクト硬貨として、リジェクト口21を通過する。一方、受け入れ可能な正常な真貨であると判別された硬貨は、金種に応じた金種別排出口22a~22fを通過する。
【0029】
リジェクト硬貨収容部26は、リジェクト口21を通過したリジェクト硬貨を収容する。リジェクト口21の下方には、リジェクト口21を通過したリジェクト硬貨をリジェクト硬貨収容部26へ導くリジェクトシュートが配置(図2に示す矢印Rのルートで配置)されている。リジェクト硬貨収容部26は、硬貨処理装置1の前面に開閉可能な扉28を有する。扉28が開いた際に、操作者はリジェクト硬貨収容部26を装置外へ引き出して、リジェクト硬貨を取り出すことが可能である。
【0030】
入金一時保留部30は、金種別排出口22a~22fから排出された硬貨を、金種別に一時的に収容する。入金一時保留部30は、周囲の4面を囲むフレーム内を金種別に区切って直線状に並んだ金種別の収容部である保留部31a~31fを含む。金種別排出口22a~22fの下方には、金種別排出口22a~22fから排出された硬貨を保留部31a~31fへ導くシュート51a~51fが設けられている。例えば、保留部31aは、金種別排出口22aから排出されシュート51aを通過した硬貨を収容する。
【0031】
入金ガイド32は、入金一時保留部30の下方に設けられ、入金一時保留部30の底面を成す。保留部31a~31fへ導かれた硬貨は、入金ガイド32上に金種別に集積される。本実施形態において、入金一時保留部30(より具体的には保留部31a~31f)及び入金ガイド32はそれぞれ、入金一時保留部30に収容された硬貨を下方へ落下させるために、図1に示す矢印D1の方向に移動可能である。入金一時保留部30と入金ガイド32は、それぞれ独立して、待機位置(図1に示す位置)と硬貨落下位置(金種別ホッパ36の真上となる位置)との間で移動可能である。例えば、入金一時保留部30が硬貨落下位置に移動する際には、入金ガイド32は待機位置に停止している。一方で、入金ガイド32が硬貨落下位置に移動する際には、入金一時保留部30は待機位置に停止している。
【0032】
返却箱34は、取引が中止される等の理由により操作者に返却される硬貨を収容する。返却箱34は、待機位置に位置する入金ガイド32の真下に配置されている。このため、返却箱34は、入金ガイド32が硬貨落下位置に移動する際に、入金一時保留部30から図1に示す矢印Hのルートで落下する硬貨を収容する。返却箱34は、操作者によって硬貨処理装置1の正面から装置外へ引き出し可能になっている。
【0033】
金種別ホッパ36は、入金された硬貨を金種別に収容する。金種別ホッパ36は、硬貨落下位置に位置する入金一時保留部30の真下に配置されている。金種別ホッパ36は、上部に、入金一時保留部30から落下する硬貨が通過する開口を有する。このため、金種別ホッパ36は、入金一時保留部30が硬貨落下位置に移動する際に、入金一時保留部30から図1の矢印Sで示すルートで落下する硬貨を収容する。金種別ホッパ36は、図2に示すように、金種別の保留部31a~31fに対応するように直線状に並べられた複数の金種別ホッパ36a~36fで構成されている。金種別ホッパ36a~36fは、それぞれ、500円、100円、50円、10円、5円、及び1円硬貨のいずれか1種類の硬貨を収容する。また、金種別ホッパ36a~36fは、それぞれ装置本体に対して着脱可能に装着されている。また、金種別ホッパ36a~36fは、それぞれ硬貨を収納する収納部と、出金一時保留部42に硬貨を一枚ずつ繰り出す繰り出し部を有する。
【0034】
出金一時保留部42は、金種別ホッパ36a~36fから繰り出されてシュート40内を落下した硬貨を、金種別に一時的に集積する機能を有する。図2に示すように、出金一時保留部42は、周囲の4面を囲むフレーム内を金種別に区切って直線状に並んだ金種別の収容部である保留部43a~43fを含む。例えば、保留部43aは、金種別ホッパ36aから繰り出された硬貨を収容する。本実施形態では、出金一時保留部42に含まれる、周囲の4面を囲むフレームが、一時保留部の壁部に該当する。
【0035】
出金ガイド44は、出金一時保留部42の下方に設けられ、出金一時保留部42の底面を成す底面部である。保留部43a~43fへ導かれた硬貨は、出金ガイド44上に金種別に集積される。本実施形態において、出金一時保留部42及び出金ガイド44はそれぞれ、出金一時保留部42に収容された硬貨を搬送させるために、水平方向に移動可能である。具体的には、図1に示す矢印D2の方向に移動可能である。
【0036】
図3図5は、出金一時保留部42及び出金ガイド44の移動形態の一例を説明するための図である。出金一時保留部42と出金ガイド44は、それぞれ独立して、待機位置(実線で示す位置)と、第1の硬貨落下位置(図3において破線で示す位置)と、第2の硬貨落下位置(図4において破線で示す位置)との間で移動可能である。例えば、図3に示すように出金一時保留部42が第1の硬貨落下位置に移動する際には、出金ガイド44は待機位置(図3において実線で示す位置)で停止している。また、図4に示すように出金一時保留部42が第2の硬貨落下位置に移動する際には、出金ガイド44が出金一時保留部42と共に図4において破線で示す位置(出金一時保留部42の第1の硬貨落下位置)まで移動した後、出金ガイド44は停止し、出金一時保留部42のみ第2の硬貨落下位置まで移動する。また、図5に示すように出金ガイド44が図5において破線で示す位置(出金一時保留部42の第1の硬貨落下位置)に移動する際には、出金一時保留部42は待機位置に停止している。この出金一時保留部42の待機位置は第3の硬貨落下位置も兼ねる。ここで、本実施形態では、出金一時保留部42の第1の硬貨落下位置が第1ポジションに該当し、第2の硬貨落下位置が第2ポジションに該当し、待機位置(第3の硬貨落下位置)が第3ポジションに該当する。また、本実施形態では、出金一時保留部42の第1の硬貨落下位置や第2の硬貨落下位置への移動は、出金一時保留部42の壁部(周囲の4面を囲むフレーム)の移動に該当する。
【0037】
出金トレイ54は、出金される硬貨を収容する。この出金トレイ54には、出金処理の際に金種別ホッパ36から繰り出され、出金一時保留部42から落下し、前方搬送部52により搬送された硬貨が収容される。
【0038】
前方搬送部52は、出金一時保留部42から図1の矢印Jで示すルートで落下した硬貨を、搬送ベルトにより前方(出金トレイ54側)へ搬送し、出金トレイ54に導く。前方搬送部52は、図3に示すように、第1の硬貨落下位置に位置する出金一時保留部42の真下に配置されている。このため、出金一時保留部42が第1の硬貨落下位置(第1ポジションに相当)に移動する際に(図3参照)、出金一時保留部42から前方搬送部52上に硬貨を落下させることで搬送する。図2に示すように、前方搬送部52の前方には出金トレイ54が配置されている。これにより、前方搬送部52で搬送される硬貨が、出金トレイ54に排出される。なお、前方搬送部52は、搬送ベルトに限定されず、出金一時保留部42から落下した硬貨を滑らせて出金トレイ54に導くシュート構造により搬送するようにしてもよい。
【0039】
また、出金トレイ54は、図2に示すように、硬貨を収容する部分が装置外に露出して設けられている。これにより、操作者は、出金トレイ54に収容された硬貨を直接手で掬い取ることが出来るため、出金箱50を装置から引き出す場合に比べて容易に硬貨を受け取ることが可能となる。
【0040】
また、出金トレイ54は、硬貨を収容する部分の底部が開放して硬貨を落下させる構造を有する。操作者は、この底部から硬貨が落下する落下位置に外部の任意トレイ70を配置することで、出金トレイ54を介して外部の任意トレイ70へ出金することが可能である。また、出金トレイ54には、金種別ホッパ36から繰り出された硬貨が金種混合で排出され得る。このため、例えば少量出金の場合に、操作者は、出金箱50を装置から引き出さずとも容易に硬貨を受け取ることが可能である。また、大量枚数の硬貨を任意トレイ70などに移して運搬したい場合も、操作者は、出金箱50を装置から引き出して任意トレイ70に移し替える必要なく、出金トレイ54の底部を開放して任意トレイ70を置くだけで容易に硬貨を受け取ることができる。
【0041】
出金箱50は、出金される硬貨を収容する。この出金箱50には、出金処理の際に金種別ホッパ36から繰り出され、出金一時保留部42から落下した硬貨が収容される。出金箱50は、装置本体に対して着脱可能に設けられており、装置本体に収容された状態で出金一時保留部42から落下した硬貨が収容される。そして、出金箱50を装置本体から引き出すことにより、収容された硬貨を受け取ることができるようになっている。出金箱50は、第2の硬貨落下位置に位置する出金一時保留部42の真下に配置されている。このため、出金箱50は、出金一時保留部42が図4に示すように第2の硬貨落下位置(第2ポジションに相当)に移動する際に、出金一時保留部42から図1の矢印Tで示すルートで落下する(搬送される)硬貨を収容する。なお、出金箱50は、6金種分を1箱にした一括タイプであってもよいし、6金種別に区分けした小箱タイプであってもよい。
【0042】
回収庫58は、金種別ホッパ36a~36fから回収される売上金としての硬貨や、金種別ホッパ36a~36fが硬貨で一杯になった後に入金される硬貨(オーバーフロー硬貨)を回収する際に用いられる非リサイクル箱である。また、回収庫58は、金種別ホッパ36a~36fから繰り出された硬貨を一括して回収する際にも用いられる。回収庫58は、装置本体に対して着脱可能に設けられている。回収庫58は、待機位置(第3ポジション)に位置する出金一時保留部42の真下に配置されている。このため、回収庫58は、出金ガイド44が図5に示すように矢印D2の方向に移動する際に、待機位置(第3ポジション)に位置する出金一時保留部42から図1の矢印Kで示すルートで落下する(搬送される)硬貨を収容する。
【0043】
制御ユニット90は、硬貨処理装置1の全体動作を制御する。例えば、制御ユニット90は、硬貨の入金処理や出金処理などを行う際に、硬貨処理装置1の各構成要素の動作を制御する。制御ユニット90は、上述した各構成要素の動作を制御する制御部と、制御部が実行するプログラムや各種のデータを記憶する記憶部と、を有する。
【0044】
第1の実施形態において、制御ユニット90は、操作者に選択された出金取引に対応付けられた硬貨の排出先に応じて、出金一時保留部42のポジションを決定する。例えば、売上金を回収する回収取引の場合、対応付けられた排出先は回収庫58であり、出金一時保留部42のポジションは待機位置(第3ポジション)に決定される。また、硬貨を金種別に予め設定された組み合わせで出金するパターン出金取引の場合、対応付けられた排出先は出金箱50であり、出金一時保留部42のポジションは第2の硬貨落下位置(第2ポジション)に決定される。また、金種と枚数を任意に指定する指定枚数出金取引の場合、対応付けられた排出先は出金トレイ54であり、出金一時保留部42のポジションは第1の硬貨落下位置(第1ポジション)に決定される。なお、各取引の名称はこれらに限られない。また、制御ユニット90は、操作者による取引メニュー選択の際に、排出先の案内を表示部(不図示)に呈示してもよい。硬貨処理装置1には、表示部および操作部(不図示)が設けられ得る。操作部は、操作者からの操作を受け付ける。操作部は、表示部と一体化していてもよい。制御ユニット90は、操作部により受け付けた操作に基づいて所定の処理を実行する。例えば、制御ユニット90は、出金取引が選択された際に、操作者に指定された排出先に応じて、出金一時保留部42のポジションを決定してもよい。また、制御ユニット90は、出金する硬貨の枚数に応じて、排出先を出金箱50か出金トレイ54から自動で選択してもよい。例えば制御ユニット90は、出金する硬貨の枚数が所定枚数未満の場合は出金トレイ54を選択し、所定枚数以上の場合は出金箱50を選択するようにしてもよい。また、制御ユニット90は、操作者が入力した金額に応じて、パターン出金取引または指定枚数出金取引のいずれかを自動で選択してもよい。
【0045】
金種別ホッパ36から繰り出された硬貨を出金一時保留部42に集積した後、制御ユニット90は、決定したポジションに出金一時保留部42を移動させ、出金一時保留部42に集積された硬貨を出金箱50または前方搬送部52(出金トレイ54)へ搬送させる。なお、待機位置(第3の硬貨落下位置)の場合、制御ユニット90は、図5に示すように、出金一時保留部42の底部を成す出金ガイド44を矢印D2の方向に移動させることで出金一時保留部42の底部を開放し、出金一時保留部42に集積された硬貨を回収庫58へ搬送させる。また、これに限らず、例えば待機位置にある出金ガイド44の底面を開閉可能な構造とし、閉鎖時には硬貨を集積する底面を形成する一方、開放時には底面上に集積された硬貨を下方へ落下させるようにしても良い。
【0046】
以上、硬貨処理装置1の内部構成について具体的に説明した。なお、出金箱50、出金トレイ54、及び回収庫58の配置は、図1および図2に示す位置に限定されない。例えば、出金箱50と回収庫58の配置が逆になっても良いし、出金箱50と出金トレイ54の配置が逆になっても良い。また、図1に示す例では、出金トレイ54が出金一時保留部42の下方右側に配置されているが、下方左側に配置されても良いし、出金一時保留部42の下方前方に配置されても良い。
【0047】
<2.出金処理時の硬貨処理装置の動作>
次に、図6を参照しながら、本実施形態に係る硬貨に関する取引処理を行う際の硬貨処理装置1の動作例について説明する。図6は、本実施形態に係る硬貨に関する取引処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0048】
取引処理として、まず、操作者が、表示部に表示される取引メニュー画面から所望の取引を選択する。一例として、上述したように、回収取引、パターン出金取引、指定枚数出金取引が挙げられる。パターン出金取引では、予め設定された出金硬貨の金種毎の枚数のパターンから操作者が任意のパターンを選択する。また、指定枚数出金取引では、操作者が任意の金種毎の硬貨の出金枚数を入力する。そして、制御ユニット90は、金種別ホッパ36a~36fに設けられた繰り出し部により、パターン又は操作者が入力した金種毎の出金枚数に基づいて、該当する金種の硬貨を繰り出させ、繰り出した硬貨(すなわち排出する硬貨)を出金一時保留部42に搬送する(ステップS103)。金種別ホッパ36a~36fから繰り出された硬貨は、出金一時保留部42に落下して出金ガイド44上に集積される。この際、出金一時保留部42は、待機位置に位置している。
【0049】
次に、制御ユニット90は、硬貨の排出先に応じて、出金一時保留部42のポジションを切り替える(ステップS106)。
【0050】
例えば硬貨の排出先が出金トレイ54であれば、制御ユニット90は、出金一時保留部42を第1ポジション(図3において破線で示す位置)に移動させる(ステップS109)。図3に示すように、出金ガイド44は待機位置に停止する状態のため、開放された出金一次保留部42の底面から硬貨が前方搬送部52に落下する。次いで、制御ユニット90は、前方搬送部52を駆動して、出金トレイ54に硬貨を搬送させる(ステップS112)。そして、制御ユニット90は、出金トレイ54に排出した硬貨の受け取り誘導(画面や音声)を出力する(ステップS115)。
【0051】
また、硬貨の排出先が出金箱50であれば、制御ユニット90は、出金一時保留部42を第2ポジション(図4において破線で示す位置)に移動させる(ステップS118)。出金ガイド44は図4において破線で示す位置に停止する状態のため、開放された出金一次保留部42の底面から硬貨が落下し、出金箱50に収容される(ステップS121)。そして、制御ユニット90は、出金箱50に排出した硬貨の受け取り誘導(画面や音声)を出力する(ステップS124)。
【0052】
また、硬貨の排出先が回収庫58であれば、制御ユニット90は、出金一時保留部42を第3ポジション(待機位置)に停止させ、出金ガイド44を図5において破線で示す位置に移動させる(ステップS127)。これにより、開放された出金一次保留部42の底面から硬貨が落下し、回収庫58に収容される(ステップS130)。そして、制御ユニット90は、回収庫58に排出した硬貨の受け取り誘導(画面や音声)を出力する(ステップS133)。
【0053】
次いで、制御ユニット90は、出金一時保留部42に集積された硬貨を排出先(出金トレイ、出金箱50、または回収庫58)に排出する(ステップS109)。
【0054】
<3.応用例>
上述した実施形態では、硬貨処理装置1が、レジスターから持ち運ばれた硬貨の入金処理や、レジスターで使用する釣銭準備金としての硬貨の出金処理を行う旨を説明したが、これに限られず、硬貨処理装置1を店頭(フロント領域)に配置して精算装置として用いてもよい。フロント領域に配置された硬貨処理装置1は、店舗の顧客と、店舗の店員や警備会社の警送員に共通して利用され得る。
【0055】
具体的には、硬貨処理装置1sは、通常は顧客モードに設定され、顧客が商品の代金を精算する際に利用される精算装置として稼働する。この場合、硬貨処理装置1sの制御ユニット90は、商品の精算に伴う釣銭を出金トレイ54から排出するよう、出金一時保留部42のポジションを切り替える。顧客は、装置外に露出している出金トレイ54から釣銭を容易に受け取ることができる。一方、例えば店員や警送員等の所定の権限を有する者が所持するカード等の認証媒体を読取部(不図示)に読み取らせる等によりログイン(認証)された際には、硬貨処理装置1sは権限者モードとなる。この場合、制御ユニット90は、上述した実施形態と同様に制御する。すなわち、制御ユニット90は、取引メニューの画面を表示部に表示し、選択された入金/出金取引を実行する。
【0056】
(3-1.システム構成)
ここで、図7を参照して、応用例に係る精算装置としても用いられる硬貨処理装置1sを含む精算システム3について具体的に説明する。図7に示すように、精算システム3は、店員に操作されるPOS(Point of Sale)端末310と、硬貨処理装置1sおよび紙幣処理装置2から成る現金処理装置300と、を含む。POS端末310と現金処理装置300は通信可能に接続され、データの送受信を行い得る。
【0057】
硬貨処理装置1sは、図1及び図2を参照して説明した上記実施形態と同様の構成を有する。なお、硬貨処理装置1sの制御ユニット90は、さらに通信部(送信部の機能および受信部の機能を含む)を有する。また、紙幣処理装置2は、紙幣の入金処理、計数処理、出金処理等を行う。硬貨処理装置1sと紙幣処理装置2は通信可能に接続され、データの送受信を行い得る。なお、硬貨処理装置1sと紙幣処理装置2は別体であってもよいし、一体であってもよい。本応用例では、一例として、硬貨処理装置1sの制御ユニット90により、精算処理が行われる。紙幣処理装置2は、顧客により入金された紙幣の合計金額を硬貨処理装置1sに送信したり、硬貨処理装置1sからの制御信号を受信して釣銭を出金し得る。
【0058】
POS端末310は、購入商品の情報を管理する情報管理装置の一例である。POS端末310は、POS端末310の動作を制御する制御部と、商品の情報を読み取る読取部と、店員による操作入力を受け付ける操作入力部と、取引メニュー等を表示する表示部と、現金処理装置300とデータの送受信を行う通信部(送信部の機能および受信部の機能を含む)と、制御部が実行するプログラムや各種のデータを記憶する記憶部と、を有する。操作入力部は、表示部と一体化して設けられるタッチパネルであってもよい。店員は、POS端末310の読取部により購入商品の情報を読み取らせる。POS端末310は、通信部から、商品の精算処理に用いられる情報(以下、精算用情報と称する)を現金処理装置300に送信する。精算用情報は、購入金額情報(商品の個数と代金に基づいて算出される)である。本応用例では、一例として硬貨処理装置1sの制御ユニット90により精算処理が行われるため、POS端末310は、硬貨処理装置1sに精算用情報を送信してもよい。
【0059】
硬貨処理装置1の制御ユニット90は、顧客による入金額(硬貨受領部10から入金された硬貨の入金額と紙幣処理装置2に入金された紙幣の入金額との合計)と、POS端末310から受信した精算用情報(購入金額情報)とに基づいて、釣銭を算出し、釣銭を出金する処理を行う。
【0060】
(3-2.硬貨処理装置1sの動作)
続いて、図8を参照しながら応用例による硬貨の出金処理について説明する。図8は、本実施形態の応用例に係る硬貨の出金処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0061】
図8に示すように、制御ユニット90は、通常時は硬貨処理装置1sの動作モードを顧客モードに設定している(ステップS203)。顧客モードでは、POS端末310から受信した精算用情報に基づく精算処理が行われ得る。なお、ここでは一例として通常時の動作モードを顧客モードとするが、これに限定されず、制御ユニット90は、POS端末310から精算用情報を受信したときに顧客モードに切り替えるようにしてもよい。
【0062】
次に、店員または警送員等の所定の権限を有する者によるログイン操作があった場合(ステップS206/Yes)、制御ユニット90は、権限者の認証を行い、認証が成功した場合に硬貨処理装置1sの動作モードを権限者モードに切り替える(ステップS209)。
【0063】
一方、顧客モードにおいて、制御ユニット90は、POS端末310から受信した精算用情報に基づいて精算処理を行う(ステップS212)。具体的には、制御ユニット90は、精算用情報と顧客が投入した現金から、排出する現金(釣銭)を決定する。
【0064】
次いで、制御ユニット90は、金種別ホッパ36a~36fに設けられた繰り出し部により、排出する現金(釣銭)に相当する硬貨を繰り出し、当該硬貨を出金一時保留部42に搬送する(ステップS215)。硬貨は、出金一時保留部42に落下して出金ガイド44上に集積される。
【0065】
次に、制御ユニット90は、顧客モードの場合は硬貨の排出先を出金トレイ54に決定し、出金一時保留部42を第1ポジション(図3参照)に切り替える(ステップS218)。制御ユニット90は、図3に示すように、出金一時保留部42に集積された硬貨(ここでは、釣銭)を、前方搬送部52に落下させる。
【0066】
そして、制御ユニット90は、前方搬送部52を駆動して硬貨を出金トレイ54に搬送して排出すると共に、顧客に出金トレイ54から受け取るよう誘導を行う(ステップS221)。
【0067】
また、上記ステップS209に示す権限者モードに切り替えられた場合、表示部に表示される取引メニュー画面から店員等により所望の取引が選択される(ステップS224)。ここでは、出金取引(パターン出金取引、指定枚数出金取引)または回収取引が選択される場合を想定する。
【0068】
次に、制御ユニット90は、金種別ホッパ36a~36fに設けられた繰り出し部により、パターン又は操作者が入力した金種毎の出金枚数に基づいて、該当する金種の硬貨を繰り出させ、繰り出した硬貨(すなわち排出する硬貨)を出金一時保留部42に搬送する(ステップS227)。
【0069】
次いで、制御ユニット90は、店員等に選択された取引に対応付けられた排出先に応じて、出金一時保留部42のポジションを切り替える(ステップS230)。上述したように、例えば、指定枚数出金取引であれば、制御ユニット90は、出金トレイ54に硬貨を搬送する前方搬送部52に硬貨を落下し得る第1ポジションに出金一時保留部42を移動させる。また、パターン出金取引であれば、制御ユニット90は、出金箱50に硬貨を落下させ得る第2ポジションに出金一時保留部42を移動させる。また、回収取引であれば、制御ユニット90は、回収庫58に硬貨を落下させ得る待機位置(第3ポジション)に出金一時保留部42を停止させる。
【0070】
そして、制御ユニット90は、出金一時保留部42に集積された硬貨(ここでは、釣銭準備金や売上回収金)を、排出先(出金トレイ、出金箱50、または回収庫58)から排出すると共に、店員等に排出先から硬貨を受け取るよう誘導を行う(ステップS233)。
【0071】
(3-3.補足)
上述した応用例では、POS端末310と現金処理装置300とが別体の構成となっており、現金処理装置300は、いわゆるセミセルフ型精算装置と言える。これに限らず、POS端末310と現金処理装置300とが一体の構成(いわゆるセルフ型精算装置)であってもよい。
【0072】
<4.まとめ>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属すると了解される。
【0073】
例えば、硬貨処理装置1は、金種別ホッパ36a~36fから繰り出された硬貨が異金種であるか否かを判別する異金種判別部が金種別ホッパ36a~36fにそれぞれ設けられていてもよい。異金種判別部は、例えば光学センサと磁気センサを有する。異金種判別部は、金種別ホッパ36a~36fから実際に繰り出された硬貨の金種が、本来繰り出されるべき硬貨の金種と異なるか否かを判別する。繰り出された硬貨が異金種と判別された場合(リジェクトが生じた場合)、制御ユニット90はその時点で硬貨の繰り出しを一旦停止させる。そして、制御ユニット90は、出金一時保留部42に集積されている硬貨が装置内で確定している売上金額(論理的売上金額)の範囲内であると判定すると、異金種と判別された硬貨(リジェクト硬貨)を含む出金一時保留部42に集積されている硬貨を回収庫58に収納する。なお、出金一時保留部42に集積されている硬貨の金額は、金種別ホッパ36から繰り出された硬貨の枚数から、金額が算出され得る。制御ユニット90は、出金一時保留部42に集積されている異金種と判別された硬貨を含む全ての硬貨が回収庫58に収納されると、金種別ホッパ36a~36fからの硬貨の繰り出しを再開する。一方、売上金額の範囲を超える場合、制御ユニット90は、出金動作を停止し、エラーを通知する。
【0074】
また、硬貨処理装置1(1s)に内蔵されるCPU、ROM、およびRAM等のハードウェアに、硬貨処理装置1(1s)の機能を発揮させるための1以上のコンピュータプログラムも作成可能である。また、当該1以上のコンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体も提供される。
【符号の説明】
【0075】
1、1s 硬貨処理装置
36 金種別ホッパ
42 出金一時保留部
44 出金ガイド
50 出金箱
52 前方搬送部
54 出金トレイ
58 回収庫
90 制御ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8