(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120859
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】牛乳受け箱
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20230101AFI20230823BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
G06Q30/06
B65G61/00 210
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023961
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000309
【氏名又は名称】IDEC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝田 剛
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB72
(57)【要約】
【課題】宅配サービスの契約内容を簡単に変更することのできる牛乳受け箱を提供する。
【解決手段】本発明に係る牛乳受け箱は、牛乳の宅配サービスに使用される牛乳受け箱(1)において、無線通信ネットワークを介して外部と通信する通信装置(20)と、前記宅配サービスの契約の内容を変更するために操作される契約変更部材(10)と、を備え、前記通信装置(20)は、前記契約変更部材(10)の操作結果に基づき前記通信を行うことで前記契約の内容を変更する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
牛乳の宅配サービスに使用される牛乳受け箱において、
無線通信ネットワークを介して外部と通信する通信装置と、
前記宅配サービスの契約の内容を変更するために操作される契約変更部材と、
を備え、
前記通信装置は、前記契約変更部材の操作結果に基づき前記通信を行うことで前記契約の内容を変更する、
ことを特徴とする牛乳受け箱。
【請求項2】
請求項1に記載の牛乳受け箱において、
前記契約変更部材は、前記契約の継続を示す継続面と、前記契約の休止を示す休止面とを有し、
前記通信装置は、前記契約変更部材が前記面のいずれかを表示するように前記操作されたことを検出することにより前記契約の内容を変更する、
ことを特徴とする牛乳受け箱。
【請求項3】
請求項2に記載の牛乳受け箱において、
前記操作は、前記継続面および前記休止面を反転させる反転操作である、ことを特徴とする牛乳受け箱。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の牛乳受け箱において、
前記通信装置が行う前記通信は、IoT向けの無線通信方式によって行われる、ことを特徴とする牛乳受け箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宅配の牛乳を一時保管するための牛乳受け箱に関し、特に、宅配サービスの契約内容を簡単に変更することのできる牛乳受け箱に関する。
【背景技術】
【0002】
旧来よく知られている牛乳の宅配サービスでは、例えば、特許文献1に開示されるような牛乳受け箱がサービス利用顧客の自宅玄関先などに置かれ、その受け箱に、牛乳が配達業者によって定期的に配達されるのが一般的である。
このような牛乳の宅配サービスを利用していると、顧客は、最初に契約した本数の牛乳を消費しきれないといったことがよくあり、次回の配達を休止したくなる場合がある。
【0003】
一般に、次回の配達を休止したり、次回から配達を再開するなどの契約内容の変更は、事前に、例えば1週間前までに電話で販売店に連絡する必要がある。このため、配達の休止や再開を何度も連絡する場合には、そのための顧客の負担は心理的なものも含めて大変大きくなってしまい、ついには宅配サービス自体を解約するに至るケースも多くなっている。
【0004】
なお、上記の牛乳受け箱は、その外ポケットなどに契約内容の変更を記したメモを入れておくことができるものもあり、このメモにより変更を連絡することも可能となっている。メモにより変更を連絡する場合は、牛乳配達業者がそれを持ち帰って販売店の担当者に引き渡すこととなる。しかし、牛乳配達業者がメモの存在に気付かずそれを持ち帰らない場合には、結局、顧客は変更を連絡するために販売店に電話を掛けることとなり、そのための負担は上記のように大きくなってしまう。
【0005】
このような顧客の負担を軽減する方法の1つとして、例えば、特許文献2には、インターネットを介して、キャンセルボタンのスイッチが押された日に宅配される食事のキャンセル依頼を行うシステムが開示されている。
しかしながら、このシステムでは、顧客はキャンセルする日ごとにスイッチを押す必要があるため、一定期間宅配をキャンセルしたい場合などにおいては操作が煩雑であった。また、このシステムでは、キャンセルしたか否かを容易に確認できないため混乱を招く恐れがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-271026号公報
【特許文献2】特開2018-41236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するものであり、宅配サービスの契約内容を簡単に変更することのできる牛乳受け箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る牛乳受け箱は、牛乳の宅配サービスに使用される牛乳受け箱において、無線通信ネットワークを介して外部と通信する通信装置と、前記宅配サービスの契約の内容を変更するために操作される契約変更部材と、を備え、前記通信装置は、前記契約変更部材の操作結果に基づき前記通信を行うことで前記契約の内容を変更する、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る牛乳受け箱によれば、宅配サービスの契約内容を簡単に変更することのできる牛乳受け箱を提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る牛乳受け箱を示す斜視図である。
【
図3】契約変更部材を使用して宅配サービスの契約内容を変更する方法を説明するための図である。
【
図4】牛乳受け箱が接続されるネットワークの構成を示す図である。
【
図5】牛乳配達時の牛乳受け箱の動作を示すシーケンス図である。
【
図6】契約内容変更時の牛乳受け箱の動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を添付の図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る牛乳受け箱を示す斜視図である。本実施形態の牛乳受け箱1は、牛乳瓶を収納および保管するための箱本体2と、開閉可能なフタ(蓋)3とを備えている。なお、当然のことながら、牛乳受け箱1は、牛乳の保冷のために、図示しない発泡PS(ポリスチレン)などの断熱材をその内側に備えている。また牛乳受け箱1は、周囲の温度状況により牛乳の保冷に必要となる蓄冷剤を受け箱内に収容することも可能となっている。また、本実施形態の牛乳受け箱1には、フタ3の内側に宅配サービスの契約内容を変更する場合に使用する契約変更部材10が着脱可能に保持されている。契約変更部材10は、既存の牛乳受け箱をそのまま使用できるように、後付けで取り付けられる。契約変更部材10には通信装置20が内蔵されている。
【0012】
次に、この通信装置20の構成について、
図2を参照して説明する。
図2は、通信装置20の構成を示すブロック図である。通信装置20は、CPU(Central Processing Unit)21と、ROM(Read Only Memory)22と、RAM(Random Access Memory)23と、タイマ24と、センサ部25と、A/D変換部26と、無線通信部27とで構成されている。CPU21は、制御プログラムに基づいて演算を行うとともに、装置全体の制御を行う。ROM22は、CPU21の実行する制御プログラム等を予め所定領域に記憶する。RAM23は、ROM22等から読み出されたデータやCPU21の演算過程で生成された演算結果を一時的に記憶する。タイマ24は、CPU21によって設定された時間について計測、又は設定された時刻を判定し、その時間が経過する、又はその時刻になると、その事を割り込み信号等によってCPU21に通知する。このタイマ24からの通知によって、CPU21は、センサ部25の検出値を外部のサーバへ送信したり、契約変更部材10のための設定値を外部のサーバから取得するなどの処理を行う。
【0013】
センサ部25は、契約変更部材10の向きを検出するための加速度センサ、フタ3の開閉を検出するための磁気センサや光センサ、箱本体2内の温度および湿度を検出するための温度センサおよび湿度センサなどの各種のセンサを含んでいる。なお、契約変更部材10の向きは、例えばN/S極を区別できる磁気センサによってその向きを検出することも可能である。その場合、フタ3の開閉の検出は、それとは別の磁気センサを用いて行うようにするとよい。また、フタ3の開閉は、加速度センサを用いて検出することも可能である。その場合、契約変更部材10の向きを検出するための加速度センサを、フタ3の開閉の検出にも利用することができる。なお、加速度センサは3軸以上の加速度センサであることが好ましい。また、センサ部25に含まれるセンサは、その本体がセンサ部25の外部にあって、有線や無線でセンサ部25に接続される構成となっていてもよい。例えば、この構成によりフタ3の開閉を検出する場合は、加速度センサの本体をフタ3に配置して、その本体がセンサ部25と有線や無線で接続されるようにするとよい。このセンサ部25のセンサが出力したアナログ信号はA/D変換部26に入力される。A/D変換部26は、センサ部25から出力されたアナログ信号をデジタルデータに変換するとともに、その変換後のデジタルデータをCPU21に出力する。無線通信部27は、通信装置20がインターネット上のサーバによって提供されるクラウドサービス等を利用するために行う通信を媒介する。具体的には、無線通信部27は、CPU21の指示に基づき、クラウドサービス等に係る送信データを無線基地局に送信する。また、無線通信部27は、無線基地局からのクラウドサービス等に係る受信データを受信する。
【0014】
なお、通信装置20の利用するクラウドサービスは、例えば、アプリケーションサーバやデータベースサーバなどのアプリケーション実行用のプラットフォーム機能を利用できるPaaS(Platform as a Service)などである。
また、無線通信部27が行う無線基地局との間の通信には、IoT(Internet of Things)向けの通信規格に基づくものを採用するのが好ましい。具体的には、無線通信部27が行う無線基地局との間の通信は、LPWA(Low Power Wide Area)通信方式、例えば、Sigfox社が開発したSIGFOX(登録商標)や、Semtech社が開発したLoRa(登録商標)などによって行うことができる。或いは、それらの間の通信は、携帯電話やスマートフォンで使用される通信規格のLTE通信方式での周波数帯域を狭めて使用するLTE-M(Long Term Evolution for machine-type-communication)によって行うようにしてもよい。また、或いは、それらの間の通信は、低消費電力機器に対応し、センサーネットワークに対応する国際標準の通信規格であるIEEE802.15.4をベースとした通信方式によって行うようにしてもよい。
【0015】
通信装置20の動作に必要な電力は、電池28の接続される電力供給部(不図示)によって供給される。電池28は、小型で通信装置20の長時間動作を可能とするもの、例えばリチウム(一次)電池であることが好ましいが、乾電池や、充電が可能な二次電池であってもよい。
【0016】
次に、契約変更部材10を使用して宅配サービスの契約内容を変更する方法について、
図3を参照して説明する。
図3(a)に示すように、本実施形態の牛乳受け箱1には、フタ3の内側に、宅配サービスの契約内容を変更する場合に使用する契約変更部材10が着脱可能に保持されている。本実施形態の牛乳受け箱1においては、この契約変更部材10を一旦フタ3の内側から取り外して、その向きを反転させた後、元の場所に戻すことで、宅配サービスの契約内容を変更することができる。
【0017】
契約変更部材10は、直方体のような形状をしており、
図3(b)に示すように、その第一面10aが、例えば「継続」という文字および「緑」色を示すようにされている。また、契約変更部材10は、その第一面10aの裏側(反対側)となる第二面10bが、
図3(c)に示すように、例えば「休止」という文字および「赤」色を示すようにされている。つまり、本実施形態の牛乳受け箱1においては、契約変更部材10がフタ3の内側に保持された状態で、その第一面10aが表側を向くように、すなわち「継続」という文字および「緑」色が見える向きとされた場合には、宅配サービスが継続されて牛乳が配達される。なお、以下では、この第一面10aを「継続面」とも呼ぶ。一方、契約変更部材10がフタ3の内側に保持された状態で、その第二面10bが表側を向くように、すなわち「休止」という文字および「赤」色が見える向きとされた場合には、宅配サービスが休止されて牛乳の配達は行われない。なお、以下では、この第二面10bを「休止面」とも呼ぶ。例えば、
図1に示した牛乳受け箱1の例では、契約変更部材10は、その第一面10aが表側を向くように、すなわち「継続」という文字および「緑」色が見える向きでフタ3の内側に保持されているため、この場合には牛乳が配達される。なお、宅配サービスを一旦休止した後に、契約変更部材10の第一面10aが表側を向くように、すなわち「継続」という文字および「緑」色が見える向きとされた場合には、宅配サービスが再開されて再び牛乳が配達されるようになる。
【0018】
次に、本実施形態の牛乳受け箱1が接続されるネットワークの構成について説明する。
図4は、そのネットワーク30の構成を示した図である。ネットワーク30は、インターネットなどの通信ネットワーク31、これに接続される、クラウドサービスを提供するサーバ32、牛乳の宅配サービスに係る販売店33、及びLPWA等の無線通信方式により牛乳受け箱1と通信する無線基地局34等で構成される。
【0019】
ここで、通信装置20が行う動作について説明する。
例えば、牛乳受け箱1のフタ3が開閉されると、通信装置20のセンサ部25からその開閉を示すアナログ信号が出力される。このアナログ信号は、A/D変換部26に入力された後、そこでデジタルデータに変換されてからCPU21に入力される。CPU21は、その入力されたデジタルデータに基づきフタ3の開閉を検出する。また、この検出により、CPU21は、フタ3が開閉された事のイベント情報を、クラウドサービスを提供するサーバ32へ送信するために無線通信部27を駆動して、イベント情報を含む送信データを、無線通信部27を介して無線基地局34に送信する。この送信データは、無線基地局34から通信ネットワーク31を経由してクラウドサービスを提供するサーバ32へ転送され、それを受信したサーバ32が、イベント履歴として、例えばデータベースなどにその送信データに含まれるイベント情報等を記録する。なお、サーバ32が行う、このデータベースなどへのイベント情報の記録は、牛乳宅配サービスの利用顧客ごと(毎)に行われる。その際、利用顧客の識別は、送信されてきた(つまり受信された)データに含まれる顧客識別コードや送信元アドレスなどに基づいて行うことができる。また、識別には、LPWA等の無線通信ネットワーク側から提供される位置情報なども利用することが可能である。
【0020】
以下、別の動作について説明する。
例えば、契約変更部材10が、牛乳受け箱1のフタ3の内側から取り外され、その裏側の第二面10bが表側を向くように反転操作された後、その状態でフタ3の元の場所に戻されると、通信装置20のセンサ部25からその反転を示すアナログ信号が出力される。なお、この場合、契約変更部材10は、フタ3の内側に保持された状態で、その第二面10bが表側にされて「休止」という文字および「赤」色が見えるようにされている。また、出力されたアナログ信号は、A/D変換部26に入力された後、そこでデジタルデータに変換されてからCPU21に入力される。
【0021】
CPU21は、その入力されたデジタルデータに基づき契約変更部材10の反転、この場合、第二面10bへの、即ち「休止面」への反転を検出する。また、この検出により、CPU21は、契約変更部材10が「休止面」に反転された事のイベント情報をサーバ32へ送信するために無線通信部27を駆動して、イベント情報を含む送信データを、無線通信部27を介して無線基地局34に送信する。この送信データは、無線基地局34から通信ネットワーク31を経由してサーバ32へ転送され、それを受信したサーバ32が、イベント履歴として、例えばデータベースなどにその送信データに含まれるイベント情報等を記録する。また、このとき、サーバ32は、受信したイベント情報に基づき、宅配サービスの契約内容に変更があるかを判定する。具体的には、サーバ32は、イベント情報と、サーバ32が管理する、例えば宅配サービスの契約情報や利用情報などのマスタ(データ)に記録されている宅配サービスの現在の利用状況(利用継続中または休止中)とを比較する。この比較は、宅配サービスの利用顧客ごとに行われる。そして、イベント情報と現在の利用状況との間に変化がある場合には、サーバ32は、契約内容に変更があると判定し、販売店33の担当者に、例えば電子メールなどによって宅配サービスの契約内容に変更が生じたことを通知する。ここで、販売店33、担当者およびその連絡先(電子メールアドレスなど)の情報には、利用顧客ごとにマスタを参照して取得された情報が用いられる。なお、この説明では、イベント情報を宅配サービスの休止とし、現在の利用状況を利用継続中とするので、それらの間に変化があることから、サーバ32により、販売店33の担当者に、宅配サービスの契約内容に変更が生じたことが通知される。
【0022】
ところで、この後には、例えば、電子メールなどにより通知を受けた担当者が、変更を要望した顧客に連絡をとり、変更内容に間違いの無いことが確認できた場合に、サーバ32経由でマスタの利用状況の項目を更新するようにするとよい。なお、この場合は休止中に更新する。また、イベント情報と現在の利用状況との間に変化が生じていない場合は、契約内容に変更は無いが、牛乳受け箱1の通信装置20とサーバ32のマスタとの間に状態等の不一致が生じていることが考えられる。そのため、この場合には、サーバ32が、そのことをイベント履歴等として記録するか、場合によっては、販売店33の担当者等に、そのことを知らせるようにするのが好ましい。
【0023】
次に、牛乳の配達および契約内容の変更に係る本実施形態の牛乳受け箱1の動作について、
図5および
図6のシーケンス図を参照して説明する。
図5は、牛乳配達時の牛乳受け箱1の動作を示すシーケンス図である。先ず、牛乳の配達業者が、販売店33から牛乳を顧客のもとまで配達し、その牛乳の瓶を顧客の玄関先等に置かれた牛乳受け箱1に格納するためにそのフタ3を開くと、牛乳受け箱1は、フタ3が開けられたことのイベント情報をサーバ32に送信する。これを受信したサーバ32は、その受信したイベント情報(フタ開)を、例えばデータベースなどにイベント履歴として記録する。また、配達業者が牛乳受け箱1に牛乳の瓶を格納し終えてそのフタ3を閉じると、牛乳受け箱1は、フタ3が閉じられたことのイベント情報をサーバ32に送信する。これを受信したサーバ32は、その受信したイベント情報(フタ閉)を、例えばデータベースなどにイベント履歴として記録する。この後、牛乳宅配サービスの利用顧客が、牛乳受け箱1に保管されている牛乳の瓶を取り出すためにそのフタ3を開くと、牛乳受け箱1は、フタ3が開けられたことのイベント情報をサーバ32に送信する。これを受信したサーバ32は、その受信したイベント情報(フタ開)を、例えばデータベースなどにイベント履歴として記録する。また、顧客が、牛乳受け箱1から牛乳の瓶を取り出し終えてそのフタ3を閉じると、牛乳受け箱1は、フタ3が閉じられたことのイベント情報をサーバ32に送信する。これを受信したサーバ32は、その受信したイベント情報(フタ閉)を、例えばデータベースなどにイベント履歴として記録する。なお、このようにサーバ32がイベント履歴として記録した顧客ごとのイベント情報は、販売店33の担当者などがサーバ32にアクセスすることによって随時参照等が可能である。この参照等のためのサーバ32へのアクセスは、ダッシュボード(Dashboard)のウィジェット(Widgets)などのアプリケーションソフトウェアにより行うこともできる。
【0024】
以下、契約内容変更時の牛乳受け箱1の動作について説明する。
図6は、その牛乳受け箱1の動作を示すシーケンス図である。先ず、牛乳宅配サービスの利用顧客が、牛乳受け箱1のフタ3の裏側に保持されている契約変更部材10をそこから取り外して、例えばその休止面10bが表側を向くように反転操作した後、その状態で契約変更部材10をフタ3の元の場所に戻す。牛乳受け箱1は、この反転操作により契約変更部材10の休止面10bへの反転を検出すると、その「休止面」に反転された事のイベント情報をサーバ32に送信する。なお、契約変更部材10の継続面10aが表側を向くように反転操作された場合には、「継続面」に反転された事のイベント情報がサーバ32に送信される。イベント情報を受信したサーバ32は、そのイベント情報(休止又は継続。この場合は休止)を、例えばデータベースなどにイベント履歴として記録する。また、このとき、サーバ32は、受信したイベント情報(この場合は宅配サービスの休止)と現在の利用状況(この説明では利用継続中)との間に変化があるかを判定し、変化があると判定した場合は、販売店33の担当者に宅配サービスの契約内容に変更があることを通知する。
【0025】
以上、本実施形態の牛乳受け箱1では、契約変更部材10を、継続面10aおよび休止面10bの何れかの面が表側を向くように反転操作して、その状態で牛乳受け箱1のフタ3の元の場所に戻すことで、契約内容を変更することができる。従って、本実施形態の牛乳受け箱1によれば、牛乳宅配サービスの契約内容を簡単に変更することができるようになる。利用顧客が宅配サービスを休止するケースとして、牛乳を飲み切れずに数日間に亘って宅配サービスを休止する場合がある。本実施形態の牛乳受け箱1によれば、その場合にも、利用顧客は、宅配サービスを休止するときと、それを再開するときに、それぞれ契約変更部材10を反転操作するだけで良くなるので、利用顧客の負担を少なくすることができる。
【0026】
また、本実施形態の牛乳受け箱1では、契約変更部材10の継続面10aの「継続」との文字及び「緑」色、または休止面10bの「休止」との文字及び「赤」色の表示によって、現在の牛乳宅配サービスの契約内容が視覚的に表示される。従って、本実施形態の牛乳受け箱1によれば、牛乳宅配サービスの利用顧客が現在の契約内容を容易に把握することができるようになる。
特に利用顧客に高齢者が多く含まれる牛乳宅配サービスでは、本実施形態の牛乳受け箱1を利用することによって視覚的に現在の状況を把握できるようになるので、利用顧客である高齢者が安心して契約内容の変更の操作を行えるようになる。
【0027】
また、本実施形態の牛乳受け箱1では、牛乳受け箱1のフタ3の開/閉が行われると、その開/閉についてのイベント情報がサーバ32によってイベント履歴としてデータベースなどに記録される。従って、本実施形態の牛乳受け箱1によれば、販売店33の担当者が、配達業者による牛乳の配達、及び牛乳宅配サービスの利用顧客による牛乳瓶の取り出しなどの配達状況を把握することが可能になる。
【0028】
なお、上記では、契約変更部材10の反転が検出されたタイミングで、契約内容の変更についてのイベント情報をサーバ32に送信するように説明した。しかし、この契約内容の変更のイベント情報をサーバ32に送信するタイミングは、予め指定した時間間隔(例えば5分おきに送信)や、予め指定した時刻(例えばAM10:00に送信)などにすることもできる。そうした場合、サーバ32への送信は、当該イベント情報がある場合に、その指定時間間隔または指定時刻に行われるようになる。また、その送信のタイミングは、契約内容の変更が検出されて、予め指定した時間(例えば3分)が経過したときに送信を行う、というものであってもよい。また、指定時間間隔または指定時刻における契約変更部材10の状態を検出してサーバ32に送信を行う、というものであってもよい。
【0029】
また、牛乳受け箱1は、イベント情報をサーバ32に送信する際に、電池28の残量の情報も併せて送信するようにしてもよい。そうした場合、例えばサーバ32は、受信したその残量の情報をもとに電池の交換が必要か否かを判定するようにし、交換が必要であると判定された場合には、販売店33の担当者に電子メールなどによりそのことを通知するようにしてもよい。
【0030】
また、契約変更部材10には、通信装置20の稼働状態や通信結果などを利用顧客等に知らせるためのLED等の表示部材を設けるようにしてもよい。
【0031】
また、契約変更部材10には、例えば、販売店33の担当者などに連絡するための釦(御用聞きサービスボタン)を設けてもよい。そうした場合、それが牛乳宅配サービスの利用顧客によって押下されたときには、例えば、それを検出した通信装置20が、御用聞きサービスボタンが押下されたことのイベント情報をサーバ32に送信するようにする。そして、それを受信したサーバ32は、そのイベント情報をイベント履歴としてデータベースなどに記録するとともに、販売店33の担当者に電子メールなどによりそのことを通知するようにしてもよい。なお、その通知を受信した担当者は、利用顧客へ連絡し、御用は何か等について話しをするなどするとよい。
【符号の説明】
【0032】
1 牛乳受け箱、2 箱本体、3 フタ(蓋)、
10 契約変更部材、10a 第一面(継続面)、10b 第二面(休止面)、
20 通信装置、21 CPU、22 ROM、23 RAM、24 タイマ、25 センサ部、26 A/D変換部、27 無線通信部、28 電池、
30 ネットワーク、31 通信ネットワーク、32 サーバ、33 販売店、34 無線基地局