(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120875
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】空き場所通知装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 80/00 20180101AFI20230823BHJP
【FI】
G16H80/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023989
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 敦子
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
(57)【要約】
【課題】適切な空き場所を通知すること。
【解決手段】実施形態に係る空き場所通知装置は、取得部と、特定部と、選択部と、通知部とを備える。取得部は、フロアマップおよび人の位置情報を取得する。特定部は、フロアマップおよび位置情報に基づいて、フロアマップにおける複数の空き場所を特定する。選択部は、複数の空き場所のうち、特定のキーワードに関連する一つ以上の空き場所を優先して選択する。通知部は、一つ以上の空き場所を通知する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアマップおよび人の位置情報を取得する取得部と、
前記フロアマップおよび前記位置情報に基づいて、前記フロアマップにおける複数の空き場所を特定する特定部と、
前記複数の空き場所のうち、特定のキーワードに関連する一つ以上の空き場所を優先して選択する選択部と、
前記一つ以上の空き場所を通知する通知部と
を具備する、空き場所通知装置。
【請求項2】
前記特定部は、更に予め設定された広さを有する領域の情報に基づいて、前記複数の空き場所を特定する、
請求項1に記載の空き場所通知装置。
【請求項3】
前記特定部は、更に前記フロアマップ上に設定された禁止領域の情報に基づいて、前記複数の空き場所を特定する、
請求項1または請求項2に記載の空き場所通知装置。
【請求項4】
前記選択部は、キーワードと、空き場所に優先順位を付けるための条件とを対応付けたテーブルを参照し、前記特定のキーワードに対応する前記条件に基づいて、前記一つ以上の空き場所に優先順位を付ける、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の空き場所通知装置。
【請求項5】
前記条件は、前記フロアマップに示された部屋であり、
前記選択部は、前記部屋への距離が近い順に前記一つ以上の空き場所に優先順位を付ける、
請求項4に記載の空き場所通知装置。
【請求項6】
前記条件は、移動距離であり、
前記選択部は、ユーザの現在地からの距離が近い順に前記一つ以上の空き場所に優先順位を付ける、
請求項4に記載の空き場所通知装置。
【請求項7】
前記通知部は、前記フロアマップ上に前記一つ以上の空き場所を強調して表示させて通知する、
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の空き場所通知装置。
【請求項8】
前記通知部は、前記フロアマップ上の前記一つ以上の空き場所に優先順位を表示させて通知する、
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の空き場所通知装置。
【請求項9】
前記取得部は、対話者の氏名を取得し、
前記対話者の氏名をキーとして、前記対話者の電子カルテ情報から前記特定のキーワードを抽出する抽出部と
を更に具備する、
請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の空き場所通知装置。
【請求項10】
前記取得部は、ユーザと前記対話者との会話を取得し、
前記抽出部は、前記会話を解析することによって前記特定のキーワードを抽出する、
請求項9に記載の空き場所通知装置。
【請求項11】
コンピュータを、
フロアマップおよび人の位置情報を取得する手段と、
前記フロアマップおよび前記位置情報に基づいて、前記フロアマップにおける複数の空き場所を特定する手段と、
前記複数の空き場所のうち、特定のキーワードに関連する一つ以上の空き場所を優先して選択する手段と、
前記一つ以上の空き場所を通知する手段
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、空き場所通知装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、会議室の利用を予約するための予約システムが知られている。また、これに類する用途として、空き駐車場を予約するための予約システムなども知られている。これらの予約システムは、予め登録された場所(例えば、会議室および駐車場)を対象としている。また、これらに関連して、病院内の位置情報を用いて、目的の会議室、或いは診察室までの経路を提示し、案内する技術も知られている。
【0003】
上記のいずれの技術も、予め登録された場所の予約、或いは予め登録された場所への案内を行うものであり、それ以外の場所については考慮されていない。例えば、ユーザと対話者とのプライバシーに配慮した空間(例えば、空き場所)であれば、必ずしも室内である必要はない場合がある。そのような場合に、ユーザに対して適切な空き場所を通知する技術は知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、適切な空き場所を通知することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る空き場所通知装置は、取得部と、特定部と、選択部と、通知部とを備える。取得部は、フロアマップおよび人の位置情報を取得する。特定部は、フロアマップおよび位置情報に基づいて、フロアマップにおける複数の空き場所を特定する。選択部は、複数の空き場所のうち、特定のキーワードに関連する一つ以上の空き場所を優先して選択する。通知部は、一つ以上の空き場所を通知する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る空き場所通知装置を含む医療情報システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1の空き場所通知装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図2の空き場所通知装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施形態における人の位置情報が表示されているフロアマップの一例である。
【
図5】
図5は、実施形態における人の位置情報および空き場所が表示されているフロアマップの一例である。
【
図6】
図6は、
図3のキーワード抽出処理の具体例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態における優先付けテーブルの一例である。
【
図8】
図8は、実施形態における第1の提示結果が表示されているフロアマップの一例である。
【
図9】
図9は、実施形態における第2の提示結果が表示されているフロアマップの一例である。
【
図10】
図10は、他の実施形態における禁止場所が表示されているフロアマップの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
初めに、医療現場における医療者と患者(あるいは患者の家族)とのコミュニケーションについて述べる。
【0009】
これまで関係の無かった人同士において、会話によるコミュニケーションを行うことで両者の関係性が強化され、信頼関係が構築されうることは自明である。このことは、医療者と患者との間にも言えることである。しかし、医療現場、特に診察中においては、医療者から患者に対して、医学的な内容について話すことが多く、また話す時間も限られており、コミュニケーションが不十分になりがちである。
【0010】
また、診察中にコミュニケーションが十分に取れていたとしても、患者自身が大事にしたいことや困っていることが時間と共に変化していくことは往々にしてありうる。更には、会話をする場所や相手によっても話の内容が変化することがありうる。これらのことは、医療者と患者との間において、会話の内容が時間、場所、および話し相手と共に変化しうることを意味する。
【0011】
以上のことから、医療者と患者とのコミュニケーションにおいては、時間、場所、および話し相手の3点を考慮することが重要であると考えられる。例えば、診察中以外のコミュニケーションとして、病院の廊下で行われる偶発的な会話(例えば、立ち話)がある。立ち話では、診療中とは異なり、医学的なこと以外の会話もなされる可能性があり、医療者と患者とのコミュニケーションにおいて有用である。しかし、廊下での立ち話は、例えば、以下の三つのケースにおいて配慮が必要である。
【0012】
ケース1:会話中に他者の往来がある
ケース2:話者が立ち話に支障をきたす状況にある
ケース3:会話の内容が話者のプライバシーに関する話題である
【0013】
以下の実施形態では、上記三つのケースそれぞれに配慮した立ち話を行えうる空き場所通知装置について述べられる。
【0014】
以下、図面を参照しながら、空き場所通知装置の実施形態について詳細に説明する。以降の実施形態において、「空き場所」とは、主に部屋(例えば、会議室および相談室)以外の場所を想定する。部屋以外の場所とは、例えば、施設のエントランス、および廊下などの通路である。ただし、「空き場所」として部屋を排除するものではない。場合により、空き場所通知装置は、部屋を「空き場所」として通知することもありうる。また、以降の実施形態における「空き場所」は、施設内においてプライバシーが保たれている場所である。プライバシーが保たれている場所とは、例えば、周囲に人がいない場所である。
【0015】
更に、以降の実施形態では、空き場所通知装置が主に病院施設で利用される例を挙げて説明をする。しかし、空き場所通知装置は病院施設での利用に限らず、工場およびショッピングセンターなどのあらゆる施設で利用することができる。また、空き場所通知装置は屋外で利用されてもよい。
【0016】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る空き場所通知装置を含む医療情報システムの構成例を示すブロック図である。例えば、
図1に示すように、医療情報システム100は、空き場所通知装置110と、携帯端末装置120と、位置情報取得装置130と、データベース140と、病院情報システム(Hospital Information Systems:HIS)150とを含む。これらの装置およびシステムは、LAN(Local Area Network)などのネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。尚、医療情報システム100は、放射線部門情報管理システム(Radiology Information Systems:RIS)、医用画像診断装置、医用画像管理システム(Picture Archiving and Communication Systems:PACS)、およびデータウェアハウス(Data WareHouse:DWH)などを含んでもよい。
【0017】
携帯端末装置120は、例えば、タブレット端末およびスマートフォンである。携帯端末装置120は、例えば、医療従事者(以降、ユーザ)に所持される。携帯端末装置120は、後述する空き場所を通知するアプリケーション(空き場所通知アプリ)を実行することによって、ユーザに対して空き場所を通知することができる。
【0018】
位置情報取得装置130は、ユーザを含む施設内の人の位置情報を取得する。位置情報取得装置130は、例えば、携帯端末装置(例えばスマートフォン)、ウェアラブルデバイス、およびRFID(Radio Frequency Identifier)を用いた受付票や診察券を介して人の位置情報を取得する。または、位置情報取得装置130は、施設内に設置された人感センサおよびセキュリティカメラを介して人の位置情報を取得してもよい。位置情報取得装置130は、取得した人の位置情報をデータベース140へ逐次記憶する。
【0019】
データベース140は、空き場所通知アプリで利用される様々な情報を記憶している。例えば、データベース140は、施設のフロアマップの情報、人の位置情報、および後述する設定領域情報を記憶する。また、データベース140は、空き場所通知アプリの実行結果を記憶してもよい。
【0020】
病院情報システム150は、例えば、電子カルテに関する情報(電子カルテ情報)を管理する電子カルテシステムを含む。電子カルテシステムには、電子カルテ情報を保存する電子カルテDB(Data Base)151が含まれる。電子カルテ情報は、例えば、患者情報および診療情報などを含む。
【0021】
患者情報は、患者固有の情報であり、例えば、患者ID、患者氏名、性別、誕生日および年齢などを含む。診療情報は、診療の過程で、患者の身体状況、病状および治療などについて、医療従事者が知り得た情報である。診療情報は、例えば、画像情報、検査履歴情報、心電図情報、バイタルサイン情報、薬歴情報、レポート情報、看護記録情報およびカルテ記載情報などを含む。
【0022】
レポート情報は、例えば、診療科の診療医からの検査依頼に対して、放射線科の読影医がX線画像、CT画像、MRI画像および超音波画像などの医用画像を読影し、患者の状態および疾患についてまとめた情報である。レポート情報には、例えば、読影医がPACS5に記憶された医用画像ファイルを参照して作成された読影レポートを表す読影レポート情報が含まれる。尚、一般的にレポート情報はPACSに記憶されているため、電子カルテシステムは、PACSからレポート情報を読み出すことによって、当該レポート情報を表示することができる。
【0023】
看護記録情報は、例えば、看護師などにより電子カルテに入力された情報である。看護記録情報には、入院時の看護記録などが含まれる。
【0024】
カルテ記載情報は、例えば、診療医などにより電子カルテに入力された情報である。カルテ記載情報には、例えば、入院中の診療記録、患者の病歴および薬の処方履歴などが含まれる。入院中の診療記録は、例えば、入力された日時と対応付けられて記録される。本実施形態におけるカルテデータは、例えば、入院中の診療記録の記載内容を想定しているが、その他の情報が含まれていてもよい。その他の情報には、例えば、患者の病歴および薬の処方履歴などや、診療記録に関連付けられた医用画像、或いは医用動画像などが含まれる。このことは、以下の各実施形態でも同様である。
【0025】
画像情報は、例えば、患者を撮影などすることにより取得された医用画像の所在を表す情報である。画像情報には、例えば、検査が実施された結果、医用画像診断装置により生成される医用画像ファイルの所在を表す情報が含まれる。
【0026】
空き場所通知装置110は、携帯端末装置120にインストールされた空き場所通知アプリを介して、携帯端末装置120とデータのやりとりを行う。空き場所通知装置110は、携帯端末装置120から受信したキーワードに関する情報に基づいて、ユーザに空き場所を通知する。
【0027】
図2は、
図1の空き場所通知装置の構成例を示すブロック図である。例えば、
図2に示すように、空き場所通知装置110は、処理回路111と、メモリ112と、通信インタフェース113とを含む。処理回路111、メモリ112、および通信インタフェース113は、例えば、バスを介して互いに通信可能に接続されている。
【0028】
処理回路111は、図示していないプロセッサ、ROM(Read-Only Memory)およびRAM(Random Acces Memory)などのメモリを有し、空き場所通知装置110を制御する。処理回路111は、取得機能111a、場所特定機能111b、キーワード抽出機能111c、優先選択機能111d、および通知機能111eを有する。取得機能111a、場所特定機能111b、キーワード抽出機能111c、優先選択機能111d、および通知機能111eにて行われる各種機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で処理回路111内のメモリ、或いはメモリ112へ記憶されている。処理回路111のプロセッサは、これら各種機能に対応するプログラムをメモリから読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実行する。よって、各プログラムを読み出した状態の処理回路111は、
図2の処理回路111に示された複数の機能などを有することになる。
【0029】
上記では、単一の処理回路111にて前述の各種機能が実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサがプログラムを実行することにより各種機能を実現するものとして構わない。換言すると、前述の各種機能がプログラムとして構成され、一つの処理回路が各プログラムを実行する場合であってもよいし、特定の機能が専用の独立したプログラム実行回路に実装される場合であってもよい。なお、メモリ112などにプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0030】
処理回路111におけるプロセッサは、例えば、メモリ112などに保存されたプログラムを読み出し実行することで各種機能を実現する。また、処理回路111が有する取得機能111a、場所特定機能111b、キーワード抽出機能111c、優先選択機能111d、および通知機能111eは、それぞれ取得部、特定部、抽出部、選択部、および通知部の一例である。
【0031】
取得機能111aは、人の位置情報を含む様々なデータを取得する機能である。例えば、取得機能111aにより、処理回路111は、位置情報取得装置130を介してデータベース140に記憶された人の位置情報を取得する。また、処理回路111は、データベース140に記憶されたフロアマップの情報を取得する。また、処理回路111は、携帯端末装置120を介して、文字列の情報を取得してもよい。文字列の情報は、例えば、対話者の氏名およびユーザと対話者との会話データである。
【0032】
場所特定機能111bは、フロアマップにおける複数の空き場所を特定する機能である。例えば、場所特定機能111bにより、処理回路111は、人の位置情報およびフロアマップに基づいて、フロアマップにおける複数の空き場所を特定する。尚、空き場所の情報には、フロアマップに表示されている部屋のうちの最も近い部屋(例えば、医療生活相談室、薬剤部、画像検査室、生理検査室、救急救命センター、売店、EV(エレベータ)、および外来)の情報が対応付けられてもよい。
【0033】
人の位置情報とフロアマップとの対応付けは、例えば、UTM(Universal Transverse Mercator)座標系を用いてもよいし、電波強度を用いた位置推定技術を用いてもよい。
【0034】
キーワード抽出機能111cは、空き場所を優先して選択するために用いるキーワードを取得、或いは抽出する機能である。例えば、キーワード抽出機能111cにより、処理回路111は、キーワードを取得、或いはキーワードを抽出する。以降では、キーワード抽出機能111cによって取得、或いは抽出されたキーワードを「特定のキーワード」と称することもある。
【0035】
キーワードを取得する場合には、処理回路111は、例えば、ユーザが操作する携帯端末装置120によって入力されたキーワードを直接受け付ける。また、キーワードを抽出する場合には、処理回路111は、例えば、携帯端末装置120を介して取得されたユーザと対話者との会話を解析することによってキーワードを抽出する。または、処理回路111は、ユーザが操作する携帯端末装置120によって入力された対話者の氏名をキーとして、対話者の電子カルテ情報からキーワードを抽出する。
【0036】
優先選択機能111dは、特定のキーワードに関連する空き場所を優先して選択する機能である。例えば、優先選択機能111dにより、処理回路111は、特定された複数の空き場所のうち、特定のキーワードに関連する一つ以上の空き場所を優先して選択する。
【0037】
通知機能111eは、ユーザに対して優先して選択された一つ以上の空き場所(以降、優先選択場所とも称する)を通知する機能である。例えば、通知機能111eにより、処理回路111は、優先して選択された一つ以上の空き場所を通知する。
【0038】
通知の方法は、例えば、フロアマップ上に優先選択場所を強調させて携帯端末装置120に表示させてもよいし、現在地から優先選択場所までの移動経路を音声形式で携帯端末装置120に出力させてもよい。
【0039】
メモリ112は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、および集積回路記憶装置などに相当する。また、メモリ112は、CD-ROMドライブ、DVDドライブ、およびフラッシュメモリなどの可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置などであってもよい。
【0040】
メモリ112は、例えば、空き場所の通知に関するプログラム(空き場所通知プログラム)を記憶する。また、メモリ112は、空き場所通知プログラムで用いるデータを記憶する。
【0041】
通信インタフェース113は、ネットワークを介して接続された携帯端末装置120、位置情報取得装置130、データベース140、および病院情報システム150との間でデータ通信を行う。
【0042】
次に、以上のように構成された実施形態に係る空き場所通知装置の動作について
図3のフローチャートに沿って、
図4から
図9までを用いて説明する。以降の具体例では、ユーザが所持する携帯端末装置120にインストールされた空き場所通知アプリを利用して、空き場所通知装置110と通信することを想定する。
【0043】
図3は、
図2の空き場所通知装置の動作例を示すフローチャートである。
図3のフローチャートは、例えば、ユーザが携帯端末装置120で空き場所通知アプリを起動することを契機として、空き場所通知装置110の処理回路111が空き場所通知プログラムを実行することにより開始する。
【0044】
なお、空き場所通知プログラムの実行は、空き場所通知アプリの起動時に限らない。例えば、空き場所通知アプリを起動したままの状態で、ユーザと対話者とが一定時間立ち止まっていることを空き場所通知アプリが検知し、検知した情報を空き場所通知装置110が受け取ることによって空き場所通知プログラムを実行するようにしてもよい。他にも、空き場所通知アプリを起動したままの状態で、ユーザと対話者との会話が行われていることを空き場所通知アプリが検知し、検知した情報を空き場所通知装置110が受け取ることによって空き場所通知プログラムを実行するようにしてもよい。
【0045】
(ステップST110)
空き場所通知プログラムが実行されると、処理回路111は、取得機能111aを呼び出す。処理回路111は、取得機能111aにより、フロアマップ情報を取得する。
【0046】
(ステップST120)
フロアマップ情報を取得した後、処理回路111は、人の位置情報を取得する。
【0047】
(ステップST130)
人の位置情報を取得した後、処理回路111は、場所特定機能111bを呼び出す。処理回路111は、場所特定機能111bにより、フロアマップ上の空き場所を特定する。具体的には、処理回路111は、フロアマップと人の位置情報との対応付けを行い、人の位置情報が表示されているフロアマップにおける複数の空き場所を特定する。
【0048】
なお、フロアマップと人の位置情報との対応付けが行われた後に、ユーザが所持する携帯端末装置120の画面には、人の位置情報が表示されたフロアマップが表示されてもよい。以下、人の位置情報が表示されているフロアマップについて、
図4を用いて説明する。
【0049】
図4は、実施形態における人の位置情報が表示されているフロアマップの一例である。
図4のフロアマップ400は、病院施設を表している。フロアマップ400において、人の位置情報は人型のアイコンとして表示される。具体的には、フロアマップ400には、携帯端末装置120を所持するユーザに対応する人型のアイコン410と、対話者に対応する人型のアイコン420と、その他複数の人に対応する複数の人型のアイコンが含まれる。
【0050】
次に、空き場所の特定について詳しく説明する。空き場所の特定には、例えば、データベース140に記憶された、予め設定された広さを有する領域の情報(設定領域情報)が用いられる。設定領域情報は、例えば、矩形であれば縦の長さおよび横の長さ(例えば、2m×2m)の情報であり、円形であれば半径の長さ(例えば、1m)の情報である。よって、処理回路111は、フロアマップ上において、周りに人がいない、且つ設定領域情報を満たす場所を空き場所として特定する。
【0051】
空き場所の特定について更に詳しく説明すると、処理回路111は、初めにフロアマップにおいて人がいない領域を抽出する。人がいない領域は、例えば、人の位置情報で得られたそれぞれの位置を中心とした円形(例えば、半径1m)の領域または矩形(例えば、2m×2m)の領域を除外領域とし、フロアマップの領域から除外領域を差し引くことで抽出される。その後、処理回路111は、人がいない領域から上記の設定領域情報を満たす場所を空き場所として特定する。空き場所の特定が行われると、ユーザが所持する携帯端末装置120の画面には、空き場所が表示されたフロアマップが表示されてもよい。以下、空き場所が表示されたフロアマップについて、
図5を用いて説明する。
【0052】
図5は、実施形態における人の位置情報および空き場所が表示されているフロアマップの一例である。
図5のフロアマップ500は、フロアマップ400に対して空き場所を示す領域(空き場所領域)が追加されたものである。具体的には、フロアマップ500には、複数の空き場所領域510から560までが含まれる。
【0053】
(ステップST140)
空き場所を特定した後、処理回路111は、キーワード抽出機能111cを呼び出す。処理回路111は、キーワード抽出機能111cにより、キーワードを抽出する。以降では、ステップST140の処理を「キーワード抽出処理」と称する。キーワード抽出処理の具体例について
図6のフローチャートを用いて説明する。
【0054】
図6は、
図3のキーワード抽出処理の具体例を示すフローチャートである。
図6のフローチャートは、ステップST140から遷移する。
【0055】
(ステップST141)
空き場所を特定した後、処理回路111は、ユーザから、単語または文章の入力を受け付ける。単語または文章の入力は、例えば、空き場所通知アプリを介して行われる。空き場所通知アプリへの入力は、例えば、ユーザが空き場所通知アプリに単語または文章を直接入力してもよいし、マイクロフォンを介して取得された音声データを文字情報に変換して単語または文章を入力してもよい。また、単語の一覧からユーザが選択するようにしてもよい。更に、処理回路111は、会話文の入力を受け付けてもよい。
【0056】
(ステップST142)
入力を受け付けた後、処理回路111は、会話文が入力されたか否かを判定する。会話文が入力されていないと判定された場合、処理はステップST143へと進む。会話文が入力されたと判定された場合、処理はステップST146へと進む。
【0057】
(ステップST143)
会話文が入力されていないと判定された後、処理回路111は、患者氏名が入力されたか否かを判定する。患者氏名が入力されていないと判定された場合、処理はステップST144へと進む。患者氏名が入力されたと判定された場合、処理はステップST145へと進む。
【0058】
(ステップST144)
患者氏名が入力されていないと判定された後、処理回路111は、入力された単語または文章をキーワードとして取得する。キーワードは、例えば、「泣いている」「告知日」「足が悪い」「子供連れ(子供、兄弟、姉妹)」「がん治療法」「口内炎」「医療費」「通院時間」「子供が欲しい」「息切れがする」「副作用が辛い」および「希死念慮」であり、どのようなものでもよい。また、キーワードは、「怒り」「悲しみ」などの感情を表す単語でもよい。ステップST144の処理の後、処理はステップST150へ遷移する。
【0059】
(ステップST145)
患者氏名が入力されたと判定された後、処理回路111は、電子カルテDB151にアクセスし、患者氏名の電子カルテ情報を取得し、電子カルテ情報から一つ以上のキーワードを抽出する。具体的には、処理回路111は、電子カルテ情報から患者の状況を分析し、キーワードを抽出する。患者の状況は、例えば、「初診」「告知日」「妊孕性相談」および「主訴情報(例えば、副作用の口内炎が辛い)」である。ステップST145の処理の後、処理はステップST150へ遷移する。
【0060】
電子カルテ情報からのキーワードの抽出についていくつか例を挙げて説明する。処理回路111は、例えば、診察回数が1回目の場合にキーワード「初診」を抽出する。また例えば、処理回路111は、直前の診察に関する電子カルテ情報から「悪性」「カテゴリー3」および「ステージ」などの単語を抽出した場合にキーワード「告知日」を抽出する。
【0061】
また例えば、処理回路111は、単語とキーワードとを対応付けた関連辞書をデータベース140から読み出してもよい。処理回路111は、関連辞書を参照することで、電子カルテ情報に含みうる「挙児希望」および「子供が欲しい」などの単語群からキーワード「妊孕性」を抽出する。上記の関連辞書は、キーワード毎に作成されてよい。
【0062】
(ステップST146)
会話文が入力されたと判定された後、処理回路111は、会話文を解析する。会話文の解析は、例えば、形態素解析およびTF-IDFが用いられる。例えば、処理回路111は、形態素解析によって会話文から名詞を抽出し、TF-IDFによる単語の重みづけを行って話題語を解析結果として出力する。尚、キーワードが抽出可能であれば、解析結果の形態は問わない。
【0063】
(ステップST147)
会話文を解析した後、処理回路111は、解析結果に基づいてキーワードを抽出する。具体的には、解析結果が話題語の場合、処理回路111は、患者の状況に関係のある話題語をキーワードとして抽出する。ステップST147の処理の後、処理はステップST150へ遷移する。尚、キーワードの抽出は、電子カルテ情報からのキーワードの抽出と同様の手法が用いられてもよい。
【0064】
(ステップST150)
キーワードを抽出した後、処理回路111は、優先選択機能111dを呼び出す。処理回路111は、優先選択機能111dにより、キーワードに基づいて空き場所の優先順位付けを行う。
【0065】
具体的には、処理回路111は、キーワードと、重みと、優先条件またはリソースとを対応付けた優先付けテーブルに基づいて、空き場所の優先順位付けを行う。優先条件およびリソースは、空き場所に優先順位を付けるための条件である。リソースには、キーワードに対応する特定の部屋(例えば、フロアマップに表示されている部屋)が設定される。優先条件には、特定の部屋以外の「会議室」や、現在地から最も近い場所を優先する「移動距離」などが設定される。尚、優先条件とリソースとを区別しなくてもよく、優先条件がリソースを含んでもよい。この場合、優先条件には、「会議室」および「移動距離」などが含まれることとなる。
【0066】
より具体的には、処理回路111は、抽出したキーワードをキーとして、優先付けテーブルから、重みと、優先条件またはリソースとを読み出す。抽出したキーワードが複数である場合、処理回路111は、重みが高いキーワードを優先し、優先条件に適合する、またはリソースに近い空き場所を選択する。以下、優先付けテーブルについて、
図7を用いて説明する。
【0067】
図7は、実施形態における優先付けテーブルの一例である。
図7の優先付けテーブル700は、キーワードと、重みと、優先条件またはリソースとがそれぞれ対応付けられている。例えば、キーワード「足が悪い」には、重み「0.7」および優先条件「移動距離」が対応付けられている。また例えば、キーワード「子供連れ」には、重み「0.4」およびリソース「キッズプレイルーム」が対応付けられている。
【0068】
なお、優先付けテーブルは、キーワードに対して優先条件およびリソースの両方が対応付けられていてもよい。例えば、優先付けテーブル700において、キーワード「息切れがする」には、重み「1.0」、優先条件「移動距離」、およびリソース「救急救命センター」が対応付けられている。
【0069】
また、優先付けテーブルにおいて、リソースが複数対応付けられていてもよい。例えば、優先付けテーブル700において、キーワード「抗がん剤の副作用」には、重み「0.6」およびリソース「がん相談室,薬剤部」が対応付けられている。
【0070】
(ステップST160)
優先順位付けを行った後、処理回路111は、通知機能111eを呼び出す。処理回路111は、通知機能111eにより、空き場所を優先順位と共にフロアマップ上に提示する。
【0071】
具体的には、処理回路111は、フロアマップ上に表示された空き場所に対して、優先順位を表示する。このとき、フロアマップにおいて、優先順位の数字を全て表示しなくてもよく、上位の優先順位の数字だけ表示してもよい。上位の優先順位とは、予め設定された順位の数字(例えば、3)である。
【0072】
また、処理回路111は、優先順位が付された空き場所を強調して表示させてもよい。このとき、上位の優先順位が設定されていれば、フロアマップにおいて、優先順位の数字が表示されなくてもよく、その場合、空き場所が強調して表示されていればよい。
【0073】
ステップST160の処理の後、空き場所通知プログラムは終了する。次に、実施形態に係る空き場所通知装置において、異なるキーワードを取得した場合の二つの提示結果を
図8および
図9を用いて説明する。第1の提示結果は、例えば、キーワードとして「足が悪い」を取得した場合である。第2の提示結果は、例えば、キーワードとして「医療費」を取得した場合である。尚、以降では第3位まで順位付けするものとする。
【0074】
図8は、実施形態における第1の提示結果が表示されているフロアマップの一例である。
図8のフロアマップ800には、フロアマップ500と同様に複数の空き場所領域810から860までが含まれる。空き場所通知装置110は、キーワード「足が悪い」を取得すると、優先付けテーブル700から、キーワード「足が悪い」に対応する優先条件「移動距離」を読み出す。空き場所通知装置110は、優先条件「移動距離」に基づいて、携帯端末装置120を所持するユーザの現在地からの距離が近い順に複数の空き場所領域810から860までを順位付けする。順位付けの結果、空き場所領域830が1位、空き場所領域810が2位、空き場所領域850が3位となり、空き場所通知装置110は、順位付けされたそれぞれの空き場所領域に順位を表示させる。更に、空き場所通知装置110は、その他の空き場所領域と区別し易いように、順位付けされた複数の空き場所領域810,830,850それぞれを強調して表示させる。
【0075】
図9は、実施形態における第2の提示結果が表示されているフロアマップの一例である。
図9のフロアマップには、フロアマップ500と同様に複数の空き場所領域910から960までが含まれる。空き場所通知装置110は、キーワード「医療費」を取得すると、優先付けテーブル700から、キーワード「医療費」に対応するリソース「医療生活相談室」を読み出す。空き場所通知装置110は、リソース「医療生活相談室」への距離が近い順に複数の空き場所領域810から860までを順位付けする。順位付けの結果、医療生活相談室に最も近い空き場所領域920が1位、空き場所領域930が2位、空き場所領域910となり、空き場所通知装置110は、順位付けされたそれぞれの空き場所領域に順位を表示させる。更に、空き場所通知装置110は、順位付けされた複数の空き場所領域910,920,930それぞれを強調して表示させる。
【0076】
以上の動作を、ユーザ(医療従事者)の操作に着目して説明する。例えば、病院施設内の廊下において医療従事者と患者(対話者)とが立ち話をはじめた場合を想定する。この場合、ユーザは、携帯端末装置120で空き場所通知アプリを起動させる。もし対話者が子供連れであり、子供にも配慮した空き場所を探したいとすると、ユーザは、空き場所通知アプリにキーワード「子供あり」と入力する。これにより、空き場所通知アプリは、キーワード「子供あり」を考慮した空き場所をフロアマップ上に優先順位と共に表示させる。このとき、フロアマップに子供が遊べる「キッズスペース」があれば、空き場所通知アプリは、「キッズスペース」に近い空き場所を優先順位と共に表示させる。
【0077】
以上説明したように、実施形態に係る空き場所通知装置は、フロアマップおよび人の位置情報を取得し、フロアマップおよび位置情報に基づいて、フロアマップにおける複数の空き場所を特定し、複数の空き場所のうち、特定のキーワードに関連する一つ以上の空き場所を優先して選択し、一つ以上の空き場所を通知する。
【0078】
従って、実施形態に係る空き場所通知装置は、特定のキーワードに基づく空き場所を優先して選択できることにより、適切な空き場所を通知することができる。
【0079】
また、実施形態に係る空き場所通知装置は、冒頭で述べた三つのケースそれぞれに配慮することができる。以下では、それぞれのケースについて病院内での立ち話を例に説明する。
【0080】
実施形態に係る空き場所通知装置は、人がいない領域を空き場所としてフロアマップに表示させることができる。よって、医療者は、空き場所通知装置によって複数の空き場所から他者の往来が少ない空き場所を特定することにより、上記ケース1に配慮をすることができる。
【0081】
また、実施形態に係る空き場所通知装置は、患者に関する状況をキーワードとして設定することにより、患者に関する状況に応じて適切な空き場所を提示することができる。よって、医療者は、空き場所通知装置によって患者にとって適切な空き場所を特定することにより、上記ケース2およびケース3に配慮することができる。
【0082】
以上のことを概括すると、実施形態に係る空き場所通知装置は、適切な環境で医療者が患者と話をすることで患者の考えを知ることができ、全人的医療を促進することができる。例えば、病院での診察において、医療者と患者との会話が医学的な話題で終始してしまうことがある。これは、限られた時間の中で診察が行われることに起因する。一方で、患者と医療者との信頼関係の構築および患者の全人的(換言すると、生物心理社会的)な理解を得るためには、患者と医療者とが医学的な話題に限らず十分な会話を行えることが理想である。このことから、医療者と患者との間で発生した偶発的な会話は貴重である。よって、実施形態に係る空き場所通知装置は、医療者と患者との間で発生した偶発的な会話を維持し得る環境を提供することができるため、全人的医療を促進することに繋がる。
【0083】
(他の実施形態)
上記の空き場所通知装置110は、携帯端末装置120の空き場所通知アプリを介して動作させていたがこれに限らない。例えば、空き場所通知アプリが空き場所通知装置110の各機能を実行してもよい。即ち、携帯端末装置120の有する処理回路が空き場所通知プログラムを実行してもよい。
【0084】
上記の空き場所通知装置110は、
図3のフローチャートの処理を実行することによって、ある時点において順位付けされた複数の空き場所を提示する例を挙げたがこれに限らない。例えば、
図3のフローチャートのステップST160の処理の後に、ステップST110またはステップST120へと戻ってもよい。ステップST120へと戻った場合、処理回路111は、人の位置情報の変化に合わせて空き場所の変更、空き場所の優先順位変更、またはその両方を行うこととなる。これにより、ユーザは、リアルタイムで空き場所を把握することが可能となる。
【0085】
上記の空き場所通知装置110は、フロアマップと人の位置情報とに基づいて複数の空き場所を特定したがこれに限らない。例えば、空き場所通知装置110は、更にフロアマップ上に設定された禁止領域の情報に基づいて、上記複数の空き場所を特定してもよい。
【0086】
図10は、他の実施形態における禁止場所が表示されているフロアマップの一例である。
図10のフロアマップ1000には、空き場所として設定することを禁止する場所の領域(禁止場所領域)が示されている。禁止場所は、例えば、施設の出入り口付近、ドアの前、および動線を塞ぐ恐れのある場所がある。具体的には、フロアマップ1000には、出入り口付近に相当する二つの禁止場所領域1011,1012と、ドアの前に相当する7つの禁止場所領域1021から1027までと、通路の入り口などの動線を塞ぐ恐れのある場所に相当する5つの禁止場所領域1031から1035までとが示されている。尚、禁止場所領域の情報は、予めフロアマップに対応付けられていても良いし、空き場所通知装置110がフロアマップを解析することによって禁止場所を推定してもよい。
【0087】
更に、空き場所通知装置110は、過去の人の位置情報を解析することによって、人の動線になり得る場所を禁止場所として推定してもよい。これにより、ユーザが空き場所を探す際に、現時点では人がいない場所であっても、頻繁に人が行き来する場所を除外することができる。
【0088】
上記とは逆に、空き場所通知装置110は、フロアマップ上の特定の領域において優先順位を上げるような処理をしてもよい。ここでの特定の領域とは、例えば、人がいない部屋(例えば、休診中の検査室)の近くの空き場所に相当する。人がいない部屋の周囲は、人がいる部屋の周囲よりも相対的に空いていると考えられるため、ユーザは、より適切な空き場所を選択することができる。
【0089】
上記の空き場所通知装置110は、上記した以外の他の機能を有していてもよい。他の機能は、例えば、(1)他のユーザへ通知する機能、(2)ユーザおよび対話者以外の第三者が近づいてくることを通知する機能、および(3)空き場所までの移動経路を表示する機能を含む。
【0090】
上記(1)の機能において、空き場所通知装置110は、他のユーザに対しても空き場所などを通知してもよい。他のユーザは、例えば、対話者(患者)の担当医、および空き場所に近い部屋に所在している医師である。空き場所通知装置110が取得するキーワードは、主に患者に関するものである。よって、キーワード「息切れがする」などが取得された場合には、空き場所通知装置110は、担当医が所持する携帯端末装置に空き場所および現在地などを通知してもよい。これにより、担当医は、対話者である患者の居場所をすぐに特定することができる。
【0091】
上記(2)の機能において、空き場所通知装置110は、通知された空き場所(或いは、現在地)に第三者が近づいてくることをアラートなどで通知してもよい。これにより、ユーザは、第三者が近づいてくることがわかるため、対話者のプライバシーを考慮した会話を行うことができる。また、アラートの通知が空き場所へ到着する前であれば、ユーザは、別の空き場所へ移動することを検討することができる。
【0092】
上記(3)の機能において、空き場所通知装置110は、通知された空き場所までの移動経路をフロアマップ上に表示させてもよい。これにより、ユーザは、空き場所までスムーズに移動することができる。
【0093】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、適切な空き場所を通知することができる。
【0094】
「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array :FPGA))等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、プログラムが記憶回路に保存される代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図2における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0095】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0096】
100 医療情報システム
110 空き場所通知装置
111 処理回路
111a 取得機能
111b 場所特定機能
111c キーワード抽出機能
111d 優先選択機能
111e 通知機能
112 メモリ
113 通信インタフェース
120 携帯端末装置
130 位置情報取得装置
140 データベース
150 病院情報システム(Hospital Information Systems:HIS)
151 電子カルテDB
400,500,800,1000 フロアマップ
410,420 アイコン
510,520,530,540,550,560 空き場所領域
700 テーブル
810,820,830,840,850,860 空き場所領域
910,920,930,940,950,960 空き場所領域
1011,1012,1021,1022,1023,1024,1025,1026,1027,1031,1032,1033,1034,1035 禁止場所領域