(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012089
(43)【公開日】2023-01-25
(54)【発明の名称】保持具
(51)【国際特許分類】
A01G 9/14 20060101AFI20230118BHJP
【FI】
A01G9/14 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115528
(22)【出願日】2021-07-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年4月14日に東都興業株式会社の担当者がミヤタネ商事株式会社にて発明の内容を説明した。 令和3年4月14日に東都興業株式会社の担当者が協同日之出産業株式会社にて発明の内容を説明した。 令和3年4月20日に東都興業株式会社の担当者が有限会社祐健にて発明の内容を説明した。
(71)【出願人】
【識別番号】000221568
【氏名又は名称】東都興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(72)【発明者】
【氏名】窪田 亮
【テーマコード(参考)】
2B029
【Fターム(参考)】
2B029DA05
2B029DA10
(57)【要約】
【課題】シートを劣化させることなくホース等の簡易構造物の付属部品をパイプ材へ容易に結束できる保持具の提供する。
【解決手段】本発明における保持具1は、複数のパイプ材P1を組み合わせて形成される骨組Bと骨組Bの外面に定着されるシートS1,S2とを有して内部に室Rを形成する簡易構造物Gにおけるパイプ材P1を側方から把持する把持部2と、把持部2に接続されて簡易構造物Gに付属する付属部品Hを保持する保持部3とを備え、把持部2がパイプ材P1を把持すると把持部2の先端2a1,2b1は、パイプ材の室外側端よりも室内側に配置される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパイプ材を組み合わせて形成される骨組と前記骨組の外面に定着されるシートとを有して内部に室を形成する簡易構造物における前記パイプ材を側方から把持する把持部と、
前記把持部に接続されて、前記簡易構造物に付属する付属部品を保持する保持部とを備え、
前記把持部が前記パイプ材を把持すると、前記把持部の室外側端は、前記パイプ材の室外側端よりも室内側に配置される
ことを特徴とする保持具。
【請求項2】
前記把持部は、前記パイプ材の室内外へ貫通する方向における中央より室外側に当接する一対の側片と、前記側片同士を連結するとともに前記パイプ材の室内側端に当接する底片とを有する
ことをと特徴とする請求項1に記載の保持具。
【請求項3】
前記側片の先端同士が互いに接近する方向に傾いた姿勢で底片に接続されており、側片の先端間の開口幅がパイプ材の外径未満である
ことを特徴とする請求項2に記載の保持具。
【請求項4】
前記保持部は、前記把持部に基端が接続されるフックであって、
前記フックの先端は、前記把持部と遠ざかる方向へ湾曲する湾曲面を有する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の保持具。
【請求項5】
前記把持部と前記フックは、1本の線材で形成される
ことを特徴とする請求項4に記載の保持具。
【請求項6】
前記フックは、先端に前記線材を折り曲げ成型によって形成される湾曲部を有する
ことを特徴とする請求項5に記載の保持具。
【請求項7】
前記付属部品は、前記シートの室内側面に結露した水を収集する収集具に接続されるホースであって、
前記フックの先端と前記把持部との間の距離は、前記ホースの外径未満である
ことを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載の保持具。
【請求項8】
前記フックの内周と前記底片の外周との間の最大距離は、前記ホースの外径未満である
ことを特徴とする請求項7に記載の保持具。
【請求項9】
前記パイプ材は、断面円形であって、
前記保持部は、C形状であって、
前記把持部は、前記保持部の両端からそれぞれ延長されて互いに対向する把持片を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の保持具。
【請求項10】
前記各把持片は、前記保持部の両端からそれぞれ立ち上がる直線部と、前記直線部から延びて互いに対向する円弧状部とを有する
ことを特徴とする請求項9に記載の保持具。
【請求項11】
前記付属部品は、前記シートの室内側面に結露した水を収集する収集具に接続されるホースであって、
前記保持部の内径は、ホースの外径よりも小径に設定されている
ことを特徴とする請求項9または10に記載の保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
奥行方向に並べて配置されるアーチパイプと各アーチパイプに奥行方向に沿って水平に架け渡される母屋パイプとを備えた骨組と、骨組に取り付けられたシート定着フレームを介して骨組の外面に定着されるシートとを備えたビニールハウス等の簡易構造物にあっては、シートの室内面に結露した水が室内で栽培中の植物に落下すると、室内で栽培されている植物の根腐れ、病気、生育不良や品質不良を引き起こすため、付属部品として結露した水を収集する収集具と、収集具に一端が接続されて収取具で採取した水を室外へ排出するホースとを備えている。
【0003】
ホースは、連棟型ビニールハウスではビニールハウス間の谷部に設けられる谷桶に収集具で採取した水を排出するようになっており、谷桶を介して結露した水を室外へ排出している。
【0004】
このように、簡易構造物では、結露対策として付属部品として収集具とホースとを備えることが多い。収集具は、桶状であって骨組に対して奥行方向に直列して架け渡される複数の長尺な露受フレームの互いに向きあう端部同士に嵌合して簡易構造物に設置されている。また、収集具は、下端に内方へ通じるノズルを備えており、ホースの一端の内方にノズルを差し込むことでホースに接続される。
【0005】
ホースの他端は、前述したように谷桶内に配置されるが、可撓性であるために何ら支持されていないと谷桶から脱落してしまうため、骨組を構成するパイプ材にホースの途中を結束しておく必要がある。ホースのパイプ材への結束には、一般的に番線や結束バンドを用いて行われている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような簡易構造物で植物を栽培する場合、室内の温度を植物の栽培に適した温度に調節する必要があるので、ビニールハウスの谷部に開口部を設けてあり、開口部を覆うシートを巻上げることで開口部を開放して室内換気を行えるようになっている。
【0008】
詳しくは、前記開口部を覆うシートの下端に巻取軸が取り付けられており、巻取軸を回転駆動することで当該シートを巻き上げることで開口部を開放して室内の換気を行うことができ、室内換気が不要な場合には取付軸を逆回転させてシートを展開して開口部を閉鎖することができる。巻取軸でシートを巻き上げる際には、取付軸の外周にロール状に巻き上げられたシートがアーチパイプ上を谷部から屋根側へ向かって回転しながら上方へ移動し、シートを展開する際には、ロール状のシートがアーチパイプ上を屋根側から谷部へ向かって移動する。
【0009】
ここで、前述した通り、ホースが谷桶から脱落しないようにホースをアーチパイプに結束する必要があるが、アーチパイプにおけるホース結束部分は、前記開口部に臨むアーチパイプの谷桶の至近部分となることが多い。そして、アーチパイプへのホースの結束は、番線や結束バンドを用いてパイプごとホースを外側から縛る格好で行われるため、アーチパイプの開口部に臨む上端に番線や結束バンドによる突条が形成されることになる。
【0010】
よって、開口部を開閉する際には、取付軸の外周に巻かれたロール状のシートがアーチパイプ上を上下に移動するので、ロール状のシートが開口部を開閉する度にホースを結束する番線や結束バンドによる突条に乗り上げることになるので、シートを傷つけて劣化させてしまう問題がある。
【0011】
ホースを骨組を構成するパイプ材に結束するには、パイプ材とホースとを隣接させた状態に保持しつつ、番線や結束バンドを両者の外周に巻きまわす作業が必要となるので、結束する作業が非常に面倒である。
【0012】
さらには、ホースをパイプ材に結束した後に、シートを傷めないように番線や結束バンドの余剰となる末端を切り落とす必要があり、この点でも結束作業を煩雑で手間がかかる作業となっている。
【0013】
そこで、本発明は、シートを劣化させることなくホース等の簡易構造物の付属部品をパイプ材へ容易に結束できる保持具の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記した課題を解決するために、本発明の保持具は、複数のパイプ材を組み合わせて形成される骨組と前記骨組の外面に定着されるシートとを有して内部に室を形成する簡易構造物における前記パイプ材を側方から把持する把持部と、前記把持部に接続されて、前記簡易構造物に付属する付属部品を保持する保持部とを備え、前記把持部が前記パイプ材を把持すると、前記把持部の室外側端は、前記パイプ材の室外側端よりも室内側に配置されることを特徴とする。
【0015】
このように構成された保持具は、把持部がパイプ材を側方から把持しており、把持部がパイプ材を把持した状態で把持部の室外側端がパイプ材の室外側端と同じレベル或いはパイプ材の室外側端を超えて室外側へ突出しないので、シートに接触することはない。
【0016】
また、保持具における把持部は、パイプ材の室内外へ貫通する方向における中央より室外側に当接する一対の側片と、側片同士を連結するとともにパイプ材の室内側端に当接する底片とを備えてもよい。このように構成された保持具によれば、一対の側片と底片とを備えているので、パイプ材に対して室内側から取付できるともに、パイプ材が断面円形状であっても安定的にパイプ材を把持できる。
【0017】
さらに、側片の上端同士を互いに接近する方向に傾いた姿勢で底片に接続させるとともに、側片の先端間の開口幅をパイプ材の外径よりも短くしてもよい。このように構成された保持具によれば、一対の側片と底片とで、パイプ材の室内外を貫通する方向の中央より室外側の2点と室内側端との3点で挟持できるのでパイプ材を強固に把持して、パイプ材からの脱落を防止できる。
【0018】
そして、保持部が把持部に基端が接続されるフックであって、フックの先端が把持部と遠ざかる方向へ湾曲する湾曲面を有していてもよい。このように構成された保持具によれば、保持部がフックであるから、ホースの取付順序の選択の自由度が向上するとともに、付属部品をフック内に挿入する際に付属部品を円滑にフック内に挿入できる。
【0019】
さらに、保持具における把持部とフックとが1本の線材で形成される場合には、保持具を容易且つ安価に製造できる。
【0020】
また、フックが先端に線材を折り曲げ成型によって形成される湾曲部を有する場合には、保持具が1本の線材で形成されていても作業者は湾曲部をつまんで容易に保持具をパイプ材に取り付け得る。
【0021】
そして、付属部品がシートの室内側面に結露した水を収集する収集具に接続されるホースであって、保持具におけるフックの先端と把持部との間の距離がホースの外径よりも短くなっていてもよい。このように構成された保持具は、フックがホースを引っかけ持つと、ホースがフックから脱落するのを防止できる。
【0022】
さらに、フックの内周と底片の外周との間の最大距離をホースの外径よりも短くする場合には、保持具は、フックと底片とでホースを緊迫してホースを固定的に把持してホースのふらつきを防止できる。
【0023】
また、パイプ材を断面円形とする場合には、保持具は、保持部をC形状として、把持部が保持部の両端からそれぞれ延長されて互いに対向する把持片を有していてもよい。このように構成された保持具によれば、構造が単純で簡素な形状をしているので、製造が容易となるともに安価に製造できる。
【0024】
そして、保持具における各把持片が保持部の両端からそれぞれ立ち上がる直線部と、直線部から延びて互いに対向する円弧状部とを備えていてもよい。このように構成された保持具によれば、ホースがパイプ材に接触してホースが摩耗するのを防止できる。
【0025】
さらに、付属部品がシートの室内側面に結露した水を収集する収集具に接続されるホースであって、保持具における保持部の内径がホースの外径よりも小径に設定されてもよい。このように構成された保持具によれば、ホースを緊迫してホースを固定的に把持してホースのふらつきを防止できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の保持具によれば、シートを劣化させることなくホース等の簡易構造物の付属部品をパイプ材へ容易に結束できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図3】シートの室内側面に結露する水を収集する収集具とホースの斜視図である。
【
図4】第一の実施の形態における保持具の正面図である。
【
図5】第一の実施の形態における保持具の側面図である。
【
図6】第一の実施の形態における保持具の斜視図である。
【
図7】パイプ材を把持した状態の第一の実施の形態における保持具の正面図である。
【
図8】パイプ材を把持するとともにホースを保持した状態における第一の実施の形態の保持具の側面図である。
【
図9】第一の実施の形態の第一変形例における保持具の斜視図である。
【
図10】第一の実施の形態の第二変形例における保持具の斜視図である。
【
図11】第二の実施の形態における保持具の正面図である。
【
図12】第二の実施の形態における保持具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<第一の実施の形態>
本発明の第一の実施の形態に係る保持具1は、
図1から
図8に示すように、簡易構造物としてのビニールハウスGの骨組Bにおけるパイプ材P1,P2,P3を側方から把持する把持部2と、把持部2に接続されてビニールハウスGに付属する附属物としてのホースHを保持する保持部としてのフック3とを備えて構成されている。
【0029】
以下、保持具1と保持具1が取り付けられるビニールハウスGについて詳細に説明する。簡易構造物としてのビニールハウスGは、
図1および
図2に示すように、地面にビニールハウスGの奥行方向に平行に設置される複数のパイプ材としてのアーチパイプP1と、複数のアーチパイプP1に対して前記奥行方向に沿って地面に対して平行して架け渡される直線状の複数のパイプ材としての母屋パイプP2とを含んで形成される骨組Bと、アーチパイプP1に対して前記奥行方向に沿って地面に対して平行に架け渡される直線状の複数のシート定着フレームFと、シート定着フレームFを介して骨組Bの外面に定着されて骨組Bの妻面、屋根面および側面を覆うシートS1,S2とを備えて内部に室Rを形成している。
【0030】
第一の本実施の形態の保持具1が利用される簡易構造物としてのビニールハウスGは、間口方向に複数棟が隣接して設けられる連棟型となっており、隣り合うビニールハウスGの側部同士が重なり合うようにして間口方向で連結された構造となっており、各棟の室を互いに接続して一纏まりの室Rを形成している。
【0031】
なお、各棟のビニールハウスGの骨組Bは、妻面に縦横に組み合わせた複数のパイプ材P3とを備えており、パイプ材P3に取り付けられた図外のシート定着フレームを利用して骨組Bの妻面にシートS1が定着される。
【0032】
また、少なくとも1棟のビニールハウスGは、骨組Bの妻面にビニールハウスG内である室R内へ作業者の出入りを可能とする出入口が備えており、パイプ材P3に当該出入口を開閉する扉TがビニールハウスGの間口方向へスライド可能に取り付けられている。扉TにもシートS1が展張されており、扉Tで出入口を閉じた状態ではビニールハウスGの室R内を閉鎖できる。
【0033】
さらに、
図1および
図2に示すように、隣り合うビニールハウスGの中央には谷部Vが形成されており、室R内の換気の為に、骨組Bの屋根面の途中から谷部Vにかけて開口部Oが設けられている。そして、ビニールハウスGは、開口部Oを覆う開閉用シートS2と、開閉用シートS2の下端に取り付けた巻取軸Wと、巻取軸Wを回転操作するハンドルJとを備えている。なお、巻取軸Wは、モータ等の駆動源によって回転駆動されるようになっていてもよい。そして、巻取軸Wを回転駆動して開閉用シートS2を巻上げると、開閉用シートS2が巻取軸Wに巻き取られてロール状となって回転しながらアーチパイプP1上を屋根側となる上方側へ移動する。開口部Oを開放した状態から巻取軸Wを逆回転させると巻取軸Wの外周のロール状の開閉用シートS2が回転しながらアーチパイプP1上を谷部側となる下方側へ移動するので、
図1に示したように、開閉用シートS2が開口部O上に展開されて開口部Oを閉鎖できる。
【0034】
また、ビニールハウスGは、
図2に示すように、シートS1,S2の室内側面に結露する水を収集して室R内の土壌への落下を防止するために、アーチパイプP1の頂部と谷部Vの途中にビニールハウスGの奥行方向に沿って地面に対して平行に取り付けられる直線状の複数の露受フレームDと、奥行方向で隣り合う露受フレームD,Dの端部同士に接続されて水を収集する収集具Cと、ビニールハウスG,Gの谷部Vに設置される谷桶VGと、収集具Cで収集した水を谷桶VG内に排水する付属部品としてのホースHとで構成された結露回収装置Kを備えている。結露回収装置Kは、ビニールハウスGの奥行方向で適宜の間隔で複数設けられる。
【0035】
露受フレームDは、
図3に示すように、シートS2を骨組Bに定着させるフレームと一体に設けられてシートS1および開閉用シートS2の室内側面に結露した水を受ける桶状のフレームを備えている。収集具Cは、
図3に示すように、露受フレームD,D端部同士を連結するとともに、露受フレームD,Dの端部から水を収集して下端のノズル4から排出することができる。
【0036】
ホースHは、
図2および
図3に示すように、外周に蛇腹状の凹凸を備えており、上端となる一端が収集具Cのノズル4の外周に嵌合されて収集具Cに接続されるとともに、下端となる他端が谷桶VG内に配置されている。また、ホースHは、他端が谷桶VG内から脱落しないように、収集具Cに接続される一端から谷桶VG内に臨む他端までの間が、アーチパイプP1に取り付けけられた保持具1によって保持される。なお、ホースHは、複数の保持具1によって保持されてもよい。
【0037】
図2および
図3に示した結露回収装置Kの露受フレームDおよび収集具Cの具体的な構成は、一例であって、設計変更によって改変することができる。また、露受フレームDをアーチパイプP1に対して上下に複数の列を成すように設ける場合、収集具Cの上方側にホースHの接続を可能とする孔やノズル或いは凹部を設けておいて、上列の露受フレームD同士を接続する収集具Cのノズル4に接続されるホースHの下端を下列の露受フレームD同士を接続する収集具Cに接続してもよい。このようにすれば、上列の収集具Cで収集して水を、上列の収集具Cと下列の収集具Cとを接続するホースH、下列の収集具Cおよび下列の収集具Cに接続されたホースHを介して谷桶VGへ排出できる。このようにすれば、上列の収集具Cに接続されるホースHで水を谷桶VGへ直接排出する場合に比較して、ホース長を短くできる。
【0038】
また、結露回収装置KをビニールハウスGの屋根部から谷部Vと反対側の肩部或いは側部にかけて設ける場合や、ビニールハウスGが単棟型であって屋根部から肩部或いは側部にかけて設ける場合には、図示はしないが、収集具Cのノズル4に接続されていないホースHの他端についてはビニールハウスGの下方へ延長して室R外へ排水する等とすればよい。
【0039】
つづいて、保持具1について詳細に説明する。保持具1は、
図4から
図6に示すように、ビニールハウスGの骨組Bを構成するパイプ材としてのアーチパイプP1を側方から把持する把持部2と、一端が把持部2に接続されてビニールハウスGに付属する付属部品としてのホースHを引っかけ持つフック3とを備えて構成されている。
【0040】
第一の実施の形態の保持具1は、1本の金属製の線材を折り曲げ成型して把持部2と保持部としてのフック3とが形成されている。つまり、保持具1は、1本の線材で形成されている。
図7に示すように、アーチパイプP1をアーチパイプP1の軸方向から見て、アーチパイプP1の室内側を向く端部である
図7中下端を室内側端aとし、アーチパイプP1の室外側を向く端部である
図7中上端を室外側端bとし、アーチパイプP1の
図7中左右を向く方を側方として、把持部2は、アーチパイプP1の側方を把持してアーチパイプP1に取り付けられる。
【0041】
詳しくは、把持部2は、アーチパイプP1の側方であって室外側に当接する一対の側片2a,2bと、側片2a,2b同士を連結するとともにアーチパイプP1の室内側端に当接する底片2cとを備えている。
【0042】
側片2aは、逆さU字状であって側片2aを形成する線材の一端が円弧状の底片2cの一端に連なっている。側片2bも逆さU字状であって側片2bを形成する線材の一端が底片2cの他端に連なっており、他端がフック3の基端に連なっている。
【0043】
側片2a,2bは、
図4に示すように、先端2a1,2b1同士が互いに接近する方向に傾いた姿勢で底片2cに接続されており、底片2cは、下に凸となる円弧形状をしている。よって、保持具1を
図4に示すように正面から見ると、側片2a,2bと底片2cとで、側片2a,2bの室外側端となる先端2a1,2b1の開口幅L1が底片2cの幅L2よりも狭い扇形環形状の溝2dを形成している。このように、把持部2の室外側端は、各側片2a,2bの先端2a1,2b1となっている。
【0044】
また、側片2a,2bの上端間の開口幅L1は、
図4中で破線で示すアーチパイプP1の外径φよりも短く、底片2cの幅L2は、アーチパイプP1の外径φよりも長くしてある。また、底片2cの内周の最下端2c1から側片2a,2bの先端2a1,2b1までの上下方向の高さL3は、アーチパイプP1の半径φ/2よりも高いが外径φよりも低くしてある。
【0045】
よって、把持部2の側片2a,2bの先端2a1,2b1同士をアーチパイプP1の室内側に当接させた状態で、把持部2をアーチパイプP1に対して室外側へ向けて押圧すると、把持部2が弾性変形して側片2a,2bの先端2a1,2b1同士が遠ざかって溝2d内にアーチパイプP1が押し込まれる。すると、側片2a,2bが先端2a1,2b1同士を広げた状態でアーチパイプP1の室内外方向の中央より室外側に当接するため、側片2a,2bの弾発力でアーチパイプP1が底片2c側に押し付けられて、アーチパイプP1の室内側端aが底片2cの内周の最下端2c1に当接する。
【0046】
このように、アーチパイプP1が把持部2の溝2d内に嵌合されると、
図7に示すように、側片2a,2bがアーチパイプP1の室内外へ貫通する方向(
図7中の上下方向)における中央より室外側(
図7中の上側)に当接し、かつ、底片2cの内周の最下端2c1がアーチパイプP1の下端に当接する。このように把持部2は、アーチパイプP1の
図7中左右となる側方であって室内外へ貫通する方向(
図7中上下方向)の中央より室外側(
図7中上方側)の2点と下端との3点でアーチパイプP1を緊迫するので、強固にアーチパイプP1を把持できる。また、底片2cが
図7中で下に凸となる円弧形状となっているので、断面円形状のアーチパイプP1が底片2cの内周に当接した際にアーチパイプP1の座りが良くなり、把持部2は、内方に挿入されたアーチパイプP1を安定的に把持できる。なお、底片2cは、円弧形状以外の形状とされてもよく、パイプ材の断面が角型である場合には直線形状とされると把持部2内のパイプ材の座りが良くなり、把持部2は、内方に挿入された角型のパイプ材を安定的に把持できる。
【0047】
なお、底片2cの溝側の最下端から側片2a,2bの先端までの上下方向の高さL3がアーチパイプP1の外径φよりも低くいため、把持部2の室外側端である側片2a,2bの先端2a1,2b1は、把持部2がアーチパイプP1を把持した状態でアーチパイプP1の室外側端bよりも室内側に配置されるようになっている。つまり、把持部2の室外側端である側片2a,2bの先端2a1,2b1は、把持部2がアーチパイプP1を把持した状態でアーチパイプP1の室外側端bよりも室内側に後退した位置に配置されるため、アーチパイプP1を軸方向から見て、アーチパイプP1の室外側端bと同じレベル或いはアーチパイプP1の室外側端bを超えて室外側へ突出しない。よって、把持部2を前述したようにアーチパイプP1に取り付けても、把持部2がアーチパイプP1の室外側端を跨いで横切ったり、室外側端に架かったり、アーチパイプP1より室外側に突出することがない。
【0048】
つづいて、保持部は、本実施の形態の保持具1では、フック3とされている。フック3は、側片2bの他端から延びる直線部3aと、直線部3aに連なる円弧状部3bと、円弧状部3bの先端から把持部2から遠ざかる方向へU字状に湾曲された湾曲部3cとを備えている。このように、フック3は、基端が把持部2に接続されており、先端に湾曲部3cを備えることで、先端に把持部2から遠ざかる方向へ湾曲する湾曲面3dを備えている。
【0049】
図4に示すように、フック3における円弧状部3bの曲率は、把持部2の底片2cの曲率よりも大きくしてあり、フック3の先端と把持部2の底片2cの一端との間の距離である開口幅L4は、
図4中の一点鎖線で示すホースHの最小の外径未満となっている。ホースHは、
図8に示すように、外周に軸方向に連続する蛇腹状の凹凸を備えており、凹部における外径が最小の外径となっている。よって、フック3と底片2cとの間にホースHを挿入して、フック3がホースHを引っかけ持つと、ホースHがフック3から脱落するのを防止できる。なお、ホースHが外周に蛇腹状の凹凸を持たない場合には、前記開口幅L4をホースHの外径よりも短くすれば、ホースHがフック3から脱落するのを防止できる。
【0050】
また、ホースHは可撓性を備えているので、ホースHをフック3内に挿入する際にホースHが圧縮変形してフック3内に挿入されるが、付属部品がホースHではなく変形しづらい部品である場合には、フック3が底片2cに対して離間するように弾性変形できるので、開口幅L4が付属部品の外形の最小長さよりも短くても付属部品をフック3内へ挿入できる。
【0051】
また、フック3が先端に湾曲面3dを備えており、ホースHをフック3と底片2cとの間にホースHを挿入する際にホースHが湾曲面3dによってガイドされて挿入されるので、ホースHを円滑にフック3内に挿入できる。なお、保持具1が1本の線材で形成されており、把持部2の側片2aの一端と底片2cの一端との接続部分が折り曲げて成型されているため、当該接続部分に鋭利角部が形成されることがないため、ホースHを傷つけずにフック3内にホースHを挿入できる。また、前述したように、保持具1が1本の線材で形成されているが、フック3が湾曲部3cを備えているので、把持部2をアーチパイプP1へ装着する作業を行う際に作業者は、湾曲部3cを指でつまんで保持具1を容易にアーチパイプP1へ装着できる。
【0052】
なお、保持具1が1本の線材で形成されており、ホースHが外周に蛇腹を備えているので、ホースHをフック3内に挿入すると、
図8に示すように、底片2cとフック3とがホースHの蛇腹の凹部内にそれぞれ挿入されるので、ホースHに軸方向の引っ張り荷重がかかってもホースHの軸方向への移動を規制でき、ホースHをしっかりと保持できる。
【0053】
さらに、第一の実施の形態の保持具1では、フック3の円弧状部3bの内周と底片2cの外周との間の最大距離L5がホースHの最小の外径よりも短くなっており、フック3と底片2cとでホースHを緊迫してホースHを固定的に把持してホースHのふらつきを防止できるようになっている。なお、ホースHがフック3内で遊んで移動しても構わない場合、フック3の円弧状部3bの内周と底片2cの外周との間の最小距離をホースHの外径φよりも長くしてもよい。なお、ホースHが外周に蛇腹状の凹凸を持たない場合には、前記最大距離L5をホースHの外径よりも短くすれば、フック3と底片2cとでホースHを緊迫してホースHを固定的に把持してホースHのふらつきを防止できる。
【0054】
以上のように、第一の実施の形態の保持具1は、複数のアーチパイプ(パイプ材)P1を組み合わせて形成される骨組Bと骨組Bの外面に定着されるシートS1,S2とを有して内部に室Rを形成するビニールハウス(簡易構造物)Gにおけるアーチパイプ(パイプ材)P1を側方から把持する把持部2と、把持部2に接続されてビニールハウス(簡易構造物)Gに付属するホース(付属部品)Hを保持するフック(保持部)3とを備え、把持部2がアーチパイプ(パイプ材)P1を把持すると把持部2の室外側端である先端2a1,2b1は、アーチパイプ(パイプ材)P1の室外側端よりも室内側に配置される。
【0055】
このように構成された保持具1では、把持部2がアーチパイプ(パイプ材)P1を側方から把持しており、把持部2がアーチパイプ(パイプ材)P1を把持した状態で把持部2の室外側端である先端2a1,2b1は、アーチパイプ(パイプ材)P1の室外側端bと同じレベル或いはアーチパイプP1の室外側端bを超えて室外側へ突出しない。よって、本実施の形態の保持具1によれば、把持部2がアーチパイプ(パイプ材)P1を覆う開閉用シートS2に接触することはない。つまり、第一の実施の形態の保持具1を用いてアーチパイプ(パイプ材)P1にホース(付属部品)Hを結束しても、アーチパイプ(パイプ材)P1上を移動し、或いはアーチパイプ(パイプ材)P1を覆う開閉用シートS2に干渉しないので、開閉用シートS2を劣化させることがない。
【0056】
また、保持具1を室内側から押圧してアーチパイプ(パイプ材)P1に取り付けてからフック3にホース(付属部品)Hを引っかけることで、或いは、フック3内にホース(付属部品)Hを挿入してから保持具1を室内側から押圧してアーチパイプ(パイプ材)P1に取り付ければ、ホース(付属部品)Hのアーチパイプ(パイプ材)P1への結束が完了する。
【0057】
以上より、第一の実施の形態の保持具1によれば、シートS2を劣化させることなくビニールハウス(簡易構造物)Gのホース(付属部品)Hのアーチパイプ(パイプ材)P1へ容易に結束できる。
【0058】
なお、第一の実施の形態の保持具1は、保持部がフック3であるから、保持具1をアーチパイプ(パイプ材)P1に取り付けてからフック3にホース(付属部品)Hを引っかけることができ、ホース(付属部品)Hの干渉を受けずにアーチパイプ(パイプ材)P1に取付できる。また、第一の実施の形態の保持具1は、保持部がフック3であるから、保持具1をアーチパイプ(パイプ材)P1に取り付けてからフック3にホース(付属部品)Hを引っかけることもできるし、フック3内にホース(付属部品)Hを挿入してから保持具1をアーチパイプ(パイプ材)P1に取り付けることもできるので、取付順序の選択の自由度が向上する。
【0059】
また、第一の実施の形態の保持具1は、アーチパイプ(パイプ材)P1の室内外へ貫通する方向の中央より室外側に当接する一対の側片2a,2bと、側片2a,2b同士を連結するとともにアーチパイプ(パイプ材)P1の室内側端に当接する底片2cとを備えて構成されている。このように構成された保持具1によれば、一対の側片2a,2bと底片2cとを備えているので、アーチパイプ(パイプ材)P1に対して室内側から取付できるともに、アーチパイプ(パイプ材)P1が断面円形状であっても安定的にアーチパイプ(パイプ材)P1を把持できる。
【0060】
さらに、側片2a,2bの先端2a1,2b1同士が互いに接近する方向に傾いた姿勢で底片2cに接続されており、側片2a,2bの先端2a1,2b1間の開口幅L1がアーチパイプ(パイプ材)P1の外径φ未満となっている場合には、一対の側片2a,2bと底片2cとで、アーチパイプ(パイプ材)P1の室内外を貫通する方向の中央より上側の2点と室内側端との3点で挟持できるのでアーチパイプ(パイプ材)P1を強固に把持して、アーチパイプ(パイプ材)P1からの脱落を防止できる。
【0061】
さらに、第一の実施の形態の保持具1におけるフック3の先端は、把持部2と遠ざかる方向へ湾曲する湾曲面3dを備えているので、ホース(付属部品)Hをフック3内に挿入する際にホース(付属部品)Hを円滑にフック3内に挿入できる。
【0062】
また、第一の実施の形態の保持具1における把持部2とフック3は、1本の線材で形成されているので、保持具1を容易且つ安価に製造できる。また、第一の実施の形態の保持具1は、前述のように1本の線材を折り曲げ成型して把持部2とフック3を形成しているので、フック3の先端と対向する把持部2の底片2cと側片2aとの接続部分に鋭利角部が形成されることがないため、ホース(付属部品)Hを傷つけずにフック3内に挿入できる。
【0063】
そして、第一の実施の形態の保持具1では、フック3の先端に線材を折り曲げ成型して形成した湾曲部3cを備えているので、保持具1が1本の線材で形成されていても作業者は湾曲部3cをつまんで容易に保持具1をアーチパイプ(パイプ材)P1に取り付け得る。
【0064】
また、第一の実施の形態の保持具1では、付属部品がシートS1,S2の室内側面に結露した水を収集する収集具Cに接続されるホースHであって、フック3の先端と把持部2との間の開口幅(距離)L4がホースHの外径未満となっているので、フック3がホースHを引っかけ持つと、ホースHがフック3から脱落するのを防止できる。
【0065】
さらに、第一の実施の形態の保持具1では、フック3の内周と底片2cの外周との間の最大距離L5がホースHの外径よりも短くなっているので、フック3と底片2cとでホースHを緊迫してホースHを固定的に把持してホースHのふらつきを防止できる。
【0066】
前述したところでは、パイプ材をアーチパイプP1とし、簡易構造物の付属部品をホースHとして、保持具1でホースHをアーチパイプP1に結束する例を示して保持具1の詳細について説明したが、また、保持具1が取り付けられるパイプ材は、換気装置における巻取軸の移動を案内するアーチパイプP1に限られず、パイプ材は、アーチパイプP1以外にも母屋パイプP2や妻面に設けられる縦材および横材を成すパイプ材P3とされもてよい。保持具1は、パイプ材P1,P2,P3のシートS1,S2に接触する可能性がある室側側端に凹凸を形成せず、シートS1,S2に接触しないので、シートS1,S2の劣化を防止でき、パイプ材P1,P2,P3の室内側に付属部品を保持するフック(保持部)3を容易に設置できる。なお、パイプ材の断面形状も円形以外にも四角形状とされてもよい。また、簡易構造物の付属部品は、ホースHに限られず、簡易構造物に必要に応じて付属して装着されるパイプやロープ、簡易構造物に設置される電気製品へ電力供給する配線等であってもよい。
【0067】
また、把持部2は、側片2a,2bに加えて底片2cをアーチパイプ(パイプ材)P1に当接させてアーチパイプP1を安定的に把持できるようになっているが、底片2cをアーチパイプ(パイプ材)P1に当接させずに、側片2a,2bのみでアーチパイプ(パイプ材)P1を把持する態様も可能である。
【0068】
なお、前述したところでは、保持具1は、1本の線材で形成されているが、金属板を加工して形成されてもよいし、合成樹脂で形成されてもよい。金属板を加工する場合、たとえば、矩形の金属板に切れ目を入れて、切れ目を挟んで両側をそれぞれ異なる曲率で湾曲させる加工を行うなどして円弧状の把持部2とフック(保持部)3とを成型して保持具1を得ることができる。
【0069】
合成樹脂で保持具を製造する場合、
図9に示した第一の実施の形態の第一変形例の保持具11のように、アーチパイプP1を把持する把持部12をC形状に形成し、把持部12に保持部としてのフック13を一体にして成型してもよい。保持具11は、把持部12とフック13とを一体に成型する型内に合成樹脂を射出して成型される。
【0070】
把持部12の先端の開口幅はアーチパイプP1の外径φよりも狭くしてあり、把持部12の内径をアーチパイプP1の外径φよりも若干小径にしてある。よって、把持部12をアーチパイプP1の外周に取り付けると、把持部12は、弾発力を発揮してアーチパイプP1を側方から把持して緊迫するのでアーチパイプP1に強固に取り付けられる。また、把持部12の内周の下端から把持部12の先端までの高さは、アーチパイプP1の外径φの二分の一よりも高くアーチパイプP1の外径φよりも低くなっており、把持部12がアーチパイプP1を把持した状態で、把持部12の先端は、アーチパイプP1の室外側端よりも室内側に配置されていてアーチパイプP1よりも室外側へ突出しないようなっている。よって、保持具11をアーチパイプP1に取り付けても保持具11が開閉用シートS2に干渉しないので、開閉用シートS2を劣化させることはない。
【0071】
なお、保持具11は、
図9に示すように、把持部12の把持力を高めるために、金属製のC字状のバネ14を備えていてもよい。バネ14を備えた保持具11は、合成樹脂製であってもアーチパイプP1を把持する把持力を大きくできるのでアーチパイプP1により強固に取り付けられる。なお、把持部12の軸方向の幅は、バネ14の取り付けのため、フック13の軸方向の幅よりも広くしているが、バネ14が不要である場合には両者の幅を同じにしてもよい。
【0072】
フック13は、基端が把持部12の
図9中右方に接続されて
図9中下方へ延びてJ字状に成型されている。フック13の先端には、湾曲面13aが設けられており、ホースHのフック13内への挿入の際にホースHを円滑に挿入できるとともにホースHの傷つきを防止できる。そして、フック13の先端と把持部12との間の開口幅(距離)は、ホースHの外径よりも短くなっており、フック13がホースHを引っかけ持つと、ホースHがフック13から脱落するのを防止できる。また、フック13の内周と把持部12の外周との間の最大距離をホースHの外径よりも短くしておけば、フック13と把持部12とでホースHを緊迫してホースHを固定的に把持してホースHのふらつきを防止できるのは、保持具1と同様である。
【0073】
また、保持具を合成樹脂で製造する場合、
図10に示した第一の実施の形態の第二変形例の保持具21のように、アーチパイプP1を把持する把持部22をC形状に形成し、把持部22に保持部としてC形状のフック23を一体にして成型してもよい。保持具21は、把持部22とフック23とを一体に成型する型内に合成樹脂を射出して成型される。
【0074】
把持部22の先端の開口幅はアーチパイプP1の外径φよりも狭くしてあり、把持部22の内径をアーチパイプP1の外径φよりも若干小径にしてある。よって、把持部22をアーチパイプP1の外周に取り付けると、把持部22は、弾発力を発揮してアーチパイプP1を側方から把持して緊迫するのでアーチパイプP1に強固に取り付けられる。また、把持部22の内周の下端から把持部22の先端までの高さは、アーチパイプP1の外径φの二分の一よりも高くアーチパイプP1の外径φよりも低くなっており、把持部22がアーチパイプP1を把持した状態で、把持部22の先端は、アーチパイプP1の室外側端よりも室内側に配置されていてアーチパイプP1よりも室外側へ突出しないようなっている。よって、保持具11をアーチパイプP1に取り付けても保持具21が開閉用シートS2に干渉しないので、開閉用シートS2を劣化させることはない。
【0075】
フック23は、C形状とされており、基端が把持部22の
図10中下端に接続されている。フック23の先端には、湾曲面23aが設けられており、ホースHのフック23内への挿入の際にホースHを円滑に挿入できるとともにホースHの傷つきを防止できる。そして、フック23の先端と把持部22との間の開口幅(距離)は、ホースHの外径よりも短くなっており、フック23がホースHを引っかけ持つと、ホースHがフック23から脱落するのを防止できる。また、フック23の内径をホースHの外径よりも短くしておけば、フック23でホースHを緊迫してホースHを固定的に把持してホースHのふらつきを防止できる。
【0076】
<第二実施の形態>
つづいて、第二の実施の形態の保持具31について説明する。第二の実施の形態の保持具31は、
図11および
図12に示すように、アーチパイプP1を側方から把持する把持部32と、把持部32に接続されてホースHを保持するC形状の保持部35とを備えて構成されている。
【0077】
保持部35は、C形状とされており、ホースHの外径よりも狭い開口幅(距離)L6を持ち、ホースHの外径よりも小さい内径を持っており、内側に挿入されてホースHを緊迫しつつ保持できる。
【0078】
また、把持部32は、C形状の保持部35の両端からそれぞれ延長されて互いに対向する同形状の把持片33,34とを備えて構成されている。把持片33,34は、保持部35の両端からそれぞれ垂直向に立ち上がる直線部33a,34aと、直線部33a,34aから延長されて互いに内面を対向させる一対の円弧状の円弧状部33b,34bと、円弧状部33b,34bの先端から把持部32の外側へ向けて湾曲する折曲部33c,34cとを備えている。
【0079】
円弧状部33b,34bは、内面同士を互いに対向させており、円弧状部33b,34bの対向する内面同士の
図11中で左右方向の最大幅がアーチパイプP1の外径φ未満となっている。また、円弧状部33b,34bの先端同士の距離、つまり、把持部32の開口幅もアーチパイプP1の外径φ未満となっている。
【0080】
アーチパイプP1に保持具31を取り付けるには、まず、保持部35内にホースHを挿入しておく。ホースHは、把持部32の開口部から把持片33,34内に挿入された後、さらに、保持具31内で下方に押し下げられることで保持部35内に挿入される。ホースHは、保持部35内に挿入されると、保持部35によって緊迫されて保持されるとともに、保持部35の開口幅(距離)L6がホースHの外径よりも狭いので保持部35内からの抜けが防止される。
【0081】
つづいて、把持部32の把持片33,34をアーチパイプP1の室内側に当接させた状態で、把持部32をアーチパイプP1に対して室外側へ向けて押圧すると、保持部35が拡径するように変形して把持片33,34の先端同士が離間して、アーチパイプP1が把持片33,34内へ押し込まれる。アーチパイプP1が把持片33,34の円弧状部33b,34b内に挿入されると、円弧状部33b,34bは、保持部35の変形によって生じる弾発力でアーチパイプP1の側方を緊迫しつつ把持する。円弧状部33b,34bは、円弧状であるのでアーチパイプP1の外周の側方を包み持つようにして把持するので、保持具31は、アーチパイプP1にガタつくことなく取り付け得る。
【0082】
このように保持具31は、保持部35でホースHを保持した状態でアーチパイプP1に取り付けられることで、ホースHをアーチパイプP1に結束できる。また、把持部32の室外側端となる円弧状部33b,34bの先端(
図11中の上端)は、把持片33,34の円弧状部33b,34bでアーチパイプP1を把持した状態でアーチパイプP1の室外側端よりも室内側に配置される。把持部32の先端位置の設定は、円弧状部33b,34bの長さによって設定でき、円弧状部33b,34bでアーチパイプP1を把持した状態で円弧状部33b,34bの先端がアーチパイプP1の室外側端よりも室内側に配置されるように設定すればよい。
【0083】
また、本実施の形態の保持具31は、把持片33,34の先端に湾曲した折曲部33c,34cを備えているので、把持片33,34の先端部分に鋭利な角部が形成されないので、アーチパイプP1およびホースHを保持具31内に挿入する際に、アーチパイプP1およびホースHを傷つけてしまう恐れもない。
【0084】
このように構成された第二の実施の形態の保持具31は、複数のアーチパイプ(パイプ材)P1を組み合わせて形成される骨組Bと骨組Bの外面に定着されるシートS1,S2とを有して内部に室Rを形成するビニールハウス(簡易構造物)Gにおけるアーチパイプ(パイプ材)P1を側方から把持する把持部32と、把持部32に接続されてビニールハウス(簡易構造物)Gに付属するホース(付属部品)Hを保持する保持部35とを備え、把持部32がアーチパイプ(パイプ材)P1を把持すると把持部32の室外側端は、アーチパイプ(パイプ材)P1の室外側端よりも室内側に配置される。
【0085】
このように構成された保持具31では、把持部32がアーチパイプ(パイプ材)P1を側方から把持しており、把持部32がアーチパイプ(パイプ材)P1を把持した状態で把持部32の室外側端は、アーチパイプ(パイプ材)P1の室外側端bと同じレベル或いはアーチパイプ(パイプ材)P1の室外側端bを超えて室外側へ突出しない。よって、本実施の形態の保持具31によれば、把持部32がアーチパイプ(パイプ材)P1を覆う開閉用シートS2に接触することはない。つまり、第二の実施の形態の保持具31を用いてアーチパイプ(パイプ材)P1にホース(付属部品)Hを結束しても、アーチパイプ(パイプ材)P1上を移動し、或いはアーチパイプ(パイプ材)P1を覆う開閉用シートS2に干渉しないので、開閉用シートS2を劣化させることがない。
【0086】
また、保持具31の保持部35にホースHを取り付けてから保持具31を室内側から押圧してアーチパイプ(パイプ材)P1に取り付ければ、ホース(付属部品)Hのアーチパイプ(パイプ材)P1への結束が完了する。
【0087】
以上より、第二の実施の形態の保持具31によれば、シートS2を劣化させることなくビニールハウス(簡易構造物)Gのホース(付属部品)Hのアーチパイプ(パイプ材)P1へ容易に結束できる。
【0088】
また、第二の実施の形態の保持具31は、把持部32と、C形状の保持部35とを備え、把持部32は、保持部35の両端からそれぞれ延長されて互いに対向する把持片33,34とを備えて構成されている。このように構成された保持具31は、構造が単純で簡素な形状をしているので、製造が容易となるともに安価に製造できる。また、保持具31が1本の金属板を折り曲げ成型して形成される場合には、より一層安価に製造できる。
【0089】
さらに、第二の実施の形態の保持具31は、把持片33,34が保持部35の両端から立ち上がる直線部33a,34aと、直線部33a,34aから延びて互いに対向する円弧状部33b,34bを備えている。このように構成された保持具31によれば、把持片33,34が直線部33a,34aと円弧状部33b,34bとを備えているので、円弧状部33b,34bでアーチパイプP1を把持するとともにホースHを保持部35で保持しつつも直線部33a,34aにアーチパイプP1とホースHとを離間させて両者が接触させないようにできるので、ホースHがアーチパイプP1に接触してホースHが摩耗するのを防止できる。なお、直線部33a,34aは、保持具31で保持したホースHと把持部32で把持したアーチパイプP1との接触を防止できる限りにおいて形状は任意に変更できるが、直線状の直線部33a,34aとすることで、保持具31の材料を最小にでき製造コストを低減できる。なお、本実施の形態の保持具31では、把持片33,34の先端同士の開口幅L6がアーチパイプ(パイプ材)P1の外径φよりも短くなっているので、保持具31のアーチパイプ(パイプ材)P1からの脱落を防止できる。
【0090】
また、保持部35がC形状であって、保持部35の内径がホースHの外径よりも小径に設定されているので、保持具31は、ホースHを緊迫してホースHを固定的に把持してホースHのふらつきを防止できる。さらに、保持部35がC形状であって、保持部35の開口幅(距離)L6がホースHの外径未満であるので、保持部35からホースHが抜け出るのを防止できる。
【0091】
なお、第二の実施の形態の保持具31は、断面円形のパイプ材に対して適用でき、保持具31が取り付けられるパイプ材は、換気装置における巻取軸の移動を案内するアーチパイプP1に限られず、パイプ材は、アーチパイプP1以外にも母屋パイプP2や妻面に設けられる縦材および横材を成すパイプ材P3とされもてよい。保持具31は、パイプ材P1,P2,P3のシートS1,S2に接触する可能性がある外面部分に凹凸を形成せず、シートS1,S2に接触しないので、シートS1,S2の劣化を防止でき、パイプ材P1,P2,P3の室内側に付属部品を保持する保持部35を容易に設置できる。また、簡易構造物の付属部品は、ホースHに限られず、簡易構造物に必要に応じて付属して装着されるパイプやロープ等であってもよい。
【0092】
以上で本発明の実施の形態についての説明を終えるが、特許請求の範囲から逸脱することなく、改造、変形、および変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0093】
1,11,21,31・・・保持具、2,12,22,32・・・把持部、2a,2b・・・側片、2a1,2b1・・・把持部の室外側端、2c・・・底片、3,13,23・・・フック(保持部)、3c・・・湾曲部、3d,13a,23a・・・湾曲面、33,34・・・把持片、33a,34a・・・直線部、33b,34b・・・円弧状部、35・・・保持部、a・・・パイプ材の室内側端、b・・・パイプ材の室外側端、B・・・骨組、G・・・ビニールハウス(簡易構造物)、H・・・ホース(付属部品)、L1・・・開口幅、L5・・・最大距離、P1,P2・・・パイプ材、R・・・室、S1,S2・・・シート