(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120898
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】端部規制部材及びベルト周回装置並びに画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20230823BHJP
F16C 13/00 20060101ALI20230823BHJP
B65H 5/02 20060101ALI20230823BHJP
G03G 15/16 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
G03G21/16 147
F16C13/00 Z
B65H5/02 F
G03G15/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024030
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 昌太郎
【テーマコード(参考)】
2H171
2H200
3F049
3J103
【Fターム(参考)】
2H171FA10
2H171GA25
2H171JA48
2H171KA24
2H171LA12
2H171QA04
2H171QA08
2H171QA24
2H171QB02
2H171QB15
2H171QB32
2H171QC03
2H171QC22
2H171QC36
2H171SA11
2H171SA14
2H171SA18
2H171SA22
2H171SA26
2H171SA31
2H171TA15
2H171TA20
2H200FA02
2H200GA12
2H200GA23
2H200GA33
2H200JC04
2H200JC07
2H200JC10
3F049AA03
3F049BB04
3F049BB06
3F049BB11
3F049DA03
3F049LA01
3F049LB01
3J103AA02
3J103BA31
3J103FA03
3J103FA30
3J103GA02
3J103GA57
3J103GA58
3J103GA60
(57)【要約】
【課題】簡単な構成でありながら、ベルトが片寄る際の規制部とベルトの端部との摺動摩擦を可及的に減らすことができる端部規制部材及びベルト周回装置並びに画像形成装置を提供する。
【解決手段】ベルト張架ローラ72~72によりベルト71を張架して周回移動方向Rに周回移動させるベルト周回装置70に備えられる端部規制部材73は、ベルト71の内面71aと接触する本体部731と、本体部と隣り合う位置に本体部731よりもベルト張架ローラ72の径方向における外側に延設されてベルト71の端部71eと接触する規制部732と、有している。規制部732は、ベルト71の内面71aが本体部731と接触した状態において本体部731へのベルト71の張力によりベルト71の折り返し部Qから周回移動方向Rにおける上流側R1に向けて遠ざかるに従って回転軸線方向Mにおける外側に開くように傾斜する。
【選択図】
図7D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルト張架ローラによりベルトを張架して周回移動方向に周回移動させるベルト周回装置に備えられ、前記ベルト張架ローラの回転軸に回転自在に設けられて前記ベルト張架ローラの回転軸線方向における前記ベルトの片寄り移動を規制する端部規制部材であって、
前記ベルトの内面と接触する本体部と、前記本体部と隣り合う位置に前記本体部よりも前記ベルト張架ローラの径方向における外側に延設されて前記ベルトの端部と接触する規制部と、有し、
前記規制部は、前記ベルトの内面が前記本体部と接触した状態において前記本体部への前記ベルトの張力により前記ベルトの折り返し部から前記周回移動方向における上流側に向けて遠ざかるに従って前記回転軸線方向における外側に開くように傾斜する、ことを特徴とする端部規制部材。
【請求項2】
請求項1に記載の端部規制部材であって、
前記回転軸に対向する内周面は、前記回転軸線方向における内側端の第1内径が前記回転軸線方向における外側端の第2内径よりも大きい、ことを特徴とする端部規制部材。
【請求項3】
請求項2に記載の端部規制部材であって、
前記回転軸に対向する内周面は、前記内側端から前記外側端に向けて遠ざかるに従って次第に前記ベルト張架ローラの回転軸線に近づくように傾斜する傾斜面を有している、ことを特徴とする端部規制部材。
【請求項4】
請求項2に記載の端部規制部材であって、
前記回転軸は、当該端部規制部材が設けられた状態で前記第1内径と前記第2内径との間に段差を有している、ことを特徴とする端部規制部材。
【請求項5】
ベルトと、前記ベルトを張架して周回移動方向に周回移動させるベルト張架ローラと、前記ベルト張架ローラの回転軸に回転自在に設けられて前記ベルト張架ローラの回転軸線方向における前記ベルトの片寄り移動を規制する端部規制部材と、を備えたベルト周回装置であって、
前記端部規制部材は、前記ベルトの内面と接触する本体部と、前記本体部よりも前記ベルト張架ローラの径方向における外側に延設されて前記ベルトの端部と接触する規制部と、有し、
前記規制部は、前記ベルトの内面が前記本体部と接触した状態において前記本体部への前記ベルトの張力により前記ベルトの折り返し部から前記周回移動方向における上流側に向けて遠ざかるに従って前記回転軸線方向における外側に開くように傾斜する、ことを特徴とするベルト周回装置。
【請求項6】
請求項5に記載のベルト周回装置であって、
前記端部規制部材と前記回転軸との間に隙間を有し、
前記隙間において、前記回転軸線方向における内側端での第1隙間が前記回転軸線方向における外側端での第2隙間よりも大きい、ことを特徴とするベルト周回装置。
【請求項7】
請求項6に記載のベルト周回装置であって、
前記隙間は、前記第1隙間から前記第2隙間に向けて遠ざかるに従って次第に小さくなっている、ことを特徴とするベルト周回装置。
【請求項8】
請求項6に記載のベルト周回装置であって、
前記隙間は、前記第1隙間から前記第2隙間に向けて段階的に小さくなる、ことを特徴とするベルト周回装置。
【請求項9】
請求項6から請求項8までの何れか1つに記載のベルト周回装置であって、
前記端部規制部材における前記本体部の外径が前記ベルト張架ローラにおける前記ベルトの内面と当接する胴部の外径よりも大きい、ことを特徴とするベルト周回装置。
【請求項10】
請求項9に記載のベルト周回装置であって、
前記本体部の外径が前記胴部の外径よりも前記第1隙間以内の距離だけ大きい、ことを特徴とするベルト周回装置。
【請求項11】
請求項5から請求項10までの何れか1つに記載のベルト周回装置であって、
前記ベルトの片寄りを補正するベルト片寄補正装置を備え、
前記端部規制部材は、前記ベルト張架ローラの前記回転軸の前記回転軸線方向における両側に設けられており、
前記ベルト片寄補正装置は、前記ベルト張架ローラの前記両側において、前記回転軸線方向において前記回転軸の前記端部規制部材よりも外側に前記回転軸線方向に移動自在に設けられる移動部材と、前記ベルトが前記回転軸線方向における外側に片寄ることにより前記端部規制部材が移動することに伴う前記移動部材の移動に連動して前記ベルトが前記回転軸線方向における内側に戻るように前記ベルト張架ローラを前記ベルト張架ローラが傾く方向に揺動させる揺動部とを有している、ことを特徴とするベルト周回装置。
【請求項12】
請求項11に記載のベルト周回装置であって、
前記移動部材は、前記端部規制部材における前記規制部と当接する当接面が前記ベルトの折り返し部から前記周回移動方向における上流側に向けて遠ざかるに従って前記回転軸線方向における外側に開くように傾斜する傾斜面とされていることを特徴とするベルト周回装置。
【請求項13】
請求項5から請求項12までの何れか1つに記載のベルト周回装置を備えた、ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトの片寄り移動を規制する端部規制部材及びベルトを周回移動させるベルト周回装置並びに複写機、複合機、プリンター、ファクシミリ装置等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ベルト張架ローラによりベルトを張架して周回移動方向に周回移動させるベルト周回装置において、ベルトはベルト張架ローラにより周回移動するが、周回移動中、様々な要因によりベルト張架ローラの回転軸線方向における片寄りが発生する。ベルトの片寄りが進み、ベルトがベルト張架ローラの外側にはみ出すのを規制するために、端部規制部材がベルト張架ローラの回転軸に回転自在に設けられることがある。
【0003】
このようなベルト周回装置では、ベルトの端部が端部規制部材の規制部に摺接し、ベルトの破損を招く虞がある。そのため、端部規制部材の規制部のベルトの端部への摺接負荷を軽減させるためには、ベルトが片寄る際の規制部とベルトの端部との摺動摩擦を可及的に減らす必要がある。
【0004】
この点に関し、特許文献1には、ローラの回転軸に対して、傾けられた軸部を有する傾斜コロ軸に対して傾斜フランジコロ(端部規制部材)が回転自在に取り付けられ、ベルトと従動回転することで、傾斜フランジコロのフランジ面(規制部)とベルトの端部との摺動摩擦を可及的に減らす構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に記載に構成では、傾斜コロ軸といった追加の部品が必要になる上、傾斜コロ軸をローラの回転軸に固定する必要があり、それだけ構成が複雑化する。
【0007】
そこで、本発明は、簡単な構成でありながら、ベルトが片寄る際の規制部とベルトの端部との摺動摩擦を可及的に減らすことができる端部規制部材及びベルト周回装置並びに画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、次の端部規制部材及びベルト周回装置並びに画像形成装置を提供する。
【0009】
(1)端部規制部材
本発明に係る端部規制部材は、ベルト張架ローラによりベルトを張架して周回移動方向に周回移動させるベルト周回装置に備えられ、前記ベルト張架ローラの回転軸に回転自在に設けられて前記ベルト張架ローラの回転軸線方向における前記ベルトの片寄り移動を規制する端部規制部材であって、前記ベルトの内面と接触する本体部と、前記本体部と隣り合う位置に前記本体部よりも前記ベルト張架ローラの径方向における外側に延設されて前記ベルトの端部と接触する規制部と、有し、前記規制部は、前記ベルトの内面が前記本体部と接触した状態において前記本体部への前記ベルトの張力により前記ベルトの折り返し部から前記周回移動方向における上流側に向けて遠ざかるに従って前記回転軸線方向における外側に開くように傾斜する、ことを特徴とする。
【0010】
(2)ベルト周回装置
本発明に係るベルト周回装置は、ベルトと、前記ベルトを張架して周回移動方向に周回移動させるベルト張架ローラと、前記ベルト張架ローラの回転軸に回転自在に設けられて前記ベルト張架ローラの回転軸線方向における前記ベルトの片寄り移動を規制する端部規制部材と、を備えたベルト周回装置であって、前記端部規制部材は、前記ベルトの内面と接触する本体部と、前記本体部よりも前記ベルト張架ローラの径方向における外側に延設されて前記ベルトの端部と接触する規制部と、有し、前記規制部は、前記ベルトの内面が前記本体部と接触した状態において前記本体部への前記ベルトの張力により前記ベルトの折り返し部から前記周回移動方向における上流側に向けて遠ざかるに従って前記回転軸線方向における外側に開くように傾斜する、ことを特徴とする。
【0011】
(3)画像形成装置
本発明に係る画像形成装置は、前記本発明に係るベルト周回装置を備えた、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、簡単な構成でありながら、ベルトが片寄る際の規制部とベルトの端部との摺動摩擦を可及的に減らすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【
図2】
図1に示す画像形成装置における画像形成部、1次転写ベルト装置及び2次転写装置を示す断面図である。
【
図3A】第1実施形態に係るベルト周回装置の左右方向における2次転写装置とは反対側のベルト張架ローラ部分においてベルトが回転軸線方向における一方側に片寄り移動している様子を示す斜視図である。
【
図3B】第1実施形態に係るベルト周回装置の左右方向における2次転写装置とは反対側のベルト張架ローラ部分においてベルトが回転軸線方向における他方側に片寄り移動している様子を示す斜視図である。
【
図4】
図3A及び
図3Bに示すベルト周回装置においてベルトを取り除いた様子を示す斜視図である。
【
図5A】
図4に示すベルト周回装置において回転軸線方向における一方側の端部規制部材部分を拡大して示す斜視図である。
【
図5B】
図4に示すベルト周回装置において回転軸線方向における一方側の端部規制部材部分を拡大して示す分解斜視図である。
【
図7A】ベルト周回装置においてベルトが回転軸線方向における一方側に片寄り移動している状態を示す正面図である。
【
図7C】ベルト周回装置においてベルトが回転軸線方向における一方側に片寄り移動している状態を示す平面図である。
【
図7D】
図7Bに示すC-C線に沿った断面のうち回転軸線方向における一方側の端部規制部材部分を拡大して示す断面図である。
【
図8B】端部規制部材を回転軸線方向における一方側から視た正面図である。
【
図8C】端部規制部材を回転軸線方向における他方側から視た背面図である。
【
図10】第3実施形態に係るベルト周回装置の左右方向における2次転写装置とは反対側のベルト張架ローラ部分においてベルトが回転軸線方向における一方側に片寄り移動している様子を示す斜視図である。
【
図11】
図10に示すベルト周回装置においてベルトを取り外した様子を示す斜視図である。
【
図12A】
図11に示すベルト周回装置において回転軸線方向における一方側の端部規制部材部分を拡大して示す斜視図である。
【
図12B】
図11に示すベルト周回装置において回転軸線方向における一方側の端部規制部材部分を拡大して示す分解斜視図である。
【
図13】回転軸線方向における一方側の端部規制部材部分を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。従って、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0015】
〔画像形成装置全体の説明〕
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置100の概略構成を示す断面図である。なお、図において、符号Xは、左右方向を、符号Yは、奥行方向(前後方向)を、符号Zは、上下方向を示している。
【0016】
画像形成装置100は、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能及びプリンター機能を有する複合機であり、画像読取装置102によって読み取られた原稿Gの画像を外部に送信する。また、画像形成装置100は、画像読取装置102にて読み取った原稿Gの画像又は外部から受信した画像をカラー若しくは単色で用紙等のシートPに画像形成する。
【0017】
画像読取部130の上側には、画像読取部130に対して開閉自在に支持された原稿送り装置160が設けられている。画像読取装置102は、原稿送り装置160を備えている。原稿送り装置160は、1枚又は複数枚の原稿Gを1枚ずつ順に搬送する。画像読取装置102は、原稿送り装置160により1枚又は複数枚の原稿のうち1枚ずつ搬送される原稿Gを読み取る。また、画像読取装置102は、原稿Gを載置する原稿載置台130a(原稿セット台)を備え、原稿載置台130a上に載置された原稿を読み取る。画像読取部130は、走査光学系130cを走査して原稿載置台130aに載置された原稿を読み取るか又は原稿送り装置160にて搬送される原稿Gを原稿読取部130bで読み取って画像データを生成する。
【0018】
画像形成装置本体101は、光走査装置1、現像装置2~2、感光体ドラム3~3、ドラムクリーニング装置4~4、帯電器5~5、ベルト周回装置70を備えた1次転写ベルト装置19、2次転写装置11、定着装置12、シート搬送路S、給紙カセット18、シート排出トレイ141を備えている。
【0019】
画像形成装置100は、複数色のトナーを用いて形成したトナー像をベルト71(この例では1次転写ベルト)に1次転写し、ベルト71に1次転写したトナー像をシートPに2次転写する。
【0020】
本実施の形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色を用いたカラー画像、又は、単色〔例えばブラック(K)〕を用いたモノクロ画像に応じた画像データが扱われる。なお、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックは、以下の説明では、それぞれ、単にY、M、C、Kという。
【0021】
画像形成装置100の画像形成部50には、4種類のトナー像を形成するための現像装置2、感光体ドラム3、ドラムクリーニング装置4及び帯電器5が4つずつ設けられ、それぞれがY、M、C、Kに対応付けられ、4つの画像ステーションPa,Pb,Pc,Pdが構成されている。
【0022】
光走査装置1は、感光体ドラム3~3の表面を露光して静電潜像を形成する。現像装置2~2は、感光体ドラム3~3の表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム3~3の表面にトナー像を形成する。ドラムクリーニング装置4~4は、感光体ドラム3~3の表面の残留トナーを除去及び回収する。帯電器5~5は、感光体ドラム3~3の表面を所定の電位に均一に帯電させる。上述した一連の動作によって、各感光体ドラム3~3の表面に各色のトナー像が形成される。
【0023】
1次転写ベルト装置19は、ベルト71、1次転写ローラ6~6(1次転写部材)、複数のベルト張架ローラ72~72(この例では転写駆動ローラ721、転写従動ローラ722)及びベルトクリーニング装置9を備えている。ベルト71及び複数のベルト張架ローラ72~72は、ベルト周回装置70を構成している。1次転写ローラ6は、各色に応じた4種類のトナー像を形成するようにそれぞれ4つずつベルト71の内側に設けられている。1次転写ローラ6~6は、感光体ドラム3~3の表面に形成された各色のトナー像を所定の周回移動方向Rへ周回移動するベルト71に1次転写する。複数のベルト張架ローラ72~72は、ベルト71を張架している。
【0024】
2次転写装置11は、2次転写ローラ11aとベルト71との間に転写ニップ部TN(転写ニップ領域)を形成しており、シート搬送路Sを通じて搬送されてきたシートPを転写ニップ部TNに挟み込んで搬送する。シートPは、転写ニップ部TNを通過する際に、ベルト71の表面のトナー像が2次転写されて定着装置12に搬送される。ベルトクリーニング装置9は、シートPに転写されずにベルト71の表面に残った廃トナーを除去及び回収する。
【0025】
定着装置12は、シートPを挟んで回転する定着ローラ31及び加圧ローラ32を備えている。定着装置12は、定着ローラ31及び加圧ローラ32の間にトナー像が転写されたシートPを挟み込んで加熱及び加圧し、トナー像をシートPに定着させる。
【0026】
給紙カセット18は、画像形成に使用するシートPを蓄積しておくためのものであり、光走査装置1の下側に設けられている。シートPは、ピックアップローラ16によって給紙カセット18から引き出されて、シート搬送路Sに搬送される。シート搬送路Sに搬送されたシートPは、2次転写装置11や定着装置12を経由し、排出ローラ17に搬送され、排出部140におけるシート排出トレイ141に排出される。シート搬送路Sには、搬送ローラ13、レジストローラ14及び排出ローラ17が配置されている。搬送ローラ13は、シートPの搬送を促す。レジストローラ14は、シートPを一旦停止させて、シートPの先端を揃える。レジストローラ14は、一旦停止したシートPをベルト71上のトナー像のタイミングに合わせて搬送する。ベルト71上のトナー像は、ベルト71と2次転写ローラ11aとの間の転写ニップ部TNでシートPに2次転写される。
【0027】
なお、
図1では、給紙カセット18が1つとされているがこれに限定されず、複数の給紙カセット18を設けた構成とし、それぞれに異なる種類のシートPを積載してもよい。
【0028】
また、画像形成装置100は、シートPの表面だけでなく、裏面に画像形成を行う場合は、シートPを排出ローラ17からシート反転経路Srに逆方向に搬送する。画像形成装置100は、逆方向に搬送されたシートPの表裏を反転し、レジストローラ14に再度導く。また、画像形成装置100は、レジストローラ14に導かれたシートPを表面と同様にして裏面に画像形成し、シート排出トレイ141に搬出する。
【0029】
〔ベルト周回装置70〕
図2は、
図1に示す画像形成装置100における画像形成部50、1次転写ベルト装置19及び2次転写装置11を示す断面図である。
【0030】
図3A及び
図3Bは、それぞれ、第1実施形態に係るベルト周回装置70の左右方向Xにおける2次転写装置11とは反対側のベルト張架ローラ72(722)部分においてベルト71が回転軸線方向Mにおける一方側M1(手前側)及び他方側M2(奥側)に片寄り移動している様子を示す斜視図である。
【0031】
図4は、
図3A及び
図3Bに示すベルト周回装置70においてベルト71を取り除いた様子を示す斜視図である。
【0032】
図5A及び
図5Bは、それぞれ、
図4に示すベルト周回装置70において回転軸線方向Mにおける一方側M1の端部規制部材73部分を拡大して示す斜視図及び分解斜視図である。
【0033】
【0034】
図7A及び
図7Cは、それぞれ、ベルト周回装置70においてベルト71が回転軸線方向Mにおける一方側M1に片寄り移動している状態を示す正面図及び平面図である。
図7Bは、
図7Aに示すB-B線に沿った断面図であり、
図7Dは、
図7Bに示すC-C線に沿った断面のうち回転軸線方向Mにおける一方側M1の端部規制部材73部分を拡大して示す断面図である。
【0035】
また、
図8Aは、端部規制部材73を示す斜視図である。
図8B及び
図8Cは、それぞれ、端部規制部材73を回転軸線方向Mにおける一方側M1から視た正面図及び他方側M2から視た背面図である。
図8Dは、端部規制部材73の側面図である。
図8Eは、
図8Dに示すD-D線に沿った断面図である。
【0036】
なお、
図5Aから
図6A、
図7A、
図7Dから
図8Eにおいて、ベルト周回装置70の回転軸線方向Mにおける一方側M1の構成を示しているが、ベルト周回装置70の回転軸線方向Mにおける他方側M2の構成も同様であり、ここでは、図示を省略している。
【0037】
ベルト周回装置70は、ベルト71と、複数のベルト張架ローラ72~72と、端部規制部材73(カラー部材)と、を備え、ベルト張架ローラ72~72によりベルト71を張架して周回移動方向Rに周回移動させる。この例では、ベルト張架ローラ72~72は、転写駆動ローラ721と、転写従動ローラ722と、複数のテンションローラ723~723と、を含んでいる。
【0038】
ベルト張架ローラ72~72は、ベルト71を張架して周回移動方向Rに周回移動させる。ベルト張架ローラ72~72の両側の回転軸72a,72aは、画像形成装置本体101に設けられた一対の支持部材20,20(本体フレーム部材)によってそれぞれ回転自在に支持されている。ベルト張架ローラ72~72のうち、一のローラ(この例では、転写駆動ローラ721)は、図示を省略した回転駆動部(駆動モータ)からの回転駆動力が図示を省略した駆動伝達機構を介して伝達されて所定の方向に回転駆動される。ベルト張架ローラ72~72のうちの他の一のベルト張架ローラ72(転写従動ローラ722)は、一のベルト張架ローラ72(転写駆動ローラ721)の駆動回転によって従動回転される。これにより、ベルト71は、周回移動方向R(この例では、画像ステーションPa,Pb,Pc,Pdから転写ニップ部TNに向かう方向)に周回移動することができる。
【0039】
ベルト71は、無端状のものであり、ベルト張架ローラ72~72に巻き掛けられている。この例では、ベルト71は、ポリイミド等の柔軟性を有する樹脂材料で構成されている。
【0040】
端部規制部材73は、ベルト張架ローラ72~72のうち少なくとも1つのベルト張架ローラ72(この例では転写従動ローラ722)の回転軸72aに回転自在に設けられている。端部規制部材73は、ベルト張架ローラ72~72の回転軸線方向Mにおけるベルト71の片寄り移動を規制する。この例では、回転軸線方向Mは、奥行方向Yに沿っている。
【0041】
端部規制部材73,73は、本体部731と、規制部732と、有している。本体部731は、ベルト71の内面71aと接触する。規制部732は、本体部731よりもベルト張架ローラ72(722)の径方向における外側に延設されている。規制部732は、ベルト71の端部71eと接触する。
【0042】
詳しくは、規制部732は、本体部731に対して鍔状に形成されており、被押圧部732aと、押圧部732bと、を有している。被押圧部732aは、ベルト71の端部71e,71eの押圧を受ける。押圧部732bは、介在部材83を介して被押圧部732aの反対側で移動部材81を押圧する。
【0043】
〔ベルト片寄補正装置80〕
第1実施形態に係るベルト周回装置70は、ベルト71の片寄りを補正するベルト片寄補正装置80を備えている。ベルト周回装置70において、端部規制部材73は、ベルト張架ローラ72(722)の回転軸72aの回転軸線方向Mにおける両側(M1,M2)に設けられている。
【0044】
ベルト片寄補正装置80は、ベルト張架ローラ72(722)の両側(M1,M2)において、移動部材81,81と、揺動部82,82とを有している。移動部材81,81は、回転軸線方向Mにおいて回転軸72aの端部規制部材73,73よりも外側に回転軸線方向Mに移動自在に設けられている。揺動部82,82は、ベルト71が回転軸線方向Mにおける外側に片寄ることにより端部規制部材73,73が移動することに伴う移動部材81,81の移動に連動してベルト71が回転軸線方向Mにおける内側(中央側)に戻るようにベルト張架ローラ72(722)をベルト張架ローラ72(722)が傾く方向に揺動させる。
【0045】
揺動部82,82は、揺動支持部材82aと、軸受部材82bと、付勢部材82c(この例では巻ばね)(
図5A、
図5B参照)と、を備えている。揺動支持部材82aは、ベルト張架ローラ72(722)の回転軸線αに沿った揺動軸線β回りに揺動自在に支持部材20,20に支持されている。また、揺動支持部材82aは、軸受部材82bをベルト71の張架方向N(この例では左右方向X)に移動自在に支持する。軸受部材82bは、ベルト張架ローラ72(722)の回転軸72a,72aを回転自在に支持する。付勢部材82cは、移動部材81,81の移動に連動してベルト張架ローラ72(722)が傾く方向とは反対側に向けて付勢する。
【0046】
詳しくは、ベルト張架ローラ72(722)は、回転軸線αの傾きを変化させてベルト71の蛇行を補正する蛇行補正ローラとして機能する。ベルト張架ローラ72(722)は、胴部72bと一対の回転軸72a,72aとを備えている。胴部72bは、ベルト71の内面71aに接触する部分であり、この例では、ベルト71の幅よりも狭い幅を有している。回転軸72a,72aは、胴部72bの両側端部からそれぞれ回転軸線方向Mに突出している。
【0047】
ベルト張架ローラ72(722)の回転軸72a,72aには、端部規制部材73、移動部材81(蛇行補正用カラー部材)及び軸受部材82bがそれぞれ挿通されている。回転軸72a,72aは、この例では、一定の径を有する円柱状の金属部材である。
【0048】
端部規制部材73,73は、回転軸72a,72aに対して回転軸線α回りに回転自在かつ回転軸線方向Mに移動自在に設けられている。端部規制部材73,73は、ベルト張架ローラ72(722)の回転軸線方向Mにおいて、外側に片寄ったベルト71の端部71e,71eから押圧を受けて外側にスライド移動することにより移動部材81,81を外側に押圧する。
【0049】
移動部材81は、回転軸72a,72aに対して回転軸線方向Mに移動自在に設けられる。移動部材81は、端部規制部材73からの押圧を受けることにより、回転軸72a,72aに対して回転軸線方向Mにおける外側に移動する。
【0050】
また、画像形成装置本体101における支持部材20,20には、傾斜ガイド部20aが設けられている。傾斜ガイド部20aは、移動部材81と当接して移動部材81を摺動させる。傾斜ガイド部20aは、回転軸線方向Mにおける内側端20a11から外側端20a12に向けて外側に遠ざかるに従って回転軸線αに近づくように傾斜する傾斜面20a1を有している。
【0051】
移動部材81は、回転軸72a,72aに沿って回転軸線方向Mにおける外側に移動すると、支持部材20における傾斜ガイド部20aに当接しつつ傾斜ガイド部20aに沿って移動することによりベルト張架ローラ72(722)を傾斜させる。
【0052】
詳しくは、移動部材81は、移動部材本体81aと、被押圧部81bと、被係合部81cと、を有している。移動部材本体81aには、回転軸72a,72aに挿通される挿通穴81a1(
図5B参照)と、傾斜ガイド部20aと当接する当接部81a2(
図5B参照)と、が設けられている。
【0053】
被押圧部81bは、移動部材本体81aの回転軸線方向Mにおける内側面81a3(
図5B参照)から内側に突設されており、リング状の介在部材83を介して端部規制部材73の押圧部732bに押圧される。介在部材83は、ベルト71の回転により回転される端部規制部材73の押圧部732bを移動部材81の被押圧部81bに対して摺動し易くするものであり、フッ素樹脂等の所定の基準摩擦係数よりも小さい摩擦係数の樹脂材料からなっている。
【0054】
被係合部81cは、移動部材本体81aの回転軸線方向Mにおける外側面81a4(
図5B参照)から外側に突設されており、軸受部材82bに対して回転軸線方向Mに移動可能かつ回転軸線α回りに回転不能に係合される。この例では、被係合部81cは、互いに対向するように回転軸線方向Mにおける外側に延びる一対の被係合片81c1,81c1(
図5B参照)とされている。
【0055】
支持部材20,20には、回転軸線方向Mにおける外側に突出する揺動軸22が設けられている。揺動支持部材82aには、貫通孔82a1が設けられおり、貫通孔82a1が支持部材20,20における揺動軸22に挿通されている。
【0056】
また、揺動支持部材82aには、張架方向Nに延びるスライド孔82a2と、スライド孔82a2に連通する取出孔82a3とが設けられている。取出孔82a3は、回転軸線方向M及び張架方向Nの双方に直交する直交方向h(この例では上下方向Z)のサイズがスライド孔82a2の直交方向hのサイズよりも大きいサイズとされている。
【0057】
軸受部材82bは、揺動支持部材82aに対して、ベルト71の張架方向Nに移動自在に支持されている一方、回転軸線方向Mに移動不能かつ回転軸線α回りに回転不能とされている。具体的には、軸受部材82bは、挿通部82b1と、係合部82b2と、を有している。挿通部82b1は、取出孔82a3に挿通される。挿通部82b1は、直交方向hにおけるサイズが取出孔82a3の直交方向hにおけるサイズよりも小さく、かつ、スライド孔82a2の直交方向hにおけるサイズよりも大きくなっている。また、挿通部82b1には、スライド孔82a2の直交方向hにおける両側の縁部82a21,82a21(
図5B参照)に係入される係入溝82b11,82b11(
図5B参照)が張架方向Nに沿って設けられている。これにより、軸受部材82bは、スライド孔82a2に沿って張架方向Nに往復移動することができる。
【0058】
また、係合部82b2は、移動部材81における被係合部81cと係合する。この例では、係合部82b2は、移動部材81における一対の被係合片81c1,81c1間において回転軸線方向Mに移動可能に、かつ、互いに対向するように回転軸線方向Mにおける内側に延びる一対の被係合片82b21,82b21(
図5B参照)とされている。これにより、移動部材81は、軸受部材82bに係合された状態で回転軸線方向Mに沿って往復移動することができる。
【0059】
付勢部材82cは、一端部82c1(
図5A、
図5B参照)が揺動支持部材82aに接続され、かつ、他端部82c2(
図5A、
図5B参照)が支持部材20,20に接続されている。
【0060】
本実施の形態では、ベルト周回装置70は、付勢部材74,74(この例では巻ばね)をさらに備えている。付勢部材74は、ベルト71を引っ張る方向であるベルト引張方向N1(この例では転写駆動ローラ721とは反対方向)にベルト張架ローラ72(722)を付勢する。付勢部材74は、ベルト引張方向N1にベルト張架ローラ72(722)を付勢する。
【0061】
詳しくは、付勢部材74は、スライド孔82a2及び取出孔82a3内において、軸受部材82bをベルト引張方向N1に向けて付勢するように、軸受部材82bと、取出孔82a3のベルト引張方向N1とは反対側の端部82a31(
図5A参照)との間に配置されている。これにより、付勢部材74は、ベルト張架ローラ72(722)をベルト引張方向N1に向けて付勢することができる。
【0062】
以上説明したベルト片寄補正装置80では、周回移動されるベルト71の回転軸線方向Mにおける一方側M1の外側への片寄りを補正するにあたり、端部規制部材73は、回転軸線方向Mにおける一方側M1の外側に片寄ったベルト71の端部71eから規制部732で押圧を受けて、押圧部732bで移動部材81を押圧する。移動部材81は、端部規制部材73からの押圧によって、回転軸線方向Mにおける外側に移動し、当接部81a2が傾斜ガイド部20aの傾斜面20a1に当接する。移動部材81は、さらに回転軸線方向Mにおける外側に移動することで、当接部81a2が傾斜面20a1に沿って摺動する。そうすると、移動部材81は、傾斜面20a1の摺動に伴い傾斜面20a1から直交方向hにおける一方側h1(この例では下方向)の成分を含む反力を受ける。これにより、ベルト張架ローラ72(722)は、片側端部の回転軸72aが移動部材81を介して傾斜面20a1からの反力により直交方向hにおける一方側h1に押し付けれて回転軸線αが反力の方向に傾く。このように、ベルト張架ローラ72(722)の回転軸線αが傾くことにより、ベルト71に回転軸線方向Mにおける内側に戻る力が作用し、ベルト71が回転軸線方向Mにおける他方側M2に移動する。これにより、ベルト71の回転軸線方向Mにおける一方側M1の外側への片寄りが補正される。また、周回移動されるベルト71の回転軸線方向Mにおける他方側M2の外側への片寄りも同様にして補正される。
【0063】
すなわち、周回移動されるベルト71の回転軸線方向Mにおける外側への片寄りは、ベルト71が回転軸線方向Mにおける一方側M1及び他方側M2に蛇行することにより補正される。
【0064】
ところで、ベルト71の端部71eが端部規制部材73の規制部732に摺接し、ベルト71の破損を招くことから、端部規制部材73の規制部732のベルト71の端部71eへの摺接負荷を軽減させるために、ベルト71が片寄る際の規制部732とベルト71の端部71eとの摺動摩擦を可及的に減らす必要がある。しかし、特許文献1に記載のような従来の構成では、構成が複雑化する。
【0065】
(第1実施形態)
この点、本実施の形態では、ベルト張架ローラ72(722)の回転軸線方向Mにおけるベルト71の片寄り移動を規制する端部規制部材73がベルト張架ローラ72(722)の回転軸72aに回転自在に設けられている。従って、構成が簡単である。
【0066】
しかも、
図7Dに示すように、端部規制部材73における規制部732は、ベルト71の内面71aが本体部731と接触した状態において本体部731へのベルト71の張力によりベルト71の折り返し部Q(
図3Aから
図5B参照)から周回移動方向Rにおける上流側R1に向けて遠ざかるに従って回転軸線方向Mにおける外側に開くように傾斜する。すなわち、周回移動されて回転軸線方向Mに片寄ったベルト71を規制部732よりも先に本体部731に接触させることができる。このとき、ベルト71が本体部731に巻き付いた状態になるので、ベルト71の端部71eをベルト71の本体部731への巻き付きによって安定させることができる。また、規制部732が回転軸線方向Mにおける外側に開くように傾斜しているので、その後、ベルト71がさらに片寄って規制部732に接触しても、ベルト71の端部71eをベルト71の本体部731への巻き付きによって安定させた状態で、かつ、規制部732に対して線接触ではなく、点接触又は略点接触した状態でベルト71を周回移動させることができる。これにより、ベルト71が片寄る際の規制部732とベルト71の端部71eとの摺動摩擦を可及的に減らすことができる。また、ベルト71の端部71eが規制部732に乗り上げて破損することを防止できる。
【0067】
本実施の形態において、
図7Dに示すように、回転軸72aに対向する端部規制部材73の内周面73aは、回転軸線方向Mにおける内側端73bの第1内径φ1が回転軸線方向Mにおける外側端73cの第2内径φ2よりも大きい。
【0068】
こうすることで、簡単な構成でありながら、ベルト71の内面71aが本体部731と接触しているときに規制部732を容易に傾斜させることができる。
【0069】
本実施の形態では、
図7Dに示すように、回転軸72aに対向する端部規制部材73の内周面73aは、内側端73bから外側端73cに向けて遠ざかるに従って次第にベルト張架ローラ72(722)の回転軸線αに近づくように傾斜する傾斜面733を有している。
【0070】
このように、端部規制部材73の内周面73aが傾斜面733を有していることで、一般的に多用されている構造簡単な回転軸72a(例えば、本実施の形態のように、一定の径を有する第1の回転軸72a1)を用いることができると共に、ベルト71の内面71aが本体部731と接触しているときにベルト71の回転により回転される端部規制部材73における傾斜面733において本体部731を安定的に回転させながら規制部732を確実に傾斜させることができる。
【0071】
ここで、
図7Dを用いてもう少し詳しく説明する。
図7Dにおいて、ベルト張架ローラ72(722)のベルト引張方向N1側に表示されているベルト71が、ベルト71の折り返し部Qである。折り返し部Qから周回移動方向Rにおける上流側は、
図7Dが断面図であるため図示されないが
図7Dに表示されているベルト張架ローラ72(722)から送り出される進出側のベルト71と同じ投影位置に存在する。つまり、折り返し部Qにおけるベルト71の端部71eと被押圧部732aとの当接点からベルト引張方向N1と反対側に見えるベルト71の端部71eが進入側のベルト71の端部位置とみなしてよい。つまり、規制部732は、本体部731に作用するベルト71の張力によって、進入側のベルト71の端部71eに対してη(
図7D参照)の角度で傾斜する。そのため、ベルト張架ローラ72(722)のベルト71の進入側ではベルト71の端部71eは規制部732に当接せず、折り返し部Qで当接する。
【0072】
本実施の形態において、
図7Dに示すように、ベルト周回装置70は、端部規制部材73と回転軸72a(72a1)との間に隙間Dを有している。隙間Dにおいて、回転軸線方向Mにおける内側端73bでの第1隙間(φ1-φ3)〔φ3は回転軸72a(72a1)の外径〕が回転軸線方向Mにおける外側端73cでの第2隙間(φ2-φ3)よりも大きい。ここで、第2内径φ2は回転軸72aの外径φ3と等しいか或いは外径φ3よりも大きい。
【0073】
この例では、回転軸72a(72a1)と端部規制部材73との嵌め合い公差をdとすると、次の関係が成り立つ。
【0074】
φ1-φ3>φ2-φ3(φ1-φ3は、この例では200μm)
φ2-φ3<d(dは、この例では50μm)
このように、内側端73bでの第1隙間(φ1-φ3)が外側端73cでの第2隙間(φ2-φ3)よりも大きいことで、簡単な構成でありながら、ベルト71の内面71aが本体部731と接触しているときに規制部732を容易に傾斜させることができる。
【0075】
本実施の形態において、隙間Dは、第1隙間(φ1-φ3)から第2隙間(φ2-φ3)に向けて遠ざかるに従って次第に小さくなっている。
【0076】
こうすることで、一般的に多用されている構造簡単な回転軸72a(例えば、本実施の形態のように、一定の径を有する第1の回転軸72a1)を用いることができると共に、ベルト71の内面71aが本体部731と接触しているときに規制部732を円滑に傾斜させることができる。
【0077】
ところで、
図7Dに示すように、端部規制部材73における本体部731の外径φ4が、ベルト張架ローラ72(722)におけるベルト71の内面71aと当接する胴部72bの外径φ5(>φ3)以下である場合、ベルト71の内面71aが本体部731と接触しても、ベルト71が張力により本体部731を回転軸線α側に押し付け難く、本体部731へのベルト71の張力により規制部732が傾斜し難いことがある。
【0078】
この点、本実施の形態において、ベルト周回装置70は、端部規制部材73における本体部731の外径φ4がベルト張架ローラ72(722)におけるベルト71の内面71aと当接する胴部72bの外径φ5よりも大きい。
【0079】
こうすることで、ベルト71の内面71aが本体部731と接触しているときに、ベルト71が張力により本体部731を回転軸線α側に押し付け易くすることができる。これにより、本体部731へのベルト71の張力により規制部732を傾斜させ易くすることができ、それだけ規制部732を確実に傾斜させることができる。
【0080】
ところで、本体部731の外径φ4が胴部72bの外径φ5よりも大き過ぎると、胴部72bと本体部731との間に生じる回転軸線αと直交する方向の段差が大きくなってしまいベルト71を屈曲させてしまう恐れがある。
【0081】
この点、本実施の形態では、本体部731の外径φ4が胴部72bの外径φ5よりも第1隙間(φ1-φ3)以内の距離だけ大きい(φ5-φ4≦φ1-φ3)。
【0082】
こうすることで、本体部731をベルト71の張力により回転軸線α側に押し付けるにあたり、胴部72bと本体部731との間に生じる回転軸線αと直交する方向の段差でベルト71が過度に湾曲しないようにすることができる。
【0083】
また、ベルト周回装置70がベルト71の片寄りを補正するベルト片寄補正装置80を備えていることで、ベルト71が片寄る際の規制部732とベルト71の端部71eとの摺動摩擦を可及的に減らした状態でベルト71の片寄りを補正することができる。
【0084】
(第2実施形態)
図9Aから
図9Eは、それぞれ、移動部材81を示す斜視図、正面図、側面図、背面図及び底面図である。
【0085】
第2実施形態に係るベルト周回装置70は、第1実施形態に係るベルト周回装置70の構成を含んでいる。すなわち、第2実施形態に係るベルト周回装置70において、第1実施形態に係るベルト周回装置70と同様の構成には同一符号を付し、第1実施形態に係るベルト周回装置70とは異なる点を中心に説明する。
【0086】
ところで、ベルト片寄補正装置80では、ベルト71が片寄ると、端部規制部材73における規制部732に接触し、端部規制部材73がベルト71と共に移動する。そうすると、移動部材81もベルト71及び端部規制部材73と共に移動する。このとき、移動部材81に当接している端部規制部材73における規制部732は、ベルト71の張力によって回転軸線方向Mにおける外側に開くように傾斜するが、例えば、移動部材81の規制部732と当接する当接面81b1が周回移動方向R〔ベルト71の端面71e1(
図7D参照)〕、すなわち回転軸線方向Mと直交する方向に沿っていると、ベルト71が片寄って端部規制部材73の規制部732と当接し、端部規制部材73を回転軸線方向Mに移動させ、移動部材81の当接面81b1と当接する際に、移動部材81が当接面81b1との当接反力によって規制部732が回転軸線方向Mにおける外側に傾斜し難いことがある。
【0087】
この点、本実施の形態において、移動部材81は、端部規制部材73における規制部732と当接する当接面81b1がベルト71の折り返し部Qから周回移動方向Rにおける上流側R1に向けて遠ざかるに従って回転軸線方向Mにおける外側に開くように傾斜する傾斜面とされている(
図9A、
図9E参照)。換言すると、当接面81b1は、挿通穴81a1の中心軸線γ(ベルト張架ローラ72(722)の回転軸線αと平行)と直交する面、すなわち移動部材本体81aの回転軸線方向Mにおける内側面81a3に対し付勢部材74によるベルト引張方向N1からδ(
図9E参照)だけ傾くように傾斜する傾斜面とされている。
【0088】
こうすることで、ベルト71が片寄って端部規制部材73の規制部732と当接して端部規制部材73が回転軸線方向Mに移動し、移動部材81の当接面81b1と当接する際に、端部規制部材73の押圧部732bが当接面81b1と沿うように当接するので、規制部732を回転軸線方向Mにおける外側に傾斜させることができる。これにより、規制部732を回転軸線方向Mにおける外側に傾斜させ易くすることができ、それだけ規制部732を確実に傾斜させることができる。
【0089】
(第3実施形態)
図10は、第3実施形態に係るベルト周回装置70の左右方向Xにおける2次転写装置11とは反対側のベルト張架ローラ72(722)部分においてベルト71が回転軸線方向Mにおける一方側M1(手前側)に片寄り移動している様子を示す斜視図である。
【0090】
図11は、
図10に示すベルト周回装置70においてベルト71を取り外した様子を示す斜視図である。
【0091】
図12A及び
図12Bは、それぞれ、
図11に示すベルト周回装置70において回転軸線方向Mにおける一方側M1の端部規制部材73部分を拡大して示す斜視図及び分解斜視図である。
【0092】
図13は、回転軸線方向Mにおける一方側M1の端部規制部材73部分を拡大して示す断面図であり、
図14は、
図13に示すE-E線に沿った断面図、すなわちベルト張架ローラ72(722)の上面側、換言するとベルト71の進入側から見た図である。そのため、ベルト張架ローラ72(722)から送り出される進出側のベルト71がベルト張架ローラ72(722)の下位置に見えている。
【0093】
なお、
図12Aから
図14において、ベルト周回装置70の回転軸線方向Mにおける一方側M1の構成を示しているが、ベルト周回装置70の回転軸線方向Mにおける他方側M2の構成も同様であり、ここでは、図示を省略している。
【0094】
第3実施形態に係るベルト周回装置70は、第1実施形態及び第2実施形態に係るベルト周回装置70の構成を含んでいる。すなわち、第3実施形態に係るベルト周回装置70において、第1実施形態及び第2実施形態に係るベルト周回装置70と同様の構成には同一符号を付し、第1実施形態及び第2実施形態に係るベルト周回装置70とは異なる点を中心に説明する。
【0095】
第3実施形態に係るベルト周回装置70に備えられる端部規制部材73,73は、一定の第1内径φ1及び第2内径φ2を有する筒状の部材とされている。これについて、以下により詳しく説明する。
【0096】
回転軸72aに対向する端部規制部材73の内周面73aは、
図14に示すように、回転軸線方向Mにおける内側端73bの第1内径φ1が回転軸線方向Mにおける外側端73cの第2内径φ2よりも大きくなるように構成される。
【0097】
一方、端部規制部材73、73が配置されるベルト張架ローラ72(722)の回転軸72aは、第1内径φ1の部分と対応する位置に、胴部72bの外径φ5よりも小さい第1外径φ3a(φ3)を有する第1軸部72a21と、第2内径φ2の部分と対応する位置に第1外径φ3aよりも小さい第2外径φ3b(φ3)を有する第2軸部72a22と、を有している。そして、第1軸部72a21と第2軸部72a22との境界部分が段差Tを構成している。
【0098】
ここで、端部規制部材73の第2内径φ2は、第2軸部72a22の第2外径φ3bと等しいか或いは第2外径φ3bよりも大きく、端部規制部材73の第1内径φ1は、第1軸部72a21の第1外径φ3aよりも大きい。つまり、端部規制部材73の内周面73aとベルト張架ローラ72(722)との隙間である隙間Dは、第1隙間〔φ1-φ3a(φ3)〕が第2隙間〔φ2-φ3b(φ3)〕より大きくなるように構成されている。換言すると、第2隙間の嵌め合い公差より第1隙間の嵌め合い公差の方が大きくなる(緩くなる)ように構成されている。
【0099】
以上のように構成することで、ベルト71の内面71aが端部規制部材73の本体部731と接触し、本体部731にベルト71の張力が作用すると、第2隙間の方が第1隙間より小さいので第2隙間の領域で端部規制部材73がベルト張架ローラ72(722)の回転軸72aと接触し、この接触した領域を支点として本体部731がベルト71の張力方向に傾くようになる。このとき、端部規制部材73の規制部732のベルト71の進入側が外側に傾くように傾斜する。つまり、
図14に示すように、規制部732は、本体部731へのベルト71の張力によりベルト71の折り返し部Qから(ベルト71の)周回移動方向Rにおける上流側R1に向けて遠ざかるに従って回転軸線方向Mにおける外側に開くように傾斜する。(
図14において、ベルト張架ローラ72(722)のベルト引張方向N1側に表示されているベルト71が、ベルト71の折り返し部Qである。折り返し部Qから周回移動方向Rにおける上流側R1は、断面図であるため図示されないが
図14に表示されているベルト張架ローラ72(722)から送り出される進出側のベルト71と同じ投影位置に存在する。つまり、折り返し部Qにおけるベルト71の端部71eと被押圧部732aとの当接点からベルト引張方向N1と反対側に見えるベルト71の端部71eが進入側のベルト71の端部位置とみなしてよい。そして、規制部732は、この進入側のベルト71の端部71eに対してηの角度で傾斜する。そのため、ベルト71の進入側ではベルト71の端部71eは規制部732に当接せず、折り返し部Qで当接する。)
【0100】
また、本実施の形態において、隙間Dは、第1隙間〔φ1-φ3a(φ3)〕から第2隙間〔φ2-φ3b(φ3)〕に向けて段階的に小さくなるように構成されている。
【0101】
こうすることで、簡単な構成でありながら、ベルト71の内面71aが本体部731と接触しているときに規制部732を容易に傾斜させることができる。
【0102】
以上説明したように、回転軸72a(72a2)は、端部規制部材73が設けられた状態で第1内径φ1と第2内径φ2との間に段差Tを有していることで、一般的に多用されている構造簡単な端部規制部材73(例えば、本実施の形態のように、一定の第1内径φ1及び第2内径φ2を有する筒状の部材)を用いることができると共に、ベルト71の内面71aが本体部731と接触しているときにベルト71の回転により回転されるベルト張架ローラ72(722)の回転軸72a(72a2)における段差Tよりも内側(第1軸部72a21)において本体部731を安定的に回転させながら規制部732を確実に傾斜させることができる。つまり、規制部732を、ベルト71の進入側が外側に開くように、すなわちベルト71の端部71eからの距離がベルト71の周回移動方向Rの上流側R1に向かうほど遠くなるように傾けることができるようになる。これによって、ベルト71がベルト張架ローラ72(722)に進入する際に、端部71eが規制部732に乗り上げることを効果的に防止することができ、端部71eが規制部732に乗り上げて破損することを効果的に防止できる。
【0103】
(その他の実施形態)
第1実施形態から第3実施形態では、ベルト周回装置70を1次転写ベルト装置19に適用したが、2次転写ベルトを備えた2次転写ベルト装置、定着ベルトを備えた定着ベルト装置や、搬送ベルトを有する搬送ベルト装置等、ベルトを備えた装置であれば、何れの装置にも適用することができる。
【0104】
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、係る実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0105】
100 画像形成装置
19 1次転写ベルト装置
20 支持部材
20a 傾斜ガイド部
20a1 傾斜面
20a11 内側端
20a12 外側端
22 揺動軸
70 ベルト周回装置
71 ベルト
71a 内面
71e 端部
71e1 端面
72 ベルト張架ローラ
721 転写駆動ローラ
722 転写従動ローラ
723 テンションローラ
72a 回転軸
72a1 第1の回転軸
72a2 第2の回転軸
72a21 第1軸部
72a22 第2軸部
72b 胴部
73 端部規制部材
731 本体部
732 規制部
732a 被押圧部
732b 押圧部
733 傾斜面
73a 内周面
73b 内側端
73c 外側端
74 付勢部材
80 ベルト片寄補正装置
81 移動部材
81a 移動部材本体
81b 被押圧部
81c 被係合部
82 揺動部
82a 揺動支持部材
82b 軸受部材
82c 付勢部材
83 介在部材
D 隙間
M 回転軸線方向
M1 一方側
M2 他方側
N 張架方向
N1 ベルト引張方向
Q 折り返し部
R 周回移動方向
R1 上流側
T 段差
X 左右方向
Y 奥行方向
Z 上下方向
h 直交方向
h1 一方側
α 回転軸線
β 揺動軸線
φ1 端部規制部材の第1内径
φ2 端部規制部材の第2内径
φ3 回転軸の外径
φ3a 回転軸の第1外径
φ3b 回転軸の第2外径
φ4 端部規制部材における本体部の外径
φ5 ベルト張架ローラにおける胴部の外径