(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120913
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】トンネル支保工及び支保工連結方法
(51)【国際特許分類】
E21D 11/40 20060101AFI20230823BHJP
E21D 11/18 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
E21D11/40 A
E21D11/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024056
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000201478
【氏名又は名称】前田建設工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水谷 和彦
【テーマコード(参考)】
2D155
【Fターム(参考)】
2D155BA06
2D155CA01
2D155FB01
2D155GB01
2D155KB04
(57)【要約】
【課題】従来よりも改善されたトンネル支保工に関する技術を提供する。
【解決手段】第1及び第2の鋼製支保工を含み、エレクタ装置における一対のハンドによってそれぞれ把持された状態で天端部同士が相互連結されるトンネル支保工であって、第1の鋼製支保工は、天端部に設けられた第1天端継手板と、その単一箇所に凹設された雌型連結部を有し、第2の鋼製支保工は、天端部に設けられた第2天端継手板と、その単一箇所に凹設されると共に前記雌型連結部に挿入されることによって係止される雄型連結部を有し、雌型連結部は、第1の鋼製支保工のウェブと干渉しないように第1天端継手板の幅方向中央位置を基準として側縁寄りの位置に偏心配置され、雄型連結部は、第2の鋼製支保工のウェブと干渉しないように第2天端継手板の幅方向中央位置を基準として側縁寄りの位置に偏心配置されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
NATM工法に適用され、トンネル掘削によって形成されたトンネル坑壁に沿って建て込まれる円弧状に分割された第1及び第2の鋼製支保工を含み、エレクタ装置における一対のハンドによってそれぞれ把持された状態で天端部同士が相互連結されるトンネル支保工であって、
前記第1の鋼製支保工は、天端部に設けられた第1天端継手板と、当該第1天端継手板の単一箇所に凹設された雌型連結部と、を有し、
前記第2の鋼製支保工は、天端部に設けられた第2天端継手板と、当該第2天端継手板の単一箇所に凹設されると共に前記雌型連結部に挿入されることによって係止される雄型連結部と、を有し、
前記雌型連結部は、前記第1の鋼製支保工のウェブと干渉しないように、前記第1天端継手板の幅方向中央位置を基準として側縁寄りの位置に偏心配置され、
前記雄型連結部は、前記第2の鋼製支保工のウェブと干渉しないように、前記第2天端継手板の幅方向中央位置を基準として側縁寄りの位置に偏心配置されている、
トンネル支保工。
【請求項2】
前記雌型連結部は、前記第1天端継手板の幅方向中央位置を基準として坑口側側縁寄りの位置に偏心配置され、
前記雄型連結部は、前記第2天端継手板の幅方向中央位置を基準として坑口側側縁寄りの位置に偏心配置されている、
請求項1に記載のトンネル支保工。
【請求項3】
前記第1天端継手板及び前記第2天端継手板における地山側フランジには、当該地山側フランジの切羽側縁部と坑口側縁部から側方に突出するように、当該地山側フランジに沿って金網が固定されており、
前記第1天端継手板及び前記第2天端継手板の何れか一方における切羽側側縁には、支保工連結時に前記第1天端継手板及び前記第2天端継手板の何れか他方の切羽側側縁をガイドすることによって前記雌型連結部に対する前記雄型連結部の挿入動作を補助するガイド部材が設けられており、
前記ガイド部材は、前記第1天端継手板及び前記第2天端継手板の一方における前記切羽側側縁のみに設けられている、
請求項1又は2に記載のトンネル支保工。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載されたトンネル支保工の連結方法であって、
前記第1及び第2の鋼製支保工をエレクタ装置における一対のハンドによってそれぞれ把持した状態で当該一対のハンドを操作し、前記雄型連結部を前記雌型連結部に挿入することによって前記第1及び第2の鋼製支保工を相互連結する、
支保工連結方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル支保工及び支保工連結方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネルを構築する工法として、NATM工法(New Austrian Tunneling Method)が知
られている。NATM工法は、地山が有する支保能力、強度を有効に利用してトンネルの安定を保つという考え方のもとに、吹付けコンクリート、ロックボルト、鋼製支保工を適宜に用いて、地山と一体化したトンネル構造物を建設する工法である。
【0003】
NATM工法においてトンネルを構築する際に、アーチ状の鋼製支保工を設置する場合、通常、以下に説明する手順により行われている。まず、切羽の近傍に吹付け機をセットして、切羽にコンクリートを一次吹き付けし、これが完了すると、吹付け機を退出させる。次いで、切羽近傍に支保工を建て込むエレクタを備えた作業車を配置し、エレクタによりアーチ状の鋼製支保工を切羽近傍のトンネル坑壁に建て込み、これが完了すると作業車を退出させる。次に、切羽に吹付け機を再び配置し、建て込まれたトンネル支保工を埋め込むようにして、コンクリートの二次吹付けを行い、吹付け機を退出させる。
【0004】
鋼製支保工の建て込みに際しては、主にエレクタ装置やドリルジャンボ等といった重機のブーム先端に付設されたハンドによって、円弧状に分割された左右一対の分割支保工を把持して建て込み作業を行った後、左右の分割支保工の天端に設けられている継手板同士を突き合わせてボルト接合することでアーチ状に建て込む方法が一般的であるが、かかるボルト接合は人手作業となっているのが実情である。すなわち、ボルト接合を用いる分割支保工の連結構造においては、左右の分割支保工に設けられた継手板同士を当接させた状態で、切羽近傍に組まれた作業足場や重機のブームに設けられたマンケージ等に人員を配置して、トンネル天端付近まで人員を移動させ、その天端付近に位置する分割支保工の継手板同士にボルトを挿通し、かかるボルトをナットにて締結するといった人手による連結作業を行う必要があった。
【0005】
これに対して、近年では、左右における一方の鋼製支保工における継手板に雄型連結部を設けると共に、他方の鋼製支保工における継手板に雌型連結部を設け、鋼製支保工を把持する重機(エレクタ装置)のハンドを相対移動させて雌型連結部に雄型連結部を係合させることで一対の鋼製支保工をアーチ状に連結することを可能にした鋼製支保工の連結構造が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。このように、エレクタ装置のハンド操作によって一対の鋼製支保工を連結する手法によれば、従来のようにトンネル坑壁付近に組まれた作業足場やエレクタ装置のマンケージ等に人員を配置してトンネル天端付近まで人員を移動させて鋼製支保工の継手板同士をボルト締結するといった連結作業を行う必要がなく、安全性を確保しつつ作業性を向上することができる。
【0006】
また、特許文献1には、一方の鋼製支保工における継手板に単一配置された雌型連結部と、他方の鋼製支保工における継手板に単一配置された雄型連結部を連結する一本掛け連結構造を採用した鋼製支保工の連結構造が開示されている。この技術によれば、雄型連結部側の中心軸と雄型係止部材側の中心軸の位置合わせを行うだけで、一対の鋼製支保工が相対的に捻じれた状態になっていても一対の分割支保工同士を連結することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された鋼製支保工の連結構造は、雌型連結部及び雄型連結部が鋼製支保工における継手板の中央位置に配置されている。そのため、雌型連結部が設けられる方の鋼製支保工におけるウェブには、雌型連結部との干渉を抑制するための切欠き部を設ける必要がある。これに起因して、鋼製支保工の強度が低下したり、当該強度の低下を抑制するために補強を行うことを余儀なくされる等、従来における鋼製支保工の一本掛け連結構造については改善する余地があった。
【0009】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、従来よりも改善されたトンネル支保工に関する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用する。すなわち、本発明は、NATM工法に適用され、トンネル掘削によって形成されたトンネル坑壁に沿って建て込まれる円弧状に分割された第1及び第2の鋼製支保工を含み、エレクタ装置における一対のハンドによってそれぞれ把持された状態で天端部同士が相互連結されるトンネル支保工であって、前記第1の鋼製支保工は、天端部に設けられた第1天端継手板と、当該第1天端継手板の単一箇所に凹設された雌型連結部と、を有し、前記第2の鋼製支保工は、天端部に設けられた第2天端継手板と、当該第2天端継手板の単一箇所に凹設されると共に前記雌型連結部に挿入されることによって係止される雄型連結部と、を有し、前記雌型連結部は、前記第1の鋼製支保工のウェブと干渉しないように、前記第1天端継手板の幅方向中央位置を基準として側縁寄りの位置に偏心配置され、前記雄型連結部は、前記第2の鋼製支保工のウェブと干渉しないように、前記第2天端継手板の幅方向中央位置を基準として側縁寄りの位置に偏心配置されている。
【0011】
ここで、前記雌型連結部は、前記第1天端継手板の幅方向中央位置を基準として坑口側側縁寄りの位置に偏心配置され、前記雄型連結部は、前記第2天端継手板の幅方向中央位置を基準として坑口側側縁寄りの位置に偏心配置されていてもよい。
【0012】
また、前記第1天端継手板及び前記第2天端継手板における地山側フランジには、当該地山側フランジの切羽側縁部と坑口側縁部から側方に突出するように、当該地山側フランジに沿って金網が固定されており、前記第1天端継手板及び前記第2天端継手板の何れか一方における切羽側側縁には、支保工連結時に前記第1天端継手板及び前記第2天端継手板の何れか他方の切羽側側縁をガイドすることによって前記雌型連結部に対する前記雄型連結部の挿入動作を補助するガイド部材が設けられており、前記ガイド部材は、前記第1天端継手板及び前記第2天端継手板の一方における前記切羽側側縁のみに設けられていてもよい。
【0013】
また、本発明は、上述までの何れかのトンネル支保工の連結方法として特定することができる。すなわち、本発明に係る支保工連結方法は、前記第1及び第2の鋼製支保工をエレクタ装置における一対のハンドによってそれぞれ把持した状態で当該一対のハンドを操作し、前記雄型連結部を前記雌型連結部に挿入することによって前記第1及び第2の鋼製支保工を相互連結する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、従来よりも改善されたトンネル支保工に関する技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、実施形態1に係るトンネル支保工の側面図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係るトンネル支保構造を説明する図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係る作業車の上面図である。
【
図4】
図4は、実施形態1に係る作業車の側面図である。
【
図5】
図5は、実施形態1に係る第1天端継手板の正面図である。
【
図6】
図6は、実施形態1に係る第1天端継手板の背面図である。
【
図7】
図7は、実施形態1に係る第2天端継手板の正面図である。
【
図8】
図8は、実施形態1に係る第2天端継手板の背面図である。
【
図9】
図9は、実施形態1に係る左側鋼製支保工及び右側鋼製支保工の連結構造を示す概略図である。
【
図10】
図10は、実施形態1に係る雌型連結部と雄型連結部を連結した状態を示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態2に係る左側鋼製支保工及び右側鋼製支保工における天端部近傍の側面図である
【
図12】
図12は、実施形態2に係る左側鋼製支保工及び右側鋼製支保工に固定された金網を説明する図である。
【
図14】
図14は、実施形態2に係るガイド部材の変形例を説明する図である。
【
図15】
図15は、実施形態2に係るガイド部材の変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係るトンネル支保工10の側面図である。トンネル支保工10は、例えばNATM工法(New Austrian Tunneling Method)に適用され、トンネル掘削に伴
い露出する地山の崩落防止のために、掘削直後の坑壁に沿って建て込まれるアーチ状の鋼製支保工であり、トンネル軸方向に沿って一定間隔毎に設置される。本実施形態におけるトンネル支保工10は、一対の円弧状の鋼製支保工10L,10Rを含んで構成されている。一対の鋼製支保工10L,10Rは、H形断面を有するH形鋼によって形成されている。各鋼製支保工10L,10Rは、エレクタ装置における一対のハンドによってそれぞれ把持された状態で天端部同士が相互連結される結果、アーチ状をなすトンネル支保工10が形成される。以下、鋼製支保工10Lを「左側鋼製支保工」と呼び、鋼製支保工10Rを「右側鋼製支保工」と呼ぶ。本実施形態においては、左側鋼製支保工10Lが第1の鋼製支保工に対応し、右側鋼製支保工10Rが第2の鋼製支保工に対応する。
【0018】
左側鋼製支保工10Lは、第1本体部111、第1天端継手板121、第1底板131を有する。第1本体部111は、ウェブ111a、当該ウェブ111aに直交する一対の地山側フランジ111b及び内空側フランジ111cから構成されるH形鋼である。また、第1本体部111における一端には第1天端継手板121が溶接され、他端には第1底板131が溶接されている。第1天端継手板121及び第1底板131は四角形の鋼製平板であり、第1本体部111のH形断面に対して直交方向に延在している。地山側フランジ111bは、支保工連結時(左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rの連結時)において、地山側に面して配置される方のフランジである。一方、内空側フランジ111cは、支保工連結時において、トンネル内空側に面して配置される方のフランジである。
【0019】
右側鋼製支保工10Rについても同様に、第2本体部112、第2天端継手板122、第2底板132を有する。第2本体部112は、ウェブ112a、当該ウェブ112aに直交する一対の地山側フランジ112b及び内空側フランジ112cから構成されるH形
鋼である。また、第2本体部112における一端には第2天端継手板122が溶接され、他端には第2底板132が溶接されている。第2天端継手板122、第2底板132は四角形の鋼製平板であり、第2本体部112のH形断面に対して直交方向に延在している。地山側フランジ112bは、支保工連結時において、地山側に面して配置される方のフランジである。一方、内空側フランジ112cは、支保工連結時において、トンネル内空側に面して配置される方のフランジである。
【0020】
本実施形態では、第1天端継手板121及び第2天端継手板122は合同の正方形平面を有している。
図1に示すように、左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rは、第1天端継手板121及び第2天端継手板122が互いに突き合わされた状態で連結される。
【0021】
図2は、実施形態1に係るトンネル支保構造1を説明する図である。
図2における符号3は、一次吹付けコンクリート層である。また、符号6は、二次吹付けコンクリート層である。なお、
図2には、トンネル支保工10の右側鋼製支保工10Rが図示されている。本実施形態のトンネル構築方法において、切羽8の掘削によってトンネルTの側面に地山7が露出した後、この地山7に対して一次コンクリートの吹付け施工が行われることで、一次吹付けコンクリート層3が形成される。その後、トンネル坑壁面に沿って一次吹付けコンクリート層3の内空側に上述したアーチ状のトンネル支保工10が建て込まれる。トンネル支保工10は、トンネルTの坑口側に位置する既設のトンネル支保工10に対して、切羽8側に隣接し、トンネルTの軸方向に所定の間隔(例えば、1.0m~1.5m程度)で配列される。トンネル支保工10の建て込みは、一対のブーム先端に取り付けられたハンドを備えたエレクタ装置を用いて行われる。
【0022】
図3は、実施形態1に係る作業車200の上面図である。
図4は、実施形態1に係る作業車200の側面図である。作業車200は、トンネル支保工10の建て込みを行うエレクタ装置100及び吹付け装置600を備えた、自走可能な重機である。エレクタ装置100は、同一構成の一対のブーム17L,17Rを備えている。一対のブーム17L,17Rは、これらに付設される駆動機構の作動によって伸縮動作、傾動動作、揺動動作、回動動作が自在である。また、各ブーム17L,17Rの先端には、同一構成の一対のハンド18L,18Rが連結されている。一対のハンド18L,18Rは、これらに付設される駆動機構の作動によって回転動作及び揺動動作が自在であり、左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rをそれぞれ着脱自在に挟圧把持(保持)することができる。エレクタ装置100は、一対のハンド18L,18Rに左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rを把持し、各ハンド18L,18Rを駆動することで左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rを連結すると共に、所定の建て込み位置に建て込むことができる。
【0023】
以下では、符号17Lで示すブームを「左側ブーム」と呼び、符号17Rで示すブームを「右側ブーム」と呼ぶ。また、符号18Lで示すハンドを「左側ハンド」と呼び、符号18Rで示すハンドを「右側ハンド」と呼ぶ。エレクタ装置100は、左側ハンド18Lに左側鋼製支保工10Lを着脱自在に把持し、右側ハンド18Rに右側鋼製支保工10Rを着脱自在に把持することができる。本実施形態において、左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rは、アーチ状のトンネル支保工10が2分割された一対の支保材であり、切羽8の近傍に誘導された後、これらを切羽8で組み立ててアーチ状のトンネル支保工10を形成する。
【0024】
吹付け装置600は、左側ブーム17L及び右側ブーム17Rの間に配設されており、アーム601と、アーム601に支持される吹付けロボット602と、吹付けロボット602の先端側に設けられる吹付けノズル603等を備えている。アーム601は、伸縮動
作、傾動動作等が可能である。また、吹付けロボット602は、吹付けノズル603の傾動動作、回動動作等が可能である。その他、吹付け装置600は、コンクリートポンプ、急結剤供給装置、コンプレッサ、高圧水ポンプ等を備えている。吹付けロボット602は、コンクリートポンプから供給された吹付けコンクリートを吹付けノズル603から吐出させることで、吹付けコンクリートを切羽8に吹付けることができる。
【0025】
トンネルTの構築は、例えば以下のサイクルを繰り返すことで行われる。すなわち、(1)切羽8を発破又は機械によって掘削→(2)ズリの搬出→(3)一次吹付けコンクリートの吹付け→(4)トンネル支保工の建て込み→(5)二次吹付けコンクリートの吹付け→(6)ロックボルトの打設を1サイクルとして繰り返すことで、トンネルTを軸方向に延伸させる。(2)ズリの搬出工程が終了した後、エレクタ装置100を搭載した作業車200を切羽8近傍に配置する。その際、エレクタ装置100の各ハンド18L,18Rには、それぞれ左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rを、トンネル軸(トンネル延伸方向)に沿って把持した状態で作業車200を自走させ、切羽8近傍に配置する。そして、(3)一次吹付けコンクリートの吹付けでは、これから左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rを建て込む地山7(トンネル坑壁面)に、吹付け装置600を用いて一次吹付けコンクリートを吹付けることで一次吹付けコンクリート層3を形成する。次いで、(4)トンネル支保工の建て込みでは、左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rを各ハンド18L,18Rに把持しつつ当該各ハンド18L,18Rを駆動することで左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rを天端部同士で相互に連結し、アーチ状に形成したトンネル支保工10を正規の建て込み位置に建て込む。
【0026】
以下、トンネル支保工10(左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10R)の連結構造について説明する。
【0027】
図5は、実施形態1に係る第1天端継手板121の正面図である。
図6は、実施形態1に係る第1天端継手板121の背面図である。ここで、符号121aは、第1天端継手板121の外面、符号121bは第1天端継手板121の内面である。符号121cは第1天端継手板121の上縁、符号121dは第1天端継手板121の下縁、符号121eは第1天端継手板121の坑口側側縁、符号121fは第1天端継手板121の切羽側側縁である。ここで、第1天端継手板121の下縁121dは、左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rが連結される際にトンネルTの内空側に対向し、上縁121cはその反対側、すなわち地山7側に対向する。また、第1天端継手板121の切羽側側縁121fは、左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rが連結される際にトンネルTの切羽8側に面して配置され、坑口側側縁121eはその反対側、すなわち坑口側(エレクタ装置100側)に面して配置される。
【0028】
図6において、第1天端継手板121に接続される第1本体部111の端部形状(H形状)を破線で示す。また、
図5及び
図6に、第1天端継手板121の上下方向(高さ方向)及び幅方向を図示する。第1天端継手板121の上下方向は、坑口側側縁121e及び切羽側側縁121fの延伸方向と平行であり、且つ、第1本体部111が第1天端継手板121と連結する位置におけるウェブ111aの延伸方向と平行である。また、第1天端継手板121の幅方向は上縁121c及び下縁121dの延伸方向と平行であり、且つ、第1本体部111が第1天端継手板121と連結する位置における地山側フランジ111b及び内空側フランジ111cの延伸方向と平行である。
図5に示す符号X1は、第1天端継手板121の幅方向の中心線である。符号Y1は、第1天端継手板121の高さ方向の中心線である。
【0029】
図7は、実施形態1に係る第2天端継手板122の正面図である。
図8は、実施形態1に係る第2天端継手板122の背面図である。ここで、符号122aは、第2天端継手板
122の外面、符号122bは第2天端継手板122の内面である。また、符号122cは第2天端継手板122の上縁、符号122dは第2天端継手板122の下縁、符号122eは第2天端継手板122の坑口側側縁、符号122fは第2天端継手板122の切羽側側縁である。ここで、第2天端継手板122の下縁122dは、左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rが連結される際にトンネルTの内空側に対向し、上縁122cはその反対側、すなわち地山7側に対向する。また、第2天端継手板122の切羽側側縁122fは、左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rが連結される際にトンネルTの切羽8側に面して配置され、坑口側側縁122eはその反対側、すなわち坑口側(エレクタ装置100側)に面して配置される。
【0030】
図8において、第2天端継手板122に接続される第2本体部112の端部形状を破線で示す。また、
図7及び
図8に、第2天端継手板122の上下方向及び幅方向を図示する。
図7に示す符号X2は、第2天端継手板122の幅方向の中心線である。符号Y2は、第2天端継手板122の高さ方向の中心線である。
【0031】
図5~
図8に示す第1天端継手板121及び第2天端継手板122は、略正方形の平面形状を有している。そして、第1天端継手板121及び第2天端継手板122の上下寸法は互いに等しく、且つ、第1天端継手板121及び第2天端継手板122における横幅寸法も互いに等しい。つまり、第1天端継手板121及び第2天端継手板122は互いに合同な正方形の平面形状を有しており、それぞれ上縁121c,122c同士、下縁121d,122d同士、坑口側側縁121e,122e同士、切羽側側縁121f,122f同士の寸法が等しい。但し、第1天端継手板121及び第2天端継手板122は、矩形の平面形状を有していてもよい。
【0032】
図5及び
図6に示すように、第1天端継手板121には、単一の雌型連結部40が凹設されている。雌型連結部40は、左側鋼製支保工10Lのウェブ111aと干渉しないように、第1天端継手板121の幅方向中央位置を基準として側縁寄りの位置に偏心配置されている。より詳しくは、雌型連結部40は、第1天端継手板121の幅方向中央位置を基準として、坑口側側縁121e寄りの位置に偏心配置されている。また、雌型連結部40は、第1天端継手板121の上下方向中央位置に配置されている。
図5に示す符号C1は、雌型連結部40の中心である。また、
図5に示す符号E1は、第1天端継手板121の幅方向における中心線X1から雌型連結部40の中心C1までの偏心量である。
【0033】
また、第2天端継手板122には、単一の雄型連結部50が凸設されている。雄型連結部50は、右側鋼製支保工10Rのウェブ112aと干渉しないように、第2天端継手板122の幅方向中央位置を基準として側縁寄りの位置に偏心配置されている。より詳しくは、雄型連結部50は、第2天端継手板122の幅方向中央位置を基準として坑口側側縁122e寄りの位置に偏心配置されている。また、雄型連結部50は、第2天端継手板122の高さ方向中央位置に配置されている。
図7に示す符号C2は、雄型連結部50の中心である。
図7に示す符号E2は、第2天端継手板122の幅方向における中心線X2から雄型連結部50の中心C2までの偏心量である。本実施形態において、雄型連結部50の幅方向における偏心量E2は、雌型連結部40の幅方向における偏心量E1と等しい寸法に設定されている。
【0034】
図9は、実施形態1に係る左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rを連結する連結構造30を示す概略図である。連結構造30は、第1天端継手板121に設けられた単一の雌型連結部40と、第2天端継手板122に設けられた単一の雄型連結部50を含んで構成されている。
図9は、左側鋼製支保工10Lと右側鋼製支保工10Rが連結構造30を介して連結される前の状態、即ち、第1天端継手板121の外面121aと第2天端継手板122の外面122aが対向した状態で互いに離間した状態を示している。また
、
図9においては、第1天端継手板121に接続される第1本体部111と、第2天端継手板122に接続される第2本体部112の図示を便宜上省略している。
【0035】
まず、第2天端継手板122に凸設された雄型連結部50について説明する。第2天端継手板122のうち、雄型連結部50が設けられる位置には、貫通孔である開口孔1222が穿設されている。また、雄型連結部50は、棒状の雄型係止部材51を有している。雄型係止部材51は、第2天端継手板122の開口孔1222よりも若干小径の軸部材であり、その基端部に雄ネジ51aが刻設されている。また、雄型係止部材51の外周部には、所定の範囲に亘って雄ネジ51cが形成されている。雄型係止部材51の雄ネジ51cは、雄型係止部材51の外周に複数並設された周方向の雄側係止溝である。また、雄型係止部材51の先端部51dには、先端に向かって縮径するテーパ面51eが形成されている。
【0036】
ここで、第2天端継手板122における開口孔1222の穿設位置には、ナット52が第2天端継手板122の内面122bに溶接wpなどによって固着されている。雄型係止部材51は、その基端側を、第2天端継手板122の外面122a側から開口孔1222に挿通し、ナット52に雄ネジ51aを螺着することで、
図9に示すように外面122aから突出した状態で第2天端継手板122に装着することができる。これにより、雄型連結部50は、第2天端継手板122に凸設される。なお、
図7及び
図8に示すように、雄型連結部50は、第2天端継手板122の幅方向中央位置を基準として側方に偏心配置されているため、雄型係止部材51を螺着するためのナット52とウェブ112aが干渉しないようになっている。
【0037】
次に、第1天端継手板121に凹設された雌型連結部40について説明する。第1天端継手板121のうち、雌型連結部40が設けられる位置には、貫通孔である開口孔1212が穿設されている。また、第1天端継手板121における開口孔1212の穿設位置には、金属製の円筒状のケーシング41第1天端継手板121の内面121bに溶接wpなどによって固着されている。なお、雌型連結部40は、第1天端継手板121の幅方向中央位置を基準として側方に偏心配置されているため、ケーシング41がウェブ111aと干渉することが抑制されている。また、
図9に示すように、第1天端継手板121に形成された開口孔1212の縁部には、第1天端継手板121の厚さ方向における内面121b側から外面121a側に向かって徐々に拡径するテーパ面1215が形成されている。
【0038】
ケーシング41は、その軸心を開口孔1212の略中央部に位置させている。ケーシング41内には、収納室42が形成されている。収納室42の先部(前部)には、その内周面を後端側から先端側にかけて内径が徐々に縮径するテーパ面43aを有するテーパ穴43が形成されている。また、収納室42の中間部にはバネ収納部42aが形成されており、収納室42の後部内周に雌ネジ45が刻設されている。また、テーパ穴43の先端部には、挿入口48が開口形成されている。ケーシング41の前端部に位置する挿入口48は、第1天端継手板121に形成された開口孔1212と略同径で、開口孔1212と連通している。また、ケーシング41が第1天端継手板121に固定された状態で挿入口48が開口孔1212と重なった位置に配置されている。
【0039】
また、テーパ穴43内には、周方向に3つに分割してなる楔形の雌型係止部材46が軸方向に摺動可能に配置されている。雌型係止部材46の外面は、テーパ穴43におけるテーパ面43aに沿って摺動可能なテーパ面46aとして形成されている。雌型係止部材46のテーパ面46aは、先端側から後方にかけて外径が徐々に拡大している。更に、各雌型係止部材46の内面には、雌ネジ46bが形成されている。雌ネジ46bは、各雌型係止部材46の内面に、複数並設された周方向の雌側係止溝である。雌ネジ46bは、ケーシング41の軸心を中心とする円弧で且つ、軸心に沿った方向に刻設されている。以上よ
り、複数個の雌型係止部材46によって雌ネジ穴が形成され、各雌型係止部材46のテーパ面46aがテーパ穴43のテーパ面43aに沿って後退することにより、その雌ネジ穴が拡径され、前方(先方)へ移動することにより当該雌ネジ穴が縮径するようになる。なお、各雌型係止部材46の内面に形成された雌ネジ46bは、雄型係止部材51の先端側外周部に形成された雄ネジ51cと噛合させることができる。
【0040】
また、収納室42のバネ収納部42aには、雌型係止部材46を前方(先方)に押圧(弾性付勢)する押圧部材である押圧ばね44が、各雌型係止部材46の後端に設けられるばね受け47と蓋板49との間に圧縮した状態で収納されており、押圧ばね44の押圧力によって各雌型係止部材46を常時前方に押圧している。蓋板49は、収納室42の後部内周側に刻設された雌ネジ45に螺着されることで、押圧ばね44を圧縮した状態に保持することができる。なお、蓋板49の外面には、六角穴49aが設けられており、六角レンチによって蓋板49をケーシング41から着脱自在になっている。
【0041】
次に、左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rの連結手順について説明する。左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rの連結に際して、まず、エレクタ装置100は、左側ハンド18Lに左側鋼製支保工10Lを把持し、右側ハンド18Rに右側鋼製支保工10Rを把持する。次いで、エレクタ装置100は、左側ブーム17L及び右側ブーム17Rを適宜伸長及び傾動させると共に、左側ハンド18L及び右側ハンド18Rを回転させることで、左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rをトンネル軸と直交するように移動させる。
【0042】
そして、
図9に示されるように、左側鋼製支保工10Lにおける第1天端継手板121と右側鋼製支保工10Rにおける第2天端継手板122を接近かつ対峙(対向)させた状態から、第1天端継手板121の開口孔1212に雄型連結部50の雄型係止部材51が挿入されるように、第1天端継手板121及び第2天端継手板122の離間距離を徐々に狭めてゆく。
【0043】
ここで、雄型係止部材51の外径は、第1天端継手板121の開口孔1212及び雌型連結部40(ケーシング41)の挿入口48よりも若干小径で、且つ、各雌型係止部材46がテーパ穴43(テーパ面43a)の最前進位置に配置された状態で、各雌型係止部材46によって形成される雌ネジ穴の直径よりも若干大径に設定されている。第2天端継手板122に凸設された雄型係止部材51が第1天端継手板121の開口孔1212を通じて、雌型連結部40の挿入口48から進入すると、押圧ばね44の押圧力によって前端部にテーパ穴43(テーパ面43a)の最前進位置に位置決めされている各雌型係止部材46の前端面46cに雄型係止部材51の先端部51dが当接する。そして、雄型係止部材51が押圧ばね44の押圧力に抗して、各雌型係止部材46をテーパ面43aに沿って、雌型連結部40(ケーシング41)の軸方向後方に向かって後退させることで、各雌型係止部材46におけるテーパ面46aの雌ネジ46bによって形成されている雌ネジ穴を拡径しつつ雄型係止部材51が収納室42内に挿入される。
【0044】
そして、第1天端継手板121の外面121aと第2天端継手板122の外面122aとが当接することで面接触し、雌型連結部40における収納室42内への雄型係止部材51の挿入が完了することで、それ以上の収納室42内への雄型係止部材51の挿入が停止されると、各雌型係止部材46は押圧ばね44の押圧力によって前方(先方)に押し戻されると共に、各雌型係止部材46のテーパ面46aによって形成される雌ネジ穴が縮径する。その結果、
図10に示すように、雌型連結部40における各雌型係止部材46の雌ネジ46b(雌側係止溝)及び雄型連結部50における雄型係止部材51の雄ネジ51c(雄側係止溝)が相互に噛合する。これによって、
図10に示すように、第1天端継手板121の外面121a及び第2天端継手板122の外面122aが互いに面接触した状態で
、左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rが一体に連結される。
【0045】
ここで、
図10に示したように、雌型連結部40の雌ネジ46bと雄型連結部50(雄型係止部材51)の雄ネジ51cが噛合した状態で、第1天端継手板121及び第2天端継手板122を離反する方向に外力が作用した場合、雌型連結部40における収納室42から雄型係止部材51を引き抜く方向に引き抜き力が作用する。この引き抜き力は、互いに噛み合う雄ネジ51cと雌ネジ46bを介して各雌型係止部材46に伝達される。ところで、各雌型係止部材46のテーパ面46aは後方側から前方にかけて外径が徐々に縮小している。そのため、上記引き抜き力が各雌型係止部材46に作用しても、各雌型係止部材46がテーパ穴43の前方に向かって変位することが制限される。すなわち、本実施形態に係る連結構造30によれば、雌型連結部40の収納室42から雄型係止部材51を引き抜く方向に外力が作用しても、当該外力に対抗して連結状態を維持することができる。なお、雌型連結部40に雄型連結部50における雄型係止部材51が係止された状態、すなわち雌型連結部40における各雌型係止部材46の雌ネジ46b及び雄型係止部材51の雄ネジ51cが相互に噛合した状態においては、雌型連結部40のケーシング41からの雄型係止部材51の引き抜きは上記のように規制されるが、ケーシング41に対する雄型係止部材51の中心軸を回転中心とする雄型係止部材51の回転は許容される。
【0046】
本実施形態における鋼製支保工の連結構造30によれば、雌型連結部40の挿入口48から雄型連結部50(雄型係止部材51)を軸方向に挿入する動作だけで、雌型連結部40に対して雄型連結部50がワンタッチで連結され、左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rを一体に締結することができる。このようなワンタッチ連結構造を採用することで、従来のように、トンネル坑壁付近に組まれた作業足場やエレクタ装置のマンケージ等に人員を配置してトンネル天端付近まで人員を移動させ、一対の鋼製支保工の天端に位置する継手板同士をボルト締結するといった連結作業を行う必要がない。従って、本実施形態における鋼製支保工の連結構造30によれば、従来に比べて、より短時間で簡単に、左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rの連結作業を行うことができる。また、本実施形態における鋼製支保工の連結構造30によれば、エレクタ装置100における一対のブーム17L,17Rの先端に取り付けられたハンド18L,18Rの操作によって、左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rを連結することができるため、トンネルの切羽における人手作業を回避することができ、従来に比してより一層安全性及び作業性を向上することができる。
【0047】
更に、本実施形態における鋼製支保工の連結構造30においては、第1天端継手板121に単一配置された雌型連結部40と、第2天端継手板122に単一配置された雄型連結部50を連結する一本掛け連結構造を採用したので、雌型連結部40と雄型連結部50(雄型係止部材51)の位置合わせを行うだけで、第1天端継手板121及び第2天端継手板122が平面的に捻じれた状態(第1天端継手板121及び第2天端継手板122の各外縁同士が重ならず、ずれた状態)になっていても、ケーシング41(収納室42)に雄型係止部材51を挿入することで、左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rをより一層容易に連結することができる。
【0048】
また、本実施形態における鋼製支保工の連結構造30によれば、上記のように、左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rの連結後においても、ケーシング41に対する雄型係止部材51の中心軸CL2周りの回転動作は許容されるため、上記連結後に、第1天端継手板121及び第2天端継手板122が全面的に面接触するように位置調整を行うことができる。これにより、第1天端継手板121の雌型連結部40と第2天端継手板122の雄型係止部材51が連結された状態において、第1天端継手板121の上縁121c、下縁121d、坑口側側縁121e、切羽側側縁121fがそれぞれ第2天端継手板122の上縁122c、下縁122d、坑口側側縁122e、切羽側側縁122fに重な
るように位置合わせを容易に行うことができる。
【0049】
更に、本実施形態においては、雌型連結部40及び雄型連結部50を、第1天端継手板121及び第2天端継手板122の幅方向中央位置を基準として各天端継手板121,122の側縁寄りの位置に偏心配置するようにした。これによれば、雌型連結部40及び雄型連結部50が、左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rそれぞれのウェブ111a,112aと干渉することがない。そのため、特許文献1に開示される連結構造と異なり、左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rのウェブ111a,112aに切り欠きを形成する必要が無い。よって、左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rにおけるウェブ111a,112aが強度的な弱点になってしまう事態や、その対策としてウェブ111a,112aに補強を施す必要がない。
【0050】
特に、本実施形態においては、雌型連結部40を第1天端継手板121の幅方向中央位置から坑口側側縁121e寄りに偏心配置し、且つ、雄型連結部50を第2天端継手板122の幅方向中央位置から坑口側側縁122e寄りに偏心配置するようにした。各天端継手板121,122の坑口側側縁121e,122eは、支保工連結時において、エレクタ装置100に面する方の側縁ということができる。従って、上記態様によれば、支保工連結時において、雌型連結部40及び雄型連結部50の視認性が優れたものとなる。つまり、支保工連結時において、例えばエレクタ装置100のオペレータが操縦席から雌型連結部40及び雄型連結部50を視認し易く、円滑かつ容易に左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rの連結を行うことができる。また、上記のように雌型連結部40及び雄型連結部50を坑口側に偏心配置することによって、更に、下記のような利点がある。すなわち、例えば上記のように左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rを連結してアーチ状に形成したトンネル支保工10を建て込んだ後、切羽8の押し出し等に起因して切羽8側からの荷重がトンネル支保工10に作用した際に、第1天端継手板121及び第2天端継手板122の連結部において坑口側側縁121e,122eが目開きする方向に荷重が作用する傾向がある。これに対して、雌型連結部40を第1天端継手板121の幅方向中央位置から坑口側側縁121e寄りに偏心配置し、且つ、雄型連結部50を第2天端継手板122の幅方向中央位置から坑口側側縁122e寄りに偏心配置する連結構造を採用することで、切羽8からの押し出し力に対する抵抗要素として雌型連結部40及び雄型連結部50がより好適に(例えば、雌型連結部40及び雄型連結部50を切羽8側に偏心配置する場合に比べて)機能し、第1天端継手板121及び第2天端継手板122の坑口側側縁121e,122e側の目開きを好適に抑制できる。すなわち、雌型連結部40及び雄型連結部50を坑口側に偏心配置する連結構造は、上記のように施工性を向上させるだけでなく、切羽8の押し出しに対する抵抗性についても非常に優れたものとなる。
【0051】
なお、
図5~6に示す一例では、雌型連結部40の偏心量E1は、第1天端継手板121の幅寸法の1/4程度になっている。すなわち、第1天端継手板121の幅方向において、中央位置からの坑口側側縁121eまで間の略中央位置に、雌型連結部40が配置されている。但し、第1天端継手板121の幅方向における雌型連結部40の位置は上記態様に限定されず、雌型連結部40の偏心量E1は自由に設定できる。また、
図5~6に示す一例では、第1天端継手板121の上下方向における略中央位置に雌型連結部40が配置されているがこれには限定されない。雌型連結部40が、第1天端継手板121の高さ方向において、上縁121c側、又は下縁121d側に偏心配置されていてもよい。同様に、
図7~8に示す一例では、雄型連結部50の偏心量E2は、第2天端継手板122の幅寸法の1/4程度になっている。すなわち、第2天端継手板122の幅方向において、中央位置からの坑口側側縁122eまで間の略中央位置に、雄型連結部50が配置されている。但し、第2天端継手板122の幅方向における雄型連結部50の位置は上記態様に限定されず、雄型連結部50の偏心量E2は自由に設定できる。また、
図7~8に示す一例では、第2天端継手板122の上下方向における略中央位置に雄型連結部50が配置さ
れているがこれには限定されない。雄型連結部50が、第2天端継手板122の高さ方向において、上縁122c側、又は下縁122d側に偏心配置されていてもよい。
【0052】
但し、雌型連結部40及び雄型連結部50を、第1天端継手板121及び第2天端継手板122の幅方向中央位置を基準として各天端継手板121,122の側縁寄りの位置に偏心配置すれば、これらがウェブ111a,112aと干渉することを回避することができ、その限りにおいて各天端継手板121,122における雌型連結部40及び雄型連結部50の配置位置は特に限定されない。
【0053】
すなわち、例えば、雌型連結部40を第1天端継手板121の幅方向中央位置を基準として切羽側側縁121f寄りに偏心配置し、且つ、雄型連結部50を第2天端継手板122の幅方向中央位置を基準として切羽側側縁121f寄りに偏心配置することによって、雌型連結部40及び雄型連結部50がウェブ111a,112aと干渉することを回避してもよい。
【0054】
なお、左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rを連結し、アーチ状に形成されたトンネル支保工10を所定の建て込み位置に建て込む際には、左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rに取り付けたプリズム等をトータルステーション等といった測量機によって自動追尾し、その3次元座標を取得しながらエレクタ装置100の各ハンド18L,18Rを操作してもよい。このような技術は公知であるため詳細な説明を割愛するが、例えば特許文献1に開示されているトンネル支保工の建て込みシステムを適用することができる。また、トンネル支保工10の建て込み手順や、二次吹付けコンクリートの吹付け手順などについても、例えば特許文献1に開示されている施工手順を適用することができる。
【0055】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2について説明する。
図11は、実施形態2に係る左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rにおける天端部近傍の側面図である。
図12は、実施形態2に係る左側鋼製支保工10Lの地山側フランジ111b及び右側鋼製支保工10Rの地山側フランジ112bに沿って固定された金網15を説明する図である。本実施形態においては、左側鋼製支保工10Lにおける第1天端継手板121にガイド部材14が設けられている点、左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rの地山側フランジ111b,112bに金網15が固定されている点を除いて、実施形態1と同様である。すなわち、本実施形態において、第1天端継手板121における雌型連結部40の態様、及び第2天端継手板122における雄型連結部50の態様は実施形態1と同様である。なお、
図11において、雌型連結部40及び雄型連結部50を模式的に図示している。以下では、実施形態1と同一の構成要素については同じ符号を付すことで詳しい説明を割愛し、実施形態1との相違点を中心に説明する。
【0056】
本実施形態においては、第1天端継手板121における切羽側側縁121fにガイド部材14が設けられている。ガイド部材14は、支保工連結時において、第2天端継手板122の切羽側側縁122fをガイド(案内)することによって雌型連結部40に対する雄型連結部50の挿入動作を補助するための部材である。
図13は、
図11のA矢視方向からガイド部材14を眺めた図である。ガイド部材14は、例えば金属プレート材によって構成されている。
図11及び
図13に示す例では、ガイド部材14は、金属プレート材を途中で折り曲げること等によって、基端側に形成された直線部141と、先端側に形成された傾斜部142を含んで構成されている。ガイド部材14の直線部141は、第1天端継手板121の外面121aに対して垂直に立設するように、第1天端継手板121の切羽側側縁121fに溶接等によって接合されている。ガイド部材14の傾斜部142は、直線部141に対して傾斜して接続されている。すなわち、ガイド部材14は、直線部1
41の内面位置が第1天端継手板121における切羽側側縁121fの位置に対応付けられており、傾斜部142を境に第1天端継手板121の外側(すなわち、支保工連結の際にはトンネルTの切羽8側)に向かって傾斜している。なお、
図13においては、金網15の図示を省略している。
【0057】
また、
図11に示すように、ガイド部材14の幅寸法は、第1天端継手板121の切羽側側縁121fにおける辺長さに比べて小さく、図示の例では切羽側側縁121fの中央部近傍にガイド部材14が立設している。そのため、
図11に示すように、ガイド部材14の上端と、第1天端継手板121の上縁121cとの間には段差が形成されている。また、第1天端継手板121の外面121aに対する直線部141の突出寸法は、第2天端継手板122の外面122aから雄型係止部材51が突出する突出長さ以上の寸法に設定されている。
【0058】
次に、
図11及び
図12を参照して、左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rの金網15について説明する。金網15は、二次吹付けコンクリート層6のひび割れを抑制するための部材であり、トンネル内空面に二次次コンクリートを吹付ける際に当該二次コンクリートによって被覆される。金網15は、左側鋼製支保工10Lの地山側フランジ111b及び右側鋼製支保工10Rの地山側フランジ112bの上面に対して予め溶接などによって固定されている。一例として、金網15は格子形状を有しており、金網15の1メッシュ(1マス)は、例えば150mm角程度であってもよい。例えば、金網15は、地山側フランジ111b,112bの長手方向における全長に亘って配置されている。
【0059】
金網15のうち、符号15Aによって示される部分は、地山側フランジ111b,112bにおける切羽側縁部1113,1123から側方に突出している部分(以下、「切羽側突出部」という)である。一方、符号15Bによって示される部分は、地山側フランジ111b,112bにおける坑口側縁部1114,1124から側方に突出している部分(以下、「坑口側突出部」という)である。なお、地山側フランジ111b,112bにおける切羽側縁部1113,1123は、鋼製支保工10L,10Rを連結する際に、切羽8側に面する方の側縁部である。一方、地山側フランジ111b,112bにおける坑口側縁部1114,1124は、切羽側縁部1113,1123の反対側に位置する側縁部であり、支保工連結時に坑口側(すなわち、エレクタ装置100側)に面する。
【0060】
図12に示すように、金網15は、切羽側縁部1113,1123から切羽側突出部15Aが側方に突出する第1突出長さに比べて、坑口側突出部15Bが坑口側縁部1114,1124から側方に突出する第2突出長さの方が長い。
図12に示す例では、金網15の切羽側突出部15Aにおける第1突出長さは1メッシュ分の寸法に相当し、坑口側突出部15Bにおける第2突出長さは5メッシュ分の寸法に相当している。このような態様で地山側フランジ111b,112bに溶接等で固定された金網15の坑口側突出部15Bがその自重によって下方に撓む(垂れ下がる)ことを抑制するために、左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rには坑口側突出部15Bを下方から支持する支持部材16が設けられている。支持部材16は、坑口側突出部15Bを支持する態様であれば特段限定されないが、支持アンカー161とスペーサー162を含んで構成することができる。
【0061】
図12に示す例において、支持アンカー161は、左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rのウェブ111a,112aから垂直に突設されたロッド状のアンカー部材である。支持アンカー161は、例えば基端側がウェブ111a,112aの坑口側ウェブ面1111,1121に溶接されている。坑口側ウェブ面1111,1121は、トンネル支保工10を建て込む際に、切羽8とは反対側の坑口側に対向する方の面である。また、
図12に示す符号163は、ウェブ111a,112a(坑口側ウェブ面1111,1121)に対する支持アンカー161の垂直度を確保するために支持アンカー161の
中間部を地山側フランジ111b,112bの背面に固定するための固定具である。この固定具163は、例えば、地山側フランジ111b,112bの背面に溶接されたナット等であってもよく、ナットに支持アンカー161を通すことによって支持アンカー161の中間部を地山側フランジ111b,112bの背面に固定している。
【0062】
スペーサー162は、金網15の坑口側突出部15Bと支持アンカー161との間隔を適正な寸法に維持するように設置される部材である。スペーサー162は、支持アンカー161及び坑口側突出部15Bに対して溶接されていてもよい。或いは、結束線等を用いて金網15の坑口側突出部15Bに対してスペーサー162を固定してもよい。上記のような支持部材16によれば、金網15の坑口側突出部15Bが自重によって撓むことを抑制し、坑口側突出部15Bを地山側フランジ111b,112bに沿った姿勢に保持することができる。なお、
図12に示すように、支持アンカー161は、ウェブ111a,112aの上部側、すなわち地山側フランジ111b,112b寄りの部分に固定されている。これにより、金網15の坑口側突出部15Bと支持アンカー161との間隔を小さくすることができ、これに伴い、高さ寸法の小さなスペーサー162を用いることができる。なお、スペーサー162は、支持アンカー161の長尺方向において、適当な間隔で配置される。
【0063】
ここで、
図12に示す符号M1は、金網15における坑口側突出部15Bが地山側フランジ111b,112bから側方に向けて突出する方向を基準とした場合の最も先端側に位置する端部メッシュを指している。坑口側突出部15Bの端部メッシュM1は、トンネルTの軸方向において、切羽8に最も近い既設区間(1つ前にトンネル支保工10の建て込みを行った既設区間)における金網15の切羽側突出部15Aと重ね合わされる重ね代に相当する。金網15における坑口側突出部15Bの端部メッシュM1は、既設区間における切羽側突出部15Aと重ね合わされた状態で、トンネル内空面に対する二次コンクリートの吹付け前に、適宜、結束線や番線等で結束され、或いは溶接等によって一体化されてもよい。また、支持アンカー161は、新設区間にトンネル支保工10を建て込む際に、既設側に隣接するトンネル支保工10と干渉しない長さに設定されており、これによって良好な施工性が確保されるようになっている。
【0064】
また、支持アンカー161は、第1本体部111と第2本体部112の長尺方向において所定の間隔毎に設けられており、これによって面状の金網15(坑口側突出部15B)を下方から好適に支持することができる。また、支持アンカー161は、金網15と同様、トンネル内空面に二次コンクリートを吹付ける際に当該二次コンクリート中に埋設される。そのため、支持アンカー161は、二次吹付けコンクリート層6のひび割れ防止部材としても機能する。また、支持アンカー161は、二次吹付けコンクリート層6に埋設されるため、二次吹付けコンクリート層6に定着される。そのため、支持アンカー161は、トンネル支保工10を二次吹付けコンクリート層6に対して定着させる定着部材としても機能する。なお、支持アンカー161は、その先端側に拡径された頭部が設けられた頭付アンカーであってもよく、そのように構成することで二次吹付けコンクリート層6に対する定着力をより一層高めることができる。
【0065】
次に、
図11に戻り、左側鋼製支保工10L(第1本体部111)及び右側鋼製支保工10R(第2本体部112)の上端側における金網15の詳細について説明する。
図11に示す符号M2は、左側鋼製支保工10Lに設けられた金網15のうち、左側鋼製支保工10L(第1本体部111)の長尺方向において最も先端側に位置する端部メッシュである。また、符号M3は、右側鋼製支保工10Rに設けられた金網15のうち、右側鋼製支保工10R(第2本体部112)の長尺方向において最も先端側に位置する端部メッシュである。
図11に示す例では、左側鋼製支保工10Lに設けられた金網15の端部メッシュM2が、第1天端継手板121を超えて延在している。金網15の端部メッシュM2は
、左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rが連結された状態で、右側鋼製支保工10Rに設けられた金網15の端部メッシュM3と重なるようになっている。端部メッシュM2,M3は、トンネル内空面に対する二次コンクリートの吹付け前に、適宜、結束線や番線、或いは溶接等によって一体化されてもよい。
【0066】
上記のように構成される左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rからなるトンネル支保工10は、ガイド部材14を備えるため、左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rを容易に連結することができる。すなわち、左側鋼製支保工10L及び右側鋼製支保工10Rを連結する際、第1天端継手板121及び第2天端継手板122を近づけていく過程で、ガイド部材14の傾斜部142が第2天端継手板122の切羽側側縁122fをガイドすることで、トンネル軸方向における雌型連結部40と雄型連結部50(雄型係止部材51)の相互位置を合わせることができる。そして、第1天端継手板121に対する直線部141の突出寸法は、第2天端継手板122に対する雄型係止部材51の突出長さと等しいか、それよりも大きいため、第1天端継手板121の外面121aに雄型係止部材51が衝突する前に、トンネル軸方向への雌型連結部40と雄型係止部材51の位置合わせを完了することができる。
【0067】
ここで、エレクタ装置100のオペレータが目視によって各ハンド18L,18Rを操作する際、雌型連結部40と雄型連結部50(雄型係止部材51)のトンネル軸方向への位置ずれが視認しにくいという実情がある。これに対して、本実施形態のガイド部材14によれば、トンネル軸方向における雌型連結部40と雄型連結部50(雄型係止部材51)の位置合わせを容易に行うことができるため、円滑な支保工連結が可能となる。
【0068】
更に、本実施形態において、ガイド部材14は、
図11及び
図13に示すように、第1天端継手板121における切羽側側縁121fのみに設けられており、第1天端継手板121の他の側縁、すなわち上縁121c、下縁121d、及び坑口側側縁121eの何れにもガイド部材が設けられていない。第1天端継手板121の上縁121cにガイド部材を設置しないことで、支保工連結時に当該ガイド部材が右側鋼製支保工10R側の金網15(特に、端部メッシュM3)と衝突することを回避し、金網15(特に、端部メッシュM3)の変形や損傷を好適に抑制できる。また、第1天端継手板121の下縁121d及び坑口側側縁121eにガイド部材を設置しないことで、支保工連結時にエレクタ装置100のオペレータが雌型連結部40及び雄型連結部50の相互位置を目視し易くなり、円滑な支保工連結が可能となる。
【0069】
なお、
図11及び
図13に示す例では、直線部141及び傾斜部142を含むガイド部材14を説明したが、ガイド部材14はこの態様に限定されない。例えば、
図14に示す変形例のように、ガイド部材14を直線部141のみによって形成してもよい。また、本実施形態におけるガイド部材14は、金属プレート以外の部材によって形成されてもよい。例えば、
図15に示す変形例のように、ガイド部材14を棒状部材によって形成してもよい。ガイド部材14を形成する棒状部材としては、鉄筋棒であってもよい。この場合、鉄筋棒を中間部から折り曲げることによって、直線部141及び傾斜部142を容易に形成することができる。
【0070】
また、
図11に示す例では、左側鋼製支保工10Lに設けられた金網15は、端部メッシュM2の根元から斜め上方に僅かに折り曲げられることで、当該端部メッシュM2が斜め上方に傾斜している。これによれば、支保工連結時において、左側鋼製支保工10L側の金網15における端部メッシュM2と、右側鋼製支保工10R側の金網15における端部メッシュM3が正面衝突しにくくなり、これに起因する金網15の変形や損傷を好適に抑制できると共に、円滑な支保工連結が可能となる。
【0071】
なお、本実施形態におけるガイド部材14は、第1天端継手板121及び第2天端継手板122の何れか一方における切羽側側縁に設けられていればよく、これにより支保工連結の際、第1天端継手板121及び第2天端継手板122の何れか他方の切羽側側縁をガイドし、雌型連結部40に対する雄型連結部50の挿入動作を補助することができる。したがって、
図11~
図13では、第1天端継手板121の切羽側側縁121fにガイド部材14を設置する例を示したが、その代わりに第2天端継手板122の切羽側側縁122fにガイド部材14を設置してもよい。その場合、ガイド部材14は、第2天端継手板122の切羽側側縁122fのみに設置することが好ましい。
【0072】
以上、本発明の実施形態を説明したが、各実施形態に開示された態様は、可能な限り組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0073】
10・・・トンネル支保工
10L・・・左側鋼製支保工
10R・・・右側鋼製支保工
14・・・ガイド部材
15・・・金網
40・・・雌型連結部
50・・・雄型連結部
51・・・雄型係止部材
121・・・第1天端継手板
122・・・第2天端継手板