IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サンデン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電動圧縮機 図1
  • 特開-電動圧縮機 図2
  • 特開-電動圧縮機 図3
  • 特開-電動圧縮機 図4
  • 特開-電動圧縮機 図5
  • 特開-電動圧縮機 図6
  • 特開-電動圧縮機 図7
  • 特開-電動圧縮機 図8
  • 特開-電動圧縮機 図9
  • 特開-電動圧縮機 図10
  • 特開-電動圧縮機 図11
  • 特開-電動圧縮機 図12
  • 特開-電動圧縮機 図13
  • 特開-電動圧縮機 図14
  • 特開-電動圧縮機 図15
  • 特開-電動圧縮機 図16
  • 特開-電動圧縮機 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120940
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】電動圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/00 20060101AFI20230823BHJP
   F04C 29/00 20060101ALI20230823BHJP
   H05K 7/12 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
F04B39/00 106Z
F04C29/00 T
H05K7/12 E
H05K7/12 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024095
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】小林 幹生
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 和也
【テーマコード(参考)】
3H003
3H129
4E353
【Fターム(参考)】
3H003AA05
3H003AC03
3H003CF01
3H129AA02
3H129AA05
3H129AB03
3H129BB32
3H129BB33
3H129BB47
3H129CC09
3H129CC27
4E353AA06
4E353BB02
4E353CC02
4E353CC12
4E353CC32
4E353DD08
4E353DR02
4E353DR08
4E353DR24
4E353DR27
4E353DR34
4E353DR46
4E353DR49
4E353EE03
4E353GG09
4E353GG15
4E353GG17
(57)【要約】
【課題】電動モータを駆動する駆動回路の放熱性能及び絶縁性能を向上させる。
【解決手段】圧縮機構及び該圧縮機構の動力源である電動モータを収容したハウジングに、電動モータを駆動するインバータを設置してインバータ一体型とした電動圧縮機において、第二隔壁36においてインバータのスイッチング素子41を内包するパッケージ100の設置対象面361を第二隔壁36に形成された陥凹部364の底面として設け、第二隔壁36の設置対象面361に形成されたねじ穴に、パッケージ100のボルト挿通孔100Cに挿通したボルト110のねじ部を螺合させてパッケージ100を固定し、陥凹部364に封止材を充填する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機構及び該圧縮機構の動力源である電動モータを収容したハウジングに、前記電動モータを駆動する駆動回路を設置して駆動回路一体型とした電動圧縮機であって、
前記駆動回路のスイッチング素子を内包するパッケージの前記ハウジングにおける設置対象面が、前記ハウジングに形成された陥凹部の底面として設けられ、前記パッケージが、前記設置対象面に形成されたねじ穴に、前記パッケージのボルト挿通孔に挿通したボルトのねじ部を螺合させて固定され、前記陥凹部に封止材が充填されている、電動圧縮機。
【請求項2】
前記パッケージのうち前記設置対象面と対向する底面と前記設置対象面との間に、前記ボルトのねじ部が挿通される貫通孔を有する絶縁性のスペーサが介挿され、前記パッケージの前記底面と前記設置対象面との間に前記封止材が充填されている、請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項3】
前記スペーサは、該スペーサから前記ボルトのねじ部に沿って前記挿通孔の内部まで延びる筒体をさらに含む、請求項2に記載の電動圧縮機。
【請求項4】
前記スペーサのうち前記パッケージの前記底面と対向する上面、及び、前記スペーサのうち前記設置対象面と対向する底面に、前記スペーサの外周面から前記貫通孔に向けて延びる凹部が形成されている、請求項2又は請求項3に記載の電動圧縮機。
【請求項5】
前記パッケージは、前記スイッチング素子を支持固定するダイパッドと、前記スイッチング素子と前記パッケージの外部の回路基板とを接続するリードと、を有し、前記封止材は、前記設置対象面を基準として、前記リードが前記パッケージの外部へ突出する突出元の位置、及び、前記パッケージが切り欠かれて前記ダイパッドが前記パッケージの外部に露出する位置よりも高い位置まで前記陥凹部に充填されている、請求項1~請求項4のいずれか1つに記載の電動圧縮機。
【請求項6】
前記駆動回路は、前記ハウジングのうち冷媒が導入される冷媒導入空間と隣接する駆動回路収容空間に収容され、前記設置対象面は、冷媒導入空間と回路収容空間とを隔てる隔壁に形成されている、請求項1~請求項5のいずれか1つに記載の電動圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機構及びその動力源である電動モータを収容したハウジングに、電動モータを駆動する駆動回路を設置して駆動回路一体型とした電動圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
電動圧縮機として、例えば特許文献1に記載されるように、インバータのスイッチング素子を内包するパッケージに穿設されたボルト挿通孔にボルトを挿通してベースプレートに螺合させ、パッケージをベースプレートに押圧固定したものが知られている。かかるパッケージの底面に設けられた導電性の放熱板とベースプレートとの間には、放熱板からの放熱促進及び放電抑制を図るべく、良好な熱伝導性を有する絶縁シートを介挿している。また、放熱板からボルトへの絶縁距離を長くするため、ベースプレートの溝部内に配置されてボルト螺合時の押圧力により絶縁シートと溝部底面との間で挟持される基体から、ボルトねじ部に沿ってパッケージのボルト挿通孔内まで筒体を延ばした絶縁部材を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-198713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両空調装置の冷凍サイクルに用いられる電動圧縮機では、電気自動車の大容量バッテリに伴う急速充電への対応や、出力密度向上、損失低減等を目的として、例えば800V以上の高電圧化に対応することが求められている。このため、従来以上に、インバータの放熱性能及び絶縁性能の強化が望まれる。
【0005】
しかし、特許文献1に記載された電動圧縮機において、ボルト螺合時の押圧力は、スイッチング素子の機械的な許容応力に従って制限され、また、絶縁部材、ボルト挿通孔及び溝部の寸法には、通常、製造公差が含まれる。したがって、絶縁シートと放熱板及びベースプレートとの間や絶縁部材と溝部底面及び絶縁シートとの間に極僅かな隙間が生じて、インバータの放熱性能及び絶縁性能が電動圧縮機の高電圧化に十分対応できないおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は以上のような従来の問題点に鑑み、電動モータを駆動する駆動回路の放熱性能及び絶縁性能を向上させた電動圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の電動圧縮機では、圧縮機構及び該圧縮機構の動力源である電動モータを収容したハウジングに、電動モータを駆動する駆動回路を設置して駆動回路一体型とされ、駆動回路のスイッチング素子を内包するパッケージのハウジングにおける設置対象面が、ハウジングに形成された陥凹部の底面として設けられ、パッケージが、設置対象面に形成されたねじ穴に、パッケージのボルト挿通孔に挿通したボルトのねじ部を螺合させて固定され、陥凹部に封止材が充填されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電動圧縮機によれば、電動モータを駆動する駆動回路の放熱性能及び絶縁性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】電動圧縮機を適用した冷凍サイクルの一例を示す説明図である。
図2】電動圧縮機の模式断面図である。
図3】パッケージを上面側から示す斜視図である。
図4】パッケージの底面側から示す斜視図である。
図5図3のA-A線における模式断面図である。
図6】パッケージの設置に用いる部品を示す模式断面図である。
図7】スペーサの一例を示す斜視図である。
図8】パッケージのねじ固定状態を示す模式断面図である。
図9】パッケージの封止状態を示す模式断面図である。
図10】パッケージの具体的な設置態様を示す斜視図である。
図11】スペーサの第1変形例を示す斜視図である。
図12図11のB-B線における断面図である。
図13】スペーサの第1変形例によるパッケージ封止状態を示す模式断面図である。
図14】スペーサの第2変形例を示す斜視図である。
図15図14のC-C線における断面図である。
図16】スペーサの第2変形例によるパッケージ封止状態を示す模式断面図である。
図17】従来のパッケージのねじ固定状態を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための実施形態について、添付図面を参照して詳述する。
図1は、電動圧縮機を用いた冷凍サイクルの一例を示す。
【0011】
冷凍サイクル1は、冷媒が循環する冷媒配管2に対して、電動圧縮機3、凝縮器4、膨張弁5及び蒸発器6をこの順番で配設して構成された蒸気圧冷凍サイクルである。電動圧縮機3は、低温・低圧の気体冷媒を圧縮して高温・高圧の気体冷媒にする。凝縮器4は、電動圧縮機3を通過した高温・高圧の気体冷媒を冷却して低温・高圧の液体冷媒にする。膨張弁5は、低温・高圧の液体冷媒を減圧して低温・低圧の液体冷媒にする。蒸発器6は、低温・低圧の液体冷媒を気化させて低温・低圧の気体冷媒にする。このような冷凍サイクル1は、車載式又は定置式を問わず、エアコンディショナーやヒートポンプ等、様々な機器に適用可能である。
【0012】
図2は、電動圧縮機3の一例を示す。電動圧縮機3は、圧縮機構10及びその動力源である電動モータ20を収容したハウジング30に、電動モータ20の駆動回路であるインバータ40を設置してインバータ一体型として構成されている。
【0013】
ハウジング30は、リアハウジング31、センターハウジング32、フロントハウジング33及びインバータカバー34が、例えばボルト及びワッシャ等の締結具で締結されて形成される内部密閉空間を有する中空体であり、例えばアルミニウム合金等の金属で形成されている。内部密閉空間は、概ね、第一隔壁35及び第二隔壁36によって、直列に3つの空間に区画される。具体的には、第一の空間H1はリアハウジング31と第一隔壁35を有するセンターハウジング32とが締結されることで形成され、第一の空間H1には圧縮機構10が収容される。第二の空間H2は第一隔壁35を有するセンターハウジング32と第二隔壁36を有するフロントハウジング33とが締結されることで形成され、第二の空間H2には電動モータ20が収容される。第三の空間H3は第二隔壁36を有するフロントハウジング33とインバータカバー34とが締結されることで形成され、第三の空間H3にはインバータ40が収容される。
【0014】
リアハウジング31には、圧縮機構10により生成された高温・高圧の気体冷媒を第一の空間H1から外部へ吐出するための吐出ポートPoutが設けられている。フロントハウジング33には、蒸発器で気化した低温・低圧の気体冷媒を外部から第二の空間H2へ吸入するための吸入ポートPinが設けられている。センターハウジング32には、第一の空間H1と第二の空間H2とを連通する図示省略の連通路が形成され、吸入ポートPinを介して第二の空間H2に吸入した低温・低圧の気体冷媒は連通路を介して第一の空間H1へ導入される。
【0015】
圧縮機構10は、電動モータ20の回転出力により駆動される可動体を有し、この可動体の運動によって第一の空間H1に導入された低温・低圧の気体冷媒を圧縮し、高温・高圧の気体冷媒を生成する。圧縮機構10は、電動モータ20の回転出力を利用するものであれば、いかなる圧縮方式も採用可能である。例えば、圧縮機構10は、電動モータ20の回転出力を利用することで旋回スクロールの公転旋回運動を生起させ、これにより固定スクロールと旋回スクロールとの噛み合いにより形成された圧縮室の容積を変化させるスクロール方式を採用できる。あるいは、圧縮機構10は、ケーシング内のロータを電動モータ20の回転出力により回転させて、ケーシングとロータとの間に形成された圧縮室の容積を連続的に変化させるロータリー方式を採用できる。
【0016】
なお、図示省略するが、第一の空間H1には、圧縮機構10で生成された高温・高圧の気体冷媒を一時的に貯留して脈動を低減するための吐出室や、高温・高圧の気体冷媒から潤滑油を分離するための気液分離室が設けられてもよい。
【0017】
電動モータ20は、例えば三相永久磁石同期電動機であり、永久磁石が周方向に順次配設された略円柱状ないし略円筒状のロータ21と、ステータコイル22が巻き回されてロータ21の外周面と対向するティースが周方向に沿って複数配列されたステータ23と、を有している。ロータ21の径方向中心には、径方向と垂直方向に延びるモータシャフト24が固定されている。モータシャフト24の一端部は、図示省略のすべり軸受を介して、フロントハウジング33の第二隔壁36に設けられた支持部36Aに回転可能に支持されている。モータシャフト24の他端部は、センターハウジング32の第一隔壁35を貫通して、圧縮機構10の可動体に連結され、モータシャフト24は、第一の空間H1内で第一隔壁35に配設されたベアリング25によっても回転可能に支持されている。これにより、ロータ21は、モータシャフト24の軸線を回転軸線として、ステータ23に対して相対的に回転する。ステータ23には、ステータコイル22の各相コイルをインバータ40と電気的に接続するための接続端子26が立設して第二隔壁36を気密に貫通し、接続端子26と第二隔壁36との間で絶縁が施されている。インバータ40からの接続端子26を介した通電によってステータコイル22に回転磁界が発生すると、ロータ21に回転力が発生し、モータシャフト24を介して、圧縮機構10の可動体に電動モータ20の回転出力が伝達される。
【0018】
インバータ40は、6つのスイッチング素子41を有する三相ブリッジ回路を備え、この三相ブリッジ回路により外部の直流電源から入力した直流電流を三相交流電流に変換して、三相交流電流を電動モータ20のステータコイル22に供給する電力変換装置である。三相ブリッジ回路は、2つのスイッチング素子41が直列に接続された各相アームを外部の直流電源と接続される正側母線及び負側母線の間に並列に接続し、各相アームの2つのスイッチング素子41間を対応相のステータコイル22の接続端子26に接続して構成されている。
【0019】
インバータ40のうち三相ブリッジ回路の6つのスイッチング素子41は第二隔壁36に設置されている。スイッチング素子41が第二隔壁36に設置されることで、第二の空間H2に吸入ポートPinを介して吸入した低温・低圧の気体冷媒の吸熱効果によりスイッチング素子41の放熱が促進される。インバータ40のうち三相ブリッジ回路の6つのスイッチング素子41以外の部分は第二隔壁36から立設するボス部36Bにボルト37でねじ固定されて第二隔壁36と略平行に且つ離間して延在する回路基板50上に形成されている。三相ブリッジ回路の6つのスイッチング素子41を除く導電路は回路基板50に導電パターンとして形成され、この導電パターンと接続端子26が電気的に接続されている。回路基板50には、外部の直流電源の正極及び負極と接続された電源供給線51と外部から電動圧縮機3の運転指令が伝達される信号線52とが、挿抜可能なコネクタ53を介して電気的に接続される。電源供給線51は、インバータ40の正側母線及び負側母線の導電パターンに接続され、信号線52は、回路基板50に実装されたマイクロコンピュータ等の制御回路54に接続される。
【0020】
次に、図3図5を参照して、スイッチング素子41の具体的態様について説明する。後述するように、スイッチング素子41はパッケージに内包され、図3はパッケージを上面側から示し、図4はパッケージを底面側から示し、図5はパッケージの断面を示している。
【0021】
スイッチング素子41は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等、制御回路54から出力された制御信号に基づいてスイッチング動作を行うパワー半導体素子であり、外部との電気的接続のための電極パッドを備えた半導体チップとして形成される。スイッチング素子41は、これを、例えばエポキシ樹脂による樹脂モールド等、所定の封止材で封止して形成されたパッケージ100に内包されている。パッケージ100は、これを第二隔壁36に設置するための平坦な設置面を底面100Aとして有する略扁平直方体状に形成され、スイッチング素子41の他にダイパッド101及びリード102を有している。ダイパッド101は、絶縁層を介してスイッチング素子41を支持固定するとともにスイッチング素子41で発生した熱を放熱するための金属板であり、ダイパッド101の一面101Aにはスイッチング素子41が支持固定され、ダイパッド101の一面101Aと反対側の裏面101Bはパッケージ100の底面100Aと面一に外部へ露出している。リード102は、スイッチング素子41と回路基板50上の導電パターンとを電気的に接続するための金属端子であり、ダイパッド101と同じリードフレームから打ち抜き形成されてもよい。リード102の一端部は、例えばワイヤボンディング等により、スイッチング素子41の電極パッドと電気的に接続され、リード102の他端部はパッケージ100の外部へ延びて、回路基板50の導電パターンと接続するためにL字状にリードフォーミングがなされている。
【0022】
パッケージ100には、これを第二隔壁36に固定するためのボルトを挿通させるために、底面100Aからその反対側の上面100Bへ、スイッチング素子41、ダイパッド101及びリード102と離間して貫通するボルト挿通孔100Cが予め穿設されている。なお、パッケージ100がスイッチング素子41を樹脂モールドして形成される場合には、樹脂モールド時にダイパッド101が一面101A及び裏面101Bの両方から押さえピンで押さえられるため、パッケージ100には、樹脂が切り欠かれてダイパッド101の一面101A側が外部に露出した切り欠き部100Dが形成される。
【0023】
次に、図6及び図7を参照して、第二隔壁36に対するパッケージ100の設置方法について説明する。図6は、パッケージ100の設置に関する構造を示している。図7は、第二隔壁36に対するパッケージ100の設置に用いる部品のうちスペーサの一例を示している。
【0024】
図6に示すように、第二隔壁36において平坦に形成された、パッケージ100の設置対象面361には、ボルト110のねじ部110Aと螺合する雌ねじ穴362が形成されている。パッケージ100は、その底面100Aを第二隔壁36の設置対象面361に対向させて、上面100B側からボルト挿通孔100Cに挿通したボルト110のねじ部110Aを雌ねじ穴362に螺合させるねじ固定により、第二隔壁36に設置される。ボルト110は、ねじ部110Aのボルト挿通孔100Cへの挿通が許容され、且つ、頭部110Bのボルト挿通孔100Cへの挿通が阻止されるものが選定される。
【0025】
第二隔壁36からは設置対象面361を全周について囲む仕切壁363が立設し、この仕切壁363によって囲まれた領域が陥凹部364として形成されている。換言すれば、設置対象面361は陥凹部364の底面として形成されている。第二隔壁36の設置対象面361を基準とした仕切壁363の高さは、パッケージ100が第二隔壁36に設置された状態で、リード102がパッケージ100から外部に突出している突出元の位置、及び、切り欠き部100Dによりダイパッド101の一面101A側が露出している位置のいずれよりも高くなっている。
【0026】
第二隔壁36の設置対象面361には、雌ねじ穴362の開口周囲が設置対象面361よりも所定深さdで後退した溝部365が形成されている。この溝部365の底面365Aには良好な絶縁性を有するスペーサ120が配置され、溝部365の内周面365Bにより設置対象面361におけるスペーサ120の位置決めがなされる。パッケージ100は、ボルト110でねじ固定されることで、スペーサ120を介して第二隔壁36に向けて押圧される。
【0027】
図6及び図7に示すように、スペーサ120は、基体121及び筒体122を備えている。基体121は、溝部365に内嵌する外周面121Aを有し、溝部365の底面365Aと当接する底面121Bからの厚さが所定厚さtで一定に形成され、溝部365に内嵌した状態で雌ねじ穴362に対応する部分にボルト110のねじ部110Aが挿通される貫通孔121Cを有している。基体121の所定厚さtは、溝部365の所定深さdよりも大きい値である。筒体122は、基体121の底面121Bの反対側である上面121Dのうち貫通孔121Cの周縁からボルト110のねじ部110Aの挿通方向に延びて貫通孔121Cの内周面を延長した内周面122Aを有するとともに、パッケージ100のボルト挿通孔100Cに内挿可能な外周面122Bを有している。パッケージ100を第二隔壁36に設置するときに、筒体122はボルト110のねじ部110Aの外周面とボルト挿通孔100Cの内周面との隙間に介挿される。基体121は、パッケージ100がボルト110で第二隔壁36にねじ固定されることで、溝部365の底面365Aとパッケージ100の底面100Aとの間に挟持される。
【0028】
図8は、パッケージ100が第二隔壁36にボルト110でねじ固定された、パッケージ100のねじ固定状態を示している。図8に示すように、パッケージ100のねじ固定状態では、パッケージ100の底面100Aと第二隔壁36の設置対象面361との間に、所定厚さtと所定深さdとの差分である間隔(t-d)の隙間が生じている。
【0029】
ここで、図17を参照して、図8に示すように間隔(t-d)の隙間を形成する理由を説明する。図17は、図8における所定厚さtと所定深さdとを同一の値として基体121の上面121Dと第二隔壁36の設置対象面361とを面一にし、パッケージ100の底面100Aと第二隔壁36の設置対象面361及び基体121の上面121Dとの間に良好な熱伝導性を有する絶縁シートISを介挿した、パッケージ100の従来のねじ固定状態を示している。
【0030】
図17において、ボルト110の螺合時のパッケージ押圧力はスイッチング素子41の機械的な許容応力に従って制限されている。また、基体121の所定厚さt及び溝部365の所定深さdには、通常、製造公差が含まれている。この2つの要因の少なくとも一方により、図17のパッケージ100のねじ固定状態では、図中の太破線で示すように、パッケージ100の底面100Aと絶縁シートISとの間、絶縁シートISと第二隔壁36の設置対象面361及び基体121の上面121Dとの間、及び、基体121の底面121Bと溝部365の底面365Aとの間に、極僅かな隙間が生じている。また、ボルト挿通孔100C、スペーサ120、溝部365及び絶縁シートISの製造公差により、図中の太実線で示すように、ボルト挿通孔100Cの内周面と筒体122の外周面122Bとの間、溝部365の内周面365Bと基体121の外周面121Aとの間、及び、絶縁シートISと筒体122の外周面122Bとの間にも極僅かな隙間が生じている。これらの極僅かな隙間は、全て、ダイパッド101の裏面101Bからボルト110や第二隔壁36の設置対象面361までの放電経路の一部となり得るが、いずれの放電経路も、ダイパッド101の裏面101Bからボルト110や第二隔壁36の設置対象面361までの最短距離と比較すると複雑な経路を辿り、絶縁距離が長くなっている。特にダイパッド101の裏面101Bから最も近いボルト110までの放電経路については、スペーサ120の存在により絶縁距離が長くなっている。したがって、電動圧縮機3が比較的低電圧で駆動されるものであれば、上記の極僅かな隙間がインバータ40の絶縁性能や放熱性能に与える影響は僅少である。しかし、電動圧縮機3が例えば800V以上の比較的高電圧で駆動される場合には、上記の極僅かな隙間であっても、絶縁破壊が発生したり十分な放熱が困難となったりして、インバータ40の絶縁性能及び放熱性能が不十分となるおそれがある。したがって、上記の極僅かな隙間を極力削減するために、絶縁シートISに代えて、第二隔壁36の設置対象面361とパッケージ100の底面100Aとの間に流動性(例えば液状)の封止材を充填すべく、図8に示すように間隔(t-d)の隙間を意図的に形成している。
【0031】
図9は、パッケージ100を流動性の封止材で封止した封止状態を示している。流動性の封止材200は、例えば樹脂組成物(シリコン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂)等、良好な絶縁性及び熱伝導性を有する材料であり、図8のパッケージ100のねじ固定状態で陥凹部364にポッティング等で充填される。流動性の封止材200の充填は、パッケージ100が第二隔壁36にねじ固定されたフロントハウジング33全体あるいは陥凹部364を真空引きして行ってもよい。流動性の封止材200は、陥凹部364で設置対象面361に広がって表面高さが上昇し、先ず間隔(t-d)の隙間を充填する。
【0032】
図8のパッケージ100のねじ固定状態では、図中の太破線で示されるように、ボルト110の螺合時のパッケージ押圧力の制限と基体121の所定厚さt及び溝部365の所定深さdの製造公差との2つの要因のうち少なくとも一方により、パッケージ100の底面100Aと基体121の上面121Dとの間、及び、基体121の底面121Bと溝部365の底面365Aとの間に極僅かな隙間が生じている。また、図中の太実線で示されるように、ボルト挿通孔100C、スペーサ120、及び、溝部365の製造公差により、ボルト挿通孔100Cの内周面と筒体122の外周面122Bとの間、及び、溝部365の内周面365Bと基体121の外周面121Aとの間にも極僅かな隙間が生じている。これらの極僅かな隙間には、粘性等の観点から流動性の封止材200を適切に選定することで、間隔(t-d)の隙間に充填された流動性の封止材200が毛細管現象により吸い込まれる。これにより、上記の極僅かな隙間は、ダイパッド101の裏面101Bからの絶縁距離が電動圧縮機3の高電圧化に十分対応したレベルとなるまで封止材200で充填される。
【0033】
電動圧縮機3が例えば800V以上の比較的高電圧で駆動される場合には、ダイパッド101の裏面101Bからの放電先としてパッケージ100から外部に突出しているリード102の突出元が考えられる。また、図9では図示省略するが、上記の放電先として、切り欠き部100Dにより露出したダイパッド101の表面側も考えられる。このため、流動性の封止材200は、上記のように想定される放電先を封止するように陥凹部364に充填される。このように充填しても、前述のように、リード102がパッケージ100から外部に突出している突出元の位置、及び、切り欠き部100Dによりダイパッド101の一面101A側が露出している位置のいずれよりも高い位置まで立設している仕切壁363により、周囲への封止材の漏れ広がりを回避できる。
【0034】
陥凹部364に充填された流動性の封止材200は、自然乾燥や加熱又は紫外線照射等によって硬化される。なお、第二隔壁36の設置対象面361を基準とした仕切壁363の高さが、パッケージ100のねじ固定状態におけるボルト110の頭部110Bよりも高くなるようにしてもよい。このようにすれば、流動性の封止材200の表面高さがボルト110の頭部110Bよりも高くなるまで周囲に漏れ広がることなく封止材200を充填でき、これにより、ボルト110の頭部110Bへの放電あるいはボルト110の頭部110Bからの放電の可能性も低減することができる。
【0035】
図10は、フロントハウジング33からインバータカバー34及び回路基板50を取り外した状態の第二隔壁36におけるパッケージ100の具体的な設置態様を示している。スイッチング素子41を個別に内包した6つのパッケージ100は、互いに離間し、3つのパッケージ100を一列として並列に二列に並べられ、各列のパッケージ100が隣の列のパッケージ100と互いにリード102を対向させて、第二隔壁36にボルト110でねじ固定されている。6つのパッケージ100は、これらと離間した1つの環状の仕切壁363で囲まれ、この仕切壁363で形成される陥凹部364内に封止材200を充填して硬化させている。回路基板50や第二隔壁36のレイアウトにより、6つのパッケージ100を1つの環状の仕切壁363で囲むことが困難である場合には、複数の仕切壁363を異なる場所に設けて、各仕切壁363で形成された陥凹部364内に1つ以上のパッケージ100を設置してもよい。また、スイッチング素子41を6つのパッケージ100に個別に内包する代わりに、モジュール化された1つのパッケージ100に内包して、これを第二隔壁36の1つの仕切壁363で形成された陥凹部364内に設置してもよい。なお、仕切壁363の一部として、回路基板50を囲むフロントハウジング33の周壁を利用することができる。
【0036】
このように構成される電動圧縮機3では、スペーサ120の基体121によってパッケージ100の底面100Aと第二隔壁36の設置対象面361との間に間隔(t-d)の隙間を形成し、この隙間に良好な電気絶縁性及び熱伝導性を有する流動性の封止材200を充填している。ボルト110の螺合時のパッケージ押圧力の制限と、ボルト挿通孔100C、スペーサ120、及び、溝部365の製造公差と、の2つの要因の少なくとも一方により生じる極僅かな隙間は、間隔(t-d)の隙間に充填された流動性の封止材200が毛細管現象により進入することで充填される。また、パッケージ100から外部へ突出しているリード102の突出元や切り欠き部100Dにより露出したダイパッド101の一面101A側も封止されるまで、封止材200で充填される。したがって、ダイパッド101の裏面101Bからボルト110等の放電先までの絶縁距離やダイパッド101の裏面101Bから第二隔壁36までの熱抵抗を、電動圧縮機3の高電圧化に十分対応したレベルとすることができる。
【0037】
また、電動圧縮機3では、第二隔壁36から立設する仕切壁363で環状に囲んで形成された陥凹部364の底面を設置対象面361としてパッケージ100を設置しているので、陥凹部364に流動性の封止材200を充填しても仕切壁363の周囲に漏れ広がらず、封止材200の使用量を抑制することができる。
【0038】
次に、図11図13を参照して、スペーサ120の第1変形例について説明する。図11は、第1変形例に係るスペーサを示している。図12は第1変形例に係るスペーサの基体の断面を示している。図13は、第1変形例に係るスペーサを用いたときのパッケージ100の封止状態を示している。なお、上記の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、その説明を省略ないし簡略化する。以下の変形例においても同様である。
【0039】
図11に示すように、本変形例に係るスペーサ120iは、上記のスペーサ120に対して、基体121の構成を変更したものである。具体的には、スペーサ120iでは、基体121の上面121Dを厚さ方向に後退させた凹部121Eと基体121の底面121Bを厚さ方向に後退させた凹部121Fとが外周面121Aから中心に向けてそれぞれ1つ以上設けられている。図12に示すように、凹部121E,121Fは、基体121の上面121Dから見て、基体121の外周面121Aから筒体122の外周面122Bまで延びて、貫通孔121C周囲の周壁121Gで遮断されている。
【0040】
図13に示すように、間隔(t-d)の隙間に充填された流動性の封止材200は、基体121の上面121D及び底面121Bにそれぞれ設けられた凹部121E,121Fにそれぞれ進入する。基体121の上面121Dに設けられた凹部121Eでは、流動性の封止材200がパッケージ100の底面100Aに沿って周壁121Gまで流れる。また、基体121の底面121Bに設けられた凹部121Fでは、流動性の封止材200が溝部365の底面365Aに沿って周壁121Gまで流れる。このように凹部121E,121Fに流入した流動性の封止材200は、さらに、基体121の上面121Dとパッケージ100の底面100Aとの間の極僅かな隙間や基体121の底面121Bと溝部365の底面365Aとの間の極僅かな隙間へ毛細管現象により吸い込まれる。したがって、基体121に凹部121E,121Fを設けたことで、流動性の封止材200が、基体121の外周面121Aからだけでなく凹部121E,121Fからも、極僅かな隙間への毛細管現象による吸い込みが促進され、封止材200の充填効率を向上させることができる。また、間隔(t-d)の隙間に充填された流動性の封止材200は、基体121の上面121Dに設けられた凹部121Eを介して、容易にボルト挿通孔100Cの内周面と筒体122の外周面122Bとの間の隙間の入口まで到達して、この隙間への毛細管現象による吸い込みが促進され、この点からも封止材200の充填効率を向上させることができる。
【0041】
なお、凹部121E,121Fに代えて、基体121の厚さ方向で上面121Dの凹部121Eと底面121Bの凹部121Fとを連結して、基体121の外周面121Aから貫通孔121Cに向けて延びるスリットとしてもよい。
【0042】
次に、図14図16を参照して、スペーサ120の第2変形例について説明する。図14は、第2変形例に係るスペーサを示している。図15は、第2変形例に係るスペーサの基体の断面を示している。図16は、第2変形例に係るスペーサを用いたときのパッケージ100の封止状態を示している。
【0043】
図14に示すように、本変形例に係るスペーサ120iiは、第1変形例に係るスペーサ120iに対して筒体122を省略したものである。具体的には、スペーサ120iiは、基体121そのものであり、基体121の上面121Dを厚さ方向に後退させた凹部121Eと基体121の底面121Bを厚さ方向に後退させた凹部121Fとが外周面121Aから中心に向けてそれぞれ1つ以上設けられている。ただし、図15に示すように、凹部121E,121Fは、上記のスペーサ120iと異なり、基体121の上面121Dから見て、基体121の外周面121Aから貫通孔121Cまで延びている。
【0044】
図16に示すように、間隔(t-d)の隙間に充填された流動性の封止材200は、基体121の上面121D及び底面121Bにそれぞれ設けられた凹部121E,121Fにそれぞれ進入する。基体121の上面121Dに設けられた凹部121Eでは、流動性の封止材200がパッケージ100の底面100Aに沿って貫通孔121Cまで流れる。また、基体121の底面121Bに設けられた凹部121Fでは、流動性の封止材200が溝部365の底面365Aに沿って貫通孔121Cまで流れる。基体121に凹部121E,121Fを設けたことで、流動性の封止材200が、基体121の外周面121Aからだけでなく凹部からも極僅かな隙間へ毛細管現象によって吸い込まれるのは、上記のスペーサ120iと同様である。これに加えて、スペーサ120iiでは、貫通孔121Cに到達した流動性の封止材200が、ボルト挿通孔100Cの内周面とねじ部110Aの外周面との間、及び、雌ねじ穴362の内周面とねじ部110Aの外周面との間の隙間にも進入し易くなり、ねじ部110Aの外周面の殆ど全てを封止材200で封止することも可能となる。したがって、ダイパッド101の裏面101Bからボルト110までの絶縁距離をさらに長くすることができ、インバータ40の絶縁性能を向上させることが可能となる。
【0045】
以上、好ましい実施形態及びその変形例を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、以下のように種々の変形態様を採り得ることは自明である。
【0046】
上記の実施形態において、陥凹部364は、第二隔壁36から立設する仕切壁363により設置対象面361を全周で囲んで形成されていたが、これに代えて、第二隔壁36を後退させて形成してもよい。
【0047】
パッケージ100はスペーサ120,120i,120iiを用いずに第二隔壁36の設置対象面361にねじ固定されてもよい。このようにしても、陥凹部364に充填された流動性の封止材200が、第二隔壁36の設置対象面361とパッケージ100の底面100Aとの間の極僅かな隙間へ毛細管現象により進入し得る。
【0048】
上記の実施形態において、スペーサ120,120i,120iiは、第二隔壁36の設置対象面361に形成された溝部365に配置されていたが、スペーサ120,120i,120iiの位置決めを行わずにパッケージ100のねじ固定が可能である場合には、溝部365を省略してもよい。
【0049】
電動モータ20は、永久磁石同期電動機以外の交流電動機や直流ブラシ付きモータでもよく、1つ以上のパワー半導体素子を有する駆動回路によって駆動されるものであればよい。したがって、電動モータ20を駆動する駆動回路はインバータ40に限られない。
【0050】
上記のパッケージ100では、スイッチング素子41を支持固定するダイパッド101の裏面101Bがパッケージ100の底面100Aと面一となって外部に露出していたが、これに限らず、ダイパッド101の裏面101Bに放熱用の金属板を接合して、この金属板の接合面の反対側の面をパッケージ100の底面100Aと面一にして外部に露出させてもよい。
【0051】
スイッチング素子41を内包したパッケージ100は、第二隔壁36の設置対象面361に設置されるものとしたが、これに限らず、フロントハウジング33の周壁の外周面に設置対象面361を形成して、この設置対象面361に設置してもよい。この場合、回路基板50はフロントハウジング33ないしセンターハウジング32の外周面から立設したボス部にねじ固定されて、第三の空間H3は、フロントハウジング33ないしセンターハウジング32の外周面に形成される。また、スイッチング素子41を内包したパッケージ100は、第二隔壁36に代えて、フロントハウジング33とは別体のベースプレート上に設置してもよい。ベースプレートは、これにおけるパッケージ100の設置対象面361と反対側の裏面が平坦となっているものであれば、その裏面が、スイッチング素子41の放熱の観点から、フロントハウジング33と接合されているとよい。
【0052】
第1変形例に係るスペーサ120iの基体121において、周壁121Gを設けなくてもよい。これにより、凹部に導入された流動性の封止材200は貫通孔121Cにも進入するので、ボルト110のねじ部110Aの外周面を覆うようにすることができる。
【0053】
なお、上記の実施形態及び変形例で説明した各技術的思想及びこれに基づく変形態様は、矛盾が生じない限りにおいて、適宜組み合せて使用することができる。例えば、第1及び第2変形例に係るスペーサ120i,120iiを用いてパッケージ100をねじ固定した場合でも、流動性の封止材200の表面高さがボルト110の頭部110Bよりも高くなるまで封止材200を充填してもよい。
【符号の説明】
【0054】
3…電動圧縮機、10…圧縮機構、20…電動モータ、30…ハウジング、33…フロントハウジング、36…第二隔壁(隔壁)、40…インバータ(駆動回路)、41…スイッチング素子、50…回路基板、100…パッケージ、100A…底面、100C…ボルト挿通孔、100D…切り欠き部、101…ダイパッド、101A…一面、102…リード、110…ボルト、110A…ねじ部、120…スペーサ、121…基体、121A…外周面、121B…底面、121C…貫通孔、121D…上面、121E,121F…凹部、122…筒体、200…封止材、361…設置対象面、362…雌ねじ穴、364…陥凹部、H2…第2の空間(冷媒導入空間)、H3…第3の空間(回路収容空間)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17