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特開2023-120945ΔΣ変調器およびΔΣ型A/Dコンバータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120945
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】ΔΣ変調器およびΔΣ型A/Dコンバータ
(51)【国際特許分類】
   H03M 3/02 20060101AFI20230823BHJP
【FI】
H03M3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024106
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】山口 晴久
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 謹司
(72)【発明者】
【氏名】室田 敏夫
【テーマコード(参考)】
5J064
【Fターム(参考)】
5J064AA01
5J064BA03
5J064BC06
5J064BC11
5J064BC15
(57)【要約】
【課題】入力電圧のコモン電圧に依存しない動作が可能なΔΣ変調器を提供する。
【解決手段】入力サンプリング回路110は、差動入力信号VINをデジタル出力信号に変換するΔΣ変調器に使用され、差動入力信号VINをサンプリングする。入力サンプリング回路110は、スイッチトキャパシタ回路であり、第1キャパシタC1、第2キャパシタC2を含む。第5スイッチSW5は、第3スイッチSW3および第2キャパシタC2の接続ノードと、第1入力ノードIN1との間に接続される。第6スイッチSW6は、第1スイッチSW1および第1キャパシタC1の接続ノードと、第2入力ノードIN2との間に接続される。つまり、第5スイッチSW5および第6スイッチSW6によって、たすき掛けの構成が提供される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
差動入力信号をデジタル出力信号に変換するΔΣ変調器であって、
前記差動入力信号をサンプリングするスイッチトキャパシタ型の入力サンプリング回路を備え、
前記入力サンプリング回路は、
差動入力を形成する第1入力ノードおよび第2入力ノードと、
差動出力を形成する第1出力ノードおよび第2出力ノードと、
基準電圧ノードと、
前記第1入力ノードと前記第1出力ノードの間に直列に接続された第1スイッチ、第1キャパシタおよび第2スイッチと、
前記第2入力ノードと前記第2出力ノードの間に直列に接続された第3スイッチ、第2キャパシタおよび第4スイッチと、
前記第3スイッチおよび前記第2キャパシタの接続ノードと、前記第1入力ノードとの間に接続された第5スイッチと、
前記第1スイッチおよび前記第1キャパシタの接続ノードと、前記第2入力ノードとの間に接続された第6スイッチと、
前記第1キャパシタと前記第2スイッチの接続ノードと、前記基準電圧ノードとの間に接続された第7スイッチと、
前記第2キャパシタと前記第4スイッチの接続ノードと、前記基準電圧ノードとの間に接続された第8スイッチと、
を含む、ΔΣ変調器。
【請求項2】
前記入力サンプリング回路とともに積分回路を形成する積分アンプをさらに備え、
前記積分アンプは、
前記入力サンプリング回路の前記第1出力ノードと接続される第3入力ノードと、
前記入力サンプリング回路の前記第2出力ノードと接続される第4入力ノードと、
第3出力ノードと、
第4出力ノードと、
前記第3入力ノードと前記第3出力ノードの間に接続された第3キャパシタと、
前記第4入力ノードと前記第4出力ノードの間に接続された第4キャパシタと、
第1入力が前記第3入力ノードと接続され、第2入力が前記第4入力ノードと接続され、第1出力が前記第3出力ノードと接続され、第2出力が前記第4出力ノードと接続された完全差動型のオペアンプと、
を含む、請求項1に記載のΔΣ変調器。
【請求項3】
前記ΔΣ変調器内の入力信号以外の内部信号をサンプリングする内部サンプリング回路をさらに備え、
前記内部サンプリング回路は、
差動入力を形成する第5入力ノードおよび第6入力ノードと、
差動出力を形成する第5出力ノードおよび第6出力ノードと、
前記第5入力ノードと前記第5出力ノードの間に直列に接続された第9スイッチ、第5キャパシタおよび第10スイッチと、
前記第6入力ノードと前記第6出力ノードの間に直列に接続された第11スイッチ、第6キャパシタおよび第12スイッチと、
前記第9スイッチおよび前記第5キャパシタの接続ノードと、前記基準電圧ノードとの間に接続された第13スイッチと、
前記第11スイッチおよび前記第6キャパシタの接続ノードと、前記基準電圧ノードとの間に接続された第14スイッチと、
前記第5キャパシタと前記第10スイッチの接続ノードと、前記基準電圧ノードとの間に接続された第15スイッチと、
前記第6キャパシタと前記第12スイッチの接続ノードと、前記基準電圧ノードとの間に接続された第16スイッチと、
を含む、請求項1または2に記載のΔΣ変調器。
【請求項4】
前記ΔΣ変調器内の、入力信号以外の内部信号をサンプリングする内部サンプリング回路をさらに備え、
前記内部サンプリング回路は、
差動入力を形成する第5入力ノードおよび第6入力ノードと、
差動出力を形成する第5出力ノードおよび第6出力ノードと、
前記第5入力ノードと前記第5出力ノードの間に直列に接続された第9スイッチ、第5キャパシタおよび第10スイッチと、
前記第6入力ノードと前記第6出力ノードの間に直列に接続された第11スイッチ、第6キャパシタおよび第12スイッチと、
前記第9スイッチおよび前記第5キャパシタの接続ノードと、前記基準電圧ノードとの間に接続された第13スイッチと、
前記第11スイッチおよび前記第6キャパシタの接続ノードと、前記基準電圧ノードとの間に接続された第14スイッチと、
前記第5キャパシタと前記第10スイッチの接続ノードと、前記基準電圧ノードとの間に接続された第15スイッチと、
前記第6キャパシタと前記第12スイッチの接続ノードと、前記基準電圧ノードとの間に接続された第16スイッチと、
を含み、
前記内部サンプリング回路の前記第5出力ノードおよび前記第6出力ノードの一方は、前記積分アンプの前記第3入力ノードと接続され、
前記内部サンプリング回路の前記第5出力ノードおよび前記第6出力ノードの他方は、前記積分アンプの前記第4入力ノードと接続される、請求項2に記載のΔΣ変調器。
【請求項5】
前記ΔΣ変調器の次数は3である、請求項1から4のいずれかに記載のΔΣ変調器。
【請求項6】
前記ΔΣ変調器の次数は2である、請求項1から4のいずれかに記載のΔΣ変調器。
【請求項7】
前記ΔΣ変調器の次数は4である、請求項1から4のいずれかに記載のΔΣ変調器。
【請求項8】
ひとつの半導体基板に集積化される、請求項1から7のいずれかに記載のΔΣ変調器。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載のΔΣ変調器と、
前記ΔΣ変調器の出力信号を帯域制限し、ダウンサンプリングするフィルタと、
を備える、ΔΣ型A/Dコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ΔΣ型A/Dコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
高分解能が要求される微小信号の測定や、オーディオの用途において、ΔΣ型A/Dコンバータが使用される。図1は、ΔΣ型A/Dコンバータの基本構成を示すブロック図である。ΔΣ型A/Dコンバータ2は、アナログ入力信号VINをデジタル出力信号DOUTに変換する。ΔΣ型A/Dコンバータ2は、前段のアナログ部4と、後段のデジタル部6を備える。
【0003】
前段のアナログ部4は、ΔΣ変調器であり、アナログ入力信号VINをオーバーサンプリングし、オーバーサンプリングした信号を、1ビットもしくは数ビットの粗いレベルでデジタル信号Sに変換する。
【0004】
ΔΣ変調器の出力には量子化ノイズが含まれることになる。この量子化ノイズは、ΔΣ変調器内部のループフィルタ(積分回路)によって高周波領域に追いやられる(ノイズシェーピング)。
【0005】
後段のデジタル部6は、デジタルフィルタであり、帯域制限フィルタとデシメーションフィルタの機能を有する。具体的には、デジタルフィルタは、ΔΣ変調器の出力に含まれる高周波ノイズを低域通過の帯域制限フィルタによって減衰させ、デシメーションフィルタによってデータレートを低下させる(ダウンサンプリング)。
【0006】
図2は、ΔΣ変調器10の回路図である。ΔΣ変調器10は、主として、減算回路12、ループフィルタ14、量子化器16、D/Aコンバータ18を備える。
【0007】
減算回路12は、アナログ入力信号VINと、D/Aコンバータ18の出力信号VFBの誤差を生成する。ループフィルタ14は、誤差を積算し、ノイズシェーピングを行う。
【0008】
量子化器16は、ループフィルタ14の出力信号を量子化する。量子化された信号は、D/Aコンバータに入力される。
【0009】
図3は、フィードフォワード型の三次のΔΣ変調器10Aの回路図である。ΔΣ変調器10Aでは、減算回路12と三次のループフィルタ14が一体に構成される。
【0010】
減算回路12および三次のループフィルタ14を含むブロックは、次数と等しい複数(3個)の積分器INT1,INT2,INT3、複数の加減算器ADD1,ADD2,ADD3,ADD4、および複数のフィードフォワードパスおよびフィードバックパスを備える。a,a,b,b,b,b,c,c,cはフィードフォワードパスおよびフィードバック経路のゲインを示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2011-101247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ΔΣ変調器には、時間離散型と時間連続型がある。時間離散型のΔΣ変調器は、入力信号VINをサンプリングするサンプリング回路を有する。図3の場合、入力信号VINのパスb~bに、サンプリング回路が実装される。
【0013】
一般に、サンプリング回路は、スイッチトキャパシタ回路を用いて構成される。入力信号VINが差動信号である場合、スイッチトキャパシタ回路も差動回路で構成される。差動のスイッチトキャパシタ回路は、基準電圧を利用して、入力信号VINをサンプリングする。
【0014】
一般的には、基準電圧としては、電源電圧の1/2に設定されることが多い。差動入力信号VINのコモン電圧が、スイッチトキャパシタ回路の基準電圧からずれると、性能が低下する。
【0015】
本開示は係る状況においてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、入力電圧のコモン電圧に依存しない動作が可能なΔΣ変調器の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本開示のある態様は、差動入力信号をデジタル出力信号に変換するΔΣ変調器である。ΔΣ変調器は、差動入力信号をサンプリングするスイッチトキャパシタ型の入力サンプリング回路を備える。入力サンプリング回路は、差動入力を形成する第1入力ノードおよび第2入力ノードと、差動出力を形成する第1出力ノードおよび第2出力ノードと、基準電圧ノードと、第1入力ノードと第1出力ノードの間に直列に接続された第1スイッチ、第1キャパシタおよび第2スイッチと、第2入力ノードと第2出力ノードの間に直列に接続された第3スイッチ、第2キャパシタおよび第4スイッチと、第3スイッチおよび第2キャパシタの接続ノードと、第1入力ノードとの間に接続された第5スイッチと、第1スイッチおよび第1キャパシタの接続ノードと、第2入力ノードとの間に接続された第6スイッチと、第1キャパシタと第2スイッチの接続ノードと、基準電圧ノードとの間に接続された第7スイッチと、第2キャパシタと第4スイッチの接続ノードと、基準電圧ノードとの間に接続された第8スイッチと、を含む。
【0017】
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせたもの、構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明あるいは本開示の態様として有効である。さらに、この項目(課題を解決するための手段)の記載は、本発明の欠くべからざるすべての特徴を説明するものではなく、したがって、記載されるこれらの特徴のサブコンビネーションも、本発明たり得る。
【発明の効果】
【0018】
本開示に係るΔΣ変調器によれば、差動入力信号のコモン電圧に依存しない処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、ΔΣ型A/Dコンバータの基本構成を示すブロック図である。
図2図2は、ΔΣ変調器の回路図である。
図3図3は、フィードフォワード型の三次のΔΣ変調器の回路図である。
図4図4は、実施形態に係るΔΣ変調器のブロック図である。
図5図5は、実施形態に係る入力サンプリング回路の回路図である。
図6図6は、図5の入力サンプリング回路のレベルダイアグラムである。
図7図7は、比較技術に係る入力サンプリング回路の回路図である。
図8図8は、図7の入力サンプリング回路のレベルダイアグラムである。
図9図9は、オペアンプのゲイン特性を示す図である。
図10図10は、図4のΔΣ変調器の一部を示す回路図である。
図11図11は、実施形態に係るΔΣ変調器の回路図である。
図12図12は、実施形態に係るΔΣ変調器の回路図である。
図13図13は、実施形態に係るΔΣ変調器の回路図である。
図14図14は、図11のΔΣ変調器の構成要素を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施形態の概要)
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。この概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、すべての実施形態の重要な要素を特定することも、一部またはすべての態様の範囲を線引きすることも意図していない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態(実施例や変形例)または複数の実施形態(実施例や変形例)を指すものとして用いる場合がある。
【0021】
一実施形態に係るΔΣ変調器は、差動入力信号をデジタル出力信号に変換する。ΔΣ変調器は、差動入力信号をサンプリングするスイッチトキャパシタ型の入力サンプリング回路を備える。入力サンプリング回路は、差動入力を形成する第1入力ノードおよび第2入力ノードと、差動出力を形成する第1出力ノードおよび第2出力ノードと、基準電圧ノードと、第1入力ノードと第1出力ノードの間に直列に接続された第1スイッチ、第1キャパシタおよび第2スイッチと、第2入力ノードと第2出力ノードの間に直列に接続された第3スイッチ、第2キャパシタおよび第4スイッチと、第3スイッチおよび第2キャパシタの接続ノードと、第1入力ノードとの間に接続された第5スイッチと、第1スイッチおよび第1キャパシタの接続ノードと、第2入力ノードとの間に接続された第6スイッチと、第1キャパシタと第2スイッチの接続ノードと、基準電圧ノードとの間に接続された第7スイッチと、第2キャパシタと第4スイッチの接続ノードと、基準電圧ノードとの間に接続された第8スイッチと、を含む。
【0022】
第1状態では、第1スイッチ、第3スイッチ、第7スイッチ、第8スイッチがオンとなる。第2状態では、第2スイッチ、第4スイッチ、第5スイッチ、第6スイッチがオンとなる。基準電圧ラインの電圧をVr、第1入力ノードの電圧をVip、第2入力ノードの電圧をVinとする。また第1キャパシタおよび第2キャパシタの容量は等しくCsであるとする。第1状態において、第1キャパシタに蓄えられる電荷Qp、第2キャパシタに蓄えられる電荷Qnはそれぞれ、
Qp=Cs×(Vip-Vr)
Qn=Cs×(Vin-Vr)
である。
【0023】
第2状態において、第1出力ノードに発生する電圧Von、第2出力ノードに発生する電圧Vpはそれぞれ、以下の式で表される。
Von=Vin-Qp/Cs=Vin-(Vip-Vr)=Vin-Vip+Vr
Vop=Vip-Qn/Cs=Vip-(Vin-Vr)=Vip-Vin+Vr
【0024】
差動入力信号の信号成分(入力電圧振幅)Vp-VnをVsigと表記する。このとき、
Von=-Vsig+Vr
Vop=+Vsig+Vr
となる。差動出力信号Vop,Vonのコモン電圧は、Vrであり、差動入力信号のコモン電圧に依存しない。つまり上記構成によれば、差動入力信号のコモン電圧に依存しない差動出力信号を生成できる。
【0025】
一実施形態において、ΔΣ変調器は、入力サンプリング回路と一体に構成される積分アンプをさらに備えてもよい。積分アンプは、入力サンプリング回路の第1出力ノードと接続される第3入力ノードと、入力サンプリング回路の第2出力ノードと接続される第4入力ノードと、第3出力ノードと、第4出力ノードと、第3入力ノードと第3出力ノードの間に接続された第3キャパシタと、第4入力ノードと第4出力ノードの間に接続された第4キャパシタと、第1入力が第3入力ノードと接続され、第2入力が第4入力ノードと接続され、第1出力が第3出力ノードと接続され、第2出力が第4出力ノードと接続された完全差動型のオペアンプと、を含んでもよい。
【0026】
第3キャパシタおよび第4キャパシタの容量を等しくCiであるとする。このとき、積分回路の時定数は、T×Ci/(2×Cs)となる。Tは、スイッチトキャパシタ回路のスイッチング周期である。一般的なクロール型のスイッチトキャパシタ積分回路の時定数は、T×Ci/Csである。したがって、上記構成によれば、一般的なクロール型の積分回路に比べて、同じ時定数を得るためのキャパシタCsの容量を1/2に減らすことができ、チップサイズを小さくできる。
【0027】
一実施形態において、ΔΣ変調器は、入力信号以外のΔΣ変調器内の内部信号をサンプリングする内部サンプリング回路をさらに備えてもよい。内部サンプリング回路は、差動入力を形成する第5入力ノードおよび第6入力ノードと、差動出力を形成する第5出力ノードおよび第6出力ノードと、第5入力ノードと第5出力ノードの間に直列に接続された第9スイッチ、第5キャパシタおよび第10スイッチと、第6入力ノードと第6出力ノードの間に直列に接続された第11スイッチ、第6キャパシタおよび第12スイッチと、第9スイッチおよび第5キャパシタの接続ノードと、基準電圧ノードとの間に接続された第13スイッチと、第11スイッチおよび第6キャパシタの接続ノードと、基準電圧ノードとの間に接続された第14スイッチと、第5キャパシタと第10スイッチの接続ノードと、基準電圧ノードとの間に接続された第15スイッチと、第6キャパシタと第12スイッチの接続ノードと、基準電圧ノードとの間に接続された第16スイッチと、を含んでもよい。
【0028】
内部サンプリング回路は、第1状態において、第9スイッチ、第11スイッチ、第15スイッチ、第16スイッチがオンとなる。第2状態では、第10スイッチ、第12スイッチ、第13スイッチ、第14スイッチがオンとなる。基準電圧ラインの電圧をVr、第1入力ノードの電圧をVip、第2入力ノードの電圧をVinとする。また第5キャパシタおよび第6キャパシタの容量は等しくCsであるとする。第1状態において、第5キャパシタに蓄えられる電荷Qp、第6キャパシタに蓄えられる電荷Qnはそれぞれ、
Qp=Cs×(Vip-Vr)
Qn=Cs×(Vin-Vr)
である。
【0029】
第2状態において、第1出力ノードに発生する電圧Vop、第2出力ノードに発生する電圧Vnはそれぞれ、以下の式で表される。
Vop=Vr-Qp/Cs=Vr-(Vip-Vr)=2Vr-Vip
Von=Vr-Qn/Cs=Vr-(Vin-Vr)=2Vr-Vin
【0030】
内部サンプリング回路の入力は、基準電圧Vrを基準に生成されたものなので、そのコモン電圧はVrになる。したがって、差動出力信号Vop,Vonのコモン電圧Vocは、
Voc=(Vop+Von)/2=2Vr-(Vip+Vin)/2=Vr
となる。つまり、内部回路に関してはコモン電圧は一定となっている。
【0031】
一実施形態において、ΔΣ変調器は、入力サンプリング回路とともに積分回路を構成する積分アンプをさらに備えてもよい。積分アンプは、入力サンプリング回路の第1出力ノードと接続される第3入力ノードと、入力サンプリング回路の第2出力ノードと接続される第4入力ノードと、第3出力ノードと、第4出力ノードと、第3入力ノードと第3出力ノードの間に接続された第3キャパシタと、第4入力ノードと第4出力ノードの間に接続された第4キャパシタと、第1入力が第3入力ノードと接続され、第2入力が第4入力ノードと接続され、第1出力が第3出力ノードと接続され、第2出力が第4出力ノードと接続された完全差動型のオペアンプと、を含んでもよい。
【0032】
一実施形態において、ΔΣ変調器は、ΔΣ変調器内の入力信号以外の内部信号をサンプリングする内部サンプリング回路をさらに備えてもよい。内部サンプリング回路は、差動入力を形成する第5入力ノードおよび第6入力ノードと、差動出力を形成する第5出力ノードおよび第6出力ノードと、第5入力ノードと第5出力ノードの間に直列に接続された第9スイッチ、第5キャパシタおよび第10スイッチと、第6入力ノードと第6出力ノードの間に直列に接続された第11スイッチ、第6キャパシタおよび第12スイッチと、第9スイッチおよび第5キャパシタの接続ノードと、基準電圧ノードとの間に接続された第13スイッチと、第11スイッチおよび第6キャパシタの接続ノードと、基準電圧ノードとの間に接続された第14スイッチと、第5キャパシタと第10スイッチの接続ノードと、基準電圧ノードとの間に接続された第15スイッチと、第6キャパシタと第12スイッチの接続ノードと、基準電圧ノードとの間に接続された第16スイッチと、を含んでもよい。内部サンプリング回路の第5出力ノードおよび第6出力ノードの一方は、積分アンプの第3入力ノードと接続され、内部サンプリング回路の第5出力ノードおよび第6出力ノードの他方は、積分アンプの第4入力ノードと接続されてもよい。
【0033】
この構成により、積分アンプは、内部信号と入力信号を重み付け加算した値を積分することができる。
【0034】
一実施形態において、ΔΣ変調器の次数は3であってもよい。一実施形態において、ΔΣ変調器の次数は2であってもよい。一実施形態において、ΔΣ変調器の次数は4であってもよい。
【0035】
一実施形態においてΔΣ変調器は、ひとつの半導体基板に集積化されてもよい。「一体集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが半導体基板の外部に設けられていてもよい。回路を1つのチップ上に集積化することにより、回路面積を削減することができるとともに、回路素子の特性を均一に保つことができる。
【0036】
一実施形態において、ΔΣ型A/Dコンバータは、上述のいずれかのΔΣ変調器と、ΔΣ変調器の出力信号を帯域制限し、ダウンサンプリングするフィルタと、を備えてもよい。
【0037】
(実施形態)
図4は、実施形態に係るΔΣ変調器100のブロック図である。ΔΣ変調器100は、差動入力信号VINをΔΣ変調してデジタル出力信号SOUTに変換する。差動入力信号VINは、相補的な正極信号Vipおよび負極信号Vinを含む。ΔΣ変調器100は、ひとつの半導体基板に集積化される。
【0038】
ΔΣ変調器100は、減算回路12、ループフィルタ14、量子化器16、D/Aコンバータ18および入力サンプリング回路110を備える。ΔΣ変調器100は時間離散型であり、入力サンプリング回路110は、スイッチドキャパシタ回路で構成され、差動入力信号VINをサンプリングする。
【0039】
D/Aコンバータ18は、ΔΣ変調器100の出力信号、すなわち量子化器16の出力信号SOUTをアナログのフィードバック信号VFBに変換する。減算回路12は、入力サンプリング回路110がサンプリングした入力信号VINと、フィードバック信号VFBの誤差を生成する。
【0040】
ループフィルタ14は、積分回路を含んでおり、減算回路12が生成する誤差信号をフィルタリングし、ノイズシェーピングする。ループフィルタ14の次数は特に限定されない。またループフィルタ14の構成も限定されず、フィードフォワード型であってもよいし、フィードバック型であってもよい。フィードフォワード型の場合、入力サンプリング回路110がサンプリングした入力信号VINは、ループフィルタ14に対してフィードフォワードされる。
【0041】
量子化器16は、ループフィルタ14が生成するノイズシェーピング後の信号を量子化する。量子化器16のビット数nは、1ビットであってもよいし、2ビット以上(マルチビット)であってもよい。
【0042】
図5は、実施形態に係る入力サンプリング回路110の回路図である。入力サンプリング回路110は、完全差動型であり、差動入力を形成する第1入力ノードIN1および第2入力ノードIN2と、差動出力を形成する第1出力ノードOUT1および第2出力ノードOUT2と、基準電圧ノードREFを有する。第1入力ノードIN1、第2入力ノードIN2には、差動入力信号Vip,Vinが入力される。基準電圧ノードREFには基準電圧Vrが供給される。基準電圧Vrは、たとえばΔΣ変調器100の電源電圧の1/2が選ばれる。
【0043】
入力サンプリング回路110は、複数のスイッチSW1~SW8、第1キャパシタC1、第2キャパシタC2を備える。第1スイッチSW1、第1キャパシタC1および第2スイッチSW2は、第1入力ノードIN1と第1出力ノードOUT1の間に直列に接続される。第3スイッチSW3、第2キャパシタC2および第4スイッチSW4は、第2入力ノードIN2と第2出力ノードOUT2の間に直列に接続される。第1キャパシタC1および第2キャパシタC2の容量は等しくCsであるとする。
【0044】
第5スイッチSW5は、第3スイッチSW3および第2キャパシタC2の接続ノードと、第1入力ノードIN1との間に接続される。第6スイッチSW6は、第1スイッチSW1および第1キャパシタC1の接続ノードと、第2入力ノードIN2との間に接続される。つまり、第5スイッチSW5および第6スイッチSW6によって、たすき掛けの構成が提供される。
【0045】
第7スイッチSW7は、第1キャパシタC1と第2スイッチSW2の接続ノードと、基準電圧ノードREFとの間に接続される。第8スイッチSW8は、第2キャパシタC2と第4スイッチSW4の接続ノードと、基準電圧ノードREFとの間に接続される。
【0046】
以上がΔΣ変調器100および入力サンプリング回路110の構成である。続いて入力サンプリング回路110の動作を説明する。
【0047】
入力サンプリング回路110は、第1状態φ1と第2状態φ2を交互に繰り返す。第1状態φ1では、第1スイッチSW1、第3スイッチSW3、第7スイッチSW7、第8スイッチSW8がオンとなる。
【0048】
第1状態φ1において、第1キャパシタに蓄えられる電荷Qp、第2キャパシタに蓄えられる電荷Qnはそれぞれ、
Qp=Cs×(Vip-Vr)
Qn=Cs×(Vin-Vr)
である。
【0049】
第2状態φ2において、第1出力ノードOUT1に発生する電圧Von、第2出力ノードOUT2に発生する電圧Vpはそれぞれ、式(1)、(2)で表される。
Von=Vin-Qp/Cs=Vin-(Vip-Vr)
=Vin-Vip+Vr …(1)
Vop=Vip-Qn/Cs=Vip-(Vin-Vr)
=Vip-Vin+Vr …(2)
【0050】
図6は、図5の入力サンプリング回路110のレベルダイアグラムである。差動入力Inputのコモン電圧Vic(=(Vip+Vin)/2)が、入力サンプリング回路110の基準電圧Vrからずれている場合を示している。差動入力信号の信号成分(入力電圧振幅)Vp-Vnを、Vsigと表記する。
【0051】
式(1)より、第2出力ノードOUT2の電圧Vop、第1出力ノードOUT1の電圧Vonはそれぞれ、
Vop=-Vsig+Vr …(3)
Von=+Vsig+Vr …(4)
となる。差動出力信号Vop,Vonのコモン電圧Vocは、
Voc=(Vop+Von)/2=Vr
となる。つまりコモン電圧Vocは、入力サンプリング回路110の基準電圧Vrと一致しており、差動入力信号のコモン電圧Vicに依存しない。つまり図5の構成によれば、差動入力信号Vip,Vinのコモン電圧Vicに依存しない差動出力信号Vop,Vonを生成できる。
【0052】
入力サンプリング回路110の利点は、比較技術に係る入力サンプリング回路との対比によって明確となる。そこで比較技術について説明する。
【0053】
図7は、比較技術に係る入力サンプリング回路110Rの回路図である。入力サンプリング回路110Rは、図5の入力サンプリング回路110と同様に、複数のスイッチSW1~SW8、キャパシタC1,C2を備える。図5との違いは、第5スイッチSW5、第6スイッチSW6の接続態様であり、第5スイッチSW5および第6スイッチSW6それぞれの一端は、基準電圧ノードREFに共通に接続されている。
【0054】
入力サンプリング回路110Rの動作を説明する。入力サンプリング回路110Rは、第1状態φ1と第2状態φ2を交互に繰り返す。第1状態φ1では、第1スイッチSW1、第3スイッチSW3、第7スイッチSW7、第8スイッチSW8がオンとなる。
【0055】
第1状態φ1において、第1キャパシタに蓄えられる電荷Qp、第2キャパシタに蓄えられる電荷Qnはそれぞれ、
Qp=Cs×(Vip-Vr)
Qn=Cs×(Vin-Vr)
であり、実施形態に係る入力サンプリング回路110と同じである。
【0056】
第2状態φ2において、第1出力ノードOUT1に発生する電圧Von、第2出力ノードOUT2に発生する電圧Vpはそれぞれ、式(5)、(6)で表される。
Von=Vr-Qp/Cs=Vr-(Vip-Vr)
=2Vr-Vip …(5)
Vop=Vr-Qn/Cs=Vr-(Vin-Vr)
=2Vr-Vin …(6)
【0057】
図8は、図7の入力サンプリング回路110Rのレベルダイアグラムである。差動入力Inputのコモン電圧Vic(=(Vip+Vin)/2)が、入力サンプリング回路110の基準電圧Vrからずれている場合を示している。
【0058】
式(5)および(6)より、差動出力Vop,Vonのコモン電圧Voc’は、
Voc’=(Vop+Von)/2=2Vr-Vic
となる。すなわち比較技術に係る入力サンプリング回路110Rでは、コモン電圧Voc’は、の基準電圧Vrと一致しておらず、差動入力信号のコモン電圧Vicに依存している。
【0059】
入力サンプリング回路110(110R)の後段には、オペアンプが配置される場合がある。図9は、オペアンプのゲイン特性を示す図である。オペアンプは、基準電圧Vrを中心とする線形範囲において一定のゲインが得られ、基準電圧Vrから離れるとゲインが低下する。また、オペアンプの入力コモン電圧が同一で無い場合は、ゲインが一定では無くなるため、線形性を十分確保できなくなる。
【0060】
比較技術では、入力サンプリング回路110Rの出力信号、言い換えるとオペアンプの入力信号は、Vrからずれた範囲で変化する。したがって、オペアンプを線形性が高い線形範囲内で動作させることが難しい。
【0061】
これに対して実施形態に係る入力サンプリング回路110の出力信号、言い換えるとオペアンプの入力信号は、Vrを中心として変化する。したがってオペアンプの線形性が高い線形範囲内で動作させることができる。これにより、ΔΣ変調器100の特性を改善することができる。
【0062】
図5の入力サンプリング回路110と図7の入力サンプリング回路110Rのノイズを比較する。入力ノードIN1,IN2に入力されるノイズ量をvnp,vnnとする。図7の入力サンプリング回路110Rでは、ノイズ量は、式(7)で表される。
【数1】
【0063】
これに対して、図5の入力サンプリング回路110では、同じノイズvnp,vnnが入力されたときのノイズ量は、式(8)で表される。
【数2】
ただし、vnhp,vnhnは、ホールド時の入力のノイズ量を表す。
【0064】
つまり、実施形態によれば、サンプリング時とホールド時のノイズを取り込んで平均化するため、ノイズ量を減らすことができる。
【0065】
図10は、図4のΔΣ変調器100の一部を示す回路図である。図10には、入力サンプリング回路110と、ループフィルタ14の一部が示されている。ループフィルタ14は、積分アンプ120を含む。
【0066】
積分アンプ120は、入力サンプリング回路110とともにクロール型の積分回路INTを構成する。差動入力を形成する第3入力ノードIN3および第4入力ノードIN4、差動出力を形成する第3出力ノードOUT3および第4出力ノードOUT4を有する。
【0067】
積分アンプ120は、第3キャパシタC3、第4キャパシタC4およびオペアンプOA1を含む。第3キャパシタC3は、第3入力ノードIN3と第3出力ノードOUT3の間に接続される。第4キャパシタC4は、第4入力ノードIN4と第4出力ノードOUT4の間に接続される。オペアンプOA1は完全差動型であり、第1入力(-)が第3入力ノードIN3と接続され、第2入力(+)が第4入力ノードIN4と接続され、第1出力(+)が第3出力ノードOUT3と接続され、第2出力(-)が第4出力ノードOUT4と接続される。
【0068】
第3キャパシタC3および第4キャパシタC4の容量を等しくCiであるとする。このとき、積分回路INTの時定数は、T×Ci/(2×Cs)となる。Tは、スイッチトキャパシタ回路である入力サンプリング回路110のスイッチング周期である。
【0069】
なお、前段に比較技術に係る入力サンプリング回路110Rを採用した場合のクロール型のスイッチトキャパシタ積分回路の時定数は、T×Ci/Csである。したがって、上記構成によれば、一般的なクロール型の積分回路に比べて、同じ時定数を得るためのキャパシタCsの容量を1/2に減らすことができ、チップサイズを小さくできる。
【0070】
図10の例では、積分回路INTは、加減算器ADDの機能を含んでいる。中間サンプリング回路130は、ΔΣ変調器100内の、入力信号以外の内部信号をサンプリングする。この例では、内部信号はフィードバック信号VFBである。中間サンプリング回路130は、実施形態に係る入力サンプリング回路110と同じ構成であってもよいし、比較技術に係る入力サンプリング回路110Rと同じ構成であってもよい。
【0071】
入力サンプリング回路110、中間サンプリング回路130および積分アンプ120は、加算型の積分回路を形成している。ここで、中間サンプリング回路130の出力は、入力サンプリング回路110の出力とは反対の極性で積分アンプ120と接続されているため、中間サンプリング回路130の出力は、入力サンプリング回路110の出力に対して逆極性で加算される。
【0072】
なお、中間サンプリング回路130の入力であるフィードバック信号VFBはD/Aコンバータ18によって生成される差動信号であり、そのコモン電圧は、基準電圧Vrと一致させることができる。したがって中間サンプリング回路130は、比較技術に係る入力サンプリング回路110Rで構成することができる。あるいは中間サンプリング回路130を実施形態に係る入力サンプリング回路110と同じ構成としてもよい。
【0073】
図11は、実施形態に係るΔΣ変調器100Aの回路図である。ΔΣ変調器100Aは三次のΔΣ変調器であり、図3のΔΣ変調器10Aと実質的に同じ構成を有する。
【0074】
差動入力信号VINを受けるパスb,b,b,bそれぞれには、入力サンプリング回路110が組み込まれる。その他の中間信号が伝送するパスc,c,c,a,a,gには、中間サンプリング回路130が組み込まれる。
【0075】
図12は、実施形態に係るΔΣ変調器100Bの回路図である。ΔΣ変調器100Bは二次のΔΣ変調器であり、2個の積分回路INT1,INT2を含む。差動入力信号VINを受けるパスb,b,bそれぞれには、入力サンプリング回路110が組み込まれる。その他の中間信号が伝送するパスc,c,a,a,gには、中間サンプリング回路130が組み込まれる。
【0076】
図13は、実施形態に係るΔΣ変調器100Cの回路図である。ΔΣ変調器100Cは4次のΔΣ変調器であり、4個の積分回路INT1~INT4を含む。差動入力信号VINを受けるパスb~bそれぞれには、入力サンプリング回路110が組み込まれる。その他の中間信号が伝送するパスc~c,a~a,g,gには、中間サンプリング回路130が組み込まれる。
【0077】
図14は、図11図13のΔΣ変調器100A~100Cの構成要素150を示す回路図である。構成要素150は、入力サンプリング回路110、m個の中間サンプリング回路130、加減算器ADD、積分アンプ120を含む。
【0078】
構成要素150は、図11図13それぞれにおける、積分器INT(j=1,2…))加減算器ADD、パスa,b,c,gに含まれるサンプリング回路に対応する回路ブロックである。
【0079】
入力サンプリング回路110は、図11図13のパスbに配置される。中間サンプリング回路130_1は、図11図13のパスcに配置される。中間サンプリング回路130_2~130_mは、パスc以外のパスであって、加減算器ADDに入力されるパスa,gに配置される。
【0080】
中間サンプリング回路130は、第5入力ノードIN5、第6入力ノードIN6、第5出力ノードOUT5、第6出力ノードOUT6、第9スイッチSW9~第16スイッチSW16、第5キャパシタC5、第6キャパシタC6を含む。中間サンプリング回路130の構成は、図7の入力サンプリング回路110Rと同様である。なお中間サンプリング回路130_1~130_mのうちのひとつ、複数、あるいは全部を、入力サンプリング回路110と同じ構成としてもよい。
【0081】
(用途)
実施形態に係るΔΣ変調器100は、図1のΔΣ型A/Dコンバータのアナログ部に採用することができる。ただしΔΣ変調器100の用途は、A/Dコンバータに限定されず、その他のさまざまな用途に利用できる。
【0082】
実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにさまざまな変形例が存在すること、またそうした変形例も本開示または本発明の範囲に含まれることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0083】
100 ΔΣ変調器
12 減算回路
14 ループフィルタ
16 量子化器
18 D/Aコンバータ
110 入力サンプリング回路
IN1 第1入力ノード
IN2 第2入力ノード
OUT1 第1出力ノード
OUT2 第2出力ノード
REF 基準電圧ノード
C1 第1キャパシタ
C2 第2キャパシタ
SW1 第1スイッチ
SW2 第2スイッチ
SW3 第3スイッチ
SW4 第4スイッチ
SW5 第5スイッチ
SW6 第6スイッチ
SW7 第7スイッチ
SW8 第8スイッチ
120 積分アンプ
IN3 第3入力ノード
IN4 第4入力ノード
OUT3 第3出力ノード
OUT4 第4出力ノード
C3 第3キャパシタ
C4 第4キャパシタ
OA1 オペアンプ
130 中間サンプリング回路
IN5 第5入力ノード
IN6 第6入力ノード
OUT5 第5出力ノード
OUT6 第6出力ノード
SW9 第9スイッチ
SW10 第10スイッチ
SW11 第11スイッチ
SW12 第12スイッチ
C5 第5キャパシタ
C6 第6キャパシタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14