(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120949
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】ステアリングサポート
(51)【国際特許分類】
B62D 25/08 20060101AFI20230823BHJP
【FI】
B62D25/08 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024110
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 優太
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB54
3D203CA52
3D203DA13
(57)【要約】
【課題】ステアリングサポートの剛性および操舵感を向上させる技術を提案する。
【解決手段】車両に搭載され、車両のステアリングを支持するステアリングサポートは、本体部と、補強部材と、を備える。本体部は、板材により形成されており、内部空間を有する。補強部材は、内部空間に配置される。本体部は、内部空間に向かって窪んだ窪み部を有する。補強部材は、窪み部を補強する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、前記車両のステアリングを支持するステアリングサポートであって、
板材により形成されており、内部空間を有する本体部と、
前記内部空間に配置される補強部材と、を備え、
前記本体部は、前記内部空間に向かって窪んだ窪み部を有し、
前記補強部材は、前記窪み部を補強する、ステアリングサポート。
【請求項2】
請求項1に記載のステアリングサポートであって、
前記補強部材は、一端が前記窪み部に当接し、他端が前記本体部における前記窪み部から間隔を空けた位置に当接する、ステアリングサポート。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のステアリングサポートであって、
前記窪み部は、前記内部空間に向かう谷状に折り曲げられた部分である、ステアリングサポート。
【請求項4】
請求項3に記載のステアリングサポートであって、
前記窪み部における前記補強部材により補強される部分は、前記窪み部に沿って長さを有する、ステアリングサポート。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のステアリングサポートであって、
前記本体部は、第1部材と、第2部材と、を含み、前記第1部材と前記第2部材の間に前記内部空間が形成されており、
前記補強部材は、前記第1部材および前記第2部材に対して当接する、ステアリングサポート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両のステアリングを支持するように構成されたステアリングサポートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されたインパネリインホースメントにおける運転席側部分は、ステアリングサポートとして構成される。この運転席側部分の本体部は、車幅方向に延在する板状の部材である上本体部および下本体部を上下から組み合わせた、いわゆる「モナカ構造」となっている。運転席側部分は、ステアリングを上方から支持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、車両内装の意匠自由度の向上や車両内に配置する電子部品の増加などの理由により、モナカ構造部分の形状に制限が生じる場合がある。モナカ構造部分の形状によってはステアリングサポートの剛性が十分に高く維持できず、その結果、ステアリング支持剛性が低下したり、操舵感が悪化したりするおそれがある。
【0005】
本開示の目的は、ステアリングサポートの剛性および操舵感を向上させる技術を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、車両に搭載され、車両のステアリングを支持するステアリングサポートであって、本体部と、補強部材と、を備える。本体部は、板材により形成されており、内部空間を有する。補強部材は、内部空間に配置される。本体部は、内部空間に向かって窪んだ窪み部を有する。補強部材は、窪み部を補強する。
【0007】
このような構成であれば、補強部材によって、ステアリングサポートの内部空間を有する本体部のうち剛性低下の原因となりやすい窪み部の変形を抑制できる。よって、補強部材による高い補強効果を得ることができ、ステアリングサポートの剛性を向上させることができる。また、ステアリングサポートの剛性の向上に伴って操舵感を向上させることができる。
【0008】
上述したステアリングサポートにおいて、補強部材は、一端が窪み部に当接し、他端が本体部における窪み部から間隔を空けた位置に当接してもよい。
このような構成であれば、荷重が加えられたときに内部空間に向かう変形を生じやすい窪み部に対して、補強部材により内部空間に向かう変形を抑制できる。よって、補強部材による高い補強効果を得ることができる。
【0009】
上述したステアリングサポートにおいて、窪み部は、内部空間に向かう谷状に折り曲げられた部分であってもよい。
このような構成であれば、補強部材によって谷状に折り曲げられた部分の変形を抑制でき、ステアリングサポートの剛性を向上することができる。
【0010】
なお、窪み部が上記の構成を有する場合には、窪み部における補強部材により補強される部分は、窪み部に沿って長さを有してもよい。
このような構成であれば、窪み部である谷状に折り曲げられた部分、すなわち長さを有する部分を広く補強することができ、補強部材による高い補強効果を得ることができる。
【0011】
上述したステアリングサポートにおいて、本体部は、第1部材と、第2部材と、を含み、第1部材と第2部材の間に内部空間が形成されていてもよい。補強部材は、第1部材および第2部材に対して当接してもよい。
このような構成であれば、補強部材によって、第1部材と第2部材とが接近する方向に変形してしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】ステアリングサポートの上部を示す図である。
【
図3】ステアリングサポートの下部を示す図である。
【
図4】ステアリングサポートの後部を示す図である。
【
図5】ステアリングサポートの前部を示す図である。
【
図6】ステアリングサポートの左側部の一部を示す図である。
【
図7】ステアリングサポートの右側部の一部を示す図である。
【
図9】
図9A,Bは、窪み部の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本開示の実施形態を図面と共に説明する。
[1.実施形態]
[1-1.全体構成]
図1~8に示すステアリングサポート1は、車両に搭載され、ステアリング3を支持するための装置である。ステアリングサポート1は、例えば鋼板から形成される。ステアリングサポート1は、車幅方向(換言すれば、車両における左右方向)に長さを有する部材である。車両における前、後、右、左を、単に前、後、右、左と記載する。
【0014】
本実施形態のステアリングサポート1は、運転席が左側に設けられた車両用であり、運転席の前方に配置される。ステアリングサポート1の右側には、パイプ状の部材であるステアリングメンバ5が設けられる。
【0015】
ステアリングサポート1の左端は、ブラケット101を介して運転席側ピラー102に固定される。なお、運転席側ピラー102とは、運転席側のドア付近に設けられる車両のボディを構成する部材である。また、ステアリングサポート1の右端は、ステアリングメンバ5の左端に固定される。
【0016】
ステアリングメンバ5は、左右方向に直線状に延びた状態で車両の助手席の前方に配置される。ステアリングメンバ5の右端は、ブラケット103を介して車両のボディ(一例として、図示しない助手席側ピラー)に固定される。また、ステアリングメンバ5の左端は、ステアリングサポート1に固定される。本実施形態では、ステアリングメンバ5は1の右端部分に固定されるが、この構成に限定されず、例えば、ステアリングサポート1における左右方向の中央部分や、左側の部分に固定されてもよい。
ステアリングサポート1は、本体部11と、突出部13と、補強部材71,73,75,77と、を備える。
【0017】
[1-2.本体部]
本体部11は、板材により形成されており、中空の構造である。本体部11の中空部分を内部空間15とする。ここでいう板材とは、広がりに対して厚みの小さい材料である。本体部11は、左右方向の長さが前後方向の長さよりも大きく、また、前後方向の長さが上下方向の長さよりも大きい。つまり、上下方向の厚さが小さい略扁平形状である。なお前後方向の長さは、左右方向の中央ほど大きく、左右両端に向かって徐々に小さくなる。
【0018】
本体部11は、上本体部31と下本体部41とを備える。上本体部31および下本体部41は、例えば鋼板をプレス成形して形成したものである。なお、上本体部31が第1部材に相当し、下本体部41が第2部材に相当する。
【0019】
上本体部31は、前後の端部と比較して前後の中央が上側に突出した形状であり、言い換えると、上方向に凹んだ形状である。上本体部31の外周縁部には、複数箇所に上側フランジ部33が形成されている。下本体部41は、前後の端部と比較して前後の中央が下側に突出した形状であり、言い換えると、下方向に凹んだ形状である。下本体部41の外周部には、複数箇所に下側フランジ部43が形成されている。
【0020】
上本体部31は、ステアリングサポート1が車両に取り付けられた状態においては、下本体部41の上方に位置する。上本体部31を下本体部41の上方に配置すると、上側フランジ部33の下側面と下側フランジ部43の上側面とが当接する。上本体部31および下本体部41は、上側フランジ部33と下側フランジ部43とを溶接等により接合することで接合される。内部空間15は、上本体部31と下本体部41との間に形成される。内部空間15は、本体部11の右端から左端にわたって延びる。
【0021】
本体部11の左端には、略円筒状の左端部51が形成される。また、本体部11の右端には、略円筒状の右端部53が形成される。また左端部51および右端部53は、それぞれ、内部空間15に連通する開口を形成する。左端部51および右端部53は、上本体部31と下本体部41の組み合わせにより構成される。
【0022】
上本体部31は、
図4,
図5,
図8などに示されるように、左右方向に関して、左端部51の近傍および右端部53の近傍が最も高い位置にあり、中央部分ほど高さが低くなっている。つまり上本体部31は、左右方向に関しては中央部が低くなるように反った形状である。
【0023】
また下本体部41は、左右方向に関しては、左端部51の近傍および右端部53の近傍が最も高い位置にあり、中央部分に向かって高さが低くなっている。ただし、左右方向の中央部分に関しては、上側に突出した形状である。以下の説明において、中央の高くなった部分を下側中央部45とする。また、下側中央部45と左端部51の間の窪んだ部分を下側左部47とし、下側中央部45と右端部53の間の窪んだ部分を下側右部49とする。
【0024】
上記のように反った形状である上本体部31には、
図1,
図2などに示されるように、略前後方向に延びる3つの窪み部61,63,65が設けられている。
窪み部61は、本体部11における左右の中央よりも左側に位置している。窪み部61は、窪み部61の左の領域61aおよび右の領域61bを、窪み部61が内部空間15に向かうように屈曲して連接する。つまり、窪み部61は、領域61aと領域61bの間において谷状に折り曲げられ、内部空間15の側に向かって窪んだ部分である。窪み部61は、2つの平面(左の領域61aおよび右の領域61b)の角度が変化する部分とも言える。
【0025】
窪み部63は、本体部11における左右の中央よりも左側であって、窪み部61よりも中央寄りに位置している。窪み部63は、窪み部63の左の領域63aおよび右の領域63bを、窪み部63が内部空間15に向かうように屈曲して連接する。つまり、窪み部63は、領域63aと領域63bの間において谷状に折り曲げられ、内部空間15の側に向かって窪んだ部分である。
【0026】
窪み部65は、本体部11における左右の中央よりも右側であって、後述するフロアブレース121が連結する位置の近傍に位置している。窪み部65は、窪み部65の左の領域65aおよび右の領域65bを、窪み部65が内部空間15に向かうように屈曲して連接する。つまり、窪み部65は、領域65aと領域65bの間において谷状に折り曲げられ、内部空間15の側に向かって窪んだ部分である。
【0027】
また、
図5などに示されるように、本体部11の前方側であって左右の中央よりも右側には、略上下に延びる窪み部67が設けられている。窪み部67は、上本体部31と下本体部41の両方に亘って延びる。窪み部67は、窪み部67の左の領域67aおよび右の領域67bを、窪み部67が谷となるように接続する。つまり、窪み部67は、領域67aと領域67bの間において谷状に折り曲げられ、内部空間15の側に向かって窪んだ部分である。
なお、窪み部61,63,65,67を特に区別せず指すときには、単に窪み部と記載する。
【0028】
[1-3.補強部材]
内部空間15には、
図1および
図8に示されるように、複数の補強部材71,73,75,77が配置されている。これらの補強部材を特に区別せず指すときには、単に補強部材と記載する。補強部材は、上述した窪み部を補強する。
【0029】
補強部材71は、略上下および略前後に広がる板状の部材である。補強部材71の上端は、上本体部31における窪み部61に当接している。窪み部61は前後に長さを有しているが、補強部材71の上端の当接部分は、窪み部61に沿っている。すなわち、窪み部61における補強部材71により補強される部分は、窪み部61に沿って長さを有する。
【0030】
補強部材73は、略上下および略前後に広がる板状の部材である。補強部材73の上端は、補強部材71と同様に、前後に長さを有する窪み部63に沿って当接している。すなわち、窪み部63における補強部材73により補強される部分は、窪み部63に沿って長さを有する。
【0031】
補強部材75は、略上下および略前後に広がる板状の部材である。補強部材75の上端は、補強部材71と同様に、前後に長さを有する窪み部65に沿って当接している。すなわち、窪み部65における補強部材75により補強される部分は、窪み部65に沿って長さを有する。
【0032】
補強部材71,73,75の上端は、上本体部31に対して溶接等により接合されている。また補強部材71,73,75の下端は、それぞれ、下本体部41の下側左部47、下側中央部45、下側右部49に当接し、溶接等により接合されている。
【0033】
補強部材77は、略上下および略前後に広がる板状の部材である。補強部材77の前端は、上下に長さを有する窪み部67に沿って当接している。すなわち、窪み部67における補強部材77により補強される部分は、窪み部67に沿って長さを有する。
補強部材71,73,75,77は、それぞれ、内部空間15を左右に区画するように、内部空間15の内部において前後および上下に広がっている。
【0034】
[1-4.突出部]
突出部13は、本体部11の左右中央から、前方かつ上方に突出する部分である。突出した先端は、図示しない車両のボディ等に固定される。
【0035】
突出部13は、上本体部31と一体に形成される部分である上側突部81と、下本体部41と一体に形成される部分である下側突部83と、を有しており、それらが組み合わされて柱状になる。上側突部81および下側突部83は、それぞれ縁部にフランジ部85,87を有している。上側突部81と下側突部83とを組み合わせたときに、フランジ部85とフランジ部87は当接する。またフランジ部85とフランジ部87は溶接等により接合され、それにより上側突部81と下側突部83とが固定される。
【0036】
[1-5.ステアリングの支持機構]
ステアリング3は、
図2,6,7などに示されるように、ハンドル111、ステアリングシャフト113、ステアリングコラム115等を有する。ステアリングシャフト113は、運転者のハンドル111に対する回転操作を、図示しないステアリング機構に伝達する。ステアリングコラム115は、ステアリングシャフト113の外周面を囲む筒状の部分を有している。ステアリングサポート1は、ステアリングコラム115を上側から支持することにより、ステアリング3の支持を実現する。
【0037】
ステアリングコラム115は、ステアリングコラム115における前後に間隔を開けた複数の位置において、ステアリングサポート1に固定される。ステアリングコラム115には、左右方向に広がる第1取付部117が、左右の2箇所に形成されている。本体部11における後方側の位置には、
図3,4に示されるように、上本体部31および下本体部41を貫通する左右一対の貫通孔91が形成され、その貫通孔91にボルト93が挿入される。貫通孔91の形成される位置は、下本体部41においては、下側左部47および下側右部49のうちの下側中央部45近傍となる位置である。ボルト93のネジ部は下方に突出しており、第1取付部117に形成されたボルト穴に挿入され、ボルト93と第1取付部117が本体部11を挟んで締結される。
【0038】
また、ステアリングコラム115の第1取付部117よりも前方側には、上下方向に広がる第2取付部119が、左右の2箇所に形成されている。第2取付部119には貫通孔が形成されており、ボルト95のネジ部が挿入可能である。突出部13の下側突部83にはボルト穴が形成されており、第2取付部119の貫通孔にボルト95を通して第2取付部119を挟んで締結することで、第2取付部119が突出部13に固定される。このようにして、ステアリングコラム115は本体部11に固定される。
【0039】
[1-6.ステアリングサポートの固定]
ステアリングサポート1における本体部11の右端部53は、
図1-
図5に示されるように、ステアリングメンバ5の左端に締結される。すなわち、右端部53の開口には、ステアリングメンバ5の左端が挿入される。そして、右端部53における開口を囲む縁部は、例えば溶接等により、その全周にわたってステアリングメンバ5の左端に接合される。
【0040】
また、本体部11の左端部51は、
図1-
図3に示されるように、ブラケット101を介して運転席側ピラー102に締結される。すなわち、左端部51は、ブラケット101に形成された開口部に挿入され、左端部51の開口を囲む縁部は、例えば溶接等により、その全周にわたってブラケット101の開口部に接合される。そして、ブラケット101は、当該ブラケット101の前側の部分を挿通する少なくとも1つのボルトにより、運転席側ピラー102に接合される。
【0041】
また、下本体部41における右端部53の付近には、フロアブレース121の上端部がボルトによって固定される。フロアブレース121とは、車両のボディにおけるステアリングサポート1の下側に位置する部分から上側に突出するように設けられた細長い部材である。
【0042】
また、上述したように、突出部13の突出した先端は、車両のボディに固定される。固定の方法は特に限定されないが、ボルト,ナット等を用いて固定してもよいし、溶接により固定してもよい。
【0043】
[1-7.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)ステアリングサポート1では、補強部材によって、窪み部の変形を抑制できる。内部空間15に向かって窪む窪み部は、他の部位に比較して、ステアリングサポート1が荷重を受けたときに内部空間15の側に変形してしまいやすい。しかしながら、補強部材により補強することで、ステアリングサポート1の剛性を向上させることができる。また、ステアリングサポート1の剛性が向上することに伴い、ステアリング3の操舵感も向上させることができる。
【0044】
なお、上本体部31のように、左右方向の中央部分が下側に反った形状では、上本体部31に窪み部が形成される場合が多い。このように、本体部の形状を綺麗なモナカ構造から歪な形状に変更することで窪み部が生じるが、本開示の補強部材によって、このような場合に本体部の剛性低下を抑制できる。
【0045】
(1b)各補強部材は、一端が窪み部に当接しており、他端が本体部11における窪み部から間隔を空けた位置に配置されているため、窪み部を変形させようとする応力を本体部11の他の部位に分散させることができる。
【0046】
(1c)ステアリングサポート1において、補強部材により補強される窪み部は、内部空間15に向かう谷状に折り曲げられた部分である。このような形状の窪み部は荷重が掛かると変形しやすい場合があるが、補強部材は谷状の部分を内部空間15の側から支持するため、窪み部の変形を良好に抑制できる。また、補強部材は、長さを有する谷状の部分に沿って配置されているため、より良好に窪み部の変形を抑制できる。
【0047】
(1d)補強部材は、上本体部31と下本体部41の間に配置され、上本体部31と下本体部41の両方に対して溶接等により接合されているため、上本体部31と下本体部41が接近または離隔するような本体部11の変形を良好に抑制できる。
【0048】
[2.その他の実施形態]
以上本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0049】
(2a)上記実施形態では、上本体部31と下本体部41とによって形成されたモナカ構造の本体部11を例示した。しかしながら本体部の構成はこれに限定されない。例えば、本体部は前後に分割された部材を組み合わせることで形成されてもよい。また例えば、本体部は3つ以上の部材を組み合わせて形成されてもよいし、1つの部材により構成されていてもよい。
【0050】
(2b)上記実施形態では、窪み部は、内部空間15に向かう谷状に折り曲げられた部分である構成を例示した。しかしながら、
図9Aに示すように、本体部201に設けられた滑らかな曲面状の窪み部203を補強部材205にて補強する構成であってもよい。また、
図9Bに示すように、本体部211に設けられた、底面を有する溝型の窪み部213を補強部材215にて補強する構成であってもよい。
【0051】
(2c)上記実施形態では、補強部材は窪み部と重なる位置で上本体部31と当接する構成を例示した。しかしながら、窪み部が内部空間15に向かって変形することを抑制する効果が得られる限りにおいて、窪み部から僅かにずれた位置で本体部11と当接していてもよい。
【0052】
また補強部材は、窪み部に沿って当接していなくてもよい。例えば、補強部材が上下に延びる柱状である場合には、窪み部の一部と重なるように本体部と当接していてもよい。また、例えば補強部材が左右に長さを有する板状の部材であって、前後に長さを有する窪み部と当接部分とは交差する構成であってもよい。
【0053】
(2d)上記実施形態では、補強部材として板状の部材を例示した。しかしながら、補強部材は板状の部材に限らず、柱状、ブロック状など、様々な形状の部材を補強部材として採用することができる。また、1つの窪み部を補強する補強部材が、間隔を開けて配置される複数の板状の部材により構成されていてもよい。また、
図10に示される補強部材221のように、上本体部31当接する箇所においてフランジ状の当接部223を有していてもよい。
【0054】
(2e)上記実施形態では、補強部材は、上本体部31の窪み部のみでなく、窪み部から間隔を空けた位置(具体的には下本体部41)と当接し、上本体部31と下本体部41の両方に対して溶接等により接合する構成を例示した。しかしながら、補強部材は、上本体部31および下本体部41のうちのいずれか一方のみと溶接等により接合されていてもよい。また補強部材は、本体部と当接する位置において本体部に溶接等により接合されていなくてもよい。その場合には、別の部材によって、補強部材の内部空間15における位置が固定されていてもよい。
【0055】
(2f)補強部材によって補強される窪み部の設けられる位置や数は特に限定されない。また窪み部は、下本体部41にのみ設けられていて、補強部材がその窪み部を補強するように構成されていてもよい。また窪み部は上本体部31と下本体部41の両方に設けられていてもよい。また、1つの補強部材が、上本体部31の窪み部と下本体部41の窪み部とを同時に補強してもよい。
【0056】
(2g)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…ステアリングサポート、3…ステアリング、5…ステアリングメンバ、11,201,211…本体部、13…突出部、15…内部空間、31…上本体部、33…上側フランジ部、41…下本体部、43…下側フランジ部、45…下側中央部、47…下側左部、49…下側右部、51…左端部、53…右端部、61,63,65,67,203,213,233…窪み部、61a,61b,63a,63b,65a,65b,67a,67b…領域、71,73,75,77,205,215,221,231…補強部材、81…上側突部、83…下側突部、85,87…フランジ部、91…貫通孔、93,95…ボルト、101,103…ブラケット、102…運転席側ピラー、111…ハンドル、113…ステアリングシャフト、115…ステアリングコラム、117…第1取付部、119…第2取付部、121…フロアブレース、223…当接部