IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三甲株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社MonotaROの特許一覧

<>
  • 特開-車輪止め 図1
  • 特開-車輪止め 図2
  • 特開-車輪止め 図3
  • 特開-車輪止め 図4
  • 特開-車輪止め 図5
  • 特開-車輪止め 図6
  • 特開-車輪止め 図7
  • 特開-車輪止め 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120953
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】車輪止め
(51)【国際特許分類】
   B60T 3/00 20060101AFI20230823BHJP
【FI】
B60T3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024114
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500575695
【氏名又は名称】株式会社MonotaRO
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 充史
(72)【発明者】
【氏名】加藤 剛
(57)【要約】
【課題】車輪止めの取扱性を高めつつ、車輪止め同士を安定的に連結すること。
【解決手段】車輪止め本体(12)の一側部(16)の側板(28)に幅方向外側に、挿入孔(40h)を有した第1連結部材(40)が突出して形成され、車輪止め本体(12)の他側部(18)の側板(32)に幅方向外側に第2連結部材(42)が突出して形成され、第2連結部材(42)は、相手側の車輪止め(10)の挿入孔(40h)に挿入した状態で、その挿入孔(40h)の縁部に係止可能である。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の移動を防止する車輪止めであって、
地面に接地する底部、及び長さ方向の一端側から他端側に向かって高くなりかつ前記車両の車輪の外周面に接触する車輪接触部を有した車輪止め本体と、
前記車輪止め本体の一側部の側板に幅方向外側に突出して形成され、挿入孔を有した第1連結部材と、
前記車輪止め本体の他側部の側板に幅方向外側に突出して形成され、先端部が前記第1連結部材の前記挿入孔に対応する形状になっており、相手側の車輪止めの前記第1連結部材の前記挿入孔に挿入した状態で、その前記挿入孔の縁部に係止可能な第2連結部材と、を備え、
前記第2連結部材の先端部を相手側の車輪止めの前記第1連結部材の前記挿入孔に整合させた状態で挿入する挿入姿勢から、相手側の車輪止めに対する相対的な車輪止めの正方向の回動によって前記第2連結部材の先端部をその前記挿入孔の縁部に係止させて、車輪止め同士を揃えた状態で連結する連結姿勢に切り替わるように構成され、
車輪止め同士を揃えた状態から相手側の車輪止めに対する相対的な車輪止めの正方向の回動を規制するように、前記第2連結部材に相手側の車輪止めの前記第1連結部材の一部に正方向から当接するストッパ部が形成されていることを特徴とする車輪止め。
【請求項2】
前記第1連結部材は、前記車輪止め本体の一側部の外端面に対して幅方向外側に突出しており、前記第2連結部材は、前記車輪止め本体の他側部の外端面に対して幅方向外側に突出していることを特徴とする請求項1に記載の車輪止め。
【請求項3】
前記車輪止め本体の一側部は、その側板に形成された複数の第1側面リブを有し、前記車輪止め本体の他側部は、その側板に形成された複数の第2側面リブを有し、
前記車輪止め本体は、前記車輪接触部よりも長さ方向の他端側に前記車輪止め本体の一側部と他側部を連結するように形成された持ち手部を有し、
前記第1連結部材及び前記第2連結部材は、それぞれ、前記車輪接触部よりも長さ方向の他端側に位置しており、
車輪止め同士を揃えた状態から相手側の車輪止めに対する相対的な車輪止めの逆方向の回動を規制するように、前記第1側面リブ及び前記第2側面リブのうち少なくとも一方の側面リブの端面に、相手側の車輪止めの前記第1側面リブ及び前記第2側面リブのうちの他方の側面リブ間に逆方向から係止する係止突部が幅方向外側に突出して形成されていることを特徴とする請求項2に記載の車輪止め。
【請求項4】
前記車輪止め本体の一側部は、その側板に形成された複数の第1側面リブを有し、前記車輪止め本体の他側部は、その側板に形成された複数の第2側面リブを有し、
前記車輪止め本体は、前記車輪接触部よりも長さ方向の他端側に前記車輪止め本体の一側部と他側部を連結するように形成された持ち手部を有し、
前記第1連結部材及び前記第2連結部材は、それぞれ、前記車輪接触部よりも長さ方向の他端側に位置しており、
前記第1側面リブ及び前記第2側面リブのうち少なくとも一方の側面リブの端面に、車輪止め同士を揃えた状態において、相手側の車輪止めの前記第1側面リブ及び前記第2側面リブのうちの他方の側面リブの端面に圧接する圧接突部が幅方向外側に突出して形成されていることを特徴とする請求項2に記載の車輪止め。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車等の車両の移動を防止する車輪止めに関する。
【背景技術】
【0002】
車輪止めの先行技術として特許文献1に示すものがある。その先行技術に係る車輪止めは、例えば自動車のタイヤ等の車輪と地面との間に挿し込み可能であり、車輪止め本体(特許文献1では基体と称される)を備えている。車輪止め本体は、地面に設置する底部、及び車両の車輪の外周面に接触する車輪接触部(特許文献1では摩擦板と称される)を有している。
【0003】
車輪止め本体の両側部には、矩形状の連結孔(特許文献1では穿孔と称される)がそれぞれ形成されている。車輪止め本体の各連結孔は、四角柱状の連結部材(特許文献1では突杆と称される)の端部を圧入可能である。連結部材は、車輪止め同士を揃えた状態で連結するために用いられる。具体的には、連結部材の一端部を一方の車輪止めの連結孔に整合させた状態で圧入すると共に、連結部材の他端部を他方の車輪止めの連結孔に整合させた状態で圧入することにより、車輪止め同士を揃えた状態で連結することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭39-17734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、連結部材の端部を車輪止め本体の連結孔に圧入しているため、連結状態の複数の車輪止めを繰り返して使用すると、車輪止め本体の連結孔の内周面及び/又は連結部材の外周面が摩耗する。そのため、連結状態の複数の車輪止めが簡単に外れるおそれがあり、車輪止め同士を安定的に連結することが困難であるという問題がある。
【0006】
また、連結部材は車輪止め本体とは分離した部品であるため、連結部材の紛失するおそれがあり、連結部材を車輪止め本体と個別に保管する必要がある。そのため、車輪止め本体と連結部材とを備えた車輪止めの取扱性が低下するという問題がある。
【0007】
そこで、本発明の一態様は、車輪止めの取扱性を高めつつ、車輪止め同士を安定的に連結することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の課題を解決するため、本発明の一態様に係る車輪止めは、車両の移動を防止する車輪止めであって、地面に接地する底部、及び長さ方向の一端側から他端側に向かって高くなりかつ前記車両の車輪の外周面に接触する車輪接触部を有した車輪止め本体と、前記車輪止め本体の一側部の側板に幅方向外側に突出して形成され、挿入孔を有した第1連結部材と、前記車輪止め本体の他側部の側板に幅方向外側に突出して形成され、先端部が前記第1連結部材の前記挿入孔に対応する形状になっており、相手側の車輪止めの前記第1連結部材の前記挿入孔に挿入した状態で、その前記挿入孔の縁部に係止可能な第2連結部材と、を備える。本発明の一態様に係る車輪止めは、前記第2連結部材の先端部を相手側の車輪止めの前記第1連結部材の前記挿入孔に整合させた状態で挿入する挿入姿勢から、相手側の車輪止めに対する相対的な車輪止めの正方向の回動によって前記第2連結部材の先端部をその前記挿入孔の縁部に係止させて、車輪止め同士を揃えた状態で連結する連結姿勢に切り替わるように構成されている。車輪止め同士を揃えた状態から相手側の車輪止めに対する相対的な車輪止めの正方向の回動を規制するように、前記第2連結部材に相手側の車輪止めの前記第1連結部材の一部に正方向から当接するストッパ部が形成されている。
【0009】
前記の構成によれば、前記車輪止めが前記挿入姿勢から前記連結姿勢に切り替わるように構成されているため、前記第2連結部材の先端部を相手側の車輪止めの前記第1連結部材の前記挿入孔の縁部に係止させて、車輪止め同士を揃えた状態で連結することができる。これにより、連結状態の複数の車輪止めを繰り返して使用しても、連結状態の複数の車輪止めが簡単に外れることがなく、車輪止め同士を安定的に連結することができる。
【0010】
前記第1連結部材が前記車輪止め本体の一側部の側板に形成されているため、前記第1連結部材を前記車輪止め本体と一体の部品として扱うことができる。前記第2連結部材が前記車輪止め本体の他側部の側板に形成されているため、前記第2連結部材を前記車輪止め本体と一体の部品として扱うことができる。そのため、前記第1連結部材及び前記第2連結部材の紛失のおそれがなくなると共に、前記第1連結部材及び前記第2連結部材を前記車輪止め本体と個別に保管する必要がない。これにより、前記車輪止め本体と前記第1連結部材と前記第2連結部材とを備えた車輪止めの取扱性を高めることができる。
【0011】
前記第2連結部材の前記ストッパ部によって、車輪止め同士を揃えた状態から相手側の車輪止めに対する相対的な車輪止めの正方向の回動を規制することができる。そのため、連結状態の複数の車輪止めの位置ずれを抑えることができる。これにより、連結状態の複数の車輪止めを車輪と地面との間に挿し込み易くなる。また、例えば、車両に設置された収納箱に連結状態の複数の車輪止めを収納し易くなる。よって、車輪止めの取扱性をより高めることができる。
【0012】
本発明の一態様に係る車輪止めにおいて、前記第1連結部材は、前記車輪止め本体の一側部の外端面に対して幅方向外側に突出しており、前記第2連結部材は、前記車輪止め本体の他側部の外端面に対して幅方向外側に突出してもよい。
【0013】
前記の構成によれば、いずれかの連結部材のみが前記車輪止め本体の側部の外端面に対して幅方向外側に突出している場合に比べて、連結状態の複数の車輪止めを車輪と地面との間に挿し込んで使用する際における前記第1連結部材及び前記第2連結部材にかかる負荷(荷重)を低減することができる。これにより、前記第1連結部材及び前記第2連結部材の破損を防止して、車輪止めの耐久性を高めることができる。
【0014】
本発明の一態様に係る車輪止めにおいて、前記車輪止め本体の一側部は、その側板に形成された複数の第1側面リブを有し、前記車輪止め本体の他側部は、その側板に形成された複数の第2側面リブを有し、前記車輪止め本体は、前記車輪接触部よりも長さ方向の他端側に前記車輪止め本体の一側部と他側部を連結するように形成された持ち手部を有してもよい。前記第1連結部材及び前記第2連結部材は、それぞれ、前記車輪接触部よりも長さ方向の他端側に位置しており、車輪止め同士を揃えた状態から相手側の車輪止めに対する車輪止めの相対的な車輪止めの逆方向の回動を規制するように、前記第1側面リブ及び前記第2側面リブのうち少なくとも一方の側面リブの端面に、相手側の車輪止めの前記第1側面リブ及び前記第2側面リブのうちの他方の側面リブ間に逆方向から係止する係止突部が幅方向外側に突出して形成されてもよい。
【0015】
前記の構成によれば、前記車輪止め本体が前記持ち手部を有しているため、車輪止め又は連結状態の複数の車輪止めを持ち運び易くなる。車輪と地面との間に車輪止め又は連結状態の複数の車輪止めを挿し込み易くなると共に、車輪と地面との間から車輪止め又は連結状態の複数の車輪止めを引き抜き易くなる。これにより、車輪止めの取扱性をより高めることができる。
【0016】
前記第1連結部材及び前記第2連結部材がそれぞれ前記車輪接触部よりも長さ方向の他端側に位置しているため、連結状態の複数の車輪止めを車輪と地面との間に挿し込んで使用する際における前記第1連結部材及び前記第2連結部材にかかる負荷(荷重)を低減することができる。これにより、前記第1連結部材及び前記第2連結部材の破損を防止して、車輪止めの耐久性を高めることができる。
【0017】
前記一方の側面リブの前記係止突部によって、車輪止め同士を揃えた状態から相手側の車輪止めに対する相対的な車輪止めの逆方向の回動を規制することができる。そのため、連結状態の複数の車輪止めの位置ずれをより抑えることができる。これにより、連結状態の複数の車輪止めを車輪と地面との間に更に挿し込み易くなる。また、例えば、車両に設置された収納箱に連結状態の複数の車輪止めを更に収納し易くなる。よって、車輪止めの取扱性を更に高めることができる。
【0018】
本発明の一態様に係る車輪止めにおいて、前記車輪止め本体の一側部は、その側板に形成された複数の第1側面リブを有し、前記車輪止め本体の他側部は、その側板に形成された複数の第2側面リブを有し、前記車輪止め本体は、前記車輪接触部よりも長さ方向の他端側に前記車輪止め本体の一側部と他側部を連結するように形成された持ち手部を有してもよい。前記第1連結部材及び前記第2連結部材は、それぞれ、前記車輪接触部よりも長さ方向の他端側に位置しており、前記第1側面リブ及び前記第2側面リブのうち少なくとも一方の側面リブの端面に、車輪止め同士を揃えた状態において、相手側の車輪止めの前記第1側面リブ及び前記第2側面リブのうちの他方の側面リブの端面に圧接する圧接突部が幅方向外側に突出して形成されてもよい。
【0019】
前記の構成によれば、前記車輪止め本体が前記持ち手部を有しているため、車輪止め又は連結状態の複数の車輪止めを持ち運び易くなる。車輪と地面との間に車輪止め又は連結状態の複数の車輪止めを挿し込み易くなると共に、車輪と地面との間から車輪止め又は連結状態の複数の車輪止めを引き抜き易くなる。これにより、車輪止めの取扱性をより高めることができる。
【0020】
前記第1連結部材及び前記第2連結部材がそれぞれ前記車輪接触部よりも長さ方向の他端側に位置しているため、連結状態の複数の車輪止めを車輪と地面との間に挿し込んで使用する際における前記第1連結部材及び前記第2連結部材にかかる負荷(荷重)を低減することができる。これにより、前記第1連結部材及び前記第2連結部材の破損を防止して、車輪止めの耐久性を高めることができる。
【0021】
前記一方の側面リブの前記圧接突部が相手側の車輪止めの前記他方の側面リブの端面に圧接することにより、前記第2連結部材の先端部を相手側の車輪止めの前記第1連結部材の前記挿入孔の縁部に圧接した状態で係止させることができる。これにより、車輪止め同士をより安定的に連結することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様によれば、車輪止めの取扱性を高めつつ、車輪止め同士を安定的に連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、車両の車輪と地面との間に、本実施形態に係る車輪止めを挿し込んだ状態を示す模式図である。
図2】本実施形態に係る車輪止めを底部側から見た模式的な斜視図である。
図3】本実施形態に係る車輪止めを上面部側から見た模式的な斜視図である。
図4】本実施形態に係る車輪止めの挿入姿勢を説明するための模式的な斜視図である。
図5】本実施形態に係る車輪止めの連結姿勢を説明するための模式的な斜視図である。
図6図4におけるVI-VI線に沿った模式的な断面図である。
図7図4におけるVII-VII線に沿った模式的な断面図である。
図8図4におけるVIII-VIII線に沿った模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本実施形態について図面を参照して説明する。なお、本願の明細書及び特許請求の範囲において、長さ方向とは、車輪止め又は車輪止め本体の長さ方向のことをいう。幅方向とは、車輪止め又は車輪止め本体の幅方向のことであり、長さ方向に直交する水平方向のことである。幅方向外側とは、幅方向のうち、車輪止め又は車輪止め本体の幅方向中心から遠ざかる方向のことである。高さ方向とは、車輪止め又は車輪止め本体の高さ方向のことであり、上下方向(垂直方向)のことである。図面中、「LD」は長さ方向、「LDa」は長さ方向の一端側、「LDb」は長さ方向の他端側、「WD」は幅方向、「HD」は高さ方向をそれぞれ示している。
【0025】
(車輪止め10の概要)
図1に示すように、本実施形態に係る車輪止め10は、例えば自動車等の車両C(図1には、車両Cの部品である車輪Wの一部のみ図示)の移動を防止するものである。車輪止め10は、車両Cの例えばタイヤ等の車輪Wと地面Gとの間に挿し込み可能である。図1のIAは、車輪Wからの荷重が車輪止め10に加わる前の様子を示している。図1のIBは、車輪Wからの荷重が車輪止め10に加わった様子を示している。また、車輪止め10同士は、揃えた状態で連結可能である(図5参照)。連結状態の複数の車輪止め10は、大型の車輪Wと地面Gとの間、又は並設された複数の車輪Wと地面Gとの間に挿し込み可能である。連結状態の複数の車輪止め10は、例えば、車両Cに設置された収納箱(図示省略)に収納可能である。
【0026】
(車輪止め本体12)
図2及び図3に示すように、車輪止め10は、車輪止め本体12を備えており、車輪止め本体12は、中空構造によって構成されている。車輪止め本体12は、例えばポリプロピレン等の樹脂からなり、射出成形によって成形される。なお、車輪止め本体12は、中空構造に構成される代わりに、中実構造に構成されてもよい。車輪止め本体12の構成材料は、樹脂に限るものでなく、例えばアルミニウム等の金属であってもよい。車輪止め本体12の製造手法は、射出成形に限るものでなく、射出成形以外の製造手法であってもよい。
【0027】
(底部14、一側部16、他側部18)
図2及び図3に示すように、車輪止め本体12は、地面G(図1参照)に設置する底部14を有しており、底部14は、長さ方向に延びている。車輪止め本体12の底部14には、車輪止め本体12の内部空間ISに連通する開口部14aが形成されている。また、車輪止め本体12は、底部14の幅方向の両側からそれぞれ立ち上がる一側部(第1側部)16及び他側部(第2側部)18と、底部14の長さ方向の片側から立ち上がる壁部(背部)20とを有している。車輪止め本体12の一側部16及び他側部18の側面視形状は、それぞれ、同じ楔形状に形成されている。車輪止め本体12の一側部16及び他側部18は、それぞれ、長さ方向の一端側から他端側に向かって高くなっている。
【0028】
(壁部20、上面部22)
図2及び図3に示すように、車輪止め本体12の一側部16及び他側部18は、壁部20に連結されており、壁部20に対して長さ方向の他端側に突出している。更に、車輪止め本体12は、長さ方向の一端側から他端側に向かって徐々に高くなる上面部22を有している。車輪止め本体12の上面部22は、一側部16と他側部18と壁部20とに連結されている。
【0029】
(スパイク部24、滑り止め部材26)
図2に示すように、車輪止め本体12の底部14には、凹凸形状の一対のスパイク部24が幅方向に離隔して形成されている。各スパイク部24は、地面G(図1参照)に対して食い込み可能であり、長さ方向に延びている。各スパイク部24は、車輪止め本体12の一部を構成する。車輪止め本体12の底部14における長さ方向の一端側には、地面Gに対する車輪止め本体12の滑りを防止するための一対の滑り止め部材26が取付けられている。各滑り止め部材26は、例えば熱可塑性エラストマー又は加硫ゴム等の弾性体により構成されている。
【0030】
(側板28、第1側面リブ30、側板32、第2側面リブ34)
図2及び図3に示すように、車輪止め本体12の一側部16は、底部14の幅方向の一側から立ち上がる側板(第1側板)28と、側板28に形成された複数の第1側面リブ30とを有している。また、車輪止め本体12の他側部18は、底部14の幅方向の他側から立ち上がる側板(第2側板)32と、側板32に形成された複数の第2側面リブ34とを有している。
【0031】
(車輪接触部36、手持ち部38)
図3に示すように、車輪止め本体12の上面部22には、例えばタイヤ等の車輪Wの外周面に接触する階段状の一対の車輪接触部36が幅方向に離隔して形成されている。各車輪接触部36は、長さ方向の一端側から他端側に向かって徐々に高くなっている。各車輪接触部36は、車輪止め本体12の一部を構成する。また、車輪止め本体12は、手で持つための持ち手部38を有しており、持ち手部38は、車輪接触部36よりも長さ方向の他端側に車輪止め本体12の一側部16と他側部18を連結するように形成されている。持ち手部38は、車輪止め10における高さ方向の上部に位置している。持ち手部38は、車輪止め本体12の一部を構成する。車輪止め本体12の壁部20と持ち手部38との間には、持ち手部38に手を掛けるための手掛け空間HSが形成されている。
【0032】
(第1連結部材40)
図2図4から図8に示すように、車輪止め本体12の一側部16の側板28には、第1連結部材40が幅方向外側に突出して形成されている。第1連結部材40は、車輪接触部36よりも長さ方向の他端側に位置しており、第1連結部材40の側面視形状は、円形状になっている。なお、第1連結部材40の側面視形状は、円形状に限らず、例えば、方形状であってもよい。第1連結部材40は、車輪止め10における高さ方向の上部に位置している。第1連結部材40は、車輪止め本体12の一側部16の外端面である第1側面リブ30の端面に対して幅方向外側に突出している。第1連結部材40は、半円形状の挿入孔40hを有している。車輪止め本体12の一側部16の側板28と第1連結部材40との間には、第1連結部材40の挿入孔40hに連通した連通空間CSが形成されている。
【0033】
(第2連結部材42)
図3図6から図8に示すように、車輪止め本体12の他側部18の側板32には、第2連結部材42が幅方向外側に突出して形成されている。第2連結部材42は、車輪接触部36よりも長さ方向の他端側に位置している。第2連結部材42は、車輪止め10における高さ方向の上部に位置している。第2連結部材42は、車輪止め本体12の他側部18の外端面である第2側面リブ34の端面に対して幅方向外側に突出している。第2連結部材42は、その先端側に、フック部42fを有しており、第2連結部材42の先端部であるフック部42fは、第1連結部材40の挿入孔40hに対応した形状になっている。第2連結部材42のフック部42fは、複数の車輪止め10を連結する場合の相手側の車輪止め10の第1連結部材40の挿入孔40hに挿入した状態で、その挿入孔40hの縁部(挿入孔40hに隣接し連通空間CSに面する部位)に係止可能である。
【0034】
(第1連結部材40及び第2連結部材42に関連する構成)
図4から図7に示すように、車輪止め10は、挿入姿勢(図4及び図6に示す姿勢)から連結姿勢(図5及び図7に示す姿勢)に切り替わるように構成されている。挿入姿勢とは、第2連結部材42のフック部42fを相手側の車輪止め10の第1連結部材40の挿入孔40hに整合させた状態で挿入する姿勢のことをいう(図4及び図6参照)。連結姿勢とは、相手側の車輪止め10に対する相対的な車輪止め10の正方向T(図6参照)の回動によって第2連結部材42のフック部42fを相手側の車輪止め10の第1連結部材40の挿入孔40hの縁部に係止させて、車輪止め10同士を揃えた状態で連結する姿勢のことである(図5及び図7参照)。車輪止め10同士を揃えた状態とは、車輪止め10同士を完全に揃えた状態に限るものでなく、車輪止め10同士を完全に揃えた状態から車輪止め10の寸法公差の範囲内でずれた状態を含む意である。
【0035】
(ストッパ部42s)
図3及び図8に示すように、第2連結部材42には、相手側の車輪止め10の第1連結部材40の一部である挿入孔40hの内側面に正方向Tから当接するストッパ部42sが形成されている。第2連結部材42のストッパ部42sは、車輪止め10同士を揃えた状態から相手側の車輪止め10に対する車輪止め10の相対的な正方向Tの回動を規制するための部位である。
【0036】
(係止突部34b、傾斜部34bs)
図3図6、及び図7に示すように、いずれかの第2側面リブ34の端面には、係止突部34bが幅方向外側に突出して形成されている。いずれかの第2側面リブ34の係止突部34bは、相手側の車輪止め10の第1側面リブ30間に逆方向(正方向Tの反対方向)から係止する。いずれかの第2側面リブ34の係止突部34bは、車輪止め10同士を揃えた状態から相手側の車輪止め10に対する車輪止め10の相対的な逆方向の回動を規制するための部位である。いずれかの第2側面リブ34の係止突部34bは、第2側面リブ34の端面に対して例えば1.0mm程度だけ幅方向外側に突出している。いずれかの第2側面リブ34の係止突部34bは、車輪接触部36よりも長さ方向の他端側に位置している。いずれかの第2側面リブ34の係止突部34bにおける正方向T側には、第2側面リブ34の端面に対して傾斜する傾斜部34bsが形成されている。
【0037】
なお、いずれかの第1側面リブ30の端面には、係止突部(図示省略)が幅方向外側に突出して形成されてもよい。この場合に、いずれかの第1側面リブ30の係止突部は、相手側の車輪止め10の第2側面リブ34間に逆方向から係止する。
【0038】
(圧接突部34v、圧接突部34p、傾斜部34ps)
図3及び図6に示すように、いずれかの第2側面リブ34の端面には、車輪止め10同士を揃えた状態で相手側の車輪止め10の第1側面リブ30の端面に圧接する圧接突部34vが幅方向外側に突出して形成されている。他のいずれかの第2側面リブ34の端面には、車輪止め10同士を揃えた状態で相手側の車輪止め10の第1側面リブ30の端面に圧接する圧接突部34pが幅方向外側に突出して形成されている。いずれかの第2側面リブ34の圧接突部34v及び他のいずれかの第2側面リブ34の圧接突部34pは、それぞれ、第2側面リブ34の端面に対して例えば0.5mm程度だけ幅方向外側に突出している。いずれかの第2側面リブ34の圧接突部34v及び他のいずれかの第2側面リブ34の圧接突部34pは、それぞれ、車輪接触部36よりも長さ方向の他端側に位置している。他のいずれかの第2側面リブ34の圧接突部34pにおける逆方向側には、第2側面リブ34の端面に対して傾斜する傾斜部34psが形成されている。
【0039】
(圧接突部30p、傾斜部30ps)
図2に示すように、いずれかの第1側面リブ30の端面には、車輪止め10同士を揃えた状態で相手側の車輪止め10の第2側面リブ34の端面に圧接する圧接突部30pが幅方向外側に突出して形成されている。いずれかの第1側面リブ30の圧接突部30pは、第1側面リブ30の端面に対して例えば0.5mm程度だけ幅方向外側に突出している。いずれかの第1側面リブ30の圧接突部30pは、車輪接触部36よりも長さ方向の他端側に位置している。いずれかの第1側面リブ30の圧接突部30pにおける正方向Tから見て前側部分には、第1側面リブ30の端面に対して傾斜する傾斜部30psが形成されている。
【0040】
(作用効果)
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。
【0041】
車輪止め10が挿入姿勢から連結姿勢に切り替わるように構成されているため、第2連結部材42のフック部42fを相手側の車輪止め10の第1連結部材40の挿入孔40hの縁部に係止させて、車輪止め10同士を揃えた状態で連結することができる。これにより、連結状態の複数の車輪止め10を繰り返して使用しても、連結状態の複数の車輪止め10が簡単に外れることがなく、車輪止め10同士を安定的に連結することができる。
【0042】
特に、車輪止め10同士を揃えた状態で、第2側面リブ34の圧接突部34v及び他のいずれかの第2側面リブ34の圧接突部34pが相手側の車輪止め10の第1側面リブ30の端面に圧接する。いずれかの第1側面リブ30の圧接突部30pが相手側の車輪止め10の第2側面リブ34の端面に圧接する。すると、第2連結部材42のフック部42fを相手側の車輪止め10の第1連結部材40の挿入孔40hの縁部に圧接した状態で係止させることができる。これにより、車輪止め10同士をより安定的に連結することができる。
【0043】
第1連結部材40が車輪止め本体12の一側部16の側板28に形成されているため、第1連結部材40を車輪止め本体12と一体の部品として扱うことができる。第2連結部材42が車輪止め本体12の他側部18の側板32に形成されているため、第2連結部材42を車輪止め本体12と一体の部品として扱うことができる。そのため、第1連結部材40及び第2連結部材42の紛失のおそれがなくなると共に、第1連結部材40及び第2連結部材42を車輪止め本体12と個別に保管する必要がない。これにより、車輪止め本体12と第1連結部材40と第2連結部材42とを備えた車輪止め10の取扱性を高めることができる。
【0044】
第2連結部材42のストッパ部42sによって、車輪止め10同士を揃えた状態から相手側の車輪止め10に対する相対的な車輪止め10の正方向の回動を規制することができる。いずれかの第2側面リブ34の係止突部34bによって、車輪止め10同士を揃えた状態から相手側の車輪止め10に対する相対的な車輪止め10の逆方向の回動を規制することができる。そのため、連結状態の複数の車輪止め10の位置ずれを抑えることができる。これにより、連結状態の複数の車輪止め10を車輪Wと地面Gとの間に挿し込み易くなる。また、例えば、車両Cに設置された収納箱に連結状態の複数の車輪止め10を収納し易くなる。よって、車輪止め10の取扱性をより高めることができる。
【0045】
車輪止め本体12が持ち手部38を有しているため、車輪止め10又は連結状態の複数の車輪止め10を持ち運び易くなる。車輪Wと地面Gとの間に車輪止め10又は連結状態の複数の車輪止め10を挿し込み易くなると共に、車輪Wと地面Gとの間から車輪止め10又は連結状態の複数の車輪止め10を引き抜き易くなる。これにより、車輪止め10の取扱性をより高めることができる。
【0046】
前述のように、第1連結部材40が車輪止め本体12の一側部16の外端面である第1側面リブ30の端面に対して幅方向外側に突出している。第2連結部材42が車輪止め本体12の他側部18の外端面である第2側面リブ34の端面に対して幅方向外側に突出している。そのため、いずれかの連結部材40又は42のみが車輪止め本体12の側部16又は18の外端面に対して幅方向外側に突出している場合に比べて、連結状態の複数の車輪止め10を車輪Wと地面Gとの間に挿し込んで使用する際における第1連結部材40及び第2連結部材42にかかる負荷(荷重)を低減することができる。これにより、第1連結部材40及び第2連結部材42の破損を防止して、車輪止め10の耐久性を高めることができる。
【0047】
特に、第1連結部材40及び第2連結部材42がそれぞれ車輪接触部36よりも長さ方向の他端側に位置しているため、連結状態の複数の車輪止め10を車輪Wと地面Gとの間に挿し込んで使用する際における第1連結部材40及び第2連結部材42にかかる負荷を低減することができる。これにより、第1連結部材40及び第2連結部材42の破損を十分に防止して、車輪止め10の耐久性をより高めることができる。
【0048】
〔付記事項〕
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
10 車輪止め
12 車輪止め本体
14 底部
14a 開口部
16 一側部(第1側部)
18 他側部(第2側部)
20 壁部
22 上面部
24 スパイク部
26 滑り止め部材
28 側板
30 第1側面リブ
30p 圧接突部
30ps 傾斜部
32 側板
34 第2側面リブ
34b 係止突部
34bs 傾斜部
34v 圧接突部
34p 圧接突部
34ps 傾斜部
36 車輪接触部
38 持ち手部
40 第1連結部材
40h 挿入孔
42 第2連結部材
42f フック部
42s ストッパ部
IS 内部空間
HS 手掛け空間
CS 連通空間
C 車両
W 車輪
G 地面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8