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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120954
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】額装具
(51)【国際特許分類】
   A47G 1/16 20060101AFI20230823BHJP
【FI】
A47G1/16 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024117
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】396016445
【氏名又は名称】株式会社フェリシモ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 葉子
(72)【発明者】
【氏名】山川 真記代
【テーマコード(参考)】
3B111
【Fターム(参考)】
3B111BC02
3B111BC04
3B111BC06
3B111BD05
3B111CC03
(57)【要約】
【課題】 箱の窓に被額装物の模様の全体が収まらず、一部が切れてしまうことを防止することができ、また、卓上や棚上等の任意の場所に飾ることができる額装具を提供する。
【解決手段】 額装具100は、窓部25を有する表板2と、背板4と、背板4の第1貫通切込部45及び第1折り目46により区画され、スタンド部収納角度位置P11と第1折り目46を回動軸としてスタンド部収納角度位置P11から外側に回動させたスタンド部展開角度位置P12との間で揺動可能であるスタンド部6と、スタンド部6と係合し、スタンド部6の揺動を規制するスタンド保持部7と、を備え、スタンド部6は、スタンド部展開角度位置P12において第1部分11が位置する第1平面B1上に延びる第1支持縁61と、スタンド部展開角度位置P12において第2部分12が位置する第2平面B2上に延びる第2支持縁62と、を有する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向及び前記第1方向と交差する第2方向に延在する窓部を有する表板と、
前記表板の周縁から延びる周壁と、
前記周壁に連なる背板であって、第1貫通切込部を有し、前記第1貫通切込部の両端を接続する直線上に延びる部分が第1折り目を成す背板と、
前記第1貫通切込部及び前記第1折り目により区画され、前記背板と同一面上に位置するスタンド部収納角度位置と前記第1折り目を回動軸として前記スタンド部収納角度位置から外側に回動させたスタンド部展開角度位置との間で揺動可能であるスタンド部と、
前記スタンド部展開角度位置に位置する前記スタンド部と係合し、前記スタンド部の揺動を規制するスタンド保持部と、を含む本体を備え、
前記本体の前記第1方向における一方側の端部が第1部分を成し、前記本体の前記第2方向における一方側の端部が第2部分を成し、
前記スタンド部は、前記スタンド部展開角度位置において前記第1部分が位置する第1平面上に延びる第1支持縁と、前記スタンド部展開角度位置において前記第2部分が位置する第2平面上に延びる第2支持縁と、を有する、額装具。
【請求項2】
前記背板は、第2貫通切込部を有し、前記第2貫通切込部の両端を接続する直線上に延びる部分が第2折り目を成し、
前記スタンド保持部は、前記第2貫通切込部及び前記第2折り目により区画された部分であり、前記背板と同一面上に位置する保持部収納角度位置と前記第2折り目を回動軸として前記保持部収納角度位置から外側に回動させた保持部展開角度位置との間で揺動可能であり、前記保持部展開角度位置において前記スタンド部展開角度位置に位置する前記スタンド部と係合する、請求項1に記載の額装具。
【請求項3】
前記第1貫通切込部は、前記背板の法線方向から見て前記第1部分から離れる方向に向かって延びた後に前記第1部分に近づく方向に延び、
前記スタンド部収納角度位置と前記スタンド部展開角度位置とが成す角は90度以上であり、
前記スタンド保持部は、前記第2折り目と直交する方向における先端に形成された頭部と、前記頭部の前記第2折り目側に形成され、前記頭部よりも前記第2折り目が延びる方向における幅が狭い首部とを有し、
前記スタンド部は、前記スタンド部展開角度位置において前記頭部及び前記首部が挿通される第1挿通孔と、前記第1挿通孔の前記スタンド部の前記第1折り目側に連続して形成され、前記第2折り目が延びる方向における幅が前記頭部よりも狭く前記首部よりも広い第2挿通孔を有する、請求項2に記載の額装具。
【請求項4】
前記表板、前記周壁及び前記背板は、一枚のブランクシートから組み立てられる、請求項1乃至3の何れか1項に記載の額装具。
【請求項5】
前記表板及び前記背板は、それぞれ一対の側縁を有し、
前記周壁は、前記表板の一方の側縁と前記背板の一方の側縁とに折り目を介して連続する第1側板と、前記表板の他方の側縁に折り目を介して連続する第2側板と、前記背板の他方の側縁に折り目を介して連続する第3側板と、前記第2側板に前記第3側板を固定する固定手段とを有する、請求項4に記載の額装具。
【請求項6】
前記第1貫通切込部及び前記第1折り目により区画された部分の内側に配置される内側背板を更に備える、請求項1乃至5の何れか1項に記載の額装具。
【請求項7】
被額装物は、折り畳まれた布製品であり、
前記布製品の折り畳まれた形状を維持する折畳形状維持具を更に備える、請求項1乃至6の何れか1項に記載の額装具。
【請求項8】
前記第1平面と前記窓部が延在する平面とが成す角は78度以上82度未満である、請求項1乃至7の何れか1項に記載の額装具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、額装具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からTシャツの額装に用いることができる額縁型パッケージが知られている。(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この額縁型パッケージは、窓を有する額縁型箱と額縁型箱の側面に連結される吊り紐とを有し、壁などにかけておくことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平4―35558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、Tシャツに付される模様には、縦長や横長などの様々な模様がある。しかし、特許文献1に記載の額縁型パッケージは、例えば縦長の模様のみに対応するものであって、横長の模様が付されたTシャツを納めると、箱の窓に模様の全体が収まらず、一部が切れて見える場合があるという問題があった。また、箱を飾ることができる場所がフックの設けられている場所に限定され、使い勝手が悪いという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明のある態様に係る額装具は、第1方向及び前記第1方向と交差する第2方向に延在する窓部を有する表板と、前記表板の周縁から延びる周壁と、前記周壁に連なる背板であって、第1貫通切込部を有し、前記第1貫通切込部の両端を接続する直線上に延びる部分が第1折り目を成す背板と、前記第1貫通切込部及び前記第1折り目により区画され、前記背板と同一面上に位置するスタンド部収納角度位置と前記第1折り目を回動軸として前記スタンド部収納角度位置から外側に回動させたスタンド部展開角度位置との間で揺動可能であるスタンド部と、前記スタンド部展開角度位置に位置する前記スタンド部と係合し、前記スタンド部の揺動を規制するスタンド保持部と、を含む本体を備え、前記本体の前記第1方向における一方側の端部が第1部分を成し、前記本体の前記第2方向における一方側の端部が第2部分を成し、前記スタンド部は、前記スタンド部展開角度位置において前記第1部分が位置する第1平面上に延びる第1支持縁と、前記スタンド部展開角度位置において前記第2部分が位置する第2平面上に延びる第2支持縁と、を有する。
【0007】
この構成によれば、被額装物の模様の形に応じた向きで被額装物を収納し、被額装物の収納状態に応じた姿勢をとらせて被額装物を飾ることができる。よって、窓部に被額装物の模様の全体が収まらず、一部が切れてしまうことを防止することができる。また、卓上や棚上等の任意の場所に飾ることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、箱の窓に被額装物の模様の全体が収まらず、一部が切れてしまうことを防止することができ、また、卓上や棚上等の任意の場所に飾ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態に係る額装具の構成例を示す斜視図である。
図2図1の額装具の構成例を示す分解斜視図である。
図3図1の額装具の本体の展開体の構成例を示す図であり、内側面を示す図である。
図4図1の額装具の使用例を示す図であり、縦置き状態を示す図である。
図5図1の額装具の使用例を示す図であり、横置き状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下では、全ての図を通じて、同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0011】
図1は、実施の形態に係る額装具100の構成例を示す斜視図である。図2は、額装具100の構成例を示す分解斜視図である。図3は、額装具100の本体1の展開体の構成例を示す図であり、内側面を示す図である。図3においては、折り目を細線で表している。
【0012】
コンサート会場において、アーティストやツアーのテーマにかかるデザインを前身頃や後ろ身頃にあしらったTシャツやタオル等の布製品が販売されていることがある。このような布製品は、コンサート終了後も大切に保管されるが、柔軟な物品であるが故に単独では飾ることが困難である。額装具100は、例えばこのような布製品を被額装物Sとして額装し、これを飾るために用いることができるものである。
【0013】
図2に示すように、額装具100は、本体1と、内側背板91と、折畳形状維持具96とを備える。
【0014】
本体1は、全体として長方形の厚板状に形成されており、表板2と、周壁3と、背板4と、スタンド部6と、スタンド保持部7と、窓用フィルム8(図2参照)とを含む。表板2、周壁3、背板4、スタンド部6、及びスタンド保持部7は、一枚のブランクシート101(図3参照)を組み立てて形成され、窓用フィルム8は、組み立て時にブランクシート101に貼付されるフィルムである。ブランクシート101は、例えば段ボール製であるが、これに限られるものではない。これに代えて、厚紙、木板、ストーンペーパー、プラスチック、アクリル板等平面板状で加工が可能な材料であってもよい。
【0015】
表板2は、長方形の板状体であり、第1方向D1に延びる一対の長辺である長手側縁23、24と、長手側縁23、24の一方の端部を接続して第2方向D2に延びる短辺である短手側縁21と、長手側縁23、24の第1方向D1における他方側の端部を接続して第2方向D2に延びる短辺である短手側縁22とを有する。本実施の形態において、表板2は長方形であり、第1方向D1と第2方向D2とは直交するがこれに限られるものではない。
【0016】
そして、表板2には、縁を除く部分に窓部25が形成されている。すなわち、窓部25は、第1方向D1及び第1方向D1と交差する第2方向D2に延在する長方形の窓であり、第1方向D1の寸法が第2方向D2の寸法よりも大きく形成されている。なお、窓の形状は任意であり、窓の周縁が波打つように伸びていてもよい。
【0017】
周壁3は、組み立て状態において表板2の周縁から本体1の厚み方向に延び、枠状を呈する。周壁3は、表板2の短手側縁22を下に位置させて窓部25に縦長の姿勢をとらせて設置面Aに置いたとき(図4参照)に、この設置面Aに当接又は対峙する第1部分11と、表板2の長手側縁24を下に位置させて窓部25に横長の姿勢をとらせて設置面Aに置いたとき(図5参照)に、この設置面Aに当接又は対峙する第2部分12とを有する。換言すると、第1部分11は、本体1の第1方向D1における一方側の端部であり、第2部分12は、本体1の第2方向D2における一方側の端部である。より具体的には、本実施の形態において、第1部分11は、後述する底板32と差込爪82との間の折り目が形成されている部分であり、第2部分12は、後述する第2側板34の先端(自由端)の端縁及び第3側板35の背板4に連続する側縁である。
【0018】
図4は、額装具100の使用例を示す図であり、縦置き状態を示す図である。また、図5は、額装具100の使用例を示す図であり、横置き状態を示す図である。
【0019】
背板4は、組み立て状態において表板2から延びる周壁3の先端の周縁に連なる長方形の板状体であり、表板2と略同一の大きさに形成され、表板2と対峙する。すなわち、背板4は、表板2の短手側縁21と対峙する短手側縁41と、表板2の短手側縁22と対峙する短手側縁42と、表板2の一対の長手側縁23、24と対峙する一対の長手側縁43、44とを有する。
【0020】
そして、背板4にはその内側面から外側面まで貫通する切り込みである第1貫通切込部45が形成されている。第1貫通切込部45は、後述するスタンド部6をかたどって延びており、組み立て状態において、背板4の法線方向から見て第1部分11から離れる方向に向かって延びた後に、折り返して第1部分11に近づく方向に延びる。更に、背板4には第1貫通切込部45の両端を接続する直線上に延びる第1折り目46が形成されている。第1折り目46は、例えば、背板4の外側面及び/又は内側面に設けられた浅い溝であるがこれに限られるものではない。これに代えて、第1折り目46は、使用時に使用者が折って形成してもよい。また、第1折り目46は、断続的に延びていてもよい。これら第1貫通切込部45及び第1折り目46により区画された部分が、スタンド部6を成している。スタンド部6は、図2に示す背板4と同一面上に位置するスタンド部収納角度位置P11と、図4、5に示す第1折り目46を回動軸としてスタンド部収納角度位置P11から外側に回動させたスタンド部展開角度位置P12との間で揺動可能となっている。なお、本体1の材質が有する復元力により、スタンド部6は、スタンド部展開角度位置P12からスタンド部収納角度位置P11に向かう方向に付勢されている。また、スタンド部収納角度位置P11とスタンド部展開角度位置P12とが成す角は90度以上である。
【0021】
スタンド部6は、本体1を立てた状態に保持するために用いられ、先端部に第1支持縁61と、第2支持縁62とを含む。図4に示すように、第1支持縁61は、スタンド部展開角度位置P12において第1部分11が位置する第1平面B1上に延び、表板2の短手側縁22を下に位置させて窓部25に縦長の姿勢をとらせて設置面Aに置いたときに、この設置面Aに当接又は対峙する部分である。また、図5に示すように、第2支持縁62は、スタンド部展開角度位置P12において第2部分12が位置する第2平面B2上に延び、表板2の長手側縁24を下に位置させて窓部25に横長の姿勢をとらせて設置面Aに置いたときに、この設置面Aに当接又は対峙する部分である。なお、第1平面B1と表板2(窓部25)が延在する平面とが成す角、及び第2平面B2と表板2(窓部25)が延在する平面とが成す角は78度以上82度未満である。
【0022】
また、図3に示すように、スタンド部6は、第1挿通孔63と、第1挿通孔63のスタンド部6の第1折り目46側に連続して形成されている第2挿通孔64とを有する。第1挿通孔63及び第2挿通孔64は、後述するスタンド保持部7と係合する孔である。
【0023】
また、背板4にはその内側面から外側面まで貫通する切り込みである第2貫通切込部47が形成されている。第2貫通切込部47は、後述するスタンド保持部7をかたどって延びている。更に、背板4には第2貫通切込部47の両端を接続する直線上に延びる第2折り目48が形成されている。第2折り目48は、例えば、背板4の外側面及び/又は内側面に設けられた浅い溝であるがこれに限られるものではない。これに代えて、第2折り目48は、使用時に使用者が折って形成してもよい。これら第2貫通切込部47及び第2折り目48により区画された部分がスタンド保持部7を成している。本実施の形態において、第2貫通切込部47は、全体がスタンド部6の外側に位置しているが、一部が第1折り目46が形成されている直線を越えて第1貫通切込部45及び第1折り目46により区画された領域の内側に位置していてもよい。第2折り目48は、例えば、第1折り目46と平行に延びている。また、第1折り目46の中点と第2折り目48の中点とを結ぶ直線は、例えば、第1折り目46及び第2折り目48と直交する。
【0024】
スタンド保持部7は、図2、3に示す背板4と同一面上に位置する保持部収納角度位置P21と、図4、5に示す第2折り目48を回動軸として保持部収納角度位置P21から外側に回動させた保持部展開角度位置P22との間で揺動可能となっている。なお、材質が有する復元力により、スタンド保持部7は、保持部展開角度位置P22から保持部収納角度位置P21に向かう方向に付勢されている。そして、スタンド保持部7は、保持部展開角度位置P22においてスタンド部展開角度位置P12に位置するスタンド部6と係合することにより、スタンド部6の揺動を規制する。
【0025】
スタンド保持部7の第2折り目48と直交する方向における先端には頭部71が形成されている。そして、スタンド保持部7の頭部71の第2折り目48側の部分はくびれており、当該部分が首部72を成す。すなわち、第2折り目48が延びる方向において、首部72の幅は、頭部71の幅よりも狭く形成されている。これら頭部71及び首部72は、スタンド部6の第1挿通孔63及び第2挿通孔64と係合する。スタンド部6の第1挿通孔63はスタンド部展開角度位置P12において、保持部展開角度位置P22に位置するスタンド保持部7の頭部71及び首部72が挿通される部分である。また、第2挿通孔64は、第2折り目48が延びる方向における幅が頭部71よりも狭く且つ首部72よりも広く形成されている。
【0026】
そして、スタンド保持部7の頭部71及び首部72を第1挿通孔63に挿通し、第1挿通孔63内に首部72を位置させた後、スタンド保持部7を保持部収納角度位置P21に向かって揺動させることにより、首部72が第2挿通孔64に挿入される。この状態において、手を離すと、スタンド部6に働く復元力によってスタンド部6はスタンド部展開角度位置P12からスタンド部収納角度位置P11に向かう方向に若干揺動し、頭部71が第2挿通孔64の周縁に引っ掛かる。これによって、スタンド部6の揺動が規制される。このようにして、スタンド部6の揺動を適切に規制することができ、スタンド部6をスタンド部展開角度位置P12に保持することができる。
【0027】
なお、スタンド保持部7に働く復元力によって、スタンド保持部7は、第1挿通孔63から第2挿通孔64に向かう方向に付勢されているので、スタンド保持部7が第2挿通孔64から第1挿通孔63に向かって回動しにくくなっており、首部72が第2挿通孔64内に位置する状態が容易に維持されるようになっている。よって、スタンド保持部7が不意にスタンド部6から外れにくくすることができる。また、本実施の形態において、スタンド保持部7の首部72はくびれであり、スタンド保持部7の首部72よりも第2折り目48側の部分は、首部72よりも第2折り目48が延びる方向における幅が広くなっているので、スタンド部6が保持部収納角度位置P21に向かう方向のみならず保持部展開角度位置P22から離れる方向への揺動も規制されるようになっている。これによって、スタンド部6をより安定させることができる。
【0028】
そして、この状態においては、第1部分11及び第1支持縁61が設置面Aに当接するように本体1を設置面A上に設置することにより、窓部25の第1方向D1が上下方向に延びる姿勢で額装具100を安置することができる。また、第2部分12及び第2支持縁62が設置面Aに当接するように本体1を設置面A上に設置することにより、窓部25の第2方向D2が上下方向に延びる姿勢で額装具100を安置することができる。
【0029】
このようにして、被額装物Sの収納状態に応じて、第1部分11及び第1支持縁61が設置面A上に位置する姿勢と、第2部分12及び第2支持縁62が設置面A上に位置する姿勢との異なる2つの姿勢をとらせて被額装物Sを卓上や棚上等の任意の場所に飾ることができる。
【0030】
窓用フィルム8は、窓部25よりもひとまわり大きく形成され、周縁には、表板2の内側面に貼付するための固定手段が設けられている。この固定手段は、例えば両面テープであり、一方の面が予め窓用フィルム8の周縁に貼付されており、他方の面は剥離紙で覆われている。窓部25を覆うように窓用フィルム8を表板2の内側面に貼付することにより、被額装物Sの表面を覆うことができ、被額装物Sを保護することができる。窓用フィルム8は、透明な樹脂シートであるが、これに限られるものではない。これに代えて、窓用フィルム8は、例えば透明なガラスであってもよい。
【0031】
次に、本体1の展開体であるブランクシート101について、詳細に説明する。なお、表板2には窓部25となる部分の周縁上に延びる切り取り線であるミシン線を形成し、使用者がミシン線の内側の領域を表板2から切り離して取り除くことにより、窓部25が形成されるようにしてもよい。これによって、使用者の手元に届くまでは、表板2に窓部25が形成されず、配送時に表板2が折れ曲がることを防止することができる。
【0032】
周壁3は、天板31と、底板32と、第1側板33と、第2側板34と、第3側板35と、固定部36とを含む。天板31は、基端が折り目を介して短手側縁21に連なる。天板31の先端には折り目を介して差込爪81が連なる。底板32は、基端が折り目を介して短手側縁22に連なる。底板32の先端には折り目を介して差込爪82が連なる。また、底板32と差込爪82との折り目の中央部に沿って、後述する固定爪51が差し込まれるスリット状の固定爪差込孔83が形成されている。第1側板33は、一方の側縁が表板2の一方の長手側縁23に折り目を介して連続し、更に他方の側縁が背板4の一方の長手側縁43に折り目を介して連続する。第2側板34は、一方の側縁が表板2の他方の長手側縁24に折り目を介して連続し、他方の側縁は自由端となっている。この自由端が上述の第2部分12を成している。第3側板35は、背板4の他方の長手側縁44に折り目を介して連続し、他方の側縁は自由端となっている。
【0033】
固定部36は、第2側板34の内側面に第3側板35の外側面を固定する固定手段であり、例えば両面テープである。この両面テープは、一方の面が予め第3側板35の外側面に貼付されており、他方の面は剥離紙で覆われている。そして、周壁3は、更に、第1側板33の上端及び下端、並びに第2側板34の上端及び下端の計4箇所から突出するフラップ37を含む。
【0034】
また、背板4は、更に、天板側補強部49と、底板側補強部50と、固定爪51とを含む。天板側補強部49は、基端が折り目を介して短手側縁41に連なる板状体であり、先端は自由端である。天板側補強部49の内側面には、天板側補強部49の内側面を背板4の内側面に固定する固定手段である固定部57が設けられている。底板側補強部50は、基端が折り目を介して短手側縁42に連なる板状体であり、先端は自由端である。底板側補強部50の内側面には、底板側補強部50の内側面を背板4の内側面に固定する固定手段である固定部58が設けられている。固定部57及び固定部58は、例えば固定部36と同様の両面テープである。
【0035】
そして、短手側縁42の中央部には固定爪51が設けられている。固定爪51は、底板側補強部50の自由端から背板4の短手側縁42の内側部分まで延びる一対の貫通切込部及びこの一対の貫通切込部の先端を接続して延びる折り目によって区画される部分である。
【0036】
更に、背板4には、壁掛具第1係合孔52、壁掛具第2係合孔53及び壁掛具第3係合孔54が形成されている。これらの係合孔52-54は、例えば円孔であり、壁掛けフック等を差し込んだり、吊り紐を挿通したりするために用いることができる孔である。壁掛具第1係合孔52は、組み立て状態において、第1方向D1の第1部分11位置する側とは反対側且つ第2方向D2において第2部分12が位置する側とは反対側の位置に形成されている。また、壁掛具第2係合孔53は、組み立て状態において、第1方向D1の第1部分11位置する側とは反対側且つ第2方向D2において第2部分12が位置する側に形成されている。また、壁掛具第3係合孔54は、組み立て状態において、第1方向D1の第1部分11位置する側且つ第2方向D2において第2部分12が位置する側とは反対側の位置に形成されている。これによって、例えば吊り紐を壁掛具第1係合孔52及び壁掛具第2係合孔53に挿通して、吊り紐の両端を結び、この吊り紐を壁面に取り付けたフック等に引っ掛けることにより、窓部25の第1方向D1が上下方向に延びる姿勢で額装具100を吊り下げることができる。また、吊り紐を壁掛具第1係合孔52及び壁掛具第3係合孔54に挿通して、吊り紐の両端を結び、この吊り紐を壁面に取り付けたフック等に引っ掛けることにより、窓部25の第2方向D2が上下方向に延びる姿勢で額装具100を吊り下げることができる。
【0037】
内側背板91は、図2に示すように、板状体であり、第1貫通切込部45及び第1折り目46によって区画された部分と第2貫通切込部47及び第2折り目48によって区画された部分を内側から覆うように配置することができる大きさに形成されている。これによって、スタンド部6をスタンド部展開角度位置P12に位置させたときに背板4に形成される開口部、並びにスタンド保持部7を保持部展開角度位置P22に位置させたときに背板4に形成される開口部を内側から覆うことができ、被額装物Sを保護することができる。
【0038】
折畳形状維持具96は、柔軟な被額装物Sである布製品の折り畳まれた形状を維持するための板状体であり、表板2よりもひとまわり小さい大きさに形成されている。なお、折畳形状維持具96の一方の短辺の中央には被額装物Sの位置合わせに用いるための窪みが形成されている。
【0039】
内側背板91及び折畳形状維持具96は、例えばブランクシート101と同じく段ボール製であるが、これに限られるものではなく、これに代えて厚紙や木板であってもよい。
【0040】
次に、額装具100の組み立て方法について説明する。額装具100は、例えば、ブランクシート101、窓用フィルム8、折畳形状維持具96、内側背板91を含むキットとして販売され、使用者によって組み立てられる。
【0041】
使用者が額装具100を組み立てるときは、まず、使用者は、窓部25を内側から覆うように、表板2の内側面に窓用フィルム8を貼り付ける。なお、窓用フィルム8は、ブランクシート101に当初より貼り付けられていてもよい。また、使用者は、天板側補強部49及び底板側補強部50を内側に折り返して固定部57及び固定部58を用いて背板4に貼り付ける。これによって、背板4の剛性を高めることができ、被額装物Sの収容時に背板4が外側に膨らむことを防止することができる。
【0042】
次に、使用者は、卓上などにブランクシート101の内側面が上を向くように置いて、窓部25の上に窓部25を通して視認させたい模様が位置するように被額装物Sを置く。なお、この作業において、使用者は、ブランクシート101を適宜持ち上げて下から窓部25を覗き込み、所望の位置決めが行われているかを確認することができる。そして、被額装物Sにあしらわれている模様の幅寸法が広く、窓部25に収まっていない時は、被額装物Sを90度回転させ、模様が窓部25の第2方向D2に延びるように、窓部25の上に被額装物Sを置き直す。そして、使用者は、被額装物Sの上に折畳形状維持具96を置き、折畳形状維持具96の上に折畳形状維持具96からはみ出した部分を載せるように折り返す。これによって、折り畳んだ被額装物Sの内側に折畳形状維持具96が位置し、折畳形状維持具96が被額装物Sを保持する。
【0043】
次に、使用者は、長手側縁23、24、43、44に沿って形成されている折り目で本体1を折り曲げ、固定部36によって第3側板35を第2側板34に固定する。そして、使用者は、4つのフラップ37を内側に折り曲げ、短手側縁22に形成されている折り目及び底板32と差込爪82との境界に形成されている折り目で折り曲げ、差込爪82を表板2、第1側板33、第2側板34、第3側板35、背板4の下縁によって囲まれる領域に差し込む。これによって、底板32で当該領域を閉じることができる。
【0044】
そして、使用者は、固定爪51の先端を固定爪差込孔83に挿し込む。これによって、底板32の揺動が規制され、被額装物Sの荷重によって意図せず底板32が揺動して、本体1の底が抜けることを防止することができる。
【0045】
更に、使用者は、短手側縁21に形成されている折り目及び天板31と差込爪81との境界に形成されている折り目で折り曲げ、差込爪81を表板2、第1側板33、第2側板34、第3側板35、背板4の上縁によって囲まれる領域に差し込む。これによって、天板31によって当該領域が閉じられる。
【0046】
そして、使用者は、スタンド部6をスタンド部収納角度位置P11からスタンド部展開角度位置P12に揺動させ、スタンド保持部7を保持部収納角度位置P21から保持部展開角度位置P22に揺動させる。そして、使用者は、スタンド部6とスタンド保持部7を係合させる。これによって、スタンド部6の揺動が規制される。
【0047】
なお、第1平面B1及び第2平面B2と窓部25が延在する平面とが成す角は78度以上82度未満であるので、これによって、窓部25を通して被額装物Sを視認しやすく、且つ設置面Aに安置することができる。
【0048】
そして、設置面Aに設置した額装具100を片付ける時は、スタンド部6とスタンド保持部7との係合を解除し、それぞれ、スタンド部収納角度位置P11及び保持部収納角度位置P21に位置させる。これによって、額装具100は、厚板状となり、コンパクトになる。これによって、額装具100をタンスやクローゼット等に整然と整理して収納することができる。タンスの引き出しに他の衣料品と一緒に収納すると、被額装物Sにしわができるおそれが高い。しかし、額装具100に被額装物Sを収納して、タンスに収納すれば、布地の歪みを防止することができ、グッズとして貴重なTシャツだけでなく、しわを防ぎたい高級ブランド品等も収納可能である。また、窓部25を上側にしてキャビネットに収納すれば、開封せずとも中身が分かり便利である。さらに、多数の額装具100を本棚に整然と陳列することができ、見栄えを良くすることができる。
【0049】
以上に説明したように、額装具100は、第1方向D1及び第1方向D1と交差する第2方向D2に延在する窓部25を有する表板2と、表板2の周縁から延びる周壁3と、周壁3に連なる背板4であって、第1貫通切込部45を有し、第1貫通切込部45の両端を接続する直線上に延びる部分が第1折り目46を成す背板4と、第1貫通切込部45及び第1折り目46により区画され、背板4と同一面上に位置するスタンド部収納角度位置P11と第1折り目46を回動軸としてスタンド部収納角度位置P11から外側に回動させたスタンド部展開角度位置P12との間で揺動可能であるスタンド部6と、スタンド部展開角度位置P12に位置するスタンド部6と係合し、スタンド部6の揺動を規制するスタンド保持部7と、を含む本体1を備え、本体1の第1方向D1における一方側の端部が第1部分11を成し、本体1の第2方向D2における一方側の端部が第2部分12を成し、スタンド部6は、スタンド部展開角度位置P12において第1部分11が位置する第1平面B1上に延びる第1支持縁61と、スタンド部展開角度位置P12において第2部分12が位置する第2平面B2上に延びる第2支持縁62と、を有する。これによって、被額装物Sの模様の形に応じた向きで被額装物Sを収納し、被額装物Sの収納状態に応じた姿勢をとらせて被額装物Sを飾ることができる。よって、窓部25に被額装物Sの模様の全体が収まらず、一部が切れてしまうことを防止することができる。また、卓上や棚上等の任意の場所に飾ることができる。
【0050】
背板4は、第2貫通切込部47を有し、第2貫通切込部47の両端を接続する直線上に延びる部分が第2折り目48を成し、スタンド保持部7は、第2貫通切込部47及び第2折り目48により区画された部分であり、背板4と同一面上に位置する保持部収納角度位置P21と第2折り目48を回動軸として保持部収納角度位置P21から外側に回動させた保持部展開角度位置P22との間で揺動可能であり、保持部展開角度位置P22においてスタンド部展開角度位置P12に位置するスタンド部6と係合してもよい。これによって、スタンド部6の揺動を適切に規制することができる。
【0051】
第1貫通切込部45は、背板4の法線方向から見て第1部分11から離れる方向に向かって延びた後に第1部分11に近づく方向に延び、スタンド部収納角度位置P11とスタンド部展開角度位置P12とが成す角は90度以上であり、スタンド保持部7は、第2折り目48と直交する方向における先端に形成された頭部71と、頭部71の第2折り目48側に形成され、頭部71よりも第2折り目48が延びる方向における幅が狭い首部72とを有し、スタンド部6は、スタンド部展開角度位置P12において頭部71及び首部72が挿通される第1挿通孔63と、第1挿通孔63のスタンド部6の第1折り目46側に連続して形成され、第2折り目48が延びる方向における幅が頭部71よりも狭く首部72よりも広い第2挿通孔64を有してもよい。これによって、スタンド部6の揺動を適切に規制することができる。
【0052】
表板2、周壁3及び背板4は、一枚のブランクシート101から組み立てられてもよい。これによって、被額装物Sの位置合わせを行ってから組み立てを行うことで、表板2、第1側板33、第2側板34、第3側板35、背板4の上縁によって囲まれる領域から被額装物Sを挿入する場合と比べ、被額装物Sの位置ずれや、被額装物Sが皺になることを効果的に防止することができる。
【0053】
表板2及び背板4は、それぞれ一対の側縁を有し、周壁3は、表板2の一方の側縁と背板4の一方の側縁とに折り目を介して連続する第1側板33と、表板2の他方の側縁に折り目を介して連続する第2側板34と、背板4の他方の側縁に折り目を介して連続する第3側板35と、第2側板34に第3側板35を固定する固定手段とを有してもよい。これによって、組み立て時における被額装物Sの位置ずれを効果的に防止することができる。
【0054】
第1貫通切込部45及び第1折り目46により区画された部分の内側に配置される内側背板91を更に備えていてもよい。これによって、スタンド部6をスタンド部展開角度位置P12に位置させたときに背板4に形成される開口部を内側から覆うことができ、被額装物Sを保護することができる。
【0055】
被額装物Sは、折り畳まれた布製品であり、布製品の折り畳まれた形状を維持する折畳形状維持具96を更に備えていてもよい。これによって、柔軟な被額装物Sである布製品の形状が崩れることを防止することができる。特に、柔軟な被額装物Sを額装具に収容した場合、額装具を起こすと重力により本体1の内部でずれ落ちて下方に偏ってしまう場合があった。額装具100は、折り畳んだ被額装物Sの内側に折畳形状維持具96が位置することで、本体1の内側面と被額装物Sとの隙間を減少させることができ、表板2及び背板4に被額装物Sを挾んで保持することができる。また、被額装物Sの折畳形状維持具96からはみ出した部分を折畳形状維持具96に載せるように折り返すことで、折り返した部分の厚みがより一層増し、より確実に表板2及び背板4に被額装物Sを挾んで保持することができる。
【0056】
第1平面B1と窓部25が延在する平面とが成す角は78度以上82度未満であってもよい。これによって、窓部25を通して被額装物Sを視認しやすく、且つ設置面Aに安置することができる。
【0057】
上記実施の形態においては、被額装物Sとして、Tシャツを例示したがこれに限られるものではない。これに代えて、その他のシャツに適用してもよい。また、シャツに限られるものではなく、その他の衣服、タオル、手拭い等の布製品を飾るために適用してもよい。
【0058】
また、周壁3や背板4に被額装物Sの内容や被額装物Sを入手した日付を記入するための記入欄を設けてもよい。これによって、額装具100を本棚に収容し、窓部25が隠れている状態においても、周壁3の記入欄を確認することで、被額装物Sの内容を容易に判別することができる。
【0059】
また、表板2の形状は、長方形に限られるものではなく、任意の形状であってもよい。
【0060】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。したがって、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【符号の説明】
【0061】
A 設置面
B1 第1平面
B2 第2平面
D1 第1方向
D2 第2方向
P11 スタンド部収納角度位置
P12 スタンド部展開角度位置
P21 保持部収納角度位置
P22 保持部展開角度位置
S 被額装物
2 表板
3 周壁
4 背板
6 スタンド部
7 スタンド保持部
11 第1部分
12 第2部分
25 窓部
45 第1貫通切込部
46 第1折り目
47 第2貫通切込部
48 第2折り目
61 第1支持縁
62 第2支持縁
100 額装具
図1
図2
図3
図4
図5