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特開2023-120990燃料集合体の装荷方法および燃料集合体連結治具
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  • 特開-燃料集合体の装荷方法および燃料集合体連結治具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120990
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】燃料集合体の装荷方法および燃料集合体連結治具
(51)【国際特許分類】
   G21C 19/19 20060101AFI20230823BHJP
   G21C 3/33 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
G21C19/19 060
G21C3/33 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024165
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】鶴来 昌樹
(72)【発明者】
【氏名】俵谷 侑吾
(57)【要約】
【課題】地震発生時の燃料集合体の撓みを従来に比べて低減させ、制御棒の挿入性を向上させることが可能な燃料集合体の装荷方法および燃料集合体連結治具を提供する。
【解決手段】燃料集合体10の装荷方法は、炉心3に燃料集合体10を複数本装荷する工程と、燃料集合体10のうち、少なくとも隣接する燃料集合体10の上端側構造の相互の水平方向の移動を拘束する燃料集合体連結治具18を炉心3の上部から設置する工程と、とを有する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料集合体を装荷する方法であって、
原子炉炉心に前記燃料集合体を複数本装荷する工程と、
前記燃料集合体のうち、少なくとも隣接する前記燃料集合体の上端側構造の相互の水平方向の移動を拘束する治具を前記原子炉炉心の上部から設置する工程と、とを有する
ことを特徴とする燃料集合体の装荷方法。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料集合体の装荷方法において、
前記上端側構造を、前記燃料集合体のハンドル部とする
ことを特徴とする燃料集合体の装荷方法。
【請求項3】
請求項1に記載の燃料集合体の装荷方法において、
前記治具を設置する工程では、上部格子板の同一セル内の前記燃料集合体に対して前記治具を設置する
ことを特徴とする燃料集合体の装荷方法。
【請求項4】
原子炉炉心を構成する複数本の燃料集合体のうち、少なくとも隣接する前記燃料集合体の上端側構造の相互の水平方向の移動を拘束する連結治具であって、
各々の前記上端側構造に固定される固定部を有する
ことを特徴とする燃料集合体連結治具。
【請求項5】
請求項4に記載の燃料集合体連結治具において、
前記上端側構造は、前記燃料集合体のハンドル部であり、
前記固定部は、前記ハンドル部のうち少なくとも一部分に挿入されるものである
ことを特徴とする燃料集合体連結治具。
【請求項6】
請求項5に記載の燃料集合体連結治具において、
前記固定部は、前記ハンドル部を押圧保持する板バネを有する
ことを特徴とする燃料集合体連結治具。
【請求項7】
請求項4に記載の燃料集合体連結治具において、
前記燃料集合体連結治具は、上部格子板の同一セル内の前記燃料集合体を拘束するものである
ことを特徴とする燃料集合体連結治具。
【請求項8】
請求項5に記載の燃料集合体連結治具において、
前記燃料集合体連結治具は、上部格子板の同一セル内の隣接する2つの前記燃料集合体を拘束するものである
ことを特徴とする燃料集合体連結治具。
【請求項9】
請求項5に記載の燃料集合体連結治具において、
前記燃料集合体連結治具は、上部格子板の同一セル内の4つの前記燃料集合体を拘束するものである
ことを特徴とする燃料集合体連結治具。
【請求項10】
請求項5に記載の燃料集合体連結治具において、
複数の前記固定部の相対位置関係を固定する連結部を有する
ことを特徴とする燃料集合体連結治具。
【請求項11】
請求項10に記載の燃料集合体連結治具において、
前記連結部は、冷却材を通過させるための孔を有する
ことを特徴とする燃料集合体連結治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料集合体の装荷方法および燃料集合体連結治具に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料集合体の相対変位を大幅に減少させ、短時間の反応度印加を防止するとともに、変位しても反応度の印加のないC格子炉心化を図ることを目的として、特許文献1には、水平格子状の上部格子板と、この上部格子板の複数の格子内にそれぞれ複数立設されその上部格子板により上部を水平方向に支持される、角筒形チャンネルボックスを有する燃料集合体と、上部格子板の下方より上記複数本の燃料集合体の間に挿入される制御棒と、燃料集合体近傍の中性子束を検出する手段と、中性子束が所定値を越えたときに制御棒を挿入する手段と、を具備する沸騰水型原子炉において、地震時に検出手段により検出された中性子束が所定値を越えない程度に、上部格子板の格子内の複数本の燃料集合体同士間の相対変位を拘束する手段を有する、ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07-209461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
沸騰水型原子炉の炉心には、複数の燃料集合体が装荷されている。
【0005】
燃料集合体は、例えば、酸化ウランなどの核燃料物質を含む複数の燃料ペレットを充填し、密封された複数の燃料棒、燃料棒の上端部を支持する上部タイプレート、燃料棒の下端部を支持する下部タイプレート、燃料棒間の間隔を保持する複数の燃料スペーサ、水ロッド、及び横断面が正方形状である角筒状のチャンネルボックスを有する。
【0006】
チャンネルボックスは、上端部が上部タイプレートに取り付けられて下部タイプレートに向かって伸びており、軸方向に配置された複数の燃料スペーサによって束ねられた複数の燃料棒を取り囲んでいる。
【0007】
水ロッドは燃料集合体の横断面の中央部に配置され、水ロッドの周囲には、複数の燃料棒が配置される。水ロッドの下端部が下部タイプレートに支持され、水ロッドの上端部が上部タイプレートに支持される。
【0008】
各々の燃料棒は、被覆管を有している。この被覆管の下端部を下部端栓で封鎖するとともに、被覆管の上端部を上部端栓で封鎖しており、核燃料物質を含む複数の燃料ペレットを被覆管内に充填して構成される。
【0009】
原子炉圧力容器の底部には、複数の制御棒駆動機構ハウジングが取り付けられている。制御棒駆動機構ハウジングの上部には制御棒案内管が配置されており、制御棒案内管の上部が炉心支持板に嵌め込まれている。制御棒駆動機構ハウジングの内部には、制御棒駆動機構が配置されており、制御棒案内管に配置されている十字断面の制御棒と接続されている。
【0010】
制御棒は、燃料支持金具に形成される十字断面の貫通孔を通って、4体の燃料集合体間の水ギャップに挿入される。
【0011】
通常運転時の沸騰水型原子炉の反応制御は、制御棒を制御棒駆動機構で上下に駆動させることにより、炉心の中性子量を制御するようになっている。また、大きな地震が発生するなどの緊急時は、全制御棒を炉心に挿入して沸騰水型原子炉を緊急停止(以下、「スクラム」という)させるようになっている。
【0012】
ここで、地震発生時は、地震の揺れによって燃料集合体が弓なりに撓む。このため、制御棒を炉心に挿入する際に、燃料集合体と制御棒とが接触し、摩擦抗力が制御棒に作用する。そのため、通常運転時の制御棒挿入時間よりも、地震発生時の制御棒挿入時間の方が長くなることが知られている。したがって、地震発生時の燃料集合体の撓みを低減させることにより、スクラム時における制御棒挿入時間をできるだけ短くすることが求められている。
【0013】
地震による燃料集合体の撓みを低減することを目的とした技術として、特許文献1がある。この特許文献1には、断面四角形状のチャンネルボックス内に複数の燃料棒を格子状に配列し、チャンネルボックスの上部および下部にそれぞれ上部タイプレートおよび下部タイプレートを固定する燃料集合体において、チャンネルボックスの複数の上部を互いに固定する横揺れ防止手段を有することが記載されている。
【0014】
しかしながら、特許文献1で開示された方法では、チャンネルボックスに固定金具を差し込んで燃料集合体を固定しているため、固定金具とチャンネルボックスとの接触面に地震時の加振力が加わることとなる。
【0015】
ここで、チャンネルボックスは主に冷却水の流路の確保、制御棒のガイドおよび燃料棒の固定と保護を目的としており、薄肉構造で剛性が小さいため、地震荷重に対して拘束力が低下する可能性があった。
【0016】
本発明は、地震発生時の燃料集合体の撓みを従来に比べて低減させ、制御棒の挿入性を向上させることが可能な燃料集合体の装荷方法および燃料集合体連結治具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、燃料集合体を装荷する方法であって、原子炉炉心に前記燃料集合体を複数本装荷する工程と、前記燃料集合体のうち、少なくとも隣接する前記燃料集合体の上端側構造の相互の水平方向の移動を拘束する治具を前記原子炉炉心の上部から設置する工程と、とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、地震発生時の燃料集合体の撓みを従来に比べて低減させ、制御棒の挿入性を向上させることができる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】沸騰水型原子炉の内部構造を示すために一部を切断して示した斜視図である。
図2】沸騰水型原子炉に配置される燃料集合体の支持構造を示す斜視図である。
図3】第1実施形態に係る燃料集合体連結治具の斜視図である。
図4】第1実施形態に係る燃料集合体連結治具を炉心に装荷した状態を示す平面図である。
図5】第2実施形態に係る燃料集合体連結治具の上面図である。
図6】第3実施形態に係る燃料集合体連結治具の斜視図である。
図7】第3実施形態に係る燃料集合体連結治具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の燃料集合体の装荷方法および燃料集合体連結治具の実施形態を、図面を用いて説明する。なお、本明細書で用いる図面において、同一のまたは対応する構成要素には同一、または類似の符号を付け、これらの構成要素については繰り返しの説明を省略する場合がある。
【0021】
<第1実施形態>
本発明の燃料集合体の装荷方法および燃料集合体連結治具の第1実施形態について図1乃至図4を用いて説明する。
【0022】
最初に、本実施形態の燃料集合体の装荷方法および燃料集合体連結治具が好適に適用される沸騰水型原子炉の概略構成について図1を用いて説明する。図1は、第1実施形態に係る沸騰水型原子炉1の内部構造を示すために一部を切断して示した斜視図である。
【0023】
図1に示すように、沸騰水型原子炉1は、原子炉圧力容器2と、炉心3と、炉心シュラウド4と、制御棒案内管5と、制御棒駆動機構ハウジング6と、上部格子板7と、炉心支持板8と、を備え、炉心3に複数の燃料集合体10が装荷される構成になっている。
【0024】
原子炉圧力容器2の内部には、複数の燃料集合体10が装荷される炉心3と、炉心3を構成する燃料集合体10を取り囲む炉心シュラウド4と、制御棒17(後述する図2参照)が格納される制御棒案内管5と、炉心シュラウド4の上部に配置され燃料集合体10の横方向の支持の役目を持つ格子形状をした上部格子板7と、炉心シュラウド4の下部に配置され燃料集合体10を支持する炉心支持板8と、が配置されている。
【0025】
原子炉圧力容器2の底部には、複数の制御棒駆動機構ハウジング6が設けられている。制御棒駆動機構ハウジング6の上部は、原子炉圧力容器2の底部を貫通しており、制御棒案内管5の下部と接続されている。制御棒案内管5の上部は、炉心支持板8の燃料支持金具9(後述する図2参照)に嵌め込まれている。
【0026】
制御棒駆動機構ハウジング6の内部には、制御棒駆動機構(図示の都合上省略)が設けられており、制御棒案内管5に格納された制御棒17を炉心3に挿入することができるようになっている。
【0027】
図2は、第1実施形態に係る沸騰水型原子炉1に配置される燃料集合体10の支持構造を示す斜視図である。なお、図2において、手前側の燃料集合体10および上部格子板7の一部を切断して図示している。
【0028】
図2に示すように、炉心3を構成する燃料集合体10は、複数の燃料棒11が正方格子状に並べられており、側面はチャンネルボックス12で囲まれて構成されている。また、燃料集合体10やチャンネルボックス12の上部には、チャンネルファスナ13およびチャンネルスペーサ14が取り付けられている。
【0029】
燃料棒11の上部には、上部タイプレート15と燃料集合体ハンドル部16が配置されている。燃料交換時には燃料交換用の把持機構(図示省略)を用いて、燃料集合体ハンドル部16を把持することで燃料集合体10を炉心3に設置する、または炉心3から取り出す。
【0030】
炉心支持板8には、複数の燃料支持金具9が配置されている。燃料集合体10は、4体を1組として、燃料支持金具9によって支持されるようになっている。これにより、4体を1組として支持される燃料集合体10の相互間には、間隙が形成される。燃料支持金具9の下側には、制御棒案内管5の上部が嵌め込まれている。
【0031】
制御棒17は、制御棒駆動機構ハウジング6(図1参照)の内部に設けられた制御棒駆動機構(図示省略)により駆動される。制御棒駆動機構(図示省略)を動作させることにより、十字断面の制御棒17は、制御棒案内管5から燃料支持金具9に形成される十字断面の貫通孔9aを通って、4体を1組として支持される燃料集合体10の間の間隙に挿入される。
【0032】
図3に本実施形態の燃料集合体連結治具18の概要を、図4に本実施形態の燃料集合体連結治具18を燃料集合体10の上部に設置した様子を、炉心上方から見たときの平面図を示す。
【0033】
図3に示す燃料集合体連結治具18は、炉心3を構成する複数本の燃料集合体10のうち、少なくとも隣接する燃料集合体10の燃料集合体ハンドル部16(上端側構造)の相互の水平方向の移動を拘束する治具であって、燃料集合体ハンドル部挿入部18a、連結治具ハンドル部18b、抜け止め用板バネ18c、平板18dを有する。
【0034】
燃料集合体ハンドル部挿入部18aは、上部格子板7の同一セル内の隣接する2つの燃料集合体10の燃料集合体ハンドル部16の各々のうち少なくとも一部分が下方から挿入されることでその水平方向の相対的位置関係を固定する部分であり、燃料集合体ハンドル部16を押圧保持する抜け止め用板バネ18cを少なくとも1個以上有している。
【0035】
連結治具ハンドル部18bは、燃料集合体連結治具18を炉心3の上部から設置する際に燃料交換用の把持機構により燃料集合体連結治具18を持ち上げるために設けられており、燃料集合体ハンドル部16と略同じ役割を果たすものである。
【0036】
平板18dは、複数の燃料集合体ハンドル部挿入部18aの相対位置関係を固定するための部材である。
【0037】
このような燃料集合体連結治具18は、燃料集合体10が燃料交換用の把持機構を用いて炉心3に複数本装荷(炉心3に燃料集合体10を複数本装荷する工程)された後に、同じ燃料交換用の把持機構を用いて、連結治具ハンドル部18bを把持して、燃料集合体10の上方から、隣接する燃料集合体ハンドル部16それぞれを燃料集合体ハンドル部挿入部18aに挿入するように装荷される(燃料集合体連結治具18を炉心3の上部から設置する工程)。
【0038】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0039】
上述した本発明の第1実施形態の燃料集合体10の装荷方法は、炉心3に燃料集合体10を複数本装荷する工程と、燃料集合体10のうち、少なくとも隣接する燃料集合体10の上端側構造の相互の水平方向の移動を拘束する燃料集合体連結治具18を炉心3の上部から設置する工程と、とを有する。
【0040】
近年、耐震評価基準が厳しくなり、燃料変位が許容値を超える可能性が増加しており、燃料集合体10が沸騰水型原子炉1の建屋と共振することを回避したい、との要求がある。燃料集合体10は、地震発生時に上端ピンによる支持に類似する振動をするため、より高剛性な支持に変えることが効果的であることが本発明者らの検討により明らかとなった。
【0041】
ここで、特許文献1で用いることにしているチャンネルボックス12は荷重を負担することを想定して設計されている構造部材ではなく、大きな地震荷重を受けると拘束部に生じる反力で損傷する可能性がある。しかも、拘束部が一か所のため、反力が集中する虞があるため、損傷のリスクが高い。
【0042】
また、地震時の衝撃で抜けないような重量にすると、運転時の自重などで例えば高温下でのクリープ損傷などが生じかねず、チャンネルボックス12や上部格子板7が損傷を受ける可能性がある。
【0043】
そこで、構造が強固な燃料集合体10の上端側構造を連結し、燃料集合体10の上端部のそれぞれの挙動の不一致を利用して、相互に拘束させることで高剛性な支持を行えることを着想した。また、燃料集合体連結治具18を炉心3の上部から設置する構造とすることで、自重による抜け止めを採用せずに済み、過大に重量が大きくなることを防ぐことができる。従って、燃料集合体10の部材に与える損傷を低減し、かつ燃料集合体10の撓みを従来に比べて低減させ、制御棒17の挿入性を向上させることができる。また、燃料集合体10の位置を相互に拘束するため、隣接する燃料集合体10間の間隙を一定に保持することができ、制御棒17の挿入性向上を効率的に図ることができる。
【0044】
また、上端側構造を、燃料集合体10の燃料集合体ハンドル部16とする。燃料集合体10の燃料集合体ハンドル部16とそれが接続している上部タイプレート15は燃料集合体10の基本の構造部材であり、設計時にある程度の荷重を想定して設計されており、相互の水平方向の移動を拘束する際に燃料集合体連結治具18を設置する対象として非常に好適である。また、複数個所で拘束できるため、反力も集中せず、損傷の可能性をより低くすることが可能である。
【0045】
更に、燃料集合体連結治具18を設置する工程では、上部格子板7の同一セル内の燃料集合体10に対して燃料集合体連結治具18を設置することで、燃料集合体連結治具18を上部格子板7を跨いだ構造とする必要が無く、燃料集合体連結治具18を軽量な構造とすることができる。
【0046】
また、燃料集合体ハンドル部挿入部18aは、燃料集合体ハンドル部16を押圧保持する抜け止め用板バネ18cを有することにより、燃料集合体連結治具18と燃料集合体ハンドル部16との固定をより強固なものとすることができ、より効果的に燃料集合体10の上端側構造の相互の水平方向の移動をより強固に拘束することが可能となる。
【0047】
更に、燃料集合体連結治具18は、上部格子板7の同一セル内の隣接する2つの燃料集合体10を拘束するものであることで、燃料集合体連結治具18の構造を最も小さい構造とでき、軽量な構造とすることができる。
【0048】
また、複数の燃料集合体ハンドル部挿入部18aの相対位置関係を固定する平板18dを有することにより、燃料集合体10の互いの水平方向移動を抑制することができる。
【0049】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態の燃料集合体の装荷方法および燃料集合体連結治具について図5を用いて説明する。図5は第2実施形態に係る燃料集合体連結治具の上面図である。
【0050】
図5に示すように、本実施形態の燃料集合体連結治具18Aは、図3に示す第1実施形態のような燃料集合体連結治具18の4体分の燃料集合体ハンドル部挿入部18aを平板18d1で連結したものであり、上部格子板7の同一セル内の4つの燃料集合体10を拘束するものである。そのうえで、平板18d1の中央に連結治具ハンドル部18bが配置される。また、平板18d1は、開口部18e1を設け、軽量化を図る。
【0051】
その他の構成・動作は前述した第1実施形態の燃料集合体の装荷方法および燃料集合体連結治具と略同じ構成・動作であり、詳細は省略する。
【0052】
本発明の第2実施形態の燃料集合体の装荷方法および燃料集合体連結治具においても、前述した第1実施形態の燃料集合体の装荷方法および燃料集合体連結治具とほぼ同様な効果が得られる。
【0053】
また、燃料集合体連結治具18Aは、上部格子板7の同一セル内の4つの燃料集合体10を拘束することにより、上部格子板7の同一セル内に燃料集合体連結治具18Aを装荷する回数は1回となり、第1実施形態の燃料集合体連結治具18を装荷する回数(4回)に比べて4分の1になり、作業時間の短縮を図ることができる。
【0054】
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態の燃料集合体の装荷方法および燃料集合体連結治具について図6および図7を用いて説明する。図6および図7は第3実施形態に係る燃料集合体連結治具の斜視図である。
【0055】
図6に示すように、本実施形態の燃料集合体連結治具18Bは、2つの燃料集合体ハンドル部挿入部18a間に配置された平板18d2に冷却水を流す複数の円形の孔18e2を設け、冷却流路の圧損の低減を図ったものである。
【0056】
なお、冷却水を流すための構造は円形の孔18e2に限られず、図7に示す燃料集合体連結治具18Cのように、2つの燃料集合体ハンドル部挿入部18a間に配置された平板18d3に格子状の孔18e3を設けることができる。
【0057】
その他の構成・動作は前述した第1実施形態の燃料集合体の装荷方法および燃料集合体連結治具と略同じ構成・動作であり、詳細は省略する。
【0058】
本発明の第3実施形態の燃料集合体の装荷方法および燃料集合体連結治具においても、前述した第1実施形態の燃料集合体の装荷方法および燃料集合体連結治具とほぼ同様な効果が得られる。
【0059】
また、平板18d2,18d3は、冷却材を通過させるための孔18e2,18e3を有することで、冷却流路の圧損の低減を図ることができる。
【0060】
<その他>
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0061】
また、ある実施形態の構成の一部を他実施形態の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施形態の構成に他実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0062】
1…沸騰水型原子炉
2…原子炉圧力容器
3…炉心
4…炉心シュラウド
5…制御棒案内管
6…制御棒駆動機構ハウジング
7…上部格子板
8…炉心支持板
9…燃料支持金具
9a…貫通孔
10…燃料集合体
11…燃料棒
12…チャンネルボックス
13…チャンネルファスナ
14…チャンネルスペーサ
15…上部タイプレート
16…燃料集合体ハンドル部
17…制御棒
18,18A,18B,18C…燃料集合体連結治具
18a…燃料集合体ハンドル部挿入部(固定部)
18b…連結治具ハンドル部
18c…抜け止め用板バネ
18d,18d1,18d2,18d3…平板(連結部)
18e1…開口部
18e2,18e3…孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7