(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120995
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】設計支援システム及び設計支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/13 20200101AFI20230823BHJP
【FI】
G06F30/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024174
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】丸山 祥広
(72)【発明者】
【氏名】横山 元
(72)【発明者】
【氏名】岩田 岳大
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 遼也
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146AA04
5B146DG01
5B146DL08
(57)【要約】
【課題】現場とBIMとの間において情報の共通化を図ることができる設計支援システム及び設計支援プログラムを提供する。
【解決手段】建築物の建設現場の各工程における基準点を示す座標データであって、複数の異なる座標系における座標データを取得可能な座標データ取得部(操作入力部12及び演算部13)と、座標データ取得部が一の基準点を示す座標データを取得すると、取得した座標データを、一の基準点に用いられた座標系とは異なる座標系における座標データに変換する座標データ変換部(演算部13)と、変換前の座標系における座標データ又は変換後の座標系における座標データに基づいて、基準点モデルを建築物のBIMモデル上に配置するモデル配置部(演算部13)と、基準点モデルを示す座標データとして、変換前の座標系における座標データ及び変換後の座標系における座標データを表示可能な表示部14と、を具備する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の建設現場の各工程における基準点を示す座標データであって、複数の異なる座標系における座標データを取得可能な座標データ取得部と、
前記座標データ取得部が一の基準点を示す座標データを取得すると、前記取得した座標データを、前記座標データ取得部によって取得可能な複数の座標系のうち前記一の基準点に用いられた座標系とは異なる座標系における座標データに変換する座標データ変換部と、
前記一の基準点を示す前記座標データ変換部による変換前の座標系における座標データ、又は前記座標データ変換部による変換後の座標系における座標データに基づいて、前記基準点のBIMモデルである基準点モデルを前記建築物のBIMモデル上に配置するモデル配置部と、
前記基準点モデルを表示可能であるとともに、前記基準点モデルを示す座標データとして、前記一の基準点に関し、前記座標データ変換部による変換前の座標系における座標データ、及び前記座標データ変換部による変換後の座標系における座標データを表示可能な表示部と、
を具備する設計支援システム。
【請求項2】
前記一の基準点を示す座標データに用いられる座標系には、
平面直角座標系の原点を用いる座標系、又は所定の基準点を原点として用いる座標系の少なくとも一方が含まれ、
前記一の基準点に用いられた座標系とは異なる他の座標系には、
平面直角座標系の原点を用いる座標系、又は所定の基準点を原点として用いる座標系の少なくとも他方が含まれる、
請求項1に記載の設計支援システム。
【請求項3】
複数の座標系の中から前記一の基準点を示す座標データに用いられる座標系を選択可能な座標系選択部を具備し、
前記座標データ変換部は、
前記座標系選択部によって前記一の基準点を示す座標データに用いられる座標系が選択されると、自動的に、前記一の基準点を示す座標系における座標データを前記他の座標系を用いる座標データに変換する、
請求項1又は請求項2に記載の設計支援システム。
【請求項4】
前記モデル配置部は、
前記座標系選択部によって前記一の基準点を示す座標データに用いられる座標系が選択されると、自動的に、前記基準点モデルを前記建築物のBIMモデル上に配置する、
請求項3に記載の設計支援システム。
【請求項5】
前記表示部は、
当該表示部の表示画面上にて前記基準点モデルが選択されることに応じて、前記一の基準点を示す前記変換部による変換前の座標系における座標データ、及び前記変換部による変換後の座標系における座標データを表示する、
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の設計支援システム。
【請求項6】
建築物の建設現場の各工程における基準点を示す座標データであって、複数の異なる座標系における座標データを取得する座標データ取得ステップと、
前記座標データ取得ステップにおいて一の基準点を示す座標データを取得すると、前記取得した座標データを、前記座標データ取得ステップにおいて取得可能な複数の座標系のうち前記一の基準点に用いられた座標系とは異なる座標系における座標データに変換する座標データ変換ステップと、
前記一の基準点を示す前記座標データ変換ステップによる変換前の座標系における座標データ、又は前記座標データ変換ステップによる変換後の座標系における座標データに基づいて、前記基準点のBIMモデルである基準点モデルを前記建築物のBIMモデル上に配置するモデル配置ステップと、
前記基準点モデルを表示させるとともに、前記基準点モデルを示す座標データとして、前記一の基準点に関し、前記座標データ変換ステップによる変換前の座標系における座標データ、及び前記座標データ変換ステップによる変換後の座標系における座標データを表示させる表示ステップと、
をコンピュータに実行させる、設計支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の設計を支援するための設計支援システム及び設計支援プログラムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の設計を支援するための設計支援システムとして、Building Information Modeling(BIM)を用いたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
具体的には、建築物の設計において、BIMモデルを作成することにより、デザイナーや設計者、施工監理者、工事施行業者などの間で建築物に関する情報の共有化を図ることができる。ここで、BIMモデルとは、建築物を構成する構成要素の形状、配設位置、材質等に関する情報(仕様情報)を有する三次元モデルである。このBIMモデルを用いて、三次元モデルを様々な角度から見た三次元図面が作成できる他、三次元図面を様々に切断したり、様々な角度から見た二次元図面を作成したりすることができる。ここで、建築物のBIMモデルは、建築物を構成する建材パーツや設備などの構成要素(オブジェクト)の集合体として構築される。この構成要素は種々の仕様情報を内包しており、この仕様情報は、変更や修正、追加が可能となり、変更や追加等の履歴も残すことができる。
【0004】
しかしながら、従来のBIMでは、現場(建築物の建設現場)でせっかく計測したデータがBIM上に反映されていない場合があり、現場とBIMとの間において情報の共通化が十分に図れているとはいえなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、現場とBIMとの間において情報の共通化を図ることができる設計支援システム及び設計支援プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、建築物の建設現場の各工程における基準点を示す座標データであって、複数の異なる座標系における座標データを取得可能な座標データ取得部と、前記座標データ取得部が一の基準点を示す座標データを取得すると、前記取得した座標データを、前記座標データ取得部によって取得可能な複数の座標系のうち前記一の基準点に用いられた座標系とは異なる座標系における座標データに変換する座標データ変換部と、前記一の基準点を示す前記座標データ変換部による変換前の座標系における座標データ、又は前記座標データ変換部による変換後の座標系における座標データに基づいて、前記基準点のBIMモデルである基準点モデルを前記建築物のBIMモデル上に配置するモデル配置部と、前記基準点モデルを表示可能であるとともに、前記基準点モデルを示す座標データとして、前記一の基準点に関し、前記座標データ変換部による変換前の座標系における座標データ、及び前記座標データ変換部による変換後の座標系における座標データを表示可能な表示部と、を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記一の基準点を示す座標データに用いられる座標系には、平面直角座標系の原点を用いる座標系、又は所定の基準点を原点として用いる座標系の少なくとも一方が含まれ、前記一の基準点に用いられた座標系とは異なる他の座標系には、平面直角座標系の原点を用いる座標系、又は所定の基準点を原点として用いる座標系の少なくとも他方が含まれるものである。
【0010】
請求項3においては、複数の座標系の中から前記一の基準点を示す座標データに用いられる座標系を選択可能な座標系選択部を具備し、前記座標データ変換部は、前記座標系選択部によって前記一の基準点を示す座標データに用いられる座標系が選択されると、自動的に、前記一の基準点を示す座標系における座標データを前記他の座標系を用いる座標データに変換するものである。
【0011】
請求項4においては、前記モデル配置部は、前記座標系選択部によって前記一の基準点を示す座標データに用いられる座標系が選択されると、自動的に、前記基準点モデルを前記建築物のBIMモデル上に配置するものである。
【0012】
請求項5においては、前記表示部は、当該表示部の表示画面上にて前記基準点モデルが選択されることに応じて、前記一の基準点を示す前記変換部による変換前の座標系における座標データ、及び前記変換部による変換後の座標系における座標データを表示するものである。
【0013】
請求項6においては、建築物の建設現場の各工程における基準点を示す座標データであって、複数の異なる座標系における座標データを取得する座標データ取得ステップと、前記座標データ取得ステップにおいて一の基準点を示す座標データを取得すると、前記取得した座標データを、前記座標データ取得ステップにおいて取得可能な複数の座標系のうち前記一の基準点に用いられた座標系とは異なる座標系における座標データに変換する座標データ変換ステップと、前記一の基準点を示す前記座標データ変換ステップによる変換前の座標系における座標データ、又は前記座標データ変換ステップによる変換後の座標系における座標データに基づいて、前記基準点のBIMモデルである基準点モデルを前記建築物のBIMモデル上に配置するモデル配置ステップと、前記基準点モデルを表示可能であるとともに、前記基準点モデルを示す座標データとして、前記一の基準点に関し、前記座標データ変換ステップによる変換前の座標系における座標データ、及び前記座標データ変換ステップによる変換後の座標系における座標データを表示させる表示ステップと、をコンピュータに実行させるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
請求項1においては、現場とBIMとの間において情報の共通化を図ることができる。
【0016】
請求項2においては、原点が異なる座標系の座標値をBIMに反映させることができる。
【0017】
請求項3においては、座標の変換の手間を低減することができる。
【0018】
請求項4においては、基準点モデルの配置の手間を低減することができる。
【0019】
請求項5においては、設計をし易くすることができる。
【0020】
請求項6においては、現場とBIMとの間において情報の共通化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る設計支援システムの構成を示したブロック図。
【
図3】現場において基準点の位置を測定する工程を示したフローチャート。
【
図4】(a)現況測量時の境界点、ベンチマークの位置を示した概略平面図。(b)道路上の基準墨の位置を示した概略平面図。(c)土間上の逃げ墨の位置を示した概略平面図。
【
図5】BIMへの基準点の取込み方法を示したフローチャート。
【
図6】
図5の続きであって、入力された基準点の座標系が公共座標系であった場合を示したフローチャート。
【
図7】
図5の続きであって、入力された基準点の座標系がベンチマーク座標系であった場合を示したフローチャート。
【
図8】
図5の続きであって、入力された基準点の座標系がプロジェクト座標系であった場合を示したフローチャート。
【
図9】ベンチマークの公共座標系のX座標、Y座標と、境界点の公共座標系及びベンチマーク座標系のX座標、Y座標を示した図。
【
図10】ベンチマークの公共座標系のX座標、Y座標と、基準墨の交点の公共座標系及びベンチマーク座標系のX座標、Y座標を示した図。
【
図11】基準点モデルの公共座標系の座標値、ベンチマーク座標系の座標値、プロジェクト座標系の座標値が表示された状態の表示画面を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、
図1を用いて、本発明の一実施形態に係る設計支援システム1の構成について説明する。
【0023】
設計支援システム1は、BIMモデルを用いることで、建築物の設計を支援するためのシステムである。設計支援システム1は、主としてユーザ端末10及び共有サーバ20を具備する。
【0024】
ユーザ端末10は、ユーザ(設計者)が建築物を設計する際に用いる端末である。ユーザ端末10としては、パーソナルコンピュータ等を用いることができる。ユーザ端末10は、建築物の構成要素である各部材にかかるBIMモデルを組み合わせ建築物全体にかかるBIMモデルを作成することで、建築物の設計を行うことができる。ユーザ端末10は、複数(
図1では3台)設けられる。ユーザ端末10の詳細については後述する。
【0025】
共有サーバ20は、各ユーザ端末10とネットワークNを介して接続されるものである。ネットワークNには、インターネット等の公衆ネットワーク、携帯電話網等の無線ネットワーク、LAN(Local Area Network)等が含まれる。共有サーバ20には、BIMモデルが格納される。
【0026】
共有サーバ20へのアクセスにはアクセス権限を要し、アクセス権限が付与されているユーザ端末10のみが共有サーバ20にアクセスでき、共有サーバ20に格納されている各種データを共有することができる。例えば、各設計段階の都度、BIMモデルが共有サーバ20に格納され、アクセス権限が付与されているユーザ端末10は共有サーバ20にアクセスして、共有サーバ20に格納されているBIMモデルを自身のユーザ端末10に取り込んだり、自身のユーザ端末10にて作成されたBIMモデルを共有サーバ20にアップしたりすることができる。
【0027】
以下、
図2を用いて、ユーザ端末10の構成について説明する。ユーザ端末10は、通信部11、操作入力部12、演算部13及び表示部14を具備する。
【0028】
通信部11は、共有サーバ20との通信を行う部分である。通信部11は、ユーザ端末10にて作成されたBIMモデルを共有サーバ20に送信したり、共有サーバ20にて格納されているBIMモデルを受信したりすることができる。
【0029】
操作入力部12は、ユーザの操作によって各種情報を入力する部分である。操作入力部12としては、キーボードやマウス等が用いられる。ユーザは、操作入力部12を用いて、BIMモデルの作成を行うことができ、すなわちBIMモデルを用いた建築物の設計を行うことができる。また、操作入力部12には、例えば現場で測定された測量点の座標値を入力することができる。
【0030】
演算部13は、各種演算を行う部分である。演算部13は、操作入力部12によって入力された測量点の座標系の変換を行うことができる。また、演算部13は、BIMモデル設計用のアプリケーションソフトウェアを起動することで、ユーザ端末10を、BIMモデルを作成可能な状態とすることができる。
【0031】
演算部13は、各種データを格納する格納部を有する。前記格納部には、通信部11にて受信されたBIMモデルや、ユーザ端末10で作成されたBIMモデルが格納される。BIMモデルは、建築物を構成する部材の各種情報(部材の名称、大きさ(幅、奥行き、高さ)、座標値、素材、メーカー、価格等)が紐付けられて保存されている。また、前記格納部には、操作入力部12によって入力された情報(例えば、測量点の座標値)が格納される。前記格納部には、各種処理のためのプログラムが格納される。演算部13は、前記プログラムを読み出して後述する各種処理を実行する。
【0032】
表示部14は、画像を表示するものである。表示部14は、BIMモデルを表示することができる。また、表示部14には、BIMモデルに紐付けられた各種情報を表示することができる。表示部14としては、液晶ディスプレイ等の表示デバイスが用いられる。
【0033】
このように構成された設計支援システム1においては、各ユーザ端末10で作成されたBIMモデルが共有サーバ20に保存されることで、デザイナーや設計者、施工監理者、工事施行業者などの間で建築物に関する情報を共有化することができる。
【0034】
ここで、建築物の建設現場では、工程ごとに基準点を設定し、この基準点の位置(座標値)を計測したうえで当該基準点を基準として施工、計測を行う。基準点の座標値としては、基準点のX座標値、Y座標値、Z座標値が計測される。以下では、
図3及び
図4を用いて、現場において行われる基準点の位置の計測工程について説明する。
【0035】
まず、
図3に示すステップS1において、現況測量時においてベンチマーク(BM)a1、境界点a2(
図4(a)参照)の位置を計測する。この工程においては、測量業者が、ベンチマークa1、及び建築物を建設予定の敷地の境界点a2の位置出しをする。ベンチマークa1は、建築物の高さ、平面的な位置の基準点となるものであり、主に既存工作物(電柱や塀、道路わきの側溝など)や、マンホール、杭、新設した木杭などの動かないものとされる。ベンチマークa1及び境界点a2の座標値は、光波測量機器等の測量機器で測定することができる。
【0036】
ベンチマークa1及び境界点a2の位置は、公共座標系の座標値で表される。ここで、「公共座標系」とは、平面直角座標系の原点(公共基準点)を原点とし、真北方向をY軸とした座標系である。公共座標系の原点は、日本を19の区域で分割されたそれぞれの区域に設定されている。
【0037】
ステップS1においてベンチマークa1及び境界点a2の座標値を計測した後、ベンチマークa1及び境界点a2に基づいて、道路上(敷地)に基準墨a3(
図4(b)参照)が引かれる(基準墨出しが行われる)。具体的には、基準墨出しにおいては、基準墨a3として、X軸方向に延びる基準墨a3x、Y軸方向に延びる基準墨a3yが引かれる。基準墨出しは、設計図面で指示されている建築物の高さや位置を明示するように、水平レーザーなどを使用して行われる。
【0038】
次に、ステップS2において、道路上の基準墨a3の交点(X軸方向に延びる基準墨a3xとY軸方向に延びる基準墨a3yとの交点)の位置を計測する。基準墨a3の交点の位置は、ベンチマーク座標系の座標値で表される。ここで、「ベンチマーク座標系」とは、ステップS1で定めたベンチマークa1を原点とし、真北方向をY軸とした座標系である。基準墨a3の交点の座標値は、光波測量機器等の測量機器で測定することができる。
【0039】
ステップS2において基準墨a3の交点の座標値を計測した後、この基準墨a3に基づいて、土間コンクリート等が打設される。そして、施工業者が、基準墨a3から一定の距離だけ離れた位置に、X軸方向及びY軸方向にそれぞれ延びるように、水平レーザーなどを使用して逃げ墨a4(
図4(c)参照)が引かれる(逃げ墨出しが行われる)。
【0040】
次に、ステップS3において、土間上の逃げ墨a4の位置を計測する。逃げ墨a4の位置は、プロジェクト座標系の座標値で表される。ここで、「プロジェクト座標系」とは、X軸方向に延びる基準墨a3xとY軸方向に延びる基準墨a3yとの交点である建物基準点a5を原点とし、基準墨a3yをY軸とした座標系である。本実施形態においては、X軸方向に延びる基準墨a3xのうち最も南側の基準墨a3xと、Y軸方向に延びる基準墨a3yのうち最も西側の基準墨a3との交点を、建物基準点a5とする。建物基準点a5の座標値は、光波測量機器等の測量機器で測定することができる。
【0041】
以上のように、現場において行われる計測工程においては、工程ごとに、公共座標系、ベンチマーク座標系、プロジェクト座標系の3つの座標系で基準点(ベンチマークa1、境界点a2、基準墨a3、逃げ墨a4、建物基準点a5)の位置が示される。
【0042】
しかしながら、従来、現場でせっかく計測した基準点の情報がBIM上に反映されておらず、現場とBIMとの間において情報の共通化が十分に図れているとはいえなかった。
【0043】
また、上述したように、現場では、工程が進むごとに様々な座標系の基準点を設置し、工程ごとに各基準点を使用して施工、計測を行う。ここで、現況測量時に用いられる公共座標系における座標値は、地表面(球面)を平面に変換し補正をかけた値であるので、公共座標系とベンチマーク座標系及びプロジェクト座標系とでは、単に原点を合わせただけでは、座標値にズレが生じる。このように、用いられる座標系が工程ごとに異なるため、異なる工程で取得された計測データ同士の比較が困難であった。
【0044】
そこで、本実施形態に係る設計支援システム1においては、現場で測定した各基準点の3つの座標系を互いに補完しあうように、各基準点が当該基準点の座標値の座標系以外の他の座標値も備えるようにして、基準点をBIMに取り込む。
【0045】
以下、
図5から
図8のフローチャートを用いて、BIMへの基準点の取り込み方法について説明する。なお、BIMへ基準点を取り込む際には、対象の建築物のBIMモデルを、共有サーバ20からユーザ自身のユーザ端末10に取り込み、表示部14に表示した状態で行われる。
【0046】
ステップS11において、ユーザが、現場で測定した基準点座標データを入力する。ここで、「基準点座標データ」とは、各工程の基準点(ベンチマークa1、境界点a2、基準墨a3、逃げ墨a4、建物基準点a5)の座標値であり、公共座標系、ベンチマーク座標系又はプロジェクト座標系のいずれかの座標系の座標値である。このステップにおいて、各工程の基準点のうち一つの基準点の座標値が入力されると、次のステップS12が行われる。
【0047】
ステップS12において、操作入力部12に入力された基準点座標データは、CSVデータとして演算部13の前記格納部に格納される。
【0048】
次に、ステップS13において、CSVデータ(操作入力部12に入力された基準点の座標値)の座標系が選択される。このステップにおいては、ユーザは、操作入力部12を用いて、入力したCSVデータの座標系、すなわち基準点の座標値がどの座標系で表されたものなのかを、公共座標系、ベンチマーク座標系、プロジェクト座標系の中から選択する。この選択は、例えば、表示部14に表示される選択画面によって行われる。
【0049】
次に、ステップS14において、CSVデータの座標系が公共座標系であるか否かの判断が行われる。この判断は演算部13によって行われる。CSVデータの座標系が公共座標系であると判断された場合、(ステップS14で「YES」)、
図6に示すステップS21に移行する。
【0050】
ステップS21において、CSVデータのベンチマーク座標系の座標値が計算される。この計算は演算部13によって行われる。すなわち、このステップにおいては、演算部13が、CSVデータの座標値を、公共座標系の座標値からベンチマーク座標系の座標値に変換する。以下、この変換の方法について説明する。
【0051】
図9において、x
1,y
1はベンチマークa1の公共座標系の座標値(X座標値、Y座標値)、x
2,y
2は境界点a2の公共座標系の座標値を示している(
図4(a)参照)。境界点a2の座標値を、公共座標系の座標値x
2,y
2からベンチマーク座標系の座標値x,yに変換する場合、まず、ベンチマークa1の公共座標系の座標値x
1,y
1と境界点a2のベンチマーク座標系の座標値x,yとの距離Sを、以下の数1を用いて算出する。
【0052】
S=√{(x2-x1)2+(y2-y1)2}/αβ (数1)
なお、上記数1では、{(x2-x1)2+(y2-y1)2}が√内に収まっている。ここで、αは縮尺係数、βは投影補正を示している。
【0053】
そして、ベンチマークa1から境界点a2へ向かう方向角T(Y軸に対する角度)を、以下の数2を用いて算出する。
【0054】
T=tan-1(y2-y1/x2-x1) (数2)
【0055】
そうすると、境界点a2のベンチマーク座標系の座標値x,yは、以下の数3及び数4を用いて算出することができる。
【0056】
x=SsinT (数3)
y=ScosT (数4)
【0057】
また、境界点a2のベンチマーク座標系の座標値z(Z座標値)は、以下の数5を用いて算出することができる。
【0058】
z=z2-z1 (数5)
ここで、z1はベンチマークa1の公共座標系のZ座標値、z2は境界点a2の公共座標系のZ座標値を示している。
【0059】
このようにして、基準点の座標値を、公共座標系の座標値からベンチマーク座標系の座標値に変換することができる。
【0060】
次に、ステップS22において、建築物のBIMモデルにおいて、ベンチマーク座標系の座標値の位置に、基準点モデル(基準点のBIMモデル)を配置する。基準点モデルは、基準点を建築物の構成要素の1つとしてモデル化した、構成要素のBIMモデルのことである。この配置は演算部13によって自動的に行われる。
【0061】
次に、ステップS23において、ベンチマーク座標系への変換に使用したパラメータ(縮尺係数、投影補正、ベンチマーク座標系の座標値等)を、基準点モデル内に格納する(基準点モデルと紐付けて保存する)。
【0062】
次に、ステップS24において、基準点のプロジェクト座標系の座標値を計算する。この計算は演算部13によって行われる。すなわち、このステップにおいては、演算部13が、基準点モデルのベンチマーク座標系の座標値をプロジェクト座標系の座標値に変換する。
【0063】
[プロジェクト座標計算方法]
プロジェクト座標系のY軸(今回の場合、基準墨a3y)の方位角(真北方向から見た角度)をθ、建物基準点a5のベンチマーク座標系の座標値を(x1,y1,z1)とするとき、ベンチマーク座標系の座標値(x2,y2,z2)からプロジェクト座標系の座標値(x,y,z)への変換は下記の通りとなる。
x=x2cosθ-y2sinθ-x1
y=x2sinθ+y2cosθ-y1
z=z2
【0064】
次に、ステップS25において、プロジェクト座標系への変換に使用したパラメータ(プロジェクト座標系のY軸の方位角)を、基準点モデル内に格納する。
【0065】
次に、ステップS26において、公共座標系、ベンチマーク座標系、プロジェクト座標系の座標値を基準点モデル内に格納する。
【0066】
このようにして、基準点モデルをBIM上に取り込むことができる。また、基準点の座標値を、公共座標系の座標値から、ベンチマーク座標系の座標値及びプロジェクト座標系の座標値に変換し、各座標値を基準点モデルと紐付けて保存することができる。
【0067】
再び
図5のステップS14を参照する。ステップS14において、CSVデータの座標系が公共座標系でないと判断された場合、(ステップS14で「NO」)、ステップS15に移行する。
【0068】
ステップS15において、CSVデータの座標系がベンチマーク座標系であるか否かの判断が行われる。この判断は演算部13によって行われる。CSVデータの座標系がベンチマーク座標系であると判断された場合、(ステップS15で「YES」)、
図7に示すステップS31に移行する。
【0069】
ステップS31において、BIMにおいて、ベンチマーク座標系の座標値の位置に、基準点モデルを配置する。この配置は演算部13によって自動的に行われる。
【0070】
次に、ステップS32において、基準点の公共座標系の座標値が計算される。この計算は演算部13によって行われる。すなわち、このステップにおいては、演算部13が、CSVデータの座標値を、ベンチマーク座標系の座標値から公共座標系の座標値に変換する。以下、この変換の方法について説明する。以下では、ベンチマークa1及び境界点a2の公共座標系の座標値は、既に演算部13の前記格納部に格納されているものとする。
【0071】
図10において、x
1,y
1はベンチマークa1の公共座標系の座標値、x
3,y
3は基準墨a3の交点のベンチマーク座標系の座標値を示している(
図4(b)参照)。基準墨a3の交点の座標値を、ベンチマーク座標系の座標値x
3,y
3から公共座標系の座標値x,yに変換する場合、まず、ベンチマークa1の公共座標系の座標値x
1,y
1と基準墨a3の交点の公共座標系の座標値x,yとの距離sを、以下の数6を用いて算出する。
【0072】
s=αβ√(x3
2+y3
2) (数6)
ここで、αは縮尺係数、βは投影補正を示している。
【0073】
そして、ベンチマークa1から基準墨の交点へ向かう方向角t(Y軸に対する角度)を、以下の数7を用いて算出する。
【0074】
t=tan-1(x3/y3) (数7)
【0075】
そうすると、基準墨の交点のベンチマーク座標系の座標値x,yは、以下の数8及び数9を用いて算出することができる。
x=ssinT+x1 (数8)
y=scosT+y1 (数9)
【0076】
また、基準墨の交点のベンチマーク座標系の座標値z(Z座標値)は、以下の数10を用いて算出することができる。
【0077】
z=z3+z1 (数10)
ここで、z1はベンチマークa1の公共座標系のZ座標値、z3は基準墨の交点のベンチマーク座標系のZ座標値を示している。
【0078】
このようにして、基準点の座標値を、ベンチマーク座標系の座標値から公共座標系の座標値に変換することができる。
【0079】
次に、ステップS33において、公共座標系への変換に使用したパラメータ(縮尺係数、投影補正、公共座標系の座標値等)を、基準点モデル内に格納する。
【0080】
次に、ステップS34において、基準点のプロジェクト座標系の座標値を計算する。この計算は演算部13によって行われる。すなわち、このステップにおいては、演算部13が、CSVデータの座標値を、ベンチマーク座標系の座標値からプロジェクト座標系の座標値に変換する。この変換は、ベンチマーク座標系の座標値からプロジェクト座標系の座標値への変換の方法(ステップS24)と同様の方法で行うことができる。
【0081】
次に、ステップS35において、プロジェクト座標系への変換に使用したパラメータ(プロジェクト座標系のY軸の方位角)を、基準点モデル内に格納する(基準点モデルと紐付けて保存する)。
【0082】
次に、ステップS36において、公共座標系、ベンチマーク座標系、プロジェクト座標系の座標値を基準点モデル内に格納する。
【0083】
このようにして、基準点モデルをBIM上に取り込むことができる。また、基準点の座標値を、ベンチマーク座標系の座標値から、公共座標系の座標値及びプロジェクト座標系の座標値に変換し、各座標値を基準点モデル内に格納することができる。
【0084】
再び
図5を参照する。ステップS15において、CSVデータの座標系がベンチマーク座標系でないと判断された場合、(ステップS15で「NO」)、
図8に示すステップS41に移行する。
【0085】
ステップS41において、基準点のベンチマーク座標系の座標値が計算される。この計算は演算部13によって行われる。すなわち、このステップにおいては、演算部13が、CSVデータの座標値を、プロジェクト座標系の座標値からベンチマーク座標系の座標値に変換する。
【0086】
[ベンチマーク座標計算方法]
プロジェクト座標系のY軸(今回の場合、基準墨a3y)の方位角(真北方向から見た角度)をθ、建物基準点a5のベンチマーク座標系の座標値を(x1,y1,z1)とするとき、プロジェクト座標系の座標値(x2,y2,z2)からベンチマーク座標系の座標値(x,y,z)への変換は下記の通りとなる。
x=x2cosθ+y2sinθ+x1
y=-x2sinθ+y2cosθ+y1
z=z2
【0087】
次に、ステップS42において、BIMにおいて、ベンチマーク座標系の座標値の位置に、基準点モデル(基準点のBIMモデル)を配置する。この配置は演算部13によって行われる。
【0088】
次に、ステップS43において、ベンチマーク座標系への変換に使用したパラメータ(プロジェクト座標系のY軸の方位角)を、基準点モデル内に格納する。
【0089】
次に、ステップS44において、基準点の公共座標系の座標値が計算される。この計算は演算部13によって行われる。すなわち、このステップにおいては、演算部13が、CSVデータの座標値を、ベンチマーク座標系の座標値から公共座標系の座標値に変換する。この変換は、ベンチマーク座標系の座標値から公共座標系の座標値への変換の方法(
図7のステップS32)と同様の方法で行うことができる。
【0090】
次に、ステップS45において、公共座標系への変換に使用したパラメータ(縮尺係数、投影補正、公共座標系の座標値等)を、基準点モデル内に格納する。
【0091】
次に、ステップS46において、公共座標系、ベンチマーク座標系、プロジェクト座標系の座標値を基準点モデル内に格納する(基準点モデルと紐付けて保存する)。
【0092】
このようにして、基準点モデルをBIM上に取り込むことができる。また、基準点の座標値を、プロジェクト座標系の座標値から、公共座標系の座標値及びプロジェクト座標系の座標値に変換し、各座標値を基準点モデルと紐付けて保存することができる。
【0093】
以上で、BIMへの基準点の取り込みを終了する。
【0094】
ユーザ(設計者)によって建築物のBIMモデルが読み込まれ表示部14に表示された場合、当該BIMモデルに含まれる基準点モデルbもまた、表示部14に表示される(
図11参照)。ユーザによって、表示部14の表示画面上において基準点モデルbが選択(例えば、マウスを用いてクリック)されると、
図11に示すように、基準点モデルbの公共座標系の座標値、ベンチマーク(BM)座標系の座標値、プロジェクト座標系の座標値が表示部14の表示画面上に表示される。
【0095】
これにより、ユーザは、3つの座標系の座標値を参照しながら建築物の設計を行うことができる。したがって、ユーザは、建築物を構成する部材のBIMモデルをBIM上で配置する際に、所定の基準点の3つの座標値のうち設計上好ましい座標系の座標値に基づいて、配置位置を決定することができる。よって、ユーザによるBIMモデルを用いた建築物の設計を行い易くすることができる。
【0096】
以上のように、設計支援システム1においては、基準点をBIM上に反映させることにより、現場とBIMとの間において情報の共通化を図ることができる。具体的には、現場で測定された基準点の座標を設計データの作成に活用することができる。また、BIMにおける基準点の座標を、現場での施工(例えば墨出し)に活用することができる。このようにして、現場とBIMとでデータを行き来させながら、現場での施工及びBIMを用いた設計を進めていくことができる。
【0097】
また、設計支援システム1においては、CSVデータの座標系を選択するだけで(
図5のステップS13)、座標系の変換を自動的に行うため、ユーザによる座標変換の手間を低減させることができる。また、基準点の座標や座標系の変換に使用したパラメータをBIMで中央管理することができる。
【0098】
以上の如く、本実施形態に係る設計支援システム1は、
建築物の建設現場の各工程における基準点を示す座標データであって、複数の異なる座標系における座標データを取得可能な座標データ取得部(操作入力部12及び演算部13)と、
前記座標データ取得部が一の基準点を示す座標データを取得すると、前記取得した座標データを、前記座標データ取得部によって取得可能な複数の座標系のうち前記一の基準点に用いられた座標系とは異なる座標系における座標データに変換する座標データ変換部(演算部13)と、
前記一の基準点を示す前記座標データ変換部による変換前の座標系における座標データ、又は前記座標データ変換部による変換後の座標系における座標データに基づいて、前記基準点のBIMモデルである基準点モデルを前記建築物のBIMモデル上に配置するモデル配置部(演算部13)と、
前記基準点モデルを表示可能であるとともに、前記基準点モデルを示す座標データとして、前記一の基準点に関し、前記座標データ変換部による変換前の座標系における座標データ、及び前記座標データ変換部による変換後の座標系における座標データを表示可能な表示部14と、
を具備するものである。
【0099】
このような構成により、現場とBIMとの間において情報の共通化を図ることができる。
【0100】
また、前記一の基準点を示す座標データに用いられる座標系には、
平面直角座標系の原点を用いる座標系(公共座標系)、又は所定の基準点(平面直角座標系の原点以外の基準点)を原点として用いる座標系(ベンチマーク座標系、プロジェクト座標系)の少なくとも一方が含まれ、
前記一の基準点に用いられた座標系とは異なる他の座標系には、
平面直角座標系の原点を用いる座標系、又は所定の基準点を原点として用いる座標系の少なくとも他方が含まれるものである。
【0101】
このような構成により、原点が異なる座標系の座標値をBIMに反映させることができる。
【0102】
また、本実施形態に係る設計支援システム1は、
複数の座標系の中から前記一の基準点を示す座標データに用いられる座標系を選択可能な座標系選択部(操作入力部12、表示部14)を具備し、
前記座標データ変換部(演算部13)は、
前記座標系選択部によって前記一の基準点を示す座標データに用いられる座標系が選択されると、自動的に、前記一の基準点を示す座標系における座標データを前記他の座標系を用いる座標データに変換するものである。
【0103】
このような構成により、座標の変換の手間を低減することができる。
【0104】
また、前記モデル配置部(演算部13)は、
前記座標系選択部によって前記一の基準点を示す座標データに用いられる座標系が選択されると、自動的に、前記基準点モデルを前記建築物のBIMモデル上に配置するものである。
【0105】
このような構成により、基準点モデルの配置の手間を低減することができる。
【0106】
また、前記表示部14は、
当該表示部の表示画面上にて前記基準点モデルが選択されることに応じて、前記一の基準点を示す前記変換部による変換前の座標系における座標データ、及び前記変換部による変換後の座標系における座標データを表示するものである。
【0107】
このような構成により、設計をし易くすることができる。
【0108】
また、本実施形態に係る設計支援プログラムは、
建築物の建設現場の各工程における基準点を示す座標データであって、複数の異なる座標系における座標データを取得する座標データ取得ステップ(
図5のステップS12等)と、
前記座標データ取得ステップにおいて一の基準点を示す座標データを取得すると、前記取得した座標データを、前記座標データ取得ステップにおいて取得可能な複数の座標系のうち前記一の基準点に用いられた座標系とは異なる座標系における座標データに変換する座標データ変換ステップ(
図6のステップS21及びS24、
図7のステップS31及びS34、
図8のステップS41及びS44)と、
前記一の基準点を示す前記座標データ変換ステップによる変換前の座標系における座標データ、又は前記座標データ変換ステップによる変換後の座標系における座標データに基づいて、前記基準点のBIMモデルである基準点モデルを前記建築物のBIMモデル上に配置するモデル配置ステップ(
図6のステップS22、
図7のステップS32、
図8のステップS42)と、
前記基準点モデルを表示可能であるとともに、前記基準点モデルを示す座標データとして、前記一の基準点に関し、前記座標データ変換ステップによる変換前の座標系における座標データ、及び前記座標データ変換ステップによる変換後の座標系における座標データを表示させる表示ステップと、
をコンピュータに実行させるものである。
【0109】
このような構成により、現場とBIMとの間において情報の共通化を図ることができる。
【0110】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0111】
例えば、本実施形態においては、3つの座標系(公共座標系、ベンチマーク座標系、プロジェクト座標系)を互いに変換するものとしたが、2つの座標系を互いに変換するものであってもよく、あるいは4つ以上の座標系を互いに変換するものであってもよい。
【符号の説明】
【0112】
1 設計支援システム
12 操作入力部
13 演算部
14 表示部