(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120999
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】切削インサートのクランプ構造および刃先交換式切削工具
(51)【国際特許分類】
B23B 27/16 20060101AFI20230823BHJP
【FI】
B23B27/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024182
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】北嶋 純
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 翔太
【テーマコード(参考)】
3C046
【Fターム(参考)】
3C046EE01
3C046EE14
(57)【要約】
【課題】切削インサートをコンパクト化してコスト削減しつつ、切削インサートを保持するサポーターが、インサート取付座から意図せず取り外されたり脱落したりすることを抑制する。
【解決手段】サポーター3と、サポーター3に保持される切削インサート2と、を備え、サポーター3は、サポーター3の前方端部から後方に窪む凹状であり、切削インサート2が配置されるポケット33と、サポーター3を上下方向に貫通する貫通孔31aと、を有し、切削インサート2は、ポケット33から上側に抜き出し可能とされ、貫通孔31aには、クランプ部材6の一部が下側から挿入され、貫通孔31aは、貫通孔31aの内周面に配置され、クランプ部材6の一部が接触する被接触部31cと、貫通孔31aの内周面のうち被接触部31cよりも下側に配置され、被接触部31cよりも貫通孔31aの内部に突出する抜止め部31dと、を有する。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランプ部材により工具本体のインサート取付座に着脱可能に取り付けられる切削インサートのクランプ構造であって、
板状をなし、一対の板面が上下方向を向くサポーターと、
前記サポーターに保持され、少なくとも前方端部に切刃が配置される切削インサートと、を備え、
前記サポーターは、
前記サポーターの前方端部から後方に窪む凹状であり、前記切削インサートが配置されるポケットと、
前記サポーターを上下方向に貫通する貫通孔と、を有し、
前記切削インサートは、前記ポケットから上側に抜き出し可能とされ、
前記貫通孔には、前記クランプ部材の一部が下側から挿入され、
前記貫通孔は、
前記貫通孔の内周面に配置され、前記クランプ部材の一部が接触する被接触部と、
前記貫通孔の内周面のうち前記被接触部よりも下側に配置され、前記被接触部よりも前記貫通孔の内部に突出する抜止め部と、を有する、
切削インサートのクランプ構造。
【請求項2】
前記被接触部は、前記貫通孔の内周面のうち少なくとも後端部に配置され、
前記抜止め部は、前記貫通孔の内周面のうち少なくとも後端部に配置される、
請求項1に記載の切削インサートのクランプ構造。
【請求項3】
前記貫通孔は、上下反転対称形状である、
請求項1または2に記載の切削インサートのクランプ構造。
【請求項4】
前記サポーターは、
前記貫通孔が配置されるサポーター本体と、
前記サポーター本体に対して弾性変形可能であり、前記切削インサートを押圧する把持アームと、
前記サポーター本体と前記把持アームとの間に配置され、前記貫通孔の周囲を延び、前記ポケットに開口するスリットと、を有する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の切削インサートのクランプ構造。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の切削インサートのクランプ構造と、
前記インサート取付座を有する前記工具本体と、
前記インサート取付座に前記切削インサートのクランプ構造を固定する前記クランプ部材と、を備える、
刃先交換式切削工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削インサートのクランプ構造および刃先交換式切削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載の刃先交換式切削工具が知られている。この刃先交換式切削工具は、インサート取付座を有する工具本体と、硬質材料からなる切削インサートと、切削インサートを保持するキャリア本体と、切削インサートおよびキャリア本体をインサート取付座に固定するクランプ部材と、を備える。特許文献1では、キャリア本体を用いることで高価な切削インサートの外形をコンパクトに抑えることができ、コスト削減の効果が得られる。
【0003】
特許文献1では、クランプ部材としてクランプ駒が用いられている。クランプ駒は、キャリア本体および切削インサートを上側から押さえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
クランプ部材として、クランプ駒の代わりに、クランプレバーを用いる場合が考えられる。クランプレバーは、例えばL字状をなしており、工具本体の内部に収容される。クランプレバーの上下方向に延びる延伸部は、キャリア本体(以下、サポーターと呼ぶ)の貫通孔に下側から挿入され、貫通孔の内周面に接触する。クランプレバーの延伸部が貫通孔の内周面を押圧することで、サポーターはインサート取付座に押し付けられる。これにより、サポーターおよび切削インサートがインサート取付座に固定される。
【0006】
このように、クランプ部材の一部が貫通孔に下側から挿入される構成の場合、サポーターが意図せずインサート取付座から取り外されたり、脱落したりするおそれがある。詳しくは、例えば切削インサートの交換時などに、クランプ部材によるクランプを解除し、切削インサートをサポーターから取り外す際、切削インサートとサポーターとの間の摩擦抵抗や引っ掛かり等により、サポーターに上側へ向けた力が作用して、サポーターがクランプ部材の一部から上側に抜け出すおそれがある。
【0007】
本発明は、切削インサートをコンパクト化してコスト削減しつつ、切削インサートを保持するサポーターが、インサート取付座から意図せず取り外されたり脱落したりすることを抑制できる切削インサートのクランプ構造および刃先交換式切削工具を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの態様は、クランプ部材により工具本体のインサート取付座に着脱可能に取り付けられる切削インサートのクランプ構造であって、板状をなし、一対の板面が上下方向を向くサポーターと、前記サポーターに保持され、少なくとも前方端部に切刃が配置される切削インサートと、を備え、前記サポーターは、前記サポーターの前方端部から後方に窪む凹状であり、前記切削インサートが配置されるポケットと、前記サポーターを上下方向に貫通する貫通孔と、を有し、前記切削インサートは、前記ポケットから上側に抜き出し可能とされ、前記貫通孔には、前記クランプ部材の一部が下側から挿入され、前記貫通孔は、前記貫通孔の内周面に配置され、前記クランプ部材の一部が接触する被接触部と、前記貫通孔の内周面のうち前記被接触部よりも下側に配置され、前記被接触部よりも前記貫通孔の内部に突出する抜止め部と、を有する。
また、本発明の刃先交換式切削工具の一つの態様は、上述の切削インサートのクランプ構造と、前記インサート取付座を有する前記工具本体と、前記インサート取付座に前記切削インサートのクランプ構造を固定する前記クランプ部材と、を備える。
【0009】
本発明の切削インサートのクランプ構造および刃先交換式切削工具では、サポーターが切削インサートを保持することにより、例えば超硬合金などの高価な硬質材料からなる切削インサートの外形を小さく抑えることができる。このため、工具コストを削減できる。
【0010】
本発明の切削インサートのクランプ構造では、サポーターの貫通孔に下側からクランプ部材の一部が挿入され、貫通孔の被接触部に接触する。クランプ部材の一部が被接触部を押圧することで、サポーターおよび切削インサートがインサート取付座に固定される。また、切削インサートをサポーターから取り外すときには、クランプ部材の一部が被接触部を押圧する状態を解除し、切削インサートをポケットから上側へ抜き出すことができる。
【0011】
切削インサートをポケットから取り外すときに、切削インサートとポケットとの間の摩擦抵抗や引っ掛かり等(以下、引っ掛かり等と省略する場合がある)により、サポーターに上側へ向けた力が作用する場合がある。このような場合であっても、本発明によれば、クランプ部材の一部に対して、下側から抜止め部が接触するため、サポーターの上側への移動が抑制される。このため、サポーターがインサート取付座から意図せず取り外されたり、脱落したりするようなことが抑制される。サポーターが切削工具から落下したり紛失したりするなどの不具合が抑えられる。
【0012】
上記切削インサートのクランプ構造において、前記被接触部は、前記貫通孔の内周面のうち少なくとも後端部に配置され、前記抜止め部は、前記貫通孔の内周面のうち少なくとも後端部に配置されることが好ましい。
【0013】
この場合、クランプ部材の一部が、貫通孔の被接触部を後方へ向けて押圧するので、後方へ向けた押圧力によって、サポーターおよび切削インサートをインサート取付座に安定して固定することができる。
また、切削インサートをサポーターから取り外す際には、切削インサートとポケットとの間の引っ掛かり等により、サポーターを前方上側へ引っ張る力が作用する場合がある。このような場合でも、本発明の上記構成によれば、クランプ部材の一部に対して、後方下側から抜止め部が安定して接触するため、上述の本発明による作用効果がより格別なものとなる。
【0014】
上記切削インサートのクランプ構造において、前記貫通孔は、上下反転対称形状であることが好ましい。
【0015】
この場合、サポーターを上下反転させた姿勢でインサート取付座に配置した場合においても、上述と同様の抜止め機能が得られる。したがって、本発明の切削インサートのクランプ構造を、例えば勝手違いの切削工具に対しても適用可能である。すなわち、切削工具が右勝手の場合および左勝手の場合のいずれにおいても、同一のサポーターを共通品として使用できる。このため、サポーターの汎用性が高められ、かつ部材管理が容易である。
【0016】
上記切削インサートのクランプ構造において、前記サポーターは、前記貫通孔が配置されるサポーター本体と、前記サポーター本体に対して弾性変形可能であり、前記切削インサートを押圧する把持アームと、前記サポーター本体と前記把持アームとの間に配置され、前記貫通孔の周囲を延び、前記ポケットに開口するスリットと、を有することが好ましい。
【0017】
この場合、切削インサートのクランプ構造、すなわち切削インサートおよびサポーターを、クランプ部材によってインサート取付座に取り付けるクランプ時において、把持アームが、スリットの幅寸法を変化させるように弾性変形する。把持アームが弾性変形することで、把持アームは切削インサートを押圧する。把持アームによって、切削インサートをポケットに安定して固定できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一つの態様の切削インサートのクランプ構造および刃先交換式切削工具によれば、切削インサートをコンパクト化してコスト削減しつつ、切削インサートを保持するサポーターが、インサート取付座から意図せず取り外されたり脱落したりすることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、第1参考例の切削インサートのクランプ構造、および刃先交換式切削工具の一部を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1参考例の切削インサートのクランプ構造を示す斜視図である。
【
図3】
図3(a)は、切削インサートのクランプ構造を示す上面図であり、
図3(b)は、切削インサートのクランプ構造を示す前面図である。
【
図4】
図4は、切削インサートのクランプ構造を示す側面図である。
【
図5】
図5は、切削インサートを示す斜視図である。
【
図6】
図6(a)は、切削インサートを示す上面図であり、
図6(b)は、切削インサートを示す前面図であり、
図6(c)は、切削インサートを示す側面図である。
【
図8】
図8は、第2参考例の切削インサートのクランプ構造を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、第3参考例の切削インサートのクランプ構造を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、第4参考例の切削インサートのクランプ構造を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、第4参考例の切削インサートのクランプ構造を示す上面図である。
【
図12】
図12は、第4参考例のサポーターを示す斜視図である。
【
図13】
図13は、本実施形態の刃先交換式切削工具の一部を示す上面図である。
【
図14】
図14は、本実施形態の刃先交換式切削工具の一部を示す側面図である。
【
図15】
図15は、本実施形態の刃先交換式切削工具の一部を示す前面図である。
【
図16】
図16は、
図13のXVI-XVI断面を示す断面図であり、クランプ部材によりサポーターおよび切削インサートをクランプした状態を表している。
【
図17】
図17は、
図13のXVI-XVI断面を示す断面図であり、サポーターおよび切削インサートに対するクランプ部材によるクランプを解除した状態を表している。
【
図18】
図18は、本実施形態の切削インサートのクランプ構造を示す斜視図である。
【
図20】
図20(a)は、切削インサートを示す上面図であり、
図20(b)は、切削インサートを示す後面図であり、
図20(c)は、切削インサートを示す側面図である。
【
図24】
図24は、本実施形態の第1変形例の切削インサートのクランプ構造の一部を示す断面図であり、シート部材の図示は省略している。
【
図25】
図25は、本実施形態の第2変形例の切削インサートのクランプ構造の一部を示す断面図であり、シート部材の図示は省略している。
【
図26】
図26は、本実施形態の第3変形例の切削インサートのクランプ構造の一部を示す断面図であり、シート部材の図示は省略している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
まず、本発明と基本技術が共通しており、技術思想の一部が異なる参考例(第1~第4参考例)について、説明する。
<第1参考例>
第1参考例の切削インサートのクランプ構造10、およびこれを備える刃先交換式切削工具1について、
図1~
図7を参照して説明する。本参考例の刃先交換式切削工具1は、旋削加工(ターニング)に用いられる刃先交換式バイトであり、図示しない旋盤などの工作機械の刃物台等に着脱可能に装着される。なお本参考例では、刃先交換式切削工具1を、単に切削工具または工具などと呼ぶ場合がある。
【0021】
図1に示すように、刃先交換式切削工具1は、切削インサートのクランプ構造10と、インサート取付座5を有する工具本体4と、インサート取付座5に切削インサートのクランプ構造10を固定するクランプ部材6と、を備える。
切削インサートのクランプ構造10は、クランプ部材6により工具本体4のインサート取付座5に着脱可能に取り付けられる。切削インサートのクランプ構造10は、多角形柱状をなす切削インサート2と、切削インサート2を保持する板状のサポーター3と、を備える。
【0022】
図2に示すように、本参考例ではサポーター3が、中心軸C1を中心とする四角形板状である。サポーター3は、中心軸C1が延びる方向つまり中心軸C1の軸方向において、互いに反対方向を向く一対の板面3a,3bを有する。一対の板面3a,3bのうち一方の板面3aは、表面3aであり、他方の板面3bは、裏面3bである。またサポーター3は、サポーター3の4つの角部のうち1つの角部に配置される凹状のポケット33を有する(
図7参照)。ポケット33には、切削インサート2が配置される。
【0023】
〔方向の定義〕
本参考例では、サポーター3の一対の板面3a,3bが向く方向を、板厚方向または上下方向と呼ぶ。各図に示すXYZ直交座標系において、板厚方向は、Z軸方向に相当する。板厚方向のうち、裏面3bから表面3aへ向かう方向(+Z側)を上側と呼び、表面3aから裏面3bへ向かう方向(-Z側)を下側と呼ぶ。なお板厚方向は、サポーター3の中心軸C1の軸方向に相当する。このため板厚方向は、軸方向と言い換えてもよい。
板厚方向と直交する方向のうち、サポーター3のポケット33が配置される一の角部と、一の角部の対角に位置する他の角部とを通る所定方向を、前後方向と呼ぶ。前後方向は、X軸方向に相当する。前後方向のうち、他の角部から一の角部(ポケット33)へ向かう方向(-X側)を前方と呼び、一の角部から他の角部へ向かう方向(+X側)を後方と呼ぶ。
板厚方向および前後方向と直交する方向を、側方または左右方向と呼ぶ。側方は、Y軸方向に相当する。側方のうち一方側(+Y側)を左側と呼び、他方側(-Y側)を右側と呼ぶ。+Y側は、切削インサートのクランプ構造10を前方から見たときの左側に相当し、-Y側は、切削インサートのクランプ構造10を前方から見たときの右側に相当する。
【0024】
なお本参考例において、上側、下側、前方、後方、左側および右側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係以外の配置関係等であってもよい。
【0025】
また、サポーター3の中心軸C1と直交する方向を径方向と呼ぶ。径方向のうち、中心軸C1に近づく方向を径方向内側と呼び、中心軸C1から離れる方向を径方向外側と呼ぶ。
また、サポーター3の中心軸C1回りに周回する方向を周方向と呼ぶ。
なお中心軸C1は、サポーター中心軸C1と言い換えてもよく、軸方向は、サポーター軸方向と言い換えてもよい。また径方向は、サポーター径方向と言い換えてもよい。周方向は、サポーター周方向と言い換えてもよい。
【0026】
切削インサート2のインサート中心軸C2が延びる方向を、インサート軸方向と呼ぶ。切削インサート2のインサート中心軸C2は、サポーター3の中心軸C1よりも前方に位置し、中心軸C1と平行に延びる。すなわち、インサート軸方向は、サポーター軸方向、板厚方向および上下方向に相当する。
インサート中心軸C2と直交する方向をインサート径方向と呼ぶ。インサート径方向のうち、インサート中心軸C2に近づく方向をインサート径方向の内側と呼び、インサート中心軸C2から離れる方向をインサート径方向の外側と呼ぶ。
インサート中心軸C2回りに周回する方向をインサート周方向と呼ぶ。
【0027】
〔工具本体〕
工具本体4は、例えば鋼材等の金属製である。
図1に示すように、工具本体4は、略角柱状であり、図示しない工具中心軸に沿って延びる。インサート取付座5は、工具本体4の両端部(第1端部4aおよび図示しない第2端部)のうち、第1端部4aに配置される。なお本参考例において、工具中心軸が延びる方向を工具軸方向と呼んでもよい。また、工具軸方向のうち、第2端部から第1端部4aへ向かう方向を先端側と呼び、第1端部4aから第2端部へ向かう方向を後端側と呼んでもよい。工具本体4は、互いに反対方向を向く頂面41および底面42、互いに反対方向を向く一対の横面43,44、ならびに、第1端部4aの端面に位置する先端面45を有する。
【0028】
工具本体4の外面のうち、頂面41は、上側を向く。頂面41のうち工具本体4の第1端部4aつまり先端部に位置する部分は、第1端部4a以外の部分よりも、上側に突出する。また工具本体4は、傾斜面41aを有する。傾斜面41aは、頂面41のうち第1端部4aに位置する部分に配置される。傾斜面41aは、後方に向かうに従い下側に位置する傾斜した平面状である。工具本体4の外面のうち、底面42は、下側を向く。
【0029】
工具本体4の外面のうち、一方の横面43は、右側を向く。一方の横面43のうち工具本体4の第1端部4aに位置する部分は、第1端部4a以外の部分よりも、右側に突出する。工具本体4の外面のうち、他方の横面44は、左側を向く。
【0030】
工具本体4は、切削インサート2およびサポーター3が着脱可能に装着されるインサート取付座5と、クランプ部材6の後述するクランプネジ6bが螺着される図示しないネジ穴と、を有する。ネジ穴は、頂面41のうちインサート取付座5と傾斜面41aとの間に位置する部分に開口し、略上下方向に沿って延びる。
インサート取付座5は、板状のシート部材51を有する。シート部材51は、インサート取付座5の一部(底面)を構成する。シート部材51は、シート部材51を板厚方向に貫通するシート孔(図示省略)を有する。シート部材51は、シート孔に挿通される図示しないシート固定ネジにより、第1端部4aに固定される。本参考例ではシート部材51が、四角形板状である。シート部材51は、例えば超硬合金製等である。
【0031】
インサート取付座5は、工具本体4の第1端部4aつまり先端部において、頂面41、一方の横面43および先端面45に開口する。インサート取付座5は、工具本体4の頂面41、一方の横面43および先端面45から窪む凹状である。インサート取付座5は、切削インサートのクランプ構造10、すなわち切削インサート2およびサポーター3を受け入れ可能な凹所である。本参考例ではインサート取付座5が、略四角形凹状である。
【0032】
インサート取付座5は、切削インサート2の裏面22およびサポーター3の裏面3bと接触する底壁5aと、サポーター3の外周面3cと接触する側壁5bと、を有する。
底壁5aは、シート部材51の一対の板面のうち、上側を向く一方の板面(上面)により構成される。側壁5bは、複数設けられる。本参考例ではインサート取付座5が、一対の側壁5bを有する。本参考例では、上下方向から見て、一対の側壁5b間に形成される角度が、例えば、80°である。
【0033】
〔切削インサート〕
切削インサート2は、例えば、超硬合金製、PCD(多結晶ダイヤモンド)製、cBN(立方晶窒化ホウ素)製、サーメット製、セラミック製等である。切削インサート2は、工具本体4よりも硬度が高い硬質焼結体である。切削インサート2は、サポーター3のポケット33に着脱可能に取り付けられる。切削インサート2は、サポーター3にクランプされることにより、ポケット33に固定される。
【0034】
図2に示すように、本参考例の切削インサート2は、インサート中心軸C2を中心とする六角柱状である。切削インサート2の前後方向の寸法は、切削インサート2の左右方向の寸法よりも大きい。すなわち切削インサート2は、前後方向に延びる。切削インサート2の左右方向の寸法つまり幅寸法は、例えば、3mm以上6mm以下である。
【0035】
図5および
図6(a)~(c)に示すように、切削インサート2は、上下方向を向く表面21および裏面22と、表面21と裏面22とに接続される外周面23と、少なくとも表面21と外周面23とが接続される稜線部に配置される切刃24と、を有する。
【0036】
表面21は、多角形状であり、本参考例では、前後方向に長い六角形状である。表面21は、上側を向く。表面21は、すくい面26を有する。すくい面26は、表面21のうち前後方向の端部に配置される。すくい面26は、表面21のうち切刃24と隣接する部分に配置される。すくい面26は、切刃24と接続される。
【0037】
裏面22は、多角形状であり、本参考例では、前後方向に長い六角形状である。裏面22は、下側を向く。裏面22は、着座面27を有する。着座面27は、裏面22のうち前後方向の両端部間に位置する中間部分に配置される。着座面27は、インサート中心軸C2と垂直な方向に拡がる平面状である。着座面27は、インサート軸方向において、裏面22のうち着座面27以外の部分よりも突出する。着座面27は、インサート取付座5の底壁5aと接触する。
【0038】
外周面23は、インサート径方向の外側を向き、インサート周方向に延びる。外周面23は、逃げ面28を有する。逃げ面28は、外周面23のうちインサート軸方向の端部に配置される。逃げ面28は、外周面23のうち切刃24と隣接する部分に配置される。逃げ面28は、切刃24と接続される。
【0039】
外周面23は、インサート周方向に並ぶ6つの平面状の側壁23a,23b,23cを有する。具体的に、外周面23は、前方を向く一対の前側壁23aと、後方を向く一対の後側壁23bと、前側壁23aと後側壁23bとの間に位置し、側方を向く一対の横側壁23cと、を有する。
【0040】
前側壁23aは、外周面23のうち前方を向く部分に配置される。一対の前側壁23aは、インサート周方向に並んで配置される。本参考例では一対の前側壁23a間に、前方に向けて凸となる凸曲面部が配置される。
後側壁23bは、外周面23のうち後方を向く部分に配置される。一対の後側壁23bは、インサート周方向に並んで配置される。本参考例では一対の後側壁23b間に、後方に向けて凸となる凸曲面部が配置される。
横側壁23cは、外周面23のうち側方を向く部分に配置される。一対の横側壁23cは、左右方向(側方)において互いに反対方向を向く。すなわち、一対の横側壁23cのうち一方の横側壁23cは左側を向き、他方の横側壁23cは右側を向く。
【0041】
また外周面23は、被押圧面23dと、被拘束面23eと、を有する。つまり切削インサート2は、被押圧面23dと、被拘束面23eと、を有する。
被押圧面23dは、平面状である。すなわち本参考例では、被押圧面23dが、1つの平面部により構成される。被押圧面23dは、外周面23に一対設けられる。本参考例では一対の被押圧面23dは、一対の横側壁23cに配置される。つまり被押圧面23dは、少なくとも横側壁23cに配置される。すなわち、被押圧面23dは、外周面23のうち少なくとも側方を向く部分に配置される。
【0042】
被拘束面23eは、平面状である。被拘束面23eは、外周面23に一対設けられる。一対の被拘束面23eは、一対の後側壁23bに配置される。すなわち、被拘束面23eは、外周面23のうち後方を向く部分に配置される。被拘束面23eは、外周面23のうち被押圧面23dよりも後方に位置する部分に配置される。本参考例では、一対の被拘束面23eが、インサート周方向において、一対の被押圧面23d間に配置される。
【0043】
切刃24は、切削インサート2のうち少なくとも前方端部に配置される。切刃24は、すくい面26と逃げ面28とが接続される稜線部に配置される。切刃24は、前方に向けて突出する凸V字状である。切刃24は、コーナ刃部24aと、直線刃部24bと、を有する。
【0044】
コーナ刃部24aは、前方に向けて膨らむ凸曲線状である。直線刃部24bは、コーナ刃部24aの端部と接続され、直線状に延びる。直線刃部24bの刃長は、コーナ刃部24aの刃長よりも長い。本参考例では、コーナ刃部24aが延びる刃長方向の両端部に、一対の直線刃部24bが接続される。すなわち直線刃部24bは、切刃24に一対設けられる。本参考例では、インサート軸方向(上下方向)から見て、一対の直線刃部24b間に形成される角度が、例えば、80°である。
【0045】
本参考例では切削インサート2が、インサート軸方向つまり板厚方向において、表裏反転対称形状である。また切削インサート2は、前後方向において前後反転対称形状である。このため切刃24は、切削インサート2に複数設けられる。具体的に、切刃24は、表面21における前後方向の両端部に2つと、裏面22における前後方向の両端部に2つの計4つ設けられる。
【0046】
図2~
図4に示すように、切削インサート2がサポーター3に保持された状態で、切削インサート2の前方端部に位置する切刃24は、サポーター3よりも前方に突出して配置される。また切削インサート2の後方端部は、サポーター3の中心軸C1よりも前方に位置する。
【0047】
〔サポーター〕
サポーター3は、例えば鋼材等の金属製である。サポーター3は、切削インサート2よりも硬度が低く、靭性が高く、廉価な材料により構成される。サポーター3は、切削インサート2の外周面23を、側方および後方から保持する。本参考例ではサポーター3が、表裏反転対称形状である。
【0048】
サポーター3は、一対の板面3a,3bと、外周面3cと、を有する。一対の板面3a,3bは、上下方向を向く。一対の板面3a,3bのうち、一方の板面(表面)3aは、上側を向く。一方の板面3aは、中心軸C1と垂直な方向に拡がる平面状である。一対の板面3a,3bのうち、他方の板面(裏面)3bは、下側を向く。他方の板面3bは、中心軸C1と垂直な方向に拡がる平面状である。
【0049】
図3(b)および
図4に示すように、切削インサート2の表面21は、一方の板面3aよりも上側に突出して配置される。切削インサート2の裏面22のうち着座面27は、上下方向において他方の板面3bと同じ位置、つまりサポーター3の裏面3bと面一に配置される。着座面27および裏面3bは、インサート取付座5の底壁5aすなわちシート部材51の上面と接触する。
【0050】
図2~
図4および
図7に示すように、外周面3cは、上下方向の両端部が一対の板面3a,3bと接続される。外周面3cは、周方向(サポーター周方向)に並ぶ4つの側面3d,3eを有する。4つの側面3d,3eは、上下方向から見て略四角形状をなすサポーター3の4つの辺部に配置される。具体的に、外周面3cは、前方を向く一対の前側面3dと、後方を向く一対の後側面3eと、を有する。
【0051】
前側面3dは、外周面3cのうち前方を向く部分に配置される。前側面3dは、平面状である。一対の前側面3dは、周方向に並んで配置される。一対の前側面3d間には、ポケット33が開口する。本参考例では、
図3(a)に示すように上下方向から見て、一対の前側面3d間に形成される角度が、例えば、80°である。
【0052】
後側面3eは、外周面3cのうち後方を向く部分に配置される。一対の後側面3eは、周方向に並んで配置される。
図3(a)および
図4に示すように、各後側面3eは、周方向に並ぶ2つの平面部3f,3gを有する。2つの平面部3f,3gのうち、後側面3eの後方部分に配置される一方の平面部3fは、本体側平面部3fであり、後側面3eの前方部分に配置される他方の平面部3gは、アーム側平面部3gである。すなわち、外周面3cには、本体側平面部3fが一対設けられ、アーム側平面部3gが一対設けられる。
【0053】
本参考例では、
図3(a)に示すように上下方向から見て、一対の本体側平面部3f間に形成される角度が、例えば、80°である。また上下方向から見て、一対のアーム側平面部3g間に形成される角度は、例えば、86°である。すなわち、上下方向から見て、一対のアーム側平面部3g間に形成される角度は、一対の本体側平面部3f間に形成される角度よりも大きい。このため、上下方向から見た上面視で、アーム側平面部3gは、本体側平面部3fの仮想延長線Lよりも外側に出っ張る。また、上下方向から見て、一対のアーム側平面部3g間に形成される角度は、インサート取付座5の一対の側壁5b間に形成される角度よりも大きい。
【0054】
また
図2~
図4および
図7に示すように、サポーター3は、サポーター本体31と、把持アーム32と、ポケット33と、スリット34と、を有する。
【0055】
サポーター本体31は、サポーター3のうち中央部および後方部分に位置する。サポーター本体31は、前後方向に延びる。サポーター本体31のうち前方部分、つまりサポーター3の中央部に相当する部分は、略円筒状である。サポーター本体31のうち後方部分は、略三角形柱状である。サポーター本体31には、一対の本体側平面部3fが配置される。一対の本体側平面部3fは、サポーター本体31のうち後方を向く壁部に配置される。
サポーター本体31は、貫通孔31aと、拘束面31bと、を有する。貫通孔31aおよび拘束面31bは、サポーター本体31の前方部分に配置される。
【0056】
貫通孔31aは、サポーター3の中心軸C1上に位置し、サポーター本体31を板厚方向(上下方向)に貫通する。すなわち、貫通孔31aは、サポーター3を上下方向に貫通する。貫通孔31aは、板厚方向に延びて一対の板面3a,3bに開口する円孔状である。貫通孔31aの中心軸は、サポーター3の中心軸C1と同軸に配置される。サポーター3の貫通孔31aは、一般的なISO規格に準ずる四角形板状の切削インサート(菱形インサート)の貫通孔と、同一の内径寸法を有する。
図1に示すように、貫通孔31aには、貫通孔31aの上側から、クランプ部材6の後述するクランプ駒6aの突起部6eが挿入されて、係止される。すなわち貫通孔31aには、クランプ部材6の一部が挿入されて係止される。
【0057】
図2、
図3(a)および
図7に示すように、拘束面31bは、サポーター本体31のうち前方を向く壁部に配置される。拘束面31bは、四角形状の平面である。本参考例では拘束面31bが、一対設けられる。一対の拘束面31bは、周方向に並んで配置される。一対の拘束面31bは、左右方向において互いに対向する。一対の拘束面31bのうち左側の一方の拘束面31bは、前方に向かうに従い左側に位置する。一対の拘束面31bのうち右側の他方の拘束面31bは、前方に向かうに従い右側に位置する。すなわち、一対の拘束面31bは、前方に向かうに従い、左右方向において互いに離れる。一対の拘束面31bは、切削インサート2の一対の被拘束面23eと接触する。
【0058】
把持アーム32は、サポーター本体31から板厚方向と直交する方向に突出する。本参考例では把持アーム32が、サポーター本体31の側方を向く壁部のうち前後方向の略中央部から側方に突出し、周方向に延びて前方へ向かうように湾曲する。把持アーム32は、サポーター本体31の略円筒状の前方部分を径方向外側から囲うように延びる。把持アーム32の前方端部は、サポーター本体31よりも前方に突出する。すなわち把持アーム32は、サポーター本体31よりも前方に位置する部分を含む。把持アーム32は、サポーター本体31に対して弾性変形可能である。
把持アーム32には、アーム側平面部3gおよび前側面3dが配置される。アーム側平面部3gおよび前側面3dは、把持アーム32のうち径方向外側を向く壁部に配置される。
【0059】
本参考例では把持アーム32が、一対設けられる。一対の把持アーム32のうち左側の一方の把持アーム32は、サポーター本体31の左側を向く壁部から左側に突出し、周方向に沿って前方へ延びる。一対の把持アーム32のうち右側の他方の把持アーム32は、サポーター本体31の右側を向く壁部から右側に突出し、周方向に沿って前方へ延びる。
【0060】
把持アーム32は、押圧面32aを有する。押圧面32aは、把持アーム32の前方端部のうち側方を向く壁部に配置される。押圧面32aは、四角形状の平面である。本参考例では押圧面32aの表面積が、拘束面31bの表面積よりも大きい。
【0061】
押圧面32aは、一対の把持アーム32にそれぞれ設けられる。つまり押圧面32aは、一対設けられる。一対の押圧面32aは、左右方向において互いに対向する。一対の押圧面32aのうち左側の把持アーム32に設けられる一方の押圧面32aは、右側を向く。一対の押圧面32aのうち右側の把持アーム32に設けられる他方の押圧面32aは、左側を向く。各押圧面32aは、左右方向と略垂直な方向に拡がる。すなわち、一対の押圧面32aは、互いに略平行である。一対の押圧面32aは、切削インサート2の一対の被押圧面23dと接触する。把持アーム32の押圧面32aは、切削インサート2の被押圧面23dを側方から押圧する。すなわち、把持アーム32は、切削インサート2を押圧する。切削インサート2は、一対の押圧面32a間に挟持される。
【0062】
ポケット33は、サポーター3の前方端部から後方に窪む凹状である。ポケット33は、サポーター3の前方を向く壁部に開口し、前後方向に延びる。またポケット33は、サポーター3を板厚方向に貫通し、一対の板面3a,3bに開口する。ポケット33は、一対の拘束面31bおよび一対の押圧面32aにより画成される、切削インサート2の収容空間である。ポケット33は、一対の把持アーム32間に配置される。本参考例では、ポケット33の後方端部と、貫通孔31aの前方端部とが、互いに繋がる。すなわち、ポケット33と貫通孔31aとは、前後方向において互いに連通する。
【0063】
スリット34は、サポーター3を板厚方向に貫通し、一対の板面3a,3bに開口する。すなわちスリット34は、板厚方向においてサポーター3の両側に開口する。スリット34は、サポーター本体31と把持アーム32との間に配置される。具体的に、スリット34は、サポーター本体31のうち略円筒状の前方部分と、把持アーム32とを径方向に分断するように、これらの間に配置される。
【0064】
スリット34は、
図3(a)に示すように板厚方向から見て、サポーター3の中心軸C1回りに延びる。本参考例ではスリット34が、板厚方向から見て円弧状である。スリット34は、貫通孔31aの周囲を延び、ポケット33に開口する。
【0065】
スリット34は、ポケット33に開口するポケット開口部34aを有する。ポケット開口部34aは、スリット34のうち前方端部に配置される。スリット34がポケット開口部34aを介してポケット33に開口することで、把持アーム32は、その後方端部がサポーター本体31に片持ち状態で支持される。ポケット開口部34aは、拘束面31bと押圧面32aとの間に配置される。ポケット開口部34aは、切削インサート2の外周面23のうち、横側壁23cと後側壁23bとの間の稜線部と対向する。
【0066】
本参考例ではスリット34が、一対設けられる。一対のスリット34のうち、左側の一方のスリット34は、サポーター本体31の前方部分のうち左側(径方向外側)を向く壁部と、左側の一方の把持アーム32の右側(径方向内側)を向く壁部と、の間に配置される。一方のスリット34のポケット開口部34aは、左側の一方の拘束面31bと、左側の一方の押圧面32aとの間に配置され、右側に向けてポケット33に開口する。一対のスリット34のうち、右側の他方のスリット34は、サポーター本体31の前方部分のうち右側(径方向外側)を向く壁部と、右側の他方の把持アーム32の左側(径方向内側)を向く壁部と、の間に配置される。他方のスリット34のポケット開口部34aは、右側の他方の拘束面31bと、右側の他方の押圧面32aとの間に配置され、左側に向けてポケット33に開口する。
【0067】
〔クランプ部材〕
図1に示すように、クランプ部材6は、インサート取付座5に、切削インサートのクランプ構造10のうち少なくともサポーター3を固定する。クランプ部材6は、クランプ駒6aと、クランプネジ6bと、を有する。
【0068】
クランプ駒6aは、工具本体4の頂面41のうち第1端部4aに位置する部分の上側に配置される。クランプ駒6aは、前後方向に延びる。クランプ駒6aの前方端部は、インサート取付座5の上側に位置する。クランプ駒6aは、ネジ挿通孔6cと、スライド面6dと、突起部6eと、を有する。
【0069】
ネジ挿通孔6cは、クランプ駒6aを上下方向に貫通する。ネジ挿通孔6cは、クランプ駒6aのうち前後方向の両端部間に位置する中間部分に配置される。
スライド面6dは、クランプ駒6aの後方端部に配置され、下側を向く。スライド面6dは、後方に向かうに従い下側に位置する傾斜した平面状である。スライド面6dは、工具本体4の傾斜面41aと摺動可能に接触する。
【0070】
突起部6eは、クランプ駒6aの前方端部に配置され、クランプ駒6aの下面から下側に突出する。突起部6eは、上下方向に延びる柱状である。突起部6eは、サポーター本体31の貫通孔31aに上側から挿入される。突起部6eの外周面のうち後方を向く部分は、貫通孔31aの内周面と接触可能である。
【0071】
クランプネジ6bは、ネジ挿通孔6cに上側から挿入され、工具本体4の頂面41に開口するネジ穴に螺着される。クランプネジ6bをネジ穴にねじ込んでいく際、スライド面6dが傾斜面41a上を摺動し、クランプ駒6aは、下側へ移動しつつ後方へ引き込まれる。これにより、突起部6eが貫通孔31aの内周面を介して、サポーター本体31を後方へ引き込む。また、クランプ駒6aの前方端部の下面のうち、突起部6eの周囲に位置する部分が、サポーター本体31の上面、すなわちサポーター3の表面3aの一部に上側から接触し、サポーター本体31を下側へ押さえる。このようにして、サポーター本体31にクランプ部材6が係止される。
【0072】
また、クランプ部材6によってサポーター3が後方に引き込まれることで、一対の把持アーム32の各アーム側平面部3gが、インサート取付座5の一対の側壁5bに押圧されて、把持アーム32は弾性変形させられる。これにより、一対の把持アーム32の各押圧面32aが、切削インサート2の一対の被押圧面23dを側方から押圧し、切削インサート2が一対の把持アーム32間に挟持される。
【0073】
〔本参考例による作用効果〕
以上説明した本参考例の切削インサートのクランプ構造10および刃先交換式切削工具1では、サポーター3が切削インサート2を保持することにより、例えば超硬合金などの高価な硬質材料からなる切削インサート2の外形を小さく抑えることができる。このため、工具コストを削減できる。
【0074】
本参考例では、切削インサートのクランプ構造10、すなわち切削インサート2およびサポーター3を、クランプ部材6によってインサート取付座5に取り付けるクランプ時において、把持アーム32が弾性変形する。具体的には、クランプ部材6をサポーター本体31に係止し、このクランプ部材6に後方への引き込み力を付与することにより、把持アーム32のアーム側平面部3gをインサート取付座5の側壁5bに押し付けて、把持アーム32を弾性変形させる。把持アーム32が弾性変形することで、把持アーム32の押圧面32aが切削インサート2の被押圧面23dを押圧する。
【0075】
詳しくは、サポーター本体31の拘束面31bを切削インサート2の被拘束面23eに接触させた状態を維持したまま、把持アーム32を弾性変形させて、把持アーム32の押圧面32aで切削インサート2の被押圧面23dを押圧する。本参考例によれば、拘束面31bと押圧面32aとが、これらの間に位置するスリット34によって分断されており相対的に変位可能であるため、サポーター3の拘束面31bと切削インサート2の被拘束面23e、および、サポーター3の押圧面32aと切削インサート2の被押圧面23dとを、それぞれ安定して接触させることができる。つまり、サポーター3の拘束面31bおよび押圧面32aにより、切削インサート2の被拘束面23eおよび被押圧面23dを安定して押さえることができる。
【0076】
以上より本参考例によれば、切削インサート2をコンパクト化してコスト削減しつつ、切削インサート2を安定して保持可能である。
【0077】
また本参考例では、切削インサート2が、板厚方向において表裏反転対称形状であり、かつ前後方向において前後反転対称形状である。
この場合、1つの切削インサート2に切刃24が少なくとも4つ配置されるため、切削インサート2の工具寿命を延ばすことができる。
【0078】
また本参考例では、切削インサート2は、六角柱状であり、被拘束面23eは、外周面23のうち後側壁23bに配置され、被押圧面23dは、外周面23のうち少なくとも横側壁23cに配置される。
この場合、サポーター3によって、切削インサート2の外周面23のうち後側壁23bおよび横側壁23cを保持できる。サポーター3による切削インサート2の保持状態が安定する。
【0079】
また本参考例では、サポーター本体31の貫通孔31aに、クランプ部材6の一部(突起部6e)が挿入されて係止される。
この場合、簡素な構造により、クランプ部材6をサポーター本体31に係止させることができる。
【0080】
また本参考例では、サポーター3が四角形板状であり、貫通孔31aの中心軸は、サポーター3の中心軸C1と同軸に配置される。また切削インサート2の後方端部が、中心軸C1よりも前方に位置するので、切削インサート2と、クランプ駒6aの突起部6eとの干渉を抑えることができる。
この場合、例えば、一般的なISO規格に準ずる四角形板状の切削インサートがインサート取付座に装着される、既存の刃先交換式切削工具に対して、本参考例の切削インサートのクランプ構造10を適用可能である。すなわち、従来品の工具本体のインサート取付座に本参考例を搭載することができ、汎用性が高められる。
【0081】
また本参考例では、スリット34が、板厚方向から見てサポーター3の中心軸C1回りに延びる。
この場合、把持アーム32が弾性変形したときの押圧面32aの変位量、特に側方への変位量を大きく確保でき、把持アーム32によって切削インサート2を安定して保持できる。
【0082】
また本参考例では、スリット34が、板厚方向から見て円弧状である。
この場合、スリット34の一部に応力集中が生じることが抑えられ、スリット34を起点とするサポーター3の破損等が抑制される。
【0083】
また本参考例では、把持アーム32が一対設けられ、ポケット33は、一対の把持アーム32間に配置される。
この場合、一対の把持アーム32がそれぞれ弾性変形することにより、一対の把持アーム32の各押圧面32a同士の相対的な変位量が大きく確保される。このため、ポケット33への切削インサート2の着脱作業が容易である。特に、本参考例のように切削インサート2が小型化されていると、サポーター3への着脱時に切削インサート2が意図せず落下したり紛失したりすることが考えられるが、上記構成によれば着脱性が高められるため、このような落下や紛失が抑制される。
【0084】
また本参考例では、ポケット33と貫通孔31aとが互いに連通する。
この場合、サポーター本体31の略円筒状をなす前方部分のうち前端部(周壁の一部)が、ポケット33および貫通孔31aによって左右方向に分断されることになる。一対の拘束面31bが個別に変位可能となるため、各拘束面31bと各被拘束面23eとの密着性をより高めることができる。
【0085】
なお、本参考例は前述の構成に限定されず、例えば下記に説明するように、適宜構成の変更等が可能である。なお、後述する各参考例(第2~第4参考例)の図示においては、前述の第1参考例と同じ構成要素には同一の符号を付し、下記では主に異なる点について説明する。
【0086】
前述の第1参考例では、切削インサート2が、六角柱状である一例を挙げたが、これに限らない。切削インサート2は、例えば、六角柱状以外の八角柱状等であってもよい。
また切削インサート2が、表裏反転対称形状の両面タイプである一例を挙げたが、これに限らない。切削インサート2は、表裏反転対称形状ではない片面タイプであってもよい。
【0087】
前述の第1参考例では、クランプ部材6がクランプ駒6aおよびクランプネジ6bを有する一例を挙げたが、これに限らない。後述する本発明の実施形態で説明するように、クランプ部材は、例えばL字状のクランプレバーを有していてもよい。この場合、クランプレバーは、サポーター3の下側から貫通孔31aに挿入されて係止され、サポーター3に後方への引き込み力を付与する。
【0088】
図8は、第2参考例の切削インサートのクランプ構造60を示す斜視図である。この第2参考例では、把持アーム32およびスリット34が、サポーター3に各1つ設けられる。
【0089】
詳しくは、
図8に示す第2参考例では、サポーター3が、前述の第1参考例で説明した一対の把持アーム32のうち、左側の一方の把持アーム32を有し、右側の他方の把持アーム32を有していない。またサポーター3は、一対のスリット34のうち、左側の一方のスリット34を有し、右側の他方のスリット34を有していない。第2参考例のサポーター3は、他方の把持アーム32および他方のスリット34の代わりに、サポーター本体31と固定される固定アーム35を有する。
【0090】
固定アーム35は、サポーター本体31の右側に配置され、サポーター本体31と接続される。固定アーム35の前方端部は、サポーター本体31よりも前方に突出する。すなわち固定アーム35は、サポーター本体31よりも前方に位置する部分を含む。
【0091】
固定アーム35は、支持面35aを有する。支持面35aは、固定アーム35のうち、サポーター本体31よりも前方に突出する部分に配置される。支持面35aは、固定アーム35の前方端部のうち側方を向く壁部に配置される。支持面35aは、四角形状の平面である。第2参考例では、支持面35aの表面積が、拘束面31bの表面積よりも大きい。支持面35aは、左右方向と略垂直な方向に拡がる。
【0092】
固定アーム35の支持面35aは、把持アーム32の押圧面32aと、左右方向において対向する。第2参考例では、支持面35aと押圧面32aとが、互いに略平行である。固定アーム35の支持面35aは、切削インサート2の被押圧面23dを側方から支持する。すなわち、固定アーム35は、切削インサート2を支持する。詳しくは、支持面35aは、切削インサート2の右側を向く被押圧面23dと接触する。また、把持アーム32の押圧面32aは、切削インサート2の左側を向く被押圧面23dと接触する。切削インサート2は、押圧面32aと支持面35aとの間で挟持される。
【0093】
ポケット33は、把持アーム32と固定アーム35との間に配置される。ポケット33は、一対の拘束面31b、押圧面32aおよび支持面35aにより画成される。
この第2参考例によれば、切削インサートのクランプ構造60の構造を簡素化しつつ、前述の第1参考例と同様の作用効果が得られる。
【0094】
図9は、第3参考例の切削インサートのクランプ構造70を示す斜視図である。この第3参考例では、サポーター本体31の貫通孔31aの中心軸が、サポーター3の中心軸C1よりも後方に位置する。また貫通孔31aは、その上側の開口部に、上側に向かうに従い拡径するテーパ面を有する。またこの第3参考例では、ポケット33と貫通孔31aとが、互いに連通していない。このため一対の拘束面31b同士は、左右方向において互いに接続される。
【0095】
第3参考例では、クランプ部材6が、クランプ駒6aおよびクランプネジ6bの代わりに、皿ネジ6fを有する。皿ネジ6fは、その頭部の下面に、上側に向かうに従い拡径するテーパ面を有する。また特に図示しないが、工具本体4の頂面41のうち第1端部4aに位置する部分には、ネジ穴が開口する。ネジ穴は、上下方向に延びる。ネジ穴の中心軸は、貫通孔31aの中心軸よりも後方に位置する。
【0096】
この第3参考例において、貫通孔31aの上側から皿ネジ6fを挿入し、前記ネジ穴にねじ込んでいくと、皿ネジ6fの頭部のテーパ面のうち後方を向く部分が、貫通孔31aの開口部のテーパ面のうち前方を向く部分を押圧して、サポーター3に後方への引き込み力が付与される。クランプ部材6によってサポーター3が後方に引き込まれることで、一対の把持アーム32の各アーム側平面部3gが、インサート取付座5の一対の側壁5bに押圧されて、把持アーム32は弾性変形させられる。これにより、一対の把持アーム32の各押圧面32aが、切削インサート2の一対の被押圧面23dを側方から押圧し、切削インサート2は一対の把持アーム32間にクランプされる。この第3参考例においても、前述の第1参考例と同様の作用効果が得られる。
【0097】
図10~
図12は、第4参考例の切削インサートのクランプ構造80、切削インサート2およびサポーター3を示す。この第4参考例では、上述した第2参考例と同様に、サポーター3に把持アーム32およびスリット34が、各1つ設けられる。このため、上述した第2参考例と同様の作用効果が得られる。また第4参考例では、前述の第1参考例および第2参考例とは下記の点で構成が異なる。
【0098】
前述の第1参考例および第2参考例では、
図6(a)に示すようにインサート軸方向から見て、切削インサート2の六角形状をなす外周面23のうち、横側壁23cに相当する一辺の長さが、後側壁23bに相当する他の一辺の長さよりも長い。また切削インサート2の被拘束面23eは、後側壁23bのみに配置され、被押圧面23dは、横側壁23cのみに配置される。また
図7に示すように、把持アーム32の押圧面32aは、1つの平面部により構成される。
【0099】
これに対し第4参考例では、
図11に示すようにインサート軸方向から見て、切削インサート2の六角形状をなす外周面23のうち、横側壁23cに相当する一辺の長さが、後側壁23bに相当する他の一辺の長さよりも短い。そして第4参考例では、切削インサート2の被拘束面23eが、後側壁23bのうち後側部分に配置され、被押圧面23dは、横側壁23cと、後側壁23bのうち前側部分とにわたって配置される。すなわち第4参考例では、被押圧面23dが、横側壁23cに配置される部分23daと、後側壁23bに配置される部分23dbと、を有する。つまり被押圧面23dは、2つの平面部を有する。
【0100】
また把持アーム32の押圧面32aは、サポーター3の板厚方向から見て、凹V字状をなす。
図11および
図12に示すように、押圧面32aは、被押圧面23dのうち横側壁23cに配置される部分23daと接触する前押圧面部32aaと、被押圧面23dのうち後側壁23bに配置される部分23dbと接触する後押圧面部32abと、を有する。前押圧面部32aaおよび後押圧面部32abは、それぞれ平面状をなす。前押圧面部32aaは、第1平面部32aaと言い換えてもよく、後押圧面部32abは、第2平面部32abと言い換えてもよい。一対の拘束面31bのうち左側に配置される一方の拘束面31bと、後押圧面部32abとは、スリット34により分断される。なおこの第4参考例においても、押圧面32a全体の表面積は、1つの拘束面31bの表面積よりも大きい。
【0101】
また把持アーム32は、把持アーム32の前方端部のうち側方を向く壁部に、前押圧面部32aaと後押圧面部32abとの間に位置する凹状のぬすみ部32bを有する。ぬすみ部32bは、板厚方向に延びる溝状である。ぬすみ部32bは、切削インサート2の外周面23のうち横側壁23cと後側壁23bとが接続される稜線部と、隙間をあけて対向する。ぬすみ部32bが設けられることにより、切削インサート2の前記稜線部と、把持アーム32の押圧面32aとの接触が抑制される。
【0102】
また固定アーム35の支持面35aは、サポーター3の板厚方向から見て、凹V字状をなす。支持面35aは、被押圧面23dのうち横側壁23cに配置される部分23daと接触する前支持面部35aaと、被押圧面23dのうち後側壁23bに配置される部分23dbと接触する後支持面部35abと、を有する。前支持面部35aaおよび後支持面部35abは、それぞれ平面状をなす。前支持面部35aaは、第3平面部35aaと言い換えてもよく、後支持面部35abは、第4平面部35abと言い換えてもよい。一対の拘束面31bのうち右側に配置される他方の拘束面31bと、後支持面部35abとは、互いに接続されており、1つの平面上に並んで配置される。なおこの第4参考例においても、支持面35a全体の表面積は、1つの拘束面31bの表面積よりも大きい。
【0103】
また固定アーム35は、固定アーム35の前方端部のうち側方を向く壁部に、前支持面部35aaと後支持面部35abとの間に位置する凹状のぬすみ部35bを有する。ぬすみ部35bは、板厚方向に延びる溝状である。ぬすみ部35bは、切削インサート2の外周面23のうち横側壁23cと後側壁23bとが接続される稜線部と、隙間をあけて対向する。ぬすみ部35bが設けられることにより、切削インサート2の前記稜線部と、固定アーム35の支持面35aとの接触が抑制される。
この第4参考例によれば、切削インサート2のクランプ力をより高めることができる。
【0104】
<本実施形態>
次に、本発明の一実施形態の切削インサートのクランプ構造20、およびこれを備える刃先交換式切削工具11について、
図13~
図23を参照して説明する。なお本実施形態では、前述の第1~第4参考例と同じ構成については、同じ名称や符号を付すなどしてその説明を省略する場合がある。また方向の定義についても、特に説明しない限り、前述の参考例と同様である。
【0105】
図13~
図15に示すように、本実施形態の刃先交換式切削工具11は、前述の第1参考例で説明した刃先交換式切削工具1とは、工具の勝手が異なる。具体的に、第1参考例の刃先交換式切削工具1が右勝手であったのに対し、本実施形態の刃先交換式切削工具11は、左勝手である。
【0106】
「勝手」について、以下に詳しく説明する。切削インサート2のすくい面26を鉛直方向の上側に向けた工具姿勢において、この工具を工具軸方向の先端側から見たときに、切刃24の主切れ刃(直線刃部24b)が工具本体4から右側に出っ張って配置される場合が右勝手であり、左側に出っ張って配置される場合が左勝手である。
【0107】
また、本実施形態の刃先交換式切削工具11は、前述の第1~第4参考例で説明した刃先交換式切削工具1とは、工具本体4、ポケット33、貫通孔31a、切削インサート2およびクランプ部材6等の各構成が異なる。
【0108】
〔工具本体〕
本実施形態では、左側(+Y側)を向く他方の横面44のうち工具本体4の第1端部4aに位置する部分が、第1端部4a以外の部分よりも、左側に突出する。
インサート取付座5は、工具本体4の第1端部4aつまり先端部において、頂面41、他方の横面44および先端面45に開口する。インサート取付座5は、工具本体4の頂面41、他方の横面44および先端面45から窪む凹状である。
【0109】
図16に示すように、工具本体4は、雌ネジ孔46と、レバー収容部47と、ワッシャ部材48と、を有する。
【0110】
雌ネジ孔46は、工具本体4の第1端部4aに配置される。雌ネジ孔46は、インサート取付座5よりも後端側に位置し、インサート取付座5と隣り合って配置される。雌ネジ孔46は、略上下方向に延びており、具体的には、サポーター3の中心軸C1と略平行に延びる。雌ネジ孔46の両端部は、工具本体4の頂面41と底面42とに開口する。雌ネジ孔46は、内周面に雌ネジ部を有する。
【0111】
レバー収容部47は、工具本体4の第1端部4aの内部に配置される凹部または孔である。レバー収容部47は、クランプ部材6の後述するクランプレバー61の一部を収容する。レバー収容部47は、中心軸C1と直交する径方向に延びる。具体的に、レバー収容部47は、略工具軸方向に延びる。
【0112】
レバー収容部47の先端側の端部は、上下方向から見て、シート部材51のシート孔51aおよびサポーター3の貫通孔31aと重なる。レバー収容部47の先端部は、シート部材51のシート孔51aを通して、サポーター3の貫通孔31aと連通する。
レバー収容部47の後端側の端部は、雌ネジ孔46と接続される。レバー収容部47の後端部は、雌ネジ孔46と連通する。
【0113】
ワッシャ部材48は、例えば、半割りの円筒状である。ワッシャ部材48は、シート部材51よりも軟質の材料からなり、例えば鋼材等の金属製である。ワッシャ部材48は、サポーター中心軸C1を中心として上下方向に延びる。ワッシャ部材48は、シート孔51aおよびレバー収容部47の先端部にわたって配置される。ワッシャ部材48は、シート孔51aおよびレバー収容部47のうち、少なくとも中心軸C1よりも先端側に位置する部分に配置される。ワッシャ部材48は、後述するクランプレバー61と、シート部材51との接触を抑制する。
【0114】
〔切削インサート〕
図19および
図20に示すように、本実施形態の切削インサート2は、インサート中心軸C2を中心とするトリゴン型の六角柱状(六角形板状)である。
図20(a)に示す平面視で、切削インサート2は、その外周部に、インサート中心軸C2回りに交互に並ぶ鋭角の角部と鈍角の角部とを、各3つ有する。すなわち、切削インサート2は、その外周部に角部を計6つ有する。
【0115】
切削インサート2は、切削インサート2を上下方向に貫通するインサート貫通孔25を有する。インサート貫通孔25は、インサート中心軸C2を中心とする円孔状であり、上下方向に延びる。インサート貫通孔25の両端部は、切削インサート2の表面21と裏面22とに開口する。
【0116】
表面21は、多角形状であり、本実施形態では、トリゴン型の六角形状である。すくい面26は、表面21のうち少なくとも鋭角の角部に配置される。
【0117】
裏面22は、多角形状であり、本実施形態では、トリゴン型の六角形状である。裏面22は、複数の着座面27を有する。複数の着座面27は、インサート軸方向から見て、インサート中心軸C2を中心として互いに回転対称となる位置に配置される。すなわち、複数の着座面27は、インサート周方向において等ピッチで配置される。本実施形態では、裏面22に着座面27が3つ設けられる。各着座面27は、インサート軸方向から見て、インサート中心軸C2と、各鋭角の角部とを結ぶ図示しない仮想直線上に配置される。
【0118】
着座面27は、裏面22のうちインサート貫通孔25の径方向外側に配置される。本実施形態では着座面27が、インサート貫通孔25と隣接して配置される。着座面27は、インサート軸方向から見て、インサート径方向に延びる。すなわち、複数の着座面27は、インサート中心軸C2を中心として放射状に延びる。
【0119】
図20(b)および
図20(c)に示すように、着座面27は、裏面22のうち着座面27以外の部分よりもインサート軸方向に突出する。切削インサート2がインサート取付座5に取り付けられたときに、各着座面27は、インサート取付座5の底壁5aと接触する。
【0120】
図20(a)に示すように、切削インサート2の被拘束面23eは、後側壁23bのうち後側部分に配置される。切削インサート2の被押圧面23dは、横側壁23cと、後側壁23bのうち前側部分とにわたって配置される。すなわち、被押圧面23dは、横側壁23cに配置される部分23daと、後側壁23bに配置される部分23dbと、を有する。つまり被押圧面23dは、2つの平面部を有する。
【0121】
切刃24は、切削インサート2の鋭角の角部に配置される。切刃24は、コーナ刃部24aと、一対の直線刃部24bと、を有する。インサート軸方向(上下方向)から見て、一対の直線刃部24b間に形成される角度は、例えば、80°である。
【0122】
本実施形態では切削インサート2が、インサート軸方向つまり上下方向において、表裏反転対称形状である。また切削インサート2は、インサート中心軸C2を中心として120°回転対称形状である。このため切刃24は、切削インサート2に複数設けられる。具体的に、切刃24は、表面21における各鋭角の角部に3つと、裏面22における各鋭角の角部に3つの計6つ設けられる。
【0123】
〔サポーター〕
図18および
図21~
図23に示すように、サポーター3は、サポーター本体31と、把持アーム32と、ポケット33と、スリット34と、固定アーム35と、を有する。
【0124】
図21および
図22に示すように、本実施形態では、把持アーム32の押圧面32aが、前押圧面部32aaと、後押圧面部32abと、を有する。前押圧面部32aaは、上下方向から見て、前方へ向かうに従い右側に向けて延びる。
図18に示すように、前押圧面部32aaは、切削インサート2の被押圧面23dのうち横側壁23cに配置される部分23daと接触する。後押圧面部32abは、切削インサート2の被押圧面23dのうち後側壁23bに配置される部分23dbと接触する。
【0125】
図21および
図22に示すように、本実施形態では、固定アーム35の支持面35aが、前支持面部35aaと、後支持面部35abと、を有する。前支持面部35aaは、上下方向から見て、前方へ向かうに従い左側に向けて延びる。
図18に示すように、前支持面部35aaは、切削インサート2の被押圧面23dのうち横側壁23cに配置される部分23daと接触する。後支持面部35abは、切削インサート2の被押圧面23dのうち後側壁23bに配置される部分23dbと接触する。
【0126】
本実施形態では、把持アーム32の前押圧面部32aaと、固定アーム35の前支持面部35aaとの間の左右方向の距離が、前方へ向かうに従い小さくなる。このため、ポケット33に保持された切削インサート2を、前方に向けて抜き出すことができない。本実施形態では、切削インサート2が、ポケット33から上側に抜き出し可能とされる。
【0127】
図16に示すように、サポーター3の貫通孔31aには、クランプ部材6の一部が下側から挿入される。貫通孔31aは、被接触部31cと、抜止め部31dと、を有する。
【0128】
被接触部31cは、貫通孔31aの内周面に配置され、クランプ部材6の一部が接触する。被接触部31cは、貫通孔31aの内周面のうち少なくとも後端部に配置される。
図23に示すように、本実施形態では、被接触部31cが、貫通孔31aの内周面に、周方向の略全周にわたって配置される。すなわち、被接触部31cは、中心軸C1を中心とする略円孔状をなす。被接触部31cは、貫通孔31aのうち下端部以外の部分に配置される。本実施形態では被接触部31cが、貫通孔31aのうち上下方向の両端部間に位置する中間部分に配置される。
【0129】
図16に示すように、抜止め部31dは、貫通孔31aの内周面のうち被接触部31cよりも下側に配置され、被接触部31cよりも貫通孔31aの内部に突出する。すなわち、抜止め部31dは、被接触部31cよりも径方向内側に突出する。抜止め部31dは、貫通孔31aの内周面のうち少なくとも後端部に配置される。このため、抜止め部31dは、被接触部31cよりも少なくとも前方に向けて突出する。
図23に示すように、本実施形態では、抜止め部31dが、貫通孔31aの内周面に、周方向の略全周にわたって配置される。すなわち、抜止め部31dは、中心軸C1を中心とする略円形リング状をなす。抜止め部31dは、貫通孔31aのうち少なくとも下端部に配置される。
【0130】
本実施形態では、貫通孔31aのうち抜止め部31dの内径寸法(直径)が、ISO規格に準ずる四角形板状の切削インサート(菱形インサート)の貫通孔の内径寸法と、同じである。また、被接触部31cの内径寸法は、抜止め部31dの内径寸法よりも例えば数mm未満の大きさで(本実施形態では直径で0.6mm程度)、大きくされている。ただしこれに限らず、例えば、貫通孔31aのうち被接触部31cの内径寸法が、ISO規格に準ずる切削インサートの貫通孔の内径寸法と、同じであってもよい。
【0131】
貫通孔31aは、上下反転対称形状である。このため、本実施形態では抜止め部31dが、被接触部31cの下側と上側とに、一対設けられる。
【0132】
〔クランプ部材〕
図16に示すように、本実施形態のクランプ部材6は、レバーロック機構を有する。クランプ部材6は、クランプレバー61と、締結ネジ62と、を有する。クランプレバー61および締結ネジ62は、工具本体4の第1端部4aに配置される。
【0133】
クランプレバー61は、L字状に屈曲する部材である。クランプレバー61は、第1延伸部61aと、第2延伸部61bと、突起部61cと、を有する。
【0134】
第1延伸部61aは、レバー収容部47に配置される。第1延伸部61aは、径方向に延びる。具体的に、第1延伸部61aは、略工具軸方向に延びる。第1延伸部61aの後端部は、雌ネジ孔46内に突出する。
【0135】
第2延伸部61bは、略上下方向に延びる。第2延伸部61bの下端部は、第1延伸部61aの先端部と接続される。第2延伸部61bは、レバー収容部47の先端部、シート部材51のシート孔51a、およびサポーター3の貫通孔31aにわたって配置される。すなわち、第2延伸部61bは、貫通孔31aに下側から挿入される。
【0136】
突起部61cは、第2延伸部61bの上端部に配置される。突起部61cは、第2延伸部61bの外周面から、少なくとも後方に向かって突出する。突起部61cは、貫通孔31aの被接触部31cと接触する。
【0137】
締結ネジ62は、略上下方向に延びる。締結ネジ62は、雌ネジ孔46の雌ネジ部に螺着する雄ネジ部を有する。すなわち、締結ネジ62は、雌ネジ孔46に螺着する。締結ネジ62は、上テーパ面62aと、下テーパ面62bと、を有する。
【0138】
上テーパ面62aは、上側へ向かうに従い拡径するテーパ面状であり、下側を向く。上テーパ面62aは、第1延伸部61aの後端部の上側に配置される。
図17に示すように、上テーパ面62aが第1延伸部61aの後端部から上側に離れた状態から、締結ネジ62を雌ネジ孔46にねじ込んで、下側へ移動させることにより、
図16に示すように上テーパ面62aは、第1延伸部61aの後端部に上側から接触する。さらに締結ネジ62をねじ込むことで、上テーパ面62aは第1延伸部61aの後端部を下側へ押圧し、梃子の原理でクランプレバー61は回動させられ、突起部61cが、被接触部31cを後方に向けて押圧する。
【0139】
クランプレバー61の押圧により、サポーター3が後方に引き込まれることで、
図13に示すように、把持アーム32のアーム側平面部3gが、インサート取付座5の側壁5bに押圧されて、把持アーム32は弾性変形させられる。これにより、把持アーム32の押圧面32aが、切削インサート2の一対の被押圧面23dのうち、左側の一方の被押圧面23dを押圧する。また、固定アーム35の支持面35aは、切削インサート2の一対の被押圧面23dのうち、右側の他方の被押圧面23dを支持する。これにより、切削インサート2は、把持アーム32と固定アーム35との間に挟持され、ポケット33に固定される。
【0140】
図16に示すように、下テーパ面62bは、下側へ向かうに従い拡径するテーパ面状であり、上側を向く。下テーパ面62bは、第1延伸部61aの後端部の下側に配置される。
図16に示すように、下テーパ面62bが第1延伸部61aの後端部から下側に離れた状態から、締結ネジ62の雌ネジ孔46に対するねじ込みを緩めて、締結ネジ62を上側へ移動させることにより、
図17に示すように下テーパ面62bは、第1延伸部61aの後端部に下側から接触する。さらに締結ネジ62のねじ込みを緩めていくことで、下テーパ面62bは第1延伸部61aの後端部を上側へ押圧し、梃子の原理でクランプレバー61は回動させられ、突起部61cの被接触部31cに対する押圧が解除される。
【0141】
クランプレバー61の押圧が解除されることで、把持アーム32による切削インサート2の押圧も解除される。これにより、切削インサート2をポケット33から上側に取り出すことが可能となる。
【0142】
〔本実施形態による作用効果〕
以上説明した本実施形態の切削インサートのクランプ構造20および刃先交換式切削工具11によれば、前述の参考例と同様の作用効果が得られる。
【0143】
また本実施形態では、ポケット33が、その左右方向の幅寸法が前方へ向かうに従い小さくなる部分を有する。具体的には、把持アーム32の押圧面32aの前押圧面部32aaと、固定アーム35の支持面35aの前支持面部35aaとの間の左右方向の距離が、前方へ向かうに従い小さくなる。
この場合、ポケット33に保持された切削インサート2の前方への抜け出しが抑制される。サポーター3による切削インサート2のクランプ状態がより安定する。
【0144】
また本実施形態のように、切削インサート2をポケット33から上側に取り外す場合には、切削インサート2とポケット33との間の摩擦抵抗や引っ掛かり等(以下、引っ掛かり等と省略する場合がある)により、サポーター3に上側へ向けた力が作用する場合がある。このような場合であっても、本実施形態によれば、クランプ部材6の一部(突起部61c)に対して、下側から抜止め部31dが接触するため、サポーター3の上側への移動が抑制される。このため、サポーター3がインサート取付座5から意図せず取り外されたり、脱落したりするようなことが抑制される。サポーター3が切削工具から落下したり紛失したりするなどの不具合が抑えられる。
【0145】
また本実施形態では、被接触部31cが、貫通孔31aの内周面のうち少なくとも後端部に配置され、抜止め部31dが、貫通孔31aの内周面のうち少なくとも後端部に配置される。
この場合、クランプ部材6の一部(突起部61c)が、貫通孔31aの被接触部31cを後方へ向けて押圧するので、後方へ向けた押圧力によって、サポーター3および切削インサート2をインサート取付座5に安定して固定することができる。
また、切削インサート2をサポーター3から取り外す際には、切削インサート2とポケット33との間の引っ掛かり等により、サポーター3を前方上側へ引っ張る力が作用する場合がある。このような場合でも、本実施形態の上記構成によれば、クランプ部材6の一部に対して、後方下側から抜止め部31dが安定して接触するため、上述の作用効果がより格別なものとなる。
【0146】
また本実施形態では、貫通孔31aが、上下反転対称形状である。
この場合、サポーター3を上下反転させた姿勢でインサート取付座5に配置した場合においても、上述と同様の抜止め機能が得られる。したがって、本実施形態の切削インサートのクランプ構造20を、例えば勝手違いの切削工具に対しても適用可能である。すなわち、切削工具が右勝手の場合および左勝手の場合のいずれにおいても、同一のサポーター3を共通品として使用できる。このため、サポーター3の汎用性が高められ、かつ部材管理が容易である。
【0147】
また本実施形態では、被接触部31cが、貫通孔31aの内周面に、周方向に延びて略全周にわたって配置される。また抜止め部31dが、貫通孔31aの内周面に、周方向に延びて略全周にわたって配置される。
この場合、サポーター3の製作時において、貫通孔31aに被接触部31cおよび抜止め部31dを加工しやすい。サポーター3の製造が容易である。
【0148】
また本実施形態では、サポーター3の貫通孔31aのうち抜止め部31dの内径寸法が、ISO規格に準ずる四角形板状の切削インサート(菱形インサート)の貫通孔の内径寸法と同じである。あるいは、貫通孔31aのうち被接触部31cの内径寸法が、ISO規格に準ずる切削インサートの貫通孔の内径寸法と同じである。
この場合、例えば、一般的なISO規格に準ずる四角形板状の切削インサートがインサート取付座に装着される、既存の刃先交換式切削工具に対して、本実施形態の切削インサートのクランプ構造20を適用可能である。すなわち、従来品の工具本体のインサート取付座に本発明品を搭載することができ、汎用性が高められる。
【0149】
また、本実施形態においても前述の参考例と同様に、サポーター3が、貫通孔31aが配置されるサポーター本体31と、サポーター本体31に対して弾性変形可能であり、切削インサート2を押圧する把持アーム32と、サポーター本体31と把持アーム32との間に配置され、貫通孔31aの周囲を延び、ポケット33に開口するスリット34と、を有する。
この場合、切削インサートのクランプ構造20、すなわち切削インサート2およびサポーター3を、クランプ部材6によってインサート取付座5に取り付けるクランプ時において、把持アーム32が、スリット34の幅寸法を変化させるように弾性変形する。把持アーム32が弾性変形することで、把持アーム32は切削インサート2を押圧する。把持アーム32によって、切削インサート2をポケット33に安定して固定できる。
【0150】
〔本発明に含まれるその他の構成〕
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更等が可能である。なお、以下に説明する変形例の図示においては、前述の実施形態および参考例と同じ構成要素には同一の符号を付し、下記では主に異なる点について説明する。
【0151】
図24は、前述の実施形態の切削インサートのクランプ構造20の第1変形例を示す部分断面図である。この第1変形例では、サポーター3の貫通孔31aが、上下反転対称形状とされていない。貫通孔31aの抜止め部31dは、被接触部31cよりも下側にのみ、1つ設けられる。
この場合も、前述の実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0152】
図25は、前述の実施形態の切削インサートのクランプ構造20の第2変形例を示す部分断面図である。この第2変形例においても、サポーター3の貫通孔31aが、上下反転対称形状とされていない。貫通孔31aの内周面は、下側へ向かうに従い縮径するテーパ面状である。抜止め部31dは、貫通孔31aの内周面のうち被接触部31cよりも下側に配置され、被接触部31cよりも貫通孔31aの内部(すなわち径方向内側)に突出する。
この場合も、前述の実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0153】
図26は、前述の実施形態の切削インサートのクランプ構造20の第3変形例を示す部分断面図である。この第3変形例では、貫通孔31aが、その内周面にディンプル状の凹部を有する。凹部は、貫通孔31aの内周面のうち少なくとも後端部に配置される。なお凹部は、貫通孔31aの内周面に、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられてもよい。被接触部31cは、凹部の少なくとも一部(最深部など)に配置される。抜止め部31dは、被接触部31cよりも下側に配置され、被接触部31cよりも径方向内側に出っ張る。
この場合も、前述の実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0154】
また、前述の実施形態、各変形例および各参考例では、上下方向から見て、切削インサート2の切刃24の一対の直線刃部24b間に形成される角度、サポーター3の一対の前側面3d間に形成される角度、サポーター3の一対の本体側平面部3f間に形成される角度、および、インサート取付座5の一対の側壁5b間に形成される角度が、それぞれ80°である一例を挙げたが、これに限らない。特に図示しないが、上記の各角度は、例えば、90°、60°、55°などであってもよい。この場合においても、前述の実施形態等と同様に、ISO規格に準ずる各種の菱形インサートを備えた既存の刃先交換式切削工具に対して、本発明品を適用可能である。
【0155】
本発明は、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例および参考例等で説明した各構成を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態等によって限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【産業上の利用可能性】
【0156】
本発明の切削インサートのクランプ構造および刃先交換式切削工具によれば、切削インサートをコンパクト化してコスト削減しつつ、切削インサートを保持するサポーターが、インサート取付座から意図せず取り外されたり脱落したりすることを抑制できる。したがって、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0157】
1,11…刃先交換式切削工具
2…切削インサート
3…サポーター
3a,3b…板面
4…工具本体
5…インサート取付座
6…クランプ部材
10,20,60,70,80…切削インサートのクランプ構造
24…切刃
31…サポーター本体
31a…貫通孔
31c…被接触部
31d…抜止め部
32…把持アーム
33…ポケット
34…スリット