(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012103
(43)【公開日】2023-01-25
(54)【発明の名称】レーザー式ガス濃度測定装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/39 20060101AFI20230118BHJP
【FI】
G01N21/39
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115554
(22)【出願日】2021-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000108281
【氏名又は名称】ゼネラルパッカー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090239
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 始
(74)【代理人】
【識別番号】100100859
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 昌也
(72)【発明者】
【氏名】大島 雅志
(72)【発明者】
【氏名】宮部 祐樹
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059BB01
2G059DD12
2G059DD13
2G059EE01
2G059GG01
2G059GG09
2G059HH01
2G059HH06
2G059KK01
(57)【要約】
【課題】製品検査工程を高速化するとともに、検査精度を向上させたレーザー式ガス濃度測定装置を提供する。
【解決手段】レーザー式ガス濃度測定装置は、ピロー包装袋Bを搬送する搬送装置11と、レーザー発生部12、レーザー受光部13とから構成される。搬送装置は、隙間15を挟んで並設された第1ベルトコンベヤ16aと第2ベルトコンベヤ16bからなる二連コンベヤ14と、当該二連ベルトコンベヤの上流に設けた上流コンベヤ50と、下流に設けた下流コンベヤ55とから構成されている。これらのベルトコンベヤからなる搬送経路の中途に二連ベルトコンベヤを組み入れることで、測定装置を用いた製品検査工程を独立させて測定時間を長く確保して検査精度を向上させるとともに、測定後に素早くピロー包装袋を入れ替えることで製品検査工程を高速化することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス置換されて密封された包装袋又は包装容器或いはこれらに類する包装体類が載置されるコンベヤからなる搬送経路を備え、当該包装体類を所定の搬送速度で搬送する搬送装置と、
特定波長のレーザー光を射出するレーザー発生部と、前記レーザー光を受光するレーザー受光部とから構成されたレーザー式ガス濃度測定装置であって、
前記搬送経路の途中に、所定の幅の隙間を挟んで並設された第1ベルトコンベヤと第2ベルトコンベヤから構成された二連ベルトコンベヤを設け、
前記搬送経路上を搬送されている前記包装体類が、前記二連ベルトコンベヤ上に載置されたとき、
前記レーザー発生部から射出された前記レーザー光が、前記包装体類及び前記隙間を透過して、前記レーザー受光部で受光されるようにして、
当該包装体類の透過前後で変化する前記特定波長の吸収スペクトルに基づいて前記包装体類内に残留している特定ガスのガス濃度を測定することを特徴とするレーザー式ガス濃度測定装置。
【請求項2】
前記レーザー発生部と前記レーザー受光部が、前記隙間を挟んで上下方向に対向配置されたことを特徴とする請求項1に記載のレーザー式ガス濃度測定装置。
【請求項3】
前記レーザー発生部と前記レーザー受光部が、前記搬送速度と同期する移動速度で前記二連ベルトコンベヤの始端から終端に向かって前記搬送経路に対して平行移動する移動経路を設け、
当該移動経路に沿って、前記レーザー発生部と前記レーザー受光部が、移動しているとき、
前記レーザー発生部と前記レーザー受光部が前記包装体類に設けた測定ポイントに対して相対的に停止すると共に、前記レーザー発生部と前記レーザー受光部が前記包装体類内の前記ガス濃度を測定するようにしたことを特徴とする請求項2に記載のレーザー式ガス濃度測定装置。
【請求項4】
前記レーザー発生部と前記レーザー受光部が、前記二連ベルトコンベヤの終端に到達したとき、
前記レーザー発生部と前記レーザー受光部の双方またはいずれか一方が、反隙間側の上下方向に沿って略コの字状を描く軌跡で前記終端から前記始端へ向かって帰還する帰還経路を設けたことを特徴する請求項3に記載のレーザー式ガス濃度測定装置。
【請求項5】
前記隙間に主反射鏡を配置し、
前記レーザー発生部から射出した前記レーザー光が、前記主反射鏡で反射してから前記レーザー受光部で受光されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のレーザー式ガス濃度測定装置。
【請求項6】
前記レーザー発生部から射出された前記レーザー光が、前記主反射鏡で反射して、同一光路上を辿って前記レーザー受光部で受光されるようにしたことを特徴とする請求項5に記載のレーザー式ガス濃度測定装置。
【請求項7】
前記主反射鏡に対し、前記包装体類を挟んで平行に相対する副反射鏡を対向配置して、
前記レーザー発生部から射出した前記レーザー光が、前記主反射鏡と前記副反射鏡間で反射してから前記レーザー受光部で受光されるようにしたことを特徴とする請求項5に記載のレーザー式ガス濃度測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス置換後に密封した包装袋又は包装容器或いはこれらに類する包装体類にレーザー光を透過させて、当該包装体類内に残留している特定ガスのガス濃度を測定するようにしたレーザー式ガス濃度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包装袋又は包装容器に被包装物を収納した製品に係る検査は、製造された複数の製品の中から所定数のサンプルを抜き取って検査する抜き取り検査が一般的である。
そのような抜き取り検査は、確かに抜き取ったサンプル一つ一つの残留ガス濃度の検査は精密に行えるが、全ての製品全体の検査としてみた場合は検査精度が悪く、統計的に不良品の発生率を得ていたにすぎない。
【0003】
そこで、近年は、製品にレーザー光を照射して製品全量を検査する方法が行われている。
特開2012-208126号公報に開示されている包装機におけるガス濃度測定方法は、特定波長のレーザー光を発信器によって特定ガスに照射する機能を有するレーザー発生部と、その発信器から発振され特定ガスを通過するレーザー光を受信器によって受光し、そのガスにより吸収されたレーザー光の強度を測定してその強度から当該ガスの濃度を出力させる機能を有するレーザー受光部とからなるレーザー式ガス濃度測定装置を用い、ピロー包装袋内に被包装物を充填してガス置換を行なってから開口部の密封を施す包装機の製品排出経路に、発信器と受信器を所定間隔に配置したレーザー式ガス濃度測定装置のガスパージ室を設け、そのガスパージ室内にパージガスを流した状態にて発信器と受信器の間を通過するピロー包装袋内の特定ガスの濃度を測定するようにした。これによって、包装機に設けたレーザー式ガス濃度測定装置により全数のピロー包装袋について当該包装袋を損傷することなく内部の特定ガスの濃度を迅速に測定することができるようにした。
このように、近年はレーザー式ガス濃度測定装置を用いて、包装機で形成された製品の全数を非破壊で検査するようにして、当該製品内に残留した特定ガスのガス濃度の検査精度を向上させることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、まず上記のガス濃度測定方法では、包装機の製品排出経路上に窒素ガス等の不活性ガスで満たされたガスパージ室を設けて、当該ガスパージ室内を通過させるピロー包装袋を一時的に停止させる構成が第一の問題となる。
すなわち、包装機を高速化した場合、当該包装機から続々と搬出される包装製品を検査部が一つずつ検査する構成では、当該検査部で包装製品が滞留してしまう、いわゆるボトルネック化するおそれがある。
【0006】
第二にレーザー式ガス濃度測定装置の測定精度を向上させるための構成が問題となる。
ここで、レーザー式ガス濃度測定装置は、レーザー光を包装袋に透過させたとき、包装袋内に残留している特定ガスで当該レーザー光が吸光される吸光度に基づいてガス濃度を測定するように構成されている。当該吸光度は、レーザー発生部とレーザー受光部間の光路上に存在する特定ガスの分子がレーザー光の特定スペクトルを吸収する割合に基づくものであるから、光路上に存在する分子に特定スペクトルを多く吸収させると測定精度を向上させることができることが知られている。この特定スペクトルをより多く吸収させる方法が、光路長を長くするか、又は同一光路上で照射時間を長くすることである。
しかし、上記のガス濃度測定方法では、包装機上のスペースが限られた位置に設けられたガスパージ室では、長い光路長を確保することが困難であるうえ、レーザー発生部とレーザー受光部がガスパージ室内の所定の位置に固定されているため、通過するピロー包装袋に対してレーザー光を瞬間的に照射するのみであり、同一光路上での照射時間を長く確保することができないという問題がある。
【0007】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、製品検査工程を高速化するとともに、検査精度を向上させたレーザー式ガス濃度測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載のレーザー式ガス濃度測定装置は、ガス置換されて密封された包装袋又は包装容器或いはこれらに類する包装体類が載置されるコンベヤからなる搬送経路を備え、当該包装体類を所定の搬送速度で搬送する搬送装置と、
特定波長のレーザー光を射出するレーザー発生部と、前記レーザー光を受光するレーザー受光部とから構成されたレーザー式ガス濃度測定装置であって、
前記搬送経路の途中に、所定の幅の隙間を挟んで並設された第1ベルトコンベヤと第2ベルトコンベヤから構成された二連ベルトコンベヤを設け、
前記搬送経路上を搬送されている前記包装体類が、前記二連ベルトコンベヤ上に載置されたとき、
前記レーザー発生部から射出された前記レーザー光が、前記包装体類及び前記隙間を透過して、前記レーザー受光部で受光されるようにして、
当該包装体類の透過前後で変化する前記特定波長の吸収スペクトルに基づいて前記包装体類内に残留している特定ガスのガス濃度を測定することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載のレーザー式ガス濃度測定装置は、請求項1に記載の発明において、前記レーザー発生部と前記レーザー受光部が、前記隙間を挟んで上下方向に対向配置されたことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載のレーザー式ガス濃度測定装置は、請求項2に記載の発明において、前記レーザー発生部と前記レーザー受光部が、前記搬送速度と同期する移動速度で前記二連ベルトコンベヤの始端から終端に向かって前記搬送経路に対して平行移動する移動経路を設け、
当該移動経路に沿って、前記レーザー発生部と前記レーザー受光部が、移動しているとき、
前記レーザー発生部と前記レーザー受光部が前記包装体類に設けた測定ポイントに対して相対的に停止すると共に、前記レーザー発生部と前記レーザー受光部が前記包装体類内の前記ガス濃度を測定するようにしたことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載のレーザー式ガス濃度測定装置は、請求項3に記載の発明において、前記レーザー発生部と前記レーザー受光部が、前記二連ベルトコンベヤの終端に到達したとき、
前記レーザー発生部と前記レーザー受光部の双方またはいずれか一方が、反隙間側の上下方向に沿って略コの字状を描く軌跡で前記終端から前記始端へ向かって帰還する帰還経路を設けたことを特徴する。
【0012】
請求項5に記載のレーザー式ガス濃度測定装置は、請求項1に記載の発明において、前記隙間に主反射鏡を配置し、
前記レーザー発生部から射出した前記レーザー光が、前記主反射鏡で反射してから前記レーザー受光部で受光されるようにしたことを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載のレーザー式ガス濃度測定装置は、請求項5に記載の発明において、前記レーザー発生部から射出された前記レーザー光が、前記主反射鏡で反射して、同一光路上を辿って前記レーザー受光部で受光されるようにしたことを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載のレーザー式ガス濃度測定装置は、請求項5に記載の発明において、前記主反射鏡に対し、前記包装体類を挟んで平行に相対する副反射鏡を対向配置して、
前記レーザー発生部から射出した前記レーザー光が、前記主反射鏡と前記副反射鏡間で反射してから前記レーザー受光部で受光されるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るレーザー式ガス濃度測定装置によれば、搬送装置が有するコンベヤからなる搬送経路の途中に、所定幅の隙間を挟んで並設された第1ベルトコンベヤと第2ベルトコンベヤを備えた二連ベルトコンベヤを設けた。そして、レーザー発生部から射出されたレーザー光が、包装体類と隙間を透過してレーザー受光部で受光されるように、レーザー発生部とレーザー受光部を配置して、包装体類が二連ベルトコンベヤ上を搬送されているときにガス濃度を測定するようにした。そして好ましくは、隙間を挟んでレーザー発生部とレーザー受光部を上下に対向配置した。
ここで、二連ベルトコンベヤの上流側のコンベヤを上流コンベヤ、下流側のコンベヤを下流コンベヤとすると、コンベヤ上を連続的に搬送している包装体類を順次測定する場合は、搬送速度を高速化するとそれに合わせて測定時間も短縮されてしまうが、上流コンベヤと下流コンベヤの間を切り離し、二連ベルトコンベヤ上で包装体類を一時的に停止させて一つずつ測定し、次の包装体類と入れ替えるように構成した場合は、搬送速度を高速化した場合であっても、所定の測定時間を容易に確保することができる。
これによって、ガス濃度を測定するときに、包装体類を順次入れ替えて測定することができるので、製品検査工程を高速化することができる。
【0016】
また好ましくは、当該レーザー発生部とレーザー受光部が、二連ベルトコンベヤの始端から終端に向かって搬送される包装体類と同期する移動速度で移動するようにした。このとき、包装袋体類の所定の位置に設けた測定ポイントに対して、レーザー発生部とレーザー受光部が相対的に停止するようにしてガス濃度を測定するようにした。
これによって、レーザー光の照射時間を延ばすことができるので、製品検査工程を高速化するとともに、その検査精度を向上させることができる。
【0017】
さらに好ましくは、隙間に主反射鏡を設け、レーザー発生部から射出されたレーザー光が反射してレーザー受光部で受光され、若しくは主反射鏡と平行に副反射鏡を対向配置して、レーザー発生部から射出されたレーザー光が主副反射鏡間で反射を繰りかえしてレーザー受光部で受光されるようにした。
これによって、レーザー光の光路長を延ばすことができるので、製品検査工程を高速化するとともに、その検査精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施例に係るレーザー式ガス濃度測定装置の構成の概略を示した斜視図である。
【
図2】第1実施例に係るレーザー式ガス濃度測定装置の構成の概略を示した部分側面図である。
【
図3】第1実施例に係るレーザー式ガス濃度測定装置の測定動作原理の概略を示した説明図である。
【
図4】第2実施例に係るレーザー式ガス濃度測定装置の構成の概略を示した斜視図である。
【
図5】第2実施例に係るレーザー式ガス濃度測定装置の構成の概略を示した部分側面図である。
【
図6】第3実施例に係るレーザー式ガス濃度測定装置の構成の概略を示した斜視図である。
【
図7】第3実施例に係るレーザー式ガス濃度測定装置の構成の概略を示した部分側面図である。
【
図8】第4実施例に係るレーザー式ガス濃度測定装置の構成の概略を示した斜視図である。
【
図9】第4実施例に係るレーザー式ガス濃度測定装置の構成の概略を示した部分側面図である。
【実施例0019】
本発明に係るレーザー式ガス濃度測定装置の実施例を添付した図面にしたがって説明する。
図1は、本実施例に係るレーザー式ガス濃度測定装置の構成の概略を示した斜視図であり、
図2は、本実施例に係るレーザー式ガス濃度測定装置の構成の概略を示した側面図である。
【0020】
レーザー式ガス濃度測定装置10は、
図1及び
図2に示すように、包装体類を所定の搬送速度で搬送経路上を搬送する搬送装置11と、特定波長のレーザー光を射出するレーザー発生部12と、前記レーザー光を受光するレーザー受光部13とを有している。
包装体類は、包装袋又は包装容器或いはこれらに類している被包装物を包装可能なものであって、本実施例においては、ピロー包装袋Bをもって例示しているがこれに限定されるものでは無く、たとえば、袋状の包材のほか、カップ、トレー等であっても良い。
ピロー包装袋Bとは、
図1に示すように、所定のフィルムを丸めて重ね合わせた端部をシールして筒体状に形成し、被包装物を収納して、開口端をシールして形成した包装袋である。本実施例では、
図1に示すように、当該ピロー包装袋Bを一つずつ分離して搬送装置上で搬送しているが、これに限定されるものでは無く、ピロー包装袋Bが二以上連接形成された連包状のピロー包装袋であっても良い。
ピロー包装袋Bを構成するフィルムは、たとえば、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂からなるものが好ましい。ここで、フィルムに対するレーザー光の透過率が、0.00001%以上、100%未満であれば、ピロー包装袋Bが着色されている場合であってもレーザー光が透過するので、本実施例に係るレーザー式ガス濃度測定装置10は有効である。
本実施例に係るピロー包装袋Bは、
図2に示すように、レーザー光が透過可能な測定ポイントP
0,P
0を有している。また、ピロー包装袋Bが着色され、レーザー光が透過困困難であるような場合であっても、当該測定ポイントP
0,P
0にレーザー光が透過可能な窓部を設けてあれば良い。
測定ポイントP
0,P
0におけるピロー包装袋内の光路は、後述するように、被包装物がレーザー光の妨げにならない空間であることが好ましい。これによって、被包装物がレーザー光を吸収し、また散乱させて測定誤差が生じることを防止することができる。
【0021】
搬送装置11は、
図1及び
図2に示すように、二連ベルトコンベヤ14と、二連ベルトコンベヤ14を挟んで
図1の矢印Aで示したピロー包装袋Bの進行方向に沿った上流側に配置した上流コンベヤ50と、下流側に配置した下流コンベヤ51とから構成された搬送経路を有している。当該搬送経路上をピロー包装袋Bが搬送される速度を搬送速度とする。
二連ベルトコンベヤ14は、所定幅の隙間15を挟んで並設された第1ベルトコンベヤ16aと第2ベルトコンベヤ16bを備えている。第1ベルトコンベヤ16aは、ベルト17a、当該ベルト17aを回す主ロータ18と、当該主ロータ18の回転にベルト17aを介して従動する従ロータ19を有している。第2ベルトコンベヤ16bもまた同様に構成されている。主ロータ18は、たとえば、サーボモータ(図示略)によって回動可能に構成されている。これによって、主ロータ18が所定の回転速度で回転したとき、ベルト17a,17bが所定の速度で移動して、当該ベルト17a,17b上に載置されたピロー包装袋Bが搬送される。
隙間15の幅は、少なくともレーザー光が透過可能な幅から、ピロー包装袋Bが落下しない幅の間で任意に設定可能である。
第1ベルトコンベヤ16aと第2ベルトコンベヤ16bの主ロータ18は、互いに同期して、同一な回転速度で回転するように構成されている。これによって、隙間15を挟んだ両ベルト17a,17bが同期して移動し、所定の搬送速度でピロー包装袋Bを搬送することができる。
また、第1ベルトコンベヤ16aと第2ベルトコンベヤ16bの主ロータ18は、それぞれ正逆回転可能なサーボモータに接続されていることから、ベルト17a,17bもまたそれぞれ正逆方向へ移動させることができる。すなわち、第1ベルトコンベヤ16aと第2ベルトコンベヤ16bを互いに独立して、たとえば、第1ベルトコンベヤ16aのベルト17aを正方向へ、第2ベルトコンベヤ16bのベルト17bを逆方向へ移動させたとき、ベルト17a,17b上に載置されたピロー包装袋Bの姿勢を補正することができるようにしても良い。このとき、たとえば、二連ベルトコンベヤ14を挟み込むように構成したガイドプレートと合わせて用いることによって、レーザー光を投射しやすいようにピロー包装袋Bの姿勢を補正することができる。
このように、完成したピロー包装袋Bをコンベヤで搬出する搬出経路の途中に二連ベルトコンベヤ14を配置した。そのため、ピロー包装袋Bが縦方向に連なって形成される縦型ピロー包装機、或いはピロー包装袋Bが横方向に連なって搬出される横型ピロー包装機のいずれにも本実施例に係るレーザー式ガス濃度測定装置10を適用することができる。
【0022】
レーザー発生部12は、
図3に示すように、レーザー光源20と、当該光源20から射出するレーザー光の波長を特定の波長に設定し、所定の光強度に調整する制御部21とを有している。
レーザー光源20は、波長が可変可能なダイオードからなる半導体レーザー素子を備え、近赤外領域のレーザー光を射出可能に形成されている。本実施例に係る半導体レーザー素子は、DFB(Distributed Feed Back:分布帰還形)レーザーと呼ばれる高出力の半導体レーザー素子である。
制御部21は、半導体レーザー素子から射出されるレーザー光の波長を測定対象の特定ガス固有の特定波長に調整して、レーザー光が所定の入射光強度で射出されるように増幅する制御を行うように構成されている。また制御部21は、計測部23に対して、射出する入射光強度に係る入射光信号を出力するように構成されている。
ここで、本実施例に係るレーザー式ガス濃度測定装置10が測定する特定ガスは、酸素ガス(O
2)である。当該酸素ガス固有の吸収波長帯は760nm帯であり、当該吸収波長帯に含まれる複数の吸収スペクトルのうち、一の吸収スペクトルに係る特定波長がレーザー光の出力波長として選択される。本実施例では、酸化により被包装物を劣化させるおそれがある酸素ガスを検出するように構成したが、これに限定されるものでは無く、検出対象のガスを特定する吸収波長帯に係る吸収スペクトルは任意に設定することができるように構成されている。
【0023】
レーザー受光部13は、
図3に示すように、ピロー包装袋Bを透過して減衰したレーザー光を受光する受光センサ22と、当該受光センサからの受光信号に基づいて、ガス濃度を計測する計測部23とを有している。
受光センサ22は、ピロー包装袋を透過したレーザー光の透過光強度を電気的な透過光信号に変換する素子、たとえば、フォトダイオードからなる。これによって、ピロー包装袋B内を透過して減衰したレーザー光の透過光強度を電気的に処理することができる。
計測部23は、透過光強度に係る透過光信号と、レーザー発生部12の制御部21から出力されたレーザー光の入射光強度に係る入射光信号に基づいて透過率を計算し、当該透過率に基づいてレーザー光の特定ガスによる吸光度を求め、当該吸光度に基づいてピロー包装袋B内の特定ガスのガス濃度を計測するように構成されている。
【0024】
レーザー発生部12とレーザー受光部13間でレーザー光が通る経路を光路Cとし、その長さを光路長Lとする。光路C上には、大気雰囲気とピロー包装袋Bがある。
ここで、特定ガスは、大気雰囲気に存在すると共にピロー包装袋B内に残留している。当該特定ガスはレーザー光を構成する特定波長に係る所定の吸収スペクトルをその光路C上で吸光する。そのため、レーザー光は、光路C上で特定ガスに吸収されて減衰する。そして、光路C上で減衰されたレーザー光が受光センサ22で受光される。
計測部23は、制御部21から取得した減衰前の光強度と透過して減衰した透過光強度から、透過率を求めるように構成されている。計測部23は、求めた透過率から光路C上でどれだけ特定ガスが吸収スペクトルを吸収したかを示す吸光度を求めるように構成されている。そして、計測部23は、求めた吸光度に基づいて、光路C上における特定ガスの総濃度を算出して、当該総濃度から、大気雰囲気中に略一定の濃度で存在している特定ガスの濃度による影響を除いて、ピロー包装袋B内に残留している特定ガスの濃度を測定するように構成されている。
測定された残留特定ガスの濃度が所定の閾値以上であった場合、特定ガス、本実施例では酸素ガスが許容される濃度以上でピロー包装袋B内に残留しているとして、ピロー包装袋Bで被包装物を包装して製造した袋製品は不良品と判定され搬送経路外へ排出される。
上記のように、レーザー式ガス濃度測定装置10は、光路C上で特定ガスによって吸光され減衰したレーザー光の減衰の度合いによって特定ガスのガス濃度を測定している。
そのため、第一に光路長Lが一定の場合、測定時間を長くすることによって、測定精度を向上させることができる。
第二に光路長Lを長く確保し、レーザー光の減衰度を大きくすることによって、測定精度を向上させることができる。ここで、光路長Lが一定であり、かつ、当該光路長Lが短い場合には、測定時間を長く確保して、当該測定時間中にレーザー発生部12から射出したレーザー光を1回又は2回以上の複数回反射させてレーザー受光部13で受光させることによって見かけ上の光路長Lを長くするようにしても良い。
第三にレーザー光を複数回射出し、複数の測定値を得ることによって、測定精度を向上させることができる。これは、光路長Lを一定に保持すると共に測定時間を長く確保して、当該測定時間中にレーザー発生部12からレーザー光を複数回射出した測定値から、測定平均値、測定偏差、測定誤差等を算出し、それらの値を実測値にフィードバックして測定値を補正することによって可能となる。
上記のいずれの場合であっても、測定精度を向上させるためには測定時間を長く確保すること、測定時間中は光路長Lを長く、一定に保持することが重要である。
【0025】
上記の原理で動作する本実施例に係るレーザー式ガス濃度測定装置10は、搬送装置11の隙間15に対して、
図1及び
図3に示すように、レーザー発生部12とレーザー受光部13を搬送装置11のベルト17a,17bの上面側を挟んで上下方向に対向配置して構成される。すなわち、ピロー包装袋Bが、上流コンベヤ50から搬送装置11のベルト17a,17b上へ移り、レーザー発生部12とレーザー受光部13との間へ移動してきたとき、レーザー光はピロー包装袋Bと隙間15を透過するように構成されている。
【0026】
上記の構成を有するレーザー式ガス濃度測定装置10を用いたピロー包装袋Bの製品検査工程を、
図1及び
図2にしたがって説明する。
所定のピロー型包装機で被包装物を包装し、密封されて製造されるピロー包装袋Bは、当該包装機から搬出され、上流コンベヤ50に載せられて搬送される。なお、
図1及び
図3では、一つずつに分割されたピロー包装袋Bを図示しているが、これに限定されるものでは無く、当該ピロー包装袋Bが複数個連なって連包状に形成されたピロー包装袋Bであっても良い。
【0027】
製品検査工程では、測定位置にピロー包装袋Bを移動させる移動工程、ピロー包装袋B内のガス濃度を測定する測定工程、及び測定後のピロー包装袋Bを測定位置から搬出する搬出工程に係る処理が行われる。
移動工程は、上流コンベヤ50上を移動してきたピロー包装袋Bを始端14aから二連ベルトコンベヤ14の搬送経路に載せて、そのまま
図1、
図2中の矢印Aの方向に沿ってピロー包装袋Bを移動させて、当該ピロー包装袋に設けた測定ポイントP
0,P
0がレーザー発生部12とレーザー受光部13に対向する位置まで移動させる処理を行う工程である。なお、このときベルト17a,17bを相対的に逆方向へ回してピロー包装袋Bの向きを補正するようにしても良い。
測定工程は、二連ベルトコンベヤ14を一時停止させて、ピロー包装袋Bに対してレーザー発生部12からレーザー光を射出し、ガス濃度測定に係る処理を行う工程である。ガス濃度測定の原理については上記の通りであるから説明を省略する。なお、このとき二連ベルトコンベヤ14を一時停止させず、瞬時にレーザー光を照射して測定するようにしても良い。また、一時停止中にガス濃度測定を行うとき、レーザー光を単射するのではなく、複数回射出して測定処理を複数回行い、得られた測定値から、測定平均値、測定偏差、測定誤差等を算出し、それらの値を実測値にフィードバックして測定値を補正するようにしても良い。
搬出工程は、測定工程後、サーボモータが主ロータ18を回転させて、素早くピロー包装袋Bを二連ベルトコンベヤ14の終端14bから下流コンベヤ55へ搬出する処理を行う工程である。またこのとき、測定を行った先のピロー包装袋Bが搬出されると同時に、次に測定を行う後のピロー包装袋Bが上流コンベヤ50から搬入され、上記の移動工程に係る処理が行われる。このようにして連続してピロー包装袋Bを測定することができる。
【0028】
本実施例に係るレーザー式ガス濃度測定装置10によれば、第1ベルトコンベヤ16aと第2ベルトコンベヤ16bを並設して構成された二連ベルトコンベヤ14のベルト17a,17bに挟まれた隙間15内にレーザー受光部13を配置して装置を構成するようにした。これによって、測定する空間を確保したうえで、装置自体をコンパクトにすることができる。
また、上流コンベヤ50、下流コンベヤ55と搬送装置11を切り離し、当該搬送装置11によって、搬出工程と移動工程を同時に行うようにした。これによって、ベルトコンベヤを一定の速度で動作させて、当該ベルトコンベヤのベルト上で一つずつ順次測定するよりも、ガス濃度測定を行うよりも、次の測定へ素早く取り掛かることができるので、製品検査工程を高速化することができる。
次に、上記の構成を有するレーザー式ガス濃度測定装置10Aを用いたピロー包装袋Bの製品検査工程を、
図4及び
図5にしたがって説明する。
製品検査工程では、測定位置にピロー包装袋Bを移動させる第1移動工程と第2移動工程、ピロー包装袋B内のガス濃度を測定する測定工程、及び測定後のピロー包装袋Bを測定位置から搬出する搬出工程に係る処理が行われる。
第1移動工程は、上流コンベヤ50上を移動してきたピロー包装袋Bを、二連ベルトコンベヤ14の始端14aに載せて、
図5に示すように、当該ピロー包装袋B前方に設けられた測定ポイントP
0,P
0が、レーザー発生部12Aとレーザー受光部13Aに対向する位置まで移動させる処理を行う工程である。
続く第2移動工程は、測定工程と共に行われる。
測定工程は、ピロー包装袋Bに対してレーザー光を射出して当該ピロー包装袋B内のガス濃度を測定する処理を行う工程である。当該測定方法については第1実施例と同じであるから説明を省略する。
第2移動工程は、レーザー発生部12A及びレーザー受光部13Aと、ピロー包装袋Bを同じ速度で移動させる処理を行う工程である。搬送装置11がピロー包装袋Bを搬送する搬送速度に対して、レーザー発生部12A及びレーザー受光部13Aの移動速度を同期させて、同じ速度で移動させることによって、レーザー発生部12Aは測定ポイントP
0,P
0に対して相対的に停止して、当該測定ポイントP
0,P
0からズレることなくレーザー光を射出することができ、レーザー受光部13Aは測定ポイントP
0,P
0に対して相対的に停止して、当該測定ポイントP
0,P
0からズレることなくレーザー光を受光することができる。そのため、測定工程に係る測定時間を長く確保することができるので、検査精度を向上させることができる。
搬出工程は、ピロー包装袋Bを二連ベルトコンベヤ14のベルト17a,17b上から搬出する処理を行う工程である。このとき、搬出されるピロー包装袋Bに対して、レーザー発生部12Aが干渉するおそれがあるので、少なくとも当該レーザー発生部12Aは、移動経路30の終端30bから上昇して、帰還経路31の終端31bへ向かうゲートモーションを描くように帰還させる。これにより、搬出されるピロー包装袋Bとレーザー発生部12Aが干渉することを防止することができる。
また、本実施例に係る製品検査工程では、測定ポイントP
0,P
0を
図5に示したようにピロー包装袋Bの前方に設定したが、これとは逆に後方側へ設定するようにしても良い。この場合は、第2移動工程と搬出工程を同時に行うことができるので、測定工程が終了したとき、測定対象のピロー包装袋Bは下流コンベヤ55へ既に搬出されている。この場合に、レーザー発生部12Aが帰還経路31に沿って上昇するタイミングで、次に測定するピロー包装袋Bの第1移動工程に係る処理が行われ、レーザー発生部12Aと二連ベルトコンベヤのベルト17a,17b上面の間に、次の測定対象であるピロー包装袋Bが送り込まれる。これにより測定位置へセットされるピロー包装袋Bとレーザー発生部12Aが干渉することを防止することができる。
いずれも二連ベルトコンベヤ14上のピロー包装袋Bがレーザー発生部12Aの移動を妨げるおそれがあるので、上記したように、
図5に記載した例の場合、少なくともレーザー発生部12Aはゲートモーションで設定された帰還経路31に沿って移動経路30の始端30aまで移動することが好ましい。
本実施例に係るレーザー式ガス濃度測定装置10Aによれば、測定工程と第2移動工程を並行して行い、ピロー包装袋Bを移動させているときに当該ピロー包装袋B内のガス濃度を測定するようにした。これによって、測定時間を長く確保して検査精度を向上させるとともに、ピロー包装袋B一つ一つにかかる検査時間を短くすることができるので、製品検査工程を高速化することができる。