(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121033
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】シフト装置
(51)【国際特許分類】
B60K 20/02 20060101AFI20230823BHJP
【FI】
B60K20/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024234
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】趙 明慧
(72)【発明者】
【氏名】木村 歩実
(72)【発明者】
【氏名】山本 誠
【テーマコード(参考)】
3D040
【Fターム(参考)】
3D040AA03
3D040AA24
3D040AB01
3D040AC01
3D040AC07
3D040AC17
3D040AC57
3D040AC65
(57)【要約】
【課題】第1マグネット移動垂直方向において小型化する。
【解決手段】シフト装置10では、レバー20のシフト位置が変更される際に、前側及び後側の移動体26の操作マグネット間の吸引力に抗して前側又は後側の移動体26がスライドされる。ここで、当該吸引力が操作マグネット36スライド方向において作用される。このため、シフト装置10を操作マグネット36スライド垂直方向において小型化できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動されてシフト位置が変更されるシフト体と、
前記シフト体が移動されて移動される第1マグネットと、
前記第1マグネットとの間に前記第1マグネット移動方向側において吸引力が作用され、前記シフト体が前記吸引力に抗して移動される第2マグネットと、
を備えるシフト装置。
【請求項2】
前記シフト体が弾性力に抗して移動された後に前記第1マグネットが移動される弾性部を備える請求項1記載のシフト装置。
【請求項3】
前記シフト体が移動される際に前記第1マグネットとの間に反発力が作用される第3マグネットを備える請求項1又は請求項2記載のシフト装置。
【請求項4】
前記第1マグネットの中央と前記第3マグネットの中央とが対向される前に前記シフト体の移動を規制する規制部を備える請求項3記載のシフト装置。
【請求項5】
前記シフト体の移動が規制される前に前記シフト体が弾性力に抗して移動される抗力部を備える請求項1~請求項4の何れか1項記載のシフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフト体が移動されてシフト位置が変更されるシフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の操作エレメントでは、第1永久磁石が第2永久磁石と第3永久磁石との間に配置されており、第1永久磁石と第2永久磁石との間及び第1永久磁石と第3永久磁石との間に吸引力が作用される。さらに、作動部が作動された際に、第1永久磁石が第3永久磁石との間の吸引力に抗して第2永久磁石と共に移動された後に、第1永久磁石が第2永久磁石との間の吸引力に抗して移動される。
【0003】
ここで、この操作エレメントでは、第1永久磁石と第2永久磁石との間の吸引力及び第1永久磁石と第3永久磁石との間の吸引力が第1永久磁石の移動方向に垂直な方向において作用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0271245号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、第1マグネット移動垂直方向において小型化できるシフト装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様のシフト装置は、移動されてシフト位置が変更されるシフト体と、前記シフト体が移動されて移動される第1マグネットと、前記第1マグネットとの間に前記第1マグネット移動方向側において吸引力が作用され、前記シフト体が前記吸引力に抗して移動される第2マグネットと、を備える。
【0007】
本発明の第2態様のシフト装置は、本発明の第1態様のシフト装置において、前記シフト体が弾性力に抗して移動された後に前記第1マグネットが移動される弾性部を備える。
【0008】
本発明の第3態様のシフト装置は、本発明の第1態様又は第2態様のシフト装置において、前記シフト体が移動される際に前記第1マグネットとの間に反発力が作用される第3マグネットを備える。
【0009】
本発明の第4態様のシフト装置は、本発明の第3態様のシフト装置において、前記第1マグネットの中央と前記第3マグネットの中央とが対向される前に前記シフト体の移動を規制する規制部を備える。
【0010】
本発明の第5態様のシフト装置は、本発明の第1態様~第4態様の何れか1つのシフト装置において、前記シフト体の移動が規制される前に前記シフト体が弾性力に抗して移動される抗力部を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1態様のシフト装置では、シフト体が移動されて、シフト位置が変更される。また、シフト体が移動されて、第1マグネットが移動される。さらに、シフト体が第1マグネットと第2マグネットとの間の吸引力に抗して移動される。
【0012】
ここで、第1マグネットと第2マグネットとの間の吸引力が第1マグネット移動方向側において作用される。このため、第1マグネット移動垂直方向において小型化できる。
【0013】
本発明の第2態様のシフト装置では、シフト体が弾性部の弾性力に抗して移動された後に、第1マグネットが移動される。このため、第1マグネットが移動される前に、シフト体に作用される移動抵抗力を大きくできる。
【0014】
本発明の第3態様のシフト装置では、シフト体が移動される際に、第1マグネットと第3マグネットとの間に反発力が作用される。このため、シフト体に作用される移動抵抗力を大きくできる。
【0015】
本発明の第4態様のシフト装置では、第1マグネットの中央と第3マグネットの中央とが対向される前に、規制部がシフト体の移動を規制する。このため、第1マグネットの中央と第3マグネットの中央とが対向されて第1マグネットの第3マグネットとの間の反発力が小さくなることを抑制でき、シフト体に作用される移動抵抗力が小さくなることを抑制できる。
【0016】
本発明の第5態様のシフト装置では、シフト体の移動が規制される前に、シフト体が抗力部の弾性力に抗して移動される。このため、シフト体の移動が規制される前に、シフト体に作用される移動抵抗力を大きくできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るシフト装置を示す左斜め後方から見た斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るシフト装置を示す左方から見た側面図である。
【
図3】(A)は、本発明の第1実施形態に係るシフト装置のプレート及びマグネット体を示す左斜め後方から見た斜視図であり、(B)は、当該プレートを示す左斜め後方から見た斜視図であり、(C)は、当該マグネット体を示す左斜め後方から見た斜視図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係るシフト装置におけるレバーの回動ストローク(横軸)とレバーの回動抵抗力(縦軸)との関係を示すグラフである。
【
図5】本発明の第2実施形態に係るシフト装置を示す左方から見た側面図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係るシフト装置におけるレバーの回動ストローク(横軸)とレバーの回動抵抗力(縦軸)との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
図1には、本発明の第1実施形態に係るシフト装置10が左斜め後方から見た斜視図にて示されており、
図2には、シフト装置10が左方から見た側面図にて示されている。なお、図面では、シフト装置10の前方を矢印FRで示し、シフト装置10の左方を矢印LHで示し、シフト装置10の上方を矢印UPで示している。
【0019】
本実施形態に係るシフト装置10は、車両に設置されており、シフト装置10は、モーメンタリタイプにされている。
【0020】
図1及び
図2に示す如く、シフト装置10には、固定体としての略直方体形箱状のプレート12が設けられており、プレート12は、車体側に固定されている。プレート12は、左側の略直方体形箱状の左プレート12Aと略直方体形箱状の右プレート12Bとが組付けられて構成されており、左プレート12A内は、右側に開放されると共に、右プレート12B内は、左側に開放されている。
【0021】
プレート12(左プレート12A及び右プレート12B)の上壁には、規制部としての略長尺矩形状の規制孔14が貫通形成されており、規制孔14は、前後方向に長尺にされると共に、前端面及び後端面が凸状に湾曲されている。
【0022】
左プレート12Aの左壁上部及び右プレート12Bの右壁上部には、円筒状の支持筒16が一体に設けられており、左側及び右側の支持筒16は、それぞれプレート12左右方向内側に突出されると共に、互いに同軸上に配置されている。
【0023】
左プレート12A内の下端部及び右プレート12B内の下端部には、前側及び後側において、直方体状の制限孔18(
図3(B)参照)が形成されており、左プレート12A及び右プレート12Bでは、それぞれ一対の制限孔18が前後方向に並べられている。制限孔18は、プレート12左右方向内側に開放されると共に、前後方向に長尺にされており、制限孔18のプレート12前後方向内側面は、係止部としての係止面18Aにされると共に、制限孔18のプレート12前後方向外側面は、制限部としての制限面18Bにされている。
【0024】
プレート12には、シフト体(操作体)としての棒状のレバー20が設けられている。レバー20の上下方向中間部には、左側及び右側において、円柱状の支持軸20Aが一体に設けられており、一対の支持軸20Aは、互いに同軸上に配置されている。左側及び右側の支持軸20Aは、それぞれプレート12の左側及び右側の支持筒16内に嵌入されており、レバー20は、一対の支持軸20Aを中心として、前後方向に回動(移動)可能にされている。レバー20の上部は、プレート12の規制孔14に回動可能に貫通されており、レバー20の上部は、プレート12の上側に延出されて、車室内に延出されている。レバー20は、上端部において、車両の乗員(特に運転者)によって前後方向に回動操作可能にされており、レバー20が回動操作されて、レバー20のシフト位置が複数のシフト位置(本実施形態では、前側から「R」位置(リバース位置)、「N」位置(ニュートラル位置)、「H」位置(ホーム位置)、「N」位置及び「D」位置(ドライブ位置)の第1~第5シフト位置)間で変更される。また、レバー20の前側及び後側への回動は、それぞれ、レバー20が規制孔14の前端面及び後端面に当接されて、規制される。
【0025】
レバー20の下端部には、押圧部としての略円柱状の押圧柱22が一体に設けられており、押圧柱22は、レバー20の下側に同軸上に突出されると共に、下側部分に球面状の押圧面22Aが設けられている。
【0026】
プレート12内の下端部には、前側及び後側において、節度機構24を構成するブロック状の移動体26(
図3の(A)及び(C)参照)が設けられており、移動体26は、左右方向に長尺にされている。
【0027】
移動体26には、固定部材としての樹脂製でブロック状の芯部材28が設けられている。芯部材28の左右方向中央部には、直方体状の本体柱28Aが設けられており、本体柱28Aは、左右方向に長尺にされている。本体柱28Aのプレート12前後方向外側部分の上側には、直方体状の上柱28Bが一体に設けられており、上柱28Bは、左右方向に長尺にされると共に、プレート12前後方向外側面が本体柱28Aのプレート12前後方向外側面と面一にされている。本体柱28Aの左右方向両外側には、略立方体状の制限柱28Cが一体に設けられており、制限柱28Cは、上面が本体柱28Aの上面に比し下側に配置されると共に、下面が本体柱28Aの下面に比し上側に配置されている。制限柱28Cのプレート12前後方向内側面は、本体柱28Aのプレート12前後方向内側面に比しプレート12前後方向外側に配置されており、制限柱28Cのプレート12前後方向外側面は、本体柱28Aのプレート12前後方向外側面と面一にされている。
【0028】
移動体26には、芯部材28の周囲において、弾性部材としての樹脂製でブロック状のクッション30が設けられており、クッション30は、ゴム製にされて弾性を有すると共に、芯部材28の周面に固定されている。
【0029】
クッション30の下側部分は、抗力部32にされており、抗力部32は、芯部材28における本体柱28A及び各制限柱28Cのプレート12前後方向外側、各制限柱28Cの上側、下側、プレート12前後方向内側及びプレート12左右方向外側をそれぞれ平板状にされて被覆している。抗力部32の上面、下面及びプレート12前後方向内側面は、それぞれ本体柱28Aの上面、下面及びプレート12前後方向内側面と面一にされており、抗力部32のプレート12前後方向内側面は、被係止部としての当接面32Aにされると共に、抗力部32のプレート12前後方向外側面は、抗力面32Bにされている。
【0030】
クッション30の上側部分は、略矩形柱状の弾性部34にされており、弾性部34内には、芯部材28の上柱28Bが収容されている。弾性部34のプレート12前後方向内側面及びプレート12前後方向外側面は、それぞれ芯部材28の本体柱28Aのプレート12前後方向内側面及び抗力部32の抗力面32Bと面一にされており、弾性部34の左面及び右面は、それぞれ本体柱28Aの左端及び右端より左右方向内側に配置されている。弾性部34のプレート12前後方向内側部分には、略長尺矩形柱状の弾性孔34Aが貫通形成されており、弾性孔34Aは、長手方向が左右方向にされると共に、左端面及び右端面が凸状に湾曲されている。
【0031】
前側の移動体26の左部及び右部は、それぞれ、芯部材28の制限柱28C及びクッション30の抗力部32において、プレート12の前側かつ左側及び右側の制限孔18に挿入されており、前側の移動体26は、上下方向及び左右方向への移動が当該制限孔18の周面によって制限されると共に、当該制限孔18に案内されて前後方向にスライド(移動)可能にされている。後側の移動体26の左部及び右部は、それぞれ、制限柱28C及び抗力部32において、プレート12の後側かつ左側及び右側の制限孔18に挿入されており、後側の移動体26は、上下方向及び左右方向への移動が当該制限孔18の周面によって制限されると共に、当該制限孔18に案内されて前後方向にスライド(移動)可能にされている。
【0032】
移動体26の本体柱28Aには、第1マグネット又は第2マグネットとしての直方体状の操作マグネット36が収容された状態で固定されており、操作マグネット36の下面は、本体柱28Aの下面近傍に配置されている。操作マグネット36のプレート12前後方向内側面は、プレート12前後方向内側に露出されており、前側の操作マグネット36と後側の操作マグネット36とは、前後方向において対向されている。操作マグネット36の前面及び後面は、磁極にされており、前側の操作マグネット36の後面と後側の操作マグネット36の前面とは、逆磁極にされて、吸引力が作用されている。このため、前側の移動体26(クッション30)の当接面32Aがプレート12の前側かつ左側及び右側の制限孔18の係止面18Aに当接されて、前側の移動体26の後側へのスライドが係止されている。さらに、後側の移動体26(クッション30)の当接面32Aがプレート12の後側かつ左側及び右側の制限孔18の係止面18Aに当接されて、後側の移動体26の前側へのスライドが係止されている。また、前側の移動体26(クッション30)の抗力面32Bがプレート12の前側かつ左側及び右側の制限孔18の制限面18Bに当接されて、前側の移動体26の前側へのスライドが制限可能にされている。さらに、後側の移動体26(クッション30)の抗力面32Bがプレート12の後側かつ左側及び右側の制限孔18の制限面18Bに当接されて、後側の移動体26の後側へのスライドが制限可能にされている。
【0033】
前側及び後側の移動体26(クッション30)の弾性部34間には、レバー20の押圧柱22が配置されており、前側及び後側の弾性部34には、押圧柱22の押圧面22Aが当接されている。このため、押圧柱22の前後方向への回動が制限されることで、レバー20の前後方向への回動が制限されて、レバー20が第3シフト位置(「H」位置)に保持されている。
【0034】
プレート12(右プレート12B)の下壁には、前側及び後側において、節度機構24を構成する第3マグネットとしての直方体状の固定マグネット38(
図3の(A)及び(B)参照)が収容された状態で固定されており、固定マグネット38の上面は、上側に露出されている。前側の固定マグネット38は、前側の移動体26の操作マグネット36が前側にスライドされて上側に到達可能にされると共に、後側の固定マグネット38は、後側の移動体26の操作マグネット36が後側にスライドされて上側に到達可能にされている。固定マグネット38の前面及び後面は、磁極にされており、前側の固定マグネット38の前面及び後面と前側の操作マグネット36の前面及び後面とはそれぞれ同磁極にされると共に、後側の固定マグネット38の前面及び後面と後側の操作マグネット36の前面及び後面とはそれぞれ同磁極にされる。
【0035】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0036】
以上の構成のシフト装置10では、レバー20に回動操作力が作用されない際に、節度機構24において、前側及び後側の移動体26の操作マグネット36間に吸引力が作用されることで、前側及び後側の移動体26が、それぞれ、当接面32Aをプレート12の前側及び後側の制限孔18の係止面18Aに当接されて、後側及び前側へのスライドが係止される。さらに、前側及び後側の移動体26の弾性部34にレバー20の押圧柱22(押圧面22A)が当接されて、レバー20が第3シフト位置(「H」位置)に保持される。
【0037】
レバー20のシフト位置が第3シフト位置から前側の第2シフト位置(「N」位置)又は後側の第4シフト位置(「N」位置)に変更される際には、それぞれ、後側又は前側の移動体26の弾性部34が、レバー20の押圧柱22(押圧面22A)によって後側又は前側に押圧されて、弾性変形される。このため、弾性部34の弾性力が徐々に増加されて、レバー20に作用される回動抵抗力が徐々に増加される。そして、押圧柱22により当該移動体26に作用される後側又は前側へのスライド力が前側及び後側の操作マグネット36間の吸引力に比し大きくされることで、当該移動体26(操作マグネット36)が当該吸引力に抗して後側又は前側にスライドされる。このため、当該吸引力が徐々に減少されて、レバー20に作用される回動抵抗力が徐々に減少される。これにより、レバー20に第3シフト位置側への磁力及び弾性力(付勢力)が作用されて、レバー20の第3シフト位置から第2シフト位置又は第4シフト位置への回動操作に節度感が作用される(
図4参照)。
【0038】
レバー20のシフト位置が第2シフト位置から前側の第1シフト位置(「R」位置)又は第4シフト位置から後側の第5シフト位置(「D」位置)に変更される際には、それぞれ、後側又は前側の移動体26の操作マグネット36が、後側又は前側の固定マグネット38側にスライドされる。そして、当該移動体26の抗力面32Bがプレート12の後側又は前側の制限孔18の制限面18Bに当接されて、当該移動体26のスライドが制限されることで、当該操作マグネット36の前後方向中央が当該固定マグネット38の前後方向中央と上下方向において対向される位置の前まで当該移動体26がスライドされる。このため、当該操作マグネット36が当該固定マグネット38と反発されつつスライドされて、レバー20に回動抵抗力が作用される。また、当該操作マグネット36と当該固定マグネット38との間の反発力の当該操作マグネット36スライド方向成分は、当該操作マグネット36のスライド方向側端が当該固定マグネット38の当該操作マグネット36スライド方向とは反対側端を通過する際に、最大になる。このため、レバー20のシフト位置が第2シフト位置から第1シフト位置又は第4シフト位置から第5シフト位置に変更される際には、レバー20に作用される回動抵抗力が、当該操作マグネット36と当該固定マグネット38との間の反発力により徐々に増加された後に徐々に減少される。これにより、レバー20に第3シフト位置側への磁力(付勢力)が作用されて、レバー20の第2シフト位置から第1シフト位置又は第4シフト位置から第5シフト位置への回動操作に節度感が作用される(
図4参照)。
【0039】
レバー20が第1シフト位置から前側又は第5シフト位置から後側に回動される際には、それぞれ、後側又は前側の移動体26の抗力面32Bが後側又は前側の制限孔18の制限面18Bに押圧されて、当該移動体26の抗力部32が弾性変形される。そして、当該移動体26の操作マグネット36の前後方向中央が後側又は前側の固定マグネット38の前後方向中央と上下方向において対向される位置の直前まで当該移動体26がスライドされる際に、レバー20がプレート12の規制孔14の前端面又は後端面に当接されて、レバー20の回動が規制される。このため、レバー20が第1シフト位置から前側又は第5シフト位置から後側に回動される際には、当該操作マグネット36と当該固定マグネット38との反発力が徐々に減少されるものの、当該抗力部32の弾性力が徐々に増加されて、レバー20に作用される回動抵抗力が徐々に増加される(
図4参照)。
【0040】
また、上述の如く、レバー20が第3シフト位置以外に配置される際には、レバー20に回動抵抗力が作用される。このため、レバー20が第3シフト位置以外に配置される際に、レバー20への回動操作力の作用が解除された場合には、レバー20が作用される回動抵抗力により第3シフト位置に回動(復帰)される。
【0041】
ここで、前側及び後側の操作マグネット36間の吸引力が前後方向(操作マグネット36スライド方向)において作用される。このため、シフト装置10を上下方向及び左右方向(操作マグネット36スライド垂直方向)において小型化できる。
【0042】
また、レバー20のシフト位置が第3シフト位置から第2シフト位置又は第4シフト位置に変更される際には、それぞれ、レバー20が後側又は前側の移動体26の弾性部34の弾性力に抗して回動された後に、当該移動体26(操作マグネット36)が前側及び後側の操作マグネット36間の吸引力に抗してスライドされる。このため、移動体26(操作マグネット36)がスライドされる前に、レバー20に作用される回動抵抗力を弾性部34の弾性力によって大きくできる。これにより、例えば移動体26のクッション30の材質又は弾性孔34Aの大きさを調整して、弾性部34の弾性力を調整することで、移動体26が当該吸引力に抗してスライドされるためのレバー20の回動ストローク及び回動抵抗力を自由に調整できる。
【0043】
さらに、レバー20のシフト位置が第2シフト位置から第1シフト位置又は第4シフト位置から第5シフト位置に変更される際には、それぞれ、後側又は前側の移動体26の操作マグネット36と後側又は前側の固定マグネット38との間に反発力が作用される。このため、レバー20に作用される回動抵抗力を徐々に増加させた後に徐々に減少させることができる。
【0044】
また、レバー20が第1シフト位置から前側又は第5シフト位置から後側に回動される際には、それぞれ、後側又は前側の移動体26の抗力部32がプレート12の後側又は前側の制限孔18の制限面18Bによって弾性変形された後に、レバー20の回動が規制される。このため、レバー20の回動が規制される前に、レバー20に作用される回動抵抗力を徐々に大きくできる。
【0045】
さらに、レバー20が第1シフト位置から前側又は第5シフト位置から後側に回動される際には、それぞれ、後側又は前側の移動体26の操作マグネット36の前後方向中央が後側又は前側の固定マグネット38の前後方向中央と上下方向において対向される直前に、当該移動体26(当該操作マグネット36)の移動が規制される。このため、操作マグネット36の前後方向中央と固定マグネット38の前後方向中央とが対向されて操作マグネット36の固定マグネット38との間の反発力が小さくなることを抑制でき、レバー20に作用される回動抵抗力が小さくなることを抑制できる。
【0046】
なお、本実施形態では、前側及び後側の操作マグネット36が操作マグネット36のスライド方向において対向される。しかしながら、前側及び後側の操作マグネット36が操作マグネット36のスライド垂直方向において離間されて操作マグネット36のスライド方向において対向されなくてもよい。
【0047】
[第2実施形態]
図5には、本発明の第2実施形態に係るシフト装置50が左方から見た側面図にて示されている。
【0048】
本実施形態に係るシフト装置50は、上記第1実施形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0049】
図5に示す如く、本実施形態に係るシフト装置50では、上記第1実施形態における移動体26が設けられていない。
【0050】
レバー20の下面は、レバー20の回動周方向に沿って湾曲されており、レバー20には、上記第1実施形態における制限柱28Cが設けられていない。レバー20の下部には、操作マグネット36が収容された状態で固定されており、操作マグネット36は、下面が下側に露出されると共に、前面及び後面が磁極にされている。
【0051】
プレート12の下壁上面には、凹状の対向面12Cが形成されており、対向面12Cは、レバー20の回動周方向に沿って湾曲されている。対向面12Cは、レバー20の下面近傍に配置されており、対向面12Cには、レバー20の下面が対向されている。
【0052】
プレート12の下壁には、対向面12Cの前後方向中央位置において、固定マグネット38(以下「第1固定マグネット38A」という)が収容された状態で固定されており、第1固定マグネット38Aの上面は、上側に露出されている。第1固定マグネット38Aの前面及び後面は、磁極にされており、第1固定マグネット38Aの前面及び後面とレバー20の操作マグネット36の前面及び後面とはそれぞれ逆磁極にされている。このため、第1固定マグネット38Aと操作マグネット36との間に吸引力が作用されることで、レバー20の前後方向への回動が制限されて、レバー20が第3シフト位置(「H」位置)に保持されている。
【0053】
プレート12の下壁には、対向面12Cの前端部及び後端部の位置において、それぞれ一対の固定マグネット38(以下「第2固定マグネット38B」という)が収容された状態で固定されており、第2固定マグネット38Bの上面は、上側に露出されている。第2固定マグネット38Bの前面及び後面は、磁極にされており、第2固定マグネット38Bの前面及び後面とレバー20の操作マグネット36の前面及び後面とはそれぞれ同磁極にされている。
【0054】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0055】
以上の構成のシフト装置50では、レバー20に回動操作力が作用されない際に、節度機構24において、レバー20の操作マグネット36とプレート12の第1固定マグネット38Aとの間に吸引力が作用されることで、レバー20の前後方向への回動が制限されて、レバー20が第3シフト位置(「H」位置)に保持されている。
【0056】
レバー20のシフト位置が第3シフト位置から前側の第2シフト位置(「N」位置)又は後側の第4シフト位置(「N」位置)に変更される際には、レバー20の操作マグネット36が第1固定マグネット38Aに吸引されつつ回動される。また、操作マグネット36と第1固定マグネット38Aとの間の吸引力の操作マグネット36回動周方向成分は、操作マグネット36の回動方向とは反対側端が第1固定マグネット38Aの操作マグネット36回動方向側端を通過する際に、最大になる。このため、レバー20のシフト位置が第3シフト位置から第2シフト位置又は第4シフト位置に変更される際には、レバー20に作用される回動抵抗力が、当該吸引力により徐々に増加された後に徐々に減少される。これにより、レバー20に第3シフト位置側への磁力(付勢力)が作用されて、レバー20の第3シフト位置から第2シフト位置又は第4シフト位置への回動操作に節度感が作用される(
図6参照)。
【0057】
レバー20のシフト位置が第2シフト位置から前側の第1シフト位置(「R」位置)又は第4シフト位置から後側の第5シフト位置(「D」位置)に変更される際には、それぞれ、レバー20の操作マグネット36がプレート12の後側又は前側の一対の第2固定マグネット38B側にスライドされる。そして、レバー20がプレート12の制限孔18の前端面又は後端面に当接されて、レバー20の回動が規制される。このため、操作マグネット36が当該一対の第2固定マグネット38Bと反発されつつ回動されて、レバー20に回動抵抗力が作用される。また、操作マグネット36と当該一対の第2固定マグネット38Bとの間の反発力の操作マグネット36回動周方向成分が徐々に増加されて、レバー20に作用される回動抵抗力が徐々に増加される。これにより、レバー20に第3シフト位置側への磁力(付勢力)が作用されて、レバー20の第2シフト位置から第1シフト位置又は第4シフト位置から第5シフト位置への回動操作に節度感が作用される(
図6参照)。
【0058】
また、上述の如く、レバー20が第3シフト位置以外に配置される際には、レバー20に回動抵抗力が作用される。このため、レバー20が第3シフト位置以外に配置される際に、レバー20への回動操作力の作用が解除された場合には、レバー20が作用される回動抵抗力により第3シフト位置に回動(復帰)される。
【0059】
なお、上記第1実施形態及び第2実施形態では、レバー20(シフト体)が回動される。しかしながら、シフト体が中心軸線周りに回転又はスライド(移動)されてもよい。
【0060】
また、上記第1実施形態及び第2実施形態では、操作マグネット36がスライド又は回動される。しかしながら、操作マグネット36は、スライド、回動又は中心軸線周りに回転(移動)されればよい。例えば、シフト体及び操作マグネット36の一方が中心軸線周りに回転又は回動されると共に、シフト体及び操作マグネット36の他方がスライドされる場合には、シフト体と操作マグネット36とがラックアンドピニオン機構により連絡されてもよい。
【符号の説明】
【0061】
10・・・シフト装置、14・・・規制孔(規制部)20・・・レバー(シフト体)、32・・・抗力部、34・・・弾性部、36・・・操作マグネット(第1マグネット又は第2マグネット)、38・・・固定マグネット(第3マグネット)、50・・・シフト装置