(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121038
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】燃料電池運転管理装置、及び、燃料電池運転管理システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04492 20160101AFI20230823BHJP
H01M 8/04955 20160101ALI20230823BHJP
H01M 8/04303 20160101ALI20230823BHJP
H01M 8/04228 20160101ALI20230823BHJP
H01M 8/04694 20160101ALI20230823BHJP
【FI】
H01M8/04492
H01M8/04955
H01M8/04303
H01M8/04228
H01M8/04694
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024247
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊東 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】香田 淳也
(72)【発明者】
【氏名】高須 俊樹
【テーマコード(参考)】
5H127
【Fターム(参考)】
5H127AB02
5H127AC05
5H127BA02
5H127BA05
5H127BA12
5H127BA13
5H127BA18
5H127DA11
5H127DB48
5H127DB75
5H127DB90
5H127DC99
(57)【要約】
【課題】燃料電池に供給される原料ガスを脱硫する脱硫剤の水吸着を抑制する。
【解決手段】燃料電池運転管理装置20は、ガス導管40に水が混入された水混入情報と、水混入ガス導管40Wの位置情報と、を収集する水混入情報収集部24Aと、水混入ガス導管40Wからのガスが供給される燃料電池10を特定する燃料電池特定部24Bと、燃料電池特定部24Bより特定された燃料電池へ運転停止指示を送信する運転停止指示送信部24Cと、を備えている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫黄成分が添加された炭化水素系成分を含むガスを流すガス導管に水が混入された水混入情報と、当該水混入されている水混入ガス導管の位置情報と、を収集する水混入情報収集部と、
前記水混入ガス導管から前記ガスが供給され、供給された前記ガスから硫黄成分を除去する脱硫器を有する燃料電池を、前記位置情報を用いて特定する燃料電池特定部と、
前記燃料電池特定部により特定された燃料電池へ運転停止指示を送信する運転停止指示送信部と、
を備えた、燃料電池運転管理装置。
【請求項2】
前記水混入情報は、前記ガスのユーザからの問い合わせを含み、前記水混入情報が前記ユーザからの問い合わせの場合には、前記ユーザの所在する位置情報を前記水混入ガス導管の位置情報とする、
請求項1に記載の燃料電池運転管理装置。
【請求項3】
前記水混入情報は、業者からの連絡を含み、前記水混入情報が前記業者からの連絡の場合には、当該連絡内容に応じた位置情報を前記水混入ガス導管の位置情報とする、
請求項1または請求項2に記載の燃料電池運転管理装置。
【請求項4】
前記燃料電池特定部は、ガス導管毎に対応する低圧エリア内に設置される燃料電池に関するエリア対応燃料電池情報に基づいて、前記水混入ガス導管からのガスが供給される燃料電池を特定する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の燃料電池運転管理装置。
【請求項5】
前記水混入情報は、ガス導管、熱源機、及び燃料電池の少なくとも1つに設置された露点計からの露点データを含み、前記水混入情報が前記露点計からの露点データの場合には、前記露点計の位置情報を前記水混入ガス導管の位置情報とする、
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池運転管理装置。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の燃料電池運転管理装置と、
前記燃料電池運転管理装置とネットワークを介して接続され、燃料電池運転管理装置へ水混入情報及び水混入ガス導管の位置情報を送信する水混入情報取得装置と、
を備えた、燃料電池運転管理システム。
【請求項7】
前記水混入情報取得装置は、ガス導管、熱源機、及び燃料電池の少なくとも1つに設置された露点計により計測された露点データに基づいて前記水混入情報を取得する、
請求項6に記載の燃料電池運転管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池の運転管理を行う燃料電池運転管理装置、及び、燃料電池運転管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスに硫黄が添加された原料ガスの供給を受ける燃料電池システムのガス経路には、ガスから硫黄分を吸着する脱硫剤が搭載されている。原料ガスから硫黄分を除去することで、改質触媒の硫黄被毒を回避し、燃料電池システムの正常稼働が維持される。
【0003】
特許文献1では、原料ガスの露点と、基準時期からガス通路を流れる原料ガスの積算流通量とに基づいて、第1脱硫器および第2脱硫器に関するメンテナンスに関する情報を報知することにより、脱硫器のメンテナンス(交換)を促している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この脱硫剤は、水が相対的に多く含まれるガスが供給されると、硫黄分よりも水を吸着し、吸着していた硫黄分を脱離してしまう、という特徴を持つ。
【0006】
したがって、ガス工事等、何らかの不可抗力により、ガス供給エリアの上流側のガス導管に水が流入すると、水を含んだガスが燃料電池供給され、水の吸着によって脱硫剤に吸着していた硫黄分が放出され、改質触媒や燃料電池スタック等が硫黄被毒し、燃料電池システムの正常稼働に影響を与えることが考えられる。
【0007】
特許文献1では、脱硫剤に吸着していた硫黄分が放出される場合が想定されておらず、対応できない。
【0008】
本発明は、上記事実を考慮して成されたものであり、燃料電池に供給される原料ガスを脱硫する脱硫剤の水吸着を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る燃料電池運転管理装置は、硫黄成分が添加された炭化水素系成分を含むガスを流すガス導管に水が混入された水混入情報と、当該水混入ガス導管の位置情報と、を収集する水混入情報収集部と、前記水混入ガス導管から前記ガスが供給され、供給された前記ガスから硫黄成分を除去する脱硫器を有する燃料電池を、前記位置情報を用いて特定する燃料電池特定部と、前記燃料電池特定部により特定された燃料電池へ運転停止指示を送信する運転停止指示送信部と、を備えている。
【0010】
請求項1に係る燃料電池運転管理装置では、水混入情報収集部によって水混入情報と水混入ガス導管の位置情報が収集され、燃料電池特定部によって水混入ガス導管からのガスが供給される燃料電池が特定される。そして、特定された燃料電池へ運転停止指示送信部によって運転停止指示が送信される。これにより、水混入ガス導管からのガスが供給される燃料電池の運転が停止され、水混入ガスの燃料電池の脱硫器への流入がなくなり、脱硫剤の水吸着による硫黄分の脱離を抑制することができる。
【0011】
請求項2に係る燃料電池運転管理装置は、前記水混入情報は、前記ガスのユーザからの問い合わせを含み、前記水混入情報が前記ユーザからの問い合わせの場合には、前記ユーザの所在する位置情報を前記水混入ガス導管の位置情報とする。
【0012】
このように、ユーザからの問い合わせを水混入情報の1つとして採用し、ユーザの所在位置情報を水混入ガス導管の位置情報とすることができる。
【0013】
請求項3に係る燃料電池運転管理装置は、前記水混入情報は、業者からの連絡を含み、前記水混入情報が前記業者からの連絡の場合には、当該連絡内容に応じた位置情報を前記水混入ガス導管の位置情報とする。
【0014】
このように、業者からの連絡を水混入情報の1つとして採用し、当該連絡内容に応じた位置情報を水混入ガス導管の位置情報とすることができる。
【0015】
請求項4に係る燃料電池運転管理装置は、前記燃料電池特定部は、ガス導管毎に対応する低圧エリア内に設置される燃料電池に関するエリア対応燃料電池情報に基づいて、前記水混入ガス導管からのガスが供給される燃料電池を特定する。
【0016】
請求項4に係る燃料電池運転管理装置によれば、ガス導管毎に対応する低圧エリア内に設置される燃料電池に関するエリア対応燃料電池情報に基づいて、水混入ガス導管からのガスが供給される燃料電池を特定することができる。
【0017】
請求項5に係る燃料電池運転管理装置は、前記水混入情報は、ガス導管、熱源機、及び燃料電池の少なくとも1つに設置された露点計からの露点データを含み、前記水混入情報が前記露点計からの露点データの場合には、前記露点計の位置情報を前記水混入ガス導管の位置情報とする。
【0018】
このように、ガス導管、熱源機、及び燃料電池の少なくとも1つに設置された露点計からの露点データを水混入情報の1つとして採用し、露点計の位置情報を水混入ガス導管の位置情報とすることができる。
【0019】
請求項6に係る燃料電池運転管理システムは、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池運転管理装置と、前記燃料電池運転管理装置とネットワークを介して接続され、燃料電池運転管理装置へ水混入情報及び水混入ガス導管の位置情報を送信する水混入情報取得装置と、を備えている。
【0020】
請求項6に係る燃料電池運転管理システムによれば、ネットワークを介して、水混入情報取得装置から燃料電池運転管理装置へ水混入情報及び水混入ガス導管の位置情報を送信することができる。
【0021】
請求項7に係る燃料電池運転管理システムは、前記水混入情報取得装置は、ガス導管、熱源機、及び燃料電池の少なくとも1つに設置された露点計により計測された露点データに基づいて前記水混入情報を取得する。
【0022】
このように、ガス導管、熱源機、及び燃料電池の少なくとも1つに設置された露点計からの露点データに基づいて水混入情報を取得することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る燃料電池運転管理システムによれば、燃料電池に供給される原料ガスを脱硫する脱硫剤の水吸着を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本実施形態に係る燃料電池運転管理システムの全体図である。
【
図2】ガス導管毎に対応するエリア情報の一例である。
【
図4A】ガス導管に設置された露点計の構成図である。
【
図6】水混入時運転管理処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0026】
(燃料電池運転管理システムSの全体構成)
図1は、本実施形態に係る燃料電池運転管理システムSの全体図である。
図1に示される燃料電池運転管理システムSは、各所に設置された燃料電池10の運転管理システムであって、燃料電池運転管理装置20及び水混入情報取得装置30を備えている。
【0027】
燃料電池10は、例えば、エネファーム(登録商標)である。燃料電池10は、ユーザ宅や、集合住宅、工場等に設置されている。各々の燃料電池10は、
図2に示されるように、低圧エリアにガスを供給するガス導管40A、40B、40C....などのガス導管ID毎に対応するエリア情報J(位置情報)が登録されている。例えば、ガス導管40Aからガスの供給を受けるエリア内に設置される燃料電池10は「エリア情報JA」が登録され、ガス配管40Bからガスの供給を受けるエリア内に設置される燃料電池10は「エリア情報JB」が登録されている。燃料電池10は、ネットワークNに接続されている。燃料電池10の詳細については後述する。
【0028】
ガス配管40には、硫黄成分が添加された都市ガスが流されている。なお、本実施形態では、都市ガスを例に説明するが、炭化水素系成分を含むガスを流す他のガス配管にも適用することができる。
【0029】
水混入情報取得装置30は、ガス導管40に設けられた露点計42、熱源機44、及び燃料電池10を含んでいる。熱源機44及び燃料電池10には、露点計46、露点計11が各々設けられている。露点計42、熱源機44、及び燃料電池10は、ネットワークNに接続されている。
【0030】
燃料電池運転管理装置20は、水混入情報取得装置30等から、水混入情報及び水混入ガス導管の位置情報を収集し、当該水混入の影響を受ける燃料電池10へ停止指示を送る装置である。燃料電池運転管理装置20は、ネットワークNに接続されている。
【0031】
ネットワークNは、例えば、インターネットであり、燃料電池10、燃料電池運転管理装置20、水混入情報取得装置30(露点計42、熱源機44)は、ネットワークNを介して接続されている。
【0032】
(燃料電池10の構成)
図3に示されるように、燃料電池10は、露点計11、脱硫器12、発電本体部13、FC制御部14、操作パネル18、通信器19を備えている。燃料電池10には、ガス導管40から、不図示の整圧器を介して降圧された都市ガスが、配管41により供給される。
【0033】
配管41には、上流側から、露点計11、脱硫器12、発電本体部13が接続されている。露点計11は、原料ガスの露点を計測する。脱硫器12は、内部に脱硫剤が充填されており、脱硫剤により原料ガスに添加された硫黄成分を吸着して除去する。これにより、発電本体部13における硫黄被毒を抑制することができる。
【0034】
発電本体部13には、原料ガスを改質する改質部、改質部で改質された水素を含む燃料ガスにより発電するセルスタック等が設けられている。発電本体部13から電力が取り出され、電力の需要部分へ供給される
【0035】
FC制御部14は、燃料電池10の各部を制御するコンピュータであり、露点計11、発電本体部13の各部と接続されている。
【0036】
FC制御部14は、ハードウェアとして、プロセッサ15及びメモリ16を備える。プロセッサ15は、CPU(Central Processing Unit)等を有する。メモリ16は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びストレージ等を有する。
【0037】
ROMは、各種プログラム及び各種データを格納する。RAMは、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージは、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム及び各種データを格納する。ROM又はストレージには、燃料電池10を制御するためのプログラム17が格納されている。プロセッサ15は、プログラム17を読み出し、RAMを作業領域としてプログラム17を実行する。
【0038】
メモリ16には、記憶領域16Aが設けられている。記憶領域16Aには、当該燃料電池10のエリア情報Jが記憶されると共に、燃料電池10内の各部から出力された運転データや、露点計11から出力された露点データ等が記憶される。
【0039】
操作パネル18は、表示器、ランプ、及び、スイッチ等を有している。操作パネル18は、燃料電池10の動作及び設定等を変更できるスイッチを有している。通信器19は、例えばモデムである。通信器19は、ネットワークNを通じて後述する燃料電池運転管理装置20とFC制御部14とを通信可能に接続する機能を有する。
【0040】
露点計11は、計測した露点値を露点データとしてFC制御部14へ出力する。FC制御部14は、異常な水混入が疑われる閾値TH以上となった場合に、水混入情報として、当該燃料電池10のエリア情報Jと共に、ネットワークNを介して、燃料電池運転管理装置20へ送信する。ここで、異常な水混入が疑われる閾値THは、配管41を流れるガス中の露点が高くなり、異常な水混入が疑われる数値が設定されている。このように露点データの送信機能を有することから、燃料電池10は、後述する水混入情報取得装置30の1つとしても機能する。
【0041】
(水混入情報取得装置30の構成)
図4Aに示されるように、水混入情報取得装置30の1つである露点計42は、ガス導管40に設置されており、ガス導管40を流れるガスの露点値を計測する。露点計42は、マイコン(不図示)を備えており、ガス中の水蒸気濃度が高くなり、露点値が異常な水混入が疑われる閾値TH以上となった場合に、当該情報を水混入情報として、ガス導管40のID情報と共に、ネットワークNを介して、燃料電池運転管理装置20へ送信する。ガス導管40のID情報は、
図2に示す40A、40B、40C....のように、どのガス導管40であるかを特定するための情報である。
【0042】
図4Bに示されるように、水混入情報取得装置30の1つである熱源機44は、露点計46、熱源機制御部47、熱源機本体部48を備えている。熱源機44は、ガス給湯器や床暖設備など、水との熱交換を行うための熱源をバーナーの燃焼熱とする器機である。熱源機44には、ガス導管40から、不図示の整圧器を介して降圧された原料ガスが、配管43により供給される。
【0043】
配管43には、上流側から、露点計46、熱源機本体部48が接続されている。露点計46は、配管43を流れるガスの露点を計測する。
【0044】
熱源機本体部48には、ガスを燃焼させるバーナー、熱交換部等が設けられている。熱交換部において、上水などが加熱され、温水が需要部分へ供給される
【0045】
熱源機制御部47は、熱源機44を制御するコンピュータであり、露点計46、熱源機本体部48内の各部と接続されている。熱源機制御部47の不図示の記憶部には、燃料電池10と同様に、当該熱源機44のエリア情報J(位置情報)が記憶されている。
【0046】
露点計46からは、計測した露点値が熱源機制御部47へ出力されている。熱源機制御部47は、ガス中の水蒸気濃度が高くなり、露点値が異常な水混入が疑われる閾値TH以上となった場合に、水混入情報として、当該熱源機44のエリア情報Jと共に、ネットワークNを介して、燃料電池運転管理装置20へ送信する。
【0047】
(燃料電池運転管理装置20の構成)
燃料電池運転管理装置20は、
図5に示されるように、入力装置22と、コンピュータ23とを備える。入力装置22は、例えばキーボードやタッチパネル等である。コンピュータ23は、ハードウェアとして、プロセッサ24と、メモリ25と、データベース26と、通信インターフェース27とを備える。プロセッサ24及びメモリ25の基本的な構成は、上述のFC制御部14のプロセッサ15及びメモリ16(
図3参照)と同様である。
【0048】
メモリ25には、管理対象エリア内に設置された燃料電池10の運転管理を行うためのプログラム28が格納されている。また、メモリ25の記憶領域25Aには、所定のデータが格納されている。データベース26には、管理対象エリア内の燃料電池10に関する情報(エリア情報Jを含む)、運転情報が予め記憶されている。
【0049】
通信インターフェース27は、ネットワークNを通じて、燃料電池10および水混入情報取得装置30とコンピュータ23とを通信可能に接続する機能を有する。
【0050】
コンピュータ23は、機能的な構成として、水混入情報収集部24A、燃料電池特定部24B、運転停止指示送信部24Cを備える。これらの機能部は、プロセッサ24がプログラム28を実行することにより実現される。
【0051】
水混入情報収集部24Aは、ガス導管40に水が混入された水混入情報と、水混入ガス導管40Wの位置情報と、を対応付けてデータベース26へ格納する機能を有する。水混入情報及び水混入ガス導管40Wの位置情報は、ユーザからの問い合わせ、業者からの連絡による情報を含む。
【0052】
ここで、ユーザからの問い合わせは、ガス導管40からガスの供給を受けているユーザからのガス導管への水混入に関するものである。業者からの連絡は、ガス工事業者からの工事の際の水混入の連絡、ガス管理業者からの水混入の連絡、ガス器機メンテナンス業者からの水混入の連絡、等である。
【0053】
情報源がユーザからの問い合わせ及び業者からの連絡、の場合には、オペレータによって入力装置22から水混入情報及び水混入ガス導管40Wの位置情報が入力される。ユーザからの問い合わせの場合、水混入ガス導管40Wは、当該ユーザの所在するエリア情報Jを位置情報とする。業者からの連絡の場合には、当該連絡内容に応じた情報を位置情報とする。例えば、ガス工事中に水混入があった場合には、当該ガス工事の影響を受けるガス導管40のID情報を位置情報とする。
【0054】
燃料電池特定部24Bは、水混入ガス導管40Wからのガスが供給される燃料電池10を特定する機能を有する。運転停止指示送信部24Cは、燃料電池特定部24Bにより特定された燃料電池10へ運転停止指示を送信する機能を有する。
【0055】
次に、本実施形態の燃料電池運転管理システムSの作用について説明する。
【0056】
水混入情報取得装置30である、燃料電池10、露点計42、熱源機44は、取得した露点値が閾値TH以上となった場合に、水混入情報をガス導管40のID情報(露点計42の場合)、または、エリア情報J(熱源機44、燃料電池10の場合)と共に、ネットワークNを介して燃料電池運転管理装置20へ送信する。
【0057】
燃料電池運転管理装置20では、入力装置22からの入力、または、水混入情報取得装置30からのデータ送信により、水混入情報と共にガス導管40のID情報またはエリア情報Jの入力があると、入力日時と共に、データベース26へ格納する。そして、メモリ28から、
図6に示される水混入時運転管理処理が読み出され、プロセッサ24により実行される。
【0058】
まず、ステップS10で、データベース26へ格納された最新の水混入情報を読み出し、ステップS12で、ガス導管40のID情報が入力されているかどうかを判断する。ガス導管40のID情報が入力されている場合には、ステップS14で、ガス導管40のID情報に対応したエリア情報Jを決定し、ステップS18へ進む。一例として、ID情報がガス導管40Aの場合には、対応するエリア情報JAが決定される。
【0059】
ステップS12で、判断が否定された場合には、ステップS16で、ガス導管40のID入力情報に代えてエリア情報Jが入力されているため、入力されたエリア情報Jを読み出し、ステップS18へ進む。
【0060】
ステップS18で、データベース26に格納された燃料電池エリア情報へアクセスし、ステップS14またはステップS16で得られたエリア情報Jに対応する燃料電池10を特定する。これにより、水混入情報に起因して水混入影響を受ける燃料電池10を特定することができる。そして、ステップS20で、特定した燃料電池10へ運転停止指示を送信し、本処理を終了する。
【0061】
燃料電池運転管理装置20から送信された運転停止指示は、ネットワークNを介して該当の燃料電池10へ届けられ、運転停止指示を受信した燃料電池10は、運転停止される。
【0062】
燃料電池10の運転再開は、一例として、燃料電池運転管理装置20からの指示(水混入解除された後の運転開始指示)を待って行うことができる。
【0063】
本実施形態の燃料電池運転管理システムSによれば、燃料電池運転管理装置20で運転管理されている燃料電池10の内、水混入が推定される燃料電池10に対して、運転停止指示が送信される。これにより、水混入ガスの脱硫器12への流入が阻止され、脱硫剤の水吸着を抑制することができる。そして、脱硫剤に水が吸着されて硫黄成分が排出されることも抑制される。
【0064】
なお、本実施形態では、ユーザからの問い合わせ、業者からの連絡、ガス導管40、熱源機44、及び燃料電池10から水混入情報、水混入ガス導管40Wの位置情報(ガス導管40のID情報、エリア情報J)を収集したが、これらのうちの1つまたは複数からの情報であってもよい。本実施形態のように、多くの情報源から水混入情報を得ることにより、様々なパターンの水混入に対応することができる。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0066】
10 燃料電池
12 脱硫器
14 FC制御部
20 燃料電池運転管理装置
24A 水混入情報収集部
24B 燃料電池特定部
24C 運転停止指示送信部
30 水混入情報取得装置
40 ガス導管
40W 水混入ガス導管
42 露点計
44 熱源機
J エリア情報
N ネットワーク
S 燃料電池運転管理システム