(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121058
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】ワンタッチ装着式免震コイル
(51)【国際特許分類】
F21V 21/03 20060101AFI20230823BHJP
F21V 23/04 20060101ALI20230823BHJP
F21V 21/00 20060101ALI20230823BHJP
F21V 21/18 20060101ALI20230823BHJP
G01V 1/00 20060101ALN20230823BHJP
【FI】
F21V21/03 303
F21V23/04 300
F21V21/00 140
F21V21/18
G01V1/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024287
(22)【出願日】2022-02-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】520351358
【氏名又は名称】要 賢一
(72)【発明者】
【氏名】要 賢一
【テーマコード(参考)】
2G105
3K014
【Fターム(参考)】
2G105AA03
2G105NN04
3K014GA04
(57)【要約】
【課題】天井から吊り下げた既存の照明等に、ねじや金具等で天井に固定したり、コードやソケットを付け替えたりする等の作業が不要で、簡単に短時間で取り付けられて、地震による揺れを抑えて落ちたり壊れたりする被害を防げる免震器具を提供することを目的とした。
【解決手段】上下のコイルとホルダー、マジックバンド等を主な構成要素とし、コイル1、2が差し込まれたホルダー3をマジックバンド4を用いて既存の照明5のコード5aに取り付けて、地震等で揺動が起きるとホルダー3を取り付けた部分でコード5aの動きを拘束しながらコイルがたわんで揺動エネルギーを吸収し、照明5が大きく揺れるのを防ぐような構造にした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下のコイルとホルダー、マジックバンド等を主な構成要素とし、コイルが差し込まれたホルダーをマジックバンド等を用いて、既存の吊り下げ型照明等のコードを挟んで巻くように取り付けることにより、ねじや金具等で天井に固定したり、コードやソケットを付け替えたりする等の作業をすることなく簡単に短時間で装着でき、地震等で揺動が起きるとホルダーを取り付けた部分がコードの動きを拘束しながら、上下のコイルが揺動エネルギーを吸収して、吊り下げ型照明等が大きく揺れるのを防ぐような構造にしたことを特徴とする免震器具。
【請求項2】
上下のコイルの大きさや線径等を異なったものにして、吊り下げている既存のコード等の固有周期を異なった固有周期に分割することにより、共振現象が起きにくくなるようにしたことを特徴とする、請求項1の免震器具。
【請求項3】
片側のホルダーとコードとの間にガードプレートを挟んで取り付け、照明等がガードプレート側に揺れたときだけガードプレートがコードに密着して揺動の変曲点を移動させ、揺動の半周期毎に揺動半径を変化させることにより固有周期も変化して、共振現象が起きにくくなるようにしたことを特徴とする、請求項1の免震器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震等による揺れを抑えて、天井から吊り下げた物等が落ちたり壊れたりする被害を防ぐ免震装置、器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本では昔から地震が発生しては人や建物、家財、設備等に多大な被害を及ぼしてきて、以前よりそれらを揺れから守るために多くの制震、免震装置や器具等が開発されてきた。
天井から吊り下げる照明等を揺れから守る免震装置や器具としては、天井から斜めにロープやチェーンを張ったり、免震ゴムやばね、水平にスライドする機器等を組み込んだ装置や器具が多く、それらを取り付ける場合はねじや金具等を用いて天井に固定したり、コードやソケットを付け替えたりする必要があった。
【0003】
地震が起きた時の対策として、特願2021-166542及びPCT/JP2021/41869(特願2022-502247)のテーブル及びハンガー兼用免震装置にて、上下のフレーム間にロープを張りガイドスタンドをロープに接触させ動きを拘束して揺れを抑える免震装置を発案したが、この装置の場合も上側のフレームをねじや金具等を用いて天井に固定する必要があり、またこの装置の高さの分だけ吊り下げる物の位置も低くなる短所もあった。
【0004】
また上記の短所を補うため、特願2022-001232のワンタッチ装着式免震器具にて、天井から吊り下げた既存の照明等に簡単に取り付けられるようにした器具を発案したが、この免震器具の場合、地震でいきなり強い横揺れが起きたときに揺れ始めの半周期だけ大きく揺れてしまう短所があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする課題は、天井から吊り下げた既存の照明等に、ねじや金具等で天井に固定したり、コードやソケットを付け替えたりする等の作業が不要で、簡単に短時間で取り付けられて、地震による揺れを抑えて落ちたり壊れたりする被害を防げる免震器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の免震器具は、上下のコイルとホルダー、マジックバンド等を主な構成要素とし、コイルが差し込まれたホルダーをマジックバンド等を用いて既存の吊り下げ型照明等のコードに取り付け、地震等で揺動が起きるとホルダー3を取り付けた部分でコード5aの動きを拘束しながらコイルがたわんで揺動エネルギーを吸収し、照明等が大きく揺れるのを防ぐような構造にした。
【発明の効果】
【0009】
本発明の免震器具による効果は、天井から吊り下げた既存の照明等に、ねじや金具等で天井に固定したり、コードやソケットを付け替えたりする等の作業が不要で、簡単に短時間で取り付けられて、地震による揺れを抑えて落ちたり壊れたりする被害を防げるという利点がある。
また、地震の揺れ始めがどの方向から起きても、最初の揺動から本免震器具が既存の吊り下げ機器のコードの動きを拘束して大きく揺れることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】
図1を天井側からホルダー の断面(A-A) までの範囲を見た平面図
【
図3】
図1をホルダーの断面(A-A)から下側を見た平面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施形態の一例を示す。
図1は本免震器具を天井から吊り下げられた既存の照明等に取り付けた例の側面図で、全体構成は、揺動が起きたときに天井6に押し付けられてたわむ上側コイル1と、既存の照明5に押し付けられてたわむ下側コイル2と、それらを穴に差し込んだ2個のホルダー3と、ホルダー3を既存の照明5を吊り下げたコード5aを挟んで固定するためのマジックバンド4とに大別される。
【0012】
上側コイル1は金属製の線材等でできており、円錐状に4、5周巻かれたコイルの上端部は約4分の3周(270°)の範囲が水平に巻かれていて、この部分が天井に接して軽く押し付けられている。
また、上端の少し開いた部分から天井から吊り下げられたコード5aを通して巻数と同じだけ回すと、コード5aをソケット6aから外すことなく本図のようにコード5aを中心に通して取り付けることができる。
【0013】
下側コイル2も上側と同じような線材等でできており、円錐状に2、3周巻かれたコイルの下端部は約4分の3周(270°)の範囲が水平に巻かれていて、この部分が既存の照明5に接して軽く押し付けられている。
また、上側コイルと同じように下端の少し開いたところからコード5aを通して巻数分回せば、本図のように取り付けることができる。
【0014】
金属或いはプラスチック等でできた2個のホルダー3は、それぞれ上下のコイル1、2の先端部を穴に差し込んで一体化している。
2個のホルダー3はマジックバンド4で天井6から吊り下げられた既存の照明5のコード5aを挟むようにして固定されている。
【0015】
マジックバンド4は、2個のホルダー3の片方に接着されていて、コイル1、2を差し込んだ2個のホルダー3とガードプレート3aを既存の照明5のコード5aを挟むようにしてワンタッチで巻き付けて固定することができるようになっている。
【0016】
図2は、
図1を天井側からホルダー3の断面 (A-A) までの範囲を見た平面図を表している。
上側コイル1の螺旋状の外周部約4分の3周(270°)の範囲が天井に接して軽く押し付けられているため、地震による揺動がどの方向から起きてもコード5aが傾いた方向にコイル部がたわんで揺動エネルギーを吸収し、ホルダー3から上の部分の揺れを早く減衰させることができる。
【0017】
図3は、
図1をホルダー3の断面(A-A)から下側を見た平面図を表している。
下側コイル2の螺旋状の外周部約4分の3周(270°)の範囲が照明5に接して軽く押し付けられているため、上側と同じようにコード5aが傾いた方向にコイル部がたわんで揺動エネルギーを吸収し、ホルダー3から下の部分の揺れを早く減衰させることができる。
【0018】
上側コイル1と下側コイル2は大きさが異なるようにしたり、或いは線径が異なるようにしてあり、コード5aの固有周期をR1部とR2部の異なった固有周期の揺動半径部に分割することにより、遠方で起こった大地震により発生する長周期振動等による一定周期の外力が加わり、もしもどちらか一方の固有周期がその外力の周期と一致してしまっても、もう一方とは一致しないため、三者の周期が重なった状態が続くことなく共振現象が起こりにくくなり、照明5がゆりかごのように大きく揺れるのを防ぐことができる。
【0019】
またさらに、片方のホルダー3とコード5aの間には、L形の断面形状をしたガードプレート3aがコード5aに沿って上向きに挟まれている。
【0020】
図4は、照明5が右側に揺れた状態を表していて、このときのホルダー3から上側部分の揺動半径は、コードの吊り下げ支点P1からホルダー3の変曲点P2までの間のR2となっている。
【0021】
図5は、照明5が左側に揺れた状態を表していて、このときのホルダー3から上側部分の揺動半径は、コードの吊り下げ支点P1からガードプレート3aの先端部の変曲点P3までの間のR3となっている。
【0022】
このように照明5がガードプレート3a側に揺れたときだけガードプレート3aがコードに接してコードの変曲点を移動させ、揺動の半周期毎に揺動半径が変わって固有周期も変化することにより、一定周期の外力が加わっても共振現象が起こりにくくなるようにしている。
【0023】
ガードプレート3aはL形や半円筒形の断面形状をしているものを片側だけに取り付けるため、揺れる方向が前後や斜め方向に揺れても
図4、
図5の左右に揺れた状態と同じようにコードの変曲点を移動させ、共振現象が起こりにくくなるようにしている。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本器具はねじや金具等で天井に固定したり、コードやソケットを付け替えたりする等の作業をすることなく簡単に短時間で装着でき、また本器具を装着することにより既存品の吊り下げ位置が下がることがないため、床から天井までの高さが低いような一般家庭の部屋でも利用しやすい利点がある。
【0025】
また本器具を取り付けることにより、吊り下げられた既存のコードの固有周期が上下に異なった固有周期に分割される機能や、揺動の半周期毎に固有周期が変化する機能等により共振現象が起こりにくくなるため、遠方で起こった大地震により発生する長周期振動による揺れが起こりやすいビルの高層階や、駅やホール等大きな建物の高い場所に吊り下げられている照明や装飾、案内ボード等に装着すれば、ゆりかごのような揺れ方をすることを防いで壊れたり落下したりする事故を起きにくくすることができる。
【符号の説明】
【0026】
1 上側コイル
2 下側コイル
3 ホルダー
3a ガードプレート
4 マジックバンド
5 既存の照明
5a 既存の吊り下げコード
6 天井
6a ソケット
P1 コードの吊り下げ支点
P2 ホルダーに拘束されたコードの変曲点
P3 ガードプレートに拘束されたコードの変曲点
R1 ホルダーから照明までの揺動半径
R2 コードの吊り下げ支点からホルダーまでの揺動半径
R3 コードの吊り下げ支点からガードプレート上端までの揺動半径
【手続補正書】
【提出日】2022-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側コイル、下側コイル、ホルダー、マジックバンド等を主な構成要素とし、それぞれ上側コイル、下側コイルが差し込まれた2個のホルダーをマジックバンド等を用いて、既存の吊り下げ型照明等のコードを挟んで巻くように取り付け、上側コイルが天井に接し、下側コイルが吊り下げ型照明等に接することにより、ねじや金具等で天井に固定したり、コードやソケットを付け替えたりする等の作業をすることなく簡単に短時間で装着でき、地震等で揺動が起きると2個のホルダーを取り付けた部分がコードの動きを拘束しながら、上側コイル及び下側コイルが揺動エネルギーを吸収して、吊り下げ型照明等が大きく揺れるのを防ぐような構造にしたことを特徴とする免震器具。
【請求項2】
上側コイル及び下側コイルの大きさや線径等を異なったものにして、吊り下げている既存のコード等の固有周期を異なった固有周期に分割することにより、共振現象が起きにくくなるようにしたことを特徴とする、請求項1の免震器具。
【請求項3】
2個のホルダーのうち片側のホルダーとコードとの間にガードプレートを挟んで取り付け、照明等がガードプレート側に揺れたときだけガードプレートがコードに密着して揺動の変曲点を移動させ、揺動の半周期毎に揺動半径を変化させることにより固有周期も変化して、共振現象が起きにくくなるようにしたことを特徴とする、請求項1の免震器具。