(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121061
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】情報出力装置、情報出力システム、情報出力方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20230823BHJP
F24F 11/30 20180101ALI20230823BHJP
F24F 11/49 20180101ALI20230823BHJP
F24F 11/523 20180101ALI20230823BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
F24F11/30
F24F11/49
F24F11/523
【審査請求】未請求
【請求項の数】30
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024294
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391040788
【氏名又は名称】三菱電機システムサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】市村 一貴
(72)【発明者】
【氏名】大平 真二
(72)【発明者】
【氏名】金子 淳一郎
【テーマコード(参考)】
3L260
5L049
【Fターム(参考)】
3L260CA12
3L260CA16
3L260CB22
3L260CB64
3L260CB65
3L260EA09
5L049AA00
(57)【要約】
【課題】空気調和装置に対する保守作業の効果を顧客に分かりやすく知らせる。
【解決手段】運転状況取得部101は、空気調和装置の運転状況を表すデータを示す運転状況情報を取得する。情報出力部102は、空気調和装置に対して清掃と点検と部品交換と修理とのうち少なくとも1つを含む保守作業が実行された後に、空気調和装置の運転状況を表すデータのうち保守作業により変化するデータである変化データに関する情報である変化データ関連情報を出力する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和装置の運転状況を表すデータを示す運転状況情報を取得する運転状況取得手段と、
前記空気調和装置に対して清掃と点検と部品交換と修理とのうち少なくとも1つを含む保守作業が実行された後に、前記空気調和装置の運転状況を表すデータのうち前記保守作業により変化するデータである変化データに関する情報である変化データ関連情報を出力する情報出力手段と、を備える、
情報出力装置。
【請求項2】
前記変化データ関連情報は、前記保守作業前における前記変化データの値と前記保守作業後における前記変化データの値とを含む、
請求項1に記載の情報出力装置。
【請求項3】
前記変化データ関連情報は、前記保守作業前における前記変化データの値と前記保守作業後における前記変化データの値との差分値を含む、
請求項1又は2に記載の情報出力装置。
【請求項4】
前記運転状況情報は、前記空気調和装置が吸い込む空気の温度である吸込温度と前記空気調和装置が吹き出す空気の温度である吹出温度とを示し、
前記変化データは、前記吸込温度と前記吹出温度とに関するデータを含む、
請求項1から3の何れか1項に記載の情報出力装置。
【請求項5】
前記変化データは、前記吸込温度と前記吹出温度との温度差を含む、
請求項4に記載の情報出力装置。
【請求項6】
前記変化データは、前記吸込温度と前記吹出温度との温度差の時間変化を含む、
請求項4又は5に記載の情報出力装置。
【請求項7】
前記運転状況情報は、前記空気調和装置が吹き出す空気の風量を示し、
前記変化データは、前記空気調和装置が吹き出す空気の風量を含む、
請求項1から6の何れか1項に記載の情報出力装置。
【請求項8】
前記運転状況情報は、前記空気調和装置の冷暖房能力を示し、
前記変化データは、前記空気調和装置の冷暖房能力を含む、
請求項1から7の何れか1項に記載の情報出力装置。
【請求項9】
前記運転状況情報は、前記空気調和装置が備えるファンの回転数を示し、
前記変化データは、前記空気調和装置が備えるファンの回転数を含む、
請求項1から8の何れか1項に記載の情報出力装置。
【請求項10】
前記運転状況情報は、前記空気調和装置の内部もしくは前記空気調和装置が吹き出す空気の臭気を示し、
前記変化データは、前記空気調和装置の内部もしくは前記空気調和装置が吹き出す空気の臭気を含む、
請求項1から9の何れか1項に記載の情報出力装置。
【請求項11】
前記運転状況情報は、前記空気調和装置の消費電力を示し、
前記変化データは、前記空気調和装置の消費電力を含む、
請求項1から10の何れか1項に記載の情報出力装置。
【請求項12】
前記運転状況情報は、前記空気調和装置が吸い込む空気の温度である吸込温度と前記空気調和装置が吹き出す空気の温度である吹出温度とを示し、
前記情報出力手段は、前記保守作業前において前記空気調和装置が運転を開始してから規定時間が経過したときの前記吸込温度と前記吹出温度との温度差である作業前温度差が基準範囲外である場合、前記空気調和装置に対して前記保守作業を実行することを提案する提案情報を出力する、
請求項1から11の何れか1項に記載の情報出力装置。
【請求項13】
前記情報出力手段は、前記保守作業後において前記空気調和装置が運転を開始してから前記規定時間が経過したときの前記吸込温度と前記吹出温度との温度差である作業後温度差が前記基準範囲内である場合、前記変化データ関連情報を出力する、
請求項12に記載の情報出力装置。
【請求項14】
前記作業前温度差に基づいて前記保守作業の内容を決定する作業内容決定手段を更に備え、
前記情報出力手段は、前記作業内容決定手段が決定した前記保守作業の内容を含む前記提案情報を出力する、
請求項12又は13に記載の情報出力装置。
【請求項15】
前記作業内容決定手段は、前記作業前温度差が前記基準範囲の最小値よりも小さい場合、前記保守作業の内容に前記空気調和装置の点検を含める、
請求項14に記載の情報出力装置。
【請求項16】
前記作業内容決定手段は、前記作業前温度差が前記基準範囲の最大値よりも大きい場合、前記保守作業の内容に前記空気調和装置の清掃を含める、
請求項14又は15に記載の情報出力装置。
【請求項17】
前記作業内容決定手段は、前記作業前温度差が前記基準範囲の最大値よりも大きい場合において、前記吹出温度が基準温度範囲外である場合、前記保守作業の内容に前記空気調和装置に対する部品交換を含める、
請求項16に記載の情報出力装置。
【請求項18】
前記運転状況情報は、前記空気調和装置が備えるファンの回転数を示し、
前記作業内容決定手段は、前記作業前温度差が前記基準範囲の最大値よりも大きい場合において、前記ファンの回転数が回転数閾値よりも低い場合、前記保守作業の内容に前記空気調和装置に対する部品交換を含める、
請求項14から17の何れか1項に記載の情報出力装置。
【請求項19】
前記空気調和装置の内部を撮像した撮像画像を取得する画像取得手段を更に備え、
前記作業内容決定手段は、前記撮像画像から前記空気調和装置の内部の汚れの程度を推定するための機械学習により取得された学習済みモデルの出力結果と、前記作業前温度差とに基づいて、前記保守作業の内容を決定する、
請求項14から18の何れか1項に記載の情報出力装置。
【請求項20】
前記情報出力手段は、前記保守作業前において前記変化データの値が基準範囲外である場合、前記空気調和装置に対して前記保守作業を実行することを提案する提案情報を出力する、
請求項1から19の何れか1項に記載の情報出力装置。
【請求項21】
前記情報出力手段は、
前記保守作業前において前記変化データの値が基準範囲内である場合、簡易的な清掃を実行することを提案する提案情報を出力し、
前記保守作業前において前記変化データの値が前記基準範囲外である場合、本格的な清掃を実行することを提案する提案情報を出力する、
請求項1から20の何れか1項に記載の情報出力装置。
【請求項22】
前記情報出力手段は、前記保守作業前において前記変化データの値が基準範囲から規定値以上離れている場合、前記空気調和装置に対する部品交換を実行することを提案する提案情報を出力する、
請求項1から21の何れか1項に記載の情報出力装置。
【請求項23】
前記情報出力手段は、前記保守作業前において前記変化データの値が基準範囲外の場合、前記空気調和装置の点検を実行することを提案する提案情報を出力する、
請求項1から22の何れか1項に記載の情報出力装置。
【請求項24】
前記情報出力手段は、前記保守作業前において前記空気調和装置が運転を開始してから規定時間が経過する前における前記変化データの値が基準範囲外である場合、前記空気調和装置に対して前記点検を実行することを提案する提案情報を出力する、
請求項1から23の何れか1項に記載の情報出力装置。
【請求項25】
前記情報出力手段は、前記保守作業前において前記空気調和装置が運転を開始してから規定時間が経過したときにおける前記変化データの値が基準範囲外である場合、前記空気調和装置に対して前記保守作業を実行することを提案する提案情報を出力する、
請求項1から24の何れか1項に記載の情報出力装置。
【請求項26】
前記情報出力手段は、
前記保守作業前において前記空気調和装置が運転を開始してから規定時間が経過したときにおける前記変化データの値が基準範囲内である場合、簡易的な清掃を実行することを提案する提案情報を出力し、
前記保守作業前において前記空気調和装置が運転を開始してから前記規定時間が経過したときにおける前記変化データの値が前記基準範囲外である場合、本格的な清掃を実行することを提案する提案情報を出力する、
請求項1から25の何れか1項に記載の情報出力装置。
【請求項27】
前記情報出力手段が出力した前記変化データ関連情報を表示する表示手段を更に備える、
請求項1から26の何れか1項に記載の情報出力装置。
【請求項28】
空気調和装置の運転状況を表すデータを示す運転状況情報を取得する運転状況取得手段と、
前記空気調和装置に対して清掃と点検と部品交換と修理とのうち少なくとも1つを含む保守作業が実行された後に、前記空気調和装置の運転状況を表すデータのうち前記保守作業により変化するデータである変化データに関する情報である変化データ関連情報を出力する情報出力手段と、を備える、
情報出力システム。
【請求項29】
空気調和装置の運転状況を表すデータを示す運転状況情報を取得し、
前記空気調和装置に対して清掃と点検と部品交換と修理とのうち少なくとも1つを含む保守作業が実行された後に、前記空気調和装置の運転状況を表すデータのうち前記保守作業により変化するデータである変化データに関する情報である変化データ関連情報を出力する、
情報出力方法。
【請求項30】
コンピュータを、
空気調和装置の運転状況を表すデータを示す運転状況情報を取得する運転状況取得手段、
前記空気調和装置に対して清掃と点検と部品交換と修理とのうち少なくとも1つを含む保守作業が実行された後に、前記空気調和装置の運転状況を表すデータのうち前記保守作業により変化するデータである変化データに関する情報である変化データ関連情報を出力する情報出力手段、として機能させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報出力装置、情報出力システム、情報出力方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置において、フィルタ、熱交換器、ファン等の部品を洗浄したり、これらの部品を点検したりすることは重要である。現在、作業者が空気調和装置に対して清掃、点検等の保守作業をするときに利用可能な各種の技術が知られている。例えば、特許文献1には、空気調和装置が備える室内機を洗浄する洗浄装置が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載された洗浄装置によれば、壁掛け型の室内機を取り外すことなく、この室内機が備える熱交換器と送風ファンとを洗浄することができる。ここで、作業者は、空気調和装置を清掃した後、清掃が完了したことを顧客に知らせることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、清掃が完了したことを作業者に知らせるだけでは、清掃作業により暖房又は冷房の効きが向上したか否かを顧客が確認することは困難である。このため、顧客は、清掃作業による効果を把握できず、作業者が実施した清掃作業に満足できない場合がある。そこで、空気調和装置に対する保守作業の効果を顧客に分かりやすく知らせる技術が望まれている。なお、特許文献1には、空気調和装置に対する保守作業の効果を顧客に知らせる技術は記載も示唆もされていない。
【0006】
本開示は、上記問題に鑑みてなされたものであり、空気調和装置に対する保守作業の効果を顧客に分かりやすく知らせる情報出力装置、情報出力システム、情報出力方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示に係る情報出力装置は、
空気調和装置の運転状況を表すデータを示す運転状況情報を取得する運転状況取得手段と、
前記空気調和装置に対して清掃と点検と部品交換と修理とのうち少なくとも1つを含む保守作業が実行された後に、前記空気調和装置の運転状況を表すデータのうち前記保守作業により変化するデータである変化データに関する情報である変化データ関連情報を出力する情報出力手段と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示では、空気調和装置の保守作業後に、空気調和装置の運転状況を表すデータのうち保守作業により変化するデータに関する情報である変化データ関連情報が出力される。従って、本開示によれば、空気調和装置に対する保守作業の効果を顧客に分かりやすく知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る情報出力システムの構成図
【
図4】室内機が備えるファンの撮像画像を示す図であり、(A)は汚れが少ないファンの撮像画像であり、(B)は汚れが多いファンの撮像画像
【
図7】作業者端末に表示される画面を示す図であり、(A)は作業前の温度差が表示される画面であり、(B)は作業後の温度差が表示される画面であり、(C)は作業前のグラフが表示される画面であり、(D)は作業後のグラフが表示される画面
【
図8】実施の形態1に係る作業者端末が実行する作業前診断処理を示すフローチャート
【
図9】実施の形態1に係る作業者端末が実行する作業後診断処理を示すフローチャート
【
図10】実施の形態2に係る情報出力システムの構成図
【
図14】実施の形態2に係る各装置が実行する処理の流れを示すシーケンス図
【
図15】作業者端末に表示される画面を示す図であり、(A)は作業前の風量が表示される画面であり、(B)は作業後の風量が表示される画面であり、(C)は作業前の能力が表示される画面であり、(D)は作業後の能力が表示される画面
【
図16】実施の形態2に係るサーバが実行する作業前診断処理を示すフローチャート
【
図17】実施の形態2に係るサーバが実行する作業後診断処理を示すフローチャート
【
図18】作業日時を決定する処理を実行する場合に各装置が実行する処理の流れを示すシーケンス図
【
図20】実施の形態3に係るサーバが実行する作業前診断処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付す。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る情報出力システム1000の構成を示す図である。情報出力システム1000は、空気調和装置300の保守作業を支援するために、保守作業に関する情報を出力するシステムである。保守作業は、例えば、清掃と点検と部品交換と修理とのうち少なくとも1つを含む作業である。保守作業に関する情報は、例えば、保守作業の内容を示す情報、又は、保守作業の効果を示す情報である。
図1に示すように、情報出力システム1000は、作業者端末100と、温度測定装置200とを備える。作業者端末100と温度測定装置200とは、各種の通信ネットワークに接続され、各種の通信ネットワークを介して相互に通信可能に接続される。
【0012】
作業者端末100は、空気調和装置300の保守作業を実行する作業者が利用する端末装置である。作業者端末100は、例えば、作業者が空気調和装置300の設置場所で保守作業をするときに携帯する端末装置である。作業者端末100は、無線通信又は有線通信により温度測定装置200と通信する。作業者端末100は、各種の操作を受け付ける操作受付機能、各種の情報を表示する表示機能、各種の機器と通信する通信機能等を備える。作業者端末100は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン等である。作業者端末100は、情報出力装置の一例である。
図2に示すように、作業者端末100は、制御部11と、記憶部12と、表示部13と、操作受付部14と、第1通信部15と、第2通信部16と、撮像部17とを備える。
【0013】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、RTC(Real Time Clock)等を備える。CPUは、中央処理装置、中央演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)等とも呼び、作業者端末100の制御に係る処理及び演算を実行する中央演算処理部として機能する。制御部11において、CPUは、ROMに格納されているプログラム及びデータを読み出し、RAMをワークエリアとして用いて、作業者端末100を統括制御する。RTCは、例えば、計時機能を有する集積回路である。なお、CPUは、RTCから読み出される時刻情報から現在日時を特定可能である。
【0014】
記憶部12は、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等の不揮発性の半導体メモリを備えており、いわゆる補助記憶装置としての役割を担う。記憶部12は、制御部11が各種処理を実行するために使用するプログラム及びデータを記憶する。また、記憶部12は、制御部11が各種処理を実行することにより生成又は取得するデータを記憶する。
【0015】
表示部13は、制御部11による制御に従って、各種の画像を表示する。例えば、表示部13は、作業者から各種の操作を受け付けるための画面を表示する。表示部13は、タッチスクリーン、液晶ディスプレイ等を備える。操作受付部14は、作業者から各種の操作を受け付け、受け付けた操作の内容を示す情報を制御部11に供給する。操作受付部14は、タッチスクリーン、ボタン、レバー等を備える。
【0016】
第1通信部15は、制御部11による制御に従って、各種の通信ネットワークに接続された装置と通信する。第1通信部15は、各種の無線通信規格に則って、各種の装置と通信する。各種の無線通信規格としては、Wi-Fi(登録商標)、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)等がある。第1通信部15は、各種の通信規格に準拠した通信インターフェースを備える。
【0017】
第2通信部16は、制御部11による制御に従って温度測定装置200と通信する。第2通信部16は、各種の有線通信規格又は各種の無線通信規格に則って、温度測定装置200と通信する。各種の有線通信規格としては、USB(Universal Serial Bus、登録商標)、Thunderbolt(登録商標)等がある。各種の無線通信規格としては、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)等がある。第2通信部16は、各種の通信規格に準拠した通信インターフェースを備える。
【0018】
撮像部17は、各種の撮像対象を撮像し、撮像画像を生成する。撮像部17は、可視光線を検出する撮像素子が1次元又は2次元に配置されたイメージセンサを備える。撮像部17が生成した撮像画像は記憶部12に記憶される。
【0019】
温度測定装置200は、空気調和装置300の各部の温度を測定する。温度測定装置200は、空気調和装置300における吸込温度と吹出温度とを測定する。吸込温度は、空気調和装置300が備える室内機310が吸い込む空気の温度である。吹出温度は、空気調和装置300が備える室内機310が吹き出す空気の温度である。温度測定装置200は、測定した温度を示す温度情報を作業者端末100に送信する。つまり、温度測定装置200は、各種の有線通信規格又は各種の無線通信規格に則って、作業者端末100と通信する機能を有する。温度測定装置200は、各種の通信規格に準拠した通信インターフェースを備える。
【0020】
図3に示すように、温度測定装置200は、室内機310の各部に取り付けられる温度センサ201及び温度センサ202を備えてもよい。温度センサ201は、室内機310が備える吸込口に取り付けられる。温度センサ201は、吸込口から室内機310の内部に取り込まれる空気の温度である吸込温度を測定する。温度センサ202は、室内機310が備える吹出口に取り付けられる。温度センサ201は、吹出口から室内機310の外部に排出される空気の温度である吹出温度を測定する。温度センサ201と温度センサ202とは、熱電対、測温抵抗体、サーミスタ等を備える。
【0021】
但し、
図3に示した例は一例に過ぎず、この例に限定されない。温度測定装置200は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。温度測定装置200は、各種の無線通信規格に応じた通信インターフェースを備え、作業者端末100と通信する機能を有していれば、室内機310の内部になくてもよい。温度測定装置200は、室内機310の内部にない場合、吸込口から室内機310の内部に取り込まれる、又は取り込まれた空気の温度である吸込温度および吹出口から室内機310の外部に排出される、又は排出された空気の温度である吹出温度を測定する。
【0022】
空気調和装置300は、空気調和の対象空間内の空気を調和する装置である。空気を調和することは、空気の温度、湿度、空気清浄度等を調整することである。本実施の形態では、空気調和装置300は、顧客の住宅に設置された保守作業の対象の装置である。なお、作業者は、例えば、顧客の要求に従って、又は、定期的に、空気調和装置300に対する保守作業の必要性を判断する。作業者は、保守作業の必要があると判断した場合、顧客の許可を得た上で、空気調和装置300に対する保守作業を実施する。作業者は、作業者端末100が出力する情報を参考にして、保守作業の必要性を判断する。空気調和装置300は、室内機310と室外機320とを備える。
【0023】
室内機310は、室内の空気を調和する設備機器のうち室内に設置される設備機器である。室内機310は、調和空気を室内に吹き出す。調和空気は、室内の空気を調和するための空気であり、基本的に、暖房空気又は冷房空気である。暖房空気は、室内を暖房するための空気であり、室内の空気の温度よりも高い温度を有する空気である。冷房空気は、室内を冷房するための空気であり、室内の空気の温度よりも低い温度を有する空気である。
【0024】
室外機320は、室内の空気を調和する設備機器のうち室外に設置される設備機器である。室外機320は、例えば、通信線を介して室内機310と通信する。室外機320は、冷媒配管6を介して、室内機310との間で冷媒を循環させる。室内機310と室外機320とは、空気と冷媒との間で熱交換をさせることにより、室内の空気を調和する。
【0025】
図3に示すように、室内機310は、フィルタ311と、熱交換器312と、ファン313とを備える。フィルタ311は、室内機310に取り込まれる空気を濾過する部品である。空気を濾過することは、埃、塵等を除去することである。熱交換器312は、室内の空気と冷媒との間で熱交換するための部品である。ファン313は、室内機310の内部から室内機310の外部に空気を排出するための部品である。ファン313が回転することにより、室内機310の内部から室内機310の外部に調和空気が排出される。ファン313は、ラインフローファン(登録商標)、プロペラファン等である。
【0026】
フィルタ311と熱交換器312とファン313とは、空気調和装置300の保守作業の対象となる主な部品である。つまり、フィルタ311と熱交換器312とファン313とは、保守作業のうち主な作業である清掃作業の対象となる部品である。作業者は、保守作業の実施前に、フィルタ311、熱交換器312、ファン313等の部品が汚れているか否かを判断する。作業者は、これらの部品が汚れていると判断した場合、汚れの程度を考慮して、これらの部品を清掃又は交換する。
【0027】
作業者は、作業者端末100が出力する情報に基づいて、これらの部品の汚れの程度を判断することができる。なお、作業者端末100は、温度センサ201が測定した吸込温度と温度センサ202が測定した吹出温度との温度差からこれらの部品の汚れの程度を推定してもよいし、これらの部品の撮像画像からこれらの部品の汚れの程度を推定してもよいし、その両方からこれらの部品の程度を推定してもよい。
図4に、ファン313の撮像画像を示す。
図4(A)に、汚れが少ないファン313の撮像画像を示す。
図4(B)に、汚れが多いファン313の撮像画像を示す。ファン313の汚れの程度は、例えば、ファン313に付着した埃、塵、油等の量に対応する。汚れの程度は、撮像画像の解析により推定されてもよいし、機械学習により得られた学習済みモデルを用いて撮像画像から推定されてもよい。撮像画像を用いて作業内容を決定する例については実施の形態3で説明する。
【0028】
次に、
図5を参照して、作業者端末100の機能について説明する。作業者端末100は、機能的には、運転状況取得部101と、情報出力部102と、表示制御部103と、作業内容決定部104とを備える。これらの各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。ソフトウェア及びファームウェアは、プログラムとして記述され、ROM又は記憶部12に格納される。そして、CPUが、ROM又は記憶部12に記憶されたプログラムを実行することによって、これらの各機能を実現する。
【0029】
運転状況取得部101は、空気調和装置300の運転状況を表すデータを示す運転状況情報を取得する。本実施の形態では、空気調和装置300の運転状況を表すデータは、空気調和装置300の吸込温度及び吹出温度である。従って、本実施の形態では、運転状況情報は、吸込温度と吹出温度とを示す情報である。運転状況情報の取得元は、適宜、調整することができる。運転状況情報の取得元は、温度測定装置200でもよいし、空気調和装置300でもよい。本実施の形態では、運転状況情報の取得元は、温度測定装置200である。運転状況取得部101は、運転状況取得手段の一例である。
【0030】
情報出力部102は、空気調和装置300に対して清掃と点検と部品交換と修理とのうち少なくとも1つを含む保守作業が実行された後に、変化データ関連情報を出力する。変化データ関連情報は、変化データに関する情報である。変化データは、空気調和装置300の運転状況を表すデータのうち保守作業により変化するデータである。本実施の形態では、変化データは、吸込温度と吹出温度とに関するデータを含む。
【0031】
具体的には、本実施の形態では、変化データは、吸込温度と吹出温度との温度差と、吸込温度と吹出温度との温度差の時間変化とを含む。以下、適宜、吸込温度と吹出温度との温度差を、単に、温度差という。温度差の時間変化は、空気調和装置300が冷暖房運転を開始してからの経過時間と上記温度差との対応関係に対応するデータであり、上記経過時間に対する上記温度差の変化の仕方に対応するデータである。例えば、温度差の時間変化は、経過時間毎の温度差を示すデータである。なお、冷暖房運転は、冷房運転と暖房運転との総称である。
【0032】
変化データ関連情報の出力先は、適宜、調整することができる。変化データ関連情報の出力先は、作業者端末100が備える各部でもよいし、作業者端末100以外の装置でもよい。本実施の形態では、変化データ関連情報の出力先は、作業者端末100が備える表示制御部103である。情報出力部102は、情報出力手段の一例である。
【0033】
表示制御部103は、表示部13を制御して、表示部13に各種の画像を表示させる。例えば、表示制御部103は、情報出力部102が出力した変化データ関連情報を示す画像を表示部13に表示させる。また、表示制御部103は、情報出力部102が出力した提案情報を示す画像を表示部13に表示させる。つまり、表示部13は、情報出力部102が出力した提案情報を表示する。表示部13は、表示手段の一例である。
【0034】
変化データ関連情報は、変化データに関する情報であれば、どのような情報でもよい。例えば、変化データ関連情報は、保守作業前における変化データの値と保守作業後における変化データの値とを含む情報でもよい。例えば、変化データが吸込温度と吹出温度との温度差である場合、変化データ関連情報は、保守作業前における温度差と保守作業後における温度差とを含む情報である。また、例えば、変化データが温度差の時間変化である場合、変化データ関連情報は、保守作業前における温度差の時間変化を示す値と保守作業後における温度差の時間変化を示す値とを含む情報である。具体的には、例えば、変化データ関連情報は、保守作業前における経過時間毎の温度差と保守作業後における経過時間毎の温度差とを含む情報である。
【0035】
又は、変化データ関連情報は、保守作業前における変化データの値と保守作業後における変化データの値との差分値を含む情報でもよい。例えば、変化データが吸込温度と吹出温度との温度差である場合、変化データ関連情報は、保守作業前における温度差と保守作業後における温度差との差分値を含む情報である。また、例えば、変化データが温度差の時間変化である場合、変化データ関連情報は、保守作業前における温度差の時間変化の仕方を示す値と保守作業後における温度差の時間変化の仕方を示す値との差分値を含む情報である。具体的には、例えば、変化データ関連情報は、保守作業前における温度差の上がり方を示す勾配と保守作業後における温度差の上がり方を示す勾配との差分値を含む情報である。
【0036】
情報出力部102は、作業前温度差が基準範囲外である場合、提案情報を出力する。作業前温度差は、保守作業前において空気調和装置300が運転を開始してから規定時間が経過したときの吸込温度と吹出温度との温度差である。この運転は、冷暖房運転である。以下、本実施の形態では、基本的に、この運転が冷房運転である例について説明する。規定時間は、適宜、調整することができる。本実施の形態では、規定時間は15分である。
【0037】
冷房運転における基準範囲と暖房運転における基準範囲とは異なる。冷房運転における基準範囲は、例えば、8度から20度である。暖房運転における基準範囲は、例えば、10度から30度である。つまり、情報出力部102は、保守作業前において空気調和装置300が冷房運転を開始してから15分が経過したときの吸込温度と吹出温度との温度差である作業前温度差が8度未満である場合、又は、上記作業前温度差が20度を超える場合、提案情報を出力する。
【0038】
なお、ここで示す基準範囲は、運転開始から規定時間が経過したときにおける吸込温度と吹出温度との温度差の基準範囲である。規定時間は、運転により室温と設定温度の差が小さくなり、空気調和装置300が安定運転をしている時間帯に至るまでの目安の時間である。安定運転をしている時間帯において正常を示す温度差の範囲と、安定運転をしている時間帯よりも前の時間帯において正常を示す温度差の範囲とは異なる。冷房運転の場合、室内に熱源がある場合には、室温と設定温度との差が縮まるまでに時間を要する。このため、安定運転をしている時間帯よりも前の時間帯における温度差が正常を示す温度差の範囲外であっても、安定運転をしている時間帯における温度差が正常を示す温度差の範囲内に収まる場合もある。
【0039】
提案情報は、空気調和装置300に対して保守作業を実行することを提案する情報である。例えば、提案情報は、空気調和装置300を清掃する必要があることを示す情報である。なお、空気調和装置300が正常な状態である場合、作業前温度差は基準範囲内にあるはずである。例えば、空気調和装置300が冷房運転する場合、吹出温度は吸込温度よりも8度から20度低いはずである。
【0040】
逆に、作業前温度差は基準範囲外にある場合、空気調和装置300が正常な状態でない可能性が高い。例えば、空気調和装置300の冷媒が不足している場合、冷却器を十分に冷却することができず、吹出温度と吸込温度との温度差が8度未満になることがある。また、空気調和装置300におけるフィルタ311、熱交換器312、ファン313等の部品が汚れている場合、風量が減ることで熱交換が阻害され、冷却器が必要以上に冷えて、吹出温度が吸込温度よりも20度超低くなる場合がある。
【0041】
そこで、情報出力部102は、作業前温度差が基準範囲外である場合、作業者に清掃、点検等を促すため、提案情報を出力する。提案情報の出力先は、適宜、調整することができる。提案情報の出力先は、作業者端末100が備える各部でもよいし、作業者端末100以外の装置でもよい。本実施の形態では、提案情報の出力先は、作業者端末100が備える表示制御部103である。
【0042】
情報出力部102は、作業後温度差が基準範囲内である場合、変化データ関連情報を出力する。作業後温度差は、保守作業後において空気調和装置300が運転を開始してから上記規定時間が経過したときの吸込温度と吹出温度との温度差である。作業後温度差が基準範囲内である場合、保守作業により空気調和装置300が正常な状態になった可能性が高い。そこで、情報出力部102は、作業後温度差が基準範囲内である場合、保守作業による効果を作業者及び顧客に報知するため、変化データ関連情報を出力する。
【0043】
作業内容決定部104は、作業前温度差に基づいて保守作業の内容を決定する。例えば、作業内容決定部104は、作業前温度差が基準範囲の最小値よりも小さい場合、保守作業の内容に空気調和装置300の点検を含める。なお、情報出力部102は、作業内容決定部104が決定した保守作業の内容を含む提案情報を出力する。ここで、冷媒が不足している場合、又は、冷媒の循環不良がある場合、空気調和装置300の冷暖房能力が低下し、調和空気の温度を十分に調整することができない可能性が高い。例えば、冷房運転の場合、吹出温度を十分に下げることができず、吸込温度と吹出温度との温度差が基準範囲の最小値よりも小さくなる可能性が高い。なお、冷暖房能力は、冷房能力と暖房能力との総称である。
【0044】
また、保護制御が発生している場合、空気調和装置300の冷暖房能力が低下し、調和空気の温度を十分に調整することができない可能性が高い。保護制御は、例えば、圧縮機が備えるインバータに不良が発生して冷暖房能力が十分に発揮できない場合に、過度の制御から回路、部品等を保護するために、冷暖房能力が抑制された制御である。このように、冷媒不足、冷媒の循環不良、保護制御等が発生している場合、作業前温度差が基準範囲の最小値よりも小さい可能性が高い。そこで、作業内容決定部104は、これらの不具合が発生している可能性が高い場合、空気調和装置300の点検が提案されるように作業内容を決定する。
【0045】
作業内容決定部104は、作業前温度差が基準範囲の最大値よりも大きい場合、保守作業の内容に空気調和装置300の清掃を含める。ここで、フィルタ311又は熱交換器312が汚れて目詰まりしている場合、空気調和装置300の内部に取り込まれる空気の量が制限され、調和空気の温度が過度に調整される可能性が高い。例えば、冷房運転の場合、吹出温度が過度に低下し、吸込温度と吹出温度との温度差が基準範囲の最大値よりも大きくなる可能性が高い。同様に、ファン313が汚れてファン313の回転数が低下している場合、空気調和装置300の内部に取り込まれる空気の量が制限され、調和空気の温度が過度に調整される可能性が高い。
【0046】
このように、空気調和装置300におけるフィルタ311、熱交換器312、ファン313等の部品が汚れている場合、作業前温度差が基準範囲の最大値よりも大きい可能性が高い。そこで、作業内容決定部104は、これらの部品が汚れている可能性が高い場合、空気調和装置300の清掃が提案されるように作業内容を決定する。この場合、提案される清掃は、通常の清掃であってもよいし、本格的な清掃であってもよい。
【0047】
通常の清掃は、軽い汚れを落とすための清掃である。通常の清掃は、例えば、洗浄液へのつけ置き時間が短い清掃、又は洗浄液へのつけ置きを伴わない清掃である。本格的な清掃は、頑固な汚れを落とすための清掃である。本格的な清掃は、通常の簡易的な清掃と比べて、時間又は手間を要する清掃である。本格的な清掃は、例えば、洗浄液へのつけ置き時間が長い清掃である。
【0048】
作業内容決定部104は、作業前温度差が基準範囲の最大値よりも大きい場合、作業前温度差の大きさに応じて、作業内容を決定してもよい。例えば、作業前温度差が基準範囲の最大値よりも少しだけ大きい場合、本格的な清掃のみを作業内容に決定してもよい。また、例えば、作業前温度差が基準範囲の最大値よりも大幅に大きい場合、本格的な清掃に加え部品交換を作業内容に決定してもよい。例えば、冷房運転の場合において、作業前温度差が20度から25度までの範囲内である場合、本格的な清掃のみが作業内容に決定されてもよい。また、例えば、冷房運転の場合において、作業前温度差が25度を超える場合、本格的な清掃に加え、フィルタ311、熱交換器312、ファン313、ファンモータ等の部品交換が作業内容に決定されてもよい。作業内容決定部104は、作業内容決定手段の一例である。
【0049】
次に、
図6を参照して、空気調和装置300が冷房運転を開始してからの経過時間と、吸込温度と吹出温度との温度差との対応関係について説明する。
図6に示すグラフは、経過時間と温度差との対応関係を示すグラフである。グラフの横軸は経過時間を示し、グラフの縦軸は温度差を示す。
【0050】
図6に示すように、経過時間が長くなるとともに温度差が大きくなる。但し、空気調和装置300の状態に応じて、温度差が大きくなる程度が異なる。例えば、空気調和装置300の状態が正常であり、空気調和装置300の清掃及び点検が不要な状態である場合、経過時間が長くなると温度差が基準範囲内に収束する。この場合、例えば、経過時間が15分の時点において温度差は8度以上且つ20度以下の範囲に収束する。これに対して、例えば、空気調和装置300の状態が異常であり、空気調和装置300の点検が必要な状態である場合、経過時間が長くなっても温度差はそれ程大きくならない。この場合、例えば、経過時間が15分の時点においても温度差は8度未満である。
【0051】
また、例えば、空気調和装置300の部品が汚れ、空気調和装置300の清掃が必要な状態である場合、経過時間が長くなると温度差は有る程度大きくなる。この場合、例えば、経過時間が15分の時点においても温度差は20度を超え且つ25度未満である。また、例えば、空気調和装置300の部品の汚れが多く、空気調和装置300の部品の本格的な清掃又は部品交換が必要な状態である場合、経過時間が長くなると温度差はかなり大きくなる。この場合、例えば、経過時間が15分の時点においても温度差は25度を超える。そこで、作業内容決定部104は、例えば、経過時間が15分の時点における温度差に応じて、保守作業の内容を決定する。
【0052】
例えば、冷房運転の場合、温度差が基準範囲の最小値よりも低い8度未満のときに要点検と判断され、温度差が基準範囲内である8度以上且つ20度以下のときに正常と判断され、温度差が基準範囲の最大値よりも高い20度を超え且つ25度以下のときに要清掃1と判断される。また、温度差が基準範囲の最大値よりも規定値以上高い25度を超えるとき、つまり、温度差が要清掃1の温度差範囲の最大値(本実施の形態では25度)よりも高いとき、要清掃2と判断される。例えば、要点検と判断された場合、保守作業として点検が決定されてもよい。例えば、正常と判断された場合、保守作業の必要がないと決定されてもよいし、保守作業として通常の清掃が決定されてもよい。例えば、要清掃1と判断された場合、保守作業として本格的な清掃のみが決定されてもよいし、保守作業として本格的な清掃に加え小規模な部品交換が決定されてもよい。例えば、要清掃2と判断された場合、保守作業として本格的な清掃に加え大規模な部品交換が決定されてもよい。なお、冷房運転の場合、上記規定値は、例えば、20度と25度との差分である5度である。また、暖房運転の場合、上記規定値は、例えば、30度と45度との差分である15度である。
【0053】
次に、
図7を参照して、作業者端末100が表示する画面について説明する。作業者端末100が表示する画面は、提案情報提示画面と変化データ提示画面とに大別される。提案情報提示画面は、提案情報を提示する画面であり、空気調和装置300の保守作業の前に表示される画面である。変化データ提示画面は、変化データ関連情報を提示する画面であり、空気調和装置300の保守作業の後に表示される画面である。
【0054】
図7(A)は、提案情報提示画面であり、保守作業前の温度差が表示される画面である。この画面は、フィルタの汚れが多い場合に、作業内容としてフィルタの清掃を提案する画面である。なお、フィルタの汚れが多いことは、吸込温度である28度と吹出温度である10度との温度差である18度が基準範囲の最大値である20度を超えていることから推定される。また、この画面は、保守作業前における吸込温度と吹出温度との組み合わせと、保守作業前における吸込温度と吹出温度との温度差とを、変化データとして提示している。
【0055】
図7(B)は、変化データ提示画面であり、保守作業後の温度差が表示される画面である。この画面は、フィルタの汚れがなくなったことを知らせる画面である。なお、フィルタの汚れがなくなったことは、吸込温度である27度と吹出温度である16度との温度差である11度が基準範囲である8度から20度の範囲内であることから推定される。また、この画面は、保守作業後における吸込温度と吹出温度との組み合わせと、保守作業後における吸込温度と吹出温度との温度差とを、変化データとして提示している。また、この画面は、保守作業前における変化データの値を括弧書きで提示している。更に、この画面は、保守作業により温度差が7度改善したこと、つまり、保守作業前における温度差と保守作業後における温度差との差分値が7度であることを示している。
【0056】
図7(C)は、提案情報提示画面であり、保守作業前のグラフが表示される画面である。このグラフは、保守作業前における冷暖房運転開始からの経過時間と温度差との対応関係を示すグラフである。この画面は、フィルタの汚れが多い場合に、作業内容としてフィルタの清掃を提案する画面である。また、この画面は、保守作業前における吸込温度と吹出温度との温度差の時間変化を変化データとして提示している。更に、この画面は、温度差の時間変化の仕方が正常でないことを示している。
【0057】
図7(D)は、変化データ提示画面であり、保守作業後のグラフが表示される画面である。この画面は、フィルタの汚れがなくなったことを知らせる画面である。また、この画面は、保守作業後における吸込温度と吹出温度との温度差の時間変化を変化データとして実線で提示している。また、この画面は、保守作業前における温度差の時間変化を点線で提示している。更に、この画面は、保守作業により温度差の時間変化の仕方が正常になったことを示している。
【0058】
次に、
図8のフローチャートを参照して、作業者端末100が実行する作業前診断処理について説明する。作業前診断処理は、例えば、作業者端末100が作業者から作業前診断処理の開始指示を受け付けたときに実行される。なお、作業者は、作業者端末100に対して上記開始指示をした後、空気調和装置300に対して冷房運転の開始を指示する。作業者端末100において冷房運転と暖房運転とのどちらの基準値に応じた指示を出すのかは、作業者端末100に対して作業者が冷房運転と暖房運転とのいずれかを選択する操作を行うことで決定されてもよいし、空気調和装置300の運転状況に基づいて決定されてもよい。
【0059】
まず、作業者端末100が備える制御部11は、冷房運転の開始から10分が経過するまで待機する(ステップS101)。なお、制御部11は、例えば、作業者から作業前診断処理の開始指示を受けたときに冷房運転が開始されたと見做すことができる。制御部11は、ステップS101の処理を完了すると、吸込温度と吹出温度とを取得する(ステップS102)。例えば、制御部11は、温度測定装置200から温度情報を取得し、温度情報が示す吸込温度と吹出温度とを取得する。制御部11は、ステップS102の処理を完了すると、温度差が5度以上であるか否かを判別する(ステップS103)。
【0060】
なお、15分の経過を待たずして運転の開始から10分が経過した時点で吸込温度と吹出温度とを取得する理由は、少しでも清掃作業を円滑にすすめるためである。空気調和装置300の清掃を始める前のわずかな時間で空気調和装置300自体に問題がないかを判断したうえで清掃作業の準備に取り掛かることで、清掃作業時間を短縮することができる。また、例えば、10分経過した際の点検有無を判断する基準温度を、15分経過した際の点検有無を判断する基準温度よりも低くするなど、基準時間ごとに適する基準時間を設けることで、点検の必要性を明確に判断し精度を高めることができる。運転開始から安定運転をしている時間帯までの時間の目安である15分が経過する前に吸込温度と吹出温度とを取得するタイミングは、運転開始から10分に限定されず、運転開始から5分、3分等でもよい。
【0061】
制御部11は、温度差が5度以上であると判別すると(ステップS103:YES)、冷房運転の開始から15分が経過するまで待機する(ステップS104)。制御部11は、ステップS104の処理を完了すると、吸込温度と吹出温度とを取得する(ステップS105)。制御部11は、ステップS105の処理を完了すると、温度差が8度以上であるか否かを判別する(ステップS106)。制御部11は、温度差が5度以上でないと判別した場合(ステップS103:NO)、又は、温度差が8度以上でないと判別した場合(ステップS106:NO)、作業内容を点検に決定する(ステップS107)。
【0062】
制御部11は、温度差が8度以上であると判別すると(ステップS106:YES)、温度差が20度以下であるか否かを判別する(ステップS108)。制御部11は、温度差が20度以下であると判別すると(ステップS108:YES)、作業内容を通常清掃に決定する(ステップS109)。制御部11は、温度差が20度以下でないと判別すると(ステップS108:NO)、温度差が25度以下であるか否かを判別する(ステップS110)。
【0063】
制御部11は、温度差が25度以下であると判別すると(ステップS110:YES)、作業内容を重点清掃1に決定する(ステップS111)。制御部11は、温度差が25度以下でないと判別すると(ステップS110:NO)、作業内容を重点清掃2に決定する(ステップS112)。重点清掃1は、要清掃1と判断された場合に実行される保守作業である。重点清掃1は、例えば、本格的な清掃、又は、本格的な清掃と小規模な部品交換とを含む。重点清掃2は、要清掃2と判断された場合に実行される保守作業である。重点清掃2は、例えば、本格的な清掃と大規模な部品交換とを含む。
【0064】
制御部11は、ステップS107、ステップS109、ステップS111、又は、ステップS112の処理を完了した場合、決定した作業内容を含む提案情報を表示する(ステップS113)。例えば、制御部11は、表示部13を制御して、
図7(A)又は
図7(C)に示す画面を表示させる。制御部11は、ステップS113の処理を完了すると、作業前診断処理を完了する。
【0065】
次に、
図9のフローチャートを参照して、作業者端末100が実行する作業後診断処理について説明する。作業後診断処理は、例えば、作業者端末100が作業者から作業後診断処理の開始指示を受け付けたときに実行される。なお、作業者は、空気調和装置300に対して提案された保守作業を実行した後、作業者端末100に対して上記開始指示をし、その後、空気調和装置300に対して冷房運転の開始を指示する。
【0066】
まず、制御部11は、冷房運転の開始から15分が経過するまで待機する(ステップS201)。制御部11は、ステップS201の処理を完了すると、吸込温度と吹出温度とを取得する(ステップS202)。制御部11は、ステップS202の処理を完了すると、吸込温度と吹出温度との温度差を算出する(ステップS203)。制御部11は、ステップS203の処理を完了すると、温度差が基準範囲内であるか否かを判別する(ステップS204)。
【0067】
制御部11は、温度差が基準範囲内であると判別すると(ステップS204:YES)、変化データ関連情報を表示する(ステップS205)。例えば、制御部11は、表示部13を制御して、
図7(B)又は
図7(D)に示す画面を表示させる。なお、作業者は、例えば、作業者端末100に表示された画面を顧客に見せることで、空気調和装置300に対する保守作業の効果を顧客に知らせることができる。
【0068】
制御部11は、温度差が基準範囲内でないと判別すると(ステップS204:NO)、エラーメッセージを表示する(ステップS206)。例えば、制御部11は、表示部13を制御して、保守作業により汚れが十分に落ちていないことを示す画面を表示させる。なお、表示される画面は、例えば、
図7(B)又は
図7(D)に示す画面にエラーメッセージが追加された画面でもよい。制御部11は、ステップS205又はステップS206の処理を完了すると、作業後診断処理を完了する。
【0069】
本実施の形態では、保守作業が実行された後に、保守作業により変化する変化データに関する変化データ関連情報が出力されて表示される。このため、本実施の形態によれば、空気調和装置300に対する保守作業の効果を顧客に分かりやすく知らせることができる。
【0070】
また、本実施の形態では、変化データ関連情報は、保守作業前における変化データの値と保守作業後における変化データの値とを含む。更に、本実施の形態では、変化データ関連情報は、保守作業前における変化データの値と保守作業後における変化データの値との差分値を含む。従って、本実施の形態によれば、保守作業の効果を顧客に明確に知らせることができる。
【0071】
また、本実施の形態では、変化データは、吸込温度と吹出温度とに関するデータを含む。具体的には、変化データは、吸込温度と吹出温度との温度差を含む。又は、変化データは、吸込温度と吹出温度との温度差の時間変化を含む。従って、本実施の形態によれば、吸込温度と吹出温度とに関するデータが保守作業により改善したことを顧客に知らせることができる。
【0072】
また、本実施の形態では、作業前温度差が基準範囲外である場合、空気調和装置300に対して保守作業を実行することを提案する提案情報が出力される。従って、本実施の形態によれば、保守作業が必要な場合に、保守作業の実行を提案することができる。
【0073】
なお、作業者が、空気調和装置300の運転状況から、清掃、部品交換、修理等の必要性を判断する場合、適切な判断がされない可能性がある。例えば、経験が浅い作業者は、必要のある保守作業を誤る可能性がある。その結果、例えば、清掃後に、修理、部品交換等を実施する必要が生じ、保守作業に時間を要する可能性がある。そこで、本実施の形態では、吸込温度、吹出温度等を含む運転状況から、清掃、部品交換等の必要性が自動で判断され、必要な保守作業が作業者に提示される。本実施の形態によれば、適切な保守作業が実施され、追加作業の発生、追加費用の発生、作業時間の延長等が抑制され、顧客の満足度、安心感等の向上が期待できる。
【0074】
また、本実施の形態では、作業後温度差が基準範囲内である場合、変化データ関連情報が出力される。従って、本実施の形態によれば、保守作業による効果が得られた場合に、保守作業の効果を顧客に知らせることができる。
【0075】
また、本実施の形態では、作業前温度差に基づいて保守作業の内容が決定される。例えば、作業前温度差が基準範囲の最小値よりも小さい場合、保守作業の内容に空気調和装置300の点検が含まれる。また、例えば、作業前温度差が基準範囲の最大値よりも大きい場合、保守作業の内容に空気調和装置300の清掃が含まれる。従って、本実施の形態によれば、保守作業の内容を適切且つ容易に決定することができる。
【0076】
また、本実施の形態では、作業前温度差に基づいて保守作業の内容が決定され、作業前温度差が基準範囲の最小値よりも低い場合に要点検と判断され、作業前温度差が基準範囲内である場合に簡易清掃と判断され、作業前温度差が基準範囲の最大値よりも高い場合に本格的清掃と判断され、作業前温度差が基準範囲の最大値よりも規定値以上高い場合に部品交換と判断される。従って、保守作業開始前に顧客に対し適切な保守作業を伝えるとともに、保守作業に要する時間、保守作業にかかる費用等を提示でき、顧客の満足度、安心感等の向上が期待できる。
【0077】
また、本実施の形態では、空気調和装置300自体が故障していないかを清掃作業前に確認することで、余分な作業を省略することができる。更に、顧客に対してもデータに基づいた状態を提示でき、顧客の満足度、安心感等の向上が期待できる。
【0078】
(実施の形態2)
実施の形態1では、情報出力システム1000の主な機能を作業者端末100に持たせる例について説明した。本実施の形態では、情報出力システム1100の主な機能をサーバ400に持たせる例について説明する。なお、実施の形態1と同様の構成及び機能については、適宜、説明を省略又は簡略化する。
【0079】
図10は、実施の形態2に係る情報出力システム1100の構成を示す図である。情報出力システム1100は、空気調和装置300の保守作業を支援するために、保守作業に関する情報を出力するシステムである。
図10に示すように、情報出力システム1100は、空気調和装置300と、サーバ400とを備える。空気調和装置300とサーバ400とは、通信ネットワーク600に接続され、通信ネットワーク600を介して相互に通信可能に接続される。また、通信ネットワーク600には、作業者端末100と顧客端末500とが接続される。通信ネットワーク600は、例えば、インターネットである。なお、
図10では、各機器を通信ネットワーク600に接続するためのルータ、基地局等の図示を省略している。
【0080】
作業者端末100は、空気調和装置300の保守作業を実行する作業者が利用する端末装置である。作業者端末100は、通信ネットワーク600に接続する機能を有する第1通信部15を備える。空気調和装置300は、空気調和の対象空間内の空気を調和する装置である。本実施の形態では、空気調和装置300が備える室内機310は、通信ネットワーク600に接続する機能を有する。
図11に示すように、室内機310は、制御部31と、記憶部32と、表示部33と、操作受付部34と、第1通信部35と、第2通信部36と、検出部37とを備える。本実施の形態では、通信ネットワーク600に接続する空気調和装置300が室内機310である例について説明するが、通信ネットワーク600に接続する空気調和装置300が室外機320であってもよい。この場合、室外機320は、室内機310と同様の構成を備える。
【0081】
制御部31は、CPU、ROM、RAM、RTC等を備える。CPUは、中央処理装置、中央演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP等とも呼び、室内機310の制御に係る処理及び演算を実行する中央演算処理部として機能する。制御部31において、CPUは、ROMに格納されているプログラム及びデータを読み出し、RAMをワークエリアとして用いて、室内機310を統括制御する。
【0082】
記憶部32は、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の不揮発性の半導体メモリを備えており、いわゆる補助記憶装置としての役割を担う。記憶部32は、制御部31が各種処理を実行するために使用するプログラム及びデータを記憶する。また、記憶部32は、制御部31が各種処理を実行することにより生成又は取得するデータを記憶する。
【0083】
表示部33は、制御部31による制御に従って、各種の画像を表示する。例えば、表示部33は、作業者、顧客等から各種の操作を受け付けるための画面を表示する。表示部33は、タッチスクリーン、液晶ディスプレイ等を備える。操作受付部34は、作業者、顧客等から各種の操作を受け付け、受け付けた操作の内容を示す情報を制御部31に供給する。操作受付部34は、タッチスクリーン、ボタン、レバー等を備える。
【0084】
第1通信部35は、制御部31による制御に従って、通信ネットワーク600を介して、通信ネットワーク600に接続された機器と通信する。第1通信部35は、室内機310を通信ネットワーク600に接続するための通信インターフェースを備える。第2通信部36は、制御部31による制御に従って、室外機320と通信する。第2通信部36は、各種の有線通信規格又は各種の無線通信規格に則って、室外機320と通信する。第2通信部36は、各種の通信規格に準拠した通信インターフェースを備える。
【0085】
検出部37は、空気調和装置300の運転状況を表すデータを検出する。検出部37は、各データを検出するセンサを備える。例えば、検出部37は、吸込温度を検出する温度センサ、吹出温度を検出する温度センサ、ファン313の回転数を検出するセンサ、空気調和装置300の消費電力を検出するセンサ、空気調和装置300の内部もしくは空気調和装置300が吹き出す空気の臭気を検出する臭気センサ等を備える。検出部37は、運転状況取得手段の一例である。
【0086】
サーバ400は、情報出力処理に関するサービスを提供するクラウドサーバである。クラウドサーバは、クラウドコンピューティングにおけるリソースを提供するサーバである。
図12に示すように、サーバ400は、制御部41と、記憶部42と、通信部43とを備える。
【0087】
制御部41は、CPU、ROM、RAM、RTC等を備える。CPUは、中央処理装置、中央演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP等とも呼び、サーバ400の制御に係る処理及び演算を実行する中央演算処理部として機能する。制御部41において、CPUは、ROMに格納されているプログラム及びデータを読み出し、RAMをワークエリアとして用いて、サーバ400を統括制御する。
【0088】
記憶部42は、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の不揮発性の半導体メモリを備えており、いわゆる補助記憶装置としての役割を担う。記憶部42は、制御部41が各種処理を実行するために使用するプログラム及びデータを記憶する。また、記憶部42は、制御部41が各種処理を実行することにより生成又は取得するデータを記憶する。
【0089】
通信部43は、制御部41による制御に従って、通信ネットワーク600を介して、通信ネットワーク600に接続された機器と通信する。通信部43は、サーバ400を通信ネットワーク600に接続するための通信インターフェースを備える。
【0090】
顧客端末500は、空気調和装置300の所有者である顧客が利用する端末装置である。顧客端末500の構成は、基本的に、作業者端末100の構成と同様である。顧客端末500は、作業者端末100と同様、通信ネットワーク600に接続する機能を有する。顧客端末500は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン等である。
【0091】
次に、
図13を参照して、本実施の形態に係るサーバ400の機能について説明する。サーバ400は、機能的には、運転状況取得部401と、情報出力部402と、通信制御部403と、作業内容決定部404とを備える。これらの各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。ソフトウェア及びファームウェアは、プログラムとして記述され、ROM又は記憶部42に格納される。そして、CPUが、ROM又は記憶部42に記憶されたプログラムを実行することによって、これらの各機能を実現する。
【0092】
運転状況取得部401は、空気調和装置300の運転状況を表すデータを示す運転状況情報を取得する。運転状況取得部401が実行する処理は、基本的に、運転状況取得部101が実行する処理と同様である。本実施の形態では、運転状況情報は、吸込温度と、吹出温度と、空気調和装置300が吹き出す空気の風量と、空気調和装置300の冷暖房能力と、空気調和装置300が備えるファン313の回転数と、空気調和装置300が動いているか否かの運転状態と、空気調和装置300の運転種別とを示す。運転種別は、例えば、空気調和装置300が、冷房運転、暖房運転等のいずれの運転をしているのかの種別である。また、本実施の形態では、変化データは、吸込温度と吹出温度とに関するデータと、空気調和装置300が吹き出す空気の風量と、空気調和装置300の冷暖房能力とを含む。
【0093】
空気調和装置300が吹き出す空気の風量は、ファン313の風量であり、空気調和装置300が吹き出す調和空気の風量である。空気調和装置300の冷暖房能力は、空気調和装置300が冷房又は暖房する能力である。以下、適宜、空気調和装置300が吹き出す空気の風量を単に風量といい、空気調和装置300の冷暖房能力を単に冷暖房能力という。運転状況情報の取得元は、適宜、調整することができる。本実施の形態では、運転状況情報の取得元は、室内機310である。運転状況取得部401は、運転状況取得手段の一例である。
【0094】
情報出力部402は、空気調和装置300に対して保守作業が実行された後に、変化データ関連情報を出力する。また、情報出力部402は、作業前温度差が基準範囲外である場合、提案情報を出力する。つまり、情報出力部402が実行する処理は、基本的に、情報出力部102が実行する処理と同様である。本実施の形態では、変化データは、吸込温度と吹出温度とに関するデータに加え、風量と、冷暖房能力とを含む。変化データ関連情報の出力先は、適宜、調整することができる。本実施の形態では、変化データ関連情報の出力先は、サーバ400が備える通信制御部403である。情報出力部402は、情報出力手段の一例である。
【0095】
通信制御部403は、通信部43を制御して、各種の情報を通信ネットワーク600に接続された機器に向けて送信させる。例えば、通信制御部403は、情報出力部102が出力した変化データ関連情報を、作業者端末100と顧客端末500とに送信する。また、通信制御部403は、情報出力部102が出力した提案情報を、作業者端末100と顧客端末500とに送信する。一方、作業者端末100と顧客端末500とは、サーバ400から受信した変化データ関連情報又は提案情報を画面で表示する。
【0096】
作業内容決定部404は、作業前温度差に基づいて保守作業の内容を決定する。例えば、作業内容決定部404は、作業前温度差が基準範囲の最小値よりも小さい場合、保守作業の内容に空気調和装置300の点検を含める。また、作業内容決定部104は、作業前温度差が基準範囲の最大値よりも大きい場合、保守作業の内容に空気調和装置300の清掃を含める。
【0097】
作業内容決定部404は、作業前温度差が基準範囲の最大値よりも大きい場合において、吹出温度が基準温度範囲外である場合、保守作業の内容に空気調和装置300に対する部品交換を含める。冷房時における基準温度範囲と暖房時における基準温度範囲とは異なる。冷房時における基準温度範囲は、例えば、10度以下である。暖房時における基準温度範囲は、例えば、50度以上である。
【0098】
吹出温度が基準温度範囲外である場合、冷媒を保護するための保護制御が実行されている可能性が高い。この保護制御は、冷媒が凍結しないように冷暖房能力が抑制された制御である。ここで、空気調和装置300におけるフィルタ311、熱交換器312、ファン313等の部品の汚れが極端に多い場合、空気調和装置300の内部に取り込まれる空気の量が極めて少ない量に制限され、調和空気の温度が過度に調整される可能性が高い。つまり、上記部品の汚れが極端に多い場合、吹出温度が基準温度範囲外になる可能性が高い。
【0099】
そこで、作業内容決定部104は、作業前温度差が基準範囲の最大値よりも大きい場合において、吹出温度が基準温度範囲外である場合、保守作業の内容に部品の交換を含める。つまり、仮に本格的な清掃をしたとしても空気調和装置300の冷暖房能力が十分に回復しないと判断される場合、部品の交換が提案される。なお、交換対象の部品としては、フィルタ311、熱交換器312、ファン313、ファンモータ等がある。
【0100】
なお、保護制御が実行されている場合、空気調和装置300は保護制御信号を出力し、空気調和装置300が出力する運転状況情報に、保護制御が実行されていることを示す情報が含まれる。そこで、作業内容決定部104は、吹出温度が基準温度範囲外であるという条件に代えて、保護制御信号が出力されていることを条件として、保守作業の内容に部品の交換を含めてもよい。
【0101】
また、作業内容決定部404は、作業前温度差が基準範囲の最大値よりも大きい場合において、ファン313の回転数が回転数閾値よりも低い場合、保守作業の内容に空気調和装置300に対する部品交換を含める。ファン313が汚れると、十分な風量が得られないため、十分な風量を得るためにファンモータの回転数が上げられる制御が実行される。しかしながら、ファンモータの回転数が上がりすぎると、部品の故障、発熱等を抑制するための保護制御が働き、風量が低下する。このような場合、ファン313、ファンモータ等を交換することが望ましい。そこで、作業内容決定部404は、ファン313の回転数が回転数閾値よりも低い場合、保守作業の内容に部品交換を含める。なお、ファン313の回転数は、ファンモータの回転数に対応する。また、回転数閾値は、例えば、正常時のファン313の回転数の80%程度である。
【0102】
次に、
図14を参照して、各装置が実行する処理の流れについて説明する。
図14は、本実施の形態に係る各装置が実行する処理の流れを示すシーケンス図である。
【0103】
まず、ステップS1において、作業者端末100は、作業者から診断要求を取得する。ステップS2において、作業者端末100は、サーバ400に診断を要求する。ステップS3において、サーバ400は、作業者端末100に冷房運転を指示する。ステップS4において、作業者端末100は、冷房運転の実行を指示する。例えば、作業者端末100は、冷房運転の実行を指示する画面を表示する。一方、作業者は、この画面を確認したことに応答して、空気調和装置300に対して冷房運転の実行を指示する。
【0104】
なお、上記例では、作業者端末100は、作業者から診断要求を取得した後、サーバ400に診断を要求した。他の方法として、作業者の診断要求を得ることなく、定期的にサーバ400から空気調和装置300に診断を要求し、温度差が基準範囲外だった場合に顧客端末500に診断結果を送信してもよい。また、顧客端末からの要求があった場合にのみサーバ400から空気調和装置300に診断を要求してもよい。それらの場合の空気調和装置300が運転状況情報を取得するタイミングは、サーバ400から空気調和装置300に診断を要求した後、顧客が空気調和装置300の運転状態をオフの状態からオンの状態にした際であってもよい。その場合、作業者端末100及び作業者からの冷房運転、暖房運転等の実行指示は省略される。
【0105】
ステップS5において、空気調和装置300は、運転状況情報を取得する。ステップS6において、空気調和装置300は、運転状況情報をサーバ400に送信する。ステップS7において、サーバ400は、運転状況情報に基づいて、保守作業の必要性及び保守作業の内容を診断する。ステップS8において、サーバ400は、診断結果を作業者端末100に送信する。ステップS9において、作業者端末100は、診断結果に応じて、保守作業の実行を指示する。例えば、作業者端末100は、保守作業の実行を指示する画面を表示する。一方、作業者は、この画面を確認したことに応答して、空気調和装置300に対して保守作業を実行する。
【0106】
ステップS10において、作業者端末100は、サーバ400に診断を要求する。ステップS11において、サーバ400は、作業者端末100に冷房運転を指示する。ステップS12において、作業者端末100は、冷房運転の実行を指示する。作業者は、指示に従って冷房運転を開始する。ステップS13において、空気調和装置300は、運転状況情報を取得する。ステップS14において、空気調和装置300は、運転状況情報をサーバ400に送信する。ステップS15において、サーバ400は、運転状況情報に基づいて、保守作業後の空気調和装置300の状態を診断する。ステップS16において、サーバ400は、診断結果を作業者端末100に送信する。ステップS17において、作業者端末100は、診断結果を提示する。
【0107】
次に、
図15を参照して、作業者端末100が表示する画面について説明する。
【0108】
図15(A)は、提案情報提示画面であり、保守作業前の風量が表示される画面である。この画面は、風量が少ない場合に、作業内容として清掃を提案する画面である。この画面は、保守作業前における吸込温度と吹出温度との組み合わせと、保守作業前における風量とを、変化データとして提示している。なお、フィルタ311、熱交換器312、ファン313等の部品が汚れると、空気の流れが抑制され、風量が低下する。このため、風量は、保守作業の前後で値が変化する変化データである。
【0109】
図15(B)は、変化データ提示画面であり、保守作業後の風量が表示される画面である。この画面は、風量が回復したことを知らせる画面である。この画面は、保守作業後における吸込温度と吹出温度との組み合わせと、保守作業後における風量とを、変化データとして提示している。また、この画面は、保守作業前における変化データの値を括弧書きで提示している。更に、この画面は、保守作業により風量が2倍になったことを示している。
【0110】
図15(C)は、提案情報提示画面であり、保守作業前の冷暖房能力が表示される画面である。この画面は、冷暖房能力が低い場合に、作業内容として各部の点検を提案する画面である。また、この画面は、保守作業前における吸込温度と吹出温度との組合せと、保守作業前における冷暖房能力とを変化データとして提示している。更に、この画面は、ガス漏れの確認と、熱交換器312の凍結の確認とが必要であることを示している。
【0111】
なお、冷暖房能力は、吸込温度と吹出温度との温度差と、風量との積で表現可能である。ここで、各部品が汚れると、温度差は大きくなり、風量は低下する。しかしながら、各部品が汚れると、温度差の上昇よりも風量の低下の方が大きいと考えられるため、冷暖房能力は低下する。このため、冷暖房能力は、保守作業の前後で値が変化する変化データである。
【0112】
図15(D)は、変化データ提示画面であり、保守作業後の冷暖房能力が表示される画面である。この画面は、冷暖房能力が回復したことを知らせる画面である。この画面は、保守作業後における吸込温度と吹出温度との組み合わせと、保守作業後における冷暖房能力とを、変化データとして提示している。また、この画面は、保守作業前における変化データの値を括弧書きで提示している。更に、この画面は、保守作業により冷暖房能力が3倍になったことを示している。
【0113】
なお、
図15には明示しないが、変化データとしてファン313の回転数が採用されてもよい。この場合、例えば、提案情報提示画面において保守作業前におけるファン313の回転数が提示され、変化データ提示画面において保守作業後におけるファン313の回転数が提示される。また、変化データ提示画面において、保守作業前におけるファン313の回転数と保守作業後におけるファン313の回転数との差分値が提示されてもよい。
【0114】
次に、
図16のフローチャートを参照して、サーバ400が実行する作業前診断処理について説明する。作業前診断処理は、例えば、サーバ400が、作業者から作業前診断処理の開始指示を受け付けた作業者端末100から作業前診断処理の開始要求を受信したときに実行される。なお、作業者は、作業者端末100に対して上記開始指示をした後、空気調和装置300に対して冷房運転の開始を指示する。
【0115】
まず、サーバ400が備える制御部41は、冷房運転の開始から10分が経過するまで待機する(ステップS301)。制御部41は、ステップS301の処理を完了すると、吸込温度と吹出温度とを取得する(ステップS302)。例えば、制御部41は、室内機310から運転状況情報を取得し、運転状況情報が示す吸込温度と吹出温度とを取得する。制御部41は、ステップS302の処理を完了すると、温度差が5度以上であるか否かを判別する(ステップS303)。制御部41は、温度差が5度以上でないと判別すると(ステップS303:NO)、作業内容を点検に決定する(ステップS304)。
【0116】
制御部41は、温度差が5度以上であると判別すると(ステップS303:YES)、冷房運転の開始から15分が経過するまで待機する(ステップS305)。制御部41は、ステップS305の処理を完了すると、吸込温度と吹出温度と他の変化データとを取得する(ステップS306)。他の変化データは、例えば、風量、冷暖房能力、ファン313の回転数等である。制御部41は、ステップS306の処理を完了すると、温度差が8度以上且つ20度以下であるか否かを判別する(ステップS307)。制御部41は、温度差が8度以上且つ20度以下であると判別すると(ステップS307:YES)、作業内容を通常清掃に決定する(ステップS308)。
【0117】
制御部41は、温度差が8度以上且つ20度以下でないと判別すると(ステップS307:NO)、保護制御信号の出力中であるか否かを判別する(ステップS309)。制御部41は、例えば、空気調和装置300から受信する運転状況情報を参照して、保護制御信号の出力中であるか否か、つまり、保護制御中であるか否かを判別することができる。制御部41は、保護制御信号の出力中でないと判別すると(ステップS309:NO)、ファン313の回転数が低下しているか否かを判別する(ステップS310)。制御部41は、例えば、空気調和装置300から受信する運転状況情報を参照して、ファン313の回転数が低下しているかを判別することができる。
【0118】
制御部41は、ファン313の回転数が低下していないと判別すると(ステップS310:NO)、作業内容を重点清掃1に決定する(ステップS311)。制御部41は、保護制御信号の出力中であると判別した場合(ステップS309:YES)、又は、ファン313の回転数が低下していると判別した場合(ステップS310:YES)、作業内容を重点清掃2に決定する(ステップS312)。重点清掃1は、例えば、本格的な清掃、又は、本格的な清掃と小規模な部品交換とを含む。重点清掃2は、例えば、本格的な清掃と大規模な部品交換とを含む。
【0119】
制御部41は、ステップS304、ステップS308、ステップS311、又は、ステップS312の処理を完了した場合、決定した作業内容を含む提案情報を作業者端末100に送信する(ステップS313)。例えば、制御部11は、第1通信部15を制御して、作業者端末100に提案情報を送信する。一方、作業者端末100は、提案情報を受信したことに応答して、例えば、
図15(A)又は
図15(C)に示す画面を表示させる。制御部41は、ステップS313の処理を完了すると、作業前診断処理を完了する。
【0120】
次に、
図17のフローチャートを参照して、サーバ400が実行する作業後診断処理について説明する。作業後診断処理は、例えば、サーバ400が、作業者から作業後診断処理の開始指示を受け付けた作業者端末100から、作業後診断処理の開始要求を受信したときに実行される。なお、作業者は、空気調和装置300に対して提案された保守作業を実行した後、作業者端末100に対して上記開始指示をし、その後、空気調和装置300に対して冷房運転の開始を指示する。
【0121】
まず、制御部41は、冷房運転の開始から15分が経過するまで待機する(ステップS401)。制御部41は、ステップS401の処理を完了すると、吸込温度と吹出温度とを取得する(ステップS402)。制御部41は、ステップS402の処理を完了すると、吸込温度と吹出温度との温度差を算出する(ステップS403)。制御部41は、ステップS403の処理を完了すると、温度差が基準範囲内であるか否かを判別する(ステップS404)。
【0122】
制御部41は、温度差が基準範囲内であると判別すると(ステップS404:YES)、変化データ関連情報を作業者端末100と顧客端末500とに送信する(ステップS405)。例えば、制御部41は、通信部43を制御して、変化データ関連情報を作業者端末100と顧客端末500とに送信する。一方、作業者端末100と顧客端末500とは、変化データ関連情報を受信すると、
図15(B)又は
図15(D)に示す画面を表示する。なお、作業者は、例えば、作業者端末100に表示された画面を顧客に見せることで、保守作業の効果を顧客に知らせることができる。また、作業者は、顧客端末500に表示された画面を確認させることで、保守作業の効果を顧客に知らせることができる。
【0123】
制御部41は、温度差が基準範囲内でないと判別すると(ステップS404:NO)、エラーメッセージを作業者端末100に送信する(ステップS406)。例えば、制御部41は、通信部43を制御して、保守作業により汚れが十分に落ちていないことを示すエラーメッセージを作業者端末100に送信する。一方、作業者端末100は、エラーメッセージを受信すると、エラーメッセージを画面に表示する。なお、表示される画面は、例えば、
図15(B)又は
図15(D)に示す画面にエラーメッセージが追加された画面でもよい。制御部41は、ステップS405又はステップS406の処理を完了すると、作業後診断処理を完了する。
【0124】
本実施の形態では、保守作業が実行された後に、保守作業により変化する変化データに関する変化データ関連情報が出力されて表示される。このため、本実施の形態によれば、空気調和装置300に対する保守作業の効果を顧客に分かりやすく知らせることができる。
【0125】
また、本実施の形態では、変化データは、空気調和装置300が吹き出す空気の風量と、空気調和装置300の冷暖房能力とを含む。従って、本実施の形態によれば、風量と冷暖房能力とが保守作業により改善したことを顧客に知らせることができる。
【0126】
また、本実施の形態では、作業前温度差が基準範囲の最大値よりも大きい場合において、吹出温度が基準温度範囲外である場合、保守作業の内容に空気調和装置300に対する部品交換が含められる。また、本実施の形態では、作業前温度差が基準範囲の最大値よりも大きい場合において、ファン313の回転数が回転数閾値よりも低い場合、保守作業の内容に空気調和装置300に対する部品交換が含められる。従って、本実施の形態によれば、部品交換が必要な場合に、部品交換の実行を提案することができる。
【0127】
また、本実施の形態では、作業前温度差に基づいて保守作業の内容が決定され、作業前温度差が基準範囲の最小値よりも低い場合に要点検と判断され、作業前温度差が基準範囲内である場合に通常清掃と判断され、作業前温度差が基準範囲の最大値よりも高い場合に重点清掃1と判断され、作業前温度差が基準範囲の最大値よりも規定値以上高い場合に重点清掃2と判断される。従って、保守作業開始前に顧客に対し適切な保守作業を伝えるとともに、保守作業開始前に適切な保守作業を判断することができる。これにより、保守作業に要する時間、保守作業にかかる費用等を保守作業の前に顧客に提示することができ、顧客の満足度、安心感等の向上が期待できる。
【0128】
本実施の形態では、サーバ400が情報出力システム1100の主な機能を持つ例を説明した。サーバ400が顧客端末500から空気調和装置300の清掃または点検要求を受けて、事前に保守作業に関する判断を実行し、顧客を訪問する日時を調整する機能を備えていてもよい。以下に、変形例について説明する。
【0129】
変形例におけるサーバ400は、顧客の要求に応じて遠隔で保守作業前の判断を実施し、その結果によって保守作業を実行する日時を決定する。まず、本変形例における空気調和装置300の清掃、点検等の保守作業における顧客の注文から作業完了までの流れの概要を説明する。まず、顧客端末500から、インターネットを通じて、サーバ400が空気調和装置300の清掃、点検等の保守作業の注文を受ける。
【0130】
サーバ400は、空気調和装置300の清掃に限らず、家の清掃、調理支援、食品宅配等の委託サービスの他、レシピ情報、日常的な清掃方法等の情報収集が可能である。顧客は、顧客端末500からサーバ400を介して、サーバ400以外の図示しないレシピサイトから顧客に合った最適なレシピを検索したり、日頃の家事の悩みに関する情報(例えば、赤さびの清掃方法、室内機の臭いの改善方法等)を収集したりする中で、専門家による空気調和装置300の清掃、点検等の保守作業の存在を認知する。
【0131】
サーバ400では、空気調和装置300の保守作業に限らず、様々な委託作業の情報の収集、作業の注文、作業日の決定、決済等、全てを行うことができるワン・ストップ・サービスが提供される。また、顧客が有する通信端末を備えた家電製品の情報を収集し、一括管理するデータベースを備えたシステムを有する。
【0132】
これにより、顧客のWebページ閲覧情報から得られる情報(例えば、顧客の好み、趣味趣向など)、顧客のアンケート、クチコミ等の投稿から得られる情報(例えば、文章力、性格的傾向等)、サービス利用情報(例えば、個人情報、決済情報、空気調和装置の清掃日等)、レシピ検索から得られる情報(例えば、献立、栄養素等)、顧客が所有する家電製品の使用履歴から読み取れる情報(例えば、調理家電の調理履歴や清掃時間、空気調和装置の動作履歴、エラー情報等)が顧客ごとに統一して管理され、各情報の連携によって、様々なサービスが提供される。
【0133】
例えば、通常、空気調和装置300の修理は、顧客が異常を認知し、修理を注文するが、顧客が空気調和装置300の異常について正確に伝えることは困難である。修理作業者は、顧客の曖昧な情報(例えば、ガタガタ音がする、少し冷えが悪い)等の情報から、故障原因を推定し、推定に基づいて部品や器具を持って顧客宅へ向かう。しかしながら、推定した故障原因と実際の故障原因が異なり、再訪問が必要になることがある。
【0134】
一方、本実施の形態2の注文時に利用されるシステムでは、空気調和装置300の清掃情報(例えば、1ヶ月前に保守作業を実施している)、無線通信機能を備えた温度測定装置200からの情報等から、空気調和装置300の状態(例えば、実際の吹出温度が何度か、エラー履歴など)を把握することができ、フィルタ311の状態、空気調和装置300の能力等を、比較的正確に推定することが可能である。このため、例えば、顧客の単純な設定ミスやフィルタ311の清掃不足が原因の場合などは、不要な訪問を控えて顧客に適するアドバイスをすることが可能である。
【0135】
また、顧客の空気調和装置300の清掃情報(例えば、2年前に保守作業を実施している)、無線通信機能を備えた温度測定装置200からの情報等から、空気調和装置300の状態(例えば、実際の吸込温度と吹出温度との温度差が何度か、室外機320の吸込温度が何度か等)を把握することで、顧客の空気調和装置の汚れ具合を推定し、適切なタイミングで予め登録された顧客の顧客端末500に、保守作業を勧める報知、お手入れのコツを示す情報の報知等を行うことができる。なお、顧客の顧客端末500に限らず、顧客が所有する空気調和装置300から報知してもよい。
【0136】
空気調和装置300に限らず、例えば、レシピ検索情報から、顧客の好みの味や不足している栄養素を分析し、顧客の好みに合う食品やサプリメントの広告を表示してもよい。また、食品宅配の注文履歴から顧客の所有する調理家電を用いた推奨レシピをスマートフォンに代表される携帯端末を介して顧客に提案し、そのレシピ情報(例えば、加熱時間、火力設定等)を、通信端末を備えた調理家電に送信し、設定を簡略化することができる。
【0137】
これらに加えて、顧客が所有するスマートフォンに代表される情報端末、ウェアラブル端末等から得られる情報を顧客の同意のもと活用することにより、運動情報、睡眠情報、GPS(Global Positioning System)情報、バイタル情報、発話情報等から心身情報、活動情報等を含めた連携が可能となる。
【0138】
例えば、年齢、体重、身長等の身体情報から割り出した基礎代謝、運動情報、GPS情報から、1日の消費カロリーを算出することで、1食あたりの適切な摂取カロリーを算出し、食品宅配の購入履歴に基づいて、調理可能な適切カロリーのレシピを提案することができる。
【0139】
また、購入までをワン・ストップでできることにより、前述したように推定された顧客の好みに合う食品やサプリメントの広告から、顧客が実際に購入した場合のその後のバイタル情報を追跡し、食品の効果を見える化して広告主に提示することが可能である。広告に限らず、例えば、清掃サービス利用後の顧客のストレス情報の変化を追跡し、マーケティングに活用することができる。
【0140】
次に、顧客が保守作業を注文する流れについて説明する。本実施の形態2において注文に利用されるWebサイトにて、顧客は作業者が設定している日程の内、設定可能な日程(例えば、6日後)の中から希望の作業日時を設定し、保守作業の注文を行う。この際、Webサイトに連携付けられたクラウド上の人工知能が、顧客データベースの情報に基づいて、当該顧客の空気調和装置300の状態を確認し、少なくとも1つの保守作業のプランを自動作成するようにしてもよい。この場合、顧客は自動作成された少なくとも1つの保守作業のプランの内容(例えば、値段、作業時間、作業内容、効果等)を基に、顧客に合ったプランを選択できる。また、事前に最適なプランで決済できるため、保守作業当日に追加・キャンセル・変更などの余分な作業が発生することを抑制できる。
【0141】
ただし、この保守作業プランの作成は遠隔で行わなくてもよい。例えば、本実施の形態2においては、室内機310に温度測定装置200が備えられているが、備えられていない場合は、作業者が顧客宅に訪れてから、作業者端末100を用いて判定作業を行ってもよい。本実施の形態2においては、作業者が顧客宅に訪れてから、作業者端末100を用いて作業する場合について説明する。
【0142】
Webサイトにおいて、顧客の決済手続きが完了すると、予め設定した希望日に、作業者が顧客宅を訪問し、保守作業を行う。作業者は、作業者端末100を用いて、部品の汚れの程度を判断する。判断内容に基づいて、実施内容を顧客に説明し、顧客からの同意を得たのち、保守作業を開始する。
【0143】
そして、保守作業が終わると、保守作業の前後で変化する変化データに関する変化データ関連情報が作業者端末100に出力されて表示される。作業者は作業者端末100の表示内容に基づいて顧客に作業内容や作業効果の報告を行う。そして、すべての作業が完了すると、作業者は顧客宅を出る。顧客にはメールや電話などの各種通知方法でアンケートへの回答が求められる。
【0144】
本実施の形態は、保守作業前に顧客の要求に応じて保守作業の必要性及び保守作業の内容を遠隔で判断し、保守作業を実行する日時を決定するシステムに適用可能である。以下、
図18を参照して、このようなシステムにおいて、各装置が実行する処理の流れについて説明する。
図18は、本実施の形態に係る各装置が実行する処理の流れを示すシーケンス図である。
【0145】
まず、ステップS21において、顧客端末500は、顧客から診断要求を取得する。ステップS22において、顧客端末500は、サーバ400に診断を要求する。ステップS23において、サーバ400は、顧客端末500に冷房運転を指示する。ステップS24において、顧客端末500は、冷房運転の実行を指示する。例えば、顧客端末500は、冷房運転の実行を指示する画面を表示する。一方、顧客は、この画面を確認したことに応答して、空気調和装置300に対して冷房運転の実行を指示する。なお、上記例では顧客が空気調和装置300に対して冷房運転の実行を指示したが、ステップS22において、顧客端末500がサーバ400に診断を要求した後、ステップS23において、サーバ400から空気調和装置300に対して冷房運転の実行を指示してもよい。
【0146】
ステップS25において、空気調和装置300は、運転状況情報を取得する。ステップS26において、空気調和装置300は、運転状況情報をサーバ400に送信する。ステップS27において、サーバ400は、運転状況情報に基づいて、保守作業の必要性及び保守作業の内容を診断する。ステップS28において、サーバ400は、診断結果を顧客端末500に送信する。
【0147】
ステップS29において、サーバ400は診断した保守作業の内容に応じて保守作業に要する時間を判断する。例えば、通常清掃の場合60分、重点清掃1の場合90分、重点清掃2の場合180分を割り当てる。ステップ30において、サーバ400は、保守作業に割り当てられた時間と、保守作業を行うか否かの問い合わせ情報を顧客端末500に送信する。ステップS31において、顧客端末500がサーバ400に保守作業を行うか否かを示す情報を送信する。
【0148】
ステップS31において、サーバ400が顧客端末500から保守作業を行う旨の情報を受信した場合、ステップS32において、サーバ400は複数の作業者のスケジュールを確認し、複数の作業者のスケジュールにおいて、保守作業が実行できる日時を抽出する。この日時は、例えば、割り当てられた保守作業の時間が60分である場合、作業者Aの6月1日の午後14時から15時、作業者Bの6月1日の午前10時から11時、作業者Cの6月2日の午後10時から11時などである。なお、保守作業の準備の都合上、保守作業を行う日時は顧客から保守作業を行う情報を受信した日から6日目以降が良く、顧客から保守作業を行う旨の情報を受信した日から6日目以降の日時が抽出される。なお、この日時は適宜変更でき準備を伴わない保守作業であれば0日目以降でも良い。また、ステップSX31において、サーバ400が顧客端末500から保守作業を行わない旨の情報を受信した場合、処理は終了する。
【0149】
ステップS33において、サーバ400は保守作業の実行日時の候補として抽出した候補日時およびその候補日時に保守作業を実行する作業者の情報を顧客端末500に送信する。作業者の情報は、例えば、作業者Aの年齢、性別等である。ステップS34において、顧客端末500は、候補日時の中から保守作業実行日時の選択を要求する。ステップS35において、顧客端末500は、選択された保守作業実行日時をサーバ400に送信する。例えば、顧客端末500は、保守作業実行日時の候補を提示する画面を表示する。一方、顧客は、この画面を確認したことに応答して、保守作業実行日時の候補の中から保守作業実行日時を選択し、サーバ400に送信する。
【0150】
ステップS36において、サーバ400は、選択された保守作業実行日時を、その選択された保守作業実行日時に保守作業を実行する作業者の作業者端末100に送信する。ステップS37において、保守作業実行日時に保守作業を実行する作業者の作業者端末100は、サーバ400から保守作業を実行する情報を受け付けた旨を回答する情報をサーバ400に送信する。ステップS38において、サーバ400は選択された実行可能な保守作業実行日時に保守作業を実行する旨を顧客端末500に送信する。
【0151】
上記例では、顧客が保守作業を要求した後に保守作業の判断を行ったが、定期的に空気調和装置300の運転状態を取得しておくことで、予め保守作業の内容を記憶しておき顧客が保守作業を要求した際に、保守作業の診断を行わずにあらかじめ取得した情報をもとに診断結果を報知する方法をとっても良い。
【0152】
(実施の形態3)
実施の形態2では、撮像画像を用いずに作業内容を決定する例について説明した。本実施の形態では、撮像画像を用いて作業内容を決定する例について説明する。なお、実施の形態1,2と同様の構成及び機能については、適宜、説明を省略又は簡略化する。
【0153】
以下、
図19を参照して、本実施の形態に係るサーバ410の機能について説明する。サーバ410は、機能的には、運転状況取得部401と、情報出力部402と、通信制御部403と、作業内容決定部404と、教師データ取得部405と、モデル生成部406と、画像取得部407とを備える。これらの各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。ソフトウェア及びファームウェアは、プログラムとして記述され、ROM又は記憶部42に格納される。そして、CPUが、ROM又は記憶部42に記憶されたプログラムを実行することによって、これらの各機能を実現する。
【0154】
教師データ取得部405は、撮像画像から空気調和装置300の内部の汚れの程度を推定するための機械学習に用いる教師データを取得する。教師データは、例えば、空気調和装置300の内部を撮像した撮像画像と、この撮像画像に対する汚れの程度の判別結果とを含む。撮像画像は、作業者が作業者端末100を用いて空気調和装置300を撮像することにより得られた撮像画像でもよい。また、撮像画像は、顧客が顧客端末500を用いて空気調和装置300を撮像することにより得られた撮像画像でもよい。判別結果は、作業者、分析者等が、各撮像画像に対して、フィルタ311、熱交換器312、ファン313等の部品がどの程度汚れているかを判別した結果である。教師データの取得元は、適宜、調整することができる。例えば、教師データの取得元は、作業者端末100でもよい。
【0155】
モデル生成部406は、撮像画像から空気調和装置300の内部の汚れの程度を推定するための学習済みモデルを生成する。モデル生成部406が用いる学習アルゴリズムは、適宜、調整することができる。本実施の形態では、モデル生成部406は、ニューラルネットワークを用いた教師あり学習により、学習済みモデルを生成する。つまり、モデル生成部406は、教師データ取得部405が取得した教師データを用いて機械学習することにより学習済みモデルを生成する。モデル生成部406は、生成した学習済みモデルを記憶部42に記憶させる。
【0156】
教師データは、例えば、
図4(A)に示す汚れが少ないファン313の撮像画像と汚れが少ないという判別結果との組合せと、
図4(B)に示す汚れが多いファン313の撮像画像と汚れが多いという判別結果との組合せとを含む。例えば、
図4(A)に示す撮像画像のように、ファン313の輪郭が明確である場合、汚れが少ないという判別結果が付与される。また、例えば、
図4(B)に示す撮像画像のように、ファン313の輪郭が不明確である場合、汚れが多いという判別結果が付与される。このような撮像画像と判別結果との組合せを多数含む教師データを用いて機械学習することにより、精度が高い学習済みモデルを生成することができる。
【0157】
画像取得部407は、空気調和装置300の内部を撮像した撮像画像を取得する。撮像画像は、例えば、フィルタ311、熱交換器312、ファン313等の部品が映し出された撮像画像である。画像取得部407は、例えば、作業者端末100又は顧客端末500から撮像画像を取得する。画像取得部407は、画像取得手段の一例である。
【0158】
作業内容決定部404は、撮像画像から空気調和装置300の内部の汚れの程度を推定するための機械学習により取得された学習済みモデルの出力結果と、作業前温度差とに基づいて、保守作業の内容を決定する。例えば、作業内容決定部404は、作業前温度差が基準範囲内である場合、作業内容を通常清掃に決定する。また、例えば、作業内容決定部404は、作業前温度差が基準範囲外である場合において、学習済みモデルの出力結果が、汚れが少ないという出力結果である場合、作業内容を重点清掃1に決定する。また、例えば、作業内容決定部404は、作業前温度差が基準範囲外である場合において、学習済みモデルの出力結果が、汚れが多いという出力結果である場合、作業内容を重点清掃2に決定する。
【0159】
次に、
図20のフローチャートを参照して、サーバ410が実行する作業前診断処理について説明する。作業前診断処理は、例えば、サーバ410が、作業者から作業前診断処理の開始指示を受け付けた作業者端末100から作業前診断処理の開始要求を受信したときに実行される。なお、作業者は、作業者端末100に対して上記開始指示をした後、空気調和装置300に対して冷房運転の開始を指示する。
【0160】
まず、サーバ410が備える制御部41は、冷房運転の開始から10分が経過するまで待機する(ステップS501)。制御部41は、ステップS501の処理を完了すると、吸込温度と吹出温度とを取得する(ステップS502)。制御部41は、ステップS502の処理を完了すると、温度差が5度以上であるか否かを判別する(ステップS503)。制御部41は、温度差が5度以上でないと判別すると(ステップS503:NO)、作業内容を点検に決定する(ステップS504)。
【0161】
制御部41は、温度差が5度以上であると判別すると(ステップS503:YES)、冷房運転の開始から15分が経過するまで待機する(ステップS505)。制御部41は、ステップS505の処理を完了すると、吸込温度と吹出温度と撮像画像とを取得する(ステップS506)。制御部41は、ステップS506の処理を完了すると、温度差が8度以上且つ20度以下であるか否かを判別する(ステップS507)。制御部41は、温度差が8度以上且つ20度以下であると判別すると(ステップS507:YES)、作業内容を通常清掃に決定する(ステップS508)。
【0162】
制御部41は、温度差が8度以上且つ20度以下でないと判別すると(ステップS507:NO)、学習済みモデルを用いて空気調和装置300の内部状態を推定する(ステップS509)。例えば、制御部41は、取得した撮像画像を学習済みモデルに供給し、学習済みモデルの出力から空気調和装置300の内部状態を推定する。内部状態は、例えば、汚れが少ない、汚れが多い、汚れが非常に多い等により表現される。
【0163】
制御部41は、ステップS509の処理を完了すると、汚れが基準以上であるか否かを判別する(ステップS510)。例えば、制御部41は、汚れが非常に多いと推定された場合、汚れが基準以上であると判別する。また、例えば、制御部41は、汚れが少ない、又は、汚れが多いと推定された場合、汚れが基準以上でないと判別する。
【0164】
制御部41は、汚れが基準以上でないと判別すると(ステップS510:NO)、作業内容を重点清掃1に決定する(ステップS511)。制御部41は、汚れが基準以上であると判別すると(ステップS510:YES)、作業内容を重点清掃2に決定する(ステップS512)。制御部41は、ステップS504、ステップS508、ステップS511、又は、ステップS512の処理を完了した場合、決定した作業内容を含む提案情報を作業者端末100に送信する(ステップS513)。制御部41は、ステップS513の処理を完了すると、作業前診断処理を完了する。
【0165】
本実施の形態では、学習済みモデルの出力結果と作業前温度差とに基づいて、保守作業の内容が決定される。従って、本実施の形態によれば、保守作業として適切な作業を個客に知らせることができる。
【0166】
(変形例)
以上、実施の形態を説明したが、種々の形態による変形及び応用が可能である。上記実施の形態において説明した構成、機能、動作のどの部分を採用するのかは任意である。また、上述した構成、機能、動作のほか、更なる構成、機能、動作が採用されてもよい。また、上記実施の形態において説明した構成、機能、動作は、自由に組み合わせることができる。
【0167】
実施の形態1では、作業者端末100が、温度測定装置200から温度情報を含む運転状況情報を取得する例について説明した。運転状況情報の取得元は、適宜、調整することができる。例えば、作業者端末100は、通信ネットワーク600を介して空気調和装置300から運転状況情報を取得してもよい。又は、作業者端末100は、通信ネットワーク600を介してサーバ400から運転状況情報を取得してもよい。又は、作業者端末100は、空気調和装置300から直接的に運転状況情報を取得してもよい。この場合、例えば、空気調和装置300が備える室外機320に運転状況情報を取得する通信装置を設け、作業者端末100がこの通信装置から各種の無線通信により運転状況情報を取得してもよい。
【0168】
実施の形態1では、運転状況情報が示すデータが、吸込温度と吹出温度とに関するデータであり、提示される変化データが、吸込温度と吹出温度とに関するデータである例について説明した。実施の形態2では、運転状況情報が示すデータが、吸込温度と吹出温度とに関するデータと、風量と、冷暖房能力と、ファン313の回転数とであり、提示される変化データが、吸込温度と吹出温度とに関するデータと、風量と、冷暖房能力と、ファン313の回転数とである例について説明した。実施の形態3では、運転状況情報が示すデータが、フィルタ311、熱交換器312、ファン313等の部品の汚れを推定する撮像画像である例について説明した。運転状況情報が示すデータと提示される変化データとは、他のデータであってもよい。
【0169】
例えば、運転状況情報が示すデータと提示される変化データとは、空気調和装置300の消費電力でもよいし、空気調和装置300の内部もしくは空気調和装置300が吹き出す空気の臭気等でもよい。この場合、例えば、空気調和装置300が備える検出部37は、消費電力を検出するセンサと、臭いを検出するセンサとを備える。又は、情報出力システムが、温度測定装置200のように、作業者端末100又は空気調和装置300と通信可能な臭気測定器を備える。
【0170】
吸込温度と吹出温度との温度差に基づいて作業内容を決定する方法は、適宜、調整することができる。例えば、実施の形態1では、温度差が基準範囲内である場合、作業内容として通常清掃が決定される例について説明した。温度差が基準範囲内である場合、作業する必要がないと決定されてもよい。また、実施の形態1では、温度差が基準範囲の最大値よりも大きい場合、作業内容として少なくとも本格的な清掃が決定される例について説明した。温度差が基準範囲の最大値よりも大きい場合、作業内容として通常の清掃が決定されてもよい。また、実施の形態2では、保護制御中又はファン313の回転数の低下中は、作業内容として部品交換が決定される例について説明した。保護制御中又はファン313の回転数の低下中において、作業内容として本格的な清掃が決定されてもよい。
【0171】
実施の形態1-3では、保守作業前における吸込温度と吹出温度との温度差に応じて、保守作業の必要性と保守作業の内容とが決定され、提案情報が出力される例について説明した。温度差以外の変化データの値に基づいて、保守作業の必要性と保守作業の内容とが決定され、提案情報が出力されてもよい。
【0172】
例えば、情報出力部102又は情報出力部402は、保守作業前において変化データの値が基準範囲外である場合、空気調和装置300に対して保守作業を実行することを提案してもよい。変化データとしては、空気調和装置300が吹き出す空気の風量、空気調和装置300の冷暖房能力、空気調和装置300が備えるファン313の回転数、空気調和装置300の内部もしくは空気調和装置300が吹き出す空気の臭気、空気調和装置300の消費電力等がある。基準範囲は、変化データの正常値の範囲であり、変化データ毎に設定される。
【0173】
情報出力部102又は情報出力部402は、保守作業前において変化データの値が基準範囲内である場合、簡易的な清掃を実行することを提案してもよい。一方、情報出力部102又は情報出力部402は、保守作業前において変化データの値が基準範囲外である場合、本格的な清掃を実行することを提案する提案情報を出力してもよい。例えば、変化データが空気調和装置300が吹き出す空気の風量であり、風量の基準範囲が15m3/minから25m3/minである場合を想定する。この場合、保守作業前の風量が20m3/minであるときは、簡易的な清掃を実行することを提案する提案情報が出力される。一方、保守作業前の風量が10m3/minであるときは、本格的な清掃を実行することを提案する提案情報が出力される。
【0174】
また、情報出力部102又は情報出力部402は、保守作業前において変化データの値が基準範囲から規定値以上離れている場合、空気調和装置300に対する部品交換を実行することを提案する提案情報を出力してもよい。例えば、風量の基準範囲が15m3/minから25m3/minであり、規定値が5m3/minである場合を想定する。この場合、保守作業前の風量が10m3/min未満である場合、又は、保守作業前の風量が30m3/minを超える場合、部品交換を実行することを提案する提案情報が出力される。なお、保守作業前において変化データの値が基準範囲の最小値よりも規定値以上小さい場合のみ、又は、保守作業前において変化データの値が基準範囲の最大値よりも規定値以上大きい場合のみ、部品交換を実行することを提案する提案情報が出力されてもよい。
【0175】
また、情報出力部102又は情報出力部402は、保守作業前において変化データの値が基準範囲外の場合、空気調和装置300の点検を実行することを提案する提案情報を出力してもよい。例えば、変化データが空気調和装置300の冷暖房能力であり、冷暖房能力の基準範囲が400kWから800kWである場合において、保守作業前における空気調和装置300の冷暖房能力が300kWである場合、空気調和装置300の点検を実行することを提案する提案情報が出力されてもよい。
【0176】
また、情報出力部102又は情報出力部402は、保守作業前において空気調和装置300が運転を開始してから規定時間が経過する前における変化データの値が基準範囲外である場合、空気調和装置300に対して点検を実行することを提案する提案情報を出力してもよい。つまり、空気調和装置300が安定状態になる前の変化データの値が異常である場合、点検を実行することを提案する提案情報が出力されてもよい。
【0177】
また、情報出力部102又は情報出力部402は、保守作業前において空気調和装置300が運転を開始してから規定時間が経過したときにおける変化データの値が基準範囲外である場合、空気調和装置300に対して保守作業を実行することを提案する提案情報を出力してもよい。つまり、空気調和装置300が安定状態になったときの変化データの値が異常である場合、保守作業を実行することを提案する提案情報が出力されてもよい。
【0178】
また、情報出力部102又は情報出力部402は、保守作業前において空気調和装置300が運転を開始してから規定時間が経過したときにおける変化データの値が基準範囲内である場合、簡易的な清掃を実行することを提案する提案情報を出力してもよい。また、情報出力部102又は情報出力部402は、保守作業前において空気調和装置300が運転を開始してから規定時間が経過したときにおける変化データの値が基準範囲外である場合、本格的な清掃を実行することを提案する提案情報を出力してもよい。つまり、空気調和装置300が安定状態になったときの変化データの値が正常である場合、簡易的な清掃を実行することを提案する提案情報が出力されてもよい。一方、空気調和装置300が安定状態になったときの変化データの値が異常である場合、本格的な清掃を実行することを提案する提案情報が出力されてもよい。
【0179】
上記実施の形態では、制御部11,41において、CPUがROM又は記憶部12,42に記憶されたプログラムを実行することによって、
図5,13,18に示した各部として機能した。しかしながら、本開示において、制御部11,41は、専用のハードウェアであってもよい。専用のハードウェアとは、例えば単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又は、これらの組み合わせ等である。制御部11,41が専用のハードウェアである場合、各部の機能それぞれを個別のハードウェアで実現してもよいし、各部の機能をまとめて単一のハードウェアで実現してもよい。また、各部の機能のうち、一部を専用のハードウェアによって実現し、他の一部をソフトウェア又はファームウェアによって実現してもよい。このように、制御部11,41は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又は、これらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0180】
本開示に係る作業者端末100、サーバ400,410の動作を規定する動作プログラムを既存のパーソナルコンピュータ又は情報端末装置等のコンピュータに適用することで、当該コンピュータを、本開示に係る作業者端末100、サーバ400,410として機能させることも可能である。また、このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、CD-ROM(Compact Disk ROM)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto Optical Disk)、又は、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよいし、インターネット等の通信ネットワークを介して配布してもよい。
【0181】
本開示は、本開示の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。すなわち、本開示の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして特許請求の範囲内及びそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、本開示の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0182】
本開示は、情報出力システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0183】
11,31,41 制御部、12,32,42 記憶部、13,33 表示部、14,34 操作受付部,15,35 第1通信部、16,36 第2通信部、17 撮像部、37 検出部、43 通信部、100 作業者端末、101,401 運転状況取得部、102,402 情報出力部、103 表示制御部、104,404 作業内容決定部、403 通信制御部、405 教師データ取得部、406 モデル生成部、407 画像取得部、200 温度測定装置、201,202 温度センサ、300 空気調和装置、310 室内機、311 フィルタ、312 熱交換器、313 ファン、320 室外機、400,410 サーバ、500 顧客端末、600 通信ネットワーク、1000,1100 情報出力システム