(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121070
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、および、情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/00 20120101AFI20230823BHJP
G06F 16/28 20190101ALI20230823BHJP
【FI】
G06Q50/00 300
G06F16/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024308
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 孝
(72)【発明者】
【氏名】高山 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】小高 航汰
(72)【発明者】
【氏名】萩野 喜一
【テーマコード(参考)】
5B175
5L049
【Fターム(参考)】
5B175FB04
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】
膨大な情報の中から信頼性が高いと思われる情報を的確かつ効率的に抽出可能な情報処理装置、情報処理システム、および、情報処理方法を提供する。
【解決手段】
情報処理装置は、プロセッサを備えている。前記プロセッサは、ネットワークを介して、情報発信者が投稿する主観的情報を収集し、前記主観的情報を分析する分析ルールを用いて、収集した前記主観的情報を分析して情報の内容の信頼性を評価する信頼度を算出し、収集した前記主観的情報の内容と算出した信頼度を出力する。そして、前記分析ルールは、それぞれが異なる複数の判定条件を含み、前記プロセッサは、前記の複数の判定条件を用いて段階的な判定を行うことで、前記主観的情報の信頼度を算出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
ネットワークを介して、情報発信者が投稿する主観的情報を収集し、
前記主観的情報を分析する分析ルールを用いて、収集した前記主観的情報を分析して情報の内容の信頼性を評価する信頼度を算出し、
収集した前記主観的情報の内容と算出した信頼度を出力し、
前記分析ルールは、
それぞれが異なる複数の判定条件を含み、
前記プロセッサは、
前記の複数の判定条件を用いて段階的な判定を行うことで、前記主観的情報の信頼度を算出する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記分析ルールは、ユーザが編集可能である、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理装置であって、
前記判定条件による判定を行う順番をユーザが編集可能である、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記の複数の判定条件には、
前記情報発信者が投稿した情報が1次情報か否か、
投稿された主観的情報が虚偽の情報あるいは誤報であるとする否定的な情報が、収集した主観的情報のうちに閾値以上あるか否か、
投稿された主観的情報に影響を与える要因が、ネットワークを介して収集する客観的情報の中にあるか否か、
主観的情報の投稿時刻付近に地理的に近い場所から類似する投稿が閾値以上あるか否か、
前記情報発信者が公的ユーザもしくは実名として登録されているか否か、
前記情報発信者が過去に有益な災害情報を提供した実績がある者か否か、
投稿された主観的情報に画像または動画が含まれる場合、過去に投稿されたものが使い回されていないか、
とする条件のうち、少なくとも2つの条件が含まれる、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理装置であって、
前記プロセッサは、
防災に用いるセンサ装置、報道またはインターネットによる情報メディア、防災関係機関が保有する防災システムから、前記客観的情報を収集する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
情報処理装置と、
ネットワークを介して前記情報処理装置と接続され、情報発信者が主観的情報を投稿する情報システムと、を備え、
前記情報処理装置は、
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
前記情報システムから、情報発信者が投稿する主観的情報を収集し、
前記主観的情報を分析する分析ルールを用いて、収集した前記主観的情報を分析して情報の内容の信頼性を評価する信頼度を算出し、
収集した前記主観的情報の内容と算出した信頼度を出力し、
前記分析ルールは、
それぞれが異なる複数の判定条件を含み、
前記プロセッサは、
前記の複数の判定条件を用いて段階的な判定を行うことで、前記主観的情報の信頼度を算出する、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項7】
請求項6に記載の情報処理システムであって、
前記分析ルールは、前記情報処理装置を操作するユーザが編集可能である、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項8】
請求項7に記載の情報処理システムであって、
前記判定条件による判定を行う順番を、前記情報処理装置を操作するユーザが編集可能である、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項9】
請求項6に記載の情報処理システムであって、
前記の複数の判定条件には、
前記情報発信者が投稿した情報が1次情報か否か、
投稿された主観的情報が虚偽の情報あるいは誤報であるとする否定的な情報が、収集した主観的情報のうちに閾値以上あるか否か、
投稿された主観的情報に影響を与える要因が、ネットワークを介して収集する客観的情報の中にあるか否か、
主観的情報の投稿時刻付近に地理的に近い場所から類似する投稿が閾値以上あるか否か、
前記情報発信者が公的ユーザもしくは実名として登録されているか否か、
前記情報発信者が過去に有益な災害情報を提供した実績がある者か否か、
投稿された主観的情報に画像または動画が含まれる場合、過去に投稿されたものが使い回されていないか、
とする条件のうち、少なくとも2つの条件が含まれる、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項10】
請求項9に記載の情報処理システムであって、
ネットワークを介して前記情報処理装置と接続され、前記客観的情報を取得する情報ソースを備え、
前記情報ソースは、
防災に用いるセンサ装置、報道またはインターネットによる情報メディア、防災関係機関が保有する防災システムから、前記客観的情報を取得し、
前記プロセッサは、
前記情報ソースから、前記客観的情報を収集する、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項11】
請求項6に記載の情報処理システムであって、
前記情報処理装置を操作するユーザに、収集した前記主観的情報の内容と算出した信頼度を出力する表示装置を備える、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項12】
請求項6に記載の情報処理システムであって、
災害現場で対応するユーザが用いる端末装置を備え、
前記プロセッサは、
前記端末装置に、収集した前記主観的情報の内容と算出した信頼度を出力する、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項13】
請求項6に記載の情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、クラウド上に配置される、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項14】
プロセッサを用いて行う情報処理方法であって、
ネットワークを介して、情報発信者が投稿する主観的情報を収集する情報収集工程と、
前記主観的情報を分析する分析ルールを用いて、収集した前記主観的情報を分析して情報の内容の信頼性を評価する信頼度を算出する情報分析工程と、
収集した前記主観的情報の内容と算出した信頼度を出力する情報出力工程と、
を備え、
前記分析ルールは、
それぞれが異なる複数の判定条件を含み、
前記情報分析工程では、
前記の複数の判定条件を用いて段階的な判定が行われることで、前記主観的情報の信頼度が算出される、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項15】
請求項14に記載の情報処理方法をプロセッサに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、および、情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
災害への対処を行うためには、事象及びそれに関連する状況を的確に認識することが重要である。例えば、特許文献1では、単位時間内においてSNSに投稿される自然言語情報を収集し、当該自然言語情報に含まれる単語の出現回数に基づいて、地震の発生等を推定する推定システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一例として、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)により発信される情報の中には、デマ、流言や誤報が含まれていることもある。ここで、特許文献1の技術では、例えば、緊急時の混乱の中で、膨大な情報の中から有用と思われる情報を的確かつ効率的に抽出することは容易ではないと考えられる。
【0005】
そこで、本発明は、膨大な情報の中から信頼性が高いと思われる情報を的確かつ効率的に抽出可能な情報処理装置、情報処理システム、および、情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、下記の情報処理装置が提供される。すなわち、情報処理装置は、プロセッサを備える。プロセッサは、ネットワークを介して、情報発信者が投稿する主観的情報を収集する。プロセッサは、主観的情報を分析する分析ルールを用いて、収集した主観的情報を分析して情報の内容の信頼性を評価する信頼度を算出する。プロセッサは、収集した主観的情報の内容と算出した信頼度を出力する。そして、分析ルールは、それぞれが異なる複数の判定条件を含む。プロセッサは、複数の判定条件を用いて段階的な判定を行うことで、主観的情報の信頼度を算出する。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、下記の情報処理システムが提供される。すなわち、情報処理システムは、情報処理装置と、ネットワークを介して情報処理装置と接続され、情報発信者が主観的情報を投稿する情報システムと、を備える。情報処理装置は、プロセッサを備える。プロセッサは、情報システムから、情報発信者が投稿する主観的情報を収集する。プロセッサは、主観的情報を分析する分析ルールを用いて、収集した主観的情報を分析して情報の内容の信頼性を評価する信頼度を算出する。プロセッサは、収集した主観的情報の内容と算出した信頼度を出力する。そして、分析ルールは、それぞれが異なる複数の判定条件を含む。プロセッサは、複数の判定条件を用いて段階的な判定を行うことで、主観的情報の信頼度を算出する。
【0008】
本発明の第3の態様によれば、下記の情報処理方法が提供される。すなわち、この方法は、プロセッサを用いて行う方法である。情報処理方法は、ネットワークを介して、情報発信者が投稿する主観的情報を収集する情報収集工程と、主観的情報を分析する分析ルールを用いて、収集した主観的情報を分析して情報の内容の信頼性を評価する信頼度を算出する情報分析工程と、収集した主観的情報の内容と算出した信頼度を出力する情報出力工程と、を備える。そして、分析ルールは、それぞれが異なる複数の判定条件を含む。情報分析工程では、複数の判定条件を用いて段階的な判定が行われることで、主観的情報の信頼度が算出される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、膨大な情報の中から信頼性が高いと思われる情報を的確かつ効率的に抽出可能な情報処理装置、情報処理システム、および、情報処理方法が提供される。なお、上記した以外の課題、構成および効果は、以下の発明を実施するための形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】品質担保装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】収集データベースの内容の一例を示した図である。
【
図5】分析結果データベースの内容の一例を示した図である。
【
図6】情報発信者データベースの内容の一例を示した図である。
【
図11A】信頼度評価の一例を示すフローチャートである。
【
図11B】
図11Aの処理の続きであり、信頼度評価の一例を示すフローチャートである。
【
図11C】
図11Bの処理の続きであり、信頼度評価の一例を示すフローチャートである。
【
図13】メンテナンス工程の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。実施形態は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
各種情報の例として、「テーブル」、「リスト」、「キュー」等の表現にて説明することがあるが、各種情報はこれら以外のデータ構造で表現されてもよい。例えば、識別情報について説明する際に、「識別情報」、「識別子」、「名」、「ID」、「番号」等の表現を用いるが、これらについてはお互いに置換が可能である。
【0012】
<第1実施形態>
第1実施形態では、品質担保装置101(情報処理装置)を用いて災害対応を行う場合について説明する。
図1は、システム構成例を示した図である。図示するように、品質担保システム(情報処理システム)は、災害に関する情報の収集と管理を行い、災害対応に利用するシステムである。このシステムは、一例として、品質担保装置101と、情報システム120と、を備える構成とすることができる。ここで、品質担保装置101は、インターネット等のネットワーク150を介して災害情報を収集し、状況認識に資する情報に分析し、例えば、災害対応を指揮するユーザ160が、迅速かつ効果的な状況把握、及び状況に応じた対処を行うために有効な情報を提供する。
【0013】
情報システム120は、品質担保装置101にSNS等の情報を提供する。また、このシステムは、適宜の情報ソースから情報を取得してもよく、センサ等のデータに基づく情報ソース130や災害関連組織が保有する防災システム等の情報ソース140から情報を取得してもよい。
【0014】
情報システム120、情報ソース130、情報ソース140は、それぞれ複数存在しても良い。なお、ネットワーク150を介して送受信される情報の種類としては、テキスト情報、位置情報、時刻情報、音声情報、画像、動画、その他情報発信者に関する付帯情報等がある。
【0015】
図1を参照しながら、品質担保装置101の代表的なソフトウェア構成を説明する。品質担保装置101は、データ収集部102、データ分析部103、情報表示部104、メンテナンス部105、ルールDB106、収集DB107、情報発信者DB108、分析結果DB109を備える。
【0016】
データ収集部102は、SNS等の情報を提供する情報システム120、地震計や河川水位計等の情報ソース130、報道やインターネット等の情報メディア、各防災関係機関が保有する防災システム等の情報ソース140等から、ルールDB106に格納された収集ルール110に基づき情報を収集し、収集DB107に格納する。ここで、収集ルール110には、収集頻度や収集地域、収集キーワードや収集対象等のデータ収集に必要な情報が記載されている。
【0017】
データ分析部103は、収集DB107に格納されたデータについて、ルールDB106に格納された分析ルール111に基づき、信憑性(すなわち、情報の内容の信頼性を示す信頼度)を算出し、前記信頼度をデータ収集部102で収集した情報システム120の情報に付与して分析結果DB109に登録する。ここで、分析ルール111には、SNS投稿された時刻付近に投稿内容(例えば、「断水」)に影響を与える要因(例えば、「地震」)が、収集した客観的情報(情報ソース130、140)にあるか否か、当該情報の投稿時刻付近に地理的に近い場所から類似投稿が閾値以上あるか否か、情報発信者の属性は何か等の信頼度の分析に必要な分析アルゴリズムが記載されている。
【0018】
また、データ分析部103は、信頼度が高い投稿と判断された情報発信者を「有益な災害情報を提供した実績がある者」として、前記情報発信者の情報を情報発信者DB108に格納する。本実施形態では、この情報発信者DB108の情報も信頼度の判定に使用される。
【0019】
情報表示部104は、分析結果DB109に格納されたデータに基づき、ユーザ160へ信頼度を付与したSNS等の情報を一覧表示する。
【0020】
メンテナンス部105は、データ収集部102で利用するデータ収集先や収集頻度、収集キーワードや収集対象等を記載した収集ルール110と、データ分析部103で利用する分析アルゴリズムを記載した分析ルール111を、ユーザ160の入力に基づき作成し、ルールDB106に格納する。
【0021】
ルールDB106の収集ルール110、分析ルール111、及び情報発信者DB108の情報発信者は、運用する中でメンテナンス部105によりユーザ160が追加、更新、削除を加えてもよい。
【0022】
品質担保装置101は、平常時から継続的に情報を収集・監視し、収集したデータを用いて災害等の危機的事象が発生した直後の異常検知、及び状況の推移をユーザ160に提供することができる。
【0023】
次に、品質担保装置のハードウェア構成の一例について説明する。
図2に示すように、品質担保装置101は、プロセッサ171と、記憶装置172と、通信IF173と、を備える。プロセッサ171は、データ処理の主体として機能する。記憶装置172は、上記したソフトウェア構成(102~109)を記憶する。通信IF173は、インタフェースであり、ネットワーク150を介した通信に用いられる。
【0024】
プロセッサ171は、一例として、CPU(Central Processing Unit)により構成されるが、他の半導体デバイスにより構成されてもよい。記憶装置172は、補助記憶装置と主記憶装置を用いて構成することができる。補助記憶装置としては、一例として、HDD(Hard Disk Drive)やSDD(Solid State Drive)が挙げられる。主記憶装置としては、一例として、RAM(Random Access Memory)が挙げられる。プロセッサ171は、処理にあたってプログラムを主記憶装置に読み出して実行する。また、品質担保装置101は、ユーザ160が情報を入力することに用いる入力装置174や、出力されたデータを画面表示することで、ユーザ160に情報を提示する表示装置175を備えてもよい。
【0025】
次に、本実施形態での情報処理方法の一例を説明する。
図3は、本実施形態における情報処理方法の一例について示した図である。情報処理方法は、主に情報収集工程201、情報分析工程202、情報表示工程203(情報出力工程)、メンテナンス工程204を含んで構成される。
【0026】
情報収集工程201では、情報システム120や情報ソース(130、140)から情報を収集し、収集した情報を収集DB107に格納する。
【0027】
情報分析工程202では、情報収集工程201によって処理されて格納された収集DB107内のデータを用いて、情報を分析し、分析した結果を分析結果DB109に格納する。
【0028】
情報表示工程203では、情報分析工程202によって処理されて格納された分析結果DB109内のデータを用いて、ユーザ160へ情報提供する。
【0029】
メンテナンス工程204では、ユーザ160からの入力に基づいて、ルールDB106や情報発信者DB108を更新する。ルールDB106や情報発信者DB108は情報収集工程201、及び情報分析工程202で使用される。
【0030】
次に、本実施形態での各データベースの内容について説明する。まず、
図4を参照しながら、収集DB107の内容について説明する。
図4は、本実施形態における収集DB107の内容の一例を示した図である。
【0031】
図4に示すように、この収集DB107には、データ収集部102によって収集したSNS等の情報を提供する情報システム120、地震計や河川水位計等の情報ソース130、報道やインターネット等の情報メディア、各防災関係機関が保有する防災システム等の情報ソース140に関する情報が登録されている。このDBは、一例として、データを識別するためのデータID401、取得時刻402、情報源に関する発信者情報(システム名称、SNS情報発信者、センサ種別等)403、位置情報(例えば、緯度・経度)404、収集区分(SNS、防犯システム、情報メディア、センサ装置等)405、データ本体である本文406、本文のリンク先407、画像情報のリンク先408、音声情報のリンク先409、動画情報のリンク先410を含み、レコード411、412のように格納される。
【0032】
収集DB107は、膨大な量の情報を蓄積することになるため、重複データの排除や参照頻度に応じたデータの削除・圧縮等、効率的・効果的にデータを蓄積することが望ましい。ここで、データ収集部102で収集される情報について、全ての項目に値を登録する必要はなく、該当する値のない項目は空欄で登録しても良い(例えば、画像情報のリンク先を持たない場合は、画像情報リンク408を空欄にして登録しても良い)。また、本文406に地名等の位置情報に関するワードを抽出した場合は、それをレコードの位置情報404に登録しても良い。
【0033】
次に、
図5を参照しながら、分析結果DB109の内容について説明する。
図5は、本実施形態における分析結果DB109の内容の一例を示した図である。
【0034】
収集DB107に登録されている収集区分405が「SNS」のレコードについて、分析ルール111により算出された信頼度が付与され、その結果が分析結果DB109に登録されている。
図5の例では、分析結果DB109は、一例として、収集DB107より転記したデータID501、取得時刻502、情報発信者503、位置情報504、本文506、本文のリンク先507、画像情報のリンク先508、音声情報のリンク先509、動画情報のリンク先510及び算出した信頼度505、信頼度の判定に使用した情報源511を含み、レコード512、513のように格納される。なお、
図4と同様に、該当する値のない項目は空欄で登録しても良い。全レコード、あるいは一部分のレコードに対して、情報収集工程201で収集した後続の情報により、信頼度が見直されることもある。
【0035】
次に、
図6を参照しながら、情報発信者DB108の内容について説明する。
図6は、本実施形態における情報発信者DB108の内容の一例を示した図である。
【0036】
データ分析部103で信頼度が高い投稿と判断されたSNS情報発信者は、「有益な災害情報を提供した実績がある者」として、情報発信者DB108に登録される。
図6に示すように、情報発信者DB108は、一例として、ユーザID601、スクリーン名602、ユーザ名603、現在地604、URL605、自己紹介文606、認証済みアカウントの有無607、フォロー数608、フォロアー数609、リスト数610、全ツイート数611を含み、レコード612、613のように格納される。なお、フォロー数やフォロワー数、リスト数や全ツイート数は、データ取得時点での件数となる。情報発信者DB108の各レコードについて、ユーザ160が運用の中で追加、更新、削除しても良い。
【0037】
次に、
図7を参照しながら、ルールDB106における収集ルール110の内容について説明する。
図7は、本実施形態における収集ルールの内容の一例を示した図である。
【0038】
データ収集部102は、ルールDB106に格納された収集ルール110に基づき情報を収集する。
図7に示すように、ルールDB106は、一例として、ルールを識別するための収集ルールID701、収集頻度(秒、分、時間等)702、収集地域(都道府県市区町村、緯度・経度での範囲指定等)703、収集対象(SNS等の情報システムや地震計や河川水位計のセンサ、情報メディア、防災システム等の情報ソースのURLやIPアドレス等)704、災害に関連する収集キーワード705、情報発信者を公的ユーザに絞り込みを行うか否かの公的ユーザに絞り込み(はい、いいえ)706、実名ユーザに絞り込みを行うか否かの実名ユーザに絞り込み(はい、いいえ)707、フォロワー数の数で絞り込みを行うか否かのフォロワー数の数(以上、以下、未満等)708、写真付きツイートに限定するか否かの写真付きツイートに限定(はい、いいえ)710、動画付きツイートに限定するか否かの動画付きツイートに限定(はい、いいえ)711、音声付きツイートに限定するか否かの音声付きツイートに限定(はい、いいえ)712、このレコード(ルール)を有効にするか無効にするかの有効/無効(有効、無効)713を含み、レコード714、715のように格納される。なお、収集地域703、収集対象704、災害に関連する収集キーワード705は、複数指定することが出来る。収集ルール110の各レコードについて、ユーザ160が運用の中で追加、更新、削除しても良い。
【0039】
次に、
図8を参照しながら、ルールDB106における分析ルール111の内容について説明する。
図8は、本実施形態における分析ルールの内容の一例を示した図である。
【0040】
データ分析部103は、ルールDB106に格納された分析ルール111に基づき収集した情報の信憑性(信頼度)を算出する。ルールDB106は、一例として、ルールを識別するための分析ルールID801、ルールの優先順位802、信頼度を判定する分析アルゴリズム803、判定の境界となる閾値804、分析アルゴリズム評価後の処理を設定する分析アルゴリズム評価(真の場合)805、(偽の場合)806、このレコード(ルール)を有効にするか無効にするかの有効/無効(有効、無効)807を含み、レコード808、809のように格納される。なお、この例では、信頼度の判定は、優先順位802の値が低い順に実行される。分析アルゴリズム803の内容によっては、閾値804が空欄の場合がある。分析ルール111の各レコードについて、ユーザ160が編集可能であり、例えば、ユーザ160が運用の中で優先順位の入れ替えや、追加、更新、削除しても良い。
【0041】
次に、上記で説明した情報処理方法における各工程について具体的に説明する。まず、情報収集工程について説明する。
図9は、本実施形態における情報収集工程の一例について示す図である。情報収集工程201では、プロセッサ171がデータ収集部102を実行する。
【0042】
品質担保装置101は、データ収集部102によって、SNS等の情報を提供する情報システム120、地震計や河川水位計等の情報ソース130、報道やインターネット等の情報メディア、各防災関係機関が保有する防災システム等の情報ソース140等から、ルールDB106に格納された収集ルール110に記載された収集頻度や収集地域、収集キーワードや収集対象等に基づき情報を収集し、収集DB107に格納する。
【0043】
次に、情報分析工程について説明する。
図10は、本実施形態における情報分析工程の一例について示す図である。情報分析工程202では、プロセッサ171がデータ分析部103を実行する。
【0044】
品質担保装置101は、データ分析部103によって、収集DB107に蓄積された各データレコードを用いて、ルールDB106に登録された分析ルール111に基づいたSNS投稿の分析(信頼度評価)を行う。分析後は、当該SNS投稿に信頼度等を付与し、分析結果DB109に格納する。データ分析部103で信頼度が高い投稿と判断されたSNS情報発信者は、「有益な災害情報を提供した実績がある者」として、情報発信者DB108に格納する。情報発信者DB108に格納されている発信者情報は、信頼度の算出のために使用される。
【0045】
なお、情報収集工程201、情報分析工程202は、収集ルール110に記載された収集頻度により、繰り返し実行される。情報分析工程202で「信頼度が高い」と信頼度評価されていても、情報収集工程201で収集した後続の情報により、信頼度が見直されることもある。
【0046】
ここで、
図11を参照しながら、情報分析工程で実行される信頼度の評価の一例について説明する。
図11A-
図11Cは、本実施形態における情報分析工程にて実行される信頼度評価の一例を示すフローチャートである。
【0047】
品質担保装置101は、例えば、収集DB107に蓄積されている収集区分が「SNS」のデータレコードについて、1件毎に信頼度の評価を実施する。評価基準は、分析ルール111に基づく。本実施形態では、分析アルゴリズム803の記載や分析アルゴリズム評価を利用した複数の段階的な判定により、信頼度が算出される。
図11の例では、まず、当該レコードの投稿内容が1次情報(情報源となる独自の情報)か判定する(S501)。1次情報ではない場合には(S501で「NO」)、信頼度を「低」と判定し(S502)、処理が後述するS513に移行する。
【0048】
1次情報である場合には(S501で「YES」)、品質担保装置101は、当該レコードに対してデマ(虚偽の情報)や誤報であるといった否定的な情報が収集DB107の中に閾値以上ないか判定する(S503)。閾値804が示す値を基準として、閾値以上、否定的な情報がある場合には(処理503で「NO」)、信頼度を「低」と判定し(S502)、処理が後述するS513に移行する。その一方で、閾値以上、否定的な情報がない場合には(S503で「YES」)、当該レコードに影響を与える要因が収集DB107の中の客観的情報内(収集区分が防犯システム、情報メディア、センサ装置等であるデータレコード)にあるか判定する(S504)。すなわち、S504において、投稿された内容と客観的情報との関連性が評価される。
【0049】
S504において、客観的情報がある場合には(S504で「YES」)、品質担保装置101は、信頼度を「高」と判定し(S511)、処理が後述するS513に移行する。その一方で、客観的情報がない場合には(S504で「NO」)、当該レコードが投稿された時刻付近、且つ当該レコードの位置情報に地理的に近い場所から類似投稿が閾値以上あるか判定する(S505)。
【0050】
S505において、閾値804が示す値を基準として、閾値以上、類似投稿がある場合には(S505で「YES」)、品質担保装置101は、信頼度を「高」と判定し(S511)、処理がS513に移行する。その一方で、閾値以上、類似投稿がない場合には(S505で「NO」)、当該レコードの情報発信者が公的ユーザもしくは実名で登録されているユーザか判定する(S506)。
【0051】
S506において、情報発信者が公的ユーザもしくは実名で登録されているユーザである場合には(S506で「YES」)、品質担保装置101は、信頼度を「高」と判定し(S511)、処理がS513に移行する。その一方で、情報発信者が公的ユーザもしくは実名で登録されているユーザでない場合には(S506で「NO」)、情報発信者は情報発信者DB108に登録されているか判定する(S507)。
【0052】
S507において、情報発信者DB108に登録されている場合には(処理507で「YES」)、品質担保装置101は、信頼度を「中」と判定し(S512)、処理がS513に移行する。その一方で、情報発信者DB108に登録されていない場合には(S507で「NO」)、当該レコードに画像もしくは動画が投稿されているか判定する(S508)。
【0053】
S508において、画像もしくは動画が投稿されていない場合には(S508で「NO」)、信頼度を「低」と判定し(S502)、処理がS513に移行する。その一方で、画像もしくは動画が投稿されている場合には(S508で「YES」)、インターネット上で画像もしくは動画検索を実行し(S509)、過去に該当するものがないか判定する(S510)。
【0054】
S510において、該当するものがある場合には(S510で「NO」)、品質担保装置101は、信頼度を「低」と判定し(S502)、処理がS513に移行する。その一方で、該当するものがない場合には(S510で「YES」)、信頼度を「中」と判定し(S512)、処理がS513に移行する。
【0055】
品質担保装置101は、判定した信頼度と判定に使用した情報源を当該レコードに付与して分析結果DB109に登録する(S513)。ここで、信頼度が「低」の場合には、信頼度の判定に使用した情報源は、空欄となる。
【0056】
最後に、品質担保装置101は、処理で算出した信頼度を判定し(S514)、信頼度が「高」である場合には(S514で「YES」)、当該レコードの情報発信者を情報発信者DB108に「有益な災害情報を提供した実績がある者」として登録し(S515)、処理を終了する。その一方で、信頼度が「高」以外である場合には(S514で「NO」)、そこで処理が終了する。
【0057】
次に、情報表示工程について説明する。
図12は、本実施形態における情報表示工程の一例について示す図である。情報表示工程203では、プロセッサ171が情報表示部104を実行する。
【0058】
品実担保装置101は、前記の情報分析工程202によって蓄積された分析結果DB109のレコードについて、ユーザ160に対して、情報表示部104を介して提供する。すなわち、分析結果DB109のデータが、表示装置175に出力される。
【0059】
次に、メンテナンス工程について説明する。
図13は、本実施形態におけるメンテナンス工程の一例について示す図である。メンテナンス工程204では、プロセッサ171がメンテナンス部105を実行する。
【0060】
品質担保装置101は、一例として、収集ルール110に基づいて、平常時から常にデータを収集し、収集DB107にデータの登録を行う。また、収集DB107に登録されたデータは、分析ルール111に基づいて分析され、分析結果DB109に登録されている。そして、ユーザ160が、各ルールを作成し、変更することによって、データの量や質を改善させることができ、より迅速かつ効果的な対処が可能となる。また、ルールだけでなく、信用度評価に使用される情報発信者DB108の内容も、ユーザ160が運用の中で追加、更新、削除を加えることができる。
【0061】
本実施形態によれば、膨大な情報の中から信頼性が高いと思われる情報(主観的情報)を的確かつ効率的に抽出することができる。その一例として、SNSの主観的情報に、情報発信者の付帯情報、地震計、河川水位計等のセンサ装置、報道やインターネット等の情報メディア、各防災関係機関が保有する防災システム等の情報ソースによる客観的情報を掛け合わせることによって、膨大な情報の中から信頼性が高いと思われる情報を、より的確かつ効率的に抽出することができる。
【0062】
本実施形態によれば、一例として、災害等の事象への対応者が、想定外の事象が発生するような状況下においても、誤報やデマの影響を極小化しながら、発生及び発生が懸念される事象について、迅速かつ継続的に情報を収集し、効果的な状況把握を行うことができる。すなわち、品質担保装置101は、災害時等の緊急時において、信頼性が高いと思われる情報を的確かつ効率的に抽出することができる。
【0063】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、前記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0064】
図11に示す情報分析工程202にて実行される信頼度評価のフローは、
図8に示す分析ルール111の変更に応じて、適宜に変更されてもよい。
【0065】
情報表示部104による情報表示の態様は特に限定されない。例えば、文字、数値、グラフや記号などを用いた表示が行われてもよい。
【0066】
情報表示部104は、表示装置175とは異なる装置に出力してもよい。例えば、災害現場で対応する作業者(ユーザ)が保有する端末装置に、分析結果DB109のデータがネットワーク150を介して出力され、当該端末装置が当該データを表示することで、作業者に情報を提示してもよい。
【0067】
品質担保装置101は、クラウド上に配置されてもよい。これにより、クラウド上でデータ管理を行うことができる。この場合、入力装置174や表示装置175は省略されてもよく、通信を介した入力および出力が行われる。
【0068】
本実施形態では、主観的情報として、SNSに投稿された情報を処理する例が具体的に説明されたが、この例に限定されず、品質担保装置101は、例えば、インターネット上のウェブサイトから主観的情報を収集して処理を行ってもよい。
【0069】
品質担保装置101は、上記で説明したセンサやシステムとは異なる構成から客観的情報を収集してもよい。実施形態では、地震計、河川水位計が例示されていたが、他の異なる防災対策センサからの客観的情報が収集されてもよい。また、品質担保装置101は、地震や漏水等に限定されず他の災害情報を対象として処理を行ってもよく、ユーザ160は、各ルールを適切に編集することができる。
【符号の説明】
【0070】
101…品質担保装置、102…データ収集部、103…データ分析部、104…情報表示部、105…メンテナンス部、106…ルールDB、107…収集DB、108…情報発信者DB、109…分析結果DB、110…収集ルール、111…分析ルール、120…情報システム(SNS等)、130…情報ソース(センサ等)、140…情報ソース(防災システム等)、150…ネットワーク、160…ユーザ