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特開2023-121097リン酸賦活アンモニア吸着もみ殻燻炭肥料の製造方法。
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  • 特開-リン酸賦活アンモニア吸着もみ殻燻炭肥料の製造方法。 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121097
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】リン酸賦活アンモニア吸着もみ殻燻炭肥料の製造方法。
(51)【国際特許分類】
   C05F 11/00 20060101AFI20230823BHJP
   C05G 5/12 20200101ALI20230823BHJP
   C05G 1/00 20060101ALI20230823BHJP
   C09K 17/02 20060101ALI20230823BHJP
   C09K 17/32 20060101ALI20230823BHJP
   C09K 17/50 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
C05F11/00
C05G5/12
C05G1/00 H
C09K17/02 H
C09K17/32 H
C09K17/50 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022036671
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】591274602
【氏名又は名称】中友商事株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】598096991
【氏名又は名称】学校法人東京農業大学
(71)【出願人】
【識別番号】522092701
【氏名又は名称】株式会社グリーンケミカル
(72)【発明者】
【氏名】入江 満美
【テーマコード(参考)】
4H026
4H061
【Fターム(参考)】
4H026AA01
4H026AA10
4H026AB03
4H026AB04
4H061AA01
4H061AA02
4H061BB07
4H061BB29
4H061DD14
4H061DD18
4H061EE64
4H061FF12
4H061GG03
4H061GG13
4H061GG20
4H061GG56
4H061GG70
4H061HH03
4H061LL02
4H061LL05
4H061LL07
(57)【要約】
【課題】 被覆肥料にプラスチック類を使用せず、土壌に全て還元出来て、尚且つ被覆肥料や化学肥料と同等以上の肥料効果を保有し、日本国内で容易に入手出来る物を肥料の原料とする物を作らなければならない。
【解決手段】日本国内で容易に入手可能なもみ殻を燻炭化する事によって土壌改良する効果と、且つリン酸やアンモニアを吸着させ、被覆にプラスチック類を使用せず、土壌に還元出来る植物性油脂などを使用してペレット化する事によって、被覆肥料及び化学肥料と同等以上の効果を保有する肥料を提供する事が出来る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肥料において、15gのもみ殻に水300mlを加え、それにリン酸1.5gを溶かして100℃で2時間加熱後、水を蒸発させ、そのリン酸が吸着したもみ殻を400℃で2時間加熱して燻製化し、その後、20℃位まで冷却してアンモニア蒸気を1~24時間接触させて製造する事を特徴とするリン酸賦活アンモニア吸着もみ殻燻炭肥料。
【請求項2】
肥料において、15gのもみ殻に水300mlを加え、それにリン酸1.5gを溶かして100℃で2時間加熱後、水を蒸発させ、そのリン酸が吸着したもみ殻を400℃で2時間加熱して燻製化し、その後、20℃位まで冷却してアンモニア蒸気を1~24時間接触させて製造し、もみ殻の燻炭化によって土壌改良を促し、且つ保肥力を高めて施肥回数を低減させる事を特徴とするリン酸賦活アンモニア吸着もみ殻燻炭肥料。
【請求項3】
肥料において、15gのもみ殻に水300mlを加え、それにリン酸1.5gを溶かして、100℃で2時間加熱した後、水を蒸発させ、そのリン酸が吸着したもみ殻を400℃で2時間加熱し、その後、20℃位まで冷却し、それにアンモニア蒸気を1~24時間接触させて製造した物を粉砕し、植物性油脂類を被覆にして直径3~5mm以内にペレット化し、窒素の徐放性を高め、施肥しやすくする事を特徴とするリン酸賦活アンモニア吸着もみ殻燻炭肥料。
【請求項4】
日本国内で容易に入手可能な農業資材であるもみ殻を肥料の原料にする事で、被覆肥料に使用されているプラスチック類を一切発生せずに100%土壌へ還元し、且つ被覆肥料及び化学肥料と同等以上の肥料成分を保有する事を特徴とする請求項1~請求項3記載のリン酸賦活アンモニア吸着もみ殻燻炭肥料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作物の肥料に関する。
【背景技術】
【0002】
日本国内の水田で6割近く使用されている被覆肥料は、粒状の尿素を特殊加工した物で、特長としては、薄いプラスチックで肥料の表面を覆い、一定の水分が浸透すると殻が破れて肥料が緩効的に溶け出す為、施肥回数が減って農作業の手間や労力の軽減につながっている。
【0003】
ただし、被覆肥料の殻に使用されているプラスチックの一部は、水路から海洋に漂着している物もあり、海洋汚染の原因にもなっている。
【0004】
又、被覆肥料の他に代表的な化学肥料として、硫安がある。硫安は、速効性の窒素肥料で、土壌に吸着されやすく、基肥にも追肥にも適しており、吸湿性もなく取扱いに容易な肥料である。尚、窒素肥料の大部分はアンモニアが原料である。
【0005】
しかし、被覆肥料や化学肥料の原料においては、ほとんど海外からの輸入に頼っているのが現状である。その為、先述した被覆肥料や硫安においても、肥料メーカーが原料を入手する手間やコストの負担は大きい。
【0006】
被覆肥料に関する特許は、下記文献に開示されている。いずれの文献についても、土壌へ100%還元される物質名を明示せず、且つもみ殻やアンモニア、リン酸との相乗効果によって土壌改良や肥料効果を高めるとの記載もない。
【0007】
【特許文献1】特開昭52-145175
【特許文献2】特開昭56-084394
【特許文献3】特開昭59-190288
【特許文献4】特開平09-286685
【特許文献5】特開平10-291882
【特許文献6】特開平10-338582
【特許文献7】特開2000-053481
【特許文献8】特開2003-226592
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、被覆肥料にプラスチック類を使用せず、土壌に全て還元出来て、尚且つ被覆肥料や化学肥料と同等以上の肥料効果を保有し、日本国内で容易に入手出来る物を肥料の原料とする物を作らなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく請求項1記載の発明は、肥料において、15gのもみ殻に水300mlを加え、それにリン酸1.5gを溶かして100℃で2時間加熱後、水を蒸発させ、そのリン酸が吸着したもみ殻を400℃で2時間加熱して燻製化し、その後、20℃位まで冷却してアンモニア蒸気を1~24時間接触させて製造する事である。
【0010】
請求項2記載の発明は、肥料において、15gのもみ殻に水300mlを加え、それにリン酸1.5gを溶かして100℃で2時間加熱後、水を蒸発させ、そのリン酸が吸着したもみ殻を400℃で2時間加熱して燻製化し、その後、20℃位まで冷却してアンモニア蒸気を1~24時間接触させて製造し、もみ殻の燻炭化によって土壌改良を促し、且つ保肥力を高めて施肥回数を低減させる事である。
【0011】
請求項3記載の発明は、肥料において、15gのもみ殻に水300mlを加え、それにリン酸1.5gを溶かして、100℃で2時間加熱した後、水を蒸発させ、そのリン酸が吸着したもみ殻を400℃で2時間加熱し、その後、20℃位まで冷却し、それにアンモニア蒸気を1~24時間接触させて製造した物を粉砕し、植物性油脂類を被覆にして直径3~5mm以内にペレット化し、窒素の徐放性を高め、施肥しやすくする事である。
【0012】
請求項4記載の発明は、日本国内で容易に入手可能な農業資材であるもみ殻を肥料の原料にする事で、被覆肥料に使用されているプラスチック類を一切発生せずに100%土壌へ還元し、且つ被覆肥料及び化学肥料と同等以上の肥料成分を保有する事である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、日本国内で容易に入手可能なもみ殻を燻炭化する事によって土壌改良する効果と、且つリン酸やアンモニアを吸着させ、被覆にプラスチック類を使用せず、土壌に還元出来る植物性油脂などを使用してペレット化する事によって、被覆肥料及び化学肥料と同等以上の効果を保有する肥料を提供する事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例における製造工程図である。
図2】本発明のペレット化製造工程図である。
図3】本発明の肥料成分比較表である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施例により説明する。図1に示すように、15gのもみ殻1と350mlの水2及び1.5gのリン酸3を耐熱容器4に入れる。その時、もみ殻1は、水2とリン酸3内に完全に浸っている状態にする。
【0016】
耐熱容器4は、加熱器具5の上に置かれていて、もみ殻1などの投入完了後、加熱器具5のスイッチを入れ、もみ殻1などの加熱を開始する。加熱器具5は、100℃をキープする制御機器が内蔵されていて、温度表示も備えられている為、目視で現状の温度状態を確認する事が出来る。加熱温度が100℃に達した後、2時間加熱する。もみ殻1が水2に浸らなくなるまで、水2を加熱蒸発する。
【0017】
水2蒸発後、もみ殻1はリン酸吸着もみ殻6となり、それを素焼き磁性皿7へ移し替え、マッフル炉8内へ入れる。マッフル炉8を稼働し、リン酸吸着もみ殻6を400℃で2時間加熱する。マッフル炉8の機能については、既存技術であるので、ここでは説明は省略する。
【0018】
加熱後、リン酸吸着もみ殻6はリン酸吸着もみ殻燻炭9となり、マッフル炉8から取り出し、20℃位まで冷却する。冷却後、デシケーター10に容器11内に所要量の入ったアンモニア水12と共にリン酸吸着もみ殻燻炭9を入れてデシケーター10を密閉する。その状態で1時間、リン酸吸着もみ殻燻炭9にアンモニア蒸気12aを吸着させ、リン酸吸着もみ殻燻炭9をリン酸賦活アンモニア吸着もみ殻燻炭肥料13にする。
【0019】
次に、リン酸賦活アンモニア吸着もみ殻燻炭肥料13をペレット化する工程の実施例を図2で説明する。リン酸賦活アンモニア吸着もみ殻燻炭肥料13を粉砕機14に投入し、直径5mmまでに粉砕する。粉砕後、ペレット製造装置15へ投入する。この時、ペレット化する固形材料として植物性油脂16をペレット製造装置15へ投入し、リン酸賦活アンモニア吸着もみ殻燻炭肥料13をペレット17にする。ペレット製造装置15の詳細な説明は、既存技術であるので、ここでは省略する。
【0020】
図3は、本発明であるリン酸賦活アンモニア吸着もみ殻燻炭、通常のもみ殻燻炭、黒土の肥料成分の度合を電気伝導度として測定をした結果を示した表である。この事から、リン酸賦活アンモニア吸着もみ殻燻炭は、通常のもみ殻燻炭より肥料成分を8.54倍多く保持している事が分かる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明のリン酸賦活アンモニア吸着もみ殻燻炭肥料の製造方法は、他の農業資材を活用した肥料製造にも活用出来る。
【符号の説明】
【0022】
1 もみ殻
2 水
3 リン酸
4 耐熱容器
5 加熱器具
6 リン酸吸着もみ殻
7 素焼き磁性皿
8 マッフル炉
9 リン酸吸着もみ殻燻炭
10 デシケーター
11 容器
12 アンモニア水
12a アンモニア蒸気
13 リン酸賦活アンモニア吸着もみ殻燻炭肥料
14 粉砕機
15 ペレット製造装置
16 植物性油脂
17 ペレット
図1
図2
図3