(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121099
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】食器洗浄機庫内洗浄用錠剤型洗浄剤組成物およびそれを用いた洗浄方法
(51)【国際特許分類】
C11D 17/00 20060101AFI20230823BHJP
C11D 1/04 20060101ALI20230823BHJP
C11D 3/08 20060101ALI20230823BHJP
C11D 3/33 20060101ALI20230823BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20230823BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
C11D17/00
C11D1/04
C11D3/08
C11D3/33
C11D3/20
C11D3/37
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022036674
(22)【出願日】2022-02-18
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】319001710
【氏名又は名称】シーバイエス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山崎 孝
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AB03
4H003AC03
4H003AC23
4H003BA17
4H003DA19
4H003DB01
4H003DB04
4H003DC02
4H003EA15
4H003EA16
4H003EB08
4H003EB13
4H003EB15
4H003EB16
4H003EB25
4H003EB30
4H003EB36
4H003EE09
4H003FA04
4H003FA07
4H003FA32
4H003FA44
(57)【要約】
【課題】十分な強度を有し、更に、貯蔵安定性と成型時の滑沢性に優れており、庫内洗浄システムを備える食器洗浄機の庫内洗浄に使用した際に速やかに溶解する速溶性を有することから洗浄効果を効率的に発揮できる食器洗浄機庫内洗浄用の錠剤型洗浄剤組成物及び洗浄方法を提供すること。
【解決手段】(A)炭素数8~22の脂肪酸の金属塩、(B)非晶質シリカ、(C)ケイ酸塩、(D)キレート剤を必須成分として、各々特定割合で含有する錠剤型洗浄剤組成物およびそれを用いた洗浄方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)~(D)成分を必須成分として含有する食器洗浄機庫内洗浄用錠剤型洗浄剤組成物。
(A)炭素数8~22の脂肪酸の金属塩0.01~1質量%
(B)非晶質シリカ0.01~2質量%
(C)ケイ酸塩5~50質量%
(D)キレート剤5~60質量%
【請求項2】
上記(C)成分のケイ酸塩が、メタケイ酸アルカリ金属塩およびオルソケイ酸金属塩の少なくとも一方である請求項1に記載の食器洗浄機庫内洗浄用錠剤型洗浄剤組成物。
【請求項3】
上記(C)成分のケイ酸塩の内、ケイ酸塩の無水物が洗浄剤組成物全体に対し50質量%未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の食器洗浄機庫内洗浄用錠剤型洗浄剤組成物。
【請求項4】
上記(D)成分のキレート剤が、エチレンジアミン四酢酸塩、ニトリロ三酢酸塩、L-グルタミン酸二酢酸塩、メチルグリシン-N,N-二酢酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩の少なくとも一種であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の食器洗浄機庫内洗浄用錠剤型洗浄剤組成物。
【請求項5】
上記(A)~(D)成分とともに、(E)成分として、ポリエチレングリコールを洗浄剤組成物全体に対して1~20質量%含有されている請求項1~4のいずれか一項に記載の食器洗浄機庫内洗浄用錠剤型洗浄剤組成物。
【請求項6】
1錠当たりの重量が1~60gである請求項1~5のいずれか一項に記載の食器洗浄機庫内洗浄用錠剤型洗浄剤組成物。
【請求項7】
上記、請求項1~6の食器洗浄機庫内洗浄用錠剤型洗浄剤組成物を用いて、庫内洗浄システムを備えた食器洗浄機庫内を洗浄する方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器洗浄機庫内に付着した頑固な汚れを除去する錠剤型の洗浄剤組成物に関し、さらに詳しくは、貯蔵安定性に優れ、十分な強度と成型時の滑沢性に優れ、特に、庫内洗浄システムを備える食器洗浄機の庫内の洗浄に使用した際の速溶性に優れた食器洗浄機庫内洗浄用の錠剤型洗浄剤組成物、および、それを用いた洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、汚れた食器を洗浄するため食器洗浄機が広く利用されている。これらの食器洗浄機は、洗浄機庫内に食器類をセットし、洗浄機庫内に配置された洗浄タンク内に調整された洗浄剤水溶液を洗浄ポンプを使って食器に噴射することで汚れを除去し、その後高温のきれいなお湯で、食器に残った洗剤をすすぎ流す機構となっている。
食器洗浄機の洗浄タンク内の洗浄剤溶液は、すすぎ水が洗浄タンクに流れ込みすすぎ水で薄まった洗浄剤溶液に自動で洗剤を供給し、洗浄タンク内の洗浄剤濃度を一定に保つ機構となっているが、洗浄タンク内の洗浄液には、食器から除去された油やタンパクなどの食物汚れが溶け込み、洗浄を重ねるごとに、洗浄タンク内の洗浄液は徐々に汚れていくことになる。洗浄液が汚れることで、食器に付着した汚れを落とす力が低下する一方、汚れた洗浄液が循環する洗浄機庫内にも食器から除去された食物汚れが徐々に堆積していくこととなる。更に、洗浄剤溶液が劣化すると、油汚れと水の硬度成分であるカルシウムやマグネシウムが結合してできる金属石鹸や水の硬度成分が炭酸ガスと結合してできるスケールが食物汚れとともに形成されるスカムとなって洗浄機庫内に堆積し、不衛生な状態となる。
【0003】
このようなことから、食器洗浄機は、定期的な洗浄機庫内の洗浄が不可欠となり、通常、作業者が酸性の洗剤やキレート剤を含むアルカリ性の洗剤を洗浄機庫内に投入して、通常の洗浄工程によって、洗浄機庫内を洗浄する方法がとられている。
【0004】
しかしながら、このような洗浄方法の場合、酸性やアルカリ性の洗剤を作業員が素手で取り扱うため、作業安全上問題がある上に、作業が煩雑なため、定期的な洗浄を怠るケースが多くなり、結果として、洗浄機庫内にスカムが堆積するという課題があった。
【0005】
そこで、近年、食器洗浄機の庫内洗浄の煩雑さを解消するため、庫内洗浄システムを備えた食器洗浄機が提案されている。
【0006】
庫内洗浄システムを備えた食器洗浄機は、洗浄機に設定された庫内洗浄モードによって洗浄機を運転し洗浄機庫内を洗浄するシステムを備えたものであって、庫内洗浄モードを選定するだけで、所定の場所に配置された洗浄剤が、水、または、お湯に溶けながら洗浄液として洗浄機庫内の洗浄タンクに流れ込み、その洗浄液を洗浄ポンプを介して洗浄ノズルから噴射することことで洗浄機庫内全体の洗浄が行われ、すすぎまで完了するシステムを備えたものである。
【0007】
従って、使用する洗浄剤には、洗浄工程の早い段階で、速やかに水またはお湯に溶解する速溶性が求められる。
【0008】
一方、洗浄機庫内の洗浄剤としては、スケールと金属石けんを共に除去することのできる、アミノカルボン酸型のキレート剤を含む家庭用食洗機専用庫内洗浄剤組成物(特許文献-1)が提案されている。しかしながら、形状が粉体の為、使用するたびに、使用する量がまちまちとなりやすく、使用量が少ない場合、所望する洗剤濃度が得られないことから、汚れ落ちが悪くなり、また、使用量が多い場合、経済的に不利となる。更に、アルカリ性の粉体の為、粉が舞って目に入ったり、皮膚に付着したりするなど、使用時の安全性に課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の状況を鑑み、本発明の目的は、食器洗浄機の庫内洗浄に使用した際、速やかに水、または、お湯に溶解する速溶性を有しながら、良好な貯蔵安定性と十分な強度を併せ持ち、成型時の脱型の際に錠剤の杵先からの剥離が生じるキャッピング、および、打錠中に粉末が杵先へ付着し杵離れが悪く、錠剤表面に傷がつくスティッキング、並びに、錠剤と臼の摩擦が大きく打錠後の錠剤の離型性が悪くなるバインディングを生じることのない良好な滑沢性を持ち、更に、使用時の安全性にも優れる食器洗浄機庫内洗浄用錠剤型洗浄剤組成物及び洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、下記の発明を完成するに至った。
下記の(A)~(D)成分を必須成分として含有する食器洗浄機庫内洗浄用錠剤型洗浄剤組成物を第1の要旨とする。
(A)炭素数8~22の脂肪酸の金属塩0.01~1質量%
(B)非晶質シリカ0.01~2質量%
(C)ケイ酸塩5~50質量%
(D)キレート剤5~60質量%
【0012】
また、本発明は、それらのなかでも、特に、上記(C)成分のケイ酸塩が、メタケイ酸アルカリ金属塩およびオルソケイ酸金属塩の少なくとも一方である食器洗浄機庫内洗浄用錠剤型洗浄剤組成物を第2の要旨とする。
【0013】
さらに、本発明は、それらのなかでも、特に、上記(C)成分のケイ酸塩の内、ケイ酸塩の無水物が洗浄剤組成物全体に対し50質量%未満である食器洗浄機庫内洗浄用錠剤型洗浄剤組成物を第3の要旨とする。
【0014】
さらに、本発明は、それらのなかでも、特に、上記(D)成分のキレート剤が、エチレンジアミン四酢酸塩、ニトリロ三酢酸塩、L-グルタミン酸二酢酸塩、メチルグリシン-N,N-二酢酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩の少なくとも一種である食器洗浄機庫内洗浄用錠剤型洗浄剤組成物を第4の要旨とする。
【0015】
さらに、上記(A)~(D)成分とともに、(E)成分として、ポリエチレングリコールを洗浄剤組成物全体に対して1~20質量%含有されている食器洗浄機庫内洗浄用錠剤型洗浄剤組成物を第5の要旨とする。
【0016】
また、食器洗浄機庫内洗浄用錠剤型洗浄剤が1~60gであることを第6の要旨とする。
【0017】
そして、本発明は、それらの自動食器洗浄機庫内洗浄用錠剤型洗浄剤組成物を用いて、庫内洗浄システムを備えた食器洗浄機の庫内を洗浄する方法を第7の要旨とする。
【発明の効果】
【0018】
すなわち、本発明の食器洗浄機庫内洗浄用錠剤洗浄剤組成物を、食器洗浄機、特に、庫内洗浄システムを備えた食器洗浄機の庫内洗浄に適用した場合、速溶性があるため、洗浄剤の効果を効率的に発揮できる。
【0019】
また、本発明の食器洗浄機庫内洗浄用錠剤型洗浄剤組成物は、成型時の滑沢性が良く打錠強度に優れており、輸送時の損傷がなく貯蔵安定性に優れ、しかも洗浄性能、および低泡性にも優れているため、上記速溶性、打錠強度、および、打錠時の滑沢性に優れるばかりではなく、非常に優れた洗浄効果が得られる。また、錠剤型であるので、液体状、粉末状、粒子状である洗浄剤と比較してコンパクトに配置することができ、定量性に優れるとともに、取り扱いが容易で、安全性も高いという特徴を併せ持つ。
【発明を実施するための形態】
【0020】
つぎに、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
【0021】
まず、本発明の洗浄剤組成物(以下「本錠剤型洗浄剤組成物」と略す)は、(A)炭素数8~22の脂肪酸の金属塩、(B)非晶質シリカ、(C)ケイ酸塩、(D)キレート剤を必須成分として含有する食器洗浄機庫内洗浄用錠剤型洗浄剤組成物である。
【0022】
上記(A)成分である脂肪酸の金属塩としては、炭素数が8~22の脂肪酸の金属塩が挙げられ、なかでも、錠剤を打錠するときの滑択性と食器洗浄機の庫内洗浄に使用する際の速溶性の点から、炭素数が14~20の脂肪酸の金属塩が好適である。例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ミリスチン酸マグネシウム、ミリスチン酸カルシウム、ミリスチン酸アルミニウム、パルチミン酸マグネシウム、パルチミン酸カルシウム、パルチミン酸アルミニウムなどがあげられる。なかでもステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムが錠剤を打錠するときの滑択性の点から好適である。
【0023】
上記(A)成分の配合量は、本錠剤型洗浄剤組成物全体に対し、0.01~1質量%の範囲内に設定することが必要である。すなわち、0.01質量%未満の配合量では、打錠時の滑択性に乏しく、一方、1%を超えると、打錠した錠剤の強度が低下するとともに、食器洗浄機の庫内洗浄に使用する際の速溶性が得られなくなるとともに、他成分との相乗効果や良好な貯蔵安定性が得られないからである。なお、特に、0.05~0.5質量%の範囲に設定することが、効果の点で好適である。
【0024】
また、本錠剤型洗浄剤組成物に用いられる(B)成分の非晶質シリカとしては、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、微粒二酸化ケイ素などの沈降シリカやフュームドシリカ等の乾式シリカなどがあげられる。なかでも、錠剤を打錠するときの滑択性と食器洗浄機の庫内洗浄に使用する際の速溶性の点から、軽質無水ケイ酸および含水二酸化ケイ素が好適である。例えば、軽質無水シリカとしては、サイリシア350(富士シリア化学社製)やアドソリダー(登録商標)-101(フロイント産業社製)含水二酸化ケイ素としては、ネオシルGP(PQ Corporation社製)やアドソリダー(登録商標)-102(フロイント産業社製)などがあげられ、これらを単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0025】
上記(B)成分の配合量は、本錠剤型洗浄剤組成物全体に対し、0.01~2質量%の範囲内に設定することが必要である。すなわち、0.01質量%未満の配合量では、打錠時における滑沢性が乏しく、一方、2%を超えると、食器洗浄機の庫内洗浄に使用する際の速溶性が得られなくなるとともに、打錠した錠剤強度の低下をまねく。なお、特に、0.05~1質量%の範囲に設定することが、効果の点で好適である。
【0026】
また、本錠剤型洗浄剤組成物に用いられる(C)成分のケイ酸塩としては、下記の化学式(1)で示されるものがあげられ、なかでも、洗浄性能および汚れの分散性能の点から、下記のx:yが1:1~3:1のものが好適である。例えば、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、オルソケイ酸ナトリウム、オルソケイ酸カリウム、二ケイ酸ナトリウム、二ケイ酸カリウム、層状ケイ酸ナトリウム、層状ケイ酸カリウム等があげられ、これらは無水物或いは水和物として用いられる。これらのなかでも、洗浄性能、他成分とのバランスから、メタケイ酸ナトリウム、メタ珪酸カリウム、オルソ珪酸ナトリウム、オルソ珪酸カリウムがより好ましい。
【0027】
【化1】
〔だだし、x、y、は付加モル数。zは0~9。またMはカリウムまたはナトリウム〕
【0028】
上記(C)成分の配合量は、本錠剤型洗浄剤組成物全体に対し、5~50質量%の範囲内に設定することが必要である。すなわち、5質量%未満の配合量では、所望の洗浄性能に乏しく、一方、50質量%を超えると、全体としてのバランスが悪くなるとともに、食器洗浄機の庫内洗浄に使用する際の速溶性が得られなくなる。なお、特に、10~40質量%の範囲に設定することが、効果の点で好適である。
【0029】
さらに、上記(C)成分のケイ酸塩の内、ケイ酸塩の無水物が洗浄剤組成物全体に対し50質量%未満であると、貯蔵安定性の点から好適である。
【0030】
また、本錠剤型洗浄剤組成物に用いられる(D)成分のキレート剤としては、トリポリリン酸、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、L-グルタミン酸二酢酸、メチルグリシン二酢酸、イミノ二酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン酢酸、エチレンジアミンテトラプロピオン酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、エチレングリコールジエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、シクロヘキサン-1,2-ジアミン四酢酸、ジエンコル酸、クエン酸、グルコン酸、および/または、これらのナトリウム塩,カリウム塩等の水溶性アルカリ金属塩、エタノールアミン塩、アンモニウム塩等があげられる。これらは、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0031】
そして、上記キレート剤のなかでも、エチレンジアミン四酢酸塩、ニトリロ三酢酸塩、L-グルタミン酸二酢酸、メチルグリシン二酢酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩が好ましく、特に、コスト的にはナトリウム塩が有利である。
【0032】
上記(D)成分の配合量は、本錠剤型洗浄剤組成物全体に対し、5~60質量%の範囲内に設定することが必要である。すなわち、5質量%未満の配合量では、所望の洗浄性能に乏しく、一方、60質量%を超えると、全体としてのバランスが悪くなるとともに、他成分との相乗効果、コスト面から不利なものとなるからである。なお、特に、10~40質量%の範囲に設定することが、効果の点で好適である。
【0033】
また、本錠剤型洗浄剤組成物には、上記(A)~(D)の必須成分とともに、任意成分として、以下に述べる(E)ポリエチレングリコール、(F)非イオン界面活性剤、(G)特定の洗浄ビルダー、(H)高分子電解質重合体,(I)塩素系漂白剤、(J)シリコーン系消泡剤、そして(K)タルクを配合することができる。
【0034】
上記(E)成分のポリエチレングリコールとしては、市販されているものであれば特に限定することなく使用することができるが、なかでも、本錠剤型洗浄剤の結着性の点から、平均分子量が1000~20000のものが好適に使用できる。
【0035】
上記(E)成分の配合量は、本錠剤型洗浄剤組成物全体に対し、1~20質量%の範囲内に設定することが好ましい。すなわち、少なすぎると、所望の結着性に乏しく、一方、多すぎると、錠剤型洗浄剤組成物の所望の強度を得ることができないからである。なお、特に、3~10質量%の範囲に設定することが、効果の点で好適である。
【0036】
上記(F)成分である非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、プルロニック型ブロックポリマー、リバースプルロニック型ブロックポリマー、多価アルコールのエチレンオキサイドプロピレンオキサイド付加物、グリセリンのエチレンオキサイドプロピレンオキサイド付加物等があげられる。これらは、洗浄性、並びに抑泡性の向上を目的として配合されるもので、各々単独で用いても2種以上を併用して用いてもよい。
【0037】
これらの非イオン界面活性剤のうち、洗浄性能、抑泡性の点から、下記のように組み合わせることが、特に好適である。
【0038】
すなわち、上記(F)成分の非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル(イ)と、トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド付加物およびグリセリンのエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド付加物の少なくとも一方(ロ)とを組み合わせたものが用いられる。
【0039】
上記(イ)のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテルとしては、炭素数が6~24の直鎖または分岐のアルコールにエチレンオキサイド(以下「エチレンオキサイド」を「EO」と略す)を1~40モルとプロピレンオキサイド(以下「プロピレンオキサイド」を「PO」と略す)1~50モルとを付加したポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテルがあげられ、なかでも、炭素数が6~18の直鎖または分岐のアルコールにEOを1~20モルとPO1~20モルとを付加しEO/POの重量比が0.5~5の範囲にあるもの、炭素数が6~18の直鎖または分岐のアルコールにEO1~15モルとPO1~50モルとを付加しEO/POの重量比が0.05~1の範囲にあるもの等があげられる。
【0040】
また、上記(ロ)の一つであるトリメチロールプロパンのエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド付加物(ロ-1)としては、トリメチロールプロパンにEOを3~45モルとPO15~120モルとを付加したものがあげられる。そして、上記(ロ)のもう一つであるグリセリンのエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド付加物(ロ-2)としては、グリセリンにEOを3~45モルとPO15~120モルとを付加したものがあげられる。
【0041】
なお、上記(イ)と(ロ)の配合比率は、適宜に設定することができるが、特に、(イ):(ロ)=9:1~5:5の範囲となるよう設定することが好ましい。
【0042】
そして、上記(イ)と(ロ)を組み合わせてなる(F)成分である非イオン界面活性剤(イ+ロ)の配合量は、洗浄性能や低泡性能の点から、本錠剤型洗浄剤組成物全体に対し、0.1~5質量%の範囲内に設定することが好ましい。より好ましくは、0.5~3質量%である。
【0043】
これらの非イオン界面活性剤(イ)、(ロ)のうち、洗浄性能、抑泡性の点から、具体的には、下記のように組み合わせることが、特に好適である。
【0044】
(1)炭素数が6~18の直鎖または分岐のアルコールにEOを1~20モルとPO1~20モルとを付加しEO/POの重量比が0.5~5の範囲にあるポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル(イ)と、トリメチロールプロパンにEOを3~45モルとPO15~120モルとを付加した多価アルコールのエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド付加物(ロ-1)とからなる組み合わせ。
【0045】
(2)炭素数が6~18の直鎖または分岐のアルコールにEOを1~20モルとPO1~20モルとを付加しEO/POの重量比が0.5~5の範囲にあるポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル(イ)と、グリセリンにEOを3~45モルとPO15~120モルとを付加したグリセリンのエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド付加物(ロ-2)とからなる組み合わせ。
【0046】
(3)炭素数が6~18の直鎖または分岐のアルコールにEOを1~20モルとPO1~20モルとを付加しEO/POの重量比が0.5~5の範囲にあるポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル(イ)と、トリメチロールプロパンにEOを3~45モルとPO15~120モルとを付加した多価アルコールのエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド付加物(ロ-1)およびグリセリンにEOを3~45モルとPO15~120モルとを付加したグリセリンのエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド付加物(ロ-2)とからなる3種の組み合わせ。
【0047】
上記(G)成分である洗浄ビルダーとしては、炭酸塩,硫酸塩および重炭酸の少なくとも一つがあげられ、より詳しくは、炭酸ナトリウム,炭酸カリウム等の炭酸塩、硫酸ナトリウム,硫酸カリウム等の硫酸塩、重炭酸ナトリウム,重炭酸カリウム等の重炭酸塩があげられる。なかでも、他成分とのバランスによる貯蔵安定性やコスト面から、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムが好ましく用いられる。これらは、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0048】
上記(G)成分の配合量は、本錠剤型洗浄剤組成物全体に対し、5~70質量%の範囲内に設定することが好ましい。すなわち、5質量%未満の配合量では、洗浄性能、貯蔵安定性が不充分となるおそれがあり、逆に、70%を超えると、全体としてのバランスが悪くなるとともに、他成分との相乗効果や良好な洗浄性能、貯蔵安定性が得られにくい傾向がみられるからである。なお、特に、30~60質量%の範囲に設定することが、効果の点で好適である。
【0049】
また、上記(H)成分の高分子電解質重合体としては、マレイン酸、アクリル酸の少なくとも一方を単量体とする重合体または共重合体並びにその水溶性アルカリ塩が好ましく、マレイン酸重合体、アクリル酸重合体、マレイン酸とアクリル酸との共重合体およびこれらの水溶性アルカリ金属塩があげられる。水溶性アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、エタノールアミン塩があげられるが、なかでも、ナトリウム塩、カリウム塩が好ましい。特に、好ましくは、ポリマレイン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸とマレイン酸との共重合体のナトリウム塩が用いられる。
【0050】
そして、マレイン酸重合体、アクリル酸重合体およびその水溶性アルカリ金属塩の平均分子量は、600~15,000のものが好適に用いられ、特に好ましくは1,000~15,000のものが用いられる。また、マレイン酸とアクリル酸の共重合体およびその水溶性アルカリ金属塩の平均分子量としては、1,000~100,000のものが好適に用いられ、特に好ましくは50,000~80,000のものが用いられる。上記重合体および共重合体の水溶性アルカリ金属塩は、全てが中和された塩であっても、部分的に中和された塩であってもよい。
【0051】
上記(H)成分の配合量は、本錠剤型洗浄剤組成物全体に対し、0.1~6質量%の範囲内に設定することが好ましい。すなわち、少なすぎると、洗浄性能、スケールの抑制効果が不充分となるおそれがあり、逆に多すぎると、所望する以上の効果は得られず、コスト的に不利になるからである。なお、特に、0.5~3質量%の範囲に設定することが、効果の点で好適である。
【0052】
また、上記(I)成分の塩素系漂白剤としては、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、トリクロロイソシアヌル酸ナトリウム等のイソシアヌル酸塩があげられる。なかでも、有効塩素含有量が55~60質量%のものが広く市販されており、コスト面からこれらを用いることが好ましい。
【0053】
このような(I)成分である塩素系漂白剤の配合量は、本錠剤型洗浄剤組成物全体に対し、0.5~4質量%の範囲内に設定することが好ましい。すなわち、少なすぎると、所望の漂白効果および除菌効果の性能が不充分となるおそれがあり、逆に、多すぎると、全体としてのバランスが悪くなるとともに、他成分との相乗効果や所望の漂白除菌効果が飽和となるばかりでなく、被洗浄物である食器洗浄機の部材の材質によっては、これらを傷めるおそれがあるからである。なお、特に、コスト面から1~3質量%の範囲に設定することが好適である。
【0054】
また、上記(J)成分のシリコーン系消泡剤としては、オイル型、オイルコンパウンド型、自己乳化型、エマルジョン型のものがあげられる。なかでも、自己乳化型のものが消泡性、耐アルカリ性の点で好適である。
【0055】
このような(J)成分であるシリコーン系消泡剤の配合量は、本錠剤型洗浄剤組成物全体に対し、0.01~0.5質量%の範囲内に設定することが好ましい。すなわち、少なすぎると、所望の消泡効果の性能が不充分となるおそれがあり、逆に、多すぎると、全体としてのバランスが悪くなるとともに、他成分との相乗効果や所望の消泡効果が飽和となるばかりでなく、錠剤成型時の滑沢性が悪化する恐れがある。なお、特に、コスト面から0.05~0.3質量%の範囲に設定することが好適である。
【0056】
また、上記(K)成分のタルクとしては、市販されているものであれば、特に限定することなく使用することができるが、なかでも、打錠時の打錠障害を防止する働きの点から、平均粒径が1~20μmのものが好適に使用できる。
【0057】
このような(K)成分であるタルクの配合量は、本錠剤型洗浄剤組成物全体に対し、0.1~5質量%の範囲内に設定することが好ましい。すなわち、少なすぎると滑沢性向上の効果が得られず、多すぎると錠剤型洗浄剤組成物の強度が低下する恐れがある上記の点から1~3質量%の範囲に設定することが特に好ましい。
【0058】
さらに、本錠剤型洗浄剤組成物には、他の任意成分として、溶剤、染料、香料、金属腐食抑制剤、殺菌剤、消臭剤、帯電防止剤、消泡剤等を用いることができる。
【0059】
本錠剤型洗浄剤組成物は、(A)炭素数8~22の脂肪酸の金属塩、(B)非晶質シリカ、(C)ケイ酸塩、(D)キレート剤を必須成分として含有し、必要に応じて、(E)ポリエチレングリコール、(F)非イオン界面活性剤、(G)特定の洗浄ビルダー、(H)高分子電解質重合体、(I)塩素系漂白剤、(J)シリコーン系消泡剤、(K)タルク等の任意成分をさらに含有してなる組成物である。そして、上記本錠剤型洗浄剤組成物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、上記成分を単に、ナウタミキサ(登録商標)、リボンミキサ(登録商標)等の粉体混合機で混合したのち、打錠機で打錠する方法や、上記成分の一部または全部を、造粒機によって粒状に造粒したのち、打錠機にて打錠する方法によって製造することができる。上記の造粒機としては、押し出し造粒機、流動造粒機、転動造粒機、攪拌転動造粒機等が好適に用いられる。流動造粒機の例としては、スパイラフロー(登録商標)〔フロイント産業(株)製〕、マルチプロセッサー〔(株)パウレック製〕等が挙げられる。転動造粒機の例としては、マルメライザー(登録商標)〔不二パウダル(株)製〕、CFグラニュレーター〔フロイント産業(株)製〕等が挙げられる。攪拌転動造粒機の例としては、ヘンシェルミキサー〔三井三池化工機(株)製〕、ハイスピードミキサー〔深江工業(株)製〕、バーチカルグラニュレーター〔(株)パウレック製〕等が挙げられる。
【0060】
また、上記の打錠機としては、基本的に白と杵との組み合わせ及び圧縮装置から構成されるものが使用される。圧縮装置を介して、臼の中で上杵と下杵との間に圧力を加えると、臼と杵とで形成される形状の錠剤が形成される。このような打錠機としては、一般に知られた一錠ずつ打錠する単発式の打錠機を用いることもできるし、複数の金型を回転する円盤に沿って備えた生産効率の高いロータリー式打錠機を用いることもできる。単発式打錠機としては、例えば、(株)菊水製作所製堅型粉末成型機、岡田精工(株)製単発打錠機、(株)富士薬品機械製スタンディングプレス等が挙げられ、また、ロータリー式打錠機としては、例えば、(株)菊水製作所製クリーンプレスシリーズ、タフプレスシリーズ、FETTE社製Pシリーズ、PTシリーズ、KORSCH社製PHシリーズ、TRPシリーズ等が挙げられる。
【0061】
更に、本錠剤型洗浄剤組成物の重量が小さいと、大量の錠剤を使用しなければならず、作業が煩雑となり、作業者に不安を与えることとなる。逆に、重量が大きすぎると、錠剤の重量当たりの表面積が小さくなり、使用時の速溶性の悪化をまねくこととなる。従って、上記の理由から、本錠剤型洗浄剤組成物の重量は1~60gであることが好ましい。
【0062】
また、本錠剤型洗浄剤組成物は、食器洗浄機の中でも、庫内洗浄システムを備えた食器洗浄機の庫内洗浄に使用することが最適である。本錠剤型洗浄剤組成物を1個若しくは2個以上、食器洗浄機の洗剤投入口に投入し、食器洗浄機の庫内洗浄モードにより運転させることで、洗浄にムラがなく、且つ作業者が安全に食器洗浄機の庫内を洗浄することが可能となる。
【0063】
つぎに、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例によって限定されるものではない。
【実施例1~17、比較例1~10】
【0064】
後記の表1~5に記載の配合組成原料(各表の数値の単位は質量%である)を圧縮成形し調整することにより実施例1~17および比較例1~10の錠剤型洗浄剤組成物を得た。そして、これらの錠剤型洗浄剤組成物について、貯蔵安定性、溶解性、圧縮強度、および、錠剤成型時の滑沢性の4項目について評価した。その結果を後記の表1に併せて示す。
なお、上記錠剤型洗浄剤組成物の製造方法、及び各項目の試験方法、評価方法は、以下に示すとおりである。
【0065】
〔製造方法〕
圧縮成形する前の混合物は、V型混合機(ダルトン社製:DV-1型)を用いて仕込量が3Kgになるように各々の原料を混合し調製した。各混合は、いずれも回転数30r.p.m、混合時間10分で行った。
圧縮成形は成形前混合物30gを直径50mmの打錠金型に入れ、単発打錠機(N60E:岡田精工製)を使用して、104Pa(12kgf/cm2)の圧力をかけることによって行った。
【0066】
〔貯蔵安定性〕
・試験方法
調製された錠剤型洗浄剤組成物1個(30g)を、500ml容積のポリエチレン瓶に入れ、恒温恒湿器(恒温恒湿器IG-47M、ヤマト科学社製)により温度40℃、湿度70%の雰囲気下に置き、その状態で1カ月保管した。そして、その外観を目視により観察し、下記の評価基準で評価した。
・評価基準
○:1カ月後、変形・崩壊は認められなかった。
×:1カ月後、変形・崩壊が認められた。
【0067】
〔溶解性〕
錠剤型洗浄剤組成物の溶解性を評価するため、本錠剤型洗浄剤組成物1個を業務用の食器洗浄機(DW-DR61、三洋電機社製)のストレーナーパン上に置き、下記の運転条件で運転した。洗浄剤組成物は、試験中洗浄液中に浸っている状態である。そして、ストレーナーパン上の洗浄剤組成物が完全に溶解されるまでの洗浄機の運転回数を測定し、下記の評価基準により評価した。
*運転条件
洗浄温度 : 60℃
洗浄時間 : 45秒
すすぎ工程: 80℃、8秒
・評価基準
◎:運転回数3回未満にて完全溶解した。
○:運転回数4回以上7回未満に完全溶解した。
×:運転回数7回以上で完全溶解した。
【0068】
〔圧縮強度〕
JIS Z 8841-1993「造粒物強度測定方法 3.1圧壊強度試験法」により、錠剤型洗浄剤組成物の直径方向の圧壊強度を測定し、下記の評価基準により評価した。
・評価基準
◎:破壊強度が200Nを超える。
○:破壊強度が100以上200N未満。
×:破壊強度が100N未満。
【0069】
〔滑沢性〕
錠剤成型時の滑沢性を下記の評価基準により評価した。
・評価基準
◎:キャッピング、スティッキング、バインディングが観られない。
○:スティッキング、バインディングは観られるがキャッピングは観られない。
×:キャッピング、スティッキング、バインディングが観られる。
【0070】
なお、後記の表1において、用いた各種成分とその有効純分(質量%)の詳細は、下記の通りであり、表中の数値は、各成分の有姿のまま示したものである。
【0071】
[A成分]
・飽和脂肪酸の金属塩1
ステアリン酸マグネシウム(C=18)
【0072】
[B成分]
・非晶質シリカ1:軽質無水ケイ酸(平均粒径:3.8μm)
サイリシア350(富士シリア化学社製)
・非晶質シリカ2:含水二酸化ケイ素(平均粒径:18μm)
Neosyl GP(PQ Corporation社製、有効成分80%)
【0073】
[C成分]
・ケイ酸塩1:メタケイ酸ナトリウム5水塩
商品名:Metso520(PQ Corporation社製)
・ケイ酸塩2:無水メタケイ酸ナトリウム
商品名:Sodium metasilicate
anhydrous gran
(Qingdao Haiwan Chemical社製)
【0074】
[D成分]
・キレート剤1:ニトリロ三酢酸酸ナトリウム
商品名:FLEXATRAC(登録商標)NTA-100(アセンド社製)
・キレート剤2:エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム
商品名:トリロン(登録商標)B(BASF社製)
【0075】
[E成分]
・ポリエチレングリコール
商品名:PEG6000P(三洋化成工業社製)
【0076】
[F成分]
・非イオン界面活性剤1:(F成分-イ)
ポリオキシエチレン(P=15)ポリオキシプロピレン(q=9)直鎖アルキル(C=14、15)エーテル
EO/PO重量比=1.26
(試作品)
・非イオン界面活性剤2:(F成分-ロ)
下記化学式(2)で表されるグリセリンEO,PO付加物
(試作品)
【0077】
【化2】
〔ただし、k+n+p=18、m+x+q=63〕
【0078】
[G成分]
・洗浄ビルダー1:炭酸ナトリウム
商品名:ソーダ灰デンス(トクヤマ社製)
・洗浄ビルダー2:炭酸ナトリウム
商品名:ソーダ灰ライト(トクヤマ社製)
・洗浄ビルダー3:無水硫酸ナトリウム
商品名:中性無水ボウ硝(四国化成社製)
【0079】
[H成分]
・高分子電解質重合体1:ポリアクリル酸ナトリウム(分子量:4,500)
商品名:アキュソール(登録商標)445NG(ダウ・ケミカル社製)
【0080】
[I成分]
・塩素系漂白剤1:ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム(有効塩素濃度60%)
商品名:ネオクロール(登録商標)60G(四国化成工業社製)
【0081】
[J成分]
・シリコーン系消泡剤1:自己乳化型
商品名KS―538(信越化学工業製)
【0082】
[K成分]
・タルク1:平均粒径:9.5μm、かさ密度:0.33g/ml
商品名:クラウンタルクPP(松村産業社製)
【0083】
[その他]
・飽和脂肪酸の金属塩2
カプロン酸マグネシウム(C=6)
・脂肪酸の金属塩3
リグノセリン酸マグネシウム(C=24)
・不飽和脂肪酸の金属塩4
オレイン酸マグネシウム(C=18)
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
〔滑沢性〕
上記実施例および比較例の内、実施例14~17、および、比較例9,10ついて、モデル汚れの可溶化性能について評価した。その結果を後記の表6にて示す。
【0090】
モデル汚れとして炭酸カルシウムおよびステアリン酸カルシウムを使用し、モデル汚れに対する可溶化性能を下記の方法により評価した。
【0091】
本錠剤型洗浄剤組成物のモデル汚れに対する可溶化性能を評価するため、炭酸酸カルシウム20gとステアリン酸マグネシウム20g、そして、本錠剤型洗浄剤組成物3個(30g×3=90g)を業務用の自動食器洗浄機(DW-DR61、三洋電機社製)の庫内に投入し、下記の運転条件で連続運転した。そして、運転後に洗浄液へのモデル汚れの溶解状態を目視にて観察し、下記の評価基準により、評価した。
・運転条件
洗浄温度 : 60℃
運転時間 : 15分
洗浄液水量: 50L
・評価基準
○:洗浄液が均一な半透明で浮遊物が観られない。
×:洗浄液が白濁しており、浮遊物も観られる。
【0092】
【0093】
上記表1~5の評価結果から、実施例1~18は、貯蔵安定性、溶解性、圧縮強度、滑沢性のいずれの項目においても、良好な結果が得られていることがわかる。これに対し、比較例1~10は、少なくともいつくかの項目において、実用上の問題があることがわかる。また、食器洗浄機を用いたモデル汚れの可溶化性能試験では、実施例14~17は、良好なモデル汚れの溶解性を有していることから、食器洗浄機庫内に堆積したスケールや金属石鹸からなるスカム汚れに対する優れた洗浄力を有していることがわかる。
よって、本発明の自動食器洗浄機庫内洗浄用錠剤型洗浄剤組成物は、成型時の滑沢性が良く圧縮強度に優れており、輸送時の損傷がなく、貯蔵安定性も良好で、しかも、庫内洗浄システムを備えた自動食器洗浄機庫内の洗浄剤に求められる速溶性と洗浄性能にも優れているという特徴を併せ持つといえる。