(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121102
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】光電半導体装置及び光電半導体のパッケージング方法
(51)【国際特許分類】
H01S 5/02212 20210101AFI20230823BHJP
H01S 5/02253 20210101ALI20230823BHJP
【FI】
H01S5/02212
H01S5/02253
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066966
(22)【出願日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】202210152381.X
(32)【優先日】2022-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520166796
【氏名又は名称】鴻富泰精密電子(煙台)有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】500080546
【氏名又は名称】鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HON HAI PRECISION INDUSTRY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】66,Chung Shan Road,Tu-Cheng New Taipei,236(TW)
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江 ▲協▼志
(72)【発明者】
【氏名】邱 崇哲
(72)【発明者】
【氏名】阮 智▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】曾 ▲シャク▼▲鋒▼
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173MA10
5F173MB02
5F173MC21
5F173MD05
5F173MD13
5F173MD35
5F173MD58
5F173MD64
5F173MD84
5F173ME03
5F173ME15
5F173ME22
5F173ME32
5F173ME44
5F173ME47
5F173ME63
5F173ME72
5F173ME83
5F173MF39
(57)【要約】 (修正有)
【課題】光電半導体装置と回路基板との溶接を容易にするために、光電半導体装置及び光電半導体のパッケージング方法を提供する。
【解決手段】本発明は、基台10と、光電半導体と、導電体40と、上部カバー20とを備える光電半導体装置100を開示する。上部カバーは、基台に設けられ、基台と共同で収容チャンバーを形成し、且つ収容チャンバーに連通する開口を有する。前記導電体は、基台における上部カバーから離れた側に垂直に固定される。前記光電半導体は、導電体と電気的に接続するように基台に固定され、前記収容チャンバー内に収容され、且つ前記光電半導体からの励起光が上部カバーを通過するように、前記開口に面している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、光電半導体と、導電体とを備える光電半導体装置であって、
前記基台に被覆され、前記基台と共同で収容チャンバーを形成し、且つ前記収容チャンバーに連通する第1開口を有する上部カバーと、
前記導電体は、前記基台における前記上部カバーとは反対側の面に垂直に固定され、
前記光電半導体は、前記導電体に電気的に接続されるように前記基台に固定され、且つ前記収容チャンバー内に収容され、
前記光電半導体は、前記光電半導体からの励起光が前記上部カバーを通過するように、前記第1開口に面していることを特徴とする光電半導体装置。
【請求項2】
前記基台は、第2開口を有する金属枠体と、前記第2開口内に固定された金属プレートとを備え、
前記金属枠体の周辺には、複数の固定孔が設けられており、前記導電体は、前記固定孔から露出するように前記固定孔に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の光電半導体装置。
【請求項3】
複数の前記固定孔は、前記基台の両縁に対をなすように設けられ、複数の前記導電体は、前記固定孔に対をなすように固定され、複数の前記光電半導体は、前記基台において結晶アレイを構成しており、各列の前記光電半導体は、一対の前記導電体に対応し、同列かつ隣接する2つの前記光電半導体は、電気的に接続されることを特徴とする請求項2に記載の光電半導体装置。
【請求項4】
前記固定孔の中には、金属スリーブ及び封止スリーブがさらに固定され、前記金属スリーブは、前記封止スリーブを取り囲むように設けられ、前記導電体は、前記封止スリーブに穿設されることを特徴とする請求項2に記載の光電半導体装置。
【請求項5】
前記金属スリーブは、第1スリーブ及び第2スリーブを含み、前記第1スリーブと前記第2スリーブとの間には、段差部が形成されており、前記段差部は、前記金属枠体における前記上部カバーの反対側に突き当てられることを特徴とする請求項4に記載の光電半導体装置。
【請求項6】
レンズ及び封止枠をさらに備え、前記レンズ及び前記封止枠は、前記収容チャンバー内に収容され、
前記レンズは、前記光電半導体と前記封止枠との間に位置し、
前記封止枠は、前記上部カバーにおける前記第1開口の縁と前記レンズとの間に装着されることを特徴とする請求項1に記載の光電半導体装置。
【請求項7】
前記上部カバーにおける前記基台とは反対側の面を覆う外装層をさらに備え、
前記外装層には、前記上部カバーから離れる方向へ突出する円弧状の集光部が設けられており、
前記集光部の数は、前記基台における前記光電半導体の数と同じであり、
前記集光部が対応する前記光電半導体が発生する励起光の光路上に位置することを特徴とする請求項1に記載の光電半導体装置。
【請求項8】
導電体を基台に垂直に固定する工程と、
光電半導体を前記基台における前記導電体から離れる側に固定し、且つ前記光電半導体を対応する前記導電体と導線により接続する工程と、
レンズ及び第1開口を有する上部カバーを封止枠の両側に固定し、前記光電半導体を前記基台と前記上部カバーとの間に収容し且つ前記第1開口に面するように、前記上部カバーを前記基台における前記導電体から離れた側にレーザ溶接により固定する工程と、
を備えることを特徴とする光電半導体のパッケージング方法。
【請求項9】
集光部を有する外装層を用意し、且つ前記集光部が前記光電半導体に対向するように、前記外装層で前記上部カバーの前記第1開口を覆うとともに前記外装層を前記上部カバーに固定する工程をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の光電半導体のパッケージング方法。
【請求項10】
前記導電体を基台に垂直に固定する工程は、
前記基台において第2開口を開設する工程と、
封止スリーブを長尺ロッド状の前記導電体の周面の一部を被覆してから、金属スリーブを前記封止スリーブに取り囲むように装着する工程と、
前記金属スリーブを前記基台の固定孔内に挿入する工程と、
前記導電体、前記封止スリーブ及び前記金属スリーブが挿入された前記基台を高温環境下に放置して所定時間焼成し、前記封止スリーブを溶融させ、且つ前記封止スリーブが溶融した後、前記封止スリーブが冷却されるまで待って、前記基台に前記導電体を密封するように固定する工程と、
を含むことを特徴とする請求項8に記載の光電半導体のパッケージング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電半導体技術分野に関し、特に、光電半導体装置及び光電半導体のパッケージング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の光電半導体産業においては、銅、アルミニウム等の金属元素を含む合金材料をプレス方式でカットし、カットした合金材料を再びホットフィラメント溶融技術によって半導体基台上に固定して、さらに光電半導体のパッケージを完成させることがしばしば行われている。従来の光電半導体装置におけるピンは、パッケージ構造の制約から、基台と平行になるように折り曲げて設けられているが、このように、光電半導体装置のピンを回路基板における電子素子に半田付けする際に、ピンが基台方向に一定の長さを有するため、半田付け作業に不便を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願の主な目的は、光電半導体装置と回路基板との溶接を容易にするために、光電半導体装置及び光電半導体のパッケージング方法を提供することである。
【0004】
上記の目的を達成するために、本発明の1つの局面に係る光電半導体装置は、基台と、光電半導体と、導電体と、前記基台に被覆され、前記基台と共同で収容チャンバーを形成し、且つ前記収容チャンバーに連通する第1開口を有する上部カバーとを備え、
前記導電体は、前記基台における前記上部カバーとは反対側の面に垂直に固定され、前記光電半導体は、前記導電体に電気的に接続されるように前記基台に固定され、且つ前記収容チャンバー内に収容され、
前記光電半導体は、前記光電半導体からの励起光が前記上部カバーを通過するように、前記第1開口に面している。
【0005】
さらに、前記基台は、第2開口を有する金属枠体と、前記第2開口内に固定された金属プレートとを備え、
前記金属枠体の周辺には、複数の固定孔が設けられており、前記導電体は、前記固定孔から露出するように前記固定孔に固定されている。
【0006】
さらに、複数の前記固定孔は、前記基台の両縁に対をなすように設けられ、複数の前記導電体は、前記固定孔に対をなすように固定され、複数の前記光電半導体は、前記基台において結晶アレイを構成しており、各列の前記光電半導体は、一対の前記導電体に対応し、同列かつ隣接する2つの前記光電半導体は、電気的に接続される。
【0007】
さらに、前記固定孔の中には、金属スリーブ及び封止スリーブがさらに固定され、前記金属スリーブは、前記封止スリーブを取り囲むように設けられ、前記導電体は、前記封止スリーブに穿設される。
【0008】
さらに、前記金属スリーブは、第1スリーブ及び第2スリーブを含み、前記第1スリーブと前記第2スリーブとの間には、段差部が形成されており、前記段差部は、前記金属枠体における前記上部カバーの反対側に突き当てられる。
【0009】
さらに、レンズ及び封止枠をさらに備え、前記レンズ及び前記封止枠は、前記収容チャンバー内に収容され、
前記レンズは、前記光電半導体と前記封止枠との間に位置し、
前記封止枠は、前記上部カバーにおける前記第1開口の縁と前記レンズとの間に装着される。
【0010】
さらに、前記上部カバーにおける前記基台とは反対側の面を覆う外装層をさらに備え、
前記外装層には、前記上部カバーから離れる方向へ突出する円弧状の集光部が設けられており、
前記集光部の数は、前記基台における前記光電半導体の数と同じであり、
前記集光部が対応する前記光電半導体が発生する励起光の光路上に位置する。
【0011】
また、本発明の他の局面に係る光電半導体のパッケージング方法は、
導電体を基台に垂直に固定する工程と、
光電半導体を前記基台における前記導電体から離れる側に固定し、且つ前記光電半導体を対応する前記導電体と導線により接続する工程と、
レンズ及び第1開口を有する上部カバーを封止枠の両側に固定し、前記光電半導体を前記基台と前記上部カバーとの間に収容し且つ前記第1開口に面するように、前記上部カバーを前記基台における前記導電体から離れた側にレーザ溶接により固定する工程と、を備える。
【0012】
さらに、前記光電半導体のパッケージング方法は、集光部を有する外装層を用意し、且つ前記集光部が前記光電半導体に対向するように、前記外装層で前記上部カバーの前記第1開口を覆うとともに前記外装層を前記上部カバーに固定する工程を備える。
【0013】
さらに、前記導電体を基台に垂直に固定する工程は、
前記基台において第2開口を開設する工程と、
封止スリーブを長尺ロッド状の前記導電体の周面の一部を被覆してから、金属スリーブを前記封止スリーブに取り囲むように装着する工程と、
前記金属スリーブを前記基台の固定孔内に挿入する工程と、
前記導電体、前記封止スリーブ及び前記金属スリーブが挿入された前記基台を高温環境下に放置して所定時間焼成し、前記封止スリーブを溶融させ、且つ前記封止スリーブが溶融した後、前記封止スリーブが冷却されるまで待って、前記基台に前記導電体を密封するように固定する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0014】
上述した光電半導体装置及び光電半導体のパッケージング方法は、基台における前記光電半導体から遠い側に導電体を垂直に設けて、光電半導体を他の電子部品と半田付けする際に、導電体の基台から遠い側の一端を電子部品に合わせておけばよい。これにより、溶接の作業が容易になるとともに、1つの導電体が同時に複数の電子部品に接触することによる溶接不良を起こすことが避けられる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本願実施例によって提供される光電半導体装置の斜視図である。
【
図2】
図1に示した光電半導体装置の分解模式図である。
【
図3】
図1に示した光電半導体装置のIII-III線に沿った断面図である。
【
図4】
図1に示した光電半導体装置のIV-IV線に沿った断面図である。
【
図5】本願が提供する光電半導体のパッケージング方法のフローチャートである。
【
図6】
図5に示した光電半導体のパッケージング方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本技術分野の当業者が本願の技術提案をよりよく理解できるように、以下、本願実施例に添付された図面を用いて本願実施例に係る発明を明確かつ完全に述べることとし、当然のことながら、述べられた実施例はただ本願の一部の実施例のみであり、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づいて、当業者は創造的な工夫なしになし得るすべての他の実施例についても、本発明の保護を求めようとする範囲となるべきである。
【0017】
本願の明細書及び上記添付図面における「第1」及び「第2」等の用語は、特定の順序を記述するものではなく、異なる対象を区別するために用いられる。また、「含む」、及びそれらの任意の変形は、網羅的に含まれることを意図している。例えば、一連の工程またはモジュールを含むプロセス、方法、システム、製品または装置は、リストアップされた工程またはモジュールに限定されるものではなく、リストアップされていない工程またはモジュールを含んでいてもよいし、これらプロセス、方法、製品、または装置に固有する他の工程またはモジュールを含んでいてもよい。
【0018】
図1乃至
図4に示すように、本発明は、基台10と、上部カバー20と、光電半導体30と、導電体40とを備える光電半導体装置100を提供する。上部カバー20は、基台10に被せられて基台10と共同で収容チャンバー21を形成しており、且つ当該収容チャンバー21に連通する第1開口22を有している。導電体40は、基台10における上部カバー20の反対側の面に垂直に固定される。光電半導体30は、基台10に固定されて、収容チャンバー21内に収容され、且つ導電体40と電気的に接続される。また、光電半導体30は、光電半導体30における励起光が上部カバー20を通過するように第1開口22に面している。光電半導体装置100における導電体40は、基台10における光電半導体30から離れた側に垂直に設けられる。光電半導体30を他の電子部品と半田付けする際に、導電体40の基台10から離れる一端を電子部品と位置合わせすればよい。これにより、半田付けの作業が容易になるとともに、1つの導電体40が同時に複数の電子部品に接触することによる溶接不良を起こすことが避けられる。
【0019】
具体的には、光電半導体30は、レーザ半導体である。光電半導体装置100は、レーザダイオードであり、光源部として投影装置に適用することができる。
【0020】
一実施形態において、基台10は、第2開口111を有する金属枠体11と、第2開口111内に固定される金属プレート12と、を備える。金属枠体11及び金属プレート12は、鉄、鉄合金又は銅などの金属材料によって作られている。金属枠体11には、複数の固定孔112が設けられている。導電体40は、外部回路と接続するために、固定孔112を通り抜けて露出している。
【0021】
図1に示した実施形態においては、複数対の固定孔112が基台10の両縁に設けられており、複数対の長尺ロッド状の導電体40が固定孔112内に固定される。複数の光電半導体30が基台10において結晶アレイを構成し、各列の光電半導体30が一対の導電体40に対応し、同列かつ隣接する2つの光電半導体30が電気的に接続されている。導電体40に隣接する光電半導体30は、当該導電体40と電気的に接続される。
【0022】
なお、他の実施形態では、光電半導体30の数は1つ又は1列である。これに対応して、固定孔112は一対であってもよく、導電体40も一対であってもよい。
【0023】
一実施形態では、固定孔112の中には、金属スリーブ50及び封止スリーブ60がさらに固定される。金属スリーブ50は、封止スリーブ60を取り囲むように設けられる。導電体40は、封止スリーブ60に穿設される。即ち、封止スリーブ60は、導電体40を取り囲むように設けられる。ここで、金属スリーブ50は、第1スリーブ51及び第2スリーブ52を含む。第1スリーブ51の外径が第2スリーブ52の外径よりも大きいので、両者の間には段差部53が形成されている。段差部53は、金属枠体11における上部カバー20の反対側に突き当てられ、金属スリーブ50を固定孔112の中に位置決めする。封止スリーブ60は、封止樹脂を用いて製造されることができる。封止樹脂は、例えば、低温ガラスであってもよく、低い融解温度(例えば、融解温度が300~400℃程度)、耐高圧(例えば、約10-9Pa程度の高圧に耐え得る)、封止効果を達成できるという利点がある。導電体40の基台10に挿着する一端に封止スリーブ60を被せてから、両者を金属スリーブ50の中に挿入し、最後に、封止スリーブ60を被覆する金属スリーブ50を固定孔112の中に挿入する。これにより、導電体40が封止スリーブ60及び金属スリーブ50を介して対応する固定孔112内に挿入される際に、封止スリーブ60が導電体40と金属スリーブ50との間に充填され、金属スリーブ50が焼結により固定孔112に固定されるときに、封止スリーブ60が溶融して導電体40と基台10との間に隙間がないようにし、封止効果を達成することができる。
【0024】
光電半導体30は、結晶粒子31と、反射部材32とを含む。結晶粒子31は、励起されると発光し、導電体40や他の結晶粒子31と電気的に接続可能である。反射部材32は、結晶粒子31の励起光の出射光路に設けられ、励起光を反射し、励起光の方向を変化させる役割を果たす。導電体40は、鉄-ニッケル-コバルト合金材質からなり、光電半導体装置100のピンとして、光電半導体30に外部からの正、負電圧を導入し、光電半導体30が励起して発光できるようにする。
【0025】
図1に示した実施形態では、光電半導体30の数は複数であり、複数の光電半導体30は、結晶アレイを構成して、複数列に形成されているが、他の実施形態では、光電半導体30が1つまたは1列であってもよい。
【0026】
光電半導体装置100は、レンズ70及び封止枠80をさらに備える。レンズ70及び封止枠80は、収容チャンバー21内に収容される。そして、レンズ70は、光電半導体30と封止枠80との間に位置する。封止枠80は、上部カバー20における第1開口22の縁とレンズ70との間に装着されている。結晶粒子31が発生した励起光は、反射部材32により反射されると、レンズ70へ直射でき、さらにレンズ70を通過してから第1開口22を通って外部へ出射される。封止枠80が上部カバー20における第1開口22の端縁とレンズ70との間に挟持されることにより、封止枠80は上部カバー20における第1開口22の縁とレンズ70との間の隙間を埋める役割を果たし、光電半導体装置100の気密性や安全性に貢献する。
【0027】
一実施形態において、封止枠80は、封止樹脂からなるが、低温ガラスであってもよい。上部カバー20は、ニッケル-コバルト合金材料からなる。このように、封止枠80及び上部カバー20は何れも低熱膨張性を有し、熱膨張係数差が小さく、異なる素子の材質の熱膨張係数差が大き過ぎることに起因する素子の位置ずれの問題を回避できる。封止枠80は、加熱溶融された後に、上部カバー20における第1開口22の縁とレンズ70とに更に貼り合わせることができ、シール効果が一層高くなる。
【0028】
光電半導体装置100は、上部カバー20における基台10とは反対側の面を覆う外装層90をさらに含む。外装層90には、上部カバー20から離れる方向へ突出する円弧状の集光部91が設けられている。集光部91の数は、基台10における光電半導体30の数と同じである。集光部91毎に1つの光電半導体30に対応する。集光部91が対応する光電半導体30が発生する励起光の光路上に位置し、レンズ70を透過した励起光を1つのビームに集める。これにより、光電半導体装置100が投影装置の光源部分とする場合、大きな光強度を有することができる。外装層90は、ガラス材質を用いることができ、耐熱性、耐圧性及びシール性に優れており、例えばUVゴムなどの接着剤によって上部カバー20に粘着される。
【0029】
図5~
図6は、それぞれ本願が提供する光電半導体のパッケージング方法のフローチャート及び概略図を示している。当該方法は、上述したような光電半導体装置100を製造するために用いられ、以下の工程を備える。
【0030】
工程S10では、導電体40を基台10に垂直に固定する。
【0031】
具体的には、一実施形態では、上記の工程S10に係る「導電体40を基台10に垂直に固定する」ことは、具体的に次の通りである。先ず、基台10において、第2開口111を開設する。次に、封止スリーブ60を長尺ロッド状の導電体40の周面の一部を被覆してから、金属スリーブ50を封止スリーブ60に取り囲むように装着する。次に、金属スリーブ50を固定孔112内に挿入する。最後に、導電体40、封止スリーブ60及び金属スリーブ50が挿入された基台10を高温環境下に放置して所定時間焼成し、この封止スリーブ60を溶融させ、且つ封止スリーブ60が溶融した後、封止スリーブ60が冷却されるまで待って、基台10に導電体40を密封するように固定する。
【0032】
工程S20では、光電半導体30を基台10における導電体40から離れる側に固定し、且つ光電半導体30と対応する導電体40とを導線により接続する。
【0033】
工程S30では、レンズ70及び第1開口22を有する上部カバー20を封止枠80の両側に固定し、光電半導体30を基台10と上部カバー20との間に収容し且つ第1開口22に面するように、上部カバー20を基台10における導電体40から離れた側にレーザ溶接により固定する。
【0034】
具体的には、基台10は鉄銅合金であり、上部カバー20は鉄-ニッケル合金であり、レンズ70、封止枠80及び上部カバー20を共に、一定の温度で(例えば、400℃~500℃)、一定の気圧で(例えば、10-9Paの真空雰囲気)一定の時間(1h~2h)焼成し、封止枠80が溶融して冷却するまで待つと、上部カバー20の第1開口22の縁部とレンズ70との接続部がシールされる。
【0035】
続いて、上部カバー20と基台10との接触箇所に銀銅半田ペーストを塗布した後、上部カバー20と基台10とを銀溶接炉にセットして、予め設定された温度で(例えば、900~1000℃)、予め設定された気圧で(例えば、10-9Paの真空雰囲気)予め設定された時間(例えば、1~2h)を焼成することにより、上部カバー20が銀銅半田ペーストによって基台10にろう付けされる。この真空焼成プロセスでは、銀銅半田ペーストが不純物により化学反応して発生するガスの減少に有利であり、ガスが逃げて気孔が形成されることに起因して、上部カバー20と基台10との接合部、すなわち溶接ビードの気密性が損なわれることを回避できる。
【0036】
工程S40では、集光部91を有する外装層90を用意し、且つ集光部91が光電半導体30に対向するように、外装層90で上部カバー20の第1開口22を覆うように外装層90を上部カバー20に固定する。
【0037】
なお、外装層90は、予め成型されており、装着時には、UVゴムなどの接着剤によって上部カバー20に固定すればよいことが理解される。
【0038】
なお、他の実施形態において、光電半導体のパッケージング方法は、上述した工程S10~S30を備えるが、工程S40を含まなくてもよい。
【0039】
なお、前述の各方法実施形態については、簡単に記述するために、一連の動作の組み合わせとして表現することとしたが、当業者は、本発明が記述された動作順序に制限されることなく、本発明によって、ある工程の順序を変えてもよいし、一部の工程を同時に行われてもよい。
【0040】
以上述べた実施例は、本願の技術案を説明するためにのみ使用され、それを制限するものではない。前述の実施例を参照して本願を詳細に説明しているにもかかわらず、当業者は、前述の各実施例に記載されている技術案を補正したり、その技術的特徴の一部を同等に置換したりすることが可能である。これらの補正又は置換は、対応する発明の本質を本願発明の範囲から逸脱させるものではない。
【符号の説明】
【0041】
100 光電半導体装置
10 基台
11 金属枠体
111 第2開口
112 固定孔
12 金属プレート
20 上部カバー
21 収容チャンバー
22 第1開口
30 光電半導体
31 結晶粒子
32 反射部材
40 導電体
50 金属スリーブ
51 第1スリーブ
52 第2スリーブ
53 段差部
60 封止スリーブ
70 レンズ
80 封止枠
90 外装層
91 集光部