(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121117
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】媒体切断方法、媒体端部接続方法および媒体切断装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B41J 11/66 20060101AFI20230823BHJP
【FI】
B41J11/66
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153306
(22)【出願日】2022-09-27
(31)【優先権主張番号】P 2022024097
(32)【優先日】2022-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022104525
(32)【優先日】2022-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】川井 智也
(72)【発明者】
【氏名】中村 恒平
(72)【発明者】
【氏名】篠原 貴仁
(72)【発明者】
【氏名】古瀬 真行
(72)【発明者】
【氏名】塚原 将太
【テーマコード(参考)】
2C058
【Fターム(参考)】
2C058AB12
2C058AC07
2C058AE04
2C058AF51
2C058LA03
2C058LA07
2C058LA18
2C058LA20
2C058LB06
2C058LC02
2C058LC24
(57)【要約】
【課題】長尺の媒体を切断するための媒体切断装置において、媒体の巻き癖が強くなっていても、媒体を交換する前であって媒体の幅方向の全域に亘って媒体の幅方向と平行な直線状に媒体を切断した後に、媒体の端面が台形状または三角形状をなす凸状となるように媒体の長手方向の一端部を適切に切ることが可能となる媒体切断方法を提供する。
【解決手段】この媒体切断方法では、第2上流側媒体2cの搬送方向下流側の端面2dが媒体2の幅方向に平行な直線状となるように媒体2の幅方向の全域で媒体2を切る直線状カット工程の後であって、第1上流側媒体2eの搬送方向下流側の端面2fが台形状をなす凸状となるように媒体2の幅方向の全域で媒体2を切る凸状カット工程の前の媒体搬送工程において、第2上流側媒体2cの搬送方向下流側端と第1上流側媒体2eの搬送方向下流側端との間に所定の間隔Lが形成される位置まで媒体2を搬送方向下流側に搬送している。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の媒体を切断するためのカッター刃を有するカッターユニットと、ロール状に巻回された前記媒体を保持する媒体繰出機構と、前記媒体の長手方向に前記媒体を搬送する媒体搬送機構と、前記媒体の長手方向と前記媒体の厚さ方向とに直交する前記媒体の幅方向に前記カッターユニットを移動させるカッターユニット駆動機構とを備える媒体切断装置において前記媒体を切断するための媒体切断方法であって、
前記媒体搬送機構による前記媒体の搬送方向のうちの、前記媒体繰出機構に対して前記カッター刃が配置される側を搬送方向下流側とし、前記搬送方向下流側の反対側を搬送方向上流側とすると、
前記媒体を停止させた状態で前記カッター刃を前記媒体の幅方向に移動させて前記媒体の幅方向の全域で前記媒体を切る直線状カット工程と、
前記直線状カット工程の後に、前記媒体を前記搬送方向下流側に所定量搬送する媒体搬送工程と、
前記媒体搬送工程の後に、前記カッター刃を前記媒体の幅方向に移動させるとともに前記媒体を搬送して前記媒体の幅方向の全域で前記媒体を切る凸状カット工程とを備え、
前記凸状カット工程での前記媒体のカット位置よりも前記搬送方向上流側に配置される前記媒体を第1上流側媒体とし、前記直線状カット工程での前記媒体のカット位置よりも前記搬送方向上流側に配置される前記媒体を第2上流側媒体とすると、
前記第2上流側媒体の前記搬送方向下流側の端面は、前記媒体の幅方向に平行な直線状となっており、
前記第1上流側媒体の前記搬送方向下流側の端面は、台形状または三角形状をなす凸状となっており、
前記媒体搬送工程では、前記第2上流側媒体の前記搬送方向下流側端と前記第1上流側媒体の前記搬送方向下流側端との間に所定の間隔が形成される位置まで前記媒体を搬送することを特徴とする媒体切断方法。
【請求項2】
前記媒体切断装置は、前記カッターユニットが搭載されるとともに前記カッターユニット駆動機構によって前記媒体の幅方向に移動させられるキャリッジと、前記キャリッジに搭載されるとともに前記媒体にインクを吐出して印刷を行うインクジェットヘッドと、前記媒体の前記搬送方向下流側の端部が接続される巻き取り用の紙管を回転させて前記紙管に印刷後の前記媒体を巻き取る媒体巻取機構とを備え、
前記直線状カット工程の前に、前記インクジェットヘッドによる前記媒体の印刷が行われ、
前記直線状カット工程では、前記媒体の、印刷が行われた部分よりも前記搬送方向上流側の部分を切ることを特徴とする請求項1記載の媒体切断方法。
【請求項3】
長尺の媒体を切断するためのカッター刃を有するカッターユニットと、前記媒体に所定の加工を行うための加工機構と、ロール状に巻回された加工前の前記媒体を保持する媒体繰出機構と、前記媒体の長手方向に前記媒体を搬送する媒体搬送機構と、前記媒体の長手方向と前記媒体の厚さ方向とに直交する前記媒体の幅方向に前記カッターユニットを移動させるカッターユニット駆動機構とを備える媒体切断装置において前記媒体を切断するための媒体切断方法であって、
前記媒体搬送機構による前記媒体の搬送方向のうちの、前記媒体繰出機構に対して前記カッター刃が配置される側を搬送方向下流側とし、前記搬送方向下流側の反対側を搬送方向上流側とすると、
ロール状に巻回された前記媒体を前記媒体繰出機構にセットする媒体セット工程と、
前記媒体セット工程の後に、前記媒体を前記搬送方向下流側に所定量搬送する媒体搬送工程と、
前記媒体搬送工程の後に、前記カッター刃を前記媒体の幅方向に移動させるとともに前記媒体を搬送して前記媒体の幅方向の全域で前記媒体を切る凸状カット工程とを備え、
前記凸状カット工程での前記媒体のカット位置よりも前記搬送方向上流側に配置される前記媒体を第1上流側媒体とすると、
前記第1上流側媒体の前記搬送方向下流側の端面は、台形状または三角形状をなす凸状となっており、
前記媒体搬送工程の後であって前記凸状カット工程の前には前記加工機構による前記媒体の加工は行われずに、前記凸状カット工程の後に前記加工機構による前記媒体の加工が行われ、
前記媒体搬送工程では、前記凸状カット工程の前の前記媒体の前記搬送方向下流側端と前記第1上流側媒体の前記搬送方向下流側端との間に所定の間隔が形成される位置まで前記媒体を搬送することを特徴とする媒体切断方法。
【請求項4】
前記媒体を停止させた状態で前記カッター刃を前記媒体の幅方向に移動させて前記媒体の幅方向の全域で前記媒体を切る直線状カット工程を備え、
前記直線状カット工程での前記媒体のカット位置よりも前記搬送方向上流側に配置される前記媒体を第2上流側媒体とすると、
前記第2上流側媒体の前記搬送方向下流側の端面は、前記媒体の幅方向に平行な直線状となっており、
前記加工機構は、前記媒体にインクを吐出して印刷を行うインクジェットヘッドを有する印刷機構であり、
前記媒体切断装置は、前記カッターユニットおよび前記インクジェットヘッドが搭載されるとともに前記カッターユニット駆動機構によって前記媒体の幅方向に移動させられるキャリッジと、前記媒体の前記搬送方向下流側の端部が接続される巻き取り用の紙管を回転させて前記紙管に印刷後の前記媒体を巻き取る媒体巻取機構とを備え、
前記凸状カット工程の後であって前記直線状カット工程の前に、前記インクジェットヘッドによる前記媒体の印刷が行われ、
前記直線状カット工程では、前記媒体の、印刷が行われた部分よりも前記搬送方向上流側の部分を切ることを特徴とする請求項3記載の媒体切断方法。
【請求項5】
前記媒体切断装置は、前記キャリッジの下側に配置されるとともに前記媒体の搬送方向における前記媒体の一部分が載置されるプラテンを備え、
前記媒体搬送工程では、前記媒体の、前記凸状カット工程において前記インクジェットヘッドの下側に配置される部分と前記プラテンの上面との上下方向の最大距離が、前記インクジェットヘッドの下端面と前記プラテンの上面との上下方向の距離よりも小さくなる位置まで前記媒体を搬送することを特徴とする請求項2または4記載の媒体切断方法。
【請求項6】
前記媒体の幅方向の一方側を第1方向側とし、前記第1方向側の反対側を第2方向側とすると、
前記凸状カット工程は、
前記媒体を貫通するように前記カッター刃を前記媒体の前記第1方向側の端部に突き刺す第1突刺し工程と、
前記第1突刺し工程で前記カッター刃を突き刺した箇所である第1突刺し箇所を起点にして前記搬送方向下流側および前記第2方向側に前記媒体に対して前記カッター刃を相対移動させて少なくとも前記媒体の幅方向に対して傾斜した方向で前記媒体を切る第1斜めカット工程と、
前記媒体を貫通するように前記カッター刃を前記媒体の前記第2方向側の端部に突き刺す第2突刺し工程と、
前記第2突刺し工程で前記カッター刃を突き刺した箇所である第2突刺し箇所を起点にして前記搬送方向下流側および前記第1方向側に前記媒体に対して前記カッター刃を相対移動させて少なくとも前記媒体の幅方向に対して傾斜した方向で前記媒体を切る第2斜めカット工程と、
前記第1斜めカット工程および前記第2斜めカット工程の後に、前記第1突刺し箇所を起点にして前記媒体に対して前記カッター刃を前記第1方向側に移動させて前記第1突刺し箇所から前記媒体の前記第1方向側の端面まで前記媒体の幅方向で前記媒体を切る第1横カット工程と、
前記第1斜めカット工程および前記第2斜めカット工程の後に、前記第2突刺し箇所を起点にして前記媒体に対して前記カッター刃を前記第2方向側に移動させて前記第2突刺し箇所から前記媒体の前記第2方向側の端面まで前記媒体の幅方向で前記媒体を切る第2横カット工程とを備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の媒体切断方法。
【請求項7】
前記媒体切断装置は、前記カッターユニットが搭載されるとともに前記カッターユニット駆動機構によって前記媒体の幅方向に移動させられるキャリッジと、前記キャリッジに搭載されるとともに前記媒体にインクを吐出して印刷を行うインクジェットヘッドとを備え、
前記インクジェットヘッドは、前記カッターユニットの前記第2方向側に配置され、
前記第2横カット工程は、前記第1横カット工程の前に行われることを特徴とする請求項6記載の媒体切断方法。
【請求項8】
前記媒体切断装置は、前記カッターユニットが搭載されるとともに前記カッターユニット駆動機構によって前記媒体の幅方向に移動させられるキャリッジを備え、
前記カッターユニットは、前記カッター刃が前記媒体に接触しない退避位置と前記カッター刃による前記媒体のカットが可能になるカット可能位置との間で前記カッター刃を移動させるカッター刃移動機構を備え、
前記第2横カット工程は、前記第1横カット工程の前に行われ、
前記凸状カット工程は、
前記第2横カット工程の後に、前記カット可能位置に配置される前記カッター刃を前記退避位置に移動させるカッター刃退避工程と、
前記第2横カット工程の後に、前記媒体を前記搬送方向下流側に所定量搬送する第3媒体搬送工程と、
前記カッター刃退避工程および前記第3媒体搬送工程の後に、前記媒体の幅方向において前記カッター刃の刃先が前記第1突刺し箇所と同じ位置に配置されるまで前記キャリッジを前記第1方向側に移動させるキャリッジ移動工程と、
前記キャリッジ移動工程の後に、前記媒体の搬送方向において前記カッター刃の刃先が前記第1突刺し箇所と同じ位置に配置されるまで前記媒体を前記搬送方向上流側に搬送する第4媒体搬送工程と、
前記第4媒体搬送工程の後に、前記退避位置に配置される前記カッター刃を前記カット可能位置に移動させるカッター刃配置工程とを備え、
前記第1横カット工程は、前記カッター刃配置工程の後に行われることを特徴とする請求項6記載の媒体切断方法。
【請求項9】
前記媒体切断装置は、前記カッターユニットが搭載されるとともに前記カッターユニット駆動機構によって前記媒体の幅方向に移動させられるキャリッジを備え、
前記カッターユニットは、前記カッター刃が前記媒体に接触しない退避位置と前記カッター刃による前記媒体のカットが可能になるカット可能位置との間で前記カッター刃を移動させるカッター刃移動機構を備え、
前記第1横カット工程は、前記第2横カット工程の前に行われ、
前記凸状カット工程は、
前記第1横カット工程の後に、前記カット可能位置に配置される前記カッター刃を前記退避位置に移動させるカッター刃退避工程と、
前記第1横カット工程の後に、前記媒体を前記搬送方向下流側に所定量搬送する第3媒体搬送工程と、
前記カッター刃退避工程および前記第3媒体搬送工程の後に、前記媒体の幅方向において前記カッター刃の刃先が前記第2突刺し箇所と同じ位置に配置されるまで前記キャリッジを前記第2方向側に移動させるキャリッジ移動工程と、
前記キャリッジ移動工程の後に、前記媒体の搬送方向において前記カッター刃の刃先が前記第2突刺し箇所と同じ位置に配置されるまで前記媒体を前記搬送方向上流側に搬送する第4媒体搬送工程と、
前記第4媒体搬送工程の後に、前記退避位置に配置される前記カッター刃を前記カット可能位置に移動させるカッター刃配置工程とを備え、
前記第2横カット工程は、前記カッター刃配置工程の後に行われることを特徴とする請求項6記載の媒体切断方法。
【請求項10】
前記凸状カット工程の後に、前記カッターユニットを所定の待機位置に移動させる待機位置移動工程を備え、
前記カッターユニットは、前記カッター刃が前記媒体に接触しない退避位置と前記カッター刃による前記媒体のカットが可能になるカット可能位置との間で前記カッター刃を移動させるカッター刃移動機構を備え、
前記第2横カット工程は、前記第1横カット工程の前に行われ、
前記待機位置に配置される前記カッターユニットは、前記媒体よりも前記第2方向側に配置され、
前記第1横カット工程の完了時には、前記カッター刃は、前記媒体よりも前記第1方向側に配置され、
前記待機位置移動工程は、
前記第1横カット工程の後に、前記カット可能位置に配置される前記カッター刃を前記退避位置に移動させるカッター刃退避工程と、
前記第1横カット工程の後に、前記媒体を前記搬送方向下流側に所定量搬送する第5媒体搬送工程と、
前記カッター刃退避工程および前記第5媒体搬送工程の後に、前記待機位置に前記カッターユニットを移動させるカッターユニット移動工程とを備えることを特徴とする請求項6記載の媒体切断方法。
【請求項11】
前記媒体切断装置は、前記媒体の搬送方向における前記媒体の一部分が載置されるプラテンと、前記プラテンに載置される前記媒体の前記第1方向側の端部を上側から押える第1媒体ガイドと、前記プラテンに載置される前記媒体の前記第2方向側の端部を上側から押える第2媒体ガイドとを備え、
前記1媒体ガイドの前記搬送方向下流側端および前記第2媒体ガイドの前記搬送方向下流側端は、前記カッター刃の刃先よりも前記搬送方向上流側に配置され、
前記第1媒体ガイドの前記搬送方向上流側端は、前記第1斜めカット工程完了時の前記第1突刺し箇所よりも前記搬送方向上流側に配置され、
前記第2媒体ガイドの前記搬送方向上流側端は、前記第2斜めカット工程完了時の前記第2突刺し箇所よりも前記搬送方向上流側に配置されていることを特徴とする請求項6記載の媒体切断方法。
【請求項12】
前記カッターユニットは、前記カッター刃が固定されるカッターホルダと、前記カッターホルダを回動可能に保持するユニットフレームとを備え、
前記カッターホルダは、前記媒体の厚さ方向を回動の軸方向として前記ユニットフレームに対して回動可能となっており、
前記第1斜めカット工程および前記第2斜めカット工程では、前記カッター刃は、前記ユニットフレームに対して回動が可能な状態となっており、
前記第1斜めカット工程での、前記媒体の幅方向に対する前記媒体のカット角度、および、前記第2斜めカット工程での、前記媒体の幅方向に対する前記媒体のカット角度は、前記媒体の幅にかかわらず一定になっていることを特徴とする請求項6記載の媒体切断方法。
【請求項13】
前記媒体を停止させた状態で前記カッター刃を前記媒体の幅方向に移動させて前記媒体の幅方向の全域で前記媒体を切る第2直線状カット工程と、
前記第2直線状カット工程の後に、前記媒体を前記搬送方向下流側に所定量搬送する第2媒体搬送工程とを備え、
前記直線状カット工程は、前記第2媒体搬送工程の後に行われることを特徴とする請求項1または2記載の媒体切断方法。
【請求項14】
請求項13記載の媒体切断方法で切断された前記媒体の、前記直線状カット工程でのカット位置よりも前記搬送方向下流側に配置される前記媒体を下流側媒体とし、前記直線状カット工程完了時の前記媒体の幅方向における前記下流側媒体の端部を下流側媒体端部とすると、前記媒体の前記搬送方向下流側の端部が接続される巻き取り用の紙管に、前記下流側媒体を用いて、前記媒体の前記搬送方向下流側の端部を接続する媒体端部接続方法であって、
前記媒体の前記搬送方向下流側の端部に一方の前記下流側媒体端部を固定し、他方の前記下流側媒体端部を前記紙管に固定して前記媒体の前記搬送方向下流側の端部を前記紙管に接続することを特徴とする媒体端部接続方法。
【請求項15】
長尺の媒体を切断するためのカッター刃を有するカッターユニットと、ロール状に巻回された前記媒体を保持する媒体繰出機構と、前記媒体の長手方向に前記媒体を搬送する媒体搬送機構と、前記媒体の長手方向と前記媒体の厚さ方向とに直交する前記媒体の幅方向に前記カッターユニットを移動させるカッターユニット駆動機構とを備える媒体切断装置の制御方法であって、
前記媒体搬送機構による前記媒体の搬送方向のうちの、前記媒体繰出機構に対して前記カッター刃が配置される側を搬送方向下流側とし、前記搬送方向下流側の反対側を搬送方向上流側とすると、
前記媒体を停止させた状態で前記カッターユニット駆動機構によって前記カッター刃を前記媒体の幅方向に移動させて前記媒体の幅方向の全域で前記媒体を切る直線状カットステップと、
前記直線状カットステップの後に、前記媒体搬送機構によって前記媒体を前記搬送方向下流側に所定量搬送する媒体搬送ステップと、
前記媒体搬送ステップの後に、前記カッターユニット駆動機構によって前記カッター刃を前記媒体の幅方向に移動させるとともに前記媒体搬送機構によって前記媒体を搬送して前記媒体の幅方向の全域で前記媒体を切る凸状カットステップとを備え、
前記凸状カットステップでの前記媒体のカット位置よりも前記搬送方向上流側に配置される前記媒体を第1上流側媒体とし、前記直線状カットステップでの前記媒体のカット位置よりも前記搬送方向上流側に配置される前記媒体を第2上流側媒体とすると、
前記第2上流側媒体の前記搬送方向下流側の端面は、前記媒体の幅方向に平行な直線状となっており、
前記第1上流側媒体の前記搬送方向下流側の端面は、台形状または三角形状をなす凸状となっており、
前記媒体搬送ステップでは、前記第2上流側媒体の前記搬送方向下流側端と前記第1上流側媒体の前記搬送方向下流側端との間に所定の間隔が形成される位置まで前記媒体を搬送することを特徴とする媒体切断装置の制御方法。
【請求項16】
長尺の媒体を切断するためのカッター刃を有するカッターユニットと、前記媒体に所定の加工を行うための加工機構と、ロール状に巻回された加工前の前記媒体を保持する媒体繰出機構と、前記媒体の長手方向に前記媒体を搬送する媒体搬送機構と、前記媒体の長手方向と前記媒体の厚さ方向とに直交する前記媒体の幅方向に前記カッターユニットを移動させるカッターユニット駆動機構とを備える媒体切断装置の制御方法であって、
前記媒体搬送機構による前記媒体の搬送方向のうちの、前記媒体繰出機構に対して前記カッター刃が配置される側を搬送方向下流側とし、前記搬送方向下流側の反対側を搬送方向上流側とすると、
ロール状に巻回された前記媒体が前記媒体繰出機構にセットされた後に、前記媒体搬送機構によって前記媒体を前記搬送方向下流側に所定量搬送する媒体搬送ステップと、
前記媒体搬送ステップの後に、前記カッターユニット駆動機構によって前記カッター刃を前記媒体の幅方向に移動させるとともに前記媒体搬送機構によって前記媒体を搬送して前記媒体の幅方向の全域で前記媒体を切る凸状カットステップとを備え、
前記凸状カットステップでの前記媒体のカット位置よりも前記搬送方向上流側に配置される前記媒体を第1上流側媒体とすると、
前記第1上流側媒体の前記搬送方向下流側の端面は、台形状または三角形状をなす凸状となっており、
前記媒体搬送ステップの後であって前記凸状カットステップの前には前記加工機構による前記媒体の加工は行われずに、前記凸状カットステップの後に前記加工機構による前記媒体の加工が行われ、
前記媒体搬送ステップでは、前記凸状カットステップの前の前記媒体の前記搬送方向下流側端と前記第1上流側媒体の前記搬送方向下流側端との間に所定の間隔が形成される位置まで前記媒体を搬送することを特徴とする媒体切断装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺の媒体を切断するための媒体切断装置において媒体を切断するための媒体切断方法に関する。また、本発明は、かかる媒体切断方法で切断された媒体の一部分を用いて長尺の媒体の端部と巻き取り用の紙管とを接続するための媒体端部接続方法に関する。さらに、本発明は、長尺の媒体を切断するための媒体切断装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長尺のシート状の媒体(連続媒体)に印刷を行う印刷装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の印刷装置は、インクジェット方式で媒体に印刷を行う印刷部と、媒体を搬送する媒体搬送部と、媒体を切断するためのカッター部とを備えている。印刷が行われる前の媒体は、ロール状に巻回されている。媒体搬送部は、駆動ローラとピンチローラとからなる搬送ローラ対を備えている。カッター部は、媒体を切断するカッター刃と、媒体の幅方向に沿ってカッター刃を移動させるキャッリッジとを備えている。
【0003】
特許文献1に記載の印刷装置では、媒体の幅方向に対して傾斜した方向で媒体を切断する第1モードでの媒体の切断と、媒体の幅方向で媒体を切断する第2モードでの媒体の切断とが可能になっている。この印刷装置では、媒体の印刷処理が終了すると、媒体は、第2モードで切断される。また、この印刷装置では、媒体の印刷処理を行うときに、受信した印刷ジョブで使用される媒体と、印刷装置にセットされている媒体の種類とが異なっていて、印刷装置にセットされる媒体を交換する必要がある場合に、印刷装置にセットされている媒体は、第1モードでの切断が行われた後に印刷装置から取り外される。
【0004】
すなわち、特許文献1に記載の印刷装置では、印刷装置から一旦取り外されて、その後、印刷装置に再びセットされる媒体の一端は、媒体の幅方向に対して傾斜している。そのため、この印刷装置では、印刷装置に媒体をセットする際に、媒体の一端部を搬送ローラ対の間に容易に通すことが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明者は、印刷等の所定の加工が行われた後の長尺の媒体を切断するための媒体切断装置を開発している。この媒体切断装置は、媒体を切断するためのカッター刃を有するカッターユニットと、媒体の長手方向に媒体を搬送する媒体搬送機構と、加工前の媒体を送り出す媒体繰出機構と、加工後の媒体を巻き取る媒体巻取機構と、カッターユニットが搭載されるキャリッジと、媒体の長手方向と媒体の厚さ方向とに直交する媒体の幅方向にキャリッジを移動させるカッターユニット駆動機構と、キャリッジに対向配置されるとともに媒体の長手方向における媒体の一部分が載置されるプラテンとを備えている。
【0007】
この媒体切断装置では、媒体繰出機構は、繰出ロールを回転可能に保持している。繰出ロールは、繰出ロールの中心を構成する紙管と、紙管にロール状に巻回された加工前の媒体とから構成されている。媒体巻取機構は、巻取ロールを回転可能に保持している。巻取ロールは、巻取ロールの中心を構成する紙管と、紙管にロール状に巻回された加工後の媒体とから構成されている。媒体の長手方向の一端部は、テープ等によって巻取ロールの紙管に固定されている。媒体の長手方向の一端側部分は、巻取ロールの紙管に巻かれている。
【0008】
この媒体切断装置では、ある媒体への加工が終了した後、この媒体と異なる媒体(具体的には、材質や幅等が異なる媒体)に対して加工が行われる場合に、媒体切断装置にセットされる媒体が交換される。媒体の交換前には、カッター刃によって媒体を切断する。具体的には、カッター刃によって、媒体の幅方向の全域に亘って媒体の幅方向と平行な直線状に媒体を切断する。媒体の交換作業では、カッター刃による切断位置よりも繰出ロール側に配置される加工前の媒体を繰出ロールに巻き取って媒体繰出機構から取り外し、カッター刃による切断位置よりも巻取ロール側に配置される加工後の媒体を巻取ロールに巻き取って媒体巻取機構から取り外す。また、媒体の交換作業では、その後、新たに加工が行われる媒体が巻回された繰出ロールを媒体繰出機構に取り付ける。また、繰出ロールから媒体を引き出して所定の経路を通過させた後、媒体の長手方向の一端部を巻取ロールの紙管に固定する。
【0009】
また、本願発明者は、交換作業で一旦取り外された繰出ロール側の媒体が再度、媒体切断装置にセットされ、媒体の長手方向の一端部が巻取ロールの紙管に固定されて紙管による媒体の巻き取りが開始されるときに、媒体の長手方向の一端側部分が紙管によって巻き取られやすくなるように、媒体の交換前に、媒体の幅方向の全域に亘って媒体の幅方向と平行な直線状に媒体を切断した後、繰出ロール側の媒体の端面が台形状または三角形状をなす凸状となるように、カッター刃によって繰出ロール側の媒体の長手方向の一端部を切るか、あるいは、媒体の交換後に、媒体の端面が台形状または三角形状をなす凸状となるように、カッター刃によって媒体の長手方向の一端部を切ることを検討している。
【0010】
しかしながら、繰出ロール側の媒体の端面が台形状または三角形状をなす凸状となるように媒体の長手方向の一端部を切るときに、繰出ロールにおいてロール状に巻回されていた媒体の巻き癖によって媒体の長手方向の一端部がプラテンから弓なりに大きく浮いて、媒体の長手方向の一端部を適切に切ることができなくなる場合が生じることが本願発明者の検討によって明らかになった。
【0011】
具体的には、繰出ロールの外径が小さくなるにしたがって媒体の巻き癖が強くなるため、繰出ロールの外径が小さくなるにしたがってプラテンからの媒体の長手方向の一端部の浮きが大きくなること、また、プラテンからの媒体の長手方向の一端部の浮きが大きくなると、たとえば、媒体の幅方向に移動するキャリッジと媒体の長手方向の一端部とが接触して媒体の長手方向の一端部を適切に切ることができなくなる場合が生じることが本願発明者の検討によって明らかになった。
【0012】
そこで、本発明の課題は、長尺の媒体を切断するための媒体切断装置において、媒体の巻き癖が強くなっていても、媒体を交換する前であって媒体の幅方向の全域に亘って媒体の幅方向と平行な直線状に媒体を切断した後に、あるいは、媒体を交換した後に、媒体の端面が台形状または三角形状をなす凸状となるように媒体の長手方向の一端部を適切に切ることが可能となる媒体切断方法を提供することにある。また、本発明の課題は、かかる媒体切断方法で切断された媒体の一部分を用いて長尺の媒体の端部と巻き取り用の紙管とを接続するための媒体端部接続方法を提供することにある。
【0013】
また、本発明の課題は、長尺の媒体を切断するための媒体切断装置において、媒体の巻き癖が強くなっていても、媒体を交換する前であって媒体の幅方向の全域に亘って媒体の幅方向と平行な直線状に媒体を切断した後に、あるいは、媒体を交換した後に、媒体の端面が台形状または三角形状をなす凸状となるように媒体の長手方向の一端部を適切に切ることが可能となる媒体切断装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するため、本発明の媒体切断方法は、長尺の媒体を切断するためのカッター刃を有するカッターユニットと、ロール状に巻回された媒体を保持する媒体繰出機構と、媒体の長手方向に媒体を搬送する媒体搬送機構と、媒体の長手方向と媒体の厚さ方向とに直交する媒体の幅方向にカッターユニットを移動させるカッターユニット駆動機構とを備える媒体切断装置において媒体を切断するための媒体切断方法であって、媒体搬送機構による媒体の搬送方向のうちの、媒体繰出機構に対してカッター刃が配置される側を搬送方向下流側とし、搬送方向下流側の反対側を搬送方向上流側とすると、媒体を停止させた状態でカッター刃を媒体の幅方向に移動させて媒体の幅方向の全域で媒体を切る直線状カット工程と、直線状カット工程の後に、媒体を搬送方向下流側に所定量搬送する媒体搬送工程と、媒体搬送工程の後に、カッター刃を媒体の幅方向に移動させるとともに媒体を搬送して媒体の幅方向の全域で媒体を切る凸状カット工程とを備え、凸状カット工程での媒体のカット位置よりも搬送方向上流側に配置される媒体を第1上流側媒体とし、直線状カット工程での媒体のカット位置よりも搬送方向上流側に配置される媒体を第2上流側媒体とすると、第2上流側媒体の搬送方向下流側の端面は、媒体の幅方向に平行な直線状となっており、第1上流側媒体の搬送方向下流側の端面は、台形状または三角形状をなす凸状となっており、媒体搬送工程では、第2上流側媒体の搬送方向下流側端と第1上流側媒体の搬送方向下流側端との間に所定の間隔が形成される位置まで媒体を搬送することを特徴とする。
【0015】
本発明の媒体切断方法では、第2上流側媒体の搬送方向下流側の端面が媒体の幅方向に平行な直線状となるように媒体を停止させた状態でカッター刃を媒体の幅方向に移動させて媒体の幅方向の全域で媒体を切る直線状カット工程の後であって、第1上流側媒体の搬送方向下流側の端面が台形状または三角形状をなす凸状となるようにカッター刃を媒体の幅方向に移動させるとともに媒体を搬送して媒体の幅方向の全域で媒体を切る凸状カット工程の前の媒体搬送工程において、第2上流側媒体の搬送方向下流側端と第1上流側媒体の搬送方向下流側端との間に所定の間隔が形成される位置まで媒体を搬送方向下流側に搬送している。
【0016】
そのため、本発明では、凸状カット工程が行われる前に、第2上流側媒体の搬送方向下流側の端面とカッターユニットの配置位置との媒体の搬送方向における距離を長くすることが可能になる。したがって、本発明では、媒体の巻き癖が強くなっていても、凸状カット工程を行うときに、媒体の搬送方向におけるカッターユニットの配置位置でのプラテンからの媒体の浮きを抑制することが可能になる。その結果、本発明の媒体切断方法で媒体を切断すれば、媒体の巻き癖が強くなっていても、媒体を交換する前であって媒体の幅方向の全域に亘って媒体の幅方向と平行な直線状に媒体を切断した後に、媒体の端面が台形状または三角形状をなす凸状となるように媒体の長手方向の一端部を適切に切ることが可能になる。
【0017】
本発明において、たとえば、媒体切断装置は、カッターユニットが搭載されるとともにカッターユニット駆動機構によって媒体の幅方向に移動させられるキャリッジと、キャリッジに搭載されるとともに媒体にインクを吐出して印刷を行うインクジェットヘッドと、媒体の搬送方向下流側の端部が接続される巻き取り用の紙管を回転させて紙管に印刷後の媒体を巻き取る媒体巻取機構とを備え、直線状カット工程の前に、インクジェットヘッドによる媒体の印刷が行われ、直線状カット工程では、媒体の、印刷が行われた部分よりも搬送方向上流側の部分を切る。
【0018】
また、上記の課題を解決するため、本発明の媒体切断方法は、長尺の媒体を切断するためのカッター刃を有するカッターユニットと、媒体に所定の加工を行うための加工機構と、ロール状に巻回された加工前の媒体を保持する媒体繰出機構と、媒体の長手方向に媒体を搬送する媒体搬送機構と、媒体の長手方向と媒体の厚さ方向とに直交する媒体の幅方向にカッターユニットを移動させるカッターユニット駆動機構とを備える媒体切断装置において媒体を切断するための媒体切断方法であって、媒体搬送機構による媒体の搬送方向のうちの、媒体繰出機構に対してカッター刃が配置される側を搬送方向下流側とし、搬送方向下流側の反対側を搬送方向上流側とすると、ロール状に巻回された媒体を媒体繰出機構にセットする媒体セット工程と、媒体セット工程の後に、媒体を搬送方向下流側に所定量搬送する媒体搬送工程と、媒体搬送工程の後に、カッター刃を媒体の幅方向に移動させるとともに媒体を搬送して媒体の幅方向の全域で媒体を切る凸状カット工程とを備え、凸状カット工程での媒体のカット位置よりも搬送方向上流側に配置される媒体を第1上流側媒体とすると、第1上流側媒体の搬送方向下流側の端面は、台形状または三角形状をなす凸状となっており、媒体搬送工程の後であって凸状カット工程の前には加工機構による媒体の加工は行われずに、凸状カット工程の後に加工機構による媒体の加工が行われ、媒体搬送工程では、凸状カット工程の前の媒体の搬送方向下流側端と第1上流側媒体の搬送方向下流側端との間に所定の間隔が形成される位置まで媒体を搬送することを特徴とする。
【0019】
本発明の媒体切断方法では、ロール状に巻回された媒体を媒体繰出機構にセットする媒体セット工程の後であって、第1上流側媒体の搬送方向下流側の端面が台形状または三角形状をなす凸状となるようにカッター刃を媒体の幅方向に移動させるとともに媒体を搬送して媒体の幅方向の全域で媒体を切る凸状カット工程の前の媒体搬送工程において、凸状カット工程の前の媒体の搬送方向下流側端と第1上流側媒体の搬送方向下流側端との間に所定の間隔が形成される位置まで媒体を搬送方向下流側に搬送している。
【0020】
そのため、本発明では、凸状カット工程が行われる前に、媒体の搬送方向下流側端とカッターユニットの配置位置との媒体の搬送方向における距離を長くすることが可能になる。したがって、本発明では、媒体の巻き癖が強くなっていても、凸状カット工程を行うときに、媒体の搬送方向におけるカッターユニットの配置位置でのプラテンからの媒体の浮きを抑制することが可能になる。その結果、本発明の媒体切断方法で媒体を切断すれば、媒体の巻き癖が強くなっていても、媒体を交換した後に、媒体の端面が台形状または三角形状をなす凸状となるように媒体の長手方向の一端部を適切に切ることが可能になる。
【0021】
本発明において、たとえば、媒体切断方法は、媒体を停止させた状態でカッター刃を媒体の幅方向に移動させて媒体の幅方向の全域で媒体を切る直線状カット工程を備え、直線状カット工程での媒体のカット位置よりも搬送方向上流側に配置される媒体を第2上流側媒体とすると、第2上流側媒体の搬送方向下流側の端面は、媒体の幅方向に平行な直線状となっており、加工機構は、媒体にインクを吐出して印刷を行うインクジェットヘッドを有する印刷機構であり、媒体切断装置は、カッターユニットおよびインクジェットヘッドが搭載されるとともにカッターユニット駆動機構によって媒体の幅方向に移動させられるキャリッジと、媒体の搬送方向下流側の端部が接続される巻き取り用の紙管を回転させて紙管に印刷後の媒体を巻き取る媒体巻取機構とを備え、凸状カット工程の後であって直線状カット工程の前に、インクジェットヘッドによる媒体の印刷が行われ、直線状カット工程では、媒体の、印刷が行われた部分よりも搬送方向上流側の部分を切る。
【0022】
本発明において、媒体切断装置は、キャリッジの下側に配置されるとともに媒体の搬送方向における媒体の一部分が載置されるプラテンを備え、媒体搬送工程では、媒体の、凸状カット工程においてインクジェットヘッドの下側に配置される部分とプラテンの上面との上下方向の最大距離が、インクジェットヘッドの下端面とプラテンの上面との上下方向の距離よりも小さくなる位置まで媒体を搬送することが好ましい。このように構成すると、媒体の巻き癖が強くなっていても、凸状カット工程を行うときに、媒体の幅方向に移動するインクジェットヘッドと媒体との接触を防止することが可能になる。したがって、媒体の巻き癖が強くなっていても、媒体の端面が台形状または三角形状をなす凸状となるように媒体の長手方向の一端部を確実に切ることが可能になるとともに、媒体との接触に起因するインクジェットヘッドの損傷を防止することが可能になる。
【0023】
本発明において、媒体の幅方向の一方側を第1方向側とし、第1方向側の反対側を第2方向側とすると、凸状カット工程は、媒体を貫通するようにカッター刃を媒体の第1方向側の端部に突き刺す第1突刺し工程と、第1突刺し工程でカッター刃を突き刺した箇所である第1突刺し箇所を起点にして搬送方向下流側および第2方向側に媒体に対してカッター刃を相対移動させて少なくとも媒体の幅方向に対して傾斜した方向で媒体を切る第1斜めカット工程と、媒体を貫通するようにカッター刃を媒体の第2方向側の端部に突き刺す第2突刺し工程と、第2突刺し工程でカッター刃を突き刺した箇所である第2突刺し箇所を起点にして搬送方向下流側および第1方向側に媒体に対してカッター刃を相対移動させて少なくとも媒体の幅方向に対して傾斜した方向で媒体を切る第2斜めカット工程と、第1斜めカット工程および第2斜めカット工程の後に、第1突刺し箇所を起点にして媒体に対してカッター刃を第1方向側に移動させて第1突刺し箇所から媒体の第1方向側の端面まで媒体の幅方向で媒体を切る第1横カット工程と、第1斜めカット工程および第2斜めカット工程の後に、第2突刺し箇所を起点にして媒体に対してカッター刃を第2方向側に移動させて第2突刺し箇所から媒体の第2方向側の端面まで媒体の幅方向で媒体を切る第2横カット工程とを備えることが好ましい。
【0024】
このように構成すると、第1斜めカット工程および第2斜めカット工程の後に、第1横カット工程および第2横カット工程が行われており、第1斜めカット工程と第2斜めカット工程とが完了した時点でも、媒体の幅方向において媒体は完全には切断されておらず、搬送方向上流側の媒体と搬送方向下流側の媒体とが媒体の幅方向の両側で繋がっている。したがって、第1斜めカット工程や第2斜めカット工程を行っている最中に、たとえば、搬送方向下流側の媒体に作用する重力によって搬送方向下流側の媒体がちぎれるといった不具合の発生を防止することが可能になる。
【0025】
本発明において、媒体切断装置は、カッターユニットが搭載されるとともにカッターユニット駆動機構によって媒体の幅方向に移動させられるキャリッジと、キャリッジに搭載されるとともに媒体にインクを吐出して印刷を行うインクジェットヘッドとを備え、インクジェットヘッドは、カッターユニットの第2方向側に配置され、第2横カット工程は、第1横カット工程の前に行われることが好ましい。
【0026】
このように構成すると、第2横カット工程の後に第1横カット工程が行われているため、第1横カット工程を行っている最中に、たとえば、搬送方向下流側の媒体に作用する重力によって搬送方向下流側の媒体がちぎれて落下するおそれが生じるが、第1横カット工程を行っている最中に搬送方向下流側の媒体がちぎれて落下しても、ちぎれて落下する搬送方向下流側の媒体が第1方向側に移動しながら落下するため、カッターユニットの第2方向側に配置されるインクジェットヘッドと、ちぎれて落下する搬送方向下流側の媒体との接触を防止することが可能になる。したがって、ちぎれて落下する搬送方向下流側の媒体との接触に起因するインクジェットヘッドの損傷を防止することが可能になる。
【0027】
本発明において、媒体切断装置は、カッターユニットが搭載されるとともにカッターユニット駆動機構によって媒体の幅方向に移動させられるキャリッジを備え、カッターユニットは、カッター刃が媒体に接触しない退避位置とカッター刃による媒体のカットが可能になるカット可能位置との間でカッター刃を移動させるカッター刃移動機構を備え、第2横カット工程は、第1横カット工程の前に行われ、凸状カット工程は、第2横カット工程の後に、カット可能位置に配置されるカッター刃を退避位置に移動させるカッター刃退避工程と、第2横カット工程の後に、媒体を搬送方向下流側に所定量搬送する第3媒体搬送工程と、カッター刃退避工程および第3媒体搬送工程の後に、媒体の幅方向においてカッター刃の刃先が第1突刺し箇所と同じ位置に配置されるまでキャリッジを第1方向側に移動させるキャリッジ移動工程と、キャリッジ移動工程の後に、媒体の搬送方向においてカッター刃の刃先が第1突刺し箇所と同じ位置に配置されるまで媒体を搬送方向上流側に搬送する第4媒体搬送工程と、第4媒体搬送工程の後に、退避位置に配置されるカッター刃をカット可能位置に移動させるカッター刃配置工程とを備え、第1横カット工程は、カッター刃配置工程の後に行われることが好ましい。
【0028】
本願発明者の検討によれば、媒体の巻き癖がより強くなっていると、第2横カット工程の後、第1横カット工程が行われる前であっても、第1上流側媒体の、搬送方向下流側の部分の浮きが大きくなり、その結果、第2横カット工程の後、第1横カット工程を行うために第1方向側に移動するキャリッジやキャリッジに搭載される各種の構成が、第1上流側媒体の、搬送方向下流側の部分に接触して、キャリッジの移動に支障が出るおそれがある。しかしながら、このように構成すると、第3媒体搬送工程で、媒体を搬送方向下流側に所定量搬送してから、キャリッジ移動工程で、キャリッジを第1方向側に移動させているため、媒体の巻き癖がより強くなっていても、第2横カット工程の後、第1横カット工程を行うために第1方向側に移動するキャリッジを支障なく移動させることが可能になる。
【0029】
本発明において、媒体切断装置は、カッターユニットが搭載されるとともにカッターユニット駆動機構によって媒体の幅方向に移動させられるキャリッジを備え、カッターユニットは、カッター刃が媒体に接触しない退避位置とカッター刃による媒体のカットが可能になるカット可能位置との間でカッター刃を移動させるカッター刃移動機構を備え、第1横カット工程は、第2横カット工程の前に行われ、凸状カット工程は、第1横カット工程の後に、カット可能位置に配置されるカッター刃を退避位置に移動させるカッター刃退避工程と、第1横カット工程の後に、媒体を搬送方向下流側に所定量搬送する第3媒体搬送工程と、カッター刃退避工程および第3媒体搬送工程の後に、媒体の幅方向においてカッター刃の刃先が第2突刺し箇所と同じ位置に配置されるまでキャリッジを第2方向側に移動させるキャリッジ移動工程と、キャリッジ移動工程の後に、媒体の搬送方向においてカッター刃の刃先が第2突刺し箇所と同じ位置に配置されるまで媒体を搬送方向上流側に搬送する第4媒体搬送工程と、第4媒体搬送工程の後に、退避位置に配置されるカッター刃をカット可能位置に移動させるカッター刃配置工程とを備え、第2横カット工程は、カッター刃配置工程の後に行われても良い。
【0030】
上記と同様に、本願発明者の検討によれば、媒体の巻き癖がより強くなっていると、第1横カット工程の後、第2横カット工程が行われる前であっても、第1上流側媒体の、搬送方向下流側の部分の浮きが大きくなり、その結果、第1横カット工程の後、第2横カット工程を行うために第2方向側に移動するキャリッジやキャリッジに搭載される各種の構成が、第1上流側媒体の、搬送方向下流側の部分に接触して、キャリッジの移動に支障が出るおそれがある。しかしながら、このように構成すると、第3媒体搬送工程で、媒体を搬送方向下流側に所定量搬送してから、キャリッジ移動工程で、キャリッジを第2方向側に移動させているため、媒体の巻き癖がより強くなっていても、第1横カット工程の後、第2横カット工程を行うために第2方向側に移動するキャリッジを支障なく移動させることが可能になる。
【0031】
本発明において、媒体切断方法は、凸状カット工程の後に、カッターユニットを所定の待機位置に移動させる待機位置移動工程を備え、カッターユニットは、カッター刃が媒体に接触しない退避位置とカッター刃による媒体のカットが可能になるカット可能位置との間でカッター刃を移動させるカッター刃移動機構を備え、第2横カット工程は、第1横カット工程の前に行われ、待機位置に配置されるカッターユニットは、媒体よりも第2方向側に配置され、第1横カット工程の完了時には、カッター刃は、媒体よりも第1方向側に配置され、待機位置移動工程は、第1横カット工程の後に、カット可能位置に配置されるカッター刃を退避位置に移動させるカッター刃退避工程と、第1横カット工程の後に、媒体を搬送方向下流側に所定量搬送する第5媒体搬送工程と、カッター刃退避工程および第5媒体搬送工程の後に、待機位置にカッターユニットを移動させるカッターユニット移動工程とを備えることが好ましい。
【0032】
本願発明者の検討によれば、凸状カット工程が終わったときに(具体的には、第1横カット工程が終わったときに)、第1上流側媒体の、搬送方向下流側かつ第1方向側の端部がめくれ上がる場合がある。そのため、第1横カット工程が終わった後、カッター刃を退避位置に移動させた状態でカッターユニットをそのまま待機位置に移動させると、第1上流側媒体のめくれ上がった部分にカッターユニットが接触して、カッターユニットの移動に支障が出るおそれがある。しかしながら、このように構成すると、第5媒体搬送工程で、媒体を搬送方向下流側に所定量搬送してから、カッターユニット移動工程で、カッターユニットを待機位置に移動させているため、第1上流側媒体の、搬送方向下流側かつ第1方向側の端部がめくれ上がっていても、凸状カット工程の後、待機位置に移動するカッターユニットを支障なく移動させることが可能になる。
【0033】
本発明において、媒体切断装置は、媒体の搬送方向における媒体の一部分が載置されるプラテンと、プラテンに載置される媒体の第1方向側の端部を上側から押える第1媒体ガイドと、プラテンに載置される媒体の第2方向側の端部を上側から押える第2媒体ガイドとを備え、第1媒体ガイドの搬送方向下流側端および第2媒体ガイドの搬送方向下流側端は、カッター刃の刃先よりも搬送方向上流側に配置され、第1媒体ガイドの搬送方向上流側端は、第1斜めカット工程完了時の第1突刺し箇所よりも搬送方向上流側に配置され、第2媒体ガイドの搬送方向上流側端は、第2斜めカット工程完了時の第2突刺し箇所よりも搬送方向上流側に配置されていることが好ましい。
【0034】
このように構成すると、たとえば、第1斜めカット工程の後に第2突刺し工程と第2斜めカット工程とが行われる場合、第1斜めカット工程の後であって第2突刺し工程の前に媒体が搬送方向下流側に搬送されるが、この媒体の搬送時に、媒体の、第1斜めカット工程で切られた部分が第1媒体ガイドの搬送方向上流側端に引っ掛かるのを防止することが可能になる。また、このように構成すると、第2斜めカット工程の後であって第1横カット工程および第2横カット工程の前に媒体が搬送方向下流側に搬送されるが、この媒体の搬送時に、媒体の、第2斜めカット工程で切られた部分が第2媒体ガイドの搬送方向上流側端に引っ掛かるのを防止することが可能になる。したがって、媒体を適切に搬送することが可能になる。
【0035】
本発明において、カッターユニットは、カッター刃が固定されるカッターホルダと、カッターホルダを回動可能に保持するユニットフレームとを備え、カッターホルダは、媒体の厚さ方向を回動の軸方向としてユニットフレームに対して回動可能となっており、第1斜めカット工程および第2斜めカット工程では、カッター刃は、ユニットフレームに対して回動が可能な状態となっており、第1斜めカット工程での、媒体の幅方向に対する媒体のカット角度、および、第2斜めカット工程での、媒体の幅方向に対する媒体のカット角度は、媒体の幅にかかわらず一定になっていることが好ましい。
【0036】
このように構成すると、媒体の幅にかかわらず、第1斜めカット工程および第2斜めカット工程において、ユニットフレームに対するカッターホルダの回動角度を一定にすることが可能になる。したがって、第1斜めカット工程および第2斜めカット工程において、ユニットフレームに対してカッターホルダが過剰に回動するのを防止することが可能になり、その結果、カッター刃の損傷を防止することが可能になる。
【0037】
本発明において、媒体切断方法は、たとえば、媒体を停止させた状態でカッター刃を媒体の幅方向に移動させて媒体の幅方向の全域で媒体を切る第2直線状カット工程と、第2直線状カット工程の後に、媒体を搬送方向下流側に所定量搬送する第2媒体搬送工程とを備え、直線状カット工程は、第2媒体搬送工程の後に行われる。
【0038】
この媒体切断方法で切断された媒体の、直線状カット工程でのカット位置よりも搬送方向下流側に配置される媒体を下流側媒体とし、直線状カット工程完了時の媒体の幅方向における下流側媒体の端部を下流側媒体端部とすると、媒体の搬送方向下流側の端部が接続される巻き取り用の紙管に、下流側媒体を用いて、媒体の搬送方向下流側の端部を接続することが好ましい。この媒体端部接続方法では、媒体の搬送方向下流側の端部に一方の下流側媒体端部を固定し、他方の下流側媒体端部を紙管に固定して媒体の搬送方向下流側の端部を紙管に接続する。
【0039】
本願発明者が開発する媒体切断装置において、たとえば、媒体に印刷加工を行う印刷機構等の媒体に所定の加工を行うための加工機構と巻取ロールの紙管との媒体の搬送方向における距離が長くなっている場合、媒体の搬送方向下流側の端部(長手方向の一端部)がテープ等によって巻取ロールの紙管に直接固定されると、媒体の、紙管に固定される部分と加工機構の近傍に配置される部分との間の、加工機構による加工を行うことができない部分が長くなるため、媒体が無駄になるおそれがある。これに対して、この媒体端部接続方法によって媒体の搬送方向下流側の端部を紙管に接続すれば、加工機構と紙管との媒体の搬送方向における距離が長くなっていても、加工機構の近傍に配置された媒体の搬送方向下流側の端部と紙管とを下流側媒体によって繋ぐことが可能になるため、媒体の搬送方向下流側の端部から無駄なく加工機構によって媒体の加工を行うことが可能になる。したがって、加工機構と紙管との媒体の搬送方向における距離が長くなっていても、媒体の無駄を抑制することが可能になる。
【0040】
また、上記の課題を解決するため、本発明の媒体切断装置の制御方法は、長尺の媒体を切断するためのカッター刃を有するカッターユニットと、ロール状に巻回された媒体を保持する媒体繰出機構と、媒体の長手方向に媒体を搬送する媒体搬送機構と、媒体の長手方向と媒体の厚さ方向とに直交する媒体の幅方向にカッターユニットを移動させるカッターユニット駆動機構とを備える媒体切断装置の制御方法であって、媒体搬送機構による媒体の搬送方向のうちの、媒体繰出機構に対してカッター刃が配置される側を搬送方向下流側とし、搬送方向下流側の反対側を搬送方向上流側とすると、媒体を停止させた状態でカッターユニット駆動機構によってカッター刃を媒体の幅方向に移動させて媒体の幅方向の全域で媒体を切る直線状カットステップと、直線状カットステップの後に、媒体搬送機構によって媒体を搬送方向下流側に所定量搬送する媒体搬送ステップと、媒体搬送ステップの後に、カッターユニット駆動機構によってカッター刃を媒体の幅方向に移動させるとともに媒体搬送機構によって媒体を搬送して媒体の幅方向の全域で媒体を切る凸状カットステップとを備え、凸状カットステップでの媒体のカット位置よりも搬送方向上流側に配置される媒体を第1上流側媒体とし、直線状カットステップでの媒体のカット位置よりも搬送方向上流側に配置される媒体を第2上流側媒体とすると、第2上流側媒体の搬送方向下流側の端面は、媒体の幅方向に平行な直線状となっており、第1上流側媒体の搬送方向下流側の端面は、台形状または三角形状をなす凸状となっており、媒体搬送ステップでは、第2上流側媒体の搬送方向下流側端と第1上流側媒体の搬送方向下流側端との間に所定の間隔が形成される位置まで媒体を搬送することを特徴とする。
【0041】
本発明の媒体切断装置の制御方法では、第2上流側媒体の搬送方向下流側の端面が媒体の幅方向に平行な直線状となるように媒体を停止させた状態でカッター刃を媒体の幅方向に移動させて媒体の幅方向の全域で媒体を切る直線状カットステップの後であって、第1上流側媒体の搬送方向下流側の端面が台形状または三角形状をなす凸状となるようにカッター刃を媒体の幅方向に移動させるとともに媒体を搬送して媒体の幅方向の全域で媒体を切る凸状カットステップの前の媒体搬送ステップにおいて、第2上流側媒体の搬送方向下流側端と第1上流側媒体の搬送方向下流側端との間に所定の間隔が形成される位置まで媒体を搬送方向下流側に搬送している。
【0042】
そのため、本発明では、凸状カットステップが行われる前に、第2上流側媒体の搬送方向下流側の端面とカッターユニットの配置位置との媒体の搬送方向における距離を長くすることが可能になる。したがって、本発明では、媒体の巻き癖が強くなっていても、凸状カットステップを行うときに、媒体の搬送方向におけるカッターユニットの配置位置でのプラテンからの媒体の浮きを抑制することが可能になる。その結果、本発明の媒体切断装置の制御方法で媒体切断装置を制御すれば、媒体の巻き癖が強くなっていても、媒体を交換する前であって媒体の幅方向の全域に亘って媒体の幅方向と平行な直線状に媒体を切断した後に、媒体の端面が台形状または三角形状をなす凸状となるように媒体の長手方向の一端部を適切に切ることが可能になる。
【0043】
また、上記の課題を解決するため、本発明の媒体切断装置の制御方法は、長尺の媒体を切断するためのカッター刃を有するカッターユニットと、媒体に所定の加工を行うための加工機構と、ロール状に巻回された加工前の媒体を保持する媒体繰出機構と、媒体の長手方向に媒体を搬送する媒体搬送機構と、媒体の長手方向と媒体の厚さ方向とに直交する媒体の幅方向にカッターユニットを移動させるカッターユニット駆動機構とを備える媒体切断装置の制御方法であって、媒体搬送機構による媒体の搬送方向のうちの、媒体繰出機構に対してカッター刃が配置される側を搬送方向下流側とし、搬送方向下流側の反対側を搬送方向上流側とすると、ロール状に巻回された媒体が媒体繰出機構にセットされた後に、媒体搬送機構によって媒体を搬送方向下流側に所定量搬送する媒体搬送ステップと、媒体搬送ステップの後に、カッターユニット駆動機構によってカッター刃を媒体の幅方向に移動させるとともに媒体搬送機構によって媒体を搬送して媒体の幅方向の全域で媒体を切る凸状カットステップとを備え、凸状カットステップでの媒体のカット位置よりも搬送方向上流側に配置される媒体を第1上流側媒体とすると、第1上流側媒体の搬送方向下流側の端面は、台形状または三角形状をなす凸状となっており、媒体搬送ステップの後であって凸状カットステップの前には加工機構による媒体の加工は行われずに、凸状カットステップの後に加工機構による媒体の加工が行われ、媒体搬送ステップでは、凸状カットステップの前の媒体の搬送方向下流側端と第1上流側媒体の搬送方向下流側端との間に所定の間隔が形成される位置まで媒体を搬送することを特徴とする。
【0044】
本発明の媒体切断装置の制御方法では、ロール状に巻回された媒体が媒体繰出機構にセットされた後であって、第1上流側媒体の搬送方向下流側の端面が台形状または三角形状をなす凸状となるようにカッター刃を媒体の幅方向に移動させるとともに媒体を搬送して媒体の幅方向の全域で媒体を切る凸状カットステップの前の媒体搬送ステップにおいて、凸状カットステップの前の媒体の搬送方向下流側端と第1上流側媒体の搬送方向下流側端との間に所定の間隔が形成される位置まで媒体を搬送方向下流側に搬送している。
【0045】
そのため、本発明では、凸状カットステップが行われる前に、媒体の搬送方向下流側端とカッターユニットの配置位置との媒体の搬送方向における距離を長くすることが可能になる。したがって、本発明では、媒体の巻き癖が強くなっていても、凸状カットステップを行うときに、媒体の搬送方向におけるカッターユニットの配置位置でのプラテンからの媒体の浮きを抑制することが可能になる。その結果、本発明の媒体切断装置の制御方法で媒体切断装置を制御すれば、媒体の巻き癖が強くなっていても、媒体を交換した後に、媒体の端面が台形状または三角形状をなす凸状となるように媒体の長手方向の一端部を適切に切ることが可能になる。
【発明の効果】
【0046】
以上のように、本発明の媒体切断方法および媒体切断装置の制御方法では、長尺の媒体を切断するための媒体切断装置において、媒体の巻き癖が強くなっていても、媒体を交換する前であって媒体の幅方向の全域に亘って媒体の幅方向と平行な直線状に媒体を切断した後に、あるいは、媒体を交換した後に、媒体の端面が台形状または三角形状をなす凸状となるように媒体の長手方向の一端部を適切に切ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる媒体切断装置の構成を説明するための側面図である。
【
図2】
図1に示す媒体切断装置の構成を説明するためのブロック図である。
【
図3】
図1に示す紙管への媒体の固定方法を説明するための図である。
【
図4】
図1のE-E方向からキャリッジ等を示す正面図である。
【
図6】
図1に示すカッターユニットの斜視図である。
【
図7】
図1に示すカッターユニットが有するカッター刃の先端部の側面図である。
【
図8】
図6に示すカッターユニットの構成を説明するための側面図である。
【
図9】
図6に示すカッターユニットの構成を説明するための平面図である。
【
図10】
図1に示す媒体切断装置での媒体の切断手順を説明するための工程図である。
【
図11】
図10に示す媒体の切断手順で切断される媒体の切断方法を説明するための図である。
【
図12】
図10に示す媒体の切断手順で切断される媒体の切断方法を説明するための図である。
【
図13】
図10に示す媒体の切断手順で切断される媒体の切断方法を説明するための図である。
【
図14】本発明の他の実施の形態にかかる媒体の切断手順を説明するための工程図である。
【
図15】本発明の他の実施の形態にかかる媒体の切断手順を説明するための工程図である。
【
図16】
図15に示す媒体の切断手順で切断される媒体の切断方法を説明するための図である。
【
図17】
図15に示す媒体の切断手順で切断されて形成された下流側媒体を用いて媒体の搬送方向下流側の端部と紙管とを接続する接続方法を説明するための図である。
【
図18】本発明の他の実施の形態にかかる凸状カット工程を説明するための工程図である。
【
図19】
図18に示す凸状カット工程を説明するための図である。
【
図20】
図18に示す凸状カット工程を説明するための図である。
【
図21】本発明の他の実施の形態にかかる媒体の切断方法を説明するための工程図である。
【
図22】
図21に示す媒体の切断方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0049】
(印刷装置の全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる印刷装置1の構成を説明するための側面図である。
図2は、
図1に示す印刷装置1の構成を説明するためのブロック図である。
図3は、
図1に示す紙管26への媒体2の固定方法を説明するための図である。
図4は、
図1のE-E方向からキャリッジ7等を示す正面図である。
図5は、
図1のF部の拡大図である。
【0050】
本形態の印刷装置1は、細長い帯状に形成される長尺の媒体2に印刷を行うための業務用のインクジェットプリンタである。媒体2は、軟質のポリ塩化ビニールや紙などの軟質のメディア等で形成されている。また、印刷装置1は、媒体2を切断して媒体2の長手方向で媒体2を分離するための切断機能を備えている。印刷装置1は、切断前の媒体2にインクジェット方式で印刷を行う印刷機構3と、印刷機構3を下側から支持する支持体4とを備えている。印刷機構3は、媒体2にインクを吐出して印刷を行うインクジェットヘッド6(以下、「ヘッド6」とする。)と、ヘッド6が搭載されるキャリッジ7とを備えている。本形態の印刷装置1は、長尺の媒体2を切断するための媒体切断装置である。また、本形態の印刷機構3は、媒体2に所定の加工を行うための加工機構である。
【0051】
また、印刷装置1は、媒体2を切断するためのカッター刃8(
図7等参照)を有するカッターユニット9と、媒体2の長手方向に媒体2を搬送する媒体搬送機構10と、媒体2の長手方向と媒体2の厚さ方向とに直交する媒体2の幅方向(主走査方向、
図1等のY方向)にキャリッジ7を移動させるキャリッジ駆動機構11と、印刷機構3に向かって印刷前の媒体2を送り出す媒体繰出機構12と、印刷後の媒体2を巻き取る媒体巻取機構13とを備えている。また、印刷装置1は、印刷装置1を制御する制御部14を備えている。
【0052】
以下の説明では、媒体2の幅方向(
図1等のY方向)を「左右方向」とし、上下方向(鉛直方向、
図1等のZ方向)と左右方向とに直交する方向(
図1等のX方向)を「前後方向」とする。また、左右方向の一方側である
図3等のY1方向側を「左」側とし、その反対側である
図3等のY2方向側を「右」側とし、前後方向の一方側である
図1等のX1方向側を「前」側とし、その反対側である
図1等のX2方向側を「後ろ」側とする。本形態の左側(Y1方向側)は、媒体2の幅方向の一方側である第1方向側となっており、右側(Y2方向側)は、媒体2の幅方向の他方側である第2方向側となっている。
【0053】
また、以下の説明では、媒体搬送機構10による媒体2の搬送方向を「媒体搬送方向」とする。また、媒体搬送方向の上流側を「搬送方向上流側」とし、媒体搬送方向の下流側を「搬送方向下流側」とする。すなわち、媒体搬送方向のうちの、媒体繰出機構12に対して媒体巻取機構13が配置される側を「搬送方向下流側」とし、搬送方向下流側の反対側を「搬送方向上流側」とする。カッター刃8は、媒体繰出機構12よりも搬送方向下流側に配置されており、媒体繰出機構12に対してカッター刃8が配置される側が搬送方向下流側となっている。
【0054】
キャリッジ7は、左右方向への移動が可能となるように支持フレーム17に支持されている。キャリッジ7の下側には、プラテン18が配置されている。すなわち、印刷装置1は、キャリッジ7の下側に配置されるプラテン18を備えている。ヘッド6は、下側に向かってインクを吐出する。ヘッド6の下端面には、インクを吐出する複数のノズルが形成されている。ヘッド6の下端面は、キャリッジ7の下端面よりも下側に配置されている。キャリッジ駆動機構11は、たとえば、キャリッジ7に一部分が固定されるベルトと、ベルトが掛け渡されるプーリと、プーリを回転させるためのモータとを備えている。
【0055】
プラテン18の上面は、上下方向に直交する平面となっている。プラテン18には、媒体搬送方向における媒体2の一部分が載置されている。また、プラテン18には、媒体2の、ヘッド6による印刷が行われる部分が載置される。プラテン18に載置される媒体2の厚さ方向は、上下方向と略一致している。本形態では、印刷前の媒体2は、後ろ側からプラテン18の上面に搬送され、印刷後の媒体2は、プラテン18の上面から前側に搬送される。
【0056】
プラテン18の上面には、プラテン18に載置される媒体2の左端部を上側から押える第1媒体ガイド15(
図11~
図13参照)と、プラテン18に載置される媒体2の右端部を上側から押える第2媒体ガイド16とが固定されている。すなわち、印刷装置1は、第1媒体ガイド15と第2媒体ガイド16とを備えている。第1媒体ガイド15は、プラテン18の上面の左端部に固定され、第2媒体ガイド16は、プラテン18の上面の右端部に固定されている。第1媒体ガイド15と第2媒体ガイド16とは、同形状に形成されている。また、第1媒体ガイド15と第2媒体ガイド16とは、媒体搬送方向において同じ位置に配置されている。
【0057】
媒体搬送機構10は、搬送ローラ19と、搬送ローラ19に対向配置されるとともに搬送ローラ19に向かって付勢されるパッドローラ20とを備えている。搬送ローラ19およびパッドローラ20は、ヘッド6、カッター刃8およびプラテン18よりも搬送方向上流側に配置されている。搬送ローラ19は、プラテン18の後ろ側に配置されている。搬送ローラ19の上端とプラテン18の上面とは、上下方向において略同じ位置に配置されている。パッドローラ20は、搬送ローラ19の上側に配置されている。搬送ローラ19は、搬送ローラ19を回転させる駆動機構に連結されている。駆動機構は、駆動源としてのモータを備えている。媒体2は、搬送ローラ19とパッドローラ20との間に挟まれた状態で搬送される。
【0058】
カッターユニット9は、キャリッジ7に搭載されている。カッターユニット9は、プラテン18に載置される媒体2の上側に配置されており、プラテン18には、媒体2の、カッター刃8による切断が行われる部分が載置される。カッターユニット9は、キャリッジ7の左端部に搭載されている。カッターユニット9は、キャリッジ7に搭載されるヘッド6の左側に配置されている。すなわち、ヘッド6は、カッターユニット9の右側に配置されている。カッターユニット9は、キャリッジ7と一緒に左右方向に移動する。本形態のキャリッジ駆動機構11は、媒体2の幅方向である左右方向にカッターユニット9を移動させるカッターユニット駆動機構であり、カッターユニット駆動機構がキャリッジ7を媒体2の幅方向に移動させる。カッターユニット9の具体的な構成については後述する。
【0059】
なお、ヘッド6が吐出するインクが紫外線硬化型のインクである場合には、ヘッド6から媒体2に吐出されたインクに紫外線を照射する紫外線照射ユニット29がキャリッジ7に搭載されている。紫外線照射ユニット29は、たとえば、
図4の二点鎖線で示すように、キャリッジ7の左端部に搭載されており、カッターユニット9の左側に配置されている。
【0060】
媒体繰出機構12は、印刷機構3の下側に配置されている。媒体繰出機構12は、繰出ロール23を回転可能に保持している。繰出ロール23は、繰出ロール23の中心を構成する円筒状の紙管24と、紙管24にロール状に巻回された印刷前の媒体2とから構成されている。すなわち、媒体繰出機構12は、ロール状に巻回された印刷前の媒体2を保持している。紙管24には、媒体2の端部が固定されている。具体的には、紙管24には、媒体2の搬送方向上流側の端部が固定されている。媒体繰出機構12は、紙管24の内周側に挿通される回転軸を備えている。
【0061】
媒体巻取機構13は、印刷機構3の下側に配置されている。媒体巻取機構13は、巻取ロール25を回転可能に保持している。巻取ロール25は、巻取ロール25の中心を構成する円筒状の紙管26と、紙管26にロール状に巻回された印刷後の媒体2とから構成されている。すなわち、媒体巻取機構13は、ロール状に巻回された印刷後の媒体2を保持している。紙管26の外径は、3インチまたは2インチとなっている。紙管26には、媒体2の端部が固定されている。具体的には、紙管26には、媒体2の搬送方向下流側の端部が固定されている。すなわち、紙管26には、媒体2の搬送方向下流側の端部が接続されている。また、紙管26には、媒体2の搬送方向下流側の端部が、たとえば、テープ27によって固定されている(
図3参照)。
【0062】
媒体巻取機構13は、紙管26の内周側に挿通される回転軸と、回転軸を回転させる駆動機構とを備えている。また、媒体巻取機構13は、巻取ロール25に巻き取られる媒体2の張力が所定の張力を超えないように巻取ロール25を空転させるためのトルクリミッタを備えている。媒体巻取機構13は、媒体2の搬送方向下流側の端部が接続される巻き取り用の紙管26を回転させて紙管26に媒体2を巻き取る。
【0063】
制御部14には、媒体搬送機構10が電気的に接続されている。具体的には、制御部14には、媒体搬送機構10の一部を構成するモータ等が電気的に接続されている。また、制御部14には、キャリッジ駆動機構11が電気的に接続されている。具体的には、制御部14には、キャリッジ駆動機構11の一部を構成するモータ等が電気的に接続されている。また、制御部14には、カッターユニット9の一部を構成する後述の昇降機構33と切替機構34とが電気的に接続されている。具体的には、制御部14には、昇降機構33の一部を構成する後述のソレノイド37と切替機構34の一部を構成する後述のソレノイド43とが電気的に接続されている。
【0064】
(カッターユニットの構成)
図6は、
図1に示すカッターユニット9の斜視図である。
図7は、
図1に示すカッターユニット9が有するカッター刃8の先端部の側面図である。
図8は、
図6に示すカッターユニット9の構成を説明するための側面図である。
図9は、
図6に示すカッターユニット9の構成を説明するための平面図である。
【0065】
カッターユニット9は、カッター刃8が固定されるカッターホルダ31と、カッターホルダ31を回動可能に保持するユニットフレーム32とを備えている。カッター刃8は、プラテン18に載置される媒体2を切断する。カッターホルダ31は、プラテン18に載置される媒体2の厚さ方向を回動の軸方向としてユニットフレーム32に対して回動可能となっている。すなわち、カッターホルダ31は、カッター刃8によって切断される媒体2の厚さ方向を回動の軸方向としてユニットフレーム32に対して回動可能となっている。具体的には、カッターホルダ31は、上下方向を回動の軸方向としてユニットフレーム32に対して回動可能となっている。なお、
図6では、カッター刃8の図示を省略している。
【0066】
また、ユニットフレーム32は、カッターホルダ31を昇降可能に保持しており、カッターホルダ31は、ユニットフレーム32に対して昇降可能となっている。カッターユニット9は、ユニットフレーム32に対してカッターホルダ31を昇降させる昇降機構33を備えている。また、カッターユニット9は、ユニットフレーム32に対するカッターホルダ31の回動が規制される回動規制状態と、ユニットフレーム32に対するカッターホルダ31の回動が可能となる回動可能状態とにカッターホルダ31の状態を切り替える切替機構34を備えている。
【0067】
カッター刃8は、刃先が尖っている両刃型のカッター刃である(
図7参照)。カッターホルダ31は、ユニットフレーム32の前端部に、昇降可能かつ回動可能に取り付けられている。カッター刃8は、カッターホルダ31の前下端部に固定されている。カッターホルダ31が回動規制状態になっているときには、カッター刃8の厚さ方向は、前後方向と一致し、カッター刃8の幅方向は、左右方向と一致している。なお、カッター刃8は、片刃型のカッター刃であっても良い。
【0068】
ユニットフレーム32は、キャリッジ7に固定されている。ユニットフレーム32には、カッターホルダ31を上下方向に案内するためのガイド軸35が固定されている。ガイド軸35は、ガイド軸35の軸方向と上下方向とが一致するように配置されている。カッターホルダ31には、ガイド軸35が挿通されるガイド穴が形成されており、このガイド穴は、上下方向でカッターホルダ31を貫通している。ガイド軸35は、上下方向を回動の軸方向としてユニットフレーム32に対して回動するカッターホルダ31の回動中心になっている。
【0069】
昇降機構33は、ユニットフレーム32に回動可能に保持されるレバー部材36と、ユニットフレーム32に対してレバー部材36を回動させるためのソレノイド37と、ユニットフレーム32に対してカッターホルダ31を上側に向かって付勢する圧縮コイルバネ38とを備えている。レバー部材36は、左右方向を回動の軸方向としてユニットフレーム32に対して回動可能となっている。ユニットフレーム32には、レバー部材36の後端部が回動可能に保持されている。レバー部材36の前端部は、カッターホルダ31に係合している。カッターホルダ31には、レバー部材36の前端部が挿入されて係合する係合凹部31aが形成されている。
【0070】
ソレノイド37は、ソレノイド37のプランジャ37aが上側に突出するようにユニットフレーム32に固定されている。プランジャ37aの上端部には、前後方向におけるレバー部材36の中間部分に係合する係合ピン39が固定されている。圧縮コイルバネ38には、ガイド軸35が挿通されている。圧縮コイルバネ38の上端は、カッターホルダ31に接触し、圧縮コイルバネ38の下端は、ユニットフレーム32に接触している。
【0071】
ソレノイド37が非通電状態であるときには、カッターホルダ31は、圧縮コイルバネ38の付勢力によって上昇している。圧縮コイルバネ38の付勢力によってカッターホルダ31が上昇しているときには、カッター刃8の下端は、プラテン18に載置される媒体2に接触しない位置まで上昇している。ソレノイド37が通電状態になると、プランジャ37aが下降して、レバー部材36の前端が下降する方向にレバー部材36が回動し、カッターホルダ31が下降する。カッターホルダ31が下降すると、カッター刃8による媒体2のカットが可能になる。すなわち、カッター刃8で媒体2を切るときには、ソレノイド37が通電状態になる。
【0072】
このように本形態では、カッター刃8は、カッター刃8が媒体2に接触しない位置まで上昇するとともに、カッター刃8による媒体2のカットが可能になる位置まで下降する。本形態の昇降機構33は、カッター刃8が媒体2に接触しない退避位置とカッター刃8による媒体2のカットが可能になるカット可能位置との間でカッター刃8を移動させるカッター刃移動機構となっている。
【0073】
切替機構34は、上下方向を回動の軸方向とするカッターホルダ31の回動を規制するための規制部材42を備えている。規制部材42は、前後方向への移動が可能となるようにユニットフレーム32に保持されている。規制部材42は、カッターホルダ31の上端部の後ろ側に配置されている。規制部材42の前側に配置されるカッターホルダ31の上端部の後面は、平面となっている。規制部材42の前端面は、左右方向から見たときの形状が半円弧状となる曲面となっている。
【0074】
また、切替機構34は、規制部材42がカッターホルダ31に近づく規制位置42A(
図8(A)参照)と規制部材42がカッターホルダ31から遠ざかる規制解除位置42B(
図8(B)参照)とに規制部材42を移動させるための駆動源であるソレノイド43を備えている。すなわち、切替機構34は、ユニットフレーム32に対して規制部材42を前後方向に移動させるためのソレノイド43を備えている。さらに、切替機構34は、ユニットフレーム32に対して規制部材42を前側に向かって付勢する引張りコイルバネ44を備えている。
【0075】
ソレノイド43は、ソレノイド43のプランジャ43aが前側に突出するようにユニットフレーム32に固定されている。プランジャ43aの前端部には、規制部材42の後端部に係合する係合ピン45が固定されている。引張りコイルバネ44の前端部は、ユニットフレーム32に取り付けられ、引張りコイルバネ44の後端部は、規制部材42の後端部に取り付けられている。ソレノイド43が非通電状態であるときには、規制部材42は、引張りコイルバネ44の付勢力によって規制位置42Aに配置されている。ソレノイド43が通電状態になると、プランジャ43aが後ろ側に移動するとともに、規制部材42が後ろ側に移動して、規制部材42が規制解除位置42Bに配置される。
【0076】
規制位置42Aに配置されている規制部材42の前端面は、カッターホルダ31の上端部の後面に軽く接触しているか、あるいは、規制位置42Aに配置されている規制部材42の前端面とカッターホルダ31の上端部の後面との間にはわずかな隙間が形成されている。そのため、規制部材42が規制位置42Aに配置されると、カッターホルダ31は、ユニットフレーム32に対するカッターホルダ31の回動が規制される回動規制状態になる。
【0077】
一方、規制解除位置42Bに配置されている規制部材42の前端面とカッターホルダ31の上端部の後面との間には大きな隙間が形成されており、規制部材42が規制解除位置42Bに配置されると、カッターホルダ31は、ユニットフレーム32に対するカッターホルダ31の回動が可能となる回動可能状態になる。カッターホルダ31が回動可能状態になると、
図9(B)に示すように、カッターホルダ31の、
図9の反時計回りの方向(以下、この方向を「反時計方向」とする。)への回動と、
図9(C)に示すように、カッターホルダ31の、
図9の時計回りの方向(以下、この方向を「時計方向」とする。)への回動とが可能になる。
【0078】
なお、カッターユニット9は、回動可能状態のカッターホルダ31の回動範囲(回動角度)を規制する回動範囲規制部材を備えている。この回動範囲規制部材は、ユニットフレーム32に固定されている。この回動範囲規制部材は、カッターホルダ31の後面に接触可能となっており、時計方向へのカッターホルダ31の回動範囲と反時計方向へのカッターホルダ31の回動範囲を規制する。この回動範囲規制部材は、たとえば、カッター刃8の厚さ方向が前後方向と一致しているときのカッターホルダ31の、時計方向への最大回動角度および反時計方向への最大回動角度を15°程度に規制する。
【0079】
(媒体切断方法)
図10は、
図1に示す印刷装置1での媒体2の切断手順を説明するための工程図である。
図11~
図13は、
図10に示す媒体2の切断手順で切断される媒体2の切断方法を説明するための図である。なお、
図11~
図13の一点鎖線で示す位置は、媒体搬送方向におけるカッター刃8の刃先の位置であるカッター刃位置CPとなっている。
【0080】
印刷装置1では、ある媒体2への印刷が終了した後、この媒体2と異なる媒体2(具体的には、材質や幅が異なる媒体2)に対して印刷が行われる場合、印刷装置1にセットされる媒体2が交換される。媒体2の交換前には、カッター刃8によって媒体2が切断される。以下、印刷装置1において交換前の媒体2に対して行われる媒体2の切断方法を説明する。
【0081】
なお、媒体2の交換作業では、切断位置よりも搬送方向上流側に配置される印刷前の媒体2を、たとえば、繰出ロール23に巻き取って媒体繰出機構12から取り外し、切断位置よりも搬送方向下流側に配置される印刷後の媒体2を、たとえば、巻取ロール25に巻き取って媒体巻取機構13から取り外す。また、媒体2の交換作業では、その後、新たに印刷が行われる媒体2が巻回された繰出ロール23を媒体繰出機構12に取り付ける。また、繰出ロール23から媒体2を引き出して、プラテン18の上側を通過させた後、媒体2の搬送方向下流側の端部を紙管26に固定する。
【0082】
媒体2の切断方法には、媒体2を貫通するようにカッター刃8を媒体2に突き刺す突刺し工程ST1と、突刺し工程ST1でカッター刃8を突き刺した箇所である突刺し箇所SP1(
図11(A)参照)を起点にして媒体2に対してカッター刃8を左右方向に相対的に移動させて左右方向で媒体2を切る横カット工程ST2、ST3とが含まれている。また、媒体2の切断方法には、媒体2を搬送方向下流側に所定量搬送する媒体搬送工程ST4が含まれている。
【0083】
また、媒体2の切断方法には、媒体2を貫通するようにカッター刃8を媒体2の左端部に突き刺す突刺し工程ST5と、突刺し工程ST5でカッター刃8を突き刺した箇所である突刺し箇所SP2(
図11(C)参照)を起点にして搬送方向下流側および右側に媒体2に対してカッター刃8を相対的に移動させて少なくとも左右方向に対して傾斜した方向で媒体2を切る斜めカット工程ST6と、突刺し箇所SP2を起点にして媒体2に対してカッター刃8を左側に相対的に移動させて左右方向で媒体2を切る横カット工程ST10とが含まれている。
【0084】
さらに、媒体2の切断方法には、媒体2を貫通するようにカッター刃8を媒体2の右端部に突き刺す突刺し工程ST7と、突刺し工程ST7でカッター刃8を突き刺した箇所である突刺し箇所SP3(
図12(B)参照)を起点にして搬送方向下流側および左側に媒体2に対してカッター刃8を相対的に移動させて少なくとも左右方向に対して傾斜した方向で媒体2を切る斜めカット工程ST8と、突刺し箇所SP3を起点にして媒体2に対してカッター刃8を右側に相対的に移動させて左右方向で媒体2を切る横カット工程ST9とが含まれている。
【0085】
突刺し工程ST1、横カット工程ST2、横カット工程ST3、媒体搬送工程ST4、突刺し工程ST5、斜めカット工程ST6、突刺し工程ST7、斜めカット工程ST8、横カット工程ST9および横カット工程ST10は、この順番で行われる。本形態の媒体2の切断工程は、突刺し工程ST1と横カット工程ST2、ST3と媒体搬送工程ST4と突刺し工程ST5と斜めカット工程ST6と突刺し工程ST7と斜めカット工程ST8と横カット工程ST9、ST10とによって構成されている。
【0086】
媒体2の切断工程の開始時には、キャリッジ7およびカッターユニット9は、所定の待機位置(ホームポジション)に配置されている。待機位置に配置されるキャリッジ7およびカッターユニット9は、媒体2よりも右側に配置されている。また、印刷装置1は、プラテン18よりも右側に配置されるメンテナンスユニットを備えており、待機位置に配置されるキャリッジ7およびカッターユニット9は、メンテナンスユニットの上側に配置されている。メンテナンスユニットでは、ヘッド6の下端面に形成される複数のノズルに目詰まりが発生しないように、ヘッド6のクリーニングが行われる。
【0087】
媒体2の、印刷機構3による印刷が行われた部分を印刷部2aとし、媒体2の、媒体搬送方向における印刷部2aの上流側の部分であって印刷機構3による印刷が行われていない部分を非印刷部2bとすると、突刺し工程ST1、横カット工程ST2、ST3、突刺し工程ST5、斜めカット工程ST6、突刺し工程ST7、斜めカット工程ST8、横カット工程ST9および横カット工程ST10は、非印刷部2bに対して行われる。
【0088】
突刺し工程ST1では、左右方向における媒体2の中間位置にカッター刃8を突き刺す(
図11(A)参照)。突刺し工程ST1では、カッターホルダ31が上昇している状態のカッターユニット9を所定位置まで移動させた後に、カッターホルダ31を下降させて媒体2にカッター刃8を突き刺す。すなわち、突刺し工程ST1では、カッター刃8が退避位置に配置されている状態のカッターユニット9を所定位置まで移動させた後に、カッター刃8をカット可能位置に移動させて媒体2にカッター刃8を突き刺す。突刺し工程ST1では、カッターホルダ31は、回動規制状態になっており、カッター刃8は、ユニットフレーム32に対して回動しない。
【0089】
横カット工程ST2では、突刺し箇所SP1を起点にして媒体2の左端面までカッター刃8を左側に移動させて媒体2を切る(
図11(A)参照)。すなわち、横カット工程ST2では、媒体2を停止させた状態でカッターユニット9を左側に移動させて媒体2を切る。横カット工程ST3では、突刺し箇所ST1を起点にして媒体2の右端面までカッター刃8を右側に移動させて媒体2を切る(
図11(B)参照)。すなわち、横カット工程ST3では、媒体2を停止させた状態でカッターユニット9を右側に移動させて媒体2を切る。横カット工程ST2、ST3では、カッターホルダ31は、回動規制状態になっており、カッター刃8は、ユニットフレーム32に対して回動しない。
【0090】
本形態では、突刺し工程ST1と横カット工程ST2、ST3とによって、媒体2を停止させた状態でカッター刃8を左右方向に移動させて左右方向の全域で媒体2を切る直線状カット工程ST11が構成されている。直線状カット工程ST11が完了すると、直線状カット工程ST11での媒体2のカット位置で媒体2が分離する。直線状カット工程ST11での媒体2のカット位置よりも搬送方向上流側に配置される媒体2を上流側媒体2cとすると、上流側媒体2cの搬送方向下流側の端面は、左右方向に平行な直線状となっている。
【0091】
印刷装置1では、直線状カット工程ST11の前にヘッド6による媒体2の印刷が行われている。また、直線状カット工程ST11では、媒体2の、印刷が行われた部分(すなわち、印刷部2a)よりも搬送方向上流側の部分を切っている。以下の説明では、直線状カット工程ST11が完了したときの、上流側媒体2cの搬送方向下流側の端面を第1端面2dとする。本形態の上流側媒体2cは、第2上流側媒体である。
【0092】
媒体搬送工程ST4では、直線状カット工程ST11の後に媒体2を搬送方向下流側に所定量搬送する。媒体搬送工程ST4における媒体2の具体的な搬送量については後述する。
【0093】
突刺し工程ST5では、媒体2を貫通するようにカッター刃8を媒体2(具体的には、上流側媒体2c)の左端部に突き刺す(
図11(C)参照)。突刺し工程ST5では、突刺し工程ST1と同様に、カッターホルダ31が上昇している状態のカッターユニット9を所定位置まで移動させた後に、カッターホルダ31を下降させて媒体2にカッター刃8を突き刺す。突刺し工程ST5では、カッターホルダ31は、回動規制状態になっており、カッター刃8は、ユニットフレーム32に対して回動しない。
【0094】
斜めカット工程ST6では、突刺し箇所SP2を起点にして媒体2に対してカッター刃8を搬送方向下流側かつ右側に相対的に移動させて左右方向における中間位置まで媒体2を切ってから、カッター刃8を右側に所定量移動させて媒体2を切る(
図12(A)参照)。すなわち、斜めカット工程ST6では、媒体2(具体的には、上流側媒体2c)を搬送方向上流側に所定の速度で搬送しながらカッターユニット9を右側に所定の速度で移動させて突刺し箇所SP2から左右方向における中間位置まで媒体2を切った後、媒体2を停止させた状態でカッターユニット9を右側に所定の速度で所定量移動させて媒体2を切る。
【0095】
また、斜めカット工程ST6では、突刺し箇所SP2から斜め右側に向かって媒体2を直線的に切った後、右側に向かって媒体2を直線的に切る。斜めカット工程ST6で切られた媒体2のカット位置は、媒体搬送方向において第1端面2dまで到達していない。また、斜めカット工程ST6で切られた媒体2のカット位置は、左右方向において媒体2の右端面まで到達していない。
【0096】
斜めカット工程ST6では、カッターホルダ31は、回動可能状態になっており、カッター刃8は、ユニットフレーム32に対して回動可能な状態になっている。斜めカット工程ST6では、カッター刃8は、媒体2に対するカッター刃8の相対移動方向とカッター刃8の幅方向とが一致するようにユニットフレーム32に対して回動した後、媒体2に対するカッター刃8の相対移動方向とカッター刃8の幅方向とが一致している状態を維持しながら、媒体2に対して相対的に移動する。
【0097】
突刺し工程ST7では、媒体2を貫通するようにカッター刃8を媒体2(具体的には、上流側媒体2c)の右端部に突き刺す(
図12(B)参照)。突刺し工程ST7では、突刺し工程ST1と同様に、カッターホルダ31が上昇している状態のカッターユニット9を所定位置まで移動させた後に、カッターホルダ31を下降させて媒体2にカッター刃8を突き刺す。本形態では、突刺し箇所SP3は、媒体搬送方向において突刺し箇所SP2と同じ位置に形成される。
【0098】
そのため、斜めカット工程ST6の後、突刺し工程ST7の前には、媒体2は、搬送方向下流側に所定量搬送される。具体的には、斜めカット工程ST6の後、突刺し工程ST7の前に、媒体2は、斜めカット工程ST6における媒体2の搬送量と同じ量だけ搬送方向下流側に搬送される。また、本形態では、媒体2の左端面から突刺し箇所SP2までの距離(左右方向の距離)と、媒体2の右端面から突刺し箇所SP3までの距離(左右方向の距離)とが等しくなっている。突刺し工程ST7では、カッターホルダ31は、回動規制状態になっており、カッター刃8は、ユニットフレーム32に対して回動しない。
【0099】
斜めカット工程ST8では、突刺し箇所SP3を起点にして媒体2に対してカッター刃8を搬送方向下流側かつ左側に相対的に移動させて媒体2を切る(
図12(C)参照)。すなわち、斜めカット工程ST8では、媒体2(具体的には、上流側媒体2c)を搬送方向上流側に所定の速度で搬送しながらカッターユニット9を左側に所定の速度で移動させて媒体2を切る。また、斜めカット工程ST8では、突刺し箇所SP3から、斜めカット工程ST6でのカット位置の右端まで媒体2を直線的に切る。
【0100】
斜めカット工程ST8では、カッターホルダ31は、回動可能状態になっており、カッター刃8は、ユニットフレーム32に対して回動可能な状態になっている。斜めカット工程ST8では、カッター刃8は、媒体2に対するカッター刃8の相対移動方向とカッター刃8の幅方向とが一致するようにユニットフレーム32に対して回動した後、媒体2に対するカッター刃8の相対移動方向とカッター刃8の幅方向とが一致している状態を維持しながら、媒体2に対して相対的に移動する。
【0101】
横カット工程ST9では、突刺し箇所SP3を起点にして媒体2に対してカッター刃8を右側に移動させて突刺し箇所SP3から媒体2の右端面まで左右方向で媒体2を切る(
図13(A)参照)。すなわち、横カット工程ST9では、媒体2(具体的には、上流側媒体2c)を停止させた状態でカッターユニット9を右側に移動させて媒体2を切る。横カット工程ST9では、カッターホルダ31は、回動規制状態になっており、カッター刃8は、ユニットフレーム32に対して回動しない。なお、斜めカット工程ST8の後、横カット工程ST9の前には、媒体2は、斜めカット工程ST8における媒体2の搬送量と同じ量だけ搬送方向下流側に搬送される。
【0102】
横カット工程ST10では、突刺し箇所SP2を起点にして媒体2に対してカッター刃8を左側に移動させて突刺し箇所SP2から媒体2の左端面まで左右方向で媒体2を切る(
図13(B)参照)。すなわち、横カット工程ST10では、媒体2(具体的には、上流側媒体2c)を停止させた状態でカッターユニット9を左側に移動させて媒体2を切る。横カット工程ST10では、カッターホルダ31は、回動規制状態になっており、カッター刃8は、ユニットフレーム32に対して回動しない。なお、横カット工程ST9、ST10において、媒体2を確実に切るために、カッターユニット9を左右方向に往復移動させても良い。この場合には、カッターユニット9を左右方向に複数回、往復移動させても良い。
【0103】
本形態の突刺し工程ST5は、第1突刺し工程であり、斜めカット工程ST6は、第1斜めカット工程であり、突刺し工程ST7は、第2突刺し工程であり、斜めカット工程ST8は、第2斜めカット工程である。また、横カット工程ST10は、第1横カット工程であり、第1斜めカット工程および第2斜めカット工程の後に行われている。また、横カット工程ST9は、第2横カット工程であり、第1斜めカット工程および第2斜めカット工程の後であって、第1横カット工程の前に行われている。また、本形態の突刺し箇所SP2は、第1突刺し箇所であり、突刺し箇所SP3は、第2突刺し箇所である。
【0104】
本形態では、突刺し工程ST5と斜めカット工程ST6と突刺し工程ST7と斜めカット工程ST8と横カット工程ST9、ST10とによって、媒体搬送工程ST4の後に、カッター8を左右方向に移動させるとともに媒体2を搬送して左右方向の全域で媒体2を切る凸状カット工程ST12が構成されている。凸状カット工程ST12が完了すると、凸状カット工程ST12での媒体2のカット位置で媒体2が分離する。凸状カット工程ST12での媒体2のカット位置よりも搬送方向上流側に配置される媒体2を上流側媒体2eとすると、上流側媒体2eの搬送方向下流側の端面は、台形状をなす凸状になっている。以下の説明では、凸状カット工程ST12が完了したときの、上流側媒体2eの搬送方向下流側の端面を第2端面2fとする。本形態の上流側媒体2eは、第1上流側媒体である。
【0105】
図13(C)に示すように、第2端面2fは、左右方向に平行な3個の端面2g、2h、2jと、右側に向かうにしたがって搬送方向下流側に向かうように傾斜する直線状の端面2kと、左側に向かうにしたがって搬送方向下流側に向かうように傾斜する直線状の端面2pとから構成されている。端面2gは、左右方向における第2端面2fの中心部を構成し、端面2hは、第2端面2fの左端部を構成し、端面2jは、第2端面2fの右端部を構成している。端面2gの左端には、端面2kの一端が繋がり、端面2hの右端には、端面2kの他端が繋がっている。端面2gの右端には、端面2pの一端が繋がり、端面2jの左端には、端面2pの他端が繋がっている。
【0106】
本形態では、斜めカット工程ST6での左右方向に対する媒体2のカット角度(すなわち、端面2kの左右方向に対する傾斜角度)θ1(
図13(C)参照)と、斜めカット工程ST8での左右方向に対する媒体2のカット角度(すなわち、端面2pの左右方向に対する傾斜角度)θ2(
図13(C)参照)とが等しくなっている。そのため、第2端面2fは、等脚台形状になっている。カット角度θ1、θ2は、7°~13°となっている。より具体的には、カット角度θ1、θ2は、8°~12°となっている。本形態では、カット角度θ1、θ2は、10°となっている。
【0107】
また、カット角度θ1、θ2は、切断される媒体2の幅にかかわらず一定になっている。すなわち、切断される媒体2の幅が変わっても、カット角度θ1、θ2は、10°となっており、切断される媒体2の幅が1600mmであっても、カット角度θ1、θ2は10°であり、切断される媒体2の幅が1000mmであっても、カット角度θ1、θ2は10°である。また、上述のように、突刺し箇所SP2と突刺し箇所SP3とが媒体搬送方向において同じ位置に形成され、かつ、上流側媒体2cの左端面から突刺し箇所SP2までの距離と、上流側媒体2cの右端面から突刺し箇所SP3までの距離とが等しくなっているため、端面2kと端面2pとは左右対称に配置されている。
【0108】
上述のように、第1媒体ガイド15と第2媒体ガイド16とは、媒体搬送方向において同じ位置に配置されている。第1媒体ガイド15の搬送方向下流側端15aおよび第2媒体ガイド16の搬送方向下流側端16aは、カッター刃位置CPよりも搬送方向上流側に配置されている。すなわち、第1媒体ガイド15の搬送方向下流側端15aおよび第2媒体ガイド16の搬送方向下流側端16aは、カッター刃8の刃先よりも搬送方向上流側に配置されている。
【0109】
第1媒体ガイド15の搬送方向上流側端15bは、斜めカット工程ST6が完了したときの突刺し箇所SP2よりも搬送方向上流側に配置され、第2媒体ガイド16の搬送方向上流側端16bは、斜めカット工程ST8が完了したときの突刺し箇所SP3よりも搬送方向上流側に配置されている。すなわち、カット角度θ1は、斜めカット工程ST6が完了したときの突刺し箇所SP2よりも第1媒体ガイド15の搬送方向上流側端15bが搬送方向上流側に配置されるように設定され、カット角度θ2は、斜めカット工程ST8が完了したときの突刺し箇所SP3よりも第2媒体ガイド16の搬送方向上流側端16bが搬送方向上流側に配置されるように設定されている。
【0110】
なお、媒体2の交換前に行われる媒体2の切断後の上流側媒体2eの第2端面2fが台形状をなす凸状になっているため、印刷装置1から一旦取り外されて、その後、印刷装置1に再び取り付けられる印刷前の媒体2の搬送方向下流側の端面も台形状をなす凸状になっており、端面2g、2h、2j、2k、2pによって構成されている。したがって、媒体2の交換作業において、紙管26に固定される媒体2の搬送方向下流側の端面は、端面2g、2h、2j、2k、2pによって構成されている。(
図3参照)。紙管26には、端面2gが形成される媒体2の左右方向の中心部分が固定される。
【0111】
媒体搬送工程ST4では、搬送方向下流側に媒体2を一定量搬送する。また、媒体搬送工程ST4では、上流側媒体2cの搬送方向下流側端(すなわち、第1端面2d)と上流側媒体2eの搬送方向下流側端(すなわち、端面2g)との間に所定の間隔Lが形成される位置まで媒体2を搬送する。すなわち、媒体搬送工程ST4では、凸状カット工程ST12の前の媒体2の搬送方向下流側端と上流側媒体2eの搬送方向下流側端との間に所定の間隔Lが形成されるように媒体2を搬送する。
【0112】
具体的には、媒体搬送工程ST4では、
図5に示すように、媒体2の、凸状カット工程ST12においてヘッド6の下側に配置される部分とプラテン18の上面との上下方向の最大距離(すなわち、媒体2の、凸状カット工程ST12においてヘッド6の下側に配置される部分の中で一番高くなっている箇所とプラテン18の上面との上下方向の距離)D1が、ヘッド6の下端面とプラテン18の上面との上下方向の距離(ヘッドギャップ)D2よりも小さくなる位置まで媒体2を搬送する。より具体的には、媒体搬送工程ST4では、媒体2に巻き癖がついていても、最大距離D1が距離D2よりも小さくなる位置まで媒体2を搬送する。
【0113】
すなわち、媒体搬送工程ST4における媒体2の搬送距離は、第1端面2dと端面2gとの間に間隔Lが形成されるように設定されており、第1端面2dと端面2gとの間に間隔Lが形成されると、媒体2に巻き癖がついていても、最大距離D1が距離D2よりも小さくなる。本形態では、間隔Lは100mmとなっており、媒体搬送工程ST4において、第1端面2dと端面2gとの間に100mmの間隔Lが形成される位置まで媒体2が搬送されれば、媒体2に巻き癖がついていても、媒体2がヘッド6の下端面に接触するのを防止することが可能になっている。本形態では、媒体搬送工程ST4における媒体2の搬送距離は、媒体2に巻き癖がついているのか否かに関わらず、一定になっている。また、本形態では、媒体搬送工程ST4における媒体2の搬送距離は、媒体2の巻き癖の強弱に関係なく、一定になっている。なお、距離D2は、たとえば、2mm程度となっている。
【0114】
直線状カット工程ST11、媒体搬送工程ST4および凸状カット工程ST12は、自動で連続的に行われる。すなわち、印刷装置1では、制御部14に、直線状カット工程ST11、媒体搬送工程ST4および凸状カット工程ST12を連続的に実行するための制御プログラムが記憶されており、この制御プログラムに基づいて、制御部14がこれらの工程を連続的に実行する。たとえば、媒体2の交換が必要になって、印刷装置1のオペレータが所定の操作ボタンを押すと、制御部14は、これらの工程を連続的に実行する。すなわち、オペレータが操作ボタンを押すと、制御部14は、直線状カット工程ST11、媒体搬送工程ST4および凸状カット工程ST12をこの順番で順次実行する。
【0115】
本形態では、直線状カット工程ST11を実行するステップが、媒体2を停止させた状態でキャリッジ駆動機構11によってカッター刃8を左右方向に移動させて左右方向の全域で媒体2を切る直線状カットステップとなっている。また、媒体搬送工程ST4を実行するステップが、直線状カットステップの後に、媒体搬送機構10によって媒体2を搬送方向下流側に所定量搬送する媒体搬送ステップとなっている。媒体搬送ステップでは、第1端面2dと端面2gとの間に所定の間隔Lが形成される位置まで媒体2を搬送する。また、凸状カット工程ST12を実行するステップが、媒体搬送ステップの後に、キャリッジ駆動機構11によってカッター刃8を左右方向に移動させるとともに媒体搬送機構10によって媒体2を搬送して左右方向の全域で媒体2を切る凸状カットステップとなっている。
【0116】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、上流側媒体2cの第1端面2dが左右方向に平行な直線状となるように左右方向の全域で媒体2を切る直線状カット工程ST11の後であって、上流側媒体2eの第2端面2fが台形状をなす凸状となるように左右方向の全域で媒体2を切る凸状カット工程ST12の前の媒体搬送工程ST4において、上流側媒体2cの搬送方向下流側端と上流側媒体2eの搬送方向下流側端との間に所定の間隔Lが形成される位置まで媒体2を搬送方向下流側に搬送している。
【0117】
そのため、本形態では、凸状カット工程ST12が行われる前に、上流側媒体2cの第1端面2dとカッターユニット9との媒体搬送方向における距離を長くすることが可能になる。したがって、本形態では、媒体2の巻き癖が強くなっていても、凸状カット工程ST12を行うときに、媒体搬送方向におけるカッターユニット9の配置位置でのプラテン18からの媒体2の浮きを抑制することが可能になる。その結果、本形態では、媒体2の巻き癖が強くなっていても、媒体2を交換する前であって左右方向の全域に亘って左右方向と平行な直線状に媒体2を切断した後に、媒体2の端面が台形状をなす凸状となるように媒体2の長手方向の一端部を適切に切ることが可能になる。
【0118】
また、本形態では、媒体搬送工程ST4において、媒体2の、凸状カット工程ST12においてヘッド6の下側に配置される部分とプラテン18の上面との上下方向の最大距離D1が、ヘッド6の下端面とプラテン18の上面との上下方向の距離D2よりも小さくなる位置まで媒体2を搬送している。そのため、本形態では、媒体2の巻き癖が強くなっていても、凸状カット工程ST12を行うときに、左右方向に移動するヘッド6と媒体2との接触を防止することが可能になる。したがって、本形態では、媒体2の巻き癖が強くなっていても、媒体2の端面が台形状をなす凸状となるように媒体2の長手方向の一端部を確実に切ることが可能になるとともに、媒体2との接触に起因するヘッド6の損傷を防止することが可能になる。
【0119】
なお、媒体搬送工程ST4において、上流側媒体2cの搬送方向下流側端と上流側媒体2eの搬送方向下流側端との間に間隔Lが形成される位置まで媒体2が搬送方向下流側に搬送されないと、巻き癖が強くなっている媒体2がプラテン18から大きく浮くことがある。巻き癖が強くなっている媒体2がプラテン18から大きく浮くと、たとえば、
図5の二点鎖線で示すように、媒体2とプラテン18の上面との上下方向の最大距離D1が距離D2よりも大きくなって、凸状カット工程ST12において、ヘッド6やキャリッジ7と媒体2が接触する。
【0120】
本形態では、横カット工程ST9、ST10は、斜めカット工程ST6、ST8の後に行われており、斜めカット工程ST6、ST8が完了した時点でも、左右方向において媒体2は完全には切断されておらず、搬送方向上流側の媒体2と搬送方向下流側の媒体2とが左右方向の両側で繋がっている。そのため、本形態では、斜めカット工程ST8を行っている最中に、搬送方向下流側の媒体2に作用する重力によって搬送方向下流側の媒体2がちぎれるといった不具合の発生を防止することが可能になる。
【0121】
本形態では、横カット工程ST9は、横カット工程ST10の前に行われている。そのため、本形態では、横カット工程ST10を行っている最中に、搬送方向下流側の媒体2に作用する重力によって搬送方向下流側の媒体2がちぎれて落下するおそれが生じるが、横カット工程ST10を行っている最中に搬送方向下流側の媒体2がちぎれて落下しても、ちぎれて落下する搬送方向下流側の媒体2が左側に移動しながら落下する。したがって、本形態では、カッターユニット9の右側に配置されるヘッド6と、ちぎれて落下する搬送方向下流側の媒体2との接触を防止することが可能になり、その結果、ちぎれて落下する搬送方向下流側の媒体2との接触に起因するヘッド6の損傷を防止することが可能になる。
【0122】
本形態では、第1媒体ガイド15の搬送方向上流側端15bは、斜めカット工程ST6が完了したときの突刺し箇所SP2よりも搬送方向上流側に配置されている。そのため、本形態では、斜めカット工程ST6の後であって突刺し工程ST7の前に媒体2が搬送方向下流側に搬送されるときに、媒体2の、斜めカット工程ST6で切られた部分が第1媒体ガイド15の搬送方向上流側端15bに引っ掛かるのを防止することが可能になる。同様に、本形態では、第2媒体ガイド16の搬送方向上流側端16bが、斜めカット工程ST8が完了したときの突刺し箇所SP3よりも搬送方向上流側に配置されているため、斜めカット工程ST8の後であって横カット工程ST9の前に媒体2が搬送方向下流側に搬送されるときに、媒体2の、斜めカット工程ST8で切られた部分が第2媒体ガイド16の搬送方向上流側端16bに引っ掛かるのを防止することが可能になる。
【0123】
また、本形態では、斜めカット工程ST6が行われるときの搬送方向上流側への媒体2の搬送量と、斜めカット工程ST8が行われるときの搬送方向上流側への媒体2の搬送量とが等しいため、斜めカット工程ST8の後であって横カット工程ST9の前に媒体2が搬送方向下流側に搬送されるときに、媒体2の、斜めカット工程ST6で切られた部分が第1媒体ガイド15の搬送方向上流側端15bに引っ掛かるのを防止することが可能になる。したがって、本形態では、媒体2を適切に搬送することが可能になる。
【0124】
本形態では、斜めカット工程ST6、ST8での左右方向に対する媒体2のカット角度θ1、θ2が、切断される媒体2の幅にかかわらず一定になっており、斜めカット工程ST6、ST8において、ユニットフレーム32に対するカッターホルダ31の回動角度が、切断される媒体2の幅にかかわらず一定になっている。そのため、本形態では、斜めカット工程ST6、ST8において、ユニットフレーム32に対してカッターホルダ31が過剰に回動するのを防止することが可能になり、その結果、カッター刃8の損傷を防止することが可能になる。
【0125】
(媒体切断方法の変更例1)
図14は、本発明の他の実施の形態にかかる媒体2の切断手順を説明するための工程図である。
【0126】
上述した形態では、交換前の媒体2に対して直線状カット工程ST11と凸状カット工程ST12とが行われているが、交換前の媒体2に対して直線状カット工程ST11が行われ、交換後の媒体2に対して凸状カット工程ST12が行われても良い。この変更例では、直線状カット工程ST11が完了すると、印刷装置1から媒体2が取り外される。印刷装置1から一旦取り外されて、その後、印刷装置1に再び取り付けられる印刷前の媒体2の搬送方向下流側の端面は、左右方向に平行な直線状となっている。なお、この変更例では、印刷装置1から一旦取り外された媒体2が印刷装置1に再び取り付けられても良いし、新品の媒体2が印刷装置1に取り付けられても良い。新品の媒体2では、媒体2の搬送方向下流側の端面は、左右方向に平行な直線状となっている。
【0127】
交換後の媒体2に対して行われる媒体2の切断方法には、ロール状に巻回された媒体2を媒体繰出機構12にセットする媒体セット工程ST21と、媒体セット工程ST21の後に、媒体2を搬送方向下流側に所定量搬送する媒体搬送工程ST24と、媒体搬送工程ST24の後に、カッター刃8を左右方向に移動させるとともに媒体2を搬送して左右方向の全域で媒体2を切る凸状カット工程ST12とが含まれている。この変更例では、交換後の媒体2に対して行われる媒体2の切断工程は、媒体セット工程ST21と媒体搬送工程ST24と凸状カット工程ST12とによって構成されている。
【0128】
媒体セット工程ST21では、繰出ロール23を媒体繰出機構12にセットするとともに、媒体2の搬送方向下流側の端部を搬送ローラ19とパッドローラ20との間に挟む。媒体搬送工程ST24では、上述した形態と同様に、凸状カット工程ST12の前の媒体2の搬送方向下流側端と上流側媒体2eの搬送方向下流側端との間に所定の間隔Lが形成される位置まで媒体2を搬送する。具体的には、媒体搬送工程ST24では、媒体2に巻き癖がついていても、最大距離D1が距離D2よりも小さくなる位置まで媒体2を搬送する。凸状カット工程ST12では、上述した形態と同様に、上流側媒体2eの第2端面2fが台形状をなす凸状になるように左右方向の全域で媒体2を切る。
【0129】
凸状カット工程ST12が完了すると、媒体2が搬送方向下流側に所定量搬送されて、媒体2の搬送方向下流側の端部が紙管26に固定される。その後、媒体2の印刷が行われる。すなわち、この変更例では、媒体搬送工程ST24の後であって凸状カット工程ST12の前には印刷機構3による媒体2の印刷は行われず、凸状カット工程ST12の後に印刷機構3による媒体2の印刷が行われる。また、この変更例では、凸状カット工程ST12の後であって直線状カット工程ST11の前に、ヘッド6による媒体2の印刷が行われ、直線状カット工程ST11では、媒体2の、印刷が行われた部分よりも搬送方向上流側の部分を切る。
【0130】
媒体搬送工程ST24および凸状カット工程ST12は、自動で連続的に行われる。すなわち、上述した形態と同様に、制御部14に、媒体搬送工程ST24および凸状カット工程ST12を連続的に実行するための制御プログラムが記憶されており、この制御プログラムに基づいて、制御部14がこれらの工程を連続的に実行する。たとえば、媒体セット工程ST21が完了した後に、印刷装置1のオペレータが所定の操作ボタンを押すと、制御部14は、これらの工程を連続的に実行する。すなわち、オペレータが操作ボタンを押すと、制御部14は、媒体搬送工程ST24および凸状カット工程ST12をこの順番で順次実行する。
【0131】
この変更例では、媒体搬送工程ST24を実行するステップが、ロール状に巻回された媒体2が媒体繰出機構12にセットされた後に、媒体搬送機構10によって媒体2を搬送方向下流側に所定量搬送する媒体搬送ステップとなっている。また、凸状カット工程ST12を実行するステップが、媒体搬送ステップの後に、キャリッジ駆動機構11によってカッター刃8を左右方向に移動させるとともに媒体搬送機構10によって媒体2を搬送して左右方向の全域で媒体2を切る凸状カットステップとなっている。媒体搬送ステップでは、凸状カットステップの前の媒体2の搬送方向下流側端と上流側媒体2eの搬送方向下流側端との間に所定の間隔Lが形成される位置まで媒体2を搬送する。この変更例では、媒体搬送ステップの後であって凸状カットステップの前には印刷機構3による媒体2の印刷は行われずに、凸状カットステップの後に印刷機構3による媒体2の印刷が行われる。
【0132】
この変更例でも、上述した形態と同様に、凸状カット工程ST12が行われる前に、媒体2の搬送方向下流側端とカッターユニット9との媒体搬送方向における距離を長くすることが可能になる。したがって、媒体2の巻き癖が強くなっていても、凸状カット工程ST12を行うときに、媒体搬送方向におけるカッターユニット9の配置位置でのプラテン18からの媒体2の浮きを抑制することが可能になる。その結果、媒体2の巻き癖が強くなっていても、媒体2を交換した後に、媒体2の端面が台形状をなす凸状となるように媒体2の長手方向の一端部を適切に切ることが可能になる。
【0133】
(媒体切断方法の変更例2および媒体端部接続方法)
図15は、本発明の他の実施の形態にかかる媒体2の切断手順を説明するための工程図である。
図16は、
図15に示す媒体2の切断手順で切断される媒体2の切断方法を説明するための図である。
図17は、
図15に示す媒体2の切断手順で切断されて形成された下流側媒体2tを用いて媒体2の搬送方向下流側の端部と紙管26とを接続する接続方法を説明するための図である。
【0134】
上述した形態において、交換前の媒体2に対して行われる媒体2の切断方法に、媒体2を停止させた状態でカッター刃8を左右方向に移動させて左右方向の全域で媒体2を切る第2直線状カット工程ST41と、第2直線状カット工程ST41の後に、媒体2を搬送方向下流側に所定量搬送する第2媒体搬送工程ST44とが含まれていても良い。この場合には、第2直線状カット工程ST41および第2媒体搬送工程ST44は、
図15に示すように、直線状カット工程ST11の前に行われる。すなわち、直線状カット工程ST11は、第2媒体搬送工程ST44の後に行われる。
【0135】
第2直線状カット工程ST41は、突刺し工程ST1に相当する突刺し工程ST31と、横カット工程ST2に相当する横カット工程ST32と、横カット工程ST3に相当する横カット工程ST33とから構成されている。突刺し工程ST31では、左右方向における媒体2の中間位置にカッター刃8を突き刺す(
図16(A)参照)。横カット工程ST32では、突刺し工程ST31でカッター刃8を突き刺した箇所である突刺し箇所SP11を起点にして媒体2の左端面までカッター刃8を左側に移動させて媒体2を切る(
図16(A)参照)。横カット工程ST33では、突刺し箇所ST11を起点にして媒体2の右端面までカッター刃8を右側に移動させて媒体2を切る(
図16(B)参照)。
【0136】
第2直線状カット工程ST41が完了すると、第2直線状カット工程ST41での媒体2のカット位置で媒体2が分離する。第2直線状カット工程ST41での媒体2のカット位置よりも搬送方向上流側に配置される媒体2を上流側媒体2rとすると、上流側媒体2rの搬送方向下流側の端面は、左右方向に平行な直線状となっている。印刷装置1では、第2直線状カット工程ST41の前にヘッド6による媒体2の印刷が行われている。また、第2直線状カット工程ST41では、媒体2の、印刷が行われた部分(すなわち、印刷部2a)よりも搬送方向上流側の部分を切っている。
【0137】
第2媒体搬送工程ST44では、第2直線状カット工程ST41の後に媒体2を搬送方向下流側に所定量搬送する。具体的には、第2媒体搬送工程ST44では、上流側媒体2rの搬送方向下流側の端面と、上述した上流側媒体2cの第1端面2dとの間に所定の間隔L1が形成される位置まで媒体2を搬送方向下流側に搬送する。たとえば、第2媒体搬送工程ST44では、上流側媒体2rの搬送方向下流側の端面と第1端面2dとの間に30mm~100mm程度の間隔L1が形成される位置まで媒体2を搬送方向下流側に搬送する。
【0138】
すなわち、その後に行われる直線状カット工程ST11でのカット位置よりも搬送方向下流側に配置される媒体2を下流側媒体2tとすると、第2媒体搬送工程ST44では、直線状カット工程ST11が完了したときに、30mm~100mm程度の所定の幅を有する帯状の下流側媒体2tが形成されるように媒体2を搬送方向下流側に所定量搬送する。なお、媒体2の幅は、たとえば、1000mm~1600mm程度となっている。
【0139】
その後の直線状カット工程ST11では、上述した形態と同様に媒体2を切る。すなわち、まず、突刺し工程ST1において、左右方向における媒体2の中間位置にカッター刃8を突き刺し、横カット工程ST2において、突刺し箇所SP1を起点にして媒体2の左端面までカッター刃8を左側に移動させて媒体2を切る(
図16(C)参照)。その後、横カット工程ST3において、突刺し箇所ST1を起点にして媒体2の右端面までカッター刃8を右側に移動させて媒体2を切る(
図16(D)参照)。直線状カット工程ST11が完了すると、下流側媒体2tが形成される。この変更例では、下流側媒体2tは、帯状に形成される帯状部となっている。
【0140】
この変更例では、テープ27に代えて、下流側媒体2tを用いて、交換後の媒体2の搬送方向下流側の端部を紙管26に接続する。具体的には、直線状カット工程ST11が完了したときの左右方向における下流側媒体2tの端部を下流側媒体端部2vとすると、
図17に示すように、媒体2の搬送方向下流側の端部に一方の下流側媒体端部2vを固定し、他方の下流側媒体端部2vを紙管26に固定して媒体2の搬送方向下流側の端部を紙管26に接続する。たとえば、媒体2の搬送方向下流側の端部に一方の下流側媒体端部2vをテープで固定し、他方の下流側媒体端部2vを紙管26にテープで固定する。
【0141】
この変更例では、媒体巻取機構13が印刷機構3の下側に配置されていて、印刷機構3と紙管26との媒体搬送方向における距離が長くなっていても、印刷機構3の近傍に配置される媒体2の搬送方向下流側の端部と紙管26とを下流側媒体2tによって繋ぐことが可能になる。したがって、媒体搬送方向における印刷機構3と紙管26との距離が長くなっていても、媒体2の搬送方向下流側の端部から無駄なく印刷機構3によって媒体2の印刷を行うことが可能になり、その結果、媒体2の無駄を抑制することが可能になる。
【0142】
なお、上述した媒体切断方法の変更例1において、この変更例と同様に、交換前の媒体2に対して行われる媒体2の切断方法に、第2直線状カット工程ST41と第2媒体搬送工程ST44とが含まれていて、直線状カット工程ST11の前に、第2直線状カット工程ST41および第2媒体搬送工程ST44が行われても良い。また、上述した媒体切断方法の変更例1において、媒体セット工程ST21の後であって媒体搬送工程ST24の前に、媒体2の搬送方向下流側の端部が切断されて、下流側媒体2tに相当する帯状部が形成されても良い。この場合には、交換後の媒体2に対して行われる媒体2の切断方法に、媒体2を停止させた状態でカッター刃8を左右方向に移動させて左右方向の全域で媒体2を切るカット工程が含まれている。
【0143】
以上で説明した媒体端部接続方法の技術的思想を以下に記載する。
長尺の媒体を切断するためのカッター刃を有するカッターユニットと、前記媒体の長手方向に前記媒体を搬送する媒体搬送機構と、前記媒体の長手方向と前記媒体の厚さ方向とに直交する前記媒体の幅方向に前記カッターユニットを移動させるカッターユニット駆動機構とを備えるとともに、前記媒体搬送機構による前記媒体の搬送方向の上流側を搬送方向上流側とし、前記媒体の搬送方向の下流側を搬送方向下流側とすると、前記媒体の前記搬送方向下流側の端部が接続される巻き取り用の紙管を回転させて前記紙管に前記媒体を巻き取る媒体巻取機構を備える媒体切断装置において前記媒体の前記搬送方向下流側の端部を前記紙管に接続する媒体端部接続方法であって、
前記媒体の搬送方向において所定の幅を有する帯状の帯状部が形成されるように前記媒体の幅方向の全域で前記媒体を切断する切断工程と、
前記媒体の搬送方向下流側の端部に前記帯状部の長手方向の一端部を固定し、前記紙管に前記帯状部の長手方向の他端部を固定して前記媒体の前記搬送方向下流側の端部を前記紙管に接続する接続工程とを備えることを特徴とする媒体端部接続方法。
【0144】
この媒体端部接続方法によって媒体の搬送方向下流側の端部を紙管に接続すれば、たとえば、媒体に印刷加工を行う印刷機構等の媒体に所定の加工を行うための加工機構と紙管との媒体の搬送方向における距離が長くなっていても、加工機構の近傍に配置された媒体の搬送方向下流側の端部と紙管とを帯状部によって繋ぐことが可能になるため、媒体の搬送方向下流側の端部から無駄なく加工機構によって媒体の加工を行うことが可能になる。したがって、加工機構と紙管との媒体の搬送方向における距離が長くなっていても、媒体の無駄を抑制することが可能になる。この媒体端部接続方法においては、凸状カット工程ST12が行われなくても良い。
【0145】
この変更例においては、第2直線状カット工程ST41と、第2媒体搬送工程ST44と、直線状カット工程ST11とによって、媒体搬送方向において所定の幅を有する帯状の帯状部(すなわち、下流側媒体2t)が形成されるように媒体2の幅方向(左右方向)の全域で媒体2を切断する切断工程が構成されている。また、この変更例においては、媒体2の搬送方向下流側の端部に一方の下流側媒体端部2vを固定し、他方の下流側媒体端部2vを紙管26に固定して媒体2の搬送方向下流側の端部を紙管26に接続する工程が、媒体2の搬送方向下流側の端部に帯状部の長手方向の一端部を固定し、紙管26に帯状部の長手方向の他端部を固定して媒体2の搬送方向下流側の端部を紙管26に接続する接続工程となっている。なお、帯状部(下流側媒体2t)に代えて、細長い帯状の紙テープ等を用いて、媒体2の搬送方向下流側の端部を紙管26に接続することも可能である。
【0146】
(凸状カット工程の変更例)
図18は、本発明の他の実施の形態にかかる凸状カット工程ST12を説明するための工程図である。
図19、
図20は、
図18に示す凸状カット工程ST12を説明するための図である。
【0147】
本願発明者の検討によれば、上述した形態において、媒体2の巻き癖がより強くなっていると、横カット工程ST9の後、横カット工程ST10が行われる前であっても、上流側媒体2eの、搬送方向下流側の部分の浮きが大きくなって、横カット工程ST9の後、横カット工程ST10を行うために左側に移動するキャリッジ7に搭載されるカッターユニット9が、上流側媒体2eの、搬送方向下流側の部分に接触して、キャリッジ7の移動に支障が出るおそれがある。
【0148】
そこで、上述した形態において、凸状カット工程ST12は、横カット工程ST9の後に、カッター刃8による媒体2のカットが可能になるカット可能位置(下降位置)に配置されるカッター刃8を、カッター刃8が媒体2に接触しない退避位置(上昇位置)に移動させるカッター刃退避工程ST51と、横カット工程ST9の後に、
図19(B)に示すように、媒体2を搬送方向下流側に所定量搬送する第3媒体搬送工程ST52と、カッター刃退避工程ST51および第3媒体搬送工程ST52の後に、
図20(A)に示すように、左右方向においてカッター刃8の刃先が突刺し箇所SP2と同じ位置に配置されるまでキャリッジ7を左側に移動させるキャリッジ移動工程ST53と、キャリッジ移動工程ST53の後に、
図20(B)に示すように、媒体搬送方向においてカッター刃8の刃先が突刺し箇所SP2と同じ位置に配置されるまで媒体2を搬送方向上流側に搬送する第4媒体搬送工程ST54と、第4媒体搬送工程ST54の後に、退避位置に配置されるカッター刃8をカット可能位置に移動させるカッター刃配置工程ST55とを備えていても良い。
【0149】
この場合には、横カット工程ST10は、カッター刃配置工程ST55の後に行われる。横カット工程ST9が終わると、たとえば、
図19(A)に示す位置にキャリッジ7が配置されている。カッター刃退避工程ST51は、たとえば、第3媒体搬送工程ST52の前に行われる。ただし、カッター刃退避工程ST51は、第3媒体搬送工程ST52の後に行われても良い。
【0150】
第3媒体搬送工程ST52では、搬送方向下流側に媒体2を一定量搬送する。具体的には、第3媒体搬送工程ST52では、媒体2の巻き癖が強くなっていて、横カット工程ST9の後に、上流側媒体2eの搬送方向下流側の部分の浮きが大きくなっていても、キャリッジ移動工程ST53において左側に移動するカッターユニット9が上流側媒体2eの搬送方向下流側の部分に接触しない位置まで搬送方向下流側に媒体2を搬送する。たとえば、第3媒体搬送工程ST52では、搬送方向下流側に媒体2を80mm搬送する。第4媒体搬送工程ST54では、第3媒体搬送工程ST52における媒体2の搬送量と同じ量だけ媒体2を搬送方向上流側に搬送する。
【0151】
なお、本願発明者の検討によれば、キャリッジ7の左端部に紫外線照射ユニット29が搭載されている場合、媒体2の巻き癖が強くなっていて、横カット工程ST9の後に、上流側媒体2eの搬送方向下流側の部分の浮きが大きくなっていると、キャリッジ移動工程ST53において左側に移動する紫外線照射ユニット29が上流側媒体2eの搬送方向下流側の部分により接触しやすくなるが、この場合には、第3媒体搬送工程ST52において、キャリッジ移動工程ST53において左側に移動する紫外線照射ユニット29が上流側媒体2eの搬送方向下流側の部分に接触しない位置まで媒体2を搬送する。
【0152】
この変更例では、第3媒体搬送工程ST52において、媒体2を搬送方向下流側に所定量搬送してから、キャリッジ移動工程ST53において、キャリッジ7を左側に移動させているため、媒体2の巻き癖がより強くなっていても、横カット工程ST9の後、横カット工程ST10を行うために左側に移動するキャリッジ7を支障なく移動させることが可能になる。
【0153】
(媒体切断方法の変更例3)
図21は、本発明の他の実施の形態にかかる媒体2の切断方法を説明するための工程図である。
図22は、
図21に示す媒体2の切断方法を説明するための図である。
【0154】
上述した形態および変更例において、凸状カット工程ST12の後に、キャリッジ7およびカッターユニット9を待機位置に移動させる待機位置移動工程ST61が媒体2の切断方法に含まれていても良い。すなわち、横カット工程ST10の後に、キャリッジ7およびカッターユニット9を待機位置に移動させても良い。横カット工程ST10の完了時には、カッター刃8は、媒体2よりも左側に配置されている(
図22(A)参照)。また、上述のように、待機位置に配置されるキャリッジ7およびカッターユニット9は、媒体2よりも右側に配置されている。
【0155】
待機位置移動工程ST61においては、横カット工程ST10の後、カッター刃8が媒体2に接触しない退避位置にカッター刃8を移動させてから、キャリッジ7およびカッターユニット9をそのまま待機位置まで右側に移動させても良い。しかしながら、本願発明者の検討によると、横カット工程ST10が終わったときに、上流側媒体2eの搬送方向下流側の左端部がめくれ上がる場合がある。そのため、横カット工程ST10が終わった後、カッター刃8を退避位置に移動させてから、キャリッジ7およびカッターユニット9をそのまま待機位置まで右側に移動させると、上流側媒体2eの左端部のめくれ上がった部分にカッターユニット9が接触して、キャリッジ7およびカッターユニット9の移動に支障が出るおそれがある。
【0156】
そこで、この変更例では、待機位置移動工程ST61は、横カット工程ST10の後に、カット可能位置に配置されるカッター刃8を退避位置に移動させるカッター刃退避工程ST62と、横カット工程ST10の後に、
図22(B)に示すように、媒体2を搬送方向下流側に所定量搬送する第5媒体搬送工程ST63と、カッター刃退避工程ST62および第5媒体搬送工程ST63の後に、
図22(C)に示すように、キャリッジ7およびカッターユニット9を待機位置に移動させるカッターユニット移動工程ST64とを備えている。カッター刃退避工程ST62は、たとえば、第5媒体搬送工程ST63の前に行われる。ただし、カッター刃退避工程ST62は、第5媒体搬送工程ST63の後に行われても良い。
【0157】
第5媒体搬送工程ST63では、搬送方向下流側に媒体2を一定量搬送する。具体的には、第5媒体搬送工程ST63では、上流側媒体2eの搬送方向下流側の左端部がめくれ上がっていても、カッターユニット移動工程ST64において右側に移動するカッターユニット9が上流側媒体2eの左端側のめくれ上がっている部分に接触しない位置まで搬送方向下流側に媒体2を搬送する。この変更例では、上流側媒体2eの左端側がめくれ上がっていても、凸状カット工程ST12の後、待機位置に移動するキャリッジ7およびカッターユニット9を支障なく移動させることが可能になる。
【0158】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0159】
上述した形態において、突刺し工程ST7および斜めカット工程ST8を行った後に、突刺し工程ST5および斜めカット工程ST6を行っても良い。また、上述した形態において、斜めカット工程ST6で、突刺し箇所SP2から斜め右側に向かって媒体2を直線的に切り、斜めカット工程ST8で、突刺し箇所SP3から斜め左側に向かって媒体2を直線的に切った後、斜めカット工程ST6でのカット位置の右端まで左側に向かって(すなわち、左右方向と平行に)媒体2を直線的に切っても良い。
【0160】
上述した形態において、斜めカット工程ST6で、突刺し箇所SP2から斜め右側に向かって媒体2を直線的に切り、斜めカット工程ST8で、突刺し箇所SP3から斜め左側に向かって、斜めカット工程ST6でのカット位置の右端まで媒体2を直線的に切っても良い。この場合には、上流側媒体2eの搬送方向下流側の端面である第2端面2fは、三角形状をなす凸状(具体的には、二等辺三角形状をなす凸状)になっている。すなわち、この場合の第2端面2fには、端面2gが形成されておらず、端面2kの右端と端面2pの左端とが繋がっている。
【0161】
上述した形態において、カット角度θ1、θ2は、7°未満となっていても良いし、13°を超えていても良い。また、カット角度θ1とカット角度θ2とが異なっていても良い。また、上述した形態において、突刺し箇所SP2と突刺し箇所SP3とが媒体搬送方向においてずれていても良いし、媒体2の左端面から突刺し箇所SP2までの左右方向の距離と、媒体2の右端面から突刺し箇所SP3までの左右方向の距離とが異なっていても良い。さらに、上述した形態において、切断される媒体2の幅に応じて、カット角度θ1、θ2が変わっても良い。たとえば、切断される媒体2の幅にかかわらず、端面2h、2jと端面2gとの媒体搬送方向における距離が一定になるように、切断される媒体2の幅に応じて、カット角度θ1、θ2が変わっても良い。
【0162】
上述した形態において、横カット工程ST9の前に横カット工程ST10を行っても良い。この場合には、凸状カット工程ST12は、上述した凸状カット工程ST12の変更例と同様に、横カット工程ST10の後に、カット可能位置に配置されるカッター刃8を退避位置に移動させるカッター刃退避工程と、横カット工程ST10の後に、媒体2を搬送方向下流側に所定量搬送する第3媒体搬送工程と、カッター刃退避工程および第3媒体搬送工程の後に、左右方向においてカッター刃8の刃先が突刺し箇所SP3と同じ位置に配置されるまでキャリッジ7を右側に移動させるキャリッジ移動工程と、キャリッジ移動工程の後に、媒体搬送方向においてカッター刃8の刃先が突刺し箇所SP3と同じ位置に配置されるまで媒体2を搬送方向上流側に搬送する第4媒体搬送工程と、第4媒体搬送工程の後に、退避位置に配置されるカッター刃8をカット可能位置に移動させるカッター刃配置工程とを備えていても良い。この場合には、横カット工程ST9は、カッター刃配置工程の後に行われる。
【0163】
この場合には、第3媒体搬送工程では、媒体2の巻き癖が強くなっていて、横カット工程ST9の後に、上流側媒体2eの搬送方向下流側の部分の浮きが大きくなっていても、キャリッジ移動工程ST53において右側に移動するキャリッジ7が上流側媒体2eの搬送方向下流側の部分に接触しない位置まで媒体2を搬送する。この場合には、媒体2の巻き癖が強くなっていても、横カット工程ST10の後、横カット工程ST9を行うために右側に移動するキャリッジ7を支障なく移動させることが可能になる。
【0164】
上述した形態において、斜めカット工程ST6の前に横カット工程ST10を行っても良いし、斜めカット工程ST8の前に横カット工程ST9を行っても良い。また、上述した形態において、左右方向で媒体2を適切に切ることができるのであれば、突刺し工程ST1を行わなくても良い。この場合には、たとえば、媒体2に対してカッター刃8を媒体2の右端面から左端面まで左右方向に移動させて左右方向の全域で媒体2を切る横カット工程を行う。
【0165】
上述した形態において、凸状カット工程ST12に、突刺し工程ST7および横カット工程ST9、ST10が含まれていなくても良い。この場合には、たとえば、突刺し工程ST5において、媒体2の左右方向の中間位置にカッター刃8を突き刺し、斜めカット工程ST6において、突刺し箇所SP2から媒体2の左端面まで媒体2を切る。また、斜めカット工程ST8において、突刺し箇所SP2から媒体2の右端面まで媒体2を切る。
【0166】
また、上述した形態において、凸状カット工程ST12に、突刺し工程ST5、ST7および横カット工程ST9、ST10が含まれていなくても良い。この場合には、たとえば、斜めカット工程ST6において、媒体2の左端面から左右方向における中間位置まで媒体2を切り、斜めカット工程ST8において、媒体2の右端面から斜めカット工程ST6でのカット位置の右端まで媒体2を切る。
【0167】
上述した形態において、直線状カット工程ST11、媒体搬送工程ST4および凸状カット工程ST12は自動で連続的に行われなくても良い。たとえば、オペレータが所定の操作ボタンを押すごとに、各工程が行われても良い。また、媒体搬送機構10、キャリッジ駆動機構11、昇降機構33および切替機構34等をオペレータが手動で操作しながら、各工程を行っても良い。また、上述した変更例1において、媒体搬送工程ST24および凸状カット工程ST12が自動で連続的に行われなくても良い。
【0168】
上述した形態において、カッターユニット9は、キャリッジ7に搭載されていなくても良い。この場合には、カッターユニット9が搭載されるキャリッジと、このキャリッジを左右方向に移動させるカッターユニット駆動機構とが別途設けられている。また、この場合には、プラテン18とは別にカット用のプラテンが設けられており、カッターユニット9とカット用のプラテンとが上下方向に対して傾いた方向で対向していても良い。また、上述した形態において、媒体2は、ポリ塩化ビニール以外の樹脂で形成されていても良い。
【0169】
上述した形態において、印刷装置1は、印刷後の媒体2を所定形状に切断して切り離すための媒体切断機構を備えていても良い。この媒体切断機構は、たとえば、上下方向においてプラテン18と媒体巻取機構13との間に配置されている。あるいは、この媒体切断機構は、キャリッジ7に搭載されていても良い。また、上述した形態において、印刷機構3に代えて、切断前の媒体2に印刷加工以外の所定の加工を行うための加工機構が設けられていても良い。また、上述した形態において、印刷機構3や加工機構が設けられていなくても良い。すなわち、本発明が適用される媒体切断装置は、切断機能のみを備える装置であっても良い。
【符号の説明】
【0170】
1 印刷装置(媒体切断装置)
2 媒体
2c 上流側媒体(第2上流側媒体)
2d 第1端面(第2上流側媒体の搬送方向下流側の端面)
2e 上流側媒体(第1上流側媒体)
2f 第2端面(第1上流側媒体の搬送方向下流側の端面)
2t 下流側媒体
2v 下流側媒体端部
3 印刷機構(加工機構)
6 ヘッド(インクジェットヘッド)
7 キャリッジ
8 カッター刃
9 カッターユニット
10 媒体搬送機構
11 キャリッジ駆動機構(カッターユニット駆動機構)
12 媒体繰出機構
13 媒体巻取機構
15 第1媒体ガイド
15a 第1媒体ガイドの搬送方向下流側端
15b 第1媒体ガイドの搬送方向上流側端
16 第2媒体ガイド
16a 第2媒体ガイドの搬送方向下流側端
16b 第2媒体ガイドの搬送方向上流側端
18 プラテン
26 紙管
31 カッターホルダ
32 ユニットフレーム
33 昇降機構(カッター刃移動機構)
D1 媒体とプラテンの上面との上下方向の最大距離
D2 インクジェットヘッドの下端面とプラテンの上面との上下方向の距離
L 間隔
SP2 突刺し箇所(第1突刺し箇所)
SP3 突刺し箇所(第2突刺し箇所)
ST4、ST24 媒体搬送工程
ST5 突刺し工程(第1突刺し工程)
ST6 斜めカット工程(第1斜めカット工程)
ST7 突刺し工程(第2突刺し工程)
ST8 斜めカット工程(第2斜めカット工程)
ST9 横カット工程(第2横カット工程)
ST10 横カット工程(第1横カット工程)
ST11 直線状カット工程
ST12 凸状カット工程
ST21 媒体セット工程
ST41 第2直線状カット工程
ST44 第2媒体搬送工程
ST51 カッター刃退避工程
ST52 第3媒体搬送工程
ST53 キャリッジ移動工程
ST54 第4媒体搬送工程
ST55 カッター刃配置工程
ST61 待機位置移動工程
ST62 カッター刃退避工程
ST63 第5媒体搬送工程
ST64 カッターユニット移動工程
Y 媒体の幅方向
Y1 第1方向側
Y2 第2方向側
θ1 カット角度(第1斜めカット工程での媒体のカット角度)
θ2 カット角度(第2斜めカット工程での媒体のカット角度)