IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エヌケーティー エイチブイ ケーブルズ エービーの特許一覧

特開2023-121142複合型水バリアを有する電力ケーブル
<>
  • 特開-複合型水バリアを有する電力ケーブル 図1
  • 特開-複合型水バリアを有する電力ケーブル 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121142
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】複合型水バリアを有する電力ケーブル
(51)【国際特許分類】
   H01B 9/02 20060101AFI20230823BHJP
【FI】
H01B9/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023020458
(22)【出願日】2023-02-14
(31)【優先権主張番号】22157502
(32)【優先日】2022-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】519099829
【氏名又は名称】エヌケーティー エイチブイ ケーブルズ エービー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ラングストローム, ソニー
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンソン, トミー
(72)【発明者】
【氏名】ヤーダーバリ, ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】サンデル, ハカン
(72)【発明者】
【氏名】ダール ライド, クリストファー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電力ケーブルへの水の浸入を少なくとも軽減する複合型水バリアを有する電力ケーブルを提供する。
【解決手段】電力ケーブル1は、外部半導電性層13と同心円状に、外部半導電性層13の周囲に配置された第1の金属製水ブロッキング層15と、第1の金属製水ブロッキング層15と同心円状に、第1の金属製水ブロッキング層15の周囲に配置された半導電性ポリマー層19と、半導電性ポリマー層19と同心円状に、この周囲に配置された第2の金属製水ブロッキング層21と、を含む電力コア3aと、第2の金属製水ブロッキング層21の周囲に配置された外側シース25と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力ケーブル(1、1’)であって、
電力コア(3a、3b、3c)であって、
コンダクタ(5)と、
絶縁システムであって、
前記コンダクタ(5)の周囲に配置された内部半導電性層(9)と、
前記内部半導電性層(9)の周囲に配置された絶縁層(11)と、
前記絶縁層(11)の周囲に配置された外部半導電性層(13)と、
を含む絶縁システムと、
前記外部半導電性層(13)と同心円状に、前記外部半導電性層(13)の周囲に配置された第1の金属製水ブロッキング層(15)と、
前記第1の金属製水ブロッキング層(15)と同心円状に、前記第1の金属製水ブロッキング層(15)の周囲に配置された半導電性ポリマー層(19)と、
前記半導電性ポリマー層(19)と同心円状に、前記半導電性ポリマー層(19)の周囲に配置された第2の金属製水ブロッキング層(21)と、
を含む電力コア(3a、3b、3c)と、
前記第2の金属製水ブロッキング層(21)の周囲に配置された外側シース(25、35)と、
を含む電力ケーブル(1、1’)。
【請求項2】
前記半導電性ポリマー層(19)は押出層である、請求項1に記載の電力ケーブル(1、1’)。
【請求項3】
前記第1の金属製水ブロッキング層(15)は、第1の金属箔であるか、又はこれを含む、請求項1又は2に記載の電力ケーブル(1、1’)。
【請求項4】
前記第2の金属製水ブロッキング層(21)は、第2の金属箔であるか、又はこれを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の電力ケーブル(1、1’)。
【請求項5】
前記第1の金属製水ブロッキング層(15)は、前記電力コア(3a、3b、3c)に沿って軸方向に伸長する第1の継ぎ目(17)を有し、
前記第1の継ぎ目(17)は、前記第1の金属製水ブロッキング層(15)の重なり合っているエッジ(15a、15c)を接着剤又ははんだを用いて接合することにより形成される、
請求項1から4のいずれか一項に記載の電力ケーブル(1、1’)。
【請求項6】
前記第2の金属製水ブロッキング層(21)は、前記電力コア(3a、3b、3c)に沿って軸方向に伸長する第2の継ぎ目(23)を有し、
前記第2の継ぎ目(23)は、前記第2の金属製水ブロッキング層(21)の重なり合っているエッジ(21a、21b)を接着剤又ははんだを用いて接合することにより形成される、
請求項1から5のいずれか一項に記載の電力ケーブル(1、1’)。
【請求項7】
前記第1の継ぎ目(17)及び前記第2の継ぎ目(23)は、前記電力コア(3a、3b、3c)の周方向に90度及び270度の間で互いからオフセットして配置される、請求項5に従属する際の請求項6に記載の電力ケーブル(1、1’)。
【請求項8】
前記第1の継ぎ目(17)及び前記第2の継ぎ目(23)は、前記電力コア(3a、3b、3c)の周方向に120度及び240度の間で互いからオフセットして配置される、請求項5に従属する際の請求項6に記載の電力ケーブル(1、1’)。
【請求項9】
前記第1の継ぎ目(17)及び前記第2の継ぎ目(23)は、前記電力コア(3a、3b、3c)の周方向に160度及び200度の間で互いからオフセットして配置される、請求項5に従属する際の請求項6に記載の電力ケーブル(1、1’)。
【請求項10】
前記半導電性ポリマー層(19)は、前記第1の金属製水ブロッキング層(15)に付着している、請求項1から9のいずれか一項に記載の電力ケーブル(1、1’)。
【請求項11】
前記半導電性ポリマー層(19)は、前記第2の金属製水ブロッキング層(21)に付着している、請求項1から10のいずれか一項に記載の電力ケーブル(1、1’)。
【請求項12】
前記第1の金属製水ブロッキング層(15)は、アルミニウム、銅、又はステンレススチールを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の電力ケーブル(1、1’)。
【請求項13】
前記第2の金属製水ブロッキング層(21)は、アルミニウム、銅、又はステンレススチールを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の電力ケーブル(1、1’)。
【請求項14】
前記電力コア(3a)は第1の電力コアであり、
前記電力ケーブル(1’)は、
第2の電力コア(3b)と、
第3の電力コア(3c)と、
を含み、
前記第2の電力コア(3b)及び前記第3の電力コア(3c)のそれぞれは、
コンダクタと、
絶縁システムであって、
前記コンダクタの周囲に配置された内部半導電性層と、
前記内部半導電性層の周囲に配置された絶縁層と、
前記絶縁層の周囲に配置された外部半導電性層と、
を含む絶縁システムと、
前記外部半導電性層と同心円状に、前記外部半導電性層の周囲に配置された第1の金属製水ブロッキング層と、
前記第1の金属製水ブロッキング層と同心円状に、前記第1の金属製水ブロッキング層の周囲に配置された半導電性ポリマー層と、
前記半導電性ポリマー層と同心円状に、前記半導電性ポリマー層の周囲に配置された第2の金属製水ブロッキング層と、
を含み、
前記外側シース(35)は、前記第1の電力コア(3a)と、前記第2の電力コア(3b)と、前記第3の電力コア(3c)と、の周囲に配置されている、
請求項1から13のいずれか一項に記載の電力ケーブル(1’)。
【請求項15】
前記電力ケーブル(1、1’)は海底電力ケーブルである、請求項1から14のいずれか一項に記載の電力ケーブル(1、1’)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般的に、電力ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
電力ケーブルは電気絶縁体を含み、コンダクタを電気的に絶縁する。この絶縁体に水分が浸入することを防ぐために、半径方向の水バリアが一般的に必要とされる。
【0003】
コンダクタ及び絶縁層の周囲に押し出された連続的な金属層は、一般的なタイプの水分浸入バリアである。従来使用されてきた金属は、鉛である。
【0004】
鉛製水分シールドは、水の浸入に対する安全なバリアを提供するが、これは、いくつかの不都合な点に関連付けられる。例えば、高電圧ケーブルに使用する鉛製水分シールドは、厚い壁厚を必要とする。これは、非常に重いケーブルをもたらす。また、鉛は、人及び環境の双方にとって危険な有害物質である。
【0005】
水分保護のために、電力ケーブルにアルミニウム製ラミネートの層を提供することが知られている。金属製ラミネートは、接着剤を縦方向の継ぎ目に沿って用いて接合される。しかし、この継ぎ目は、それを通して水分が移動可能となり得る弱点である。
【0006】
例えば、EP2312591、EP3438993、及びEP3786982に開示されるように、縦方向の継ぎ目を溶接することにより結合される金属製シースの形態での水バリアを電力ケーブルに提供することもまた、知られている。長い継ぎ目に溶接を行う場合、スルーブレーキングといった溶接の不具合のリスクが高まり、これは、電力ケーブルへの水の浸入をもたらす場合がある。
【発明の概要】
【0007】
本開示の一般的な目的は、従来技術の問題を解決するか、又は少なくとも軽減する電力ケーブルを提供することである。
【0008】
提供されるものはしたがって、
電力ケーブルであって、
電力コアであって
コンダクタと、
絶縁システムであって、
コンダクタの周囲に配置された内部半導電性層と、
内部半導電性層の周囲に配置された絶縁層と、
絶縁層の周囲に配置された外部半導電性層と、
を含む絶縁システムと、
外部半導電性層と同心円状に、外部半導電性層の周囲に配置された第1の金属製水ブロッキング層と、
第1の金属製水ブロッキング層と同心円状に、第1の金属製水ブロッキング層の周囲に配置された半導電性ポリマー層と、
半導電性ポリマー層と同心円状に、半導電性ポリマー層の周囲に配置された第2の金属製水ブロッキング層と、
を含む電力コアと、
第2の金属製水ブロッキング層の周囲に配置された外側シースと、
を含む電力ケーブルである。
【0009】
1つを超える水ブロッキング層を提供することにより、ラミネートされて接合された水バリア又は単一の溶接された水バリアを使用することと比較して、電力ケーブルの耐水性が改善される。水ブロッキング層の1つが1つの領域において融合/接合を欠いても、他の1つがこの領域において水の進入から保護するであろう。
【0010】
電力ケーブルは、中電圧電力ケーブル又は高電圧電力ケーブルであってよい。中電圧とはここでは、1kVから72.5kVの範囲にある電圧を意味する。高電圧とはここでは、72.5kVを超える電圧を意味する。
【0011】
電力ケーブルは、直流(DC)電力ケーブル又は交流(AC)電力ケーブルであってよい。AC電力ケーブルは、単相又は多相AC電力ケーブルであってよい。
【0012】
電力ケーブルは、2つを超える金属製水ブロッキング層を含んでよい。電力ケーブルは、例えば、第3の金属製水ブロッキング層を含んでよい。電力ケーブルは、第2の金属製水ブロッキング層と同心円状に、金属製水ブロッキング層の周囲に配置された第2の半導電性ポリマー層を含んでよく、第3の金属製水ブロッキング層は、第2の半導電性ポリマー層と同心円状に、第2の半導電性ポリマー層の周囲に配置されてよい。第2の半導電性ポリマー層は、第2の金属製水ブロッキング層及び第3の金属製水ブロッキング層に接合されてよい。接合は、例えば、接着剤を用いてよい。
【0013】
電力ケーブルは、いくつかの例によると、3つを超える金属製水ブロッキング層を有してよい。
【0014】
一般的に、電力ケーブルの金属製水ブロッキング層の数は、電力ケーブルが運用されることが予定される年数に依存する。
【0015】
1つの実施形態によると、半導電性ポリマー層は押出層である。
【0016】
半導電性ポリマー層は、第1の金属製水ブロッキング層上に押し出されてよい。
【0017】
1つの実施形態によると、第1の金属製水ブロッキング層は、第1の金属箔であるか、又はこれを含む。
【0018】
1つの実施形態によると、第2の金属製水ブロッキング層は、第2の金属箔であるか、又はこれを含む。
【0019】
1つの実施形態によると、第1の金属製水ブロッキング層は、電力コアに沿って軸方向に伸長する第1の継ぎ目を有し、第1の継ぎ目は、第1の金属製水ブロッキング層の重なり合っているエッジを接着剤又ははんだを用いて接合することにより形成される。
【0020】
溶接継ぎ目を作ることは、水バリアが、電力ケーブルの絶縁システムなどの内部コンポーネントから半径方向に距離を置いて配置され、これらのコンポーネントが、溶接中の熱によって損傷しないようにすることを要求する。水バリアには、溶接後、ローラを使用する縮径プロセスが行われる。第1の金属製水ブロッキング層の重なり合っているエッジを接着剤又ははんだを使用して接合することにより、接合プロセスにおいて生じる熱は、溶接の際のそれよりも実質的に低くなる。接合はしたがって、溶接の際のそれと比較して、その下の層の近くに行うことができる。第1の金属製水ブロッキング層の縮径はしたがって、必要とされなくともよい。
【0021】
接着剤又ははんだは、例えば、半導電性ポリマー層により、第1の金属製水ブロッキング層上にそれが押し出された際に、融解してよい。
【0022】
はんだは、無鉛錫はんだであってよい。
【0023】
無鉛錫はんだは、銀、銅、アンチモン、ビスマス、亜鉛、及びニッケルの少なくとも1つを含む錫合金であってよい。
【0024】
第1の金属製水ブロッキング層は、重なり合っているエッジが接着剤又ははんだにより接合されるのであれば、最大で0.5mm、例えば、最大で0.4mm、例えば、最大で、0.3mm、例えば、最大で0.2mmの半径方向の厚さを有してよい。
【0025】
第1の金属製水ブロッキング層は、重なり合っているエッジが接着剤又ははんだにより接合されるのであれば、少なくとも0.1mmの半径方向の厚さを有してよい。
【0026】
第2の金属製水ブロッキング層は、重なり合っているエッジが接着剤又ははんだにより接合されるのであれば、最大で0.5mm、例えば、最大で0.4mm、例えば、最大で、0.3mm、例えば、最大で0.2mmの半径方向の厚さを有してよい。
【0027】
第2の金属製水ブロッキング層は、重なり合っているエッジが接着剤又ははんだにより接合されるのであれば、少なくとも0.1mmの半径方向の厚さを有してよい。
【0028】
代替的に、第1の金属製水ブロッキング層のエッジは、溶接されてよい。この場合では、エッジは通常、重なり合っていない。第1の金属製水ブロッキング層は、溶接される場合は、0.3mmから5mmの範囲にある半径方向の厚さを有してよい。第2の金属製水ブロッキング層は、溶接される場合は、0.3mmから5mm、例えば、0.5mmから5mm、例えば、0.6mmから5mm、例えば、0.6mmから3mm、例えば、0.6mmから2mmの範囲にある半径方向の厚さを有してよい。
【0029】
第1の金属製水ブロッキング層は、溶接される場合は、ラミネートされず、金属からなる。
【0030】
第2の金属製水ブロッキング層は、溶接される場合は、ラミネートされず、金属からなる。
【0031】
1つの実施形態によると、第2の金属製水ブロッキング層は、電力コアに沿って軸方向に伸長する第2の継ぎ目を有し、第2の継ぎ目は、第2の金属製水ブロッキング層の重なり合っているエッジを接着剤又ははんだを用いて接合することにより形成される。
【0032】
はんだは、無鉛錫はんだであってよい。
【0033】
無鉛錫はんだは、銀、銅、アンチモン、ビスマス、亜鉛、及びニッケルの少なくとも1つを含む錫合金であってよい。
【0034】
代替的に、第2の金属製水ブロッキング層のエッジは、溶接されてよい。
【0035】
1つの実施形態によると、第1の継ぎ目及び第2の継ぎ目は、電力コアの周方向に90度及び270度の間で互いからオフセットして配置される。
【0036】
水が絶縁システムへと浸入するリスクがしたがって減る。なぜなら、水分が第1の継ぎ目を通って移動しても、第2の継ぎ目が、第1の継ぎ目から周方向にオフセットして配置されるため、そこに直接浸入することが容易にできないであろうからである。
【0037】
1つの実施形態によると、第1の継ぎ目及び第2の継ぎ目は、電力コアの周方向に120度及び240度の間で互いからオフセットして配置される。
【0038】
1つの実施形態によると、第1の継ぎ目及び第2の継ぎ目は、電力コアの周方向に160度及び200度の間で互いからオフセットして配置される。
【0039】
第1の継ぎ目及び第2の継ぎ目は、例えば、互いに正反対に配置されてよい。
【0040】
1つの実施形態によると、半導電性ポリマー層は、第1の金属製水ブロッキング層に付着している。
【0041】
半導電性ポリマー層は、第1の金属製水ブロッキング層と直接接触して配置されてよい。代替的に、半導電性ポリマー層は、第1の金属製水ブロッキング層に、半導電性接着剤を用いて接合されてよい。
【0042】
1つの実施形態によると、半導電性ポリマー層は、第2の金属製水ブロッキング層に付着している。
【0043】
半導電性ポリマー層は、第2の金属製水ブロッキング層と直接接触して配置されてよい。代替的に、半導電性ポリマー層は、第2の金属製水ブロッキング層に、半導電性接着剤を用いて接合されてよい。
【0044】
1つの実施形態によると、第1の金属製水ブロッキング層は、アルミニウム、銅、又はステンレススチールを含む。
【0045】
第1の金属製水ブロッキング層は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、又はステンレススチール、例えば、オーステナイト系ステンレススチールからなってよい。
【0046】
1つの実施形態によると、第2の金属製水ブロッキング層は、アルミニウム、銅、又はステンレススチールを含む。
【0047】
第2の金属製水ブロッキング層は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、又はステンレススチール、例えば、オーステナイト系ステンレススチールからなってよい。
【0048】
1つの実施形態によると、
電力コアは第1の電力コアであり、
電力ケーブルは、第2の電力コアと、第3の電力コアと、を含み、
第2の電力コア及び第3の電力コアのそれぞれは、
コンダクタと、
絶縁システムであって、
コンダクタの周囲に配置された内部半導電性層と、
内部半導電性層の周囲に配置された絶縁層と、
絶縁層の周囲に配置された外部半導電性層と、
を含む絶縁システムと、
外部半導電性層と同心円状に、外部半導電性層の周囲に配置された第1の金属製水ブロッキング層と、
第1の金属製水ブロッキング層と同心円状に、第1の金属製水ブロッキング層の周囲に配置された半導電性ポリマー層と、
半導電性ポリマー層と同心円状に、この周囲に配置された第2の金属製水ブロッキング層と、
を含み、
外側シースは、第1の電力コアと、第2の電力コアと、第3の電力コアと、の周囲に配置されている。
【0049】
1つの実施形態によると、電力ケーブルは海底電力ケーブルである。
【0050】
電力ケーブルは、代替的に、地中電力ケーブルであってよい。
【0051】
一般的に、特許請求の範囲にて使用するすべての用語は、本明細書にて明確に定義しない限り、技術分野におけるそれらの通常の意味にしたがって解釈される。「ある(a/an)/その(the)エレメント、機器、コンポーネント、手段、など」を指すものはすべて、特に明記しない限り、そのエレメント、機器、コンポーネント、手段、などの少なくとも1つの例を指すものとして公然と解釈される。
【0052】
本発明に関するコンセプトの具体的な実施形態を、例示を目的として、添付の図面を参照して、以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】電力ケーブルの一例の断面図を模式的に示す。
図2】電力ケーブルの別の一例の断面図を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明に関するコンセプトを、添付図面を参照して以下に更に詳細に説明する。ここでは、実施形態を例示する。本発明に関するコンセプトはしかし、多くの異なる形態にて体現されてよく、以下に示す実施形態に限定されるものとして理解すべきでない。むしろこれらの実施形態は、例示を目的として、この開示が完璧で完全となり、本発明に関するコンセプトの範囲を当業者に十分に伝えるよう提供される。本明細書を通して、類似の参照番号は類似の構成要素を示す。
【0055】
図1は、電力ケーブル1の一例の断面図を模式的に示す。
【0056】
電力ケーブル1は、電力コア3aを含む。
【0057】
電力コア3aは、コンダクタ5を含む。コンダクタ5は、例えば、中実なもの、標準的なもの、又はミリケンタイプであってよい。コンダクタ5は、金属製である。コンダクタ5は、例えば、銅又はアルミニウムを含んでよい。
【0058】
電力コア3aは、絶縁システム7を含む。
【0059】
絶縁システム7は、コンダクタ5の周囲に配置された内部半導電性層9を含む。内部半導電性層9は、例えば、半導電性コンポーネント、例えば、カーボンブラックと混合されて半導電性ポリマーを形成する架橋ポリエチレン(XLPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、若しくはエチレンプロピレンゴム(EPR)、又は半導電性紙を含んでよい。半導電性ポリマーは、押し出されてよい。
【0060】
絶縁システム7は、絶縁層11を含む。絶縁層11は、内部半導電性層9の周囲に配置されている。絶縁層11は、内部半導電性層9と直接接触してよい。絶縁層11は、例えば、XLPE、PP、EPDMゴム、若しくはEPR、又は紙を含んでよい。絶縁層11は、押し出されてよい。
【0061】
絶縁システム7は、絶縁層11の周囲に配置された外部半導電性層13を含む。外部半導電性層13は、絶縁層11と直接接触してよい。外部半導電性層13は、例えば、半導電性コンポーネント、例えば、カーボンブラックと混合されて半導電性ポリマーを形成するXLPE、PP、EPDMゴム、若しくはEPR、又は半導電性紙を含んでよい。半導電性ポリマーは、押し出されてよい。
【0062】
絶縁システム7は、三層押出絶縁システムであってよい。
【0063】
電力コア3aは、第1の金属製水ブロッキング層15を含む。第1の金属製水ブロッキング層15は、外部半導電性層13と同心円状に、外部半導電性層13の周囲に配置されている。
【0064】
電力コア3は、外部半導電性層13及び第1の金属製水ブロッキング層15の間に配置されたベッディング層(図示せず)を含んでよい。ベッディング層は、例えば、外部半導電性層13の周囲にテープを巻くことによって形成されてよい、又は、それは、それを絶縁システム7の周囲に縦方向折り畳むことによって適用されてよい。ベッディング層は、半導電性であってよい。ベッディング層は、吸湿性であってよい。
【0065】
第1の金属製水ブロッキング層15は、第1の金属製シース若しくは第1の金属箔を含んでよい、又は、これからなってよい。金属は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、又はステンレススチールであってよい。
【0066】
第1の金属製水ブロッキング層15は、ラミネート構造を有してよい。第1の金属製水ブロッキング層15は、例えば、基盤層を含んでよく、第1の金属製シース又は第1の金属箔が、基盤層上に配置されてよい。基盤層は、ポリマー材料を含んでよい。
【0067】
第1の金属製水ブロッキング層15は、製造中、外部半導電性層13の周囲に巻かれ、重なり合っているエッジ15a及び15bが互いに接合されて、電力コア3aの縦方向軸に沿って伸長する第1の継ぎ目17を形成する。接合は、例えば、接着剤又ははんだを用いて行われてよい。接着剤は、例えば、ホットメルト接着剤であってよい。接着剤又ははんだは、第1の金属製水ブロッキング層15の全長に沿うストリングとして配置されてよい。
【0068】
電力コア3aは、第1の金属製水ブロッキング層15と同心円状に、第1の金属製水ブロッキング層15の周囲に配置された半導電性ポリマー層19を含む。半導電性ポリマー層19は、例えば、XLPE、PP、EPDM、又はEPRを含んでよい。
【0069】
半導電性ポリマー層19は、ポリマージャケットであってよい。
【0070】
半導電性ポリマー層19は、第1の金属製水ブロッキング層15の外面と直接接触してよい。
【0071】
半導電性ポリマー層19は、第1の金属製水ブロッキング層15上に押し出されてよい。押出プロセスにより生成された熱は、重なり合っているエッジ15a及び15bの間に配置された接着剤又ははんだを融解させ、重なり合っているエッジ15a及び15bを接合させ、第1の継ぎ目17を形成してよい。
【0072】
代替的に、重なり合っているエッジ15a及び15bの接合は、半導電性ポリマー層19が第1の金属製水ブロッキング層15上に適用される前に行われてよい。
【0073】
電力コア3aは、第2の金属製水ブロッキング層21を含む。第2の金属製水ブロッキング層21は、半導電性ポリマー層19と同心円状に、半導電性ポリマー層19の周囲に配置されている。
【0074】
第2の金属製水ブロッキング層21は、第2の金属製シース若しくは第2の金属箔を含んでよい、又は、これからなってよい。金属は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、又はステンレススチールであってよい。
【0075】
第2の金属製水ブロッキング層21は、ラミネート構造を有してよい。第2の金属製水ブロッキング層21は、例えば、基盤層を含んでよく、第2の金属製シース又は第2の金属箔が、基盤層上に配置されてよい。基盤層は、ポリマー材料を含んでよい。
【0076】
第2の金属製水ブロッキング層21は、製造中、半導電性ポリマー層19の周囲に巻かれ、重なり合っているエッジ21a及び21bが互いに接合されて、電力コア3aの縦方向軸に沿って伸長する第2の継ぎ目23を形成する。接合は、例えば、接着剤又ははんだを用いて行われてよい。接着剤は、例えば、ホットメルト接着剤であってよい。接着剤又ははんだは、第2の金属製水ブロッキング層21の全長に沿うストリングとして配置されてよい。
【0077】
第2の金属製水ブロッキング層21は、半導電性ポリマー層19に付着してよい。電力コア3aは、例えば、半導電性ポリマー層19及び第2の金属製水ブロッキング層21の間に配置された接着剤層を含み、第2の金属製水ブロッキング層21を半導電性ポリマー層19に接合してよい。接着剤層は、半導電性であってよい。
【0078】
第1の継ぎ目17及び第2の継ぎ目23は、電力コア3aの周方向に互いから周方向にオフセットされてよい。第1の継ぎ目17及び第2の継ぎ目23は、例えば、電力コア3aの周方向に90度及び270度の間で互いからオフセットして、例えば、電力コア3aの周方向に120度及び240度の間で互いからオフセットして、例えば、電力コア3aの周方向に160度及び200度の間で互いからオフセットして、例えば、電力コア3aの周方向に170度及び190度の間で互いからオフセットして、例えば、電力コア3aの周方向に175度及び185度の間で互いからオフセットして配置されてよい。一例によると、第1の継ぎ目17及び第2の継ぎ目23は、互いに正反対に配置されてよい。
【0079】
電力コア3aは、第2の金属製水ブロッキング層21と同心円状に、第2の金属製水ブロッキング層21の周囲に配置された外側電力コアジャケット(図示せず)を含んでよい。外側電力コアジャケットは、例えば、XLPE、PP、EPDM、又はEPRを含むポリマー層であってよい。
【0080】
外側電力コアジャケットは、第2の金属製水ブロッキング層21の外面と直接接触してよい。
【0081】
外側電力コアジャケットは、第2の金属製水ブロッキング層21上に押し出されてよい。押出プロセスにより生成された熱は、重なり合っているエッジ21a及び21bの間に配置された接着剤又ははんだを融解させ、重なり合っているエッジ21a及び21bを接合させ、第2の継ぎ目23を形成してよい。
【0082】
第2の金属製水ブロッキング層21は、外側電力コアジャケットに付着してよい。電力コア3aは、例えば、外側電力コアジャケット及び第2の金属製水ブロッキング層21の間に配置された接着剤層を含み、第2の金属製水ブロッキング層21を外側電力コアジャケットに接合してよい。接着剤層は、半導電性であってよい。
【0083】
電力ケーブル1は、第2の金属製水ブロッキング層21の周囲に配置された外側シース25を含む。
【0084】
外側シース25は、外側電力コアジャケットの周囲に配置されてよい。
【0085】
外側シース25は、電力ケーブル1の最外層であってよい。外側シース25は、例えば、ポリマージャケットであってよい、又は、それは、第2の金属製水ブロッキング層21及び/又は外側電力コアジャケットの周囲にらせん状に巻かれたポリマーヤーンを含んでよい。
【0086】
図2は、電力ケーブル1’の別の一例を示す。電力ケーブル1’は、3つの電力コア、すなわち、第1の電力コア3aと、第2の電力コア3bと、第3の電力コア3cと、を有する。電力コア3bから3cのそれぞれは、上記の電力コア3aと同じタイプのものである。
【0087】
電力コア3aはそれぞれ、第2の金属製水ブロッキング層のそれぞれの周囲に配置された外側電力コアジャケット27a、27b、27cを含む。電力コアジャケット27a、27b、27cは、XLPE、PP、EDPM、又はEPRなどのポリマー材料を含んでよい。外側電力コアジャケット27a、27b、27cは、押し出されてよい。
【0088】
電力コア3aから3cは、標準的なものである。例示する電力ケーブル1’は、標準的な電力コア3aから3cを取り囲む防護ベッディング29を含む。
【0089】
電力ケーブル1’は、防護ベッディング29の半径方向外側に配置された防護層31を含む。防護層31は、防護ベッディング29の周囲にらせん状に置かれた複数の防護ワイヤ33を含む。防護ワイヤ33は、例えば、亜鉛メッキカーボンスチール、オーステナイト系ステンレススチール、又は合成材料製であってよい。
【0090】
防護ワイヤ33は、ビチューメン中に浸漬されてよい。
【0091】
電力ケーブル1’は、防護層31の周囲に配置された外側シース35を含む。外側シース35は、電力ケーブル1’の最外層であってよい。外側シース35は、例えば、ポリマージャケットであってよい、又は、それは、防護層31の周囲にらせん状に巻かれたポリマーヤーンを含んでよい。
【0092】
電力コア3aは、いくつかの例によると、絶縁システム7の半径方向外側に配置されたスクリーンを含んでよい。スクリーンは、例えば、銅を含んでよい。スクリーンは、例えば、銅ワイヤを含んでよい。それは、第1の金属製水ブロッキング層15及び第2の金属製水ブロッキング層21が、接着剤又ははんだにより接合される場合に、スクリーンを提供するのに好適であってよい。なぜなら、この場合では、それらは、短絡電流を扱うことができる程度に十分薄くてよいからである。
【0093】
本発明に関するコンセプトを、いくつかの例を参照して主に説明した。しかし、当業者にただちに明白であるように、上記に開示するものとは異なる他の実施形態も、特許請求の範囲に規定されるように、本発明に関するコンセプトの範囲内にて等しく可能である。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-06-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力ケーブル(1、1’)であって、
電力コア(3a、3b、3c)であって、
コンダクタ(5)と、
絶縁システムであって、
前記コンダクタ(5)の周囲に配置された内部半導電性層(9)と、
前記内部半導電性層(9)の周囲に配置された絶縁層(11)と、
前記絶縁層(11)の周囲に配置された外部半導電性層(13)と、
を含む絶縁システムと、
前記外部半導電性層(13)と同心円状に、前記外部半導電性層(13)の周囲に配置された第1の金属製水ブロッキング層(15)と、
前記第1の金属製水ブロッキング層(15)と同心円状に、前記第1の金属製水ブロッキング層(15)の周囲に配置された半導電性ポリマー層(19)と、
前記半導電性ポリマー層(19)と同心円状に、前記半導電性ポリマー層(19)の周囲に配置された第2の金属製水ブロッキング層(21)と、
を含む電力コア(3a、3b、3c)と、
前記第2の金属製水ブロッキング層(21)の周囲に配置された外側シース(25、35)と、
を含む電力ケーブル(1、1’)。
【請求項2】
前記半導電性ポリマー層(19)は押出層である、請求項1に記載の電力ケーブル(1、1’)。
【請求項3】
前記第1の金属製水ブロッキング層(15)は、第1の金属箔であるか、又はこれを含む、請求項1又は2に記載の電力ケーブル(1、1’)。
【請求項4】
前記第2の金属製水ブロッキング層(21)は、第2の金属箔であるか、又はこれを含む、請求項1又は2に記載の電力ケーブル(1、1’)。
【請求項5】
前記第1の金属製水ブロッキング層(15)は、前記電力コア(3a、3b、3c)に沿って軸方向に伸長する第1の継ぎ目(17)を有し、
前記第1の継ぎ目(17)は、前記第1の金属製水ブロッキング層(15)の重なり合っているエッジ(15a、15c)を接着剤又ははんだを用いて接合することにより形成される、
請求項1又は2に記載の電力ケーブル(1、1’)。
【請求項6】
前記第2の金属製水ブロッキング層(21)は、前記電力コア(3a、3b、3c)に沿って軸方向に伸長する第2の継ぎ目(23)を有し、
前記第2の継ぎ目(23)は、前記第2の金属製水ブロッキング層(21)の重なり合っているエッジ(21a、21b)を接着剤又ははんだを用いて接合することにより形成される、
請求項に記載の電力ケーブル(1、1’)。
【請求項7】
前記第1の継ぎ目(17)及び前記第2の継ぎ目(23)は、前記電力コア(3a、3b、3c)の周方向に90度及び270度の間で互いからオフセットして配置される、請求項6に記載の電力ケーブル(1、1’)。
【請求項8】
前記第1の継ぎ目(17)及び前記第2の継ぎ目(23)は、前記電力コア(3a、3b、3c)の周方向に120度及び240度の間で互いからオフセットして配置される、請求項6に記載の電力ケーブル(1、1’)。
【請求項9】
前記第1の継ぎ目(17)及び前記第2の継ぎ目(23)は、前記電力コア(3a、3b、3c)の周方向に160度及び200度の間で互いからオフセットして配置される、請求項6に記載の電力ケーブル(1、1’)。
【請求項10】
前記半導電性ポリマー層(19)は、前記第1の金属製水ブロッキング層(15)に付着している、請求項1に記載の電力ケーブル(1、1’)。
【請求項11】
前記半導電性ポリマー層(19)は、前記第2の金属製水ブロッキング層(21)に付着している、請求項1に記載の電力ケーブル(1、1’)。
【請求項12】
前記第1の金属製水ブロッキング層(15)は、アルミニウム、銅、又はステンレススチールを含む、請求項1に記載の電力ケーブル(1、1’)。
【請求項13】
前記第2の金属製水ブロッキング層(21)は、アルミニウム、銅、又はステンレススチールを含む、請求項1に記載の電力ケーブル(1、1’)。
【請求項14】
前記電力コア(3a)は第1の電力コアであり、
前記電力ケーブル(1’)は、
第2の電力コア(3b)と、
第3の電力コア(3c)と、
を含み、
前記第2の電力コア(3b)及び前記第3の電力コア(3c)のそれぞれは、
コンダクタと、
絶縁システムであって、
前記コンダクタの周囲に配置された内部半導電性層と、
前記内部半導電性層の周囲に配置された絶縁層と、
前記絶縁層の周囲に配置された外部半導電性層と、
を含む絶縁システムと、
前記外部半導電性層と同心円状に、前記外部半導電性層の周囲に配置された第1の金属製水ブロッキング層と、
前記第1の金属製水ブロッキング層と同心円状に、前記第1の金属製水ブロッキング層の周囲に配置された半導電性ポリマー層と、
前記半導電性ポリマー層と同心円状に、前記半導電性ポリマー層の周囲に配置された第2の金属製水ブロッキング層と、
を含み、
前記外側シース(35)は、前記第1の電力コア(3a)と、前記第2の電力コア(3b)と、前記第3の電力コア(3c)と、の周囲に配置されている、
請求項1に記載の電力ケーブル(1’)。
【請求項15】
前記電力ケーブル(1、1’)は海底電力ケーブルである、請求項1に記載の電力ケーブル(1、1’)。
【外国語明細書】