(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121170
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】フォークリフト運搬用トラック荷台の高さ調整装置
(51)【国際特許分類】
B60P 3/07 20060101AFI20230824BHJP
B60P 3/077 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
B60P3/07 B
B60P3/077
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024344
(22)【出願日】2022-02-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】522028939
【氏名又は名称】株式会社 啓生運輸
(74)【代理人】
【識別番号】100165135
【弁理士】
【氏名又は名称】百武 幸子
(72)【発明者】
【氏名】羽生 啓幸
(57)【要約】
【課題】フォークリフトを荷台上でスムーズに移動させることができ、車高を法規内の積載高さに効率よく下げることができるフォークリフト運搬用トラック荷台の高さ調整装置を提供する。
【解決手段】フォークリフト運搬用トラック荷台の高さ調整装置1は、フォークリフト運搬用トラック3の荷台に装着されるものであって、床11に少なくともフォークリフト2の一対の前輪21が嵌る車輪用孔19と、車輪用孔19を開閉する踏板12と、踏板12の開閉機構と、を備え、踏板12が車輪用孔19を閉じた状態において、床11は略平坦で孔がない。開閉機構は、踏板12を、踏板12端部の軸13周りに旋回させて車輪用孔19を開閉する構成とすることができる。また、開閉機構は、床11下に踏板12をスライドさせて車輪用孔19を開閉する構成とすることもできる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォークリフト運搬用トラック(3)の荷台に装着されるフォークリフト運搬用トラック荷台の高さ調整装置(1)であって、
床(11)に少なくともフォークリフト(2)の一対の前輪(21)が嵌る車輪用孔(19)と、
前記車輪用孔(19)を開閉する踏板(12)と、
前記踏板(12)の開閉機構と、
を備え、
前記踏板(12)が前記車輪用孔(19)を閉じた状態において、前記床(11)は略平坦で孔がないことを特徴とするフォークリフト運搬用トラック荷台の高さ調整装置。
【請求項2】
請求項1に記載のフォークリフト運搬用トラック荷台の高さ調整装置(1)であって、前記開閉機構は、前記踏板(12)を、前記踏板(12)端部の軸(13)周りに旋回させて前記車輪用孔(19)を開閉する構成とし、前記床(11)下に設置される油圧シリンダ(15)と、アーム(18)と、から構成され、前記アーム(18)の一端が前記油圧シリンダ(15)のピストンロッド(16)先端部に連結され、前記アーム(18)の他端が前記踏板(12)の下面に固定されて前記踏板(12)を旋回させることを特徴とするフォークリフト運搬用トラック荷台の高さ調整装置。
【請求項3】
請求項1に記載のフォークリフト運搬用トラック荷台の高さ調整装置であって、前記開閉機構は、前記床(11)下に前記踏板(12)をスライドさせて前記車輪用孔(19)を開閉する構成とし、油圧シリンダ(15)と、前記踏板(12)の下面に取り付けられた車輪(41)と、前記踏板(12)の一側面に取り付けられたローラー(45)と、前記車輪(41)の支持レール(40)と、を備え、前記油圧シリンダ(15)のピストンロッド(16)の先端部が前記踏板(12)に連結されて、前記踏板(12)をスライドさせることを特徴とするフォークリフト運搬用トラック荷台の高さ調整装置。
【請求項4】
請求項3に記載のフォークリフト運搬用トラック荷台の高さ調整装置であって、前記踏板(12)の下面には更に補助板(43)が取り付けられ、前記油圧シリンダ(15)の前記ピストンロッド(16)の先端部が前記補助板(43)に連結されて、前記踏板(12)をスライドさせることを特徴とするフォークリフト運搬用トラック荷台の高さ調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフト運搬用トラック荷台に装着される高さ調整装置に関する。特に、フォークリフトの車輪を嵌める孔を踏板で開閉する開閉機構を備えた高さ調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、フォークリフトを運搬する際には、フォークリフトを安定して固定できる運搬用トラックが使用されている。運搬用トラックの積荷の高さは制限があり、トラックの着地面から、高さ3800mm以下と道路交通法で決められている。また、高さ指定道路では高さ4100mmまで、制限外積載許可を受けたトラックに対しては高さ4300mmまでが許可されている。通常、1.5~2.0トンのフォークリフトの全高(マスト下降時の高さ)は1950~2000mm程であり、一般の運搬用トラック荷台の高さは、600~1200mm程であるため、フォークリフトを荷台に載せても高さ制限には違反しない。
【0003】
しかしながら、3~24トンの大型のフォークリフトになると、全高(マスト下降時の高さ)は3500~3800mm程になる場合もあり、トラックの積荷の高さ制限を超えてしまう可能性がある。また、高さのあるフォークリフトを運搬用トラックに載せると、全体の重心が高くなるため、運搬用トラックの運転の際には、強風や雪、車道の状態等により、不安定になりやすい。
【0004】
従来、運搬用トラックの荷台に車を安定して歯止めできる装置が開発されてきた。例えば、特許文献1には自動車運搬用荷台における歯止め装置が開示されている。この発明は、自動車運搬用荷台に装着する歯止め装置に関するもので、積載する自動車の歯止めを主な目的とし、車高の大きな車を法規内の積載高さにするための落し込みを兼ねた装置としている。
【0005】
また、特許文献2には車両の運搬時に、載積されたデッキ上で車両が移動するのを防ぐための車両歯止め装置が開示されている。この発明によると、車両のホイルベースの差に応じて踏板を自由に移動調節して任意な位置へタイヤの落し込み孔を任意な幅に設けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭56-135334号公報
【特許文献2】実公平03-49057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1と2の装置は、自動車運搬用荷台における車両の歯止めを主な目的とするものである。特許文献1の歯止め装置が設置された荷台は、予め孔(空間)が空いており(特許文献1の第5図参照)、その孔前後の歯止板が回転することでタイヤの落し込み孔を設ける構成としている(特許文献1の第6図参照)。また、特許文献2の歯止め装置が設置された荷台も、タイヤの落し込み孔を任意な幅に設けることができるように、予め孔が空いている。そのため、特許文献1と2の車両運搬用荷台上で小さなタイヤの車両を移動させる場合には、その孔に嵌ってしまう可能性がある。
【0008】
通常の自家用車であれば、車両運搬用荷台に孔があっても、容易に移動させることができる場合が多いが、大型車両、例えば大型のフォークリフトを荷台に移動させる際に、スムーズに移動させることが困難な場合がある。また、特許文献1と2の発明により、載積する車の車輪が孔に嵌ることで、車高を多少低くすることができるが、例えば200mm程、低く下げることは困難である。なぜなら、車高を下げるためにタイヤが嵌る孔を大きく形成する必要があり、その分、予め空ける孔も大きくなるため、大型のフォークリフト等をスムーズに移動させることが困難になる。
【0009】
一般にフォークリフトの場合、前輪と後輪の寸法が異なり、前輪よりも後輪の方が小さい。フォークリフトを荷台に載せる際には後輪から載せることが多いため、荷台に予め孔があると小さな後輪が嵌りやすくなる。フォークリフトを荷台上でスムーズに移動させるためには、荷台に孔がないことが望まれる。それに加え、フォークリフトを法規内の積載高さにするよう、効率よく車高を下げることができる高さ調整装置が望まれる。
【0010】
本発明は上記課題に鑑み、フォークリフトを荷台上でスムーズに移動させることができ、車高を法規内の積載高さに効率よく下げることができるフォークリフト運搬用トラック荷台の高さ調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、フォークリフト運搬用トラック(3)の荷台に装着されるフォークリフト運搬用トラック荷台の高さ調整装置(1)であって、床(11)に少なくともフォークリフト(2)の一対の前輪(21)が嵌る車輪用孔(19)と、前記車輪用孔(19)を開閉する踏板(12)と、前記踏板(12)の開閉機構と、を備え、前記踏板(12)が前記車輪用孔(19)を閉じた状態において、前記床(11)は略平坦で孔がないことを特徴とするフォークリフト運搬用トラック荷台の高さ調整装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のフォークリフト運搬用トラック荷台の高さ調整装置(1)であって、前記開閉機構は、前記踏板(12)を、前記踏板(12)端部の軸(13)周りに旋回させて前記車輪用孔(19)を開閉する構成とし、前記床(11)下に設置される油圧シリンダ(15)と、アーム(18)と、から構成され、前記アーム(18)の一端が前記油圧シリンダ(15)のピストンロッド(16)先端部に連結され、前記アーム(18)の他端が前記踏板(12)の下面に固定されて前記踏板(12)を旋回させることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のフォークリフト運搬用トラック荷台の高さ調整装置であって、前記開閉機構は、前記床(11)下に前記踏板(12)をスライドさせて前記車輪用孔(19)を開閉する構成とし、油圧シリンダ(15)と、前記踏板(12)の下面に取り付けられた車輪(41)と、前記踏板(12)の一側面に取り付けられたローラー(45)と、前記車輪(41)の支持レール(40)と、を備え、前記油圧シリンダ(15)のピストンロッド(16)の先端部が前記踏板(12)に連結されて、前記踏板(12)をスライドさせることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のフォークリフト運搬用トラック荷台の高さ調整装置であって、前記踏板(12)の下面には更に補助板(43)が取り付けられ、前記油圧シリンダ(15)の前記ピストンロッド(16)の先端部が前記補助板(43)に連結されて、前記踏板(12)をスライドさせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のフォークリフト運搬用トラック荷台の高さ調整装置は、フォークリフトを荷台上でスムーズに移動させることができ、車高を法規内の積載高さに効率よく下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るフォークリフト運搬用トラック荷台の高さ調整装置を装着したフォークリフト運搬用トラックの模式図である。
【
図2】
図1のフォークリフト運搬用トラック荷台の高さ調整装置の要部の正面断面図であり、(A)は車輪用孔が閉じた状態、(B)は車輪用孔が開いた状態を示す。
【
図3】
図1のフォークリフト運搬用トラック荷台の高さ調整装置の床の車輪用孔が閉じた状態の平面図である。
【
図4】
図1のフォークリフト運搬用トラック荷台の高さ調整装置の使用態様を示す説明図であり、(A)はフォークリフトの車輪を車輪用孔に嵌める前の状態、(B)は嵌めた後の状態を示す。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係るフォークリフト運搬用トラック荷台の高さ調整装置の(A)は正面外観図、(B)は要部の内部構造を示す正面図(車輪用孔が閉じた状態)、(C)は要部の内部構造を示す正面図(車輪用孔が開いた状態)、(D)は(B)のA-A矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態(以下実施例と略称する)を、図面に基づいて説明する。以下の図面において、共通する部分には同一の符号を付しており、同一符号の部分に対して重複した説明を省略する。本発明に係る「フォークリフト運搬用トラック荷台の高さ調整装置」は、以下、「高さ調整装置」と略称する。また、本実施例で使用する車輪、前輪、後輪の用語は接地しているゴム製のタイヤやチューブを含んだ回転部分を意味する。
【実施例0015】
[高さ調整装置1の構成]
本発明の第1の実施例に係る高さ調整装置1について
図1~3を参照して説明する。
図1は、本実施例に係る高さ調整装置1を装着したフォークリフト運搬用トラック3の模式図である。
図2は、高さ調整装置1の要部の正面断面図であり、(A)は車輪用孔19が閉じた状態、(B)は車輪用孔19が開いた状態を示す。
図3は高さ調整装置1の床11の車輪用孔19が閉じた状態の平面図である。
【0016】
高さ調整装置1を荷台に装着することができるフォークリフト運搬用トラック3は、例えば、トラックの前方が持ち上がり後方が地面に近づくように傾斜するトラック(いわゆるセルフローダー車)や荷台部分だけが傾斜してスライドするトラック(いわゆるセーフティローダー車)である。
図1には、簡略化したフォークリフト運搬用トラック3を示すが、実際はセルフローダー車又はセーフティローダー車を使用する。また、本実施例では、フォークリフト2を1台載せることが可能な高さ調整装置1をフォークリフト運搬用トラック3の荷台に装着した例を説明する。本発明の高さ調整装置1は、フォークリフト2を2台以上載せることができるように構成することも可能である。その場合、高さ調整装置1の車輪用孔19をフォークリフト2の個数に合わせて設ける。
【0017】
本実施例では、
図3に示すように、高さ調整装置1の床11には、フォークリフト2の前後の車輪21,22が嵌る車輪用孔19が4箇所に設けられている。前輪21だけが嵌る車輪用孔19を2箇所に設ける構成としてもよい。車輪用孔19は、踏板12によって開閉される。踏板12が車輪用孔19を閉じた状態において、床11は略平坦で孔がない。本実施例の踏板12の開閉機構は、踏板12の端部の軸13を回転させて車輪用孔19を開閉する。踏板12の開閉機構は、この構成に限定されず、踏板12を動かして車輪用孔19を開閉できれば、いかなる構成でもよい。
【0018】
図3に示すように、高さ調整装置1の床11の車輪用孔19はフォークリフト2のホイルベースの間隔D1で、前後に一対、合計4カ所に設けられている。
図1に示すように、床11の車輪用孔19はフォークリフト運搬用トラック3の車輪等に触れず、フォークリフト運搬用トラック3の運行を妨げないように穿設されている。
【0019】
一般に、フォークリフト2の車輪は、駆動輪である前輪21と操向輪である後輪22からなり、前輪21よりも後輪22の方が小さい。例えば、前輪21と後輪22の径の比は、5:4である。フォークリフト2を床11に載せる際には後輪22から載せることが多く、本実施例においても前方の鳥居10側に後輪22が嵌る車輪用孔19、後方に前輪21が嵌る車輪用孔19が穿設されている。
【0020】
フォークリフト2は、主に、運転や操作をするフォークリフト本体20と、前輪21と後輪22と、マスト23と、荷物を載せるフォーク24から構成される(
図1参照)。マスト23は、フォーク24を上下させるために必要なレールのような役割となっており、フォークリフト2を運搬する際にはフォーク24を最低に降ろした状態で行う。このときのマスト23の最上端までの高さはマスト高と呼ばれるが、前述のように3~24トンのフォークリフト2の場合、マスト高が3500~3800mm程になる場合がある。この場合、トラックの積荷の高さ制限を超えてしまう可能性があるが、高さ調整装置1を使用することで車高を下げることができる。
【0021】
車輪用孔19は長方形に穿設され、フォークリフト2の前輪21と後輪22のそれぞれの車輪幅以上の横幅D3,D2と、前輪21と後輪22のそれぞれが嵌るような縦幅D5,D4で設計されている(
図3参照)。この縦幅D5,D4の大きさは、フォークリフト2を法規内の積載高さにすることができれば、いかなる大きさでもよい。本実施例では、フォークリフト2の前輪21と後輪22が4分の1から3分の1程嵌ることができるように、縦幅D4,D5が設計されている。例えば、フォークリフト2の前輪21の径が約700mm、後輪22の径が約560mmの場合、前輪21が約200mm嵌るように縦幅D4,D5を設計することができる。それにより、フォークリフト2の車高を最大で約200mm下げることができる。
【0022】
踏板12は、車輪用孔19を隙間なく閉じるように、車輪用孔19と同じ長方形の形状で、同一又はわずかに小さい寸法で形成される。本実施例では、各車輪用孔19に対して1枚の踏板を使用し、その端部の軸13を回転させて開く構成としているが、各車輪用孔に対して2枚の踏板を使用し、それぞれの端部の軸を回転させて両方に開く構成、いわゆる観音開きの構成としてもよい。また、踏板12の端部の軸13は
図3に示す位置に限定されず、どの方向の端部に設けてもよい。踏板12の材質は、強度があり、軽量に形成できれば、いかなる材質のものでもよいが、本実施例の踏板12はステンレス等の金属製で構成されている。
【0023】
踏板12の端部の軸13を回転させて、車輪用孔19を開閉する踏板12の開閉機構は、軸13に直接作用する油圧モータや電動モータなど、いかなる装置を用いてもよい。また、前後左右の4本の軸13を同時に回転させる装置を用いてもよいし、それぞれの軸を個別に回転させる装置を用いてもよい。本実施例の開閉機構は、それぞれの軸13に作用するのではなく、踏板12に作用して踏板12を旋回させる。軸13に直接作用しない構成のため、軸13の破損等を防ぎ、耐久性に優れたものとなっている。踏板12に作用して旋回させる装置は、いかなるものを使用してもよいが、本実施例では油圧シリンダ15を使用する。
【0024】
図2に示すように、開閉機構は床11の下面に設置され、油圧シリンダ15と、アーム18から構成される。アーム18の一端が油圧シリンダ15に連結され、アーム18の他端がそれぞれの踏板の下面に固定される。アーム18は、棒状でも板状でもよいし、いわゆる三角ブラケットのような三角形状でもよい。また、アーム18の数は1本(1枚)でも複数本(複数枚)でもよい。アーム18は、踏板12を支えるため、強度があり軽量なステンレス等の金属製であることが好ましい。本実施例では、踏板12を効果的に支えるように三角ブラケットのような幅のある三角形状のアーム18を使用する。それにより、アーム18の三角形の底面を踏板12の底面に固定できるため、油圧シリンダ15の動力を踏板12に有効に伝えることができる。
【0025】
図2(A),(B)に示すように油圧シリンダ15の基端部14は回転軸と回転軸支持部材からなり、車輪用孔19の間に回転可能に配置されている。油圧シリンダ15の配置は、本実施例の配置に限定されず、踏板12の軸13の位置に対応して適宜変更して配置される。油圧シリンダ15のピストンロッド16の伸縮運動に伴って、油圧シリンダ15は基端部14の回転軸を中心に回動する。
【0026】
油圧シリンダ15は、一般に販売されている既存の油圧シリンダを使用する。油圧シリンダ15の寸法は、踏板12を開閉できればよく、踏板12の寸法に応じて様々な寸法のものを選択可能である。油圧シリンダ15の構造は、主にピストンロッド16と油圧シリンダ本体からなり、油圧シリンダ本体内部にはピストンロッド16に固定されたピストンと、ピストンを油圧で運動させる作動油などが含まれる(図示せず)。
【0027】
一般に油圧シリンダにはいわゆる単動形と複動形のものが広く知られている。開閉機構には、単動形と複動形のどちらの油圧シリンダを使用してもよいが、本実施例では、ピストンロッド16を伸縮運動させることができる複動形の油圧シリンダを使用する。なお、図面において、油圧シリンダ15の作動油の出入口(ポート)と作動油のチューブ、作動源である油圧ポンプの図示は省略する。油圧シリンダ15の作動油のチューブと油圧ポンプは床11の下面(又は下方)の所定の場所に設置される。
【0028】
アーム18の一端部は、油圧シリンダ15のピストンロッド16の先端部17に連結され、アーム18の他端部は踏板の下面に固定されている。本実施例では、前述のようにアーム18は三角形状であるため、三角形の頂点部(一端部)がピストンロッド16の先端部17に連結され、その底面部(他端部)が踏板12の底面に固定されている。
【0029】
以上説明した様に、高さ調整装置1が構成されているため、油圧シリンダ15のピストンロッド16の伸縮運動に伴って、アーム18が踏板12に作用して踏板12を旋回させることができる。踏板12は、床11面(閉じ位置)から下に約90度(開き位置)の間で旋回させることができる。踏板12が閉じ位置にある状態では、床11は略平坦で孔がない状態に保たれている。それにより、高さ調整装置1を装着したフォークリフト運搬用トラック3の荷台上で、フォークリフト2をスムーズに移動させることができる。
【0030】
[高さ調整装置1の動作と使用例]
本実施例の高さ調整装置1の動作について、
図4を参照して説明する。
図4は、高さ調整装置の使用態様を示す説明図であり、(A)はフォークリフト2の車輪21,22を車輪用孔19に嵌める前の状態、(B)は嵌めた後の状態を示す。
【0031】
高さ調整装置1が装着されたフォークリフト運搬用トラック3の荷台にフォークリフト2を載せる前に、油圧ポンプを起動させ、踏板12を床11面(閉じ位置)に旋回し、車輪用孔19を閉じた状態にする。このとき、油圧シリンダ15のピストンロッド16が最大の長さになっている。この状態で油圧ポンプを停止する。
【0032】
フォークリフト運搬用トラック3にフォークリフト2を積み込み、床11に載せて、前輪、後輪の車輪21,22がそれぞれ踏板12上に載るように移動させる。
図4(A)に示すように、踏板12が閉じた状態では、床11は略平坦で孔がないため、フォークリフト2をスムーズに移動させることができる。フォークリフト2の車輪21,22がそれぞれ踏板12上に載った後に再度、油圧ポンプを起動させる。
【0033】
油圧ポンプを起動させると、油圧シリンダ15のピストンロッド16が縮む運動に伴って、ピストンロッド16の先端部に連結されたアーム18を介して踏板12を旋回させて車輪用孔19が開くように作用する。そのまま油圧シリンダ15のピストンロッド16が最小の長さになるまで縮むと、アーム18を介して踏板12が床11面から下に開かれる。
図4(B)は踏板12が床11面から下に開いた状態を示す。この開き位置で油圧ポンプを停止する。踏板12を開く速度は、フォークリフト2の自重により、閉じる速度よりも速くなるが、フォークリフト2に衝撃を加えないような速度で踏板12が開かれる。
【0034】
踏板12が開き位置まで開かれることで、車輪用孔19が開口し、車輪用孔19にフォークリフト2の車輪21,22が嵌められる。例えば、車輪21,22の直径の4分の1から3分の1程度、車輪用孔19に嵌められる。本実施例では、車輪21,22は最大で200mm程嵌めることができる構成とする。それにより、フォークリフト2の車高を200mm程下げることができる。
【0035】
フォークリフト運搬用トラック3からフォークリフト2の降ろす際には、再び油圧ポンプを起動させて、踏板12を旋回させ、車輪21,22を載せて床11面(閉じ位置)まで旋回し、車輪用孔19を閉じた状態にする。踏板12は、フォークリフト2の自重により、ゆっくり旋回して車輪用孔19を閉じる。この閉じ位置で油圧ポンプを停止する。その後、フォークリフト2を移動させ、フォークリフト運搬用トラック3から降ろす。以上のように本実施例の高さ調整装置1を使用して、フォークリフト2を荷台上でスムーズに移動させることができ、車高を法規内の積載高さに効率よく下げることができる。
第1の実施例では、車輪21,22が嵌る車輪用孔19が床11に4箇所設けられていたが、本実施例では、フォークリフト2の前輪21だけが嵌る車輪用孔19を2箇所に設ける構成とする。前述のように、フォークリフト2の車輪は、後輪22よりも前輪21の方が大きく、前輪21を下げるだけでもフォークリフト2のマスト高を下げることが可能である。第1の実施例と同様に車輪用孔19を4箇所設ける構成とすることもできる。
踏板12をスライドさせ易くするため、踏板12の下面には小さな車輪41が取り付けられている。車輪41は、例えば、進行方向が固定されているキャスター(いわゆる固定キャスター)が使用される。車輪41は、その取付座(トッププレート)が踏板12の下面に固定され、本体42(フォーク)とシャフトを介して回転可能に取り付けられている。本実施例では、車輪41を踏板12の片側に3個ずつ、計6個取り付けているが、踏板12をスライドさせることができれば、車輪41の数は6個に限定されず、何個付けてもよい。
また、本実施例では踏板12の下面に補助板43が取り付けられている。油圧シリンダ15のピストンロッド16の端部が補助板43に連結されて踏板12をスライドさせることで踏板12を開閉させる構成としている。補助板43は、踏板12に油圧シリンダ15を取り付け易くするために設けられているが、補助板43は必須の構成要素ではなく、踏板12の下面に直接、又は他の部品を介して油圧シリンダ15を取り付ける構成としてもよい。
油圧シリンダ15の基端部14は、第1の実施例と同様に回転軸と回転軸支持部材からなる。本実施例では油圧シリンダ15を、床11と略平行になるように回転して固定している。油圧シリンダ15は、一般に販売されている既存の油圧シリンダを使用する。油圧シリンダ15の寸法は、踏板12を開閉できればよく、踏板12の寸法に応じて様々な寸法のものを選択可能である。油圧シリンダ15の構造や、油圧ポンプ(図示せず)等の設置個所は、第1の実施例と同様であるため、説明を省略する。
前述のように、本実施例では踏板12の下面に取り付けられた補助板43の取り付け部44に、油圧シリンダ15のピストンロッド16の先端部17が連結されている。油圧シリンダ15のピストンロッド16の伸縮運動に伴って、補助板43をスライドさせることで踏板12を開閉させる構成としている。
以上説明した様に、高さ調整装置1が構成されているため、油圧シリンダ15のピストンロッド16の伸縮運動に伴って、踏板12をスライドさせて、スムーズに車輪用孔19を開閉させることができる。また、本実施例の高さ調整装置1は、実施例1よりも高さ方向(垂直方向)に場所を取らない態様で構成されているため、床11下に充分な空間が空いていない場合でも取り付けることができる。
その後、車輪用孔19にフォークリフト2の車輪21が嵌められる。前述のように、踏板12の側面にローラー45が付いているため、スムーズに車輪21を車輪用孔19に降ろして、嵌めることができる。実施例1と同様に、例えば、車輪21の直径の4分の1から3分の1程度、車輪用孔19に嵌められる。
フォークリフト運搬用トラック3からフォークリフト2の降ろす際には、再び油圧ポンプを起動させて、踏板12をスライドさせ、車輪21を踏板12に載せて床11面(閉じ位置)まで持ち上げ、車輪用孔19を閉じた状態にする。降ろす時と同様に、踏板12の側面にローラー45が付いていることで、車輪21をスムーズに踏板12上に持ち上げることができる。車輪用孔19を閉じた後、油圧ポンプを停止する。その後、フォークリフト2を移動させ、フォークリフト運搬用トラック3から降ろす。
以上説明した様に、本発明のフォークリフト運搬用トラック荷台の高さ調整装置を使用することにより、フォークリフトをスムーズにフォークリフト運搬用トラック上で移動させることができ、車高を法規内の積載高さに下げることができる。それにより、フォークリフトを効率的に運搬することができる。
なお、上述した実施例のフォークリフト運搬用トラック荷台の高さ調整装置は一例であり、その構成は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更可能である。例えば、上述した実施例では、1台のフォークリフトを運ぶ場合について説明したが、2台のフォークリフトを運ぶ場合には、8個の車輪用孔が穿設されるように、高さ調整装置を構成することもできる。また、本実施例2では、踏板をスライドさせる装置として油圧シリンダを使用したが、踏板をスライドさせる他の装置を使用することもできる。