(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121203
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】地図情報提供装置、地図情報提供方法、地図情報提供プログラム及び地図情報出力装置
(51)【国際特許分類】
G09B 29/00 20060101AFI20230824BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20230824BHJP
G01C 21/32 20060101ALI20230824BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20230824BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20230824BHJP
G16Y 40/60 20200101ALI20230824BHJP
H04L 67/52 20220101ALI20230824BHJP
【FI】
G09B29/00 A
G06Q50/10
G01C21/32
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/60
H04L67/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024400
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】500578216
【氏名又は名称】株式会社ゼンリンデータコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】倉科 秀光
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
5L049
【Fターム(参考)】
2C032HB24
2C032HB25
2C032HC14
2F129EE02
2F129EE10
2F129EE77
2F129FF02
2F129FF11
2F129FF15
2F129FF20
2F129FF36
2F129FF61
2F129HH02
2F129HH04
2F129HH12
2F129HH25
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】 利用者が必要とするエリアの地図情報だけを過不足なく、かつ、利用者にとっては合理的で納得できるように提供する。
【解決手段】 指定エリア特定部113は、利用者により設定された指定エリアに含まれる分割領域を、階層を考慮して特定する。指定エリア設定部115は、指定エリア特定部113により特定された分割領域の分割領域キーと、エリアコードとを対応付けて利用者別エリア管理ファイル106に記録する。詳細地図提供部116は、ユーザ端末からの指定エリアコードと表示対象とするエリアの地図に対応する分割領域の分割領域キーとに基づいて、利用者別エリア管理ファイル106を参照し、ユーザ端末からの分割領域キーにより特定される分割領域の内、エリアコードにより特定される指定エリアに含まれる分割領域に対してのみ地図情報DB104の詳細地図情報を提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して接続された地図情報出力装置に対して、地図情報を提供する地図情報提供装置であって、
同一階層では同じ面積の複数の分割領域に分割されるが、異なる階層間では前記分割領域の面積は異なるように階層化されて分割された地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
前記地図情報出力装置からの地図上における指定エリアの外縁を示す情報と、前記地図情報記憶手段の前記地図情報とに基づいて、前記指定エリアに含まれる前記分割領域を、階層を考慮して特定する指定エリア特定手段と、
前記指定エリアに対して識別情報である指定エリアコードを付与し、前記指定エリアコードを前記地図情報出力装置に提供する指定エリアコード付与手段と、
前記指定エリア特定手段により特定された前記分割領域の識別情報である分割領域キーと、前記指定エリアに付与された前記指定エリアコードとを対応付けてエリア管理記憶手段に記録する指定エリア設定手段と、
前記地図情報出力装置からの前記指定エリアコードと表示対象とするエリアの地図に対応する分割領域の分割領域キーとに基づいて、前記エリア管理記憶手段を参照し、前記地図情報出力装置からの前記分割領域キーにより特定される分割領域の内、前記指定エリアコードにより特定される前記指定エリアに含まれる分割領域に対してのみ前記地図情報記憶手段の特定地図情報を提供する特定地図提供手段と
を備えることを特徴とする地図情報提供装置。
【請求項2】
請求項1に記載の地図情報提供装置であって、
前記地図情報記憶手段が記憶する前記地図情報は、地球表面を平面に変換して4分割し、以降は各分割領域を4分割していくことを繰り返すことにより、分割領域の数に応じて階層化されたものである
ことを特徴とする地図情報提供装置。
【請求項3】
請求項1に記載の地図情報提供装置であって、
前記指定エリア特定手段は、前記指定エリアを覆い、前記指定エリアの外となる部分が少なくなるように、面積の大きな分割領域から面積の小さな分割領域へと階層を変えながら複数の分割領域を特定する
ことを特徴とする地図情報提供装置。
【請求項4】
請求項1に記載の地図情報提供装置であって、
前記特定地図提供手段は、前記地図情報出力装置からの前記分割領域キーにより特定される分割領域の内、前記指定エリアコードにより特定される前記指定エリアに含まれない分割領域に対しては、エラーステータスを提供する
ことを特徴とする地図情報提供装置。
【請求項5】
ネットワークを介して接続された地図情報出力装置に対して、地図情報を提供する地図情報提供装置において用いられる地図情報提供方法であって、
前記地図情報出力装置からの地図上における指定エリアの外縁を示す情報と、同一階層では同じ面積の複数の分割領域に分割されるが、異なれる階層間では前記分割領域の面積は異なるように階層化されて分割された地図情報を記憶する地図情報記憶手段の前記地図情報とに基づいて、前記指定エリアに含まれる前記分割領域を、階層を考慮して特定する指定エリア特定工程と、
前記指定エリアに対して識別情報である指定エリアコードを付与し、前記指定エリアコードを前記地図情報出力装置に提供する指定エリアコード付与工程と、
前記指定エリア特定工程において特定した前記分割領域の識別情報である分割領域キーと、前記指定エリアに付与された前記指定エリアコードとを対応付けてエリア管理記憶手段に記録する指定エリア設定工程と、
前記地図情報出力装置からの前記指定エリアコードと表示対象とするエリアの地図に対応する分割領域の分割領域キーとに基づいて、前記エリア管理記憶手段を参照し、前記地図情報出力装置からの前記分割領域キーにより特定される分割領域の内、前記指定エリアコードにより特定される前記指定エリアに含まれる分割領域に対してのみ前記地図情報記憶手段の特定地図情報を提供する特定地図提供工程と
を有することを特徴とする地図情報提供方法。
【請求項6】
ネットワークを介して接続された地図情報出力装置に対して、地図情報を提供する地図情報提供装置に搭載されたコンピュータによって実行される地図情報提供プログラムであって、
前記地図情報出力装置からの地図上における指定エリアの外縁を示す情報と、同一階層では同じ面積の複数の分割領域に分割されるが、異なる階層間では前記分割領域の面積は異なるように階層化されて分割された地図情報を記憶する地図情報記憶手段の前記地図情報とに基づいて、前記指定エリアに含まれる前記分割領域を、階層を考慮して特定する指定エリア特定ステップと、
前記指定エリアに対して識別情報である指定エリアコードを付与し、前記指定エリアコードを前記地図情報出力装置に提供する指定エリアコード付与ステップと、
前記指定エリア特定ステップにおいて特定した前記分割領域の識別情報である分割領域キーと、前記指定エリアに付与された前記指定エリアコードとを対応付けてエリア管理記憶手段に記録する指定エリア設定ステップと、
前記地図情報出力装置からの前記指定エリアコードと表示対象とするエリアの地図に対応する分割領域の分割領域キーとに基づいて、前記エリア管理記憶手段を参照し、前記地図情報出力装置からの前記分割領域キーにより特定される分割領域の内、前記指定エリアコードにより特定される前記指定エリアに含まれる分割領域に対してのみ前記地図情報記憶手段の特定地図情報を提供する特定地図提供ステップと
を実行することを特徴とする地図情報提供プログラム。
【請求項7】
ネットワークを介して接続された地図情報提供装置から地図情報の提供を受けて、これを表示する地図情報出力装置であって、
前記地図情報提供装置は、同一階層では同じ面積の複数の分割領域に分割されるが、異なる階層間では前記分割領域の面積は異なるように階層化されて分割された地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、前記地図情報出力装置からの地図上における指定エリアの外縁を示す情報と、前記地図情報記憶手段の前記地図情報とに基づいて、前記指定エリアに含まれる前記分割領域を、階層を考慮して特定する指定エリア特定手段と、前記指定エリアに対して識別情報である指定エリアコードを付与し、前記指定エリアコードを前記地図情報出力装置に提供する指定エリアコード付与手段と、前記指定エリア特定手段により特定された前記分割領域の識別情報である分割領域キーと、前記指定エリアに付与された前記指定エリアコードとを対応付けてエリア管理記憶手段に記録する指定エリア設定手段と、前記地図情報出力装置からの前記指定エリアコードと表示対象とするエリアの地図に対応する分割領域の分割領域キーとに基づいて、前記エリア管理記憶手段を参照し、前記地図情報出力装置からの前記分割領域キーにより特定される分割領域の内、前記指定エリアコードにより特定される前記指定エリアに含まれる分割領域に対してのみ前記地図情報記憶手段の特定地図情報を提供する特定地図提供手段と、を備えるものであり、
前記地図情報出力装置からの地図上における指定エリアの外縁を示す情報を前記地図情報提供装置に提供するエリア特定情報提供手段と、
前記地図情報提供装置からの前記指定エリアコードと表示対象とするエリアの地図に対応する分割領域の分割領域キーとを含む特定地図提供要求を前記地図情報提供装置に提供する特定地図要求手段と、
前記地図情報提供装置から特定地図情報の提供を受けた前記分割領域については、特定地図情報を出力し、特定地図情報が提供されなかった分割領域については、特定地図情報を表示できない旨の出力を行う出力処理手段と
を備えることを特徴とする地図情報出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、インターネットなどのネットワークを通じて地図情報を提供する装置、方法、プログラム及び地図情報の提供を受けて出力する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
後に記す特許文献1にも開示されているように、クライアントPC(Personal Computer)に対して、インターネットを通じて地図情報を提供する情報提供装置が従来から知られている。特許文献1に開示された情報提供装置は、通常提示と確認用提示との2種類の提示態様を備える。通常提示は課金等の条件の下に広い範囲の地図情報を提供する態様であり、確認用提示は地図の被掲載者に対して掲載情報の確認のために狭い範囲の地図情報を提供する態様である。特許文献1において課金は、閲覧に要した時間、出力されたデータ量などに応じて施すことができることが説明されている。また、都道府県、市区町村、大字、町丁目といった行政界(行政区画)単位に料金を定め、行政界を基準に地図情報を有料で提供することも行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般に、利用者が地図の閲覧時間を意識し続けることは難しいし、自分が提供を受けた地図情報のデータ量を把握することも難しいため、閲覧に要した時間や出力されたデータ量に応じて課金する方式は、利用者にとって分かり難い。また、閲覧に要した時間や出力されたデータ量に応じて課金する場合には、地図情報を閲覧するごとに課金が発生するため、当該課金方式は利用者にとって合理的でない場合がある。また、行政界単位に料金を定め、行政界単位に地図情報を提供する場合には、当該行政界(行政区画)内に地図情報を参照しないエリアが多く含まれていても、行政界単位に定められた課金を支払わなければならない。この場合には、利用しないエリアの地図情報についても課金が発生することになるので、当該課金方式は利用者にとって合理的でない。
【0005】
以上のことに鑑み、この発明は、利用者が必要とするエリアの地図情報だけを過不足なく、かつ、利用者にとっては合理的で納得できるように提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の地図情報提供装置は、
ネットワークを介して接続された地図情報出力装置に対して、地図情報を提供する地図情報提供装置であって、
同一階層では同じ面積の複数の分割領域に分割されるが、異なる階層間では前記分割領域の面積は異なるように階層化されて分割された地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
前記地図情報出力装置からの地図上における指定エリアの外縁を示す情報と、前記地図情報記憶手段の前記地図情報とに基づいて、前記指定エリアに含まれる前記分割領域を、階層を考慮して特定する指定エリア特定手段と、
前記指定エリアに対して識別情報である指定エリアコードを付与し、前記指定エリアコードを前記地図情報出力装置に提供する指定エリアコード付与手段と、
前記指定エリア特定手段により特定された前記分割領域の識別情報である分割領域キーと、前記指定エリアに付与された前記指定エリアコードとを対応付けてエリア管理記憶手段に記録する指定エリア設定手段と、
前記地図情報出力装置からの前記指定エリアコードと表示対象とするエリアの地図に対応する分割領域の分割領域キーとに基づいて、前記エリア管理記憶手段を参照し、前記地図情報出力装置からの前記分割領域キーにより特定される分割領域の内、前記指定エリアコードにより特定される前記指定エリアに含まれる分割領域に対してのみ前記地図情報記憶手段の特定地図情報を提供する特定地図提供手段と
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、利用者が指示した指定エリアに属する分割領域に対してのみ特定地図情報を提供することができる。これにより、利用者が必要としていないエリアの特定地図情報を提供することが無く、利用者にとって合理的で納得ができるように特定地図情報の提供ができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態の地図情報提供サーバ装置が用いられて構成される地図情報提供システムの構成例を説明するための図である。
【
図2】実施の形態の地図情報提供サーバ装置(地図サーバ)を説明するためのブロック図である。
【
図3】地図についてのクワッド分割について説明するための図である。
【
図4】クワッド分割領域のスケール構造(階層化構造)について説明するための図である。
【
図5】各スケールのクワッド分割領域の大きさについて説明するための図である。
【
図6】地図を通じた指定エリアの設定について説明するための図である。
【
図7】指定エリアの分割領域の特定処理について説明するための図である。
【
図8】指定エリアの分割領域の分割領域キーについて説明するための図である。
【
図9】実施の形態の地図情報提供サーバ装置(地図サーバ)の利用者別エリア管理ファイルの格納データの例について説明するための図である。
【
図10】指定エリアと詳細地図提供エリアについて説明するための図である。
【
図11】詳細地図が表示される領域と詳細地図が表示されない領域について説明するための図である。
【
図12】地図情報出力装置であるユーザ端末の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図13】地図情報出力装置(ユーザ端末)と地図情報提供装置(地図サーバ)とが連携を開始する場合の処理を説明するためのフローチャートである。
【
図14】地図情報出力装置(ユーザ端末)と地図情報提供装置(地図サーバ)とが連携して指定エリアを設定する場合の処理を説明するためのフローチャートである。
【
図15】地図情報出力装置(ユーザ端末)と地図情報提供装置(地図サーバ)とが連携して詳細地図を表示する場合の処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図を参照しながら、この発明の装置、方法、プログラムの実施の形態について説明する。
【0010】
[地図情報提供システムの構成例]
図1は、実施の形態の地図情報提供サーバ装置が用いられて構成される地図情報提供システムの構成例を説明するための図である。
図1に示すように、この実施の形態の地図情報提供システムは、地図情報提供サーバ装置(以下、地図サーバと記載する。)1と、PC(Personal Computer)4と、携帯端末6とが、ネットワーク2を介して相互に接続されて構成される。携帯端末6は、例えば、スマートフォンやタブレットPCなどとして実現される。
【0011】
ネットワーク2は、主にはインターネットであるが、地図サーバ1、ルーター等のネットワーク接続機器3、携帯端末6などからインターネットまでを繋ぐ携帯電話網、電話網、無線LAN(Local Area Network)などをも含む。このため、
図1において、基地局5は、携帯電話網の基地局や無線LANのアクセスポイントである。
【0012】
図1に示すように、PC4は、利用者側に設置されるルーター等のネットワーク接続機器3を介して、ネットワーク2に接続されている。なお、
図1においては、ルーター等のネットワーク接続機器3とPC4とは有線接続されている場合を示しているが、ネットワーク接続機器3がWi-Fi(登録商標)ルーターである場合には、ネットワーク接続機器3とPC4とは無線接続される。また、
図1に示すように、携帯端末6は、基地局5を介してネットワーク2に接続されている。
【0013】
地図サーバ1は、この発明による地図情報提供装置の一実施の形態が適用されたものであり、地図情報を保持し、ネットワーク2を通じて提供される地図提供要求に応じた地図情報を、ネットワーク2を通じて要求元に提供する機能を実現する。PC4及び携帯端末6は、地図情報の利用者(ユーザ)によって使用されるユーザ端末であり、この発明による地図情報出力装置の一実施の形態が適用されたものである。PC4及び携帯端末6は、ネットワーク2を通じて地図サーバ1に対して地図提供要求を送信し、地図サーバ1より地図情報の提供を受けてこれを表示出力し、利用者に提示する機能を実現する。なお、この明細書において、「利用者」との文言は、地図サーバ1から地図情報の提供を受けて利用する者であって、ユーザ端末の使用者を意味する。
【0014】
PC4や携帯端末6の利用者は、地図サーバ1に対して予め利用者登録を行い、課金に応じることを条件に、指定エリアを設定し、当該指定エリアについては特定地図の提供を受けることができる。この実施の形態において特定地図は、住宅地図など呼ばれる詳細情報を含む詳細地図である。具体的に住宅地図などと呼ばれる詳細地図は、例えば、ビル、テナント、階数、個人名、地番といった、地図サーバ1の運営者が独自に収集して整備した詳細情報を含むものである。指定エリアは、例えば、市街図や道路図といった一般に広く提供されている地図を、指定エリアを指定するための一般地図として地図サーバ1がPC4や携帯端末6に提供し、当該一般地図上でPC4や携帯端末6の利用者が自由に指定(設定)するエリアである。
【0015】
具体的に、指定エリアは、提供された一般地図上においてフリーハンドで入力した自由曲線の内側のエリアとして指定したり、目的とする位置を中心として半径を指示することにより円形エリアとして指定したりできる。また、一般地図上において、複数の位置(点)を指示することにより隣り合う指示された位置(点)の間を直線で接続した内側のエリアとして指定することもできる。もちろん、従来通り、行政界を基準に指定エリアを指定することもできる。
【0016】
課金は、指定エリアの主に面積に応じて決められ、場所が考慮される場合もある。例えば、詳細情報が多くなる繁華街の詳細地図は高く、郊外の地図は繁華街に比べて安価になるといった場合もある。従来は、行政界単位に詳細地図の提供が行われることにより、利用者は不要なエリアについての詳細地図に対する課金に応じることが必要であった。しかし、この実施の形態の地図情報提供システムにおいて、PC4や携帯端末6の使用者は、自身が真に必要な指定エリアについての詳細地図の提供に対する課金だけに応じればよいことになる。
【0017】
このように、この実施の形態の地図情報提供システムにおいては、地図サーバ1は、PC4や携帯端末6からの要求に応じて利用者ごとに指定エリアを設定する。地図サーバ1は、利用者ごとに設定された指定エリアについては、詳細地図を提供するが、指定エリア外については、詳細地図を提供しない。これにより、PC4や携帯端末6では、利用者が設定した指定エリアについては詳細地図の提供を受けて表示出力して利用できるようにし、指定エリア外にについて、詳細地図の表示ができないエリアであることを明確に示すことができるようにしている。
【0018】
なお、
図1においては、説明を簡単にするため、ユーザ端末としてPC4と携帯端末6とだけを示しているが、実際には多数のユーザ端末がネットワーク2を介して地図サーバ1にアクセス可能になっている。ユーザ端末には、PC、スマートフォン、タブレットPCなど、通信機能を備えた種々の端末装置が含まれる。以下においては、まず、地図サーバ1の詳細について説明し、次にPC4や携帯端末6などであるユーザ端末の概要について説明し、その後に、地図サーバ1とユーザ端末とが協働して行う地図情報の利用処理(提供処理を含む)について説明する。
【0019】
[地図サーバ1の構成例]
<接続端子、通信I/F、制御部、記憶装置の各部について>
図2は、実施の形態の地図サーバ1の構成例を説明するためのブロック図である。接続端子101Tは、ネットワーク2への接続端部を構成し、通信I/F(interface)101は、ネットワーク2を通じた通信機能を実現する。すなわち、通信I/F101は、ネットワーク2を通じて自機宛に送信されてきたデータを受信して、自機で処理可能な形式のデータに変換して取り込む。また、通信I/F101は、相手先に送信するデータを送信用のデータに変換してネットワーク2を通じて相手先に送信する。
【0020】
制御部102は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリが接続されて構成されたマイクロプロセッサであり、地図サーバ1の各部を制御する。記憶装置103は、SSD(Solid State Drive)などの記憶媒体とそのドライバとからなり、記録媒体に対して、データの書き込み、読み出し、変更、削除を行うことが可能な補助記憶装置である。記憶装置103は、処理に必要になる種々のデータやプログラムを記憶保持するほか、種々の処理において得られる途中結果を一時記憶する作業領域としても用いられる。
【0021】
<地
図DBについて>
地
図DB(Data Base)104は、一般地図として例えば市街図、道路図、広域図、地方図、全国図や詳細地図(住宅地図)を表示するための地図情報を記憶保持する。市街図、道路図、広域図、地方図、全国図、詳細地図を表示するための地図情報は、地図を描画するための例えばベクトルデータやラスタデータ、注記(注釈)データなどからなるいわゆる描画データである。なお、以下において、市街図、道路図、詳細地図などとの記載は、地図を表示するための描画データであるそれぞれの種類の地図情報を意味している。
【0022】
また、この実施の形態において、地図情報は、同一階層では同じ面積の複数の分割領域に分割され、異なる階層間では分割領域の面積が異なるように、階層化されて分割されたものである。この実施の形態において、地図情報は、クワッド分割されたものである。
【0023】
<<地図情報のクワッド分割>>
図3は、地図についてのクワッド分割について説明するための図である。クワッド(Quad)との文言は、「4つ」を意味する。地図についてクワッド分割は、地図を4分割し、分割してできた分割領域のそれぞれを更に4分割していくというように、分割領域の4分割を繰り返していくことにより、地図を細分化する考え方である。クワッド分割は、
図3(A)に示すように、例えば、メルカトル図法で表現される地図について、グリニッジ子午線Gmと赤道Eqとにより4等分(2×2)にした状態をスケール1(第1階層)とする。更に、
図3(B)、
図3(C)に示すように、スケール(階層)が1上がる(スケールを示す数値が1増える)ごとに、各分割領域を更に4等分(2×2)してくようにして、地図を細分化していく。
【0024】
これにより、クワッド分割された地図は、
図3(A)に示すように、スケール1では2×2の4分割されたものとなり、
図3(B)に示すように、スケール2では4×4の16分割されたものとなる。更に、
図3(C)に示すように、スケール3では8×8の64分割されたものとなる。このように、クワッド分割された地図は、各スケールの分割領域を4分割していくことによって、スケール(階層)が上がるにしたがって、分割領域の面積が小さくなると共に、分割領域の数が増えるというように、地図を段階的(階層的)に細分化したものとなる。なお、この明細書では、スケールを示す値が大きいほど下位のスケール(分割数が多いスケール)であるいい、スケールを示す値が小さいほど上位のスケール(分割数が少ないスケール)であるというものとする。
【0025】
図4は、クワッド分割領域のスケール構造について説明するための図である。
図4においては、スケール構造を明確に示すため、各スケールの地図全体の面積が異なるように示している。しかし、実際には
図3に示したように、各スケールの地図全体の大きさは同じであり、各スケールの分割領域の面積が、スケール(階層)が上がっていくにしたがって小さくなる。
図3を用いて上述もし、また、
図4(A)に示すように、クワッド分割されたスケール1の地図は、グリニッジ子午線Gmと赤道Eqとによって4分割されたものである。この場合、左下→右下→左上→右上の順番で、各分割領域の識別情報となる分割領域キー(クワッドキー)として「0」、「1」、「2」、「3」が付与される。
【0026】
更に、
図4(B)に示すように、クワッド分割されたスケール2の地図は、スケール1の分割領域キー「0」、「1」、「2」、「3」が付与された4つの分割領域のそれぞれが、更に4分割されたものである。ここで、スケール1の分割領域キーが「0」の左下の分割領域に着目すると、スケール2の地図では、分割領域キーが「00」、「01」、「02」、「03」の4つの分割領域に分割されている。分割領域キーが「1」、「2」、「3」の分割領域についても、スケール2の地図では同様に4分割され、分割領域キーが付与される。
【0027】
更に、
図4(C)に示すように、クワッド分割されたスケール3の地図は、スケール2の分割領域キーが「00」、「01」、「02」、「03」、「10」~「33」までの16個の分割領域のそれぞれが4分割されたものである。このため、スケール2の分割領域キーが「13」の分割領域(下から2段目の右端の分割領域)に着目すると、分割領域キーが「130」、「131」、「132」、「133」の4つの分割領域に分割されている。スケール2のその他の分割領域についても、スケール3の地図では同様に4分割され、分割領域キーが付与される。
【0028】
このように、分割領域キーは、右から1桁目が、4分割された分割領域のどの位置の分割領域かを示し、右から2桁目以上数値が、上位のスケールにおける分割領域の位置を示すものとなる。すなわち、上位の分割領域の分割領域キーは、下位の分割領域キーを省くことにより特定が可能である。従って、分割領域キーにより、その分割領域キーにより特定される分割領域が、地図上のどの位置のものかを正確に特定することができるようになっている。
【0029】
図5は、各スケールのクワッド分割領域の大きさについて説明するための図である。この実施の形態において、地図サーバ1の地図情報DB104に蓄積されている地図情報は、1スケールから21スケールまで、21階層に段階的に分割領域の細分化が行われたものである。
図5においては、右側の欄に各スケールにおける分割領域の一辺の長さ(メートル)を示している。すなわち、スケール1の場合の分割領域の一辺の長さは、20037500m(メートル)、すなわち、20037.5Km(キロメートル)であり、スケール21の場合の分割領域の一辺の長さは、19mである。
【0030】
なお、
図5において、左側の欄は、座標値により各スケールにおける分割領域の一辺の長さを示している。すなわち、メルカトル図法をベースに、4バイト座標型からメルカトル図法の表現の最大値である緯度85度付近を4バイトの最大値+1(4294967295+1)として座標を扱う形式とする。この場合、4バイトの整数で扱うことにより、エリアをスケールの概念で分割する際に必ず割り切れる座標となる。なお、測地系は世界測地系を前提とする。
【0031】
従って、地図全体の1辺が、4294967296座標である。従って、スケール1の分割領域の一辺の長さを座標値で表すと、4294967296座標の2分の1であるので、2147483648座標となる。スケールが上がるごとに、一辺の長さを示す座標値は、前のスケールの分割領域の一辺の長さの2分の1になるので、スケール21の分割領域の一辺の長さを座標値で表すと、
図5に示すように2048座標ということになる。このように、地図情報DB104に蓄積される、地図情報については、スケール1~スケール21の21階層に段階的にクワッド分割されており、各スケールの分割領域のそれぞれについて、地図上の位置の特定が可能になっている。
【0032】
<利用者登録ファイル、利用者別エリア管理ファイルについて>
地図サーバ1の利用者登録ファイル105は、ユーザ端末4、6等を通じて、地図サーバ1に対して利用者登録を行った利用者に関する種々の情報を蓄積する。具体的に、利用者登録ファイル105には、利用者を特定する利用者ID、パスワード、利用者名、メールアドレス、電話番号、郵便番号、住所、決済方法などの情報が蓄積される。利用者別エリア管理ファイル106は、登録された利用者ごとに、設定された指定エリアに関する情報が蓄積される。詳しくは後述するが、利用者別エリア管理ファイル106には、利用者ID、設定された指定エリアを特定するエリアコード、当該指定エリアに属する分割領域(クワッド)を特定する分割領域キー(クワッドキー)が格納される。
【0033】
<認証等処理部、一般地図提供部について>
認証等処理部111は、PC4や携帯端末6などのユーザ端末からの利用者登録要求に応じて、利用者登録ファイル105に利用者情報を登録する処理を行う。また、認証等処理部111は、利用者登録した利用者のユーザ端末からの認証要求に応じて、利用者登録ファイル105の情報を参照し、認証処理を行う。この認証処理により認証が取れた利用者は、ユーザ端末を通じて地図サーバ1が提供する地図情報の利用が可能になる。
【0034】
一般地図提供部112は、利用者登録が行われており、かつ、認証が取れた利用者のユーザ端末からの一般地図提供要求に応じて、指定エリアを指示するための一般地図、例えば、無償提供される市街図や道路図といった地図情報を提供する処理を行う。一般地図提供部112は、一般地図提供要求に含まれる指定エリアを設定するエリアを指示する情報、例えば、東京都港区、神奈川県横浜市などという指示情報に応じたエリアの市街図や道路図を提供する。
【0035】
PC4や携帯端末6などのユーザ端末は、提供を受けた一般地図を自機の表示部に表示し、指定エリアの指示情報の入力を受け付けて、利用者IDと共に地図サーバ1に提供する。
図6は、地図を通じた指定エリアの設定について説明するための図である。
図6において地
図MPは、地図サーバ1の一般地図提供部112の機能によって、地図サーバ1からPC4や携帯端末6に提供され、PC4や携帯端末6の表示部に表示されたものである。
図6に示した地
図MPは、河川Rvと複数の道路Rdとだけを示した簡略化したものであるが、実際には、河川名称、道路名称、地名、交差点名などが示された地図となる。
【0036】
PC4や携帯端末6の利用者は、自端末の表示部に表示された地図上において指定エリアAr1を指示する操作を行う。上述もしたように、指定エリアは、提供された一般地図上において、ポインティングデバイスを用いてフリーハンドで入力した自由曲線の内側のエリアとして指定したり、目的とする位置を中心として半径を指示することにより円形エリアとして指定したりできる。また、一般地図上において、複数の位置(点)を指示することにより隣り合う指示された位置(点)の間を直線で接続した内側のエリアとして指定することもできる。
【0037】
この実施の形態において、地
図MP上で指示された指定エリアAr1は、ポインティングデバイスを用いて、フリーハンドで描くようにされた円の内側のエリアとして指定したものとする。具体的にこの実施の形態において、指定エリアAr1は、所定位置を中心にして半径が3km程度の円形エリアとして指定されている。
図6において、指定エリアは、説明を簡単にするため、所定位置を中心にして半径が3054m程度の円形エリアであるものとする。この場合、PC4や携帯端末6からは、地
図MP上において指定エリアAr1の外縁を示す円上の複数の点のそれぞれの位置を示す情報が指定エリア特定情報として地図サーバ1に提供される。なお、指定エリア特定情報には、利用者IDやパスワードも付加されており、どの利用者からの情報かを区別することができるようになっている。
【0038】
この実施の形態において指定エリア特定情報は、指定エリアAr1の外縁を示す円上の複数の点のそれぞれの位置を示す情報として、それぞれの点に対応する緯度経度の集まりが、例えばCSV(Comma Separated Value)データとして地図サーバ1に送信される。もちろんこれは一例であり、指定エリアAr1の外縁を示す円上の複数の点のそれぞれの位置を示す情報として、それぞれの点に対応する使用する地図の座標系におけるX座標とY座標のそれぞれの値として、地図サーバ1に提供することも可能である。
【0039】
また、指定エリアをフリーハンドではなく、目的とする位置を中心として半径を指示することにより描かれた円の内側のエリアとして指定した場合には、中心位置を示す緯度経度と半径とを指定エリア特定情報として地図サーバ1に送信してもよい。この場合には、地図の座標系におけるX座標値Y座標値と半径とを指定エリア特定情報として地図サーバ1に送信することもできる。要は、指定エリアの外縁を特定することができる情報を、地図サーバ1に提供すればよい。
【0040】
<指定エリア特定部、エリアコード付与部、利用者別エリア設定部について>
指定エリア特定部113は、PC4や携帯端末6などのユーザ端末から送信されて来る指定エリア特定情報に基づいて、スケール(階層)を考慮した分割領域(クワッド領域)の集まりとして指定エリアAr1を特定する処理を行う。
図7は、指定エリアの分割領域の特定処理について説明するための図である。指定エリア特定部113は、ユーザ端末からの指定エリア特定情報に含まれる指定エリアの外縁を示す情報に基づいて、指定エリアの外縁を特定する。次に、指定エリア特定部113は、クワッド分割のスケールを考慮しながら、指定エリアの外縁の内側に含まれる分割領域を特定する。
【0041】
上述したように、地図情報DB104に蓄積されている地図情報は、階層化されて分割されているので(クワッド分割されているので)、地図上において指定エリアAr1の外縁が特定できれば、その内側に位置する分割領域も特定できる。上述したように円形の指定エリアAr1の半径は約3000m(3km)であるので、1辺の長さが2466mのスケール14以下の分割領域であれば、指定エリアAr1の内側に位置できる。この例の場合には、
図7に示したように、指定エリアAr1の中央部分にスケール14の分割領域が位置していたとする。
【0042】
このため、
図7に示すように、スケール14の外側には、スケール15の分割領域が位置し、スケール15の分割領域の外側にはスケール16の分割領域が位置することが特定できる。更に、スケール14~スケール16の分割領域によっては埋まらなかった指定エリアAr1内の領域は、
図7に示すように、スケール17の分割領域によって埋められる。このように、
図7に示すこの例の場合には、スケール14~スケール17の65個の分割領域によって、指定エリアAr1の全体を特定できる。
【0043】
次に、指定エリア特定部113は、指定エリアAr1に属する分割領域を特定した後に、特定した全て分割領域の分割領域キー(クワッドキー)を特定する。
図8は、指定エリアの分割領域の分割領域キーについて説明するための図である。
図7を用いて説明したように、指定エリアAr1内に属する分割領域はスケール(階層)ごとに把握できる。また、地図情報DB104では、スケールごとに各分割領域に割り当てられた分割領域キーを把握している。このため、指定エリア特定部113は、指定エリアAr1に属する特定した各分割領域についての分割領域キーを、
図8に示すように特定する。
【0044】
分割領域キーは、
図4を用いて説明したように、スケール1の分割領域の分割領域キーは1桁、スケール2の分割領域の分割領域キーは2桁というように、スケールの値が増えるごとに桁が増えていく。このため、スケール14の分割領域の分割領域キーは14桁となるし、スケール15の分割領域の分割領域キーは15桁となる。そこで、
図8においては説明を簡単にするため、A0、B0、C0、…というように、アルファベットと数字0~3で示した情報を、各分割領域に割り当てられた分割領域キーとして示している。
【0045】
すなわち、
図8において、アルファベットと数字で示した分割領域キーの内、数字0~3で表した部分が、当該スケールにおける分割領域の位置を示している。また、
図8において、アルファベットと数字で示した分割領域キーの内、アルファベット部分が、当該スケールよりスケールの値が少ないスケール(上位のスケール)における分割領域の位置を示すものとなる。この実施の形態において、スケールの上位、下位の関係について具体例を示せば、当該スケールが「スケール14」である場合、その上位のスケールは、「スケール1~スケール13」であり、下位のスケールは「スケール15~スケール21」である。
【0046】
この実施の形態において、エリアコード付与部114は、指定エリア特定部113が、指定エリアに属する複数の分割領域と、それらの分割領域の分割領域キーとを特定した後に機能する。エリアコード付与部114は、属する分割領域が特定された指定エリアに対して、エリアコードを付与する。このエリアコードは、PC4や携帯端末6などのユーザ端末からの指定エリア特定情報に応じて特定される指定エリアに属する全ての分割領域が特定された当該指定エリアを一意に特定するための識別情報である。
【0047】
利用者別エリア設定部115は、指定エリア特定部113とエリアコード付与部114の処理結果を踏まえ、利用者別エリア管理データを生成し、これを利用者別エリア管理ファイル106に記録する処理を行う。
図9は、地図サーバ1の上述した利用者別エリア管理ファイルの格納データ(利用者別エリア管理データ)の例について説明するための図である。利用者別エリア設定部115は、
図9に示すように、利用者ID、パスワード、エリアコード、分割領域キーからなる利用者別エリア管理データを生成して、これを利用者別エリア管理ファイル106に記録する。
【0048】
図9において、利用者IDとパスワードは、PC4や携帯端末6であるユーザ端末からの指定エリア特定情報に付加されているものであり、エリアコードは、エリアコード付与部114により付与されたものである。また、分割領域キーは、指定エリアに属する指定エリア特定部113によって特定された分割領域に付与されているものである。すなわち、
図9の利用者別エリア管理データにより、利用者IDが「123456」の利用者によって指示された、エリアコードが「AR0001」の指定エリアは、以下の分割領域キーにより特定される分割領域により構成されることが示される。
【0049】
当該指定エリアは、
図7及び
図8を用いて説明したように、当該指定エリアAr1は、スケール14の分割領域A0と、スケール15の分割領域B0~E3と、スケール16の分割領域キーがF0~Q3の分割領域とを含む。更に、当該指定エリアAr1は、スケール17の分割領域キーがR1~γ3の分割領域を含む。このように、指定エリアAr1を構成する分割領域が把握できる。
【0050】
なお、
図7、
図8に示したように、スケール16とスケール17の分割領域においては、指示された指定エリアAr1の外縁からはみ出す部分もある。この部分については、更に細分化した分割領域によって特定することも可能である。しかし、指定エリアAr1は、詳細地図を提供する領域であり、更に細分化した分割領域を当てはめた場合、地図が見づらくなる可能性もある。そこで、この実施の形態においては、
図7に示したように、適度に余裕を持たせて、スケール14~スケール17までの4階層の分割領域によって指定エリアAr1を特定している。
【0051】
<詳細地図提供部について>
詳細地図提供部116は、PC4や携帯端末6などのユーザ端末からの詳細地図提供要求に応じて、利用者別エリア管理ファイル106のデータを参照し、利用者登録されている利用者からの詳細地図提供要求に応じて、詳細地図を提供する処理を行う。この実施の形態において、ユーザ端末からの詳細地図提供要求は、利用者ID、パスワード、エリアコード、分割領域キーを含むものである。このため、詳細地図提供部116は、ユーザ端末からの詳細地図提供要求に含まれる利用者ID、パスワード、エリアコードに基づいて、利用者別エリア管理ファイル106に登録されている利用者別エリア管理データを特定する。
【0052】
次に、詳細地図提供部116は、ユーザ端末からの詳細地図提供要求に含まれる分割領域キーに基づいて、特定した利用者別エリア管理データを参照して、当該分割領域キーによって特定される分割領域が、詳細地図を提供すべき契約範囲(指定エリア内)の分割領域か否かを判別する。詳細地図提供部116は、当該判別結果に基づいて、ユーザ端末からの分割領域キーによって特定される分割領域が、詳細地図を提供すべき契約範囲(指定エリア内)の分割領域であった場合には、当該分割領域に対しては詳細地図を要求元のユーザ端末に提供する。
【0053】
また、詳細地図提供部116は、当該判別結果に基づいて、ユーザ端末からの分割領域キーによって特定される分割領域が、詳細地図を提供すべき契約範囲外(指定エリア外)の分割領域であったとする。この場合には、当該分割領域に対しては、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)レスポンスステータスにエラーコード「402」を返信する。これにより、詳細地図提供要求元のユーザ端末では、契約範囲の分割領域については、詳細地図が表示され、契約範囲外の分割領域については、詳細地図は表示できない旨の表示が行われる。
【0054】
[地図サーバ1から提供される詳細地図の表示例]
図10は、指定エリアと詳細地図提供エリアについて説明するための図である。PC4や携帯端末6の利用者であって、地図情報の利用者によって指示された指定エリアAr1は、
図10に示すように円形のエリアである。これに対して、指定エリアAr1に属する分割領域により特定されるエリア(詳細地図提供エリア)ArXは、円形の指定エリアAr1の外縁からはみ出す部分もある。この詳細地図提供エリアArXが、指定エリアAr1に応じて特定された実際に詳細地図を提供する詳細地図提供エリアとなる。
【0055】
これにより、詳細地図が提供されるエリアに必要最小限の余裕を持たせて、指定エリアAr1の外縁部分において必要以上に詳細地図が見難くなることが無いようにできる。また、詳細地図の提供者にとっても、詳細地図の提供が、必要以上に自己の利益を害することないようにすることができる。
【0056】
図11は、詳細地図が表示される領域と詳細地図が表示されない領域について説明するための図である。具体的に、
図11(A)は、
図10の地
図MPの上側部分だけを抽出して示した図である。また、
図11(B)は、
図10及び
図11(A)に示した要求エリアAr1x部分の住宅地図を要求して、ユーザ端末(例えば携帯端末6)の表示部DPに表示した場合の例を示している。上述もしたように、ユーザ端末6からは、要求エリアAr1x部分の住宅地図を表示するために、利用者ID、パスワード、エリアコード、分割領域キーを地図サーバ1に提供する。この例の場合、ユーザ端末6からは
図11(A)に示すように、分割領域キーとして、G1、G3、H0、H2を送信し、スケール16の4つの分割領域G1、G3、H0、H2の詳細地図の提供を要求する。
【0057】
この場合、
図11(A)に示すように、分割領域キーG1、H0で特定される分割領域は、指定エリアAr1を構成する分割領域であるので、この部分の詳細地図は提供される。しかし、分割領域キーG3、H2で特定される分割領域は、指定エリアAr1を構成する分割領域ではないので、この部分の詳細地図は提供されず、この部分については、HTTPレスポンスステータスにエラーステータス「402」が返される。
【0058】
これにより、
図11(B)に示すように、ユーザ端末6の表示部DPにおいて、
図10、
図11(A)に示した要求エリアAr1xの内、点線で示した詳細地図提供エリアArXの内側の分割領域G1、H0部分の詳細地図は表示される。しかし、ユーザ端末6の表示部DPにおいて、
図10、
図11(A)に示した要求エリアAr1xの内、点線で示した詳細地図提供エリアArXの外側の分割領域G3、H2部分の詳細地図は表示されず、詳細地図は提供されていない旨の表示がなされる。
【0059】
このように、ユーザ端末6の利用者は、自分が指定した指定エリアAr1に応じて特定される詳細地図提供エリアArX内の詳細地図は提供を受けて表示して参照することができる。しかし、詳細地図提供エリアArX外の詳細地図は提供を受けることができず、
図11(B)に示すように、当該領域部分は例えばグレー表示にして、詳細地図が表示できない旨のメッセージを表示するなどの表示態様になる。従って、ユーザ端末6の利用者は、必要以上の課金に応じて、必要以上に広範囲の詳細地図の提供を受けるようにする必要もない。また、地図サーバ1の運営者である詳細地図の提供者は、必要以上に詳細地図を提供する必要もない。
【0060】
[地図情報出力装置の構成例]
図12は、地図情報出力装置であるユーザ端末の構成例を説明するためのブロック図である。
図1を用いて説明したように、この実施の形態では、ユーザ端末として、PC4と携帯端末6とを想定している。一般に、PC4は主に屋内で用いられることが多く、携帯端末6は、持ち運ばれて屋外などでも用いることができるものである。しかし、PC4と携帯端末6とにおいて、地図情報の利用に関わる部分の構成は、ほぼ同様である。そこで、ここでは、主にPC4の場合を例にして、ユーザ端末についての地図情報の利用に関わる部分の構成例について説明する。
【0061】
図12において、接続端子401Tは、ネットワーク2への接続端部を構成し、通信I/F401は、ネットワーク2を通じた通信機能を実現する。実際には、
図1を用いて説明したように、接続端子401Tを通じて、ルーターなどのネットワーク接続機器に接続され、ネットワーク接続機器を介してネットワーク2に接続される。通信I/F401は、ネットワーク2を通じて自機宛に送信されてきたデータを受信して、自機で処理可能な形式のデータに変換して取り込む。また、通信I/F101は、相手先に送信するデータを送信用のデータに変換してネットワーク2を通じて相手先に送信する。なお、ユーザ端末が携帯端末6である場合には、通信I/F401は、無線通信部601となり、接続端子401T部分は、無線通信アンテナ601Aになって、同様に通信機能を実現することになる。
【0062】
制御部402は、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリが接続されて構成されたマイクロプロセッサであり、ユーザ端末(この例の場合にはPC4)の各部を制御する。記憶装置403は、SSD(Solid State Drive)などの記憶媒体とそのドライバとからなり、記録媒体に対して、データの書き込み、読み出し、変更、削除を行うことが可能な補助記憶装置である。記憶装置403は、処理に必要になる種々のデータやプログラムを記憶保持するほか、種々の処理において得られる途中結果を一時記憶する作業領域としても用いられる。
【0063】
操作部404は、キーボードやいわゆるマウスなどのポインティングデバイスなどであり、使用者からの指示入力を受け付けて、制御部402に供給する機能を実現する。操作部404は、制御部402と協働して、使用者からの指示入力に応じて、地図サーバ1の地図サーバ1にアクセスし、必要情報を提供して利用者登録を行ったり、認証を受けるようにして地図の利用を可能にしたりする。なお、地図サーバ1へのアクセスに必要になるURL(Uniform Resource Locator)は、例えば、制御部402の不揮発性メモリに予め保持するようにしたものを用いることができる。
【0064】
エリア指定用地図要求部405は、指定エリアを設ける地域の一般地図(市街図や道路図など)の提供を要求する一般地図提供要求を形成し、これを通信I/F401及び接続端子401Tを通じてネットワーク2に送出して、地図サーバ1に送信する。この場合、エリア指定用地図要求部405は、操作部404を通じて入力された利用者からの指示情報に応じて、指定エリアを設ける地域の一般地図の提供を要求する。
【0065】
エリア特定情報提供部406は、
図6等を用いて説明したように、後述の表示部407に表示される一般地図上で指示される指定エリアの指示入力に応じて、指定エリアの外縁を特定する情報を含む指定エリア特定情報を形成する。エリア特定情報提供部406は、形成した指定エリア特定情報を、通信I/F401及び接続端子401Tを通じてネットワーク2に送出し、地図サーバ1に送信する。
【0066】
表示部407は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示素子が用いられて構成され、制御部402の制御に応じて、表示情報を表示したり、表示した表示情報を消去したりする処理を行う。なお、表示部407には、タッチセンサ408が設けられ、表示部407とタッチセンサ408とでタッチパネルを構成する場合もある。特に、スマートフォンやタブレットPCなどの携帯端末の場合には、タッチパネルの搭載は必須の構成となる。
【0067】
詳細地図要求部409は、操作部404を通じて受け付けた利用者からの指示情報に応じて、上述もしたように、利用者ID、パスワード、エリアコード、1以上の分割領域キーを含む詳細地図提供要求を形成する。利用者IDやパスワードは、地図サーバ1への利用者登録時に付与される情報である。また、エリアコードは、エリア特定情報提供部406を通じて、指定エリアを設定するようにした場合に、当該指定エリアに対して、地図サーバ1により割り当てされ、要求元のユーザ端末に提供されたものである。
【0068】
また、地図サーバ1よりユーザ端末に提供された一般地図が既にクワッド分割されたものである。このため、表示部407に表示された一般地図をスクロールしたり、拡大縮小したりして、詳細地図の提供を受けたいエリアの地図を表示部407に表示し、当該エリアの詳細地図の提供を要求することになる。この場合に、詳細地図要求部409は、当該エリアを構成する1以上の分割領域キーを特定する。この後、詳細地図要求部409は、利用者ID、パスワード、エリアコード、特定した1以上の分割領域キーを含む詳細地図提供要求を形成し、これを通信I/F401及び接続端子401Tを通じてネットワーク2に送出し、地図サーバ1に送信する。
【0069】
詳細地図表示処理部410は、制御部402と協働し、自機から送信した詳細地図提供要求に応じて地図サーバ1から送信されて来る詳細地図(詳細地図の描画データ)を、表示部407に表示出力する処理を行う。地図サーバ1は、詳細地図提供部116を通じて予め指定された指定エリアに属する分割領域に対しては詳細地図を提供する。しかし、地図サーバ1は、指定エリア外の分割領域に対してはHTTPレスポンスステータスにエラーコード「402」を返す。
【0070】
このため、ユーザ端末の詳細地図表示処理部410は、
図11(B)を用いて説明したように、自機の利用者が指定した指定エリアに属する分割領域には、提供された地図情報を表示する。しかし、指定エリア外の分割領域に対しては、エラーコード「402」が返信されるので、当該分割領域には詳細地図を表示することができないので、例えばグレー表示にして、詳細地図が表示できない理由を示すメッセージを表示する。
【0071】
このように、PC4や携帯端末6として実現される地図情報出力装置としてのユーザ端末は、地図サーバ1に対して、利用者登録や認証要求を行う機能を実現する。また、ユーザ端末は、地図サーバ1より一般地図の提供を受けて、当該一般地図上で指定エリアを特定し、地図サーバ1に対して設定することができる。更に、ユーザ端末は、詳細地図の提供を地図サーバ1に要求し、地図サーバ1から提供される地図情報に基づいて、予め指定した指定エリアについては詳細地図を表示する。しかし、ユーザ端末は、指定エリア外については、詳細地図を表示するための情報は提供されず、詳細地図は表示できないので、指定エリア外であることを明確に示すことができる。
【0072】
[ユーザ端末4、6と地図サーバ1との連携]
次に、地図情報出力装置であるユーザ端末4、6と地図情報提供装置である地図サーバ1とが連携して行う処理について、フローチャートを参照しながら説明する。以下においては、説明を簡単にするため、ユーザ端末は、PC4であるものとして説明する。
【0073】
<連携開始時の処理>
図13は、地図情報出力装置(ユーザ端末)と地図情報提供装置(地図サーバ)とが連携を開始する場合の処理を説明するためのフローチャートである。ユーザ端末4の制御部402は、操作部404を通じて受け付けた指示入力に応じて、ブラウザを用いたり、地図サーバ1を利用するための専用アプリを用いたりして、ネットワーク2を通じて地図サーバ1にアクセスする(ステップS101)。地図サーバ1の制御部102は、ユーザ端末4からのアクセスを受け付け(ステップS201)、記憶装置103に記憶保持している地図サーバ1の利用のための初期画面を読み出して、ユーザ端末4に提供する(ステップS202)。当該初期画面は、利用者登録、ログイン処理など実行可能な処理の選択が可能な画面であり、ログイン後においては、一般地図の提供、指定エリアの設定、地図の利用などといった処理の選択を可能にするものである。
【0074】
ユーザ端末4の制御部402は、地図サーバ1からの初期画面の提供を受け付けて、これを表示部407に表示し(ステップS102)、初期画面に対する選択入力を、操作部404を通じて受け付ける(ステップS103)。この後、ユーザ端末4は、利用者からの選択入力に応じて、地図サーバ1に対する処理の実行要求を形成し、これを地図サーバ1に送信する(ステップS104)。地図サーバ1は、ユーザ端末4からの実行要求を受信する(ステップS203)。
【0075】
この後、地図サーバ1の制御部102は、ユーザ端末4と協働すると共に、各部を制御し、目的処理を実行する(ステップS204)。同様に、ユーザ端末4の制御部402は、地図サーバ1と協働すると共に、各部を制御し、目的処理を実行する(ステップS105)。
【0076】
<指定エリア設定処理>
図14は、地図情報出力装置(ユーザ端末)と地図情報提供装置(地図サーバ)とが連携して指定エリアを設定する場合の処理を説明するためのフローチャートである。
図14の処理は、ログイン後、
図13に示したステップS103の処理において、指定エリアの設定処理が選択されると、制御部402の制御の下、エリア指定用地図要求部405が機能して、一般地図提供要求が地図サーバ1に送信されて実行される処理である。具体的に、
図14のフローチャートの処理において、地図サーバ1側の処理については、
図13のステップS204において実行され、また、ユーザ端末4側の処理については、ステップS105において実行される。以下、具体的に説明する。
【0077】
ユーザ端末4において、指定エリアの設定をするため、一般地図の提供を要求する処理が選択され、一般地図提供要求が地図サーバ1に送信されたとする。この場合、地図サーバ1においては、制御部102が一般地図提供部112を制御し、要求された地域の一般地図(市街図や道路図など)を、要求元のユーザ端末4に提供する(ステップS211)。要求元のユーザ端末4の制御部402は、地図サーバ1からの一般地図を受信して、表示部407に表示する処理を行う(ステップS111)。この後、ユーザ端末4の制御部402は、操作部404を通じて指定エリアの指示入力を受け付け、これに応じて、エリア特定情報提供部406を制御して、指定エリア特定情報を形成して、地図サーバ1に送信する(ステップS112)。
【0078】
地図サーバ1は、ユーザ端末4からの指定エリア特定情報を受信し(ステップS212)、これに応じて制御部102が指定エリア特定部113を制御して、分割領域の特定処理を行う(ステップS213)。このステップS213の処理は、
図7、
図8を用いて説明したように、指定エリアの外縁を示す情報に応じて、指定エリアの外縁を特定し、当該指定エリアの内側全面を覆うように、クワッド分割のスケールを考慮して、1以上の分割領域を特定する処理である。
【0079】
1以上の分割領域を特定した後においては、地図サーバ1の制御部102は、エリアコード付与部114を制御し、利用者別であって指定エリアごとにエリアコードを付与し(ステップS214)、これを要求元のユーザ端末4に送信する(ステップS214)。要求元のユーザ端末4は、地図サーバ1からのエリアコードを受信して、記憶装置403に格納し(ステップS113)、
図14(A)に示す処理を終了する。
【0080】
また、地図サーバ1においては、制御部102は、利用者別エリア設定部115を制御して、
図9を用いて説明した利用者別エリア管理データを形成し、これを利用者別エリア管理ファイル106に格納する処理を実行する(ステップS215)。すなわち、利用者別エリア設定部115は、要求元のユーザ端末の利用者の利用者IDとパスワード、ステップS214で付与したエリアコード、ステップS213で特定した1以上の分割領域の分割領域キーからなる利用者別エリア管理データ(
図9)を形成する。この後、利用者別エリア設定部115は、形成した利用者別エリア管理データを、利用者別エリア管理ファイル106に格納して、
図14(B)の処理を終了する。
【0081】
この
図14の処理を通じて、利用者は、自己のユーザ端末4を通じて指示した指定エリアを一意に特定するためのエリアコードを保持し、このエリアコードにより特定される指定エリアについては、詳細地図の提供を要求して、提供を受けることが可能になる。一方、地図サーバ1は、利用者登録され、指定エリアを設定した利用者に対しては、例えば、指定エリアに応じた課金応じることを条件に、当該指定エリアについては詳細地図を提供し、指定エリア外については詳細地図の提供しないように制御することが可能になる。
【0082】
<詳細地図の提供及び表示処理>
図15は、地図情報出力装置(ユーザ端末)と地図情報提供装置(地図サーバ)とが連携して詳細地図を表示する場合の処理を説明するためのフローチャートである。
図15の処理は、
図14の処理により既に指定エリアが地図サーバ1に設定された後に実行される処理である。より具体的に
図15のフローチャートに示す処理は、地図サーバ1にログイン後、
図13に示したステップS103の処理において、地図の利用処理が選択された場合に実行される処理である。この場合、制御部402の制御の下、詳細地図要求部409が機能して、地図提供要求が地図サーバ1に送信される。すなわち、
図15のフローチャートの処理は、
図14の処理の場合と同様に、地図サーバ1側の処理については、
図13のステップS204において実行され、また、ユーザ端末4側の処理については、ステップS105において実行される。
【0083】
地図の利用処理が選択され、地図の利用要求が地図サーバ1に送信される。地図サーバ1においては、制御部102が、例えば一般地図提供部112を制御し、要求された地域の一般地図(市街図や道路図など)を、要求元のユーザ端末4に提供する(ステップS221)。要求元のユーザ端末4の制御部402は、地図サーバ1からの一般地図を受信して、表示部407に表示する処理を行う(ステップS121)。地図サーバ1のステップS221の処理と、ユーザ端末のステップS121の処理は、基本的には
図14に示したステップS211の処理とステップS111の処理と同様の処理となる。
図15におけるステップS221とステップS121の処理は、詳細地図を要求するエリアを指定するための地図の提供を、ユーザ端末4が受けるための処理になる。
【0084】
ユーザ端末4においては、制御部402が機能し、操作部404を通じて詳細地図の提供を受けるエリアを指示するための操作入力を受け付ける(ステップS122)。ステップS122では、表示されている地図をスクロールしたり、縮小拡大したりするなどの処理が受け付けられ、目的とするエリアの地図が表示された状態で、当該表示されているエリアの詳細地図の表示指示を受け付けることができるようにされる。ステップS122の処理において、詳細地図の表示指示を受け付けると、ユーザ端末4の制御部402は、詳細地図要求部409を制御して、詳細地図提供要求を形成し、これを地図サーバ1に送信する処理を行う(ステップS123)。
【0085】
当該詳細地図提供要求は、利用者ID、パスワード、当該利用者が設定した指定エリアのエリアコード、表示部407に表示されているエリアの地図を構成する分割領域の分割領域キーを含む。地図サーバ1から提供される一般地図は、上述もしたように、クワッド分割されたものである。このため、当該一般地図は、各スケール(各階層)の分割領域ごとに分割領域キーを保持しており、詳細地図要求部409は、地図サーバ1からの一般地図に基づいて、詳細地図を表示したいエリアの分割領域の分割領域キーを特定する。
【0086】
地図サーバ1は、ユーザ端末4からの詳細地図提供要求を受信する(ステップS222)。地図サーバ1の制御部102は、詳細地図提供部116を制御し、詳細地図提供要求に含まれる分割領域キーが、契約内の分割領域か否かを判別する(ステップS223)。具体的に、詳細地図提供部116は、受信した詳細地図提供要求の利用者ID、エリアコードに基づいて、利用者別エリア管理ファイル106の該当する利用者別エリア管理データを参照する。詳細地図提供部116は、当該詳細地図提供要求に含まれる1以上の分割領域キーのそれぞれが、該当する利用者別エリア管理データが有する領域分割キーに含まれるか否かを判別する。
【0087】
ステップS223の判別結果に基づいて、詳細地図提供部116は、分割領域キーによって特定される契約内の分割領域に対しては、詳細地図(詳細地図の描画データ)を返信し、契約外の分割領域に対しては、ステータス「402」を返信する(ステップS224)。すなわち、地図サーバ1は、詳細地図提供要求を送信してきたユーザ端末4に対して、詳細地図の提供が要求された分割領域ごとに、指定エリア内の分割領域には詳細地図を送信し、指定エリア外の分割領域にはステータス「402」を送信する。
【0088】
要求元のユーザ端末4では、制御部402が、地図サーバ1から分割領域ごとに提供される詳細地図の描画データまたはステータス「402」を受信する(ステップS124)。この後、制御部402は、詳細地図表示処理部410を制御し、
図11(B)に示したように、表示部407に指定エリア内の分割領域には詳細地図を表示し、指定エリア外の分割領域にはグレー表示する(ステップS125)。なお、この実施の形態にユーザ端末4は、グレー表示した部分には、指定エリア領域外であることを示す表示メッセージを重畳表示するようにして、詳細地図が表示されない理由を明確に通知する。これにより、必要があれば、指定エリアの設定をし直して、指定エリアを拡張するなどの対応を取ることができる。
【0089】
なお、
図15において、点線で囲んで示した処理は、ユーザ端末4に対して終了操作が行われ、終了指示が地図サーバ1に送信されるまで、繰り返し実行することができるようにされる。これにより、ユーザ端末4の利用者は、必要に応じて、詳細地図を表示するエリアをずらしたり、また、拡大、縮小をしたりして、指定エリア内については、目的とする位置の詳細地図を、目的とする大きさで見ることができる。
【0090】
このように、
図15の処理を通じて、
図11(B)を用いて説明したように、指定エリア内の分割領域に対しては詳細地図を表示し、指定エリア外の分割領域はグレー表示にするといったことが可能になる。これにより、ユーザ端末4の利用者は、自分が必要するエリアを指定エリアとして地図サーバ1に設定し、その指定エリアについては詳細地図の提供を受けることができるが、指定エリア外については詳細地図の提供を受けることができないようにすることができる。
【0091】
[実施の形態の効果]
上述したように、この実施の形態の地図サーバ1は、利用者が指示した指定エリアに属する分割領域に対してのみ詳細地図を提供することができる。これにより、利用者が必要としていないエリアの地図情報を提供することが無く、利用者にとって合理的で納得ができるように地図情報の提供ができる。すなわち、利用者は、自分が必要とするエリアの詳細地図の提供を受けることができる。
【0092】
また、詳細地図が提供できないエリアについては、例えばグレー表示とし、詳細地図が表示できない旨のメッセージを表示するなどのことができる。これにより、利用者は、詳細地図が提供されないエリアについても、明確に認識できる。
【0093】
[変形例]
上述した実施の形態では、地図をクワッド分割することにより、地図を階層的に分割するようにしたが、地図の分割は、クワッド分割に限るものではない。例えば、緯度・経度に基づいて地域をほぼ同じ大きさの網の目(メッシュ)に分けた地域メッシュを用いることもできる。地域メッシュには、1次メッシュ(1辺の長さは約80km)、2次メッシュ(1辺の長さは約10km)、3次メッシュ(1辺の長さは約1km)があるが、更に細かく分割するようにして、階層化すると共に分割した地図情報として用いることができる。この他にも、例えば、地図サーバ1の運用者側で、独自に地図を階層化すると共に分割して、分割領域ごとに、その位置と大きさが特定できるようにしておくようにすれば、この発明の地図サーバ1が記憶保持する地図情報として利用することができる。
【0094】
また、上述した実施の形態では、ユーザ端末4、6は、詳細地図を表示部に表示するものとして説明したが、これに限るものではない。詳細地図を印刷出力する場合にも、この発明を適用できる。
【0095】
また、上述した実施の形態において、地図サーバ1が提供する特定地図情報は、いわゆる住宅地図などと呼ばれる詳細地図であるものとして説明したが、これに限るものではない。特定地図は、独自に収集した情報を含む地図、独自の分析結果等の特殊情報を含む地図、表示態様を工夫した特殊な地図など、付加価値の高い種々の地図が含まれる。これにより、利用者は必要なエリアについてだけ特定地図の提供を受けることができる。逆に地図情報の提供者側は、利用者によって指定された指定エリアについてだけ、特定地図情報の提供ができる。
【0096】
更に言えば、上述した実施の形態では、利用者が指示した指定エリア内には詳細地図(特定地図情報)を表示し、指定エリア外はグレー表示にしたが、これに限るものではない。指定エリア内と指定エリア外とで、情報の精度が異なっていてもよいし、表示される情報に差があってもよい。前者の例としては、指定エリア内は、ビル、テナント、階数、個人名、地番といった付加価値の高い情報を含む詳細地図を表示し、指定エリア外は詳細地図中の建物の形状(いわゆる家形枠)の表示のみにする場合がある。後者の例としては、指定エリア内は、配達で使用される建物の出入口情報、車種別(普通乗用車、小型乗用車、軽四輪乗車等)の駐車可能位置、店舗の混雑状況、屋内地図(フロアマップ)などを表示し、指定エリア外は市街図や道路図を表示するなどの場合がある。
【0097】
なお、後者の例において、建物の出入口情報、車種別の駐車可能位置、店舗の混雑状況、屋内地図の全部を表示する必要はなく、これらの情報の内、指定エリア内については、利用者によって選択された1以上の情報を表示するだけでももちろんよい。また、指定エリア内の指示した建物について、混雑状況や屋内地図を表示するなどのことも可能である。このように、この発明は、指定エリアを利用者が適切に設定し、指定エリア内と指定エリア外とで出力する情報を異ならせたり、差を設けたりする種々の場合に適用して好適なものである。
【0098】
[その他]
また、上述した実施の形態の説明からも分かるように、請求項における地図情報提供装置の地図情報記憶手段の機能は、実施の形態の地図サーバ1の地図情報DB104が実現する。また、請求項の地図情報提供装置の指定エリア特定手段の機能は、地図サーバ1の指定エリア特定部113が実現し、請求項の地図情報提供装置の指定エリアコード付与手段の機能は、地図サーバ1のエリアコード付与部114が実現している。また、請求項の地図情報提供装置の指定エリア設定手段の機能は、地図サーバ1の利用者別エリア設定部が実現し、請求項の地図情報提供装置の詳細地図提供手段の機能は、地図サーバ1の詳細地図提供部116が実現している。
【0099】
また、
図13~
図15のフローチャートを用いて説明した処理の内、
図13(B)、14(B)、15(B)のフローチャートを用いて説明した処理が、この発明による地図情報提供方法の一実施の形態が提供されたものである。また、
図13~
図15のフローチャートを用いて説明した処理の内、
図13(B)、14(B)、15(B)のフローチャートを用いて説明した処理を実行するプログラムが、この発明による地図情報提供プログラムの位置実施の形態が提供されたものである。
【0100】
また、請求項の地図情報出力装置のエリア特定情報提供手段の機能は、ユーザ端末4、6のエリア特定情報提供部406が実現し、請求項の地図情報出力装置の詳細地図要求手段の機能は、ユーザ端末4、6の詳細地図要求部409が実現している。また、請求項の地図情報出力装置の出力処理手段の機能は、ユーザ端末4、6の主に表示部407と詳細地図表示処理部410が協働して実現している。
【符号の説明】
【0101】
1…地図情報提供装置(地図サーバ)、101T…接続端子、101…通信I/F、102…制御部、103…記憶装置、104…地図情報DB、105…利用者登録ファイル、106…利用者別エリア管理ファイル、111…認証等処理部、112…一般地図提供部、113…指定エリア特定部、114…エリアコード付与部、115…利用者別エリア設定部、116…詳細地図提供部、2…ネットワーク、3…ルーター等(ネットワーク接続機器)、4…PC、5…基地局、6…携帯端末、401T…接続端子、401…通信I/F、402…制御部、403…記憶装置、404…操作部、405…エリア特定用地図要求部、406…エリア特定情報提供部、407…表示部、408…タッチセンサ、409…詳細地図要求部、410…詳細地図表示処理部