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特開2023-121208露光用光照射装置、露光装置、および露光方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121208
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】露光用光照射装置、露光装置、および露光方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20230824BHJP
【FI】
G03F7/20 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024408
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】510138741
【氏名又は名称】フェニックス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147706
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】山下 健一
(72)【発明者】
【氏名】松本 弘
(72)【発明者】
【氏名】井上 智彦
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 加名
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197AA31
2H197AA50
2H197BA02
2H197BA03
2H197BA04
2H197BA10
2H197CA04
2H197CA05
2H197CA07
2H197CA13
2H197CA18
2H197CB16
2H197DB06
2H197DB07
2H197HA03
2H197HA05
(57)【要約】
【課題】光源とフライアイレンズとの間の距離を長くすることなく、露光工程全体における照射面での積算照度のムラを低減できる露光用光照射装置を提供する。
【解決手段】露光用光照射装置10を、複数の光源22が配置された露光用光源12と、露光用光源12からの光Lを受けるフライアイレンズ14と、露光中に露光用光源12およびフライアイレンズ14の少なくとも一方を露光用光源12の光軸CLに対して直交する方向に移動させる移動装置16とで構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源が配置された露光用光源と、
前記露光用光源からの光を受けるフライアイレンズと、
露光中に前記露光用光源および前記フライアイレンズの少なくとも一方を前記露光用光源の光軸に対して直交する方向に移動させる移動装置とを備える
露光用光照射装置。
【請求項2】
複数の光源が配置された露光用光源と、
前記露光用光源からの光を受けるフライアイレンズと、
露光中に前記露光用光源および前記フライアイレンズの少なくとも一方を前記露光用光源の光軸に対して直交する平面上で回転移動させる回転移動装置とを備える
露光用光照射装置。
【請求項3】
前記移動の前後で照射面を照らす前記光の強度が変わらないようにする照度均一化手段をさらに備えている
請求項1または2に記載の露光用光照射装置。
【請求項4】
露光中に前記露光用光源および前記フライアイレンズの少なくとも一方を前記露光用光源の光軸に沿って移動させる平行移動装置をさらに備えている
請求項1から3のいずれか1項に記載の露光用光照射装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の露光用光照射装置を備える露光装置。
【請求項6】
露光中に、複数の光源が配置された露光用光源、および、前記露光用光源からの光を受けるフライアイレンズの少なくとも一方を前記露光用光源の光軸に対して直交する方向に移動させる
露光方法。
【請求項7】
露光中に、複数の光源が配置された露光用光源、および、前記露光用光源からの光を受けるフライアイレンズの少なくとも一方を前記露光用光源の光軸に対して直交する平面上で回転移動させる
露光方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に半導体を製造する際の露光に用いられる露光用光照射装置、露光装置、および露光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、半導体製造用等の露光装置の光源として、例えば定格12kWの大型水銀灯を1本ないし数本使用する方式が採用されてきた。しかし、1台の露光装置に使用される水銀灯の本数が少ない場合、1本でも水銀灯が不点灯状態になると直ちに光量不足に陥ってしまい当該露光装置を停止せざるを得ないことから、大型水銀灯を使用する露光装置には生産継続性に問題があった。
【0003】
さらにいえば、万一、大型水銀灯が破裂した場合には、その衝撃の大きさによってリフレクターや反射鏡等の光学系部材まで破損してしまい、交換費用等の多額の修繕費用が発生するおそれがあった。
【0004】
このような問題を回避するため、近年、より小型の放電灯(例えば300W)を多数(例えば、240灯)並べてひとつの光源とする多灯式が実用化されている。このように多灯式にすることにより、もし、複数個の放電灯が不点灯になったとしても、装置全体として大きな光量の低下を避けることができるので、露光装置の停止による生産継続停止を避けることができる。
【0005】
また、万一、小型の放電灯が破裂した場合であっても、その衝撃は比較的小さいので光学系部材まで破損させてしまう可能性が低くなる。
【0006】
このような利点を有していることから、現在、例えば液晶パネルのカラーフィルターの生産に使用される露光装置の大部分には多灯式のものが採用されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2020-43012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように露光装置による生産継続性をさらに追求しようとすると、光源の交換頻度を減らすために、光源の長寿命化が求められる。
【0009】
光源の長寿命化を実現する方法のひとつとして放電灯の長寿命化があり、従来の平均寿命1250時間から1900時間まで延ばすことができている。
【0010】
また、光源の長寿命化を実現する別の方法として、光源にLED(発光ダイオード)を使用することが考えられる。LEDの平均寿命は2万時間から3万時間と非常に長いことから、光源としてLEDを使用することで光源の交換頻度は飛躍的に低くなることは明らかである。
【0011】
しかし、多灯式を採用し、使用される光源の数が増加していくと、ワーク等が配置される照射面における照度ムラが多くなるという問題が生じてきた。
【0012】
具体的には、図9に示すように、露光用光照射装置1には多数の光源2からそれぞれ放射された光を均一化して照射面を照らすフライアイレンズ(インテグレータ)3が使用されている。フライアイレンズ3は小型のレンズ4を多数並べることによって構成されており、個々のレンズ4は、複数の光源2から放射された光を受け、その受けた光を屈折させることによって照射面に向かわせる役割を有している。
【0013】
図2に示すように、フライアイレンズ3の受光面では、各レンズ4の受光面(セルS)に対して複数(図示例では4つ)の光源2からの光が照射される。このとき、例えば、ひとつの光源2からの光がセルSに照射される領域Aと隣り合う光源2からの光が照射される領域Aとの間隙の領域Bとで照度に差ができてしまい、ひとつのセルS内で照度ムラが生じる。そして、各レンズ4の受光面から入った光がそれぞれフライアイレンズ3を透過し、照射面全体においてレンズ4の数だけ重ね合わされるので、セルS内で生じた照度ムラが照射面全体としての照度ムラにつながり、露光工程全体における照射面での積算照度のムラとなる。
【0014】
このような積算照度のムラを低減させるひとつの方法として、光源とフライアイレンズとの間の距離をより長くすることが考えられる。しかし、当該距離をより長くすると、光源から放射された光のフライアイレンズから外れてしまう割合が増加してしまい、結果として照射面(露光面)での照度が低下してしまうという別の問題が生じるおそれがあった。
【0015】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、光源とフライアイレンズとの間の距離を長くすることなく、照射面における積算照度のムラを低減できる露光用光照射装置、露光装置、および露光方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一局面によれば、
複数の光源が配置された露光用光源と、
前記露光用光源からの光を受けるフライアイレンズと、
露光中に前記露光用光源および前記フライアイレンズの少なくとも一方を前記露光用光源の光軸に対して直交する方向に移動させる移動装置とを備える
露光用光照射装置が提供される。
【0017】
本発明の別の局面によれば、
複数の光源が配置された露光用光源と、
前記露光用光源からの光を受けるフライアイレンズと、
露光中に前記露光用光源および前記フライアイレンズの少なくとも一方を前記露光用光源の光軸に対して直交する平面上で回転移動させる回転移動装置とを備える
露光用光照射装置が提供される。
【0018】
好適には、
前記移動の前後で照射面を照らす前記光の強度が変わらないようにする照度均一化手段をさらに備えている。
【0019】
好適には、
露光中に前記露光用光源および前記フライアイレンズの少なくとも一方を前記露光用光源の光軸に沿って移動させる平行移動装置をさらに備えている。
【0020】
本発明の他の局面によれば、
上述した露光用光照射装置を備える露光装置が提供される。
【0021】
本発明のさらに別の局面によれば、
露光中に、複数の光源が配置された露光用光源、および、前記露光用光源からの光を受けるフライアイレンズの少なくとも一方を前記露光用光源の光軸に対して直交する方向に移動させる
露光方法が提供される。
【0022】
本発明のさらに別の局面によれば、
露光中に、複数の光源が配置された露光用光源、および、前記露光用光源からの光を受けるフライアイレンズの少なくとも一方を前記露光用光源の光軸に対して直交する平面上で回転移動させる
露光方法が提供される。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る露光用光照射装置、露光装置、および露光方法によれば、露光中に露光用光源およびフライアイレンズの少なくとも一方が移動することにより、フライアイレンズを構成するひとつのレンズの受光面であるセルにおいて、ひとつの光源からの光が照射される領域と隣り合う光源からの光が照射される領域との間隙の領域に、当該移動後における光源からの光が照射されることから、結果として、ひとつのセル内における照度の差を低減できる。これにより、露光工程全体における照射面での積算照度のムラを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明が適用された露光装置100を示す図である。
図2】照射面における、ひとつのレンズ24からの光が照射される領域(セル)Sを示す図である。
図3】移動装置16による移動の前後における、照射面でのひとつのレンズ24からの光が照射される領域(セル)Sを示す図である。
図4】変形例2に係る露光装置100を示す図である。
図5】変形例2に係る回転移動装置30による移動の前後における、照射面でのひとつのレンズ24からの光が照射される領域(セル)Sを示す図である。
図6】変形例3に係る露光装置100を示す図である。
図7】移動装置16による移動の前後における、照度均一化手段40における光通過孔42と、光Lが照射される位置との関係を示す図である。
図8】変形例4に係る平行移動装置50による移動の前後における、照射面でのひとつのレンズ24からの光が照射される領域(セル)Sを示す図である。
図9】従来の露光用光照射装置1を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(露光装置100の構成)
本発明が適用された実施形態に係る露光用光照射装置10を備える露光装置100について以下に説明する。主に液晶パネル等を製造する際に使用される露光装置100は、図1に示すように、大略、露光用光照射装置10と、光学系具102と、ワーク載置台104と、ワーク搬送装置106とを備えている。
【0026】
露光用光照射装置10は、液晶パネル等のワークXを露光するための光Lを放射するための装置であり、大略、露光用光源12と、フライアイレンズ14と、移動装置16とを有している。
【0027】
露光用光源12は、本体部材20と、この本体部材20に配置された複数の光源22とを有している。光源22は、ワークXの露光に必要な照度および波長の光Lを放射できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、LED、LD、放電灯、有機EL、白熱灯等が考えられる。
【0028】
フライアイレンズ14は、複数の光源22から放射された露光用光源12からの光Lを受けて、光学系具102を介してワーク載置台104上の照射面に照射する光Lを均一化するための部材であり、複数のレンズ24を組み合わせて構成されている。
【0029】
なお、複数のレンズ24を組み合わせて略板状に一体化させたものがレンズアレイ26であり、本実施形態に係るフライアイレンズ14は2枚のレンズアレイ26を互いに所定の間隔で配置して構成されている。
【0030】
移動装置16は、露光用光源12を移動させる装置である。具体的に説明すると、この移動装置16は、露光装置100によるひとつのワークXの露光中において、露光用光源12を当該露光用光源12の光軸CLに対して直交する方向(図1におけるX方向および/またはY方向[図1の面に直交する方向])に所定の距離だけ移動させるようになっている。なお、露光用光源12の光軸CLとは、複数の光源22を有する露光用光源12をひとつの光源と見たときに、当該露光用光源12全体から放射される光Lの中心軸のことをいう。通常、光軸CLは、フライアイレンズ14の中心を通るように設定されている。
【0031】
光学系具102は、露光用光照射装置10のフライアイレンズ14から放射された光Lをワーク載置台104上の照射面まで導く役割を有しており、大略、シャッター110と、平行化鏡112と、反射鏡114とを有している。
【0032】
シャッター110は、フライアイレンズ14から放射された光Lを通過あるいは遮断することによってワークXの露光時間等を制御する役割を有する装置である。
【0033】
平行化鏡112は、シャッター110を通過してきた光Lを平行光にする役割を有する部材である。
【0034】
反射鏡114は、平行化鏡112で平行光となった光Lをワーク載置台104上の照射面に向けて反射させる部材である。
【0035】
なお、本実施形態に係る光学系具102の構成はあくまで一例であり、露光装置100全体のレイアウト等の諸条件に基づいて当該光学系具102を構成する部材の数や、それらの配置位置・配置順序が決定される。例えば、光学系具102にシャッター110を使用しない態様等が考えられる。
【0036】
ワーク載置台104は、光Lによって露光されるワークXが載置される台である。
【0037】
ワーク搬送装置106は、ワーク載置台104およびワークXを所定の方向・距離だけ移動させる装置であり、公知のアクチュエータ等が使用される。
【0038】
(露光装置100を用いた露光方法)
次に、本実施形態に係る露光装置100を用いてワークXを露光する手順について説明する。先ず、シャッター110を閉じた状態にするとともに、ワーク載置台104の所定位置にワークXを載置する。
【0039】
なお、光学系具102にシャッター110を使用しない場合は、露光用光照射装置10における露光用光源12からの光Lの発光をオン/オフすることで、露光時間の調節を行う。つまり、光学系具102にシャッター110を使用しない場合、本明細書における「シャッター110の開閉」は、「露光用光源12からの光Lの発光のオン/オフ」と読み替えることになる。
【0040】
そして、移動装置16によって第1の位置に配置した露光用光源12の各光源22に給電して光Lの放射を開始する。然る後、シャッター110を開けてワークXの露光を開始する。
【0041】
図2に示すように、フライアイレンズ14の受光面では、各レンズ24の受光面(セルS)に対して複数(図示例では4つ)の光源22からの光Lが照射される。このとき、例えば、ひとつの光源22からの光LがセルSに照射される領域Aと隣り合う光源22からの光Lが照射される領域Aとの間隙の領域Bとで照度に差ができてしまい、ひとつのセルS内で照度ムラが生じる。そして、各レンズ24の受光面から入った光Lがそれぞれフライアイレンズ14を透過し、光学系具102を経た後、照射面全体においてレンズ24の数だけ重ね合わされるので、セルS内で生じた照度ムラが、照射面全体としての照度ムラにつながり、露光工程全体における照射面での積算照度のムラとなる。
【0042】
ワークXの露光を開始してから所定の時間が経過した後、移動装置16は、露光用光源12を当該露光用光源12の光軸CLに対して直交する方向(図1におけるX方向および/またはY方向[図1の面に直交する方向])に所定の距離だけ移動させて第2の位置に配置する。なお、この移動に際して、一旦シャッター110を閉じてもよいし、シャッター110を開けたままで移動を行ってもよい。また、露光時間は、0.5秒以上10秒以下とするのが好適である。露光時間を0.5秒未満にするには必要となる照射面照度が高くなりすぎるので現実的ではない。また、露光時間を10秒よりも長くすると露光工程のタクトタイムが長くなりすぎて露光装置100としての生産能力に問題が生じるからである。
【0043】
移動装置16による露光用光源12の移動後、必要に応じてシャッター110を開けて、ワークXの露光を続ける。露光が完了したら、シャッター110を閉じ、各光源22への給電を停止して光Lの放射を終了するとともに、移動装置16は露光用光源12を第1の位置に戻す。
【0044】
もちろん、露光が完了した後、次のワークXの露光を露光用光源12が第2の位置にある状態から開始し、当該露光中に移動装置16によって当該露光用光源12を第1の位置に移動させるようにしてもよい。
【0045】
また、移動装置16により、1回の露光中に、露光用光源12を2回以上移動させてもよい。この場合、露光用光源12の第3の位置、第4の位置…が予め設定されることになる。
【0046】
このように、露光中に、移動装置16によって露光用光源12の位置を当該露光用光源12の光軸CLに対して直交する方向(例えば、図1におけるX方向)に所定の距離だけ移動させることにより、図3に示すように、フライアイレンズ14を構成するひとつのレンズ24の受光面であるセルSにおいて、ひとつの光源22からの光Lが照射される領域A(破線円で表示)と隣り合う光源22からの光が照射される領域A(破線円で表示)との間隙の領域Bに、当該移動後における光源22からの光Lが照射される(実線円で表示)ことから、結果として、ひとつのセルS内における照度の差を低減できる。これにより、露光工程全体における照射面での積算照度のムラを低減できる。なお、図3では、図1におけるX方向に移動させた例を示しているが、Y方向に移動させてもよく、また、XおよびY方向に移動させてもよい。
【0047】
(変形例1)
上述した実施形態では、移動装置16が露光用光源12を当該露光用光源12の光軸CLに対して直交する方向に所定の距離だけ移動させるようになっていたが、これに変えて、移動装置16がフライアイレンズ14を露光用光源12の光軸CLに対して直交する方向に所定の距離だけ移動させるようにしてもよい。
【0048】
また、移動装置16が露光用光源12とフライアイレンズ14の両方を露光用光源12の光軸CLに対して直交する方向に所定の距離だけ移動させるようにしてもよい。この場合、露光用光源12およびフライアイレンズ14の移動方向は、互いに一致しないようにするのが好適である。
【0049】
(変形例2)
上述した実施形態では、移動装置16が露光用光源12を当該露光用光源12の光軸CLに対して直交する方向に所定の距離だけ移動させるようになっていたが、移動装置16に変えて回転移動装置30を設けて、図4に示すように、露光中に露光用光源12およびフライアイレンズ14の少なくとも一方を露光用光源12の光軸CLに対して直交する平面上で回転移動させるようにしてもよい(図4では、回転移動装置30は露光用光源12を回転させるようになっている)。
【0050】
露光中に、回転移動装置30によって露光用光源12の位置を当該露光用光源12の光軸CLに対して直交する平面上で回転移動させることにより、図5に示すように、フライアイレンズ14を構成するひとつのレンズ24の受光面であるセルSにおいて、ひとつの光源22からの光Lが照射される領域A(破線円で表示)と隣り合う光源22からの光が照射される領域A(破線円で表示)との間隙の領域Bに、当該回転移動後における光源22からの光Lが照射される(実線円で表示)ことから、結果として、ひとつのセルS内における照度の差を低減できる。これにより、露光工程全体における照射面での積算照度のムラを低減できる。
【0051】
なお、回転移動装置30が露光用光源12とフライアイレンズ14の両方を回転させる場合、露光用光源12およびフライアイレンズ14の回転方向あるいは回転角速度は、互いに一致しないようにするのが好適である。
【0052】
(変形例3)
移動の前後で照射面を照らす光Lの強度が変わらないようにする照度均一化手段40を露光用光照射装置10に追加してもよい。この照度均一化手段40には、例えば、アパーチャー40が考えられる。アパーチャー40は、フライアイレンズ14からの光Lを通過させる光通過孔42を有する部材であり、図6に示すように、例えば、フライアイレンズ14と光学系具102のシャッター110との間に配置される。
【0053】
光通過孔42の大きさは、フライアイレンズ14からの光Lの一部が通過できる程度に設定されている。一例として、図7には、移動装置16による露光用光源12の移動前(例えば、第1の位置)に当該露光用光源12がある場合において光Lが照射される位置が「X」で示されており、移動後(例えば、第2の位置)に当該露光用光源12がある場合において光Lが照射される位置が「Y」で示されている。このとき、移動の前後(第1の位置、および、第2の位置)でアパーチャー40の光通過孔42を通過する光Lの量は同じであることから、移動の前後で照射面を照らす光Lの強度が変わらないようになっている。
【0054】
なお、この照度均一化手段40の考え方は、フライアイレンズ14が移動する場合、あるいは、露光用光源12やフライアイレンズ14が回転する場合も同じである。
【0055】
また、アパーチャー以外の照度均一化手段40としては、フライアイレンズ14における、照射される光Lの照度が高い領域に遮光物(例えば、遮光性のテープ)を貼付ける手段が考えられる。
【0056】
(変形例4)
さらに、露光中に露光用光源12およびフライアイレンズ14の少なくとも一方を露光用光源12の光軸CLに沿って移動させる平行移動装置50を加えてもよい。露光用光源12とフライアイレンズ14との間の距離を長くすると、図8に示すように、ひとつの光源22からの光Lが照射される領域Aの面積が大きくなり(破線円から実線円になる)、その分、隣り合う光源22からの光が照射される領域Aとの間隙の領域Bの面積が狭くなるので、露光工程全体における照射面での積算照度のムラを低減できる。
【0057】
ただし、露光用光源12とフライアイレンズ14との間の距離を長くすると、照射面の範囲外を照らす光Lの量が増えて照射強度が低下するので、平行移動装置50は、あくまで予備的に使用するのが好適である。
【0058】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0059】
10…露光用光照射装置、12…露光用光源、14…フライアイレンズ、16…移動装置
20…本体部材、22…光源、24…レンズ、26…レンズアレイ
30…回転移動装置
40…照度均一化手段、42…光通過孔
50…平行移動装置
100…露光装置、102…光学系具、104…ワーク載置台、106…ワーク搬送装置
110…シャッター、112…平行化鏡、114…反射鏡
X…ワーク(露光対象物)、L…(露光用)光、S…セル、CL…(露光用光源12の)光軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9