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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121215
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】ファイバレーザ装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/067 20060101AFI20230824BHJP
   H01S 3/042 20060101ALI20230824BHJP
   H01S 3/02 20060101ALI20230824BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
H01S3/067
H01S3/042
H01S3/02
G02B6/02 411
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024415
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【弁理士】
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】増渕 光暁
【テーマコード(参考)】
2H250
5F172
【Fターム(参考)】
2H250AB03
2H250AC37
2H250AD15
2H250AG02
2H250AH33
5F172AE13
5F172AF01
5F172AF02
5F172AF03
5F172AF05
5F172AF06
5F172AF15
5F172AM04
5F172AM08
5F172DD02
5F172DD03
5F172EE15
5F172EE16
5F172EE19
5F172NQ34
5F172NS01
5F172WW18
(57)【要約】
【課題】高パワーのレーザ光をコンパクトな構成で出力することができるファイバレーザ装置を提供する。
【解決手段】ファイバレーザ装置1は、活性元素が添加されたコアを含み、異なる増幅特性を有する増幅用光ファイバ10,20と、増幅用光ファイバ10と熱的に接触して増幅用光ファイバ10を冷却可能な冷却面51Aを有する冷却プレート51と、増幅用光ファイバ20と熱的に接触して増幅用光ファイバ20を冷却可能な冷却面52Aを有する冷却プレート52と、冷却プレート51,52を収容するゲインモジュールボックス71Cを含む1以上のモジュールボックス71と、モジュールボックス71を収容する筐体70とを備える。冷却プレート51,52の冷却面51A,冷却面52Aは、ゲインモジュールボックス71内で異なる高さに配置され、冷却面51A,52Aの少なくとも一部は、高さ方向に沿って見たときに互いに重なるように配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性元素が添加されたコアを含み、異なる増幅特性を有する複数の増幅用光ファイバと、
前記複数の増幅用光ファイバのうち第1の増幅用光ファイバと熱的に接触して前記第1の増幅用光ファイバを冷却可能な第1の冷却面と、前記複数の増幅用光ファイバのうち第2の増幅用光ファイバと熱的に接触して前記第2の増幅用光ファイバを冷却可能な第2の冷却面とを有する1以上の冷却プレートと、
前記1以上の冷却プレートとともに前記複数の増幅用光ファイバを収容するゲインモジュールボックスを含む1以上のモジュールボックスと、
前記1以上のモジュールボックスを収容する筐体と
を備え、
前記1以上の冷却プレートの前記第1の冷却面及び前記第2の冷却面は、前記ゲインモジュールボックス内で異なる高さに配置され、前記第1の冷却面及び前記第2の冷却面の少なくとも一部は、高さ方向に沿って見たときに互いに重なるように配置される、ファイバレーザ装置。
【請求項2】
前記1以上の冷却プレートの前記第1の冷却面及び前記第2の冷却面は、単一の冷却プレートの両面により構成される、請求項1に記載のファイバレーザ装置。
【請求項3】
前記1以上の冷却プレートの前記第1の冷却面は、第1の冷却プレートの一方の面により構成され、
前記1以上の冷却プレートの前記第2の冷却面は、前記第1の冷却プレートとは異なる第2の冷却プレートの一方の面により構成される、
請求項1に記載のファイバレーザ装置。
【請求項4】
前記第1の冷却プレートの前記第1の冷却面と前記第2の冷却プレートの前記第2の冷却面とは、互いに対向しないように配置される、請求項3に記載のファイバレーザ装置。
【請求項5】
前記第1の冷却プレートと前記第2の冷却プレートとは、異なるサイズを有する、請求項3又は4に記載のファイバレーザ装置。
【請求項6】
前記第1の増幅用光ファイバは、前記第2の増幅用光ファイバの上流側に接続され、
前記第1の冷却プレートのサイズは、前記第2の冷却プレートのサイズよりも大きい、
請求項5に記載のファイバレーザ装置。
【請求項7】
前記第1の増幅用光ファイバと前記第2の増幅用光ファイバとの間を接続する中間光ファイバをさらに備え、
前記第1の冷却プレート及び前記第2の冷却プレートの少なくとも一方には、前記中間光ファイバが通過するファイバ孔又は切欠きが形成される、
請求項3から6のいずれか一項に記載のファイバレーザ装置。
【請求項8】
前記第1の冷却プレート及び前記第2の冷却プレートのそれぞれには、
内部に冷却媒体を流通させる流路と、
前記流路に前記冷却媒体を供給する流入口と、
前記流路を流通した前記冷却媒体を排出する流出口と
が形成される、
請求項3から7のいずれか一項に記載のファイバレーザ装置。
【請求項9】
前記第1の冷却プレート及び前記第2の冷却プレートの一方の前記流出口と前記第1の冷却プレート及び前記第2の冷却プレートの他方の前記流入口とを接続する接続管をさらに備える、請求項8に記載のファイバレーザ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイバレーザ装置に係り、特に複数の増幅用光ファイバを含むファイバレーザ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の増幅用光ファイバを用いることでレーザ光の増幅度を上げ、高出力のレーザ光を出力できるようにしたファイバレーザの開発が進んでいる(例えば、特許文献1参照)。このようなファイバレーザにおいては、増幅用ファイバに傷が付いたり、埃が付着したりすることを防止するとともに、増幅用光ファイバのメンテナンス性を向上させるために、それぞれの増幅用光ファイバを別個に箱状のモジュールボックスに収容している。
【0003】
このように、ファイバレーザが複数の増幅用光ファイバを含む場合、複数のモジュールボックスを例えば縦に並べて筐体内に収容する必要があり、モジュールボックスを収容する筐体の厚さが増してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-168772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、高パワーのレーザ光をコンパクトな構成で出力することができるファイバレーザ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、高パワーのレーザ光をコンパクトな構成で出力することができるファイバレーザ装置が提供される。このファイバレーザ装置は、活性元素が添加されたコアを含み、異なる増幅特性を有する複数の増幅用光ファイバと、上記複数の増幅用光ファイバのうち第1の増幅用光ファイバと熱的に接触して上記第1の増幅用光ファイバを冷却可能な第1の冷却面と、上記複数の増幅用光ファイバのうち第2の増幅用光ファイバと熱的に接触して上記第2の増幅用光ファイバを冷却可能な第2の冷却面とを有する1以上の冷却プレートと、上記1以上の冷却プレートとともに上記複数の増幅用光ファイバを収容するゲインモジュールボックスを含む1以上のモジュールボックスと、上記1以上のモジュールボックスを収容する筐体とを備える。上記1以上の冷却プレートの上記第1の冷却面及び上記第2の冷却面は、上記ゲインモジュールボックス内で異なる高さに配置され、上記第1の冷却面及び上記第2の冷却面の少なくとも一部は、高さ方向に沿って見たときに互いに重なるように配置される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の第1の実施形態におけるファイバレーザ装置の構成を模式的に示すブロック図である。
図2図2は、図1に示すファイバレーザ装置における第1の増幅用光ファイバの構造を模式的に示す断面図である。
図3図3は、図1に示すファイバレーザ装置における第2の増幅用光ファイバの構造を模式的に示す断面図である。
図4図4は、図1に示すファイバレーザ装置の配置構成を示す模式図である。
図5図5は、図4に示すモジュールボックス内の構成の変形例を示す模式図である。
図6図6は、図4に示すモジュールボックス内の構成の他の変形例を示す模式図である。
図7図7は、図4に示すモジュールボックス内の構成のさらに他の変形例を示す模式図である。
図8図8は、本発明の第2の実施形態におけるファイバレーザ装置の構成を模式的に示すブロック図である。
図9図9は、図8に示すファイバレーザ装置におけるゲインモジュールボックスの構成の一例を示す模式図である。
図10図10は、図8に示すファイバレーザ装置におけるゲインモジュールボックスの構成の他の例を示す模式図である。
図11図11は、本発明の第3の実施形態におけるファイバレーザ装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係るファイバレーザ装置の実施形態について図1から図11を参照して詳細に説明する。図1から図11において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、図1から図11においては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や一部の構成要素が省略されている場合がある。以下の説明では、特に言及がない場合には、「第1」や「第2」などの用語は、構成要素を互いに区別するために使用されているだけであり、特定の順位や順番を表すものではない。
【0009】
図1は、本発明の第1の実施形態におけるファイバレーザ装置1の構成を模式的に示すブロック図である。図1に示すように、ファイバレーザ装置1は、レーザ光を増幅可能な第1の増幅用光ファイバ10及び第2の増幅用光ファイバ20を含む光共振器2と、この光共振器2の一端側(前方)から光共振器2に励起光を供給する複数の前方励起光源3と、光共振器2の他端側(後方)から光共振器2に励起光を供給する複数の後方励起光源4と、複数の前方励起光源3から出力される励起光を結合して光共振器2に導入する上流側光コンバイナ5と、複数の後方励起光源4から出力される励起光を結合して光共振器2に導入する下流側光コンバイナ6と、下流側光コンバイナ6から延びるデリバリファイバ7と、デリバリファイバ7の下流側の端部に設けられたレーザ出力部8とを備えている。なお、本明細書では、特に言及がない場合には、光共振器2からレーザ出力部8に向かってレーザ光が伝搬する方向を「下流側」といい、それとは逆の方向を「上流側」ということとする。
【0010】
光共振器2は、所定の波長帯(例えば1070nm)の光を高い反射率(例えば100%近い反射率)で反射する高反射部31と、この波長の光を高反射部31よりも低い反射率(例えば10%の反射率)で反射する低反射部32とを含んでいる。高反射部31及び低反射部32は、例えば、光の伝搬方向に沿って周期的に光ファイバの屈折率を変化させて形成したファイバブラッググレーティング(FBG)やミラーにより構成される。図1に示す例では、高反射部31及び低反射部32をファイバブラッググレーティングにより構成している。
【0011】
高反射部31と第1の増幅用光ファイバ10とは融着接続部41において互いに融着接続されており、高反射部31と上流側光コンバイナ5の出力ファイバ5Aとは融着接続部42において互いに融着接続されている。また、低反射部32と第2の増幅用光ファイバ20とは融着接続部43において互いに融着接続されており、低反射部32と下流側光コンバイナ6の出力ファイバ6Aとは融着接続部44において互いに融着接続されている。
【0012】
図2は、第1の増幅用光ファイバ10の構造を模式的に示す断面図である。図2に示すように、第1の増幅用光ファイバ10は、コア11と、コア11の周囲を覆う内側クラッド層12と、内側クラッド層12の周囲を覆う外側クラッド層13とを有している。コア11は、例えば、石英に屈折率を上昇させるアルミニウムなどの元素を添加し、さらにその少なくとも一部に活性元素を添加することにより形成される。コア11に添加される活性元素としては、例えばイッテルビウム(Yb)やエルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、ネオジム(Nd)などの希土類元素、ビスマス(Bi)やクロム(Cr)などが挙げられる。本実施形態では、Ybを第1の増幅用光ファイバ10のコア11に添加する例について説明するが、これに限られるものではない。
【0013】
内側クラッド層12は、例えばドーパントが添加されない石英から形成される。内側クラッド層12の屈折率はコア11の屈折率よりも低くなっており、コア11の内側には光導波路が形成される。外側クラッド層13は、例えば紫外線硬化樹脂から形成される。外側クラッド層13の屈折率は内側クラッド層12の屈折率よりも低くなっており、内側クラッド層12の内側にも光導波路が形成される。
【0014】
図3は、第2の増幅用光ファイバ20の構造を模式的に示す断面図である。図3に示すように、第2の増幅用光ファイバ20は、コア21と、コア21の周囲を覆う内側クラッド層22と、内側クラッド層22の周囲を覆う外側クラッド層23とを有している。コア21は、例えば、石英に屈折率を上昇させるアルミニウムなどの元素を添加し、さらにその少なくとも一部に活性元素を添加することにより形成される。コア21に添加される活性元素としては、例えばイッテルビウム(Yb)やエルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、ネオジム(Nd)などの希土類元素、ビスマス(Bi)やクロム(Cr)などが挙げられる。本実施形態では、Ybを第2の増幅用光ファイバ20のコア21に添加する例について説明するが、これに限られるものではない。
【0015】
内側クラッド層22は、例えばドーパントが添加されない石英から形成される。内側クラッド層22の屈折率はコア21の屈折率よりも低くなっており、コア21の内側には光導波路が形成される。外側クラッド層23は、例えば紫外線硬化樹脂から形成される。外側クラッド層23の屈折率は内側クラッド層22の屈折率よりも低くなっており、内側クラッド層22の内側にも光導波路が形成される。
【0016】
第1の増幅用光ファイバ10と第2の増幅用光ファイバ20とは異なる増幅特性を有している。例えば、第1の増幅用光ファイバ10と第2の増幅用光ファイバ20とは、活性元素の種類、活性元素の添加濃度、コアの径、ファイバ長などのうち少なくとも1つの特性において互いに異なっており、異なる増幅特性を有している。
【0017】
第1の増幅用光ファイバ10と第2の増幅用光ファイバ20との間には中間光ファイバ9が接続されている。この中間光ファイバ9は、コアと、コアの周囲を覆う内側クラッド層と、内側クラッド層の周囲を覆う外側クラッド層とを有している。中間光ファイバ9のコアには、例えば、石英に屈折率を上昇させるアルミニウムなどの元素が添加されているが、第1の増幅用光ファイバ10及び第2の増幅用光ファイバ20と異なり、活性元素は添加されていない、いわゆるパッシブファイバである。内側クラッド層は、例えばドーパントが添加されない石英から形成される。内側クラッド層の屈折率はコアの屈折率よりも低くなっており、コアの内側には光導波路が形成される。外側クラッド層は、例えば紫外線硬化樹脂から形成される。外側クラッド層の屈折率は内側クラッド層の屈折率よりも低くなっており、内側クラッド層の内側にも光導波路が形成される。この中間光ファイバ9は、融着接続部45において第1の増幅用光ファイバ10と融着接続され、融着接続部46において第2の増幅用光ファイバ20と融着接続されている。
【0018】
前方励起光源3及び後方励起光源4のそれぞれは、例えばGaAs系半導体を材料とするファブリペロー型の半導体レーザ素子を含むものであり、例えば中心波長915nmの励起光を生成するものである。前方励起光源3により生成される励起光の波長と後方励起光源4により生成される励起光の波長は同一である必要はなく、異なっていてもよい。
【0019】
前方励起光源3から延びる光ファイバ3Aは、融着接続部47において上流側光コンバイナ5の入力ファイバ5Bと融着接続されている。後方励起光源4から延びる光ファイバ4Aは、融着接続部48において下流側光コンバイナ6の入力ファイバ6Bと融着接続されている。また、デリバリファイバ7は、融着接続部49において下流側光コンバイナ6の入力ファイバ6Bと融着接続されている。
【0020】
上流側光コンバイナ5は、複数の前方励起光源3から出力される励起光を結合してこの励起光を第1の増幅用光ファイバ10の内側クラッド層12に導入するように構成されている。また、下流側光コンバイナ6は、複数の後方励起光源4から出力される励起光を結合してこの励起光を第2の増幅用光ファイバ20の内側クラッド層22に導入するように構成されている。
【0021】
光共振器2において、第1の増幅用光ファイバ10の内側クラッド層12を伝搬する励起光は、コア11を通過する際にYbに吸収され、このYbが励起されて自然放出光が生じる。また、第2の増幅用光ファイバ20の内側クラッド層22を伝搬する励起光は、コア21を通過する際にYbに吸収され、このYbが励起されて自然放出光が生じる。Ybの励起により生じた自然放出光は、高反射部31と低反射部32との間で再帰的に反射され、特定の波長(例えば1064nm)の光が増幅されてレーザ発振が生じる。光共振器2で増幅されたレーザ光Lは、第1の増幅用光ファイバ10のコア11及び第2の増幅用光ファイバ20のコア21内を伝搬し、その一部が低反射部32を透過して下流側に伝搬する。低反射部32を透過したレーザ光Lは、デリバリファイバ7を通ってレーザ出力部8から例えば被加工物に向けて出射される。
【0022】
図1に示すように、ファイバレーザ装置1は、伝熱性の高い材料(例えばアルミニウムや銅)から形成される第1の冷却プレート51及び第2の冷却プレート52を含んでいる。本実施形態では、これらの冷却プレート51,52として水を冷却媒体とする水冷プレートが用いられているが、水以外の不凍液や空気を冷却媒体とする冷却プレートを用いることもできる。
【0023】
具体的には、第1の冷却プレート51の内部には、冷却水を流通させる冷却水流路53が形成されており、第1の冷却プレート51の側面には、冷却水流路53に冷却媒体としての冷却水を供給する流入口54と、冷却水流路53を流通した冷却水を排出する流出口55とが形成されている。流入口54から冷却水流路53に冷却水が導入され、この冷却水は冷却水流路53を流通した後、流出口55から排出されるようになっている。
【0024】
同様に、第2の冷却プレート52の内部には、冷却水を流通させる冷却水流路56が形成されており、第2の冷却プレート52の側面には、冷却水流路56に冷却水を供給する流入口57と、冷却水流路56を流通した冷却水を排出する流出口58とが形成されている。流入口57から冷却水流路56に冷却水が導入され、この冷却水は冷却水流路56を流通した後、流出口58から排出されるようになっている。
【0025】
第1の冷却プレート51の表面には、上流側光コンバイナ5、高反射部31、上流側光コンバイナ5と高反射部31との間の融着接続部42、第1の増幅用光ファイバ10、高反射部31と第1の増幅用光ファイバ10との間の融着接続部41、及び第1の増幅用光ファイバ10と中間光ファイバ9との間の融着接続部45がそれぞれ例えば樹脂などで固定されており、これらの光学部品と第1の冷却プレート51とが熱的に接触するようになっている。以下、第1の冷却プレート51の表面に固定されているこれらの光学部品を第1の光学部品群ということとする。このような構成により、第1の光学部品群で発生した熱は第1の冷却プレート51に伝達し、第1の冷却プレート51の冷却水流路53を循環する冷却水と熱交換することで放熱される。これにより第1の光学部品群が冷却される。
【0026】
第2の冷却プレート52の表面には、下流側光コンバイナ6、低反射部32、下流側光コンバイナ6と低反射部32との間の融着接続部44、第2の増幅用光ファイバ20、低反射部32と第2の増幅用光ファイバ20との間の融着接続部43、及び第2の増幅用光ファイバ20と中間光ファイバ9との間の融着接続部46がそれぞれ例えば樹脂などで固定されており、これらの光学部品と第2の冷却プレート52とが熱的に接触するようになっている。以下、第2の冷却プレート52の表面に固定されているこれらの光学部品を第2の光学部品群ということとする。このような構成により、第2の光学部品群で発生した熱は第2の冷却プレート52に伝達し、第2の冷却プレート52の冷却水流路56を循環する冷却水と熱交換することで放熱される。これにより第2の光学部品群が冷却される。
【0027】
ここで、第1の冷却プレート51の冷却水流路53と第2の冷却プレート52の冷却水流路56との間で別の冷却水を使用してもよいが、本実施形態では、第1の冷却プレート51の冷却水流路53と第2の冷却プレート52の冷却水流路56との間で同一の冷却水を使用している。より具体的には、第1の冷却プレート51の流入口54には、外部から冷却水が供給される給水管61が接続されており、第2の冷却プレート52の流出口58には、外部に冷却水を排出する排水管62が接続されている。第1の冷却プレート51の流出口55と第2の冷却プレート52の流入口57とは接続管63により接続されている。このような構成において、給水管61を介して冷却水が第1の冷却プレート51の冷却水流路53に導入され、冷却水流路53に導入された冷却水は、冷却水流路53の内面と熱交換しつつ冷却水流路53を流れる。第1の冷却プレート51の冷却水流路53から排出される冷却水は、接続管63を通って第2の冷却プレート52の冷却水流路56に導入される。第2の冷却プレート52の冷却水流路56に導入された冷却水は、冷却水流路56の内面と熱交換しつつ冷却水流路56を流れ、排水管62を介して第2の冷却プレート52から排出される。
【0028】
このように、第1の冷却プレート51の冷却水流路53と第1の冷却プレート51に隣接する第2の冷却プレート52の冷却水流路56との間で同一の冷却水を使用することで、第1の冷却プレート51の冷却水流路53と第2の冷却プレート52の冷却水流路56との間で別の冷却水を使用する場合に比べて、必要とされる冷却水の流量を減らすことができる。
【0029】
図4は、ファイバレーザ装置1の配置構成を示す模式図である。図4に示すように、ファイバレーザ装置1は、上述した様々な光学部品を収容する1以上のモジュールボックス71を収容した筐体70を備えている。本実施形態では、筐体70内に3つのモジュールボックス71が収容されており、これらのうちの1つのモジュールボックス71C(ゲインモジュールボックス)に、上述した2つの冷却プレート51,52が収容されている。これらの冷却プレート51,52は、冷却プレート51,52の厚さ方向に並べて配置されており、図示しない支持部によってモジュールボックス71C内に固定されている。
【0030】
図4に示すように、第1の光学部品群81は第1の冷却プレート51の上面51A(第1の冷却面)に固定されており、第2の光学部品群82は第2の冷却プレート52の上面52A(第2の冷却面)に固定されている。このように、本実施形態では、第1の冷却プレート51に固定される第1の光学部品群81と第2の冷却プレート52に固定される第2の光学部品群82とが互いに対面しないようになっている。このような構成により、2つの増幅用光ファイバ10,20のうち一方の増幅用光ファイバが破損して光が外部に漏れるようなことがあったとしても、この増幅用光ファイバは他方の増幅用光ファイバに対面していないため、一方の増幅用光ファイバから外部に漏れ出た光によって他方の増幅用光ファイバがダメージを受けることを抑制することができる。
【0031】
また、2つの増幅用光ファイバ10,20を別々の冷却プレート51,52上に固定しているため、2つの増幅用光ファイバ10,20のうち一方の増幅用光ファイバで生じる熱が他方の冷却プレート上の他方の増幅用光ファイバに与える影響を抑えることができる。
【0032】
図4に示すように、本実施形態では、第1の増幅用光ファイバ10と熱的に接触している第1の冷却プレート51の第1の冷却面51Aと第2の増幅用光ファイバ20と熱的に接触している第2の冷却プレート52の第2の冷却面52Aとがゲインモジュールボックス71A内で異なる高さに配置され、第1の冷却プレート51の第1の冷却面51Aと第2の冷却プレート52の第2の冷却面52Aとは、高さ方向に沿って見たときに互いに重なるように配置されている。このように、1つのゲインモジュールボックス71Cに2つの冷却プレート51,52とともに2つの増幅用光ファイバ10,20が収容されているため、それぞれの増幅用光ファイバ10,20を別個のモジュールボックス71に収容する場合に比べて、筐体70の内部ですべてのモジュールボックス71が占める高さ(厚さ)Hを低減することができる。また、増幅用光ファイバ10,20の間を接続する中間光ファイバ9が長くなると、誘導ラマン散乱(Stimulated Raman Scattering)が増加する傾向があるが、本実施形態によれば、ゲインモジュールボックス71C内の中間光ファイバ9を短くすることができるため、この中間光ファイバ9で生じる誘導ラマン散乱を低減することができる。
【0033】
上述した第1の光学部品群81及び第2の光学部品群82以外の光学部品は、モジュールボックス71A又は71Bに収容される。例えば、前方励起光源3はモジュールボックス71Bに収容され、後方励起光源4はモジュールボックス71Aに収容される。なお、第1の冷却プレート51上に配置される第1の光学部品群81には少なくとも第1の増幅用光ファイバ10が含まれていればよく、第2の冷却プレート52上に配置される第2の光学部品群82には少なくとも第2の増幅用光ファイバ20が含まれていればよい。
【0034】
ここで、増幅用光ファイバ10,20間を接続する中間光ファイバ9をさらに短くするために、図5に示すように、冷却プレート51,52の一方のサイズを他方のサイズよりも小さくし、増幅用光ファイバ10,20間に中間光ファイバ9を取り回すための空間Sを形成してもよい。図5に示す例では、第2の冷却プレート52のサイズを第1の冷却プレート51のサイズよりも小さくしている。
【0035】
あるいは、図6に示すように、冷却プレート51,52の一方に、増幅用光ファイバ10,20間で中間光ファイバ9を取り回すためのファイバ孔又は切欠きを形成してもよい。図6に示す例では、第2の冷却プレート52にファイバ孔73を形成して、このファイバ孔73に中間光ファイバ9を通過させることで、増幅用光ファイバ10,20間を接続する中間光ファイバ9を短くしている。
【0036】
また、図7に示すように、第1の増幅用光ファイバ10を含む第1の光学部品群81を第1の冷却プレート51の一方の面(例えば下面51B)に配置し、第2の増幅用光ファイバ20を含む第2の光学部品群82を第1の冷却プレート51の他方の面(例えば上面51A)に配置してもよい。このような構成によれば、2つの増幅用光ファイバ10,20を1つの冷却プレート51上に配置することができるため、2つの増幅用光ファイバ10,20をそれぞれ別個の冷却プレート51,52上に配置する場合(図4参照)に比べて、ゲインモジュールボックス71Cの厚さをさらに低減することができる。この結果、筐体70の内部ですべてのモジュールボックス71が占める高さHをさらに低減することができる。
【0037】
図8は、本発明の第2の実施形態におけるファイバレーザ装置101の構成を模式的に示すブロック図である。本実施形態におけるファイバレーザ装置101は、第1の実施形態における第1の増幅用光ファイバ10と第2の増幅用光ファイバ20との間に第3の増幅用光ファイバ110を含んでいる。すなわち、本実施形態における光共振器102は、第1の増幅用光ファイバ10と、第2の増幅用光ファイバ20と、第3の増幅用光ファイバ110とを含んでいる。この第3の増幅用光ファイバ110は、第1の増幅用光ファイバ10及び第2の増幅用光ファイバ20と同様の構造を有しているため、図示は省略するが、活性元素が添加されたコアと、コアの周囲を覆う内側クラッド層と、内側クラッド層の周囲を覆う外側クラッド層とを有している。この第3の増幅用光ファイバ110の増幅特性は、第1の増幅用光ファイバ10及び第2の増幅用光ファイバ20の増幅特性とは異なっている。
【0038】
第1の増幅用光ファイバ10と第3の増幅用光ファイバ110との間には中間光ファイバ108が接続されている。この中間光ファイバ108は、融着接続部45において第1の増幅用光ファイバ10と融着接続され、融着接続部145において第3の増幅用光ファイバ110と融着接続されている。また、第3の増幅用光ファイバ110と第2の増幅用光ファイバ20との間には中間光ファイバ109が接続されている。この中間光ファイバ109は、融着接続部146において第3の増幅用光ファイバ110と融着接続され、融着接続部46において第2の増幅用光ファイバ20と融着接続されている。
【0039】
本実施形態におけるファイバレーザ装置101は、第1の実施形態における冷却プレート51,52と同様の構造を有する第3の冷却プレート151を含んでいる。本実施形態では、第3の冷却プレートとして水を冷却媒体とする水冷プレートが用いられており、第1の冷却プレート51及び第2の冷却プレート52と同様に、第3の冷却プレート151には、冷却水を流通させる冷却水流路と、冷却水流路に冷却水を供給する流入口と、冷却水流路を流通した冷却水を排出する流出口とが形成されている。この流入口から冷却水流路に冷却水が導入され、この冷却水は冷却水流路を流通した後、流出口から排出されるようになっている。
【0040】
第3の冷却プレート151の表面には、第3の増幅用光ファイバ110、中間光ファイバ108と第3の増幅用光ファイバ110との間の融着接続部145、及び第3の増幅用光ファイバ110と中間光ファイバ109との間の融着接続部146がそれぞれ例えば樹脂などで固定されており、これらの光学部品と第3の冷却プレート151とが熱的に接触するようになっている。以下、第3の冷却プレート151の表面に固定されているこれらの光学部品を第3の光学部品群ということとする。このような構成により、第3の光学部品群で発生した熱は第3の冷却プレート151に伝達し、第3の冷却プレート151内部の冷却水流路を循環する冷却水と熱交換することで放熱される。これにより第3の光学部品群が冷却される。
【0041】
第1の冷却プレート51、第2の冷却プレート52、及び第3の冷却プレート151は、例えば、図9に示すように、1つのモジュールボックス71(ゲインモジュールボックス)に冷却プレート51,52,151の厚さ方向に並べて収容されている。図9に示す例では、第1の光学部品群81は第1の冷却プレート51の上面51Aに固定されており、第2の光学部品群82は第2の冷却プレート52の上面52Aに固定されており、第3の光学部品群181は第3の冷却プレート151の上面151Aに固定されている。すなわち、第1の冷却プレート51に固定される第1の光学部品群81、第2の冷却プレート52に固定される第2の光学部品群82、第3の冷却プレート151に固定される第3の光学部品群181が互いに対面しないようになっており、いずれかの増幅用光ファイバが破損した場合に他の増幅用光ファイバがダメージを受けにくくなっている。なお、第3の冷却プレート151上に配置される第3の光学部品群181には少なくとも第3の増幅用光ファイバ110が含まれていればよい。
【0042】
この場合において、図5に関連して述べたように、冷却プレート51,52,151の少なくとも1つのサイズを他の冷却プレートのサイズよりも小さくして、中間光ファイバ108及び/又は109を取り回すための空間を形成してもよい。また、図6に関連して述べたように、冷却プレート51,52,151の少なくとも1つに中間光ファイバ108及び/又は109を取り回すための孔又は切欠きを形成してもよい。これらの場合には、中間光ファイバ108又は109の長さを短くすることができるので、中間光ファイバ108又は109で生じる誘導ラマン散乱が低減される。
【0043】
また、図10に示すように、第1の増幅用光ファイバ10を含む第1の光学部品群81を第1の冷却プレート51の下面51Bに配置し、第3の増幅用光ファイバ110を含む第3の光学部品群181を第1の冷却プレート51の上面51Aに配置し、第2の増幅用光ファイバ20を含む第2の光学部品群82を第2の冷却プレート52の上面52Aに配置してもよい。このような構成によれば、図9に示す構成に比べて、ゲインモジュールボックス71の厚さを低減することができる。
【0044】
図11は、本発明の第3の実施形態におけるファイバレーザ装置201の構成を模式的に示すブロック図である。上述した第1の実施形態における冷却プレート51,52の構成は、第3の実施形態におけるファイバレーザ装置201にも適用することができる。このファイバレーザ装置201では、MOPA型のファイバレーザとなっている。
【0045】
本実施形態では、第1の実施形態における低反射部32が第2の増幅用光ファイバ20の上流側に移動され、この低反射部32と第2の増幅用光ファイバ20との間に下流側光コンバイナ206が配置されている。また、低反射部32と下流側光コンバイナ206との間には中間光ファイバ209が接続されている。
【0046】
第2の増幅用光ファイバ20と下流側光コンバイナ206の出力ファイバ206Aとは融着接続部245において互いに融着されており、第2の増幅用光ファイバ20とデリバリファイバ7とは融着接続部246において互いに融着されている。励起光源4から延びる光ファイバ4Aは、融着接続部248において下流側光コンバイナ206の入力ファイバ206Bと融着接続されている。また、低反射部32と中間光ファイバ209とは融着接続部244において互いに融着接続されており、中間光ファイバ209と下流側光コンバイナ206の入力ファイバ206Bとは融着接続部249において互いに融着接続されている。
【0047】
本実施形態では、高反射部31、第1の増幅用光ファイバ10、及び低反射部32により光共振器102が構成されており、この光共振器102に励起光源3からの励起光が導入されることにより光共振器102内でレーザ発振が生じてシード光が生成される。このシード光は、下流側光コンバイナ206を介して第2の増幅用光ファイバ20のコア21に導入される。また、第2の増幅用光ファイバ20の内側クラッド層22には、励起光源4から励起光が導入され、この励起光が第2の増幅用光ファイバ20のコア21を通過する際に、コア21に添加された活性元素が励起光を吸収して励起され、誘導放出によってコア21を伝搬するシード光が増幅される。なお、励起光源4を省略して、第2の増幅用光ファイバ20におけるシード光の増幅を励起光源3からの励起光で行ってもよい。
【0048】
このような構成のファイバレーザ装置201においても、図4を参照して説明したように、第1の増幅用光ファイバ10が固定された第1の冷却プレート51と第2の増幅用光ファイバ20が固定された第2の冷却プレート52とが1つのゲインモジュールボックス71に収容されている。これにより、筐体70の内部ですべてのモジュールボックス71が占める高さ(厚さ)Hを低減することができる。また、増幅用光ファイバ10,20間を接続する中間光ファイバ209を短くすることができるため、この中間光ファイバ209で生じる誘導ラマン散乱を低減することができる。
【0049】
ここで、光共振器102においては、高反射部31と低反射部32との間で光が再帰的に反射し、上流側の第1の増幅用光ファイバ10を光が何度も通過するのに対して、下流側の第2の増幅用光ファイバではシード光が下流に向けて一方向に伝搬するだけである。このため、第1の増幅用光ファイバ10が曲がっていると、第2の増幅用光ファイバ20が曲がっているときよりもビーム品質の低下が生じやすい。したがって、第1の増幅用光ファイバ10の曲げ径をなるべく大きくできるように、図5に示すように、第1の増幅用光ファイバ10が配置される第1の冷却プレート51のサイズを第2の増幅用光ファイバ20が配置される第2の冷却プレート52のサイズよりも大きくすることが好ましい。このような構成にすれば、中間光ファイバ209を取り回すための空間が確保できるとともに、第1の増幅用光ファイバ10の曲げ径が小さくなることによるビーム品質の低下を抑制することができる。
【0050】
以上述べたように、本発明の一態様によれば、高パワーのレーザ光をコンパクトな構成で出力することができるファイバレーザ装置が提供される。このファイバレーザ装置は、活性元素が添加されたコアを含み、異なる増幅特性を有する複数の増幅用光ファイバと、上記複数の増幅用光ファイバのうち第1の増幅用光ファイバと熱的に接触して上記第1の増幅用光ファイバを冷却可能な第1の冷却面と、上記複数の増幅用光ファイバのうち第2の増幅用光ファイバと熱的に接触して上記第2の増幅用光ファイバを冷却可能な第2の冷却面とを有する1以上の冷却プレートと、上記1以上の冷却プレートとともに上記複数の増幅用光ファイバを収容するゲインモジュールボックスを含む1以上のモジュールボックスと、上記1以上のモジュールボックスを収容する筐体とを備える。上記1以上の冷却プレートの上記第1の冷却面及び上記第2の冷却面は、上記ゲインモジュールボックス内で異なる高さに配置され、上記第1の冷却面及び上記第2の冷却面の少なくとも一部は、高さ方向に沿って見たときに互いに重なるように配置される。
【0051】
このような構成によれば、1以上の冷却プレートとともに複数の増幅用光ファイバを1つのゲインモジュールボックスに収容しているため、それぞれの増幅用光ファイバを別個のモジュールボックスに収容する場合に比べて、筐体の内部ですべてのモジュールボックスが占める高さを低減することができる。また、増幅用光ファイバ間を接続する光ファイバを短くすることができるため、増幅用光ファイバ間を接続する光ファイバで生じる誘導ラマン散乱を低減することができる。
【0052】
上記1以上の冷却プレートの上記第1の冷却面及び上記第2の冷却面は、単一の冷却プレートの両面により構成されていてもよい。この場合には、2つの増幅用光ファイバを1つの冷却プレート上に配置することができるため、2つの増幅用光ファイバをそれぞれ別個の冷却プレート上に配置する場合に比べて、ゲインモジュールボックスの厚さを低減することができる。この結果、筐体の内部ですべてのモジュールボックスが占める高さをさらに低減することができる。
【0053】
上記1以上の冷却プレートの上記第1の冷却面は、第1の冷却プレートの一方の面により構成され、上記1以上の冷却プレートの上記第2の冷却面は、上記第1の冷却プレートとは異なる第2の冷却プレートの一方の面により構成されていてもよい。このような構成によれば、2つの増幅用光ファイバが別々の冷却プレート上に配置されるため、2つの増幅用光ファイバのうち一方の増幅用光ファイバで生じる熱が他の冷却プレート上の他方の増幅用光ファイバに与える影響を抑えることができる。
【0054】
上記第1の冷却プレートの上記第1の冷却面と上記第2の冷却プレートの上記第2の冷却面とは、互いに対向しないように配置されていてもよい。この場合には、2つの増幅用光ファイバのうち一方の増幅用光ファイバが破損して光が外部に漏れるようなことがあったとしても、この増幅用光ファイバは他方の増幅用光ファイバに対面していないため、この増幅用光ファイバから外部に漏れ出た光によって他の増幅用光ファイバがダメージを受けることを抑制することができる。
【0055】
上記第1の冷却プレートと上記第2の冷却プレートとは、異なるサイズを有していてもよい。このような構成によれば、第1の冷却プレートの一方の面に配置される増幅用光ファイバと第2の冷却プレートの一方の面に配置される増幅用光ファイバとの間を接続する光ファイバを取り回すための空間を第1の冷却プレートと第2の冷却プレートとの間に形成することができ、増幅用光ファイバ間を接続する光ファイバをさらに短くすることができる。したがって、増幅用光ファイバ間を接続する光ファイバで生じる誘導ラマン散乱をさらに低減することができる。
【0056】
上記第1の増幅用光ファイバは、上記第2の増幅用光ファイバの上流側に接続され、上記第1の冷却プレートのサイズは、上記第2の冷却プレートのサイズよりも大きくてもよい。このように、ビーム品質により影響を与えやすい上流側の第1の増幅用光ファイバが配置される第1の冷却プレートのサイズを下流側の第2の増幅用光ファイバが配置される第2の冷却プレートのサイズよりも大きくすることで、第1の増幅用光ファイバの曲げ径が小さくなることによるビーム品質の低下を抑制することができる。
【0057】
上記ファイバレーザ装置は、上記第1の増幅用光ファイバと上記第2の増幅用光ファイバとの間を接続する中間光ファイバをさらに備えていてもよい。この場合において、上記第1の冷却プレート及び上記第2の冷却プレートの少なくとも一方には、上記中間光ファイバが通過するファイバ孔又は切欠きが形成されていてもよい。このようなファイバ孔又は切欠きに中間光ファイバを通過させることで、増幅用光ファイバの間を接続する中間光ファイバを短くすることができ、誘導ラマン散乱を低減することができる。
【0058】
上記第1の冷却プレート及び上記第2の冷却プレートのそれぞれには、内部に冷却媒体を流通させる流路と、上記流路に上記冷却媒体を供給する流入口と、上記流路を流通した上記冷却媒体を排出する流出口とが形成されていてもよい。この場合において、上記ファイバレーザ装置は、上記第1の冷却プレート及び上記第2の冷却プレートの一方の上記流出口と上記第1の冷却プレート及び上記第2の冷却プレートの他方の上記流入口とを接続する接続管をさらに備えていてもよい。このようにすることで、第1の冷却プレートと第2の冷却プレートとの間で同一の冷却媒体を使用することができるので、隣接する冷却プレートの間で別の冷却媒体を使用する場合に比べて、必要とされる冷却媒体の流量を減らすことができる。
【0059】
これまで本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0060】
1,201,101 ファイバレーザ装置
2,102,202 光共振器
3,4 励起光源
5,6,206 上流側光コンバイナ
7 デリバリファイバ
8 レーザ出力部
9,108,109,209 中間光ファイバ
10 第1の増幅用光ファイバ
20 第2の増幅用光ファイバ
31 高反射部
32 低反射部
41~49,145,146,244~246,248,249 融着接続部
51 第1の冷却プレート
51A 上面(第1の冷却面)
51B 下面
52 第2の冷却プレート
52A 上面(第2の冷却面)
53,56 冷却水流路
54,57 流入口
55,58 流出口
61 給水管
62 排水管
63 接続管
70 筐体
71 モジュールボックス
73 ファイバ孔
81 第1の光学部品群
82 第2の光学部品群
110 第3の増幅用光ファイバ
151 第3の冷却プレート
181 第3の光学部品群
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11