(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121225
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】アキュムレータ
(51)【国際特許分類】
B65H 20/34 20060101AFI20230824BHJP
【FI】
B65H20/34
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024436
(22)【出願日】2022-02-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000154130
【氏名又は名称】株式会社不二鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】楠山 哲則
【テーマコード(参考)】
3F103
【Fターム(参考)】
3F103AA03
3F103CA13
3F103CA14
3F103CA15
(57)【要約】
【課題】ローラの移動に伴うフィルムの張力変動を抑制することが可能なアキュムレータを提供する。
【解決手段】アキュムレータ100は、上側昇降フレーム1と、下側昇降フレーム2と、エアシリンダ4と、動力伝達装置3とを備える。上側昇降フレーム1は、櫛歯状に形成されたフレーム本体11を有し、フレーム本体11の櫛歯部11bの先端でローラ13を回転自在に支持する。下側昇降フレーム2は、櫛歯状に形成されたフレーム本体21を有し、フレーム本体21の櫛歯部21bの先端でローラ23を回転自在に支持する。アキュムレータ100は、フィルム150の搬送時に、ローラ13がローラ23よりも上方に配置され、搬送されるフィルム150がローラ13とローラ23とに交互に巻き掛けられており、ローラ13および23をダンサーローラとして機能させるように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムを貯留および放出するアキュムレータであって、
昇降可能に設けられた第1昇降フレームと、
前記第1昇降フレームの下方に配置され、昇降可能に設けられた第2昇降フレームと、
前記第1昇降フレームおよび前記第2昇降フレームを昇降させる動力源と、
前記動力源からの動力を前記第1昇降フレームおよび前記第2昇降フレームに伝達する動力伝達装置とを備え、
前記第1昇降フレームは、櫛歯状に形成された第1フレーム本体を有し、前記第1フレーム本体の櫛歯部の先端で第1ローラを回転自在に支持するように構成され、
前記第2昇降フレームは、櫛歯状に形成された第2フレーム本体を有し、前記第2フレーム本体の櫛歯部の先端で第2ローラを回転自在に支持するように構成され、
前記第1フレーム本体は櫛歯部の先端が下方を向くように配置されるとともに、前記第2フレーム本体は櫛歯部の先端が上方を向くように配置されており、前記第1フレーム本体の櫛歯部と前記第2フレーム本体の櫛歯部とが水平方向において交互に配置され、
前記動力伝達装置は、上下方向において対向するように配置された第1回転輪および第2回転輪と、前記第1回転輪および前記第2回転輪に巻き掛けられた第1索状体とを含み、前記第1回転輪に前記動力源からの動力が入力されるように構成され、
前記第1回転輪および前記第2回転輪の間で平行に延びる第1索状体の一方側に前記第1フレーム本体が連結され、前記第1回転輪および前記第2回転輪の間で平行に延びる第1索状体の他方側に前記第2フレーム本体が連結され、
フィルムの搬送時に、前記第1ローラが前記第2ローラよりも上方に配置され、搬送されるフィルムが前記第1ローラと前記第2ローラとに交互に巻き掛けられており、前記第1ローラおよび前記第2ローラをダンサーローラとして機能させるように構成され、
フィルムの貯留時に、前記第1昇降フレームが上昇されるとともに、前記第2昇降フレームが下降されるように構成され、
フィルムの放出時に、前記第1昇降フレームが下降されるとともに、前記第2昇降フレームが上昇されるように構成されていることを特徴とするアキュムレータ。
【請求項2】
請求項1に記載のアキュムレータにおいて、
フィルムの挿通時に、前記第1ローラが前記第2ローラよりも下方に配置された状態で、前記第1ローラと前記第2ローラとの間にフィルムを通した後に、前記第1昇降フレームが上昇されるとともに、前記第2昇降フレームが下降されることにより、フィルムが前記第1ローラと前記第2ローラとに交互に巻き掛けられるように構成されていることを特徴とするアキュムレータ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のアキュムレータにおいて、
前記第1回転輪の回転を検出するための回転検出部を備えることを特徴とするアキュムレータ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載のアキュムレータにおいて、
前記動力源は、両ロッド型のエアシリンダであり、
前記動力伝達装置は、前記第1回転輪と同軸上に配置された第3回転輪と、前記第3回転輪に巻き掛けられた第2索状体とを含み、
前記第3回転輪は、前記第1回転輪に比べて直径が小さく、前記第1回転輪と一体的に回転するように構成され、
前記第2索状体の一方端部が前記エアシリンダのロッドの一方に連結され、前記第2索状体の他方端部が前記エアシリンダのロッドの他方に連結されていることを特徴とするアキュムレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アキュムレータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィルムを貯留および放出するアキュムレータが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1のアキュムレータは、複数の定位置ローラと、複数の定位置ローラの上方に配置された複数の昇降ローラと、複数の昇降ローラを昇降させるエアシリンダとを備えている。定位置ローラおよび昇降ローラは、水平方向において交互に配置され、フィルムが交互に巻き掛けられている。そして、アキュムレータでは、エアシリンダにより複数の昇降ローラが上昇されることによってフィルムが貯留され、エアシリンダにより複数の昇降ローラが下降されることによってフィルムが放出されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、ローラの移動に伴うフィルムの張力変動を抑制することについて改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、ローラの移動に伴うフィルムの張力変動を抑制することが可能なアキュムレータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるアキュムレータは、フィルムを貯留および放出するものであり、昇降可能に設けられた第1昇降フレームと、第1昇降フレームの下方に配置され、昇降可能に設けられた第2昇降フレームと、第1昇降フレームおよび第2昇降フレームを昇降させる動力源と、動力源からの動力を第1昇降フレームおよび第2昇降フレームに伝達する動力伝達装置とを備える。第1昇降フレームは、櫛歯状に形成された第1フレーム本体を有し、第1フレーム本体の櫛歯部の先端で第1ローラを回転自在に支持するように構成されている。第2昇降フレームは、櫛歯状に形成された第2フレーム本体を有し、第2フレーム本体の櫛歯部の先端で第2ローラを回転自在に支持するように構成されている。第1フレーム本体は櫛歯部の先端が下方を向くように配置されるとともに、第2フレーム本体は櫛歯部の先端が上方を向くように配置されており、第1フレーム本体の櫛歯部と第2フレーム本体の櫛歯部とが水平方向において交互に配置されている。動力伝達装置は、上下方向において対向するように配置された第1回転輪および第2回転輪と、第1回転輪および第2回転輪に巻き掛けられた第1索状体とを含み、第1回転輪に動力源からの動力が入力されるように構成されている。第1回転輪および第2回転輪の間で平行に延びる第1索状体の一方側に第1フレーム本体が連結され、第1回転輪および第2回転輪の間で平行に延びる第1索状体の他方側に第2フレーム本体が連結されている。アキュムレータは、フィルムの搬送時に、第1ローラが第2ローラよりも上方に配置され、搬送されるフィルムが第1ローラと第2ローラとに交互に巻き掛けられており、第1ローラおよび第2ローラをダンサーローラとして機能させるように構成されている。また、アキュムレータは、フィルムの貯留時に、第1昇降フレームが上昇されるとともに、第2昇降フレームが下降されるように構成され、かつ、フィルムの放出時に、第1昇降フレームが下降されるとともに、第2昇降フレームが上昇されるように構成されている。
【0008】
このように、第1ローラおよび第2ローラの両方が移動されることにより、定位置ローラに対して昇降ローラを移動させる場合における昇降ローラの移動量に比べて、第1ローラおよび第2ローラの移動量の低減を図ることができる。このため、第1ローラおよび第2ローラを移動させる際の加速度を抑制することができるので、第1ローラおよび第2ローラの移動に伴うフィルムの張力変動を抑制することができる。さらに、互いにカウンタウエイトとして機能する第1昇降フレームおよび第2昇降フレームが近づいたり遠ざかることが可能であり、第1昇降フレームの第1ローラおよび第2昇降フレームの第2ローラにフィルムが巻き掛けられることにより、第1ローラおよび第2ローラの両方にフィルムの張力が作用するので、カウンタウエイトが連結されたダンサーローラにフィルムが巻き掛けられている場合に比べて、第1昇降フレームおよび第2昇降フレームを移動しやすくすることができる。これによっても、第1ローラおよび第2ローラの移動に伴うフィルムの張力変動を抑制することができる。
【0009】
上記アキュムレータにおいて、フィルムの挿通時に、第1ローラが第2ローラよりも下方に配置された状態で、第1ローラと第2ローラとの間にフィルムを通した後に、第1昇降フレームが上昇されるとともに、第2昇降フレームが下降されることにより、フィルムが第1ローラと第2ローラとに交互に巻き掛けられるように構成されていてもよい。
【0010】
上記アキュムレータにおいて、第1回転輪の回転を検出するための回転検出部を備えていてもよい。
【0011】
上記アキュムレータにおいて、動力源は、両ロッド型のエアシリンダであり、動力伝達装置は、第1回転輪と同軸上に配置された第3回転輪と、第3回転輪に巻き掛けられた第2索状体とを含み、第3回転輪は、第1回転輪に比べて直径が小さく、第1回転輪と一体的に回転するように構成され、第2索状体の一方端部がエアシリンダのロッドの一方に連結され、第2索状体の他方端部がエアシリンダのロッドの他方に連結されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のアキュムレータによれば、ローラの移動に伴うフィルムの張力変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態によるアキュムレータの概略を示した模式図である。
【
図2】
図1のアキュムレータにおいてフィルムが貯留された状態を示した図である。
【
図3】
図1のアキュムレータにおいてフィルムが挿通されるときの状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を説明する。
【0015】
-構成-
まず、
図1を参照して、本実施形態によるアキュムレータ100の構成について説明する。
【0016】
アキュムレータ100は、フィルム150の搬送経路に設置され、そのフィルム150を貯留および放出するように構成されている。たとえば、アキュムレータ100の上流側(X1方向側)にはフィルム供給装置(図示省略)が設けられ、アキュムレータ100の下流側(X2方向側)にはフィルム巻取装置(図示省略)が設けられている。そして、アキュムレータ100は、フィルム巻取装置によるフィルム150の巻き取りの中断時(巻取軸の交換時)に、フィルム供給装置から供給されるフィルム150を貯留するとともに、フィルム巻取装置によるフィルム150の巻き取りの再開時に、貯留したフィルム150を放出するように構成されている。なお、アキュムレータ100は、フィルム150の貯留および放出を行わないときに、フィルム供給装置から供給されるフィルム150をそのままフィルム巻取装置に搬送するようになっている。フィルム150は、たとえば、樹脂製の帯状フィルムである。
【0017】
アキュムレータ100は、装置内のフィルム150の搬送経路長を調整することにより、フィルム150を貯留および放出するように構成されている。アキュムレータ100は、
図1に示すように、上側昇降フレーム1と、下側昇降フレーム2と、動力伝達装置3と、エアシリンダ4と、ポテンショメータ5と、ハウジング6とを備えている。ハウジング6の上流側の端部には、フィルム供給装置から供給されるフィルム150をガイドするガイドローラ63が回転可能に設けられ、ハウジング6の下流側の端部には、フィルム巻取装置に送り出されるフィルム150をガイドするガイドローラ64が回転可能に設けられている。
【0018】
[上側昇降フレーム]
上側昇降フレーム1は、ハウジング6のレール61に沿って昇降可能に設けられている。この上側昇降フレーム1は、櫛歯状に形成されたフレーム本体11を有し、フレーム本体11の櫛歯部11bの先端でローラ13を回転自在に支持するように構成されている。なお、上側昇降フレーム1は、本発明の「第1昇降フレーム」の一例であり、フレーム本体11は、本発明の「第1フレーム本体」の一例であり、ローラ13は、本発明の「第1ローラ」の一例である。
【0019】
フレーム本体11は、基部11aと、基部11aから下方(Z2方向)に延びる複数の櫛歯部11bとを有する。すなわち、フレーム本体11は、櫛歯部11bの先端が下方を向くように配置されている。複数の櫛歯部11bは、水平方向(X1およびX2方向)に所定の間隔を隔てて配置されている。本実施形態では、4つの櫛歯部11bが設けられ、各櫛歯部11bの先端にローラ13が設けられている。このため、4つのローラ13は、同じ高さ位置で水平方向に所定の間隔を隔てて配置されている。フレーム本体11は、ローラ13の両端部を支持するように左右一対で設けられている。すなわち、一対のフレーム本体11は、フィルム150の幅方向(Y方向)において対向するように配置されている。
【0020】
また、フレーム本体11の上流側(X1方向側)の端部には、スライド係合部(ガイドシュー)12が設けられている。スライド係合部12は、レール61にスライド可能に係合されている。レール61は、ハウジング6に設けられ、上下方向(Z1およびZ2方向)に延びるように形成されている。フレーム本体11の基部11aには連結部11cが設けられ、連結部11cには後述するチェーン32が連結されている。
【0021】
[下側昇降フレーム]
下側昇降フレーム2は、上側昇降フレーム1の下方に配置され、ハウジング6のレール62に沿って昇降可能に設けられている。この下側昇降フレーム2は、櫛歯状に形成されたフレーム本体21を有し、フレーム本体21の櫛歯部21bの先端でローラ23を回転自在に支持するように構成されている。なお、下側昇降フレーム2は、本発明の「第2昇降フレーム」の一例であり、フレーム本体21は、本発明の「第2フレーム本体」の一例であり、ローラ23は、本発明の「第2ローラ」の一例である。
【0022】
フレーム本体21は、基部21aと、基部21aから上方(Z1方向)に延びる複数の櫛歯部21bとを有する。すなわち、フレーム本体21は、櫛歯部21bの先端が上方を向くように配置されている。複数の櫛歯部21bは、水平方向に所定の間隔を隔てて配置されている。本実施形態では、4つの櫛歯部21bが設けられ、各櫛歯部21bの先端にローラ23が設けられている。このため、4つのローラ23は、同じ高さ位置で水平方向に所定の間隔を隔てて配置されている。フレーム本体21は、ローラ23の両端部を支持するように左右一対で設けられている。すなわち、一対のフレーム本体21は、フィルム150の幅方向において対向するように配置されている。
【0023】
また、フレーム本体21の下流側(X2方向側)の端部には、スライド係合部22が設けられている。スライド係合部22は、レール62にスライド可能に係合されている。レール62は、ハウジング6に設けられ、上下方向に延びるように形成されている。フレーム本体21の基部21aには連結部21cが設けられ、連結部21cには後述するチェーン32が連結されている。
【0024】
そして、フレーム本体21は、フレーム本体11に対して下流側にずれた位置に配置されている。このため、フレーム本体11の櫛歯部11bとフレーム本体21の櫛歯部21bとが水平方向において交互に配置されている。すなわち、ローラ13とローラ23とが水平方向において交互に配置されている。
【0025】
[動力伝達装置]
動力伝達装置3は、エアシリンダ4からの動力を上側昇降フレーム1および下側昇降フレーム2に伝達して、上側昇降フレーム1および下側昇降フレーム2を昇降させるために設けられている。動力伝達装置3は、スプロケット31aおよび31bと、チェーン32と、スプロケット33および34と、チェーン35とを含んでいる。
【0026】
スプロケット31aおよび31bは、上下方向において対向するように配置され、ハウジング6に回転可能に設けられている。チェーン32は、無端状であり、スプロケット31aおよび31bに巻き掛けられている。スプロケット31aおよび31bの間で平行に延びるチェーン32の一方側(上流側)にフレーム本体11が連結され、スプロケット31aおよび31bの間で平行に延びるチェーン32の他方側(下流側)にフレーム本体21が連結されている。このため、上側昇降フレーム1および下側昇降フレーム2がつりあうようにチェーン32に連結されている。すなわち、上側昇降フレーム1および下側昇降フレーム2が自重を相殺するように設けられ、上側昇降フレーム1および下側昇降フレーム2が互いにカウンタウエイトとして機能するように構成されている。なお、スプロケット31aおよび31bは、それぞれ、本発明の「第1回転輪」および「第2回転輪」の一例であり、チェーン32は、本発明の「第1索状体」の一例である。
【0027】
スプロケット33は、スプロケット31aと同軸上に配置され、スプロケット31aと一体的に回転するように構成されている。スプロケット33の直径は、スプロケット31aの直径に比べて小さくされている。スプロケット34は、ハウジング6に回転可能に複数設けられている。チェーン35は、スプロケット33および34に巻き掛けられ、両端がエアシリンダ4に連結されている。なお、スプロケット33は、本発明の「第3回転輪」の一例であり、チェーン35は、本発明の「第2索状体」の一例である。
【0028】
[エアシリンダ]
エアシリンダ4は、上側昇降フレーム1および下側昇降フレーム2を昇降させるために設けられている。エアシリンダ4は、両ロッド型であり、シリンダ本体41と、ピストン(図示省略)と、ロッド42aおよび42bとを有する。シリンダ本体41は、ハウジング6に固定され、内部にピストンが収容されている。ピストンは、シリンダ本体41の内部でエアによって移動され、ロッド42aおよび42bが連結されている。ロッド42aは、シリンダ本体41の上端部から進退するように設けられ、チェーン35の一方端部が連結されている。ロッド42bは、シリンダ本体41の下端部から進退するように設けられ、チェーン35の他方端部が連結されている。なお、エアシリンダ4は、本発明の「動力源」の一例であり、ロッド42aおよび42bは、それぞれ、本発明の「ロッドの一方」および「ロッドの他方」の一例である。
【0029】
そして、エアシリンダ4において、ピストンが上方向(Z1方向)に移動されると、ロッド42aが上方向に進出するとともに、ロッド42bが上方向に退避することにより、スプロケット33が
図1において時計回りに回転される。このため、スプロケット31aおよび31bも
図1において時計回りに回転されることにより、上側昇降フレーム1が上昇されるとともに、下側昇降フレーム2が下降される。その一方、エアシリンダ4において、ピストンが下方向(Z2方向)に移動されると、ロッド42aが下方向に退避するとともに、ロッド42bが下方向に進出することにより、スプロケット33が
図1において反時計回りに回転される。このため、スプロケット31aおよび31bも
図1において反時計回りに回転されることにより、上側昇降フレーム1が下降されるとともに、下側昇降フレーム2が上昇される。
【0030】
[ポテンショメータ]
ポテンショメータ5は、スプロケット31aの近傍に配置され、スプロケット31aの回転を検出するために設けられている。このポテンショメータ5の検出結果は、上側昇降フレーム1および下側昇降フレーム2の位置、すなわち、ローラ13および23の位置を判断するために用いられる。なお、ポテンショメータ5は、本発明の「回転検出部」の一例である。
【0031】
-動作-
次に、
図1~
図3を参照して、本実施形態によるアキュムレータ100の動作について説明する。
【0032】
[フィルム搬送時]
まず、フィルム150の貯留および放出が行われない通常のフィルム搬送時には、
図1に示すように、エアシリンダ4によりローラ13がローラ23よりも上方に配置されている。そして、ガイドローラ63からガイドローラ64に向かうフィルム150には、ローラ13および23が交互に巻き掛けられている。このため、フィルム供給装置から供給されるフィルム150は、ガイドローラ63を介してアキュムレータ100の内部に送られ、ローラ13および23の間を行き交いながら下流側に搬送され、ガイドローラ64を介してフィルム巻取装置に送り出される。
【0033】
ここで、アキュムレータ100は、フィルム搬送時に、ローラ13および23をダンサーローラとして機能させるように構成されている。すなわち、ローラ13および23は、入出力速度差(フィルム供給装置からアキュムレータ100に供給されるフィルム150の速度と、フィルム巻取装置に巻き取られるフィルム150の速度との差)が発生した場合に、その入出力速度差を補正するのに用いられる。
【0034】
具体的に、フィルム搬送時には、エアシリンダ4により、ローラ13を支持するフレーム本体11が上側に付勢されるとともに、ローラ23を支持するフレーム本体21が下側に付勢されることにより、搬送されるフィルム150に張力が加えられる。このフィルム150の張力は、エアシリンダ4によって調整可能である。
【0035】
そして、入出力速度差がないときには、ローラ13および23が予め設定された位置(
図1で示した位置)で移動することなく、フィルム供給装置からのフィルム150がフィルム巻取装置に搬送される。
【0036】
次に、入出力速度差が発生すると、ローラ13および23が移動し、ポテンショメータ5によりローラ13および23の移動が検出され、そのローラ13および23の移動を打ち消すように入出力速度差(たとえば、フィルム150の巻取速度)が調整される。これにより、入出力速度差が発生しても補正され、ローラ13および23が予め設定された位置に戻される。
【0037】
たとえば、フィルム供給速度がフィルム巻取速度よりも高くなり、ローラ13が上側に移動されるとともに、ローラ23が下側に移動されると、その移動を打ち消すようにフィルム巻取速度が高くされ、ローラ13および23が元の位置に戻される。一方、フィルム供給速度がフィルム巻取速度よりも低くなり、ローラ13が下側に移動されるとともに、ローラ23が上側に移動されると、その移動を打ち消すようにフィルム巻取速度が低くされ、ローラ13および23が元の位置に戻される。
【0038】
[フィルム貯留時]
次に、フィルム貯留時には、エアシリンダ4によってフィルム150に張力が加えられた状態で、フィルム巻取速度が減速されてフィルム供給速度よりも低くなると、ローラ13を支持するフレーム本体11が上昇されるとともに、ローラ23を支持するフレーム本体21が下降される。これにより、装置内のフィルム150の搬送経路長が徐々に長くなり、
図2に示すように、フィルム供給装置からのフィルム150が貯留される。
【0039】
[フィルム放出時]
次に、フィルム放出時には、エアシリンダ4によってフィルム150に張力が加えられた状態で、フィルム巻取速度が加速されてフィルム供給速度よりも高くなると、ローラ13を支持するフレーム本体11が下降されるとともに、ローラ23を支持するフレーム本体21が上昇される。これにより、装置内のフィルム150の搬送経路長が徐々に短くなり、
図1に示すように、貯留されたフィルム150がフィルム巻取装置に放出される。
【0040】
[フィルム挿通時]
また、フィルム150の搬送開始前に、アキュムレータ100にフィルム150が挿通されるときには、
図3に示すように、エアシリンダ4によりローラ13がローラ23よりも下方に配置される。なお、ローラ13はガイドローラ63よりも下方に配置され、ローラ23はガイドローラ64よりも上方に配置される。この状態で、フィルム150がローラ13とローラ23との間に通される。すなわち、フィルム150が水平方向(X2方向)に真っ直ぐに通される。その後、エアシリンダ4により、ローラ13を支持するフレーム本体11が上昇されるとともに、ローラ23を支持するフレーム本体21が下降される。これにより、
図1に示すように、フィルム150がローラ13とローラ23とに交互に巻き掛けられる。
【0041】
-効果-
本実施形態では、上記のように、フィルム搬送時におけるダンサー制御時、フィルム貯留時およびフィルム放出時に、ローラ13および23の両方が移動されることによって、定位置ローラに対して昇降ローラを移動させる場合における昇降ローラの移動量に比べて、ローラ13および23の移動量の低減を図ることができる。このため、ローラ13および23を移動させる際の加速度を抑制することができるので、ローラ13および23の移動に伴うフィルム150の張力変動を抑制することができる。なお、ローラ13および23の本数を増やすほど、ローラ13および23の移動量が低減されるので、フィルム150の張力変動をより抑制することができる。さらに、互いにカウンタウエイトとして機能する上側昇降フレーム1および下側昇降フレーム2が近づいたり遠ざかることが可能であり、上側昇降フレーム1のローラ13および下側昇降フレーム2のローラ23にフィルム150が巻き掛けられることにより、ローラ13および23の両方にフィルム150の張力が作用するので、カウンタウエイトが連結されたダンサーローラにフィルムが巻き掛けられている場合に比べて、入出力速度差が発生した場合に上側昇降フレーム1および下側昇降フレーム2を移動しやすくすることができる。これによっても、ローラ13および23の移動に伴うフィルム150の張力変動を抑制(半減)することができる。その結果、本実施形態のアキュムレータ100では、カウンタウエイトが連結された昇降ローラを定位置ローラに対して移動させる場合に比べて、ローラの本数が同じであれば、ローラ13および23の移動に伴うフィルム150の張力変動を1/4にすることができる。
【0042】
また、本実施形態では、ローラ13をローラ23よりも下方に配置可能にすることによって、ローラ13とローラ23との間にフィルム150を真っ直ぐ通した後に、ローラ13を上昇させるとともに、ローラ23を下降させることにより、ローラ13および23にフィルム150を容易に巻き掛けることができる。
【0043】
また、本実施形態では、スプロケット33の直径がスプロケット31aの直径に比べて小さくされることによって、エアシリンダ4の出力を増速して上側昇降フレーム1および下側昇降フレーム2に伝達することができる。
【0044】
-他の実施形態-
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0045】
たとえば、上記実施形態では、上側昇降フレーム1および下側昇降フレーム2を昇降させるエアシリンダ4が設けられる例を示したが、これに限らず、エアシリンダに代えて、上側昇降フレームおよび下側昇降フレームを昇降させるモータ(図示省略)が設けられていてもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、スプロケット31aの回転を検出するポテンショメータ5が設けられる例を示したが、これに限らず、ポテンショメータに代えて、スプロケットの回転を検出するロータリエンコーダ(図示省略)が設けられていてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、動力伝達装置3がチェーンおよびスプロケットで構成される例を示したが、これに限らず、動力伝達装置がベルトおよびプーリで構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 上側昇降フレーム(第1昇降フレーム)
2 下側昇降フレーム(第2昇降フレーム)
3 動力伝達装置
4 エアシリンダ(動力源)
5 ポテンショメータ(回転検出部)
11 フレーム本体(第1フレーム本体)
11b 櫛歯部
13 ローラ(第1ローラ)
21 フレーム本体(第2フレーム本体)
21b 櫛歯部
23 ローラ(第2ローラ)
31a スプロケット(第1回転輪)
31b スプロケット(第2回転輪)
32 チェーン(第1索状体)
33 スプロケット(第3回転輪)
35 チェーン(第2索状体)
42a ロッド(ロッドの一方)
42b ロッド(ロッドの他方)
100 アキュムレータ
150 フィルム
【手続補正書】
【提出日】2023-03-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムを貯留および放出するアキュムレータであって、
昇降可能に設けられた第1昇降フレームと、
前記第1昇降フレームの下方に配置され、昇降可能に設けられた第2昇降フレームと、
前記第1昇降フレームおよび前記第2昇降フレームを昇降させる動力源である両ロッド型のエアシリンダと、
前記エアシリンダからの動力を前記第1昇降フレームおよび前記第2昇降フレームに伝達する動力伝達装置とを備え、
前記第1昇降フレームは、櫛歯状に形成された第1フレーム本体を有し、前記第1フレーム本体の櫛歯部の先端で第1ローラを回転自在に支持するように構成され、
前記第2昇降フレームは、櫛歯状に形成された第2フレーム本体を有し、前記第2フレーム本体の櫛歯部の先端で第2ローラを回転自在に支持するように構成され、
前記第1フレーム本体は櫛歯部の先端が下方を向くように配置されるとともに、前記第2フレーム本体は櫛歯部の先端が上方を向くように配置されており、前記第1フレーム本体の櫛歯部と前記第2フレーム本体の櫛歯部とが水平方向において交互に配置され、
前記動力伝達装置は、上下方向において対向するように配置された第1回転輪および第2回転輪と、前記第1回転輪および前記第2回転輪に巻き掛けられた第1索状体と、前記第1回転輪と同軸上に配置された第3回転輪と、前記第3回転輪に巻き掛けられた第2索状体とを含み、
前記第3回転輪は、前記第1回転輪に比べて直径が小さく、前記第1回転輪と一体的に回転するように構成され、
前記第1回転輪および前記第2回転輪の間で平行に延びる第1索状体の一方側に前記第1フレーム本体が連結され、前記第1回転輪および前記第2回転輪の間で平行に延びる第1索状体の他方側に前記第2フレーム本体が連結され、
前記第2索状体の一方端部が前記エアシリンダのロッドの一方に連結され、前記第2索状体の他方端部が前記エアシリンダのロッドの他方に連結され、
フィルムの搬送時に、前記第1ローラが前記第2ローラよりも上方に配置され、搬送されるフィルムが前記第1ローラと前記第2ローラとに交互に巻き掛けられており、前記第1ローラおよび前記第2ローラをダンサーローラとして機能させるように構成され、
フィルムの貯留時に、前記第1昇降フレームが上昇されるとともに、前記第2昇降フレームが下降されるように構成され、
フィルムの放出時に、前記第1昇降フレームが下降されるとともに、前記第2昇降フレームが上昇されるように構成されていることを特徴とするアキュムレータ。
【請求項2】
請求項1に記載のアキュムレータにおいて、
フィルムの挿通時に、前記第1ローラが前記第2ローラよりも下方に配置された状態で、前記第1ローラと前記第2ローラとの間にフィルムを通した後に、前記第1昇降フレームが上昇されるとともに、前記第2昇降フレームが下降されることにより、フィルムが前記第1ローラと前記第2ローラとに交互に巻き掛けられるように構成されていることを特徴とするアキュムレータ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のアキュムレータにおいて、
前記第1回転輪の回転を検出するための回転検出部を備えることを特徴とするアキュムレータ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明によるアキュムレータは、フィルムを貯留および放出するものであり、昇降可能に設けられた第1昇降フレームと、第1昇降フレームの下方に配置され、昇降可能に設けられた第2昇降フレームと、第1昇降フレームおよび第2昇降フレームを昇降させる動力源である両ロッド型のエアシリンダと、エアシリンダからの動力を第1昇降フレームおよび第2昇降フレームに伝達する動力伝達装置とを備える。第1昇降フレームは、櫛歯状に形成された第1フレーム本体を有し、第1フレーム本体の櫛歯部の先端で第1ローラを回転自在に支持するように構成されている。第2昇降フレームは、櫛歯状に形成された第2フレーム本体を有し、第2フレーム本体の櫛歯部の先端で第2ローラを回転自在に支持するように構成されている。第1フレーム本体は櫛歯部の先端が下方を向くように配置されるとともに、第2フレーム本体は櫛歯部の先端が上方を向くように配置されており、第1フレーム本体の櫛歯部と第2フレーム本体の櫛歯部とが水平方向において交互に配置されている。動力伝達装置は、上下方向において対向するように配置された第1回転輪および第2回転輪と、第1回転輪および第2回転輪に巻き掛けられた第1索状体と、第1回転輪と同軸上に配置された第3回転輪と、第3回転輪に巻き掛けられた第2索状体とを含む。第3回転輪は、第1回転輪に比べて直径が小さく、第1回転輪と一体的に回転するように構成されている。第1回転輪および第2回転輪の間で平行に延びる第1索状体の一方側に第1フレーム本体が連結され、第1回転輪および第2回転輪の間で平行に延びる第1索状体の他方側に第2フレーム本体が連結されている。第2索状体の一方端部がエアシリンダのロッドの一方に連結され、第2索状体の他方端部がエアシリンダのロッドの他方に連結されている。アキュムレータは、フィルムの搬送時に、第1ローラが第2ローラよりも上方に配置され、搬送されるフィルムが第1ローラと第2ローラとに交互に巻き掛けられており、第1ローラおよび第2ローラをダンサーローラとして機能させるように構成されている。また、アキュムレータは、フィルムの貯留時に、第1昇降フレームが上昇されるとともに、第2昇降フレームが下降されるように構成され、かつ、フィルムの放出時に、第1昇降フレームが下降されるとともに、第2昇降フレームが上昇されるように構成されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
[エアシリンダ]
エアシリンダ4は、上側昇降フレーム1および下側昇降フレーム2を昇降させるために設けられている。エアシリンダ4は、両ロッド型であり、シリンダ本体41と、ピストン(図示省略)と、ロッド42aおよび42bとを有する。シリンダ本体41は、ハウジング6に固定され、内部にピストンが収容されている。ピストンは、シリンダ本体41の内部でエアによって移動され、ロッド42aおよび42bが連結されている。ロッド42aは、シリンダ本体41の上端部から進退するように設けられ、チェーン35の一方端部が連結されている。ロッド42bは、シリンダ本体41の下端部から進退するように設けられ、チェーン35の他方端部が連結されている。なお、ロッド42aおよび42bは、それぞれ、本発明の「ロッドの一方」および「ロッドの他方」の一例である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
1 上側昇降フレーム(第1昇降フレーム)
2 下側昇降フレーム(第2昇降フレーム)
3 動力伝達装置
4 エアシリンダ
5 ポテンショメータ(回転検出部)
11 フレーム本体(第1フレーム本体)
11b 櫛歯部
13 ローラ(第1ローラ)
21 フレーム本体(第2フレーム本体)
21b 櫛歯部
23 ローラ(第2ローラ)
31a スプロケット(第1回転輪)
31b スプロケット(第2回転輪)
32 チェーン(第1索状体)
33 スプロケット(第3回転輪)
35 チェーン(第2索状体)
42a ロッド(ロッドの一方)
42b ロッド(ロッドの他方)
100 アキュムレータ
150 フィルム