(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121229
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】液体噴霧器
(51)【国際特許分類】
B05B 7/32 20060101AFI20230824BHJP
B05B 11/00 20230101ALI20230824BHJP
B65D 83/16 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
B05B7/32
B05B11/00 101E
B05B11/00 101K
B65D83/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024443
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】599166459
【氏名又は名称】株式会社TKS
(74)【代理人】
【識別番号】100180781
【弁理士】
【氏名又は名称】安達 友和
(72)【発明者】
【氏名】山下 貴敏
【テーマコード(参考)】
3E014
4F033
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB01
3E014PD03
3E014PD21
3E014PE30
3E014PF10
4F033QA10
4F033QB02Y
4F033QB03X
4F033QB12Y
4F033QB17
4F033QD02
4F033QD11
4F033QE19
4F033QF02X
4F033QF07Y
4F033QF08Y
4F033QF17Y
4F033QF21X
(57)【要約】 (修正有)
【課題】携行しやすいように小型にすることに適したファインバブル含有ミストの噴霧装置の構造を提供することを課題とする。
【解決手段】液体噴霧器1であって、電動式の空気圧縮ポンプ6と、液体を収容するタンク7と、供給した液体を霧状に微細化する微細化手段を内蔵した噴霧ノズル8と、タンク内の液体を噴霧ノズルに導く液体流路と、手動操作によって液体流路を開閉する開閉弁11を設け、空気圧縮ポンプ6によって生成した圧縮空気をタンク7内に供給するとともに、操作による開閉弁11の開閉に伴ってタンク内7の液体を噴霧ノズル8を介して噴霧するように構成したことを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体噴霧器であって、
電動式の空気圧縮ポンプと、
液体を収容するタンクと、
供給した液体を霧状に微細化する微細化手段を内蔵した噴霧ノズルと、
前記タンク内の液体を前記噴霧ノズルに導く液体流路と、
手動操作によって前記液体流路を開閉する開閉弁を設け、
前記空気圧縮ポンプによって生成した圧縮空気を前記タンク内に供給するとともに、
前記操作による開閉弁の開閉に伴って前記タンク内の液体を前記噴霧ノズルを介して噴霧するように構成したことを特徴とする液体噴霧器。
【請求項2】
前記空気圧縮ポンプによって生成された加圧空気を前記タンクに送出する気体流路に、前記加圧空気のみを通過させ前記液体の通過を防止するフィルターを設けたことを特徴とする請求項1記載の液体噴霧器。
【請求項3】
前記気体流路に前記タンク方向から前記空気圧縮ポンプへ流れる流体の逆流を防止する逆止弁を設けたことを特徴とする請求項2記載の液体噴霧器。
【請求項4】
前記電動式の空気圧縮ポンプの作動時間を設定したタイマー回路を有し、動作開始から設定した前記作動時間の経過後に空気圧縮ポンプの駆動を停止させるように構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項記載の液体噴霧器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は噴霧器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
収容した液体を吸い出して噴霧するスプレーポンプについて特許文献1に開示されたようなものがある。また、ファインバブルという微細な空気の泡を含んだ水について様々な機能が発見され、ファインバブル含有水を生成する装置や活用する器具類が見いだされている。ファインバブル含有水は皮膚への浸透効果が高いことが知られており、化粧水にファインバブル含有水を使用すると美容効果が高まることが注目されている。
【0003】
水にファインバブルを含有させる方法は各種存在するが、方法の一つとして液体と気体を加圧することで、液体に気体を含ませる方法がある。ヘンリーの法則として知られているように、気体は加えた圧力に比例して液体に溶けるという性質を有している。高圧で加圧して溶解させた気体は、圧力の低下にともなって膨張し微細な気泡の形で液体の中で気体化する。これが、所謂ファインバブルというものになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
空気とともに加圧した液体をスプレー化した状態で放出すると、ファインバブルを含んだミストが噴霧される。このようなファインバブルを含んだミストを噴霧する装置には、液体と空気を一定程度の圧力以上で加圧する機構が必要になる。手動による加圧装置式付きの液体噴霧器もあるが、加圧用操作に使用するハンドルレバーを本体から大きく突出させて設ける必要がある等、外出の際に持ち運ぶのには適さない形状や大きさになってしまう。
本発明は当該事情に鑑み発明されたものであって、携行しやすいように小型にすることに適したファインバブル含有ミストの噴霧装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は以下の構成を有する。すなわち、
液体噴霧器であって、電動式の空気圧縮ポンプと、液体を収容するタンクと、供給した液体を霧状に微細化する微細化手段を内蔵した噴霧ノズルと、前記タンク内の液体を前記噴霧ノズルに導く液体流路の一部を構成するパイプと、手動操作によって前記流路を開閉する開閉手段を設け、前記空気圧縮ポンプによって生成した圧縮空気を前記タンク内に供給するとともに、前記操作による開閉手段の開閉に伴って前記タンク内の液体を前記噴霧ノズルを介して噴霧するように構成したことを特徴とする液体噴霧器。
【0007】
また、本発明は上記液体噴霧器において以下の構成を有する。すなわち、
前記空気圧縮ポンプによって生成された加圧空気を前記タンクに送出する気体流路に、前記加圧空気のみを通過させ前記液体の通過を防止するフィルターを設けたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は上記液体噴霧器において以下の構成を有する。すなわち、
前記気体流路に前記タンク方向から前記空気圧縮ポンプへ流れる流体の逆流を防止する逆止弁を設けたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は上記液体噴霧器において以下の構成を有する。すなわち、
前記電動式の空気圧縮ポンプの作動時間を設定したタイマー回路を有し、動作開始から設定した前記作動時間の経過後に空気圧縮ポンプの駆動を停止させるように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る液体噴霧器は、空気の圧縮手段として手動式ポンプの代わりに電動式の圧縮ポンプを使用して、ファインバブルを含有した液体を噴霧することができるものである。手動式ポンプを使用しないため携行時には邪魔になるような操作ハンドルを設ける必要がなく、小型で携行しやすい液体噴霧器を提供できるものとなっている。また、電動式の圧縮ポンプを駆動するための制御回路にタイマー機能を設けることが出来る。これにより、圧縮ポンプの駆動開始後に一定時間経過することで自動的に停止させることが可能になり、自動停止にともなってLED等によって使用準備ができたことを使用者に知らせることが出来るという効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】本発明に係る液体噴霧器の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を図を用いて説明する。
図1は本発明に係る液体噴霧器1の正面図を表し、
図2は液体噴霧器2の断面図であり、
図3は同液体噴霧器3の分解斜視図を表している。
液体噴霧器1は、片手で持ち握ることが出来る程度の大きさに形成された円柱状の筐体2を有している。筐体2の表面には押しボタン式のスイッチ3が設けられており、頂部には着脱可能なキャップ4が設けられている。また、筐体2のスイッチ3の上方には、筐体2の内部に連通した覗き窓5が設けられている。
【0013】
筐体2内には、電動式の空気圧縮ポンプ(以下「電動ポンプ」という)6、液体を収容するタンク7、液体を霧状に微細化して放出する機能を有した噴霧ノズル8、タンク7内の液体を記噴霧ノズル8に導く液体の流路を有した弁機構9が設けられている。
また、一例として頂部に押圧手段の一部を構成する押圧ノブ10を有しており、押圧ノブ10の押し下げによって、タンク7と噴霧ノズル8を結ぶ流路に設けた弁機構9が有する弁11を開くように構成されている。
【0014】
電動ポンプ6は、ポンプ本体12と駆動モータ13によって構成される。また、制御手段を構成する回路基板15およびバッテリー16を有している。回路基板15によって構成される制御手段は、スイッチ3の操作によって駆動モータ13を回転させる電力を供給し、電力の供給開始から設定された時間が経過すると通電を停止するタイマーとして動作するように構成されている。
また、回路基板15にはLED19が取り付けられており、発光したLED19の光は筐体2の外から視認することができるように構成されている。LED19は駆動モータ13の回転時に点灯し、設定された時間の経過に伴って通電を停止した場合に点滅して使用準備が完了したことを使用者に知らせるようになっている。
【0015】
電動ポンプ6は、筐体2の外側面に配置したスイッチ3の操作によって駆動モータ13を回転させ、これによりポンプ本体12を駆動して取り入れた空気を送出し、逆止弁9とフィルター18を介してタンク7内を加圧するようになっている。
逆止弁9はタンク7内の圧力が電動ポンプ6の吐出圧力よりも高くなった場合に閉じ、タンク7内の圧力を維持する作用を有している。フィルター18は、液体の通過を遮断して選択的に空気のみを透過させる作用を有しており、圧縮空気の供給路中に装着されたハウジングの中に収容されている。このフィルター18には一例として耐水性≧20.0kPa、空気流量450cc/cm2/min、at1.29kPaのスペックを有した商品名「ベントフィルター」を用いている。このフィルター18と逆止弁9によってタンク7内の液体が電動ポンプ6側に逆流するのを防止している。
【0016】
また、噴霧ノズル8は押圧手段として頂部に設けられている押圧ノブ10に内蔵されている。押圧ノブ10は、押下によってタンク7内の圧力を高める作用を有しており、一定の圧力を超えた場合にタンク7から噴霧ノズル8に至る液体流路の途中に配置した弁11が開かれるようになっている。なお、タンク7内の圧力は電動ポンプ6によって予め加圧されているが、この圧力では弁11は開かず、押圧ノブ10による加圧が加わることで開くようになっている。すなわち、押圧ノブ10の押下による加圧によって弁11が開き噴霧ノズル8から液体が噴霧されるようになっている。噴霧ノズル8は、加圧した液体を霧状に細かくして放出するノズルである。
【0017】
上記構造の液体噴霧器1は、例えばタンク7内に予め化粧水などの液体を入れて使用する。この際、タンク7内を液体で充満させることはせず、空間を設けた状態で液体を収容する。収容する液体量については、噴霧ノズル8を設けた押圧ノブ10を覆うように被せる保護キャップ4が計量容器として使用できるようになっており、保護キャップ4内に設けられた印を目印としてタンク7内に収容する液体の規定量が分かるようになっている。
【0018】
空間を残した状態でタンク7内に化粧水を収容した後、電動ポンプ6によってタンク7内に圧縮空気を吐出しタンク7内部を加圧する。電動ポンプ6は一例として吐出圧力が0.03MPa~0.06MPaのものを使用しているが、これは押圧ノブ10の押下によって作動する弁11の作動圧を超えない圧力である。
【0019】
上記の条件において筐体2側面に設けたスイッチ3を操作すると、制御手段によって一定時間電動ポンプ6が稼働する。電動ポンプ6の稼働によって空気とともに化粧水が加圧され、この際、所定量の空気が化粧水に溶解する。電動ポンプ6による加圧が終了すると、報知手段として設けたLEDが点滅して加圧完了を知らせるようになっている。
加圧終了後、押圧ノブ10を押下するとタンク7内の圧力が弁11の作動圧力を超えて開き、化粧水がノズル8より噴霧される。この噴霧される化粧水は溶解した空気を含む液体であり、噴出に伴うタンク7内の圧力の低下に伴って生じた微細な気泡を含んでいる。この泡は、所謂ファインバブルと呼ばれるものである。
【0020】
従来製品のような手動式ポンプによってタンク内を加圧する手動式噴霧器の場合、ポンプを駆動操作するハンドルを設けなければならず、加圧に時間がかかるとともに、加圧完了を報知する手段がない。
これに対して液体噴霧器1は、内蔵した電動ポンプ6によってタンク7内を加圧するものなので手動操作するハンドルは不要であり、かつ噴霧の準備ができたことを知らせる報知手段を有している。このため、装置全体として小型に形成することができて携行に適しており、スイッチを入れるだけで噴霧の準備が完了するまでの準備を自動的に行うことができるようになっているので操作が非常に簡潔かつ簡単であるという特徴を有している。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、化粧水を顔などに噴霧するスキンケア用具として利用可能である。
【符号の説明】
【0022】
1 液体噴霧器
2 筐体
3 スイッチ
4 キャップ
5 覗き窓
6 電動ポンプ
7 タンク
8 ノズル
8 噴霧ノズル
9 弁機構(逆止弁)
10 押圧ノブ
11 開閉弁
12 ポンプ本体
13 駆動モータ
15 回路基板
16 バッテリー
18 フィルター
19 LED