(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121296
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】実装システム
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20230824BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20230824BHJP
B23K 3/00 20060101ALI20230824BHJP
B23K 1/20 20060101ALI20230824BHJP
B23K 1/00 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
H05K13/04 B
H05K3/34 503B
B23K3/00 A
B23K1/20 J
B23K1/00 330E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024553
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】弁理士法人河崎特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】萬谷 正幸
(72)【発明者】
【氏名】境 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 祐樹
【テーマコード(参考)】
5E319
5E353
【Fターム(参考)】
5E319AA03
5E319AB06
5E319BB05
5E319CC33
5E319CD31
5E319CD35
5E319GG03
5E353AA02
5E353EE62
5E353EE63
5E353GG01
5E353GG11
5E353GG12
5E353GG31
5E353MM04
5E353MM08
5E353NN18
5E353QQ11
(57)【要約】
【課題】半田付け不良の発生を低減する。
【解決手段】開示される実装システム10は、半田ペーストが配置された基板200を加熱して基板200に半田プリコート202および半田プリコート202の表面を覆う残渣203を形成する基板加熱装置50と、基板加熱装置50から基板200を受け取り、半田プリコート202の表面を覆う残渣203を破壊する基板押圧装置60と、基板押圧装置60から基板200を受け取り、半田プリコート202にフラックスFを塗布するフラックス塗布装置80と、を備える。実装システム10は、フラックスFが塗布された半田プリコート202に電子部品を搭載して半田付けして実装する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半田ペーストが配置された基板を加熱して前記基板に半田プリコートおよび前記半田プリコートの表面を覆う残渣を形成する基板加熱装置と、
前記基板加熱装置から前記基板を受け取り、前記半田プリコートの表面を覆う前記残渣を破壊する基板押圧装置と、
前記基板押圧装置から前記基板を受け取り、前記半田プリコートにフラックスを塗布するフラックス塗布装置と、
を備え、
前記フラックスが塗布された前記半田プリコートに電子部品を搭載して半田付けして実装する、実装システム。
【請求項2】
前記基板押圧装置は、前記半田プリコートに前記フラックスが塗布される前に前記基板を冷却する基板冷却部と、前記半田プリコートを押圧して前記半田プリコートの表面を覆う前記残渣を破壊する押圧ツールと、を有する、請求項1に記載の実装システム。
【請求項3】
前記基板冷却部による前記基板の冷却は、前記押圧ツールによる前記半田プリコートの押圧よりも先に開始される、請求項2に記載の実装システム。
【請求項4】
前記基板押圧装置は、前記残渣を破壊する際に前記基板の前記半田プリコートの頂部を平坦化する、請求項1~3のいずれか1項に記載の実装システム。
【請求項5】
前記基板押圧装置による前記半田プリコートの表面を覆う前記残渣を破壊する動作は、前記フラックス塗布装置が有する制御部によって制御される、請求項1~4のいずれか1項に記載の実装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、実装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、実装基板(電子部品が実装された基板をいう。以下、同様。)を製造する方法が備える工程の1つとして、基板の半田プリコートにフラックスを塗布する工程が知られている(例えば、特許文献1)。同文献では、電極に半田プリコートが形成された基板(以下、半田プリコート基板ともいう。)を準備し、当該半田プリコートにフラックスを塗布している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、半田プリコート基板を製造する際、その半田プリコートの表面に残渣が残る。この残渣は、一般に、フラックス塗布工程の前に実行される洗浄工程で洗浄される。ただ、残渣が洗浄された半田プリコート基板では、半田プリコートが空気にさらされて酸化するおそれがある。半田プリコートが酸化すると、その後の電子部品の半田付けにおいて不良が発生しやすくなる。このような状況において、本開示は、半田付け不良の発生を低減することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る一局面は、実装システムに関する。当該実装システムは、半田ペーストが配置された基板を加熱して前記基板に半田プリコートおよび前記半田プリコートの表面を覆う残渣を形成する基板加熱装置と、前記基板加熱装置から前記基板を受け取り、前記半田プリコートの表面を覆う前記残渣を破壊する基板押圧装置と、前記基板押圧装置から前記基板を受け取り、前記半田プリコートにフラックスを塗布するフラックス塗布装置と、を備え、前記フラックスが塗布された前記半田プリコートに電子部品を搭載して半田付けして実装する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、半田付け不良の発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示に係る実装システムの一例を模式的に示す正面図である。
【
図2】基板押圧装置の構成を概略的に示す正面図である。
【
図3】基板押圧装置の構成を概略的に示す平面図である。
【
図4】基板押圧装置およびフラックス塗布装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【
図5】実装方法について説明するための断面図である。
【
図6】基板押圧装置の動作について説明するための正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示に係る実装システムの実施形態について例を挙げて以下に説明する。しかしながら、本開示は以下に説明する例に限定されない。以下の説明では、具体的な数値や材料を例示する場合があるが、本開示の効果が得られる限り、他の数値や材料を適用してもよい。
【0009】
本開示に係る実装システムは、基板加熱装置と、基板押圧装置と、フラックス塗布装置とを備える。
【0010】
基板加熱装置は、半田ペーストが配置された基板を加熱することで、当該基板に半田プリコートと、半田プリコートの表面を覆う残渣とを形成する。基板は、半田ペーストが配置される電極を有してもよい。基板の加熱により、半田ペーストに含まれる半田粒子が溶融し、溶融した半田粒子が固化することで半田プリコートが形成されてもよい。半田プリコートは、基板の電極上に形成されてもよい。
【0011】
基板押圧装置は、基板加熱装置から基板(半田プリコート基板)を受け取り、半田プリコートの表面を覆う残渣を破壊する。基板押圧装置は、基板(より具体的には、半田プリコート)を押圧することにより、当該残渣を破壊してもよい。基板押圧装置は、基板加熱装置の下流に設けられてもよい。基板加熱装置と基板押圧装置との間には、他の装置が配置されなくてもよい。
【0012】
フラックス塗布装置は、基板押圧装置から基板(残渣が破壊された半田プリコート基板)を受け取り、半田プリコートにフラックスを塗布する。フラックス塗布装置は、例えば、スクリーン印刷法により、半田プリコートにフラックスを塗布してもよいが、これに限られるものではない。例えば、ディスペンサを用いてフラックスを塗布することも考えられる。フラックス塗布装置は、基板押圧装置の下流に設けられてもよい。基板押圧装置とフラックス塗布装置との間には、他の装置が配置されなくてもよい。
【0013】
実装システムは、フラックスが塗布された半田プリコートに電子部品を搭載して半田付けして実装する。これにより、実装基板が製造され得る。実装システムは、半田プリコートに電子部品を搭載する電子部品搭載装置や、搭載された電子部品を半田付けするリフロー装置を備えてもよい。
【0014】
本開示の実装システムによる実装基板の製造過程では、基板押圧装置において半田プリコートの表面を覆う残渣が破壊される。このため、基板押圧装置の上流では、半田プリコートが空気にさらされず、半田プリコートが酸化しにくい。そして、ほとんど酸化していない半田プリコートに、フラックス塗布装置においてフラックスが塗布される。このため、その後の電子部品の半田付けにおいて不良が発生しにくい。
【0015】
基板押圧装置は、半田プリコートにフラックスが塗布される前に基板を冷却する基板冷却部と、半田プリコートを押圧して半田プリコートの表面を覆う残渣を破壊する押圧ツールと、を有してもよい。基板の冷却により、半田プリコートおよびその表面を覆う残渣の固化が促進される。基板冷却部は、例えば、エアノズル、冷却ファン、またはペルチェ素子クーラーであってもよい。押圧ツールは、例えば、転動しながら半田プリコートを押圧するローラであってもよいし、または下降動作に伴って半田プリコートを押圧するプレートであってもよい。基板押圧装置は、基板を下方から支持すると共に押圧ツールの押圧荷重を受ける基板下受部を有してもよい。
【0016】
基板冷却部による基板の冷却は、押圧ツールによる半田プリコートの押圧よりも先に開始されてもよい。この場合、押圧ツールによる押圧に先立って半田プリコートおよび残渣の固化が促進されるので、液状の半田や残渣が押圧ツールに付着する事態を回避することができる。なお、基板冷却部による基板の冷却は、押圧ツールによる半田プリコートの押圧と同時に開始されてもよいし、あるいは押圧ツールによる半田プリコートの押圧よりも後に開始されてもよい。
【0017】
基板押圧装置は、残渣を破壊する際に基板の半田プリコートの頂部を平坦化してもよい。この場合、半田プリコートに対する電子部品の実装が容易になる。なぜなら、半田プリコートの頂部は、溶融した半田の表面張力により曲面状またはドーム状になっており、そこに搭載される電子部品が滑り落ちるおそれがあるところ、当該頂部が平坦化されることで電子部品が滑り落ちるのを抑止できるためである。
【0018】
基板押圧装置による半田プリコートの表面を覆う残渣を破壊する動作は、フラックス塗布装置が有する制御部によって制御されてもよい。この場合、基板押圧装置に独自の制御部を設ける必要がないため、実装システムの低コスト化を図ることができる。制御部は、演算装置と、演算装置によって実行可能なプログラムが格納された記憶装置とを有してもよい。制御部は、フラックス塗布装置による半田プリコートにフラックスを塗布する動作を制御してもよい。
【0019】
以上のように、本開示によれば、半田付け不良の発生を低減することができる。さらに、本開示によれば、一般に行われる残渣洗浄工程を省略して実装基板の製造コストを低減することができる。
【0020】
以下では、本開示に係る実装システムの一例について、図面を参照して具体的に説明する。以下で説明する一例の実装システムの構成要素には、上述した構成要素を適用できる。以下で説明する一例の実装システムの構成要素は、上述した記載に基づいて変更できる。また、以下で説明する事項を、上記の実施形態に適用してもよい。以下で説明する一例の実装システムの構成要素のうち、本開示に係る実装システムに必須ではない構成要素は省略してもよい。なお、以下で示す図は模式的なものであり、実際の部材の形状や数を正確に反映するものではない。
【0021】
本実施形態の実装システム10は、複数の電子部品が実装された実装基板を製造するためのシステムである。
【0022】
図1に示すように、実装システム10は、情報処理装置20と、ローダ30と、半田ペースト配置装置40と、第1基板加熱装置50と、基板押圧装置60と、フラックス塗布装置80と、第1基板検査装置90と、電子部品搭載装置100と、第2基板検査装置110と、第2基板加熱装置120と、第3基板検査装置130と、アンローダ140とを備える。これらの構成要素のうち半田ペースト配置装置40から第3基板検査装置130までの構成要素は基板200(
図5または
図6を参照)を搬送するための基板搬送部を内蔵しており、各構成要素を並べることで、ローダ30から受け取った基板200をアンローダ140へ搬送する基板搬送ライン11が構成される。ローダ30からアンローダ140までの構成要素は、この記載順に上流側から下流側に配置されている。本開示に特有の構成以外の構成には、公知の構成を適用してもよい。
【0023】
(基板搬送ライン)
基板搬送ライン11は、半田ペースト配置装置40から第3基板検査装置130にわたって基板200を搬送する。基板搬送ライン11を構成する各構成要素の基板搬送部には、公知のベルト、チェーン、ローラなどを使用したコンベアや、搬送ロボットなどの移載装置を用いることができる。
【0024】
(情報処理装置)
情報処理装置20は、実装システム10に含まれる他の要素(半田ペースト配置装置40、第1基板加熱装置50、フラックス塗布装置80、電子部品搭載装置100、第2基板加熱装置120など)に、有線または無線のローカルエリアネットワークNによって通信可能に接続されている。情報処理装置20は、これらの装置との間でデータをやり取りする。それによって、情報処理装置20は、実装システム10で行われる工程を管理する。
【0025】
情報処理装置20は、演算処理装置と記憶装置を有する。演算処理装置は、CPU(中央演算処理装置)などによって構成される。記憶装置は、1つ以上のRAM(ランダムアクセスメモリ)やハードディスクなどによって構成される。これらは、別の回路やLSI(大規模集積回路)で構成されてもよく、または一体に構成されてもよい。記憶装置には、実装システム10の各装置に必要なプログラムやそれに必要なデータが格納されている。
【0026】
(ローダおよびアンローダ)
ローダ30は、ラック(図示せず)に収納された基板を半田ペースト配置装置40へ供給する。アンローダ140は、完成した実装基板をラックに回収する。半田ペースト配置装置40から第3基板検査装置130までの各装置は、基板を搬送するコンベア(基板搬送ライン11)を含む。各コンベアは、上流側(ローダ30側)の装置から基板を受け取って下流側(アンローダ140側)の装置へ受け渡すことができるように配置される。
【0027】
(半田ペースト配置装置)
半田ペースト配置装置40は、例えばスクリーン印刷法によって、基板200の電極201(
図5を参照)に半田ペーストを供給する。なお、半田ペーストの供給方法は、スクリーン印刷法に限られるものではない。半田ペーストが配置された基板200は、基板搬送ライン11によって第1基板加熱装置50へ搬送される。
【0028】
(第1基板加熱装置)
第1基板加熱装置50は、半田ペーストが配置された基板200を加熱して、半田ペーストに含まれる半田粒子を溶融する。溶融した半田が固化することで、基板200の電極201上に、半田プリコート202および半田プリコート202の表面を覆う残渣203(
図5を参照)が形成される。半田プリコート202および残渣203が形成された基板200(半田プリコート基板200A)は、基板搬送ライン11によって基板押圧装置60へ搬送される。第1基板加熱装置50は、基板加熱装置の一例である。
【0029】
(基板押圧装置)
基板押圧装置60は、第1基板加熱装置50から基板200(半田プリコート基板200A)を受け取り、半田プリコート202の表面を覆う残渣203を破壊する。基板押圧装置60の構成について、詳しくは後述する。残渣203が破壊された基板200は、基板搬送ライン11によってフラックス塗布装置80へ搬送される。
【0030】
(フラックス塗布装置)
フラックス塗布装置80は、基板押圧装置60から基板200を受け取り、リフローによる半田付けのためのフラックスF(
図5を参照)を、半田プリコート202に塗布する。フラックスFの塗布方法に特に限定はない。例えば、フラックスFは、マスクとスキージを用いるスクリーン印刷法により、ノズルからフラックスを吐出するディスペンサにより、またはフラックスを噴霧する噴霧器により、半田プリコート202に塗布されてもよい。フラックスFが塗布された基板200は、基板搬送ライン11によって第1基板検査装置90へ搬送される。
【0031】
(第1基板検査装置)
第1基板検査装置90は、半田プリコート202が適正に形成されているか、およびフラックスFが適正に塗布されているかを検査する。両者が適正であると判定された基板200は、基板搬送ライン11によって電子部品搭載装置100へ搬送される。
【0032】
(電子部品搭載装置)
電子部品搭載装置100は、フラックスFで覆われた半田プリコート202に電子部品204(
図5を参照)を搭載する。電子部品搭載装置100は、例えば、電子部品204を吸着する吸着ノズル(図示せず)を用いて半田プリコート202に電子部品204を搭載してもよい。電子部品204の搭載が完了した基板200は、基板搬送ライン11によって第2基板検査装置110へ搬送される。
【0033】
(第2基板検査装置)
第2基板検査装置110は、電子部品204の搭載状態を検査する。第2基板検査装置110は、例えば、カメラや三次元計測機などの光学的な計測装置を用いて、電子部品の搭載位置、姿勢、有無などの搭載状態を認識し、それらが所定の基準を満たすかどうかを判定してもよい。検査が完了した基板200は、基板搬送ライン11によって第2基板加熱装置120へ搬送される。
【0034】
(第2基板加熱装置)
第2基板加熱装置120は、電子部品204が搭載された基板200を加熱して半田プリコート202を溶融し、電子部品204を電極201に半田付けする。これにより、電子部品204が実装された実装基板200B(
図5を参照)が製造される。電子部品204の半田付けが完了した基板200(実装基板200B)は、基板搬送ライン11によって第3基板検査装置130へ搬送される。
【0035】
(第3基板検査装置)
第3基板検査装置130は、実装基板200Bの良否を検査する。第3基板検査装置130での検査が終了した基板200(実装基板200B)は、基板搬送ライン11によってアンローダ140へ搬送される。アンローダ140は、完成した実装基板200Bをラックに回収する。
【0036】
(基板押圧装置の詳細)
次に、基板押圧装置60について、
図2~
図4を参照して詳しく説明する。なお、
図2~
図4では、基板押圧装置60が備える筐体の図示を省略している。
【0037】
図2および
図3に示すように、基板押圧装置60は、基板搬送部61と、基板保持部67と、エアノズル75と、押圧ツール77とを備える。
図2および
図3において、基板200の搬送方向は、左から右に向かう方向である。
【0038】
基板搬送部61は、基板200を搬送する機能を有する。基板搬送部61は、ベース部62と、一対の基板ガイド63と、一対のベルトコンベア64と、一対のコンベアガイド66とを有する。
【0039】
ベース部62は、プレート状の部材で構成される。ベース部62には、ベース部62をその厚さ方向(
図2における上下方向)に貫通する貫通孔62aが形成されている。この貫通孔62aには、後述する昇降ロッド72が挿通されている。
【0040】
一対の基板ガイド63は、それぞれ、ベース部62の縁部から立ち上がるように設けられたプレート状の部材である。一対の基板ガイド63は、基板搬送方向(
図2における左右方向)と直交する水平方向(
図2における紙面直交方向)において互いに対向している。一対の基板ガイド63によって、基板押圧装置60内を搬送される基板200が案内される。
【0041】
一対のベルトコンベア64は、基板押圧装置60内で基板200を搬送する。一対のベルトコンベア64は、一対の基板ガイド63の内側に配置される。各ベルトコンベア64は、基板200の搬送方向に沿って延びている。各ベルトコンベア64は、無端ループ状に構成されている。一対のベルトコンベア64は、基板搬送モータ65(
図4を参照)によって駆動される。なお、
図3には、一対のベルトコンベア64との間で基板200の授受を行う、第1基板加熱装置50およびフラックス塗布装置80の基板搬送部51,82を破線で示してある。一対のベルトコンベア64および各基板搬送部51,82は、それぞれ基板搬送ライン11の一部を構成する。
【0042】
一対のコンベアガイド66は、一対のベルトコンベア64を案内するプレート状の部材である。各コンベアガイド66の上面は、水平に延びるコンベア案内面を構成している。
【0043】
基板保持部67は、基板200を保持する機能を有する。基板保持部67は、基板下受部68と、一対の基板押え部材74とを有する。基板下受部68は、下受駆動部69と、昇降板71と、複数の下受ピン73とを含む。昇降板71は、下受駆動部69の出力軸である昇降ロッド72に結合されており、下受駆動部69が昇降ロッド72を上下に駆動すると昇降する。
【0044】
下受駆動部69は、ベース部62の下面に取り付けられる。下受駆動部69は、下受ピン73を昇降させる。本実施形態の下受駆動部69は、電動式のアクチュエータで構成されるが、これに限られるものではない。例えば、下受駆動部69は、油圧式または空気式のアクチュエータで構成されてもよい。
【0045】
複数の下受ピン73は、昇降板71の上面に立設されている。複数の下受ピン73は、それぞれ上下方向に延びている。複数の下受ピン73は、下受駆動部69によって昇降され、上昇時に基板200を下方から支持する。本実施形態では、8本の下受ピン73が設けられるが、下受ピン73の数は特に限定されない。また、複数の下受ピン73に代えて、基板200を下方から支持する支持面を備えた支持ブロック(図示せず)を設けてもよい。
【0046】
一対の基板押え部材74は、一対の基板ガイド63の上面に設けられている。各基板押え部材74は、その内側縁部が各基板ガイド63よりも内側(基板200側)に突出しており、当該突出部分により、複数の下受ピン73で持ち上げられる基板200の縁部を上側から押さえる。つまり、基板押圧装置60において、基板200は、複数の下受ピン73と一対の基板押え部材74によって上下から挟み込むようにして保持される(
図6(b)を参照)。
【0047】
エアノズル75は、基板保持部67によって保持された基板200に空気を吹き付けることで当該基板200を冷却する。本実施形態では、12個のエアノズル75が設けられており、そのうち6個は基板200よりも上側に、残りの6個は基板200よりも下側に設けられている。ただし、エアノズル75の数および配置は、これに限られるものではない。各エアノズル75は、冷却エア制御バルブ76(
図4を参照)によって開閉制御される。エアノズル75は、半田プリコートにフラックスが塗布される前に基板を冷却する基板冷却部の一例である。冷却により残渣203の固化が促進され、続く工程で残渣203が破壊されやすくなる。また、基板200を冷却することで残渣203が破壊された後に塗布されるフラックスFの加熱が抑制され、フラックスFの変質を抑制することができる。さらに、第1基板加熱装置50によって加熱された基板200が高温を保ったままフラックス塗布装置80に搬入されると、その熱によってフラックス塗布装置80の内部温度が上昇してフラックスの変質を招いてしまうことが懸念される。フラックスが変質すると、その後の電子部品搭載工程や第2基板加熱工程で半田付け不良が発生するおそれがあり、実装基板200Bの生産歩留りや品質が低下してしまう。したがって、フラックス塗布装置80に搬入される前に基板200を冷却することで、実装基板200Bの生産歩留りや品質の低下を抑止することができる。
【0048】
押圧ツール77は、基板200の上方に設けられる。押圧ツール77は、半田プリコート202を押圧して当該半田プリコート202の表面を覆う残渣203を破壊する。押圧ツール77は、押圧ツール駆動機構78(
図4を参照)によって駆動される。押圧ツール77は、ローラ77aと、ローラ77aを回転可能に支持する支持部77bとを有する。
【0049】
ローラ77aは、所定の回転軸(この例では、基板200の搬送方向と直交して延びる水平軸)回りに回転する。ローラ77aは、当該回転軸に沿って延びる形状を有する。ローラ77aは、基板200に押し付けられながら転動することで、その外周面で半田プリコート202を押圧する。
【0050】
図4に示すように、基板押圧装置60は、中継部79をさらに備える。中継部79は、フラックス塗布装置80が備える制御部81と有線または無線により接続されている。中継部79は、フラックス塗布装置80の制御部81と、押圧ツール駆動機構78、基板搬送モータ65、冷却エア制御バルブ76、および下受駆動部69との間における信号のやり取りを中継する。これにより、基板押圧装置60が備える構成要素の動作(半田プリコート202の表面を覆う残渣203を破壊する動作を含む。)は、フラックス塗布装置80の制御部81によって制御される。
【0051】
(実装方法)
次に、上述の実装システム10を用いた実装方法について、
図5および
図6を参照して説明する。なお、この実装方法は、他の種類のシステムまたは装置で実行されてもよい。実装方法は、準備工程と、半田ペースト配置工程と、第1基板加熱工程と、基板押圧工程と、フラックス塗布工程と、電子部品搭載工程と、第2基板加熱工程とを備える。
【0052】
準備工程では、
図5(a)に示すように、複数の電極201を備える基板200を準備する。当該基板200は、ローダ30に収容される。
【0053】
半田ペースト配置工程では、
図5(b)に示すように、基板200の電極201上に半田ペーストPを配置する。半田ペースト配置工程は、半田ペースト配置装置40において実行される。
【0054】
第1基板加熱工程では、
図5(c)に示すように、半田ペーストPが配置された基板200を加熱することで、電極201上に半田プリコート202およびその表面を覆う残渣203を形成する。第1基板加熱工程は、第1基板加熱装置50において実行される。
【0055】
基板押圧工程では、
図5(d)に示すように、基板200をローラ77aで押圧することで、残渣203を破壊すると共に半田プリコート202の頂部を平坦化する。基板押圧工程は、基板押圧装置60において実行される。
【0056】
ここで、基板押圧工程における基板押圧装置60の動作について、
図6を参照して説明する。まず、
図6(a)に示すように、一対のベルトコンベア64によって基板200(半田プリコート基板200A)が複数の下受ピン73の上方まで搬送される。続いて、
図6(b)に示すように、昇降板71が上昇し、それにより複数の下受ピン73と一対の基板押え部材74とにより基板200が保持される。保持された基板200に対して複数のエアノズル75から冷却エアが吹き付けられる。続いて、
図6(c)に示すように、基板200に対する冷却エアの吹付けを継続しながら、ローラ77aによって半田プリコート202が押し潰される。これにより、残渣203が破壊されると共に半田プリコート202の頂部が平坦化される。ローラ77aによる半田プリコート202の押潰しは、1回のみ行われてもよいし、複数回行われてもよい。
【0057】
フラックス塗布工程では、
図5(e)に示すように、頂部が平坦化された半田プリコート202にフラックスFが塗布される。フラックス塗布工程は、フラックス塗布装置80において実行される。
【0058】
電子部品搭載工程では、
図5(f)に示すように、フラックスFが塗布された半田プリコート202上に電子部品204が搭載される。電子部品搭載工程は、電子部品搭載装置100において実行される。
【0059】
第2基板加熱工程では、
図5(g)に示すように、電子部品204が搭載された基板200を加熱することで、電極201に電子部品204が半田付けされる。これにより、基板200に対する電子部品204の実装が完了する。第2基板加熱工程は、第2基板加熱装置120において実行される。第2基板加熱工程では、半田プリコート202が溶融した溶融半田が電子部品204の端子の表面に接触して濡れ広がることで電子部品204が基板200に半田付けされるところ、基板押圧工程で残渣203を破壊するので、残渣203によって溶融半田の濡れ広がりが阻害されることに起因する半田付け不良の発生を低減する効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本開示は、実装システムに利用できる。
【符号の説明】
【0061】
10:実装システム
11:基板搬送ライン
20:情報処理装置
30:ローダ
40:半田ペースト配置装置
50:第1基板加熱装置(基板加熱装置)
51:基板搬送部
60::基板押圧装置
61:基板搬送部
62:ベース部
62a:貫通孔
63:基板ガイド
64:ベルトコンベア
65:基板搬送モータ
66:コンベアガイド
67:基板保持部
68:基板下受部
69:下受駆動部
71:昇降板
72:昇降ロッド
73:下受ピン
74:基板押え部材
75:エアノズル(基板冷却部)
76:冷却エア制御バルブ
77:押圧ツール
77a:ローラ
77b:支持部
78:押圧ツール駆動機構
79:中継部
80:フラックス塗布装置
81:制御部
82:基板搬送部
90:第1基板検査装置
100:電子部品搭載装置
110:第2基板検査装置
120:第2基板加熱装置
130:第3基板検査装置
140:アンローダ
200:基板
200A:半田プリコート基板
200B:実装基板
201:電極
202:半田プリコート
203:残渣
204:電子部品
F:フラックス
N:ローカルエリアネットワーク
P:半田ペースト