(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121300
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】段ボール箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/54 20060101AFI20230824BHJP
【FI】
B65D5/54 311D
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024558
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006910
【氏名又は名称】株式会社淀川製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(74)【代理人】
【識別番号】100142376
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】安盛 正人
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB13
3E060BA03
3E060BC02
3E060CE05
3E060CE07
3E060CE14
3E060CE15
3E060CE18
3E060CE19
3E060CF05
3E060CG03
3E060CG13
3E060DA14
(57)【要約】
【課題】切離可能域を切り離すことに要する力を軽減する。
【解決手段】段ボール箱30は、開口側壁形成部40と、対向する一対の外周面形成フラップ42,44と、底面形成部とを備える。開口側壁形成部40が、対向しそれぞれ側壁の互いに異なる一部となる一対の基壁と、対向しそれぞれ側壁の互いに異なる一部となる一対の脇壁64,66とを有する。脇壁64,66のうち少なくとも一方が、切離可能域92と破断誘導域94とを有している。切離可能域92は、一対の外周面形成フラップ42,44が互いに接するときそれら双方の端の下に配置される。破断誘導域94は、切離可能域92に隣接して切離可能域92とその周囲とを区切る。切離可能域92を有する脇壁64,66の開口形成縁84,86が双方端隣接箇所を有している。双方端隣接箇所は、段ボール紙のいずれかの端からなる。切離可能域92及び破断誘導域94が双方端隣接箇所に接している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁及び開口を形成する開口側壁形成部と、
対向する一対の外周面形成フラップと、
前記開口側壁形成部に連なり底面を形成する底面形成部とを備え、
前記開口側壁形成部が、
対向しそれぞれ前記側壁の互いに異なる一部となる一対の基壁と、
対向しそれぞれ前記側壁の互いに異なる一部となる一対の脇壁とを有し、
前記基壁及び前記脇壁が、前記開口の縁の互いに異なる一部となる開口形成縁をそれぞれ有しており、
前記一対の外周面形成フラップの一方が、前記一対の基壁の一方の前記開口形成縁から屈曲可能に延出し、
前記一対の外周面形成フラップの他方が、前記一対の基壁の他方の前記開口形成縁から屈曲可能に延出し、
前記一対の脇壁のうち少なくとも一方が、
前記一対の外周面形成フラップが互いに接するとき前記一対の外周面形成フラップ双方の端の位置から見て前記底面形成部側に配置される切離可能域と、
前記切離可能域に隣接して前記切離可能域と前記切離可能域の周囲とを区切り前記切離可能域よりも機械的強度が低い破断誘導域とを有しており、
段ボール紙から組み立てられる段ボール箱であって、
前記切離可能域を有する前記脇壁の前記開口形成縁が双方端隣接箇所を有しており、
前記双方端隣接箇所が、前記一対の外周面形成フラップが互いに接するとき前記一対の外周面形成フラップ双方の端に隣接し、かつ、前記段ボール紙のいずれかの端からなる箇所であり、
前記切離可能域及び前記破断誘導域が前記双方端隣接箇所に接していることを特徴とする段ボール箱。
【請求項2】
前記切離可能域を構成する前記段ボール紙が、前記一対の基壁の一方から他方へ向かって延びる波状の芯材を有しており、
前記破断誘導域が、前記切離可能域を挟み、かつ、前記双方端隣接箇所にそれぞれ接し、前記一対の基壁の一方から他方へ向かう方向に対して交差する方向へ延びる線状部の対を有することを特徴とする請求項1に記載の段ボール箱。
【請求項3】
前記一対の外周面形成フラップの双方が、前記一対の外周面形成フラップが互いに接するとき前記双方端隣接箇所に隣接する前記外周面形成フラップの前記端から延出し前記一対の外周面形成フラップが互いに接するとき前記開口側壁形成部内に配置される延長部をそれぞれ有しており、
前記外周面形成フラップの表面と前記延長部の表面とが一体に連なっていることを特徴とする請求項1に記載の段ボール箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボール箱に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、段ボール箱を開示する。この段ボール箱は、波状の中芯と、中芯の表面側に積層される表ライナと、中芯の裏面側に積層される裏ライナとを有する段ボール紙から組み立てられる。この段ボール箱は、底壁と、底壁から立設された四周側壁と、上面フラップとを備える。上面フラップは、四周側壁のうち前側壁及び後側壁の各上縁から延出する。上面フラップは、内側に折り曲げると互いに上縁を突き合わせた状態となる。この段ボール箱は、四周側壁において当該段ボール紙の幅方向が上下方向となるように配置される。この段ボール箱は、四周側壁のうち他方側壁の上部から各上面フラップの突き合わせ部分を経て四周側壁のうち一方側壁の上部にかけて封緘用の粘着テープが貼り付けられる。この段ボール箱の、他方側壁及び一方側壁の少なくとも一方の、各上面フラップの突き合わせ部分の下方に、粘着テープの端部が貼り付けられる。この段ボール箱は、切り取り可能な方形の切離可能域と押込領域とを備える。切離可能域の水平方向に延びる下辺が切込線からなる。押込領域は、上縁と下縁と押込線とを有する。上縁は切離可能域の下方に隣接して設けられる。上縁は切離可能域の切込線からなる。下縁は上縁の下方に切込線として設けられる。下縁の両端は上縁の両端と前後方向に一致する。押込線は、上縁と下縁とを結ぶ切込線からなる。特許文献1に開示された発明によると、押込部の押込みを含め、封緘する粘着テープを容易に剥がすことができる。
【0003】
特許文献2は、段ボール箱を開示する。この段ボール箱は、四角筒状部と、一対の外フラップと、一対の上面側内フラップと、一対の下面側外フラップと、一対の下面側内フラップとを備える。四角筒状部は、対向する一方対向壁及び他方対向壁並びに対向する左右一対の側壁を有する。上面側外フラップは、一方対向壁及び他方対向壁の各上縁から延出する。上面側内フラップは、各側壁の各上縁から延出する。下面側外フラップは、一方対向壁及び他方対向壁の各下縁から延出する。下面側内フラップは、各側壁の各下縁から延出する。この段ボール箱は、一枚の段ボール紙から組み立てられる。側壁の上部中央に切離可能域が設けられている。この切離可能域の少なくとも下側部分が第1の切込線である。第1の切込線以外の部分は破断誘導線で囲まれている。側壁に、第2の切込線が形成されている。第2の切込線は、第1の切込線の中央から下方に延出する。特許文献2に開示された発明によると、収容された商品の量にかかわらず、また、収容された商品を傷付けることなく、貼着された粘着テープを容易に剥がすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3214314号公報
【特許文献2】実用新案登録第3164053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示された発明には、段ボール箱から切離可能域を切り離すことにある程度の力が必要という問題点がある。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するものである。その目的は、切離可能域を切り離すことに要する力を軽減できる段ボール箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
図面を参照して本発明の段ボール箱を説明する。なお、この欄で図中の符号を使用したのは、発明の内容の理解を助けるためであって、内容を図示した範囲に限定する意図ではない。
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明のある局面に従うと、段ボール箱30は、開口側壁形成部40と、対向する一対の外周面形成フラップ42,44と、底面形成部46とを備える。開口側壁形成部40は、側壁及び開口を形成する。底面形成部46は、開口側壁形成部40に連なり底面を形成する。開口側壁形成部40が、対向しそれぞれ側壁の互いに異なる一部となる一対の基壁60,62と、対向しそれぞれ側壁の互いに異なる一部となる一対の脇壁64,66とを有する。基壁60,62及び脇壁64,66が、開口形成縁80,82,84,86をそれぞれ有している。開口形成縁80,82,84,86は、開口の縁の互いに異なる一部となる。一対の外周面形成フラップ42,44の一方が、一対の基壁60,62の一方の開口形成縁80から屈曲可能に延出する。一対の外周面形成フラップ42,44の他方が、一対の基壁60,62の他方の開口形成縁82から屈曲可能に延出する。一対の脇壁64,66のうち少なくとも一方が、切離可能域92と、破断誘導域94とを有している。切離可能域92は、一対の外周面形成フラップ42,44が互いに接するとき一対の外周面形成フラップ42,44双方の端の位置から見て底面形成部46側に配置される。破断誘導域94は、切離可能域92に隣接して切離可能域92と切離可能域92の周囲とを区切る。破断誘導域94は、切離可能域92よりも機械的強度が低い。段ボール箱30は、段ボール紙32から組み立てられる。切離可能域92を有する脇壁64,66の開口形成縁84,86が双方端隣接箇所108を有している。双方端隣接箇所108は、一対の外周面形成フラップ42,44が互いに接するとき一対の外周面形成フラップ42,44双方の端に隣接する箇所である。双方端隣接箇所108は、段ボール紙のいずれかの端からなる箇所である。切離可能域92及び破断誘導域94が双方端隣接箇所108に接している。
【0009】
切離可能域92が双方端隣接箇所108に接している。双方端隣接箇所108は、一対の外周面形成フラップ42,44が互いに接するとき一対の外周面形成フラップ42,44双方の端に隣接する箇所である。これにより、一対の外周面形成フラップ42,44が互いに接しており、かつ、それら互いに接している一対の外周面形成フラップ42,44から切離可能域92までにわたり粘着テープ300が貼着されているとき、切離可能域92を脇壁64,66から切り離すことでその粘着テープ300を容易に剥がすことができる。破断誘導域94は、切離可能域92に隣接して切離可能域92と切離可能域92の周囲とを区切る。切離可能域92及び破断誘導域94が双方端隣接箇所108に接している。双方端隣接箇所108は、段ボール紙のいずれかの端からなる箇所である。これにより、切離可能域92を脇壁64,66から切り離す際、破断誘導域94のうち粘着テープ300によって補強された部分を破断させる必要がなくなる。破断誘導域94のうち粘着テープ300によって補強された部分を破断させる必要がなくなるので、その破断のために要する力は不要になる。その結果、切離可能域92を切り離すことに要する力を軽減できる。
【0010】
また、上述した切離可能域92を構成する段ボール紙が、波状の芯材140を有していることが望ましい。波状の芯材140は、一対の基壁60,62の一方から他方へ向かって延びる。この場合、破断誘導域94が線状部100,100の対を有することが望ましい。線状部100,100の対は、切離可能域92を挟み、かつ、双方端隣接箇所108にそれぞれ接する。線状部100,100の対は、一対の基壁60,62の一方から他方へ向かう方向に対して交差する方向へ延びる。
【0011】
波状の芯材140は、一対の基壁60,62の一方から他方へ向かって延びる。線状部100,100の対は、切離可能域92を挟み、かつ、双方端隣接箇所108にそれぞれ接する。線状部100,100の対は、一対の基壁60,62の一方から他方へ向かう方向に対して交差する方向へ延びる。これにより、波状の芯材140が底面形成部46から開口形成縁80,82,84,86へ向かって延びる場合に比べ、切離可能域92はめくり上がり易くなる。切離可能域92がめくり上がり易くなると、切離可能域92を脇壁64,66から切り離そうとする力が加えられたとき、破断誘導域94に応力集中が生じやすくなる。破断誘導域94に応力集中が生じやすくなると、脇壁64,66から切離可能域92を切り離すことが容易になる。
【0012】
また、上述した一対の外周面形成フラップ42,44の双方が、延長部110をそれぞれ有していることが望ましい。延長部110は、一対の外周面形成フラップ42,44が互いに接するとき双方端隣接箇所108に隣接する外周面形成フラップ42,44の端から延出する。延長部110は、一対の外周面形成フラップ42,44が互いに接するとき開口側壁形成部40内に配置される。この場合、外周面形成フラップ42,44の表面と延長部110の表面とが一体に連なっていることが望ましい。
【0013】
外周面形成フラップ42,44の表面と延長部110の表面とは一体に連なっている。これにより、切離可能域92が脇壁64,66から切り離された直後に、外周面形成フラップ42,44に貼着されている粘着テープ300と共に外周面形成フラップ42,44の表層部分が外周面形成フラップ42,44から剥がれる恐れは低くなる。その恐れが低くなると、その粘着テープ300が剥がされたことによって段ボール箱30の美観が損なわれる恐れも低くなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る段ボール箱は、切離可能域を切り離すことに要する力を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明のある実施形態に係る段ボール箱の斜視図である。
【
図2】本発明のある実施形態に係る段ボール箱を形成するための段ボール紙の展開図である。
【
図3】本発明のある実施形態に係る段ボール箱の一方側壁の斜視図である。
【
図4】本発明のある実施形態に係る段ボール箱の一方側壁の端部付近の斜視図である。
【
図5】本発明のある実施形態に係る組立中の段ボール箱が示される図である。
【
図6】本発明のある実施形態に係る組立が完了した段ボール箱の斜視図である。
【
図7】本発明のある実施形態に係る段ボール箱の切離可能域に指があてられている状況が示される図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0017】
[段ボール箱の構成]
図1は、本実施形態に係る段ボール箱30の斜視図である。
図2は、本実施形態に係る段ボール箱30を形成するための段ボール紙32の展開図である。
図1と
図2とに基づいて、本実施形態に係る段ボール箱30の構成が説明される。
【0018】
図1から明らかなように、本実施形態に係る段ボール箱30は、開口側壁形成部40と、一方外周面形成フラップ42と、他方外周面形成フラップ44と、底面形成部46と、4枚の内側補強部48とを備える。
図2から明らかなように、本実施形態に示される段ボール箱30は、1枚の段ボール紙32から組み立てられる。
【0019】
開口側壁形成部40は、任意の物品(図示されず)を収容するための空間を形成する。本実施形態に係る開口側壁形成部40は、一方基壁60と、他方基壁62と、一方脇壁64と、他方脇壁66とを有する。一方基壁60は一方外周面形成フラップ42の基部となる側壁である。他方基壁62は他方外周面形成フラップ44の基部となる側壁である。一方基壁60と他方基壁62とは互いに対向する。本実施形態においては、一方基壁60と他方基壁62とは「一対の基壁」と総称される。一方脇壁64と他方脇壁66とは一対の基壁60,62の脇に配置される側壁である。一方脇壁64と他方脇壁66とは互いに対向する。本実施形態においては、一方脇壁64と他方脇壁66とは「一対の脇壁」と総称される。
【0020】
図1から明らかなように、一方基壁60は開口形成縁80を有する。他方基壁62は開口形成縁82を有する。一方脇壁64は開口形成縁84を有する。他方脇壁66は開口形成縁86を有する。これらの開口形成縁80,82,84,86は、開口側壁形成部40が形成する開口の縁の互いに異なる一部となる。
【0021】
一方外周面形成フラップ42は、一方基壁60の開口形成縁80から延出する。他方外周面形成フラップ44は、他方基壁62の開口形成縁82から延出する。本実施形態においては、一方外周面形成フラップ42と他方外周面形成フラップ44とは「一対の外周面形成フラップ」と総称される。
【0022】
本実施形態の場合、一対の外周面形成フラップ42,44の双方が延長部110を有している。
図1から明らかなように、本実施形態の場合、延長部110は、一対の外周面形成フラップ42,44の端から延出する。本実施形態の場合、外周面形成フラップ42,44の表面と延長部110の表面とが一体に連なっている。
【0023】
底面形成部46は本実施形態に係る段ボール箱30の底面を形成する。底面形成部46は、開口側壁形成部40と共に上述された図示されない物品を収容するための空間を形成する。本実施形態においては、底面形成部46は開口側壁形成部40に一体に連なる。
【0024】
内側補強部48は、一方基壁60及び他方基壁62の、一方脇壁64に接する側縁130と他方脇壁66に接する側縁130とから延出する。内側補強部48は開口側壁形成部40が形成する空間内に配置される。
【0025】
図3は、本実施形態に係る段ボール箱30の一方脇壁64の斜視図である。
図3に基づいて、本実施形態に係る段ボール箱30の脇壁64,66の構成が説明される。
【0026】
本実施形態においては、一方脇壁64の開口形成縁84は、上述された段ボール紙32のいずれかの端からなる。本実施形態においては、他方脇壁66の開口形成縁86も上述された段ボール紙32のいずれかの端からなる。
【0027】
本実施形態においては、一方脇壁64は切離可能域92と破断誘導域94とを開口形成縁84に加えて有する。他方脇壁66は切離可能域92と破断誘導域94とを開口形成縁86に加えて有する。
【0028】
図3から明らかなように、切離可能域92は、一対の外周面形成フラップ42,44が互いに接するとき一対の外周面形成フラップ42,44双方の端の下となる位置に配置される。これにより、切離可能域92は、一対の外周面形成フラップ42,44双方の端の位置から見て底面形成部46側に配置されることとなる。破断誘導域94は、切離可能域92に隣接して切離可能域92と切離可能域92の周囲とを区切る。破断誘導域94は、切離可能域92よりも機械的強度が低くなっている。
【0029】
本実施形態の場合、破断誘導域94は線状部100,100の対を有する。線状部100,100の対は、切離可能域92を挟むように配置される。線状部100,100の対は、一方基壁60及び他方基壁62の一方から他方へ向かう方向に対して交差する方向へそれぞれ延びる。線状部100,100の対は互いに沿うように直線状に延びている。本実施形態の場合、線状部100,100の対は相互連結部102に連なっている。相互連結部102は底面形成部46が有している。なお、他方脇壁66が有する破断誘導域94の線状部100,100の対も底面形成部46が有している相互連結部102に連なっている。すなわち、本実施形態の場合、底面形成部46は相互連結部102,102の対を有している。
【0030】
なお、本実施形態の場合、線状部100と相互連結部102との構造は周知のミシン目と同様である。したがってその詳細な説明はここでは繰り返されない。
【0031】
本実施形態の場合、一方脇壁64の開口形成縁84は双方端隣接箇所108を有している。他方脇壁66の開口形成縁86も双方端隣接箇所108を有している。双方端隣接箇所108は、一対の外周面形成フラップ42,44が互いに接するとき一対の外周面形成フラップ42,44双方の端に隣接する箇所である。上述されたように、本実施形態においては、一方脇壁64の開口形成縁84は、上述された段ボール紙32のいずれかの端からなる。他方脇壁66の開口形成縁86も上述された段ボール紙32のいずれかの端からなる。これにより、双方端隣接箇所108は、段ボール紙32のいずれかの端からなる。切離可能域92及び破断誘導域94が双方端隣接箇所108に接している。したがって、線状部100,100それぞれの一端は双方端隣接箇所108に接する。また、延長部110は、一対の外周面形成フラップ42,44の端のうち、これらが互いに接するとき双方端隣接箇所108に隣接する端から延出することとなる。
【0032】
図4は、本実施形態に係る段ボール箱30の一方脇壁64の端部付近の斜視図である。
図4に基づいて、本実施形態に係る一方脇壁64における段ボール紙32の構成が説明される。
【0033】
本実施形態の場合、一方脇壁64を構成する段ボール紙32は、波状の芯材140と、表ライナ142と、裏ライナ144とを有している。波状の芯材140は、一方基壁60及び他方基壁62の一方から他方へ向かって延びる。表ライナ142は、波状の芯材140の位置から見て開口側壁形成部40の外周側に配置される。裏ライナ144は、波状の芯材140の位置から見て開口側壁形成部40の内周側に配置される。
【0034】
[段ボール箱の使用方法]
段ボール箱30を使用しようとする者すなわち作業者は、
図2に示される状態の段ボール紙32のうち底面形成部46になる箇所の上へ、段ボール箱30への収容が予定される図示されない物品を載せる。それが載せられると、作業者は、内側補強部48になる箇所であって一方基壁60になる箇所に連なる箇所をこれらが起き上がるように折り曲げる。
【0035】
それらの箇所が折り曲げられると、作業者は、一方基壁60になる箇所と底面形成部46になる箇所との間を一方基壁60になる箇所が起き上がるように折り曲げる。
【0036】
次いで、作業者は、延長部110になる箇所であって一方外周面形成フラップ42になる箇所の両端に連なる箇所をこれらが互いに対向するように折り曲げる。
【0037】
次いで、作業者は、一方基壁60になる箇所と一方外周面形成フラップ42になる箇所との間を一方外周面形成フラップ42になる箇所が底面形成部46になる箇所へ向かって倒れるように折り曲げる。
図5は、この組立中の段ボール箱30が示される図である。ただし、段ボール箱30への収容が予定される物品は
図5に示されていない。
【0038】
次いで、作業者は、他方基壁62になる箇所と他方外周面形成フラップ44になる箇所とについても同様に折り曲げる。
【0039】
次いで、作業者は、一方脇壁64及び他方脇壁66になる箇所をこれらが起き上がるように折り曲げる。これらが折り曲げられると、作業者は、一方脇壁64と内側補強部48との間に延長部110の端部を入れる。作業者は、他方脇壁66と内側補強部48との間に延長部110の端部を入れる。引き続き、作業者は、一方外周面形成フラップ42と他方外周面形成フラップ44とを倒す。これにより、延長部110はそれぞれ一方脇壁64と内側補強部48との間又は他方脇壁66と内側補強部48との間に進入する。一方外周面形成フラップ42の先端と他方外周面形成フラップ44との先端とは対向するようになる。また、延長部110は、一方外周面形成フラップ42の先端と他方外周面形成フラップ44の先端とが互いに接するとき開口側壁形成部40内に配置されることとなる。
【0040】
次いで、作業者は、互いに対向する一方外周面形成フラップ42の先端と他方外周面形成フラップ44との真上に、これらにまたがるように粘着テープ300を貼る。これにより、本実施形態に係る段ボール箱30の組立が完了する。
図6は、組立が完了した段ボール箱30の斜視図である。
図6においては、段ボール箱30へ収容された物品は示されていない。
【0041】
組立が完了した段ボール箱30からその中の物品を取り出そうとする場合、それを行おうとする者すなわち取出者は、自らの人差し指等を底面形成部46のうち相互連結部102に取り囲まれている箇所に押し当てて相互連結部102を破断させる。これと同時に、取出者は、自らの親指を粘着テープ300が貼付された切離可能域92にあてる。
図7は、その状況が示される図である。次いで、取出者は、その人差し指と親指とによって切離可能域92をつまんでこれを引き上げる。これにより、切離可能域92が一方脇壁64から分離される。取出者は切離可能域92が端に付いた粘着テープ300を段ボール箱30から剥がす。粘着テープ300が段ボール箱30から剥がれると、その段ボール箱30の中に収容されていた物の取り出しが可能になる。
【0042】
[効果の説明]
以上のようにして、本実施形態に係る段ボール箱30は、切離可能域92を切り離すことに要する力を軽減できる。
【0043】
また、本実施形態に係る段ボール箱30において、粘着テープ300が剥がされたことによって段ボール箱30の美観が損なわれる恐れは低くなる。
【0044】
[変形例の説明]
上述した段ボール箱30は、本発明の技術的思想を具体化するために例示したものである。各部材の形状、構造、配置などをこれらの実施形態のものに限定するものではない。各部材の形状、構造、配置は、種々の変更を加え得るものである。
【0045】
例えば、一方脇壁64及び他方脇壁66の一方が切離可能域92を有していなくてもよい。その場合、一方脇壁64及び他方脇壁66のうち切離可能域92を有していない方は段ボール紙32のいずれかの端からなっていなくてもよい。一方脇壁64及び他方脇壁66のうち切離可能域92を有していない方の開口形成縁84,86からフラップが延出していてもよい。また、一方脇壁64及び他方脇壁66の開口形成縁84,86のうち双方端隣接箇所108以外の箇所は段ボール紙32のいずれかの端からなっていなくてもよい。その場合、開口形成縁84,86のうち段ボール紙32のいずれかの端からなっていない箇所からフラップが延出していてもよい。また、一対の外周面形成フラップ42,44の一方が延長部110を有していなくてもよい。本発明に係る段ボール箱は内側補強部48を有していなくてもよい。段ボール紙32の波状の芯材140が延びる方向は上述したものに限定されない。
【0046】
また、本発明において、底面形成部46の形態は上述したものに限定されない。例えば、底面形成部は複数のフラップを周知の態様で重ねたものであってもよい。
【0047】
また、本発明において、破断誘導域94の形態は上述したものに限定されない。例えば、線状部100,100の対は曲線状であってもよい。破断誘導域94は、力を受けると容易に切断される、周知のミシン目以外の機械的強度が低いものを有していてもよい。
【符号の説明】
【0048】
30…段ボール箱
32…段ボール紙
40…開口側壁形成部
42…一方外周面形成フラップ
44…他方外周面形成フラップ
46…底面形成部
48…内側補強部
60…一方基壁
62…他方基壁
64…一方脇壁
66…他方脇壁
80,82,84,86…開口形成縁
92…切離可能域
94…破断誘導域
100…線状部
102…相互連結部
108…双方端隣接箇所
110…延長部
140…芯材
142…表ライナ
144…裏ライナ
300…粘着テープ